JP2005188634A - ロータリーダンパ及びシート - Google Patents

ロータリーダンパ及びシート Download PDF

Info

Publication number
JP2005188634A
JP2005188634A JP2003430750A JP2003430750A JP2005188634A JP 2005188634 A JP2005188634 A JP 2005188634A JP 2003430750 A JP2003430750 A JP 2003430750A JP 2003430750 A JP2003430750 A JP 2003430750A JP 2005188634 A JP2005188634 A JP 2005188634A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
vane
rotary damper
fluid chamber
peripheral surface
tip
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003430750A
Other languages
English (en)
Inventor
Ryota Shimura
良太 志村
Masanori Itagaki
正典 板垣
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Somic Ishikawa KK
Original Assignee
Somic Ishikawa KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Somic Ishikawa KK filed Critical Somic Ishikawa KK
Priority to JP2003430750A priority Critical patent/JP2005188634A/ja
Publication of JP2005188634A publication Critical patent/JP2005188634A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Seats For Vehicles (AREA)
  • Fluid-Damping Devices (AREA)

Abstract

【課題】ダンパ機構とクリック機構を合わせ持つロータリーダンパの小型化を図る。
【解決手段】本発明のロータリーダンパは、粘性流体が充填される流体室17内に、揺動可能に設けられるベーン14の一部が、弾性変形可能とされると共に、その弾性変形可能な部分が係合する被係合部16が、流体室17に設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、粘性流体が充填される流体室内に、揺動可能に設けられるベーンを備えたロータリーダンパ及び回転動作するアームレストと、該アームレストの回転動作を制御するロータリーダンパとを備えたシートに関するものである。
従来、図7に示したように、ハウジング21とその内部に収容されるロータ22との間に形成される空間を隔壁23により仕切ることにより、粘性流体が充填される流体室27を形成し、該流体室27内にベーン24を揺動可能に配設したロータリーダンパが知られている。
この種のロータリーダンパは、ベーンが揺動することにより圧縮される粘性流体が、ベーンと流体室内面との間に形成される僅かな隙間等を通じて移動する際に生じる抵抗により、ロータの回転力を減衰させ、制御対象物の回転動作を緩慢なものとさせることができる。
ところで、従来のロータリーダンパは、上記のように、緩衝機能を発揮する機構(以下「ダンパ機構」という)を具備して構成されるが、これに、ロータの回転を所定位置にて停止させ、所定以下の負荷では、ロータの停止状態を保持する機構(以下「クリック機構」という)を付加する場合には、ダンパ機構内にクリック機構を設けるのではなく、ダンパ機構の外部にクリック機構が設けられていた(例えば、特開平8−182635号公報参照)。
従って、ロータリーダンパ自体が大型化し、また、ダンパ機構を構成する部品に加えてクリック機構を構成する部品が必要なため、個々の部品製造にかかるコストや個々の部品を組み立ててダンパ機構とクリック機構の双方を具備する完成品を製造するコストが高く付くという問題があった。
また、従来のロータリーダンパの中には、逆止弁を具備し、ベーンの揺動方向によって発揮する制動力に差を生じさせることができるものがある。例えば、図7〜図11に示したロータリーダンパでは、流体室27がベーン24により2つの室(第1及び第2室)27a,27bに区画され、ベーン24には、第1室27aに連通する大径部28aと、該大径部28aよりも小径であって、第2室27bに連通する小径部28bとを有する流体通路28が軸方向に形成され、流体通路28の大径部28aには、小径部28bよりも径の大きい球状の弁体29が設けられている。
逆止弁として機能する弁体29は、ベーン24が一方向(図7において、反時計回り方向)に移動し、その一面により第1室28aの粘性流体を圧縮するときには、図10に示したように、大径部28aと小径部28bとの境界を閉鎖して、粘性流体の流体通路28の通過を阻止する。その結果、粘性流体の抵抗が大きなものとなり、ロータリーダンパが発揮する制動力も大きいものとなる。一方、ベーン24が逆方向(図7において、時計回り方向)に移動し、その他面により第2室28bの粘性流体を圧縮するときには、弁体29は、図11に示したように、大径部28aと小径部28bとの境界を開放して、粘性流体の流体通路28の通過を許容する。その結果、粘性流体の抵抗が小さなものとなり、ロータリーダンパが発揮する制動力も小さいものとなる。
しかしながら、こうした逆止弁を構成する弁体29もまた、ベーン24とは別個に形成された後、ベーン24に組み込まれたものであり、部品点数の増加、それによる製造コストの上昇を招くという問題がある。
他方、シートの中には、回転動作するアームレストを具備して構成されるものが存在する。例えば、自動車のシートには、シートバックの前面から突出しない位置に起立した姿勢で収納でき、使用時には、収納位置から前方へ引き出して、使用位置に回転動作させることにより、使用姿勢となるアームレストが設けられている。
しかしながら、自動車のシートに設けられたアームレストは、シートバックとの間に生じる摩擦抵抗により収納状態を保持する構造であるため、例えば、シート地が皮革からなるシートのように、シートバックとアームレストとの間に生じる摩擦抵抗が小さい場合には、シートに衝撃が加えられると、収納位置から飛び出したり、前方へ倒した状態のシートバックを起き上げるときに、収納状態を保持できずに、置き去りとなるという問題があった。
特開平8−182635号公報
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、ダンパ機構とクリック機構を合わせ持つロータリーダンパの小型化を図ることを課題とするものである。また、本発明は、シートバックとの間に生じる摩擦抵抗が小さい場合でも、収納状態を保持し得るアームレストを備えたシートを提供することを課題とするものである。
本発明は、上記課題を解決するため、以下のロータリーダンパ及びシートを提供する。
(1)粘性流体が充填される流体室内に、揺動可能に設けられるベーンを備えたロータリーダンパであって、前記ベーンの少なくとも一部が弾性変形可能とされると共に、前記流体室に、前記ベーンの弾性変形可能な部分が係合する被係合部が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
(2)前記被係合部が、前記流体室の周壁を形成するハウジングの一部として、該ハウジングと一体に成形されていることを特徴とする前記(1)に記載のロータリーダンパ。
(3)前記被係合部が、前記流体室の周面に設けられると共に、該周面に対向する前記ベーンの先端は、前記被係合部に係合する一面寄りの一部以外の部分が、他面側に向かうに従って前記流体室周面との間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつ前記ベーンの先端付近には、一面側に開口する窪みが設けられることにより、弾性変形可能とされていることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のロータリーダンパ。
(4)前記ベーンは、その先端に存する一面寄りの一部が、前記流体室の周面に圧接する径方向長さを有することを特徴とする前記(3)に記載のロータリーダンパ。
(5)前記ベーンが、単一の部材から構成されることを特徴とする前記(3)又は(4)に記載のロータリーダンパ。
(6)回転動作するアームレストと、該アームレストの回転動作を制御するロータリーダンパとを備えたシートであって、前記ロータリーダンパは、粘性流体が充填される流体室内に、揺動可能に設けられるベーンを備えると共に、前記ベーンの少なくとも一部が弾性変形可能とされると共に、前記流体室に、前記ベーンの弾性変形可能な部分が係合する被係合部を有することを特徴とするシート。
(7)前記ロータリーダンパを構成する被係合部が、前記流体室の周壁を形成するハウジングの一部として、該ハウジングと一体に成形されていることを特徴とする前記(6)に記載のシート。
(8)前記ロータリーダンパを構成する被係合部が、前記流体室の周面に設けられると共に、該周面に対向する前記ベーンの先端は、前記被係合部に係合する一面寄りの一部以外の部分が、他面側に向かうに従って前記流体室周面との間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつ前記ベーンの先端付近には、一面側に開口する窪みが設けられることにより、弾性変形可能とされていることを特徴とする前記(6)又は(7)に記載のシート。
(9)前記ロータリーダンパを構成するベーンは、その先端に存する一面寄りの一部が、前記流体室の周面に圧接する径方向長さを有することを特徴とする前記(8)に記載のシート。
(10)前記ロータリーダンパを構成するベーンが、単一の部材から構成されることを特徴とする前記(8)又は(9)に記載のシート。
前記(1)に記載の本発明によれば、ベーンの弾性変形可能な部分が、流体室に設けられた被係合部に係合することにより、ベーンの移動を阻止することができるため、ダンパ機構とクリック機構を合わせ持つロータリーダンパにおいて、小型化を図ることが可能となる。
前記(2)に記載の本発明によれば、前記被係合部が、前記流体室の周壁を形成するハウジングの一部として、該ハウジングと一体に成形されているため、ダンパ機構を構成する部材以外の部材を必要としないで、クリック機構を構成することが可能となる。従って、従来よりも部品点数を減少させ、製造コストを低下させることが可能となる。
前記(3)に記載の本発明によれば、前記被係合部が、前記流体室の周面に設けられると共に、該周面に対向する前記ベーンの先端は、前記被係合部に係合する一面寄りの一部以外の部分が、他面側に向かうに従って前記流体室周面との間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつ前記ベーンの先端付近には、一面側に開口する窪みが設けられることにより、弾性変形可能とされているため、ベーンの揺動方向によって発揮する制動力に差を生じさせることが可能となる。すなわち、ベーンの一面により粘性流体を圧縮するときには、前記窪みの内部に存する粘性流体の圧力が大きくなることで、ベーンの先端が変形し、一面寄りの一部と流体室の周面との間の隙間が小さくなるため、発揮する制動力を大きなものとすることができる。逆に、ベーンの他面により粘性流体を圧縮するときには、前記窪みの内部に存する粘性流体の圧力が小さくなると共に、ベーンの先端に形成される斜面(一面寄りの一部以外の部分)が粘性流体の圧力を受けることで、ベーンの先端が変形し、一面寄りの一部と流体室の周面との間の隙間が大きくなるため、発揮する制動力を小さなものとすることができる。
前記(4)に記載の本発明によれば、前記ベーンは、その先端に存する一面寄りの一部が、前記流体室の周面に圧接する径方向長さを有するため、ベーンの一面により粘性流体を圧縮する際のシール性を高めることができ、より大きな制動力を発揮することが可能となる。
前記(5)に記載の本発明によれば、前記ベーンが、単一の部材から構成されるため、ダンパ機構を構成する部材以外の部材を必要としないで、クリック機構を構成することができ、また、ベーンとは別個に形成され、ベーンに組み付けられる部材を必要としないで、ベーンの揺動方向によって発揮する制動力に差を生じさせることが可能となる。
前記(6)に記載の本発明によれば、アームレストの回転動作を制御するロータリーダンパは、粘性流体が充填される流体室内に、揺動可能に設けられるベーンを備えると共に、前記ベーンの少なくとも一部が弾性変形可能とされると共に、前記流体室に、前記ベーンの弾性変形可能な部分が係合する被係合部を有するため、アームレストとシートバックとの間に生じる摩擦抵抗が小さい場合でも、アームレストの収納状態を保持することが可能となる。また、ロータリーダンパの設置スペースが小さくて済むという利点がある。
前記(7)に記載の本発明よれば、前記ロータリーダンパを構成する被係合部が、前記流体室の周壁を形成するハウジングの一部として、該ハウジングと一体に成形されているため、ロータリーダンパを構成する部品点数を減少させ、ロータリーダンパの製造コストを低下させることができ、その結果、シートの製造コストも低下させることが可能となる。
前記(8)に記載の本発明によれば、前記ロータリーダンパを構成する被係合部が、前記流体室の周面に設けられると共に、該周面に対向する前記ベーンの先端は、前記被係合部に係合する一面寄りの一部以外の部分が、他面側に向かうに従って前記流体室周面との間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつ前記ベーンの先端付近には、一面側に開口する窪みが設けられることにより、弾性変形可能とされているため、ロータリーダンパは、ベーンの揺動方向によって発揮する制動力に差を生じさせることができる。従って、アームレストを一方向へ回転動作させるときには、その動きを緩慢なものとさせ、逆方向へ回転動作させるときには、自由に動作させることが可能となる。
前記(9)に記載の本発明によれば、前記ロータリーダンパを構成するベーンは、その先端に存する一面寄りの一部が、前記流体室の周面に圧接する径方向長さを有するため、ロータリーダンパは、より大きな制動力を発揮することができる。従って、アームレスト自体の重量が重い場合でも、その回転動作を適切に制御することが可能となる。
前記(10)に記載の本発明によれば、前記ロータリーダンパを構成するベーンが、単一の部材から構成されるため、ロータリーダンパを構成する部品点数を減少させ、ロータリーダンパの製造コストを低下させることができ、その結果、シートの製造コストも低下させることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
図1〜図3は、本発明の一実施例に係るロータリーダンパを示す図であり、図1は、内部構造を示す図、図2は、図1のA−A部断面図、図3は、図1のB−B部断面図である。本実施例に係るロータリーダンパは、これらの図に示したように、ハウジング11、ロータ12、隔壁13、ベーン14及びプラグ15を有して構成される。
ハウジング11は、該ハウジング11の外周に存する断面略円形の周壁11a及び該ハウジング11の一方の端部を閉塞する底壁11bに加えて、さらに周壁11aよりも小さい径を有する断面略円形の内壁11cを有して構成される。この内壁11cは、後述のロータ12を支持する役割を果たす。また、内壁11cを設けることにより、粘性流体の漏出を防止するシール部材の配設スペースを作り出すことができるという利点がある。図2及び図3において符号18は、シール部材としてのOリングである。
ロータ12は、ハウジング11の軸方向長さよりも短い軸方向長さを有する断面略円形に形成されると共に、軸心に沿って貫通する断面略四角形の孔部12aを有して構成されている。このロータ12は、ハウジング11の底壁11bの内面に対向する端面に形成された溝12bに、ハウジング11の内壁11cが挿入された状態で、ハウジング11内に回転可能に収容されている。
隔壁13は、ハウジング11の周壁11aから軸心に向かって突出するように、ハウジング11と一体に成形されている。この隔壁13は、その先端面がロータ12の外周面に摺接するように形成される。この隔壁13により、ロータ12とハウジング11との間に形成される空間が仕切られることにより、ハウジング11内に、シリコンオイル等の粘性流体が充填される流体室17が形成される。
ベーン14は、ロータ12の外周面から流体室17の周面(ハウジング11の内周面)17aに向かって突出するように、ロータ12と一体に成形されている。このベーン14が、流体室17内に配設されることにより、流体室17は、2つの室(以下それぞれを「第1室」「第2室」という。)17a,17bに区画される。
流体室17の周面17cに対向するベーン14の先端は、一面14a寄りの一部14c以外の部分14dが、他面14b側に向かうに従って流体室17の周面17cとの間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつベーン14の先端付近には、一面14a側に開口する略U字状の窪み14eが設けられることにより、弾性変形可能とされている。
また、ベーン14は、その先端に存する一面14a寄りの一部14cが、流体室17の周面17cに圧接する径方向長さを有している。すなわち、ベーン14の径方向長さは、ハウジング11内に収容される前の状態では、ロータ12の外周面から流体室17の周面17cに至るまでの距離よりも大きく設定されており、従って、このベーン14を流体室17内に配設したときには、ベーン14の先端に存する一面14a寄りの一部14cが、流体室17の周面17cに圧接された状態となっている。
また、ベーン14は、図1に示したように、単一の部材として構成されており、該ベーン14と別個に形成された後、該ベーン14に組み付けられる部材を何等具備することなく構成されている。
ベーン14が配設される流体室17の周面17cには、該周面17cから突出する被係合部16が設けられている。この被係合部16は、流体室17の周面17cにおける所定位置に、軸方向に沿って***する小突起からなり、図1に示したように、流体室17の周壁17aを形成するハウジング11の一部として、該ハウジング11と一体に成形されている。
ハウジング11の開口部は、ハウジング11内にロータ12及びベーン14を配設し、かつ粘性流体を充填した後、プラグ15により閉塞される。このプラグ15は、その一部がロータ12の上端面側に形成された溝12cに嵌入されると共に、その周縁がかしめ加工によりハウジング11に接合されている。
上記のように構成されるロータリーダンパによれば、図4に示したように、ベーン14の先端に存する一面14a寄りの一部14cが、流体室17の周面17cに設けられた被係合部16に係合することにより、ベーン14の反時計回り方向への移動を阻止することができる。
ここで、ベーン14の先端は、弾性変形可能に構成されているため、被係合部16に係合するときには、まず、一面14a寄りの一部14cが被係合部16の上に乗り上がるように変形し、その後、一面14a寄りの一部14cが被係合部16を乗り越えることで、再び一面14a寄りの一部14cが流体室17の周面17cに圧接するように変形する。
ベーン14の先端に存する一面14a寄りの一部14c以外の部分14dは、他面14b側に向かうに従って流体室17の周面17cとの間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされているため、一面14a寄りの一部14cが被係合部16に係合し易くなっている。
そして、ベーン14が被係合部16に係合したならば、被係合部16がベーン14の反時計回り方向への移動を阻止する障害物となり、ロータリーダンパに所定以上の負荷が加えられない限り、ロータ12の回転を停止状態とすることができる。
一方、ロータリーダンパに所定以上の負荷が加えられたときには、ベーン14の先端が変形して、ベーン14と被係合部16との係合状態が解除される。これにより、ベーン14は、反時計回り方向へ移動可能となり、ロータの停止状態も解除され、ロータが回転可能となる。
ベーン14と被係合部16との係合状態が解除されているときに、ロータ12が、図5に示したように、反時計回り方向(制動力発揮方向)に回転すると、ベーン14により、第1室17aの粘性流体が圧縮され、第1室17aの粘性流体は、ベーン14と流体室17の内面との間に形成される隙間を通じて第2室17bへ移動しようとする。また、このとき、ベーン14に設けられた窪み14eの内部に存する粘性流体の圧力が上昇して大きくなることにより、一面14a寄りの一部14cと流体室17の周面17cとの間の隙間が小さくなるように、ベーン14の先端が変形し、一面14a寄りの一部14cが流体室17の周面17cに強く圧接される。これにより、ベーン14の一面14a寄りの一部14cと流体室17の周面17cとの密着の度合いがさらに高められるため、第1室17aから第2室17bへ移動する際に生じる粘性流体の抵抗が大きなものとなり、ロータの回転力を大幅に減衰させることができる。
一方、ロータ12が、図6に示したように、時計回り方向(制動力非発揮方向)に回転した場合には、ベーン14により、第2室17bの粘性流体が圧縮され、第2室17bの粘性流体は、ベーン14と流体室17の内面との間に形成される隙間を通じて第1室17aへ移動しようとする。このとき、ベーン14に設けられた窪み14eの内部に存する粘性流体の圧力は減少して小さくなり、これに加えて、ベーン14の先端に形成される斜面(一面14a寄りの一部14c以外の部分14d)が粘性流体の圧力を受けるため、ベーン14の一面14a寄りの一部14cと流体室17の周面17cとが離間するように、ベーン14の先端が変形し、一面14a寄りの一部14cと流体室17の周面17cとの間に大きな隙間が形成される。これにより、粘性流体は、ベーン14の先端に存する一面14a寄りの一部14cと流体室17の周面17cとの間に形成される隙間を通じて大量に移動可能となるため、第2室17bから第1室17aへ移動する際に生じる粘性流体の抵抗は非常に小さなものとなる。その結果、ロータ12は、その回転力が殆ど減衰されずに回転することができる。
上記のように、本実施例に係るロータリーダンパによれば、ダンパ機構が内在する流体室17内において、ベーン14の弾性変形可能な部分が、流体室17に設けられた被係合部16に係合することにより、ベーン14の移動を阻止することができるため、ダンパ機構とクリック機構を合わせ持つロータリーダンパにおいて、小型化を図ることが可能となる。
また、被係合部16が、流体室17の周壁を形成するハウジング11の一部として、該ハウジング11と一体に成形され、また、被係合部16に係合する弾性変形可能な部分を有するベーン14が単一の部材から構成されるため、ダンパ機構を構成する部材以外の部材を必要としないで、クリック機構を構成することが可能となる。従って、従来よりも部品点数を減少させ、製造コストを低下させることが可能となる。
また、ベーン14の先端は、被係合部16に係合する一面14a寄りの一部14c以外の部分14dが、他面14b側に向かうに従って流体室17の周面17cとの間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつベーン14の先端付近には、一面14a側に開口する窪み14eが設けられることにより、弾性変形可能とされているため、ベーン14の揺動方向によって発揮する制動力に差を生じさせることが可能となる。
さらに、ベーン14は、その先端に存する一面14a寄りの一部14cが、流体室17の周面17cに圧接する径方向長さを有することにより、従来のロータリーダンパと比較して、優れた制動特性を発揮することが可能となる。すなわち、本実施例に係るロータリーダンパ(実施例)と、図7〜図11に示した従来のロータリーダンパ(比較例)とを用いて実験をしたところ、本実施例に係るロータリーダンパは、優れた制動特性を有することが確認された。
実験は、ロータリーダンパのハウジング11,21を所定位置に固定し、ロータ12,22にアーム(制御対象物)と共に回転する軸を連結し、アームに対して、2.5N・mと、5N・mの負荷をそれぞれ加えて、アームを回転動作させた。アームの回転角度は、水平の状態を0°とし、+80°地点からアームを回転動作させ、+30°地点(水平状態から30°上方の地点)から−30°地点(水平状態から30°下方の地点)に至るまでの動作時間を計測した。
実験は、ロータ12,22が制動力発揮方向に回転するようにロータリーダンパを設置した場合と、ロータ12,22が制動力非発揮方向に回転するようにロータリーダンパを設置した場合とで、それぞれ3回行われた。
実験の結果、ロータ12,22が制動力発揮方向に回転するようにロータリーダンパを設置した場合の平均動作時間は、負荷が2.5N・mのときに、比較例のものが8.8秒であったのに対して、実施例のものは12.1秒であり、負荷が5N・mのときに、比較例のものが1.7秒であったのに対して、実施例のものは2.0秒であった(図12参照)。
また、ロータ12,22が制動力非発揮方向に回転するようにロータリーダンパを設置した場合の平均動作時間は、負荷が2.5N・mのときに、比較例のものが0.80秒であったのに対して、実施例のものは0.58秒であり、負荷が5N・mのときに、比較例のものが0.29秒であったのに対して、実施例のものは0.25秒であった(図13参照)。
この実験の結果から、実施例のものは、比較例のものよりも、ロータ12が制動力発揮方向に回転する際には、その回転力を減衰させることができ、また、ロータ12が制動力非発揮方向に回転する際には、その回転力を減衰させないようにすることができるという優れた制動特性を有することが確認された。
図14及び図15は、本実施例に係るロータリーダンパを、自動車のシートに適用した例を示す図である。このシート30は、回転動作するアームレスト31を具備して構成され、本実施例に係るロータリーダンパ10は、アームレスト31の回転動作を制御するために、ハウジング11がアームレスト31のフレームに固定され、ロータ12がアームレスト31の支軸32に連結されて設置されている。
このシート30によれば、アームレスト31がシートバック33の前面から突出しない位置に起立した姿勢で収納された状態のときに、ロータリーダンパ10を構成するベーン14が被係合部16に係合した状態となるように、ロータリーダンパ10を設置することで、アームレスト31とシートバック33との間に生じる摩擦抵抗が小さい場合でも、アームレスト31の飛び出しや置き去りを発生させることなく、アームレスト31の収納状態を保持することができる。また、ロータリーダンパ10を小型に構成することができるため、ロータリーダンパ10の設置スペースが小さくて済むという利点がある。
また、このシート30によれば、アームレスト31を収納状態から下方へ回転動作させて使用状態にする場合に、ロータリーダンパ10の発揮する制動力により、アームレスト31の回転動作を緩慢なものとさせることができる。
一方、アームレスト31を使用状態から上方へ回転動作させて収納状態にする場合には、ロータリーダンパ10の発揮する制動力が非常に小さいため、アームレスト31を小さい力で、自由に回転動作させることができる。
本発明の一実施例に係るロータリーダンパの内部構造を示す図である。 図1におけるA−A部断面図である。 図1におけるB−B部断面図である。 ベーンと被係合部との係合状態を示す図である。 ロータが制動力発揮方向に回転したときの状態を示す図である。 ロータが制動非発揮方向に回転したときの状態を示す図である。 従来のロータリーダンパ(比較例)の内部構造を示す図である。 図7におけるA−A部断面図である。 図7におけるB−B部断面図である。 図7におけるC−C部断面図であって、ロータが制動力発揮方向に回転したときの弁体の状態を示す図である。 図7におけるC−C部断面図であって、ロータが制動力非発揮方向に回転したときの弁体の状態を示す図である。 ロータが制動力発揮方向に回転したときの制動特性を示すグラフである。 ロータが制動力非発揮方向に回転したときの制動特性を示すグラフである。 シートの斜視図である。 アームレストにロータリーダンパを取り付けた状態を示す図である。
符号の説明
10 ロータリーダンパ
11,21 ハウジング
12,22 ロータ
13,23 隔壁
14,24 ベーン
15,25 プラグ
16,26 被係合部
17,27 流体室
17a,27a 第1室
17b,27b 第2室
18 Oリング
28 流体通路
28a 大径部
28b 小径部
29 弁体
30 シート
31 アームレスト
32 支軸
33 シートバック

Claims (10)

  1. 粘性流体が充填される流体室内に、揺動可能に設けられるベーンを備えたロータリーダンパであって、前記ベーンの少なくとも一部が弾性変形可能とされると共に、前記流体室に、前記ベーンの弾性変形可能な部分が係合する被係合部が設けられていることを特徴とするロータリーダンパ。
  2. 前記被係合部が、前記流体室の周壁を形成するハウジングの一部として、該ハウジングと一体に成形されていることを特徴とする請求項1に記載のロータリーダンパ。
  3. 前記被係合部が、前記流体室の周面に設けられると共に、該周面に対向する前記ベーンの先端は、前記被係合部に係合する一面寄りの一部以外の部分が、他面側に向かうに従って前記流体室周面との間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつ前記ベーンの先端付近には、一面側に開口する窪みが設けられることにより、弾性変形可能とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載のロータリーダンパ。
  4. 前記ベーンは、その先端に存する一面寄りの一部が、前記流体室の周面に圧接する径方向長さを有することを特徴とする請求項3に記載のロータリーダンパ。
  5. 前記ベーンが、単一の部材から構成されることを特徴とする請求項3又は4に記載のロータリーダンパ。
  6. 回転動作するアームレストと、該アームレストの回転動作を制御するロータリーダンパとを備えたシートであって、前記ロータリーダンパは、粘性流体が充填される流体室内に、揺動可能に設けられるベーンを備えると共に、前記ベーンの少なくとも一部が弾性変形可能とされると共に、前記流体室に、前記ベーンの弾性変形可能な部分が係合する被係合部を有することを特徴とするシート。
  7. 前記ロータリーダンパを構成する被係合部が、前記流体室の周壁を形成するハウジングの一部として、該ハウジングと一体に成形されていることを特徴とする請求項6に記載のシート。
  8. 前記ロータリーダンパを構成する被係合部が、前記流体室の周面に設けられると共に、該周面に対向する前記ベーンの先端は、前記被係合部に係合する一面寄りの一部以外の部分が、他面側に向かうに従って前記流体室周面との間隔が大きくなるよう傾斜した斜面とされ、かつ前記ベーンの先端付近には、一面側に開口する窪みが設けられることにより、弾性変形可能とされていることを特徴とする請求項6又は7に記載のシート。
  9. 前記ロータリーダンパを構成するベーンは、その先端に存する一面寄りの一部が、前記流体室の周面に圧接する径方向長さを有することを特徴とする請求項8に記載のシート。
  10. 前記ロータリーダンパを構成するベーンが、単一の部材から構成されることを特徴とする請求項8又は9に記載のシート。
JP2003430750A 2003-12-25 2003-12-25 ロータリーダンパ及びシート Pending JP2005188634A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003430750A JP2005188634A (ja) 2003-12-25 2003-12-25 ロータリーダンパ及びシート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003430750A JP2005188634A (ja) 2003-12-25 2003-12-25 ロータリーダンパ及びシート

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005188634A true JP2005188634A (ja) 2005-07-14

Family

ID=34789030

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003430750A Pending JP2005188634A (ja) 2003-12-25 2003-12-25 ロータリーダンパ及びシート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005188634A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012132097A1 (ja) * 2011-03-31 2012-10-04 オイレス工業株式会社 ロータリダンパ
JP2020175696A (ja) * 2019-04-15 2020-10-29 株式会社ソミック石川 制止装置、ロータリーダンパ、及びアームレスト
KR20220055246A (ko) * 2020-10-26 2022-05-03 주식회사 서연이화 콘솔 암레스트의 개폐 구조체

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012132097A1 (ja) * 2011-03-31 2012-10-04 オイレス工業株式会社 ロータリダンパ
CN103403388A (zh) * 2011-03-31 2013-11-20 奥依列斯工业株式会社 旋转阻尼器
US9121468B2 (en) 2011-03-31 2015-09-01 Oiles Corporation Rotary damper
CN103403388B (zh) * 2011-03-31 2015-10-14 奥依列斯工业株式会社 用于通过限制填充的粘性流体的运动来产生抵抗施加的旋转力的阻尼转矩的旋转阻尼器
RU2573001C2 (ru) * 2011-03-31 2016-01-20 Ойлес Корпорейшн Ротационное демпфирующее устройство
JP2020175696A (ja) * 2019-04-15 2020-10-29 株式会社ソミック石川 制止装置、ロータリーダンパ、及びアームレスト
KR20220055246A (ko) * 2020-10-26 2022-05-03 주식회사 서연이화 콘솔 암레스트의 개폐 구조체
KR102427939B1 (ko) 2020-10-26 2022-08-03 주식회사 서연이화 콘솔 암레스트의 개폐 구조체

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5103471B2 (ja) 自動閉鎖式のドアその他特にガラスドアその他のための蝶番構造物および該構造物を備えた集成体
JP5167247B2 (ja) 減衰装置を有する家具用ヒンジ
JP4382799B2 (ja) 緩衝調整素子
JP4308254B2 (ja) ダンパー付きヒンジ
EP1371873A1 (en) Damper
TWI386542B (zh) 傢俱鉸鏈
JP5663042B2 (ja) 回転ダンパ及びダンパ付きヒンジ装置
US20080277964A1 (en) Motion Control Apparatus and Door of Motor Vehicle
JP5681047B2 (ja) 回転ダンパ
JP4625451B2 (ja) ロータリーダンパ
WO2003106860A1 (ja) 回転ダンパ及びコンソールボックス
JP2005188636A (ja) ロータリーダンパ
JP2005188634A (ja) ロータリーダンパ及びシート
US20050252740A1 (en) Rotary damper
JP5113799B2 (ja) 回転ダンパー
JP6325387B2 (ja) 扉操作補助装置
JP6325386B2 (ja) 扉操作補助装置
JP2006153034A (ja) 回転ダンパ
JP2003206973A (ja) 回転ダンパ
KR101241027B1 (ko) 자동차 시트의 등받이 회전각 조절 장치 및 이에 사용되는 로터리 댐퍼
JP2007085503A (ja) 運動制御装置
JP4837510B2 (ja) ロータリーダンパ
CN112294169A (zh) 流体阻尼装置
JP2007113760A (ja) 運動制御装置の取付方法
JP2906321B2 (ja) リフト閉止ユニットの開閉弁装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060313

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20070312

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080725

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080814

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20081204