JP2005154925A - 皮革様シート基材及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】天然皮革調の風合いを有し、耐引裂性で代表される機械的性能に優れ、更に風合い及び審美性に優れた皮革様シートが得られる基材を提供する。
【解決手段】極細繊維からなる不織布(A)、織編物(B)及び高分子弾性体(C)から構成され、下記(1)〜(5)の要件
(1)該極細繊維は、繊維長が18〜110mmかつ単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスであること、
(2)該織編物(B)を構成する繊維は、単繊維間にランダムな微捲縮を有し、かつ単繊維繊度は0.0003〜3.5デシテックスであること、
(3)不織布(A)と該織編物(B)とが絡合されていること、
(4)不織布の、該織編物(B)と接する面と反対側の面において、織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3〜20%であり、皮革様シート基材内部に高分子弾性体(C)が存在しており、
(5)皮革様シート基材の密度が0.50〜0.85g/cm3であること、
を満足していることを特徴とする皮革様シート基材。
【選択図】なし
【解決手段】極細繊維からなる不織布(A)、織編物(B)及び高分子弾性体(C)から構成され、下記(1)〜(5)の要件
(1)該極細繊維は、繊維長が18〜110mmかつ単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスであること、
(2)該織編物(B)を構成する繊維は、単繊維間にランダムな微捲縮を有し、かつ単繊維繊度は0.0003〜3.5デシテックスであること、
(3)不織布(A)と該織編物(B)とが絡合されていること、
(4)不織布の、該織編物(B)と接する面と反対側の面において、織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3〜20%であり、皮革様シート基材内部に高分子弾性体(C)が存在しており、
(5)皮革様シート基材の密度が0.50〜0.85g/cm3であること、
を満足していることを特徴とする皮革様シート基材。
【選択図】なし
Description
本発明は、高強力かつ高密度、特に、耐引裂強力に優れ、かつ審美性に優れた皮革様シートを提供し得る基材に関する。
従来から人工皮革は、天然皮革に類似した柔軟性と機械的性能を得るために、極細繊維と高分子弾性体から主として構成されており、その具体的製造法についても種々の方法が提案されてきている。しかしながら、天然皮革のような風合と機械的性能の両者を満足させるものはいまだ実現されていないのが現状である。
従来の一般的な人工皮革の製造方法は、概略次の通りである。すなわち、例えば柔軟な人工皮革を得る基本手法として、溶解性を異にする2種の重合体からなる極細繊維発生型複合繊維をステープル化し、カード、クロスラッパー、ランダムウェバー等を用いてウェブ化し、ニードルパンチ等により繊維を互いに絡ませて不織布化した後、ポリウレタン等の高分子弾性体を付与し、そして該複合繊維中の一成分を除去することにより繊維を極細化させて柔軟な人工皮革を得る方法があるが、この方法により得られる人工皮革は、引張強力や摩耗強力などの機械的性能が劣るという欠点を有している。
この従来から行われている柔軟化技術に加え、人工皮革シートの引張強力、摩耗強力などの機械的性能を向上させる方法として、ニードルパンチした不織布にさらに高速流体を当てて該複合繊維を分割し、極細繊維単位の絡合を行なう方法が提案されている。しかし、この方法による極細繊維の絡合は、不織布表面部分は可能であるが、不織布内層は実質的に絡合されず、内層部に至るまで極細繊維を絡合させようとすると、高エネルギーの噴射流体が必要である。したがって、コスト高になるのはもちろんのこと、不織布表面は流体噴射による凹凸が目立ち、得られる人工皮革は低品位なものとなる。
一方、長さが10mm以下の海島構造繊維よりなるシートの間に編織物類をはさみ、それに高速流体処理を施して皮革様シートを製造する方法(特公昭60−29775号公報)もある。しかし、この方法は、高密度で短ナップのスエードを得るためにはそれなりの効果があるが、使用されている繊維の繊維長が極めて短いため、単繊維が非常に抜けやすく摩耗強力が劣るという欠点がある。
また、不織ウェブの間あるいは片面に編織物を重ねニードルパンチする方法も公知であるが、従来の公知技術では、編織物を用いた場合、ニードル針のバーブに編織物の糸がひっかかり、編織物を構成する糸の損傷が大きいため、補強効果が小さく、十分な期待効果が得られない。製品の充実感、外観(特に立毛形成の場合)および品位などを向上させるためには、繊維絡合度を高める必要があるが、絡合度を高めるためにニードルパンチ数を高めると編織物を構成する糸の損傷がそれだけ大きくなり、編織物の強度低下をきたし、補強効果が低下することとなる。さらに編織物の損傷により生じた織編物からの切断繊維の端が不織布表面に露出した場合は、極細繊維の間に太い編織物構成繊維が存在することとなるため、外観の著しい低下を来たすという欠点があった。
また、不織ウェブの間あるいは片面に編織物を重ねニードルパンチする方法も公知であるが、従来の公知技術では、編織物を用いた場合、ニードル針のバーブに編織物の糸がひっかかり、編織物を構成する糸の損傷が大きいため、補強効果が小さく、十分な期待効果が得られない。製品の充実感、外観(特に立毛形成の場合)および品位などを向上させるためには、繊維絡合度を高める必要があるが、絡合度を高めるためにニードルパンチ数を高めると編織物を構成する糸の損傷がそれだけ大きくなり、編織物の強度低下をきたし、補強効果が低下することとなる。さらに編織物の損傷により生じた織編物からの切断繊維の端が不織布表面に露出した場合は、極細繊維の間に太い編織物構成繊維が存在することとなるため、外観の著しい低下を来たすという欠点があった。
また、類似のニードルパンチングによる技術を開示しているものとして、特開昭57−25482号公報や特開昭57−82583号公報がある。それら公報で提案されている技術は、専ら、編織物を構成するマルチフィラメント糸の内部(マルチフィラメント糸を構成する各フィラメントの間隙)に極細繊維を入り込ませて該糸の構成フィラメントと交絡させ、それにより高い縫目強度や引裂強度を得ようとするものである。このような目的でニードルパンチを行うと、むろん個々の構成フィラメントに対しニードル針のバーブが作用する条件を採用することが必要となり、そうすれば、たちまち、織編物を構成する個々のフィラメントが損傷され、上述の方法と同様に、編織物の強度低下を来たし、またフィラメントの切断端が不織布表面に露出することによる外観品位の著しい低下が生じるという問題がある。そのようなフィラメントの損傷などを来たさないために、これら公報の発明では、交絡付与手段として具体的に実施されている方法は高圧水流による交絡である。すなわち、このような編織物を含んだシートに対する交絡処理手段については、高圧水流による方法が専ら検討され、ニードルパンチを用いる方法は一般には検討されないのが普通であった。
また、これら公報に記載の発明では、編織物を形成するマルチフィラメント糸の構成繊維間間隙に極細繊維を入り込ませる交絡を行うこととなり、このような交絡を行うと、編織物の構成糸の内部まで繊維絡合がなされていることとなり、風合、特に柔軟性が劣るという問題もあった。すなわち、強伸度物性を重視すれば、柔軟性が劣るという物性不均衡の問題があった。
更に特公平5−24272号公報には、極細繊維からなる不織布と極細繊維からなる織編物を一体化した複合布帛に高分子弾性体を含有させたシートが柔軟で耐アラビ性に優れているため皮革様シート基材として有用であることが記載されている。しかしながら、この公報記載のシートでは、低密度品しか得られず、天然皮革に類似した緻密感・充実感のある高品位な物が得られない。
本発明は、上記問題を解決し、天然皮革調の風合いを有し、耐引裂性で代表される機械的性能に優れ、更に柔軟特性及び審美性に優れ、更に天然皮革に類似した緻密感・充実感を有する皮革様シートが得られる基材を提供することにある。
上記課題を達成すべく本発明者等は鋭意研究を重ねた結果、本発明に至った。
すなわち、本発明は、極細繊維からなる不織布(A)、織編物(B)及び高分子弾性体(C)から構成され、下記(1)〜(5)の要件
(1)該極細繊維は、繊維長が18〜110mmかつ単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスであること、
(2)該織編物(B)を構成する繊維は、単繊維間にランダムな微捲縮を有し、かつ単繊維繊度は0.0003〜3.5デシテックスであること、
(3)不織布(A)と該織編物(B)とが絡合されていること、
(4)不織布の、該織編物(B)と接する面と反対側の面において、該織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3〜20%であり、皮革様シート基材内部に高分子弾性体(C)が存在しており、
(5)皮革様シート基材の密度が0.50〜0.85g/cm3であること、
を満足していることを特徴とする皮革様シート基材である。
すなわち、本発明は、極細繊維からなる不織布(A)、織編物(B)及び高分子弾性体(C)から構成され、下記(1)〜(5)の要件
(1)該極細繊維は、繊維長が18〜110mmかつ単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスであること、
(2)該織編物(B)を構成する繊維は、単繊維間にランダムな微捲縮を有し、かつ単繊維繊度は0.0003〜3.5デシテックスであること、
(3)不織布(A)と該織編物(B)とが絡合されていること、
(4)不織布の、該織編物(B)と接する面と反対側の面において、該織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3〜20%であり、皮革様シート基材内部に高分子弾性体(C)が存在しており、
(5)皮革様シート基材の密度が0.50〜0.85g/cm3であること、
を満足していることを特徴とする皮革様シート基材である。
また本発明は、以下の工程(i)〜(iv)
(i)水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(Sa)と融点が160℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー(Sb)とからなる繊維長20〜110mmの複合繊維をカードによりウェブを製造する工程、
(ii)工程(i)で得られたウェブと、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(Fa)と融点が160℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー(Fb)からなる複合長繊維から構成された織編物とを積層する工程、
(iii)工程(ii)で得られた積層布帛をニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理する工程、
(iv)工程(iii)で得られた絡合布帛を収縮処理して布帛面積を収縮処理前の40〜90%に収縮せしめ、そして高分子弾性体液を含浸・凝固させ、次いで熱水処理により水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(SaとFa)を抽出除去して該ウェブを構成していた繊維を単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維の集束体とする工程、あるいは工程(iii)で得られた絡合布帛を収縮処理して布帛面積を収縮処理前の40〜90%に収縮せしめ、そして熱水処理により、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(SaとFa)を抽出除去して該ウェブを構成していた繊維を単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維の集束体とし、次いで高分子弾性体液を含浸・凝固させる処理を行う工程、
を順次行なうことを特徴とする皮革様シート基材の製造方法である。
(i)水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(Sa)と融点が160℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー(Sb)とからなる繊維長20〜110mmの複合繊維をカードによりウェブを製造する工程、
(ii)工程(i)で得られたウェブと、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(Fa)と融点が160℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー(Fb)からなる複合長繊維から構成された織編物とを積層する工程、
(iii)工程(ii)で得られた積層布帛をニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理する工程、
(iv)工程(iii)で得られた絡合布帛を収縮処理して布帛面積を収縮処理前の40〜90%に収縮せしめ、そして高分子弾性体液を含浸・凝固させ、次いで熱水処理により水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(SaとFa)を抽出除去して該ウェブを構成していた繊維を単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維の集束体とする工程、あるいは工程(iii)で得られた絡合布帛を収縮処理して布帛面積を収縮処理前の40〜90%に収縮せしめ、そして熱水処理により、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(SaとFa)を抽出除去して該ウェブを構成していた繊維を単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維の集束体とし、次いで高分子弾性体液を含浸・凝固させる処理を行う工程、
を順次行なうことを特徴とする皮革様シート基材の製造方法である。
本発明の皮革様シート基材の表面を毛羽立てることによりスエード調或いはヌバック調の人工皮革が得られ、また該基材表面に樹脂を塗布するか表面を熱や溶剤で溶かして表面を樹脂層とすることにより銀面調の人工皮革が得られる。これら人工皮革は、天然皮革調の風合い(緻密性と充実感)を有し、耐引裂性で代表される機械的性能に優れ、更に柔軟特性及び審美性に優れたものである。これら人工皮革は、靴、ボール類、家具、乗物用座席、衣料、手袋、野球用グローブ、鞄、ベルトまたはバッグで代表される人工皮革製品に加工することができる。
本発明を達成するための具体的な手段の一例は上記した通りであるが、好ましくは、先ず極細化後の単糸繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維を形成することが可能な極細化可能繊維からなるウェブを形成し、このウェブと、単繊維繊度が3.5デシテックス以下の繊維、特に好ましくは極細化可能なフィラメントから構成され、撚数が10〜650T/Mであることが好ましいマルチフィラメント糸から構成された織編物(織物または編物のこと)を重ねてニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理してウェブ自体の絡合とウェブ及び織編物との絡合を十分に高めて、特に好ましくは一体構造を形成せしめ、しかる後必要に応じてよりランダムな微捲縮を発現させる工程を行ない、そして高分子弾性体付与工程と極細繊維化工程の組み合わせ処理を行うことを骨子とするものである。
ここでいう一体構造とは、不織布(A)を構成する極細繊維どうしがその形態を維持しながら絡み合っているばかりでなく、織編物(B)を構成する各単繊維間のランダムな微捲縮により生じる空隙を通して該極細繊維が織編物(B)の組織に入り込み、ランダムに絡み合って、強い応力で剥離せしめても、剥離よりも皮革シート基材の組織破壊を生じるような絡合の強い、あたかも一体となった構造をいう。本発明で言うランダムな微捲縮とは、皮革様シートを構成している織編物(B)を抽出工程で収縮させたときに自然に発現し観察されるものであり、捲縮は5個/cm以上のものを言う。
本発明の不織布(A)を形成する極細繊維を構成する重合体としては特に限定されないが、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTという)、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系などの繊維形成能を有する重合体が好適である。この中でもPET、PBT、ナイロン6、ナイロン66等は加工した製品の風合及び実用性能の点から特に望ましい。そして、これら重合体は融点が160℃以上であることが好ましく、160℃未満の場合には、形態安定性が劣り、実用性の点から好ましくない。
なお、融点は、DSCを用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合の重合体の融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
なお、融点は、DSCを用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合の重合体の融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
また、不織布(A)を製造する原料用の繊維として、海島型繊維のように複合繊維を構成する一部の重合体を除去することによって極細繊維化されるものを用いる場合には、被除去成分として、例えばポリスチレン及びその共重合体、ポリエチレン、ポリビニルアルコール(以下PVAと略す)、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の溶剤除去可能なポリマーの1種または2種以上を用いることができるが、本発明においては、環境汚染、溶解除去時の収縮特性等を総合的に考慮すれば、熱溶融性を有しかつ熱水溶解可能なPVAを用いるのがより好ましい。すなわち、このようなPVAを用いることにより溶解除去する際に大きな収縮が生じ、皮革様シートの高密度化が達成され、皮革様シートのドレープ性や風合い等が天然皮革に酷似したものとなる。PVA溶解除去前の極細可能繊維中に占めるPVAの質量比率としては5〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。熱溶融性を有し熱水溶解可能なPVAについては後で詳述する。
本発明において、不織布(A)を製造するのに好適に用いられる極細化可能繊維とは、チップブレンド方式や複合紡糸方式で代表される方法を用いて得られる相溶性の異なる異種ポリマーからなる海島型断面繊維や多層積層型断面繊維等から海成分ポリマーや被除去ポリマーを除去して得る方法、2種以上の相溶性の低い重合体が隣接してなる易分割型複合繊維を物理的または化学的に処理して界面で剥離分割させて極細繊維とする方法等により極細繊維束が得られるような繊維を言う。極細化可能繊維の繊度としては、1〜6デシテックスがウェブ作製工程性の点で好ましい。
本発明には、上記したように極細化可能繊維が好適に用いられるが、それ以外に紡糸延伸することにより直接に極細繊維そのものを得る方法により製造したものも用いることができる。
本発明には、上記したように極細化可能繊維が好適に用いられるが、それ以外に紡糸延伸することにより直接に極細繊維そのものを得る方法により製造したものも用いることができる。
また、不織布(A)に供される原料繊維は、原料の段階では繊維長が20mm以上であることが肝要である。繊維長が20mm以上のものでないと効果的な絡合ができない。上限値については、製造し易さから110mm以下である。ただし、その後の布帛のスライスやバフィングなどの後加工を経ることにより、最終製品中には切断されてしまって20mm未満になった繊維が含まれていることがあるが、これは効果的絡合が達成されてから後に発生した短い繊維であるので、製品の皮革様シート基材中に存在していたとしても特別に不都合もなく差支えないものである。
極細処理後の不織布(A)の目付けとしては200〜500g/m2の範囲が人工皮革としての消費性能及び外観品位の点で好ましい。
極細処理後の不織布(A)の目付けとしては200〜500g/m2の範囲が人工皮革としての消費性能及び外観品位の点で好ましい。
本発明の皮革様シート基材を構成する不織布(A)の極細繊維の太さ(極細化後の太さ)としては、皮革様シートとしての性能、すなわち柔軟性、触感、外観品位、強力特性などを高めるために0.0003〜0.4デシテックスが採用される。好ましくは0.003〜0.2デシテックス、更に好ましくは0.007〜0.1デシテックスの範囲である。
このような繊維、好適には極細化可能繊維をカードに通し、そしてクロスラッパー、ランダムウェバー等を用いてウェブ化する。次にこのウェブを補強用織編物と重ね合わせ、ニードルパンチを施し、一体化する。
本発明では、補強用織編物として従来一般に用いられているような強撚糸から構成された織編物は不適当であり、本発明では、撚数が10〜650T/Mであり、かつ単繊維間のランダムな微捲縮の発現が容易であるフィラメントからなる織編物が好適に用いられ、これにより上述の強固に絡合した一体構造が得られるのである。
本発明では、補強用織編物として従来一般に用いられているような強撚糸から構成された織編物は不適当であり、本発明では、撚数が10〜650T/Mであり、かつ単繊維間のランダムな微捲縮の発現が容易であるフィラメントからなる織編物が好適に用いられ、これにより上述の強固に絡合した一体構造が得られるのである。
織編物を構成する繊維を形成する重合体としては、特に限定されないが、PET、ポリトリメチレンテレフタレート、PBT、ポリエステルエラストマー等のポリエステル系、ナイロン6、ナイロン66、芳香族ポリアミド、ポリアミドエラストマー等のポリアミド系、ポリウレタン系、ポリオレフィン系、アクリロニトリル系などの繊維形成能を有する重合体が好適である。この中でもPET、PBT、ナイロン6、ナイロン66等は加工した製品の風合及び実用性能の点から特に望ましい。これらの重合体は、不織布(A)を構成する重合体と同様の理由により融点が160℃以上のものが好ましい。
また、本発明において、海島型断面繊維や多層積層型断面繊維のように複合繊維を構成する一部の重合体を除去することによって極細繊維化されるものを織編物用原料繊維として用いるのが好ましく、この場合には、被除去成分として、例えばポリスチレン及びその共重合体、ポリエチレン、PVA、共重合ポリエステル、共重合ポリアミド等の溶剤除去可能なポリマーの1種または2種以上を用いることができるが、本発明においては環境汚染、溶解除去時の収縮特性等を総合的に考慮すれば、前記不織布構成繊維と同様に、熱溶融性を有しかつ熱水溶解可能なPVAを用いることがより好ましい。このようなPVAを用いることにより同PVAを溶解除去する際に大きな収縮が生じ、皮革様シートの高密度化が達成され、皮革様シートの審美性や風合い等が天然皮革に酷似したものとなる。
この織編物を構成する繊維の単繊維繊度は収縮処理前で8デシテックス以下である。好ましくは2デシテックス以下、特に好ましくは、収縮後かつPVA溶解除去後において、不織布(A)を構成する極細繊維の繊度と同等レベルの0.0003〜0.4デシテックスの範囲である。不織布(A)を構成する極細繊維の繊度と同等レベルにすることにより人工皮革としての外観、審美性は飛躍的に向上する。
更に、上述したように本発明を構成する織編物(B)用の繊維としては、熱水溶解時の収縮特性(応力、率)に優れたポリマー、すなわち熱溶融性のPVAと、上記PET、PBT、ナイロン6、ナイロン66等の非熱水溶解性の繊維形成性ポリマーとの複合繊維が好ましい。
このような複合繊維の断面形状としては、該PVAを海成分とし、非熱水溶解性の上記ポリマーを島成分とする海島型、PVAと非熱水溶解性ポリマーとが多層積層状態で貼り合わされたような多層積層型等が挙げられる。PVAとの複合によりなぜ高密度布帛が得られるのかについては現時点で明確ではないが、PVAの溶解に至る際に生じる強い収縮応力により高密度に至ると推定される。この高密度化は繊維中のPVA複合比率が高いほど強く発現される傾向にある。複合断面としては、上記海島型、多層積層型のほかに、芯鞘断面等も適用可能である。PVA溶解除去前の織編物中に占めるPVAの質量比率としては5〜70質量%が好ましい。より好ましくは10〜60質量%、特に好ましくは15〜50質量%である。
織編物に使用する原料繊維としては、前記したように極細化可能繊維が好ましいが、極細化可能繊維の単繊維太さとしては、1〜5デシテックスの範囲が好ましい。また、このような原料繊維はフィラメント(長繊維)の形態を有しているのが繊維化工程性の点で好ましく、したがって織編物を構成している糸としてはマルチフィラメント糸が好ましいこととなる。マルチフィラメント糸の太さとしては50〜150デシテックスの範囲が好ましい。
本発明の皮革様シート基材において、織編物(B)が断面の中間層あるいは裏層に存在することとなるが、編織物(B)を構成する繊維の撚数は収縮処理後において10〜650T/Mが好ましく、最も好適には10〜500T/Mである。撚数が650T/Mを越える場合には、不織布(A)と織編物(B)とが強固に絡合した一体構造が得られにくく好ましくない。一方、撚数が10T/M未満の場合には織工程通過性不良となり不都合である。
編織物(B)の目付は、目的に応じて適宜設定可能であるが、極細処理後において20〜200g/m2の範囲であることが望ましく、最も好適には30〜150g/m2の範囲である。目付が20g/m2未満になると編織物(B)としての形態が極めてルーズになり、目ずれ等布帛の安定性に欠ける。また、目付が200g/m2を越えると編織物組織が密になり、不織布繊維の貫通が不充分で不織布の高絡合化が進まず不離一体化した構造物を作るのが困難になる。編織物の種類については、経編、トリコット編で代表される緯編、レース編及びそれらの編み方を基本とした各種の編物、あるいは平織、綾織、朱子織及びそれらの織り方を基本とした各種の織物などが挙げられるが、特にこれらに限定されるものではない。これら織物のうち、好ましいものとしては、経糸、緯糸の収縮後撚数を10〜650T/Mにした糸を用いたものがよく、特に好ましいものとしては経糸、緯糸ともに撚数を10〜500T/Mとした糸を用いた織物である。
このような織編物と前記不織布が積層され、ニードルパンチまたは高圧水流により一体化されるが、本発明において、織編物と不織布を単に積層したもののみならず、不織布に織編物を重ね、さらに織編物側に同様の不織布が重ねられた、いわゆる3層の積層物でも良い。
ニードルパンチ条件としては、織編物構成繊維が不織布表面に貫通してくるような条件で、しかも不織布表面に織編物構成繊維が後述するような表面露出度となるように露出するようなニードルパンチ条件が用いられる。従来の人工皮革においては補強用織編物構成繊維が不織布面に露出しないようなニードルパンチ条件が採用されていたが、本発明では、積極的に露出させるべくニードルパンチを行なう点が従来技術との大きな相違点である。これにより、機械的特性に優れ、かつ後に行なう収縮処理においても、何ら問題を生じることがない。具体的なニードルパンチ条件としては、ニードル針のバーブが不織布表面まで貫通するような条件でかつニードルパンチ数が400〜5000パンチ/cm2の条件が好ましく、より好ましくは1000〜2000パンチ/cm2の条件である。ニードルパンチは、不織布と織編物を重ね合わせた積層物の両面から行うのが天然皮革様の概観を得る点で好ましい。すなわち、不織布の表面側に補強用織編物構成繊維を露出させるとともに補強用織編物の表面側にも不織布構成繊維を露出させるのが好ましい。
またニードルパンチに替えて、高圧水流処理を行っても良いが、好ましくはニードルパンチによる絡合処理である。
またニードルパンチに替えて、高圧水流処理を行っても良いが、好ましくはニードルパンチによる絡合処理である。
このようにして不織布と織編物が一体化された絡合布帛に、次に収縮処理、好ましくは乾熱収縮処理をおこなう。この収縮処理により布帛の面積を収縮前の40〜90%にする。この収縮処理により緻密構造が得られる。収縮の程度が、収縮前の面積の90%以上となるような低い収縮では緻密感が得られず、風合い劣化となり、逆に収縮前の面積の40%未満となるような大きな収縮の場合には風合いが硬化し好ましくない。
収縮処理は、上記絡合布帛を160〜190℃の雰囲気に0.5〜3分放置することにより好適に行なわれる。
収縮処理は、上記絡合布帛を160〜190℃の雰囲気に0.5〜3分放置することにより好適に行なわれる。
収縮させた絡合布帛に、次に高分子弾性体(C)を付与する。本発明で使用される高分子弾性体(C)としては、ポリウレタン、SBR、NBR、ポリアミノ酸、アクリル系の接着剤、等のゴム状弾性を有する重合体ならば何でも使用可能である。好ましくはポリウレタンである。付与方法としては、高分子弾性体の溶液やエマルジョン等を含浸した後湿式凝固する方法、あるいはそれらの溶液やエマルジョンなどを含浸して乾燥固着させる方法等種々の方法が使用できる。必要により、高分子弾性体を布帛に付与する際あるいはその後に、表面に塗布して銀面調の層を形成してもよい。付与する高分子弾性体の量としては、得られる皮革様シート基材質量(A+B+C)の5〜45質量%の範囲が好ましい。
また、不織布(A)に対する編織物(B)の質量割合は50%以下であることが望ましく、最も好適には10〜50%である。不織布(A)に対する編織物類の質量割合が50%を越えると、外観、審美性が劣ることとなる。逆に10%未満の場合には引裂き強度で代表される機械的物性が劣ることとなる。
また、不織布(A)に対する編織物(B)の質量割合は50%以下であることが望ましく、最も好適には10〜50%である。不織布(A)に対する編織物類の質量割合が50%を越えると、外観、審美性が劣ることとなる。逆に10%未満の場合には引裂き強度で代表される機械的物性が劣ることとなる。
次に、不織布または織編物を構成する繊維が極細化可能繊維である場合には、極細化処理を行なう。前記したように、極細化可能繊維は、海成分が熱溶融性で熱水溶解性のPVAである場合が好ましいことから、このようなPVAの場合には、通常、熱水中に浸漬したのち絞液を行う操作を複数回繰り返すことにより極細化が行なわれる。具体的な熱水の温度としては70〜120℃である。なお、本発明においては、繊維の極細化は高分子弾性体の付与前に行ってもよい。しかしながら、柔軟性の点からは、高分子弾性体を付与した後に極細化を行うのが好ましい。上記したPVAの場合には、熱水によるPVA除去作業中に不織布や織編物の更なる収縮が生じる。それにより、一層の緻密化が可能となる。
本発明において、得られる皮革様シート基材の密度は0.50〜0.85g/cm3で、かつ織編物を構成する各単繊維の表面露出度、すなわち、織編物(B)と不織布(A)との絡合体の該織編物(B)と接する面と反対側の面において、織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3〜20%であることが重要である。密度が0.50g/cm3より小さい場合には、引裂き強度等の物性が劣ることとなる。また密度が0.85g/cm3より大きい場合には、柔軟性に劣り、風合いが悪化する。好ましくは、0.53〜0.80g/cm3の範囲である。従来の人工皮革は密度が0.3〜0.45g/cm3の範囲であり、本発明の皮革様シート基材は非常に高いと言える。この密度が高いことが本発明の皮革様シート基材に天然皮革に酷似した風合いや充実感、ドレープ性、優れた機械的物性をもたらす。
また織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3%未満の場合には、引裂き強度等の物性に劣り、20%より大きい場合は、外観を損ねることとなる。好ましくは表面露出度が0.5〜15%、より好ましくは0.8〜10%の範囲である。この点も、本発明の皮革様シート基材に天然皮革に酷似した引裂強度や風合いや充実感をもたらす上で極めて重要である。
また織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3%未満の場合には、引裂き強度等の物性に劣り、20%より大きい場合は、外観を損ねることとなる。好ましくは表面露出度が0.5〜15%、より好ましくは0.8〜10%の範囲である。この点も、本発明の皮革様シート基材に天然皮革に酷似した引裂強度や風合いや充実感をもたらす上で極めて重要である。
なお、本発明で言う表面露出度の評価方法を次に説明する。
<減圧パラフィン包埋>
パラフィン mp68〜70℃
ホットプレート iuchi NHP−1
<ミクロトーム>
装置 MICROM社製 HM360
<顕微鏡>
装置 Nikon社製 SMZ1000
<減圧パラフィン包埋>
パラフィン mp68〜70℃
ホットプレート iuchi NHP−1
<ミクロトーム>
装置 MICROM社製 HM360
<顕微鏡>
装置 Nikon社製 SMZ1000
<方法>
1)得られた極細繊維不織布(A)と織編物(B)の絡合一体化物を減圧パラフィン包埋(約80℃ アスピレーター減圧)する。もちろん高分子弾性体が付与されていても良い。
2)ミクロトームで表層より約100μ程度、切削する。
3)光学顕微鏡で100倍に拡大し、さらにそれを2倍に拡大して写真を撮影
4)パソコンにて画像解析を実施し、不織布(A)側の面に存在する織編物構成繊維の面積(P)を計測する。(1cm×1cm)
表面露出度=100×P/(不織布構成繊維+織編物構成繊維)面積
分母の(不織布構成繊維+織編物構成繊維)面積の求め方としては、不織布の見かけ密度と不織布構成繊維の比重から構成繊維の占有割合を計算により求め、計算により求められた値を(不織布構成繊維+織編物構成繊維)面積とする。なお、写真に織編物構成繊維が繊維断面としてではなく横方向に寝た状態で写っている場合には、その繊維は除外して面積を求める。
1)得られた極細繊維不織布(A)と織編物(B)の絡合一体化物を減圧パラフィン包埋(約80℃ アスピレーター減圧)する。もちろん高分子弾性体が付与されていても良い。
2)ミクロトームで表層より約100μ程度、切削する。
3)光学顕微鏡で100倍に拡大し、さらにそれを2倍に拡大して写真を撮影
4)パソコンにて画像解析を実施し、不織布(A)側の面に存在する織編物構成繊維の面積(P)を計測する。(1cm×1cm)
表面露出度=100×P/(不織布構成繊維+織編物構成繊維)面積
分母の(不織布構成繊維+織編物構成繊維)面積の求め方としては、不織布の見かけ密度と不織布構成繊維の比重から構成繊維の占有割合を計算により求め、計算により求められた値を(不織布構成繊維+織編物構成繊維)面積とする。なお、写真に織編物構成繊維が繊維断面としてではなく横方向に寝た状態で写っている場合には、その繊維は除外して面積を求める。
また本発明の皮革様シート基材の縦横平均引裂強度は0.75〜1.75kg/(100g/m2)であることが好ましく、この値は、従来の人工皮革と比べて物性的に高い。より好ましくは0.90〜1.75kg/(100g/m2)である。このような縦横平均引裂強度は、本発明の皮革様シート基材が一体構造を有していることと緻密性を有していることに起因する。なお、縦横平均引裂強度は、後述する引裂強度測定方法により得られるMD方向(縦方向)とCD方向(横方向)の測定値の平均値である。
さらに本発明の皮革様シート基材において、基材の厚みとしては0.3〜3mmの範囲が好ましく、より好ましくは0.4〜1.3mmの範囲である。
次に本発明の不織布及び織編物に好適に用いられるPVAについて詳述する。本発明の不織布(A)および織編物(B)を構成する繊維に用いられるPVAとしては、粘度平均重合度(以下、単に重合度と略記する)が200〜500のものが好ましく、中でも230〜470の範囲が好ましく、250〜450が特に好ましい。重合度が200未満の場合には溶融粘度が低すぎて、安定な複合化が得られにくい。重合度が500を越えると溶融粘度が高すぎて、紡糸ノズルからポリマーを吐出することが困難となる。重合度500以下のいわゆる低重合度PVAを用いることにより、熱水で溶解するときに溶解速度が速くなるという利点が有る。
ここで言うPVAの重合度(P)は、JIS−K6726に準じて測定される。すなわち、PVAを再鹸化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘度[η]から次式により求められるものである。
P=([η]103/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
P=([η]103/8.29)(1/0.62)
重合度が上記範囲にある時、本発明の目的がより好適に達せられる。
本発明のPVAの鹸化度は90〜99.99モル%である。93〜99.98モル%が好ましく、94〜99.97モル%がより好ましく、96〜99.96モル%が特に好ましい。鹸化度が90モル%未満の場合には、PVAの熱安定性が悪く熱分解やゲル化によって満足な溶融紡糸を行うことができないのみならず、生分解性が低下し、更に後述する共重合モノマーの種類によってはPVAの水溶性が低下し、本発明の複合繊維を得ることができない場合がある。一方、鹸化度が99.99モル%よりも大きいPVAは安定に製造することができにくい。
本発明で使用されるPVAは生分解性を有しており、活性汚泥処理あるいは土壌に埋めておくと分解されて水と二酸化炭素になる。PVAを溶解した後のPVA含有廃液の処理には活性汚泥法が好ましい。該PVA水溶液を活性汚泥で連続処理すると2日間から1ヶ月の間で分解される。また、本発明に用いるPVAは燃焼熱が低く、焼却炉に対する負荷が小さいので、PVAを溶解した排水を乾燥させてPVAを焼却処理してもよい。
本発明に用いられるPVAの融点(Tm)は160〜230℃が好ましく、170〜227℃がより好ましく、175〜224℃が特に好ましく、180〜220℃がとりわけ好ましい。融点が160℃未満の場合にはPVAの結晶性が低下し繊維強度が低くなると同時に、PVAの熱安定性が悪くなり、繊維化できない場合がある。一方、融点が230℃を越えると溶融紡糸温度が高くなり紡糸温度とPVAの分解温度が近づくためにPVA繊維を安定に製造することができない。
PVAの融点は、DSCを用いて、窒素中、昇温速度10℃/分で250℃まで昇温後、室温まで冷却し、再度昇温速度10℃/分で250℃まで昇温した場合のPVAの融点を示す吸熱ピークのピークトップの温度を意味する。
PVAは、ビニルエステル単位を主体として有するポリマーを鹸化することにより得られる。ビニルエステル単位を形成するためのビニル化合物単量体としては、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バレリン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニルおよびバーサティック酸ビニル等が挙げられ、これらの中でもPVAを容易に得る点からは酢酸ビニルが好ましい。
本発明で使用されるPVAは、ホモポリマーであっても共重合単位を導入した変性PVAであってもよいが、溶融紡糸性、水溶性、繊維物性の観点からは、共重合単位を導入した変性PVAを用いることが好ましい。共重合単量体の種類としては、共重合性、溶融紡糸性および繊維の水溶性の観点からエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンの炭素数4以下のα−オレフィン類、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類が好ましい。炭素数4以下のα−オレフィン類および/またはビニルエーテル類に由来する単位は、PVA中に1〜20モル%存在していることが好ましく、さらに4〜15モル%が好ましく、6〜13モル%が特に好ましい。さらに、α−オレフィンがエチレンである場合には、繊維物性が高くなることから、特にエチレン単位が4〜15モル%、より好ましくは6〜13モル%導入された変性PVAを使用する場合である。
本発明で使用されるPVAは、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、a、a`−アゾビスイソブチロニトリル、2,2`ーアゾビス(2,4−ジメチル−バレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、nープロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、0℃〜150℃の範囲が適当である。
本発明の皮革様シート基材の不織布側表面をサンドペーパー等によりバフィングすることによりスエード調またはヌバック調の人工皮革が得られる。かかる人工皮革の場合、ニードルパンチによる極細繊維と編織物との強固な絡合のため耐摩耗性も極めて強く立毛の脱落も殆どみられない。
また、本発明の皮革様シート基材の表面に、各種樹脂を塗布したり、更に表面を溶融加熱や溶剤による溶解して平滑化することにより銀面調(半銀調を含む)人工皮革とすることができる。もちろん、染色処理や着色処理を行うことができ、また表面をエンボス処理して表面に目的に適した表面凹凸を付与したり、もみ処理を行うことにより柔軟化を行うこともできる。
また、本発明の皮革様シート基材の表面に、各種樹脂を塗布したり、更に表面を溶融加熱や溶剤による溶解して平滑化することにより銀面調(半銀調を含む)人工皮革とすることができる。もちろん、染色処理や着色処理を行うことができ、また表面をエンボス処理して表面に目的に適した表面凹凸を付与したり、もみ処理を行うことにより柔軟化を行うこともできる。
本発明によれば、極細繊維不織布と編織物とが強固に絡合された高密度の不離一体構造となっており、従来全く得られなかった高強力、高密度及び引裂特性に優れた柔軟で高品位の皮革様シート基体が得られる。
このものは、従来技術の一つとしてあった高圧水流によって、編織物構成糸中の単繊維間間隙に不織布構成極細短繊維を絡めて得られるものと比較しても、非常に柔軟でかつ高品位、また不離一体構造も十分な極めて商品価値の大なるものである。
このような人工皮革から、靴、鞄、手袋、野球用グローブ、ベルト、小物入れ等の雑貨の他、ソファーの上張り材等のインテリア用品、自動車や船舶、飛行機等の座席や内張り材、さらにブレザー、コート、スカート、ベスト等で代表される衣料等の用途に用いることができる。
次に本発明を具体的に実施例で説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の部及び%はことわりのない限り質量に関するものである。
[繊維化工程性評価]
100kgの繊維を紡糸する際に何回断糸するかによって、次のように評価した。
○:3回以内/100kg
△:4回〜7回/100kg
×:8回以上/100kg
100kgの繊維を紡糸する際に何回断糸するかによって、次のように評価した。
○:3回以内/100kg
△:4回〜7回/100kg
×:8回以上/100kg
[引裂き強度]
JIS L 1079の5.14のC法に準拠して幅25mmのシートをMD方向(縦方向)、CD方向(横方向)から切り出して引裂強度を測定した。
[皮革様シートの風合・審美性]
人工皮革の開発にかかわる者10人が下記評価方法にて評価した結果、最も多い評価を占めた結果を示す。
◎:非常に柔らかい天然皮革並の風合いで審美性が非常に優れる
○:柔らかい天然皮革並の風合いで審美性が優れる
△:やや硬い風合いで審美性が劣る
×:硬くゴム感の有る風合い審美性が非常に劣る
[皮革様シート基材の密度]
得られた皮革様シート基材を10cm角に切り取り、その質量Wを電子天秤(メトラー社:AE160)で測定し、W/0.1により坪量(g/cm2)を求めた。
JIS L 1079の5.14のC法に準拠して幅25mmのシートをMD方向(縦方向)、CD方向(横方向)から切り出して引裂強度を測定した。
[皮革様シートの風合・審美性]
人工皮革の開発にかかわる者10人が下記評価方法にて評価した結果、最も多い評価を占めた結果を示す。
◎:非常に柔らかい天然皮革並の風合いで審美性が非常に優れる
○:柔らかい天然皮革並の風合いで審美性が優れる
△:やや硬い風合いで審美性が劣る
×:硬くゴム感の有る風合い審美性が非常に劣る
[皮革様シート基材の密度]
得られた皮革様シート基材を10cm角に切り取り、その質量Wを電子天秤(メトラー社:AE160)で測定し、W/0.1により坪量(g/cm2)を求めた。
実施例1
[水溶性熱可塑生ポリビニルアルコールの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して鹸化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置して鹸化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
[水溶性熱可塑生ポリビニルアルコールの製造]
攪拌機、窒素導入口、エチレン導入口および開始剤添加口を備えた100L加圧反応槽に酢酸ビニル29.0kgおよびメタノール31.0kgを仕込み、60℃に昇温した後30分間窒素バブリングにより系中を窒素置換した。次いで反応槽圧力が5.9kg/cm2となるようにエチレンを導入仕込みした。開始剤として2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(AMV)をメタノールに溶解した濃度2.8g/L溶液を調整し、窒素ガスによるバブリングを行って窒素置換した。上記の重合槽内温を60℃に調整した後、上記の開始剤溶液170mlを注入し重合を開始した。重合中はエチレンを導入して反応槽圧力を5.9kg/cmに、重合温度を60℃に維持し、上記の開始剤溶液を用いて610ml/hrでAMVを連続添加して重合を実施した。10時間後に重合率が70%となったところで冷却して重合を停止した。反応槽を開放して脱エチレンした後、窒素ガスをバブリングして脱エチレンを完全に行った。次いで減圧下に未反応酢酸ビニルモノマーを除去しポリ酢酸ビニルのメタノール溶液とした。得られた該ポリ酢酸ビニル溶液にメタノールを加えて濃度が50%となるように調整したポリ酢酸ビニルのメタノール溶液200g(溶液中のポリ酢酸ビニル100g)に、46.5g(ポリ酢酸ビニルの酢酸ビニルユニットに対してモル比(MR)0.10)のアルカリ溶液(NaOHの10%メタノール溶液)を添加して鹸化を行った。アルカリ添加後約2分で系がゲル化したものを粉砕器にて粉砕し、60℃で1時間放置して鹸化を進行させた後、酢酸メチル1000gを加えて残存するアルカリを中和した。フェノールフタレイン指示薬を用いて中和の終了を確認後、濾別して得られた白色固体のPVAにメタノール1000gを加えて室温で3時間放置洗浄した。上記洗浄操作を3回繰り返した後、遠心脱液して得られたPVAを乾燥機中70℃で2日間放置して乾燥PVAを得た。
得られたエチレン変性PVAの鹸化度は98.4モル%であった。また該変性PVAを灰化させた後、酸に溶解したものを用いて原子吸光光度計により測定したナトリウムの含有量は、変性PVA100質量部に対して0.03質量部であった。また、重合後未反応酢酸ビニルモノマーを除去して得られたポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をn−ヘキサンに沈殿、アセトンで溶解する再沈精製を3回行った後、80℃で3日間減圧乾燥を行って精製ポリ酢酸ビニルを得た。該ポリ酢酸ビニルをd6−DMSOに溶解し、500MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)を用いて80℃で測定したところ、エチレンの含有量は10モル%であった。上記のポリ酢酸ビニルのメタノール溶液をアルカリモル比0.5で鹸化した後、粉砕したものを60℃で5時間放置して鹸化を進行させた後、メタノールソックスレーを3日間実施し、次いで80℃で3日間減圧乾燥を行って精製されたエチレン変性PVAを得た。該PVAの平均重合度を常法のJIS K6726に準じて測定したところ330であった。該精製PVAの1,2−グリコール結合量および水酸基3連鎖の水酸基の含有量を5000MHzプロトンNMR(JEOL GX−500)装置による測定から前述のとおり求めたところ、それぞれ1.50モル%および83%であった。さらに該精製された変性PVAの5%水溶液を調整し厚み10ミクロンのキャスト製フィルムを作成した。該フィルムを80℃で1日間減圧乾燥を行った後に、DSC(メトラー社、TA3000)を用いて、前述の方法によりPVAの融点を測定したところ206℃であった。
また上記のPVA製造方法において、共重合成分およびその共重合割合、重合度、ケン化度等を変更して各種PVAを製造した。それらの結果を表1に示す。
また上記のPVA製造方法において、共重合成分およびその共重合割合、重合度、ケン化度等を変更して各種PVAを製造した。それらの結果を表1に示す。
[原綿の製造]
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等質量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、550ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸した。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を、捲縮機で捲縮を付与し51mmにカットしてステープル化した。この海島型複合繊維ステープルの詳細を表2に示す。このステープルからクロスラップ法で目付500g/m2のウェブを作製した。
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等質量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、550ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸した。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を、捲縮機で捲縮を付与し51mmにカットしてステープル化した。この海島型複合繊維ステープルの詳細を表2に示す。このステープルからクロスラップ法で目付500g/m2のウェブを作製した。
[織編物の製造]
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、24ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した(海島比=4:6(質量比))。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、84デシテックス−24フィラメントの海島型複合マルチフィラメント繊維を得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を撚り数550T/Mにし、平織物(織密度105×84本/inch、目付120g/m2)を作製した。
上記PVAを海成分に用い、固有粘度0.65(フェノ−ル/テトラクロロエタンの等重量混合溶液にて30℃で測定)のイソフタル酸10モル%含有したポリエチレンテレフタレ−ト(融点234℃)チップを島成分とし、島成分が37島となるような溶融複合紡糸用口金(0.25φ、24ホール)を用い、250℃で口金より吐出し紡糸した(海島比=4:6(質量比))。該紡糸繊維をローラープレート方式で通常の条件により延伸し、84デシテックス−24フィラメントの海島型複合マルチフィラメント繊維を得た。紡糸性、連続ランニング性、延伸性は良好で全く問題がなかった。この海島型複合繊維を撚り数550T/Mにし、平織物(織密度105×84本/inch、目付120g/m2)を作製した。
上記ウェブとスクリムを積層し、次いで1500パンチ/cm2の条件でニードルパンチングして、150℃の乾熱処理を行い布帛を面積換算で30%収縮させ(したがって収縮処理後の面積は収縮処理前面積比で70%)、表面の平滑な絡合布帛を得た。この絡合布帛に、ポリエーテル系ポリウレタンの13%ジメチルホルムアルデヒド溶液を含浸し、ジメチルホルムアルデヒド/水混合液の中に浸して、浸式凝固した後に、熱水(90℃)中で海成分及び鞘成分のPVAポリマーを溶出除去し、皮革様シート基材を得た。なお、PVAポリマーの抽出除去時にシートは収縮を生じ、面積割合で抽出処理前の80%に減少した。シートにおける弾性重合体の質量割合は21%で、シートの厚みは0.8mmであった。得られたシートの不織布側表面をサンドペーパーでバフィングすることにより表面に微細な立毛を有するスエード調の人工皮革とした。得られたシートに使用した原料繊維及び高分子弾性体の詳細について表2に示し、さらに得られたシートの物性を表3に示す。
[実施例2〜3]
不織布用原綿の製造において、海島型複合繊維を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
不織布用原綿の製造において、海島型複合繊維を表2に示すものに変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
[実施例4〜5]
織編物用マルチフィラメント糸の製造において、海島型複合繊維の島数を1島或いは600島に変更して海成分除去後の繊維の太さを変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
織編物用マルチフィラメント糸の製造において、海島型複合繊維の島数を1島或いは600島に変更して海成分除去後の繊維の太さを変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
[実施例6〜9]
不織布用原綿の製造において、海島型複合繊維の海成分又は島成分を表2に示すポリマーに変更し、更に実施例6はニードルパンチング条件を2500パンチ/cm2に変更する以外は実施例1と同様の方法で実施した。表2中、Ny6はナイロン6を、PLLAはポリ乳酸の略である。
不織布用原綿の製造において、海島型複合繊維の海成分又は島成分を表2に示すポリマーに変更し、更に実施例6はニードルパンチング条件を2500パンチ/cm2に変更する以外は実施例1と同様の方法で実施した。表2中、Ny6はナイロン6を、PLLAはポリ乳酸の略である。
[実施例10]
高分子弾性体(C)を表2に示すポリウレタンに変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
高分子弾性体(C)を表2に示すポリウレタンに変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
[比較例1]
不織布用原綿の製造において、海島型複合繊維の島数及び太さを表2に示す値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
不織布用原綿の製造において、海島型複合繊維の島数及び太さを表2に示す値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。
[比較例2〜3]
不織布用原綿の製造において、繊維長を表2に示す値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。しかしながら、カード通過性が劣るためシート化できず、したがって皮革様シートとしての評価はできなかった。
不織布用原綿の製造において、繊維長を表2に示す値に変更した以外は実施例1と同様の方法で実施した。しかしながら、カード通過性が劣るためシート化できず、したがって皮革様シートとしての評価はできなかった。
[比較例4]
織編物の製造において、表2に示すごとく、海島型繊維を用いずにイソフタル酸共重合PETからなる単独紡糸繊維を用いた以外は実施例1と同様の方法で実施した。
織編物の製造において、表2に示すごとく、海島型繊維を用いずにイソフタル酸共重合PETからなる単独紡糸繊維を用いた以外は実施例1と同様の方法で実施した。
[比較例5]
織編物の製造において、マルチフィラメント糸の撚数を表2に示すような撚数1500T/mの強撚糸とした以外は比較例4と同様の方法で実施した。
織編物の製造において、マルチフィラメント糸の撚数を表2に示すような撚数1500T/mの強撚糸とした以外は比較例4と同様の方法で実施した。
[比較例6〜7]
比較例5において、不織布を構成する繊維に用いられているPVAをスルホイソフタル酸ソーダ(SIP)を5モル%共重合したPETに変更し、さらに熱水(90℃)に置き換えて苛性ソーダ水溶液(90℃)を用いる以外は同様の方法により皮革様シート基材を作製した(比較例6)。また、不織布を構成する繊維に用いられているPVAを低密度ポリエチレンに変更し、さらに熱水(90℃)に置き換えて熱トルエン溶液を用いる以外は比較例5と同様の方法により皮革様シート基材を作製した(比較例7)。
以上の実施例及び比較例に使用した原料繊維及び高分子弾性体の詳細について表2に示し、さらに得られたシートの物性を表3に示す。
比較例5において、不織布を構成する繊維に用いられているPVAをスルホイソフタル酸ソーダ(SIP)を5モル%共重合したPETに変更し、さらに熱水(90℃)に置き換えて苛性ソーダ水溶液(90℃)を用いる以外は同様の方法により皮革様シート基材を作製した(比較例6)。また、不織布を構成する繊維に用いられているPVAを低密度ポリエチレンに変更し、さらに熱水(90℃)に置き換えて熱トルエン溶液を用いる以外は比較例5と同様の方法により皮革様シート基材を作製した(比較例7)。
以上の実施例及び比較例に使用した原料繊維及び高分子弾性体の詳細について表2に示し、さらに得られたシートの物性を表3に示す。
以上の実施例で得られた皮革様シート基材の不織布側表面にポリウレタンの溶液を塗布した後、乾燥させ、更に表面に天然皮革調のシボ模様をエンボスにより付与し、更に柔軟化処理及び染色処理を行ったところ、いずれも銀付きの天然皮革に極めて類似したものであった。
Claims (10)
- 極細繊維からなる不織布(A)、織編物(B)及び高分子弾性体(C)から構成され、下記(1)〜(5)の要件
(1)該極細繊維は、繊維長が18〜110mmかつ単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスであること、
(2)該織編物(B)を構成する繊維は、単繊維間にランダムな微捲縮を有し、かつ単繊維繊度は0.0003〜3.5デシテックスであること、
(3)不織布(A)と該織編物(B)とが絡合されていること、
(4)不織布(A)の、該織編物(B)と接する面と反対側の面において、該織編物(B)を構成する各単繊維の表面露出度が0.3〜20%であり、皮革様シート基材内部に高分子弾性体(C)が存在しており、
(5)皮革様シート基材の密度が0.50〜0.85g/cm3であること、
を満足していることを特徴とする皮革様シート基材。 - 皮革様シート基材の縦横平均引裂強度が0.75〜1.75kg/(100g/m2)である請求項1に記載の皮革様シート基材。
- 織編物(B)を構成する繊維の単繊維繊度が0.0003〜0.2デシテックスである請求項1または2に記載の皮革様シート基材。
- 織編物(B)を構成する糸の撚数が10〜650T/Mであり、かつ皮革様シート基材中の織編物占有率が5〜60質量%である請求項1〜3のいずれかに記載の皮革様シート基材。
- 皮革様シート基材において、高分子弾性体(C)の占める割合が5〜45質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート基材。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の皮革様シート基材から構成された人工皮革。
- 人工皮革が銀付調である請求項6に記載の人工皮革。
- 人工皮革がスエード調またはヌバック調である請求項6に記載の人工皮革。
- 請求項7および8のいずれかに記載の人工皮革を用いた靴、ボール類、家具、乗物用座席、衣料、手袋、野球用グローブ、鞄、ベルトまたはバッグで代表される人工皮革製品。
- 以下の工程(i)〜(iv)
(i)水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(Sa)と融点が160℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー(Sb)とからなる繊維長20〜110mmの複合繊維をカードによりウェブを製造する工程、
(ii)工程(i)で得られたウェブと、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(Fa)と融点が160℃以上の結晶性熱可塑性ポリマー(Fb)からなる複合長繊維から構成された織編物とを積層する工程、
(iii)工程(ii)で得られた積層布帛をニードルパンチング処理および/または高圧水流処理により絡合処理する工程、
(iv)工程(iii)で得られた絡合布帛を収縮処理して布帛面積を収縮処理前の40〜90%に収縮せしめ、そして高分子弾性体液を含浸・凝固させ、次いで熱水処理により水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(SaとFa)を抽出除去して該ウェブを構成していた繊維を単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維の集束体とする工程、あるいは工程(iii)で得られた絡合布帛を収縮処理して布帛面積を収縮処理前の40〜90%に収縮せしめ、そして熱水処理により、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体(SaとFa)を抽出除去して該ウェブを構成していた繊維を単繊維繊度が0.0003〜0.4デシテックスの極細繊維の集束体とし、次いで高分子弾性体液を含浸・凝固させる処理を行う工程、
を順次行なうことを特徴とする皮革様シート基材の製造方法。
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