JP2005113970A - プラネタリギヤ装置 - Google Patents

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JP2005113970A JP2003346397A JP2003346397A JP2005113970A JP 2005113970 A JP2005113970 A JP 2005113970A JP 2003346397 A JP2003346397 A JP 2003346397A JP 2003346397 A JP2003346397 A JP 2003346397A JP 2005113970 A JP2005113970 A JP 2005113970A
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Toshihiko Aoki
敏彦 青木
Takuya Fujimine
卓也 藤峰
Minoru Todo
穂 藤堂
Kazuhisa Ozaki
和久 尾崎
Masahiro Hayabuchi
正宏 早渕
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Abstract

【課題】 コンパクト性を保持しつつ、キャリヤの支持精度を向上したプラネタリギヤ装置を提供する。
【解決手段】 一端部をベアリングb5を介して固定部材ボス部3aに支持し、他端部をベアリングb20を介して入力軸12に支持して、サンギヤボス部72が回転自在に支持される。該ボス部の先端小径部72j1にベアリングb27を介して後側板84bが支持され、該ボス基端部にベアリングb26を介して前側板84aが支持され、キャリヤ組立体84は、同じギヤセットのサンギヤ上に高い精度及び剛性で支持される。
【選択図】 図10

Description

本発明は、自動変速機等に用いられるプラネタリギヤ装置に係り、詳しくはそのキャリヤの支持構造に関する。
近年、自動変速機の多段化に伴い、該自動変速機に収納されるプラネタリギヤ装置も多数化し、プラネタリギヤ装置のコンパクト化及びその支持精度の向上が求められている。特に、キャリヤの支持精度は、ロングピニオンの採用等により捩り負荷が増大する傾向にあって、ギヤノイズ及び耐久性に大きな影響を及ぼし、キャリヤの支持剛性の向上が求められている。
従来、キャリヤの支持としては、一方の側板を入力軸に支持すると共に、他方側板をスラストのみを支持する片持支持構造としたものがある(例えば特許文献1参照)。また、両側板を入力軸に支持したり、一方側を入力軸に、他方側板をポンプケース等の固定部材に支持するものが考えられる。
特開平7−133848号公報
上記片持ち支持構造のキャリヤは、支持剛性が充分でなく、ピニオンが軸方向に離れたリングギヤ及びサンギヤに噛合することに基づき、ロングピニオンからなるピニオンシャフトが傾ぎやすく、ギヤノイズ及び耐久性低下の原因になる虞れがある。
また、入力軸に両側板を支持するもの及び一方側板を入力軸に他方側板をポンプケースに支持する両持ち支持構造のものは、上記片持ち構造ほどにはピニオンが傾ぐことはなくても、プラネタリギヤセットとは異なる部材に支持する関係上、キャリヤの支持精度は充分でなく、またコンパクト性からも不利な構造となり易い。
そこで、本発明は、キャリヤの両側板を、同じプラネタリギヤセットのサンギヤに支持することにより、コンパクト性を保持しつつ、キャリヤの支持精度の向上を図ったプラネタリギヤ装置を提供することを目的とするものである。
請求項1に係る本発明は(例えば図9,図10参照)、サンギヤ(S1,S2又はS)、リングギヤ(R1又はR)及びキャリヤ(CR1又はCR)を有するプラネタリギヤ装置(PU又はPU)において、
前記キャリヤ(84)は、一方の側板(84a)、他方の側板(84b)及びピニオン(P1,P2又はP)を支持するシャフト(86)を有し、前記一方及び他方の側板が一体に結合されていると共に、これら両側板に亘って前記シャフトを支持してなり、
前記一方の側板及び他方の側板を、前記サンギヤのボス部(72)上に回転自在に支持してなる、
ことを特徴とするプラネタリギヤ装置にある。
請求項2に係る本発明は(例えば図10参照)、前記サンギヤのボス部(72)は、その軸方向一端部分を固定部材ボス部(3b)上に第1のベアリング(b5)を介して回転自在に支持されると共に、その軸方向他端部分を回転軸(12)上に第2のベアリング(b20)を介して回転自在に支持されてなり、
前記回転軸(12)は、前記固定部材ボス部(3b)の内周面に第3のベアリング(b1)を介して回転自在に支持されてなり、
前記第2のベアリング(b20)と前記第3のベアリング(b1)とが軸方向に近接して並んで配置されてなる、
請求項1記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項3に係る本発明は(例えば図10参照)、前記固定部材ボス部(3b)は、その先端部に外周面を切欠かれた薄肉部(3b1)を有し、
前記サンギヤのボス部は、先端側が小径となる段付き構造からなり、
前記薄肉部(3b1)の内周面に前記第3のベアリング(b1)を介装し、
前記サンギヤのボス部先端側小径部(72j1)に少なくとも一部がオーバラップする位置に前記第2のベアリング(b20)を介装すると共に、該先端側小径部上に第4のベアリング(b27)を介して前記他方の側板(84b)を回転自在に支持してなる、
請求項2記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項4に係る本発明は(例えば図9参照)、前記サンギヤは、軸方向に並んで配置された第1のサンギヤ(S1)及び第2のサンギヤ(S2)を有し、
前記キャリヤは、前記第1のサンギヤに噛合する第1のピニオン(P1)及び前記第2のサンギヤに噛合する第2のピニオン(P2)を有し、これら第1及び第2のピニオンが前記シャフト(86)に支持されてなり、
前記第2のサンギヤのボス部(72)上に、前記第1のサンギヤのボス部(89)を回転自在に支持し、
前記一方の側板(84a)を前記第1のサンギヤのボス部(89)上に回転自在に支持し、かつ前記他方の側板(84b)を前記第2のサンギヤのボス部(72)上に回転自在に支持してなる、
ことを特徴とする請求項1記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項5に係る本発明は(例えば図9参照)、前記第2のサンギヤのボス部(72)は、その軸方向一端部分を固定部材にボス部(3b)上に第1のベアリング(b5)を介して回転自在に支持されると共に、その軸方向他端部分を回転軸(12)上に第2のベアリング(b20)を介して回転自在に支持されてなり、
前記回転軸(12)は、前記固定部材ボス部(3b)の内周面に第3のベアリング(b1)を介して回転自在に支持されてなり、
前記第2のベアリング(b20)と前記第3のベアリング(b1)とが軸方向に近接して並んで配置されてなる、
ことを特徴とする請求項4記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項6に係る本発明は(例えば図9参照)、前記固定部材ボス部(3b)は、その先端部に外周面を切欠かれた薄肉部(3b1)を有し、
前記第2のサンギヤのボス部(72)は、先端側が小径となる段付き構造(72j…)からなり、
前記薄肉部(3b1)の内周面に前記第3のベアリング(b1)を介装し、
前記第2のサンギヤのボス部先端側小径部(72j1)に少なくとも一部がオーバラップする位置に前記第2のベアリング(b20)を介装すると共に、該先端側小径部上に第4のベアリング(b27)を介して前記他方の側板を回転自在に支持してなる、
請求項5記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項7に係る本発明は(例えば図9参照)、前記第1のサンギヤのボス部(89)は、前記固定部材ボス部を有する固定部材側である前記キャリヤの軸方向一端側から外径方向に延出して、第1の摩擦係合手段(B−4)に連結し、
前記第2のサンギヤのボス部(72)は、前記第1のサンギヤの外径方向延出部の更に軸方向一端側から外径方向に延出して、第2の摩擦係合手段(B−3)に連結してなる、
請求項4ないし6のいずれか記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項8に係る本発明は(例えば図9,図10参照)、前記回転軸(12)に外径方向に膨出する膨径部(12k)を形成し、
該膨径部と前記固定部材ボス部(3b)を有する固定部材(3a)側面との間に、スラストベアリング(b3,b2,b25,b4,そしてb24)を介在して、前記キャリヤ(CR1又はCR)及びサンギヤボス部(72)を挟持してなる、
請求項2,3,5又は6記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項9に係る本発明は(例えば図1参照)、前記第1及び第2の摩擦係合手段は、それぞれ第1及び第2のサンギヤ(S1,S2)を係止し得るブレーキ(B−4,B−3)であって、
前記プラネタリギヤ装置は、前記リングギヤ(R1)に入力軸(12)からの回転を入力すると共に前記キャリヤ(CR)から出力して、前記第1又は第2のサンギヤを係止することにより、異なる2段の減速比を達成し得る減速プラネタリギヤユニット(PU)であり、
該減速プラネタリギヤユニットの2段の減速比を、所定クラッチ(C−3,C−1)を介して他のプラネタリギヤユニット(PU)の所定要素(S3,S4)に適宜入力することにより多段変速を得られる自動変速機(1)に適用される、
請求項7記載のプラネタリギヤ装置にある。
請求項10に係る本発明は(例えば図9,図10参照)、前記一方及び他方の側板の少なくとも一方(84b)の内径端部に、前記ピニオン方向に延出する鍔部(84e)が形成され、該鍔部が前記側板(84b)と軸方向にオーバラップする位置でベアリング(b27)を介して前記サンギヤのボス部に支持されてなる、
請求項1記載のプラネタリギヤ装置にある。
なお、上記ベアリングは、ニードルベアリング等の転がりベアリングに限らず、ブッシュ等の滑りベアリングを含む概念である。また、上記カッコ内に付した図面対照符号は、実施の形態との対応を容易にして理解の迅速化を図る便宜的なものであって、これにより請求項の記載に何等影響を及ぼすものではない。
請求項1に係る本発明によると、キャリヤは、両側板がサンギヤボス部上に支持されるので、両持ち構造による同じプラネタリギヤセット内の支持により、コンパクトな構成でもって、高い支持精度及び剛性で支持することができ、ギヤノイズの発生等の不具合を防止したプラネタリギヤ装置の高い性能を長期に亘って維持することができる。
請求項2及び5に係る本発明によると、サンギヤのボス部(第2のサンギヤのボス部を含む)を、一方端側を固定部材ボス部上に、他方端側を回転軸上に支持し、更に他方端部分を支持する第2のベアリングは、回転軸を支持する第3のベアリングと軸方向に近接して並んで配置されるので、回転軸の支持精度によるサンギヤのボス部の支持精度に及ぼす影響は僅かであり、サンギヤのボス部は、高い精度で支持され、従って該サンボス部に支持されるキャリヤは、高い支持精度が保持される。
請求項3及び6に係る本発明によると、固定部材ボス部先端部の薄肉部に沿うように、サンギヤのボス部(第2のサンギヤのボス部を含む)が延出し、その先端部小径部において、その内周面で第2のベアリングを介して回転軸に支持され、かつその外周面にて第4のベアリングを介して他方の側板を回転自在に支持するので、サンギヤを内径側、特に大径ピニオン又はデュアルピニオンが配置される側の第2のサンギヤを内径側に配置することができ、プラネタリギヤ装置をコンパクト、特に径方向にコンパクトに構成することができる。
また、上記サンギヤのボス部の先端側小径部の内周面及び外周面に介装される第2及び第4のベアリングは、軸方向に少なくとも一部がオーバラップされて配置されており、他方の側板の支持精度が保持され、一方の側板を支持するサンギヤのボス部の一端部分が固定ボス部上に支持されて、高い支持精度が保持されることと相俟って、キャリヤの高い支持精度及び支持剛性を保持することができる。
請求項4に係る本発明によると、第1及び第2のサンギヤを有し、これらサンギヤにそれぞれピニオンが噛合するロングピニオンからなり、軸方向に離れた位置における該ロングピニオンの噛合に基づき、キャリヤには大きな捩り力が作用するが、第2のサンギヤのボス部上に、他方の側板は直接的に、一方の側板は第1のサンギヤのボス部を介して間接的に支持され、キャリヤは、高い支持精度及び支持剛性で支持されて、プラネタリギヤ装置の性能を長期に亘って保持することができる。
請求項7に係る本発明によると、キャリヤの固定部材側の一方側から、第1及び第2のサンギヤのボス部が外径方向に延出するので、第1及び第2の摩擦係合手段による第1及び第2のサンギヤのボス部の支持精度、更にキャリヤの支持精度に及ぼす影響が小さく、キャリヤの高い支持精度を保持することができる。
請求項8に係る本発明によると、回転軸膨径部と固定部材との間にキャリヤ及びサンギヤボス部を挟持して、これらキャリヤ及びサンギヤの軸方向の位置決めを高い精度で保持することができる。
請求項9に係る本発明によると、多段変速が得られる自動変速機の減速プラネタリギヤユニットに本プラネタリギヤ装置を適用することにより、自動変速機をコンパクトに構成すると共に、自動変速機の性能を長期に亘り良好に保持することができる。
請求項10に係る本発明によると、少なくとも一方の側板は、該側板と軸方向にオーバラップする位置にてサンギヤのボス部に支持されるので、キャリヤ、従ってプラネタリギヤ装置の軸方向の短縮化を図ることができる。
以下、図面に沿って、本発明に係る実施の形態について説明する。図1は本発明に係る車輌用自動変速機(以下、単に自動変速機とも言う)のギヤトレインを示すスケルトン図、図2は図1に示す自動変速機の作動状況を示す作動表、図3は自動変速機の速度線図である。また、図4及び図5はそれぞれ、図1に示したギヤトレインを実現した第1実施例における自動変速機全体を示す断面図及びその一部を拡大して示す断面図、図6及び図7はそれぞれ、上記ギヤトレインを実現した第2実施例の自動変速機全体を示す断面図及びその一部を拡大して示す断面図、図8及び図9はそれぞれ、上記ギヤトレインを実現した第3実施例の自動変速機全体を示す断面図及びその一部を拡大して示す断面図である。
なお、以下の説明では、図1、及び図4乃至図9中における上、下、左、右を、この順に、実際の車輌用自動変速機1,1,1における「上」「下」「前」「後」に対応させて説明する。これに従うと、例えば、図1及び図4中における上下方向の略々中央には、同一直線上に、左から右にかけて順に自動変速機1(1)の入力軸11、変速機構2(2)の入力軸12、中間軸13、出力軸15が図示されているが、これらは、実際には前から後にかけてこの順に並べられていることになる。ここで、上述の入力軸12と中間軸13とは、入力軸12の後部と中間軸13の前部とがスプライン結合されていて、広い意味では一体となって入力軸を構成している。また、入力軸の長手方向に沿った方向を「軸方向」、この軸方向に直交する方向を「径方向」とし、更に、径方向の位置については、軸に近い側を「内径側(内周側)」、軸から遠い側を「外径側(外周側)」というものとする。
まず、図1に沿って、本発明に係る車輌用自動変速機のギヤトレインについて説明する。同図に示すように、例えばFR(フロントエンジン・リアドライブ;本明細書においてFRと称する)タイプの車輌に用いて好適な自動変速機1は、不図示のエンジンに接続し得る入力軸11を備えており、該入力軸11の軸方向を中心としてトルクコンバータ7と、変速機構2とを備えている。
上記トルクコンバータ7は、自動変速機1の入力軸11に接続されたポンプインペラ7aと、作動流体を介して該ポンプインペラ7aの回転が伝達されるタービンランナ7bとを備えており、該タービンランナ7bは、入力軸11と同軸上に配設された上記変速機構2の入力軸12に接続されている。またトルクコンバータ7は、ロックアップクラッチ10を備えており、該ロックアップクラッチ10が不図示の油圧制御装置の油圧制御によって係合されると、自動変速機1の入力軸11の回転が変速機構2の入力軸12に直接伝達される。
上記変速機構2は、入力軸12(及び詳しくは後述する中間軸13)上において、プラネタリギヤ装置(減速プラネタリギヤ)PUと、プラネタリギヤユニット(プラネタリギヤセット)PUとを備えている。
上記プラネタリギヤPUは、サンギヤS1と、サンギヤS2と、これらサンギヤS1,S2の外周側に位置するキャリヤCR1(CR2)と、該キャリヤCR1に支持された後述のピニオンP2に噛合し、かつ入力軸13に接続されたリングギヤR1(R2)と、を備えている。プラネタリギヤPUは更に、サンギヤS1に噛合するピニオンP1と、サンギヤS2及びリングギヤR1の双方に噛合する上記ピニオンP2とを一軸状に結合したロングピニオンとして上記キャリヤCR1に支持している。
即ち、プラネタリギヤユニットPUは、変速機構2の入力軸12に連結されて、該入力軸12の回転より回転数が小さくなるように減速した第1及び第2の回転を生成するもので、2個のシングルピニオン型のプラネタリギヤのキャリヤCR1,CR2及びリングギヤR1,R2を連結、共通化して構成される。当該プラネタリギヤユニットPUは、変速機構2の入力軸12上に回転可能に支持された径の異なるサンギヤS1,S2と、一軸状に結合されてサンギヤS1,S2にそれぞれ噛合する小径及び大径のピニオンP1,P2と、これらピニオンP1,P2を回転自在に支持して入力軸12上に回転自在に支持された共通のキャリヤCR1,CR2と、ピニオンP2に噛合した形で入力軸12に連結された共通のリングギヤR1,R2から構成される。また、ブレーキB−3,B−4は、ハブ部材72,89を介してサンギヤS2,S1にそれぞれ連結されており、これらサンギヤS2,S1をミッションケース3にそれぞれ接続(係止)して、回転を選択的に規制してキャリヤCR1,CR2に入力軸12よりも低回転数で互いに異なる回転を選択的に発生させる。
一方、上記プラネタリギヤユニットPUは、4つの回転要素としてサンギヤS3と、サンギヤS4と、キャリヤCR3(CR4)と、リングギヤR3(R4)とを備え、キャリヤCR3に、サンギヤS3及びリングギヤR4の双方に噛合するロングピニオンP3と、サンギヤS4及びロングピニオンP3に噛合するショートピニオンP4とを互いに噛合する形で具備する、所謂ラビニヨ型プラネタリギヤとして構成される。
上記プラネタリギヤユニットPUでは、サンギヤS3が、第1ブレーキB−1に接続されてミッションケース3に対して固定自在になっていると共に、第3クラッチC−3に接続されて該クラッチC−3を介してキャリヤCR1の入力回転を入力自在となっている。また、サンギヤS4が、第1クラッチC−1に接続されて、キャリヤCR1の入力回転を入力自在となっている。
上記キャリヤCR3は、中間軸13を介して入力軸12の回転が入力される第2クラッチC−2に接続されて、該第2クラッチC−2を介して入力回転が入力自在となっている。またキャリヤCR3は、ワンウェイクラッチF−1及び第2ブレーキB−2に接続されて、該ワンウェイクラッチF−1を介してミッションケース3に対して一方向の回転が規制されると共に、該第2ブレーキB−2を介して回転が固定自在となっている。そして、上記リングギヤR3は、不図示の駆動車輪に回転を出力する出力軸15に接続されている。
引き続き、上記構成に基づき、変速機構2の作用について図1、図2及び図3に沿って説明する。なお、図3に示す速度線図において、縦軸はそれぞれの回転要素(各ギヤ)の回転数を示しており、横軸はこれら回転要素のギヤ比に対応して示している。また、該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、横方向最端部(図3中の左方側)の縦軸はサンギヤS2に対応し、以降、縦軸は図中右方側へ順に、サンギヤS1、キャリヤCR1及びCR2、リングギヤR1及びR2にそれぞれ対応している。更に、当該速度線図のプラネタリギヤユニットPUの部分において、横方向最端部(図3中の右方側)の縦軸はサンギヤS4に、以降、縦軸は図中左方側へ順に、リングギヤR3及びR4、キャリヤCR3及びCR4、サンギヤS3にそれぞれ対応している。
以上の自動変速機1では、第1〜第3のクラッチC−1〜C−3を選択的に係脱し、ブレーキB−1〜B−4を選択的に作動してプラネタリギヤの回転要素の各回転を制御することで、前進12段、後進2段の各ギヤ比を達成させ得る。なお、図2において、〇はクラッチ、ブレーキの係合状態を、(〇)はエンジン(E/G)ブレーキ時に係合する旨を、●はトルク伝達の無い係合状態を、*は第3ブレーキB−3の係合でも可能な旨をそれぞれ示している。
例えばD(ドライブ)レンジであって、前進1速段(1st)では、図2に示すように、第1クラッチC−1及び第4ブレーキB−4がそれぞれ作動され、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS4とが接続されてサンギヤS1が回転を規制され、ワンウエイクラッチF−1が作動してキャリヤCR3,CR4の逆回転が規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS1と、キャリヤCR1,CR2とによって、入力軸12の回転より低回転数の第2回転に減速されて、第1クラッチC−1と、サンギヤS4と、ワンウエイクラッチF−1にて逆転を規制されて反力を支持するキャリヤCR3,CR4とを介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸15を前進1速段のギヤ比にて正転駆動する。
また、エンジンブレーキ時(コースト時)には、第2ブレーキB−2を係止してキャリヤCR3を固定し、該キャリヤCR3の正転回転を防止する形で、上記前進1速段の状態を維持する。また、該前進1速段では、ワンウェイクラッチF−1によりキャリヤCR3の逆転回転を防止し、かつ正転回転を可能にするので、例えば非走行レンジから走行レンジに切換えた際の前進1速段の達成を、ワンウェイクラッチF−1の自動係合により滑らかに行うことができる。これらは、後述する前進2速段においても同様である。
Dレンジの前進2速段(2nd)にあっては、第1クラッチC−1及び第3ブレーキB−3がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS4がそれぞれ接続され、サンギヤS2が回転を規制され、ワンウエイクラッチF−1が作動してキャリヤCR3,CR4の逆転が規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤCR1,CR2によって入力軸12より低回転で上記第2回転より高い第1回転に減速され、第1クラッチC−1、サンギヤS4、ワンウエイクラッチF−1で逆転を規制されて反力を支持するキャリヤCR3,CR4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸15を前進2速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進3速段(3rd)にあっては、第1クラッチC−1、第1ブレーキB−1及び第4ブレーキB−4がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS4とそれぞれが接続され、サンギヤS1,S3がそれぞれ回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS1、キャリヤCR1,CR2によって第2回転に減速され、第1クラッチC−1、サンギヤS4、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS3、キャリヤCR3,CR4を介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸15を前進3速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進4速段(4th)にあっては、第1クラッチC−1、第1ブレーキB−1及び第3ブレーキB−3がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS4とがそれぞれ接続され、サンギヤS2,S3がそれぞれ回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2と、キャリヤCR1,CR2とによって第1回転に減速され、第1クラッチC−1と、サンギヤS4と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS3と、キャリヤCR3,CR4とを介してリングギヤR3,R4に伝達され、出力軸15を前進4速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進5速段(5th)にあっては、第1クラッチC−1、第3クラッチC−3、及び第4ブレーキB−4がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS3,S4がそれぞれ接続され、サンギヤS1が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS1と、キャリヤCR1,CR2とにより第2回転に減速され、クラッチC−1,C−3を経てサンギヤS3,S4に伝達され、キャリヤCR3,CR4を介してリングギヤR3,R4をサンギヤS3,S4の回転に応じて回転させ、出力軸15を前進5速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進6速段(6th)にあっては、第1クラッチC−1、第3クラッチC−3、及び第3ブレーキB−3がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS3,S4がそれぞれ接続され、サンギヤS2が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2と、キャリヤCR1,CR2とにより第1回転に減速され、クラッチC−1,C−3を経てサンギヤS3,S4に伝達され、キャリヤCR3,CR4を介してリングギヤR3,R4をサンギヤS3,S4の回転に応じて回転させ、出力軸15を前進6速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進7速段(7th)にあっては、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、及び第4ブレーキB−4がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS4がそれぞれ接続され、入力軸12とキャリヤCR3,CR4がそれぞれ接続され、サンギヤS1が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS1と、キャリヤCR1,CR2とにより第2回転に減速され、第1クラッチC−1を介してサンギヤS4に伝達されると共に、第2クラッチC−2を介してキャリヤCR3,CR4に直接伝達され、リングギヤR3,R4をサンギヤS4とキャリヤCR3,CR4との回転差に応じて回転させ、出力軸15を前進7速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進8速段(8th)にあっては、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、及び第3ブレーキB−3がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS4がそれぞれ接続され、入力軸12とキャリヤCR3,CR4がそれぞれ接続され、サンギヤS2が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤCR1,CR2により第1回転に減速され、第1クラッチC−1を介してサンギヤS4に伝達されると共に、第2クラッチC−2を介してキャリヤCR3,CR4に直接伝達され、リングギヤR3,R4をサンギヤS4とキャリヤCR3,CR4との回転差に応じて回転させ、出力軸15を前進8速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進9速段(9th)にあっては、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、及び第3クラッチC−3がそれぞれ作動し、サンギヤS3,S4がそれぞれ接続され、入力軸12に入力された回転は、第2クラッチC−2によりキャリヤCR3,CR4に直接的に伝達され、一体化されたサンギヤS3,S4を介してリングギヤR3,R4を回転させ、出力軸15を前進9速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進10速段(10th)にあっては、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、及び第3ブレーキB−3がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS3がそれぞれ接続され、サンギヤS2が回転を規制され、入力軸12とキャリヤCR3,CR4がそれぞれ接続される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2と、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2と、キャリヤCR1,CR2とによって第1回転に減速され、第3クラッチC−3を介してサンギヤS3に伝達されると共に、第2クラッチC−2を介してキャリヤCR3,CR4に直接的に伝達され、リングギヤR3,R4をサンギヤS3とキャリヤCR3,CR4との回転差に応じて回転させ、出力軸15を前進10速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進11速段(11th)にあっては、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、及び第4ブレーキB−4がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS3がそれぞれ接続され、サンギヤS1が回転を規制され、入力軸12とキャリヤCR3,CR4がそれぞれ接続される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS1、キャリヤCR1,CR2によって第2回転に減速され、第3クラッチC−3を介してサンギヤS3に伝達されると共に、第2クラッチC−2を介してキャリヤCR3,CR4に直接的に伝達され、リングギヤR3,R4をサンギヤS3とキャリヤCR3,CR4との回転差に応じて回転させ、出力軸15を前進11速段のギヤ比にて正転駆動する。
Dレンジの前進12速段(12th)にあっては、第2クラッチC−2及び第1ブレーキB−1がそれぞれ作動し、入力軸12とキャリヤCR3,CR4がそれぞれ接続され、サンギヤS3が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、第2クラッチC−2を介してキャリヤCR3,CR4に伝達され、回転を規制されたサンギヤS3に反力を支持されてリングギヤR3,R4を回転させ、出力軸15を前進12速段のギヤ比にて正転駆動する。
後進1速段(Rev1)にあっては、第3クラッチC−3、第2ブレーキB−2、及び第4ブレーキB−4がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS3とがそれぞれ接続され、サンギヤS1及びキャリヤCR3,CR4が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS1、キャリヤCR1,CR2により第2回転に減速され、第3クラッチC−3を介してサンギヤS3に伝達され、回転を規制されたキャリヤCR3,CR4に反力を支持されてリングギヤR3,R4を逆回転させ、出力軸15を後進1速段のギヤ比にて逆転駆動する。
後進2速段(Rev2)にあっては、第3クラッチC−3、第2ブレーキB−2、及び第3ブレーキB−3がそれぞれ作動し、キャリヤCR1,CR2とサンギヤS3とがそれぞれ接続され、サンギヤS2及びキャリヤCR3,CR4が回転を規制される。これにより、入力軸12に入力された回転は、リングギヤR1,R2、回転を規制されて反力を支持するサンギヤS2、キャリヤCR1,CR2により第1回転に減速され、第3クラッチC−3を介してサンギヤS3に伝達され、回転を規制されたキャリヤCR3,CR4に反力を支持されてリングギヤR3,R4を逆回転させ、出力軸15を後進2速段のギヤ比にて逆転駆動する。
なお、例えばP(パーキング)レンジ及びN(ニュートラル)レンジでは、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、及び第3クラッチC−3が解放されて、プラネタリギヤユニットPUとプラネタリギヤユニットPUとの間が切断状態になると共に、入力軸12とプラネタリギヤユニットPU,PUとの間の動力伝達が切断状態となって、入力軸12と出力軸15との動力伝達が切断状態となる。
ついで、図4及び図5に沿って、図1に示したギヤトレインを実現した第1実施例の自動変速機1について説明する。なお、以下の説明では、クラッチ(第1〜第3クラッチC−1〜C−3)及びブレーキ(第1〜第4ブレーキB−2〜B−4)という語句は、それぞれ摩擦板(外摩擦板及び内摩擦板)と、これらを接断させる油圧サーボとを含めた意味で使用する。
<第1実施例>
図4に示すように、自動変速機1のケース4は、全体として、概ね前側(図4中の左側)が大径で、後側ほど小径の筒状に形成されている。ケース4全体は、3つの分割ケース、すなわち前側のハウジングケース6と中間のミッションケース3と後側のエクステンションケース9とをそれぞれ接合面H1,H2で接合させて構成されている。これら接合面H1,H2のうちの、前側の接合面H1の近傍に位置するミッションケース3の前端には、フランジ状の隔壁部材3aが固定されている。なお、この隔壁部材3aの後面内径側には、後方に向けてボス部3bが突設されている。一方、後側の接合面H2の近傍に位置するミッションケース3の後端には、フランジ状の隔壁部3cがミッションケース3と一体に設けられている。
上述のケース4の中心には、前から後にかけて順に、自動変速機1の入力軸11、変速機構2の入力軸12、中間軸13、出力軸15が、同一軸心上に配設されている。軸方向の位置については、自動変速機1の入力軸11は、ハウジングケース6の前部に位置し、変速機構2の入力軸12は、入力軸11のすぐ後方から隔壁部材3aの中心を貫通してミッションケース3の略々中央まで延びている。中間軸13は、その前部を入力軸12の後部内側にスプライン結合させると共に、後端は、略々後側の接合面H2まで延設されている。そして、出力軸15は、前部を中間軸13の外周面に被嵌させ、後部をエクステンションケース9の後方に突出させている。なお、前述のように入力軸12と中間軸13とは、一体に構成されて広義の入力軸を構成している。
上述のハウジングケース6の内側には、変速機構2の入力軸12上に前述のトルクコンバータ7が収納されている。ハウジングケース6の内側とミッションケース3の内側とを区画する隔壁部材3aにおける内径側には、オイルポンプ8が配設されている。
ミッションケース3内には、中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配置されており、該プラネタリギヤユニットPUの軸方向の前方側(一方側)には、第1クラッチC−1とプラネタリギヤユニットPUと第3クラッチC−3とが配置されている。また、第3クラッチC−3のクラッチドラム42(図5参照)の外周側には第1ブレーキB−1が配置され、更にその前側には第4ブレーキB−4と第3ブレーキB−3とが配置されている。
一方、プラネタリギヤユニットPUの軸方向の後方側(他方側)には、第2クラッチC−2が配置されている。また、該プラネタリギヤユニットPUの外周側には、第2ブレーキB−2が配置されており、該プラネタリギヤユニットPUと第1クラッチC−1との間にはワンウェイクラッチF−1が配置され、かつ該ワンウェイクラッチF−1と第1クラッチC−1との間には、該クラッチC−1の油圧サーボ40に隣接するように、油圧制御装置(図示せず)から油圧供給を受ける径方向の油路76aを備えた環状部材76が配置されている。該油路76aは、ミッションケース3内方に開口する油路c30(図5参照)に連通した形で、油圧制御装置(図示せず)から油路c30に送られる作動油を、第3クラッチC−3の油圧サーボ40に内径側から供給し得るように、径方向に沿って貫通穿設されている。
詳細に説明すると、ミッションケース3の前半部の内側、即ちワンウェイクラッチF−1よりも前側の内側には、入力軸12上に、前から順に、第3ブレーキB−3の摩擦板73、第4ブレーキB−4の摩擦板74、第1ブレーキB−1の摩擦板61、第3クラッチC−3の摩擦板41、第1クラッチC−1の摩擦板21が、該ミッションケース3内の比較的外径側に配設されている。
そして、摩擦板74の直前方には、第4ブレーキB−4の油圧サーボ60aが配設され、上記摩擦板74より内径側に位置する摩擦板73の直前方には、第3ブレーキB−3の油圧サーボ60bが配設され、摩擦板61の直前方には第1ブレーキB−1の油圧サーボ75が配設されている。更に、摩擦板61の内径側には摩擦板41が位置しており、該摩擦板41の直後方に配置された摩擦板21の更に後には、摩擦板41を押圧・解放する第3クラッチC−3の油圧サーボ40が配設されている。更に、摩擦板41の内径側には、プラネタリギヤユニットPUが、そして摩擦板21の略々内径側には第1クラッチC−1の油圧サーボ20が配設されている。即ち、ミッションケース3の前半部の内側には、略々前から順に油圧サーボ60a,60b,75,プラネタリギヤユニットPU、油圧サーボ20,40が配設されている。
一方、ミッションケース3の後半部の内側、即ちワンウェイクラッチF−1よりも後側の内側には、中間軸13上にプラネタリギヤユニットPUが配設されている。このプラネタリギヤユニットPUの前半部における外周側には、第2のブレーキB−2の摩擦板71が配設され、プラネタリギヤユニットPUの後方における外径側には、第2クラッチC−2の摩擦板31が配設されている。摩擦板31の後方から内径側にかけては、第2クラッチC−2の油圧サーボ30が配設され、この油圧サーボ30の後方にはその一部が後側から摩擦板31の外径側を通って摩擦板71まで延びる第2ブレーキB−2の油圧サーボ70が配設されている。
次に、図5を参照して、ミッションケース3の内側の構成について詳述する。なお、各構成要素の支持構造や油路構造については後にまとめて説明する。
ミッションケース3の内側に配置されたプラネタリギヤPUは、前述のように、サンギヤS1,S2と、キャリヤCR1(CR2)と、リングギヤR1(R2)とを備えている。このうちサンギヤS2は、隔壁部材3aの後面内径側から後方に延びるボス部3bの外周面と入力軸12の外周面とに亘るように回転自在に被嵌したハブ部材72の後端部外周に固定(連結)されている。該ハブ部材72は、前方に延びた後に外径方向に拡がるフランジ部83を有している。またサンギヤS1は、ハブ部材72の外周面にブッシュb22,b23を介して回転自在に被嵌されたハブ部材89の後端部外周に固定(連結)されている。
キャリヤCR1(CR2)は、軸方向において相互に対向する前キャリヤプレート84aと後キャリヤプレート84bとを備えており、軸部材86上に一軸状にかつ一体的に設けられた小径のピニオンP1及び大径のピニオンP2を、その前後から回転自在に支持している。ピニオンP1はサンギヤS1に噛合されており、ピニオンP2はサンギヤS2とリングギヤR1(R2)とに噛合されている。後キャリヤプレート84bは、入力軸12の後部外周面から外径側に向かってフランジ状に延びるように形成されている。一方、前キャリヤプレート84aは、環状に形成されると共に内周から前方に延びる筒状部84cを、ブッシュb26を介して、サンギヤS1を有するハブ部材89の外周に回転自在に被嵌している。
リングギヤR1(R2)は、入力軸12に一体的に結合されたフランジ部材85の外径端部に固定支持されており、その外周側にドラム部材90が配置されている。該ドラム部材90の外周面には、後述の第3クラッチC−3の内摩擦板41bがスプライン結合されている。第3クラッチC−3の外周側には、後述の第1ブレーキB−1が配置されている。また、ドラム部材90の後には、後述の油圧サーボ20のクラッチドラム22が入力軸12に回転自在に被嵌して配置されており、ドラム部材90はクラッチドラム22の外径側の前面に固定されている。クラッチドラム22の外径側のドラム部22bの内周面には、後述の第1クラッチC−1の外摩擦板21aがスプライン結合されている。
そして、プラネタリギヤPUの直前方には第3ブレーキB−3が、サンギヤS2を有するハブ部材72のフランジ部83の外径側に配置されており、該第3ブレーキB−3の外周側には第4ブレーキB−4が配置されている。そして、第4ブレーキB−4と第1ブレーキB−1との間には、該第1ブレーキB−1の油圧サーボ75が介在されている。
第1クラッチC−1は、入力軸12に同軸状に径方向に順次重なるように配置されたプラネタリギヤユニットPU、及び第3クラッチC−3の各摩擦板41の後側に一軸状に配置されており、外摩擦板21a及び内摩擦板21bからなる摩擦板21と、この摩擦板21を接断させる油圧サーボ20とを備えている。外摩擦板21aは、上述したクラッチドラム22のドラム部22b内周面にスプライン結合されている。また内摩擦板21bは、連結部材102のドラム部102bの外周面にスプライン結合されている。連結部材102は、ドラム部102bの中央後寄りの部分から内径側に延びるフランジ部102aと、このフランジ部102aの内周から後方に延びるスリーブ状のハブ部102cを介して、前述のサンギヤS4(図4参照)に連結されている。
油圧サーボ20は、クラッチドラム22、ピストン部材23、リターンプレート24、リターンスプリング25を有しており、これらにより、油室26、キャンセル油室27を構成している。クラッチドラム22は、内径側から外径側に延びるフランジ部22aと、該フランジ部22aの外周から前方に延びるドラム部22bと、フランジ部22aの内周から後方に延びるハブ部22cとを有している。ハブ部22cは、入力軸12の後部外周面に相対回転自在に取り付けられている。
ピストン部材23は、クラッチドラム22の後方に前後方向移動可能に配置されており、2本のシールリングa8,a9により、クラッチドラム22との間に、油密状の上記油室26を構成している。ピストン部材23は、外周側の部分を、前方側から摩擦板21の前面に対向させている。リターンプレート24は、上述のハブ部22cに嵌合されたスナップリング29によって後側への移動が阻止されている。リターンプレート24とピストン部材23との間にはリターンスプリング25が縮設されており、これらリターンプレート24及びピストン部材23は、2本のシールリングa8,a10によって油密状のキャンセル油室27を形成している。
第3クラッチC−3は、プラネタリギヤユニットPUの直ぐ外径側にて該ユニットPUと同軸状に配置されており、外摩擦板41a及び内摩擦板41bからなる摩擦板41と、この摩擦板41を接断させる油圧サーボ40とを備えている。内摩擦板41bは、クラッチドラム22の外径側前部に固定されてリングギヤR1外周を囲繞するように軸方向前方に延設されたドラム部材90の外周面にスプライン結合されている。また外摩擦板41aは、後述のクラッチドラム42のドラム部42b内周面にスプライン結合されている。該ドラム部42bは、ドラム部材90と一部オーバラップするように配置されている。
油圧サーボ40は、クラッチドラム42、ピストン部材43、リターンプレート44、リターンスプリング45を有しており、これらにより、油室46、キャンセル油室47を構成している。クラッチドラム42は、外径方向に延設されたフランジ部42aと、このフランジ部42aの内周側のハブ部42cと、フランジ部42aの外周から前方に延びる上述のドラム部42bとを備えている。ハブ部42cは、上述の連結部材102の内周から後方に延びるハブ部102cの外周面にスリーブ状に被嵌されると共に、このハブ部102cによって相対回転自在に支持されている。
ピストン部材43は、クラッチドラム42の前方に前後方向移動可能に配置されており、2本のシールリングa6,a7により、クラッチドラム42との間に、油密状の油室46を構成している。ピストン部材43は、外周側の部分を、摩擦板21の外周部を通して摩擦板41の後面に対向させている。リターンプレート44は、上述のハブ部42cに嵌合されたスナップリング49によって前側への移動が阻止されている。該リターンプレート44は、その後方に配置されたピストン部材43との間に、リターンスプリング45が縮設されると共に、2本のシールリングa7,a11により油密状のキャンセル油室47を構成している。そして、クラッチドラム42とワンウェイクラッチF−1との間には、上述の環状部材76がミッションケース3の内周面に固定された形で介在されている。また油圧サーボ40は、ハブ部42cに形成された油路c19を経由して環状部材76の油路76aから供給される作動油によって作動させられる。
上記第4ブレーキB−4は、隔壁部材3aの外径側近傍に配置されている。該第4ブレーキB−4は、外摩擦板74a及び内摩擦板74bからなる摩擦板74と、この摩擦板74を接断する油圧サーボ60aとを備えている。外摩擦板74aは、ミッションケース3の内面にスプライン結合されており、内摩擦板74bは、前述のサンギヤS1のハブ部材89の外周に延設された部分の外周面にスプライン結合されている。
油圧サーボ60aは、隔壁部材3aに形成された、ピストン部材63a、リターンプレート64、及びリターンスプリング65aを備えており、これらにより油室66aを構成している。油圧サーボ60aには、後述の油圧サーボ60bと同様、油圧制御装置(図示せず)からの作動油が不図示の油路を介して供給される。上記シリンダは、隔壁部材3aの後面外周側に凹部を設けることによって形成されている。このシリンダ内に、ピストン部材63aが前後方向移動可能に嵌合されている。ピストン部材63aは、後端部の一部がリターンプレート64及び後述の環状部材91の双方を貫通して、摩擦板74の前端に対面している。ピストン部材63aとクラッチドラム62aとの間には、2本のシールリングa11,a12によって、油密状の油室66aが形成されている。リターンプレート64は、板状にかつ環状に形成されており、その内周側が複数のボルト82(便宜上、1本のみ図示)で隔壁部材3aの後面に固定されている。リターンプレート64とピストン部材63aとの間には、上記リターンスプリング65aが縮設されている。
上記第3ブレーキB−3の摩擦板73は、隔壁部材3aの外径側近傍における上記第4ブレーキB−4の内周側にて、少なくともその後半部が第4ブレーキB−4の摩擦板74と軸方向でオーバラップするように配置されている。第3ブレーキB−3は、外摩擦板73a及び内摩擦板73bからなる摩擦板73と、この摩擦板73を接断する油圧サーボ60bとを備えている。外摩擦板73aは、第4ブレーキB−4の摩擦板74の前部において、ミッションケース3の前端側から内周に向けて延びるように該ケース3内周面にスプライン結合した環状部材91の内周面にスプライン結合されている。該環状部材91の外径側には、上述したピストン部材63aを移動自在に挿通する挿通孔91aが貫通穿設されている。また、上記内摩擦板73bは、ハブ部材72のフランジ部83外周面にスプライン結合されている。
油圧サーボ60bは、上記油圧サーボ60aの内径側(内周側)に配置されており、シリンダ、ピストン部材63b、油圧サーボ60aと共通のリターンプレート64、及びリターンスプリング65aを備えており、これらにより油室66bを構成している。シリンダは、隔壁部材3aの後面外周側(油圧サーボ60aより内周側)に凹部を設けることによって形成されている。このシリンダ内に、ピストン部材63bが前後方向移動可能に嵌合されている。ピストン部材63bは、その後端部がリターンプレート64を貫通して摩擦板73の前端に対面している。ピストン部材63bとシリンダとの間には、2本のシールリングa50,a51によって、油密状の油室66bが形成されている。リターンプレート64とピストン部材63bとの間には、リターンスプリング65bが縮設されている。
なお、上述したように第3ブレーキB−3と第4ブレーキB−4の各摩擦板73,74は、少なくとも一部が互いに軸方向でオーバラップしているが、これら2つのブレーキB−3,B−4の摩擦板73,74は、制動に要するトルク容量の大きい第4ブレーキB−4の摩擦板74が外周側に配置され、かつトルク容量の小さい第3ブレーキB−3の摩擦板73が内周側に配置されている。これらブレーキB−4,B−3のトルク容量の大小は、図3の速度線図から理解することができる。
上記第1ブレーキB−1は、第3クラッチC−3の外周側にて、その摩擦板61を摩擦板41と軸方向でオーバラップするように配置されており、外摩擦板61a及び内摩擦板61bからなる摩擦板61と、この摩擦板61を接断する油圧サーボ75とを備えている。該油圧サーボ75は、ミッションケース3外周面における第4ブレーキB−4の摩擦板74の直後方、かつ第1ブレーキB−1の直前方に配置されている。外摩擦板61aは、ミッションケース3の内面にスプライン結合されており、内摩擦板61bは、前述のクラッチドラム42における外摩擦板41aの背面側(外周側)にスプライン結合されている。
また、上記油圧サーボ75は、断面が略コの字状で後方に開口するように形成されたクラッチドラム77と、該クラッチドラム77の内周側に前後方向移動可能に収容されたピストン部材78と、リターンプレート80と、リターンスプリング79とを備えている。そして、ピストン部材78とクラッチドラム77との間には、2本のシールリングa52,a53によって、油密状の油室56が形成されている。
つづいて、各構成要素の支持構造、つまりベアリングについて説明する。
隔壁部材3のボス部3bの後部側内周面と入力軸12の外周面との間にベアリングb1が介装されて、該入力軸12が、ミッションケース3に対して回転自在に支持されている。後キャリヤプレート84bの内径側の前面と後面には、それぞれサンギヤS2の後端面との間にベアリングb2が、フランジ部材85との間にベアリングb3が介装されている。また、ボス部3bの外周面とサンギヤS2のハブ部材72の内周面との間にはベアリングb4,b5が介装され、かつハブ部材72の後部側内周面と入力軸12の外周面との間にはベアリングb20が介装されている。これにより、サンギヤS2を有するハブ部材72は、ボス部3b及び入力軸12に対して相対回転自在に支持される。
また、上記ハブ部材72の外周面とサンギヤS1のハブ部材89の内周面との間にはブッシュb22,b23が介装され、かつハブ部材72のフランジ部83後面とハブ部材89前端との間にはベアリングb24が介装されている。これにより、サンギヤS1を有するハブ部材89は、サンギヤS2を有するハブ部材72に対して相対回転自在に支持される。そして、前キャリヤプレート84aとハブ部材89との間にはベアリングb25,ブッシュb26が介装され、かつ後キャリヤプレート84bの内周面とハブ部材72の外周面との間にはブッシュb27が介装されている。これにより、キャリヤCR1は、サンギヤS1及びサンギヤS2の双方に対して相対回転自在にされた形で高精度に支持される。更に、フランジ部材85の後端とクラッチドラム22の内径側前端との間には、ベアリングb21が介装されている。また、上記ハブ部22cの後端と連結部材102のハブ部102cとの間にはベアリングb6が介装され、該ハブ部102cとクラッチドラム42のハブ部42cとの間にはベアリングb29が介装され、該ハブ部42cと環状部材76の内径側前端との間にはベアリングb30が介装されている。
つづいて、各構成要素の油路構造について説明する。
入力軸12には、前端から後方に向けた油路c1と、後端から前方に向けた油路c2,c3とが穿設されている。油路c1は、径方向の油路c4,c5により、油路c2は、径方向の油路c6,径方向の油路c7により、そして油路c3は、破線で示す径方向の油路c8,c9及び径方向の油路c10により、それぞれ入力軸12の外周面に連通されている。
また、第1クラッチC−1の油圧サーボ20には、クラッチドラム22のハブ部22cに設けられた油路c18を介して、入力軸12の油路c7からの(即ち、油圧制御装置からの)作動油が供給される。なお、上記ハブ部22cには、油圧サーボ20のキャンセル油室27に連通する油路c18が形成されている。更に、第3クラッチC−3の油圧サーボ40には、クラッチドラム42のハブ部42cに設けられた油路c19を介して、環状部材76に備えた径方向の油路76aからの(即ち、油圧制御装置からの)作動油が供給される。上記ハブ部42cには、油圧サーボ40のキャンセル油室47に連通する油路c20が設けられている。
そして、入力軸12の外周側には、ボス部3bと油路c4,c5,c10,c6とをシールするためのシールリングd1,d2,d3,d4が設けられており、また、入力軸12の後方外周側には、油路c7とハブ部22cの油路c18とをシールするためのシールリングd7,d8が設けられている。更に、ミッションケース3の油路c30と環状部材76の油路76aとをシールするためのシールリングd20,d21が設けられている。なお、図4に示すように、第2クラッチC−2の油圧サーボ30には、ミッションケース3の隔壁部3cに設けられた油路c24、出力軸15に設けられた油路c25、中間軸(入力軸)13に設けられた油路c26を介して、油圧制御装置からの作動油が供給される。
ついで、潤滑油の供給について説明する。
すなわち、上述したオイルポンプ8により発生した油圧に基づき潤滑油がボス部3b内の油路に供給されると、該潤滑油はボス部3bの油路(図示せず)に供給されて、該ボス部3bの外周側に向けて飛散される。また、オイルポンプ8よりボス部3b内の油路に供給された潤滑油は、シールリングd2,d3にシールされる形で入力軸12の油路c10に供給されると共に、油路c8,c9を介して入力軸12の外周側に向けて飛散される。これにより、ミッションケース3内の各部材、即ち、プラネタリギヤPUの各ギヤ、第3クラッチC−3の各部材、第1ブレーキB−1の各部材、特に摩擦板41,61やベアリング、ブッシュなどが潤滑される。なお、例えば第1クラッチC−1のキャンセル油室27内の油も、油路c11を介して潤滑油と同様に供給され、また排出された際は、他の潤滑油と合流する形でミッションケース3内の各部材を潤滑する。
次に、作動油の供給について説明する。
例えばオイルポンプ8により発生した油圧に基づき、不図示の油圧制御装置において、第1クラッチC−1、第2クラッチC−2、第3クラッチC−3、第1ブレーキB−1、第2ブレーキB−2、第3ブレーキB−3、第4ブレーキB−4、及びロックアップクラッチ10の係合油圧が油圧制御されて発生する。
ロックアップクラッチ10係合用の作動油がボス部3b内の油路に供給されると、該ボス部3b内の油路からシールリングd1,d2にシールされる形で油路c4,c5に供給される。該油路c4,c5に供給された作動油は、油路c1を介してロックアップクラッチ10の摩擦板まで供給されて該摩擦板に作用し、入力軸11に設けられたフランジ状部材に該摩擦板が押圧され、これによりロックアップクラッチ10が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づきロックアップクラッチを解放する際は、作動油が反対に油路c1、c4、c5を介して排出される。
また、第1クラッチC−1係合用の作動油が入力軸12の油路c2を経由して油路c7に供給されると、該油路c7に供給された作動油は、シールリングd7,d8にシールされる形で油路c18に、つまり互いに相対回転し得る入力軸12の油路c7からクラッチドラム22の油路c18に供給される。そして、作動油は、油路c18を介して第1クラッチC−1の油圧サーボ20の油室26に供給され、ピストン部材23が後方側に押圧されて摩擦板21が押圧され、これにより第1クラッチC−1が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第1クラッチC−1を解放する際は、リターンスプリング25の付勢力によりピストン部材23が前方側に押圧され、これにより、油室26内の作動油が、反対に油路c18、c7、c2,c6を介して排出される。
また、第3クラッチC−3係合用の油圧制御装置(図示せず)からの作動油が、ミッションケース3の油路c30から環状部材76の油路76aを経由して、シールリングd20,d21にシールされる形で、ハブ部42cに形成された径方向の油路c50に供給される。これにより、作動油は、該油路c50からハブ部42cの油路c19を経由して油圧サーボ40の油室46に供給され、ピストン部材43が前方側に押圧されて摩擦板41が押圧され、これにより第3クラッチC−3が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第第3クラッチC−3を解放する際は、リターンスプリング45の付勢力によりピストン部材43が後方側に押圧され、これにより油室46内の作動油が、反対に油路c19、c50、76a、c30を経由して排出される。
また、第1ブレーキB−1係合用の作動油が不図示の油路を介して油圧サーボ75の油室56に供給されると、ピストン部材78が後方側に押圧されて摩擦板61が押圧され、これにより第1ブレーキB−1が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第1ブレーキB−1を解放する際は、リターンスプリング79の付勢力によりピストン部材78が前方側に押圧され、これにより、油室56の作動油が上記不図示の油路を介して排出される。
そして、第4ブレーキB−4係合用の作動油が不図示の油路を介して油圧サーボ60aの油室66aに供給されると、ピストン部材63aが後方側に押圧されて摩擦板74が押圧され、これにより第4ブレーキB−4が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第4ブレーキB−4を解放する際は、リターンスプリング65aの付勢力によりピストン部材63aが前方側に押圧され、これにより、油室66aの作動油が上記不図示の油路を介して排出される。
また、第3ブレーキB−3係合用の作動油が不図示の油路を介して油圧サーボ60bの油室66bに供給されると、ピストン部材63bが後方側に押圧されて摩擦板73が押圧され、これにより第3ブレーキB−3が係合する。なお、油圧制御装置の油圧制御に基づき第3ブレーキB−3を解放する際は、リターンスプリング65bの付勢力によりピストン部材63bが前方側に押圧され、これにより、油室66bの作動油が上記不図示の油路を介して排出される。
以上の構成を有する本車輌用自動変速機1では、減速用のプラネタリギヤユニットPUの回転要素であるサンギヤS1,S2が、入力軸12を回転自在に支持するミッションケース3のボス部3b上に順次相対回転可能に重ねて被嵌した2つのハブ部材89,72に連結され、第4ブレーキB−4,第3ブレーキB−3にそれぞれ連係されるハブ部材89,72がボス部3b上を2本通っている。従って、仮に、ハブ部材89の外周側にクラッチC−1やC−3の油圧サーボ20,40を配置したとすると、これら油圧サーボ20,40に作動油を供給する際の油密性保持のためのシールリングを、ハブ部材89の外周側に更に設けなければならなくなる。その場合、ボス部3b上で油圧サーボ20,40を支持するハブ状の部材とボス部3bとの間に介在されるシールリングによる摺動抵抗が増大することになる。この場合は更に、ボス部3bの外径及びハブ状の部材の外径が加わってシールリング径が大きくなるため、摺動時の接触面積が増えてシールリングによる摺動抵抗が一層増大することになる。
しかし、本車輌用自動変速機1では、第4ブレーキB−4及び第3ブレーキB−3並びにそれらの油圧サーボ60a,60bをプラネタリギヤユニットPUの軸方向一方側に配置し、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の油圧サーボ20,40を、プラネタリギヤユニットPUの軸方向他方側に配置しているので、これら油圧サーボ20,40への作動油供給のためのシールリングをハブ部材89外周側に更に設けるような必要がなく、従って、上述のようなシールリングによる摺動抵抗が増大することがない。これにより、自動変速機の効率や制御性を向上させることができ、燃費の向上も期待することができる。
また、両ブレーキB−4,B−3及びそれらの油圧サーボ60a,60bをプラネタリギヤユニットPUの軸方向前側(軸方向一方側)に配置し、両クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40をプラネタリギヤユニットPUの軸方向後側(軸方向他方側)に配置したことで、車輌用自動変速機1の径方向寸法を小さくすることができる。つまり、従来タイプの自動変速機に対して最小限の変更を加えるだけで、車輌用自動変速機1を全体的にコンパクト化することができる。また、両ブレーキB−4,B−3及びそれらの油圧サーボ60a,60bと、両クラッチC−1,C−3の油圧サーボ20,40とがプラネタリギヤユニットPUの軸方向両側に配置されることにより、両ブレーキB−4,B−3の摩擦板74,73それぞれの面積を比較的大径化することが可能になって、制動可能なトルク容量を大きくすることができる。
また、本車輌用自動変速機1によると、第1クラッチC−1の油圧サーボ40が入力軸12上に配置され、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が、第1クラッチC−1とプラネタリギヤユニットPUとを連結する連結部材102のハブ部102c上に配置され、かつ、油圧サーボ20には、入力軸12に設けた油路c2,c7を介して油圧を供給し、油圧サーボ40には、環状部材76の油路76aを介して油圧を供給するので、クラッチドラム42のハブ部42cと連結部材102のハブ部102cとの間にシールリングを介装しなくてもよく、シールリング数を減少できる。
更に、本車輌用自動変速機1では、第3ブレーキB−3及び第4ブレーキB−4の摩擦板73,74が、少なくとも一部を互いに軸方向でオーバラップするように配置されているので、両ブレーキB−3,B−4の摩擦板73,74を軸方向に並べて配置する場合に比して、車輌用自動変速機1を軸方向にコンパクト化することができる。そして、2つのブレーキの摩擦板73,74は、制動に要するトルク容量の大きい摩擦板74が外周側に配置され、かつトルク容量の小さい摩擦板73が内周側に配置されるので、外周側に配置されることで大径化される第4ブレーキB−4の充分なトルク容量を確保できる。
また、第1ブレーキB−1及び第3クラッチC−3の摩擦板41が、プラネタリギヤユニットPUの外周側にて少なくとも一部が互いに軸方向でオーバラップするように配置されることにより、車輌用自動変速機1の軸方向寸法を小さくすることが可能になる。そして、第1クラッチC−1の摩擦板21が、第3クラッチC−3の軸方向後側(軸方向他方側)にて該第3クラッチC−3の摩擦板41より内周側に配置されることにより、車輌用自動変速機1の径方向寸法を小さくすることが可能になり、車輌用自動変速機1の全体的なコンパクト化に寄与することができる。
更に、プラネタリギヤユニットPUの2つの回転要素であるサンギヤS1,S2が、入力軸12を回転自在に支持し得るようにミッションケース3に設けたボス部3b上に相対回転可能に順次重ねて被嵌した2つのハブ部材89,72にそれぞれ連結されるので、上記2つのサンギヤS1,S2を良好に支持することが可能になる。また、第4ブレーキB−4,第3ブレーキB−3がそれぞれ、係合によりプラネタリギヤユニットPUを2段減速させ得るように構成され、かつ、2つのブレーキB−4,B−3のうち減速比の大きい変速段用の一方B−4が外周側に配置されるので、当該減速比が大きい側のブレーキB−4の充分なトルク容量を確保することができる。
更に、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸12の回転を適切に離間した前進7段以上のギヤ比で変速して出力軸に伝達することが可能で全長が短いコンパクトな車輌用自動変速機1が実現可能になると共に、高速段側のギヤ比を密にできることにより、車速の高速度域でエンジン性能を最適に引き出すことができるようになる。これにより、ギヤチェンジ時のギヤ比の変化(車速変化)を小さくし、良好な運転フィーリングを得ることができる。更に、従来の自動変速機に最小限の変更を加えるだけで、入力軸12の回転を適切に離間した前進12段、後退2段のギヤ比で変速して出力軸15に伝達し得るコンパクトな車輌用自動変速機1を実現し得る。
そして、プラネタリギヤユニットPUに対するプラネタリギヤユニットPUの軸方向反対側に、高速段への変速時に係合して入力軸12をプラネタリギヤユニットPUの回転要素の1つであるキャリヤCR3に接続する第2クラッチC−2を配置し、該クラッチC−2に、ミッションケース3の軸方向後端側の油路c24,c25,c26から油を供給するようにしたので、油路構造を簡略化することができる。
<第2実施例>
ついで、上述した第1実施例を一部変更して、図1のギヤトレインを実現した第2実施例について、図6及び図7に沿って説明する。なお、本第2実施例の車輌用自動変速機1は、図4及び図5に示した実施例1の車輌用自動変速機1に比し、第3クラッチC−3の油圧サーボ40への作動油の供給を、環状部材76を介してではなく、入力軸12に別途設けた油路c51等を経由して行う点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
すなわち、図6及び図7に示すように、本車輌用自動変速機1に備えた第3クラッチC−3では、摩擦板41の配置位置は前述した図5と同じであるが、摩擦板41を接断させる油圧サーボ40への作動油供給経路が異なっている。
つまり、第1クラッチC−1の内摩擦板21bを支持する連結部材102のハブ部102cが第1実施例に比して後方に長く延設され、これに対応して入力軸12も、該ハブ部102cの内周側において第1実施例に比して長く後方に延設されている。ハブ部102cの上記延設部分には、ハブ部42cに油圧サーボ40用として形成された油路c19と対応するように、油路c54が貫通穿設されている。また入力軸12には、軸方向の油路c2,c3とは別に不図示の軸方向油路が穿設されていると共に、該軸方向油路に連通する径方向の油路c51が、上記油路c54に対応する位置に貫通穿設されている。そして、入力軸12の外周側には、ハブ部102cと油路c51とをシールするためのシールリングd32,d33が設けられており、またハブ部102cの外周側には、ハブ部42cと油路c54とをシールするためのシールリングd30,d31が設けられている。
従って、第3クラッチC−3の係合用の作動油が入力軸12の上記不図示の軸方向油路に供給されると、該軸方向油路に連通する油路c51からシールリングd32,d33にシールされる形で油路c54に供給され、更に該油路c54からシールリングd30,d31にシールされる形で油路c19に供給されて、油圧サーボ40の油室46に供給され、ピストン部材43が前方側に押圧されて摩擦板41が押圧され、これにより第3クラッチC−3が係合する。
本第2実施例によると、前述の第1実施例と略々同様の作用効果を奏することができると共に、以下の効果を得ることができる。
即ち、本第2実施例では、第1クラッチC−1の油圧サーボ20が入力軸12上に配置され、第3クラッチC−3の油圧サーボ40が、第1クラッチC−1とプラネタリギヤユニットPUとを連結する連結部材102のハブ部102c上に配置され、かつ、油圧サーボ20には、入力軸12に設けた油路c3,c7を介して油圧を供給し、油圧サーボ40には、入力軸12に設けた油路c51及びハブ部102cに設けた油路c54を介して油圧を供給している。これによりシールリングは、一対のd32,d33と、一対のd30,d31とで合計2段となるが、シールリングd32,d33は入力軸12に直接嵌着しており、またシールリングd30,d31は入力軸12からハブ部102cの厚み分だけ径方向に若干拡径したりするだけの小径のもので足りるため、例えば油圧サーボ40をボス部3b上に設ける場合に比して、シールリングの摺動抵抗を減少させ、車輌用自動変速機1の効率及び制御性を向上させ、燃費の向上も期待することができる。
<第3実施例>
引き続き、上述した第1実施例を一部変更して、図1のギヤトレインを実現した第3実施例について、図8及び図9に沿って説明する。なお、本第3実施例の車輌用自動変速機1は、図4及び図5に示した実施例1の車輌用自動変速機1に比し、第3クラッチC−3を第1クラッチC−1の外周側に配置して、両クラッチC−1,C−3の摩擦板21,41を互いに軸方向でオーバラップさせるように配置した点が異なるだけで、他の部分は略々同一なので、主要部分に同一符号を付して説明を省略する。
すなわち、本第3実施例では、第1実施例において摩擦板21外周側のピストン部材43に沿って前側に長く延設されていたドラム部42bを有するクラッチドラム42を、ミッションケース3の上部内面に沿って摩擦板61の手前まで延びるドラム部42bを有するクラッチドラム42として構成している。そして、このクラッチドラム42の内周面に、第3クラッチC−3の外摩擦板41aをスプライン結合し、クラッチドラム22のドラム部22bの外周面に、第3クラッチC−3の内摩擦板41bをスプライン結合している。
そして、本第3実施例では、第1実施例において第1ブレーキB−1の内周付近まで延設していたピストン部材43を、第1クラッチC−1の摩擦板21の外周側に位置するクラッチC−3の摩擦板41に達するだけの短い簡素な構成のピストン部材43としている。また、クラッチドラム42の前端部には、一旦内周側に屈曲した後に軸方向前方に延びる形状のドラム部材93が連結されており、該ドラム部材93の外周面に、第1ブレーキB−1の内摩擦板61bがスプライン結合されている。該第1ブレーキB−1の外摩擦板61aは、第1実施例と同様に、ミッションケース3の上部内面にスプライン結合されている。
本第3実施例によると、前述の第1実施例と略々同様の作用効果を奏することができると共に、以下の効果を得ることができる。
即ち、本実施例における車輌用自動変速機1では、第1クラッチC−1及び第3クラッチC−3の各油圧サーボ20,40に加えて、両クラッチC−1,C−3自身もプラネタリギヤユニットPUの軸方向後側(軸方向他方側)に配置されるので、両クラッチC−1,C−3の摩擦板21,41の面積を大径化することが可能になって、両クラッチC−1,C−3の、減速回転を伝達するための伝達可能なトルク容量を大きくすることができる。ここで、本実施例において両クラッチC−1,C−3の摩擦板21,41は、伝達可能な容量の大きい第3クラッチC−3が外周側に配置され、かつ該容量の小さい第1クラッチC−1が内周側に配置されている。外周側の第3クラッチC−3は、摩擦板41の高回転時に係合して変速に寄与するクラッチであるので、係合時のスリップで発熱量が大きくなり易いが、外周側に位置することにより、当該クラッチC−3は伝達可能な容量、例えば熱容量の大きいものとして構成され得るため、耐熱性を格別に高めるような処置が不要になる。
なお、本実施例では、両クラッチC−1,C−3の摩擦板21,41を互いに軸方向で略々完全にオーバラップさせるように配置したが、この構成に限らず、両摩擦板21,41の少なくとも一部を互いに軸方向でオーバラップさせるように配置するようにしても良く、その場合も、略々同様の効果を得ることができる。
また、両クラッチC−1,C−3の摩擦板21,41が互いに軸方向で略々オーバラップするように配置され、かつ第1ブレーキB−1の摩擦板61がプラネタリギヤユニットPUの外周側に配置されることにより、2つのブレーキB−4,B−3及びそれらの油圧サーボ60a,60bと、2つのクラッチC−1,C−3及びそれらの油圧サーボ20,40とがプラネタリギヤユニットPUの軸方向両側に配置されて、上記第1ブレーキB−1の摩擦板61とプラネタリギヤユニットPUとの間に第3クラッチC−3が位置しない分、当該第1ブレーキB−1の摩擦板61を内径方向に大きくすることができ、そのトルク容量を拡大することが可能になる。
以上の説明において、車輌用自動変速機1がトルクコンバータ7を備えているものについて述べたが、これに限らず、例えば発進用クラッチを備えているものなどであってもよい。また、以上の説明では、例えばFRタイプに用いて好適な車輌用自動変速機1,1,1,1を例に挙げて述べたが、これに限らず、例えばFF(フロントエンジン・フロントドライブ)タイプに用いることのできる車輌用自動変速機に本発明を適用してもよく、更に、例えばエンジン直結型のモータを備えているもの等、つまりハイブリッド車輌に用いる車輌用自動変速機に本発明を適用してもよい。
ついで、本発明の要部であるプラネタリギヤ装置(減速プラネタリギヤ)PU、特にそのキャリヤCR1の支持構造について説明する。なお、この点について、図5に沿って既に説明されているが、本発明の要部のみをここにまとめて説明する。また、減速プラネタリギヤPU自体は、前記第1実施例(図5参照)、第2実施例(図7参照)及び第3実施例(図9参照)とも実質的に同じであり、図番の関係上、図9に沿って説明するが、第1実施例及び第3実施例においても同様であることは勿論である。
入力軸12は、ポンプケースである隔壁部材3aから延びているボス部3bにニードルベアリング(第3のベアリング)b1を介して支持されている。なお、ここで、ベアリングとは、転がり及び滑りを含む支持部材を意味し、ニードル、ローラ、ボールの各転がりベアリング、メタル、合成樹脂等のブッシュ、並びにラジアル及びスラストベアリングを含むものである。該ボス部3bは、先端部外周が切欠かれて薄肉となっており、該薄肉側3b1の内周面と入力軸12との間にベアリングb1が介在している。
該ボス部3bの外周側に、ハブ部材72が回転自在に支持されており、該ハブ部材72は、先端に行くに従って小径となる4個の段付き構造からなる円筒部を有している。先端から2段目の円筒部72j2の外周面にはスプライン(セレーションも含む)が形成されて、該スプラインに第2のサンギヤS2が嵌合・固定されて、該ハブ部材は第2のサンギヤのボス部72を構成している。該サンギヤボス部の小径からなる先端部72j1の内周面と入力軸12との間にはニードルベアリング(第2のベアリング)b20が介装されており、該ボス部の基端部72j4の内周面と前記固定ボス部3bの外周面との間にはブッシュ(第1のベアリング)b5が介装されており、上記サンギヤボス部72は、上記ベアリングにより入力軸(回転軸)及び固定ボス部に支持されている。なお、第3の円筒部72j3及び第2の円筒部72j2は、固定ボス部3bの外周に沿うように形成されている。
該第2のサンギヤボス部72の円筒部72j3,4の外周面には、ハブ部材89が軸方向に離れて配置された2個のブッシュ(ベアリング)b22,b23を介して回転自在に支持されている。該ハブ部材は、その先端側外周部に第1のサンギヤS1が形成されており、第1のサンギヤのボス部89を構成している。
プラネタリギヤPUのキャリヤCR1は、前キャリヤプレート(一方の側板)84a及び後キャリヤプレート(他方の側板)84bを有しており、これら両プレートはブリッジ部により一体に構成されており、かつ両プレートに亘ってピニオンシャフト86が固定・支持されている。該シャフトには、一体に形成された小径の第1のピニオンP1及び大径の第2のピニオンP2がそれぞれニードルベアリングを介して回転自在に支持されており、第1のピニオンP1は第1のサンギヤS1に噛合し、第2のピニオンP2は第2のサンギヤS2及びリングギヤR1に噛合している。
前キャリヤプレート84aは、その内径側において外方向に延びる筒状部84cが形成されており、該筒状部84cと前記第1のサンギヤボス部89の外周面との間にブッシュ(ベアリング)b26が介装されている。一方、後キャリヤプレート84bの内径端部は、軸方向に延びる鍔部84eとなっており、該鍔部と前記第1のサンギヤボス部72j1との外周面との間にブッシュ(第4のベアリング)b27が介装されている。従って、一体の前後プレート84a,84bからなるキャリヤ組立体84は、第1のサンギヤボス部89及び第2のサンギヤボス部72にそれぞれベアリングb26,b27を介して回転自在に支持されており、更に第1のサンギヤボス部89はベアリングb22,b23を介して第2のサンギヤボス部72に支持されている関係上、(第1の)サンギヤボス部72に(正確には第2のサンギヤボス部を介して一部間接的に)支持されている。
なお、第2のサンギヤボス部の先端小径部72j1は、その外周面に第4のベアリングb27を介して後キャリヤプレート84bが支持されており、その内周面を第2のベアリングb20を介して入力軸(回転軸)に回転自在に支持されており、かつ上記第4及び第2のベアリングb27,b20は軸方向に少なくとも一部がオーバラップするように配置されている。また、固定ボス部3bに入力軸12を支持する第3のベアリングb1と、上記入力軸を支持する第2のベアリングb20とは、軸方向に近接して並んで配置されている。
そして、軸方向(スラスト方向)に関しては、後キャリヤプレート84bの外側と入力軸12のハブ連結部12kとの間にスラストベアリングb3が介在され、また前キャリヤプレート84aの筒状部84c先端面と第2のサンギヤボス部89の立上り部との間にスラストベアリングb25が介装されている。更に、第2のサンギヤボス部72と固定部材3aであるポンプケースとの間にスラストベアリングb4が介装され、該第2のサンギヤボス部と第1のサンギヤボス部89との間にスラストベアリングb24が介装され、また後キャリヤプレート84bの内側面と第2のサンギヤボス部(サンギヤS2の一端がボス部の第2,3の円筒部の間の段差にて軸方向に位置決めされているサンギヤの他端)72との間にスラストベアリングb2が介装されている。従って、これらスラストベアリングを介して、キャリヤ組立体84及びサンギヤS1,S2は、軸方向に位置決めされている。
以上説明したように、本プラネタリギヤ(装置)PUのキャリヤCR1(84)は、その前後両キャリヤプレート(側板)84a,84bが同じプラネタリギヤセットであるサンギヤ(ボス部)72,92に回転自在に支持されているので、例え軸方向に離れた位置にある、リングギヤR1、サンギヤS1との噛合によりキャリヤ組立体84に大きな捩り力が作用しても、高い支持剛性により高い精度で支持することができる。
なお、本発明は、上述したプラネタリギヤ装置に限定されることなく、一方のピニオンがデュアルピニオンでもよく、またピニオンシャフトに支持されるピニオンがそれぞれ独立して回転するものでもよく、更に必ずしもロングピニオンからならないもの、例えば単純なプラネタリギヤ装置にも適用可能である。
ついで、本発明を単純なシンプルプラネタリギヤに適用した実施例について、図10に沿って説明する。キャリヤCRは、一体に構成される前キャリヤプレート84a及び後キャリヤプレート84bを介しており、これら両プレートに亘って固定支持されているシャフト86に1個のピニオンPが支持されて、キャリヤ組立体84を構成している。上記ピニオンPはリングキヤR及びサンギヤSに噛合しており、1段のシンプルプラネタリギヤPUを構成している。
入力軸(回転軸)12は、固定ボス部3bに(第3の)ベアリングb1を介して回転自在に支持されており、またサンギヤボス部72は、その先端部が(第2の)ベアリングb20を介して入力軸12に支持されていると共に、その基端部が(第1の)ベアリングb5を介して固定ボス部3bに支持されている。固定ボス部3bの先端部は、外周部が切欠かれて薄肉部3b1となっており、該薄肉部の内周面に上記ベアリングb1が介装されている。サンギヤボス部72は、固定部ボス部3bの外周面に沿って段付き形状となっており、かつ該ボス部よりも先端側に延びて、その先端は、外周部分に切欠かれて薄肉部72j1となっている。
前キャリヤプレート84aの内周面は、軸方向に延びて筒状部84cを形成しており、該筒状部内周面とサンギヤボス部72の外周面との間にベアリングb26が介装されている。また、後キャリヤプレート84bの内周端面は、軸方向に延びる鍔部84eとなっており、該鍔部内周面とサンギヤボス部先端小径部72j1の外周面との間に(第4の)ベアリングb27が介装されている。従って、一体に構成される前キャリヤプレート84a及び後キャリヤプレート84bは、共にベアリングb26,b27を介してサンギヤボス部72に回転自在に支持されている。
一方、スラストベアリングb3が後キャリヤプレート84bの後側面と入力軸膨径部12kとの間に、スラストベアリングb2が後キャリヤプレート84bの前側面とサンギヤボス部72の段差部72kとの間に、スラストベアリングb25が前キャリヤプレート84aの円筒部84cの前端面とサンギヤボス部72の立上り部72iとの間に、スラストベアリングb4が該立上り部72iと固定部3aの端側面3kとの間にそれぞれ介装されている。これにより、プラネタリギヤ装置Pが軸方向に位置決めされている。
本発明に係る車輌用自動変速機のギヤトレインを示すスケルトン図。 図1に示す車輌用自動変速機の作動状況を示す作動表。 車輌用自動変速機の速度線図。 図1に示したギヤトレインを実現した第1実施例の自動変速機全体を示す断面図。 第1実施例の自動変速機の一部を拡大して示す断面図。 図1に示したギヤトレインを実現した第2実施例の自動変速機全体を示す断面図。 第2実施例の自動変速機の一部を拡大して示す断面図。 図1に示したギヤトレインを実現した第3実施例の自動変速機全体を示す断面図。 第3実施例の自動変速機の一部を拡大して示す断面図。 更に変更したプラネタリギヤ装置を示す拡大断面図。
符号の説明
1,1,1,1 車輌用自動変速機
3 固定部材(ミッションケース)
3b 固定部材ボス部
3b1 薄肉部
12 回転軸(入力軸)
12k 膨径部
72 (第2の)サンギヤのボス部
72j1 先端小径部
89 第1のサンギヤのボス部
84 キャリヤ組立体
84a 一方の側板(前キャリヤプレート)
84b 他方の側板(後キャリヤプレート)
84e 鍔部
86 シャフト
b1 第3のベアリング
b2,b3,b4,b24,b25
スラストベアリング
b5 第1のベアリング
b20 第2のベアリング
b26 ベアリング(ブッシュ)
b27 第4のベアリング
PU プラネタリギヤ装置(減速プラネタリギヤユニット)
PU プラネタリギヤ装置
S1 (第1の)サンギヤ
S2 (第2の)サンギヤ
S サンギヤ
R1 リングギヤ
CR1,CR キャリヤ
P,P1,P2 ピニオン
B−3 第2の摩擦係合手段(ブレーキ)
B−4 第1の摩擦係合手段(ブレーキ)

Claims (10)

  1. サンギヤ、リングギヤ及びキャリヤを有するプラネタリギヤ装置において、
    前記キャリヤは、一方の側板、他方の側板及びピニオンを支持するシャフトを有し、前記一方及び他方の側板が一体に結合されていると共に、これら両側板に亘って前記シャフトを支持してなり、
    前記一方の側板及び他方の側板を、前記サンギヤのボス部上に回転自在に支持してなる、
    ことを特徴とするプラネタリギヤ装置。
  2. 前記サンギヤのボス部は、その軸方向一端部分を固定部材ボス部上に第1のベアリングを介して回転自在に支持されると共に、その軸方向他端部分を回転軸上に第2のベアリングを介して回転自在に支持されてなり、
    前記回転軸は、前記固定部材ボス部の内周面に第3のベアリングを介して回転自在に支持されてなり、
    前記第2のベアリングと前記第3のベアリングとが軸方向に近接して並んで配置されてなる、
    請求項1記載のプラネタリギヤ装置。
  3. 前記固定部材ボス部は、その先端部に外周面を切欠かれた薄肉部を有し、
    前記サンギヤのボス部は、先端側が小径となる段付き構造からなり、
    前記薄肉部の内周面に前記第3のベアリングを介装し、
    前記サンギヤのボス部先端側小径部に少なくとも一部がオーバラップする位置に前記第2のベアリングを介装すると共に、該先端側小径部上に第4のベアリングを介して前記他方の側板を回転自在に支持してなる、
    請求項2記載のプラネタリギヤ装置。
  4. 前記サンギヤは、軸方向に並んで配置された第1のサンギヤ及び第2のサンギヤを有し、
    前記キャリヤは、前記第1のサンギヤに噛合する第1のピニオン及び前記第2のサンギヤに噛合する第2のピニオンを有し、これら第1及び第2のピニオンが前記シャフトに支持されてなり、
    前記第2のサンギヤのボス部上に、前記第1のサンギヤのボス部を回転自在に支持し、
    前記一方の側板を前記第1のサンギヤのボス部上に回転自在に支持し、かつ前記他方の側板を前記第2のサンギヤのボス部上に回転自在に支持してなる、
    ことを特徴とする請求項1記載のプラネタリギヤ装置。
  5. 前記第2のサンギヤのボス部は、その軸方向一端部分を固定部材にボス部上に第1のベアリングを介して回転自在に支持されると共に、その軸方向他端部分を回転軸上に第2のベアリングを介して回転自在に支持されてなり、
    前記回転軸は、前記固定部材ボス部の内周面に第3のベアリングを介して回転自在に支持されてなり、
    前記第2のベアリングと前記第3のベアリングとが軸方向に近接して並んで配置されてなる、
    ことを特徴とする請求項4記載のプラネタリギヤ装置。
  6. 前記固定部材ボス部は、その先端部に外周面を切欠かれた薄肉部を有し、
    前記第2のサンギヤのボス部は、先端側が小径となる段付き構造からなり、
    前記薄肉部の内周面に前記第3のベアリングを介装し、
    前記第2のサンギヤのボス部先端側小径部に少なくとも一部がオーバラップする位置に前記第2のベアリングを介装すると共に、該先端側小径部上に第4のベアリングを介して前記他方の側板を回転自在に支持してなる、
    請求項5記載のプラネタリギヤ装置。
  7. 前記第1のサンギヤのボス部は、前記固定部材ボス部を有する固定部材側である前記キャリヤの軸方向一端側から外径方向に延出して、第1の摩擦係合手段に連結し、
    前記第2のサンギヤのボス部は、前記第1のサンギヤの外径方向延出部の更に軸方向一端側から外径方向に延出して、第2の摩擦係合手段に連結してなる、
    請求項4ないし6のいずれか記載のプラネタリギヤ装置。
  8. 前記回転軸に外径方向に膨出する膨径部を形成し、
    該膨径部と前記固定部材ボス部を有する固定部材側面との間に、スラストベアリングを介在して、前記キャリヤ及びサンギヤボス部を挟持してなる、
    請求項2,3,5又は6記載のプラネタリギヤ装置。
  9. 前記第1及び第2の摩擦係合手段は、それぞれ第1及び第2のサンギヤを係止し得るブレーキであって、
    前記プラネタリギヤ装置は、前記リングギヤに入力軸からの回転を入力すると共に前記キャリヤから出力して、前記第1又は第2のサンギヤを係止することにより、異なる2段の減速比を達成し得る減速プラネタリギヤユニットであり、
    該減速プラネタリギヤユニットの2段の減速比を、所定クラッチを介して他のプラネタリギヤユニットの所定要素に適宜入力することにより多段変速を得られる自動変速機に適用される、
    請求項7記載のプラネタリギヤ装置。
  10. 前記一方及び他方の側板の少なくとも一方の内径端部に、前記ピニオン方向に延出する鍔部が形成され、該鍔部が前記側板と軸方向にオーバラップする位置でベアリングを介して前記サンギヤのボス部に支持されてなる、
    請求項1記載のプラネタリギヤ装置。
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JP2008223989A (ja) * 2007-03-15 2008-09-25 Aisin Ai Co Ltd トランスファ装置の副変速機構
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