JP6781562B2 - フレキシブルプリント基板用銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブルプリント基板、及び電子機器 - Google Patents

フレキシブルプリント基板用銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブルプリント基板、及び電子機器 Download PDF

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Description

本発明はフレキシブルプリント基板等の配線部材に用いて好適な銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブル配線板、及び電子機器に関する。
フレキシブルプリント基板(フレキシブル配線板、以下、「FPC」と称する)はフレキシブル性を有するため、電子回路の折り曲げ部や可動部に広く使用されている。例えば、HDDやDVD及びCD−ROM等のディスク関連機器の可動部や、折りたたみ式携帯電話機の折り曲げ部等にFPCが用いられている。
FPCは銅箔と樹脂とを積層したCopper Clad Laminate(銅張積層体、以下CCLと称する)をエッチングすることで配線を形成し、その上をカバーレイと呼ばれる樹脂層によって被覆したものである。カバーレイを積層する前段階で、銅箔とカバーレイとの密着性を向上するための表面改質工程の一環として、銅箔表面のエッチングが行われる。また、銅箔の厚みを低減して屈曲性を向上させるため、ソフトエッチングを行う場合もある。
FPCに用いられる銅箔のうち、回路をエッチング形成するためのレジストを形成する面には、レジストとの密着性を付与するためにソフトエッチングが行われる。ソフトエッチングは、銅箔表面の酸化膜を除去するとともに表面を平坦化する表面処理である。ところが、ソフトエッチングの際に、圧延銅箔の表面に凹部が生じる、dishdownと呼ばれる不具合が発生する。このdishdownは、圧延銅箔の厚み方向にエッチング速度が異なることに起因して表面が凹凸になり、レジスト密着性を低下させるものである。そして、エッチング速度の相違は、圧延銅箔の表面の結晶方位によってエッチング速度が相違することによって生じるとされている。
そこで、他の結晶面と比較してエッチング速度が遅い(200)面の割合を少なくし、ソフトエッチング性を改善した圧延銅箔が開発されている(特許文献1)。
特開2014-77182号公報
ところで、電子機器の小型、薄型、高性能化に伴い、これら機器の内部にFPCを高密度で実装することが要求されているが、高密度実装を行うためには、回路をより微細化すると共に、小型化した機器の内部に厚みの小さいFPCを折り曲げて収容することが必要となる。そして、回路の微細化を図るためには、回路をエッチング形成するレジストと銅箔との密着性がより一層要求される。つまり、銅箔とレジストとの密着性が低いと、銅箔とフォトレジストとの間にエッチング液が侵入し、微細な配線を形成することが困難となる。
しかしながら、従来の銅箔の場合、ソフトエッチング後の表面の平坦化が十分とはいえず、回路の微細化が困難であった。
又、電子機器の小型、薄型、高性能化に伴い、FPCの回路幅、スペース幅も20〜30μm程度に微細化しており、エッチングにより回路を形成する時にエッチングファクタや回路直線性が劣化し易くなるという問題があり、この解決も要求されている。
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、エッチング性に優れたフレキシブルプリント基板用銅箔、それを用いた銅張積層体、フレキシブルプリント基板、及び電子機器の提供を目的とする。
本発明者らは種々検討した結果、銅箔の結晶粒を微細化し、かつエッチング後の銅箔のスキューネスRskを規定することで、エッチング性を向上できることを見出した。但し、結晶粒を微細化し過ぎると強度が高くなり過ぎて曲げ剛性が大きくなり、スプリングバックが大きくなってフレキシブルプリント基板用途に適さない。従って、結晶粒径及び引張強度の範囲を規定した。
又、結晶粒径を、近年のFPCの20〜30μm程度の回路幅のおよそ1/10程度に微細化することにより、エッチングにより回路を形成する時のエッチングファクタや回路直線性をも改善することができる。
すなわち、本発明のフレキシブルプリント基板用銅箔は、JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅又はJIS−H3100(C1011)の無酸素銅に対し、Agを0.001〜0.05質量%、かつP、Ti、Sn、Ni、Be、Zn、In及びMgの群から選ばれる1種以上の添加元素を合計で0.003〜0.825質量%含有してなり、平均結晶粒径が0.6〜4.3μm、かつMD方向の引張強度が230〜287MPaであり、過硫酸ナトリウム濃度100g/L、過酸化水素濃度35g/Lの水溶液(液温25℃)に420秒浸漬した後の表面のJIS B 0601−2001に基づくスキューネスRskを、MD方向およびCD方向にそれぞれ16回測定し、各回の測定値の絶対値を平均した値が0.05以下である。
前記銅箔が圧延銅箔であり、300℃で30分間の熱処理後の前記平均結晶粒径が0.6〜4.3μm、前記引張強度が230〜287MPaであり、かつ該熱処理後の前記スキューネスRskが0.05以下であることが好ましい。
本発明の銅張積層体は、前記フレキシブルプリント基板用銅箔と、樹脂層とを積層してなる。
本発明のフレキシブルプリント基板は、前記銅張積層体を用い、前記銅箔に回路を形成してなる。
前記回路のL/Sが35/35〜10/10(μm/μm)であることが好ましい。なお、回路のL/S(ラインアンドスペース)とは、回路を構成する配線の幅(L:ライン)と、隣り合う配線の間隔(S:スペース)の比である。Lは回路中のLの最小値を採用し、Sは回路中のSの最小値を採用する。
なお、L及びSは10〜35μmであればよく、両者が同一の値である必要はない。例えば、L/S=20.5/35、35/17などの値をとることもできる。
本発明の電子機器は、前記フレキシブルプリント基板を用いてなる。
本発明によれば、エッチング性に優れたフレキシブルプリント基板用銅箔が得られる。
以下、本発明に係る銅箔の実施の形態について説明する。なお、本発明において%は特に断らない限り、質量%を示すものとする。
<組成>
本発明に係る銅箔は、JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅又はJIS−H3100(C1011)の無酸素銅に対し、Agを0.001〜0.05質量%、かつP、Ti、Sn、Ni、Be、Zn、In及びMgの群から選ばれる1種以上の添加元素を合計で0.003〜0.825質量%含有してなる。
上述のように、本発明においては銅箔の再結晶後の結晶粒を微細化することにより、強度を高めて、かつエッチング性を向上させている。
但し、上記した純銅系の組成の場合、結晶粒の微細化が困難であるため、冷間圧延時の初期に一回のみ再結晶焼鈍を行い、以後は再結晶焼鈍を行わないことで、冷間圧延により加工ひずみを大量に導入して動的再結晶を生じさせて結晶粒の微細化を実現できる。
又、冷間圧延における加工ひずみを大きくするには、最終冷間圧延(焼鈍と圧延を繰り返す工程全体の中で、最後の焼鈍後に行う仕上げ圧延)での加工度として、η=ln(最終冷間圧延前の板厚/最終冷間圧延後の板厚)=7.51〜8.00とすると好ましい。
ηが7.51未満の場合、加工ひずみが均一に蓄積されない、つまり局所的にひずみが蓄積されるため、ひずみの蓄積された部位と他の部位でエッチング速度が異なる。このため、ソフトエッチング後のRskの絶対値が大きくなり、エッチング性が劣化する。ηが8.00より大きい場合、ひずみが過剰に蓄積されて結晶粒成長の駆動力となり、結晶粒が粗大になる傾向にある。η=7.75〜8.00とするとさらに好ましい。
又、結晶粒を微細化させる添加元素として、Ag及び上記添加元素を含有すると、冷間圧延時に転位密度を増加させ、結晶粒の微細化を確実に実現できる。
このうち、Agは、再結晶焼鈍条件に対する再結晶粒径の感受性を低くさせる。つまり、後述するように、CCL積層時に樹脂を硬化させるための熱処理を行うが、実際には熱処理の温度、時間が変動し、昇温速度も製造装置や製造者等によって異なる。このため、熱処理によっては銅箔の再結晶粒の粒径が大きくなるおそれがある。そこで、Agを含有させることで、CCL積層時の熱処条件が変化しても結晶粒を安定して微細化できる。
Agの含有量が0.001質量%未満であると結晶粒の微細化が困難になる。また、Agの含有量が0.05質量%を超えると再結晶温度が上昇して樹脂と積層した際に再結晶せず、強度が高くなり過ぎて銅箔及びCCLの折り曲げ性が劣化する場合がある。
上記添加元素の合計含有量が0.003質量%未満であると結晶粒の微細化が困難になり、0.825質量%を超えると導電率が低下することがある。又、再結晶温度が上昇して樹脂と積層した際に再結晶せず、強度が高くなり過ぎて銅箔及びCCLの折り曲げ性が劣化する場合がある。
<平均結晶粒径>
銅箔の平均結晶粒径が0.6〜4.3μmである。平均結晶粒径が0.6μm未満であると、強度が高くなり過ぎて曲げ剛性が大きくなり、スプリングバックが大きくなってフレキシブルプリント基板用途に適さない。平均結晶粒径が4.3μmを超えると、結晶粒の微細化が実現されず、強度を高めて折り曲げ性を向上させることが困難になると共に、ソフトエッチング性、エッチングファクタや回路直線性が劣化してエッチング性が低下する。
平均結晶粒径の測定は、誤差を避けるため、箔表面を100μm×100μmの視野で3視野以上を観察して行う。箔表面の観察は、SIM(Scanning Ion Microscope)またはSEM(Scanning Electron Microscope)を用い、JIS H 0501に基づいて平均結晶粒径を求めることができる。
ただし、双晶は、別々の結晶粒とみなして測定する。
<引張強度(TS)>
銅箔の引張強度が230〜287MPaである。上述のように、結晶粒を微細化することにより引張強度が向上する。引張強度が230MPa未満であると、強度を高めることが困難になる。引張強度が287MPaを超えると、強度が高くなり過ぎて曲げ剛性が大きくなり、スプリングバックが大きくなってフレキシブルプリント基板用途に適さない。
引張強度は、IPC-TM650に準拠した引張試験により、試験片幅12.7mm、室温(15〜35℃)、引張速度50.8mm/min、ゲージ長さ50mmで、銅箔の圧延方向(又はMD方向)と平行な方向に引張試験した。
<スキューネスRsk>
ソフトエッチング性を評価する指標として、エッチング後の銅箔表面のJIS B 0601−2001に基づくスキューネスRskを規定する。エッチング条件としては、銅箔とレジストとの密着性を付与するためのソフトエッチングを模擬し、過硫酸ナトリウム濃度100g/L、過酸化水素濃度35g/Lの水溶液(液温25℃)に420秒銅箔を浸漬するものとする。
スキューネスRskは、二乗平均平方根高さRqの三乗によって無次元化した基準長さにおけるZ(x)三乗平均を表したものである。
二乗平均平方根高さRqは、JIS B 0601(2001)に準拠した非接触式粗さ計による表面粗さ測定における、凹凸の程度を示す指標であり、下記(A)式で表され、表面粗さのZ軸方向の凹凸(山の)高さであって、基準長さlrにおける山の高さZ(x)の二乗平均平方根である。
基準長さlrにおける山の高さの二乗平均平方根高さRq:
Figure 0006781562
スキューネスRskは、二乗平均平方根高さRqを用いて、以下の(B)式で示される。
Figure 0006781562
銅箔表面のスキューネスRskは、銅箔表面の凹凸面の平均面を中心としたときの、銅箔表面の凹凸の対称性を示す指標である。従って、Rskの絶対値が0に近いほど、凹凸の山と谷が対称であり、ピール強度(IPC−TM−650に準拠したピール強度(接着強度))が高くなって樹脂と良好に接着するため、ソフトエッチング性にすぐれる。また、また、Rsk<0であれば高さ分布が平均面に対して上側に偏っており、Rsk>0であれば高さ分布が平均面に対して下側に偏っているといえる。上側への偏りが大きいときは銅箔表面が凸形態となっているため銅箔内部での乱反射が大きくなり、レジストを銅箔に貼り付けた後に露光してエッチング除去した場合、回路直線性やエッチングファクタの精度が悪化する。下側への偏りが大きいとき、銅箔表面が凹形態となっており、光源から光を照射すると銅箔表面での乱反射が大きくなり、レジストを銅箔に貼り付けた後に露光してエッチング除去した場合、回路直線性やエッチングファクタの精度が悪化する。また、Rskの絶対値が0に近いほど、凹凸の山と谷が対称であるため、電磁力線の乱れが高さ方向で生じないため高周波伝送特性が良い。
このようなことから、本発明の銅箔は、スキューネスRskを、MD方向及びCD方向にそれぞれ16回測定し、各回の測定値の絶対値を平均した値をRskとして採用する。
MD(Machine1 Direction)方向は、圧延銅箔の場合は圧延平行方向であり、電解銅箔では製造時のストリップの流れ方向である。CD(Cross Machine Direction)方向は、圧延銅箔の場合は圧延直角方向であり、電解銅箔では流れ方向に垂直な方向である。
実際の銅箔は、MD方向及びCD方向に切り出されてCCLに使用されるので、MD方向及びCD方向のRskを測定する。
銅箔表面のRskの絶対値を0.05以下に規定することにより、ピール強度が高くなって樹脂との密着性に優れ、かつレジストで銅箔をエッチング除去した後の回路の直線性やエッチングファクタの精度が高くなるため、ソフトエッチング性が向上する。
Rskの絶対値が0.050を超えると樹脂との密着性は向上するが、表面の凹凸が顕著になってレジストで銅箔をエッチング除去した後の回路の直線性の精度が低下し、ソフトエッチング性が劣る。
Rskの絶対値の下限は特に限定されないが、通常、0.001である。Rskの絶対値を0.001未満とすることは工業的に困難である。
<300℃で30分間の熱処理>
銅箔を300℃で30分間の熱処理後の平均結晶粒径が0.6〜4.3μm、MD方向の引張強度が230〜287MPaかつ該熱処理後のスキューネスRskが0.05以下であってもよい。
本発明に係る銅箔はフレキシブルプリント基板に用いられ、その際、銅箔と樹脂とを積層したCCLは、200〜400℃で樹脂を硬化させるための熱処理を行うため、再結晶によって結晶粒が粗大化する可能性がある。
又、銅箔と樹脂とを積層したCCLは、200〜400℃で樹脂を硬化させるための熱処理を行う。つまり、実際のソフトエッチングは、この熱処理を行った銅箔に対して行われる。
従って、樹脂と積層する前後で、銅箔の平均結晶粒径及び引張強度が変わる。そこで、本願の請求項1に係るフレキシブルプリント基板用銅箔は、樹脂と積層後の銅張積層体になった後の、樹脂の硬化熱処理を受けた状態の銅箔を規定している。+
一方、本願の請求項に係るフレキシブルプリント基板用銅箔は、樹脂と積層する前の銅箔に上記熱処理を行ったときの状態を規定している。この300℃で30分間の熱処理は、CCLの積層時に樹脂を硬化熱処理させる温度条件を模したものである。
なお、熱処理の雰囲気は特に限定されず、大気下でもよく、Ar、窒素等の不活性ガス雰囲気でもよい。

本発明の銅箔は、例えば以下のようにして製造することができる。まず、銅インゴットに上記添加物を添加して溶解、鋳造した後、熱間圧延し、冷間圧延と焼鈍を行い、上述の最終冷間圧延を行うことにより箔を製造することができる。
<銅張積層体及びフレキシブルプリント基板>
又、本発明の銅箔に(1)樹脂前駆体(例えばワニスと呼ばれるポリイミド前駆体)をキャスティングして熱をかけて重合させること、(2)ベースフィルムと同種の熱可塑性接着剤を用いてベースフィルムを本発明の銅箔にラミネートすること、により、銅箔と樹脂基材の2層からなる銅張積層体(CCL)が得られる。又、本発明の銅箔に接着剤を塗着したベースフィルムをラミネートすることにより、銅箔と樹脂基材とその間の接着層の3層からなる銅張積層体(CCL)が得られる。これらのCCL製造時に銅箔が熱処理されて再結晶化する。
これらにフォトリソグラフィー技術を用いて回路を形成し、必要に応じて回路にめっきを施し、カバーレイフィルムをラミネートすることでフレキシブルプリント基板(フレキシブル配線板)が得られる。
従って、本発明の銅張積層体は、銅箔と樹脂層とを積層してなる。又、本発明のフレキシブルプリント基板は、銅張積層体の銅箔に回路を形成してなる。
樹脂層としては、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PI(ポリイミド)、LCP(液晶ポリマー)、PEN(ポリエチレンナフタレート)が挙げられるがこれに限定されない。また、樹脂層として、これらの樹脂フィルムを用いてもよい。
樹脂層と銅箔との積層方法としては、銅箔の表面に樹脂層となる材料を塗布して加熱成膜してもよい。又、樹脂層として樹脂フィルムを用い、樹脂フィルムと銅箔との間に以下の接着剤を用いてもよく、接着剤を用いずに樹脂フィルムを銅箔に熱圧着してもよい。但し、樹脂フィルムに余分な熱を加えないという点からは、接着剤を用いることが好ましい。
樹脂層としてフィルムを用いた場合、このフィルムを、接着剤層を介して銅箔に積層するとよい。この場合、フィルムと同成分の接着剤を用いることが好ましい。例えば、樹脂層としてポリイミドフィルムを用いる場合は、接着剤層もポリイミド系接着剤を用いることが好ましい。尚、ここでいうポリイミド接着剤とはイミド結合を含む接着剤を指し、ポリエーテルイミド等も含む。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されない。又、本発明の作用効果を奏する限り、上記実施形態における銅合金がその他の成分を含有してもよい。
例えば、銅箔の表面に、粗化処理、防錆処理、耐熱処理、またはこれらの組み合わせによる表面処理を施してもよい。
次に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。純度99.9%以上の電気銅に、表1に示す元素をそれぞれ添加し、Ar雰囲気で鋳造して鋳塊を得た。鋳塊中の酸素含有量は15ppm未満であった。この鋳塊を900℃で均質化焼鈍後、熱間圧延および冷間圧延を行い厚さ31〜51mmとした後、1回の焼鈍を行った後に表面を面削して、表1に示す加工度ηで最終冷間圧延をして最終厚さ17μmの銅箔サンプルを得た。
<A.銅箔サンプルの評価>
1.導電率
上記の各銅箔サンプルについて、大気下、300℃で30分間の熱処理(CCLの積層時に樹脂を硬化熱処理させる温度条件を模擬)を行った後、JIS H 0505に基づいて4端子法により、25℃の導電率(%IACS)を測定した。
導電率が75%IACS以上であれば導電性が良好である。
2.粒径
上記熱処理後の各銅箔サンプル表面をSEM(Scanning Electron Microscope)を用いて観察し、JIS H 0501に基づいて平均粒径を求めた。ただし、双晶は、別々の結晶粒とみなして測定を行った。測定領域は、表面の100μm ×100μmとした。
3.銅箔の引張強度
上記熱処理後の各銅箔サンプルについて、IPC-TM650に準拠した引張試験により上記条件で引張強度を測定した。
<B.CCLの評価>
4.CCL(銅張積層板)の作製
最終冷間圧延後で上記熱処理を行わない銅箔サンプル(熱処理前の銅箔)の片面に銅粗化めっきを行った。銅粗化めっき浴としてCu:10-25g/L,硫酸:20-100g/Lの組成を用い、浴温20-40℃、電流密度30-70A/dm2で1-5秒電気めっきし、銅付着量を20g/dm2とした。
銅箔サンプルの粗化めっき面を、両面接着剤付きのポリイミドフィルム(宇部興産株式会社製の製品名「ユーピレックスVT」、厚み25μm)の各接着面にそれぞれ積層し、加熱プレス(4MPa)で300℃×30分の熱処理を加えて貼り合せ、ポリイミドフィルムの両面にそれぞれ銅箔が積層されたCCLサンプルを得た。
5.スキューネスRsk
過硫酸ナトリウム濃度100g/L、過酸化水素濃度35g/Lの水溶液(液温25℃)に、上記CCLを420秒浸漬してソフトエッチングを行った。ソフトエッチング後の銅箔表面のIS B 0601−2001に基づくスキューネスRskを、圧延平行方向および圧延直角方向に、それぞれ測定場所を変えて16回(合計32回)測定し、各回の測定値の絶対値を平均した値を求めた。
6.エッチング性
上記CCLサンプルの銅箔部分にL/S(ライン/スペース)=35/35μm、35/35μm、25/25μm、 20/20μm、および10/10μmの短冊状の回路を形成した。比較として、市販の圧延銅箔(タフピッチ銅箔、17μm厚み)と同様に回路を形成した。そして、エッチングファクタ(回路の(エッチング深さ/上下の平均エッチング幅)で表される比)、及び回路の直線性をマイクロスコープで目視判定し、以下の基準で評価した。評価が○であれば良い。
○:市販の圧延銅箔に比べてエッチングファクタ及び回路の直線性が良好
△:市販の圧延銅箔に比べてエッチングファクタ及び回路の直線性が同等
×:市販の圧延銅箔に比べてエッチングファクタ及び回路の直線性が劣る
7.高周波伝送特性
上記したCCLの片面の銅箔部分に、インピーダンス50Ω、長さ100mmのマイクロストリップラインをエッチング形成し、実施例とした。なお、CCLの反対側の銅箔はエッチングせず、GNDとなる。
比較例として、市販の圧延銅箔(タフピッチ銅箔、17μm厚み)から同様にCCLを作製し、CCLの片側の銅箔部分に上記マイクロストリップラインを形成した。
そして、ネットワークアナライザを用いて、マイクロストリップラインのSパラメータ(Scattering Parameter)であるS21を60GHzで測定した。S21は、ポート1に入射した信号Aと、ポート2へ伝送した信号Bを用いて、以下の(C)式で示される。
Figure 0006781562
S21の絶対値が小さいほど(S21は必ずマイナスになる)、伝送損失が小さく伝送特性に優れていることを示す。従って、以下の基準で回路の伝送特性(伝送損失)を評価した。評価が○であれば伝送特性が優れている。
○:{(市販の圧延銅箔のS21の絶対値)−(実施例のS21の絶対値)}≧5dB/mm以上
△:5dB/mm>{(市販の圧延銅箔のS21の絶対値)−(実施例のS21の絶対値)}>-5dB/mm
×:-5dB/mm≧{(市販の圧延銅箔のS21の絶対値)−(実施例のS21の絶対値)}
得られた結果を表1に示す。
Figure 0006781562
表1から明らかなように、銅箔の平均結晶粒径が0.6〜4.3μm、かつ引張強度が230〜287Mpa、スキューネスRskの絶対値が0.05以下である各実施例の場合、ソフトエッチング性を含むエッチング性に優れ、高周波伝送特性にも優れていた。
一方、Agを含有するが添加元素を含まない比較例1の場合、及び添加元素の合計含有量が下限値未満である比較例6の場合、銅箔の平均結晶粒径が4.3μmを大幅に超えて粗大化し、引張強度が230MPa未満となり、スキューネスRskの絶対値が0.05より大きくなった。その結果、ソフトエッチング性を含むエッチング性に劣り、高周波伝送特性にも劣った。
最終冷間圧延での加工度ηが7.51未満である比較例3,4,7の場合、銅箔の平均結晶粒径が4.3μmを超えて粗大化し、引張強度が230MPa未満となり、スキューネスRskの絶対値が0.05より大きくなった。その結果、ソフトエッチング性を含むエッチング性に劣り、高周波伝送特性にも劣った。
また、最終冷間圧延での加工度ηが7.51未満であるが、3.5以上である比較例4の場合、スキューネスRskが0.05より大きく、ソフトエッチング性を含むエッチング性に劣り、高周波伝送特性にも劣った。
但し、比較例4の場合、銅箔の平均結晶粒径は4.3μm以下であり、引張強度も230MPa以上となった。この理由は以下のように考えられる。つまり、ηが3.5未満の比較例3,7の場合、最終冷間圧延加工時のひずみの蓄積が小さく、再結晶粒の核が少なくなるため、再結晶粒が粗大になった。一方、ηが3.5以上である比較例4の場合、最終冷間圧延加工時に適度にひずみが蓄積され、再結晶粒が微細になったものの、ひずみが局所的に存在するためRskが大きくなった。そして、ηが7.51以上になると、蓄積されるひずみ量がさらに多くなり、ひずみが均一に存在するため、Rskが小さくなると考えられる。
また、最終冷間圧延での加工度ηが8.00より大きい比較例5の場合も、銅箔の平均結晶粒径が4.3μmを超えて粗大化し、引張強度が230MPa未満となり、スキューネスRskの絶対値が0.05より大きくなった。その結果、ソフトエッチング性を含むエッチング性に劣り、高周波伝送特性にも劣った。
添加元素の合計含有量が上限値を超えた比較例2の場合、導電率が劣った。

Claims (6)

  1. JIS−H3100(C1100)に規格するタフピッチ銅又はJIS−H3100(C1011)の無酸素銅に対し、
    Agを0.001〜0.05質量%、かつP、Ti、Sn、Ni、Be、Zn、In及びMgの群から選ばれる1種以上の添加元素を合計で0.003〜0.825質量%含有してなり、
    平均結晶粒径が0.6〜4.3μm、かつMD方向の引張強度が230〜287MPaであり、
    過硫酸ナトリウム濃度100g/L、過酸化水素濃度35g/Lの水溶液(液温25℃)に420秒浸漬した後の表面のJIS B 0601−2001に基づくスキューネスRskを、MD方向およびCD方向にそれぞれ16回測定し、各回の測定値の絶対値を平均した値が0.05以下であるフレキシブルプリント基板用銅箔。
  2. 前記銅箔が圧延銅箔であり、
    300℃で30分間の熱処理後の前記平均結晶粒径が0.6〜4.3μm、前記引張強度が230〜287MPaであり、かつ該熱処理後の前記スキューネスRskが0.05以下である請求項1に記載のフレキシブルプリント基板用銅箔。
  3. 請求項1又は2に記載のフレキシブルプリント基板用銅箔と、樹脂層とを積層してなる銅張積層体。
  4. 請求項3に記載の銅張積層体を用い、前記銅箔に回路を形成してなるフレキシブルプリント基板。
  5. 前記回路のL/Sが35/35〜10/10(μm/μm)である請求項4に記載のフレキシブルプリント基板。
  6. 請求項4又は5に記載のフレキシブルプリント基板を用いた電子機器。
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