JP4842032B2 - 自動変速装置 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧クラッチ及びブレーキを用いて制御する車両用自動変速機に関し、特に入力軸と出力軸が直線上に配され、入力軸の回転と入力軸の減速回転を、クラッチを介して遊星ギア列に入力する前進6速以上の自動変速装置に於ける減速用遊星ギアとクラッチ及びその他の部位の構造に関する。
周知の如く、近年地球環境問題のため自動車の省燃費の要求は強く、車両用自動変速装置の前進6速以上への多段化が進められている。特に入力軸と出力軸が直線上に配される所謂後輪駆動車両には大型車両が用いられ、車両重量対パワーの関係上前進6速以上の自動変速装置が求められている。前進6速以上の多段化を得る有効な手段として、4個の構成要素を持った2個の遊星ギア列の、3個の構成要素に選択的に減速回転と非減速回転を入力し、そのうちの2個の構成要素にブレーキを配し、残りの1個の構成要素を出力するシンプルな車両用自動変速装置が考案されている。1個の構成要素に減速回転を入力し、他の2個の構成要素に非減速回転を入力した特許文献1と、2個の構成要素に減速回転を入力し、他の1個の構成要素に非減速回転を入力した特許文献2のパワートレンである。又、同一構成要素に減速回転と非減速回転を入力し、前進7速以上を得る方式も提案されている。
後輪駆動車両に実用化された前進6速後進1速の自動変速装置としては特許文献1に類似した方式の文献3、4、5と特許文献2に類似した方式の文献6、7がある。これらはSAE TECHNICAL PAPER に記載された自動変速装置である。4個の構成要素を持った2個の遊星ギア列として文献3、4、5では2個のサンギア及びキャリアとリングギアを連結し残りのキャリアを出力したものが用いられ、文献6、7では出力をリングギアとするキャリアとリングギアを共有した所謂ラビニョー遊星ギアが用いられている。減速回転は、1個又は2個の遊星ピニオンギアを有した3個の構成要素からなる減速用遊星ギアを用い、1個の構成要素に入力し、他の1個の構成要素を固定することにより残りの1個の構成要素を減速して出力して用いている。後輪駆動車両用としては遊星ギアを介さない1:1の変速段を有する文献3、4、5の方が文献6、7より伝達効率上有利となるが、文献3、4、5に用いられる遊星ギア列は前進5、6速段で動力が増速されてから減速される動力伝達上の欠点があり、本発明ではこれらの遊星ギア列以外のものも実施例として記載した。
文献3、4では変速特性は同じとなるが、減速回転をクラッチではなくブレーキを用いて入力するため一部の部位が高回転になりすぎる欠点が生じ本発明のクラッチを用いて減速回転を得る方式とは異なる。本発明の一部と同じ1個の減速回転と2個の非減速回転とをクラッチを介して入力する方式を用いた文献5の構造は、変速機ケースに脱着可能に固定された入力軸を軸支する保持部材のボス部と入力軸に各1個の非減速回転を伝達するクラッチを配し、変速機ケースの中央部に設けた保持部材のボス部に1個の減速回転を伝達するクラッチを配し、さらに、減速用遊星ギアの固定構成要素を両保持部材の間の変速機ケースにフランジを介して固定したので、動力の外部出力となるPTO機能が附加されているもののきわめて複雑な構造となっている。
本発明の他の一部と同じ2個の減速回転と1個の非減速回転とをクラッチを介して入力する方式を用いた文献6,7の構造では、減速回転を伝達する2個のクラッチの1個と減速用遊星ギアとが、変速機ケースに脱着可能に固定される入力軸を軸支する保持部材のボス部外周に配され、減速回転を伝達する他の1個のクラッチと非減速回転を伝達する1個のクラッチが、入力軸とその他の軸上に別々に配されるため、それらクラッチへの作動油通路の管路抵抗が増し応答性に悪影響を及ぼすとともに潤滑通路とも混在し複雑化するばかりではなく、クラッチ自体も共通部位が使えず複雑にならざるを得ない。加えて、入力軸上にクラッチを配する場合、クラッチ及び遊星ギア列の構成要素の軸支支点が入力軸の軸受部より片持ち的にオーバハングされ振動騒音の原因ともなる。
尚、本発明の一部である2個の減速回転と1個の非減速回転とをクラッチを介して入力する方式の構造に関しては多くの特許出願があり、その中で本件に関係するものの第1例として、入力軸を軸支する保持部材のボス部外周に2個の減速回転を伝達する2個のクラッチと減速用遊星ギアが配される構造が特許文献8に記載されている。この構造では2個の減速回転を伝達する2個のクラッチの油圧サーボに一部共通部位のシールリングが使えるが、減速用遊星ギアと保持部材側壁の間に2個のクラッチを別々に配するため減速用遊星ギアと保持部材側壁の間を大きくしなければならない。さらに、1個の非減速回転を伝達する1個のクラッチが入力軸上に配されるため、作動油通路の管路抵抗増大と潤滑通路混在及びオーバハング軸支による振動等の悪影響が発生する。
第2例として、入力軸を軸支する保持部材のボス部外周に2個の減速回転を伝達する2個のクラッチと1個の非減速回転を伝達するクラッチと減速用遊星ギアが配される構造が特許文献9に記載されている。この構造では2個の減速回転を伝達する2個のクラッチと1個の非減速回転を伝達するクラッチとを減速用遊星ギアと保持部材側壁の間にそれぞれのクラッチを別々に配するため、クラッチの軸支は安定するが、減速用遊星ギアと保持部材側壁の間を大きくしなければならないのに加え、入力軸の回転を伝達するクラッチドラム自体を構成要素に連結するため、その軸受をキャリアとの連結部材上に別途設けなければならず構造が複雑化されるばかりではなく、構成要素の慣性量も増えることから変速時に悪影響を与える。
本発明の一部である前進6速より多い前進8速の変速段数を有した2個の減速回転と2個の非減速回転とを4個のクラッチを介して入力する方式の構造が特許文献10に記載されている。この構造では各1個の減速回転と非減速回転とを伝達する2個のクラッチが入力軸及び入力軸と一体となる軸上に別々に配され、作動油通路の管路抵抗増大と潤滑通路混在及びオーバハング軸支による振動等の悪影響が発生するばかりではなく、クラッチ自体も共通部位が使えず複雑にならざるを得ない。尚、減速用遊星ギアと保持部材側壁の間に配した各1個の減速回転と非減速回転とを伝達する2個のクラッチは、一部クラッチドラムの連結に工夫はされているが、クラッチドラムとピストン及びリターンスプリングが独立して配されており複雑な構造となっている。
特開昭52−149562 特開平4−219553 SAE PAPER 881840(GM) SAE PAPER 2004−01−0650(TOYOTA) SAE PAPER 2004−01−0653(AISIN) SAE PAPER 2003−01−0596(ZF) SAE PAPER 2004−01−0652(AISIN AW) 特開2000−199548 特開2000−110900 特開2005−090519
本発明の第1の課題は、4個の構成要素からなる遊星ギア列の構成要素に、入力軸の回転と減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転のどちらか一方又は両方を、クラッチを介して入力する前進6速以上の自動変速装置に関して、4個の構成要素からなる遊星ギア列に対し、減速用遊星ギアと各クラッチを変速機ケースの保持部材上にまとめて配置することにより、自動変速装置全体の構造を簡素化することである。
本発明の第2の課題は、変速装置に用いられている回転軸の軸支を確実かつシンプルに行うことであり、各クラッチドラムの軸支を安定させ騒音振動を低減さすことである。特に入力軸から減速用遊星ギアまでの間に複数のクラッチを配する場合、各部位の軸支を安定させることである。
本発明の第3の課題は、各クラッチへの油の供給油路をまとめるとともに供給油路の長さを短くし、管路抵抗を小さくすることである。
本発明の第4の課題は、種々のパワートレンの特性に合ったクラッチドラムを共有する2連式クラッチを用いることでクラッチ構造の簡素化を図り、減速用遊星ギアと各クラッチをシンプルにまとめるとともに、自動変速装置の各構成部位をコンパクトに配置することである。
請求項1に係わる本発明は、4個の構成要素からなる遊星ギア列に対する入力軸の回転と減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を伝達するクラッチと減速用遊星ギアの配置に関するもので、第1、第2及び第3の課題を解決するための手段であり、4個の構成要素からなる遊星ギア列の第1と第3の構成要素に、入力軸の回転と減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転のどちらか一方又は両方を、クラッチを介して入力するとともに第3の構成要素にブレーキを配し、第2の構成要素に、入力軸の回転をクラッチを介して入力するとともにブレーキ及びワンウェイクラッチを配し、第4の構成要素を出力軸に連結し、入力軸と、遊星ギア列と、出力軸とを軸方向順に配し、変速機ケースに脱着可能に固定され、入力軸を軸支する保持部材のボス部を遊星ギア列側に円筒状に延材し、保持部材の円筒ボス部の径方向外側に減速用遊星ギアと複数のクラッチを配し、保持部材の円筒ボス部外周から複数のクラッチの油圧サーボに油を供給する油路を設け、入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材を、保持部材の円筒ボス部外周に沿って回転自在に配し、連結部材と一体となるクラッチドラムを有したクラッチを設けた。
請求項2に係わる本発明は、1個の減速回転と2個の非減速回転とをクラッチを介して入力する方式を用いた前進6速後進1速の自動変速装置に関するもので、第1、第2、第3及び第4の課題を解決するための手段であり、入力軸の回転を、クラッチC1、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC3を介して遊星ギア列の第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材の径方向内側にクラッチC1の伝達経路6に連結する摩擦部材を配した2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを、入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギア又はキャリアの何れか一方を保持部材に固定し、何れか他方を入力軸に連結し、リングギアとクラッチC3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周、あるいは、減速用遊星ギアと2連式クラッチ装置との軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、遊星ギア列の第1、第2及び第3の構成要素に繋がるクラッチC1、C2及びC3の伝達経路6、7及び8を配した。
請求項3に係わる本発明は、請求項2に係わる自動変速装置の2連式クラッチ装置に関するもので、第4の課題を解決するための手段であり、入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材の減速用遊星ギア側に固定され、伝達経路7との間にクラッチC2の摩擦部材を保持するクラッチドラムと、連結部材の遊星ギア列側に脱着可能に軸方向に固定される固定部材と、クラッチドラムと固定部材との間の連結部材の外周で軸方向移動可能に保持され、クラッチドラムとの間に油圧室を形成してクラッチC2の摩擦部材を遊星ギア列側に押圧するクラッチC2のピストンと、クラッチC2のピストンと固定部材との間の連結部材の外周で軸方向移動可能に保持され、クラッチC2の摩擦部材の径方向内側で伝達経路6との間のクラッチC1の摩擦部材を保持するとともに固定部材との間に油圧室を形成してクラッチC1の摩擦部材を固定部材に押圧するクラッチC1のピストンとを有し、クラッチC1のピストンをクラッチドラムと一体として回転するようクラッチC2の摩擦部材を保持するクラッチドラムのスプラインと勘合するとともに、クラッチC2のピストン突起部をクラッチC2の摩擦部材に当接可能とするよう円周方向に切り欠きを設け、クラッチC1とC2とのピストンの間にクラッチC1とC2の摩擦部材を開放側に作用する油圧室を形成するとともにリターンスプリングを配した2連式クラッチ装置とした。
請求項4に係わる本発明は、2個の減速回転と1個の非減速回転とをクラッチを介して入力する方式を用いた前進6速後進1速の自動変速装置に関するもので、第1、第2、第3及び第4の課題を解決するための手段であり、入力軸の回転を、クラッチC2を介して遊星ギア列の第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、リングギアを連結部材に連結し、キャリアをリングギアの外周部径方向外側に筒状に配し、キャリアとクラッチC1、C3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をキャリアの筒状外周部に遊星ギア列から順に配し、クラッチC1のクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、あるいはキャリアを、保持部材側壁から順にクラッチC1、C3の伝達経路6及び8に連結する摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムに連結し、減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを回転自在に配し、保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がるクラッチC2、C1及びC3の伝達経路7、6及び8を配した。
請求項5に係わる本発明は、1個の減速回転と2個の非減速回転とをクラッチを介して請求項2とは異なる構成要素に入力する方式を用いた前進6速後進1速の自動変速装置に関するもので、入力軸の回転を、クラッチC2、C3を介して遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1を介して遊星ギア列の第1の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、キャリアを連結部材に連結し、リングギアとクラッチC1のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC1のクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、キャリアとクラッチC3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をキャリアに連結したクラッチハブの外周に配し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がるクラッチC2、C1及びC3の伝達経路7、6及び8を配した。
請求項6に係わる本発明は、2個の減速回転と2個の非減速回転とをクラッチを介して入力する方式を用いた前進10速後進1速の自動変速装置に関するもので、入力軸の回転を、クラッチC4、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、キャリアを連結部材に連結し、リングギアの外周を遊星ギア列側に延材し、リングギア延材部の内周方向内側でクラッチハブを連結部材に連結し、リングギア及びクラッチハブと、クラッチC1及びC4の円周方向に2段のドラムを有した2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムとを連結する摩擦部材をリングギア延材部及びクラッチハブの外周部に配し、2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、リングギアとクラッチC3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がるクラッチC2の伝達経路7、クラッチC1とC4共通の伝達経路6及びクラッチC3の伝達経路8を配した。
請求項7に係わる本発明は、2個の減速回転と2個の非減速回転とをクラッチを介して請求項6とは異なる構成要素に入力する方式を用いた前進8速後進2速の自動変速装置に関するもので、入力軸の回転を、クラッチC2、C4を介して遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、キャリアを連結部材に連結し、リングギアの外周を保持部材側壁側に延材し、リングギア延材部の内周方向内側でクラッチハブをキャリアに連結し、リングギア及びキャリアとクラッチC3及びC4の円周方向に2段のドラムを有した2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギア延材部及びクラッチハブの外周部に配し、2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、リングギアとクラッチC1のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC1のクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がるクラッチC2の伝達経路7、クラッチC1の伝達経路6及びクラッチC3とC4共通の伝達経路8を配した。
請求項8に係わる本発明は、請求項6と7に係わる自動変速装置の2連式クラッチ装置に関するもので、第4の課題を解決するための手段であり、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを変速機ケースに固定された保持部材に固定し、キャリアを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材に連結し、リングギア外周部を軸方向に延材するとともにリングギアの内周方向内側にキャリア又は連結部材に連結したクラッチハブを設け、一方が開口されたコの字断面のクラッチドラムに、L字断面の円筒部材の軸部をクラッチドラムの開口側内部でクラッチドラムの側壁から一定距離で複数のスタッドピンにより絞め固定して円周方向に2段となるクラッチドラムとし、リングギア延材部とクラッチドラム間及びキャリア又は連結部材に連結したクラッチハブとL字断面の円筒部材間に摩擦部材を配し、クラッチドラムと、スタッドピン部を貫通しリングギアとの間に配された摩擦部材を押圧するピストンと、クラッチハブとの間に配された摩擦部材を押圧するピストンと、クラッチドラムに固定されピストンのリターンスプリングを保持する固定板とを各部材間に油圧室が形成されるよう軸方向順に重ね合わせて配した2連式クラッチのクラッチドラムを介して、入力軸の回転と、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転とを、遊星ギア列の同一構成要素に入力するようになした。
請求項9に係わる本発明は、2個の減速回転と2個の非減速回転とをそれぞれ2連式クラッチ装置を介して入力する方式を用いた前進10速後進1速の自動変速装置に関するもので、入力軸の回転を、クラッチC4、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC4の伝達経路6に連結する摩擦部材の径方向内側にクラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を配した2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、リングギアを連結部材に連結し、キャリアを、保持部材側壁から順にクラッチC1、C3の伝達経路6及び8に連結する摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムに連結し、クラッチC1、C3の共通するクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配し、クラッチC1とC4の出力部を一体として固定し、保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がるクラッチC2の伝達経路7、クラッチC1とC4共通の伝達経路6及びクラッチC3の伝達経路8を配した。
請求項10に係わる本発明は、請求項4における2個の減速回転と1個の非減速回転とを2連式クラッチ装置を介して入力する方式を用いた前進6速後進1速の自動変速装置と、請求項9における2個の減速回転と2個の非減速回転とをそれぞれ2連式クラッチ装置を介して入力する方式を用いた前進10速後進1速の自動変速装置のブレーキ及びブレーキピストンの配置に関するもので、クラッチC2又はクラッチC4、C2の径方向外側に、変速機ケースとクラッチC3の伝達経路8との間に伝達経路8を係止するブレーキ2の摩擦部材を配し、ブレーキ2の摩擦部材から出力軸に向かって変速機ケースとの間に、遊星ギア列の第2の構成要素を一方向に制動するワンウェイクラッチのアウターレースと、第2の構成要素を係止するブレーキ1の摩擦部材とを順に配し、変速機ケースの出力軸軸支部の径方向外側に、変速機ケースとの間に油圧室を形成しブレーキ2の摩擦部材を押圧するピストンと、ブレーキ2の摩擦部材を押圧するピストンとの間に油圧室を形成しブレーキ1の摩擦部材を押圧するピストンとを重ねて配し、ブレーキ2の摩擦部材を押圧するピストンの円周突起部がワンウェイクラッチのアウターレースとブレーキ1の摩擦部材の円周方向切り欠き部を通過するようになした。
請求項1記載の構成では、4個の構成要素からなる遊星ギア列の第1と第3の構成要素に、入力軸の回転と減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転のどちらか一方又は両方を、クラッチを介して入力するとともに第3の構成要素にブレーキを配し、第2の構成要素に、入力軸の回転をクラッチを介して入力するとともにブレーキ及びワンウェイクラッチを配し、第4の構成要素を出力軸に連結し、入力軸と、遊星ギア列と、出力軸とを軸方向順に配し、変速機ケースに脱着可能に固定され、入力軸を軸支する保持部材のボス部を遊星ギア列側に円筒状に延材し、保持部材の円筒ボス部の径方向外側に減速用遊星ギアと複数のクラッチを配し、保持部材の円筒ボス部外周から複数のクラッチの油圧サーボに油を供給する油路を設け、入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材を、保持部材の円筒ボス部外周に沿って回転自在に配し、連結部材と一体となるクラッチドラムを有したクラッチを設けたので、減速用遊星ギアと複数のクラッチの回転重心が保持部材の円筒ボス部の径方向外側に位置し、特に入力軸と一体となる連結部材のクラッチドラムが入力軸に片持ち的にオーバハングして軸支されることなく安定的に軸支されるとともに、入力軸と出力軸間の遊星ギアの構成要素を軸支する中継軸の入力軸における軸支部が入力軸を軸支する保持部材の円筒ボス部近傍に来るので、中継軸が入力軸に片持ち的にオーバハングして軸支されることなく安定的に軸支される。加えて、入力軸と出力軸の軸受間距離が短くなり、その間に配置される遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定する。又保持部材の円筒ボス部外周から各クラッチに油が供給されるため、油路が短くなるとともにシールリングを共有化でき数を減らすことが可能となる。
請求項2記載の構成では、入力軸の回転を、クラッチC1、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC3を介して遊星ギア列の第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材の径方向内側にクラッチC1の伝達経路6に連結する摩擦部材を配した2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを、入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定したので、入力軸のオーバハング軸支がなく遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定するとともに、各クラッチへの油路が短くでき管路抵抗を減らすことができるオーバドライブが前進5、6速段となる前進6速後進1速の自動変速装置が得られる。本発明は文献5と同じ特性の自動変速装置であり、文献5のように減速用遊星ギアを保持部材と分離せず保持部材円筒ボス部の径方向外側にまとめて配置したのでシンプルな構造となる。特に入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材に重量及び容積が大きくなる2連式クラッチ装置を配する場合、入力軸に片持ち的にオーバハングして軸支されない構造となりより効果が大きい。尚、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、キャリアを変速機ケースに固定された保持部材に固定し、サンギアを入力軸に連結し、リングギアとクラッチC3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと2連式クラッチ装置との軸間の連結部材の外周に回転自在に配する構造にすると、常時減速回転をするリングギアを変速機ケースに固定された保持部材に軸支されたカウンターギアに連結することで、動力の外部出力となるPTO機能及び例えば電動モータからの外部入力となるハイブリッド動力機能も可能となる。
請求項3記載の構成では、入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材の減速用遊星ギア側に固定され、伝達経路7との間にクラッチC2の摩擦部材を保持するクラッチドラムと、連結部材の遊星ギア列側に脱着可能に軸方向に固定される固定部材と、クラッチドラムと固定部材との間の連結部材の外周で軸方向移動可能に保持され、クラッチドラムとの間に油圧室を形成してクラッチC2の摩擦部材を遊星ギア列側に押圧するクラッチC2のピストンと、クラッチC2のピストンと固定部材との間の連結部材の外周で軸方向移動可能に保持され、クラッチC2の摩擦部材の径方向内側で伝達経路6との間のクラッチC1の摩擦部材を保持するとともに固定部材との間に油圧室を形成してクラッチC1の摩擦部材を固定部材に押圧するクラッチC1のピストンとを有し、クラッチC1のピストンをクラッチドラムと一体として回転するようクラッチC2の摩擦部材を保持するクラッチドラムのスプラインと勘合するとともに、クラッチC2のピストン突起部をクラッチC2の摩擦部材に当接可能とするよう円周方向に切り欠きを設け、クラッチC1とC2とのピストンの間にクラッチC1とC2の摩擦部材を開放側に作用する油圧室を形成するとともにリターンスプリングを配した2連式クラッチ装置を連結部材と一体として配したので、クラッチC1とC2の摩擦部材が円周方向2段配置になるとともに、2個のピストンが重ね合わされているにもかかわらず、それぞれのピストンの締結作動油圧室が独立して干渉されることなく制御でき、2個の油圧サーボの遠心油圧キャンセラ室及びリターンスプリングが共有でき軸方向がコンパクトになる。尚、この2連式クラッチ装置では遠心油圧キャンセラー室に圧力油を作動さすことにより、締結開放が精度良く制御できる。
請求項4記載の構成では、入力軸の回転を、クラッチC2を介して遊星ギア列の第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、リングギアを連結部材に連結し、キャリアをリングギアの外周部径方向外側に筒状に配し、キャリアとクラッチC1、C3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をキャリアの筒状外周部に遊星ギア列から順に配し、クラッチC1のクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、あるいはキャリアを、保持部材側壁から順にクラッチC1、C3の伝達経路6及び8に連結する摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムに連結し、減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを回転自在に配したので、入力軸のオーバハング軸支がなく遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定するとともに、各クラッチへの油路が短くでき管路抵抗を減らすことができるオーバドライブが前進5、6速段となる前進6速後進1速の自動変速装置が得られる。本発明は文献6,7及び特許文献8、9と同じ特性の自動変速装置であり、それらと比べると入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材にクラッチC2を一体に配したので保持部材の円筒ボス部端から出力軸までが短くなり、中継軸と一体となるラビニョー遊星ギア列の軸幅が大きくなるキャリアの軸支が安定する。特に本発明の2連式クラッチ装置を用いた場合、減速用遊星ギアと3個のクラッチをシンプルにまとめることができる。
請求項5記載の構成では、入力軸の回転を、クラッチC2、C3を介して遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1を介して遊星ギア列の第1の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、キャリアを連結部材に連結し、リングギアとクラッチC1のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC1のクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、キャリアとクラッチC3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をキャリアに連結したクラッチハブの外周に配し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結したので、入力軸のオーバハング軸支がなく遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定するとともに、各クラッチへの油路が短くでき管路抵抗を減らすことができるオーバドライブが前進6速段のみとなる前進6速後進1速の自動変速装置が得られる。
請求項6記載の構成では、入力軸の回転を、クラッチC4、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、キャリアを連結部材に連結し、リングギアの外周を遊星ギア列側に延材し、リングギア延材部の内周方向内側でクラッチハブを連結部材に連結し、リングギア及びクラッチハブと、クラッチC1及びC4の円周方向に2段のドラムを有した2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムとを連結する摩擦部材をリングギア延材部及びクラッチハブの外周部に配し、2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結し、リングギアとクラッチC3のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC3のクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結したので、4個のクラッチと減速用遊星ギアをコンパクトに保持部材円筒ボス部外周に配することができるとともに入力軸のオーバハング軸支がなく遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定するとともに、各クラッチへの油路が短くでき管路抵抗を減らすことができるオーバドライブが前進9、10速段となる前進10速後進1速の自動変速装置が得られる。特に入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材に2連式クラッチ装置を回転自在に配するとともにクラッチC2を一体に配したのでシンプルな構造で多段速が得られる。
請求項7記載の構成では、入力軸の回転を、クラッチC2、C4を介して遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結し、クラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、キャリアを連結部材に連結し、リングギアの外周を保持部材側壁側に延材し、リングギア延材部の内周方向内側でクラッチハブをキャリアに連結し、リングギア及びキャリアとクラッチC3及びC4の円周方向に2段のドラムを有した2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギア延材部及びクラッチハブの外周部に配し、2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して伝達経路8に連結し、リングギアとクラッチC1のクラッチドラムを連結する摩擦部材をリングギアの外周部に配し、クラッチC1のクラッチドラムを減速用遊星ギアとクラッチC2のクラッチドラムとの軸間の連結部材の外周に回転自在に配して伝達経路6に連結したので、4個のクラッチと減速用遊星ギアをコンパクトに保持部材円筒ボス部外周に配することができるとともに入力軸のオーバハング軸支がなく遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定するとともに、各クラッチへの油路が短くでき管路抵抗を減らすことができるオーバドライブが前進7、8速段となる前進8速後進2速の自動変速装置が得られる。
請求項8記載の構成では、減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを変速機ケースに固定された保持部材に固定し、キャリアを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材に連結し、リングギア外周部を軸方向に延材するとともにリングギアの内周方向内側にキャリア又は連結部材に連結したクラッチハブを設け、一方が開口されたコの字断面のクラッチドラムに、L字断面の円筒部材の軸部をクラッチドラムの開口側内部でクラッチドラムの側壁から一定距離で複数のスタッドピンにより絞め固定し、リングギア延材部とクラッチドラム間及びキャリア又は連結部材に連結したクラッチハブとL字断面の円筒部材間に摩擦部材を配し、クラッチドラムと、スタッドピン部を貫通しリングギアとの間に配された摩擦部材を押圧するピストンと、クラッチハブとの間に配された摩擦部材を押圧するピストンと、クラッチドラムに固定されピストンのリターンスプリングを保持する固定板とを各部材間に油圧室が形成されるよう軸方向順に重ね合わせて配した2連式クラッチのクラッチドラムを介して、入力軸の回転と、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転とを、遊星ギア列の同一構成要素に入力するようになしたので、軸方向幅が単一クラッチとあまりかわらなくなる。又、ピストンを重ね合わせた2重ピストン方式とし両ピストン間に油圧室を設けたため、片方のクラッチの油圧上昇でもう片方のクラッチの油圧下降が逆比例的に始まり自動的な締結開放のワンウェイクラッチ的制御が可能となる。
請求項9記載の構成では、クラッチC4の伝達経路6に連結する摩擦部材の径方向内側にクラッチC2の伝達経路7に連結する摩擦部材を配した2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを入力軸から減速用遊星ギアを駆動する連結部材と一体に固定し、減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを用い、サンギアを保持部材に固定し、リングギアを連結部材に連結し、キャリアを、保持部材側壁から順にクラッチC1、C3の伝達経路6及び8に連結する摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムに連結し、クラッチC1、C3の共通するクラッチドラムを減速用遊星ギアと保持部材側壁との軸間の保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配し、クラッチC1とC4の出力部を一体として固定したので、2個の2連式クラッチ装置と減速用遊星ギアを極めてシンプル・コンパクトに保持部材円筒ボス部外周に配することができるとともに入力軸のオーバハング軸支がなく遊星ギア列の各構成要素の軸支が簡素化し安定するとともに、各クラッチへの油路が短くでき管路抵抗を減らすことができるオーバドライブが前進9、10速段となる前進10速後進1速の自動変速装置が得られる。
請求項10記載の構成では、クラッチC2又はクラッチC4、C2の径方向外側に、変速機ケースとクラッチC3の伝達経路8との間に伝達経路8を係止するブレーキ2の摩擦部材を配し、ブレーキ2の摩擦部材から出力軸に向かって変速機ケースとの間に、遊星ギア列の第2の構成要素を一方向に制動するワンウェイクラッチのアウターレースと、第2の構成要素を係止するブレーキ1の摩擦部材とを順に配し、変速機ケースの出力軸軸支部の径方向外側に、変速機ケースとの間に油圧室を形成しブレーキ2の摩擦部材を押圧するピストンと、ブレーキ2の摩擦部材を押圧するピストンとの間に油圧室を形成しブレーキ1の摩擦部材を押圧するピストンとを重ねて配し、ブレーキ2の摩擦部材を押圧するピストンの円周突起部がワンウェイクラッチのアウターレースとブレーキ1の摩擦部材の円周方向切り欠き部を通過するようになしたので、2個のブレーキの油圧サーボを1箇所にまとめることができシンプル・コンパクトとなる。通常自動変速における前進1速ではワンウェイクラッチOWCを使用し、ブレーキ1はシフトタワーの手動操作におけるL又は1及びRレンジで作動する。その時ブレーキ2は常に開放状態でブレーキ1,2が同時に作動することがないためブレーキ1,2のブレーキピストンを重ね合わせて用いても何ら影響はでない。特に本発明のように減速回転をクラッチC1、C3の共通するクラッチドラムを有する2連式クラッチ装置で伝達する場合、伝達経路8を係止するブレーキ2の摩擦部材をクラッチC1、C3の共通のクラッチドラム端からワンウェイクラッチOWCの間のクラッチC2又はクラッチC4の径方向外側に位置する空きスペースに配することができ、2個のブレーキの油圧サーボを1箇所にまとめると本発明の保持部材の円筒ボス部端から出力軸までが短くなる特徴を最大限に活かすことが可能となる。
図1から図7に本発明の減速用遊星ギアと複数のクラッチを配した種々の自動変速装置全体を模式化し、そこで使用される遊星ギア列を空白として示す。図8から図13は本発明の減速用遊星ギアと複数のクラッチを実際の構造で示したものである。本発明における自動変速装置を特性上5種類に大別し、代表的な遊星ギア列2種の模式図と共線図及び各変速段における締結要素に関しV型を図14、W型を図15、X型を図16、Y型を図17、Z型を図18として示す。又、本発明に適した自動変速装置の全体構造に関しV型を図19と図20、W型を図21、Y型を図22と図23、Z型を図24として示す。尚、図19から図24に示した自動変速装置における変速比特性に関し、図21と図23に示したラビニョー遊星ギア列を使ったものは文献及び特許に多くの事例があるため変速比特性の説明を省き、その他の自動変速装置における変速比特性は遊星ギア列を含めたパワートレンの選定上重要な要因となるため、模式図及び共線図とともにV1型を図25、V2型を図26、Y1型を図27、Z1型を図28に示す。尚、図29は本発明における2重ピストン方式の油圧クラッチに関する制御ダイアグラムを示したものである。
本発明の5種類に大別した自動変速装置に於いて、請求項1はこれら全ての自動変速装置に於ける減速用遊星ギアと複数のクラッチの配置と構造を示したものである。請求項2はV型で図1、図8、図13、図14、図19、図20、図25、図26に、請求項4はW型で図2、図3、図9、図15、図21に、請求項5はX型で図4、図16に、請求項6はY型で図5、図10、図17、図22、図27に、請求項7はZ型で図6、図11、図18、図24、図28に、請求項9はY型の減速用遊星ギアと複数のクラッチの請求項6とは異なる配置と構造で図7、図12、図23に減速用遊星ギアと複数のクラッチの配置と構造を示す。又、請求項3はV型で図1、図8、図13に、請求項8はY型とZ型で図5、図6、図10、図11、図29に請求項1に於ける減速用遊星ギアと複数のクラッチの配置をした自動変速装置の2連式クラッチ装置の構造を示し、請求項10はW2型とY2型で図21、図23に請求項1に於ける減速用遊星ギアと複数のクラッチの配置をした自動変速装置のブレーキの構造を示す。
本発明の実施例であるV型の自動変速装置は、入力軸の回転をクラッチC1、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC3を介して遊星ギア列の第3の構成要素に連結した前進6速後進1速の自動変速装置である。図14の模式図において、遊星ギア列はV1型に示す2列のシンプル遊星ギアのキャリアP2とP1及びリングギアR2とサンギアS1を連結したものと、V2型に示すサンギアS2とS1及びキャリアP2とリングギアR1を連結したもので、動力は模式図左側の図示しない入力軸と減速用遊星ギアから内径側から順に配されたクラッチC1、C2、C3により入力される。V1型ではサンギアS2が第1構成要素、キャリアP2とP1が第2構成要素、リングギアR2とサンギアS1が第3構成要素、リングギアR1が出力される第4構成要素となり、V2型ではサンギアS2とS1が第1構成要素、キャリアP2とリングギアR1が第2構成要素、リングギアR2が第3構成要素、キャリアP1が出力される第4構成要素となり、第1、第2、第3構成要素にクラッチC1、C2、C3から動力が入力され、第2構成要素にワンウェイクラッチOWCとブレーキB1が配され、第3構成要素にブレーキB2が配される。共線図において入力軸の減速回転はサンギアS0、リングギアR0、キャリアP0のダブル遊星ギアからなる減速用遊星ギアによって得られ、クラッチC1とブレーキB1又はワンウェイクラッチOWCの締結で前進1速段が、クラッチC1とブレーキB2の締結で前進2速段が、クラッチC1とクラッチC3の締結で前進3速段が、クラッチC1とクラッチC2の締結で前進4速段が、クラッチC3とクラッチC2の締結で前進5速段が、クラッチC2とブレーキB2の締結で前進6速段が、クラッチC3とブレーキB1の締結で後進段が得られる。ちなみに、後輪駆動車両に実用化された前進6速後進1速の自動変速装置として取り上げた文献3、4、5はV2型の遊星ギア列を用いている。
図1はV型の自動変速装置におけるクラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの配置を示す模式図であり、遊星ギア列を空白とし変速装置全体を示す。図1において、図示しない原動機からトルクコンバータ10に動力が伝達され、変速機の入力軸4に導かれる。変速機ケース1にはトルクコンバータ10と変速装置を隔てる隔壁2が脱着可能に固定され、隔壁2には保持部材3が脱着可能に固定される。保持部材3のボス部はトルクコンバータ10側と空白とした遊星ギア列側が円筒状に延材され両端の円筒部内径の軸受け5a、5bで入力軸4が軸支される。
図1と図1のクラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの構造を示す図8において、減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はサンギアS0(41)とダブル遊星ギア42a、42bを軸支するキャリアP0とリングギアR0(43)からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギア41がスプラインで固定される。キャリアP0は両サイドの側壁45a、45bと軸44とからなり、側壁45aと入力軸4の保持部材3の円筒ボス部端に形成されたフランジとが連結部材75でスプライン連結され、リングギア43は歯部にリティニングリング47で固定された側板46が両サイドのスラストニードルベアリングで側壁45aと後述するクラッチドラム74の間で回転自在に保持される。
クラッチC3は摩擦部材82aと82bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング83で係止するクラッチドラム84と、摩擦部材82aを押圧するピストン86と、ピストン86のリターンスプリング88と、キャンセラプレート87とから成っている。クラッチドラム84とピストン86との間には油圧室が形成されピストン86とキャンセラプレート87との間にはリターンスプリング88が配され遠心油圧キャンセラ室が形成される。リングギア43の外周に形成されたスプライン上には摩擦部材82aと交互に配置される摩擦部材81が係止される。クラッチドラム84は摩擦部材82aと82bを係止するスプラインにより伝達経路8へと連結されるとともに内周側が円筒部材85に溶着され、円筒部材85に圧入されたブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。尚、円筒部材85の外周にはピストン86が軸方向に移動可能に保持されるとともにキャンセラプレート87がリティニングリング89で軸方向に固定される。
クラッチC2のクラッチドラム74は図右側が開口され、摩擦部材72aと72bを開口部内径に形成されたスプラインとリティニングリング73で係止するとともに内周側が連結部材75にキャリアP0の側壁45a側で一体に溶着され、連結部材75の外周で軸方向移動可能に保持されるピストン76は、クラッチドラム74との間に油圧室を形成して摩擦部材72aを押圧する。伝達経路7におけるハブのスプライン上には摩擦部材72aと交互に配置される摩擦部材71が係止される。
連結部材75の入力軸4との連結部外周にはクラッチC1の摩擦部材52aの押圧端となる固定部材55がリティニングリング78で軸方向に固定され、固定部材55の図左側にはクラッチC1のピストン54が配される。ピストン54はクラッチC2の摩擦部材71、72aの径方向内側の円筒部内径に形成されたスプラインとリティニングリング53で摩擦部材52aと52bを係止するとともにクラッチドラム74のスプラインとピストン76の径方向外側で噛合いクラッチドラム74と一体となるとともに、固定部材55との間に油圧室を形成して摩擦部材52aを固定部材55側に押圧するよう連結部材75の外周で軸方向移動可能に保持される。ピストン54とクラッチドラム74のスプライン連結部のピストン54における径方向内側には円周上に複数の切り欠きが設けられ、ピストン76の突起部がピストン54の複数の切り欠きを通し摩擦部材72aを押圧可能に配される。
ピストン76とピストン54の間には両ピストンを開放側に作用する油圧室が形成されリターンスプリング77が配される。連結部材75はサンギア41との間のスラストニードルベアリングと、保持部材3の円筒ボス部端に形成された入力軸4のフランジ外周の径方向に2段に形成されたスプラインの段付き部で軸方向が規制されるとともに径方向が入力軸4に芯出をされ、側壁45aとのスプライン連結部内周のブシュ5cと入力軸4を軸支するニードルベアリング5bにより保持部材3に軸支され、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。入力軸4と一体となるクラッチC1、C2とキャリアP0を合わせた重心は保持部材3が入力軸4を軸支する軸受5aと5bの間となり安定する。特に本発明の2連式クラッチ装置においては2個のピストンが重ね合わされているにもかかわらず、それぞれのピストンの締結作動油圧室が独立して干渉されることなく制御でき、遠心油圧キャンセラ室とリターンスプリングが共用できるので、2連式クラッチ装置そのものがコンパクトとなり入力軸4の軸支をより安定さす。
本発明の他の実施例であるW型の自動変速装置は、入力軸の回転をクラッチC2を介して遊星ギア列の第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進6速後進1速の自動変速装置である。図15の模式図において、遊星ギア列はW1型に示す2列のシンプル遊星ギアのキャリアP2とP1及びリングギアR2とサンギアS1を連結したV1型と同じ遊星ギア列と、W2型に示すサンギアS1とキャリアP及びリングギアRからなるダブル遊星ギアのリングギアと噛合う遊星ギアを軸方向に伸ばしサンギアS2と噛合わせた所謂ラビニョー遊星ギアで、動力は模式図左側の図示しない入力軸と減速用遊星ギアから内径側から順に配されたクラッチC2、C1、C3により入力される。W1型ではサンギアS2が第1構成要素、キャリアP2とP1が第2構成要素、リングギアR2とサンギアS1が第3構成要素、リングギアR1が出力される第4構成要素となり、W2型ではサンギアS1が第1構成要素、キャリアPが第2構成要素、サンギアS2が第3構成要素、リングギアRが出力される第4構成要素となり、第1、第2、第3構成要素にクラッチC1、C2、C3から動力が入力され、第2構成要素にワンウェイクラッチOWCとブレーキB1が配され、第3構成要素にブレーキB2が配される。共線図において入力軸の減速回転はサンギアS0、キャリアP0、リングギアR0のシングル遊星ギアからなる減速用遊星ギアによって得られ、クラッチC1とブレーキB1又はワンウェイクラッチOWCの締結で前進1速段が、クラッチC1とブレーキB2の締結で前進2速段が、クラッチC1とクラッチC3の締結で前進3速段が、クラッチC1とクラッチC2の締結で前進4速段が、クラッチC3とクラッチC2の締結で前進5速段が、クラッチC2とブレーキB2の締結で前進6速段が、クラッチC3とブレーキB1の締結で後進段が得られる。
図2はW型の自動変速装置におけるクラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの配置を示す模式図の一例であり、変速機の入力軸4の軸支方法は図1と全く同じであるため説明を省略する。図2において減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はシングル遊星ギアでサンギアS0とキャリアP0とリングギアR0からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギアS0が固定されリングギアR0が入力軸4と保持部材3の円筒ボス部外周の連結部材で連結され、キャリアP0が保持部材3の側壁側からリングギアR0の径方向外側まで円筒状に延材され保持部材3の側壁側から軸方向順にクラッチC3とC1の摩擦部材が係止される。
クラッチC3の油圧サーボ及び摩擦部材を内包したクラッチドラムはブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して油圧サーボに油が導かれるよう回転自在に配されるとともに外周部で伝達経路8へと連結される。クラッチC1の油圧サーボ及び摩擦部材を内包したクラッチドラムは第3遊星歯車列40の入力軸4との連結側でブシュ5eによりリングギアR0と入力軸4とを連結する連結部材の外周上に回転自在に配されるとともに外周部で伝達経路6へと連結され、さらに、入力軸4との連結側で伝達経路7へと動力を伝えるクラッチC2の油圧サーボ及び摩擦部材を内包したクラッチドラムはリングギアR0と入力軸4とを連結する連結部材と一体となりブシュ5cにより、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して油圧サーボに油が導かれるよう回転自在に配される。尚、図2においてクラッチC3のクラッチドラムにブレーキが装着されているが、ブレーキをこの位置に装着しなくてもよい。
図3はW型の自動変速装置におけるクラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの配置を示す模式図の別の一例であり、変速機の入力軸4の軸支方法は図1、図2と全く同じであるため説明を省略する。
図3と図3のクラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの構造を示す図9において、減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はサンギアS0(41)とシングル遊星ギア42を軸支するキャリアP0とリングギアR0(43)からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギア41がスプラインで固定される。キャリアP0は両サイドの側壁45a、45bと軸44とからなり、側壁45bが保持部材3の側壁側で円筒部材55にスプライン連結され、リングギア43がクラッチC2のクラッチドラム74に溶着される。
キャリアP0とスプライン連結した円筒部材55はクラッチドラム54の側壁内周部に一体として溶着される。クラッチドラム54はリングギア43の径方向外側で図右側に円筒部が延材され、円筒部内径の軸方向中央のスプライン部に摩擦部材52bがリティニングリング53で固定され図左側にクラッチC1の摩擦部材52a、図右側にクラッチC3の摩擦部材82を係止し、クラッチドラム54の側壁の図右側にクラッチドラム54との間に油圧室を形成して円筒部材55の外周を軸方向に移動可能で摩擦部材52aを固定された摩擦部材52b側に押圧するクラッチC1のピストン56と、クラッチドラム54の側壁の図左側にクラッチドラム54との間に油圧室を形成して円筒部材55の外周を軸方向に移動可能でクラッチドラム54の径方向外側に配され、リティニングリング83で固定されたフランジ89を介し摩擦部材82を固定された摩擦部材52b側に押圧するクラッチC3のピストン86と、ピストン56の図右側にピストン56との間に遠心油圧キャンラ室を形成するキャンラプレート87とを付帯する。ピストン86とキャンラプレート87はクラッチドラム54の側壁外側でクラッチドラム54とピストン56の側壁に開けられた複数の穴を貫通してスタッドピン85で一定距離に固定され、スタッドピン85の外周部に配されピストン56とピストン86と一体のキャンラプレート87を押し広げるスプリングホルダー57とリターンスプリング58が配される。
クラッチドラム54はクラッチC1、C3の摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムであり、クラッチC1の摩擦部材52aと交互に配された摩擦部材51を係止しリングギア43の径方向外側を円筒状に延材する伝達経路6とクラッチC3の摩擦部材82と交互に配された摩擦部材81を係止し伝達経路6の円筒状に延材部の径方向外側を円筒状に延材する伝達経路8とが配され、クラッチドラム54と一体となる円筒部材55がブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。尚、この2連式クラッチ装置は本件発明者が特願2005−235161で出願したものであり、本件のように第3遊星歯車列40と各クラッチをまとめて保持部材3の円筒ボス部外周上に配した構造に適用すると特にシンプル・コンパクトとなる。
リングギア43と一体となるクラッチC2のクラッチドラム74は図右側が開口され、摩擦部材72aと72bを開口部内径に形成されたスプラインとリティニングリング73で係止するとともに内周側が連結部材75にキャリアP0の側壁45a側で一体に溶着され、連結部材75の外周にはクラッチドラム74との間に油圧室を形成し軸方向移動可能に保持され摩擦部材72aを押圧するピストン76と、ピストン76との間に油圧キャンセラ室を形成するとともにリターンスプリング78を保持するキャンセラプレート77がリティニングリング79で軸方向に固定される。伝達経路7におけるハブのスプライン上には摩擦部材72aと交互に配置される摩擦部材71が係止される。
連結部材75はリングギア43と一体となるクラッチドラム74の側壁とキャリアP0の側壁45aとの間のスラストニードルベアリングと、保持部材3の円筒ボス部端に形成された入力軸4のフランジ外周の径方向に2段に形成されたスプラインの段付き部で軸方向が規制されるとともに径方向が入力軸4に芯出をされ、入力軸4を軸支するニードルベアリング5bにより保持部材3に軸支され、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
本発明の他の実施例であるX型の自動変速装置は、入力軸の回転をクラッチC2、C3を介して遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1を介して遊星ギア列の第1の構成要素に連結した前進6速後進1速の自動変速装置である。図16の模式図において、遊星ギア列はX1型に示す2列のシンプル遊星ギアのキャリアP2とP1及びサンギアS2とS1を連結した遊星ギア列と、X2型に示すサンギアS2とキャリアP及びリングギアRからなるシングル遊星ギアの遊星ギアと噛合う遊星ギアを軸方向に伸ばしサンギアS2と噛合わせたW2型とは少し異なる所謂ラビニョー遊星ギアで、動力は模式図左側の図示しない入力軸と減速用遊星ギアから内径側から順に配されたクラッチC2、C1、C3により入力される。X1型ではリングギアR2が第1構成要素、キャリアP2とP1が第2構成要素、サンギアS2とS1が第3構成要素、リングギアR1が出力される第4構成要素となり、X2型ではサンギアS1が第1構成要素、キャリアPが第2構成要素、サンギアS2が第3構成要素、リングギアRが出力される第4構成要素となり、第1、第2、第3構成要素にクラッチC1、C2、C3から動力が入力され、第2構成要素にワンウェイクラッチOWCとブレーキB1が配され、第3構成要素にブレーキB2が配される。共線図において入力軸の減速回転はサンギアS0、リングギアR0、キャリアP0のダブル遊星ギアからなる減速用遊星ギアによって得られ、クラッチC1とブレーキB1又はワンウェイクラッチOWCの締結で前進1速段が、クラッチC1とブレーキB2の締結で前進2速段が、クラッチC1とクラッチC3の締結で前進3速段が、クラッチC1とクラッチC2の締結で前進4速段が、クラッチC3とクラッチC2の締結で前進5速段が、クラッチC2とブレーキB2の締結で前進6速段が、クラッチC3とブレーキB1の締結で後進段が得られる。
図4はX型の自動変速装置におけるクラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの配置を示す模式図の一例であり、変速機の入力軸4の軸支方法は図1と全く同じであるため説明を省略する。図4において減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はダブル遊星ギアでサンギアS0とキャリアP0とリングギアR0からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギアS0が固定されキャリアP0が入力軸4と保持部材3の円筒ボス部外周の連結部材で連結されるとともに保持部材3の側壁側にクラッチC3の摩擦部材が係止されるクラッチハブが連結され、リングギアR0の外周にクラッチC1の摩擦部材が係止される。
クラッチC3の油圧サーボ及び摩擦部材を内包したクラッチドラムはブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して油圧サーボに油が導かれるよう回転自在に配されるとともに外周部で伝達経路8へと連結される。クラッチC1の油圧サーボ及び摩擦部材を内包したクラッチドラムは第3遊星歯車列40の入力軸4との連結側でブシュ5eによりキャリアP0と入力軸4とを連結する連結部材の外周上に回転自在に配されるとともに外周部で伝達経路6へと連結され、さらに、入力軸4との連結側で伝達経路6へと動力を伝えるクラッチC2の油圧サーボ及び摩擦部材を内包したクラッチドラムはキャリアP0と入力軸4とを連結する連結部材と一体となりブシュ5cにより、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して油圧サーボに油が導かれるよう回転自在に配される。尚、図4においてクラッチC3のクラッチドラムにブレーキが装着されているが、ブレーキをこの位置に装着しなくてもよい。
本発明の他の実施例であるY型の自動変速装置は、入力軸の回転をクラッチC4、C2を介して遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進10速後進1速の自動変速装置である。図17の模式図において、遊星ギア列はY1型に示す2列のシンプル遊星ギアのキャリアP2とP1及びリングギアR2とサンギアS1を連結したV1及びW1型と同じ遊星ギア列と、Y2型に示すサンギアS1とキャリアP及びリングギアRからなるダブル遊星ギアのリングギアと噛合う遊星ギアを軸方向に伸ばしサンギアS2と噛合わせたW2型と同じ所謂ラビニョー遊星ギアで、動力は模式図左側の図示しない入力軸と減速用遊星ギアから内径側から順に配されたクラッチC2、C1とC4、C3により入力される。Y1型ではサンギアS2が第1構成要素、キャリアP2とP1が第2構成要素、リングギアR2とサンギアS1が第3構成要素、リングギアR1が出力される第4構成要素となり、Y2型ではサンギアS1が第1構成要素、キャリアPが第2構成要素、サンギアS2が第3構成要素、リングギアRが出力される第4構成要素となり、第1構成要素にクラッチC1とC4、第2、第3構成要素にクラッチC2、C3から動力が入力され、第2構成要素にワンウェイクラッチOWCとブレーキB1が配され、第3構成要素にブレーキB2が配される。共線図において入力軸の減速回転はサンギアS0、リングギアR0、キャリアP0のダブル遊星ギアからなる減速用遊星ギアによって得られ、クラッチC1とブレーキB1又はワンウェイクラッチOWCの締結で前進1速段が、クラッチC1とブレーキB2の締結で前進2速段が、クラッチC4とブレーキB1の締結で前進3速段が、クラッチC1とクラッチC3の締結で前進4速段が、クラッチC4とブレーキB2の締結で前進5速段が、クラッチC4とクラッチC3の締結で前進6速段が、クラッチC1とクラッチC3の締結で前進7速段が、クラッチC4とクラッチC2の締結で前進8速段が、クラッチC3とクラッチC2の締結で前進9速段が、クラッチC2とブレーキB2の締結で前進10速段が、クラッチC3とブレーキB1の締結で後進段が得られる。
図5はY型の自動変速装置におけるクラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの配置を示す模式図の一例であり、変速機の入力軸4の軸支方法は図1と全く同じであるため説明を省略する。図5において減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はダブル遊星ギアでサンギアS0とキャリアP0とリングギアR0からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギアS0が固定されキャリアP0が入力軸4と保持部材3の円筒ボス部外周の連結部材で連結されるとともに第3遊星歯車列40の図右側にクラッチC4の摩擦部材が係止されるクラッチハブが連結され、リングギアR0の外周部が図右側に延材され保持部材3の側壁側から軸方向順にクラッチC3とC1の摩擦部材が係止される。
図5と図5のクラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの構造を示す図10において、減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はサンギアS0(41)とダブル遊星ギア42a、42bを軸支するキャリアP0とリングギアR0(43)からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギア41がスプラインで固定される。キャリアP0は両サイドの側壁45a、45bと軸44とからなり、側壁45a及びクラッチC4の摩擦部材61を係止するクラッチハブ45cと、入力軸4の保持部材3の円筒ボス部端に形成されたフランジとが連結部材75でスプライン連結され、リングギア43は歯部にリティニングリング47で固定された側板46が両サイドのスラストニードルベアリングで側壁45aとクラッチハブ45cの間で回転自在に保持される。
クラッチC3は摩擦部材82aと82bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング83で係止するクラッチドラム84と、摩擦部材82aを押圧するピストン86と、ピストン86のリターンスプリング88と、キャンセラプレート87とから成っている。クラッチドラム84とピストン86との間には油圧室が形成されピストン86とキャンセラプレート87との間にはリターンスプリング88が配され遠心油圧キャンセラ室が形成される。リングギア43の外周は図右側に延材され、外周に形成されたスプライン上には保持部材3の側壁側から軸方向順にクラッチC3の摩擦部材82aと交互に配置される摩擦部材81とクラッチC1の摩擦部材51が係止される。クラッチドラム84は摩擦部材82aと82bを係止するスプラインにより伝達経路8へと連結されるとともに内周側が円筒部材85に溶着され、円筒部材85に圧入されたブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。尚、円筒部材85の外周にはピストン86が軸方向に移動可能に保持されるとともにキャンセラプレート87がリティニングリング89で軸方向に固定される。
クラッチC1のクラッチドラム54aは図左側が開口され、リングギア43の外周延材部に係止される摩擦部材51と交互に配置される摩擦部材52a及び52bが内径に形成されたスプラインとリティニングリング53で係止され、側壁の内周で円筒部材55を溶着し、側壁の外周側に位置するリングギア43の外周延材部の径方向内側でクラッチハブ45cに係止されるクラッチC4の摩擦部材61と交互に配置される摩擦部材62a及び62bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング63で係止するL字断面の円筒部材64の軸部を、側壁から一定距離で複数のスタッドピン65により絞め固定すると同時に伝達経路6に繋がるハブ54bを側壁の図右側で複数のスタッドピン65により絞め固定し、円周方向に2段となるクラッチドラムとして形成される。
クラッチドラム54aに溶着された円筒部材55の外周には、クラッチドラム54aとの間に油圧室を形成し、側壁とL字断面の円筒部材64との間の複数のスタッドピン65を貫通し軸方向に移動可能で摩擦部材52aを押圧するピストン56と、ピストン56との間に油圧室を形成し軸方向に移動可能で摩擦部材62aを押圧するピストン66と、ピストン66との間に遠心油圧キャンセラ室を形成しリターンスプリング68を保持するリティニングリング69で軸方向に固定されるキャンセラプレート67とが軸方向に重ね合わせて配される。円筒部材55は内周に圧入されたブシュ5eにより連結部材75の外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
クラッチC2のクラッチドラム74は図右側が開口され、摩擦部材72aと72bを開口部内径に形成されたスプラインとリティニングリング73で係止するとともに内周側が連結部材75にクラッチドラム54a側で一体に溶着され、連結部材75の外周にはクラッチドラム74との間に油圧室を形成し軸方向移動可能に保持され摩擦部材72aを押圧するピストン76と、ピストン76との間に油圧キャンセラ室を形成するとともにリターンスプリング78を保持するキャンセラプレート77がリティニングリング79で軸方向に固定される。伝達経路7におけるハブのスプライン上には摩擦部材72aと交互に配置される摩擦部材71が係止される。
連結部材75はサンギア41との間のスラストニードルベアリングと、保持部材3の円筒ボス部端に形成された入力軸4のフランジ外周の径方向に2段に形成されたスプラインの段付き部で軸方向が規制されるとともに径方向が入力軸4に芯出をされ、側壁45aとのスプライン連結部内周でブシュ5cと入力軸4を軸支するニードルベアリング5bにより保持部材3に軸支され、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介してクラッチC1、C4の2連クラッチ及びクラッチC2の各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
本発明の他の実施例であるZ型の自動変速装置は、入力軸の回転をクラッチC2、C4を介して遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、クラッチC1、C3を介して遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進8速後進2速の自動変速装置である。図18の模式図において、遊星ギア列はZ1型に示す2列のシンプル遊星ギアのキャリアP2とP1及びリングギアR2とサンギアS1を連結したV1、W1及びY1型と同じ遊星ギア列と、Z2型に示すサンギアS1とキャリアP及びリングギアRからなるダブル遊星ギアのリングギアと噛合う遊星ギアを軸方向に伸ばしサンギアS2と噛合わせたW2及びY2型と同じ所謂ラビニョー遊星ギアで、動力は模式図左側の図示しない入力軸と減速用遊星ギアから内径側から順に配されたクラッチC2、C1、C4とC3により入力される。Z1型ではサンギアS2が第1構成要素、キャリアP2とP1が第2構成要素、リングギアR2とサンギアS1が第3構成要素、リングギアR1が出力される第4構成要素となり、Z2型ではサンギアS1が第1構成要素、キャリアPが第2構成要素、サンギアS2が第3構成要素、リングギアRが出力される第4構成要素となり、第1構成要素にクラッチC1、第2構成要素にクラッチC2、第3構成要素にクラッチC4とC3から動力が入力され、第2構成要素にワンウェイクラッチOWCとブレーキB1が配され、第3構成要素にブレーキB2が配される。共線図において入力軸の減速回転はサンギアS0、リングギアR0、キャリアP0のダブル遊星ギアからなる減速用遊星ギアによって得られ、クラッチC1とブレーキB1又はワンウェイクラッチOWCの締結で前進1速段が、クラッチC1とブレーキB2の締結で前進2速段が、クラッチC1とクラッチC3の締結で前進3速段が、クラッチC1とクラッチC4の締結で前進4速段が、クラッチC1とクラッチC2の締結で前進5速段が、クラッチC4とクラッチC2の締結で前進6速段が、クラッチC3とクラッチC2の締結で前進7速段が、クラッチC2とブレーキB2クラッチC2の締結で前進8速段が、クラッチC3とブレーキB1の締結で後進1段が得られる。尚、クラッチC4とブレーキB1の締結で後進段2段が得られるが実用的ではないので図18には記していない。
図6はZ型の自動変速装置におけるクラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの配置を示す模式図の一例であり、変速機の入力軸4の軸支方法は図1と全く同じであるため説明を省略する。図6において減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はダブル遊星ギアでサンギアS0とキャリアP0とリングギアR0からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギアS0が固定されキャリアP0が入力軸4と保持部材3の円筒ボス部外周の連結部材で連結されるとともに第3遊星歯車列40の図左側にクラッチC4の摩擦部材が係止されるクラッチハブが連結され、リングギアR0の外周部が図左側に延材され保持部材3の側壁側から軸方向順にクラッチC3とC1の摩擦部材が係止される。
図6と図6のクラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの構造を示す図11において、減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はサンギアS0(41)とダブル遊星ギア42a、42bを軸支するキャリアP0とリングギアR0(43)からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギア41がスプラインで固定される。キャリアP0は両サイドの側壁45a、45bと軸44とからなり、側壁45aと入力軸4の保持部材3のボス部端に形成されたフランジが連結部材75でスプライン連結され、側壁45bにはクラッチC4の摩擦部材61を係止するクラッチハブ45cが溶着され、リングギア43はリティニングリング47で固定された側板46が両サイドのスラストニードルベアリングで側壁45aと円筒部材55の間で回転自在に保持される。
クラッチC3のクラッチドラム84は図右側が開口され、リングギア43の外周延材部に係止される摩擦部材81と交互に配置される摩擦部材82a及び82bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング83で係止すると同時に伝達経路8にスプラインで連結され、側壁の内周で円筒部材85を溶着し、側壁の外周側に位置するリングギア43の外周延材部の径方向内側でクラッチハブ45cに係止されるクラッチC4の摩擦部材61と交互に配置される摩擦部材62a及び62bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング63で係止するL字断面の円筒部材64の軸部を、側壁から一定距離で複数のスタッドピン65により絞め固定し、円周方向に2段となるクラッチドラムとして形成される。
クラッチドラム84に溶着された円筒部材85の外周には、クラッチドラム84との間に油圧室を形成し、側壁とL字断面の円筒部材64との間の複数のスタッドピン65を貫通し軸方向に移動可能で摩擦部材82aを押圧するピストン86と、ピストン86との間に油圧室を形成し軸方向に移動可能で摩擦部材62aを押圧するピストン66と、ピストン66との間に遠心油圧キャンセラ室を形成しリターンスプリング68を保持するリティニングリング69で軸方向に固定されるキャンセラプレート67とが軸方向に重ね合わせて配される。円筒部材85は内周に圧入されたブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
クラッチC1のクラッチドラム54aは図左側が開口され、リングギア43の外周に係止される摩擦部材51と交互に配置される摩擦部材52a及び52bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング53で係止すると同時に側壁外側で伝達経路6に繋がるハブ54bと側壁の内周で円筒部材55とが溶着され、円筒部材55の外周にはクラッチドラム54aとの間に油圧室を形成し軸方向に移動可能で摩擦部材52aを押圧するピストン56と、ピストン56との間に遠心油圧キャンセラ室を形成しリターンスプリング58を保持するリティニングリング59で軸方向に固定されるキャンセラプレート57とが配され、円筒部材55の内周に圧入されたブシュ5eにより第3遊星歯車列40の図右側
で、連結部材75の外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
クラッチC2のクラッチドラム74は図右側が開口され、摩擦部材72aと72bを開口部内径に形成されたスプラインとリティニングリング73で係止するとともに内周側が連結部材75にクラッチドラム54a側で一体に溶着され、連結部材75の外周にはクラッチドラム74との間に油圧室を形成し軸方向移動可能に保持され摩擦部材72aを押圧するピストン76と、ピストン76との間に油圧キャンセラ室を形成するとともにリターンスプリング78を保持するキャンセラプレート77がリティニングリング79で軸方向に固定される。伝達経路7におけるハブのスプライン上には摩擦部材72aと交互に配置される摩擦部材71が係止される。
連結部材75はサンギア41との間のスラストニードルベアリングと、保持部材3の円筒ボス部端に形成された入力軸4のフランジ外周の径方向に2段に形成されたスプラインの段付き部で軸方向が規制されるとともに径方向が入力軸4に芯出をされ、側壁45aとのスプライン連結部内周でブシュ5cと入力軸4を軸支するニードルベアリング5bにより保持部材3に軸支され、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介してクラッチC1及びクラッチC2の各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
本発明の実施例であるY型の自動変速装置について、クラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの配置及び構造が図5、図10と異なる実施例を図7、図12にY‘として示す。変速特性は図17と同じであるが、減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを使用した点異なる。又、クラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの配置及び構造は2連クラッチC1、C3、及び減速用遊星ギアが図3と図9に示したW型と同じで、2連クラッチC4、C2が図1と図8に示したV型の2連クラッチC2、C1と同じとなる。
図7と図7のクラッチC1、C2、C3、C4及び減速用遊星ギアの構造を示す図12において、減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はサンギアS0(41)とシングル遊星ギア42を軸支するキャリアP0とリングギアR0(43)からなり、保持部材3の円筒ボス部の軸方向中央でサンギア41がスプラインで固定される。キャリアP0は両サイドの側壁45a、45bと軸44とからなり、側壁45bが保持部材3の側壁側で円筒部材55にスプライン連結され、リングギア43がクラッチC4のクラッチドラム64に溶着される。
キャリアP0と連結した円筒部材55はクラッチドラム54の側壁内周部に一体として溶着される。クラッチドラム54はリングギア43の径方向外側で図右側に円筒部が延材され、円筒部内径の軸方向中央のスプライン部に摩擦部材52bがリティニングリング53で固定され図左側にクラッチC1の摩擦部材52a、図右側にクラッチC3の摩擦部材82を係止し、クラッチドラム54の側壁の図右側にクラッチドラム54との間に油圧室を形成して円筒部材55の外周を軸方向に移動可能で摩擦部材52aを固定された摩擦部材52b側に押圧するクラッチC1のピストン56と、クラッチドラム54の側壁の図左側にクラッチドラム54との間に油圧室を形成して円筒部材55の外周を軸方向に移動可能でクラッチドラム54の径方向外側に配されリティニングリング83で固定されたフランジ89を介し摩擦部材82を固定された摩擦部材52b側に押圧するクラッチC3のピストン86と、ピストン56の図右側にピストン56との間に遠心油圧キャンラ室を形成するキャンラプレート87とを付帯する。ピストン86とキャンラプレート87はクラッチドラム54の側壁外側でクラッチドラム54とピストン56の側壁に開けられた複数の穴を貫通してスタッドピン85で一定距離に固定され、スタッドピン85の外周部に配されピストン56とピストン86と一体のキャンラプレート87を押し広げるスプリングホルダー57とリターンスプリング58が配される。
クラッチドラム54はクラッチC1、C3の摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムであり、クラッチC1の摩擦部材52aと交互に配された摩擦部材51を係止しリングギア43の径方向外側を円筒状に延材する伝達経路6とクラッチC3の摩擦部材82と交互に配された摩擦部材81を係止し伝達経路6の円筒状に延材部の径方向外側を円筒状に延材する伝達経路8とが配され、クラッチドラム54と一体となる円筒部材55がブシュ5dにより保持部材3の側壁と第3遊星歯車列40の間の、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
リングギア43と一体となるクラッチC4のクラッチドラム64は図右側が開口され、摩擦部材62aと62bを開口部内径に形成されたスプラインとリティニングリング63で係止するとともに内周側が連結部材65にキャリアP0の側壁45a側で一体に溶着され、連結部材65の外周で軸方向移動可能に保持されるピストン66は、クラッチドラム64との間に油圧室を形成して摩擦部材62aを押圧する。伝達経路6におけるハブのスプライン上には摩擦部材62aと交互に配置される摩擦部材61が係止される。尚、クラッチC1の伝達経路6のハブとクラッチC4の伝達経路6のハブとはクラッチドラム64の図右側で一体となる。
連結部材65の入力軸4との連結部外周にはクラッチC2の摩擦部材72aの押圧端となる固定部材75がリティニングリング79で軸方向に固定され、固定部材75の図左側にはクラッチC2のピストン74が配される。ピストン74とリティニングリング73で一体となるL字断面の円筒部材76はクラッチC4の摩擦部材61、62aの径方向内側の円筒部内径に形成されたスプラインで摩擦部材72aと72bを係止するとともにクラッチドラム64のスプラインとピストン66の径方向外側で噛合い、ピストン74は固定部材75との間に油圧室を形成して摩擦部材72aを固定部材75側に押圧するよう連結部材65の外周で軸方向移動可能に保持される。
ピストン66とピストン74の間には両ピストンを開放側に作用する油圧室が形成されリターンスプリング78が配される。連結部材65はキャリアP0の側壁45aとの間のスラストニードルベアリングと、保持部材3の円筒ボス部端に形成された入力軸4のフランジ外周の径方向に2段に形成されたスプラインの段付き部で軸方向が規制されるとともに径方向が入力軸4に芯出をされ、入力軸4を軸支するニードルベアリング5bにより保持部材3に軸支され、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
本発明の実施例であるV型の自動変速装置について、クラッチC1、C2、C3、及び減速用遊星ギアの配置及び構造が図1、図8と異なる実施例を図13にV‘として示す。この実施例の変速特性は図14と同じであるが、動力を変速装置の出力軸以外に外部に入出力するパワーテイクオフ(PTO)用であり、電動モータ動力を外部から入力するハイブリッド電気自動車用の変速装置としても使用できる。そのため、減速用遊星ギアであるダブル遊星ギアの入力と固定要素を図1、図8と異なるようにした。
クラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアの構造を示す図13において、2連クラッチC1、C2の構造は図8と同じであり説明を省く。減速用遊星ギアである第3遊星歯車列40はダブル遊星ギアのサンギアS0とキャリアP0とリングギアR0とからなり、保持部材3の側壁部がキャリアP0と一体となり固定され、入力軸4と保持部材3の側壁側に位置するサンギアS0が連結部材75と一体として連結され、リングギアR0が外周の段付きスプラインでギア101に軸方向固定として連結されるとともにクラッチC3の摩擦部材81を係止する。ギア101は保持部材3の側壁にリティニングリング47aで固定された軸受5fにリティニングリング47bにより軸方向に固定され回転自在に軸支される。
伝達経路8に繋がるハブはクラッチC3の摩擦部材81と交互に配された摩擦部材82a及び82bを内径に形成されたスプラインとリティニングリング83で係止するとともにプレート84をスプラインで一体として連結する。プレート84は内周で円筒部材85が溶着され、円筒部材85の外周にはプレート84との間に油圧室を形成し軸方向に移動可能で摩擦部材82aを押圧するピストン86と、ピストン86との間に遠心油圧キャンセラ室を形成しリターンスプリング88を保持するリティニングリング89で軸方向に固定されるキャンセラプレート87とが配され、円筒部材85の内周に圧入されたブシュ5dにより第3遊星歯車列40の図右側で、連結部材75の外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
クラッチC2のクラッチドラムと溶着する連結部材75は保持部材3の側壁側に第3遊星歯車列40のサンギアS0が一体として形成され、保持部材3の側壁との間のスラストニードルベアリングと、保持部材3の円筒ボス部端に形成された入力軸4のフランジ外周の径方向に2段に形成されたスプラインの段付き部で軸方向が規制されるとともに径方向が入力軸4に芯出をされ、サンギアS0内周のブシュ5cと入力軸4を軸支するニードルベアリング5bにより保持部材3に軸支され、保持部材3の円筒ボス部外周上でシールリングを介して各油圧室に油が導かれるよう回転自在に配される。
自動変速装置のV型における全体構造を図19と図20に示しその変速特性及び実用的な変速比を図25と図26に示す。V型は入力軸4からの動力が入力される減速用遊星ギアの前部の入力軸4に複数個のクラッチC1、C2が配される構成であり、最も本発明の特徴を出した構造である。既に図14で説明したように4個の構成要素を有した遊星ギア列の違いでV1とV2型の2種に分類したもので、V1型を図19と図25に、V2型を図20と図26に示し、クラッチC1、C2、C3及び減速用遊星ギアとブレーキB1、B2、ワンウェイクラッチの配置及び構造は全く同一になしたものである。したがって遊星ギア列のみの交換で変速比の特性が異なる自動変速装置が設定できる。
V1型の自動変速装置の構造を示す図19において、トルクコンバータ10から遊星ギア列に入力するまでの構造は図1、図8と同一であるため説明を省く。遊星ギア列は入力軸4から出力軸9に向かって第2遊星ギア列30と第1遊星ギア列20が順に配置される。第2遊星ギア列30はサンギアS2(31)と遊星ピニオンギア32を軸支するキャリアP2とリングギアR2(33)とからなり、サンギア31がクラッチC1の伝達経路6のハブに溶着され、側壁34b、34cと軸34aとからなるキャリアP2の側壁34bがクラッチC2の伝達経路7のハブと一体となり、リングギア33がクラッチC3の伝達経路8のハブにスプライン連結されるとともにブレーキB2の摩擦部材を係止する。キャリアP2の側壁34cは内周部が図右側に円筒状に延材され内周にはスプラインが形成される。
第1遊星ギア列20はサンギアS1(21)と遊星ピニオンギア22を軸支するキャリアP1とリングギアR1(23)とからなり、サンギア21がリングギア33の歯部にリティニングリング35により連結され、リングギア23は外周部にパーキング用の歯を形成し転がり軸受5kと5lで変速機ケース1に軸支される出力軸9に溶着される。キャリアP1は側壁24b、24cと軸24aとからなり、側壁24bがリングギア23の径方向外側で図右側に円筒部が延材されブレーキB1の摩擦部材を係止するとともに、第1及び第2遊星ギア列20、30の間に配されたワンウェイクラッチOWCのインナーレース14と連結され、側壁24cがサンギア21の径方向内側で図左側に円筒部が延材され内周にはスプラインが形成される。
変速機ケース1の第1及び第2遊星ギア列20、30が位置する内周にはスプライン状の歯が形成され、ワンウェイクラッチOWCのアウターレースを変速機ケース1にリティニングリングで固定するとともに両サイドにブレーキB2とB1の摩擦部材を係止する。クラッチC3の伝達経路8のハブにスプライン連結されるリングギア33の径方向外側の変速機ケース1にはシリンダとピストン及びリターンスプリングからなるブレーキB2の油圧サーボが配され、出力軸9の軸受5kの径方向外側に位置する変速機ケース1にはピストンとリターンスプリングからなるブレーキB1の油圧サーボが配される。
中継軸11は一端が保持部材3にニードルベアリング5bで軸支される入力軸4の径方向内側に配されたニードルベアリング5gで軸支され、もう一端が変速機ケース1に転がり軸受5kで軸支される出力軸9の径方向内側に配されたニードルベアリング5jで軸支され、キャリアP2の側壁34cとキャリアP1の側壁24cの内周をスプライン連結しキャリアP2とP1を連結するとともに一体として保持する。サンギア31は中継軸11上にブシュ5hで回転自在に保持され、リングギア33と連結したサンギア21は中継軸11と一体となるキャリアP2の側壁34cの外周上でブシュ5iにより回転自在に保持される。入力軸4の軸中心には保持部材3から中継軸11に向かって潤滑油を供給する潤滑穴が明けられ、中継軸11の軸中心にも潤滑穴が明けられ軸外周に向けられ明けられた複数の潤滑穴で各部の潤滑を行う。
図19においてクラッチC3は軸受5dにより保持部材3に軸支され、2連クラッチC1、C2と第3遊星ギア列40のキャリアP0及びリングギアR0は重心を軸受5aと5bの間、且つ又軸受5cと5bの間に置き保持部材3に安定に軸支された状態で動力を伝達経路6、7、8に導き、伝達経路6、7、8と連結する第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素は中継軸11に軸支され、中継軸11は入力軸4と出力軸9の変速機ケース1に繋がる軸受5b、5kの径方向内側で軸受5g、5jにオーバハングされることなく軸支され、各クラッチへの作動油と潤滑油及び第3遊星ギア列40の潤滑油は保持部材3の円筒ボス部外周から短路で供給されるとともに第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素の潤滑油は保持部材から入力軸4と中継軸11の潤滑穴を通して供給される。
V2型の自動変速装置の構造を示す図20において、トルクコンバータ10から遊星ギア列に入力するまでの構造は図1、図8と同一であるため説明を省く。遊星ギア列は入力軸4から出力軸9に向かって第2遊星ギア列30と第1遊星ギア列20が順に配置される。第2遊星ギア列30はサンギアS2(31)と遊星ピニオンギア32を軸支するキャリアP2とリングギアR2(33)とからなり、サンギア31がクラッチC1の伝達経路6のハブに溶着され、側壁34b、34cと軸34aとからなるキャリアP2の側壁34bがクラッチC2の伝達経路7のハブと一体となり、リングギア33がクラッチC3の伝達経路8のハブにスプライン連結されるとともにブレーキB2の摩擦部材を係止する。キャリアP2の側壁34cは内周部が図右側に円筒状に延材され外周にはスプラインが形成される。
第1遊星ギア列20はサンギアS1(21)と遊星ピニオンギア22を軸支するキャリアP1とリングギアR1(23)とからなり、サンギア21が中継軸11と一体として形成され、キャリアP1は側壁24b、24cと軸24aとからなり側壁24cが外周部にパーキング用の歯を形成し転がり軸受5kと5lで変速機ケース1に軸支される出力軸9と一体に成形される。リングギア23は外周部のスプラインでブレーキB1の摩擦部材を係止するとともに歯部にリティニングリングでハブ15が連結され、ハブ15と第1及び第2遊星ギア列20、30の間に配されたワンウェイクラッチOWCのインナーレース14の内周がキャリアP2の側壁34の外周にスプライン連結される。
変速機ケース1の第1及び第2遊星ギア列20、30が位置する内周にはスプライン状の歯が形成され、ワンウェイクラッチOWCのアウターレースを変速機ケース1にリティニングリングで固定するとともに両サイドにブレーキB2とB1の摩擦部材を係止する。クラッチC3の伝達経路8のハブにスプライン連結されるリングギア33の径方向外側の変速機ケース1にはシリンダとピストン及びリターンスプリングからなるブレーキB2の油圧サーボが配され、出力軸9の軸受5kの径方向外側に位置する変速機ケース1にはピストンとリターンスプリングからなるブレーキB1の油圧サーボが配される。このブレーキB1、B2及びワンウェイクラッチOWCは図19に示したV1型と同一である。
中継軸11は一端が保持部材3にニードルベアリング5bで軸支される入力軸4の径方向内側に配されたニードルベアリング5gで軸支され、もう一端が変速機ケース1に転がり軸受5kで軸支される出力軸9の径方向内側に配されたニードルベアリング5jで軸支され、サンギア31がスプライン連結されるとともにサンギア21が一体として形成される。リングギア33はキャリアP2の側壁34cとインナーレース14の間に両サイドがスラストニードルベアリングに挟まれリティニングリング35で歯部に係止されるハブにより回転自在に保持され、キャリアP2の側壁34cは中継軸11上にブシュ5hで回転自在に保持される。
図20において第1及び第2遊星ギア列20、30以外の各部位の軸支方法及び油路は図19のV1型と同一である。図19と図20に示したようにV1型とV2型とは第1及び第2遊星ギア列20、30が異なるだけであり、減速用遊星ギア、クラッチC1、C2、C3、ブレーキB1、B2、ワンウェイクラッチOWC、変速機ケース1及び図指しないコントロールバルブ等共通にでき、自動変速装置として互換性があるものである。
V1とV2型の変速比を図25と図26に示しその違いを説明する。図14及び図25、図26に示したV型の共線図における特色はクラッチC1の入力となる第1構成要素と出力となる第4構成要素の距離が大きいほど低速段の変速比が大きくなり、クラッチC2の入力となる第2構成要素とクラッチC3の入力となる第3構成要素の距離が小さいほど高速段の変速比が小さくなることである。実用的なリングギアとサンギアの歯数比は1.5〜3であり、減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40のリングギアR0とサンギアS0の歯数比をZR0/ZS0=2.000でV1、V2型とも同じとし、V1型の第1及び第2遊星ギア列20、30の歯数比をZR1/ZS1=1.947、ZR2/ZS2=2.467とし、V2型の第1及び第2遊星ギア列20、30の歯数比をZR1/ZS1=2.714、ZR2/ZS2=2.467とする。共線図における第1構成要素と第4構成要素の距離はV2型ではZR1/ZS1=2.714となり、V1型では(ZR1/ZS1)*(ZR2/ZS2)−1=3.803と大きくなる。変速比の特性となるRANGEとしてはV1型が前進1速〜6速(4.803〜0.661)の7.27でV2型が前進1速〜6速(3.714〜0.601)の6.18となり、V1型の方がV2型より変速比がワイドで低速段が大きくなる特色があり、図19と図20に示したように互換性をもって使用できる。尚、後輪駆動車両に実用化された前進6速後進1速の自動変速装置として示した文献3、4、5に用いられる遊星ギア列はV2型であり、前進5、6速で動力は出力回転より増速されるサンギアS2、S1を通過し減速されて出力されるが、V1型では動力が通過しないサンギアS2は出力回転より増速されるものの、その他の構成要素は出力回転より低い回転となり伝達効率の悪化はない。
自動変速装置のW型におけるW2型の全体構造を図21に示す。既に図15で説明したように4個の構成要素を有した遊星ギア列の違いでW1とW2型の2種に分類し、W1型はV1型と同じ遊星ギア列を用いW2型は所謂ラビニョー遊星ギアを用いたものである。W2型は参考文献6,7に示したように実用化されており、それらと対比させたのが図21である。
W2型の自動変速装置の構造を示す図21において、トルクコンバータ10から遊星ギア列に入力するまでの構造は図3、図9と同一であるため説明を省く。遊星ギア列は入力軸4から出力軸9に向かってロング遊星ピニオンギア22aと噛合うサンギアS2(31)とロング遊星ピニオンギア22aと噛合うショート遊星ピニオンギア22bとリングギアP(23)及びショート遊星ピニオンギア22bと噛合うサンギアS1(21)が順に配置される。ロング遊星ピニオンギア22aとショート遊星ピニオンギア22bを軸支するキャリアPは側壁34b、34cと軸34aとからなり、側壁34bの外周がロング遊星ピニオンギア22aの径方向外側で図右側に円筒部が延材されブレーキB1の摩擦部材91を係止するとともに内周が図左側に円筒部が延材されワンウェイクラッチOWCのインナーレース14とスプライン連結され、側壁34cが中継軸11と一体となり形成される。
リングギア23は外周部にパーキング用の歯を形成し転がり軸受5kと5lで変速機ケース1に軸支される出力軸9に溶着される。キャリアPと一体の中継軸11は一端が保持部材3にニードルベアリング5bで軸支される入力軸4の径方向内側に配されたニードルベアリング5gで軸支され、もう一端が変速機ケース1に転がり軸受5kで軸支される出力軸9の径方向内側に配されたニードルベアリング5jで軸支され、入力軸4側でクラッチC2の伝達経路7のハブにスプライン連結され、サンギア21が筒状に入力軸4側に延材され中継軸11上でブシュ5iにより回転自在に軸支されるとともにクラッチC1の伝達経路6のハブにスプライン連結され、サンギア31が筒状に入力軸4側に延材されサンギア21の筒状延材部外周でブシュ5hにより回転自在に軸支されるとともにクラッチC3の伝達経路8のハブに溶着される。
変速機ケース1のサンギア31及びクラッチC2が位置する内周にはスプライン状の歯が形成され、ワンウェイクラッチOWCのアウターレース13を変速機ケース1にリティニングリング96で固定するとともに右サイドにブレーキB1のアウターレース13に当接するリング92bで摩擦部材91と交互に配された摩擦部材92aを係止し、左サイドにクラッチC3の伝達経路8のハブ外周に係止された摩擦部材101と交互に配されたブレーキB2の摩擦部材102a、102bをリティニングリング107で係止する。ブレーキB1、B2のピストン93、103は出力軸9の軸受5kの径方向外側に位置する変速機ケース1に配され、変速機ケース1に形成されたスプライン状の歯の内周に沿ってアウターレース13及び摩擦部材92aの円周部切り欠きを貫通するブレーキB2のピストン103が、変速機ケース1との間で形成される油圧室でブレーキB2の摩擦部材102aを押圧し、ピストン103の径方向内側に変速機ケース1に当接するよう配置されるブレーキB1のピストン93が変速機ケース1及びピストン103との間で形成される油圧室でブレーキB1の摩擦部材92aを押圧し、ピストン93、103にはリティニングリング95で変速機ケース1に固定される共通のプレートに、ピストン103にはプレート106を介しリターンスプリング105とピストン93には直接リターンスプリング94が配される。
参考文献6,7との基本的な違いは図3、図9に既に示したようにクラッチC2とクラッチドラムを共通とした2連クラッチC1、C3及び減速用遊星ギアを保持部材3の円筒ボス部外周に配したことである。加えて図21に示したようにブレーキB1、B2のピストンを重ねて変速機ケース1の出力軸9の外周に配し、ブレーキB1、B2の摩擦部材をワンウェイクラッチOWCの両サイドに配することでよりシンプルとなる効果が得られる。2連クラッチC1、C3及びキャリアP0は軸受5dにより保持部材3に軸支され、クラッチC2とリングギアR0は重心を軸受5aと5bの間に置き保持部材3に安定に軸支された状態で動力を伝達経路6、7、8に導き、伝達経路6、7、8と連結する各構成要素は中継軸11に軸支され、中継軸11は入力軸4と出力軸9の変速機ケース1に繋がる軸受5b、5kの径方向内側で軸受5g、5jにオーバハングされることなく軸支され、各クラッチへの作動油と潤滑油及び第3遊星ギア列40の潤滑油は保持部材3の円筒ボス部外周から短路で供給されるとともに第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素の潤滑油は保持部材から入力軸4と中継軸11の潤滑穴を通して供給される。
自動変速装置のY型における全体構造を図22と図23に示しその変速特性及び実用的な変速比を図27に示す。既に図17で説明したように4個の構成要素を有した遊星ギア列の違いでY1とY2型の2種に分類したものである。しかしながら、Y1とY2型は本発明の主願である減速用遊星ギアを駆動する保持部材の円筒ボス部外周の連結部材にクラッチを設けた点は同じであるが、クラッチC1、C2、C3、C4、ブレーキB1、B2の配置と構造を異ならせたもので、Y1型を図22と図27に、Y2型を図23に示す。尚、図17では減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用いたが、Y2型では基本的な変速特性が同じとなるシングル遊星ギアを用いた。
Y1型はV1型の遊星ギア列と同じであるが、伝達経路6と7の径方向位置が逆となり、伝達経路7と第2遊星ギア列30の連結がV1型では直接キャリアP2の側壁34bと連結するのに対し、Y1型では中継軸11を介して連結する。Y1型の自動変速装置の構造を示す図22において、トルクコンバータ10から遊星ギア列に入力するまでの構造は図5、図10と同一であるため説明を省く。遊星ギア列は入力軸4から出力軸9に向かって第2遊星ギア列30と第1遊星ギア列20が順に配置される。第2遊星ギア列30はサンギアS2(31)と遊星ピニオンギア32を軸支するキャリアP2とリングギアR2(33)とからなり、サンギア31がクラッチC1、C4の伝達経路6のハブに溶着され、リングギア33がクラッチC3の伝達経路8のハブにスプライン連結されるとともにブレーキB2の摩擦部材を係止する。側壁34b、34cと軸34aとからなるキャリアP2の側壁34cは内周部が図右側に円筒状に延材され内周にはスプラインが形成される。
第1遊星ギア列20はサンギアS1(21)と遊星ピニオンギア22を軸支するキャリアP1とリングギアR1(23)とからなり、サンギア21がリングギア33の歯部にリティニングリング35により連結され、リングギア23は外周部にパーキング用の歯を形成し転がり軸受5kと5lで変速機ケース1に軸支される出力軸9に溶着される。キャリアP1は側壁24b、24cと軸24aとからなり、側壁24bがリングギア23の径方向外側で図右側に円筒部が延材されブレーキB1の摩擦部材を係止するとともに、第1及び第2遊星ギア列20、30の間に配されたワンウェイクラッチOWCのインナーレース14と連結され、側壁24cがサンギア21の径方向内側で図左側に円筒部が延材され内周にはスプラインが形成される。
変速機ケース1の第1及び第2遊星ギア列20、30が位置する内周にはスプライン状の歯が形成され、ワンウェイクラッチOWCのアウターレースを変速機ケース1にリティニングリングで固定するとともに両サイドにブレーキB2とB1の摩擦部材を係止する。クラッチC3の伝達経路8のハブにスプライン連結されるリングギア33の径方向外側の変速機ケース1にはシリンダとピストン及びリターンスプリングからなるブレーキB2の油圧サーボが配され、出力軸9の軸受5kの径方向外側に位置する変速機ケース1にはピストンとリターンスプリングからなるブレーキB1の油圧サーボが配される。
中継軸11は一端が保持部材3にニードルベアリング5bで軸支される入力軸4の径方向内側に配されたニードルベアリング5gで軸支され、もう一端が変速機ケース1に転がり軸受5kで軸支される出力軸9の径方向内側に配されたニードルベアリング5jで軸支され、キャリアP2の側壁34cとキャリアP1の側壁24cの内周をスプライン連結しキャリアP2とP1を連結するとともに、入力軸4側でクラッチC2の伝達経路7のハブを一体として溶着する。サンギア31は中継軸11上にブシュ5hで回転自在に保持され、リングギア33と連結したサンギア21は中継軸11と一体となるキャリアP2の側壁34cの外周上でブシュ5iにより回転自在に保持される。入力軸4の軸中心には保持部材3から中継軸11に向かって潤滑油を供給する潤滑穴が明けられ、中継軸11の軸中心にも潤滑穴が明けられ軸外周に向けられ明けられた複数の潤滑穴で各部の潤滑を行う。
図22においてクラッチC3は軸受5dにより保持部材3に軸支され、リングギアR0と2連クラッチC1、C4は第3遊星ギア列40のキャリアP0を駆動する連結部材に軸支され、クラッチC2と第3遊星ギア列40のキャリアP0と一体となる連結部材は重心を軸受5aと5bの間、且つ又軸受5cと5bの間に置き保持部材3に安定に軸支された状態で動力を伝達経路6、7、8に導き、伝達経路6、7、8と連結する第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素は中継軸11に軸支され、中継軸11は入力軸4と出力軸9の変速機ケース1に繋がる軸受5b、5kの径方向内側で軸受5g、5jにオーバハングされることなく軸支され、各クラッチへの作動油と潤滑油及び第3遊星ギア列40の潤滑油は保持部材3の円筒ボス部外周から短路で供給されるとともに第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素の潤滑油は保持部材から入力軸4と中継軸11の潤滑穴を通して供給される。
Y1型の変速比を図27に示す。図17及び図27に示したY型の共線図における特色は入力する遊星ギア列の第3構成要素に入力軸の減速回転を入力し第1構成要素に入力軸の回転と入力軸の減速回転の両方を入力することで、第1構成要素に入力軸の回転を入力するV1型と減速回転の両方を入力するW1型を合わせた特性を持つ。V1、W1型は図14、図15で説明したように前進6速の変速段を持ち、遊星ギア列の第1構成要素への入力回転の違いで前進1速〜4速
の変速比に差ができ前進5、6速は同じとなる。つまり、図27の共線図と変速比の表にしめすように前進10速後進1速が得られる。一般車両では変速装置の変速比は変速装置からタイヤまでに配される終減速比も考慮し6〜0.6が適切とされ、共線図の第1構成要素と出力となる第4構成要素の距離とクラッチC2の入力となる第2構成要素とクラッチC3の入力となる第3構成要素の距離を比較的小さくした方がよい。そこで減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40のリングギアR0とサンギアS0の歯数比をZR0/ZS0=2.000とし、第1及び第2遊星ギア列20、30の歯数比をZR1/ZS1=1.655、ZR2/ZS2=1.600とする。
通常変速は変速特性悪化を避けるため2個の締結要素の1個を切り換えることで行われる。図27のA〜Eの変速パターンを示した表は、クラッチC1から始まるW型をV型のクラッチC4に切り換える変速段を変えたものである。クラッチC1は1st、2nd、4th、7thのW型の4変速段で締結し、クラッチC4は3rd、5th、6th、8thのV型の4変速段で締結しそれぞれ締結要素の1個を切り換えることで変速が行われる。変速パターンAではW型の1stからV型の3rd、5th、6th、8thに変速し、変速パターンBではW型の1st、2nd、4thからV型の6th、8thに変速し、変速パターンCではW型の1st、2ndからV型の5th、6th、8thに変速し、変速パターンDではW型の1st、2nd、4th、7thからV型の8thに変速し、変速パターンEでは3rdの締結要素クラッチC4とブレーキB1のブレーキB1の代わりに自動的に切り換わり変速特性のよいワンウェイクラッチOWCを用いたものを変速パターンAに追加し、W型をV型共通の9th、10thを含めて1stの変速比を10thの変速比で割った値が8.5とワイドになる前進7速段又は8速段とした。
次に、クラッチC1、C4間の切り換えについて説明する。遊星ギア列の第1構成要素へ入力するクラッチC1とC4のクラッチドラムとクラッチC1のピストン間、及びクラッチC1、C2のピストン間に油圧室を設けたためこの油圧室の油圧制御で両クラッチの自動的な締結開放のワンウェイクラッチ制御が可能となる。図29は車両が原動機からの動力で加速している状態のパワーONアップシフトのクラッチC1とC4の作動状態を示すダイアグラムである。クラッチC1からC4に切り換える場合、変速開始時間t1でクラッチC1の作動圧をクラッチが滑り出すB点圧力より少し低く保つ同時にクラッチC4に作動油を送る。t2時間はクラッチC4のピストンが摩擦部材に当接し動かなくなる時間で、t1からt2まではリターンスプリング抵抗とピストンの摺動抵抗と慣性抵抗が圧力となるがこれは小さな圧力である。クラッチC4のピストンが摩擦部材に当接後例えば比例弁で油圧を上げると、両クラッチのピストン間に油圧室があるためクラッチC1の作動圧が逆比例で下がる。t2からt3時間でクラッチC4の摩擦部材への押し付け過重が上がると同時にクラッチC1の摩擦部材への押し付け過重が下がりクラッチC4の圧力制御のみで切り換え制御が可能となる。
クラッチC4からC1に切り換える場合、変速開始時間t1でクラッチC1の作動圧をB点圧力近くまで上げ一定に保つと同時に、クラッチC1のピストンの摺動抵抗と慣性抵抗に対する圧力P3だけ低い圧力までクラッチC4の作動圧を下げクラッチC1のピストンを摩擦部材の方へ動かす。t2時間でクラッチC4のピストンが摩擦部材に当接するがその前後でクラッチC4の作動圧を例えば比例弁で油圧を下げると、両クラッチのピストン間に油圧室があるためクラッチC1の作動圧が逆比例で上がる。t2からt3時間でクラッチC4の摩擦部材への押し付け過重が下がると同時にクラッチC1の摩擦部材への押し付け過重が上がりクラッチC4の圧力制御のみで切り換え制御が可能となる。このように2個のピストンを重ねた2連クラッチを用いるとシンプル・コンパクトになるばかりではなく変速特性が向上し、通常A〜Eで行う1個の締結要素のみの切り換えパターンが2個の締結要素の切り換えでも可能となり変速に多様性が出る。例えば前進4速から5速へ切り換える場合、クラッチC3を開放しブレーキB2を締結すると同時にクラッチC1を開放しクラッチC4を締結しなければならないが、クラッチC1の開放とクラッチC4の締結は片方のみの油圧制御で自動的に行われるため変速特性の大きな悪化がなくなる。当然、例えば前進1速から3速へ切り換えるクラッチC1の開放とクラッチC4の締結のみの切り換えでは変速特性が向上する。
Y2型はW2型の遊星ギア列と同じであり、W2型の伝達経路6に入力軸の回転をクラッチC4を介して入力したもので図23に構造を示す。減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40及びクラッチC1、C2、C3、C4の配置及び構造は既に図7、図12で説明しており、遊星ギア列の配置及び構造も図21で説明しているため説明を省く。図23において2連クラッチC1、C3及びキャリアP0は軸受5dにより保持部材3に軸支され、2連クラッチC2、C4とリングギアR0は重心を軸受5cと5bの間に置き保持部材3に安定に軸支された状態で動力を伝達経路6、7、8に導き、伝達経路6、7、8と連結する各構成要素は中継軸11に軸支され、中継軸11は入力軸4と出力軸9の変速機ケース1に繋がる軸受5b、5kの径方向内側で軸受5g、5jにオーバハングされることなく軸支され、各クラッチへの作動油と潤滑油及び第3遊星ギア列40の潤滑油は保持部材3の円筒ボス部外周から短路で供給されるとともに第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素の潤滑油は保持部材から入力軸4と中継軸11の潤滑穴を通して供給される。
Y1とY2型の減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40及びクラッチC1、C2、C3、C4の配置及び構造の違いは、Y1型が入力軸の回転を伝えるクラッチC2、C4を独立させ、同様に入力軸の減速回転を伝えるクラッチC1、C3も独立させ、伝達経路6に入力するクラッチC1、C4の共通のクラッチドラムを伝達経路6に連結した2重ピストン方式の2連クラッチとしたのに対し、Y2型では入力軸の回転を伝えるクラッチC2、C4をクラッチドラムが共通な2連クラッチとし、同様に入力軸の減速回転を伝えるクラッチC1、C3もクラッチドラムが共通な2連クラッチとし、クラッチC1、C4の出力を伝達経路6に連結したものである。したがって、Y2型の方が2連クラッチを2個使うためシンプル・コンパクトとなるが、Y1型のような2個の締結要素の切り換えに難がでる。
自動変速装置のZ型における全体構造を図24に示しその変速特性及び実用的な変速比を図28に示す。既に図18で説明したように4個の構成要素を有した遊星ギア列の違いでZ1とZ2型の2種に分類し、Z1型はV1、W1型と同じ遊星ギア列を用いZ2型はW2型と同じ所謂ラビニョー遊星ギアを用いたものである。Z2型は特許文献10で公開されており、遊星ギア列の異なるZ1型として対比させたのが図24である。
Z1型はY1型の遊星ギア列と同じであり、Y1型が伝達経路6に入力軸の回転を伝えるクラッチC4と入力軸の減速回転を伝えるクラッチC1の共通のクラッチドラムを連結するのに対し、Z1型では伝達経路8に入力軸の回転を伝えるクラッチC4と入力軸の減速回転を伝えるクラッチC3の共通のクラッチドラムを連結するようになしたものである。Z1型の減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40及びクラッチC1、C2、C3、C4の配置及び構造は既に図6、図11で説明しており、遊星ギア列の配置及び構造もY1型の図22で説明しているため説明を省く。図24において2連クラッチC3、C4は軸受5dにより保持部材3に軸支され、リングギアR0とクラッチC1は第3遊星ギア列40のキャリアP0を駆動する連結部材に軸支され、クラッチC2と第3遊星ギア列40のキャリアP0と一体となる連結部材は重心を軸受5aと5bの間、且つ又軸受5cと5bの間に置き保持部材3に安定に軸支された状態で動力を伝達経路6、7、8に導き、伝達経路6、7、8と連結する第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素は中継軸11に軸支され、中継軸11は入力軸4と出力軸9の変速機ケース1に繋がる軸受5b、5kの径方向内側で軸受5g、5jにオーバハングされることなく軸支され、各クラッチへの作動油と潤滑油及び第3遊星ギア列40の潤滑油は保持部材3の円筒ボス部外周から短路で供給されるとともに第1及び第2遊星ギア列20、30の構成要素の潤滑油は保持部材から入力軸4と中継軸11の潤滑穴を通して供給される。
Z1型の変速比を図28に示す。図18及び図28に示したZ型の共線図における特色は入力する遊星ギア列の第3構成要素に入力軸の回転と入力軸の減速回転の両方を入力し第1構成要素に入力軸の減速回転を入力することで、第3構成要素に入力軸の回転を入力するX型と入力軸の減速回転を入力するW型を合わせた特性を持つ。W型とX型は図15、図16で説明したように前進6速の変速段を持ち、遊星ギア列の第3構成要素への入力回転の違いでW型にX型の前進3速と5速が追加され、逆にX型にW型の前進3速と5速が追加され、前進8速の変速段が得られる。後進はW型の後進1速とX型の後進2速が得られるが、実用上後進1速しか用いないため図18では後進1速のみを記している。つまり、図28の共線図と変速比の表にしめすように前進8速後進1速が得られる。一般車両では変速装置の変速比は変速装置からタイヤまでに配される終減速比も考慮し6〜0.6が適切とされ、共線図の第1構成要素と出力となる第4構成要素の距離とクラッチC2の入力となる第2構成要素とクラッチC3の入力となる第3構成要素の距離を比較的小さくした方がよい。そこで減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40のリングギアR0とサンギアS0の歯数比をZR0/ZS0=2.000とし、第1及び第2遊星ギア列20、30の歯数比をZR1/ZS1=1.655、ZR2/ZS2=1.600とする。これら第1、第2及び第3遊星ギア列20、30、40の歯数比はY1型と同一であり、クラッチC2及び第1、第2遊星ギア列20、30の配置構造も同一でY1型とZ1型は互換性を持たせることが可能となる。
Z型と特許文献10との違いは、減速用遊星ギアである第3遊星ギア列40及びクラッチC1、C2、C3、C4の配置及び構造がZ型では保持部材3の円筒ボス部上に集約され配置されることで、各部位の安定した軸支と油路の簡素化が可能となることである。図28の変速段の変速比を表す表において、Z型では次段への変速及び次々段への変速は締結要素2個の1個の切り換えのみで可能となり、特にクラッチC3、C4の切り換えも2重ピストンとする必要はないが、特許文献10と異なり2重ピストンとすることでよりシンプル・コンパクトでより良い変速特性が可能となるクラッチを提供できる。
本発明のV型の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明のW型の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明の図2とは別のW型を示す実施例の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明のX型の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明のY型の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明のZ型の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明のY型を示す別の実施例であるY‘型の自動変速装置を表し、遊星ギア列を空白で表す模式図 本発明のV型を示す減速用遊星ギアとクラッチの構造図 本発明のW型示す減速用遊星ギアとクラッチの構造図 本発明のY型示す減速用遊星ギアとクラッチの構造図 本発明のZ型示す減速用遊星ギアとクラッチの構造図 本発明のY型を示す別の実施例であるY‘型の減速用遊星ギアとクラッチの構造図 本発明のV型を示す別の実施例であるV‘型の減速用遊星ギアとクラッチの構造図 本発明のV型のギアトレンを示す模式図と共線図 本発明のW型のギアトレンを示す模式図と共線図 本発明のX型のギアトレンを示す模式図と共線図 本発明のY型のギアトレンを示す模式図と共線図 本発明のZ型のギアトレンを示す模式図と共線図 本発明のV1型を示す自動変速装置の構造図 本発明のV2型を示す自動変速装置の構造図 本発明のW2型を示す自動変速装置の構造図 本発明のY1型を示す自動変速装置の構造図 本発明のY2型を示す自動変速装置の構造図 本発明のZ1型を示す自動変速装置の構造図 本発明のV1型を示すギアトレンの模式図と共線図及び変速比表 本発明のV2型を示すギアトレンの模式図と共線図及び変速比表 本発明のY1型を示すギアトレンの模式図と共線図及び変速比表 本発明のZ1型を示すギアトレンの模式図と共線図及び変速比表 本発明の2重ピストン方式におけるクラッチの切り換え特性
符号の説明
1 変速機ケース
2 隔壁
3 保持部材
4 入力軸
9 出力軸
10 トルクコンバータ
11 中継軸
20 第1遊星歯車列
30 第2遊星歯車列
40 第3遊星歯車列
C1、C2、C3、C4 クラッチ
B1、B2、B3 ブレーキ

Claims (10)

  1. 共線図(共通の速度線図)上に、第1、第4、第2及び第3の構成要素を順に並べて配した4個の構成要素からなる遊星ギア列の第1と第3の構成要素に、入力軸の回転と減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転のどちらか一方又は両方を、クラッチを介して入力するとともに第3の構成要素にブレーキを配し、第2の構成要素に、入力軸の回転をクラッチを介して入力するとともにブレーキ及びワンウェイクラッチを配し、第4の構成要素を出力軸に連結した自動変速装置であって、
    前記入力軸と、前記遊星ギア列と、前記出力軸とを軸方向順に配し、
    変速機ケースに脱着可能に固定され、前記入力軸を軸支する保持部材のボス部を前記遊星ギア列側に円筒状に延材し、
    前記保持部材の円筒ボス部の径方向外側に前記減速用遊星ギアと前記複数のクラッチを配し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から前記複数のクラッチの油圧サーボに油を供給する油路を設け、
    前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する連結部材を、前記保持部材の円筒ボス部外周に沿って回転自在に配し、
    前記連結部材と一体となるクラッチドラムを有したクラッチを設けたことを特徴とする自動変速装置。
  2. 前記入力軸の回転を、第1、第2クラッチ(C1)、(C2)を介して前記遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第3クラッチ(C3)を介して前記遊星ギア列の第3の構成要素に連結した前進6速後進1速の自動変速装置であって、
    第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)に連結する摩擦部材の径方向内側に第1クラッチ(C1)第1の構成要素への伝達経路(6)に連結する摩擦部材を配した2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを、前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材と一体に固定し、
    前記減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギア又はキャリアの何れか一方を前記保持部材に固定し、何れか他方を前記入力軸に連結し、
    リングギアと第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記リングギアの外周部に配し、第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周、あるいは前記減速用遊星ギアと前記2連式クラッチ装置との軸間の前記連結部材の外周に回転自在に配して第3の構成要素への伝達経路(8)に連結し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、前記遊星ギア列の第1、第2及び第3の構成要素に繋がる第1、第2及び第3クラッチ(C1)、(C2)、(C3)第1、第2及び第3の構成要素への伝達経路(6)、(7)、(8)を配したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
  3. 前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材の前記減速用遊星ギア側に固定され、第2の構成要素への伝達経路(7)との間に第2クラッチ(C2)の摩擦部材を保持するクラッチドラムと、
    前記連結部材の前記遊星ギア列側に脱着可能に軸方向に固定される固定部材と、
    第2クラッチ(C2)の摩擦部材を保持するクラッチドラムと前記固定部材との間の前記連結部材の外周で軸方向移動可能に保持され、第2クラッチ(C2)の摩擦部材を保持するクラッチドラムとの間に油圧室を形成して第2クラッチ(C2)の摩擦部材を前記遊星ギア列側に押圧する第2クラッチ(C2)のピストンと、
    第2クラッチ(C2)のピストンと前記固定部材との間の前記連結部材の外周で軸方向移動可能に保持され、第2クラッチ(C2)の摩擦部材の径方向内側で第1の構成要素への伝達経路(6)との間に第1クラッチ(C1)の摩擦部材を保持するとともに前記固定部材との間に油圧室を形成して第1クラッチ(C1)の摩擦部材を前記固定部材に押圧する第1クラッチ(C1)のピストンとを有し、
    第1クラッチ(C1)のピストンを第2クラッチ(C2)の摩擦部材を保持するクラッチドラムと一体として回転するよう第2クラッチ(C2)の摩擦部材を保持するクラッチドラムのスプラインと嵌合するとともに、第2クラッチ(C2)のピストン突起部を第2クラッチ(C2)の摩擦部材に当接可能とするよう円周方向に切り欠きを設け、第1と第2クラッチ(C1、C2)とのピストンの間に第1と第2クラッチ(C1、C2)の摩擦部材を開放側に作用する油圧室を形成するとともにリターンスプリングを配した2連式クラッチ装置を介して、
    前記入力軸の回転を、前記遊星ギア列の第1及び第2構成要素に入力する請求項1又は2に記載の自動変速装置。
  4. 前記入力軸の回転を、第2クラッチ(C2)を介して前記遊星ギア列の第2の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第1、第3クラッチ(C1)、(C3)を介して前記遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進6速後進1速の自動変速装置であって、
    第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材と一体に固定し、
    前記減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを用い、サンギアを前記保持部材に固定し、リングギアを前記連結部材に連結し、キャリアを前記リングギアの外周部径方向外側に筒状に配し、
    前記キャリアと第1、第3クラッチ(C1)、(C3)のクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記キャリアの筒状外周部に前記遊星ギア列から順に配し、第1クラッチ(C1)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと第2クラッチ(C2)のクラッチドラムとの軸間の前記連結部材の外周に回転自在に配して第1の構成要素への伝達経路(6)に連結し、
    第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して第3の構成要素への伝達経路(8)に連結し、
    あるいは前記キャリアを、前記保持部材側壁から順に第1、第3クラッチ(C1)、(C3)第1及び第3の構成要素への伝達経路(6)、(8)に連結する摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムに連結し、前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周に前記2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを回転自在に配し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、前記遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がる第2、第1及び第3クラッチ(C2)、(C1)、(C3)第2、第1及び第3の構成要素への伝達経路(7)、(6)、(8)を配したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
  5. 前記入力軸の回転を、第2、第3クラッチ(C2)、(C3)を介して前記遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第1クラッチ(C1)を介して前記遊星ギア列の第1の構成要素に連結した前進6速後進1速の自動変速装置であって、
    第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材と一体に固定し、
    前記減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを前記保持部材に固定し、キャリアを前記連結部材に連結し、
    リングギアと第1クラッチ(C1)のクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記リングギアの外周部に配し、第1クラッチ(C1)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと第2クラッチ(C2)のクラッチドラムとの軸間の前記連結部材の外周に回転自在に配して第1の構成要素への伝達経路(6)に連結し、
    前記キャリアと第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記キャリアに連結したクラッチハブの外周に配し、第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して第3の構成要素への伝達経路(8)に連結し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、前記遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がる第2、第1及び第3クラッチ(C2)、(C1)、(C3)第2、第1及び第3の構成要素への伝達経路(7)、(6)、(8)を配したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
  6. 前記入力軸の回転を、第4、第2クラッチ(C4)、(C2)を介して前記遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第1、第3クラッチ(C1)、(C3)を介して前記遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進10速後進1速の自動変速装置であって、
    第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材と一体に固定し、
    前記減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを前記保持部材に固定し、キャリアを前記連結部材に連結し、リングギアの外周を前記遊星ギア列側に延材し、前記リングギア延材部の内周方向内側でクラッチハブを前記連結部材に連結し、
    前記リングギア及び前記クラッチハブと、第1及び第4クラッチ(C1)、(C4)の円周方向に2段のドラムを有した2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムとを連結する摩擦部材を前記リングギア延材部及び前記クラッチハブの外周部に配し、前記2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと第2クラッチ(C2)のクラッチドラムとの軸間の前記連結部材の外周に回転自在に配して第1の構成要素への伝達経路(6)に連結し、
    前記リングギアと第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記リングギアの外周部に配し、第3クラッチ(C3)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して第3の構成要素への伝達経路(8)に連結し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、前記遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がる第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)第1と第4クラッチ(C1)、(C4)共通の第1の構成要素への伝達経路(6)及び第3クラッチ(C3)第3の構成要素への伝達経路(8)を配したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
  7. 前記入力軸の回転を、第2、第4クラッチ(C2)、(C4)を介して前記遊星ギア列の第2及び第3の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第1、第3クラッチ(C1)、(C3)を介して前記遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進8速後進2速の自動変速装置であって、
    第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)に連結する摩擦部材を保持するクラッチドラムを前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材と一体に固定し、
    前記減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを前記保持部材に固定し、キャリアを前記連結部材に連結し、リングギアの外周を前記保持部材側壁側に延材し、前記リングギア延材部の内周方向内側でクラッチハブを前記キャリアに連結し、
    前記リングギア及び前記キャリアと第3及び第4クラッチ(C3)、(C4)の円周方向に2段のドラムを有した2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記リングギア延材部及び前記クラッチハブの外周部に配し、前記2連式クラッチ装置の一体となるクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配して第3の構成要素への伝達経路(8)に連結し、
    前記リングギアと第1クラッチ(C1)のクラッチドラムを連結する摩擦部材を前記リングギアの外周部に配し、第1クラッチ(C1)のクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと第2クラッチ(C2)のクラッチドラムとの軸間の前記連結部材の外周に回転自在に配して第1の構成要素への伝達経路(6)に連結し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、前記遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がる第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)第1クラッチ(C1)第1の構成要素への伝達経路(6)及び第3と第4クラッチ(C3)、(C4)共通の第3の構成要素への伝達経路(8)を配したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
  8. 前記減速用遊星ギアにダブル遊星ギアを用い、サンギアを前記保持部材に固定し、キャリアを前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材に連結し、
    リングギア外周部を軸方向に延材するとともに前記リングギア延材部の内周方向内側に前記キャリア又は前記連結部材に連結したクラッチハブを設け、
    一方が開口されたコの字断面のクラッチドラムに、L字断面の円筒部材の軸部を前記クラッチドラムの開口側内部で前記クラッチドラムの側壁から一定距離で複数のスタッドピンにより絞め固定して円周方向に2段となるクラッチドラムとし、
    前記リングギア延材部と前記クラッチドラム間及び前記キャリア又は前記連結部材に連結した前記クラッチハブと前記L字断面の円筒部材間に摩擦部材を配し、
    前記クラッチドラムと、前記スタッドピン部を貫通し前記リングギアとの間に配された摩擦部材を押圧するピストンと、前記クラッチハブとの間に配された摩擦部材を押圧するピストンと、クラッチドラムに固定されピストンのリターンスプリングを保持する固定板とを各部材間に油圧室が形成されるよう軸方向順に重ね合わせて配した2連式クラッチのクラッチドラムを介して、
    前記入力軸の回転と、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転とを、前記遊星ギア列の同一構成要素に入力する請求項6又は7に記載の自動変速装置。
  9. 前記入力軸の回転を、第4、第2クラッチ(C4)、(C2)を介して前記遊星ギア列の第1及び第2の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第1、第3クラッチ(C1)、(C3)を介して前記遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した前進10速後進1速の自動変速装置であって、
    第4クラッチ(C4)第1の構成要素への伝達経路(6)に連結する摩擦部材の径方向内側に第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)に連結する摩擦部材を配した2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムを前記入力軸から前記減速用遊星ギアを駆動する前記連結部材と一体に固定し、
    前記減速用遊星ギアにシングル遊星ギアを用い、サンギアを前記保持部材に固定し、リングギアを前記連結部材に連結し、
    キャリアを、前記保持部材側壁から順に第1、第3クラッチ(C1)、(C3)の伝達経路6及び8に連結する摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置の共通するクラッチドラムに連結し、第1、第3クラッチ(C1)、(C3)の共通するクラッチドラムを前記減速用遊星ギアと前記保持部材側壁との軸間の前記保持部材円筒ボス部の外周に回転自在に配し、
    第1と第4クラッチ(C1)、(C4)の出力部を一体として連結し、
    前記保持部材の円筒ボス部外周から外径方向に順に、前記遊星ギア列の第2、第1及び第3の構成要素に繋がる第2クラッチ(C2)第2の構成要素への伝達経路(7)第1と第4クラッチ(C1)と(C4)共通の第1の構成要素への伝達経路(6)及び第3クラッチ(C3)第3の構成要素への伝達経路(8)を配したことを特徴とする請求項1に記載の自動変速装置。
  10. 前記入力軸の回転を、第2クラッチ(C2)又は第4、第2クラッチ(C4)、(C2)を介して前記遊星ギア列の第2又は第1及び第2の構成要素に連結し、前記減速用遊星ギアを介した入力軸の減速回転を、第1、第3クラッチ(C1)、(C3)の摩擦部材を軸方向直列に配する2連式クラッチ装置を介して前記遊星ギア列の第1及び第3の構成要素に連結した請求項4における前進6速後進1速又は請求項9における前進10速後進1速の自動変速装置であって、
    第2クラッチ(C2)又は第4、第2クラッチ(C4)、(C2)の径方向外側に、前記変速機ケースと第3クラッチ(C3)第3の構成要素への伝達経路(8)との間に第3の構成要素への伝達経路(8)を係止する第2ブレーキ(B2)の摩擦部材を配し、
    第2ブレーキ(B2)の摩擦部材から前記出力軸に向かって前記変速機ケースとの間に、前記遊星ギア列の第2の構成要素を一方向に制動する前記ワンウェイクラッチのアウターレースと、前記第2の構成要素を係止する第1ブレーキ(B1)の摩擦部材とを順に配し、
    前記変速機ケースの前記出力軸軸支部の径方向外側に、前記変速機ケースとの間に油圧室を形成し前記第2ブレーキ(B2)の摩擦部材を押圧するピストンと、前記第2ブレーキ(B2)の摩擦部材を押圧するピストンとの間に油圧室を形成し前記ブレーキ1の摩擦部材を押圧するピストンとを重ねて配し、前記第2ブレーキ(B2)の摩擦部材を押圧するピストンの円周突起部が前記ワンウェイクラッチのアウターレースと前記第1ブレーキ(B1)の摩擦部材の円周方向切り欠き部を通過するようになしたことを特徴とする自動変速装置。
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