JP2005179382A - ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 - Google Patents

ノボラック型フェノール樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、任意の分子量を有するノボラック型フェノール樹脂を効率よく得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】 ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてノボラック型フェノール樹脂(X)を製造する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを、酸性触媒下で反応させてノボラック型フェノール樹脂(Y)を製造する工程、
を有することを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法に関するものである。
ノボラック型フェノール樹脂は通常、フェノール類とアルデヒド類とを、少量の塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸といった無機酸あるいは有機酸を触媒として用いて反応させることで得られる。
しかしながら、このような方法で得られたノボラック型フェノール樹脂は、フェノール類の2核体成分以上を樹脂と見なすと、仕込んだフェノール類に対する樹脂転換率が60〜90重量%であり、これ以上の反応率は期待できない。このため、通常、反応終了後に150〜250℃といった高温で、真空蒸留、水蒸気蒸留等を行い、未反応フェノール類を除去する工程が必要となる。
これは、工数が大きくなる上に、10重量%以上の未反応フェノール類を取り除くため、収得量が減ってしまうという問題がある。
特に近年は、環境対応の理由でノボラック型フェノール樹脂に含まれる未反応フェノール類の低減要求があり、未反応フェノール類の含有量を1重量%以下とするような要求もある。
しかし、これを達成するには、未反応フェノール類を除去する工程で、温度、真空度を高くして、より多くの未反応フェノール類を除去する必要がある。このため、より多くのエネルギー、工数を必要とし、フェノール樹脂の製造コストが高騰するという問題があった。
このような問題に対して、フェノール類とアルデヒド類とを、所定量のリン酸類を用いて反応させる方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、未反応フェノール類の含有量を低減し、かつ、分子量分布の狭いフェノール樹脂を合成することができる。
しかし、従来の方法で得られていたような、高分子量成分を含有するフェノール樹脂を合成する場合には、触媒として用いるリン酸類の特性上、類似した分子量分布のものを得るのが難しい場合があった。
WO03/042267号公報
本発明は、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、任意の分子量を有するノボラック型フェノール樹脂を効率よく得ることができる製造方法を提供するものである。
このような目的は、以下の本発明(1)〜(10)により達成される。
(1)ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてノボラック型フェノール樹脂(X)を製造する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを、酸性触媒下で反応させてノボラック型フェノール樹脂(Y)を製造する工程、
を有することを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(2)上記(a)工程において、フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を用いる上記(1)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(3)上記リン酸類は、リン酸である上記(1)又は(2)に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(4)上記(a)工程において、フェノール類1モルに対してアルデヒド類0.3〜0.75モルを反応させる上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(5)上記(a)工程の後、上記(b)工程の前に、反応系の水洗を行い、ノボラック型フェノール樹脂(X)中に含有されるリン酸類の濃度を3重量%以下とする上記(1)ないし(4)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(6)上記ノボラック型フェノール樹脂(X)は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下である上記(1)ないし(5)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(7)上記ノボラック型フェノール樹脂(X)は、GPC測定による重量平均分子量が1500以下である上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(8)上記(b)工程において、上記(a)工程で使用したフェノール類1モルに対して、アルデヒド類0.05〜0.40モルを反応させる上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(9)上記(b)工程において、上記(a)工程で使用したフェノール類1モルに対して、酸性触媒0.0001〜0.1モルを用いる上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
(10)上記ノボラック型フェノール樹脂(Y)は、反応終了時点での未反応フェノール類の含有量が1重量%以下である上記(1)ないし(9)のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
本発明は、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてノボラック型フェノール樹脂(X)を製造する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを、酸性触媒下で反応させてノボラック型フェノール樹脂(Y)を製造する工程、
を有することを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であり、未反応フェノール類の含有量が少なく、任意の分子量分布を有するフェノール樹脂を効率よく得ることができるものである。
以下に、本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法について説明する。
本発明のノボラック型フェノール樹脂の製造方法(以下、単に「製造方法」ということがある)は、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてノボラック型フェノール樹脂(X)(以下、単に「フェノール樹脂(X)」ということがある)を製造する工程、
(b)上記ノボラック型フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを、酸性触媒下で反応させてノボラック型フェノール樹脂(Y)(以下、単に「フェノール樹脂(Y)」ということがある)を製造する工程、
を有することを特徴とする。
本発明の製造方法においては、まず、
(a)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてフェノール樹
脂(X)を製造する。
上記(a)工程で用いられるフェノール類としては特に限定されないが、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール、o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール、イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール、フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール、p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、および1−ナフトール、2−ナフトール等の1価の多環フェノール類、レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、フロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類が挙げられる。
これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができるが、通常、フェノール、クレゾールが多く用いられる。
また、上記(a)工程で用いられるアルデヒド類としては特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのアルデヒド類は、上記(a)工程のみでなく、後述する(b)工程においても用いることができる。
上記(a)工程において用いられるリン酸類としては、水に溶解してリン酸類水溶液となりうるリン酸系化合物を用いることができ、特に限定されないが、例えば、リン酸(オルトリン酸)、二リン酸、三リン酸などの直鎖状ポリリン酸、環状ポリリン酸、五酸化二リン、亜リン酸、次亜リン酸などのほか、各種リン酸エステル化合物が挙げられる。これらを単独または2種類以上組み合わせて使用することができる。
これらのリン酸類の中でも、リン酸が好ましい。リン酸は濃度調節を簡易に行うことができ、また、低コストで入手することができる。
リン酸類をリン酸類水溶液の形態で用いる際のリン酸類の濃度としては特に限定されないが、20〜99重量%であることが好ましく、さらに好ましくは40〜99重量%である。リン酸類の濃度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
上記(a)工程において用いられるリン酸類の量は特に限定されないが、フェノール類1モルに対して、0.2モル以上であることが好ましい。これにより、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させる系において、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類を含有する水相との分配を安定させることができる。
このリン酸類の量は、フェノール類1モルに対して、0.3〜1.0モルであることがさらに好ましく、0.4〜0.9モルであることが特に好ましい。これにより、分子量分
布が狭く、未反応フェノール類の含有量が少ないノボラック型フェノール樹脂を効率的に得ることができる。
このリン酸類の量を多くすると、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(X)を高収率で得るという効果は大きくなる傾向があるが、フェノール類1モルに対して、1.0モルを越える量を用いても、この効果が実質的に変わらなくなるので経済的でないことがある。また、0.2モル未満では、有機相と水相とを安定して分配するためには水相中のリン酸類濃度が低くなりすぎるので、反応速度が低下するようになる。
また、上記リン酸類とともに、通常、ノボラック型フェノール樹脂の製造で使用する酸触媒の併用も可能である。このような酸触媒としては例えば、シュウ酸、硫酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
上記(a)工程において、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させる際の反応系中の水分含有率としては特に限定されないが、1〜40重量%とすることが好ましい。さらに好ましくは1〜30重量%である。
ここで、反応系中の水分含有率とは、反応系内に存在するフェノール類、アルデヒド類、リン酸類、ノボラック型フェノール樹脂などの合計量に対する、反応系内に存在する水分の合計量の重量比率を指す。反応系内に存在する水分としては、リン酸類水溶液中の水分、アルデヒド類に含有される水分など、添加する原料に由来する水分のほか、反応時に発生する縮合水がある。
反応系中の水分含有率は、仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計を反応系中の水分量とし、これを仕込み全量で除することで算出することができる。また、水を蒸留して取り除きながら反応させる場合、上記仕込み原料中の水分量と反応で生成する縮合水量との合計量から、溜去した水分量を減じて反応系中の水分量とし、同様に算出することができる。
この水分含有率を、好ましくは上記の範囲内で反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(X)を高収率で得ることができる。
反応系中の水分含有率を上記下限値以上とすることにより、リン酸類が高粘度化もしくは固結するのを抑えることができる。また、上記上限値以下とすることにより、反応速度の低下を抑制することができるので、フェノール類とアルデヒド類との反応を効率的に進行させることができる。
上記(a)工程において、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させる際の反応温度としては特に限定されないが、40〜150℃であることが好ましい。さらに好ましくは90〜140℃である。
反応温度を上記下限値以上とすることにより、フェノール類とアルデヒド類との反応を促進させることができ、未反応フェノール類の含有量を低減させることができる。また、リン酸類水溶液を好ましい粘度にすることができ、触媒作用が低下するのを避けることができる。一方、上記上限値以下とすることにより、ノボラック型フェノール樹脂の分解を抑制することができる。
上記(a)工程における反応形態としては特に限定されないが、常圧下で反応させる場合、例えば、水分含有率が20〜40重量%の範囲における還流温度は、ほぼ102〜110℃になり、温度及び水分のコントロール上、常圧反応は好ましい条件である。
ここで、アルデヒド類を逐次添加して、生成する縮合水を蒸留等で取り除きながら行う反応方法は、反応系中の水分量が一定となり、好ましい反応条件で実施することができる。ただし、未反応フェノール類が水分と一緒に取り除かれやすくなる場合は、未反応フェノール類が一定量以下となるまで、未反応フェノール類が蒸留されない条件で反応を行い、次いで、蒸留により水分を取り除いた後、あるいは取り除きながら反応を続けることが好ましい。
このほかの反応方法としては、例えば、反応溶媒としてメタノール、アセトン等の有機溶剤を使用する方法、ブタノール、プロパノールなどの非水系溶媒を使用した溶剤還流脱水反応、密閉装置あるいは連続式混合装置などを用いて高温・高圧で反応させる方法、などが挙げられる。
なお、反応時には、必要に応じて消泡剤、界面活性剤等を反応安定化のために使用することができる。また、反応時の攪拌速度は特に限定されないが、速い方が好ましい。
フェノール樹脂(X)の合成終了後には、必要により、水や有機溶剤、さらには未反応フェノール類を除去するため、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行うことも可能である。
上記(a)工程において、フェノール類(P)とアルデヒド類(F)との反応モル比(F/P)としては特に限定されないが、0.3〜0.75とすることが好ましい。さらに好ましくは0.4〜0.7である。反応モル比が上記下限値より小さいと、反応が充分に進行せず歩留まりが低くなる傾向がある。一方、上記上限値よりも高いと、反応条件によってはゲル化もしくは部分的なゲル化物が生成することがある。
上記(a)工程において、フェノール類とアルデヒド類とを反応させる方法としては特に限定されないが、例えば、反応の開始時において、フェノール類とアルデヒド類とを全量一括して仕込んだ後、リン酸類水溶液を添加して反応させる方法、あるいは、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール類とリン酸類水溶液を仕込んでから、アルデヒド類を逐次添加して反応させる方法などが挙げられる。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、以上に説明した方法により、(a)工程でフェノール樹脂(X)を合成した後、後述する(b)工程の前に、反応系の水洗を行い、フェノール樹脂(X)中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下にすることが好ましい。さらに好ましくは0.1重量%以下である。
これにより、水洗後、常圧蒸留もしくは減圧蒸留を行うとき、フェノール樹脂(X)の分解を抑制することができる。
ここで水洗を行う方法としては特に限定されないが、例えば、フェノール樹脂(X)を含む有機相と、リン酸類を含む水相とを、遠心分離により分離する。次いで、得られた有機相を、純水やイオン交換水で水洗を行うことにより、フェノール樹脂(X)中に含有されるリン酸類の濃度を3.0重量%以下とすることができる。また、この水洗を複数回数実施することにより、リン酸類の濃度を0.1重量%以下とすることができる。
また、さらに、リン酸類の濃度が上記上限値以下になるまで水洗を行った後、反応系中に残留しているリン酸類1当量に対して、アルカリ性物質0.8〜1.5当量を用いて中和することが好ましい。これにより、リン酸類の有する触媒活性を失活させることができるので、この後の工程で、高温で脱水反応を行う場合でも、フェノール樹脂(X)の分解を抑制することができる。
ここで用いられるアルカリ性物質としては特に限定されないが、例えば、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、トリエタノールアミンなどを用いることができる。アルカリ性物質の形態としては特に限定されないが、水溶液の形態で用いることが好ましい。
上記(a)工程で得られたフェノール樹脂(X)中の未反応フェノール類の含有量としては特に限定されないが、5重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3重量%以下である。これにより、フェノール樹脂(Y)を高収率に製造することができる。
未反応フェノール類の含有量が上記上限値より多いと、フェノール樹脂(Y)の製造工程においても未反応フェノール類の反応率が低いために、未反応フェノール類が多く残り、反応効率が低下することがある。
本発明の製造方法においては、フェノール類とアルデヒド類とをリン酸類を用い、フェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類を含有する水相との間で液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量を上記上限値以下とすることができる。また、必要に応じて、未反応フェノール類を除去するために、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を併せて行うこともできる。
フェノール樹脂(X)の分子量としては特に限定されないが、GPCによる重量平均分子量が1500以下であることが好ましい。さらに好ましくは1000以下である。これにより、フェノール樹脂(X)を原料樹脂として、種々の分子量を有するフェノール樹脂(Y)を効率よく製造することができる。
フェノール樹脂(X)の重量平均分子量が上記上限値より大きいと、フェノール樹脂(Y)を製造する際、分子量あるいは分子量分布の制御が難しくなることがある。
また、フェノール樹脂(X)の分子量分布の分散度(分散度=重量平均分子量/数平均分子量)としては特に限定されないが、1.1〜3.0であることが好ましい。
本発明の製造方法においては、上記液−液不均一反応を行うことにより、未反応フェノール類の含有量を少なくし、かつ、高分子量成分の増大を抑えることができる。これにより、分子量分布の分散度を上記範囲内とすることができる。
なお、本発明の製造方法において、未反応フェノール類の含有量は、JIS K 0114に準拠し、ガスクロマトグラフィー法を用い、2,5−キシレノールを内部標準物質として内部標準法で測定した値である。また、重量平均分子量及び数平均分子量は、液体クロマトグラフィー法を用いて測定したものである。
ここで液体クロマトグラフィー法は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いたものであり、テトラヒドロフランを溶出溶媒として使用し、流量1.0ml/分、カラム温度40℃の条件で、示差屈折計を検出器として測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。装置は、
・本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
・分析用カラム:TOSOH社製・「G1000HXL」1本、「G2000HXL」2本、「G3000HXL」1本、
を使用した。
本発明の製造方法において、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させることにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(X)を高収率で得ることができる理由は、以下のように考えられる。
リン酸類は非常に水溶性が高い化合物であるが、フェノール類には溶解性が小さく、ノボラック型フェノール樹脂に対してはその分子量が増大するとともに溶解性が更に小さくなる性質を有している。
このリン酸類を水溶液の形態でフェノール類に対して所定量用いることにより、反応開始時の反応系はフェノール類を主成分とする有機相と、リン酸類水溶液を含有する水相に相分離する。この液−液不均一反応系において、フェノール類モノマー及び2核体成分等の低分子量成分は比較的水相に溶出しやすく、溶出した成分はリン酸類の触媒作用により、添加されたアルデヒド類と反応する。反応により生成したノボラック型フェノール樹脂
は、速やかに有機相に抽出されるが、ある程度高分子量化したノボラック型フェノール樹脂は水相にほとんど溶出しないため、さらに高分子量化する反応は起こりにくくなる。
また、反応系中の水分量や反応温度を好ましくは上記範囲内とすることにより、反応により生じた2核体、3核体等の低分子量成分がリン酸類を含有する水相へ溶出されやすくなり、水相での反応を容易に進めることができる。そして、水相中のイオン濃度が高い状態で維持されるので、水相と有機相との界面がよりしっかりと分離し、有機相側における高分子量化反応を防止できる。
このように、本発明の製造方法による反応系においては、低分子量成分と高分子量成分とが、上記水相への溶解性の差異による反応速度差を生じ、フェノール類モノマーや2核体成分等の低分子量成分が選択的に反応するとともに、生成したノボラック型フェノール樹脂が過度に高分子量化することを抑制することができる。
この結果、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(X)を高収率に製造することができる。
次に、本発明の製造方法においては、
(b)上記フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを、酸性触媒下で反応させてフェノール樹脂(Y)を製造する。
上記(b)工程において用いられる酸性触媒としては特に限定されないが、例えば、少量の塩酸、硫酸、リン酸、亜リン酸、蓚酸、p−トルエンスルホン酸、有機ホスホン酸といった無機酸あるいは有機酸を使用することができる。
上記(b)工程において用いられる酸性触媒の量は特に限定されないが、上記(a)工程で用いたフェノール類1モルに対して、0.0001〜0.1モルであることが好ましく、さらに好ましくは0.001〜0.05モルである。酸性触媒量が上記下限値未満では触媒としての作用が小さく、反応が充分に進行しないことがある。また、上記上限値を超えると、触媒としての作用は問題ないが、反応後、酸性触媒を除去する際に、中和、分解等に要する工数が大きくなることがある。
上記(b)工程における反応系のpHは特に限定されないが、0.2〜6.0であることが好ましく、さらに好ましくは0.5〜3.0である。また、反応終了後、フェノール樹脂(Y)の分解反応を防止するため、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、アンモニア、アミン等のアルカリ性物質を添加することもできる。
上記(b)工程におけるフェノール樹脂(X)とアルデヒド類(F)との反応比率は特に限定されないが、フェノール樹脂(X)の製造時に使用したフェノール類(P)との反応モル比(F/P)が0.05〜0.40モルであることが好ましい。さらに好ましくは0.10〜0.30モルである。
これにより、目的とする分子量を有し、かつ未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(Y)を高収率に効率よく得ることができる。反応モル比が上記下限値より小さいと、分子量が十分に大きくならないことがある。また、上記上限値より大きいと高分子量化が過剰に進む傾向があり、反応条件などによってはゲル化することがある。
フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを反応させる方法としては特に限定されないが、例えば、反応の開始時において、フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを全量一括して仕込んだ後、酸性触媒を添加して反応させる方法、あるいは、反応初期の発熱を抑えるため、フェノール樹脂(X)と酸性触媒とを仕込んでからアルデヒド類を逐次添加して反
応させる方法などが挙げられる。
本発明の製造方法においては特に限定されないが、用いるアルデヒド類の総量(F+F)が、フェノール樹脂(X)の製造時に使用したフェノール類(P)に対して、反応モル比[(F+F)/P]で0.5〜0.95であることが好ましい。
上記(b)工程においては、水のほか、メタノール、アセトン等の有機溶剤等を含んだ状態で反応を行うことができる。また、必要に応じて消泡剤、界面活性剤等を反応安定化のために使用することもできる。また、反応溶媒としてメタノール、アセトン等の有機溶剤を使用することもできる。
本発明の製造方法において、フェノール樹脂(Y)中の未反応フェノール類の含有量は特に限定されないが、反応終了時点で1重量%以下であることが好ましい。
このようなフェノール樹脂(Y)を製造する方法としては特に限定されないが、フェノール樹脂(X)として、未反応フェノール類の含有量が少ないもの、好ましくは上記上限値以下であるものを用いることで、上記(b)工程における反応により概ね上記上限値以下とすることができる。さらに、必要に応じて、常圧蒸留や、減圧蒸留、水蒸気蒸留等を行うことができる。
本発明の製造方法においては、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を用いて反応させることにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、かつ、分子量分布が狭いフェノール樹脂(X)を高収率で得ることができる。
そして、このようなフェノール樹脂(X)を原料樹脂として、これにアルデヒド類を反応させることにより、未反応フェノール類の含有量が少なく、目的とする分子量を有するフェノール樹脂(Y)を高収率で製造することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。ここで記載されている「部」は「重量部」、「%」は「重量%」を示す。
1.フェノール樹脂(X)の製造
(製造例1)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液474.4部(F/P=0.55)を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂(X)1030部を得た。
(製造例2)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部、85%リン酸水溶液を1000部(フェノール類1モルに対して0.82モルに相当)添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液604部(F/P=0.7)を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。このような水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定した
ところ、0.07部であった。
その後、50%水酸化ナトリウム水溶液0.06部(上記残存リン酸1当量に対して1.2当量)を添加し、常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂(X)B1068部を得た。
(製造例3)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部、85%リン酸水溶液429部(フェノール類1モルに対して0.35モルに相当)を添加し、100℃に昇温し、37%ホルムアルデヒド水溶液604部(F/P=0.7)を30分間かけて逐次添加し、100℃で1時間還流させながら反応させた。
その後、純水500部、アセトン2000部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。この後、純水2000部添加して樹脂相と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、検出限界以下であった。
常圧蒸留を行い130℃まで昇温し、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温し、フェノール樹脂(X)C1060部を得た。
2.フェノール樹脂(Y)の製造
(実施例1)
3Lの三口フラスコ中に、上記製造例1で得られたフェノール樹脂(X)A1030部、蓚酸9.6部、及び水50部を仕込んだ。攪拌しながら100℃に昇温して、80%パラホルムアルデヒド79.8部(F/P=0.2)を添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノール樹脂(Y)1040部を得た。
(実施例2)
3Lの三口フラスコ中に、上記製造例1で得られたフェノール樹脂(X)A1030部、85%リン酸7部とを仕込んだ。攪拌しながら100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液301.9部(F/P=0.35)を60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、50%水酸化ナトリウム水溶液6部を添加して、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノール樹脂(Y)E1053部を得た。
(実施例3)
3Lの三口フラスコ中に、上記製造例2で得られたフェノール樹脂(X)B1068部、1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1−ヒドロキシエチリデン−1,1’−ジホスホン酸(1水和物)95%以上、キシダ化学(株))5部とを仕込んだ。攪拌しながら100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液86.3部(F/P=0.10)を60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、50%水酸化ナトリウム水溶液5部を添加して常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノール樹脂(Y)F1079部を得た。
(実施例4)
3Lの三口フラスコ中に、上記製造例2で製造したフェノール樹脂B1068部、蓚酸47.9部、水100部、および37%ホルムアルデヒド水溶液172.5部(F/P=0.20)を仕込んだ。攪拌しながら100℃に徐々に昇温して、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノール樹脂(Y)G1084部を得た。
(実施例5)
3Lの三口フラスコ中に、上記製造例3で得られたフェノール樹脂(X)C1060部、蓚酸9.6部、および水50部を仕込んだ。攪拌しながら100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液43.1部を添加し(F/P=0.05)、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノール樹脂(Y)H1061部を得た。
(実施例6)
3Lの三口フラスコ中に、上記製造例3で得られたフェノール樹脂(X)C1060部、37%塩酸2.1部とを仕込んだ。攪拌しながら100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液189.8部(F/P=0.22)を60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、5000Paの減圧度で減圧蒸留を行って150℃まで昇温して、フェノール樹脂(Y)I1071部を得た。
(比較例1)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部と蓚酸10部とを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液560.7部(F/P=0.65)を60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、常圧蒸留、を行い130℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂J782部を得た。
(比較例2)
3Lの三口フラスコ中に、フェノール1000部と蓚酸10部とを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液707.3部(F/P=0.82)を60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。反応後、常圧蒸留を行い130℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂K997部を得た。
(比較例3)
3Lの三口フラスコ中にフェノール1000部と85%リン酸840.9部とを仕込み、100℃に昇温して、37%ホルムアルデヒド水溶液776.3部(F/P=0.90)を60分間かけて逐次添加し、100℃で還流しながら1時間反応させた。
その後、純水500部、メチルエチルケトン2000部を添加して混合し、樹脂相と分離した水相を除去した。この後、純水2000部添加して樹脂相と分離した水相を除去する水洗工程を3回行った。水洗後のフェノール樹脂中に残存しているリン酸量を測定したところ、検出限界以下であった。反応後、常圧蒸留を行い180℃まで昇温して、500Paの減圧下で減圧蒸留を行って190℃まで昇温して、フェノール樹脂L1085部を得た。
製造例1〜3で得られたフェノール樹脂(X)、実施例1〜6で得られたフェノール樹脂(Y)、及び、比較例1〜3で得られたフェノール樹脂について、表1に示す。
Figure 2005179382
(表の注)
1.触媒量
(1)リン酸類:製造例において、フェノール樹脂(X)の製造時に用いたフェノール類1モルに対するリン酸類のモル比
(2)酸性触媒:実施例において、フェノール樹脂(Y)の製造時に用いたフェノール類1モルに対する酸性触媒のモル比
2.未反応フェノール類の含有量
(1)製造例において、フェノール樹脂(X)の、製造終了時点での未反応フェノール類の含有量。
(2)実施例におけるフェノール樹脂(Y)、または比較例におけるフェノール樹脂の、反応終了時点での未反応フェノール類の含有量。
(3)実施例におけるフェノール樹脂(Y)、または比較例におけるフェノール樹脂の、製造終了時点での未反応フェノール類の含有量。
(測定方法)
1.未反応フェノール量:ガスクロマトグラフィーで測定した。
・ガスクロマトグラフィー:JIS K 0114に準拠し、2,5−キシレノールを内部標準として内部標準法で測定した。
2.数平均分子量、重量平均分子量:液体クロマトグラフィーで測定した。
・本体:TOSOH社製・「HLC−8120」
・分析用カラム:TOSOH社製(G1000HXL:1本、G2000HXL:2本、G3000HXL:1本)を用い、流量1.0ml/分、溶出溶媒テトラヒドロフラン、カラム温度40℃の分析条件で示差屈折計を検出器として用いてGPC測定し、分子量は標準ポリスチレンにより換算した。
3.樹脂収得量:フェノール類1000部に対する、収得したフェノール樹脂の量(部)。
4.軟化点:JIS K 2531 に準拠して測定した。
5.50%エタノール溶液の動粘度:50重量%のエタノール溶液を25℃でキャノンフェンスケを用いて測定した。
表1から明らかなように、製造例1〜3では、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させて、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂(X)を得ることができた。
そして、実施例1〜6では、このフェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させることによりフェノール樹脂(Y)を得た。これらはいずれも、反応終了時点(即ち、常圧蒸留ないし減圧蒸留前の時点)において、すでに未反応フェノール類の含有量が少ないものであり、目的とする分子量を有するフェノール樹脂(Y)を高収得に効率よく得ることができた。特に、実施例3〜6は、製造例2〜3で得られた、未反応フェノール類の含有量がより少ないフェノール樹脂(X)を用いたので、未反応フェノール類の含有量がより少ないフェノール樹脂(Y)を得ることができた。
一方、比較例1〜2は蓚酸触媒を用いて1段階でフェノール樹脂を製造したが、反応終了時点での未反応フェノール類の含有量が多く、収得が低いものであった。また、この未反応フェノール類を除去するため、温度、真空度を高くして減圧蒸留を行う必要があった。
そして、比較例3は、リン酸類を用いて1段階で反応を行い、未反応フェノール類の含有量が少なく、実施例6と近似した数平均分子量を有するものを得たが、分子量分布は大きく異なるものとなった。
本発明は、フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてフェノール樹脂(X)を製造し、このフェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを酸性触媒下で反応させてフェノール樹脂(Y)を得ることを特徴とするフェノール樹脂の製造方法であり、未反応フェノール類の含有量が少ないフェノール樹脂を効率よく高収得で得ることができる。本発明の製造方法により得られたフェノール樹脂は、例えば、成形材料、摩擦材、砥石、封止材等のバインダーに好適に使用できるものである。

Claims (10)

  1. ノボラック型フェノール樹脂の製造方法であって、
    (a)フェノール類とアルデヒド類とを、リン酸類を触媒として反応させてノボラック型フェノール樹脂(X)を製造する工程、
    (b)前記ノボラック型フェノール樹脂(X)とアルデヒド類とを、酸性触媒下で反応させてノボラック型フェノール樹脂(Y)を製造する工程、
    を有することを特徴とする、ノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  2. 前記(a)工程において、フェノール類1モルに対してリン酸類0.2モル以上を用いる請求項1に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  3. 前記リン酸類は、リン酸である請求項1又は2に記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  4. 前記(a)工程において、フェノール類1モルに対してアルデヒド類0.3〜0.75モルを反応させる請求項1ないし3のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  5. 前記(a)工程の後、前記(b)工程の前に、反応系の水洗を行い、ノボラック型フェノール樹脂(X)中に含有されるリン酸類の濃度を3重量%以下とする請求項1ないし4のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  6. 前記ノボラック型フェノール樹脂(X)は、未反応フェノール類の含有量が5重量%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  7. 前記ノボラック型フェノール樹脂(X)は、GPC測定による重量平均分子量が1500以下である請求項1ないし6のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  8. 前記(b)工程において、前記(a)工程で使用したフェノール類1モルに対して、アルデヒド類0.05〜0.40モルを反応させる請求項1ないし7のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  9. 前記(b)工程において、前記(a)工程で使用したフェノール類1モルに対して、酸性触媒0.0001〜0.1モルを用いる請求項1ないし8のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
  10. 前記ノボラック型フェノール樹脂(Y)は、反応終了時点での未反応フェノール類の含有量が1重量%以下である請求項1ないし9のいずれかに記載のノボラック型フェノール樹脂の製造方法。
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CN100448907C (zh) * 2006-05-18 2009-01-07 王洁凡 一种酚醛树脂的生产工艺

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