JP2005097010A - 炭素材料、その製造方法及び用途 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 平均粒径を0.1〜100μmに調整した天然黒鉛粒子を、フッ化水素含有溶液で浸漬処理する工程及び2400℃以上3300℃未満の温度で熱処理する工程を含み、炭素以外の元素含有率の合計を800ppm以下とすることを特徴とする電池電極用炭素材料の製造方法。放電容量が大きく、クーロン効率に優れた負極材料、及びその負極材料を用いた二次電池が得られる。
【選択図】 なし
Description
[1]平均粒径が0.1〜100μmの天然黒鉛粒子を、フッ化水素含有溶液で浸漬処理する工程及び前記浸漬処理した天然黒鉛粒子を2400℃以上3300℃未満の温度で熱処理する工程を含み、炭素以外の元素含有率の合計を800ppm以下とすることを特徴とする炭素材料の製造方法。
[2]フッ化水素含有溶液で浸漬処理する工程の前に、アルカリ水溶液で浸漬処理する工程を設ける前記1に記載の炭素材料の製造方法。
[3]熱処理工程の前に、フッ化水素含有溶液で浸漬処理した天然黒鉛粒子をバインダーによる結着力および/またはせん断による粒子界面同士のファンデルワールス力により造粒する工程を設ける前記1または2に記載の炭素材料の製造方法。
[4]造粒工程が、フッ化水素含有溶液で浸漬処理した0.1〜50μmの平均粒径を有する天然黒鉛粒子を平均円形度0.85〜0.99、平均粒径0.5〜200μmとなるように造粒を行う工程である前記3に記載の炭素材料の製造方法。
[5]熱処理工程の前に、粒子表面の少なくとも一部を樹脂で被覆する工程を設ける前記1乃至4のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
[6]フッ化水素含有溶液のフッ化水素濃度(HF濃度)が10〜80%である前記1に記載の炭素材料の製造方法。
[7]フッ化水素含有溶液が、硝酸、硫酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸及び蓚酸から選ばれる少なくとも1種が混合された水溶液である前記6に記載の炭素材料の製造方法。
[8]粒子表面の少なくとも一部を被覆する樹脂が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体である前記5に記載の炭素材料の製造方法。
[9]粒子表面の少なくとも一部を被覆する樹脂が、フェノール樹脂である前記5に記載の炭素材料の製造方法。
[10]粒子表面の少なくとも一部を被覆する樹脂の量が、粒子質量の2〜80質量%である前記8に記載の炭素材料の製造方法。
[11]フェノール樹脂が、フェノール類とホルムアルデヒド類の反応時に乾性油またはその脂肪酸を添加して調製されたものである前記9に記載の炭素材料の製造方法。
[12]フェノール類とホルムアルデヒド類の反応時に気相法炭素繊維を存在させ、生成したフェノール樹脂により粒子表面に気相法炭素繊維を付着させる前記9に記載の炭素材料の製造方法。
[13]粒子に付着した気相法炭素繊維の量が、粒子質量の0.01〜20質量%である前記12に記載の炭素材料の製造方法。
[14]炭素以外の元素含有率の合計が800ppm以下の天然黒鉛粒子からなることを特徴とする炭素材料。
[15]粒子表面の少なくとも一部が樹脂を炭化・焼成してなる炭素質材料で被覆されている前記14に記載の炭素材料。
[16]樹脂がフェノール樹脂である前記15に記載の炭素材料。
[17]少なくとも一部の粒子の表面に炭素質材料を介して、内部に中空構造を有し外径2〜1000nm、アスペクト比10〜15000の気相法炭素繊維が付着している前記15に記載の炭素材料。
[18]気相法炭素繊維が、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)0.344nm以下の炭素からなる前記17に記載の炭素材料。
[19]ホウ素を1〜800ppm含有する前記14に記載の炭素材料。
[20]以下の(1)〜(3)の要件を満足する前記14乃至19のいずれかに記載の炭素材料:
(1)平均円形度が0.85〜0.99、
(2)比表面積が0.2〜5m2/g、
(3)平均粒子径が10〜40μm。
[21]前記1乃至13のいずれかに記載の製造方法によって得られた炭素材料。
[22]前記14乃至21のいずれかに記載の炭素材料とバインダーを含む電極ペースト。
[23]前記22に記載の電極ペーストの成形体からなる電極。
[24]前記23に記載の電極を構成要素として含む二次電池。
[25]非水電解液及び電解質を用い、前記非水電解液がエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記24に記載の二次電池。
本発明で使用できる天然黒鉛に特に制限はないが、(002)面における平均面間隔(d002)が0.340nm以下のものが好ましく、さらに好ましくは0.337nm以下のものである。
天然黒鉛は、各種の処理をする前に、必要に応じて所定の粒径に調整される。粒径の調整は、通常、粉砕及び分級により行なう。粒径調整(粉砕)後の粒子形状には限定はなく、例えば塊状、鱗片状、球状、繊維状等のいずれの形状を有するものでもよいが、電池電極用炭素材料としての好適形状である球状が好ましい。特にフロー式粒子像解析装置によって測定される平均円形度(算出方法は後述の実施例の項参照)が0.85〜0.99であることが好ましい。平均円形度が0.85より小さいと電極成形時の充填密度が上がらないため体積当たりの放電容量が低下する。平均円形度が0.99より大きい場合は、微粉部分は円形度が低いため微粉部分がほとんど含まれないことになり、電極成形時の放電容量が上がらない。また前記円形度の値は、0.90未満の粒子の含有率が2〜20個数%の範囲に制御されていることが好ましい。粉体の平均円形度は、例えば、メカノフュージョン(表面融合)処理のような粒子形状制御装置を使用して調整することができる。
粒度を調節した天然黒鉛粒子をフッ化水素含有溶液に浸漬する。この浸漬処理により、シリカ、ケイ酸塩、アルミナ、酸化鉄などの不純物を黒鉛粒子内から溶解除去される。
本発明で用いるフッ化水素含有溶液は、80%HF濃度のもの、46%HF濃度のもの、水との共沸混合物である濃度35.37%の水溶液、他の酸との混合水溶液のいずれもが使用できる。フッ化水素酸の濃度も上記共沸混合物の濃度に限らず、それ以下の濃度、例えば10〜35%の範囲のものも利用できる。混合使用する他の酸としては、硝酸、硫酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸等の無機酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸及び蓚酸等の有機酸が挙げられる。処理時間や処理温度を種々設定すれば、フッ化水素酸の濃度や他の酸の濃度およびフッ化水素酸と他の酸の混合比などは広範囲に設定可能であり、処理条件は特に限定されることはないが、例えばHF濃度として18〜23%、硫酸、硝酸等の無機酸の濃度として20〜40%の混合水溶液が好ましい。このような水溶液を用いることによりフッ化水素酸(単独)と同様、あるいはそれ以上の有用性が認められる。これにより、フッ化水素酸の濃度を低く抑える効果がある。
処理時間は、天然黒鉛の粉砕の程度、処理液濃度と処理液の量的関係、温度などの各種処理条件によって変化するため一義的に定めることは難しいが、不純物の溶出は意外に早く、数分から数時間で十分な場合が多い。
本発明においては、上記酸処理に先立って天然黒鉛粒子をアルカリ水溶液で浸漬処理することが好ましい。アルカリ水溶液により浸漬処理することにより、黒鉛粒子内に存在し、酸に溶けにくいケイ酸をアルカリで先に溶出させた後、残存するケイ酸塩をフッ化水素含有水溶液による浸漬処理により溶出除去させることが可能となる。
アルカリ水溶液は公知のものが利用でき、特に制限はなく、濃度も特に制限は無いが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどケイ酸を良く溶かすものが好ましい。
処理時間は、上記酸処理と同様に、天然黒鉛の粉砕の程度、処理液濃度と処理液の量的関係、温度などの各種処理条件によって変化するため一義的に定めることは難しいが、通常は数分から数時間程度である。
フッ化水素含有溶液に浸漬処理した天然黒鉛粒子を必要に応じて造粒する。フッ化水素含有溶液やアルカリ水溶液の浸漬による天然黒鉛の不純物除去処理は、処理すべき天然黒鉛粒子が大きければ、処理液が粒子内部に浸透する時間が長くなり不純物溶出・除去に必要な時間も長くなる。したがって、小さな天然黒鉛粒子に対して浸漬処理をした後、電池電極用炭素材料としての所望の粒径となるように造粒することが、不純物の除去効率の点等から好ましい。
本発明においては、熱処理前の粒子、すなわちフッ化水素含有溶液に浸漬処理した天然黒鉛粒子またはその粒子を造粒してなる粒子を、必要に応じて樹脂により処理する。ここで、樹脂による処理とは、粒子表面に樹脂を付着させる処理及び/または粒子内部に樹脂を浸透させる処理をいう。
黒鉛粒子を樹脂処理し、後の熱処理によりこの樹脂を炭化・焼成すれば、二次電池用電極として使用した場合、電解液の分解によると思われるクーロン効率(「1回目の放電容量/充電容量」)の低下、不可逆容量の増加、サイクル特性の低下が抑制することが可能となる。
付着及び/または浸透時の雰囲気としては、大気圧下、加圧下、減圧下のいずれであっても良いが、黒鉛粒子と樹脂原料の親和性が向上することから減圧下で付着させる方法が好ましい。
まず、反応容器にフェノール類、ホルムアルデヒド類及び反応触媒と黒鉛粒子を加えて撹拌する。このとき、溶媒として少なくとも撹拌可能な量の水を存在させることが好ましい。フェノール類とホルムアルデヒド類の配合比率はモル比でフェノール類1に対してホルムアルデヒド類1〜3.5の範囲内に設定することが好ましい。さらに黒鉛粒子はフェノール類100質量部に対して5〜3000質量部の範囲内に設定することが好ましい。
撹拌前及び/または撹拌中に、前述したように1回から十数回の真空引きを行うことができる。ただし、真空にするとフェノール類、ホルムアルデヒド類が多く揮発するので、炭素質粒子を水と混合してから真空引きを行い、常圧に戻した後フェノール類とホルムアルデヒド類を加えて混合することもできる。
フェノール類、ホルムアルデヒド類、触媒類、黒鉛粒子、水の混合を実施すると、反応系は反応当初マヨネーズ程度の粘度を有しているが、次第に黒鉛粒子を含んだフェノール類とホルムアルデヒド類との縮合反応物が反応系中の水と分離し始める。所望するまで反応が進んだ後、撹拌を停止させ、冷却すると黒色粒子が沈殿物として生成する。これを洗浄、ろ過し、溶剤を熱風乾燥、真空乾燥等公知の方法により十分に乾燥した後、使用することができる。
本発明において黒鉛粒子に付着させて使用する気相法炭素繊維は導電性に優れている必要があるので、結晶化度の高いものが望ましい。また、炭素材料を電極化し、リチウムイオン二次電池に組み込んだ場合、負極全体に素早く電流を流すことが必要であるので、気相法炭素繊維繊維の結晶成長方向は繊維軸に平行であり、繊維が枝分かれ(分岐状)をしていることが好ましい。また、分岐状繊維であれば炭素粒子間が繊維によって電気的に接合し易くなり、導電性が向上する。
気相法炭素繊維は、製造した状態のままのもの、例えば800〜1500℃で熱処理したもの、例えば2000〜3000℃で黒鉛化処理したもののいずれも使用可能であるが、1500℃程度で熱処理されたものがより好適である。
また、粒子間に気相法炭素繊維が入ることで、電解液の保液性が大きくなり、低温環境時でもスムーズにリチウムイオンのドープ・脱ドープが行われる。
具体的には、樹脂自体を溶解した溶液に気相法炭素繊維と黒鉛粒子を混合・撹拌する方法や、樹脂原料としてのモノマー成分、触媒、添加剤等を溶解した溶液に気相法炭素繊維と黒鉛粒子を混合・撹拌した後、重合させる方法等により行なうことができる。
その他、気相法炭素繊維を使用すること以外は、前記した樹脂の付着・浸透処理と同様に行なうことができる。
本発明では、上記酸処理した黒鉛粒子、それを造粒した粒子、またはそれらの粒子を樹脂で処理し必要に応じて気相法炭素繊維を表面に付着させた粒子を2400〜3300℃の熱処理に付す。熱処理することにより表面に存在する樹脂等が黒鉛化され、全体として放電容量が増えるとともに、活性点の減少による初期効率の向上が期待できる。また、黒鉛粒子を樹脂で処理した場合には、粒子に付着等した樹脂はこの熱処理により炭化・焼成された炭素質材料となる。
以上の方法により製造される本発明の電池電極用炭素材料は、炭素以外の元素含有率の合計が800ppm以下にまで低減された、不純物の少ない炭素材料である。製造条件を調整することにより、炭素以外の元素含有率の合計を700ppm以下、さらには350ppm以下とすることもできる。
本発明の電池電極用炭素材料を構成する粒子は、フロー式粒子像解析装置によって測定される平均円形度が0.85〜0.99であることが好ましい。平均円形度が0.85より小さいと電極成形時の充填密度が上がらないため体積当たりの放電容量が低下する。また、平均円形度が0.99より大きい場合は、微粉部分は円形度が低いため微粉部分がほとんど含まれないことになり、電極成形時の放電容量が上がらない。更に該円形度の値が0.90未満の粒子の含有率が2〜20個数%の範囲に制御されていることが好ましい。
平均粒径が1μmより小さいとアスペクト比が大きくなりやすく、比表面積が大きくなりやすい。また、例えば、電池の電極を作製する場合、一般に負極材料をバインダーによりペーストとし、それを塗布する方法が採られている。負極材料の平均粒径が1μm未満の場合だと、1μmより小さい微粉がかなり含まれていることになり、ペーストの粘度が上がり塗布性も悪くなる。
さらに、平均粒径80μm以上のような大きな粒子が混入していると電極表面に凹凸が多くなり、電池に使用されるセパレータを傷つける原因ともなる。例えば、1μm以下の粒子及び80μm以上の粒子を実質的に含まないものが好適に使用できる。
本発明の電池電極用炭素材料は、例えば、リチウムイオン二次電池の負極材として好適に使用できる。本発明の電池電極用炭素材料を用いたリチウムイオン二次電池は、公知の方法により製造することができる。
バインダーについては、ポリフッ化ビニリデンやポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系ポリマーや、SBR(スチレンブタジエンラバー)等のゴム系等公知のものが使用できる。溶媒には、各々のバインダーに適した公知のもの、例えばフッ素系ポリマーの場合はトルエン、N−メチルピロリドン等、SBRの場合は水等、公知のものが使用できる。
負極材料とバインダーとの混錬には、リボンミキサー、スクリュー型ニーダー、スパルタンリューザー、レディゲミキサー、プラネタリーミキサー、万能ミキサー等公知の装置が使用できる。
集電体としては、銅、アルミニウム、ステンレス、ニッケル及びそれらの合金など公知の材料が使用できる。
セパレーターは公知のものが使用できるが、特にポリエチレンやポリプロピレン性の不織布が好ましい。
下記例で用いた物性等は以下の方法により測定した。
炭素材料の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100(シスメックス社製)を用いて以下のように測定した。
測定用試料は106μmのフィルターを通して微細なゴミを取り除いて精製した。その試料0.1gを20mlのイオン交換水中に添加し、陰・非イオン界面活性剤0.1〜0.5質量%加えることによって均一に分散させ、測定用試料分散液を調製した。分散は、超音波洗浄機UT−105S(シャープマニファクチャリングシステム社製)を用い、5分間処理することにより行った。
測定原理等の概略は、「粉体と工業」,VOL.32,No.2,2000、特開平8−136439号公報などに記載されているが、具体的には以下の通りである。
測定試料の分散液がフラットで透明なフローセル(厚み約200μm)の流路を通過したときにストロボ光が1/30秒間隔で照射され、CCDカメラで撮像される。その静止画像を一定枚数撮像し画像解析し、下記式によって算出した。
円形度=(円相当径から求めた円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
円相当径とは実際に撮像された粒子の周囲長さと同じ投影面積を持つ真円の直径であり、この円相当径から求めた円の周囲長を実際に撮像された粒子の周囲長で割った値である。例えば真円で1、形状が複雑になるほど小さい値となる。平均円形度は、測定された粒子個々に円形度の平均値である。
レーザー回析散乱式粒度分布測定装置マイクロトラックHRA(日機装(株)製)を用いて測定した。
比表面積測定装置NOVA−1200(ユアサアイオニクス(株)製)を用いて、一般的な比表面積の測定方法であるBET法により測定した。
C0:X線回折法によって求めた。
不純物量:蛍光X線分析法によって測定した。
(1)ペースト作成
負極材料1質量部に呉羽化学製KFポリマーL1320(ポリビニリデンフルオライド(PVDF)を12質量%含有したN−メチルピロリドン(NMP)溶液品)0.1質量部を加え、プラネタリーミキサーにて混練し主剤原液とした。
主剤原液にNMPを加え、粘度を調整した後、高純度銅箔上でドクターブレードを用いて250μm厚に塗布した。これを120℃、1時間真空乾燥し、18mmφに打ち抜いた。さらに、打ち抜いた電極を超鋼製プレス板で挟み、プレス圧が電極に対して約1×102〜3×102N/mm2(1×103〜3×103kg/cm2)となるようにプレスした。その後、真空乾燥器で120℃、12時間乾燥後し、評価用電極とした。
下記のようにして三極セルを作製した。なお以下の操作は露点−80℃以下の乾燥アルゴン雰囲気下で実施した。
ポリプロピレン製のねじ込み式フタ付きのセル(内径約18mm)内において、上記(2)で作製した銅箔付き炭素電極(正極)と金属リチウム箔(負極)をセパレーター(ポリプロピレン製マイクロポ−ラスフィルム(セルガ−ド2400))で挟み込んで積層した。さらにリファレンス用の金属リチウムを同様に積層した。これに電解液を加えて試験用セルとした。
(i)EC系:EC(エチレンカーボネート)8質量部及びDEC(ジエチルカーボネート)12質量部の混合品で、電解質としてLiPF6を1モル/リットル溶解した。
電流密度0.2mA/cm2(0.1C相当)で定電流低電圧充放電試験を行った。
充電(炭素へのリチウムの挿入)はレストポテンシャルから0.002Vまで0.2mA/cm2でCC(コンスタントカレント:定電流)充電を行った。次に0.002VでCV(コンスタントボルト:定電圧)充電に切り替え、電流値が25.4μAに低下した時点で停止させた。
放電(炭素からの放出)は0.2mA/cm2(0.1C相当)でCC放電を行い、電圧1.5Vでカットオフした。
中国製天然黒鉛(灰分量16.5質量%,成分詳細は表1参照)をハンマーミル(ホソカワミクロン製バンタムミル)で粉砕し、気流分級機(日清エンジニアリング製ターボクラシファイアー)にて平均粒径5μmに調整し、天然黒鉛微粉を製造した。
46%フッ化水素酸50質量部と蒸留水50質量部を混合した酸性水溶液(酸A)と、試薬1級97%硫酸50質量部と蒸留水50質量部を混合した酸性水溶液(酸B)を調製し、さらに、酸Aの50質量部と酸Bの50質量部を混合した酸性水溶液(酸C)を調製した。
天然黒鉛微粉100質量部に酸C300質量部を加え、25℃で6時間撹拌混合した。その後、ろ過して水洗し、120℃で5時間乾燥した。
これを、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて球状化処理を実施し、平均粒径20μmとした後、黒鉛るつぼに詰め、アルゴン雰囲気中で2800℃まで加熱し、得られた微粉を負極材料とした。
実施例1で調製した天然黒鉛微粉100質量部に1モル/リットルの濃度の水酸化ナトリウム水溶液300質量部を加え25℃で6時間撹拌混合した。これをろ過、水洗し、その全量に酸C300質量部を加え25℃で6時間撹拌混合した。その後、ろ過して水洗し、120℃で5時間乾燥した。
これを、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて球状化処理を実施し、平均粒径20μmとした後、黒鉛るつぼに詰め、アルゴン雰囲気中で2800℃まで加熱し、得られた微粉を負極材料とした。
実施例1で調製した天然黒鉛微粉100質量部と1モル/リットルの濃度の水酸化ナトリウム水溶液300質量部を加え25℃で6時間撹拌混合した。これをろ過、水洗し、その全量に酸C300質量部を加え25℃で6時間撹拌混合した。その後、ろ過して水洗し、120℃で5時間乾燥した。
これを、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて球状化処理を実施し、平均粒径20μmとした。この粉体を500質量部、フェノールを398質量部、37%ホルマリンを466質量部、反応触媒としてヘキサメチレンテトラミンを38質量部、さらに水を385質量部それぞれ投入した。これを60rpmで20分撹拌した。次に撹拌しつつ容器を0.4kPa(3Torr)まで真空引きして5分間保持し、大気圧まで戻す操作を3回繰り返し、造粒物内部まで液を含浸させた。さらに撹拌を続けつつ150℃に加熱して保持した。内容物は最初マヨネーズ状の流動性を有していたが、次第に、黒鉛を含むフェノールとホルムアルデヒドとの反応物と水を主体とする層が分離しはじめ、約15分後に黒鉛とフェノール樹脂とからなる黒色の粒状物が反応容器内に分散した状態となった。この後、さらに60分間150℃で撹拌した後反応容器の内容物を30℃まで冷却し、撹拌を停止した。容器の内容物を濾過して得た黒色粒状物を水洗後、更にろ過して流動層式の乾燥機を用いて、熱風温度55℃で5時間乾燥することで、黒鉛・フェノール樹脂粒状物を得た。
次にこの黒鉛フェノール樹脂粒状物を、ヘンシェルミキサーにて1800rpmで5分間解砕した。これを加熱炉に入れ、炉内部を真空置換してアルゴン雰囲気下とした後、アルゴンガスを流しつつ昇温した。2800℃で10分間保持してその後冷却した。室温まで冷却後、得られた熱処理品を目開き63μmの篩により篩分けし、篩下の微粉を負極材料とした。
実施例1で調製した天然黒鉛微粉100質量部と酸B300質量部を25℃で6時間撹拌混合した。その後ろ過して水洗し、120℃で5時間乾燥した。
これを、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて球状化処理を実施し、平均粒径20μmとした後、黒鉛るつぼに詰め、アルゴン雰囲気中で2800℃まで加熱し、得られた微粉を負極材料とした。
実施例1で調製した天然黒鉛微粉100質量部と酸B300質量部を25℃で6時間撹拌混合した。その後ろ過して水洗し、120℃で5時間乾燥した。
これを、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて球状化処理を実施し、平均粒径20μmとした後、実施例3と同様のコート処理を行った。これを黒鉛るつぼに詰め、アルゴン雰囲気中で2800℃まで加熱し、得られた微粉を負極材料とした。
比較例2において2800℃で加熱する代わりに1000℃で加熱し、それ以外は比較例2と同様に操作し微粉を得、負極材料とした。
実施例1で調製した天然黒鉛微粉を、ホソカワミクロン製メカノフュージョンにて球状化処理を実施し、平均粒径20μmとした後、黒鉛るつぼに詰め、アルゴン雰囲気中で2800℃まで加熱し、得られた微粉を負極材料とした。
Claims (25)
- 平均粒径が0.1〜100μmの天然黒鉛粒子を、フッ化水素含有溶液で浸漬処理する工程及び前記浸漬処理した天然黒鉛粒子を2400℃以上3300℃未満の温度で熱処理する工程を含み、炭素以外の元素含有率の合計を800ppm以下とすることを特徴とする炭素材料の製造方法。
- フッ化水素含有溶液で浸漬処理する工程の前に、アルカリ水溶液で浸漬処理する工程を設ける請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
- 熱処理工程の前に、フッ化水素含有溶液で浸漬処理した天然黒鉛粒子をバインダーによる結着力および/またはせん断による粒子界面同士のファンデルワールス力により造粒する工程を設ける請求項1または2に記載の炭素材料の製造方法。
- 造粒工程が、フッ化水素含有溶液で浸漬処理した0.1〜50μmの平均粒径を有する天然黒鉛粒子を平均円形度0.85〜0.99、平均粒径0.5〜200μmとなるように造粒を行う工程である請求項3に記載の炭素材料の製造方法。
- 熱処理工程の前に、粒子表面の少なくとも一部を樹脂で被覆する工程を設ける請求項1乃至4のいずれかに記載の炭素材料の製造方法。
- フッ化水素含有溶液のフッ化水素濃度(HF濃度)が10〜80%である請求項1に記載の炭素材料の製造方法。
- フッ化水素含有溶液が、硝酸、硫酸、塩酸、臭素酸、ヨウ素酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸及び蓚酸から選ばれる少なくとも1種が混合された水溶液である請求項6に記載の炭素材料の製造方法。
- 粒子表面の少なくとも一部を被覆する樹脂が、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フラン樹脂、セルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む重合体である請求項5に記載の炭素材料の製造方法。
- 粒子表面の少なくとも一部を被覆する樹脂が、フェノール樹脂である請求項5に記載の炭素材料の製造方法。
- 粒子表面の少なくとも一部を被覆する樹脂の量が、粒子質量の2〜80質量%である請求項8に記載の炭素材料の製造方法。
- フェノール樹脂が、フェノール類とホルムアルデヒド類の反応時に乾性油またはその脂肪酸を添加して調製されたものである請求項9に記載の炭素材料の製造方法。
- フェノール類とホルムアルデヒド類の反応時に気相法炭素繊維を存在させ、生成したフェノール樹脂により粒子表面に気相法炭素繊維を付着させる請求項9に記載の炭素材料の製造方法。
- 粒子に付着した気相法炭素繊維の量が、粒子質量の0.01〜20質量%である請求項12に記載の炭素材料の製造方法。
- 炭素以外の元素含有率の合計が800ppm以下の天然黒鉛粒子からなることを特徴とする炭素材料。
- 粒子表面の少なくとも一部が樹脂を炭化・焼成してなる炭素質材料で被覆されている請求項14に記載の炭素材料。
- 樹脂がフェノール樹脂である請求項15に記載の炭素材料。
- 少なくとも一部の粒子の表面に炭素質材料を介して、内部に中空構造を有し外径2〜1000nm、アスペクト比10〜15000の気相法炭素繊維が付着している請求項15に記載の炭素材料。
- 気相法炭素繊維が、X線回折法による(002)面の平均面間隔(d002)0.344nm以下の炭素からなる請求項17に記載の炭素材料。
- ホウ素を1〜800ppm含有する請求項14に記載の炭素材料。
- 以下の(1)〜(3)の要件を満足する請求項14乃至19のいずれかに記載の炭素材料:
(1)平均円形度が0.85〜0.99、
(2)比表面積が0.2〜5m2/g、
(3)平均粒子径が10〜40μm。 - 請求項1乃至13のいずれかに記載の製造方法によって得られた炭素材料。
- 請求項14乃至21のいずれかに記載の炭素材料とバインダーを含む電極ペースト。
- 請求項22に記載の電極ペーストの成形体からなる電極。
- 請求項23に記載の電極を構成要素として含む二次電池。
- 非水電解液及び電解質を用い、前記非水電解液がエチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ビニレンカーボネート、γ−ブチロラクトン及びプロピレンカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項24に記載の二次電池。
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