JP2005203621A - プリント配線板用金属複合体シート、それを用いたプリント配線板 - Google Patents

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Abstract

【課題】 優れた高周波特性と導体回路の機械的特性を同時に備えるプリント配線板を製造するときに用いて好適なプリント配線板用金属複合体シートを提供する。
【解決手段】 金属の芯材シート1と、芯材シートの片面または両面に形成され、かつ芯材シートの導電率以上の導電率を有する金属材料から成るめっき層2とから成り、めっき層2の少なくとも一方の表面に金属粒子3が付着されていることを好適とするプリント配線板用金属複合体シート。
【選択図】 図1

Description

本発明はプリント配線板用金属複合体シートとそれを用いたプリント配線板に関し、更に詳しくは、高周波信号、とりわけ1GHz以上の高周波信号を伝送するプリント配線板の製造に用いて好適な金属複合体シートに関する。
携帯電話の急速な普及やパソコンを中心にしたネットワークシステムの発展は、短時間で大容量の情報交換を必要とする。そして、そのことに伴って、伝送信号の高速化や搬送波の高周波数化が進んでいる。
したがって、これらシステムを構成する各種の電子機器に組み込まれるプリント配線板の導体回路には高周波信号が伝送されることになる。
しかしながら、導体回路に高周波信号が流れると、その周波数が高くなればなるほど、導体の表層部に電流分布が集中して、電流密度は導体の表面から深くなればなるほど小さくなるという表皮効果が起こる。そして、表皮抵抗は増大し、導体を伝送する信号の伝送損失が大きくなる。
なお、電流密度が表面の値の1/e(eは自然対数)となるまでの深さをスキンデプス(skin depth)と呼んでおり、このスキンデプスは周波数に依存し、信号が高周波数化すればするほど小さくなる。
例えば導体が純Cuで構成されている場合、信号の周波数が100MHzであるとスキンデプスは6.61μm、周波数が1GHzであると2.06μm、周波数が10GHzになると0.66μmと試算されている。
そして、信号の高周波数化が進み、そのときのスキンデプスが導体表面の表面粗度よりも小さくなった場合には、表皮抵抗は極めて大きくなり、しかも信号は導体表面の凹凸部(粗面)に沿って流れることになる。そのため、信号の伝送損失は非常に大きくなるだけではなく、伝送距離も長くなり、伝送時間も長くなるという問題が発生する。
このような問題に対処するために、導体表面の凹凸をなだらかにして、表面長さ率を150以下にした銅箔が提案されている(特許文献1を参照)。
ところで、高周波信号の伝送に対応するプリント配線板は、通常のプリント配線板の場合と同じように、次のようにして製造されている。まず、樹脂材料から成る絶縁基板の表面に所定厚みの銅箔を熱圧プレスして銅張り積層板を製造する。そして、その銅箔に対し、フォトリソグラフィーとエッチング処理を行って所定パターンの導体回路を形成し、その後、半導体チップなどを実装して目的のプリント配線板が製造される。
その場合、多層プリント配線板の製造時や、半導体チップなどを実装するときに、プリント配線板は多数回の熱サイクルを受ける。そして、熱サイクルを受けるたびに、銅箔と絶縁基板の間に熱応力が発生して銅箔と絶縁基板の間が剥離しやすい状態になる。
このような問題を解決する方法の1つは、絶縁基板と銅箔との密着性を高めて、形成された導体回路が絶縁基板から剥離しないようにすることである。
銅箔と絶縁基板との密着性を高める方法に関しては、従来から様々な方法が提案されているが、その1つの方法として、銅箔の表面を粗化して全体の表面積を大きくし、その粗化面を絶縁基板に喰い込ませてアンカー効果を発揮させる方法がある。その場合、銅箔の粗化面の粗度が大きければ大きいほどアンカー効果は有効に発揮される。しかしながら、導体回路の高周波信号の伝送という問題との関係では、逆に、高周波信号の伝送損失が大きくなるという不都合が生ずる。
絶縁基板との間で導体回路の密着性を確保するという点に関しては、次のような銅箔が提案されている。
まず、銅箔として電解銅箔を用い、その表面にコブ付け処理を行って銅電着物を形成することにより、表面粗度を1.5〜2.5μmにした銅箔である(特許文献2を参照)。
また、例えば圧延銅箔の表面に、微細な結晶粒の集合組織から成るCuめっき層を形成し、更にそのCuめっき層の表面に、例えばCu粒子を電解めっき法で付着させた複合体シートも提案されている(特許文献3を参照)。
これら特許文献2,3で開示されている銅箔は、いずれも、その表面粗度が小さい。しかしながら、銅箔の全面には微細な凹凸が存在しているので全体の表面積は大きくなり、そのことにより絶縁基板との密着性が高くなるという効果を発揮する。
また、これらの銅箔は、表面粗度が小さいので、高周波信号の伝送損失の低減効果も期待することができる。
なお、高周波信号の伝送に対応したプリント配線板の製造において、絶縁基板と導体回路用の金属箔シートを熱プレスして両者を密着させる際に、用いる金属箔シートの種類によっては不都合な問題が生ずることもある。
例えば、金属箔シートとして純Cu箔を用いた場合、熱プレスは通常180℃程度の温度で行われるので、純Cu箔は完全に軟化してしまう。そのため、その後に行う切削や孔あけなどの機械加工時に銅箔がダレてしまい、高精度の加工が困難になる。
このような問題に対しては、軟化温度が高く、また引張強さも高い他の材料(例えばCu合金など)を金属箔シートとして用いれば、上記した問題の発生を抑制することができる。しかしながら、そのような材料は一般に導電率が純Cuに比べて低く、形成された導体回路の抵抗は高くなり、伝送損失が大きくなってしまうので、高周波用の箔材料としては不適切であった。
特開平5−55746号公報 特許第3155920号公報 特開2002−241989号公報
上記したように、高周波信号が伝送されたときでも、信号の伝送損失は最小であり、また遅延も最小となるプリント配線板を製造するためには、表皮抵抗が小さく、しかもそれ自体の機械的強度が高く、また高い耐熱性を備えている金属箔を、導体回路用の金属箔として使用することが必要である。このような材料の提供−これが本発明における第1の解決課題である。
また、多層プリント配線板を製造するときや、各種半導体チップを高密度で実装する場合には、金属箔(その導体回路)と絶縁基材は多数回の熱サイクルを受け、その熱サイクルごとに金属箔と絶縁基材との間で強い引張り応力が発生して金属箔が剥離しやすい状態になる。そのため、用いる導体回路用の金属箔としては、絶縁基板との密着性に優れていることが必要になる。そのような材料の提供−これが本発明における第2の解決課題である。
更に本発明においては、次のことも解決課題として設定される。
例えばハードディスク用サスペンションの場合、そこで使用されるプリント配線板は、頻繁に屈曲され、ばね性に富むことが好適であると考えられる。
その場合のプリント配線板はフレキ基板になるが、そのフレキ基板の製造に際しては、絶縁基板として従来のフレキ基板の場合のように例えばポリイミドを用い、導体回路用の金属箔としては圧延銅合金箔を用いることが考えられる。その場合、ポリイミドはその前駆体であるポリアミック酸を圧延銅合金箔上に塗工し、400℃以下の温度で熱プレスすることによって得られる。なお、その場合でも、前記した第1,第2の課題は解決されていることが必要である。
本発明は、これらの問題、とりわけ第1,第2の解決課題を考慮して開発された金属複合体シートであって、伝送信号の周波数が1GHz以上の高周波になっても表皮抵抗の増大は抑制されるので、信号の伝送損失の低減を実現することができ、更に、絶縁基板との引き剥がし強さも大きくなるように設計されているプリント配線板用金属複合体シートの提供を目的とする。
また、本発明においては、上記した金属複合体シートを用いて製造されているので、高周波特性が優れているプリント配線板の提供を目的とする。
本発明者は、上記した目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、前記した第1の解決課題に関しては、伝送信号が高周波数化すると、伝送信号は導体のスキンデプスの部分を集中して流れ、導体の芯部にはほとんど流れないので、スキンデプスに相当する部分を導電率が高い状態にしておけばよいという設計思想で対応した。
そのことは、同時に、導体の芯部に例えばCu合金のように導電率は低いが耐熱性や機械的強度の高い材料を使用することが可能になるものと考えられる。
第2の解決課題に関しては、前記した特許文献3の技術思想で対応した。その結果、電解銅箔に比べて高屈曲性であるが、他方では粗化処理としての金属粒子の付着時に、当該金属粒子を均一に付着することが困難であった圧延銅箔や、絶縁基板との熱プレスを反復しても機械的特性は変化しない圧延銅合金箔などを用いても、絶縁基板との間で良好な密着性を確保することが可能となった。
このようにして開発された本発明のプリント配線板用金属複合体シートは、金属の芯材シートと、前記芯材シートの片面または両面に形成され、かつ前記芯材シートの導電率以上の導電率を有する金属材料から成るめっき層とを備えていることを特徴とする。更に、前記芯材シートまたは/および前記めっき層の表面には金属粒子が付着されていることを好適とする。
具体的には、前記芯材シートの導電率をa%IACS、前記めっき層の導電率をb%IACSとしたとき、b−aが2%IACS以上であり、前記めっき層は前記金属材料の結晶粒の集合組織から成り、かつ、前記金属粒子はその平均粒子径が前記結晶粒の平均粒径よりも小さく、前記芯材シートが圧延銅箔またはCu合金からなり、また、前記めっき層が純Cuまたは純Agから成り、前記金属粒子がCu粒子またはAg粒子から成ることを好適とする。
また、本発明においては、絶縁基板の片面または両面に、上記した金属複合体シートを加工して成る回路パターンが形成されていることを特徴とする単層または多層プリント配線板が提供される。
本発明の金属複合体シートは、それを用いて導体回路を形成したときに、少なくとも上・下の表層部は高い導電率のめっき層で構成されているので、当該導体回路に高周波信号を入力したときの表皮抵抗の増大は低減して伝送損失の増加は抑制される。
また、めっき層の表面の全面に微細な金属粒子が均一に付着させることにより、全体の表面積は大きくなり、絶縁基板との間で優れた密着性を確保することができる。そのため、導体回路の形成時に当該導体回路をファインパターン化することができる。
更には、本発明の金属複合体シートの場合、形成される導体回路の芯部になる芯材シートとして耐熱性や例えばばね性などの機械的特性に優れた材料のシートを用いることにより、上記した高周波特性の向上に加えて、例えばばね性、耐熱性などが向上したシートにすることができる。
まず、本発明の金属複合体シートの1例Aの層構造を図1に示す。
この金属複合体シートAでは、金属の芯材シート1の両面に、必ず、後述するめっき層2が形成されている。そして、この両方のめっき層2の表面には、いずれも、金属粒子3が付着されている。
なお、この金属複合体シートを例えばICや半導体チップを実装しないプリント配線板に使用する場合、金属複合体シートと絶縁基材との間では必ずしも強い密着性は要求されないので、図2で示した例Bのように、めっき層2の表面に金属粒子を付着しないでもよい。
また、本発明の金属複合体シートとしては、図3で示した例Cのように、めっき層2を芯材シート1の片面のみに形成したものであってもよい。
図1の金属複合体シートAの場合は、両方のめっき層2の表面に金属粒子3を付着させた例であるが、この金属粒子3は一方のめっき層の表面にのみ付着され、他方のめっき層には付着されていなくてもよい。前者の例Aの場合は、例えば多層プリント配線板の製造に用いることができ、後者の例の場合は、単層のプリント配線板の製造に用いることができる。
なお、金属複合体シートが図3の例Cである場合、金属粒子は、めっき層が形成されていない芯材シートの片面のみに付着されていてもよい。また、めっき層2の表面のみに形成されていてもよく、芯材シートの片面とめっき層の表面の両面に形成されていてもよい。
この金属複合体シートAは、通常、金属粒子3が付着されている方の面を絶縁基板に熱プレスし、ついでフォトリソグラフィーとエッチング処理を施して実使用に供される。
この金属複合体シートAは、前記した第1の解決課題との関係で、めっき層2の導電率が芯材シート1の導電率より大きい値になっている。
このような構成をとる理由は以下のとおりである。
今、この金属複合体シートAを用いた導体回路が形成されているプリント配線板の当該導体回路に高周波信号を入力した場合の導体の断面を想定する。導体では表皮効果が発現し、導体の表層部には高周波信号が集中して流れ、芯部にはほとんど流れない。
そして、この導体の少なくとも上・下に位置する表層部は、芯材シートの導電率よりも高い導電率のめっき層になっているので、このめっき層が形成されていない導体、すなわち、芯材シートのみから成る導体の場合に比べて表皮抵抗は低減する。したがって、導体損に基づく高周波信号の伝送損失は低減する。
このようなことから、めっき層2を構成する材料はできるだけ高い導電率の材料であることが好ましい。具体的には、めっき層2の導電率(%IACS)が芯材シートの導電率(%IACS)よりも2%IACS以上大きい材料であることが好ましい。
このような材料としては、芯材シートがCu合金であれば、純Cu、純Agを好適例としてあげることができる。
なお、信号の周波数によって導体におけるスキンデプスの大小が決まってくるので、上記した効果を発揮させるためには、高周波信号の周波数に応じてめっき層2の厚みを調整することが必要になる。具体的には、ある使用周波数に対応するスキンデプスよりもめっき層2の厚みを厚くしておけばよい。
この金属複合体シートAにおいては、高周波信号が高い導電率のめっき層2を集中して流れて芯材シート1にはほとんど流れないので、当該芯材シート1の導電性の良悪に関する制約は取り払われることになる。
したがって、この金属複合体シートAの場合、高周波信号の高低によって状況は変化するが、例えば純Cuより導電率は低いが、耐熱性や機械的強度の高い材料でも芯材シート1に使用することができる。
例えば、Ni,Cr,Sn,Ag,Zr,Zn,Be,Co,Ti,Mg,Al,Mg,Si,P,Mn,Bなどを含むCu合金を使用することができる。また、ステンレス鋼や42−アロイのようなCu合金以外の材料を使用することもできる。
なお、芯材シート1として、電解銅箔や圧延銅箔を使用してもよいことはいうまでもないが、この場合、めっき層2にはAg(106%IACS)のようなCuよりも高導電率の材料を使用することが必要になる。
めっき層2の表面に付着されている金属粒子3は、この金属複合体シートAを絶縁基板に熱プレスしたときに、両者の密着性を高めるために設けられる。その場合、金属粒子3はめっき層の全面を均一に覆う状態で付着されていることが好ましい。全体の表面積が大きくなり、絶縁基板との密着性が高まるからである。
そのためには、めっき層2における結晶粒をある程度微細化することが好ましい。その理由を以下に説明する。
一般に、めっき層は、ある粒径の結晶粒が集合して成る集合組織として形成されているが、そのめっき層の表面に金属(例えばCu)を析出させるために電解めっきを行うと、その金属粒子はめっき層の結晶粒の粒界に選択的に析出し、そこにツリー状に付着するという挙動を示す。
したがって、めっき層の結晶粒の粒径が大きい場合には、析出した金属粒子はめっき層の大きな結晶粒の粒界近傍に集中して分布することになり、めっき層の全面を均一に覆う状態で付着されることはない。
したがって、金属粒子でめっき層の全面を均一に覆うためには、めっき層の結晶粒を微細化することにより結晶粒界の数を多くすれば、その結晶粒界に選択的に析出する金属粒子の分布密度も高くなり、その結果として、金属粒子はめっき層の全面に均一に付着した状態になるからである。
例えば、芯材シートとして例えばCu−0.15質量%Snのような圧延銅合金箔を使用し、その表面に純Cuのめっき層を通常の平滑めっきで形成し、更にその表面に純Cu粒子を電解めっきで付着させる場合を考える。
この圧延銅合金箔は、粒径が数μm以上の結晶粒が集合して成る集合組織になっているが、その圧延銅合金箔に平滑めっきを行うと、めっき銅は圧延銅合金箔の結晶粒の粒界から選択的に析出しはじめてそれが平面的に成長していき、圧延銅合金箔の表面を覆って1層を形成したのち、再び粒界位置から析出−成長を反復するという状態で2層目の銅めっき層が形成されていく。したがって、1層目、2層目の銅めっき層におけるめっき粒子の粒界は、芯材シートである圧延銅合金箔の結晶粒の粒界と類似した箇所に位置することになる。
したがって、形成された銅めっき層もまた、粒径は圧延銅合金箔の結晶粒と略等しい粒径の結晶粒が集合して成る集合組織になっている。
そして、この銅めっき層の上に純Cu粒子を付着せしめるために電解めっきを行うと、純Cu粒子もまた銅めっき層の結晶粒の粒界に選択的に析出し、そこにツリー状に付着する傾向を示す。すなわち、純Cu粒子は銅めっき層の全面に均一に付着することなく、粒径が数μm以上の結晶粒の粒界近傍に集中して分布することになる。しかし、このように製造された複合体シートにおける純Cu粒子のこのような分布状態は絶縁基板との密着性を高める効果を充分には発揮しない。
したがって、本発明の金属複合体シートAの場合、めっき層2の形成時には、その結晶粒の粒径を微細化する。具体的には、平均粒径で3μm以下とする。また、めっき層2の厚みは5μm以下に設定することが好ましい。
結晶粒の平均粒径が3μmより大きい場合は、金属粒子を電解めっきする際に、このめっき層2の全面に金属粒子を均一に付着させることが困難になり、その結果、絶縁基板との間で充分な密着性を確保することが困難になるからである。
また、めっき層2の厚みを5μmより厚くすると、製造した金属複合体シートAにカールが生じるなどの問題が生じてくるからである。
このようなめっき層2、とりわけめっき層2の結晶粒の大きさは、用いるめっき浴の浴組成、電流密度、浴温、反応種の物質供給速度などのめっき条件を適宜に選定することにより調整することができる。とりわけ、めっき浴に例えば市販の微細結晶化付与剤を含有せしめることが有効である。
なお、本発明でいう平均粒径は次のように定義される。例えばめっき層2の結晶粒の場合、まず結晶粒が形成されている表面の写真を透過型電子顕微鏡で撮影する。そして、その写真における結晶粒の面積を10点以上実測し、その結晶粒を実測面積を有する真円にしたときの直径を計算し、その計算値を平均粒径とする。また、後述する金属粒子の平均粒子径は、走査型電子顕微鏡で測定したときの10点以上の実測値の平均値である。
このめっき層2の上に付着せしめる金属粒子3は、電解めっき法でめっき層2の上に析出せしめて付着できる材料であれば何であってもよいが、前記したように、この金属粒子もまた金属複合体シートの表層部に存在して表皮効果を受ける対象であるため、非磁性で高い導電率を有する材料から成ることが好ましい。具体的には、純Cu粒子であることが好ましい。
そして、金属粒子3の大きさは、前記しためっき層2の結晶粒の平均粒径より小さい平均粒子径、具体的には平均粒子径が2.5μm以下であることが好ましい。平均粒子径が2.5μmより大きい場合には、めっき層2に付着せしめても複合体シートの表面積の拡大効果が小さく、そのため、絶縁基板との密着性も充分向上しないだけではなく、例えば回路パターンをエッチングする際にこの金属粒子が絶縁基板の方に残りやすく、ファインパターンの導体回路の形成が困難になるからである。
なお、製品化に当たっては、市販の圧延銅箔や電解銅箔に対して実施されている防錆処理や変色防止処理をこの金属複合体シートに適用することができる。具体的には、ベンゾトリアゾール処理,Cr処理,Zn処理,Ni処理,シランカップリング処理などを適用することができる。
実施例1〜8,比較例1〜8
いずれも、縦540mm,横540mm,厚み31μmの寸法形状を有する下記芯材シートを用意した。
A:圧延銅箔(タフピッチ銅、Cu:100質量%,100%IACS)、B:圧延銅合金箔(Cu−0.15質量%Sn,90%IACS)、C:圧延銅合金箔(Cu−10質量%Zn,50%IACS)、D:42−アロイ(Fe−29質量%Ni−17質量%Co,15%IACS)
これらの芯材シートを5%硫酸に1分間浸漬して表面の酸化皮膜を除去したのち充分に水洗した。
これら4種類の芯材シートの両面に、表1で示した条件で電解めっきを行い、片面当たり厚み2μm(シート全体の厚みは35μm)のめっき層を形成した。すなわち、芯材シートAにはAgめっき層(Agの導電率は106%IACS)を形成し、芯材シートB,C,DにはいずれもCuめっき層(導電率は100%IACS)を形成した。
Cuめっき層の形成は、めっき浴(1):硫酸銅(Cu金属として)28g/dm3、硫酸180g/dm3、トップルチナH−300(奥野製薬(株)製の微細結晶化付与剤)1vol%、濃塩酸0.014vol%を用い、対極にはステンレス鋼板を用いて行った。
またAgめっき層の形成に際しては、まず、シアン化銀カリウム6g/dm3、シアン化ナトリウム70g/dm3の混合液を用い、対極としてステンレス鋼板を用い、液温25℃、電流密度2A/dm2で30秒間のAgストライクめっきを芯材シートAに行って厚み約0.6μmのAgめっき層を形成し、芯材シートAとめっき浴との密着性を高めた。
ついで、めっき浴(2):シアン化銀(Ag金属として)30g/dm3、遊離シアン化ナトリウム40g/dm3、炭酸カリウム60g/dm3を用い、対極としてステンレス鋼板を用い、表1で示した条件でAgめっき層を形成した。
各めっき層の表面粗度(Rz)と結晶粒の平均粒径を測定した。
これらの金属複合体シート(金属粒子は付着していない)を、MCL−LX67(日立化成(株)製のプリプレグ基板)の片面に各金属複合体シートを重ね合わせたのち全体を鉄板で挟み、徐々に昇温、昇圧していき、温度180℃、圧力5MPaの熱プレス状態で60分間保持したのち、徐々に冷却、減圧して銅張り積層板を製造した。
得られた銅張り積層板から幅10mmの試験片を切り出し、その引き剥がし強さ(kN/m)をピール試験器で測定した。測定温度は25℃である。
また、各金属複合体シートを温度180℃で加熱したのち室温まで冷却し、その状態で引張強さ(N/mm2)を測定した。
更に、各金属複合体シート(厚み35μm)を幅120μmの短冊状に切り出して試料とし、それを図4で示したように、低誘電率のガラス繊維−エポキシ樹脂から成る2枚のプリプレグ材で挟み込み、更に各プリプレグ材の表面に厚み35μmの銅箔を配置し、全体を熱プレスして、絶縁層(厚み280μm)の厚み中心位置に上記した試料が埋め込まれているストリップラインを製造した。ライン長は1mとした。このストリップラインのインピーダンスは50Ωになっている。
最外層の銅箔をアースにした状態で試料に5.0GHzの高周波信号を伝送し、そのときの伝送損失を測定した。
以上の結果を、実施例1〜4として表1に示した。
一方、実施例1〜4の金属複合体シートの各めっき層の表面に、下記の条件で電解めっきを行って純Cu粒子を付着させた。
めっき浴:硫酸銅0.3mol/dm3、硫酸0.3mol/dm3、電流密度10A/dm2、通電時間10秒、浴温25℃。
純Cu粒子の付着状態を目視観察し、またその平均粒子径を測定した。
これらの金属複合体シート(金属粒子が付着している)についても、実施例1〜4の場合と同様にして、引張強さ,ピール強度,伝送損失を測定した。
以上の結果を実施例5〜8として表2に示した。
比較のために、芯材シートA,B,C,Dにめっき層を形成せず、その厚みを35μmとしたことを除いては、実施例1〜8と同様にして銅張り積層板を製造し、そのときの引張強さ,ピール強度,伝送損失を測定した。
その結果を比較例1〜4として表3に示した。
また、芯材シートA,B,C,D(ただし、厚みはいずれも35μm)の表面に、実施例5〜8と同様にして銅張り積層板を製造し、そのときの引張強さ,ピール強度,伝送損失を測定した。
その結果を比較例5〜8として表4に示した。
Figure 2005203621
Figure 2005203621
Figure 2005203621
Figure 2005203621
表1〜4から次のことが明らかである。
(1)実施例1と比較例1、実施例2と比較例2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4をそれぞれ対比して明らかなように、各比較例(芯材シート)の表面に導電率が高いめっき層が形成されている各実施例は、5GHzの高周波信号の伝送損失が低減している。
このことから、導電率が高いめっき層の形成は伝送損失の低減にとって有用であることがわかる。
(2)また、表1と表2の結果、表3と表4の結果をそれぞれ対比して明らかなように、最外層に純Cu粒子を付着させると、製造した銅張り積層板における金属複合体シートと絶縁基板との間のピール強度は大幅に高くなっている。しかし他方では、高周波信号の伝送損失も大きくなっている。
このようなことから、本発明の金属複合体シートは、使用目的との関係で純Cu粒子の付着処理を行うか否かを判断すべきである。
本発明の金属複合体シートを導体回路用の箔として用いることにより、1GHz以上の高周波信号が伝送されても従来に比べて伝送損失が低減するプリント配線板を製造することができる。
本発明の金属複合体シートの1例Aを示す断面図である。 本発明の金属複合体シートの1例Bを示す断面図である。 本発明の金属複合体シートの1例Cを示す断面図である。 金属複合体シートの伝送損失を測定するときのストリップラインを示す部分斜視図である。
符号の説明
1 芯材シート
2 めっき層
3 金属粒子

Claims (10)

  1. 金属の芯材シートと、前記芯材シートの片面または両面に形成され、かつ前記芯材シートの導電率以上の導電率を有する金属材料から成るめっき層とを備えていることを特徴とするプリント配線板用金属複合体シート。
  2. 前記めっき層の表面、または/および、前記芯材シートの表面のうち、前記めっき層が形成されていない方の前記芯材シートの表面には、金属粒子が付着されている請求項1のプリント配線板用金属複合体シート。
  3. 前記芯材シートの導電率をa%IACS、前記めっき層の導電率をb%IACSとしたとき、b−aが2%IACS以上である請求項1または2のプリント配線板用金属複合体シート。
  4. 前記めっき層は前記金属材料の結晶粒の集合組織から成り、かつ、前記金属粒子はその平均粒子径が前記結晶粒の平均粒径よりも小さい請求項1〜3のいずれかのプリント配線板用金属複合体シート。
  5. 前記芯材シートが圧延銅箔である請求項1〜4のいずれかのプリント配線板用金属複合体シート。
  6. 前記芯材シートが、Ni,Cr,Fe,Sn,Ag,Zr,Be,Co,Ti,Mg,Al,Si,P,MnおよびBの群から選ばれる少なくとも1種とCuから成る請求項1〜5のいずれかのプリント配線板用金属複合体シート。
  7. 前記めっき層が、純Cuまたは純Agから成る請求項1〜6のいずれかのプリント配線板用金属複合体シート。
  8. 前記金属粒子が、平均粒子径3μm以下のCu粒子またはAg粒子である請求項2のプリント配線板用金属複合体シート。
  9. 前記芯材シートがCu合金から成り、前記めっき層は結晶粒の平均粒径が3μm以下の純Cuから成る厚み5μm以下のめっき層であり、前記金属粒子は平均粒子径が2.5μm以下の純Cu粒子から成る請求項1または2のプリント配線板用金属複合体シート。
  10. 絶縁基板の片面または両面に、請求項1〜9のいずれかのプリント配線板用金属複合体シートを加工して成る回路パターンが形成されていることを特徴とする単層または多層プリント配線板。
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