JP2005097406A - 紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物 - Google Patents

紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 硬化前の粘着剤組成物や硬化後の粘着剤塗布面において、また粘着剤組成物をホットメルトにより基材に塗布する際において、着色や臭気、および、時間経過による粘着物性の変化を生じさせず、かつ、硬化後の粘着剤において、ロット間での品質のばらつきや製品一つ一つにおける品質のムラが少ない、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】 本発明にかかる紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物は、ガラス転移点が80℃以上である重合体部分を形成する重合性単量体成分と、ガラス転移点が0℃未満である重合体部分を形成する重合性単量体成分とを、多段階でラジカル重合させるにあたり、前記ラジカル重合を3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下で開始することにより得られるブロック重合体(A)と水素引き抜き型光重合開始剤(B)とを含むことを特徴とする。
【選択図】 なし

Description

本発明は、紫外線硬化型のホットメルト粘着剤組成物に関する。詳しくは、ホットメルト粘着剤用途に有用な重合体と光重合開始剤とを含む、紫外線硬化型のホットメルト粘着剤組成物に関する。
ホットメルト粘着剤は、溶剤型粘着剤やエマルション型粘着剤と比較して、作業環境の悪化、大気汚染、火災の懸念がなく、乾燥工程が不要なため省エネルギー等の点でも優れていることから、近時多用されるようになってきた。
しかし、従来のホットメルト粘着剤は、その性質上、耐熱性が比較的低く、粘着剤として使用可能な温度範囲に制約があった。
そこで、その耐熱性を向上させるために、重合体成分に架橋構造を導入することが考えられ、架橋構造の導入方法につき種々の提案がなされている。架橋構造を得させるための励起方法としては、紫外線照射による方法が、容易であり、簡便性や経済性に優れ、低温での実施も可能であるため、多くの提案で採用されている。これらの提案の1つとして、(メタ)アクリル酸エステル等を共重合させたアクリル系重合体に、ベンゾフェノンやその誘導体を光重合開始剤として配合してなる、紫外線硬化型の粘着剤組成物がある(例えば、特許文献1〜4参照。)。このタイプの粘着剤組成物では、ベンゾフェノン等のいわゆる水素引き抜き型の光重合開始剤を使用することにより、必要な紫外線照射量を少なくすることができるため、基材の損傷を低減できるほか、紫外線照射工程におけるラインスピードを速くでき(照射時間を短くでき)生産性の向上を図ることができる。
特開平11−140410号公報 特開平11−140411号公報 特開2001−64612号公報 特開2001−354932号公報
水素引き抜き型の光重合開始剤を使用して架橋構造を導入できる粘着剤組成物を使用した場合には、上のような利点があるが、(i)上記架橋構造導入前(硬化前)の粘着剤組成物や上記架橋構造導入後(硬化後)の粘着剤塗布面において、着色が生じるという問題や、(ii)硬化前の粘着剤組成物や硬化後の粘着剤塗布面において、特に粘着剤組成物をホットメルトにより基材に塗布する際において、臭気が発生するという問題や、(iii)硬化前の粘着剤組成物の物性が時間経過とともに変化してしまい、硬化後に所望の粘着物性を有する粘着剤が得られないという問題や、(iv)硬化後の粘着剤の粘着物性が時間経過とともに変化してしまうという問題があり、実用面においてまだ十分でない。また、ロット間での品質のばらつきや、製品一つ一つにおける品質のムラが生じやすいといった問題もあった。これらの点で、特に工業的な製造や使用においては適用し難いものであった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、硬化前の粘着剤組成物や硬化後の粘着剤塗布面において、また粘着剤組成物をホットメルトにより基材に塗布する際において、着色や臭気、および、時間経過による粘着物性の変化を生じさせず、かつ、硬化後の粘着剤において、ロット間での品質のばらつきや製品一つ一つにおける品質のムラが少ない、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った。その過程において、前述した着色や臭気および物性変化は、光重合開始剤の使用量が多いことによる光重合開始剤のブリージング(にじみ出し)が原因であることが判った。また、特に上記物性変化に関しては、ブリージングが生じていない場合であっても、硬化前の粘着剤組成物では紫外線照射していなくても硬化反応が不要に進んでしまうこと、硬化後の粘着剤においては残存した(余剰の)光重合開始剤が余分に硬化反応を進めてしまうこと、が原因になっていることも判った。直接的な対応としては、光重合開始剤の使用量を少なくすることが考えられるが、そうするだけでは十分に架橋構造を導入することができない。
一方、前述した品質のばらつきやムラは、紫外線照射量の厳密な制御によって解消することができると考えられるが、その実行は容易でなく、他方ランプの経時的な消耗があるため、紫外線照射量の厳密な制御のみで問題を解決することはできない。
そこで、本発明者は、光重合開始剤の使用量をさらに少なくしても十分に架橋構造を導入することができ、かつ、紫外線照射量の厳密な制御によることなく、そしてランプの経時的な消耗により紫外線照射量が少なくなる等の振れが生じたとしても、品質のばらつきやムラの生じることがないようにするために、粘着剤組成物に用いる重合体成分の種類を変えることに着目し、思考錯誤と実験を重ねた。そして、重合体成分として星型ブロック重合体を用いれば良いことを見出し、本発明を完成した。
したがって、本発明にかかる紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物は、ガラス転移点が80℃以上である重合体部分を形成する重合性単量体成分と、ガラス転移点が0℃未満である重合体部分を形成する重合性単量体成分とを、多段階でラジカル重合させるにあたり、前記ラジカル重合を3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下で開始することにより得られるブロック重合体(A)と水素引き抜き型光重合開始剤(B)とを含むことを特徴とするか、および/または、
少なくとも3つの鎖状重合体部分が放射状に伸びている星型重合体由来の構造を備え、前記少なくとも3つの鎖状重合体部分がガラス転移点が80℃以上である鎖状重合体部分とガラス転移点が0℃未満である鎖状重合体部分とからなるブロック重合体(A)と、水素引き抜き型光重合開始剤(B)とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、硬化前の粘着剤組成物や硬化後の粘着剤塗布面において、また粘着剤組成物をホットメルトにより基材に塗布する際において、着色や臭気、および、時間経過による粘着物性の変化を生じさせず、かつ、硬化後の粘着剤において、ロット間での品質のばらつきや製品一つ一つにおける品質のムラが少ない、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物を提供することができる。
以下に、本発明にかかる紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更実施し得る。
〔ブロック重合体(A)〕
本発明でいうブロック重合体(A)は、ガラス転移点が80℃以上である重合体部分(好ましくは鎖状重合体部分であり、以下では「高Tg部分」と称することがある。)を形成する重合性単量体成分と、ガラス転移点が0℃未満である重合体部分(好ましくは鎖状重合体部分であり、以下では「低Tg部分」と称することがある。)を形成する重合性単量体成分とを、多段階でラジカル重合させるにあたり、前記ラジカル重合を3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下で開始することにより得られるブロック重合体である。
上述のごとき特定の製法により得られるブロック重合体は、限定はされないが、以下に説明する特定の構造を有するブロック重合体であることが好ましい。
本発明でいうブロック重合体(A)はまた、少なくとも3つの鎖状重合体部分が放射状に伸びている(中心から鎖状重合体部分が放射状に3方向以上に伸びている)星型重合体由来の構造(分岐構造)を備えており、前記少なくとも3つの鎖状重合体部分が、ガラス転移点が80℃以上である鎖状重合体部分とガラス転移点が0℃未満である鎖状重合体部分とからなる、ブロック重合体である。
星型構造由来の分岐構造を有する重合体であることによって、直鎖状ポリマーなどと比較して、同じ分子量であっても低粘度であるという特徴があることから、高分子量体の使用が可能である等の効果を得ることができる。このような星型構造由来の分岐構造を有する重合体であって、ブロック重合体(A)に採用できるものとしては、限定はされず、例えば、従来公知の星型重合体、すなわち、縮合重合体からなる交さ結合型コアと該コアに結合した鎖の末端に官能基を有するアクリル系ブロック重合体連鎖とからなりコアに結合した少なくとも5つのアームからなるハイブリッド星形重合体(特開昭63−132914号公報参照)、ジフェニルエチレン誘導体を中心として重合により生成した3つの重合体部分が放射状に伸びた構造を有する星型共重合体(特開平3−190911号公報参照)、ジチオカルバメート基を利用した光開始ラジカル重合により生成した星型ブロック重合体(Poly. J., 16, 511(1984) 参照)、重合体末端に導入したトリフェニルメチル基を利用した熱開裂ラジカル重合により生成した星型ブロック重合体(Poly. Bull., 16, 277(1985) 参照)、多価メルカプタン部分を中心として2以上の異なる組成を有する複数の重合体部分が放射状に伸びた構造を備える星型ブロック重合体(特開平7−179538号公報)等が好ましく挙げられるが、本発明においては、少なくとも3つの鎖状重合体部分が、多価メルカプタンのメルカプト基(硫黄残基)および/または前記多官能開始剤の官能基を中心として放射状に伸びている構造を備えるブロック重合体がより好ましく挙げられる。ここで、少なくとも3つの鎖状重合体部分が放射状に伸びている構造であるということは、前記多価メルカプタンおよび多官能開始剤は、いずれも3官能以上であることを意味する。
上述のごとき特定の構造を有するブロック重合体は、限定はされないが、先に説明した特定の製法により得られるブロック重合体であることがより好ましい。
本発明でいうブロック重合体(A)は、高Tg部分と低Tg部分とを併せ持つものであり、これにより高い耐熱凝集力を発揮するとともに良好な粘着性をも示すものとなる。これは、高Tg部分が不連続相を形成し、低Tg部分が連続相を形成するといったミクロ相分離構造が形成されることによって、一方では高Tg部分が疑似架橋構造を形成して高い凝集力を発揮するとともに、他方では低Tg部分が良好な粘着性を発現する、という効果によるものと考えられる。
前記高Tg部分については、そのガラス転移点が80℃以上であることが重要であるが、好ましくは90℃以上であり、より好ましくは100℃以上である。前記高Tg部分のガラス転移点が80℃未満であると、前述した高い凝集力等の効果が十分に得られないおそれがある上、それを補う為に光重合開始剤の使用量や紫外線の照射量が多く必要となるおそれがある。また、前記低Tg部分については、そのガラス転移点が0℃未満であることが重要であるが、好ましくは−20℃未満であり、より好ましくは−30℃未満である。前記低Tg部分のガラス転移点が0℃以上であると、前述した良好な粘着性等の効果が十分に得られないおそれがある。なお、本発明においては、ブロック重合体(A)における重合体部分のガラス転移点Tg(℃)とは、下記式(a)(Foxの式):
1/(Tg+273)=Σ〔Wi/(Tgi+273)〕 (a)
(但し、式(a)中、Tgはガラス転移点(℃)、Wiは各モノマー(i)の重量分率、Tgiは各モノマー(i)の単独重合体のガラス転移点(℃)を表す。)
を用いて計算される値であるとする。
前記高Tg部分あるいは前記低Tg部分を形成するための重合性単量体成分の調製に関しては、これら単量体成分を構成するモノマーから計算されるガラス転移点がそれぞれ所望の範囲を満たすように、モノマーの種類やモノマー組成比等を適宜選択し設定すればよい。
前記高Tg部分あるいは前記低Tg部分を形成するための重合性単量体成分を構成するモノマーとして用い得るものとしては、ラジカル重合により単独重合体あるいは共重合体を生成し得るものであれば、限定はされず、例えば、(メタ)アクリル酸;炭素原子数1〜30のアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート系単量体;α−メチルスチレン、ビニルトルエン、スチレン等のスチレン系単量体;フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系単量体;フマル酸、フマル酸のモノアルキルエステル、フマル酸のジアルキルエステル、マレイン酸、マレイン酸のモノアルキルエステル、マレイン酸のジアルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸のモノアルキルエステル、イタコン酸のジアルキルエステル、(メタ)アクリロニトリル、ブタジエン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、ビニルケトン、ビニルピリジン、ビニルカルバゾール等が好ましく挙げられる。なかでも、(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレート系単量体を必須として用いることがより好ましく、アクリル系のブロック重合体(A)を得ることができる。各重合性単量体成分において、これらモノマーは1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明のブロック重合体(A)は、アクリル系のブロック重合体であることが、耐候性、熱安定性および透明性に優れる点で好ましい。また、アクリル系のブロック重合体であることによって、前述した本発明の課題をより一層容易に且つ効果的に解決することができ、所望の効果を容易に得ることができる。
ブロック重合体(A)がアクリル系のブロック重合体である場合、前述した高Tg部分あるいは低Tg部分を形成するための重合性単量体成分中、前記(メタ)アクリル酸や(メタ)アクリレート系単量体を、60重量%以上用いることが好ましく、より好ましくは75重量%以上、さらに好ましくは90重量%以上である。60重量%未満であると、前述したアクリル系のブロック重合体としての所望の効果が得られないおそれがある。
本発明においては、ブロック重合体(A)が、多価メルカプタンを中心とする星型重合体由来の構造を備えるものである場合は、その特性として、鎖状重合体部分の組み合わせが限定されたり、鎖状重合体部分が単独重合体(ホモポリマー)に由来するものに限定されたり、あるいは、鎖状重合体部分を構成するモノマーの種類が限定される、というような不利な点がないため、工業的に利用可能な分野が非常に広いものとなり、かつ、安価に得ることができる。また、ブロック重合体(A)が、多官能開始剤を中心とする星型重合体由来の構造を備えるものである場合は、その特性として、ラジカル反応が多官能開始剤末端から開始され、確実に星型ブロック重合体が得られるため、工業的に利用可能な分野が非常に広いものとなり、かつ、安価に得ることができる。
本発明のブロック重合体(A)を得るに当たり用い得る多価メルカプタン、あるいは、本発明のブロック重合体(A)の星型構造由来の構造の中心となり得る多価メルカプタンは、1分子あたり3個以上のメルカプト基を有する化合物である。なお、この1分子あたりのメルカプト基の個数が3、4、5、・・・であるメルカプタンを、それぞれ、3価のメルカプタン、4価のメルカプタン、5価のメルカプタン・・・と称する。
上記多価メルカプタンとしては、限定はされないが、例えば、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)等のトリオ−ル(トリメチロールプロパンなど)とカルボキシル基含有メルカプタン類とのトリエステル;ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)等の水酸基を4個有する化合物(ペンタエリスリト−ルなど)とカルボキシル基含有メルカプタン類とのポリエステル;ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレ−ト、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等の水酸基を6個有する化合物(ジペンタエリスリトールなど)とカルボキシル基含有メルカプタン類とのポリエステル化合物;その他水酸基を3個以上有する化合物とカルボキシル基含有メルカプタン類とのポリエステル化合物;等が挙げられる。なお、前記カルボキシル基含有メルカプタン類としては、チオグリコール酸、メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸など、1個のメルカプト基と1個のカルボキシル基を有する化合物が挙げられる。上記多価メルカプタンは、1種のみであってもよいし2種以上であってもよい。
上記多価メルカプタンは、効率良く星型ブロック重合体を得るという観点から、また、同一中心から鎖状重合体部分が放射状に伸びた構造にするという観点から、3〜10価のメルカプタンであることが好ましく、より好ましくは3〜6価のメルカプタンである。メルカプト基を1個だけ有するメルカプタンは鎖状重合体部分が放射状に伸びた構造を与えない。また、メルカプト基を2個有するメルカプタンでは、星型構造由来の物性を発揮させることができないおそれがある。10価を超えるメルカプタンであると、同一中心から鎖状重合体が放射状に伸びた構造とはならず、所望の物性が発現しないおそれがある。
3〜6価の多価メルカプタンとしては、限定はされないが、例えば、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオグリコレート、ジペンタエリスリトールヘキサキスチオプロピオネートなどを挙げることができる。このような多価メルカプタンであれば、得られる星型ブロック重合体が、同一中心から鎖状重合体が放射状に伸びた星型構造由来の構造を備えやすく、鎖状重合体部分間の絡み(鎖状重合体部どうしの絡み)による効果(例えば、高凝集力)や相分離構造の形態変化が期待できるという利点がある。
本発明のブロック重合体(A)を得るに当たり用い得る多官能開始剤、あるいは、本発明のブロック重合体(A)の星型構造由来の構造の中心となり得る多官能開始剤は、1分子あたり3個以上の官能基を有する開始剤化合物である。この1分子あたりの官能基の個数が3、4、5、・・・である多官能開始剤を、それぞれ、3価の多官能開始剤、4価の多官能開始剤、5価の多官能開始剤・・・と称する。
上記多官能開始剤としては、限定はされないが、例えば、パーカドックス12−EB20(化薬アクゾ株式会社製の4官能パーオキサイド)などを挙げることができる。
本発明のブロック重合体(A)を得るに当たり、2種以上の重合性単量体成分を多段階でラジカル重合させ、前記ラジカル重合を3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下で開始する方法としては、限定はされないが、例えば、1)前記多価メルカプタンおよび/または多官能開始剤の存在下に、第1段階として、第1の重合性単量体成分のラジカル重合を行い、重合率が50%以上、好ましくは60%以上になってから、そこに第2段階として、第2の重合性単量体成分を滴下重合する方法(例えば、特開平7−179538号公報など)、2)前記1)の方法における第1段階の重合が所定の重合率になった時点で重合を停止させ、その溶液を一旦取り出した後、第2の重合性単量体成分と該溶液とを一括混合するか、または別々に滴下して重合する方法(例えば、特開平11−323363号公報など)などが挙げられる。3種以上の重合性単量体成分を用い、第2段階の重合後さらにラジカル重合工程を行えば、3種以上の重合体ブロック構造を持つブロック重合体を得ることができる。第1段階で重合させる第1の重合性単量体成分としては、高Tg部分と低Tg部分とのいずれを形成するものであってもよいが、高Tg部分を形成する重合性単量体成分が好ましい。
前記ラジカル重合の形態としては、限定はされず、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合などで行うことができるが、なかでも、後述する光重合開始剤(B)を溶液中で配合する場合には、溶液重合が好ましい。なお、前記ラジカル重合において溶剤を用いる場合には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;シクロヘキサン等の脂環族炭化水素類;ヘキサン、ペンタン等の脂肪族炭化水素類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;等の溶剤を用いればよく、この場合、溶剤の使用量は、全反応混合物中5〜90重量%とすることが好ましい。上記溶剤の使用量が、5重量%未満であると、溶液粘度が高くなり、高温で処理する必要性が生じるおそれがあり、90重量%を超えると、重合反応速度が極端に小さくなったり、重合後に除去する溶剤が多くなり、生産性が低下するおそれがある。
前記ラジカル重合における重合温度は、30〜200℃が好ましく、より好ましくは50〜150℃である。上記重合温度が、30℃未満であると、重合反応速度が極端に小さくなり生産性が低下するおそれがあり、200℃を超えると、生成した重合体が熱劣化するおそれがある。
前記ラジカル重合においては、例えば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などのアゾ系開始剤;過酸化ベンゾイルなどの過酸化物系重合開始剤;等の通常用いられるラジカル重合開始剤を用いることもできる。但し、これらラジカル重合開始剤は、前記多価メルカプタンの存在下でラジカル重合を開始する場合に用いることが好ましく、その使用量は、前記多価メルカプタンに対して、重量比で1/3以下とすることが好ましく、1/5以下とすることがより好ましい。上記ラジカル重合開始剤の使用量が多すぎると、多価メルカプタンから伸びた重合体部分以外に、上記ラジカル重合開始剤から伸びた重合体部分が多量に生成し、ブロック重合体の生成効率が低下したり、所望の物性を十分に有するブロック重合体が得られないおそれがある。
本発明のブロック重合体(A)の重量平均分子量は、限定はされないが、20,000〜1,000,000であることが好ましく、より好ましくは50,000〜500,000、さらに好ましくは100,000〜300,000である。上記重量平均分子量が、上記範囲を下回ると、硬化後に得られる粘着剤の耐熱性が不足するおそれがある上、それを補うために光重合開始剤の使用量や紫外線の照射量を必要以上に多く要することとなるおそれがあり、上記範囲を上回ると、粘度が高くなり、粘着剤組成物のホットメルト塗工が困難となる等、作業性が低下するおそれがある。
本発明のブロック重合体(A)の溶融粘度は、限定はされないが、180℃において、500〜500,000mPa・sであることが好ましく、より好ましくは1,000〜200,000mPa・s、さらに好ましくは2,000〜50,000mPa・sである。上記溶融粘度が、上記範囲を下回ると、硬化後に得られる粘着剤の耐熱性が不足するおそれがある上、それを補うために光重合開始剤の使用量や紫外線の照射量を必要以上に多く要することとなるおそれがあり、上記範囲を上回ると、粘着剤組成物のホットメルト塗工が困難となる等、作業性が低下するおそれがある。
〔光重合開始剤(B)〕
本発明でいう光重合開始剤(B)は、水素引き抜き型の光重合開始剤である。水素引き抜き型のものを用いることにより、本発明のホットメルト粘着剤組成物の硬化に必要な紫外線等の光照射量を少なくすることができ、その結果、基材へのダメージ等を低減することができたり、あるいは照射時間を短くすることができ(照射工程における移送スピードを速くすることができ)生産性の向上に繋がる等の効果が得られる。
本発明においては、上記水素引き抜き型光重合開始剤(B)は、限定はされないが、例えば、ベンゾフェノン、チオキサント(チオキサントン)、ベンジルおよびこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
上記ベンゾフェノンの誘導体としては、限定はされないが、例えば、下記一般式(1):
Figure 2005097406
(但し、式(1)中、XおよびXは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、フェノキシ基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、窒素原子含有有機残基および硫黄原子含有有機残基からなる群より選ばれるいずれか1つを表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される化合物が好ましく挙げられ、具体的には、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、3,3´−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4´−メチル−ジフェニルサルファイド、4−モルフォリノベンゾフェノン、4,4´−ジフェノキベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノンなどが好ましく挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記チオキサントの誘導体としては、限定はされないが、例えば、下記一般式(2):
Figure 2005097406
(但し、式(2)中、YおよびYは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、フェノキシ基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、窒素原子含有有機残基および硫黄原子含有有機残基からなる群より選ばれるいずれか1つを表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される化合物が好ましく挙げられ、具体的には、2−クロロチオキサント、2,4−ジメチルチオキサント、2,4−ジエチルチオキサント、2,4−ジイソプロピルチオキサントなどが好ましく挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記ベンジルの誘導体としては、限定はされないが、例えば、下記一般式(3):
Figure 2005097406
(但し、式(3)中、ZおよびZは、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、フェノキシ基、カルボキシル基、水酸基、ハロゲン基、窒素原子含有有機残基および硫黄原子含有有機残基からなる群より選ばれるいずれか1つを表し、互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される化合物が好ましく挙げられ、具体的には、4−メチルベンジル、2,4,6−トリメチルベンジルなどが好ましく挙げられる。これらは、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
これら水素引き抜き型光重合開始剤(B)のなかでも、反応性や耐候黄変性に優れる点で、ベンゾフェノンおよびその誘導体がより好ましく、コスト面や入手のしやすさなどの点で、ベンゾフェノンおよびo−ベンゾイル安息香酸メチルが特に好ましい。上記水素引き抜き型光重合開始剤(B)は、単独で用いても2種以上を併用してもよく、限定はされない。
〔ホットメルト粘着剤組成物〕
本発明の紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物(以下では、本発明の粘着剤組成物と称することがある。)は、前述したブロック重合体(A)と水素引き抜き型の光重合開始剤(B)とを必須成分としてなるものである。これにより、本発明の粘着剤組成物は、硬化させる(紫外線照射により架橋構造を導入する)ことにより、優れた耐熱性と良好な粘着性とを兼ね備えたものとなるとともに、前述した本発明の課題を容易に解決し得るものとなる。
本発明の粘着剤組成物におけるブロック重合体(A)と光重合開始剤(B)との組成比については、限定はされないが、ブロック重合体(A)100重量部に対して光重合開始剤(B)を0.01〜5重量部含んでいることが好ましく、より好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部、特に好ましくは0.05〜0.3である。上記組成比について、光重合開始剤(B)が0.01重量部未満であると、光重合開始剤としての効果が低く、硬化後に得られる粘着剤(粘着テープ等)の耐熱性や粘着保持力が不十分となるおそれがあり、5重量部を超えると、硬化後に得られる粘着剤(粘着テープ等)の粘着力やタックが低下するほか、光重合開始剤のブリージング等により、前述した、着色や臭気の問題や経時的に粘着物性が変化する問題が生じるおそれがある。
本発明の粘着剤組成物は、ブロック重合体(A)および光重合開始剤(B)以外にも他の成分を含んでいてもよい。上記他の成分としては、例えば、粘着付与樹脂、可塑剤、酸化防止剤および光増感剤等の各種添加剤などが挙げられる。これら添加剤は、1種のみ含んでいてもよいし2種以上含んでいてもよい。なお、上記他の成分は、本発明の粘着剤組成物の特性を損なわない範囲で含むようにするが、本発明の粘着剤組成物はホットメルトタイプとして使用するため、特に、揮発性の高い添加剤や熱分解の可能性のある添加剤については、それを十分に考慮することが望ましい。
上記粘着付与樹脂としては、限定はされないが、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、脂肪族系石油樹脂、芳香族系石油樹脂、クマロン−インデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。
上記可塑剤としては、限定はされないが、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、限定はされないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、アクリレート基を持ったフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒンダードアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
上記光増感剤としては、限定はされないが、例えば、トリエチルアミン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル等のアミン化合物;o−トリルチオ尿素等の尿素化合物;ナトリウムジエチルジチオホスフェート等の硫黄化合物;N,N−ジメチル−p−アミノベンゾにトリル等のニトリル化合物;トリ−n−ブチルホスフィン等のリン化合物;ヘキサクロロエタン等の塩素化合物;などが挙げられる。
本発明の粘着剤組成物は、紫外線照射により架橋構造を導入して硬化させることができるが、上記照射に用いる光源としては、例えば、低圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、アーク灯、ガリウムランプなどが好ましく挙げられる。
本発明の粘着剤組成物の調製方法(配合方法)としては、限定はされないが、例えば、溶液重合法で調製されたブロック重合体(A)の溶液に、光重合開始剤(B)を添加し、十分に撹拌後、減圧加熱し、必要であれば押出し機等の脱揮能を有する装置を用いて溶剤を除去する方法や、ブロック重合体(A)と光重合開始剤(B)とを加熱溶融混練する方法などが好ましく挙げられるが、いずれの方法においても、ブロック重合体(A)と光重合開始剤(B)とを十分に撹拌混合し、均一な組成物にしておくことが重要である。
以下に、実施例および比較例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下では、便宜上、「重量部」を単に「部」と、「リットル」を単に「L」と記すことがある。また、「重量%」を「wt%」と記すことがある。
実施例および比較例における測定方法および評価方法について説明する。
<重合体の重量平均分子量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)によりポリスチレン換算値で求めた重量平均分子量をMwGPCとした。
<重合体の溶融粘度>
フローテスター(島津製作所社製)を用い、180℃、ダイ直径0.5mm、ダイ長さ1mm、荷重10kgの条件で測定した。
<粘着剤の粘着力>
JIS Z0237に準拠して、280番のサンドペーパーで研磨されたステンレススチール(SUS304)板に、25mm幅で粘着剤試料をのせ、その上から2kgのゴムローラーを1往復させて貼り付けた後、20分後に速度300mm/分の条件で、180度剥離強度を測定した。
<粘着剤の80℃保持力>
JIS Z0237に準拠して、280番のサンドペーパーで研磨されたステンレススチール(SUS304)板に、25mm×25mmの接着面積で粘着剤試料をのせ、その上から2kgのゴムローラーを1往復させて貼り付けた後、80℃の雰囲気下に30分放置し、上記試料の一端に1kgの荷重をかけ、接着面に対して剪断方向に力がかかるようにステンレススチール板を設置し、上記試料が剥がれ落ちるまでの時間を測定した。
<粘着剤のSAFT>
280番のサンドペーパーで研磨されたステンレススチール(SUS304)板に、25mm×25mmの接着面積で粘着剤試料をのせ、その上から2kgのゴムローラーを1往復させて貼り付けた後、クリープテスター内で30℃で20分間調温し、上記試料の一端に500gの荷重をかけ、接着面に対して剪断方向に力がかかるようにステンレススチール板を設置した。続いて、クリープテスター内の雰囲気を25℃/hの速度で昇温し、上記試料が剥がれ落ちた時の温度を測定した。
<紫外線(UV)照射量(積算光量)>
ウシオ電機社製の積算光量計(製品名:UIT−150−UVD−C365)を用い、感度波長域310〜390nmで測定した。
〔製造例1〕
撹拌装置、窒素導入管、滴下ロート、温度計および冷却管を備えた2Lの4つ口フラスコに、メチルメタクリレート118.2gおよびテトラエチレングリコールジアクリレート1.8gからなる単量体混合物、および、溶剤としての酢酸エチル100gを加え、窒素雰囲気下で85℃まで昇温した。
フラスコの内容物の温度が85℃に達した後、多価メルカプタンとしてのペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート(PETG)4.8g、ラジカル重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.18g、および、酢酸エチル20gを投入して重合を開始した。
重合開始から30分後、さらに、メチルメタクリレート226.6gおよびテトラエチレングリコールジアクリレート3.4gからなる単量体混合物、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート11.2g、アゾビスイソブチロニトリル0.42gおよび酢酸エチル92gを、それぞれ120分かけて滴下した。
滴下終了後、120分間還流状態を維持した後、重合禁止剤としてのメトキシフェノール0.2gと、酢酸エチル400gとを加えて冷却することにより、第1段階の重合を完了させ、ポリマー溶液(a)を得た。なお、この第1段階の重合で形成された重合体部分の計算上のガラス転移点は104℃であった。
次に、撹拌装置、窒素導入管、滴下ロート、温度計および冷却管を備えた2Lの4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル203.6gおよびアクリル酸2.1gからなる単量体混合物、ポリマー溶液(a)85.7gおよび酢酸エチル329gを加え、窒素雰囲気下で85℃まで昇温した。
フラスコの内容物の温度が85℃に達した後、アゾビスイソブチロニトリル0.14gおよび酢酸エチル4gを投入して重合を開始した。
重合開始から10分後、さらに、アクリル酸ブチル475.2gおよびアクリル酸4.8gからなる単量体混合物、ポリマー溶液(a)200.0g、アゾビスイソブチロニトリル0.34gおよび酢酸エチル355gを、それぞれ200分かけて滴下した。
滴下終了後、還流状態を維持し、この間、滴下終了から30分後、60分後および90分後のそれぞれにおいて、アゾビスイソブチロニトリル0.16gおよび酢酸エチル4gを投入した。
その後、さらに還流下で2時間反応させて、第2段階の重合を終了し、得られた重合体溶液を180℃で1時間減圧乾燥して、MwGPCが239,000、溶融粘度が34Pa・sの重合体(A−1)を得た。なお、この第2段階の重合で形成された重合体部分の計算上のガラス転移点は−49℃であった。
〔製造例2〕
撹拌装置、窒素導入管、滴下ロート、温度計および冷却管を備えた2Lの4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル133.5g、アクリル酸2−エチルヘキシル61.6gおよびアクリル酸10.3gからなる単量体混合物、製造例1で得られたポリマー溶液(a)86.5g、溶剤としての酢酸エチル305gを加え、窒素雰囲気下で85℃まで昇温した。
フラスコの内容物の温度が85℃に達した後、ラジカル重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.14gと、酢酸エチル4gとを投入して重合を開始した。重合開始から10分後、さらに、アクリル酸ブチル311.5g、アクリル酸2−エチルヘキシル143.8gおよびアクリル酸12.0gからなる単量体混合物、ポリマー溶液(a)201.9g、アゾビスイソブチロニトリル0.34gおよび酢酸エチル288gを、それぞれ110分かけて滴下した。
滴下終了後、還流状態を維持し、この間、滴下終了から60分後、90分後および120分後のそれぞれにおいて、アゾビスイソブチロニトリル0.18gおよび酢酸エチル4gを投入した。
その後、さらに還流下で2時間反応させて、第2段階の重合を終了し、得られた重合体溶液を180℃で1時間減圧乾燥して、MwGPCが223,000、溶融粘度が21Pa・sの重合体(A−2)を得た。なお、この第2段階の重合で形成された重合体部分の計算上のガラス転移点は−56℃であった。
〔製造例3〕
撹拌装置、窒素導入管、滴下ロート、温度計および冷却管を備えた2Lの4つ口フラスコに、アクリル酸ブチル55.8g、アクリル酸2−エチルヘキシル130.3g、アクリル酸1.9gおよびテトラエチレングリコールジアクリレート0.19gからなる単量体混合物、製造例1で得られたポリマー溶液(a)129.5g、および、溶剤としての酢酸エチル83gを加え、窒素雰囲気下で85℃まで昇温した。
フラスコの内容物の温度が85℃に達した後、ラジカル重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.14gと、酢酸エチル4gとを投入して重合を開始した。
重合開始から10分後、さらに、アクリル酸ブチル130.3g、アクリル酸2−エチルヘキシル304.0g、アクリル酸4.4gおよびテトラエチレングリコールジアクリレート0.44gからなる単量体混合物、ポリマー溶液(a)302.1g、アゾビスイソブチロニトリル0.34gおよび酢酸エチル125gを、それぞれ110分かけて滴下した。
滴下終了後、還流状態を維持し、この間、滴下終了から60分後、90分後および120分後のそれぞれにおいて、アゾビスイソブチロニトリル0.16gおよび酢酸エチル4gを投入した。
その後、さらに還流下で2時間反応させて、第2段階の重合を終了し、得られた重合体溶液を180℃で1時間減圧乾燥して、MwGPCが209,000、溶融粘度が40Pa・sの重合体(A−3)を得た。なお、この第2段階の重合で形成された重合体部分の計算上のガラス転移点は−53℃であった。
〔製造例4〕
撹拌装置、窒素導入管、滴下ロート、温度計および冷却管を備えた1Lの4つ口フラスコに、2−エチルヘキシルアクリレート90g、メチルアクリレート18g、メタクリル酸9g、2−エチルヘキシルオキシジエチレングリコールアクリレート45gおよびメトキシエチルアクリレート18gからなる単量体混合物、および、溶剤としての酢酸エチル252.2gを加え、窒素雰囲気下で82℃まで昇温した。
フラスコの内容物の温度が82℃に達した後、ラジカル重合開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル0.108g、連鎖移動剤としてのn−ドデシルメルカプタン0.36g、および、酢酸エチル18gを投入して重合を開始した。
重合開始から10分後、さらに、2−エチルヘキシルアクリレート210g、メチルアクリレート42g、メタクリル酸21g、2−エチルヘキシルオキシジエチレングリコールアクリレート105gおよびメトキシエチルアクリレート42gからなる単量体混合物、アゾビスイソブチロニトリル0.252g、n−ドデシルメルカプタン0.84gおよび酢酸エチル130gを、それぞれ110分かけて滴下した。
滴下終了後、還流状態を維持し、この間、滴下終了から60分間、90分間および120分後のそれぞれにおいて、アゾビスイソブチロニトリル0.16gおよび酢酸エチル4gを投入した。
その後、さらに還流下で2時間反応させて重合を終了し、得られた重合体溶液を180℃で1時間減圧乾燥して、MwGPCが134,000、溶融粘度が1.9Pa・sの重合体(B−1)を得た。なお、この重合で形成された重合体部分の計算上のガラス転移点は−44℃であった。
〔実施例1〕
製造例1で得られた重合体(A−1)100部を酢酸エチル100部に溶解させた重合体溶液に、光重合開始剤としてのベンゾフェノンを0.5部配合し、十分に撹拌混合した後、160℃、減圧下で溶媒を除去し、粘着剤組成物(1)を得た。
粘着剤組成物(1)を、加熱溶融させた状態でホットメルトコーターを用いて、PETフィルム上に糊厚が25μmとなるように塗工し、室温まで冷却して粘着剤組成物(1)の塗膜を形成した。
粘着剤組成物(1)の塗膜に、UV照射量(積算光量)が200mJ/cmとなるように、80W/cmの高圧水銀ランプ(東芝ライテック社製のUV照射装置、製品名:トスキュア1000)を用いて空気中で紫外線を照射し、粘着剤組成物(1)を架橋処理して、粘着剤試料(1)を得た。
粘着剤試料(1)について、粘着物性(粘着力、80℃保持力およびSAFT)を測定・評価した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〜4〕
実施例1において、重合体の種類、光重合開始剤の種類と配合量、および、UV照射量を、表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物(2)〜(4)および粘着剤試料(2)〜(4)を得た。
粘着剤試料(2)〜(4)それぞれについて、実施例1と同様の測定・評価を行い、その結果を表1に示した。
〔比較例1〜5〕
実施例1において、重合体の種類、光重合開始剤の種類と配合量、および、UV照射量を、表1に示すようにした以外は、実施例1と同様にして、粘着剤組成物(c1)〜(c5)および粘着剤試料(c1)〜(c5)を得た。
粘着剤試料(c1)〜(c5)それぞれについて、実施例1と同様の測定・評価を行い、その結果を表1に示した。
Figure 2005097406
表1に示した結果より、本発明にかかる粘着剤組成物(1)〜(4)は、光重合開始剤量および/またはUV照射量において、粘着剤組成物(c1)〜(c5)よりも少ないかまたは同程度の量であっても、十分に耐熱性に優れた粘着剤を得ることができることが確認された。これは、粘着剤組成物(1)〜(4)に使用した重合体(A−1)〜(A−3)が、もともと、重合体(B−1)には見られない擬似架橋構造(すなわち高い凝集力を発揮し得る構造)を有していることに起因する効果であると考えられる。
また、粘着剤組成物(c1)〜(c5)はUV照射量により粘着物性が大きく変化するのに対し、本発明にかかる粘着剤組成物(1)〜(4)は変化が少ないことが確認された。すなわち、粘着剤組成物(1)〜(4)は、UV照射量が所定量より振れた場合でも、粘着物性(特に80℃保持力)に大きく影響を及ぼさないことが分かった。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、紫外線硬化型のホットメルトタイプの粘着剤組成物として好適に使用することができる。

Claims (5)

  1. ガラス転移点が80℃以上である重合体部分を形成する重合性単量体成分と、ガラス転移点が0℃未満である重合体部分を形成する重合性単量体成分とを、多段階でラジカル重合させるにあたり、前記ラジカル重合を3官能以上の多価メルカプタンおよび/または3官能以上の多官能開始剤の存在下で開始することにより得られるブロック重合体(A)と、
    水素引き抜き型光重合開始剤(B)と、
    を含む、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物。
  2. 少なくとも3つの鎖状重合体部分が放射状に伸びている星型重合体由来の構造を備え、前記少なくとも3つの鎖状重合体部分がガラス転移点が80℃以上である鎖状重合体部分とガラス転移点が0℃未満である鎖状重合体部分とからなるブロック重合体(A)と、
    水素引き抜き型光重合開始剤(B)と、
    を含む、紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物。
  3. 前記星型重合体由来の構造は、前記少なくとも3つの鎖状重合体部分が前記多価メルカプタンのメルカプト基および/または前記多官能開始剤の官能基を中心として放射状に伸びている構造である、請求項2に記載の紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物。
  4. 前記ブロック重合体(A)がアクリル系ブロック重合体である、請求項1から3までのいずれかに記載の紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物。
  5. 前記光重合開始剤(B)がベンゾフェノン、チオキサント、ベンジルおよびこれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つである、請求項1から4までのいずれかに記載の紫外線硬化型ホットメルト粘着剤組成物。
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