JP2005154746A - ペリレン系色素、異方性色素膜形成用組成物、異方性色素膜および偏光素子 - Google Patents

ペリレン系色素、異方性色素膜形成用組成物、異方性色素膜および偏光素子 Download PDF

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Abstract

【課題】高い溶解性と高い二色性を示す新規なペリレン系色素を提供する。
【解決手段】遊離酸の形が下記一般式(3)又は(4)の化合物となるペリレン色素。
Figure 2005154746

【選択図】なし

Description

本発明は、調光素子や液晶素子(LCD)、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)の表示素子に具備される偏光板等に有用な、新規なペリレン系色素と、このペリレン系色素を含む異方性色素膜形成用組成物、このペリレン系色素を用いた新規な異方性色素膜及び偏光素子に関するものである。
LCD(液晶表示ディスプレイ)では、表示における旋光性や複屈折性を制御するために直線偏光板や円偏光板が用いられている。OLED(有機EL素子)においても、外光の反射防止のために円偏光板が使用されている。
従来、これらの偏光板(偏光素子)にはヨウ素が二色性物質として広く使用されてきた。しかしながら、ヨウ素は昇華性が大きいために偏光素子として偏光膜(偏光板)に使用した場合、その耐熱性や耐光性が十分ではなかった。そのため、有機系の色素を二色性物質に使用する偏光膜が検討されている。
そのような偏光素子の製造方法の一つとして、二色性を有する有機色素を、ポリビニルアルコール等の高分子材料に溶解または吸着させ、その膜を一方向にフィルム状に延伸して、二色性色素を配向させることにより得られる異方性色素膜(偏光フィルム)を用いる方法(例えば、特許文献1および2参照)が挙げられる。
また、別の方法として、ガラスや透明フィルムなどの基板上に、湿式成膜法にて二色性色素を含む膜を形成し、分子間相互作用などを利用して二色性色素を配向させることにより、得られた異方性色素膜を用いる方法(例えば、特許文献3および4参照)が挙げられる。
前者の手法において使用される二色性色素には、分子の長軸方向に大きな吸光度と短軸方向に極めて小さい吸光度をもつこと、すなわち高い二色性が要求される。さらに、ポリビニルアルコールなどの基材に対する高い親和性が、染色性の観点から要求される。
一方、後者の手法においては、上記と同様に高い二色性が求められる他に、二色性色素を基板上に堆積、配向させる方法や二色性色素分子の配向を制御させるための基板表面の処理など、二色性色素を含む異方性色素膜形成のためのプロセス選択と、そのプロセスに適した二色性色素、および該色素を含む膜形成用組成物が要求される。
特許文献4には、二色性色素を含む溶液を用いて湿式成膜法にて形成された偏光膜を有する二色偏光子が記載されており、該偏光膜の一例として、下記化合物を含む色素膜が記載されている。
Figure 2005154746
しかし、上記色素自体はいずれも赤色を示し、これらを含む色素膜も、380nm〜800nmの可視光波長領域における最大吸収波長は510nm〜515nmであり赤色を示す。このような色素膜を、例えば表示装置における偏光板として利用した場合、偏光板として必要とされるニュートラルブラックを達成するためには、他の(青色)色素を混合する必要が生じる。しかし、特許文献4に記載されているように色素を混合すると二色比が低下するという問題があった。
なお、ペリレン顔料を用いた薄膜は、光電変換機能を有していることが知られているが、薄膜色が赤色であるため、変換可能な光の波長が制限されるという問題があった。さらに、一般にペリレン骨格を有する色素は溶剤への溶解性が低く、薄膜の製造方法として真空蒸着が用いられてきた。しかし、真空蒸着法は大面積の薄膜作成に向いておらず、より操作性のよい薄膜の製造方法を利用できる色素の開発が望まれている。
特開平3−12606号公報 特開平1−161202号公報 特表2002−528758号公報 特表平8−511109号公報
本発明の目的は、従来のペリレン系色素に比べて溶剤への溶解性が高く、塗布による薄膜化が可能で、塗布膜の色調が一般的なペリレン系色素より深色化した新規のペリレン系色素と、この色素を用いた異方性色素膜形成用組成物、異方性色素膜及び表示素子用偏光板において、従来のヨウ素を用いた偏光板に比べて充分な耐熱性や耐光性を有する偏光素子を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、適当な数の酸性基を有し、かつ窒素原子上に特定の基を有するペリレン系色素が、溶媒に可溶で、溶媒中でリオトロピック液晶状態に代表されるような良好な分子間相互作用による色素会合体を形成し、その色素を含有する組成物を用いて湿式成膜法にて形成された膜は、高次の分子配向状態を示すこと、すなわち、高い異方性を有する色素膜を形成し、さらに一般的なペリレン系色素に比べて深色化した色素膜を提供することが可能であるということを見出した。本発明はこれらの知見を基に完成されたものである。
すなわち、本発明は、遊離酸の形が下記一般式(3)および(4)で表される化合物からなる群より選ばれるペリレン系色素、並びに該色素を用いた異方性色素膜、異方性色素膜形成用組成物および偏光素子に存する。
Figure 2005154746
(式中、EおよびE’は各々独立に、置換されていても良い芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、または水素原子を表し、FおよびF’は各々独立に、炭素数1〜10の置換されていても良いアルキレン基を表す。
Gは遊離酸の形で、−SO3H、−COOH、−OPO32、または−PO32で表され
る基を示し、nは1〜10の整数を表す。なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のGは、同一であっても異なっていてもよい。
1ないしX4およびY1ないしY4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、−OR1または−NHR2(但し、R1およびR2は各々独立に、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)を表す。
−Z−および−Z’−は、各々独立に、−CH2−、−S−、−S−S−、−SO2−、−NH−、−N(CH3)−、または式(5)で表される官能基を表す。)
Figure 2005154746
本発明の異方性色素膜はまた、本発明の異方性色素膜形成用組成物を用い、基板上に湿式成膜法にて形成されたものである。
本発明の偏光素子はまた、本発明の異方性色素膜形成用組成物を用い、基板上に湿式成膜法にて形成された異方性色素膜を有するものである。
本発明のペリレン系色素は、好ましくは、遊離酸の形が下記一般式(1)および(2)で表される化合物からなる群より選ばれるものである。
Figure 2005154746
(式中、AおよびA'は各々独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換
されていてもよい芳香族複素環基を表し、BおよびB'はそれぞれ独立に、炭素数1〜6
の置換されていてもよいアルキレン基を表す。
Dは遊離酸の形で、−SO3Hまたは−OPO32で表される基を表し、nは前記一般式
(3)および(4)におけると同義である。なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のDは、同一であっても異なっていてもよい。
1ないしX4、Y1ないしY4、−Z−および−Z’−は、前記一般式(3)および(4)におけると同義である。)
本発明のペリレン系色素は、25℃、1気圧における水の溶解度が1重量%以上であることが好ましく、分子量は、遊離酸の形で500以上1500以下であることが好ましい。
なお、本発明における「異方性色素膜」は、膜面内の任意の2方向、および膜の厚み方向の、合わせて3方向のうち、2方向における電磁気学性質(吸収、屈折率などの光学的
性質、抵抗、容量等の電気的性質などのいずれか)に異方性を有する膜を意味する。この異方性色素膜は、実質的に色素のみからなる膜であっても良く、また本発明の目的とする異方性色素膜の性能を損なわない範囲で、色素以外の成分(例えば高分子化合物、各種添加剤など)を含有していても良い。
このような色素は高い分子会合性を有し、膜中で特定の会合状態を形成するために、分子間相互作用により色素単独の場合より色調が深くなるものと考えられる。
本発明のペリレン系色素は、深青から黒の色調を有し、溶剤に対する溶解性に優れる安定性の高い色素であり、この色素を用いた本発明の異方性色素膜よりなる偏光膜は、深い色調と高い二色性を示すと同時に、従来のヨウ素系偏光膜に比べて高い耐熱性、耐光性を有する。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
まず、本発明のペリレン系色素について説明する。
本発明のペリレン系色素は、遊離酸の形が下記一般式(3)および(4)で表される化合物からなる群より選ばれるものである。
Figure 2005154746
(式中、EおよびE’は各々独立に、置換されていても良い芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、または水素原子を表し、FおよびF’は各々独立に、炭素数1〜10の置換されていても良いアルキレン基を表す。
Gは遊離酸の形で、−SO3H、−COOH、−OPO32、または−PO32で表され
る基を示し、nは1〜10の整数を表す。なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のGは、同一であっても異なっていてもよい。
1ないしX4およびY1ないしY4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、−OR1または−NHR2(但し、R1およびR2は各々独立に、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)を表す。
−Z−および−Z’−は、各々独立に、−CH2−、−S−、−S−S−、−SO2−、−NH−、−N(CH3)−、または式(5)で表される官能基を表す。)
Figure 2005154746
前記一般式(3)および(4)において、EおよびE’は各々独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、または水素原子を表す。
芳香族炭化水素基として、具体的にはフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、インデニル基などの、炭素数6〜14程度の芳香族炭化水素基が挙げられる。
芳香族複素環基として、具体的には、ピリジル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、キノリル基、イソキノリル基、トリアゾリル基、ベンゾトリアゾリル基 などの、5または6員環の、単環または2〜4縮合環が挙げられる。
これらが有しうる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10程度のアルキル基、ニトロ基、−OR3、−NR45、−CO26、−CONHR7、−SO38、−SO2
HR9(但し、R3ないしR9は各々独立して、水素原子、置換されていてもよい炭素数1
〜6程度のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6〜10程度の環状炭化水素基、または置換されていてもよい5または6員環の単環または2縮合環からなる複素環基を表す。)等が挙げられる。
3ないしR9におけるアルキル基、芳香族炭化水素基および芳香族複素環が有しうる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜6程度のアルキル基、ニトロ基、水酸基、アミノ基、−CONH2、−SO2NH2、−SO2NHCH3等が挙げられる。
中でも、EおよびE’として好ましくは、無置換であるか、あるいはハロゲン原子、メチル基、エチル基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、−CONH2、−CO
NHCH3、−SO2NH2、または−SO2NHCH3で置換された芳香族炭化水素基また
は芳香族複素環基である。
後述するように異方性色素膜に使用した場合、膜の色調が深くなる点からEおよびE’としては、好ましくは置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基であり、より好ましくは置換されていてもよい芳香族炭化水素基、特に好ましくは置換されていてもよいフェニル基である。これは、EおよびE’を芳香族環、特にフェニル基にすることにより、膜中の色素分子同士がうまくスタッキングし、分子間相互作用により生じる吸収により、色素単独の場合よりも深い色調(具体的には、青〜黒に近い色調)を示すものと考えられる。
なお、1分子中に含まれるEおよびE’は、同一であっても良いし、異なっていてもよい。製造および精製が容易である点からは、同じ基であることが好ましい。
FおよびF’は、炭素数1〜10の、置換されていてもよいアルキレン基を表す。EおよびE’が水素原子である場合、即ち−F−E基および−F’−E’基が、置換されていてもよいアルキル基を表す場合には、FおよびF’の炭素数は、1〜6程度が好ましい。また、EおよびE’が置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基の場合には、FおよびF’の炭素数は1〜6程度が好ましく、1〜3程度がより好ましい。
これらが有しうる置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜10程度のアルキル基、ニトロ基、−OR13、−NR1415、−CO216、−CONHR17、−SO318、−SO2NHR19等が挙げられる。(なお、R13ないしR19は、EおよびE’におけるR13
いしR19として前述したものと同様の基を表す。また、R13ないしR19におけるアルキル基、芳香族炭化水素基および芳香族複素環が有しうる置換基としても、前記R3ないしR9におけると同様の基が挙げられる。)
中でも、溶剤に対する溶解性、および分子間相互作用の観点から、FおよびF’として好ましくは、無置換であるか、あるいはハロゲン原子、メチル基、エチル基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、−CONH2、−CONHCH3、−SO2NH2、または−SO2NHCH3で置換されたアルキレン基である。
なお、1分子中に含まれるFおよびF’は、同一であっても良いし、異なっていてもよい。製造および精製が容易である点からは、同一の基であることが好ましい。
Gは遊離酸の形で、−SO3H、−COOH、−OPO32、または−PO32で表さ
れる基を示す。中でも溶剤に対する溶解性、および製造の容易さの点から、好ましくは−SO3Hまたは−OPO32、より好ましくは−SO3Hである。
nは上記酸性基の数を表し、通常1以上、好ましくは2以上の整数であり、また通常10以下、好ましくは8以下、特に好ましくは6以下の整数である。酸性基の数が多すぎると、色素の水等の溶剤への溶解度が非常に高くなり、リオトロピック液晶性のような良好な色素会合状態が形成しにくくなるおそれがあり、逆に少なすぎる場合には、溶剤への溶
解性が低くなり、例えば後述するように、湿式成膜法による異方性色素膜形成に供することが難しくなる。
なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のGは同一であっても異なっていてもよい。製造および精製が容易である点からは、同一の基であることが好ましい。
1ないしX4およびY1ないしY4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、−OR1または−NHR2(但し、R1およびR2は各々独立に、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)を表す。
1およびR2として、具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基などの、炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントラニル基、インデニル基などの、炭素数6〜14の芳香族炭化水素基、が挙げられる。
これらは置換基を有していてもよく、該置換基としては、ハロゲン原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基、水酸基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、−CONH2、−CONHCH3、−SO2NH2、−SO2NHCH3などが挙げられる。
1ないしX4、およびY1ないしY4については、より強い相互作用による分子の会合体形成の観点から、好ましくは、各々独立に水素原子またはハロゲン原子であり、より好ましくは
(i)X1ないしX4、およびY1ないしY4が、すべて水素原子である場合、
(ii)X1ないしX4が全て水素原子であり、Y1ないしY4のうち少なくとも1つがハロゲン原子、それ以外が水素原子である場合、
(iii)X1ないしX4のうち少なくとも1つがハロゲン原子、それ以外は水素原子であり、Y1ないしY4が全て水素原子で場合である。
−Z−および−Z’−は、各々独立に、−CH2−、−S−、−S−S−、−SO2−、−NH−、−N(CH3)−、または式(5)で表される官能基を表す。
Figure 2005154746
これらのうち、より強い分子間相互作用による色素会合体の形成および色素の深色化の観点から、好ましくは−S−、−S−S−、−NH−、−N(CH3)−である。
本発明のペリレン系色素として、より好ましくは、遊離酸の形が下記一般式(1)および(2)で表される化合物からなる群より選ばれる色素である。
Figure 2005154746
(式中、AおよびA’は各々独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環基を表し、BおよびB'はそれぞれ独立に、炭素数1〜6
の置換されていてもよいアルキレン基を表す。
Dは遊離酸の形で、−SO3Hまたは−OPO32で表される基を表し、nは前記一般式
(3)および(4)におけると同義である。なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のDは、同一であっても異なっていてもよい。
1ないしX4、Y1ないしY4、−Z−および−Z’−は、前記一般式(3)および(4)におけると同義である。)
一般式(1)および(2)におけるAおよびA’の具体例としては、前記一般式(3)および(4)におけるEおよびE’が、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換されていてもよい芳香族複素環である場合の例として挙げた基と同様の基が挙げられ、好ましいものもEおよびE’と同様である。
同様に、一般式(1)および(2)におけるBおよびB’は、前記一般式(3)および(4)におけるFおよびF’として挙げたもののうち、炭素数1から6のアルキル基として挙げたもの、およびアルキル基が有しうる置換基として挙げたものと同様の基が挙げられ、好ましいものも同様である。
一般式(1)および(2)におけるX1ないしX4、Y1ないしY4、n、ZおよびZ’は、一般式(3)および(4)におけると同義であり、好ましいものも、一般式(3)および(4)におけると同様である。
本発明のペリレン系色素において、より強い相互作用による分子の会合体形成の観点からは、
・一般式(1)または(3)において、X1ないしX4およびY1ないしY4が各々独立に、水素原子またはハロゲン原子である化合物、
・一般式(2)または(4)において、−Z−および−Z’−が、各々独立に−S−、−S−S−、−NH−、または−N(CH3)−である(好ましくは、さらに、X1ないしX4が各々独立に、水素原子又はハロゲン原子である)化合物、
が好ましい。
また、色素の深色化の観点からは、
・一般式(1)または(3)において、X1ないしX4、Y1ないしY4が各々独立に水酸基、アミノ基、−OR1または−NHR2である化合物、
・一般式(2)または(4)において、−Z−および−Z’−が、各々独立に−S−、−S−S−、−NH−、または−N(CH3)−である化合物
が好ましい。
本発明のペリレン系色素は、遊離酸の形が、前記一般式(1)ないし(4)のいずれで表される場合であっても、遊離酸の形で分子量が通常500以上、好ましくは650以上であり、また通常1500以下、好ましくは1200以下である。分子量が上記上限値を超えると、発色性の低下、または吸収スペクトルピークが短波長化するという問題が生じるおそれがある。
本発明のペリレン系色素は、常温常圧下、具体的には25℃,1気圧において、水への溶解度が1重量%以上であることが好ましく、5重量%以上であることがより好ましい。また50重量%以下であることが好ましく、30重量%以下であることがより好ましい。例えば、後述するように、異方性色素膜を作製する場合、溶剤としては水、水混和性のある有機溶剤、または水と水混和性のある有機溶剤の混合物を使用するのが一般的であるため、色素の水への溶解性が低すぎるとこのような用途への使用が難しくなる。逆に、色素の良好な会合状態形成の観点からは、水への溶解性が高すぎない方が好ましい。
本発明のペリレン系色素は、公知の手法にて合成することができる。
例えば、
1)Dyes and Pigments、24巻、第75頁〜第81頁(1994年)に記載の方法に準じてペリレン系色素を合成し、これに 特表平8−511109号公報に記載の方法に準じて、スルホ基を導入する。
2) Bioorg.Med.Chem.Lett.12巻、第3395頁〜第3398頁(2002年)に記載の方法に準じて合成する。
方法などが挙げられる。
得られた色素を、後述するように、各種用途に供する場合には、前記一般式(3)または(4)で示される遊離酸型のまま使用しても良く、また製造時に塩型で得られた場合はそのまま使用しても良いし、所望の塩型に変換して用いても良い。塩型の交換方法としては、公知の方法を任意に用いることができ、例えば以下の方法が挙げられる。
1)塩型で得られた色素の水溶液に塩酸等の強酸を添加し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し、塩交換する方法。
2)塩型で得られたの色素の水溶液に、所望の対イオンを有する大過剰の中性塩(例えば、塩化リチウム)を添加し、塩析ケーキの形で塩交換を行う方法。
3)塩型で得られた色素の水溶液を、強酸性イオン交換樹脂で処理し、色素を遊離酸の形で酸析せしめた後、所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で色素酸性基を中和し、塩交換する方法。
4)予め所望の対イオンを有するアルカリ溶液(例えば水酸化リチウム水溶液)で処理した強酸性イオン交換樹脂に、塩型で得られた色素の水溶液を作用させ、塩交換を行う方法。
また、本発明で使用される色素は、酸基の一部が塩型をとっているものであっても良く、塩型の色素と遊離酸型の色素が混在していても良い。ここで、酸性基が遊離酸型をとるか、塩型をとるかは、色素のpKaと色素水溶液のpHに依存する。
上記の塩型の例としては、Na、Li、K等のアルカリ金属の塩、炭素数1〜16程度のアルキル基、炭素数1〜12程度のヒドロキシアルキル基で置換されていても良いアン
モニウムの塩または有機アミンの塩、などが挙げられる。
有機アミンの例として、炭素数1〜6程度の低級アルキルアミン、ヒドロキシ基で置換された炭素数1〜6程度の低級アルキルアミン、カルボキシ基で置換された炭素数1〜6程度の低級アルキルアミン等が挙げられる。これらの塩型である場合、その種類は1種類に限られず複数種混在していても良い。
本発明のペリレン系色素の具体例としては、遊離酸の形で例えば以下のNo.1からNo.70に示す構造の色素が挙げられるが、これに限定されるものではない。なお、表中、Meはメチル基を表す。
Figure 2005154746
Figure 2005154746
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Figure 2005154746
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Figure 2005154746
Figure 2005154746
次に、このような本発明のペリレン系色素を用いる本発明の異方性色素膜形成用組成物、異方性色素膜及び偏光素子について説明する。
本発明の異方性色素膜や、異方性色素膜形成用組成物等には、前記一般式(3)または(4)で表される色素を単独で使用することもできるが、これらの2種以上を併用することにより、または他の色素と混合して用いることにより、各種の色相を有する異方性色素膜を製造することができる。
特に、偏光膜に使用する際には中庸な色調の膜が好ましく、具体的にはJIS Z 8722に定められた方法により測定した色素膜の(透過物体)色が、L***表色系に
おいて、
Figure 2005154746
また、可視光波長領域における該色素膜の光透過率が、好ましくは35%以上、より好ましくは40%以上、さらに好ましくは44%以上を満たすものが、表示素子、特にカラー表示素子用偏光子として好ましい。
また、一般にペリレン系色素は赤色を有しているが、中庸な色調が求められる偏光膜用の調色材や、広範な波長の光を変換できる光電変換材料としては、赤色よりも青色の色素膜を形成することが好ましい。その色相はL*a*b*表色系において、色相角H°が18
0°〜360°(あるいはb*≦0とも表現できる)であることが好ましく、210°〜
330°がより好ましく、225°〜315°の範囲にあることが、さらに好ましい。
本発明のペリレン色素は単独で良好な偏光膜を形成できるが、使用する目的によっては、適宜、これらの2種以上を併用、または他の色素の配合してもよい。配合用として好ましい他の色素の例としては、例えばC.I.Direct Yellow 12、C.I.Direct Yellow 34、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Yellow 132、C.I.Acid Yellow 25、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 79,、C.I.Acid Orange 28、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 79、C.I.Direct Red 81、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Acid Red 37、C.I.Direct Violet 9、C.I.Direct Violet 35、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 57、C.I.Direct Blue 1、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 83、C.I.Direct
Blue 90、C.I.Direct Green 42、C.I.Direct Green 51、C.I.Direct Green 59等が挙げられる。
一般に、異方性色素膜の作製方法としては、
(a)延伸したポリビニルアルコールなどの高分子基材を、二色性色素を含有する溶液
等で染色する方法
(b)ポリビニルアルコールなどの高分子基材の溶液に二色性色素を溶解し、フィルム状に製膜した後に延伸する方法
(c)二色性色素を適当な溶剤に溶解して、成膜用(異方性色素膜形成用)組成物を調製し、この成膜用組成物を用いてガラス板などの各種基材表面に湿式成膜法にて成膜し、組成物中に含まれる二色性色素を配向・積層させる方法
など公知の方法が挙げられる。
本発明のペリレン系色素、特に前示構造式No.1で示されるような、水溶液中でリオトロピック液晶を形成する色素は、(c)の方法により高い二色性を示す偏光膜(異方性色素膜)を作製可能であり、有用である。遊離酸の形が前記一般式(3)または(4)で表される本発明のペリレン系色素には、高い二色性を示し、また水溶液中でリオトロピック液晶を形成するものが多く、また各種基材面との親和性が高いものが多いため、このような成膜法に好適である。
本発明のペリレン系色素を用いて、異方性色素膜を形成する場合、例えば前記(a)〜(c)のいずれの方法においても、ペリレン系色素を適当な溶剤に溶解して使用する。
本発明のペリレン系色素を溶解する溶剤としては、水及び水混和性のある有機溶剤が適している。有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ類等の単独または2種以上の混合溶剤が挙げられる。この場合の二色性色素を溶解する濃度としては、色素の溶解性やリオトロピック液晶状態などの超分子構造の形成濃度にも依存するが、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上で、好ましくは50重量%以下、より好ましくは30重量%以下である。
また、前記(c)に記したように、成膜用組成物としての色素溶液を基材表面への湿式成膜法に供する場合は、基材への濡れ性、塗布性を向上させるため、必要に応じて界面活性剤等の添加剤を成膜用組成物に加えることができる。この界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系のいずれも使用可能であり、その添加濃度は、通常色素溶液に対して0.05〜5重量%程度である。
本発明のペリレン系色素を用い、前記(c)の方法で異方性色素膜を形成するには、まず、異方性色素膜形成用組成物(成膜用組成物)を調製し、これを用いてガラスや樹脂等にて形成されたフィルム状やシート状、板状の基材上に湿式成膜法にて膜形成する。
異方性色素膜形成用組成物は、通常、本発明のペリレン系色素と、必要に応じてその他の色素、上述したように界面活性剤などの各種添加剤を、上述の溶剤に溶解することにより調製される。
本発明の異方性色素膜形成用組成物を用いて、湿式成膜法にて基材表面に異方性色素膜を作製する方法としては、原崎勇次著「コーティング工学」(株式会社朝倉書店、1971年3月20日発行)第253頁〜第277頁、または市村國宏監修「分子協調材料の創製と応用」(株式会社シーエムシー出版、1998年3月3日発行)第118頁〜第149頁などに記載の公知の方法や、例えば、スピンコート法、スプレーコート法、バーコート法、ロールコート法、ブレードコート法などで塗布して乾燥する方法を採用することができる。塗布時の温度は通常0〜80℃、湿度は通常10〜80%RH程度である。また、乾燥時の温度は通常0〜120℃、湿度は通常10〜80%RH程度である。
また、前記異方性色素膜形成用組成物を用いて表面に膜形成を行う基材としては、ガラスやトリアセテート、アクリル、ポリエステル、トリアセチルセルロースまたはウレタン
系の、フィルム、シート、板等が挙げられる。なお、この基材表面には、二色性色素の配向方向を制御するために、「液晶便覧」(丸善株式会社、平成12年10月30日発行)第226頁〜第239頁などに記載の公知の方法により、配向処理層を施していても良い。
前記(c)の方法による湿式成膜法にて形成された異方性色素膜は、通常、機械的強度が低いので、必要に応じ、この上に保護層を設けて使用する。この保護層は、例えば、トリアセテート、アクリル、ポリエステル、トリアセチルセルロースまたはウレタン系のフィルム等の透明な高分子膜によりラミネーションして形成され、実用に供する。また、LCDやOLEDなどの各種の表示素子に偏光フィルター等として用いる場合には、これらの表示素子を構成する電極基板などに直接、異方性色素膜を形成したり、異方性色素膜を形成した基材をこれら表示素子の構成部材に用いることができる。
前記(c)の方法で基材上に形成される異方性色素膜の膜厚は、通常乾燥後の膜厚で50nm〜10μm程度である。
なお、前記(a)の方法における色素溶液で染色する基材や、前記(b)の方法において色素とともに延伸されてなる基材としては、ポリビニルアルコールなど、色素との親和性の高い高分子材料が挙げられる。
本発明のペリレン系色素は、高い二色性を示すこと、溶剤に対する溶解性、溶液中での安定性が高いため、該色素を含有する異方性色素膜形成用組成物の保存安定性が高いこと、から、前記(c)の方法による異方性色素膜の形成に適用することが好ましい。前記(c)の方法によると、ガラスなどの高耐熱性基材上に異方性色素膜を形成することが可能であり、高耐熱性の偏光素子を得ることができる点から、液晶プロジェクタや車載用表示パネル等、高耐熱性が求められる用途に使用できる点が好ましい。
本発明の異方性色素膜は、光吸収の異方性を利用し、直線偏光、円偏光、楕円偏光等を得る偏光膜として機能するほか、膜形成プロセスと基材や色素を含有する組成物の選択により、屈折率異方性や伝導異方性などの各種異方性膜として機能化が可能となり、様々な種類の、多様な用途に適用可能な偏光素子とすることができる。
本発明の異方性色素膜を偏光素子として使用する場合、前記(a)〜(c)に代表される方法で作成された異方性色素膜そのものを使用しても良く、また該色素膜上に保護層、粘着層、反射防止層など、様々な機能をもつ層を積層形成し、積層体として使用しても良い。
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の実施例中、L*、a*、およびb*の値はJIS Z 8722に定められ
た方法に従い、分光光度計((株)日立製作所製U−3500分光光度計)により色素膜の透過率を測定した後、JIS Z 8701およびZ 8729に従って算出した。また、二色比は分光光度計(同上)で異方性色素膜の吸光度を測定した後、次の計算式により計算した。
二色比(D)=Az/Ay
Az:色素膜の吸収軸方向の吸光度
Ay:色素膜の偏光軸方向の吸光度
<実施例1>
N,N’−ビス(2−フェニルエチル)ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)15重量部、クロロスルホン酸105重量部、濃硫酸30重量部および30
%発煙硫酸30重量部を用い、90°C、4時間の条件下でスルホン化し、水酸化ナトリウム水溶液にてナトリウム塩とし、例示色素No.1のナトリウム塩を得た。
得られた色素のナトリウム塩の構造、組成は、高速液体クロマトグラフィー/質量分析計(LC/MS)の測定により決定した。測定結果およびマススペクトルの各ピークに相当する構造を表−3に示す。(表中のMは、各成分に対応する色素分子の遊離酸の形を示す。)マススペクトルより、色素No.1のスルホ基はいずれの成分も、窒素原子上に置換したフェニルエチル基のベンゼン環上に位置し、成分Aは遊離酸の形で分子量921のn=4、成分Bは遊離酸の形で分子量が841のn=3であり、254nmにおける吸収ピーク面積比より、上記条件で合成された色素No.1の組成は、n=4とn=3の成分の79:21混合物である。
Figure 2005154746
上記組成の色素No.1は、水に対して25重量%以上の溶解度を示し、溶液色は赤であった。
色素No.1を含む異方性色素膜形成用組成物および異方性色素膜は、以下に示す方法で作製した。すなわち、水75重量部に、上記組成の色素No.1のナトリウム塩を25重量部加え、攪拌溶解し、次いでろ過して色素水溶液(異方性色素膜形成用組成物)を得た。この色素水溶液をスライドガラス上に滴下し、偏光顕微鏡下において観察したところリオトロピック液晶状態であることが確認された。
スライドガラス(松浪硝子工業製 スライドグラス白縁磨フロストNo.1)に前記色素水溶液をバーコーター(テスター産業(株)製 No.2)で塗布した後、室温下で乾燥することにより異方性色素膜を得た。得られた色素膜は、乾燥直後は赤色を示すが、室温で2週間経過後には深色化して青色となった。この色素膜の吸収スペクトルは図1に示す通りである。この色素膜の色をL***表色系で表わすと、L*=42.2、a*=2
0.8、b*=−20.3であり、
Figure 2005154746
であった。
得られた色素膜の異方性の確認として、二色比の測定をおこなったところ極大吸収波長の560nmにおいて5であり、吸収異方性が確認された。
<実施例2>
水94部に例示色素No.1の色素を2重量部、硼酸を4重量部加え、撹拌溶解し、次いで濾過して染色液を得た。別に、水90重量部に平均重合度1750のポリビニルアルコール10重量部を加えて、水浴中で撹拌溶解後、厚さ1mmに展開、乾燥することによりポリビニルアルコール(PVA)フィルムを得た。
このPVAフィルムを染色液に浸漬後、3倍に引き伸ばして異方性色素膜を得た。この異方性色素膜の偏光軸方向の透過率および吸収軸方向の透過率は図2に示す通りであり、541nmにおける二色比は5であった。
<実施例3>
例示色素No.1のナトリウム塩とリチウム塩の混合物からなる異方性色素膜形成用組成物および異方性色素膜を、以下に示す方法で作製した。すなわち、水75重量部に、色素No.1のナトリウム塩を12.5重量部、色素No.1のリチウム塩を12.5重量部加え、攪拌溶解し、次いでろ過して色素水溶液(異方性色素膜形成用組成物)を得た。この色素水溶液は実施例1と同様な方法により、偏光顕微鏡下で観察したところリオトロピック液晶状態であることが確認された。
スライドガラス(松浪硝子工業(株)製 スライドグラス白縁磨フロストNo.1)に前記色素水溶液をバーコーター(テスター産業(株)製 No.3)で塗布した後、室温下で乾燥することにより異方性色素膜を得た。得られた色素膜は、乾燥直後は赤色を示すが、2週間後には深色化して青色となった。この色素膜の吸収スペクトルを図3に示す。この色素膜の色をL***表色系で表わすと、L*=51.9、a*=14.4、b*=−17.3であり、
Figure 2005154746
であった。
得られた色素膜の異方性の確認として、二色比の測定をおこなったところ極大吸収波長の560nmにおいて6であり、吸収異方性が確認された。
<実施例4>
N,N’−ビス(3−フェニルプロピル)ペリレン−3,4,9,10−ビス(ジカルボキシイミド)15重量部、クロロスルホン酸105重量部、濃硫酸30重量部および30%発煙硫酸30重量部を用い、90°C、4時間の条件下でスルホン化し、水酸化ナトリウム水溶液にてナトリウム塩とし、例示色素No.4のナトリウム塩を得た。
例示色素No.4のナトリウム塩は、水に対して25重量%以上の溶解度を示し、溶液
色は赤であった。
色素No.4の異方性色素膜形成用組成物および異方性色素膜は、下記に示す方法で作製した。すなわち、水75重量部に、色素No.4のナトリウム塩を25重量部加え、攪拌溶解し、次いでろ過して色素水溶液(異方性色素膜形成用組成物)を得た。この色素水溶液について、実施例1と同様に偏光顕微鏡下で観察したところ、等方相を示した。
スライドガラス(松浪硝子工業(株)製 スライドグラス白縁磨フロストNo.1)に前記色素水溶液をバーコーター(テスター産業(株)製 No.2)で塗布した後、室温下で乾燥することにより異方性色素膜を得た。この色素膜の吸収スペクトルを図4に示す。この色素膜の色をL***表色系で表わすと、L*=77.6、a*=21.8、b*=16.7であり、
Figure 2005154746
であった。
得られた色素膜の異方性の確認として、二色比の測定をおこなったところ極大吸収波長の485nmにおいて7であり、吸収異方性が確認された。
実施例1にて得られた異方性色素膜の吸収スペクトルである。 実施例2にて得られた異方性色素膜の吸収軸方向および偏光軸方向の光透過率を表すグラフである。 実施例3にて得られた異方性色素膜の吸収スペクトルである。 実施例4にて得られた異方性色素膜の吸収スペクトルである。

Claims (10)

  1. 遊離酸の形が下記一般式(3)および(4)で表される化合物からなる群より選ばれる、ペリレン系色素。
    Figure 2005154746
    (式中、EおよびE’は各々独立に、置換されていても良い芳香族炭化水素基、置換されていてもよい芳香族複素環基、または水素原子を表し、FおよびF’は各々独立に、炭素数1〜10の置換されていても良いアルキレン基を表す。
    Gは遊離酸の形で、−SO3H、−COOH、−OPO32、または−PO32で表され
    る基を示し、nは1〜10の整数を表す。なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のGは、同一であっても異なっていてもよい。
    1ないしX4、およびY1ないしY4は、各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、アミノ基、−OR1または−NHR2(但し、R1およびR2は各々独立に、置換されていてもよいアルキル基、または置換されていてもよい芳香族炭化水素基を表す。)を表す。
    −Z−および−Z’−は、各々独立に、−CH2−、−S−、−S−S−、−SO2−、−NH−、−N(CH3)−、または式(5)で表される官能基を表す。)
    Figure 2005154746
  2. 遊離酸の形が下記一般式(1)および(2)で表される化合物からなる群より選ばれる、請求項1記載のペリレン系色素。
    Figure 2005154746
    (式中、AおよびA'は各々独立に、置換されていてもよい芳香族炭化水素基または置換
    されていてもよい芳香族複素環基を表し、BおよびB'はそれぞれ独立に、炭素数1〜6
    の置換されていてもよいアルキレン基を表す。
    Dは遊離酸の形で、−SO3Hまたは−OPO32で表される基を表し、nは前記一般式
    (3)および(4)におけると同義である。なお、nが2以上の場合、1分子中に含まれる複数個のDは、同一であっても異なっていてもよい。
    1ないしX4、Y1ないしY4、−Z−および−Z’−は、前記一般式(3)および(4)におけると同義である。)
  3. 25℃、1気圧における水への溶解度が1重量%以上である、請求項1または2記載のペリレン系色素。
  4. 分子量が、遊離酸の形で500以上1500以下である、請求項1ないし3のいずれか一項に記載のペリレン系色素。
  5. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のペリレン系色素を含有する、異方性色素膜形成用組成物。
  6. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載のペリレン系色素を含有する、異方性色素膜。
  7. 請求項5記載の異方性色素膜形成用組成物を用い、基板上に湿式成膜法にて形成された異方性色素膜。
  8. 請求項6または7記載の異方性色素膜において、L*a*b*表色系にて色相角H°が180
    °〜360°の範囲にあることを特徴とする異方性色素膜。
  9. 請求項6ないし8のいずれか一項に記載の異方性色素膜において、L*a*b*表色系にて
    Figure 2005154746
    の範囲にあることを特徴とする異方性色素膜。
  10. 請求項6ないし9のいずれか一項に記載の異方性色素膜を用いた、偏光素子。
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