JP2005154964A - 着用快適性に優れたポリエステル布帛及び無塵衣 - Google Patents

着用快適性に優れたポリエステル布帛及び無塵衣 Download PDF

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Abstract

【課題】臭気等の作業環境を悪化させずに量産でき、着用時に不快感を伴わず快適に作業し得る無塵衣の提供を課題とすること。更に詳しくには高吸湿性を有するポリエステル系マルチフィラメントから構成される布帛とすることによって自己発塵性が極めて低く、洗濯耐久性や着用時のソフト感にも優れ、高吸湿性を有するために着用時の衣服内湿度を快適領域に留め、作業時の不快感を伴わない無塵衣を提供すること。
【解決手段】少なくとも2個以上の反応性ビニル基を有する水溶性ウレタン樹脂(A)とポリアルキレンオキサイド付加型ビニル系親水モノマー(B)がビニル重合して形成される皮膜で繊維表層を覆われていることを特徴とするポリエステル布帛。及び前記のようなポリエステル布帛を少なくとも一部に用いてなる無塵衣。
【選択図】なし

Description

本発明は、吸湿性に優れたポリエステル布帛と前記ポリエステル布帛を用いてなる無塵衣に関する。
従来から精密機械製造・組立業或いは食品加工業、医薬製造業、半導体製造業などクリーンルーム内の作業において、ダストを発生させる作業衣の着用は生産品の性格上、好ましいものではなく、ダストを発生しない無塵衣を着用し作業に従事する必要がある。しかしながら該無塵衣は身体から発生する汗やその他***物、皮脂や角質及び肌着から発生する繊維屑、塵埃等を作業環境内に放出させず、それ自体も自己発塵性がないことが必要である。このため、着心地のよい綿やセルロース系繊維及びその他天然繊維を使用することが困難であり、通気性に乏しく着用時は蒸れ感、べたつき感等の不快感を伴う、着心地の大変悪いものであった。このべたつきを抑える従来の技術として、疎水性ラジカル開始剤、疎水性有機溶剤、界面活性剤、及びエチレン性不飽和有機酸を含む水性乳化液ををグラフト重合して、ポリエステルに吸湿性を持たせる方法等がある(例えば、特許文献1参照。)。確かにカルボキシル基を繊維内部又は繊維表面にを導入すれば、ポリエステル繊維の吸湿率が向上し、ムレ感、べたつきを抑えることができる。しかし、これら加工に用いられるビニルカルボン酸は非常に臭気が強く、加工中の作業環境を甚だ悪化させるため、量産加工に用いるのが難しい問題があった。
特公昭60−34579号公報
本発明は係る従来の欠点を解消し、臭気等の作業環境を悪化させずに量産でき、着用時に不快感を伴わず快適に作業し得る無塵衣の提供を課題とするものであり、更に詳しくには高吸湿性を有するポリエステル系マルチフィラメントから構成される布帛とすることによって自己発塵性が極めて低く、洗濯耐久性や着用時のソフト感にも優れ、高吸湿性を有するために着用時の衣服内湿度を快適領域に留め、作業時の不快感を伴わない無塵衣を提供することを課題とするものである。
即ち、本発明は以下の構成よりなる。
1. 少なくとも2個以上の反応性ビニル基を有する水溶性ウレタン樹脂(A)とポリアルキレンオキサイド付加型ビニル系親水モノマー(B)がビニル重合して形成される皮膜で繊維表層を覆われていることを特徴とするポリエステル布帛。
2. 水溶性ウレタン樹脂(A)が、ポリアルキレンオキサイド付加型ウレタンアクリレート系樹脂であり、且つ含有するカルボン酸残基の全酸価が10.0mgKOH/g以上であることを特徴とする上記第1記載のポリエステル布帛。
3. ポリアルキレンオキサイド付加型ビニル系親水モノマー(B)が、下記に記載のI、II、III、IVのいずれかであることを特徴とする上記第1及び第2に記載のポリエステル布帛。
Figure 2005154964
4. 水溶性ウレタン樹脂(A)のカルボン酸残基の少なくとも一部がNa塩化していることを特徴とする上記第1〜第3記載に記載のポリエステル布帛。
5. 水溶性ウレタン樹脂(A)とジビニルモノマー若しくはトリビニルモノマーが、重量分率として1:1〜1:10の割合で繊維表層を覆っていることを特徴とする上記第1記載のポリエステル布帛。
6. ポリエステル系合成繊維フィラメント及び導電性繊維フィラメントを交織又は交編してなる布帛からなり、以下の要件を満足することを特徴とする着用快適性に優れた上記第1記載のポリエステル布帛。
イ. 20℃、65%RH環境における吸湿率が1.5%以上
ロ. 30℃、95%RH環境と20℃、65%RH環境における吸湿率差が3%以上
ハ. ウィッキング法による吸水速度が1秒以下
7. 導電性繊維フィラメントが経及び又は緯方向に間隔が20〜40mmで配置されており、JIS L0217 103法による工業洗濯50回後の摩擦帯電圧が1kV以下であり、粒径0.5μmφ以上の発塵量が100〜500個/cub.f・100cm2以下であることを特徴とする上記第1記載のポリエステル布帛。
8. 上記第1〜第7のいずれかに記載のポリエステル布帛を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする無塵衣。
本発明によると、生地加工中に不快臭による作業環境の悪化を引起さない。また、無塵衣の自己発塵性が極めて低い上、着用時の衣服内湿度を適切な領域に留めて着用時に快適な無塵衣を得ることが可能となり、作業者の作業環境面の改善及び精神衛生面での改善を図ることが出来る等の効果を奏する。
本発明のポリエステル無塵衣は20℃、65%RH環境における吸湿率が1.5%以上、より好ましくは2.5%以上、更に好ましくは3.0%以上であることが好ましい。吸湿性が1.5%未満であれば、クリーンルーム内で該無塵衣を着用して作業しても高吸湿性を実感できるものにはならない。また吸湿率の上限値については特に規定するものではないが、あまり吸湿性が高くなり過ぎると乾燥し難くくなり黴の発生や着用時の重量感、まとわりつきを感じるものになってしまい好ましいとは言えない。吸湿率は10%程度までに留めておくことが好ましい。
また30℃、95%RH環境と20℃、65%RH環境における吸湿率差は3%以上、より好ましくは5%以上であることが望まれる。ここで20℃、65%RH環境は外気の標準環境を示し、30℃、95%RH環境は無塵衣と肌の間に存在する空気の環境(衣服内環境)を示すものである。該吸湿率差が3%未満では実着用時に「水分(汗)を吸って、放出する」という体感を得ることが出来ず、肌面のさらさら感が感じられるものにはならないのである。但し、あまりに吸湿率差を大きくしようとすると風合いが硬くなる場合があるので、50%以下で構わない。
また本発明のポリエステル無塵衣の吸水速度はウィッキング法で1秒以下であることが好ましい。吸水速度は如何に水滴が布帛表面及び内部に拡散していくかを示す尺度であり遅くなる程、水滴が床面やその他作業環境に飛散し易く思わぬ大事故を引き起こす可能性もある。また吸水速度が遅く留まるほど、肌面の濡れ感が持続し、着用快適な作業衣(無塵衣)にはならない。吸水速度を早くするには繊維の毛細管現象や繊維表面濡れ性を向上させることによって達成し得る。
制電特性については摩擦帯電圧測定で1KV以下の性能、より好ましくは0.7KV以下、更に好ましくは0.5KV以下の性能を保持することが無塵衣の特性上、好ましい。摩擦帯電圧が1KVを超過する範囲となれば、空気中の塵埃を吸着させ易くなる他、揮発性有機溶媒等を使用する職場に当っては静電気による引火の原因となり、作業上好ましくない。更には着用感も好ましいものではないため、精神的苦痛を伴うものになるのである。
発塵量については100〜500個/cub.f・100cm2の範囲(ここで、cub.fとは立法フィートを意味し、1cub.f=2.83168×10-2m3に相当する)、より好ましくは100〜350個/cub.f・100cm2の範囲であることが望ましい。食品・薬品分野や精密機械製造分野、その他機械、化学分野等において発塵量は少ないのに越したことはないが、100個/cub.f・100cm2未満の超クリーン分野では工程機械化が進み、人間が直接作業する分野で無くなっている。無塵衣の生産コスト、洗浄コストから見ても割高となり、過度の性能を得る代償は大きなものとなる。また、500個/cub.f・100cm2を超過する領域では塵埃の発生量が多すぎ、生産品の歩留まりの悪化や異物混入の問題が生じ、PL法の観点からも好ましいものではない。
本発明のポリエステル無塵衣に供する布帛の引裂強力は9.8N以上、より好ましくは15.0Nであることが好ましい。引裂強力が9.8N未満となると無塵衣、作業着として着用した場合、特に肘や膝など屈曲する部分などは大きな生地変形を伴うために、どうしても裂け易く実用に供することが出来ない。引裂強力については大きな値を有するほど望ましいが、布帛を構成する繊維の繊維軸方向への配向度を向上させて高強力糸とする必要があり、これに伴う染色性の低下やぬめり感のある風合いに仕上がる傾向にあるので、通常30N以下で良い。
洗濯後の引裂強力保持率については初期に対する洗濯50回後の保持率が80%以上、より好ましくは85%以上の強度を保持することが好ましい。洗濯処理についてはJIS L‐0217の103法に準じた方法で処理するものであり、洗濯を繰り返すにつれて布帛及び縫製部の強度が低下するが、洗濯回数50回後の引裂強力保持率が80%未満であれば、初期性能に対する強度低下が著しく、実用に供するには不都合なものとなる。
ポリエステル布帛に吸水・吸湿性能を付与するために、本発明では少なくとも2個以上の反応性ビニル基を有する水溶性ウレタン樹脂(A)、及び一般式〔I〕、〔II〕、〔III〕、〔IV〕から選択される少なくとも一種類のジビニルモノマー若しくはトリビニルモノマーならびに重合開始剤からなる加工剤を繊維表面にパッドスチーム法等の手法を用いて付与するものでありビニルカルボン酸及び/またビニルスルホン酸モノマーとジビニルモノマー若しくはトリビニルモノマーが、1:1〜1:10の割合で繊維表層に付着していることが好ましい。
Figure 2005154964
水溶性ポリウレタン樹脂(A)として、ポリアルキレンオキサイドを付加することにより親水性が付与されており、10.0mgKOH/g以上の酸価でカルボキシル基を有しており、少なくとも2個以上の反応性ビニル基を有するものであれば特に限定されないが、例えば(a)有機ポリイソシアネート化合物に(b)カルボン酸残基と2個以上の活性水素を有する化合物、及び(c)カルボキシル残基を有さない2個以上の活性水素を有する化合物を反応させた後に、遊離イソシアネート基に(d)片末端をアクリロイル変性したエチレンオキサイド重付加物を反応させて得られた、両末端にアクリロイル又はメタクリロイル基を持つ親水ポりウレタンが好適に使用できる。
本発明に用いる(a)有機ポリイソシアネート化合物は、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート化合物、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネートなどを挙げることができる。これらの有機ポリイソシアネート化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。これらの中で、脂肪族ジイソシアネート化合物及び脂環式ジイソシアネート化合物は、無黄変性の皮膜を与えるので、好適に用いることができ、ヘキサメチレンレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート及びノルボルナンジイソシアネートを特に好適に用いることができる。
本発明に用いる(b)カルボン酸残基と2個以上の活性水素を有する化合物とは、例えば、2,2−ジメチロールプロピオン酸、2,2−ジメチロールブタン酸などを挙げることができる。これらの化合物は、1種を単独で用いることができ、あるいは、2種以上を組み合わせて用いることもできる。最終の親水ポリウレタン樹脂に含まれるカルボン酸残基が少なくとも10.0mgKOH/g以上の酸価になるように、b)カルボン酸残基と2個以上の活性水素を有する化合物の混合比を調整する必要がある。酸価が10.0mgKOH/g以下であると狙いの吸湿性が得られない。
(c)カルボン酸を有さず2個以上の活性水素基を有する化合物は、1分子あたりのEO含有量が0〜100重量%の間で使用可能である。プレポリマー成分として同時に複数のEO含有量の異なる活性水素基を有する化合物を使用してもよい。但し、ウレタンプレポリマーになったときに、少なくとも60℃の温湯に溶解する程度の親水性を持っている必要がある。
また、カルボン酸残基を有さず2個以上の活性水素基を有する化合物は、活性水素基数が異なるものを同時に複数使用してもよい。
活性水素基を2個以上有する化合物としては、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエステルポリエーテルポリオールが挙げられる。ここで、ポリエーテルポリオールとしては、2個以上の活性水素基含有化合物に上記のようなアルキレンオキサイドを付加重合させた化合物が挙げられる。
更に、この2個以上の活性水素基含有化合物として、多価アルコール、アミン類が挙げられ、多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオールまたはデカンジオール等のジオール類、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等のトリオール類、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ソルビトールまたはショ糖等のポリオール類が挙げられる。
また、アミン類としては、エタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンまたはトリブタノールアミン等のアルカノールアミン類、N−メチルアミン、アンモニア、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアルキレンポリアミン類、ジアミノジフェニルメタン、フェニレンジアミン、キシレンジアミン、ピペラジン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、二塩基性脂肪酸またはそれらの無水物と、前記多価アルコール類、前記ポリエーテルポリオール等の重縮合物が挙げられる。
(d)片末端をアクリロイル変性したエチレンオキサイド重付加物とは一般式〔V〕の構造のものが好適に用いられる。
Figure 2005154964
〔式(1)において、X、Yは水素原子またはメチル基であって、互いに同じであっても異なっていてもよい。また、mは5〜50の整数、nは0〜20の整数であり、かつ、m+n<50の条件を満足する整数を示す。 そして、[ ] 内はブロック重合体型またはランダム重合体型を示す。〕
繊維表層に付着する主鎖或いは主鎖の測鎖として2個以上の末端に重合性ビニル基を有する水溶性ウレタン樹脂(A)と、ジビニルモノマー若しくはトリビニルモノマーの重量分率について、後者の分量が前者対比1倍未満となると、繊維表面に形成された皮膜は十分に強くなく、業務洗濯により脱落しやすくなり好ましくない。また、後者の分量が前者対比10倍以上となると皮膜中のカルボン酸残基量が少なく、目的の吸湿性が得られない。
ポリエステル等の疎水性繊維の表面を親水化するための各種表面グラフト重合処方は多数公知となっており、ラジカル重合の開始方法として紫外線、電子線、その他放射線を用いる方法や開始剤を使用する方法が開示されている。しかしながら放射線等を使用する方法は作業環境的にも装置的にも制約が大きいものであり、後者の開始剤法を採用することが望ましい。該開始剤については限定を加えるものではないが低温から中温領域、即ち−10〜100℃程度で適用されるものが望ましく、過硫酸アンモニウムや過硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等の無機系重合開始剤や2,2'−アゾビス(2−アミノプロパン)ジハイドロクロライド、2,2'−アゾビス(N,N'−ジメチレンイソブチルアミジン)ジハイドロクロライド、2−(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル等の有機系重合開始剤が例示出来るが、コストや取扱性の容易さから無機系開始剤の使用が好ましい、
またラジカル重合開始剤は一般に、比較的熱に弱い結合(結合解離エネルギーが小さい)を分子内に有する化合物であり、加熱によって分解し容易にラジカルを形成するものが望ましいとされている。ラジカル重合開始剤の添加量は特に規定しないが加工剤中に0.1〜3.0重量%添加されていることが好ましく、0.1重量%未満であればラジカル重合反応が不十分なものに留まり、3.0重量%を超過する範囲であればコスト的に不利なものとなる。
重合開始剤及び架橋剤、グラフト重合の基材となるモノマー等々からなる加工剤を布帛に付与する方法としてはローラーパディング法、スプレー法、染色吸尽法等の手法が挙げられるが、ローラーパディングした後に高圧スチーミングを実施し、グラフト重合を促進させることが、連続処理であり工程速度やコスト面、品質面を考慮した場合にも非常に有効であるといえる。上記高圧スチーミングはモノマーの蒸散を防ぎ、重合効率の低下を防ぐため、反応槽雰囲気温度が90〜130℃、好ましくは95〜120℃の条件で工程滞留時間が過度に長くならぬように調整することが望ましい。また加熱効率や加工剤中の樹脂のマイグレーションを抑制するために上記スチーミングに高周波加熱を併用することも好ましく採用される。
繊維表面を親水化するために上述の加工剤を処方し、繊維表面に親水性樹脂皮膜層を形成させるが、樹脂皮膜層をより強固なものにするためには核剤となり得るモノマーを併用することがより効果的である。核剤となり得る剤としては反応型ポリウレタン系樹脂が望ましく、第一工業製薬社製スーパーフレックス(R)やエラストロン(R)等が例示される。また樹脂皮膜層を更に強固なものにするために多官能の架橋剤を用い、三次元架橋を形成させることが好ましく、下記に代表されるオキサゾリン系或いはアジリジン系架橋剤が皮膜強度を強固にする上で有効であり好適に使用される。
Figure 2005154964
また、加工剤の水分散性を向上させるために疎水性成分を乳化均一分散させることが好ましい。更に加工剤パディング、表面グラフト重合を促進させる為のスチーム処理を実施した後、ソーダ灰や苛性ソーダ等の水溶液に通じて酸末端へのアルカリ金属、アルカリ土類金属の導入(塩化)を実施する。酸末端塩化を実施した後、水洗を充分に実施し不要なアルカリ成分を除去する。コハク酸、クエン酸、リンゴ酸等の弱酸性水溶液を通じた後、水洗を繰り返すと余分なアルカリ成分が中和除去されるが、強酸を通じた場合は酸末端がアルカリ金属、アルカリ土類金属から再び水素に置換されて吸水・吸湿機能が低下するため、弱酸性水溶液の水素イオン濃度(pH)調整が必要であり、処理後の布帛pHが4.5〜9.0程度になるように調整することが望ましい。
更にカルボン酸末端アルカリ塩化をよりマイルドなものにするために親水性ジビニルモノマー若しくは親水性トリビニルモノマーを多く共重合させることが好ましい。親水性ジビニルモノマー若しくは親水性トリビニルモノマーはエチレンオキサイド等、親水基含有化合物の付加モル数が多くなるほど、水分散性及び布帛に加工した際の吸湿・吸水性が向上し、好ましい。
摩擦帯電圧を減少させるには繊維表面を親水化し導電性を向上させることによりいくらかの改善は可能であるが、導電糸を織り込み帯電した静電気を積極的に除去することも好適に実施される。従来のポリエステル系布帛では摩擦帯電圧が大きくなり過ぎるために導電糸を細かなピッチでストライプ或いはチェック形状に織り込んでいたが、導電糸自体に色がついているために見栄えが悪く、導電糸自体も割高であった。しかも高い帯電防止効果を保つには導電糸間隔を2〜20mmピッチで配列しなければならなかった。
本発明では布帛表面を親水化したために、布帛自体が帯電し難く導電糸配列を20〜40mm、より好ましくは20〜30mmとすることが出来る。導電糸ピッチが40mmを超過する範囲では、職場環境にもよるが帯電し易い環境下では塵埃を付着したり、着心地が悪化するなどの弊害が生じる可能性が高くなる。また、20mm未満となると従来市販されていた無塵衣と何ら変わらない外観となり、導電糸が多くなる分だけ布帛コストが高くなり好ましいとは言い難い。また、導電糸は強度的に脆弱であるため引裂強力等、力学的性能面でもピッチを広くし導電糸使用本数を減少させるのが望ましい。
本発明にて使用するポリエステル系合成繊維フィラメントはポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のホモポリマー、ブレンドポリマー、又はこれらを主な構成単位とするコポリマーを溶融紡糸することによって製造することが出来る。また、バージンポリマー-以外にPETボトル等を回収使用した再生ポリマーを使用してもよい。
また必要に応じて二酸化チタン、硫酸バリウム、二酸化珪素、カオリナイト等の無機微粒子を混練して艶消糸としてもよいし、顔料やカーボンブラック等を混練して原着糸とすることも出来る。また、その他酸化防止剤や安定剤、帯電防止剤等々を混練してもよい。
繊維の断面形状についても特に限定を加えるものではなく丸断面の他、三角断面、扁平断面、その他多角断面、異型断面を用いることが出来る。また中実断面の他中空断面であってもよい。繊維断面は一様である必要はなく、複数種の異型断面糸をミックスした形態であってもよいし、繊度についても一様である必要はなく異繊度混繊であってもよい。
また、本発明のポリエステル無塵衣に使用するポリエステル長繊維の形態は捲縮のないフラットヤーンであってもよいし、捲縮を付与した仮撚加工糸、高圧流体交絡処理或いは高圧流体攪乱処理を実施したエアー加工糸であってもよく、用途や風合いに応じて適宜選定すればよい。また必要に応じて公知の撚糸装置を使用し撚糸を施すことも出来る。特に撚糸回数は特定されるものでないが、下記式にて求められる撚係数Kが500〜3000、好ましくは600〜2500の甘撚領域が好適に使用される。
K=Tw×(D×0.90)1/2
但し、Kは撚係数、Dはポリエステル長繊維の総繊度(dtex)、Twは1m当りの撚数(回/m)を示す。
本発明のポリエステル無塵衣を製織する織機については特に限定を加えるものではなく、エアージェットルーム、ウォータージェットルーム、レピアルーム、プロジェクタイルルーム等、公知の織機を使用して生産することが出来る。
織組織についても特に限定を加えるものではなく、平織(プレーンウィーブ)の他、綾織(ツイルウィーブ)、朱子織(サテンウィーブ)等、公知の組織で製織することが出来る。無塵衣は肌や肌着から発生する塵埃等を空気中に飛散させないようなフィルター性を保持する必要があり、作業着として表面擦過にも充分耐え得る組織とする必要があることから、3/1や3/2、2/2の綾織が特に好ましく採用される。
本発明のポリエステル無塵衣はポリエステル長繊維を経緯糸に用いてなるものである。総繊度及び単糸繊度については特に限定を加えるものではないが、無塵衣として好適な総繊度としては大略50〜400デシテックス、より好ましくは80〜250デシテックスであり、好適な単糸繊度は0.3〜10デシテックス、より好ましくは0.5〜5デシテックスの範囲が好ましく用いられる。
無塵衣は上記のポリエステル布帛を縫製して製造されるものであるが、自己発塵を抑制するために裁断はレーザー裁断や溶融裁断とすることが望ましい。通常の機械裁断であれば、布帛端面より布帛を形成する糸が抜け落ちる等の作用により発塵の原因になる可能性があり好ましくない。また縫製も布帛端面が露出しないように片倒しステッチやパイピングを採用し発塵要因を軽減することが望ましい。尚、本発明の無塵衣は作業着(ワンピース、ツーピース)本体の他、フェイスカバーマスクや手袋、フード類、帽子、靴表層材その他付属縫製品が全て包括される。
以下、実施例に従い本発明を更に詳しく説明する。尚、本文中及び実施例中に記載の特性値、物性値は以下の測定方法に基づき評価したものである。
(吸湿性)
下記関係式に基づき吸湿率Hを算出した。
H={(H1−H0)/H0}×100 (%)
ここでH0はサンプル(布帛)の絶乾重量であり、サンプルを120℃で3時間乾燥した後の重量を表す。またH1はサンプル(布帛)の吸湿重量であり、上記乾燥後に所定の温湿度雰囲気下に6時間以上放置して調湿した後の重量である。温湿度雰囲気としては、衣服内気候に相当する30℃、95%RHと外気に相当する20℃、65%RHとの2種類に設定した。
(吸放湿性)
20℃、65%RH環境下と30℃、95%RH環境下での吸湿量の差で表す。算出式は下記の通りであり、実験回数5回の平均値を以ってその測定値とした。
吸放湿性=(30℃×95%RH環境下に24時間放置した際の重量増加率)
−(20℃×60%RH環境下に24時間放置した際の重量増加率)
(吸水性)
JIS L−1096 6−26−1 A法(滴下法)に準じた方法で評価した。
(制電性)
JIS L−1094に準じ20℃×40%RH環境における摩擦帯電圧を評価した。
(発塵量)
JIS B−9923(発塵装置:タンブリング法)に準じて、光散乱式自動粒子係数器(JIS B−9921に準じた方式)を使用し、洗濯50回後の試料に対する粒径0.5μmφ以上の粒子の発塵量(個/cub.f・100cm2)を評価した。
(引裂強力)
JIS L−1096 8−15−5 D法(ペンジュラム法)に準じた方法で評価した。
(洗濯方法)
JIS L−0217の103法に準じて実施した。繰り返し洗濯については洗濯処理1回毎に吊り干しにて風乾し、基準の洗濯回数(50回)の処理を施した。
(無塵衣着用感官能評価)
クリーンルーム(20℃、40%RH環境)内で作業者10名に縫製品を着用してもらい、各官能値における5段階評価を実施、総合評価した。
◎ : 大変心地よく、大変作業しやすい
○: 心地よく、作業しやすい
△ : あまり心地よくない
(実施例1)
ポリエステルセミダル丸断面マルチフィラメント110デシテックス48フィラメントの甘撚糸(S撚 250回/m)及びポリエステル系白色導電糸28デシテックス2フィラメントとポリエステルセミダルマルチフィラメント仮撚加工糸(DTY)84デシテックス36フィラメントの合撚糸(Z撚 200回/m)を179本:1本の割合で整経を施し、織物の経糸とした。(仕上生地の導電糸ストライプ間隔は28.2mm)
また、緯糸はポリエステルセミダル丸断面マルチフィラメント110デシテックス96フィラメントを使用し、ウォータージェットルームを用いて3/1綾組織に製織した。この布帛を公知の方法で連続精練リラックス、プレセット及びプラストカレンダーによる裏面カレンダー処理を実施した後、分散染料による染色を施し染色加工布を得た。
平均分子量4000のポリエーテルポリオール(エチレングリコールにエチレンオキシドを付加重合させたもの)50部とヘキサメチレンジイソシアネート33.6重量部、2,2−ジメチロールプロピオン酸11.5重量部を100℃×2時間反応させ、遊離イソシアネート基含有量8.2%の末端イソシアネートウレタンポリマーを得た。系の温度を70℃まで下げて、片末端をアクリロイル変性したエチレンオキサイド重付加物(分子量2,000)240部を添加し、100℃で3時間反応させ、
両末端にアクリロイル基をもつ親水性の水溶性ポリウレタン樹脂を合成した。
この樹脂の酸価は 15.1mgKOH/gであった。
該染色加工布を乾燥状態で下記処方による薬液(水分散液)を30重量%パディングし、樹脂のマイグレーションを抑制するために100℃の予備加熱を実施した後、105℃のスチーム処理を施した。
(薬液処方)
(i) 第一工業製薬社製BPE30;20部 (化学式〔II〕のもの)
(ii) 上記の水溶性ポリウレタン樹脂;15部
(iii) 第一工業社製スーパーフレックス(R)R5000(反応性ウレタン樹脂);7部
(iv) 北広ケミカル社製ノベールTD-888(浸透剤);5部
(v) ペルソオキソニ硫酸ナトリウム(試薬、重合開始剤);1.7部
(vi) 日本触媒社製エポクロス(R)W700(オキサゾリン系架橋剤);7部
(vii) 第一工業社製ハイテノール(R)NF13(分散剤);7部
(viii) イオン交換水;100部
その後、ソーダ灰(繊維重量あたり10wt%)を用いて70℃×10分にてナトリウム塩化を実施、水洗、乾燥を実施した。
得られた布帛の20℃、65%RH環境における吸湿率は2.1%、吸湿率差が4.1%、ウィッキング法による吸水速度が0.5秒であり、加工剤分散液の分散性も良好で、加工も容易であった。また布帛のペンジュラム法による引裂強力は18.0Nであった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製した。工業洗濯50回後の摩擦帯電圧は600V、タンブリング法による粒径0.5μmφ以上の発塵量は420個/cub.f・100cm2、ペンジュラム法による引裂強力は15.1N(強度保持率81.6%)、また20℃、65%RH環境における吸湿率は1.8%であり洗濯耐久性のあるものに仕上がった。作業員10名に無塵衣の着用感についてアンケート(官能評価)を依頼し、表1、表2に結果をまとめた。従来のポリエステル無塵衣と比較し着用快適性は改善が認められ、べとつき感や蒸れ感を伴わない快適な無塵衣が得られた。
(実施例2)
実施例1で得られた染色加工布を用い、乾燥状態で下記処方による薬液(水分散液)を30重量%パディングし、樹脂のマイグレーションを抑制するために100℃の予備加熱を実施した後、105℃のスチーム処理を施した。
(薬液処方)
(i) 第一工業製薬社製TMP24;20部 (化学式〔IV〕のもの)
(ii) 実施例1と同一の水溶性ポリウレタン樹脂;15部
(iii) 第一工業社製スーパーフレックス(R)R5000(反応性ウレタン樹脂);7部
(iv) 北広ケミカル社製ノベールTD-888(浸透剤);5部
(v) ペルソオキソニ硫酸ナトリウム(試薬、重合開始剤);1.7部
(vi) 日本触媒社製エポクロス(R)W700(オキサゾリン系架橋剤);7部
(vii) 第一工業社製ハイテノール(R)NF13(分散剤);7部
(viii) イオン交換水;100部
その後、ソーダ灰(繊維重量あたり10wt%)を用いて70℃×10分にてナトリウム塩化を実施、水洗、乾燥を実施した。得られた布帛の20℃、65%RH環境における吸湿率は1.8、吸湿率差が3.8%、ウィッキング法による吸水速度が0.5秒であり、加工剤分散液の分散性も良好で加工も容易であった。また布帛のペンジュラム法による引裂強力は20.0Nであった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製した。工業洗濯50回後の摩擦帯電圧は720V、タンブリング法による粒径0.5μmφ以上の発塵量は435個/cub.f・100cm2、ペンジュラム法による引裂強力は16.5N(強度保持率82.5%)、また20℃、65%RH環境における吸湿率は1.6%であり洗濯耐久性のあるものに仕上がった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製した。作業員10名に無塵衣の着用感についてアンケート(官能評価)を依頼し、表1、表2に結果をまとめた。従来のポリエステル無塵衣と比較し着用快適性は改善が認められ、べとつき感や蒸れ感を伴わない快適な無塵衣が得られた。
(実施例3)
実施例1で得られた染色加工布を用い、乾燥状態で下記処方による薬液(水分散液)を30重量%パディングし、樹脂のマイグレーションを抑制するために100℃の予備加熱を実施した後、105℃のスチーム処理を施した。
(薬液処方)
(i) 第一工業製薬社製PEM200;20部 (化学式〔IV〕のもの)
(ii) 実施例1と同一の水溶性ポリウレタン樹脂;15部
(iii) 第一工業社製スーパーフレックス(R)R5000(反応性ウレタン樹脂);7部
(iv) 北広ケミカル社製ノベールTD-888(浸透剤);5部
(v) ペルソオキソニ硫酸ナトリウム(試薬、重合開始剤);1.7部
(vi) 日本触媒社製エポクロス(R)W700(オキサゾリン系架橋剤);7部
(vii) 第一工業社製ハイテノール(R)NF13(分散剤);7wt%
(viii) イオン交換水;100部
その後、ソーダ灰(繊維重量あたり10wt%)を用いて70℃×10分ナトリウム塩化を実施、水洗、乾燥を実施した。得られた布帛の20℃、65%RH環境における吸湿率は1.5%、吸湿率差が3.1%、ウィッキング法による吸水速度が1.0秒であり、加工剤分散液の分散性も良好で加工も容易であった。また布帛のペンジュラム法による引裂強力は21.5Nであった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製した。工業洗濯50回後の摩擦帯電圧は860V、タンブリング法による粒径0.5μmφ以上の発塵量は390個/cub.f・100cm2、ペンジュラム法による引裂強力は18.3N(強度保持率85.1%)、また20℃、65%RH環境における吸湿率は1.3%であり洗濯耐久性のあるものに仕上がった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製した。作業員10名に無塵衣の着用感についてアンケート(官能評価)を依頼し、表1、表2に結果をまとめた。従来のポリエステル無塵衣と比較し着用快適性は改善が認められ、べとつき感や蒸れ感を伴わない快適な無塵衣が得られた。
(比較例1)
実施例1で得られた染色加工布を用い、乾燥状態で下記処方による薬液(水分散液)を30重量%パディングし、樹脂のマイグレーションを抑制するために100℃の予備加熱を実施した後、105℃のスチーム処理を施した。
(薬液処方)
(i) 水溶性ポリウレタン樹脂;15部
(ii) 第一工業社製スーパーフレックス(R)R5000(反応性ウレタン樹脂);7部
(iii) 北広ケミカル社製ノベールTD-888(浸透剤);5部
(iv) ペルソオキソニ硫酸ナトリウム(試薬、重合開始剤);1.7部
(v) 日本触媒社製エポクロス(R)W700(オキサゾリン系架橋剤);7部
(vi) 第一工業社製ハイテノール(R)NF13(分散剤);7部
(vii) イオン交換水;100部
その後、ソーダ灰(繊維重量あたり10wt%)を用いて70℃×10分にてナトリウム塩化を実施、水洗、乾燥を実施した。得られた布帛の20℃、65%RH環境における吸湿率は1.0%、吸湿率差が2.2%、ウィッキング法による吸水速度が1.4秒であった。また布帛のペンジュラム法による引裂強力は25.0Nであった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製した。工業洗濯50回後の摩擦帯電圧は1600V、タンブリング法による粒径0.5μmφ以上の発塵量は950個/cub.f・100cm2、ペンジュラム法による引裂強力は21.5N(強度保持率86.0%)、また20℃、65%RH環境における吸湿率は0.8%であり、強度的には洗濯耐久性があるが、吸湿性の耐久性が悪く、発塵量及び摩擦帯電圧は無塵衣としては満足なスペックを得られなかった。該加工布を使用しワンピースの無塵衣を縫製し作業員10名に無塵衣の着用感についてアンケート(官能評価)を依頼し、表1、表2に結果をまとめた。従来のポリエステル無塵衣と同様、着用時の蒸れ感やべとつき感を感じるものとなり、着用快適な無塵衣にはならなかった。
(比較例2)
実施例1で得られた染色加工布を用い、乾燥状態で下記処方による薬液(水分散液)を30重量%パディングし、樹脂のマイグレーションを抑制するために100℃の予備加熱を実施した後、105℃のスチーム処理を施した。
(薬液処方)
(i) 第一工業製薬社製PEM200;20部
(ii) 水溶性ポリウレタン樹脂;3部
(iii) 北広ケミカル社製ノベールTD-888(浸透剤);5部
(iv) ペルソオキソニ硫酸ナトリウム(試薬、重合開始剤);1.7部
(v) 日本触媒社製エポクロス(R)W700(オキサゾリン系架橋剤);7部
(vi) 第一工業社製ハイテノール(R)NF13(分散剤);7部
(vii) イオン交換水;100部
その後、ソーダ灰(繊維重量あたり10wt%)を用いて70℃×10分にてナトリウム塩化を実施、水洗、乾燥を実施した。得られた布帛の20℃、65%RH環境における吸湿率は0.8%、吸湿率差が1.3%、ウィッキング法による吸水速度が2.8秒と性能が低下した。布帛のペンジュラム法による引裂強力は25.5Nであり、工業洗濯50回後の摩擦帯電圧は1750V、タンブリング法による粒径0.5μmφ以上の発塵量は530個/cub.f・100cm2、ペンジュラム法による引裂強力は20.9N(強度保持率82.0%)であり、また20℃、65%RH環境における吸湿率は0.6%と性能が低下した。強度的には洗濯耐久性が認められるものの発塵量、摩擦帯電圧共に高い値となり無塵衣用途に供し得るものには仕上がらなかった。
表1に実施例及び比較例の生地特性値の結果を、また表2にワンピースに縫製した無塵衣の着用感アンケート(官能評価)の結果を示す。
Figure 2005154964
Figure 2005154964
本発明によると、生地加工中に不快臭による作業環境の悪化を引起さない。また、無塵衣の自己発塵性が極めて低い上、着用時の衣服内湿度を適切な領域に留めて着用時に快適な無塵衣を得ることが可能となり、作業者の作業環境面の改善及び精神衛生面での改善を図ることが出来る等の効果を奏する。

Claims (8)

  1. 少なくとも2個以上の反応性ビニル基を有する水溶性ウレタン樹脂(A)とポリアルキレンオキサイド付加型ビニル系親水モノマー(B)がビニル重合して形成される皮膜で繊維表層を覆われていることを特徴とするポリエステル布帛。
  2. 水溶性ウレタン樹脂(A)が、ポリアルキレンオキサイド付加型ウレタンアクリレート系樹脂であり、且つ含有するカルボン酸残基の全酸価が10.0mgKOH/g以上であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル布帛。
  3. ポリアルキレンオキサイド付加型ビニル系親水モノマー(B)が、下記に記載のI、II、III、IVのいずれかであることを特徴とする請求項1及び2に記載のポリエステル布帛。
    Figure 2005154964
  4. 水溶性ウレタン樹脂(A)のカルボン酸残基の少なくとも一部がNa塩化していることを特徴とする請求項1〜3記載に記載のポリエステル布帛。
  5. 水溶性ウレタン樹脂(A)とジビニルモノマー若しくはトリビニルモノマーが、重量分率として1:1〜1:10の割合で繊維表層を覆っていることを特徴とする請求項1記載のポリエステル布帛。
  6. ポリエステル系合成繊維フィラメント及び導電性繊維フィラメントを交織又は交編してなる布帛からなり、以下の要件を満足することを特徴とする着用快適性に優れた請求項1記載のポリエステル布帛。
    イ. 20℃、65%RH環境における吸湿率が1.5%以上
    ロ. 30℃、95%RH環境と20℃、65%RH環境における吸湿率差が3%以上
    ハ. ウィッキング法による吸水速度が1秒以下
  7. 導電性繊維フィラメントが経及び又は緯方向に間隔が20〜40mmで配置されており、JIS L0217 103法による工業洗濯50回後の摩擦帯電圧が1kV以下であり、粒径0.5μmφ以上の発塵量が100〜500個/cub.f・100cm2以下であることを特徴とする請求項1記載のポリエステル布帛。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のポリエステル布帛を少なくとも一部に用いてなることを特徴とする無塵衣。
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