JP2005206683A - 紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂 - Google Patents
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Abstract
【課題】 紙基材に対する含浸性が良好であり、耐熱性に優れた樹脂含浸紙を得ることができる紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂を提供する。
【解決手段】 フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなるものであることを特徴とする紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂であり、好ましくは、GPC測定による重量平均分子量が、150〜500であり、フェノール類100重量部に対して、芳香族アミン2〜100重量部を用いる。
【選択図】 なし
【解決手段】 フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなるものであることを特徴とする紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂であり、好ましくは、GPC測定による重量平均分子量が、150〜500であり、フェノール類100重量部に対して、芳香族アミン2〜100重量部を用いる。
【選択図】 なし
Description
本発明は、紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂に関するものである。
フェノール樹脂は、優れた機械的特性、電気的特性、耐熱性、及び、接着性などを有するバインダーであり、電気・電子部品、住宅建材、自動車部品など様々な用途で使用されている。
これらの中で、自動車部品に用いられる摩擦材などの用途においては、紙基材に含浸させる形態で用いられる。近年、このような用途においては、より過酷な条件下で使用される際の特性、特に、耐熱性の向上要求が厳しくなっている。しかし、従来のフェノール樹脂の耐熱性では十分でないため、様々な変性フェノール樹脂の研究が盛んに行われている。
これらの中で、自動車部品に用いられる摩擦材などの用途においては、紙基材に含浸させる形態で用いられる。近年、このような用途においては、より過酷な条件下で使用される際の特性、特に、耐熱性の向上要求が厳しくなっている。しかし、従来のフェノール樹脂の耐熱性では十分でないため、様々な変性フェノール樹脂の研究が盛んに行われている。
このような技術の一つとして、芳香族炭化水素で変性したフェノール樹脂を用いることが提案されている(例えば、特許文献1又は2参照。)。これは、フェノール樹脂の熱分解は、フェノール核間のメチレン橋における酸化熱分解によって起こるとされており、例えば、メチレン橋の片側を、フェノール性水酸基を有さない芳香族炭化水素等で変性することにより、耐熱性が改善されるからである。
そして、芳香族炭化水素変性フェノール樹脂の耐熱性は、芳香族炭化水素による変性量に比例して増大するという性質を有している。
しかし、このような芳香族炭化水素変性フェノール樹脂は、樹脂全体としてフェノール性水酸基の含有割合が減少することで、反応性の低下により成形性、硬化性が悪化したり、分子量の増大に伴い含浸性が悪化したりするという欠点が顕在化しやすく、充分な耐熱性を得ることができなかった。
そして、芳香族炭化水素変性フェノール樹脂の耐熱性は、芳香族炭化水素による変性量に比例して増大するという性質を有している。
しかし、このような芳香族炭化水素変性フェノール樹脂は、樹脂全体としてフェノール性水酸基の含有割合が減少することで、反応性の低下により成形性、硬化性が悪化したり、分子量の増大に伴い含浸性が悪化したりするという欠点が顕在化しやすく、充分な耐熱性を得ることができなかった。
本発明は、紙基材に対する含浸性が良好であり、耐熱性に優れた樹脂含浸紙の硬化物を得ることができる、紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂を提供するものである。
このような目的は、下記(1)〜(3)記載の本発明により達成される。
(1)フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなることを特徴とする紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
(2)GPC測定による重量平均分子量が、150〜500である上記(1)に記載の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
(3)上記フェノール類100重量部に対して、上記芳香族アミン2〜100重量部を反応させてなる上記(1)又は(2)に記載の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
(1)フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなることを特徴とする紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
(2)GPC測定による重量平均分子量が、150〜500である上記(1)に記載の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
(3)上記フェノール類100重量部に対して、上記芳香族アミン2〜100重量部を反応させてなる上記(1)又は(2)に記載の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
本発明は、フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなることを特徴とする紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂であり、紙基材に対する
含浸性が良好であり、耐熱性に優れた樹脂含浸紙の硬化物を得ることができるものである。
含浸性が良好であり、耐熱性に優れた樹脂含浸紙の硬化物を得ることができるものである。
以下に、本発明の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂について説明する。
本発明の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂(以下、単に「変性樹脂」ということがある)は、フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなることを特徴とする。
本発明の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂(以下、単に「変性樹脂」ということがある)は、フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなることを特徴とする。
本発明の変性樹脂に用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
また、アルデヒド類としても特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
本発明の変性樹脂に用いられる芳香族アミンとしては特に限定されないが、例えば、フェニレンジアミン、アニリン、アミノナフタレン、ジアミノナフタレン、メシジン、メチルアニリン、メタニル酸、アミノインダン、ビスアニリンフルオレンなどが挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、フェニレンジアミン、アニリンを用いることが好ましい。これにより、分子量を過剰に大きくすることなく、本発明の変性樹脂を効率的に得ることができる。
これらの中でも、フェニレンジアミン、アニリンを用いることが好ましい。これにより、分子量を過剰に大きくすることなく、本発明の変性樹脂を効率的に得ることができる。
本発明の変性樹脂は、上記フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを、塩基性触媒を用いて反応させて得られるものである。
ここで塩基性触媒としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン等の第1級アミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第3級アミン等のアミン系化合物、あるいは炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミン等の塩基性物質が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
ここで塩基性触媒としては特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、カルシウム、マグネシウム、バリウム等のアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物、アンモニア、モノエタノールアミン等の第1級アミン、ジエタノールアミン等の第2級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロウンデセン等の第3級アミン等のアミン系化合物、あるいは炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミン等の塩基性物質が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
上記塩基性触媒の添加量としては特に限定されないが、通常、フェノール類1モルに対し、0.01〜2.5モルの範囲内で用いることができ、好ましくは0.05〜1.25モルである。
塩基性触媒の添加量が上記下限値より少ないと触媒としての作用が十分でないことがあり、一方、上記上限値より多いと、レゾール型フェノール樹脂の分子量が大きくなりやすい。
塩基性触媒の添加量が上記下限値より少ないと触媒としての作用が十分でないことがあり、一方、上記上限値より多いと、レゾール型フェノール樹脂の分子量が大きくなりやすい。
本発明の変性樹脂において、フェノール類と芳香族アミンとの反応割合としては特に限定されないが、フェノール類100重量部に対して、芳香族アミン2〜100重量部とすることが好ましい。さらに好ましくは、フェノール類100重量部に対して、芳香族アミン5〜50重量部である。これにより、変性樹脂の硬化物に高い耐熱性を付与することができる。
芳香族アミンの量が上記下限値未満では、紙基材との密着性が充分でないことがあり、上記上限値を超えると、樹脂の硬化が充分でないことがあるので、いずれの場合も、変性樹脂を紙基材に含浸・硬化させた際に、耐熱性を向上させる効果が低下することがある。
芳香族アミンの量が上記下限値未満では、紙基材との密着性が充分でないことがあり、上記上限値を超えると、樹脂の硬化が充分でないことがあるので、いずれの場合も、変性樹脂を紙基材に含浸・硬化させた際に、耐熱性を向上させる効果が低下することがある。
本発明の変性樹脂において、フェノール類に対するアルデヒド類の反応モル比としては特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、アルデヒド類0.5〜3モルとすることが好ましい。さらに好ましくは、アルデヒド類0.7〜2モルである。
これにより、好適な重量平均分子量を有する変性樹脂を得ることができる。アルデヒド類の反応モル比が上記下限値未満であると、分子量が小さくなり、含浸紙の硬化物の機械的強度が低下することがある。一方、上記上限値を越えると、分子量が大きくなり、含浸紙の硬化物が硬く、脆くなる場合がある。
これにより、好適な重量平均分子量を有する変性樹脂を得ることができる。アルデヒド類の反応モル比が上記下限値未満であると、分子量が小さくなり、含浸紙の硬化物の機械的強度が低下することがある。一方、上記上限値を越えると、分子量が大きくなり、含浸紙の硬化物が硬く、脆くなる場合がある。
本発明の変性樹脂の分子量としては特に限定されないが、GPC測定による重量平均分子量が、150〜500であることが好ましい。さらに好ましくは170〜300である。これにより、紙基材への含浸性を良好なものとすることができる。
変性樹脂の重量平均分子量が上記下限値未満では、含浸紙の硬化物の機械的強度が低下することがある。また、上記上限値を超えると、含浸紙の硬化物が硬く、脆くなることがある。
変性樹脂の重量平均分子量が上記下限値未満では、含浸紙の硬化物の機械的強度が低下することがある。また、上記上限値を超えると、含浸紙の硬化物が硬く、脆くなることがある。
なお、本発明の変性樹脂の分子量は、液体クロマトグラフィー法を用いて測定したものである。ここで液体クロマトグラフィー法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
本発明の変性樹脂の製造方法としては特に限定されないが、例えば、フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを、塩基性触媒の存在下で加熱して反応させることができる。反応条件としては特に限定されないが、例えば、温度50〜120℃、時間0.25〜5時間で行うことができる。
反応後、反応系から水分を蒸留して除去し、必要に応じて有機溶剤を添加することができる。
反応後、反応系から水分を蒸留して除去し、必要に応じて有機溶剤を添加することができる。
なお、本発明の変性樹脂を用いる際の形態としては特に限定されないが、紙含浸用として用いることから、通常は有機溶剤に溶解させて、液状の変性樹脂溶液の形態として用いることが好ましい。
本発明の変性樹脂において、紙基材に対する含浸性が良好であり、かつ、硬化物の耐熱性が優れる理由は、下記のように考えられる。
芳香族アミンのアミノ基は極性が高いことから、紙基材へ含浸性に優れるという特徴を有する。また、紙の繊維との水素結合が強固となるので、熱履歴後の機械的強度低下が少なく、耐熱性に優れる。
これにより、従来の芳香族炭化水素変性フェノール樹脂のような、反応性の低下による成形性、硬化性の悪化、分子量の増大による含浸性の悪化といった欠点が顕在化することがなく、紙基材に対する含浸性が良好であり、耐熱性に優れた樹脂含浸紙の硬化物を得ることができる。
芳香族アミンのアミノ基は極性が高いことから、紙基材へ含浸性に優れるという特徴を有する。また、紙の繊維との水素結合が強固となるので、熱履歴後の機械的強度低下が少なく、耐熱性に優れる。
これにより、従来の芳香族炭化水素変性フェノール樹脂のような、反応性の低下による成形性、硬化性の悪化、分子量の増大による含浸性の悪化といった欠点が顕在化することがなく、紙基材に対する含浸性が良好であり、耐熱性に優れた樹脂含浸紙の硬化物を得ることができる。
以下、本発明を実施例により説明する。しかし本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。また、実施例及び比較例に記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
実施例1(変性樹脂の製造1)
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、m−フェニレンジアミン200部、37%ホルマリン1200部、及び、水酸化ナトリウム20部を添加し、100℃で60分間還流反応を行った。次いで、減圧脱水を行ない、系内の温度が60℃に昇温したところでメタノール500部を添加、反応装置より取り出して常温で液状の変性樹脂溶液2100部を得た。
得られた変性樹脂の重量平均分子量は290であった。
撹拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部、m−フェニレンジアミン200部、37%ホルマリン1200部、及び、水酸化ナトリウム20部を添加し、100℃で60分間還流反応を行った。次いで、減圧脱水を行ない、系内の温度が60℃に昇温したところでメタノール500部を添加、反応装置より取り出して常温で液状の変性樹脂溶液2100部を得た。
得られた変性樹脂の重量平均分子量は290であった。
実施例2(変性樹脂の製造2)
m−フェニレンジアミン200部をアニリン500部に変えた以外は、実施例1と同様にして常温で液状の変性樹脂溶液2400部を得た。
得られた変性樹脂の重量平均分子量は230であった。
m−フェニレンジアミン200部をアニリン500部に変えた以外は、実施例1と同様にして常温で液状の変性樹脂溶液2400部を得た。
得られた変性樹脂の重量平均分子量は230であった。
実施例3(変性樹脂の製造3)
37%ホルマリン1200部を860部に変えた以外は、実施例1と同様にして常温で液状の変性樹脂溶液2000部を得た。
得られた変性樹脂の重量平均分子量は180であった。
37%ホルマリン1200部を860部に変えた以外は、実施例1と同様にして常温で液状の変性樹脂溶液2000部を得た。
得られた変性樹脂の重量平均分子量は180であった。
比較例1(レゾール型フェノール樹脂の製造)
実施例1と同様の反応装置にフェノール1000部、37%ホルマリン1200部及び水酸化ナトリウム20部を仕込み後、徐々に昇温して温度が100℃に達してから40分間還流反応を行った。次いで、減圧脱水を行ないながら、系内の温度が60℃に昇温したところでメタノール500部を添加し、反応装置より取り出して常温で液状のレゾール型フェノール樹脂溶液1900部を得た。
実施例1と同様の反応装置にフェノール1000部、37%ホルマリン1200部及び水酸化ナトリウム20部を仕込み後、徐々に昇温して温度が100℃に達してから40分間還流反応を行った。次いで、減圧脱水を行ないながら、系内の温度が60℃に昇温したところでメタノール500部を添加し、反応装置より取り出して常温で液状のレゾール型フェノール樹脂溶液1900部を得た。
比較例2(芳香族炭化水素変性レゾール型フェノール樹脂の製造)
実施例1と同様の反応装置にフェノール1000部、ニカノールH(フドー社製、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂)を400部、パラトルエンスルホン酸1部を仕込み後、100℃に昇温し90分間還流反応を行った。80℃に冷却後、水酸化ナトリウム10部、37%ホルマリン1000部を仕込み後、徐々に昇温して温度が100℃に達してから60分間還流反応を行った。次いで、減圧脱水を行ないながら、系内の温度が60℃に昇温
したところでメタノール1300部を添加し、反応装置より取り出して常温で液状の芳香族炭化水素変性レゾール型フェノール樹脂溶液2900部を得た。
実施例1と同様の反応装置にフェノール1000部、ニカノールH(フドー社製、キシレン・ホルムアルデヒド樹脂)を400部、パラトルエンスルホン酸1部を仕込み後、100℃に昇温し90分間還流反応を行った。80℃に冷却後、水酸化ナトリウム10部、37%ホルマリン1000部を仕込み後、徐々に昇温して温度が100℃に達してから60分間還流反応を行った。次いで、減圧脱水を行ないながら、系内の温度が60℃に昇温
したところでメタノール1300部を添加し、反応装置より取り出して常温で液状の芳香族炭化水素変性レゾール型フェノール樹脂溶液2900部を得た。
実施例で得られた変性樹脂、及び、比較例で得られたレゾール型フェノール樹脂及び芳香族炭化水素変性レゾール型フェノール樹脂を用いた、樹脂含浸紙の特性測定結果を表1に示す。
1.変性樹脂の評価
(1)重量平均分子量
液体クロマトグラフィー法を用いて測定した。液体クロマトグラフィーは、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
(1)重量平均分子量
液体クロマトグラフィー法を用いて測定した。液体クロマトグラフィーは、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
装置は、
1)本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
2)分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
2.含浸紙の評価
2.1 含浸紙の試験片の作製方法
実施例で得られた変性樹脂溶液、及び、比較例で得られたレゾール型フェノール樹脂溶液の濃度をメタノールで30%に調整し、これに濾紙を30秒間浸した後、常温で30分間風乾、80℃で30分間乾燥後、200℃で30分間焼成し、それぞれの試験片を作製した。
2.1 含浸紙の試験片の作製方法
実施例で得られた変性樹脂溶液、及び、比較例で得られたレゾール型フェノール樹脂溶液の濃度をメタノールで30%に調整し、これに濾紙を30秒間浸した後、常温で30分間風乾、80℃で30分間乾燥後、200℃で30分間焼成し、それぞれの試験片を作製した。
2.2 含浸紙の特性評価方法
(1)含浸性の評価
試験片の表面部0.1mm(厚み)、断面中心部0.1mm(厚み)を削り、それぞれ粉末試料を得た。これらを熱天秤により測定し、減量率の差により含浸性を評価した。
測定条件は次の通りである。
空気流量:200ml/min
昇温速度:10℃/min
測定範囲:30℃〜600℃
試料重量:10mg
(2)常態曲げ強度、及び、200℃4時間処理後の曲げ強度
JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠して測定した。
(1)含浸性の評価
試験片の表面部0.1mm(厚み)、断面中心部0.1mm(厚み)を削り、それぞれ粉末試料を得た。これらを熱天秤により測定し、減量率の差により含浸性を評価した。
測定条件は次の通りである。
空気流量:200ml/min
昇温速度:10℃/min
測定範囲:30℃〜600℃
試料重量:10mg
(2)常態曲げ強度、及び、200℃4時間処理後の曲げ強度
JIS P 8113「紙及び板紙−引張特性の試験方法」に準拠して測定した。
実施例はいずれも、フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させて得られた本発明の変性樹脂であり、比較例と比べて、含浸紙の表面部と中心部との熱天秤の減量率の差が小さく、フェノール樹脂が含浸紙内部まで均一に含浸されていた。
また、常温での引張強度、及び200℃4時間の加熱処理後の引張強度が高く、耐熱性に優れたものであった。
また、常温での引張強度、及び200℃4時間の加熱処理後の引張強度が高く、耐熱性に優れたものであった。
本発明の紙含浸用芳香族アミン変性樹脂は、紙基材に対する含浸性が良好で、耐熱性にも優れたものである。本発明の紙含浸用芳香族アミン変性樹脂は、例えば、積層品、有機繊維粘結剤、研磨布紙用粘結剤、摩擦材用粘結剤、無機繊維粘結剤、電子電気部品被覆剤及び摺動部材粘結剤などに好適に用いられるものである。
Claims (3)
- フェノール類、アルデヒド類、及び、芳香族アミンを反応させてなることを特徴とする紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
- GPC測定による重量平均分子量が、150〜500である請求項1に記載の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
- 前記フェノール類100重量部に対して、前記芳香族アミン2〜100重量部を反応させてなる請求項1又は2に記載の紙含浸用芳香族アミン変性レゾール型フェノール樹脂。
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KR101810725B1 (ko) | 2011-01-14 | 2017-12-19 | 스미또모 베이크라이트 가부시키가이샤 | 액상 레졸형 페놀 수지 |
CN117164787A (zh) * | 2023-11-02 | 2023-12-05 | 北京玻钢院复合材料有限公司 | 一种用于芳纶纸蜂窝浸渍的改性酚醛树脂及其制备方法 |
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2004
- 2004-01-22 JP JP2004014081A patent/JP2005206683A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101810725B1 (ko) | 2011-01-14 | 2017-12-19 | 스미또모 베이크라이트 가부시키가이샤 | 액상 레졸형 페놀 수지 |
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CN117164787B (zh) * | 2023-11-02 | 2024-03-08 | 北京玻钢院复合材料有限公司 | 一种用于芳纶纸蜂窝浸渍的改性酚醛树脂及其制备方法 |
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