JP2005214012A - 圧縮機の摺動部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】主に30%のシリコンを含有したアルミニウムの粉末燒結材で構成されている圧縮機の摺動部材の摺動部においては、その最表面にありSiを覆っている薄いアルミニウム層が剥離して焼付きに至る可能性があり、十分な信頼性を保証するために最表面のアルミニウム層の無害化が重要な課題となっている。
【解決手段】本発明は、硬質微粒子を高速度で投射した後に機械研磨を施すことにより、最表面のアルミニウムを除去して硬質粒子を露出させるとともにアルミニウム表面に油溜りを形成させて圧縮機の摺動部材の耐焼付き性を向上し、信頼性の高い圧縮機を提供するものである。
【選択図】図3

Description

本発明は、業務用や非業務用を問わず各種用途での冷凍サイクルや空調システムなどの圧縮機として使用されるものであって、主として、齟齬状に対向配置されて互いに噛み合う旋回スクロールと固定スクロールとにより、冷媒を吸入、圧縮および吐出するスクロール圧縮機の摺動部材に関するものである。
スクロール圧縮機には、静止した固定スクロールと、この固定スクロールと噛み合った状態で揺動する旋回スクロールとを備えている。図4に示すように、旋回スクロール30は、円板状の鏡板31と、この鏡板31の上面部31aから渦巻状に直立して形成されたラップ部32と、鏡板31の下部に形成された軸受部33とを備えて構成されている。ラップ部32の高さは、その肉厚の約6倍程度に設定されている。この旋回スクロール30は、従来において鉄系の鋳造品の表面を切削して仕上げ加工することにより製作されていたが、近年では、スクロール圧縮機の高効率化を図るために、旋回スクロール30を毎分1万回転前後の高い回転数で駆動することが要求されるに到り、旋回スクロール30の形成素材として、鉄系の材料に代えて、これよりも比重の小さいアルミニウム合金を用いることにより、スクロール圧縮機の高効率化および軽量化を図ることが要望されている。
このような事情から、従来では、図5に示すように、上記鏡板31およびラップ部32の基材部31b、32aを、30%のシリコンと若干のニッケル、マグネシウムを含有した材料からなるアルミニウムダイキャスト品として一体形成し、鏡板31の上面部31aおよび側面部31d(図4)とラップ部32の表層部32bとを、基材部31b、32aと同じ材質、つまり10%以上のシリコンを含有するアルミニウム合金の粉末焼結材で構成した旋回スクロールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この旋回スクロールは、鏡板31およびラップ部32を上述のアルミニウム合金でダイキャスト成形したのちに、このダイキャスト成形品の基材部31b、32aの表面を、同種材料の粉末焼結材をバインダとともにインサート成形することにより被覆し、バインダを除去したのちに焼結する工程を経て製造される。
上記のように構成された旋回スクロールは、軽量であるため、毎分1万回転前後の高速回転においても軸受機構などに対する面圧などのダメージが少ないものとなり、また、基材部31b、32aにシリコンの偏析部が存在しても、鏡板31およびラップ部32の各々の表層部31a、31d、32bがシリコン等を均一に分散した粉末焼結材で形成されていることから、表層部31a、31d、32bの切削仕上げ面も良好なものとなって、表面に疲労破壊の起点となるようなシリコンの脱落部が生じなく、信頼性の高いものとなる。したがって、この旋回スクロール30を搭載したスクロール圧縮機は、高速回転が可能となって高効率化を図ることができるとともに、小型化および軽量化を達成することができる。
特開平3−242486号公報
しかしながら、上記旋回スクロール30は、表層部31a、31d、32bがアルミニウム合金の粉末焼結体で形成されているが、この表層部31a、31d、32bが、上述したようにインサート成形により基材部31b、32aを被覆するように形成されたのちにバインダを除去して焼結する工程を経て構成されることから、この表層部31a、31d、32bの最表面に部分的に薄いアルミニウムリッチ層が形成されており、この薄いアルミニウムリッチ層の存在によって以下のような課題がある。
すなわち、スクロール圧縮機では、過度運転時、特に除霜運転の開始時に液戻りが激しいために、旋回スクロール30の回りにおいて一時的に潤滑油が不足する事態が発生する。また、除霜が進行するに従って吐出圧力が上昇するが、その吐出圧力の上昇によって旋回スクロール30のスラスト面が固定スクロールに強く押し付けられるために、スラスト面で油膜切れが起こり易い。さらに、除霜運転に際しては、短時間で除霜を完了させることを目的として高速運転されるために、摩擦熱によってスラスト面の温度が高くなる。また、上記除霜などの過度運転時では、吸入温度と吐出温度との温度差が拡がることから、旋回スクロール30の中央部の羽根が大きく熱膨張して伸び、この羽根の先端部が固定スクロールと接触して潤滑油が切れ、これに伴う摩擦熱によって摺動温度が高くなって熱膨張が更に促進され、潤滑状態が一層厳しくなる。
上述のように潤滑状態が厳しくなったときには、旋回スクロール30のスラスト面におけるシリコンを覆っている最表面の薄いアルミニウムリッチ層のシリコンに対する密着性が低いことから、このアルミニウムリッチ層が剥離する可能性があり、剥離した場合に焼付きを起こすおそれがある。そのため、上記旋回スクロール30を備えたスクロール圧縮機は十分な信頼性を確保することができない。
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたもので、軽量化と高速回転による高効率化を達成しながらも、潤滑状態が厳しくなる過度運転時においても焼付きが発生するおそれのない高い信頼性を有する圧縮機の摺動部材を提供することを目的とするものである。
上記のような目的を達成するために、本発明の圧縮機の摺動部材は、基材にそれよりも硬い硬質粒子を分散させた軟質材料により形成され、少なくとも摺動部に基材より硬く非凝着性の高い硬質微粒子を高速度で投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施したものである。
このような構成では、軟質材料で構成した摺動部材によって軽量化と高速回転による高効率化とを達成しながらも、摺動部分での潤滑状態が厳しくなったときに、適度に露出された硬質粒子の非凝着性と適度に形成された油溜りとによって焼付きの発生が効果的に防止される。したがって、この摺動部材を備えた圧縮機は、潤滑状態が厳しくなる過度運転時、特に除霜運転時における焼付きの発生が効果的に防止され、大容量で多冷媒のシステムにおいても不具合が発生するおそれのない高い信頼性を有したものとなる。
上記実施例から明らかなように、請求項1に記載の発明は、基材にそれより硬い硬質粒子を分散させた軟質材料より形成され、少なくとも摺動部に基材より硬く非凝着性の高い硬質微粒子を高速度で投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施したものであり、この構成によれば信頼性の高い摺動部材が得られる。
請求項2に記載の発明は、軟質材料は、硬質粒子としてのシリコンを基材としてのアルミニウムに分散させたアルミニウム-シリコン系合金であるものであり、この構成によれば低価格な摺動部材が得られる。
請求項3に記載の発明は、シリコンは共晶シリコンまたは微細化された初晶シリコンであり、平均粒子径は2〜10μmであり、面積率は4.7%以上であるものであり、この構成によれば加工時間が短い摺動部材が得られる。
請求項4に記載の発明は、圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は旋回スクロールであるものであり、この構成によれば、高い信頼性を備えたスクロール圧縮機を安価に製作することができる。
請求項5に記載の発明は、圧縮機をスクロール圧縮機とし、摺動部材を固定スクロールとしたものであり、この構成によれば弁座強度が高いスクロール圧縮機が得られる。
請求項6に記載の発明は、圧縮機をスクロール圧縮機とし、摺動部材をオルダムリングとするものであり、アンバランス量が小さい低振動なスクロール圧縮機が得られる。
請求項7に記載の発明は、圧縮機をスクロール圧縮機とし、摺動部材をフレームとするものであり、この構成によれば部品点数が少ない低圧型スクロール圧縮機が得られる。
請求項8に記載の発明は、CO2を冷媒とし、PAG、エーテル、エステル、PAO、アルキルベンゼンまたは鉱油を潤滑油とするものであり、この構成によれば高圧及び高差圧に対応した信頼性の高い高効率な高圧型スクロール圧縮機を実現でき、地球温暖化防止に貢献できる。
第1の発明の実施の形態及び第9の発明の実施の形態は、基材にそれより硬い硬質粒子を分散させた軟質材料より形成され、少なくとも摺動部に基材より硬く非凝着性の高い硬質微粒子を高速度で投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施したものである。この構成によれば軽量化と高速回転による高効率化とを達成しながらも、焼付きの発生を効果的に防止することができ、大容量で多冷媒のシステムにおいても不具合が発生するおそれのない高い信頼性を有した圧縮機を得ることができる。
第2の発明の実施の形態は、軟質材料として、硬質粒子としてのシリコンを基材としてのアルミニウムに分散させたアルミニウム-シリコン系合金を用いたものであり、低価格な摺動部材が得られる。
第3の発明の実施の形態は、シリコンは共晶シリコンまたは微細化された初晶シリコンであり、平均粒子径は2〜10μmであり、面積率は4.7%以上に設定されているものであり、耐焼き性を確保することができるだけでなく、加工性がよいので加工時間を短縮できる。
第4の発明の実施の形態は、圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は旋回スクロールであり、固定スクロールなどの摺動部材に比較して旋回スクロールの形状が小さいので、軽量化と高速回転による高効率化とを達成しながらも、焼付きの発生を効果的に防止できる高い信頼性を備えたスクロール圧縮機を安価に製作することができる。
第5の発明の実施の形態は、圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は固定スクロールであり、軽量化と高速回転による高効率化とを達成しながらも、焼付きの発生が効果的に防止される効果が得られるのに加えて、リード弁の弁座の強度が向上する効果を得ることができる。
第6の発明の実施の形態は、圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材はオルダムリングであり、軽量化と高速回転による高効率化とを達成しながらも、焼付きの発生が効果的に防止される効果が得られるのに加えて、回転の偏心量が大きいロータリ式圧縮機や直線運動を回転運動に変換するシレプロ式圧縮機に比較して、アンバランス量が小さくなって極めて低振動なスクロール圧縮機となる利点がある。
第7の発明の実施の形態は、圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は軸受を一体に備えたフレームであり、軽量化と高速回転による高効率化とを達成しながらも、焼付きの発生が効果的に防止される効果が得られるのに加えて、特に、旋回スクロールを受けるスラスト軸受をフレームに設置している低圧型スクロール圧縮機では、フレームの一部形状を変更することによってスラスト軸受をフレームに容易に一体形成することが可能となり、部品点数を削減できる利点がある。
第8の発明の実施の形態は、圧縮機はCO2を冷媒とし、PAG、エーテル、エステル、PAO、アルキルベンゼンまたは鉱油を潤滑油とするものであり、塩素を含まない自然冷媒とこれに適合する潤滑油との組み合わせによってオゾン層の破壊や温暖化現象に大きな影響を与えない効果を得ながらも、高圧冷媒であるCO2 冷媒を用いることによって旋回スクロールに非常に大きな圧力がかかり鏡板に極めて高い面圧が発生するが、適度な潤滑性と非凝着性が発揮されることによって焼付きの発生を効果的に防止でき、高圧および高差圧の発生状態においても高い信頼性が得られ、効率の高い高圧型スクロール圧縮機が得られる。
以下、本発明の実施例について図1〜図3を参照しながら説明する。
図1は本発明を旋回スクロール7に適用して構成したスクロール圧縮機を示す一部破断した正面図である。このスクロール圧縮機は、これの外体をなす密閉容器1内に圧縮機構部2とこれの駆動源のモータ部(図示せず)が内装されている。圧縮機構部2は、フレーム3に固定された固定スクロール4と、この固定スクロール4に対向配置された旋回スクロール7と、固定スクロール4と旋回スクロール7との間に設けられたオルダムリング8と、旋回スクロール7をモータ部に連結するクランク軸9とを備えて構成されている。
固定スクロール4は、鏡板4a、羽根4b、底面4cおよび吸入ポート4dを備えて構成されており、吸入ポート4dには吸入管10が接続されている。旋回スクロール7は、これの縦断面図である図2に示すように、鏡板7a、7b、羽根7c、軸受7dおよびキー溝7eを備えて構成されている。この旋回スクロール7の羽根7cと固定スクロール4の羽根4bとは齟齬状に対向配置されて互いに噛み合っているが、旋回スクロール7の羽根7cの高さは固定スクロール4の羽根4bの高さよりも若干低く設定されている。
フレーム3には環状溝11が形成されており、この環状溝11には、フレーム3と旋回スクロール7間をシールするシール部材12が設けられ、このシール部材12における環状溝11に対する内側が高い圧力になるように設定されている。旋回スクロール7は、上記高い圧力によって固定スクロール4に押し付けられており、旋回スクロール7の羽根先端部と固定スクロール4の底面4cとの隙間は潤滑油(図示せず)によってシールされている。
つぎに、上記旋回スクロール7の特徴とする構成について、図3を参照しながら説明する。図3は旋回スクロール7の表層部の断面組織を模式的に示した図である。この旋回スクロール7は、軟質基材であるアルミニウム17に硬質粒子である微細な共晶シリコン18を分散させてなるアルミニウム−シリコン系合金からなる軟質材料19を用いて鋳造することにより形成されている。また、共晶シリコン18は平均粒子径が2〜10μmであり、その面積率が4.7%以上となるように設定してアルミニウム17に分散されている。
さらに、旋回スクロール7における摺動部、つまり鏡板7a、7b、羽根7c、軸受7dおよびキー溝7eには、微細なセラミック粒子が高速度で投射され、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨が施されている。1μm以下の表層部を覆うアルミニウムは微細なセラミック粒子によって破壊され、その後機械研磨によって除去されて、摺動部の表面は共晶シリコン18が露出し、基材であるアルミニウムに微細な油溜り20が形成されている。
つぎに、上記スクロール圧縮機の動作について説明する。モータ部の回転は、クランク軸9を介して旋回スクロール7に伝達されて、オルダムリング8と協働して旋回スクロール7を旋回運動させる。旋回スクロール7の羽根7cと固定スクロール4の羽根4bとは、齟齬状に対向配置されて互いに噛み合っており、旋回スクロール7の旋回運動に伴って吸入管10から吸入ポート4dを介して冷媒を吸入し、この冷媒を圧縮する。この圧縮された冷媒は、吐出ポート4eからリード弁13を押し開いて密閉容器1内に吐出されたのち、吐出管14から密閉容器1の外部に導き出される。この運転時には密閉容器1内が高圧に保持されている。
ところで、スクロール圧縮機における低温時の暖房運転では、着霜が激しくなると、除霜運転に強制的に切り換えられるが、その際に、激しい液戻りが発生して旋回スクロール7の鏡板7aと羽根7cに残留していた潤滑油が洗い流されてしまう。このとき、上記旋回スクロール7では、鏡板7aと羽根7cの表面に露出している共晶シリコンが固定スクロール4の羽根4bと摺動し、この共晶シリコンの非凝着性によって、上記の潤滑油不足に伴う旋回スクロール7の焼付きの発生が極めて効果的に防止される。
また、上記除霜運転によって除霜効果が進むのに伴い吐出圧力が上昇して、この高い吐出圧力がシール部材12の内側に作用するため、旋回スクロール7が固定スクロール4に強く押し付けられる。そのため、旋回スクロール7の鏡板7aと固定スクロール4の鏡板4aおよび羽根4bの先端部との間に高面圧が発生する。一方、密閉容機1の下部に貯留されている潤滑油(図示せず)は圧縮機構部2に供給されるが、除霜運転の液戻りの影響を受けて大きく粘度低下するため、旋回スクロール7と固定スクロール4は非常に厳しい潤滑状態にある。しかしながら、旋回スクロール7の鏡板7aと羽根7cに露出している共晶シリコンの非凝着性に加え、基材であるアルミニウムに形成されている微細な油溜り20に保持された潤滑油によって、旋回スクロール7の焼付きの発生が極めて効果的に防止される。
また、旋回スクロール7の軸受7dやキー溝7eにおいても、粘度低下した潤滑油が供給されて潤滑は厳しくなるが、露出している共晶シリコン18の非凝着性に加え、基材であるアルミニウムに形成されている微細な油溜り20に保持された潤滑油によって、旋回スクロール7の焼付きの発生が極めて効果的に防止される。
したがって、この旋回スクロール7は、軟質材料19の鋳造品とすることによって軽量化および高速回転による高効率化を達成しながらも、焼付きの発生が極めて効果的に防止されるので、高い信頼性が得られる。
特に、この旋回スクロール7では、共晶シリコン18の面積率が4.7%以上になるように設定されているから、以下の理由により、上記焼付きの発生が確実に防止される。すなわち、共晶シリコン18の面積率と焼付き発生との関係を焼付き試験によって調べた結果、共晶シリコン18の面積率が4.6%以下に設定した場合には焼付き試験での試験結果が不良となり、4.7%以上に設定した場合には焼付き試験での試験結果が良となった。このように共晶シリコン18の面積率は焼付きの発生に大きな影響を及ぼすが、上述の焼付き試験を行った結果により、共晶シリコン18の面積率を4.7%以上に設定すれば、耐焼付き性を確実に確保できることが判明した。
上記実施例では、摺動部材として旋回スクロール7を例示して説明したが、この旋回スクロール7に代えて、あるいは旋回スクロール7に加えて、固定スクロール4を、軟質基材であるアルミニウム17に硬質粒子である微細な共晶シリコン18を分散させた軟質材料としてのアルミニウム−シリコン系合金19による鋳造品で構成し、且つ共晶シリコン18を平均粒子径2〜10μmに、その面積率を4.7%以上に設定するとともに、固定スクロール4の摺動部である鏡板4a、羽根4bに加えてリード弁13の弁座に微細なセラミック粒子を高速度で投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施すことにより、上述したと同様の効果が得ることができる。さらに、露出した共晶シリコンによって弁座の強度が向上する効果が得られる。
また、旋回スクロール7に代えて、あるいは旋回スクロール7に加えて、オルダムリング8を、軟質基材であるアルミニウム17に硬質粒子である微細な共晶シリコン18を分散させた軟質材料としてのアルミニウム−シリコン系合金19による鋳造品で構成し、且つ共晶シリコン18を平均粒子径2〜10μmに、その面積率を4.7%以上に設定するとともに、オルダムリング8の摺動部であるキーに微細なセラミック粒子を高速度で投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施すことにより、上述したと同様の効果が得られるのに加えて、回転の偏心量が大きいロータリ式圧縮機や直線運動を回転運動に変換するシレプロ式圧縮機に比較して、アンバランス量が小さくなって極めて低振動なスクロール圧縮機となる利点がある。
さらに、旋回スクロール7に代えて、あるいは旋回スクロール7に加えて、フレーム3を、軟質基材のアルミニウム17に硬質粒子である微細な共晶シリコン18を分散させた軟質材料としてのアルミニウム−シリコン系合金による鋳造品で構成し、且つ共晶シリコン18を平均粒子径2〜10μmに、その面積率を4.7%以上に設定するとともに、摺動部である軸受に微細なセラミック粒子を高速度で投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施すことにより、上述したと同様の効果を得られるのに加えて、特に、旋回スクロール7を受けるスラスト軸受をフレーム3に設置している低圧型スクロール圧縮機においては、フレーム3の一部形状を変更することによってスラスト軸受をフレームに一体形成することが可能となるため、部品点数を削減できる利点がある。
また、CO2 を冷媒とし、且つPAGを潤滑油とするスクロール圧縮機は、塩素を含まない自然冷媒とこれに適合する潤滑油との組み合わせによってオゾン層の破壊や温暖化現象に大きな影響を与えないことから、給湯システムに搭載されている。ところが、CO2 冷媒は高圧冷媒であることから、特に、旋回スクロール7においては非常に大きな圧力がかかって鏡板7aに極めて高い面圧が発生し、潤滑状態が厳しくなるが、露出した共晶シリコン18と微細な油溜り20によって、焼付きの発生が効果的に防止されるから、高圧および高差圧の発生状態においても高い信頼性が得られるだけでなく、効率の高いCO2用高圧型スクロール圧縮機が得られる。なお、CO2 冷媒に適合する潤滑油として、エーテル、エステル、PAO、アルキルベンゼンまたは鉱油を用いる場合にも、上述と同様の効果を得ることができる。
本発明の摺動部材を適用したスクロール圧縮機の正面図 同上の旋回スクロールの縦断面図 同上の旋回スクロールの表層部の断面組織を示す模式図 スクロール圧縮機の旋回スクロールの外観を示す斜視図 従来の旋回スクロールを示す一部の断面図
符号の説明
3 フレーム
4 固定スクロール
7 旋回スクロール
8 オルダムリング
17 アルミニウム(基材)
18 共晶シリコン(硬質粒子)
19 アルミニウム−シリコン系合金(軟質材料)
20 油溜り

Claims (9)

  1. 基材にそれより硬い硬質粒子を分散させた軟質材料より形成され、少なくとも摺動部に基材より硬く非凝着性の高い硬質微粒子を投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施したことを特徴とする圧縮機の摺動部材。
  2. 軟質材料は、硬質粒子としてのシリコンを基材としてのアルミニウムに分散させたアルミニウム-シリコン系合金であることを特徴とする請求項1に記載の圧縮機の摺動部材。
  3. シリコンは共晶シリコンまたは微細化された初晶シリコンであり、平均粒子径は2〜10μmであり、面積率は4.7%以上であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮機の摺動部材。
  4. 圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は旋回スクロールであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  5. 圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は固定スクロールであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  6. 圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材はオルダムリングであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  7. 圧縮機はスクロール圧縮機であり、摺動部材は軸受を一体に備えたフレームであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  8. 圧縮機はCO2を冷媒とし、PAG、エーテル、エステル、PAO、アルキルベンゼンまたは鉱油を潤滑油とするものであることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の圧縮機の摺動部材。
  9. 基材にそれより硬い硬質粒子を分散させた軟質材料より形成された圧縮機の摺動部材であって、少なくとも摺動部に基材より硬く非凝着性の高い硬質微粒子を投射し、その後研削、バレル、バフや流体などによる機械的研磨を施したことを特徴とする圧縮機の摺動部材の製造方法。
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