JP2005193646A - 光学素子及び光学素子成形型 - Google Patents

光学素子及び光学素子成形型 Download PDF

Info

Publication number
JP2005193646A
JP2005193646A JP2004275321A JP2004275321A JP2005193646A JP 2005193646 A JP2005193646 A JP 2005193646A JP 2004275321 A JP2004275321 A JP 2004275321A JP 2004275321 A JP2004275321 A JP 2004275321A JP 2005193646 A JP2005193646 A JP 2005193646A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
molding
optical
outer peripheral
surface roughness
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004275321A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiaki Takano
利昭 高野
Atsushi Murata
淳 村田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2004275321A priority Critical patent/JP2005193646A/ja
Publication of JP2005193646A publication Critical patent/JP2005193646A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Lens Barrels (AREA)
  • Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)

Abstract

【課題】光学機器に使用されるレンズ、プリズム、ミラーなどにおいて、小径、薄肉の光学素子はホルダーへの固定のための接着強度が充分に得られず、また高温環境下で光学特性を維持することが困難であるという課題があった。
【解決手段】光学素子1は光学機能面1a、1bとその光学素子1の固定に供される外周縁部1cを有し、前記外周縁部1cの少なくとも1つの面の表面粗さを光学機能面1a、1bの表面粗さよりも大きくして表面積を増大し、接着強度を大きく、かつ放熱冷却効果を向上させたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学機器に使用されるレンズ、プリズム、ミラーなどの高精度光学素子及び光学素子を成形するための光学素子成形型に関する。
一般に、光情報信号の記録再生に供される光学素子は、例えば特許文献1に開示されているように、樹脂ペレットを加熱混練溶融し、これを成形型のキャビティ内に射出充填して成形する射出成形法や、特許文献2に開示されているように、略最終形状に前加工されたプラスチック素材を金型内に供給した後、加熱、加圧する圧縮成形法などにより成形されている。
以下に、従来の光学素子の成形方法について図を用いて説明する。図7は従来の圧縮成形法により成形された光学素子の概略図であり、図7(a)は概略上面図、図7(b)は概略側面図である。図8は同従来の光学素子の成形型の概略断面図である。
これらの図において、40は光学素子、40a、40bは光学素子40の光学機能を有する光学機能面、40cは前記光学機能面40a、40bの外周部に鍔状に一体に形成された外周縁部であり、この外周縁部40cは光学素子40のホルダーへの固定に供される。41は上型、42は下型、43は胴型、41a、42aは前記上型41、下型42に形成された前記光学素子40の光学機能面40a、40bを成形する光学機能面成形部、43aは前記上型41、下型42及び胴型43により構成された光学素子40の外周縁部40cを成形する外周縁部成形部、44は上型41への加熱加圧機構を有するプレスヘッド、45は下型42への加熱機構を有するプレスステージである。
光学素子40の成形は、まず、射出成形などにより略最終形状に前加工された光学素材(ポリカーボネイト)を、上型41、下型42、胴型43で形成されたキャビティ内(成形型内)に供給する。その後、プレスヘッド44、プレスステージ45の加熱機構により、上型41、下型42、胴型43をガラス転移点近傍の所望温度まで昇温する。光学素材と上型41、下型42、胴型43が所望の温度(例えば、ガラス転移点温度+15〜40℃)になったとき、プレスヘッド44を下降し、上型41 により光学素材に約10kgf/cm2の加圧力を加えて変形保持し、そして荷重たわみ温度以下になるまで冷却する。その後、上型41を取り外して成形された光学素材、すなわち、光学素子40を取り出す。
上記のようにして成形された光学素子40には、光学素子成形型である上型41、下型42の光学機能面成形部41a、42aにより光学機能面40a、40bが転写され、かつ上型41、下型42及び胴型43により構成された外周縁部成形部43aにより外周縁部40cが成形される。
特開昭61−233520号公報 特開平8−127077号公報
しかしながら、上記従来の光学素子は外周縁部の表面粗さが光学機能面と実質的に同等の表面粗さに仕上げられている。
デジタルビデオディスク(DVD)やブルーレイディスク(BD)などのピックアップに用いられる光学素子は、ピックアップの小型化、軽量化、高密度化、形状の多様化に伴い、その光学素子自体の小型薄肉化、例えば、外径が5mm以下、外周縁部の厚さが1.0mm未満が要求されている。そのため、光学素子を保持するためのホルダーとその光学素子の外周縁部との接着面の面積が非常に少なくなり、かつ外周縁部の表面が鏡面に近い表面粗さに成形されているため、接着強度を十分に得ることが極めて難しく、ホルダーへの固定が極めて困難となってピックアップの生産性が著しく低下し、常に安定した接着固定が困難で、歩留まりの低下要因となっている。
また、レーザー光による光学素子の発熱も非常に大きくなり、プラスチック材料を用いた光学素子では温度変化により、光学特性が大きく変化して実用上不安定になったり、光学機器によっては使用不可能な状態が生じる。
また、デジタルスチルカメラや携帯電話などの小型の機器における撮像装置に用いられる光学素子では、光学機能面を通過した光線の一部が外周縁部の内面に反射して迷光となり、これが光学系に入り込んで光学特性に悪影響を及ぼすことを防ぐために、外周縁部に黒色塗装を施すようにしている。
本発明は、良好な光学特性を確保し、かつ光学素子の確実な固定が可能であるとともに、黒色塗装もなくすことができる光学素子及び光学素子成形型を提供することにある。
本発明は、成形材料を成形装置の成形型内に供給して光学機能面とその光学機能面よりも外径が大きい外周縁部が一体に成形された光学素子であって、光学素子の外周縁部を成形する前記成形型の外周縁部成形部の少なくとも1つの面の表面粗さが光学素子の光学機能面を成形する成形型の光学機能面成形部の表面粗さよりも大きい成形型により、外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さが光学機能面の表面粗さよりも大きく成形されたことを特徴とする光学素子である。
また、本発明は、前記外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする光学素子である。
また、本発明は、前記光学機能面の表面粗さRaが0.03μm以下であり、外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする光学素子である。
また、本発明は、表面粗さRaが0.1μm以上である1つの面は、外周縁部の外径側面部であることを特徴とする光学素子である。
さらに、本発明は、成形材料が樹脂材料からなり、光学素子の外径φが5mm以下、外周縁部を構成する外径側面部の厚みが1.0mm未満であることを特徴とする光学素子である。
また、本発明は、成形型内に供給される成形材料から光学素子を成形するための光学素子成形型であって、光学素子に光学機能面を成形する光学機能面成形部及び外周縁部を成形する外周縁部成形部を有し、前記外周縁部成形部の少なくとも1つの面の表面粗さが前記光学機能面成形部の表面粗さよりも大きいことを特徴とする光学素子成形型である。
また、本発明は、光学機能面成形部の表面粗さよりも表面粗さが大きい外周縁部成形部の1つの面はその外周縁部成形部の外径側面成形部であることを特徴とする光学素子成形型である。
以上のように、本発明の光学素子は、外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも大きく(粗く)したことにより、外周縁部の表面粗さが光学機能面の表面粗さと同等の粗さのものに比べて光学素子のホルダーへの固定に供される外周縁部の表面積が増加するため、小型で薄肉の光学素子においても接着などの固定面積が増大し、その結果、ホルダーとの固定強度が強くなって安定した保持状態が得られるものである。
また、光学素子の外周縁部の表面積が増加することにより、放熱、冷却効果も増大して光学機器の高温時の動作も安定するという効果も得られる。
そして、この光学素子の外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さを大きくすることは、その成形型の外周縁部成形部の少なくとも1つの面の表面粗さを光学機能面成形部の表面粗さよりも大きくすることによって、光学素子の成形と同時に簡単にかつ精度よく成形することができるものである。
さらには、外周縁部の表面粗さを大きくしたことにより、この外周縁部での光の反射がほとんどなくなり、後工程で外周縁部に墨塗りなどを行わなくても、迷光などの悪影響を防止することができ、光学素子の生産性が向上し、コストが安価になるという効果が得られる。
以下、本発明の実施の形態例について説明する。
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1における光学素子の概略図であり、図1(a)は概略上面図、図1(b)は概略側面図、図2は実施例1の光学素子の成形装置の概略断面図である。
1は光学素子、1a、1bは光学素子1の光学機能を有する光学機能面、1cは前記光学機能面1a、1bの外周部に一体に形成されたその光学機能面1a、1bの外径よりも外径が大きい鍔状の外周縁部、1dは前記外周縁部1cの外径側面部であり、この外周縁部1cが光学素子1のホルダーへの固定に供される。2は上型、3は下型、4は胴型、2a、3aは前記上型2、下型3に形成された前記光学素子1の光学機能面1a、1bを成形する光学機能面成形部、4aは前記上型2、下型3及び胴型4により構成された光学素子1の外周縁部1cを成形する前記光学機能面成形部2a、3aの内径よりも大きい内径の外周縁部成形部、4dは前記光学素子1の外周縁部1cの外径側面部1dを成形する胴型4の内周部の外径側面成形部、5は上型2への加熱加圧機構を有するプレスヘッド、6は下型3への加熱機構を有するプレスステージである。
なお、ここでいう光学機能面とは、光学素子1に要求される光学特性を生み出すために必要な光学作用面を含んだ面のことで光線の経路になる面である。
本実施例1では、図1に示す光学素子1の各部の表面粗さ、すなわち、光学素子の光学機能面1a、1bの表面粗さと外径側面部1dの表面粗さを異ならせている。このため光学素子1の成形型においては上型2と下型3の各光学機能面成形部2a、3aの表面粗さに対して前記外径側面成形部4dの表面粗さを異ならせている。
次に、この実施例1の光学素子及びその成形装置について具体的に説明する。
光学素子の成形材料としては、非晶質ポリオレフィン系樹脂(日本ゼオン株式会社製、商品名ZEONEX、ガラス転移点Tg=150℃、熱変形温度Tt=125℃)を用いた。
まず、光学素子1の成形素材(図示せず)を上型2 、下型3 、胴型4で構成される成形型内に供給し、この成形型をプレスヘッド5 、プレスステージ6間に配置する。成形素材は、ポリオレフィン樹脂(ガラス転移点Tg=140℃、荷重たわみ温度Tt=123℃)を射出成形により、光学素子1の概略形状に成形したものを用いた。
前記成形型を構成する上型2、下型3、胴型4は、超硬合金を母材としており、光学機能面成形部2a、3aは光学機能が得られるように所望の形状に加工してある。なお、上型2、下型3、胴型4は前述の材料以外でも成形に使用可能なものであれば、他の材料であってもよい。例えば上型2、下型3の材料として、ステンレス鋼(STAVAX)などを基材として、その表面に例えば無電解ニッケルメッキを施して光学機能面成形部2a、3aを形成してもよい。ただし、強度を考えた場合、超硬合金を基材とするのが好ましい。また、離型性の向上や、型の酸化、腐食防止のために成型面の表面に保護膜などを施してもよい。
前記成形型内に入れられた成形素材をプレスヘッド5、プレスステージ6で所定の温度170 ℃まで5分間加熱する。成形素材が所定の温度になると、プレスヘッド5を所望の速度0.1mm/secで下降させ、上型2を介して、成形素材を変形させていく。胴型4と上型2が接触すれば、下降すなわち加圧を停止する。この状態のまま所定温度で2分間保持した後、プレスヘッド5を下降させたままの状態で、荷重たわみ温度123℃まで7分で冷却する。そしてプレスヘッド5による押圧を解除し 、上型2を開けて成形された光学素子1を取り出す。
上記のようにして成形される光学素子1の概略形状は、一方の光学機能面1aの曲率半径R1=1.25mm、他方の光学機能面1bの曲率半径R2=4.18mm、中心厚t=0.98mm、外径(外周縁部の直径)=3.5mm、外径側面部の厚み=0.29mmである。
本実施例1では、光学素子1の外径側面部1dの表面粗さを光学機能面1a、1bの表面粗さよりも大きくして粗くするため、成形型の光学機能面成形部2a、3aの表面粗さよりも外径側面成形部4dの表面粗さが粗く(大きく)形成されている。
ここで、表1を参照して、上記寸法形状の光学素子において、光学機能面1a、1bの表面粗さと外径側面部1dの表面粗さを種々変えた光学素子の検証について説明する。光学機能面1a、1bの表面粗さ(この両者は同一粗さ)Raとしては0.001μm〜0.05μmの5種類を、また外径側面部1dの表面粗さRaとしては0.001μm〜0.5μmの8種類を組合わせた光学素子を成形した。高精度な光学特性が要望される光学素子、例えば、デジタルビデオディスク(DVD)やブルーレイディスク(BD)用光学素子としては光学機能面1a、1bの表面粗さは0.03μm以下が望ましく、0.05μmの表面粗さのものは十分な光学特性が得られないことがこの検証で確認された。
この表1に示す光学素子1を少なくともその外径側面部1dをもって接着剤により光学素子保持ホルダーに接着し、その接着強度を評価した。接着剤には紫外線硬化樹脂を用いた。接着強度の評価としては、粘着テープを貼り付けた後、これを剥がす作業による剥離試験、すなわち低温(−20℃)環境と高温(90℃)環境においてこの作業を交互に所定時間、所定回数繰り返すヒートサイクルなどの試験を行った。
表1に各々の光学素子1の接着強度の実験評価結果を示す。表中の○は、所望の接着強度が十分得られ良好であることを示し、×は、不十分であったことを示している。
Figure 2005193646
この表1から、外径側面部1dの表面粗さRaが、0.1μm以上であれば十分な接着強度が得られることが分かる。
また、上記の形状寸法と同寸法で、かつ同じ表面粗さで成形材料をガラス材料でもって成形した光学素子を、上記と同様に接着強度の確認を行った結果、上記の樹脂材料を成形材料としたときと同じ結果、すなわち、外径側面部1dの表面粗さRaが0.1μm以上であれば良好な接着強度が得られた。
ここで、上記検証に用いた光学素子1は、上述の寸法形状の光学素子1を成形する成形型において、光学機能面成形部2a、3aと外径側面成形部4dの表面粗さを、各検証光学素子1のそれぞれの光学機能面1a、1b、外径側面部1dの表面粗さと実質的に同じ表面粗さに形成したものをそれぞれ用意し、これらの成形型によって各光学素子1を成形して検証したものである。したがって、成形型においては、光学機能面成形部2a、3aの表面粗さよりも外径側面成形部4dの表面粗さを粗くし、かつその外径側面部1dの表面粗さRaが0.1μm以上であれば、接着強度が十分に得られる光学素子1を成形することができるものである。
(実施例2)
次に、実施例2について図3を用いて説明する。図3(a)は光学素子の概略上面図であり、図3(b)はその概略側面図である。この図において、図1の実施例1の光学素子と同一構成部分には同一符号が附してあり、実施例1と異なる個所についてのみ説明する。
この光学素子1は、外径側面部1dを、表面粗さRaが0.1μm以上の外径側面部1d1と、その表面粗さ以外の表面粗さ、例えば光学機能面1a、1bと同じ表面粗さを有する外径側面部1d2により形成したものである。これは光学素子1の固定のための主接着部分とされる外径側面部1d1のみの表面粗さを粗くしたものである。
そして、この光学素子1の成形においてもその例として図2に示す成形装置が用いられ、光学素子1の外径側面部1d1を成形する成形型の外径側面成形部分のみの表面粗さが、光学機能面成形部2a、3a及び外径側面部1d2を成形する面の表面粗さよりも粗く形成されており、そして、この例においても光学素子1の外径側面部1d1を成形する成形型の外径側面成形部の表面粗さRaは0.1μm以上に形成されている。
(実施例3)
次に、光学素子の光学特性面からの検証について説明する。この実施例3の光学素子は、実施例1における光学素子1と同様に光学機能面1a、1bとその光学機能面よりも外径が大きい外周縁部1cが一体に形成された光学素子であり、その成形も図2に示す成形装置により成形可能であるため、図1、図2を援用して説明する。この実施例3に係る光学素子1はその光学機能面1a、1bの表面粗さRaが0.03μmのものにおいて、その外径φを1〜8mm、外径側面部1d全面の表面粗さRaを0.001〜0.5μm、外径側面部1dの厚みを0.1〜1.6mmに変化させたサンプルを、実施例1と同じ樹脂材料と成形装置により成形したもので、すなわち、各サンプル値に対応する寸法形状と表面粗さに形成した成形型を用いて成形したものである。これらの光学素子1をその外径側面部1dを実施例1と同様に紫外線硬化樹脂からなる接着剤でホルダーに固定し、そしてこれを光学機器に搭載して高温環境(90℃)下で光学特性の評価を行ったものである。なお、光学特性の評価は透過波面による評価を実施した。
表2にこれらサンプルの光学素子1の上記高温環境下での光学特性結果を示す。表中の○は高温下になっても使用可能な光学特性を維持していることを示し、×は高温度による光学特性の劣化が大きく、使用不可能となったことを示している。
Figure 2005193646
上記表2から、従来、外径側面部1dの表面粗さRaが0.05μm以下の小さな表面粗さでは高温環境下では光学特性の劣化により使用不可能であった光学素子、例えば、外径φが3mm、外径側面部の厚みが0.3mmの光学素子が、外径側面部1dの表面粗さRaを0.1μm以上にすることで、接着剤との接着力が大きくなり、同時に放熱効果が増大して高温環境下でも使用可能な光学特性を維持することが分かった。また、外径φが5mm以上で、かつ外径側面部1dの厚みが1.0mm以上であれば、その外径側面部1dの表面粗さRaが0.1μm以下でも、使用可能な光学特性を維持することが分かった。なお、外径側面部1dの表面粗さRaが0.1μm以上であればこのサンプルの光学素子は全て高温下でも使用可能な光学特性を維持している。
上記のように、特に小径の光学素子であっても、少なくとも外径側面部1dの表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも大きくすることにより、光学素子1自体の放熱効果が大きくなって使用不可能となる高温度まで上昇することはなく、高温環境下で使用可能な光学特性を維持するためと考えられる。
上記の各サンプルによる光学素子1の検証は、光学機能面1a、1bの表面粗さRaが0.03μmの場合であるが、この光学機能面1a、1bの表面粗さRaを0.02μm及び0.01μmに設定し、外径φ及び外径側面部1d全面の表面粗さ、また、外径側面部1dの厚みは上記と同様の数値、すなわち、表2に示した数値と同様にした各サンプル光学素子を成形し、これらを上記と同様に紫外線硬化樹脂からなる接着剤でホルダーに固定し、そして、これらを光学機器に搭載して高温環境(90℃)下で光学特性の評価を行ったところ、表2と同じ光学特性結果が得られた。これは光学機能面1a、1bの表面粗さRaが0.03μm以下において外径φが5mm以下、外周縁部1cを構成する外径側面部1dの厚みが1.0mm未満、かつその外径側面部1dの表面粗さRaが光学機能面1a、1bの表面粗さRaよりも粗い光学素子1は少なくとも高温環境下で十分使用可能であることを見い出したものである。
一般に、この種光学素子の成形樹脂材料は、ガラス材料とは異なり温度変化により物性値(例えば屈折率)変化が大きいことから、従来高温下で使用することができなかった小径、薄肉の樹脂材料で成形された光学素子が上記のように少なくとも外径側面部1dの表面粗さを大きくすることで放熱効果が大きくなり、使用可能となったものである。したがって、レーザーパワーの大きい記録機構を搭載した光学機器では熱の発生も大きくなるが、それに耐えられる光学素子として有効である。
また、同様に携帯電話用カメラに用いられる撮像系の光学素子(図示せず)を成形し、接着強度及び高温下で光学特性の評価を確認したところ、これについても前述と同様の効果が得られた。さらに、撮像系の光学特性として要求される迷光も、外径側面部の表面粗さRaが0.1μm以上では発生せず、迷光対策として従来施されていた後工程での墨塗り工程も必要がなくなるという効果も確認できた。
本発明では、前述した実験結果に基づき、外径側面部の表面粗さRaが0.1μm以上であることを満たした光学素子では、小さな外径(外径φが5mm以下や、外径側面部の厚みが1.0mm未満)の光学素子であっても、その外径側面部の凹凸による表面積の増大により十分な接着強度が得られ、しかも、厳しい高温環境下での使用であっても、放熱効果が大きくなって良好な光学特性が維持される。これにより、光学機器の小径薄肉化、高機能、高速化などの実現を可能とする光学素子を提供することができる。
なお、上記の実施例では、加熱加圧、圧縮成形法を用いて光学素子を成形するものについて説明したが、これに限らず、例えば成形材料が樹脂材料の場合、より生産性の優れた射出成形法で光学素子を上記各実施例で掲げたものと同様のものに成形してもよい。
(実施例4)
図4に射出成形法にて成形した光学素子1を示す。図4(a)は光学素子の概略上面図であり、図4(b)は概略側面図である。この図4において、上記実施例1から3の光学素子1と同一構成部分には同一の符号が附してあり、その説明は省略する。射出成形法で成形される光学素子1は、成形材料を射出充填するためにゲート(図4の1eの想像線で示す)が成形される。成形完了後、ゲート1eは切断などの方法で光学素子1の外径側面部1dから除去される。前記ゲートが除去され、その除去部分が研磨された痕として外径側面部1dの一部にゲート除去痕1fが残存する。このように射出成形で得られた光学素子1もゲート除去痕1f以外の外径側面部1dの表面粗さRaを0.1μm以上にすれば、前述と同様の接着強度、放熱効果が得られる。
図5はこの実施例4に係る光学素子1の成形型の概略断面図であり、この成形型は可動型10、固定型11、胴型12からなり、可動型10と固定型11には光学素子1の光学機能面1a、1bを成形する光学機能面成形部10a、11aが形成されている。また、これらの可動型10、固定型11、胴型12により光学素子1の外周縁部1cを成形する外周縁部成形部12aが形成されており、かつ、胴型12にこの成形型内に樹脂を射出するゲート部13が形成されている。
そして、前記光学素子1の外径側面部1dを成形する胴型12の外径側面成形部12bの表面粗さRaは0.1μm以上に形成され、この粗さは可動型10と固定型11の光学機能面成形部10a、11aの表面粗さ、例えばその粗さRa0.03μm以下よりも粗い。
図6は図5に示す成形型を用いて射出成形法にて図4に示す光学素子1を成形する成形装置の概略断面図である。
図6において、14はホッパ、15は樹脂ペレットからなる樹脂成形材料、16は射出シリンダ、17は加熱シリンダ、18はスクリュ、19はノズル、20は固定ダイプレート、21は移動ダイプレート、22は型締めシリンダ、23は固定成形台、24は可動成形台であり、成形型を構成する固定型11と胴型12は固定成形台23側に固定され、また可動型10は可動成形台24側に固定されている。なお、この例では複数の成形型により複数の光学素子が同時に成形される。25はスプルー、26は前記ゲート部13に連なるランナー部である。
まず、ホッパ14に樹脂成形材料15を投入し、この成形材料15はスクリュ18の回転に伴い、ノズル19の方向へと移動する。樹脂成形材料15はスクリュ18及び加熱シリンダ17により加熱混錬溶融され、ノズル19から、スプルー25、ランナー部26、及びゲート部13を通過して、固定成形台23と可動成形台24にインサートされた成形型内に射出され、充填される。前記成形型は所定の温度、例えば樹脂成形材料15の荷重たわみ温度近傍に設定されているため、可動型10、固定型11の光学機能面成形部が転写され、かつ可動型10、固定型11、胴型13により外周縁部を有する光学素子1が成形される。そして、これが冷却された後、型締めシリンダ22により可動成形台24を後退させて成形型を開き、成形品を取り出してゲート除去と研磨を行って図4(b)に示す光学素子1を得る。
このように樹脂の射出成形によっても光学機能面1a、1bの表面粗さよりも外径側面部1dの表面粗さが粗い光学素子1を得ることができるものであり、そして光学機能面1a、1bの表面粗さは可動型10と固定型11の光学機能面成形部10a、11aの表面粗さを変えることにより、また、外径側面部1dの表面粗さは胴型12の外径側面成形部12bの表面粗さを変えることにより、所望の表面粗さを有する光学素子1を成形することができる。
なお、上記の各実施例では、光学素子の外周縁部において、その2つの平坦部(光軸と直交する2面)は光学機能面の表面粗さと同一の表面粗さに成形され、外径側面部の表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも大きくしたものについて説明したが、これは光学素子のホルダーへの固定に供される主固定面が外径側面部である場合であり、外周縁部の2つの平坦部(光軸と直交する2面)の両方あるいは一方を主固定面とする場合は、少なくともその主固定面の表面粗さを本発明の主旨に沿って光学機能面のそれよりも大きくすればよいことは明らかであり、また、ホルダーの形状などにより主固定面が特定されない場合は、外周縁部を構成する全ての表面粗さを本発明の主旨に沿って大きく形成すればよいものである。そして、このように光学素子の外周縁部の表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも粗くする面の選択はその成形型の成形面を選択することにより、例えば外周縁部の2つの平坦部の表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも粗くする場合は、その外周縁部の平坦部を成形する上型、下型、可動型、固定型の成形面の表面粗さを光学機能面成形部の表面粗さよりも粗くすればよく、必要に応じて簡単に選択することができるものである。
以上に説明した本発明の光学素子、すなわち、光学素子の外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも大きする構成は、その成形型の光学機能面成形部と外周縁部成形部の少なくとも1つの表面粗さをそれぞれ設定することにより、光学素子の成形と同時に簡単にかつ精度よく成形することができるものである。
本発明は、光学素子の外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さを光学機能面の表面粗さよりも大きくしたことにより、その外周縁部の表面積が増加し、光学素子とこれを保持するためのホルダーとの接着強度や、光学素子の放熱冷却効果が向上することから、光学機器の高機能化、高速化などによる耐熱使用に耐える小径、薄肉の光学素子として有用である。
本発明の実施例1における光学素子の概略図であり、(a)は概略上面図、(b)は概略側面図 本発明の実施例1における光学素子の成形装置を示す概略断面図 本発明の実施例2における光学素子の概略図であり、(a)は概略上面図、(b)は概略側面図 本発明の実施例4における光学素子の概略図であり、(a)は概略上面図、(b)は概略側面図 本発明の実施例4における光学素子の成形型の概略断面図 本発明の実施例4における光学素子の成形装置を示す概略断面図 従来の光学素子の概略図であり、(a)は概略上面図、(b)は概略側面図 従来の光学素子の成形装置を示す概略断面図
符号の説明
1 光学素子
1a、1b 光学機能面
1c 外周縁部
1d 外径側面部
1f ゲート除去痕
2 上型
2a、3a、10a、11a 光学機能面成形部
3 下型
4 胴型
4a、12a 外周縁部成形部
4d、12b 外径側面成形部
10 可動型
11 固定型
12 胴型

Claims (7)

  1. 成形材料を成形装置の成形型内に供給して光学機能面とその光学機能面よりも外径が大きい外周縁部が一体に成形された光学素子であって、光学素子の外周縁部を成形する前記成形型の外周縁部成形部の少なくとも1つの面の表面粗さが光学素子の光学機能面を成形する成形型の光学機能面成形部の表面粗さよりも大きい成形型により、外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さが光学機能面の表面粗さよりも大きく成形されたことを特徴とする光学素子。
  2. 前記外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  3. 前記光学機能面の表面粗さRaが0.03μm以下であり、外周縁部の少なくとも1つの面の表面粗さRaが0.1μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  4. 表面粗さRaが0.1μm以上である1つの面は、外周縁部の外径側面部であることを特徴とする請求項2乃至請求項3のいずれかに記載の光学素子。
  5. 成形材料が樹脂材料からなり、光学素子の外径φが5mm以下、外周縁部を構成する外径側面部の厚みが1.0mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子。
  6. 成形型内に供給される成形材料から光学素子を成形するための光学素子成形型であって、光学素子に光学機能面を成形する光学機能面成形部及び外周縁部を成形する外周縁部成形部を有し、前記外周縁部成形部の少なくとも1つの面の表面粗さが前記光学機能面成形部の表面粗さよりも大きいことを特徴とする光学素子成形型。
  7. 光学機能面成形部の表面粗さよりも表面粗さが大きい外周縁部成形部の1つの面はその外周縁部成形部の外径側面成形部であることを特徴とする請求項6に記載の光学素子成形型。
JP2004275321A 2003-12-10 2004-09-22 光学素子及び光学素子成形型 Pending JP2005193646A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004275321A JP2005193646A (ja) 2003-12-10 2004-09-22 光学素子及び光学素子成形型

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003411449 2003-12-10
JP2004275321A JP2005193646A (ja) 2003-12-10 2004-09-22 光学素子及び光学素子成形型

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005193646A true JP2005193646A (ja) 2005-07-21

Family

ID=34828962

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004275321A Pending JP2005193646A (ja) 2003-12-10 2004-09-22 光学素子及び光学素子成形型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005193646A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007196665A (ja) * 2005-12-26 2007-08-09 Konica Minolta Opto Inc 樹脂成形用金型及び光ピックアップ装置用対物レンズ並びに光学素子製造方法
EP1895341A1 (en) 2006-08-30 2008-03-05 Sony Corporation Optical element and production device for producing same
JP2008170534A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Konica Minolta Opto Inc 光学素子の製造方法、光学素子及び光学素子ユニット
JP2008233512A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Hitachi Maxell Ltd レンズユニット

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007196665A (ja) * 2005-12-26 2007-08-09 Konica Minolta Opto Inc 樹脂成形用金型及び光ピックアップ装置用対物レンズ並びに光学素子製造方法
EP1895341A1 (en) 2006-08-30 2008-03-05 Sony Corporation Optical element and production device for producing same
JP2008170534A (ja) * 2007-01-09 2008-07-24 Konica Minolta Opto Inc 光学素子の製造方法、光学素子及び光学素子ユニット
JP2008233512A (ja) * 2007-03-20 2008-10-02 Hitachi Maxell Ltd レンズユニット

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4923704B2 (ja) 光学素子の成形装置および成形方法
US6764737B2 (en) Method of producing information recording medium, production apparatus and information recording medium
JP2008105328A (ja) 複合光学部品の製造方法と複合光学部品
KR0152386B1 (ko) 광학소자와 그 성형방법 및 성형장치
JP5275707B2 (ja) 射出成形装置および成形品取出方法
JP2004318055A (ja) 光学素子及び光学素子成形型及び光学素子成形方法
JP2005193646A (ja) 光学素子及び光学素子成形型
JP4808089B2 (ja) 光学素子成形方法
JP2004046053A (ja) 対物レンズ及び光ヘッド装置
JP2008257261A (ja) 光学素子及び光学素子成形型及び光学素子成形方法
JP2009045816A (ja) プラスチック成形品の製造方法及びその製造装置
JP2009043330A (ja) 光ディスクの製造方法
JP2005267738A (ja) 光ディスク基板成形用金型装置
EP1308944A2 (en) Method of producing information recording medium, production apparatus and information recording medium
JP3383387B2 (ja) 光ディスク用基板及びこの光ディスク用基板の成形用金型
JP2006139822A (ja) 光記録媒体基板の製造方法、及び光記録媒体基板
JP2006260650A (ja) 光記録媒体
JP2004291341A (ja) 光学素子用成形金型及び光学素子の成形方法並びに光学素子
JP3558530B2 (ja) 情報記録用基板の成形方法及び成形型
JP4519554B2 (ja) 光ディスク及びその製造方法
JP2007226888A (ja) ディスク基板の成形金型、ディスク基板、および光ディスク製品
JPH07266391A (ja) プラスチックレンズの製造方法および製造装置
JP2009241273A (ja) 成形金型
JP2003281788A (ja) 光ディスク原盤と光ディスク原盤の製造方法と光ディスク基板の成形方法と光ディスク基板及び光情報記録媒体
JP2002079586A (ja) 光学素子およびその製造方法、ならびに光学素子用樹脂材、光ヘッドおよび光ディスク装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD01 Notification of change of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

Effective date: 20050711

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20051130

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20061121

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070122

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070807

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070921

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090616