JP2005185187A - 微生物細胞壁水溶性画分及びその製造方法 - Google Patents

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【課題】 簡便かつ低コストで、効率良く高い収率で十分な量の微生物細胞壁水溶性画分を得ることができる微生物細胞壁水溶性画分の製造方法及び当該製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分を提供すること。
【解決手段】 100℃よりも高い温度であり、この温度における飽和蒸気圧を超えない圧力下にある水に微生物の細胞壁を接触させる工程を含むことを特徴とする微生物細胞壁水溶性画分の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、微生物細胞壁水溶性画分及びその製造方法に関する。
多糖を主要な構成成分とする微生物の細胞壁は、免疫賦活作用を有することが従来から知られており、医薬品としても認可されているものもある。例えば、スエヒロタケの培養ろ過液抽出分であるシゾフィラン、カワラタケ菌糸体抽出分であるクレスチン、連鎖球菌細胞壁成分などは既に抗腫瘍剤として治療に用いられている。また、近年、腸内細菌や乳酸菌の細胞壁成分についても、その腸管免疫に対する影響が解明されつつある。
しかしながら、一般に、微生物の細胞壁は水や酸、アルカリに溶け難いことから、用途が経口用の固形製剤に限られている。また、微生物の細胞壁から精製したβ−グルカンも抗腫瘍作用があることが知られているが、β−グルカンも水に対する溶解度が低いため、液体としての摂取量は限られ、固形製剤として用いられている。
そのため、これらの不溶性細胞壁成分を可溶化する試みが従来よりなされている。例えば、特許文献1には、高温・高圧水による水溶性高分子物質の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、酵母を高圧ホモジナイズ処理し、自己消化処理を施し、細胞壁溶解酵素処理を施すことによる酵母由来可溶性多糖の製造方法が開示されている。
特開2002−105101号公報 特開2002−209598号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、水の飽和蒸気圧よりも高い圧力状態にある高温・高圧水で処理することが要件となっており、その高圧に耐え得る重厚な耐圧容器を必要とする。また、用いている材料は純度の高い多糖類のみであり、微生物全般に適用できるか否かは明らかでない。
また、特許文献2に記載の方法は、工程数が多く複雑である、生物反応を利用しているため長時間を要する、酵素を用いているため製造費用が高騰するおそれがある等のデメリットがある。
そこで、本発明の目的は、簡便かつ低コストで、効率良く高い収率で十分な量の微生物細胞壁水溶性画分を得ることができる微生物細胞壁水溶性画分の製造方法、及び当該製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、100℃よりも高い温度であり、この温度における飽和蒸気圧を超えない圧力下にある水(以下、「高温・高圧水」という。)に微生物の細胞壁を接触させる工程を含むことを特徴とする微生物細胞壁水溶性画分の製造方法を提供する。
本発明は、また、前記製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分を提供する。
本発明者らは、ビール酵母エキス抽出残渣である酵母細胞壁を上記の高温・高圧水に一定時間接触させることにより、分子量10万以上の高分子化合物を60%以上含有する微生物細胞壁水溶性画分を簡便に得られることを見出した。また、上記の高温・高圧水に酸を添加することにより、非添加時に比べて低い温度でも、微生物細胞壁水溶性画分を効率良く得られることを本発明者らは見出した。さらに、ビール酵母のみならず、カビ、キノコ類、細菌などの各種微生物の細胞壁を上記の高温・高圧水に一定時間接触させることにより、微生物細胞壁水溶性画分が得られることを見出した。このように、本発明の製造方法によれば、簡便にかつコストをかけずに微生物細胞壁水溶性画分を製造することができる。
本発明者らは、また、本発明の製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分に含まれる糖の組成が、従来の製造方法により得られるものとは著しく異なることも見出した。例えば、ビール酵母エキス抽出残渣を用いて本発明の製造方法により得た微生物細胞壁水溶性画分の構成糖であるグルコース及びマンノースのモル比は約1:2であり、特許文献2に記載された酵母由来可溶性多糖の組成グルコース:マンノース=約2:1とは全く異なる。
そして、本発明者らは、本発明の製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分は、整腸作用や保湿作用があることも見出した。したがって、本発明は、本発明の微生物細胞壁水溶性画分を含有する食品又は化粧品をも提供する。
簡便かつ低コストで、効率良く高い収率で十分な量の微生物細胞壁水溶性画分を得ることができる微生物細胞壁水溶性画分の製造方法及び当該製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
まず、本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法について説明する。本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法は、100℃よりも高い温度であり、この温度における飽和蒸気圧を超えない圧力下にある水に微生物の細胞壁を接触させる工程を含むことを特徴とする。
また、本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法は、100℃よりも高い温度の水に、この温度における飽和蒸気圧下で、微生物の細胞壁を接触させる工程を含むことを特徴とする。
本工程(以下、「高温・高圧水処理工程」という。)に用いる微生物の細胞壁は特に制限されないが、効率良く微生物細胞壁水溶性画分が得られ、得られる微生物細胞壁水溶性画分の作用(整腸作用や保湿作用)が優れているため、酵母、カビ又は担子菌の細胞壁であることが好ましく、特に酵母エキス抽出残渣であることが好ましい。酵母エキス抽出残渣とは、公知の方法、例えば、特開平11−187842号公報等に記載の方法により、酵母から酵母エキスを抽出する際に得られる残渣をいう。
高温・高圧水処理工程における高温・高圧水と微生物の細胞壁とを接触させる方法としては、例えば、微生物の細胞壁と水とをステンレス製の耐圧容器の中に入れ、当該容器を密閉し、100℃よりも高い所定の温度に設定された油浴の中に当該容器を入れて保温する方法などが挙げられる。なお、容器内の空気をアルゴン等の不活性ガスに置換した後に、容器を密閉し、保温してもよい。
高温・高圧水の温度は、温度が低いと微生物細胞壁水溶性画分の回収率が悪くなる傾向があり、温度が高いと微生物細胞壁水溶性画分の活性成分の分解が生じる傾向があるため、100℃よりも高く250℃以下であることが好ましく、120℃以上250℃以下であることがさらに好ましく、180℃以上220℃以下であることが最も好ましい。
高温・高圧水に微生物の細胞壁を接触させる時間は、時間が短いと微生物細胞壁水溶性画分の回収率が悪くなる傾向があり、時間が長いと微生物細胞壁水溶性画分の活性成分の分解が生じる傾向があるため、5分以上20分以下でることが好ましく、10分以上20分以下であることがさらに好ましく、13分以上18分以下であることが最も好ましい。
また、高温・高圧水に酸を添加すると、非添加時に比べて低い水温や短い接触時間でも効率良く微生物細胞壁水溶性画分を得ることができるため、高温・高圧水には酸が添加されていてもよい。添加する酸としては、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸(二酸化炭素)などの鉱酸や、酢酸や乳酸などの有機酸などの様々な酸が利用可能である。微生物細胞壁水溶性画分を効率良く得ることができる、後処理がしやすい等の観点から、添加する酸としては、硫酸、リン酸、酢酸及び炭酸からなる群より選ばれる少なくとも一つの酸であることが好ましい。添加する酸の濃度は、酸の種類によって異なるが、一般に、酸の濃度が低いと微生物細胞壁水溶性画分の回収率が悪くなる傾向があり、酸の濃度が高いと微生物細胞壁水溶性画分の活性成分の分解が生じる傾向があるため、例えば硫酸の場合、0.01%以上0.5%以下(v/v)であることが好ましく、0.05%以上0.1%以下(v/v)であることがより好ましい。酸を添加すると、非添加時に比べて、より低い温度、より短い時間で効率良く微生物細胞壁水溶性画分が得られるが、例えば、0.1%(v/v)硫酸を用いた場合、高温・高圧水の温度は100℃よりも高く200℃以下であることが好ましく、130℃以上180℃以下であることがさらに好ましく、また、高温・高圧水に微生物の細胞壁を接触させる時間は5分以上20分以下でることが好ましく、7分以上15分以下であることがさらに好ましい。
高温・高圧水処理工程終了後に得られる反応液は、そのまま微生物細胞壁水溶性画分として利用することも可能であるし、例えば、反応液を遠心した後に上清を採取したものを微生物細胞壁水溶性画分として利用することも可能である。
また、得られる反応液を精製することにより、高分子化合物の含量を向上させ、微生物細胞壁水溶性画分の活性を上昇させることが可能である。したがって、本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法は、高温・高圧水処理工程の次に高分子化合物の含量を向上させる精製工程を含んでいることが好ましい。具体的な精製方法としては、例えば、メタノールや、エタノール、アセトンなどの水と混合可能な有機溶媒を用いた沈殿処理や、ゲルろ過、限外ろ過などの方法が挙げられる。高温・高圧水に酸を添加した場合は、精製工程により酸を除去することが可能であるため、精製工程があることが好ましい。
また、高温・高圧水に酸を添加した場合、必要に応じて、本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法は、高温・高圧処理工程と精製工程の間に、又は、精製工程の後に、酸を除去する工程を含んでいてもよい。酸の除去は、公知の方法により行うことができ、例えば、アルカリ等を用いて中和することが可能である。また、添加した酸が揮発性の場合は、蒸発により酸を除去することが可能である。酸として二酸化炭素を添加した場合は、高圧状態では二酸化炭素は水に十分溶解し酸として働く一方で、常圧に戻すことにより二酸化炭素は気体となり空気中に拡散するため、酸を除去する工程を特に必要としない。したがって、酸を除去する工程が不要であることから、高温・高圧水に添加する酸は二酸化炭素であることが好ましい。
上記工程を経て得られた微生物細胞壁水溶性画分は、そのまま食品に添加して用いることもできるが、ドラム乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥などの公知の乾燥方法により乾燥させることができる。乾燥させることで、微生物細胞壁水溶性画分の保存性を向上させることができる。したがって、本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法は、乾燥工程を含んでいてもよい。
本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法は、温度、時間の条件が決められているために、連続反応装置への応用が可能である。連続反応により、効率良くかつ安価に微生物細胞壁水溶性画分を得ることができる。
次に、本発明の微生物細胞壁水溶性画分について説明する。
本発明の微生物細胞壁水溶性画分は、上記本発明の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法により得られる。上記製造方法によれば、分子量10万以上の高分子を60%以上含有する微生物細胞壁水溶性画分が得られ、糖回収率(グルコース換算量)も70%以上の高回収率となる。なお、分子量の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)により求める。
本発明の微生物細胞壁水溶性画分は、高温・高圧水処理工程後に得られるもの、精製工程後に得られるもの、酸除去工程後に得られるもの、乾燥工程後に得られるもの、のいずれであってもよく、溶液や固体(粉末等)のいずれの態様をも含む。
本発明の微生物細胞壁水溶性画分は、食品の増量剤や安定剤などとして利用することが可能である。また、本発明の微生物細胞壁水溶性画分は、β−グルカンを含んでおり、ヒトの消化酵素では分解されないために、いわゆる食物繊維として食品や健康食品に利用することができる。さらに、高分子のβ−グルカンは、腸管免疫を活性化させる働きがあることが知られているため、本発明の微生物細胞壁水溶性画分は健康食品や医薬品原料としての用途も期待できる。なお、本発明の微生物細胞壁水溶性画分は水溶性であることから、酒類を含めた飲料に配合することも可能である。
本発明の微生物細胞壁水溶性画分を含有する食品には、例えば、水、清涼飲料水、果汁飲料、乳飲料、アルコール飲料等の飲料や、パン類、麺類、米類、豆腐、乳製品、醤油、味噌、菓子類等の食品等が含まれる。食品に含有される微生物細胞壁水溶性画分の濃度は特に限定されないが、適切な整腸作用を発揮させるためには、1〜10%(w/v,粉末換算)であることが好ましい。
本発明の微生物細胞壁水溶性画分を含有する化粧品には、例えば、化粧水、乳液、洗顔料、美容液、保湿クリーム、メイク落とし等が含まれる。化粧品に含有される微生物細胞壁水溶性画分の濃度は特に限定されないが、適切な保湿作用を発揮させるためには、0.5〜10%(w/v,粉末換算)であることが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<微生物細胞壁水溶性画分の製造>
直径4.6mm、長さ150mmのステンレス製耐圧管に0.1gのビール酵母エキス抽出残渣と3gの精製水とを加え、十分に懸濁させた。管を密閉した後、管を205℃の油浴中にて17分間保温することにより容器内の水蒸気圧を飽和蒸気圧に維持し、ビール酵母エキス抽出残渣を高温・高圧水処理した。
管を油浴から取り出し、水冷にて常温まで冷却した後、精製水を用いて容器内の反応液を回収した。回収した反応液は、1600×gの遠心分離により不溶性画分を除去し、酵母細胞壁水溶性画分である清澄な水溶液を得た。
この水溶液に含まれる全糖量(グルコース換算量)をフェノール・硫酸法にて測定したところ、処理前のビール酵母エキス抽出残渣を基準にした回収率が90%以上であった。
この水溶液を常法により凍結乾燥し、0.095gの淡黄色粉末を得た。
<微生物細胞壁水溶性画分の分子量分布分析>
上記方法で得られた酵母細胞壁水溶性画分の分子量分布の分析を、GPC(東ソー社製)にて、溶離液に10%アセトニトリル−90%水を用いて行った。得られたクロマトグラムを解析した結果、ピーク面積比で分子量10万以上の高分子化合物の画分が細胞壁水溶性画分全体の60%以上を占めていた。
<微生物細胞壁水溶性画分の糖組成分析>
上記方法で得られた酵母細胞壁水溶性画分(清澄な水溶液)を同容量のエタノールに加え、遠心分離(1600×g)を行い、沈殿画分を回収し、50%(v/v)エタノール水溶液にて沈殿を洗浄した。得られた沈殿を2N塩酸で110℃にて加水分解し、糖の組成を測定した結果、グルコース:マンノースのモル比は1:2であった。
(実施例2)
直径4.6mm、長さ150mmのステンレス製耐圧管に0.1gのビール酵母エキス抽出残渣と3gの0.1%(v/v)硫酸水溶液とを加え、十分に懸濁させた。管を密閉した後、管を160℃の油浴中にて15分間保温することにより容器内の水蒸気圧を飽和蒸気圧に維持し、ビール酵母エキス抽出残渣を高温・高圧水処理した。
管を油浴から取り出し、水冷にて常温まで冷却した後、精製水を用いて容器内の反応液を回収した。回収した反応液は、1600×gの遠心分離により不溶性画分を除去し、酵母細胞壁水溶性画分である清澄な水溶液を得た。
この水溶液に含まれる全糖量(グルコース換算量)をフェノール・硫酸法にて測定したところ、処理前のビール酵母エキス抽出残渣を基準にした回収率が90%以上であった。
(実施例3)
以下の方法により、酵母細胞壁水溶性画分を含有する健康食品(錠剤)を調製した。15gの本発明の酵母細胞壁水溶性画分の凍結乾燥粉末、45gのブドウ糖、30gのコーンスターチ、3gのブルーベリー果汁末、5gのクエン酸、0.5gのアスコルビン酸及び1.5gの香料をよく混合し、打錠した。
このようにして得られた錠剤は、風味・食感ともに違和感がなく、美味しく食することができた。
(実施例4)
以下の方法により、酵母細胞壁水溶性画分を含有する清涼飲料水を調製した。10gの本発明の酵母細胞壁水溶性画分(凍結乾燥品)、13gの果糖ブドウ糖液糖、1.5gの濃縮オレンジ果汁(6倍濃縮)、0.3gの酸味料及び1gの香料に、水を加えて1Lとした。
このようにして得られた清涼飲料水は、風味に違和感がなく、美味しく食することができた。
(実施例5)
以下の方法により、酵母細胞壁水溶性画分を含有するレーズンクッキーを調製した。ボールに25gのバターと50gの砂糖とを入れ、十分にすり混ぜた。そこに、半個分の卵を加えてクリーム状になるまでよくかき混ぜ、さらにバニラエッセンスを少量添加した。次に、90gのふるった小麦粉、小さじ1/4(約1.25cm)のベーキングパウダー及び10gの酵母細胞壁水溶性画分(凍結乾燥品)を加えて混ぜた。さらに、20gのレーズンを加えて分散するように軽く混ぜた後、まとめたものを麺棒にて4mm程度の厚さにのばした。型抜きしたものをオーブンにて160℃で15分ほど焼いた。
このようにして得られたレーズンクッキーは、酵母細胞壁水溶性画分(凍結乾燥品)の代わりに小麦粉を加えて調製したレーズンクッキーと比較して、風味・食感ともに違和感なく美味しく食することができた。
(実施例6)
市販のヤマブシタケ(凍結乾燥品)をクッキングミルにて粉末化した。この粉末0.1gを直径4.6mm、長さ150mmのステンレス製耐圧管に入れ、3gの精製水を加えて、十分に懸濁させた。管を密閉した後に、管を205℃の油浴中にて17分間保温することにより、容器内の水蒸気圧を飽和蒸気圧に維持し、ヤマブシタケの凍結乾燥粉末を高温・高圧水処理した。
管を油浴から取り出し、水冷にて常温まで冷却した後、精製水を用いて容器内の反応液を回収した。回収した反応液は、1600×gの遠心分離により不溶性画分を除去し、担子菌類細胞壁水溶性画分である清澄な水溶液を得た。
この水溶液に含まれる全糖量(グルコース換算量)をフェノール・硫酸法にて測定したところ、処理前のヤマブシタケ(凍結乾燥品)を基準にした回収率が90%以上であった。
(試験例1)
実施例1と同様の実験を繰り返すことにより、酵母細胞壁水溶性画分を凍結乾燥粉末として得た。
20匹のラット(SD系、6週齢、雄性)を無作為に10匹ずつ2つの群に分け、一方の群には酵母細胞壁水溶性画分を1%(w/v)の濃度で含有する水を、もう一方の群(対照群)には水を、給水ボトルから自由摂取させた。毎日同時刻に各群の糞を回収し、各群の糞の総量を測定した。摂取開始から5日目までの、糞便増加量を表1に示す。
Figure 2005185187
表1の結果から分かるように、酵母細胞壁水溶性画分摂取群の方が、対照群と比較して糞便増加量が多かった。このことから、細胞壁水溶性画分には、整腸作用があることが明らかとなった。
(試験例2)
実施例1と同様の実験を繰り返すことにより、酵母細胞壁水溶性画分を凍結乾燥粉末として得た。
20代の女性6人を被験者とし、左右のいずれかの腕に酵母細胞壁水溶性画分を1%(w/v)の濃度で含有する化粧水を塗布し、もう一方の腕に何も加えない化粧水(対照)を塗布した(盲検試験)。塗布から約10分後に、どちらの化粧水の保湿効果が強いかを被験者に回答してもらった。その結果を表2に示す。
Figure 2005185187
表2の結果から分かるように、細胞壁水溶性画分を化粧水に配合すると、非配合の化粧水に比べて保湿効果が強いことが明らかとなった。

Claims (10)

  1. 100℃よりも高い温度であり、この温度における飽和蒸気圧を超えない圧力下にある水に微生物の細胞壁を接触させる工程を含むことを特徴とする微生物細胞壁水溶性画分の製造方法。
  2. 請求項1記載の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法であって、前記温度が100℃よりも高く250℃以下であることを特徴とする製造方法。
  3. 請求項1又は2記載の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法であって、前記水に酸が添加されていることを特徴とする製造方法。
  4. 請求項3記載の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法であって、前記酸が硫酸、リン酸、酢酸及び炭酸からなる群より選ばれる少なくとも一つの酸であることを特徴とする製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項記載の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法であって、前記水に前記微生物を接触させる時間が5分以上20分以下であることを特徴とする製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項記載の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法であって、前記微生物が酵母、カビ又は担子菌であることを特徴とする製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の微生物細胞壁水溶性画分の製造方法により得られる微生物細胞壁水溶性画分。
  8. 請求項7記載の微生物細胞壁水溶性画分であって、分子量10万以上の高分子化合物の含有割合が60%以上であることを特徴とする微生物細胞壁水溶性画分。
  9. 請求項7又は8記載の微生物細胞壁水溶性画分を含有する食品。
  10. 請求項7又は8記載の微生物細胞壁水溶性画分を含有する化粧品。
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