JP2005139411A - イミド化アクリル系樹脂の製造方法 - Google Patents

イミド化アクリル系樹脂の製造方法 Download PDF

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Isao Tsujimura
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Abstract

【課題】 アクリル系樹脂にイミド化剤を加えてイミド化を行い、更にエステル化剤を加えてエステル化を行うイミド化アクリル系樹脂の製造方法において、従来の方法では、イミド化反応工程およびエステル化反応工程を経て得られるイミド化アクリル系樹脂の分子量が低下してしまうという問題があった。
【解決手段】 アクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させるイミド化反応工程、前記イミド化反応により得られるイミド化アクリル系樹脂にエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行うエステル化反応工程、溶融状態のイミド化アクリル系樹脂中の残存揮発分量を低減する脱揮工程から成るイミド化アクリル系樹脂の製造方法で、イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程での押出機のシリンダー温度を150℃以上、250℃未満とすることにより、前記イミド化アクリル系樹脂の分子量の低下を抑制できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は押出機を用いたイミド化アクリル系樹脂の製造方法に関する。さらに詳しくは、押出機においてアクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させることでイミド化を行い、さらに押出機においてエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行うイミド化アクリル系樹脂の製造方法に関する。
アクリル系樹脂は透明性、耐候性、成形加工性等の優れた特性を有しており、光学分野、自動車分野、装飾品分野等で幅広く利用されている。
しかしながら、アクリル系樹脂は熱変形温度が低く、成形加工温度や使用環境温度が高い用途での使用には制限があるため、当該樹脂のガラス転移温度を上げる方法が提案されており、その一つとしてアクリル系樹脂をイミド化する方法が提案されている。
例えば特許文献1においては、押出機内でアクリル系樹脂にイミド化剤を加えて200℃〜450℃の温度において混練、反応させることでアクリル系樹脂をイミド化する方法が提案されている。
ただし、特許文献1が教える方法により製造されたイミド化アクリル系樹脂中には、カルボキシル基および酸無水物基が上記のイミド化反応過程における中間生成物として生成される場合があり、前記カルボキシル基および酸無水物基を含むイミド化アクリル系樹脂を他の熱可塑性樹脂とブレンドすると、イミド化アクリル系樹脂と他の熱可塑性樹脂との相溶性が悪くなり、樹脂が不透明になるといった問題があった。
これに対し、特許文献2においては、特許文献1に記載の方法にて製造されたカルボキシル基および酸無水物基を含むイミド化アクリル系樹脂をエステル化剤と反応させ、イミド化アクリル系樹脂中のカルボキシル基および酸無水物基をエステル化して、イミド化アクリル系樹脂中のカルボキシル基および酸無水物基の含量を低減することで、他の熱可塑性樹脂とのブレンド時の相溶性を改善する方法が記載されている。しかしながら、特許文献2が教える方法に従ってイミド化アクリル系樹脂をエステル化剤と反応させた場合、イミド化アクリル系樹脂をエステル化剤と反応させると当該イミド化アクリル系樹脂の分子量が原料のアクリル系樹脂の分子量よりも低下してしまうという欠点があった。
さらに、特許文献3においては、イミド化アクリル系樹脂を揮発分除去のための手段を装備した押出機中で約250℃〜300℃の温度に付し、かつ少なくとも約600mm水銀柱の減圧を行うことでイミド化アクリル系樹脂中の残留揮発アミン濃度を低減し、イミド化アクリル系樹脂の熱安定性を改善する方法が提案されている。ただし特許文献3で開示される方法に従ってイミド化アクリル系樹脂を製造しても、依然として当該イミド化アクリル系樹脂の分子量が原料のアクリル系樹脂の分子量よりも低下してしまう場合があった。
また、特許文献4においては、溶融状態のイミド化アクリル系樹脂にメタノール、エタノール、水、またはその混合物を混合し、前記メタノール、エタノール、水、またはその混合物を溶融状態のイミド化アクリル系樹脂から除去することで、イミド化アクリル系樹脂中の残留トリメチルアミン量を30ppm以下にし、イミド化アクリル系樹脂の熱安定性を改善する方法が提案されている。しかしながら、特許文献4ではアクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させる際、およびの前記イミド化反応により得られるイミド化アクリル系樹脂にエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行う際の、押出機内のシリンダー温度については規定されておらず、またメタノール、エタノール、水、またはその混合物を用いた場合、これらを回収、処理する必要があり、製造コストが高くなるというデメリットがあった。
米国特許第4246374号 米国特許第4727117号 特開平4−337346 特開平4−335012
本発明は、上述のような欠点を改良することを目的とするものである。すなわち、押出機内でアクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させることでアクリル系樹脂をイミド化し、さらにイミド化したアクリル系樹脂中のカルボキシル基および酸無水物基をエステル化剤と反応させてイミド化アクリル系樹脂中のカルボキシル基および酸無水物基含量を低減することで、他の熱可塑性樹脂とのブレンド時の相溶性を良くする方法が知られているが、従来の方法では、イミド化反応およびエステル化反応を経て得られるイミド化アクリル系樹脂の分子量が、原料のアクリル系樹脂の分子量に比較して大きく低下してしまうという問題があった。本発明は、この問題を解決することを課題とする。
本発明者は、上述のような課題について鋭意検討した結果、アクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させるイミド化反応工程、前記イミド化反応により得られるイミド化アクリル系樹脂にエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行うエステル化反応工程、溶融状態のイミド化アクリル系樹脂中の残存揮発分量を低減する脱揮工程から成るイミド化アクリル系樹脂の製造方法で、イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程での押出機のシリンダー温度を150℃以上250℃未満とすることにより、前記イミド化アクリル系樹脂の分子量低下を抑制できることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、1)アクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させるイミド化反応工程、前記イミド化反応により得られるイミド化アクリル系樹脂にエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行うエステル化反応工程、溶融状態のイミド化アクリル系樹脂中の残存揮発分量を低減する脱揮工程から成り、かつ、イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程での押出機のシリンダー温度を150℃以上250℃未満とすることを特徴とするイミド化アクリル系樹脂の製造方法に関する。
また本発明は、2)イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程を経て得られるイミド化アクリル系樹脂の分子量が、原料のアクリル系樹脂の分子量の60%以上であることを特徴とする前記1)項に記載のイミド化アクリル系樹脂の製造方法に関する。
また本発明は、3)アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の単独もしくはこれらの共重合体、もしくは(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物と他の共重合可能な成分との共重合体であることを特徴とする前記1)項または2)項に記載のイミド化アクリル系樹脂の製造方法に関する。
また本発明は、4)アクリル系樹脂中に(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物が10重量%以上含まれることを特徴とする前記1)項から3)項のいずれか一項に記載のイミド化アクリル系樹脂の製造方法に関する。
アクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させるイミド化反応工程、前記イミド化反応により得られるイミド化アクリル系樹脂にエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行うエステル化反応工程、溶融状態のイミド化アクリル系樹脂中の残存揮発分量を低減する脱揮工程から成るイミド化アクリル系樹脂の製造方法で、イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程での押出機のシリンダー温度を150℃以上250℃未満とすることにより、前記イミド化アクリル系樹脂の分子量の低下を抑制できる。
以下に本発明における実施の形態を示すが、いずれの方法に関しても、以下に示すものに限定されるものではない。
まず、本発明におけるイミド化反応工程について説明する。本発明におけるイミド化反応工程とはアクリル系樹脂にイミド化剤を反応させてイミド化アクリル系樹脂を得る工程である。イミド化アクリル系樹脂の製造ではアミドやイミドを生じる際の中間生成物として酸および酸無水物が生成されるので、ポリマー反応生成物はイミド基、アミド基、カルボキシル基、酸無水物基およびエステル基の成分を含む可能性がある。
本発明のイミド化反応工程に用いるアクリル系樹脂は、イミド化反応が可能な(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の単独もしくはこれらの共重合体、もしくは(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物と他の共重合可能な成分との共重合体であれば特に限定されるものではないが、(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物が10重量%以上含まれることが好ましい。10重量%以下の場合はイミド化によるガラス転移温度の上昇効果が不十分となる。
前記(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物には、特に限定がなく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、無水マレイン酸等の酸無水物またはそれらと炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸などもイミド化可能であり、本発明に使用可能である。
上記の(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物と他の共重合可能な成分としては、重合可能な二重結合を有しておれば特に限定がなく、例えば、スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族炭化水素系ビニル系単量体、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸等の重合可能な炭素−炭素二重結合を有する酸、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基を有する(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなどのアクリルアミド系化合物、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ジアリルフタレート等のビニルエステルやアリルエステル化合物、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基含有ビニル系単量体、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有ビニル系単量体、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有ビニル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド等のマレイミド類、ビニルメチルエーテル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、1−ブテン、2−ブテン、1−ヘキセン、N−ビニルイミダゾール、メタクリロイル基含有マクロモノマー等のその他のビニル系単量体等が挙げられる。
本発明で用いることができるアクリル系樹脂は、イミド化反応が可能な(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の単独もしくはこれらの共重合体、もしくは(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物と他の共重合可能な成分との共重合体であれば、リニアーポリマーであっても、またブロックポリマー、コアシェルポリマー、分岐ポリマーであっても構わない。ブロックポリマーはA−B型、A−B−C型、A−B−A型、またはこれら以外のいずれのタイプのブロックポリマーであっても問題ない。コアシェルポリマーはただ一層のコアおよびただ一層のシェルのみからなるものであっても、それぞれが多層になっていても問題ない。
本発明で使用されるイミド化剤はアクリル系樹脂をイミド化することができれば特に制限されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有アミン、アニリン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有アミン、シクロヘキシルアミン等などの脂環式炭化水素基含有アミンが挙げられる。また、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素の如き加熱によりこれらのアミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。これらのイミド化剤のうち、コスト、物性の面からメチルアミンが好ましい。
また前記イミド化剤は単独で用いても溶剤で希釈して用いてもよい。前記溶剤としては常温常圧において液体であり、製造したイミド化アクリル系樹脂から容易に単離できるものが好ましく、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール等の脂肪族アルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のケトン、エーテル系化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、また少なくとも2種を混合したものであってもよい。
本発明のイミド化反応工程において、上記のイミド化剤はアクリル系樹脂100重量部に対して10重量部〜100重量部添加する。アクリル系樹脂100重量部に対して10重量部未満では押出機内でのイミド化反応を十分に進行させることが出来ず、100重量部より多いと安定した押出工程の実現が困難である。
また、本発明の製造方法によりイミド化アクリル系樹脂を製造する際には、前記樹脂およびイミド化剤の他に、一般に用いられる触媒、酸化防止剤、熱安定剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、着色剤、収縮防止剤などを本発明の目的が損なわれない範囲で添加してもよい。
次に、本発明におけるエステル化反応工程について説明する。本発明におけるエステル化反応工程とは、特許文献2に示される反応であり、前記イミド化反応工程で得られるイミド化アクリル系樹脂に、エステル化剤を反応させて前記イミド化アクリル系樹脂中のカルボキシル基および酸無水物基の含量を低減させる工程である。エステル化反応により、イミド化アクリル系樹脂中の酸、酸無水物成分の含有量を低減させることができる。
前記エステル化剤としては、オルト炭酸テトラメチル、オルトギ酸トリメチル、炭酸ジメチルなどのアルキルオルトエステルが挙げられるが、イミド化アクリル系樹脂のエステル化を効率よく行えるものであればこの限りではない。また、前記エステル化剤によるエステル化反応を促進するために、少量の触媒を適宜添加してもよい。
次に、本発明における脱揮工程について説明する。本発明における脱揮工程とは、溶融状態の樹脂中の残存揮発分除去のための手段を装備した押出機内で、溶融状態となった樹脂中の残存揮発分をより除去する工程を指し、前記残存揮発分除去のための手段としては、たとえば真空吐出口などが挙げられる。前記イミド化反応工程およびエステル化反応工程を経て得られるイミド化アクリル系樹脂中には、反応により生成する副生成物や未反応のイミド化剤あるいはエステル化剤などの残存揮発分が含まれており、樹脂中の残存揮発分量が多いと、イミド化アクリル系樹脂の分子量が原料のアクリル系樹脂の分子量よりも低下してしまう。脱揮工程は、イミド化反応工程の後、およびエステル化反応工程の後に実施する。また、イミド化工程に引き続き脱揮工程を行った後、および/あるいはエステル化工程に引き続き脱揮工程を行った後に、一旦イミド化アクリル系樹脂を押出機出口より取り出し、取り出した樹脂を真空吐出口を備えた押出機に通すことで再度脱揮工程を行って、樹脂中の残存揮発分をさらに除去してもよい。樹脂中に含まれる残存揮発分のうち、トリメチルアミンの含量を100ppm以下、好ましくは80ppm以下とすることができ、これによりイミド化アクリル系樹脂の分子量低下を抑制できる。
また、イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程の押出機のシリンダー温度は、150℃以上250℃未満とすることが好ましい。押出機のシリンダー温度を150℃より低くすると、押出機内での樹脂の溶融粘度が高くなりすぎて押出機の負荷が大きくなり、電力消費量が高くなってコストがかかる。押出機温度を250℃以上とすると、樹脂が押出機内で受ける熱履歴が過剰になりイミド化アクリル系樹脂の分子量が低下する。前記押出機のシリンダー温度は、押出機のアクリル系樹脂が投入される箇所から押出機出口までの全てのシリンダー部分において均一に保つ必要はなく、例えば脱揮工程における真空吐出口直前の樹脂充満部のシリンダー温度を他の部分より低くして、真空吐出口においてイミド化アクリル系樹脂中の残存揮発分の除去を効率よく行ってもよい。
本発明に用いる押出機には単軸押出機、二軸押出機を含む多軸押出機、高粘度用横型二軸反応装置(例えば住友重機械製バイボラックなど)又はそれらを複数段つなげたものなどの高分子材料を適宜の温度に加熱でき、適宜のせん断応力を与えながら混練しうる装置があげられるが、これらに限定されるものではない。イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程は、押出機を複数回用いて行ってもよく、また単一の押出機内でイミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程を行ってもよい。また、押出機を複数段つなげたものを用いてイミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程を行ってもよい。
前記イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程を行う押出機において、樹脂は押出機上流側から投入され、押出機内にて溶融混練されながら押出機下流に向かって輸送される。バレル内流れ方向各部の樹脂の充満度合いは各部のスクリューの構成により決定されるが、イミド化反応工程およびエステル化反応工程においては、イミド化剤あるいはエステル化剤の投入口の上流部で一旦樹脂が充満するようなスクリュー構成としておくことで、イミド化剤あるいはエステル化剤が上流側に逆流することを防止できる。イミド化反応工程およびエステル化反応工程においては、投入口より添加されたイミド化剤あるいはエステル化剤は押出機内で樹脂に混合され、押出機内で反応が進行する。イミド化反応あるいはエステル化反応が進行した樹脂は、押出機下流へと輸送され、続く脱揮工程によって樹脂中の残存揮発分は真空吐出口より排出される。脱揮工程においては、真空吐出口の上流部において樹脂が充満するようなスクリュー構成とすることで、残存揮発分を効果的に除去できる。真空吐出口で残存揮発分を除去された樹脂は、押出機出口に設置されたダイスから吐出される。
前記押出機において、押出機内の圧力は大気圧〜50MPaの範囲とすることが好ましい。押出機内の圧力を大気圧より低くすると押出機内でのイミド化剤あるいはエステル化剤の混合が不十分となり、反応が十分に進行しない。押出機内の圧力が50MPaより高くなると、通常の押出機では機械耐圧が不足する。
また前記押出機において、投入口より投入された樹脂が押出機出口のダイスより吐出されるまでの時間(以下において前記時間を押出機内滞留時間とする)は1〜100分の範囲とすることが好ましい。前記押出機内滞留時間が1分以下では押出機内での反応を十分に進行させることができず、押出機内滞留時間が100分以上となると生産性が低下することとなるため好ましくない。
以下に実施例を述べて本発明の内容を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例において示すイミド化率、分子量、トリメチルアミン含量は、それぞれ次の測定方法で得られるものである。
(1)イミド化率
押出機より吐出された樹脂サンプル10mgをCDCl3(重水素化クロロホルム)1gに溶解し、室温にて1H−NMRを測定した。得られたスペクトルより、エステル基に帰属されるメチル基の積分強度からイミド基に帰属されるメチル基の積分強度への転換率を用いて、イミド化率とした。
(2)分子量
押出機より吐出された樹脂サンプルについて、移動相としてクロロホルムを用いてゲルパーミュエーションクロマトグラフにてポリスチレン換算の重量平均分子量を求めた。分子量既知のポリスチレン標準サンプルとしては、重量平均分子量が648800、198400、89300、25470、13648、5858、1040のポリスチレンを用いた。
(3)トリメチルアミン含量
押出機より吐出された樹脂サンプルに塩化メチレンを加えて溶解し、5重量%の塩化メチレン溶液を調製する。また、トリメチルアミン試薬を塩化メチレンで希釈し、適当な複数濃度の溶液サンプルを調製する。前記の樹脂サンプルの塩化メチレン溶液およびトリメチルアミン試薬の塩化メチレン溶液について、ガスクロマトグラフにて測定を行う。前記複数濃度のトリメチルアミン試薬の塩化メチレン溶液の測定で得られたチャートから溶液濃度とピーク面積の関係式を求め、前記関係式と樹脂サンプルの塩化メチレン溶液測定時のピーク面積から、樹脂中のトリメチルアミン含量(ppm)を算出した。
(実施例1)
押出機として口径15mmの噛合い型同方向回転式二軸押出機を用い、真空吐出口は一箇所設置して脱揮工程により真空吐出口から樹脂中の残留揮発分を取り除ける構成とし、アクリル系樹脂として三菱レイヨン製アクリペットVH(分子量:129000)を用いて、アクリル系樹脂100重量部に対してイミド化剤としてメチルアミンを40重量部添加してイミド化反応工程を行い、引き続き脱揮工程を行ってイミド化アクリル系樹脂を製造した(1)。得られたイミド化アクリル系樹脂を再度同じ押出機に投入して、再度脱揮工程を実施した(2)。得られた樹脂をさらに同じ押出機に投入し、樹脂100重量部に対してエステル化剤として炭酸ジメチルを4重量部、エステル化反応の触媒としてトリエチルアミンを1重量部添加してエステル化反応工程を行い、引き続き脱揮工程を行った(3)。さらに、前記工程で得られたエステル化されたイミド化アクリル系樹脂を再度同じ押出機に投入して、再度脱揮工程を実施した(4)。押出機のシリンダー温度は210℃に設定し、スクリューの回転数は300rpmとして、押出機内滞留時間が5分になるようにして押出した。得られたイミド化アクリル系樹脂中のトリメチルアミン含量は50ppmであり、イミド化率は63%であった。また分子量は115000であり原料アクリル系樹脂の分子量の89%であった。
(実施例2)
全ての工程において押出機のシリンダー温度を230℃とした以外は実施例1と同様にして実施したところ、得られたイミド化アクリル系樹脂中のトリメチルアミン含量は40ppmであり、イミド化率は67%であった。また分子量は99000であり原料アクリル系樹脂の分子量の77%であった。
(実施例3)
実施例1における(4)の工程を行わない以外は実施例1と同様にして実施したところ、得られたイミド化アクリル系樹脂中のトリメチルアミン含量は70ppmであり、イミド化率は61%であった。また分子量は110000であり原料アクリル系樹脂の分子量の85%であった。
(実施例4)
実施例1における(2)および(4)の工程を行わない以外は実施例1と同様にして実施したところ、得られたイミド化アクリル系樹脂中のトリメチルアミン含量は90ppmであり、イミド化率は70%であった。また分子量は89000であり原料アクリル系樹脂の分子量の69%であった。
(比較例1)
押出機のシリンダー温度を250℃とした以外は実施例1と同様にして実施したところ、得られたイミド化アクリル系樹脂中のトリメチルアミン含量は30ppmであり、前記イミド化アクリル系樹脂のイミド化率は60%であったが、分子量は72000であり、原料アクリル系樹脂の分子量の56%まで低下していた。

Claims (4)

  1. アクリル系樹脂にイミド化剤を加えて混練、反応させるイミド化反応工程、前記イミド化反応により得られるイミド化アクリル系樹脂にエステル化剤を加えて混練、反応させてエステル化を行うエステル化反応工程、溶融状態のイミド化アクリル系樹脂中の残存揮発分量を低減する脱揮工程を含み、かつ、イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程での押出機のシリンダー温度を150℃以上、250℃未満とすることを特徴とするイミド化アクリル系樹脂の製造方法。
  2. イミド化反応工程、エステル化反応工程、脱揮工程を経て得られるイミド化アクリル系樹脂の分子量が、原料のアクリル系樹脂の分子量の60%以上であることを特徴とする請求項1記載のイミド化アクリル系樹脂の製造方法。
  3. アクリル系樹脂が、(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物の単独もしくはこれらの共重合体、もしくは(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物と他の共重合可能な成分との共重合体であることを特徴とする請求項1または2記載のイミド化アクリル系樹脂の製造方法。
  4. アクリル系樹脂中に(メタ)アクリル酸系化合物もしくは(メタ)アクリル酸エステル系化合物が10重量%以上含まれることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のイミド化アクリル系樹脂の製造方法。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009074086A (ja) * 2007-08-31 2009-04-09 Kaneka Corp イミド樹脂
JP2011042764A (ja) * 2009-08-24 2011-03-03 Kaneka Corp アクリル系樹脂の製造方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009074086A (ja) * 2007-08-31 2009-04-09 Kaneka Corp イミド樹脂
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