JP2009099395A - プラズマディスプレイパネルの製造方法及びそのための装置 - Google Patents

プラズマディスプレイパネルの製造方法及びそのための装置 Download PDF

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Abstract

【課題】保護層表面の変質層を十分に除去でき、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法を提供する。
【解決手段】第1導体板3が前面基板1に接し、第2導体板4が背面基板2に接するように、第1導体板3および第2導体板4を前面基板1および背面基板2の外側に配置し、前面基板1および背面基板2の少なくとも一方に設けられた貫通穴を介して前面基板1と背面基板2との間にガスを供給しながら、第1導体板3と第2導体板4との間に電圧を印加して前面基板1と背面基板2との間にプラズマを発生させることを含んで成る製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、テレビやコンピュータ等の画像表示に用いられるプラズマディスプレイパネルの製造方法に関すると共に、かかるプラズマディスプレイパネルを製造するための装置にも関する。より詳細には、保護層表面の変質層が好ましく除去される点で特徴を有するプラズマディスプレイパネルの製造方法、および、そのための装置に関する。
近年、大型の薄型ディスプレイの市場が拡大している。特に、表示が高精細で大型化が可能なプラズマディスプレイパネルの技術革新は盛んに進められている。
プラズマディスプレイパネル(以下、「PDP:lasma isplay anel」とも称す)は、対向配置された前面基板と背面基板とから構成されている。前面基板および背面基板の周縁部は封着処理されており、前面基板と背面基板との間に形成された放電空間に放電ガス(例えばヘリウムまたはネオンなど)が封入されている。前面基板は、ガラス基板と表示電極と誘電体層と保護層とから一般に構成されている。より具体的に言うと、前面基板においては、ガラス基板の一方の主面上に表示電極がストライプ状に形成され、かかる表示電極を覆うように誘電体層が形成され、そして、誘電体層上に保護層が形成されている。一方、背面基板は、ガラス基板とアドレス電極と誘電体層と隔壁と蛍光体層(赤色、緑色および青色の蛍光体層)とから一般に構成されている。より具体的に言うと、背面基板においては、ガラス基板の一方の主面上にアドレス電極がストライプ状に形成され、かかるアドレス電極を覆うように誘電体層が形成されている。そして、誘電体層上に一定の間隔を空けて複数の隔壁が形成され、蛍光体層が、誘電体層上において隣接する隔壁間に形成されている。このようなPDPでは、放電空間における電圧の印加で発生した紫外線によって、各色の蛍光体層を励起させており、それによって、赤色、緑色および青色と発光させ、カラー画像表示を実現している。
図6を参照することによって、より詳細にPDPの構成について説明する。例えば3電極構造の面放電型PDP60は、第1ガラス基板31上に互いに平行に隣接配置された一対の表示電極32a,32bからなる電極対と、かかる電極対と直交するように配列されたアドレス電極42とを有して成る。また、図示するように、第1ガラス基板31の背面には、第1誘電体層33と保護膜34が設けられている。表示電極32a,32bによって面放電セル(表示の主放電セル)が画定され、一方の表示電極32bとアドレス電極42とによって単位発光領域の点灯又は非点灯を選択するためのアドレス放電セルが画定される。背面基板に設けられる蛍光体層45は、アドレス電極42を含めて第2ガラス基板41の内面を隔壁(リブ)45に沿って被覆するように設けられており、表示電極32a,32b間の面放電で生じた紫外線によって励起されて発光する。蛍光によって生じた光は、図6の「表示方向」に取り出され、画像表示が実現されることになる。フルカラー表示を行う場合には、表示画面を構成する各画素(ドット)に対して、R(赤),G(緑),B(青)のいわゆる3原色の蛍光体層46R,46G,46Bが対応づけられる。蛍光体層45とアドレス電極42との間には、第2誘電体層43が設けられている(例えば、特許文献1参照)。通常、各蛍光体層46R,46G,46Bは、スクリーン印刷法を用いて、粒状の所定発光色の蛍光物質を主成分とする蛍光体ペーストを各色毎に順に塗布して焼成することによって形成される。
ここで、PDPの動作電圧は、保護層の2次電子放出係数に依存する。従って、仕事関数が酸化マグネシウムよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物(例えば、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウムなど)を保護層として用いることで、動作電圧を低電圧化することが提案されている。しかしながら、これらのアルカリ土類金属の酸化物は吸湿性が高く、保護層形成後に雰囲気中または周囲の水分を吸着し得るので、保護層の表面部分が水酸化物または水和物などに変質し得、結果的に不安定な放電特性がもたらされるという問題があった。また、雰囲気中または周囲に二酸化炭素が存在する場合でも、保護層の表面部分が炭酸化合物に変質し得、同様に、不安定な放電特性がもたらされるという問題があった。
上記のような問題点に対処すべく、保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、保護層表面の変質層を除去する別の手法として、保護層の形成後に前面基板を真空容器内でプラズマ処理する方法(例えば、特許文献3参照)、保護層を形成後に前面基板を酸素プラズマ処理、紫外線照射処理またはイオンエッチング処理する方法(例えば、特許文献4参照)、封着工程後にパネル内のガスをXe分圧の低いまたは圧力の低い洗浄ガスにした状態でエージングを行う方法(例えば、特許文献5参照)なども提案されている。
特開2002−216620号公報 特開2002−231129号公報 特開2000−57939号公報 特開2004−134095号公報 特開2004−134157号公報
しかしながら、従来のPDPの製造では、保護層表面の変質層を十分に除去できているとはいえない。保護層形成工程後から封着工程までを乾燥雰囲気中で連続して行う方法は、保護層表面に変質層を形成させないことを意図したものであるが、乾燥空気中には水分(水蒸気)や二酸化炭素がある程度含まれており、その含有量が十分小さくない限り、数十分〜数時間の曝露によって変質層が形成されてしまう(例えば、露点−20℃の乾燥空気中に0.1%の水分、露点−40℃の乾燥空気中に0.013%の水分、露点−60℃の乾燥空気中に0.0011%(11ppm)の水分が含まれている)。PDPの製造に際しては、一般に、保護層形成工程から封着工程までに数時間以上の工程在庫があるため、仮に極めて低い露点(−60℃以下の露点)の乾燥空気を用いたとしても、変質層の形成は避けられない。
保護層表面の変質層を除去するため、保護層の形成後に前面基板を真空容器内でプラズマ処理しても、プラズマ処理後の前面基板を封着装置へと搬送するまでに再び変質層が形成されてしまう。これを避けるには、プラズマ処理後の前面基板を封着装置へと真空雰囲気下で搬送し、かつ封着工程を真空雰囲気下で行う必要があるが、搬送系及び封着装置の構成が極めて複雑となり、実現は容易ではない。
同様に、保護層表面の変質層を除去するため、保護層の形成後に前面基板を酸素プラズマ処理、紫外線照射処理またはイオンエッチング処理しても、かかる処理後に前面基板を封着装置へと搬送するまでに再び変質層が形成されてしまう。これを避けるには、処理後の前面基板を封着装置まで真空雰囲気下で搬送し、かつ封着工程を真空雰囲気下で行う必要があるが、搬送系及び封着装置の構成が極めて複雑となり、実現は容易ではない。
また、保護層表面の変質層を除去するため、封着工程後にパネル内のガスをXe分圧の低いまたは圧力の低い洗浄ガスにした状態でエージングを行った場合は、Xe分圧の高いガスでエージングする場合と比べて高速に変質層を除去できるものの、除去された変質層から生じた水分や炭素を含有する物質がPDP内部に残存してしまう。また、この場合、変質層が除去されるのは表示電極近傍のみであって、表示電極から離れている保護層表面には変質層が残存することとなる。したがって、残存物質の影響で放電特性が徐々に変化することになり、パネル寿命が短くなってしまうという問題が生じる。
本発明は、上記事情に鑑みて為されたものである。つまり、本発明の課題は、保護層表面の変質層を十分に除去でき、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネルの製造方法及び装置を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
(i)第1ガラス基板上に第1電極、第1誘電体層および保護層が形成された前面基板を用意すると共に、第2ガラス基板上に第2電極、第2誘電体層、隔壁および蛍光体層が形成された背面基板を用意する工程、
(ii)前面基板または背面基板に対してガラスフリットを塗布する工程、
(iii)前記ガラスフリットが前面基板と背面基板との間に位置するように、前面基板と背面基板とを相互に対向させて配置する工程、
(iv)第1導体板が前面基板に接し、第2導体板が背面基板に接するように、第1導体板および第2導体板を前面基板および背面基板の外側に配置する工程、
(v)前面基板および背面基板の少なくとも一方に設けられた貫通穴を介して前面基板と背面基板との間にガスを供給しながら、第1導体板と第2導体板との間に電圧を印加して前面基板と背面基板との間にプラズマを発生させる工程、
(vi)前記ガラスフリットを溶融させて前面基板および背面基板の封着を行う工程、ならびに
(vii)前面基板と背面基板との間の空間に存在するガスを排気した後、前面基板と背面基板との間の空間にXeを含んで成るガスを封入する工程
を含んで成ることを特徴とする製造方法を提供する。
本発明は、プラズマディスプレイパネルの製造に際して、対向して配置された前面基板と背面基板との間にプラズマを発生させることによって、前面基板の保護層表面の変質層を除去することを特徴としており、特に、前面基板および背面基板の外側に設けられた第1導体板と第2導体板との間に電圧を印加することによってプラズマを発生させ、変質層を除去することを特徴としている。
本明細書で用いる「導体板」とは、導電性を有する部材を実質的に意味しており、その外観は必ずしも“板状”である必要はなく、より厚みを増した形態又はより薄いシート状の形態であってもよい。尚、導体板の主面(別の表現を用いれば、「前面基板または背面基板と接することになる面」)のサイズは、ある程度大きいことが好ましく、前面基板と背面基板とが互いに対向する領域以上の面積を有していることが好ましい(換言すれば、対向配置されている前面基板と背面基板とを互いに重ね合わせた場合、その重なり合っている領域以上の面積を導体板の主面が有していることが好ましい)。
ある好適な態様では、保護層は、少なくとも1つの層(即ち、「単一の層」または「複数の層」)から構成されており、層の各々が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上を含んで成る。かかる場合、駆動電圧の低いプラズマディスプレイパネルの製造方法が実現される。
工程(v)では、第1導体板と第2導体板との間にパルス電圧または高周波電圧を印加することが好ましい。これにより、比較的容易にプラズマを発生させることができる。
また、工程(v)では、第1導体板が「電圧を印加するために用いられる電源」に電気的に接続され、第2導体板が接地(またはアース)されることが好ましい。これにより、保護層表面のスパッタリングを促進させることができ、より短時間で保護層表面の変質層を除去することができる。尚、ここでいう「スパッタリング」とは、プラズマ発生に際して、加速されたイオン等が保護層の表面に衝突して、変質層が弾き飛ばされて除去される現象を実質的に意味している。
更に、工程(v)では、希ガスを含んで成るガスを前面基板と背面基板との間に供給することが好ましい。これにより、低い印加電圧でプラズマを発生させることができる。尚、より低い印加電圧でプラズマ発生が可能となる点で、希ガスはヘリウムガスであることがより好ましい。
ある好適な態様では、工程(vi)において、水蒸気をほとんど含まないガス(例えば0〜10ppmの水蒸気を含んだガス)を前面基板と背面基板との間に供給しながら、前面基板および背面基板を加熱する。これにより、変質層が除去され清浄化された保護層表面の再汚染を効果的に抑制することができる。特に、水蒸気をほとんど含まないガスとして、乾燥空気を用いれば、より安価なプラズマディスプレイパネルの製造方法を実現することができる。
別のある好適な態様では、工程(vi)において、前面基板と背面基板との間に0〜10ppmの二酸化炭素を含んだガスを供給しながら、前面基板および背面基板を加熱する。これにより、変質層が除去され清浄化された保護層表面の再汚染を効果的に抑制することができる。
本発明では、上記プラズマディスプレイパネルの製造方法を実施するための装置も提供される。かかる本発明の製造装置は、
第1導体板および第2導体板、
第1導体板が前面基板に接し、第2導体板が背面基板に接するように、第1導体板および第2導体板を前面基板および背面基板の外側にて保持するための保持デバイス、
前面基板および背面基板の少なくとも一方に設けられた貫通穴を介して前面基板と背面基板との間にガスを供給するためのガス供給デバイス、ならびに
第1導体板と第2導体板との間に電圧を印加するための電源
を有して成る製造装置。
かかる本発明の製造装置は、プラズマディスプレイパネルの製造に際して、対向して配置された前面基板と背面基板との間にプラズマの発生を可能にする構成要素を有すると共に、前面基板と背面基板との間にガスを連続的に流すことを可能にする構成要素を有することを特徴としている。
本発明の製造装置において、電源は、「前面基板と背面基板との間にパルス電圧を印加することができるパルス電源」または「前面基板と背面基板との間に高周波電圧を印加することができる高周波電源」であることが好ましい。これにより、比較的容易にプラズマを発生させることができる。
ある好適な態様では、第1導体板が電源に電気的に接続されている一方、第2導体板が接地されている。これにより、前面基板と背面基板との間に電圧を印加した際に保護層表面のスパッタリングを促進させることができ、より短時間で保護層表面の変質層を除去することができる。
以上のように、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法及びそのための装置では、プラズマディスプレイパネルの製造に際して保護層表面の変質層を除去できるので、パネル寿命に優れたプラズマディスプレイパネルを得ることができる。
発明を実施するための形態
以下では、本発明をより詳細に説明する。まず、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法について説明を行い、その後、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造装置について説明を行う。
本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造方法は、保護層表面の変質層を除去するための工程(ステップ)を含んで成る。
まず、工程(i)では、第1ガラス基板上に第1電極、第1誘電体層および保護層が形成された前面基板(または表面板)を用意/準備すると共に、第2ガラス基板上に第2電極、第2誘電体層、隔壁および蛍光体層が形成された背面基板(または背面板)を用意/準備する。
前面基板の用意に際しては、まず、第1ガラス基板上に、例えばスパッタリング法または焼成法などで第1電極を形成し、その上に誘電体の前駆体材料を塗布して焼成などで第1誘電体層を形成する。第1ガラス基板は、一般的なPDPの製造に用いられる透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm〜約3mm程度)であれば特に制限はなく、例えば、フロートガラス基板、ソーダライムガラス基板、鉛アルカリケイ酸ガラス基板またはホウケイ酸塩ガラス基板等であってよい。第1電極は、第1基板上にストライプ状に平行に複数配置されて形成されるものであり、例えば、走査電極および維持電極から成る表示電極(厚さは例えば約1μm〜約50μm程度)であることが好ましい。この場合、走査電極および維持電極は、それぞれ、酸化インジウム(ITO)または酸化スズ(SnO)などから成る透明導電膜である透明電極(蛍光体層で発生した可視光を通過させる電極)、および、かかる透明電極上に形成されたバス電極(表示電極の抵抗を低くして、透明電極の長手方向に導電性を付与するための電極)から一般に構成されている。更に、第1誘電体層の前駆体材料は、一般的なPDPの製造に用いられる誘電体原料であれば特に制限はなく、例えば、ガラス粉末と、セルロース系またはアクリル系のバインダ樹脂(増粘剤樹脂)と、アルコール系又はエステル系等の有機溶剤とを混合したペースト状またはシート状の原料であってよい。第1誘電体層の厚さは、例えば約5μm〜約50μm程度である。第1誘電体層を形成した後は、かかる誘導体層を覆うように、例えば電子ビーム蒸着(EB蒸着)法などで酸化マグネシウムなどから成る膜を形成することで保護層(厚さ:0.5〜1.5μm程度)を形成する。かかる保護層は、典型的には主として酸化マグネシウムから成るものであるが、これに微量の元素(シリコンおよび/またはアルミニウムなど)が添加されたものであったものでもよい。尚、保護層は、単一の層から構成されたものでもよいし、複数の層が積層して構成されてもよい(例えば2層または3層から成る保護層であってよい)。また、保護層の主成分は酸化マグネシウムに限らず、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび/または酸化バリウムであってよい。換言すれば、保護層は、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上の成分から形成されたものであってよい。尚、保護層の原料として、仕事関数が酸化マグネシウムよりも小さいアルカリ土類金属の酸化物(即ち、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムまたは酸化バリウム)などを用いた場合であっても、安定な放電特性を得ることができることに留意されたい。
背面基板の用意に際しては、まず、第2ガラス基板上に第2電極を形成し、その上に誘電体の前駆体材料を塗布して焼成などで第2誘電体層を形成する。次いで、所定のパターンで低融点ガラスから成る隔壁を形成し、その隔壁の間に蛍光体材料を塗布して焼成することによって蛍光体層を形成する。第2ガラス基板は、一般的なPDPの製造に用いられる透明で絶縁性を有する基板(厚さは例えば約1.0mm〜約3mm程度)であれば特に制限はなく、例えば、フロートガラス基板、ソーダライムガラス基板、鉛アルカリケイ酸ガラス基板またはホウケイ酸塩ガラス基板等であってよい。第2電極は、第2基板上にストライプ状に複数形成されるものであり、例えば、アドレス電極(データ電極)である(厚さは例えば約1〜4μm程度)。アドレス電極は、各放電セルを選択的に放電させる目的で設けられている。かかるアドレス電極は、銀を主成分とした導電性ペーストからスクリーン印刷法を用いて成膜できる。また、アドレス電極は、銀を主成分とした感光性ペーストをダイコート法または印刷法によって塗布した後、約100℃〜約200℃で乾燥させ、次いで、露光・現像するフォトリソグラフィー法によってパターニングしても成膜できる。かかるアドレス電極は、塗布および乾燥後に、約400〜約700℃の焼成に最終的に付される。第2誘電体層の前駆体材料は、一般的なPDPの製造に用いられる誘電体原料であれば特に制限はなく、例えば、ガラス粉末と、セルロース系またはアクリル系のバインダ樹脂(増粘剤樹脂)と、アルコール系又はエステル系等の有機溶剤とを混合したペースト状またはシート状の原料であってよい。第2誘電体層の厚さは、例えば約5μm〜約50μm程度である。第2誘電体層の上には、蛍光体層が形成されている(厚さは例えば約5〜約50μm程度)。蛍光体層は、放電によって放射された紫外線を可視光線に変換する目的で設けられるものである。かかる蛍光体層は、赤色、緑色および青色の蛍光体層を構成単位としており、それぞれが隔壁で区切られている。隔壁は、放電空間をアドレス電極毎に区画する目的で形成されている。ここで、蛍光体層は、蛍光体粉末、バインダ樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体など)および有機溶剤(例えば、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類など)から成るペースト原料をダイコート法、印刷法、ディスペンス法またはインクジェット法などによって塗布し、次いで、約100℃の乾燥に付すことによって形成する。蛍光体粉末について説明すると、例えば赤色の蛍光体粉末としては、Y:Eu、YVO:Eu、YS:Eu等を挙げることができ、緑色の蛍光体粉末としては、ZnGeO:M、BaAl1219:Mn、LaPO:Tb等を挙げることができ、青色の蛍光体粉末としては、Sr(POCl:Eu、BaMgAl1424:Eu等を挙げることができる。隔壁は、ストライプ状または井桁状に第2誘電体層上に形成されるものであるが、低融点ガラス材料(例えば酸化鉛−酸化硼素−酸化珪素系、酸化鉛−酸化硼素−酸化珪素−酸化亜鉛系などのガラス粉末)、フィラー(例えば酸化物セラミックなど)、バインダ樹脂(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体など)および有機溶剤(例えば、メチルエチルケトンなどのケトン類、トルエンなどの芳香族炭化水素類、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類など)等を含んで成るペースト原料をダイコート法または印刷法によって塗布して約100℃〜200℃の乾燥に付した後、露光・現像するフォトリソグラフィー法でパターニングし、次いで、約400℃〜約700℃の焼成に付すことによって形成される。尚、隔壁は、サンドブラスト法、エッチング法または成型法などを用いることによっても形成できる。
工程(ii)では、前面基板または背面基板にガラスフリット(または「シールフリット」)が塗布される。塗布されたガラスフリットは、後に行う「封着工程」で前面基板と背面基板との周縁をシールするために機能することになる。従って、かかるガラスフリットは、前面基板または背面基板の周縁部に一般的に塗布されることになる。用いられるガラスフリットは、一般的なPDPの製造において同様の目的で用いられるものであれば特に制限はなく、例えば、低融点ガラス材料(例えば酸化鉛−酸化硼素−酸化珪素系、酸化鉛−酸化硼素−酸化珪素−酸化亜鉛系など)から成るガラスフリットであってよい。前面基板または背面基板の周縁部に塗布されたガラスフリットの厚さは100〜140μm程度であり、その幅は3〜10mm程度であることが好ましい。
工程(iii)では、塗布されたガラスフリットが前面基板と背面基板との間に位置するように、前面基板と背面基板とが相互に対向して配置される。即ち、前面基板と背面基板とがガラスフリットを介して相互に張り合わされる。また別の表現を用いれば、前面基板と背面基板とは、保護層と蛍光体層とが互いに向き合うように対向して配置され、より具体的には、表示電極とアドレス電極とが直交するように、前面基板と背面基板とが実質的に平行な位置関係で配置される。対向配置された前面基板と背面基板との間の間隔(即ち、ギャップ幅)は、塗布されたガラスフリットの厚さなどに依存するが、例えば、好ましくは100〜1000μmであり、より好ましくは300〜800μmである。
工程(iv)では、第1導体板が前面基板に接し、第2導体板が背面基板に接するように、第1および第2の導体板が前面基板および背面基板の外側に配置される(図1参照)。換言すれば、「第1および第2の導体板」と「前面及び背面の基板」とを、前面基板及び背面基板が内側に、2枚の導体板が外側になるよう平行に重ね合わされる。第1導体板および第2導体板は、導電性材料から成るものであれば特に制限はなく、例えば、銅、アルミニウム、銀および金から成る群から選択される少なくとも1種類以上の材料から形成されている。第1導体板および第2導体板の厚さは、特に制限はないものの、好ましくは0.1〜10mm、より好ましくは0.5〜2mmである。第1導体板および第2導体板の主面(別の表現を用いれば、「前面または背面の基板と接することになる面」)のサイズは、好ましくは、前面基板と背面基板とが互いに対向する領域以上の面積を有しており、より好ましくは、封着後に実質的な閉空間を形成する「塗布されたガラスフリットよりも内側に位置する基板領域」以上の面積を有している。
工程(v)では、前面基板および背面基板の少なくとも一方に設けられた貫通穴を介して前面基板と背面基板との間にガスを吹き込んだ状態で、第1導体板と第2導体板との間に電圧を印加して(即ち、第1導体板と第2導体板との間に電位差を形成して)前面基板と背面基板との間の空間にプラズマを発生させる。ここで発生させるプラズマは安定な非平衡プラズマであることが望まれる。印加電圧は、好ましくは200〜2000V、より好ましくは500〜1000Vである。尚、プラズマ発生が比較的容易となるので、パルス電圧または高周波電圧を印加電圧として用いてもよい。パルス電圧におけるパルス周波数は1kHz〜1MHzであり、パルス幅は0.5μs〜0.5msであることが好ましい。また、高周波電圧における「高周波」とは、100kHz〜100MHz程度の周波数を実質的に意味している。
プラズマ中のイオンは、プラズマ電位と浮遊電位との差に相当するエネルギーで前面基板および背面基板に向かって直進するように加速され、保護層および隔壁や蛍光体層などに衝突する。衝突エネルギーは数〜20eV程度であると考えられる。この衝突によって、保護層表面の変質層がスパッタリングによって除去されるが、スパッタリングされた粒子の多くは気相中で分解されることになり、最終的には、前面基板と背面基板との間に供される連続的なガス流れに伴って基板外部へと排出される。このようにして、保護層表面を清浄化することができる。尚、前面基板と背面基板との間には、工程(ii)で塗布されたガラスフリットが存在しているものの、工程(v)ではガラスフリットを加熱により溶融させる封着処理を行っていない段階なので、連続的に吹き込まれたガスが基板の周縁部の隙間を介して外部へと連続的に流出できることに留意されたい。
保護層表面のスパッタリングをより促進させる観点からいうと、第1導体板が電源に電気的に接続され、第2導体板が接地されていることが好ましい。より具体的には、第1導体板が電源のホット側(即ち、「アース側でない側」または「電圧を供給する側」)に電気的に接続されている一方、第2導体板が接地されていることが好ましい。これにより、より短時間で保護層表面の変質層を除去することができる。
ガスが吹き込むための「貫通孔」は、対向配置された前面基板と背面基板との間にガスを外部から連続的に流すことを可能にするものであれば、どのような形状・形態・サイズであってもかまわないものの(例えば、円形状の貫通孔の場合、直径サイズは2〜5mm程度である)、貫通孔は、完成されたPDPの画像表示を妨げることがないように、PDP表示部ではない前面基板(もしくは第1ガラス基板)または背面基板(もしくは第2ガラス基板)の周辺部分に位置することが好ましい。貫通孔の個数は1つに限定されるものではなく、必要に応じて複数設けてもよい。尚、かかる貫通孔の形成は、例えば、前面基板または背面基板を準備した後に、ドリル加工またはレーザー加工などの適当な方法で形成することができる。例えば、貫通孔を背面基板に設ける場合では、蛍光体のペースト原料を塗布して乾燥させた後の段階において貫通孔を設けることが好ましい(尚、貫通孔が設けられた後でガラスフリットが塗布されることになる)。
低い印加電圧でプラズマ発生が可能となる点で、供給するガス(即ち、「貫通孔を介して吹き込むガス」)は、ヘリウムガス(He)、ネオンガス(Ne)、アルゴンガス(Ar)、クリプトンガス(Kr)、キセノンガス(Xe)およびラドンガス(Rn)から成る群から選択される少なくとも1種類以上の希ガスであることが好ましい。また、希ガスの中でも、より低い印加電圧でプラズマ発生が可能となる点で、ヘリウムガスがより好ましい。ヘリウムガスを用いた場合、プラズマ発生に際して保護層に衝突するイオンは、Heイオンとなり得る。かかるヘリウムガスは、不活性ガスであるために保護層の化学的な変質を引き起こす恐れが極めて小さいだけでなく、大気圧放電が低電圧で発生できるという利点がある。尚、供給するガスの流量は少なすぎるとプラズマが不安定なアーク放電へ移行する場合があり、制御が困難となるだけでなく、変質層除去に“ムラ”が生じてしまうことになる一方、逆に流量が多すぎることはコスト的に不利である。従って、供給するガスの流量は約100sccm〜10SLM程度が好ましい。
工程(vi)では、ガラスフリットを溶融させて前面基板および背面基板の封着が行なわれる。かかる工程に先立っては、第1導体板と第2導体板との間の電圧印加を停止してプラズマ発生を停止させる。そして、対向配置された前面基板および背面基板を封排炉に投入して前面基板および背面基板を加熱する。これにより、ガラスフリットが溶融し、前面基板と背面基板とが気密に接合することになる。加熱温度は、ガラスフリットが溶融できる温度であれば特に制限はない(即ち、一般的なPDPの製造に際して用いられる「封着温度」であってよい)。
尚、かかる工程(vi)では、プラズマ発生を停止した後、対向配置された前面基板と背面基板との間に供給するガスをヘリウムガスから乾燥ガスに変更することが好ましい(即ち、乾燥ガスの吹込みを開始することが好ましい)。このとき、対向配置された基板間に大気が混入しないよう、ヘリウムガスの供給停止後直ちに乾燥ガスの吹込みを開始することが望ましい。あるいは、ヘリウムガスの供給を停止する前に乾燥ガスの吹込みを開始してもよい。そして、乾燥ガスを吹き込みながら、前面基板および背面基板を加熱して封着することが好ましい。尚、場合によっては、2枚の基板間の内圧が上がり過ぎないよう、ガラスフリットの軟化点以上の温度においては、窒素ガスの吹込み量を少なくするか、あるいは実質的にゼロにする必要がある。
上述の乾燥ガスは、望ましくは水分(水蒸気)を全く含んでいないガスが好ましいものの、水分(水蒸気)がわずかに含まれていてもよく、ガス中に0〜10ppmの水分(水蒸気)、例えば0〜1ppmの水分(水蒸気)が含まれていてもよい。これにより、「変質層が除去され清浄化された保護層表面」の再汚染を効果的に抑制することができる。尚、ここでいう「ガス中に含まれる水分の量(ppm)」は、ガスの全体積(0℃1気圧の標準状態)に占める水分(水蒸気)の体積割合を百万分率で示したものであり、常套の露点計で測定することによって得られる値を指している。窒素ガスは比較的高価であるので、乾燥ガスとして乾燥空気を用いることによって安価な製造工程とすることが可能である。同様に、乾燥ガスは、望ましくは二酸化炭素を全く含んでいないガスが好ましいものの、二酸化炭素がわずかに含まれていてもよく、ガス中に0〜10ppmの二酸化炭素成分、例えば0〜1ppmの二酸化炭素成分が含まれていてもよい。尚、ここでいう二酸化炭素含有量(ppm)は、ガスの全体積(0℃1気圧の標準状態)に占める二酸化炭素の体積割合を百万分率で示したものであり、常套の非分散型赤外吸収法(NDIR)で測定することによって得られる値を指している(尚、「NDIR」は、二酸化炭素分子が赤外線(波長:4.26μm)を吸収することを利用して、その吸収量から二酸化炭素濃度を求める方法である)。吹き込む乾燥ガスの流量が少なすぎると外部の大気が混入するおそれがあり、逆に流量が多すぎることはコスト的に不利である。従って、工程(vi)の吹込みで用いられる乾燥ガスの流量は、好ましくは約20sccm〜10SLM程度である。
工程(vii)では、前面基板と背面基板との間の空間に存在するガスが排気された後、前面基板と背面基板との間にXeを含んで成るガスが封入される。具体的には、封着処理された2枚の基板を封着時よりも若干低温(ガラスフリットが固化する温度)に保持しながら、2枚の基板間の空間が真空状態(例えば、2枚の基板間が1.0×10−6〜1.0×10−2Pa程度の圧力下にある状態)となるように排気を行う。かかる排気ステップが完了した後、2枚の基板を冷却し、ほぼ常温となった後に、前面基板と背面基板との間にXeとNeの混合ガスを導入する(封入処理)。そして、ガス導入は所定の圧力に達すると停止する。尚、封入に用いるガスは、XeとNeの混合ガスに限定されるものでなく、例えば、Xeガスのみを封入してもよいし、あるいはHeを混入させたガスを封入してもよい。
次に、図2を参照しながら、本発明に係るプラズマディスプレイパネルの製造装置について説明する。本発明の製造装置は、
第1導体板3および第2導体板4、
第1導体板3が前面基板1に接し、第2導体板4が背面基板2に接するように、第1導体板3および第2導体板4を前面基板1および背面基板2の外側にて保持するための保持デバイス、
前面基板1および背面基板2の少なくとも一方に設けられた貫通穴(図示せず)を介して前面基板1と背面基板2との間にガスを供給するためのガス供給デバイス、ならびに
第1導体板3と第2導体板4との間に電圧を印加するための電源10
を有して成る。
第1導体板3および第2導体板4は、図2に示すように、対向配置された前面基板1と背面基板2とを外側から挟みこむことができるように配置されている。第1導体板3および第2導体板4の材質、厚さおよび主面サイズなどは、本発明の製造方法にて既に上述しており、重複を避けるために説明は省略する。
保持デバイスは、例えば、図2に示すような「バネ力を有するクリップ部材5」であることが好ましい。かかるクリップ部材5は、第1導体板3および第2導体板4の周縁部を挟持するように設けられることが好ましい。このようなクリップ部材5によって、第1導体板3および第2導体板4が、前面基板1および背面基板2にそれぞれ押し当てられることになる。クリップ部材5は、1つである必要がなく、前面基板1と背面基板2とが均等に押圧されるように、複数設けてもよい。
ガス供給デバイスは、好ましくは、ガス供給源(図示せず)、配管8、チャックヘッド9、チップ管6およびフリットリング7を有して成る。チップ管6は、フリットリング7を介して背面基板に設けられた貫通穴(図示せず)に合わせて背面基板に押し当てられる。チップ管6の先端には、配管8の先端部を構成するチャックヘッド9が接続されている。チャックヘッド9内には水冷配管・シール機構(図示せず)が配置されており、チップ管6および配管8が封着温度にまで昇温された場合においても一体的に密閉構造となるよう構成されている。配管8には、例えば高圧ガスボンベなどのガス供給源(図示せず)が接続されており、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンもしくはラドンなどの希ガスまたは窒素ガスなどを供給できるようになっている。尚、ガス供給デバイスには、必要に応じて、フローメーターまたはファンなどを設けてもよい。
電源10は、第1導体板3と第2導体板4との間に電圧を印加するための電源であれば、特に制限はない。好ましくは、パルス電源または高周波電源を電源10として用いることができる。第1導体板3が高周波電源10に電気的に接続されている一方、第2導体板4が接地されていることが好ましい。具体的に説明すると次のようになる。例えば、電源10として高周波電源を用いた場合、コネクタ11及び銅板12(または銅線12)を介して台座13に100kHz〜100MHzの周波数(例えば約13.56MHz)の高周波電圧が供給される。台座13と前面基板1に密着させた導体板3とは電気的に導通状態にある。高周波電源10とコネクタ11との間には、インピーダンス整合回路(図示せず)が設けられる。クリップ部材5は銅板14(または銅線14)を介して接地される。ここで、クリップ部材5の一方の端部5aと背面基板2に密着させた導体板4とは電気的に導通状態にある。これに対して、クリップ部材5の他方の端部5bと前面板1に密着させた導体板3とは、セラミックス製の絶縁部材15によって電気的に絶縁状態にされる。
前面基板1、背面基板2、第1導体板3および第2導体板4を含む各種要素は、高周波ノイズを漏洩させないよう、網目状の金属で構成されたシールドケース16内に収納されることが好ましい。この場合、シールドケース16は接地されている。また、台座13とシールドケース16間に絶縁板17が設けられ、シールドケース16に高周波電圧がかからないように構成されることが好ましい。
次に、本発明の更なる理解のために、2つの実施形態に基づいて本発明の製造方法を説明する。
(実施形態1)
図3は、本発明の実施形態1におけるPDPの製造工程の概略構成を示すフローチャートである。図3を参照して本発明の製造方法を説明すると次のようになる。前面基板を用意する工程は、電極形成、誘電体層形成、保護層形成の各サブステップからなる。その一方、背面基板を用意する工程は、電極形成、誘電体層形成、隔壁形成、蛍光体層形成の各サブステップと、ガラスフリットを塗布するサブステップとからなる。このような各サブステップは、よく知られたスパッタリング法、蒸着法、フォトリソグラフィー法、スクリーン印刷法、ダイコート法、サンドブラスト法等の薄膜・厚膜形成技術や微細加工技術と、乾燥・焼成等の熱プロセスとによって実現することができる。このようにして用意された前面基板および背面基板を、アライメント装置内でアライメント(位置合わせ)を行った後、「前面基板と背面基板とを貼り合せた際に重なり合う部分以上の面積を有する2枚の導体板」と「前面基板および背面基板」とを、前面基板および背面基板が内側に、2枚の導体板(即ち、第1導体板および第2導体板)が外側になるよう平行に重ね合わせる。このとき、2枚の導体板を、前面基板及び背面基板に押し当てるように重ね合わせる。次に、これら4枚の薄板を密着させるために、保持デバイスとしてのクリップ部材を取り付ける。さらに、背面基板に設けられた貫通穴に合わせてチップ管を取り付ける。保護層の形成からこのステップまでは、保護層が大気に曝露されるため、保護層の表面には変質層が形成され得る。次いで、背面基板に設けられた貫通穴よりチップ管を通じて前面基板と背面基板との間にヘリウムガスを吹き込みながら、2枚の導体板間に電圧を印加して前面基板と背面基板との間にプラズマを発生させる。プラズマ中のイオンは、プラズマ電位と浮遊電位との差に相当するエネルギーで前面基板および背面基板に向かって加速されて移動し(それら基板に対して実質的に垂直な方向に移動し)、前面基板および背面基板に衝突することになる。この衝突によって、前面基板に形成された保護層の表面の変質層がスパッタリングによって除去される。スパッタリングされた粒子の多くは気相中で分解され、前面基板と背面基板との間に吹き込んでいるガスの流れによって、前面基板および背面基板の周縁の隙間を介して外部へと排出される。変質層が十分に除去された後は、2枚の導体板間の電圧印加を停止してプラズマ発生を停止する。そして、前面基板と背面基板との間に供給するガスをヘリウムから窒素に変更する。窒素ガスを供給しながら、クリップ部材で固定された4枚の薄板(即ち、前面および背面の基板、第1および第2の導体板)を封排炉に投入して加熱し、ガラスフリットを溶融させて基板の封着処理を実施する。次に、封着された2枚の基板を封着時よりも若干低温に保持しながら、2枚の基板間が真空雰囲気下となるように基板間のガスを排気する。かかる排気ステップが完了した後、2枚の基板を冷却し、ほぼ常温となった後に、前面基板と背面基板との間にXeとNeの混合ガスを導入し、所定の圧力にてガス導入を停止する。最終的には、チップ管を切断するとPDPが完成することになる。
このような製造工程を経て得られたPDPでは、プラズマ発生に際して保護層表面の変質層が除去されており、かつ、プラズマ停止の直後に前面基板と背面基板との間に流すガスをヘリウムガスから窒素ガスに変更するため、前面基板と背面基板との間に大気が混入していない。そして、前面基板と背面基板との間が窒素ガスに満たされた状態のまま封着がなされるので、再び保護層表面に変質層が形成されることはない。また、前面基板と背面基板を貼り合せた際に重なり合う部分以上の面積を有する2枚の導体板間に電圧を印加してプラズマを発生させるので、表示電極近傍のみならず、表示電極から離れている保護層表面の変質層をも除去できる。また、保護層表面のみならず、背面基板の隔壁や蛍光体層の表面にも水分や二酸化炭素等がほとんど吸着していない状態のPDPを製造することができるので、張り合わされたPDP内部には、水分、二酸化炭素など保護層表面を変質・劣化させる要因となるガスがほとんど含まれていない。その結果、PDPを長時間駆動させても、放電電圧・輝度等の変化が少なく、パネル寿命に優れたPDPが実現される。
本発明の更なる効果として、前面基板および背面基板に“割れ”が生じにくい点を挙げることができる。つまり、本発明では、前面基板と背面基板とを貼り合せた際に重なり合う部分以上の面積を有する2枚の導体板間に電圧を供給してプラズマを発生させるので、前面基板および背面基板が、プラズマによって比較的均一に全体が加熱され、局所的な熱勾配による基板の割れが発生しにくい。また、本発明で得られたPDPでは、保護層表面に変質層が無く、また、背面基板表面におけるガス吸着も極めて少ないため、エージングがほとんど不要か、または極めて短時間で済むといった効果もある。
(実施形態2)
次に、図4および図5を参照して、本発明の実施形態2について説明する。図4は、本発明の実施形態2におけるプラズマ発生、窒素ガス吹き込み開始、封着直前における4枚の薄板の状態を示した拡大断面図である。図4は、前面基板1および背面基板2の外縁部を拡大表記したものである。図3における前面基板1、背面基板2、第1導体板3、第2導体板4、クリップ部材5および絶縁部材15の構成は、図2に示す構成と同様である。
背面基板2の表面には隔壁18が形成されている。背面基板2において隔壁の無い周縁領域に、前面基板1と背面基板2とを封着するためのガラスフリット19が形成されている。ガラスフリット19の外側には、隔壁高さ(100〜140μm)およびガラスフリット厚さ(100〜140μm)よりも厚く形成されたダミーフリット20が設けられている。フリットの形成配置を示した図5の平面図を参照すると分かるように、ガラスフリット19は、前面基板1と背面基板2とを貼り合せた際に重なり合う部分を囲うように、連続的な一続きの環を構成するよう形成されている。一方、ダミーフリット20は、背面基板の主面に数カ所設けられ、例えば長さ5〜15mm(例えば約10mm)、幅3〜7mm(例えば約5mm)、厚さ300〜800μm(例えば約500μm)のものが外縁部にほぼ均等に20カ所設けられている。ダミーフリット20の材質はガラスフリット19と同じであってもよいし、ガラスフリット19よりも軟化点の低い材質あるいは軟化した際の粘度が低い材質であってもよい。同じ材質であれば形成(塗布)工程が簡単になるという利点がある。軟化点が低い材質あるいは軟化した際の粘度が低い材質であれば、封着後の前面基板1と背面基板2との間隔を、ダミーフリット20が無い場合とほぼ同等にすることが容易となる。このようなダミーフリット20を用いることにより、プラズマ発生、窒素ガス吹き込み開始、封着直前における前面基板1と背面基板2との間隔をより大きくすることができるので、基板間の空間におけるガス置換がより迅速にできるだけでなく、プラズマ発生によって除去された変質層由来の物質、水分、二酸化炭素等を基板間の空間から外部へと追い出すことがより迅速に実施できることになる。
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されず、種々の改変がなされ得ることを当業者は容易に理解されよう。
例えば、ガラスフリットを塗布した後、アライメントの前にフリットの仮焼成を行ってもよい。あるいは、蛍光体層形成するステップにおいて蛍光体層の焼成を経ずに、フリットの仮焼成と同時に一括で蛍光体層を焼成することも可能である。
また、チップ管を1つ用いる場合を例示したが、チップ管を2つ用いてフロー封排を行ってもよい。「フロー封排」とは、封着の際に一方のチップ管から窒素あるいは乾燥空気を吹き込みながら、他方のチップ管から排気を行い、パネル内のガス置換を促進する方法である。この場合、プラズマ発生や窒素ガス吹き込み開始のステップにおいて、一方のチップ管は何もせず(チップ管とガス供給源との間のバルブを閉にする)、他方のチップ管からガスを供給してもよいし、あるいは、両方のチップ管からガスを供給してもよい。両方のチップ管からガスを供給する方が、より面内ムラの少ないPDPを得ることができる。
本発明の製造方法では、PDPの製造に際して保護層表面に生じ得る変質層を十分に除去できるので、パネル寿命に優れたPDPを得ることができる。
第1導体板が前面基板に接し、第2導体板が背面基板に接するように、第1導体板および第2導体板が前面基板および背面基板の外側に配置される態様を模式的に示した側面図 本発明の実施形態1における導体板および基板の態様を模式的に示す側面図 本発明の実施形態1におけるPDPの製造工程の概略構成を示すフローチャート 本発明の実施形態2における導体板および基板の態様を模式的に示す拡大断面図 本発明の実施形態2におけるフリットの形成配置を模式的に示す平面図 PDPの概略構成を模式的に示す斜視図
符号の説明
1 前面基板(表面板)
2 背面基板(背面板)
3 第1導体板
4 第2導体板
5 クリップ部材
6 チップ管
7 フリットリング
8 配管
9 チャックヘッド
10 高周波電源
11 コネクタ
12 銅板または銅線
13 台座
14 銅板または銅線
15 絶縁部材(絶縁板)
16 シールドケース
17 絶縁板
18 隔壁
19 ガラスフリット
20 ダミーフリット
30 前面基板
31 第1ガラス基板
32a,32b 表示電極
33 第1誘電体層
34 保護層
40 背面基板
41 第2ガラス基板
42 アドレス電極
43 第2誘電体層
45 隔壁
46R,46G,46B 蛍光体層
50 放電空間
51 放電セル
60 PDP

Claims (11)

  1. プラズマディスプレイパネルの製造方法であって、
    (i)第1ガラス基板上に第1電極、第1誘電体層および保護層が形成された前面基板と、第2ガラス基板上に第2電極、第2誘電体層、隔壁および蛍光体層が形成された背面基板とを用意する工程、
    (ii)前面基板または背面基板に対してガラスフリットを塗布する工程、
    (iii)前記ガラスフリットが前面基板と背面基板との間に位置するように、前面基板と背面基板とを相互に対向させて配置する工程、
    (iv)第1導体板が前面基板に接し、第2導体板が背面基板に接するように、第1導体板および第2導体板を前面基板および背面基板の外側に配置する工程、
    (v)前面基板および背面基板の少なくとも一方に設けられた貫通穴を介して前面基板と背面基板との間にガスを供給しながら、第1導体板と第2導体板との間に電圧を印加して前面基板と背面基板との間にプラズマを発生させる工程、
    (vi)前記ガラスフリットを溶融させて前面基板および背面基板を封着する工程、ならびに
    (vii)前面基板と背面基板との間に存在するガスを排気した後、前面基板と背面基板との間にXeを含んで成るガスを封入する工程
    を含んで成ることを特徴とする製造方法。
  2. 前記保護層は少なくとも1つの層から構成されており、前記層の各々が、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウムおよび酸化バリウムから成る群から選択される少なくとも1種類以上を含んで成ることを特徴とする、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(v)において、前面基板と背面基板との間にパルス電圧または高周波電圧を印加することを特徴とする、請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(v)において、第1導体板が前記電圧を印加するために用いられる電源に電気的に接続され、第2導体板が接地されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記工程(v)において、希ガスを含んで成るガスを前面基板と背面基板との間に供給することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記希ガスがヘリウムガスであることを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
  7. 前記工程(vi)において、前面基板と背面基板との間に0〜10ppmの水蒸気を含んだガスを供給しながら、前面基板および背面基板を加熱することを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
  8. 前記工程(vi)において、前面基板と背面基板との間に0〜10ppmの二酸化炭素を含んだガスを供給しながら、前面基板および背面基板を加熱することを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
  9. プラズマディスプレイパネルの製造装置であって、
    第1導体板および第2導体板、
    第1導体板が前面基板に接し、第2導体板が背面基板に接するように、第1導体板および第2導体板を前面基板および背面基板の外側にて保持するための保持デバイス、
    前面基板および背面基板の少なくとも一方に設けられた貫通穴を介して前面基板と背面基板との間にガスを供給するためのガス供給デバイス、ならびに
    第1導体板と第2導体板との間に電圧を印加するための電源
    を有して成る製造装置。
  10. 前記電源がパルス電源または高周波電源であることを特徴とする、請求項9に記載の製造装置。
  11. 第1導体板が前記電源に電気的に接続されている一方、第2導体板が接地されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の製造装置。
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