JP2005183243A - プラズマディスプレイパネルの製造方法 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2005183243A
JP2005183243A JP2003424154A JP2003424154A JP2005183243A JP 2005183243 A JP2005183243 A JP 2005183243A JP 2003424154 A JP2003424154 A JP 2003424154A JP 2003424154 A JP2003424154 A JP 2003424154A JP 2005183243 A JP2005183243 A JP 2005183243A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
front plate
protective film
manufacturing
pdp
panel
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2003424154A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4396261B2 (ja
Inventor
Masafumi Morita
雅史 森田
Yoshihiro Yanagi
義弘 柳
Tomohiro Okumura
智洋 奥村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2003424154A priority Critical patent/JP4396261B2/ja
Publication of JP2005183243A publication Critical patent/JP2005183243A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4396261B2 publication Critical patent/JP4396261B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Gas-Filled Discharge Tubes (AREA)

Abstract

【課題】プラズマディスプレイパネルの初期放電特性の安定性、均一性を向上させ、エージング時間の短縮を実現する。
【解決手段】前面ガラス基板上に維持電極、走査電極、誘電体層、保護層を順次形成して前面板を製造する工程S10と、背面ガラス基板上にデータ電極、下地誘電体層、複数の隔壁、蛍光体層を順次形成して背面板を製造する工程S20と、前面板と背面板を重ね合わせて接合し、接合した基板内部を排気して放電ガスを封入する組立工程S30を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、前面板を製造する工程S10にて製造された前面ガラス基板を大気中に露出した後、前面板を加熱し、所定の圧力に保った水を含むガス中に保持する工程S142が含まれる。
【選択図】図1

Description

本発明は、平板型表示装置(フラットパネルディスプレイとも呼ぶ)として大型のテレビジョンや広告・情報等の公衆表示用への利用が拡大してきているプラズマディスプレイパネル(以下、PDPとも記す)の製造方法に関する。
近年、大型の平板型表示装置として希ガス放電による紫外線で蛍光体を励起発光させて画像・映像表示に利用するPDPは、対角1m以上になるような大型製品を目標に開発されてきた。PDPの開発は加速してきており、コンピューター等に代表される情報処理装置の表示機器として、あるいは大型のテレビジョン受信機や公衆表示用モニターとして、高性能化、低価格化、最適量産化等を目指して次々と新しい技術が開発されてきている。
PDPには交流駆動方式と直流駆動方式があるが、ここでは一般的な交流駆動方式のPDP(以下、交流駆動方式のPDPをAC型PDPと記す)の構造を図6に示した。AC型PDPには各種の方式があり、図6は面放電型と呼ばれる方式の一例として、その一部を立体的に描いた斜視図で構造を示している。PDPは、ガラス製の前面板1、背面板2にそれぞれ行電極、列電極が直交配置され、画素(ピクセル)となる行・列両電極の交点及び両基板間にある隔壁により放電空間3を形成する構造となっている。
図7は、従来のAC型PDPの製造方法を概略的に示す製造工程の流れ図である。図7において、従来のAC型PDPの製造工程は前面板の形成工程S10、背面板の形成工程S20及びこれらの組立工程S30に大別される。前面板形成工程S10は、走査電極/維持電極形成工程S11と、誘電体層形成工程S12と、誘電体保護膜形成工程(以下、単に保護膜形成工程とも記す)S13からなり、その後で、保護膜形成装置から大気中に前面板1が取り出され、必然的に大気暴露工程S14を経る。一方、背面板形成工程S20はデータ電極形成工程S21と、下地誘電体層形成工程S22と、隔壁形成工程S23と、蛍光体層形成工程S24とからなり、組立工程S30は、封着工程S31、排気工程S32、放電ガス封入工程S33、エージング工程S34とPDPパネル完成工程S35の各工程とからなっており、これらの工程を経てPDPパネルが完成する。なお、背面板形成工程S20においては、隔壁形成工程S23及び蛍光体層形成工程S24は空気中で工程が進められるので、特に大気暴露の工程を入れる必要はない。
以下、図6に示した従来の面放電型のAC型PDPの前面板1及び背面板2の構成について、図7に示した工程と対応させながら説明する。
前面板1は、前面ガラス基板10上に放電の維持信号を入力するための維持電極13及び順次表示用の走査信号を入力するための走査電極14が、図7に示した走査電極/維持電極形成工程S11を経て、それぞれ対をなして平行に複数形成されて行電極が構成されている。次いで、これら行電極上に放電による壁電荷を形成するための透明な誘電体層11が誘電体層形成工程S12を経て成膜される。更に、誘電体層11上に放電によるイオン衝撃から誘電体層11を保護するための誘電体保護膜(以下、単に保護膜と記すが、保護膜を保護層と記すこともある)12が保護膜形成工程S13を経て形成され、保護膜形成装置から大気中に前面板1が取り出され、大気暴露工程S14を経ている。また、隣り合う維持電極13と走査電極14対間に、表示面のコントラストを高めるため、遮光層となるブラックマトリクス15を必要に応じて形成することもあるがこの形成工程は図7には示していない。
次に、背面板2は、背面ガラス基板16上に複数の表示データ信号を入力するための列電極となるデータ電極(アドレス電極とも呼ばれる)19が、前面板1の行電極を構成する維持電極13及び走査電極14とそれぞれ交差する方向に、図7に示したデータ電極形成工程S21を経て複数形成されている。データ電極19の上にやはり放電による壁電荷を形成するための下地誘電体層17が下地誘電体層形成工程S22を経て成膜され、更にその上にアドレス電極19と平行して隔壁18が隔壁形成工程S23により形成され、隔壁18間には赤、青、緑各色に発光する蛍光体層20が蛍光体層形成工程S24を経て設けられている。
そして、前面板1と背面板2とを対向させながら貼り合せてフリットガラス等のシール材を用いて封着パネル化(封着工程S31)して、加熱しながら脱ガス処理(排気工程S32)を行なった後、放電ガスとしてネオン(Ne)、キセノン(Xe)等を主体とする希ガスを封入(放電ガス封入工程S33)して、パネルの各電極に所定の電圧、波形の駆動パルスを印加して放電を行なうエージングを実施(エージング工程S34)し、放電空間3が形成されたPDPパネルが完成する(PDPパネル完成工程S35)。
完成したPDPパネルには、走査電極14と維持電極13及びデータ電極19とに電気信号を供給するため、これらの電極の電極端子に駆動用のドライバICが搭載された回路基板が接続され、制御信号回路や電源回路と共に筐体に組み込んで表示装置として完成する。維持電極13及び走査電極14、アドレス電極19に所定の信号の電圧パルスを印加することにより封入された希ガスが励起され紫外線を放出し、その紫外線により隔壁18間に設けられた蛍光体層20が可視光を励起発光し、情報を表示することができる。
特に、前面板1の形成工程S10において、前面ガラス基板10上に維持電極13、走査電極14と誘電体層11を形成し、その上に、放電によるイオン衝撃から誘電体層11を保護すると共に、2次電子放出による蛍光体の発光を促進する目的で、保護膜12が所定の条件下で電子ビーム蒸着などによって形成されているが、この保護膜12は、酸化マグネシウム(MgO)が広く用いられている。このような電子ビーム蒸着で形成されたMgO膜は、結晶性が高く緻密な膜であり、耐スパッタ性に優れ、且つ2次電子放出係数が高いという優れた特徴を有している。しかし、従来のPDPの製造方法では、前面板1はMgO膜形成後に、一旦大気に曝される。その時、MgO膜は、大気中の水分(H2O)や二酸化炭素(CO2)と反応して水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)、炭酸マグネシウム(MgCO3)などの化合物を生成し、その化合物がMgO膜の表面に析出するほか、大気中の埃やダスト等の不純物もMgO膜の表面に吸着、付着する。そして、このような保護膜(MgO膜)12の表面に存在する化合物や吸着、付着物を含む層(以下、化合物や吸着、付着物を含む層を単に化合物層と記す)は、周囲の環境によって、例えば、季節により変動する気温や湿度等による影響、あるいは大気中での放置時間などにより、緻密な構造になったり、厚い膜となったり、均一に化合物層が形成されず一部分のみ膜質が変わったりしてしまうなど、さまざまな膜質、膜厚の化合物からなる層が、しかも分布をもって形成される。
この前面板1に生成・形成された化合物層は、前面板1と背面板2を貼り合せてパネル化(封着工程S31)し、排気工程S32、放電ガス封入工程S33を経てPDPのパネル完成後に、エージングと呼ばれる工程(エージング工程S34)にて、PDPパネル管内を放電させ、放電ガスのプラズマのスパッタ性を利用することにより、このような化合物を除去し、MgO膜の表面に清浄なMgO結晶面を露出させ、PDPパネルの放電特性安定化を実現させようとしている。しかし、エージング工程に多量の時間を要するだけでなく、部分的に不均一にごく薄い化合物層の膜が残るなどして、均一且つ完全に除去することは難しく、最悪なケースとして保護膜の表面を部分的に損傷させることもあった。従って、このようなMgO膜からなる保護膜12の表面に形成された化合物層の影響のため、PDPパネルの放電特性の劣化、悪化を招き、PDPパネルの表示領域内における特性がばらつき、均一な表示ができないということを生じさせていた。そこで、前面板1に化合物層を生成・形成させないように、誘電体保護膜12の表面を更にSiN、SiO2、Al23、MgO、TiO2、MgF2などの別の材料でコーティング被覆して第2の保護膜を形成し、保護膜12を水分や炭酸ガスの吸着から防止するという試みが提案されている(例えば、特許文献1参照)。そして、この第2の保護膜は、大気暴露により保護膜表面に形成された化合物層と同様に、エージング工程(S34)において、エージング放電時のスパッタ性を利用して除去している。
特許第3073451号公報(第3−5頁、第1−3図)
上述したように前面板1の保護膜12の上部に更に第2の保護膜を形成した場合、前面板1を大気に曝しても第2の保護膜により保護膜12の表面に水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)や炭酸マグネシウム(MgCO3)などの化合物が析出することはない。しかしながら、PDPパネルを組み立ててエージング工程S34で放電を行なって、スパッタリングにより形成した第2の保護膜を除去する必要がある。更に、形成した第2の保護膜は、MgOなどの保護膜12と同様に結晶性が高く、緻密で安定した膜であることが多く、スパッタリングによってなかなか除去できず、その下の保護膜12が露出するまでにはより多大なエージング時間を必要とすることが多かった。また、エージング工程S34における放電によるスパッタリングで除去された第2の保護膜の成分がPDPパネル内に残留し、PDPパネルの放電特性やPDPパネルで構成される表示装置の寿命特性に大きな影響を与えるという課題に加えて、第2の保護膜としてコーティング、被覆した材料そのものがPDPパネルのエージング工程S34ではがれてPDPパネル内に残留し、表示装置としての品質問題を引き起こすなどの新たな課題もあった。
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、PDPパネルの初期放電特性の安定性、均一性を向上させるPDPの製造方法を提供し、併せて、この方法でPDPパネルを製造して表示領域内における特性のバラツキが少なく、均一な表示で品位の高い映像・画像が得られるPDP表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、
第1のガラス基板上に第1の電極を形成し、第1のガラス基板上と第1の電極上とに第1の誘電体層を形成し、第1の誘電体層上に保護層を形成して第1の基板を製造する工程と、第2のガラス基板上に第2の電極を形成し、第2のガラス基板上と第2の電極上とに第2の誘電体層を形成し、第2の誘電体層上に複数の隔壁を形成し、隔壁の間に蛍光体層を形成して第2の基板を製造する工程と、第1の基板と第2の基板を重ね合わせて接合し、接合した基板内部を排気して放電ガスを封入する組立工程を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、第1の基板を製造する工程にて製造された第1の基板を大気中に露出した後、第1の基板を加熱し、所定の圧力に保った水(H2O)を含むガス中に保持する工程、また、第1の基板を製造する工程に、第1の基板を所定の圧力に保った水(H2O)を含むガス中に保持する工程を有すると共に、所定の圧力に保った水(H2O)を含むガスをプラズマ化する工程を有している。
プラズマディスプレイパネルの製造に当たって、これらの工程を有することにより、MgOの保護膜表面への大気中の水分や炭酸ガスの吸着により形成された化合物層や吸着不純物による特性の不均一、不安定性を抑えた、均一且つ均質な保護膜を備えて、バラツキが小さく、特性の安定したプラズマディスプレイパネルを製造できる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、前面ガラス基板のMgOで形成された保護膜表面への大気中の水分や炭酸ガスの吸着により形成された化合物層や吸着不純物による特性の不均一、不安定性を改善できるため、均一且つ均質な保護膜を備えて、特性のバラツキの小さい安定したプラズマディスプレイパネルの製造に適している。
また、本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、誘電体層の保護膜表面への大気中の水分や炭酸ガスの吸着による化合物層や吸着不純物の不均一、不安定性を改善できるため、バラツキの小さい安定したプラズマディスプレイパネルを製造できる効果があるほか、更に、水(H2O)を含むガスをプラズマ化して処理するので、プラズマ中の多量の活性種により第1のガラス基板の処理時間の短縮に有効である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法を概略的に示す製造工程の流れ図である。図2は、本発明の実施の形態の製造方法において、保護膜形成工程後の前面板の構造を示す拡大部分断面図である。図2は、図6に示すAC型PDPのA−A’線で前面板1を切断し、1組の維持電極13と走査電極14を含む部分のみを拡大して示している。図2(a)は保護膜の形成された前面板1に化合物層が不均一に形成された状態を、図2(b)は化合物層が保護膜上に均一に存在する状態を、図2(c)は薄い化合物層が保護膜上にまだらに存在する状態を、図2(d)は保護膜の表面上に何もない清浄な状態をそれぞれ示している。
ここで、図1が図7における従来のPDPの製造方法を概略的に示す流れ図と異なるところは、前面板1の製造工程S10において図7に示した大気暴露工程S14に相当する第1の大気暴露工程S141の後に前面板保護膜処理工程S15及び第2の大気暴露工程S142が追加されている点である。その他は、従来のPDPの製造工程を概略的に示す図7の流れ図の工程とほとんど同じである。また、本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法で製造されるPDPパネルの構造は、図6に示した前面板1の構成とほとんど同じである。異なるところは、図1の前面板1の製造工程S10における第1の大気暴露工程S141以降、封着工程S31までの間に、前面板1の構造は図2(a)あるいは図2(b)に示すように、前面板1の保護膜12の表面上に化合物層21Aまたは21Bが一時的に形成されているところがわずかに異なっている。なお、本発明の第1の実施の形態のPDPの製造方法を示す図1、及び形成される前面板の構造を示す図2においては、それぞれ従来のPDPの製造方法を示す図7、及び形成される前面板の構造を示す図6と同じ構成要素には同じ符号を付している。
続いて、本発明の第1の実施の形態における製造方法で製造されるPDPの構成について、AC型PDPを例に挙げ、図6及び図2を参照しつつ、図1に示した工程と対応させて説明する。
前面板1は、前面ガラス基板10上に放電の維持信号を入力するための維持電極13及び順次表示用の走査信号を入力するための走査電極14が、図1に示した走査電極/維持電極形成工程S11を経て、それぞれ対をなして平行にストライプ状の表示電極となる行電極が複数形成されて構成されている。次いで、これらの行電極上に放電による壁電荷を形成するための透明な前面側の誘電体層11が誘電体層形成工程S12を経て成膜される。更に、前面側の誘電体層11上に放電によるイオン衝撃から誘電体層11を保護するための誘電体保護膜12が保護膜形成工程S13を経て形成されている。この時の前面板1の構造は図2(c)の状態にある。この後、前面板1を大気中に取り出しMgO膜表面を大気に曝すと、MgO膜と大気中の水分(H2O)及び二酸化炭素(CO2)とが反応してヒドロキシ炭酸マグネシウム(3MgCO3・Mg(OH)2)・3H2O)あるいは、水酸化マグネシウム(Mg(OH)2:水(H2O)のみと反応する時)、炭酸マグネシウム(MgCO3:二酸化炭素(CO2)のみと反応する時)などの化合物が生成し、この化合物がMgO膜の表面に化合物層として形成される(第1の大気暴露工程S141)。この時の前面板1は図2(a)に示すように均一ではない状態にある。続いて、MgO膜の表面に化合物層が析出した前面板1を図3(a)に示す前面板処理装置30の真空容器31内に移送、保持し、前面板1の保護膜12の処理を行なう(前面板保護膜処理工程S15)。この処理後、前面板1は図2(b)の状態に変わる。これらの本発明の実施の形態のPDPの製造方法における特徴的な工程の詳しい構成、内容については後述する。なお、この後、前面板1には、隣り合う維持電極13と走査電極14対間に、表示面のコントラストを高めるため、遮光層となるブラックマトリクス15を必要に応じて形成することもあるが、この形成工程は図1には示していない。
次に、背面板2は、背面ガラス基板16上に複数の表示データ信号を入力するための列電極となるデータ電極19が、前面板1の行電極を構成する維持電極13及び走査電極14とそれぞれ交差する方向に、図1に示したデータ電極形成工程S21を経てストライプ状に複数形成されている。ストライプ状のデータ電極19の上にやはり放電による壁電荷を形成するための背面側の下地誘電体層17が下地誘電体層形成工程S22を経て成膜され、更にその上にストライプ状のアドレス電極19と平行して隔壁18が隔壁形成工程S23により形成され、隔壁18間には赤、青、緑各色に発光する蛍光体層20が蛍光体層形成工程S24を経て設けられている。
そして、前面板1と背面板2とをフリットガラス等のシール材を用いて対向させながら貼り合せてパネル化(封着工程S31)して、加熱しながら脱ガス処理(排気工程S32)を行なった後、放電ガスとしてNe、Xe等を主体とする希ガスを封入(放電ガス封入工程S33)して、パネルの各電極に所定の電圧、波形の駆動パルスを印加して放電を行なうエージングを実施し(エージング工程S34)、放電空間3が形成されたPDPパネルが完成する(PDPパネル完成工程S35)。この時、PDPパネルの前面板1の断面構造は図2(d)の状態にある。
完成したPDPパネルには、走査電極14と維持電極13及びデータ電極19とに電気信号を供給するため、これらの電極の電極端子に駆動用のドライバICが搭載された回路基板が接続され、制御信号回路や電源回路と共に筐体に組み込んで表示装置として完成する。維持電極13及び走査電極14、アドレス電極19に所定の信号の電圧パルスを印加することにより封入された希ガスが励起され紫外線を放出し、その紫外線により隔壁18間に設けられた蛍光体層20が可視光を励起発光し、情報を表示することができる。
次に、本発明の実施の形態におけるPDPパネルの製造方法の特徴である前面板保護膜処理の方法について、詳しく説明する。
前面ガラス基板10上に維持電極13、走査電極14と誘電体層11を形成し、その上に、放電によるイオン衝撃から誘電体層11を保護すると共に、2次電子放出による蛍光体の発光を促進する目的で、保護膜12が所定の条件下で電子ビーム蒸着などによって形成されている。続いて、保護膜12を成膜形成した前面板1を保護膜形成装置から、大気中に取り出す。周知のように、MgOからなる保護膜12が形成された前面板1は、大気中の二酸化炭素(CO2)、水(H2O)と反応し、ヒドロキシ炭酸マグネシウム(pMgCO3・qMg(OH)2)・rH2O:但し、p、q、rは整数)あるいは炭酸マグネシウムや水酸化マグネシウムからなる化合物層21Aが形成される(第1の大気暴露工程S141)。形成された化合物層21Aは図2(a)に模式的に示したように不均一になっている。保護膜12の形成後、一旦大気中に曝されて保護膜12の表面上に化合物層21Aが形成された前面板1を、図3(a)に示す前面板処理装置30の真空容器31内に搬送して載置台33上に置く。載置台33は、例えば、抵抗加熱ヒータ等の加熱手段34により、前面板1を加熱昇温させることが可能である。
引き続き、保護膜12の表面上に化合物層21Aが形成された前面板1を処理する(前面板保護膜処理工程S15)。前面板1の処理は2段階で行なう。第1段階の処理は加熱手段34により前面板1を所定の温度に加熱することにより行なう。加熱により、化合物層21A中に含まれるヒドロキシ炭酸マグネシウム、あるいは炭酸マグネシウムや水酸化マグネシウムは分解して、気相中に水(H2O)や二酸化炭素(CO2)となって放出されるので、化合物層21Aは図2(a)に模式的に示したような不均一性が緩和されて凹凸が緩やかになり、且つ厚さも薄くなる。この第1段階の処理の後、水(H2O)のガスを供給するガス供給装置38を経てガス導入装置37から真空容器31内に導入し、排気装置35により排気しながら圧力調整装置36で真空容器31内を所定の圧力に保持することにより、前面板1の第2段階の処理を実施する。
そして、第1段階の処理を終えた化合物層21Aを所定の温度に加熱しつつ、水(H2O)を含むガス中で、排気しながら所定の圧力に保って、第2段階の処理を実施すると、図2(a)のような不均一な化合物層21Aから図2(b)に示すような、均一な化合物層21Bに変わる。このように、均一な化合物層21Bに変わるのは、水(H2O)を含むガス中で、不均一な化合物層21Aは水(H2O)と化合物層21Aとの反応を一定且つ均一に制御し、結果として図2(b)示す均一、且つ薄く均質なMgOの保護膜12上の化合物層21Bに変わると考えられる。
なお、ここでは加熱手段34として抵抗加熱ヒータを用いたが、載置台33に配置する抵抗加熱ヒータの代わりにレーザビーム照射や赤外線照射による加熱も利用できる。また、加熱温度は、200℃よりも低い温度では化合物層の分解反応が遅く処理に長時間を要し、600℃よりも高温では、基板のガラスが変形してしまうので、200℃〜600℃の温度範囲が望ましい。ここでは、化合物層の除去後のパネル冷却に要する時間との兼ね合いで400℃を採用している。
また、処理時の真空容器31内の圧力を10Pa〜200Paに設定すると薄くて、非常に均一な化合物層21Bを保護膜12上に備えた前面板1を得られることが、試作実験の結果から明らかになった。水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力が10Pa以下では、化合物層21Aの分解反応が進み過ぎて、図2(a)のような不均一な状態が残る。また、水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力が200Pa以上でも、やはり、図2(a)のような不均一性が解消されない状態が残ってしまう。従って、水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力を10Pa〜200Paに設定することが望ましい。加熱温度を400℃に設定した時、80Paに設定すると、処理時間が短くなり、非常に均一、且つ、薄く均質な化合物層21BをMgOの保護膜12上に備えた前面板1が得られ、最も好ましい結果となった。
実際に、MgOの保護膜12を形成した前面板1を大気中に取り出して、約20分間大気暴露して、保護膜12上に化合物層21Aが形成された前面板1について、前面板処理装置30の真空容器31内の載置台33に載せ、加熱温度を400℃に設定し、真空容器31内の水(H2O)を含むガスの圧力を80Paに設定して保持した時、加熱を60分行ない、水(H2O)を含むガスで処理を10分行なうことで不均一な化合物層21Aが非常に均一、且つ、薄く均質な化合物層21BをMgOの保護膜12上に備えた前面板1に変わり、最も好ましい結果となった。
このようにして、前面板保護膜処理工程S15を実施した後、水(H2O)を含むガスの導入を停止し、前面板1を冷却して大気中に取り出す(第2の大気暴露工程S142)。前面板保護膜処理工程S15により、均一な化合物層21BがMgOの保護膜12上に形成された前面板1は、この後、H2O、CO2等MgOと反応する成分が含まれる雰囲気中にあっても、不均一な化合物層に変わることはほとんどない。
なお、上述説明した前面板保護膜処理工程S15においては、その第2段階の処理で、水(H2O)を含むガスを導入して化合物層21Aを処理する時に加熱も同時に行なっているが、本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法においては、第2段階の処理での加熱を行なわなくても前面板1の処理が可能である。但し、第2段階の処理で加熱を行なわない場合、均一な化合物層21Bに変わるのにより長時間を要することになる。
続いて、作製した前面板1と背面板形成工程S20で作製した背面板2と共に封着装置に移送し、前面板1と背面板2のそれぞれにガラスフリットを塗布し、各電極位置を合わせて目合わせして貼り合せてから加熱封着し(封着工程S31)、PDPパネル内残存ガスと封着工程で発生する放出ガスとを排気(排気工程S32)し、放電ガスとしてNe、Xe等を主体とする希ガスを封入(放電ガス封入工程S33)して、パネルの各電極に所定の電圧、波形の駆動パルスを印加して放電を行なうエージングを実施(エージング工程S34)し、前面板1のMgOの保護膜12の表面上に形成された化合物層21Bをスパッタ除去してPDPパネルの完成となる。前面板1のMgOの保護膜12の表面上に形成された化合物層21Bは薄く均一であるので、エージング時間を大幅に短縮することが可能になった。
なお、本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法においては、前面板形成工程S10の第2の大気暴露工程S142を省略することが可能である。この場合、前面板保護膜処理工程S15が終了した後に、前面板処理装置30から前面板1を大気に曝さずに封着装置に移送し、封着工程S31を実施すればよい。
以上説明した製造方法で作製したPDPパネルは、通常のPDPパネルとほぼ同等の特性を有しているのみならず、パネル面内での特性バラツキが向上していた。例えば、放電開始電圧のパネル内でのバラツキは通常は±5V程度あるのが、±2.5V内に収まり、また放電維持電圧のパネル内でのバラツキも、通常は±3.5V程度あるのが、±2.5V以内のバラツキに低減、良化していた。更に実験パネルの試作をN増しし、各パネルの特性評価を行なったところ、パネル間の特性バラツキも約20%低減していた。更に、第1の実施の形態におけるPDPの製造方法における保護膜の処理を行なった前面板1を用いて作製したPDPパネルは、そのエージング工程S34におけるエージング時間を従来のPDPの製造方法におけるエージング時間の約1/2〜約1/3の時間に短縮できている。
(第2の実施の形態)
引き続き、本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法について説明する。
本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法は、図1に製造工程を概略的に流れ図で示した本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法と基本的に類似している。また、上記の第1の実施の形態における製造方法の説明において示したのと同様に、図2に示すように前面ガラス基板10に形成された維持電極13及び走査電極14からなる行電極上に誘電体層11を形成後、保護膜12を成膜し、最終的に均一な化合物層21Bを有する構造とした前面板1の構成も類似している。従って、本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法についての説明は、第1の実施の形態と異なるところに重点を置き、重複を避けるため、第1の実施の形態と同じ内容については省略するか、あるいは簡単な説明に留める。
本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法が、第1の実施の形態におけるPDPのそれと大きく異なるのは、保護膜12を形成後、前面板1を大気中に取り出して曝すことなく、図3(b)に示す前面板処理装置30の真空容器31内に真空搬送して保持し、前面板1の保護膜12の処理を行なうところにある。この処理により、本発明の第2の実施の形態におけるPDPの前面板1は図2(a)に示す不均一な化合物層21Aを有する状態を経ることなく、図2(b)に示す均一な化合物層21Bを有する状態に変わる。図4を用いて本発明の第2の実施の形態におけるPDP製造方法における特徴的な工程である均一な化合物層21Bを形成する方法、手順についての構成、内容について以下に説明する。
保護膜12が形成された前面板1を図3(b)に示す前面板処理装置30の真空容器31内に真空搬送したら、パネルの載置台33上に載置する。第2の実施の形態における載置台33には、第1の実施の形態のような加熱手段34は備えていない。その後、水(H2O)をのガスを供給するガス供給装置38を経てガス導入装置37から真空容器31内に導入し、排気装置35により排気しながら圧力調整装置36で真空容器31内を所定の圧力で一定に保って、MgOからなる保護膜12の表面を水(H2O)を含むガスに一定時間曝して前面板1の保護膜12を処理する(前面板保護膜処理工程S151)。
処理時の真空容器31内の圧力を10Pa〜80Paに設定すると薄くて、非常に均一な化合物層21Bを保護膜12上に備えた前面板1を得られることが、試作実験の結果から明らかになった。水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力が10Pa以下では、水(H2O)と保護膜12のMgOとの反応が遅くなり、しかも均一にならず図2(c)のような薄くてまだらな化合物層21Cの状態になってしまう。また、水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力が80Pa以上では、水(H2O)と保護膜12のMgOとの反応が均一にならず、図2(a)のような不均一な化合物層21Aの状態になり易い。従って、水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力を10Pa〜80Paに設定することが望ましい。60Paに設定した時、非常に均一、且つ、薄く均質な化合物層21BをMgOの保護膜12上に備えた前面板1が得られ、最も好ましい結果となった。更に、処理時間については、真空容器内の圧力により変動するが、形成される化合物層の膜厚、膜の状態に影響するので、薄くて均質な化合物層が形成される最適な時間を設定する。
実際に、MgOの保護膜12を形成した前面板1を大気中に取り出すことなく、前面板処理装置30の真空容器31内に真空搬送して載置台33に載せて真空容器31内の水(H2O)を含むガスの圧力を60Paに設定して保持した時、約10分間の処理で非常に均一、且つ、薄く均質な化合物層21BをMgOの保護膜12上に備えた前面板1が得られ、最も好ましい結果となった。
処理後、水(H2O)を含むガスの導入を停止し、前面板処理装置30の真空容器31から大気中に前面板1を取り出す(大気暴露工程S143)。前面板保護膜処理工程S151により、均一な化合物層21BがMgOの保護膜12上に形成された前面板1は、この後、H2O、CO2等MgOと反応する成分が含まれる雰囲気中にあっても、不均一な化合物層に変わることがほとんどないのは、第1の実施の形態の場合と同様である。続いて、作製した前面板1と背面板形成工程S20で作製した背面板2と共に、封着工程S31からエージング工程S34まで実施してPDPパネルを完成させるのは第1の実施の形態と同様である。ただ、前面板1のMgOの保護膜12の表面上に形成された化合物層21Bは第1の実施の形態の場合よりも更に薄く均一に形成されるので、エージング時間はより一層大幅に短縮することが可能になった。
以上説明した第2の実施の形態における製造方法で作製したPDPパネルは、通常のPDPパネルとほぼ同等の特性を有しているのみならず、パネル面内での特性バラツキが向上していた。例えば、放電開始電圧のパネル内でのバラツキは通常は±5V程度あるのが、±2.5V内に収まり、また放電維持電圧のパネル内でのバラツキも、通常は±3.5V程度あるのが、±2.5V以内のバラツキに低減、良化していた。更に実験パネルの試作をN増しし、各パネルの特性評価を行なったところ、パネル間の特性バラツキも約20%低減している等、第1の実施の形態における方法で作製したPDPパネルと同様の特性改善の効果が得られている。また、第2の実施の形態におけるPDPの製造方法における保護膜の処理、即ち、大気に曝すことなく水(H2O)を含む低圧下のガス中に一定時間保持する処理を行なった前面板1を用いて作製したPDPパネルは、前面板保護膜処理の工程の処理時間が前述の第1の実施の形態の処理方法に比べ、処理時間を約1/10に短縮でき、更にエージング工程S34におけるエージング時間を第1の実施の形態のPDPの製造方法におけるエージング時間の約1/2の時間に短縮できている。
(第3の実施の形態)
次に、本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法について説明する。
本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法は、図1に製造工程を概略的に流れ図で示した本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法と基本的に同じである。また、上記の第1の実施の形態における製造方法の説明において示したのと同様に、図2(a)に示すように前面ガラス基板10に形成された維持電極13及び走査電極14からなる行電極上に誘電体層11を形成後、保護膜12を成膜し、更に保護膜12の表面を大気に曝して、保護膜12の表面上に形成された化合物層21Aが形成された構造とした前面板1の構成及びこの化合物層21Aが形成された前面板1を処理するところも同じである。従って、本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法についての説明は、第1の実施の形態と異なるところに重点を置き、重複を避けるため、第1の実施の形態と同じ内容については省略するか、あるいは簡単な説明に留める。
本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法が、第1の実施の形態におけるPDPのそれと大きく異なるところは、前面板保護膜処理における処理方法にある。以下、この前面板保護膜処理方法について、詳しく説明する。
PDPパネルの前面板1の保護膜12はMgOが大気中の水分や炭酸ガスと反応して、化合物層21Aが形成されるが、この化合物層21Aは、処理せずに製造工程を続けると、そのまま保護膜12表面上に残留し、特性劣化に大きく影響を及ぼすので、PDPパネルが完成するまでに適切な処理等を実施し、除去しなければならないことは、既に本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法の説明で述べた通りである。
そこで、化合物層21Aが形成された前面板1の処理を行なわなければならないのであるが、その処理方法は本発明の第1の実施の形態におけるPDPの製造方法における前面板1の処理方法と類似しているが、少し異なる方法、装置により行なっている。本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法において特徴となる前面板1の処理は以下に示す手順で行なわれる。また、前面板1を処理するのに図5に示す本発明の第3の実施の形態のPDP製造方法における前面板処理装置を使用する。図5で、図3(a)に示した本発明の第1の実施の形態のPDPの製造方法における前面板処理装置と同じ構成要素には同じ符号を付している。
前面ガラス基板10上に維持電極13、走査電極14と誘電体層11を形成し、その上に、保護膜12が所定の条件下で電子ビーム蒸着などによって形成されている。続いて、保護膜12を成膜形成した前面板1を保護膜形成装置から、大気中に取り出す。MgOからなる保護膜12が形成された前面板1は、大気中の二酸化炭素(CO2)、水(H2O)と反応し、図2(a)に模式的に示したように不均一な化合物層21Aが形成される(第1の大気暴露工程S141)ことは、第1の実施の形態の場合と同じである。
保護膜12の形成後、一旦大気中に曝された保護膜12上に化合物層21Aが形成された前面板1を、図5に示すような前面板処理装置40の真空容器31に搬送して載置台33上に置く。載置台33は、例えば、抵抗加熱ヒータ等の加熱手段34により、前面板1を加熱昇温させることが可能である。
続いて、保護膜12の表面上に化合物層21Aが形成された前面板1を処理する(前面板保護膜処理工程S15)。前面板1の処理は2段階で行なう。第1段階の処理は加熱手段34により前面板1を所定の温度に加熱することにより行なう。加熱により、化合物層21Aは分解して、気相中に水や二酸化炭素が放出されるので、化合物層21Aは図2(a)に模式的に示したような不均一性が緩和されて凹凸が緩やかになり、且つ厚さも薄くなる。この第1段階の処理の後、水(H2O)のガスを供給するガス供給装置38を経てガス導入装置37から真空容器31内に導入し、排気装置35により排気しながら圧力調整装置36で真空容器31内を所定の圧力に保ちつつ、真空容器31に具備された誘電体で構成された板材41を介して真空容器31外に設置されたアンテナ42に高周波電源43から高周波電力を供給する構成のプラズマ源により、真空容器31内に存在する水(H2O)を含むガスを高周波放電によりプラズマ化させ、この状態で前面板11の保護膜12表面を後述する水(H2O)を含むガスのプラズマ化で生ずるプラズマに一定時間曝すことにより、前面板1の第2段階の処理を実施する。
本発明の第3の実施の形態においては、加熱による前面板1の第1段階の処理の後に、前面板1を加熱して水(H2O)を含むガス中で、排気しながら所定の圧力に保ちつつ、高周波放電による水(H2O)を含むガスをプラズマ化し、水(H2O)を含むガスのプラズマに曝すことにより第2段階の処理を実施している。水(H2O)を含むガスのプラズマ存在により、水(H2O)と化合物層21Aとの反応を一定且つ均一に制御することが、第1の実施の形態における方法に比べると、より促進されるために、より均一で均質、且つ薄い化合物層21Bが短い時間で形成されると考えられる。
なお、ここでは加熱手段34として抵抗加熱ヒータを用いたが、載置台33に配置する抵抗加熱ヒータの代わりにレーザビーム照射や赤外線照射による加熱も利用できる。また、加熱温度は、200℃よりも低い温度では化合物層の分解反応が遅く処理に長時間を要し、600℃よりも高温では、基板のガラスが変形してしまうので、200℃〜600℃の温度範囲に設定することは第1の実施の形態の場合と同じである。加熱温度として、化合物層の除去後のパネル冷却に要する時間との兼ね合いで、第1の実施の形態と同じ400℃を採用した。
また、処理時の真空容器31内の圧力を10Pa〜150Paに設定すると良好なMgOの保護膜12を備えた前面板1を得られることが、試作実験の結果から明らかになった。水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力が10Pa以下では、水(H2O)を含むガスのブラズマ種のスパッタ性が高く、化合物層21Aの分解反応が進み過ぎて、図2(c)のような不均一な状態が残るのみならず誘電体保護膜12や蛍光体層20にもダメージを与えてしまうことがある。また、水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力が150Pa以上では、プラズマが発生しにくいため、図2(a)のような不均一性が解消されない状態が残ってしまう。従って、水(H2O)を含むガスの真空容器31内の圧力を10Pa〜150Paに設定することが望ましい。また、真空容器31内に具備された誘電体の板材41に高周波電源43からアンテナ42を通して供給する電力は、単位面積当たりで5.5kW/m2以上が望ましい。特に、(11±3)kW/m2前後の電力が、化合物層21Aの反応を適度に進めるレベルのプラズマを発生させるので、保護膜12への影響が少なくて好ましい。5.5kW/m2より少ない電力では放電の効果がほとんどなく化合物層21と水(H2O)を含むガスとの反応が促進されず、あまりに大きい電力では放電により発生するプラズマのイオン衝撃で保護膜12を損傷する恐れがある。また、水を含むガスをプラズマ化する方法は図5(a)に示した誘導結合型のプラズマ源に限られるものではなく、例えば、図5(b)に示した前面板処理装置45の真空容器31内の金属電極46に高周波電源43から電力を供給してガスをプラズマ化させる構成のプラズマ源やマイクロ波を使用したプラズマ源等他のプラズマ源を用いても同様の効果が得られる。
実際に、MgOの保護膜12を形成した前面板1を大気中に取り出して、約20分間大気暴露して、保護膜12上に化合物層21Aが形成された前面板1について、前面板処理装置40の真空容器31内の載置台33に載せ、加熱温度を400℃に設定し、真空容器31内の圧力を60Paに設定して、11kW/m2の高周波電力をプラズマ源に供給した時、約1分間の処理で不均一な化合物層21Aが非常に均一、且つ、薄く均質な化合物層21BをMgOの保護膜12上に備えた前面板1に変わり、最も好ましい結果となった。
このようにして、前面板保護膜処理工程S15を実施した後、高周波電力の供給及び水(H2O)を含むガスの導入を停止し、前面板1を冷却して大気中に取り出す(第2の大気暴露工程S142)。前面板保護膜処理工程S15により、均一な化合物層21BがMgOの保護膜12上に形成された前面板1は、この後、H2O、CO2等MgOと反応する成分が含まれる雰囲気中にあっても、不均一な化合物層に変わることがほとんどないことは、第1の実施の形態と同じである。
なお、上述説明した本発明の第3の実施の形態の前面板保護膜処理工程S15においては、その第2段階の処理で、水(H2O)を含むガスを導入し、高周波放電により水(H2O)を含むガスをプラズマ化し、水(H2O)を含むガスのプラズマ中で化合物層21Aを曝して処理する時に加熱も同時に行なっているが、本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法においては、第2段階における加熱を行なわなくても前面板1の処理が可能である。但し、第2段階の処理で加熱を行なわない場合、均一な化合物層21Bを形成するのにより長時間を要することになる。
続いて、作製した前面板1と背面板形成工程S20で作製した背面板2と共に封着装置に移送し、前面板1と背面板2のそれぞれにガラスフリットを塗布し、各電極位置を合わせて目合わせして貼り合せてから加熱封着し(封着工程S31)、PDPパネル内残存ガスと封着工程で発生する放出ガスとを排気(排気工程S32)し、放電ガスとしてNe、Xe等を主体とする希ガスを封入(放電ガス封入工程S33)して、パネルの各電極に所定の電圧、波形の駆動パルスを印加して放電を行なうエージングを実施(エージング工程S34)し、前面板1のMgOの保護膜12の表面上に形成された化合物層21Bをスパッタ除去してPDPパネルの完成となる。前面板1のMgOの保護膜12の表面上に薄く均一な化合物層21Bが形成されているので、エージング時間の大幅な短縮化が可能になることも第1の実施の形態と同じである。
以上説明した製造方法で作製したPDPパネルは、通常の製造方法で作製したPDPパネルに比べパネル面内での特性バラツキ及びパネル間の特性バラツキが低減できており、且つ、パネル特性そのものも向上していた。例えば、放電開始電圧のパネル内でのバラツキは通常は±5V程度あるのが、±2.0V内に収まり、また放電維持電圧のパネル内でのバラツキも、通常は±3.5V程度あるのが、±2.0V以内のバラツキに低減、良化していた。更に実験パネルをN増し試作し、各パネルの特性評価を行なったところ、パネル間の特性バラツキも約30%低減していた。これらの結果は第1の実施の形態におけるPDPの製造方法の保護膜処理方法で処理して作製したPDPパネルの特性よりも優れた結果であった。本発明の第3の実施の形態におけるPDPの製造方法の保護膜の処理時間も第1の実施の形態におけるPDPの製造方法の保護膜の処理時間の約10分から1/10の約1分に短縮できた。また、第1の実施の形態における製造方法と同じように、エージング工程S34におけるエージング時間を従来のPDPの製造方法におけるエージング時間の約1/2〜約1/3の時間に短縮できている。
なお、第3の実施の形態のプラズマディスプレイパネルの製造方法において、第1の実施の形態のように保護膜12を形成した後に前面板1を保護膜形成装置から大気中に取り出して行なう大気暴露工程S14を実施せずに、前面板処理装置30の真空容器31内に前面板1を真空搬送して、前面板1を低圧下の水(H2O)を含むガス中で高周波放電によるプラズマで処理を行なう方法も可能である。このような第2の実施の形態と第3の実施の形態を組み合わせた製造方法の場合、前面板処理時間が約1分に短縮できると共に、エージング時間も第3の実施の形態の製造方法の場合の約1/2の時間に短縮できるので、製造工程全体の処理時間を大幅に短縮化することが可能になる。
本発明のプラズマディスプレイパネルの製造方法は、第1のガラス基板のMgOの保護膜が大気中の水分や炭酸ガスにより形成される化合物層や不純物吸着層を処理して均一且つ均質な化合物層に変えることができ、PDPパネルのエージング時間を短縮できて製造工数削減に有効であるばかりでなく、プラズマディスプレイパネルの特性改善やそのバラツキも低減できるので、動作が安定した、画質の優れたPDP表示装置への利用に有用である。
本発明の第1及び第2の実施の形態におけるPDPの製造方法を概略的に示す製造工程の流れ図 本発明の実施の形態のPDPの製造方法において、保護膜形成工程後の前面板の構造を示す拡大部分断面図 (a)、(b)はそれぞれ本発明の第1及び第2の実施の形態における製造方法で、PDPパネル前面板の保護膜に形成された化合物層を処理する装置の概略構成図 本発明の第2の実施の形態におけるPDPの製造方法を概略的に示す製造工程の流れ図 (a)、(b)は本発明の第3の実施の形態の製造方法において、PDPパネル前面板に形成した保護層を処理する装置の概略構成図 一般的な面放電型AC型PDPの一部を立体的に描いて構造を示した斜視図 従来のPDPの製造方法を概略的に示す製造工程の流れ図
符号の説明
1 前面板
2 背面板
3 放電空間
10 前面ガラス基板
11 誘電体層
12 保護膜
13 維持電極
14 走査電極
16 背面ガラス基板
17 下地誘電体層
18 隔壁
19 データ電極(アドレス電極)
20 蛍光体層
21A,21B,21C 化合物層
30,40,45 前面板処理装置
31 真空容器
33 載置台
34 加熱手段
35 排気装置
36 圧力調整装置
37 ガス導入装置
38 ガス供給装置
41 板材
42 アンテナ
43 高周波電源
46 金属電極

Claims (3)

  1. 第1のガラス基板上に第1の電極を形成し、前記第1のガラス基板上と前記第1の電極上とに第1の誘電体層を形成し、前記第1の誘電体層上に保護層を形成して第1の基板を製造する工程と、第2のガラス基板上に第2の電極を形成し、前記第2のガラス基板上と前記第2の電極上とに第2の誘電体層を形成し、前記第2の誘電体層上に複数の隔壁を形成し、前記隔壁の間に蛍光体層を形成して第2の基板を製造する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを重ね合わせて接合し、接合した基板内部を排気して放電ガスを封入する組立工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
    前記第1の基板を製造する工程にて製造された前記第1の基板を大気中に露出した後、前記第1の基板を加熱し、所定の圧力に保った水分を含むガス中に保持する工程を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  2. 第1のガラス基板上に第1の電極を形成し、前記第1のガラス基板上と前記第1の電極上とに第1の誘電体層を形成し、前記第1の誘電体層上に保護層を形成して第1の基板を製造する工程と、第2のガラス基板上に第2の電極を形成し、前記第2のガラス基板上と前記第2の電極上とに第2の誘電体層を形成し、前記第2の誘電体層上に複数の隔壁を形成し、前記隔壁の間に蛍光体層を形成して第2の基板を製造する工程と、前記第1の基板と前記第2の基板とを重ね合わせて接合し、接合した基板内部を排気して放電ガスを封入する組立工程とを有するプラズマディスプレイパネルの製造方法において、
    前記第1の基板を製造する工程に、前記第1の基板を所定の圧力に保った水分を含むガス中に保持する工程を有することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの製造方法。
  3. 所定の圧力に保った水分を含むガスをプラズマ化することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のプラズマディスプレイパネルの製造方法。
JP2003424154A 2003-12-22 2003-12-22 プラズマディスプレイパネルの製造方法 Expired - Fee Related JP4396261B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003424154A JP4396261B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003424154A JP4396261B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005183243A true JP2005183243A (ja) 2005-07-07
JP4396261B2 JP4396261B2 (ja) 2010-01-13

Family

ID=34784432

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003424154A Expired - Fee Related JP4396261B2 (ja) 2003-12-22 2003-12-22 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4396261B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007026751A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd プラズマディスプレイパネル及びその製造方法

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007026751A (ja) * 2005-07-13 2007-02-01 Matsushita Electric Ind Co Ltd プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
JP4640006B2 (ja) * 2005-07-13 2011-03-02 パナソニック株式会社 プラズマディスプレイパネルの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4396261B2 (ja) 2010-01-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4505474B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JPH10149767A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
WO2006109719A1 (ja) プラズマディスプレイパネル及びその製造方法
US20040145317A1 (en) Display panel and method for manufacturing the same
JP4321593B2 (ja) プラズマディスプレイパネル
JP4396261B2 (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP5373605B2 (ja) 封着パネルの製造方法
JPH10162743A (ja) プラズマディスプレイパネル及び保護膜の形成方法
JP2007265768A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法及びその製造装置
US6986694B2 (en) Method for removing impurities of plasma display panel
JPH11149865A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2009099395A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法及びそのための装置
JP2005158391A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2002117758A (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法
KR100453891B1 (ko) 플라즈마 디스플레이 기판 제조 방법과 제조 장치
JP2007335215A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
JP2003123647A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法
KR100484874B1 (ko) 플라즈마디스플레이패널의제조방법
JP2002117766A (ja) プラズマディスプレイパネルおよびその製造方法と製造装置
JP2005019101A (ja) 薄膜の形成方法およびガス放電パネルの製造方法
JP2000223020A (ja) 表示装置の製造方法
KR20070013940A (ko) 플라즈마 디스플레이 패널의 소성장치 및 그를 이용한플라즈마 디스플레이 패널의 제조방법
JP2007042558A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造装置
JP2006318855A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法および製造装置
JP2007042556A (ja) プラズマディスプレイパネルの製造方法および製造装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061020

RD01 Notification of change of attorney

Effective date: 20061114

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090623

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090722

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090929

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20091012

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 3

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121030

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees