以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態の基板処理装置の上面図である。また、図2は基板処理装置の液処理部の正面図であり、図3は熱処理部の正面図であり、図4は基板載置部の周辺構成を示す図である。なお図1〜4には、鉛直方向をZ軸方向とするXYZ直交座標系を付している。
本実施形態の基板処理装置は、半導体ウェハ等の基板に反射防止膜やフォトレジスト膜を塗布形成するとともに、パターン露光後の基板に現像処理を行う装置である。なお、本発明に係る基板処理装置の処理対象となる基板は半導体ウェハに限定されるものではなく、液晶表示器用のガラス基板等であっても良い。また、本発明に係る基板処理装置の処理内容は塗布膜形成や現像処理に限定されるものではなく、エッチング処理や洗浄処理であっても良い。
本実施形態の基板処理装置は、インデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像処理ブロック4およびインターフェイスブロック5の5つの処理ブロックを並設して構成されている。インターフェイスブロック5には本基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置(ステッパ)STPが接続配置されている。
インデクサブロック1は、複数のカセットC(本実施形態では4個)を並べて載置する載置台6と、各カセットCから未処理の基板Wを取り出すとともに、各カセットCに処理済みの基板Wを収納する基板移載機構7とを備えている。基板移載機構7は、載置台6に沿って(Y軸方向に沿って)水平移動可能な可動台7aを備えており、この可動台7aに基板Wを水平姿勢で保持する保持アーム7bが搭載されている。保持アーム7bは、可動台7a上を昇降(Z軸方向)移動、水平面内の旋回移動、および旋回半径方向に進退移動可能に構成されている。これにより、基板移載機構7は、保持アーム7bを各カセットCにアクセスさせて未処理の基板Wの取り出しおよび処理済みの基板Wの収納を行うことができる。なお、カセットCの形態としては、基板Wを密閉空間に収納するFOUP(front opening unified pod)の他に、SMIF(Standard Mechanical Inter Face)ポッドや収納基板Wを外気に曝すOC(open cassette)であっても良い。
インデクサブロック1に隣接してバークブロック2が設けられている。インデクサブロック1とバークブロック2との間には、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13に、インデクサブロック1とバークブロック2との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS1,PASS2が上下に積層して設けられている。
上側の基板載置部PASS1は、インデクサブロック1からバークブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1は3本の支持ピンを備えており、インデクサブロック1の基板移載機構7はカセットCから取り出した未処理の基板Wを基板載置部PASS1の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS1に載置された基板Wを後述するバークブロック2の搬送ロボット10Aが受け取る。一方、下側の基板載置部PASS2は、バークブロック2からインデクサブロック1へ基板Wを搬送するために使用される。基板載置部PASS1も3本の支持ピンを備えており、バークブロック2の搬送ロボット10Aは処理済みの基板Wを基板載置部PASS2の3本の支持ピン上に載置する。そして、基板載置部PASS2に載置された基板Wを基板移載機構7が受け取ってカセットCに収納する。なお、後述する基板載置部PASS3〜PASS10の構成も基板載置部PASS1,PASS2と同じである。
図4に示されるように、基板載置部PASS1,PASS2は、隔壁13の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS1,PASS2には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて基板移載機構7やバークブロック2の搬送ロボット10Aが、基板載置部PASS1,PASS2に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。
次に、バークブロック2について説明する。バークブロック2は、露光時に発生する定在波やハレーションを減少させるために、フォトレジスト膜の下地に反射防止膜を塗布形成するための処理ブロックである。バークブロック2は、基板Wの表面に反射防止膜を塗布形成するための下地塗布処理部8と、反射防止膜の塗布形成に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー9と、下地塗布処理部8および熱処理タワー9に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボット10Aとを備える。
バークブロック2においては、搬送ロボット10Aを挟んで下地塗布処理部8と熱処理タワー9とが対向して配置されている。具体的には、下地塗布処理部8が装置正面側に、2つの熱処理タワー9が装置背面側に、それぞれ位置している。そして、熱処理タワー9の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。このように、下地塗布処理部8と熱処理タワー9とを離して配置するとともに、それらの間を熱隔壁で隔てることにより、熱処理タワー9から下地塗布処理部8に熱的影響を与えることを回避しているのである。
下地塗布処理部8は、図2に示されるように、同様の構成を備えた3つの塗布処理ユニット8a〜8cを下から順に積層配置して構成されている。各塗布処理ユニット8a〜8cは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック11、このスピンチャック11上に保持された基板W上に反射防止膜用の塗布液を吐出する塗布ノズル12およびスピンチャック11上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示されるように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー9には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個のホットプレートHP1〜HP6と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP1〜CP3とが設けられている。この熱処理タワー9には、下から順にクールプレートCP1〜CP3、ホットプレートHP1〜HP6が積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー9には、レジスト膜と基板Wとの密着性を向上させるためにHMDS(ヘキサメチルジシラザン)の蒸気雰囲気で基板Wを熱処理する3個の密着強化処理部AHL1〜AHL3が下から順に積層配置されている。
また、2つの熱処理タワー9のそれぞれの最下端部には、各熱処理ユニット(ホットプレートHP1〜HP6、クールプレートCP1〜CP3、密着強化処理部AHL1〜AHL3)での温度を制御するヒータコントローラCONTが設けられている。なお、図3において「×」印で示した箇所には配管配線部や、予備の空きスペースが割り当てられている。
このように塗布処理ユニット8a〜8cや熱処理ユニットを多段に積層配置することにより、基板処理装置の占有スペースを小さくしてフットプリントを削減することができる。また、2つの熱処理タワー9を並設することによって、熱処理ユニットのメンテナンスが容易になるとともに、熱処理ユニットに必要なダクト配管や給電設備をあまり高い位置にまで引き延ばす必要がなくなるという利点がある。
図5は、搬送ロボット10Aを説明するための図である。図5(a)は搬送ロボット10Aの平面図であり、図5(b)は搬送ロボット10Aの正面図である。搬送ロボット10Aは、基板Wを略水平姿勢で保持する2個の保持アーム10a,10bを上下に近接させて備えている。保持アーム10a,10bは、先端部が平面視で「C」字形状になっており、この「C」字形状のアームの内側から内方に突き出た複数本のピン10cで基板Wの周縁を下方から支持するようになっている。
搬送ロボット10Aの基台10dは装置基台(装置フレーム)に対して固定設置されている。この基台10d上に、ガイド軸10jが立設されるとともに、螺軸10eが回転可能に立設支持されている。また、基台10dには螺軸10eを回転駆動するモータ10fが固定設置されている。そして、螺軸10eには昇降台10gが螺合されるとともに、昇降台10gはガイド軸10jに対して摺動自在とされている。このような構成により、モータ10fが螺軸10eを回転駆動することにより、昇降台10gがガイド軸10jに案内されて鉛直方向(Z軸方向)に昇降移動するようになっている。
また、昇降台10g上にアーム基台10hが鉛直方向に沿った軸心周りに旋回可能に搭載されている。昇降台10gには、アーム基台10hを旋回駆動するモータ10iが内蔵されている。そして、このアーム基台10h上に上述した2個の保持アーム10a,10bが上下に配設されている。各保持アーム10a,10bは、アーム基台10hに装備されたスライド駆動機構(図示省略)によって、それぞれ独立して水平方向(アーム基台10hの旋回半径方向)に進退移動可能に構成されている。
このような構成によって、図5(a)に示されるように、搬送ロボット10Aは2個の保持アーム10a,10bをそれぞれ個別に基板載置部PASS1,PASS2、熱処理タワー9に設けられた熱処理ユニット、下地塗布処理部8に設けられた塗布処理ユニットおよび後述する基板載置部PASS3,PASS4に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、レジスト塗布ブロック3について説明する。バークブロック2と現像処理ブロック4との間に挟み込まれるようにしてレジスト塗布ブロック3が設けられている。このレジスト塗布ブロック3とバークブロック2との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13にバークブロック2とレジスト塗布ブロック3との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS3,PASS4が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS3,PASS4は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS3は、バークブロック2からレジスト塗布ブロック3へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、バークブロック2の搬送ロボット10Aが基板載置部PASS3に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック3の搬送ロボット10Bが受け取る。一方、下側の基板載置部PASS4は、レジスト塗布ブロック3からバークブロック2へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック3の搬送ロボット10Bが基板載置部PASS4に載置した基板Wをバークブロック2の搬送ロボット10Aが受け取る。
基板載置部PASS3,PASS4は、隔壁13の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS3,PASS4には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて搬送ロボット10A,10Bが基板載置部PASS3,PASS4に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。さらに、基板載置部PASS3,PASS4の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁13を貫通して上下に設けられている。
レジスト塗布ブロック3は、バークブロック2にて反射防止膜が塗布形成された基板W上にフォトレジスト膜を塗布形成するための処理ブロックである。なお、本実施形態では、フォトレジストとして化学増幅型レジストを用いている。レジスト塗布ブロック3は、下地塗布された反射防止膜の上にフォトレジスト膜を塗布形成するレジスト塗布処理部15と、レジスト塗布処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー16と、レジスト塗布処理部15および熱処理タワー16に対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボット10Bとを備える。
レジスト塗布ブロック3においては、搬送ロボット10Bを挟んでレジスト塗布処理部15と熱処理タワー16とが対向して配置されている。具体的には、レジスト塗布処理部15が装置正面側に、2つの熱処理タワー16が装置背面側に、それぞれ位置している。また、熱処理タワー16の正面側には図示しない熱隔壁を設けている。このように、レジスト塗布処理部15と熱処理タワー16とを離して配置するとともに、それらの間を熱隔壁で隔てることにより、熱処理タワー16からレジスト塗布処理部15に熱的影響を与えることを回避しているのである。
レジスト塗布処理部15は、図2に示されるように、同様の構成を備えた3つの塗布処理ユニット15a〜15cを下から順に積層配置して構成されている。各塗布処理ユニット15a〜15cは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック17、このスピンチャック17上に保持された基板W上にフォトレジストを吐出する塗布ノズル18およびスピンチャック17上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示されるように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー16には、基板Wを所定の温度にまで加熱する6個の加熱部PHP1〜PHP6が下から順に積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー16には、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP4〜CP9が下から順に積層配置されている。また、2つの熱処理タワー16のそれぞれの最下端部には、加熱部PHP1〜PHP6やクールプレートCP4〜CP9などの熱処理ユニットでの温度を制御するヒータコントローラCONTが設けられている。
各加熱部PHP1〜PHP6は、基板Wを載置して加熱処理を行う通常のホットプレートの他に、そのホットプレートと隔てられた上方位置に基板Wを載置しておく基板仮置部と、該ホットプレートと基板仮置部との間で基板Wを搬送するローカル搬送機構20(図1参照)とを備えた熱処理ユニットである。ローカル搬送機構20は、昇降移動および進退移動が可能に構成されるとともに、冷却水を循環させることによって搬送過程の基板Wを冷却する機構を備えている。
ローカル搬送機構20は、上記ホットプレートおよび基板仮置部を挟んで搬送ロボット10Bとは反対側、すなわち装置背面側に設置されている。そして、基板仮置部は搬送ロボット10B側およびローカル搬送機構20側の双方に対して開口している一方、ホットプレートはローカル搬送機構20側のみ開口し、搬送ロボット10B側には閉塞している。従って、基板仮置部に対しては搬送ロボット10Bおよびローカル搬送機構20の双方がアクセスできるが、ホットプレートに対してはローカル搬送機構20のみがアクセス可能である。
このような構成を備える各加熱部PHP1〜PHP6に基板Wを搬入するときには、まず搬送ロボット10Bが基板仮置部に基板Wを載置する。そして、ローカル搬送機構20が基板仮置部から基板Wを受け取ってホットプレートまで搬送し、該基板Wに加熱処理が施される。ホットプレートでの加熱処理が終了した基板Wは、ローカル搬送機構20によって取り出されて基板仮置部まで搬送される。このときに、ローカル搬送機構20が備える冷却機能によって基板Wが冷却される。その後、基板仮置部まで搬送された熱処理後の基板Wが搬送ロボット10Bによって取り出される。
このように、加熱部PHP1〜PHP6においては、搬送ロボット10Bが常温の基板仮置部に対して基板Wの受け渡しを行うだけで、ホットプレートに対する基板Wの受け渡しを行わないため、搬送ロボット10Bの温度上昇を抑制することができる。また、ホットプレートはローカル搬送機構20側のみ開口しているため、ホットプレートから漏出した熱雰囲気によって搬送ロボット10Bやレジスト塗布処理部15が悪影響を受けることが防止される。なお、クールプレートCP4〜CP9に対しては搬送ロボット10Bが直接基板Wの受け渡しを行う。
搬送ロボット10Bの構成は、搬送ロボット10Aと全く同じである。よって、搬送ロボット10Bは2個の保持アームをそれぞれ個別に基板載置部PASS3,PASS4、熱処理タワー16に設けられた熱処理ユニット、レジスト塗布処理部15に設けられた塗布処理ユニットおよび後述する基板載置部PASS5,PASS6に対してアクセスさせて、それらとの間で基板Wの授受を行うことができる。
次に、現像処理ブロック4について説明する。レジスト塗布ブロック3とインターフェイスブロック5との間に挟み込まれるようにして現像処理ブロック4が設けられている。レジスト塗布ブロック3と現像処理ブロック4との間にも、雰囲気遮断用の隔壁13が設けられている。この隔壁13に、レジスト塗布ブロック3と現像処理ブロック4との間で基板Wの受け渡しを行うために基板Wを載置する2つの基板載置部PASS5,PASS6が上下に積層して設けられている。基板載置部PASS5,PASS6は、上述した基板載置部PASS1,PASS2と同様の構成を備えている。
上側の基板載置部PASS5は、レジスト塗布ブロック3から現像処理ブロック4へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、レジスト塗布ブロック3の搬送ロボット10Bが基板載置部PASS5に載置した基板Wを現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cが受け取る。一方、下側の基板載置部PASS6は、現像処理ブロック4からレジスト塗布ブロック3へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cが基板載置部PASS6に載置した基板Wをレジスト塗布ブロック3の搬送ロボット10Bが受け取る。
基板載置部PASS5,PASS6は、隔壁13の一部に部分的に貫通して設けられている。また、基板載置部PASS5,PASS6には、基板Wの有無を検出する光学式のセンサ(図示省略)が設けられており、各センサの検出信号に基づいて搬送ロボット10B,10Cが基板載置部PASS5,PASS6に対して基板Wを受け渡しできる状態にあるか否かを判断する。さらに、基板載置部PASS5,PASS6の下側には、基板Wを大まかに冷却するための水冷式の2つのクールプレートWCPが隔壁13を貫通して上下に設けられている。
現像処理ブロック4は、露光された基板Wに対して現像処理を行うための処理ブロックである。現像処理ブロック4は、パターンが露光された基板Wに対して現像液を供給して現像処理を行う現像処理部30と、現像処理に付随する熱処理を行う2つの熱処理タワー31a,31bと、現像処理部30および熱処理タワー31a,31bに対して基板Wの受け渡しを行う搬送ロボット10Cとを備える。なお、搬送ロボット10Cは、上述した搬送ロボット10A,10Bと全く同じ構成を有する。
現像処理部30は、図2に示されるように、同様の構成を備えた5つの現像処理ユニット30a〜30eを下から順に積層配置して構成されている。各現像処理ユニット30a〜30eは、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック32、このスピンチャック32上に保持された基板W上に現像液を供給するノズル33およびスピンチャック32上に保持された基板Wの周囲を囲繞するカップ(図示省略)等を備えている。
図3に示されるように、インデクサブロック1に近い側の熱処理タワー31aには、基板Wを所定の温度にまで加熱する5個のホットプレートHP7〜HP11と、加熱された基板Wを冷却して所定の温度にまで降温するとともに基板Wを当該所定の温度に維持するクールプレートCP10〜CP12とが設けられている。この熱処理タワー31aには、下から順にクールプレートCP10〜CP12、ホットプレートHP7〜HP11が積層配置されている。一方、インデクサブロック1から遠い側の熱処理タワー31bには、6個の加熱部PHP7〜PHP12とクールプレートCP13とが積層配置されている。各加熱部PHP7〜PHP12は、上述した加熱部PHP1〜PHP6と同様に、基板仮置部およびローカル搬送機構を備えた熱処理ユニットである。但し、各加熱部PHP7〜PHP12の基板仮置部はインターフェイスブロック5の搬送ロボット10Dの側には開口しているが、現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cの側には閉塞している。つまり、加熱部PHP7〜PHP12に対してはインターフェイスブロック5の搬送ロボット10Dはアクセス可能であるが、現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cはアクセス不可である。なお、熱処理タワー31aに組み込まれた熱処理ユニットに対しては現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cがアクセスする。
また、熱処理タワー31bには、現像処理ブロック4と、これに隣接するインターフェイスブロック5との間で基板Wの受け渡しを行うための2つの基板載置部PASS7,PASS8が上下に近接して組み込まれている。上側の基板載置部PASS7は、現像処理ブロック4からインターフェイスブロック5へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cが基板載置部PASS7に載置した基板Wをインターフェイスブロック5の搬送ロボット10Dが受け取る。一方、下側の基板載置部PASS8は、インターフェイスブロック5から現像処理ブロック4へ基板Wを搬送するために使用される。すなわち、インターフェイスブロック5の搬送ロボット10Dが基板載置部PASS8に載置した基板Wを現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cが受け取る。なお、基板載置部PASS7,PASS8は、現像処理ブロック4の搬送ロボット10Cおよびインターフェイスブロック5の搬送ロボット10Dの両側に対して開口している。
また、2つの熱処理タワー31a,31bのそれぞれの最下端部には、各熱処理ユニットでの温度を制御するヒータコントローラCONTが設けられている。
次に、インターフェイスブロック5について説明する。インターフェイスブロック5は、現像処理ブロック4に隣接して設けられ、本基板処理装置とは別体の外部装置である露光装置STPに対して基板Wの受け渡しを行うブロックである。本実施形態のインターフェイスブロック5には、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行うための搬送機構35の他に、フォトレジスト膜が形成された基板Wの周縁部を露光する2つのエッジ露光部EEWと、現像処理ブロック4内に配設された加熱部PHP7〜PHP12およびエッジ露光部EEWに対して基板Wを受け渡しする搬送ロボット10Dとを備えている。
エッジ露光部EEWは、図2に示されるように、基板Wを略水平姿勢で吸着保持して略水平面内にて回転させるスピンチャック36や、このスピンチャック36に保持された基板Wの周縁に光を照射して露光する光照射器37などを備えている。2つのエッジ露光部EEWは、インターフェイスブロック5の中央部に上下に積層配置されている。このエッジ露光部EEWと現像処理ブロック4の熱処理タワー31bとに隣接して配置されている搬送ロボット10Dは上述した搬送ロボット10A〜10Cと同様の構成を備えている。
また、図2に示されるように、2つのエッジ露光部EEWの下側には基板戻し用のリターンバッファRBFが設けられ、さらにその下側には2つの基板載置部PASS9,PASS10が上下に積層して設けられている。リターンバッファRBFは、何らかの障害によって現像処理ブロック4が基板Wの現像処理を行うことができない場合に、現像処理ブロック4の加熱部PHP7〜PHP12で露光後の加熱処理を行った後に、その基板Wを一時的に収納保管しておくものである。このリターンバッファRBFは、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。また、上側の基板載置部PASS9は搬送ロボット10Dから搬送機構35に基板Wを渡すために使用するものであり、下側の基板載置部PASS10は搬送機構35から搬送ロボット10Dに基板Wを渡すために使用するものである。なお、リターンバッファRBFに対しては搬送ロボット10Dがアクセスを行う。
搬送機構35は、図2に示されるように、Y軸方向に水平移動可能な可動台35aを備え、この可動台35a上に基板Wを保持する保持アーム35bを搭載している。保持アーム35bは、可動台35aに対して昇降移動、旋回動作および旋回半径方向への進退移動が可能に構成されている。このような構成によって、搬送機構35は、露光装置STPとの間で基板Wの受け渡しを行うとともに、基板載置部PASS9,PASS10に対する基板Wの受け渡しと、基板送り用のセンドバッファSBFに対する基板Wの収納および取り出しを行う。センドバッファSBFは、露光装置STPが基板Wの受け入れをできないときに、露光処理前の基板Wを一時的に収納保管するもので、複数枚の基板Wを多段に収納できる収納棚によって構成されている。
以上のインデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像処理ブロック4およびインターフェイスブロック5には常に清浄空気がダウンフローとして供給されており、各ブロック内でパーティクルの巻き上がりや気流によるプロセスへの悪影響を回避している。また、各ブロック内は装置の外部環境に対して若干陽圧に保たれ、外部環境からのパーティクルや汚染物質の進入などを防いでいる。
また、上述したインデクサブロック1、バークブロック2、レジスト塗布ブロック3、現像処理ブロック4およびインターフェイスブロック5は、本実施形態の基板処理装置を機構的に分割した単位である。各ブロックは、各々個別のブロック用フレーム(枠体)に組み付けられ、各ブロック用フレームを連結して基板処理装置が構成されている。
一方、本実施形態では、基板搬送に係る搬送制御単位を、機械的に分割したブロックとは別に構成している。本明細書では、このような基板搬送に係る搬送制御単位を「セル」と称する。1つのセルは、基板搬送の対象となる搬送対象部と、当該搬送対象部に対して基板搬送を行う搬送ロボットとを含んで構成されている。本実施形態の搬送対象部には、例えば各種処理ユニット(熱処理ユニット、塗布処理ユニットおよび現像処理ユニット)や、単に基板Wを載置するだけの基板載置部PASS1〜PASS10、載置台6、リターンバッファRBF及びセンドバッファSBFなどが含まれる。
また、各基板載置部PASS1〜PASS10は、セル内に基板Wを受け入れるための入口基板載置部またはセルから基板Wを払い出すための出口基板載置部として機能する。そして、セル間の基板Wの受け渡しは基板載置部を介して行われる。なお本明細書では、基板移載機構7や搬送機構35もセルの構成要素の一つである「搬送ロボット」に含める。
本実施形態の基板処理装置には、インデクサセル、バークセル、レジスト塗布セル、現像処理セル、露光後ベークセルおよびインターフェイスセルの6つのセルが含まれている。インデクサセルは、載置台6と基板移載機構7とを含み、結果的に機械的に分割した単位であるインデクサブロック1と同じ構成となっている。また、バークセルは、下地塗布処理部8と2つの熱処理タワー9と搬送ロボット10Aとを含む。このバークセルも、結果として機械的に分割した単位であるバークブロック2と同じ構成になっている。さらに、レジスト塗布セルは、レジスト塗布処理部15と2つの熱処理タワー16と搬送ロボット10Bとを含む。このレジスト塗布セルも、結果として機械的に分割した単位であるレジスト塗布ブロック3と同じ構成になっている。
基板載置部PASS1,PASS2は、後述の本実施形態の基板処理装置の動作説明からも理解できるように、インデクサセルおよびバークセルの入口基板載置部または出口基板載置部として機能するため、インデクサセルおよびバークセルの両方に含まれることになる。また、基板載置部PASS3,PASS4は、バークセルおよびレジスト塗布セルの入口基板載置部または出口基板載置部として機能するため、バークセルおよびレジスト塗布セルの両方に含まれることになる。
現像処理セルは、現像処理部30と熱処理タワー31aと搬送ロボット10Cとを含む。上述したように、搬送ロボット10Cは熱処理タワー31bの加熱部PHP7〜PHP12に対してアクセスすることができず、現像処理セルに熱処理タワー31bは含まれない。この点において、現像処理セルは機械的に分割した単位である現像処理ブロック4と異なる。
また、露光後ベークセルは、現像処理ブロック4に位置する熱処理タワー31b(基板載置部PASS7,PASS8を除く)と、インターフェイスブロック5に位置するエッジ露光部EEWと、リターンバッファRBFと、搬送ロボット10Dとを含む。すなわち、露光後ベークセルは、機械的に分割した単位である現像処理ブロック4とインターフェイスブロック5とにまたがるものである。このように露光後加熱処理を行う加熱部PHP7〜PHP12と搬送ロボット10Dとを含んで1つのセルを構成しているので、露光後の基板Wを速やかに加熱部PHP7〜PHP12に搬入して熱処理を行うことができる。このような構成は、パターンの露光を行った後なるべく速やかに加熱処理を行う必要のある化学増幅型レジストを使用した場合に好適である。
なお、熱処理タワー31bに含まれる基板載置部PASS7,PASS8は現像処理セルの搬送ロボット10Cと露光後ベークセルの搬送ロボット10Dとの間の基板Wの受け渡しのために介在する。
インターフェイスセルは、センドバッファSBFと、外部装置である露光装置STPに対しても基板Wの受け渡しを行う搬送機構35とを含んで構成されている。このインターフェイスセルは、搬送ロボット10Dやエッジ露光部EEW等を含まない点で、機械的に分割した単位であるインターフェイスブロック5とは異なる構成となっている。なお、エッジ露光部EEWの下方に設けられた基板載置部PASS9,PASS10は露光後ベークセルの搬送ロボット10Dとインターフェイスセルの搬送機構35との間の基板Wの受け渡しのために介在する。また上述の各セルは、後述するスレーブコントローラSCをも含んで構成される。
基板載置部PASS5,PASS6は、レジスト塗布セルおよび現像処理セルの入口基板載置部または出口基板載置部として機能するため、レジスト塗布セルおよび現像処理セルの両方に含まれることになる。また、基板載置部PASS7,PASS8は、現像処理セルおよび露光後ベークセルの入口基板載置部または出口基板載置部として機能するため、現像処理セルおよび露光後ベークセルの両方に含まれることになる。そして、基板載置部PASS9,PASS10は、露光後ベークセルおよびインターフェイスセルの入口基板載置部または出口基板載置部として機能するため、露光後ベークセルおよびインターフェイスセルの両方に含まれることになる。
次に、本実施形態の基板処理装置の制御機構について説明する。図6は、制御機構の概略を示すブロック図である。同図に示されるように、本実施形態の基板処理装置は、メインコントローラMC、各セルに対応して個別に設けられたセルコントローラCC、各セル内に個別に設けられたスレーブコントローラSCとで構成される3階層の制御階層を備えている。なお、図中のセルC1〜C6は、インデクサセル、バークセル、レジスト塗布セル、現像処理セル、露光後ベークセルおよびインターフェイスセルをそれぞれ示している。
第1階層のメインコントローラMCは、基板処理装置全体に1つ設けられており、装置全体の動作管理およびセルコントローラCCの動作管理を主に担当する。メインコントローラMCには、各種データを記憶するメモリ51と、各種情報を画面に表示する表示部52と、オペレータからのデータ入力を受け付けるデータ入力部53と、それらの動作を制御したり、セルコントローラCCとの通信を行う制御部50とを備えている。
制御部50は各種演算処理を行うCPUを含んで構成されている。データ入力部53は例えばキーボードであって、オペレータがこのキーボードを操作することによって制御部50にデータが入力される。またメモリ51は、装置内での基板Wの搬送手順(処理手順)等をまとめたフローレシピや、処理ユニットの処理条件に関するパラメータ(以後「処理パラメータ」と呼ぶ)をまとめたライブラリを保持しており、更に動作プログラムなども保持している。
第2階層のセルコントローラCCのそれぞれは、対応するセル内での基板搬送管理および処理ユニットの動作管理を主に担当する。具体的には、例えば、各セルのセルコントローラCCは、所定の基板載置部に基板Wを置いたという情報を、隣のセルのセルコントローラCCに送り、その基板Wを受け取ったセルのセルコントローラCCは、当該基板載置部から基板Wを受け取ったという情報を元のセルのセルコントローラCCに返すという情報の送受信を行う。このような情報の送受信はメインコントローラMCを介して行われる。そして、各セルコントローラCCはセル内に基板Wが搬入された旨の情報を受け取ると、メインコントローラMCから受け取ったフローレシピに従って搬送ロボットを制御してセル内で基板Wを搬送させる。
第3階層のスレーブコントローラSCは、セルコントローラCCの指示の下で、メインコントローラMCから受け取ったフローレシピとライブラリとに基づいて、セル内に配置された処理ユニットを直接制御する。具体的には、熱処理ユニット(ホットプレート、クールプレート、加熱部等)を制御する場合にはプレート温度等を制御し、塗布処理ユニットや現像処理ユニットを制御する場合には基板Wの回転数や処理液の吐出タイミング等を制御する。
このように本実施形態では、3階層の制御階層とすることによって各コントローラの制御負荷を軽減している。また、各セルコントローラCCは、隣接するセル内での搬送スケジュールを考慮することなく、それぞれのセル内だけの基板搬送スケジュールを管理しているため、各セルコントローラCCの搬送制御の負担が軽くなる。その結果、基板処理装置のスループットを向上させることができる。
なお、セルコントローラCCおよびスレーブコントローラSCのハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、各コントローラは、各種演算処理を行うCPUや、動作プログラムやデータなどを記憶するメモリ等を備えている。また、メインコントローラMC、セルコントローラCC及びスレーブコントローラSCは、上述の各ブロックとともに装置フレームに組み付けられる。
次に、本実施形態の基板処理装置の動作について説明する。ここでは、まず、基板処理装置における基板Wの搬送手順について簡単に説明する。まず、インデクサセル(インデクサブロック1)の基板移載機構7が所定のカセットCから未処理の基板Wを取り出し、上側の基板載置部PASS1に載置する。基板載置部PASS1に未処理の基板Wが載置されると、バークセルの搬送ロボット10Aが保持アーム10a,10bのうちの一方を使用してその基板Wを受け取る。そして、搬送ロボット10Aは受け取った未処理の基板Wを塗布処理ユニット8a〜8cのいずれかに搬送する。
塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボット10Aによって塗布処理ユニットから取り出されてホットプレートHP1〜HP6のいずれかに搬送される。ホットプレートにて基板Wが加熱されることによって、塗布液が乾燥されて基板W上に下地の反射防止膜が形成される。その後、搬送ロボット10Aによってホットプレートから取り出された基板WはクールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送されて冷却される。なお、このときにクールプレートWCPによって基板Wを冷却するようにしても良い。冷却後の基板Wは搬送ロボット10Aによって基板載置部PASS3に載置される。
反射防止膜が形成された基板Wが基板載置部PASS3に載置されると、レジスト塗布セルの搬送ロボット10Bがその基板Wを受け取って塗布処理ユニット15a〜15cのいずれかに搬送する。塗布処理ユニット15a〜15cでは、基板Wにフォトレジストが回転塗布される。なお、レジスト塗布処理には精密な基板温調が要求されるため、基板Wを塗布処理ユニット15a〜15cに搬送する直前にクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送するようにしても良い。
レジスト塗布処理が終了した後、基板Wは搬送ロボット10Bによって加熱部PHP1〜PHP6のいずれかに搬送される。加熱部PHP1〜PHP6にて基板Wが加熱処理されることにより、フォトレジスト中の溶媒成分が除去されて基板W上にレジスト膜が形成される。その後、搬送ロボット10Bによって加熱部PHP1〜PHP6から取り出された基板WはクールプレートCP4〜CP9のいずれかに搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボット10Bによって基板載置部PASS5に載置される。なお、加熱部PHP1〜PHP6においては、ホットプレートで加熱処理が行われた基板Wは、ある程度ローカル搬送機構20で冷却される。そして、冷却後の基板Wが加熱部PHP1〜PHP6から取り出される。
レジスト膜が形成された基板Wが基板載置部PASS5に載置されると、現像処理セルの搬送ロボット10Cがその基板Wを受け取ってそのまま基板載置部PASS7に載置する。そして、基板載置部PASS7に載置された基板Wは露光後ベークセルの搬送ロボット10Dによって受け取られ、エッジ露光部EEWに搬入される。エッジ露光部EEWにおいては、基板Wの周縁部の露光処理が行われる。エッジ露光処理が終了した基板Wは搬送ロボット10Dによって基板載置部PASS9に載置される。そして、基板載置部PASS9に載置された基板Wはインターフェイスセルの搬送機構35によって受け取られ、装置外の露光装置STPに搬入され、パターン露光処理に供される。
パターン露光処理が終了した基板Wは再びインターフェイスセルに戻され、搬送機構35によって基板載置部PASS10に載置される。露光後の基板Wが基板載置部PASS10に載置されると、露光後ベークセルの搬送ロボット10Dがその基板Wを受け取って加熱部PHP7〜PHP12のいずれかに搬送する。加熱部PHP7〜PHP12では、露光時の光化学反応によって生じた生成物をレジスト膜内に均一に拡散させるための加熱処理(Post Exposure Bake)が行われる。露光後加熱処理が終了した基板Wは搬送ロボット10Dによって取り出され、クールプレートCP13に搬送されて冷却される。冷却後の基板Wは搬送ロボット10Dによって基板載置部PASS8に載置される。
基板載置部PASS8に基板Wが載置されると、現像処理セルの搬送ロボット10Cがその基板Wを受け取って現像処理ユニット30a〜30eのいずれかに搬送する。現像処理ユニット30a〜30eでは、基板Wに現像液を供給して現像処理を進行させる。そして現像処理が終了した後、基板Wは搬送ロボット10CによってホットプレートHP7〜HP11のいずれかに搬送され、さらにその後クールプレートCP10〜CP12のいずれかに搬送される。
その後、基板Wは搬送ロボット10Cによって基板載置部PASS6に載置される。基板載置部PASS6に載置された基板Wは、レジスト塗布セルの搬送ロボット10Bによってそのまま基板載置部PASS4に載置される。さらに、基板載置部PASS4に載置された基板Wは、バークセルの搬送ロボット10Aによってそのまま基板載置部PASS2に載置される。基板載置部PASS2に載置された処理済みの基板Wはインデクサセルの基板移載機構7によって所定のカセットCに収納される。このようにして一連の処理が完了する。
以上のように、本実施形態の基板処理装置においては、各セルが、対応するセルコントローラCCの制御下において、基板載置部や処理ユニット等に搬送ロボットを使って基板Wの搬送を行う。そして、基板Wを受け取った処理ユニットは、スレーブコントローラSCの制御下で所定の処理を行う。
なお上記動作説明では、インデクサセルから払い出された未処理の基板Wは、まず最初に塗布処理ユニット8a〜8cのいずれかに搬送されていたが、反射防止膜を形成することなくレジト膜を基板表面に直接形成する場合には、まず密着強化処理部AHL1〜AHL3のいずれかに搬送しても良い。そして、密着強化処理が行われた基板WをクールプレートCP1〜CP3のいずれかに搬送して冷却し、その後、レジスト塗布セルの塗布処理ユニット15a〜15cのいずれかに搬送して、以後同様の処理を行う。
また、反射防止膜を形成する前に脱水処理を行う場合には、HMDSを供給しない状態で密着強化処理部で基板Wを加熱処理しても良い。具体的には、インデクサセルから払い出された未処理の基板Wを、まず最初に密着強化処理部AHL1〜AHL3のいずれかに搬送し、密着強化処理部においてHMDSを供給しないで基板Wに加熱処理を行う。これにより、基板Wに対して脱水処理が行われる。そして、脱水処理が行われた基板Wを塗布処理ユニット8a〜8cのいずれかに搬送して、以後同様の処理を行う。
上述のように、バークセル、レジスト塗布セル、現像処理セルおよび露光後ベークセルには、複数の同種の処理ユニットが含まれている。例えば、バークセルには、複数の同種の塗布処理ユニット8a〜8cや、複数の同種のクールプレートCP1〜CP3などが含まれている。そして、それらのセルにおいては、複数の同種の処理ユニットで並行処理を行っている。
ここで並行処理とは、複数の同種の処理ユニットで複数の基板Wを時間的に並行して処理することにより、スループットを高めようとするものである。ただし、この実施形態の装置のように、単一の装置内で複数種の処理ユニットが設けられており、それぞれの種類ごとに同種の処理ユニットの数が異なっているとともに、装置の内部での基板搬送のための搬送ロボットの数が並行処理における処理ユニットの並列数よりも少ない場合には、各基板の流れの経路は完全に分離されておらず、それらの経路には分岐や合流が伴う。このため、このような場合には、並行処理用の処理ユニットのそれぞれに基板が搬入/搬出されるタイミングが処理ユニット間で異なり、このような場合の並行処理(部分的並行処理)では、並列化されたそれぞれの処理ユニットで相互にタイミングをずらしながら各基板の処理を行なってゆくことになる。
以下に、バークセルのホットプレートHP1〜HP3で並行処理を行う場合であって、1枚の基板Wに対する加熱処理時間が90秒である場合を例に挙げて、この並行処理について具体的に説明する。なお以下の説明では、処理される順に基板Wを基板W1,W2,W3,・・・と呼ぶ。
まず、ホットプレートHP1に基板W1を搬送し加熱処理を開始する。そして、基板W1の処理開始から30秒間経過すると、次の基板W2をホットプレートHP2に搬入し加熱処理を開始する。基板W2の処理開始後から30秒間経過すると、次の基板W3をホットプレートHP3に搬入し加熱処理を開始する。
そして、基板W3の処理開始から30秒間経過すると、ホットプレートHP1では基板W1が90秒間加熱処理されたことになるため、ホットプレートHP1から基板W1を取り出すとともに、次の基板W4をホットプレートHP1に搬入し加熱処理を開始する。基板W4の処理開始から30秒間経過すると、ホットプレートHP2では基板W2が90秒間加熱処理されたことになるため、ホットプレートHP2から基板W2を取り出すとともに、次の基板W5をホットプレートHP2に搬入し加熱処理を開始する。
そして、基板W5の処理開始から30秒間経過すると、ホットプレートHP3では基板W3が90秒間加熱処理されたことになるため、ホットプレートHP3から基板W3を取り出すとともに、次の基板W6をホットプレートHP3に搬入し加熱処理を開始する。基板W6の処理開始から30秒間経過すると、ホットプレートHP1では基板W4が90秒間加熱処理されたことになるため、ホットプレートHP1から基板W4を取り出すとともに、次の基板W7をホットプレートHP1に搬入し加熱処理を開始する。
このように、ホットプレートHP1〜HP3に基板Wを順番に搬入し、搬入した順に基板Wを取り出すことによって、タイミングをずらしながら複数の基板Wを並列に加熱処理することができ、その結果、90秒間加熱処理された基板Wを30秒ごとに、次の処理ユニットに渡すことができる。従って、3つのホットプレートで並行処理した場合には、一つのホットプレートで加熱処理する場合よりも、3分の1の時間で基板Wが次の処理ユニットに払い出されることになりスループットが向上する。なお以後、並行処理を行う複数の同種の処理ユニットを「並行処理ユニット群」と呼ぶことがある。
以上のような並行処理は、セルコントローラCCの制御下で実行される。また、スレーブコントローラSCは、セルコントローラCCを介してメインコントローラMCから受け取った上述のフローレシピとライブラリに基づいて、並行処理を行う複数の同種の処理ユニットを個別に制御する。本実施形態の基板処理装置では、並行処理ユニット群に対して、ライブラリがユニットごとに準備されており、それらはライブラリ番号でフローレシピに登録されている。またオペレータは、メインコントローラMCのデータ入力部53を介してユニットごとにライブリラリを登録することができる。以下に、フローレシピ及びライブラリの具体例とライブラリの登録方法について説明する。ここではバークセルを中心に説明するが、他のセルついても同様である。
図7はフローレシピの一例を示す図である。図7に示されるフローレシピでは、インデクサセルとバークセルだけを使用して他のセルは使用せずに基板処理が行われている。図7中の「ステップ」の欄に記載されている数字は処理の順番を示しており、「処理内容」の欄の「ID1」、「BARC」、「HP」、「CP」、「ID2」は、それぞれ「カセットCからの基板Wの搬出処理」、「反射防止膜用の塗布液の塗布処理」、「加熱処理」、「冷却処理」、「カセットCへの基板Wの収納処理」を示している。また「ユニット」欄の符号は、「処理内容」の欄で示された処理を行う処理ユニットの名前(符号)を示しており、「ライブラリ」欄の数字は、その処理ユニットに対応するライブラリ番号を示している。なお、記載する内容が無い欄には斜線を引いている。
フローレシピには、基板Wの処理フローの情報と、処理フローの各工程で使用する処理ユニットを特定するユニット特定情報と、当該処理ユニットに対応するライブラリを特定するライブラリ特定情報とが含まれている。本実施形態では、ユニット特定情報としてユニット名が採用されており、ライブラリ特定情報としてライブラリ番号が採用されている。そしてフローレシピには、ユニット特定情報と、それに対応するライブラリ特定情報とがペアで登録されている。
図7に示されるフローレシピによれば、ステップ1でインデクサセルから払い出された基板Wは、バークセルに渡り、ステップ2で反射防止膜用の塗布液の塗布処理が塗布処理ユニット8a〜8cで行われ、ステップ3で加熱処理がホットプレートHP1,HP2で行われる。そして、加熱処理された基板Wは、ステップ4で冷却処理がクールプレートCP1で行われ、ステップ5でインデクサセルに戻ってくる。
バークセル内における塗布処理では、塗布処理ユニット8a〜8cで並行処理が行われ、加熱処理においてもホットプレートHP1,HP2で並行処理が行われる。そして、塗布処理ユニット8aで処理が行われる際にはライブラリ101が、塗布処理ユニット8bで処理が行われる際にはライブラリ102が、塗布処理ユニット8cで処理が行われる際にはライブラリ103がそれぞれ使用される。また、ホットプレートHP1,HP2で処理が行われる際にはライブラリ201,202がそれぞれ使用され、クールプレートCP1で冷却処理が行われる際にはライブラリ301が使用される。
このように、セルコントローラCCやスレーブコントローラSCが使用するフローレシピでは、並行処理を行う複数の同種の処理ユニットが存在する場合でも、処理ユニットごとにライブラリが登録されている。従って、塗布処理ユニット8a〜8cやホットプレートHP1,HP2などの並行処理ユニット群では、処理条件が処理ユニットごとに設定される。
図8は並行処理を行う塗布処理ユニット8a〜8cのライブラリの具体例を示す図であって、図8(a)〜8(c)はそれぞれライブラリ101〜103を示している。
図8中の「ステップ」の欄の数字は、塗布処理ユニット内での処理の順番を示している。また、図8(a)中の「NA」の欄には、塗布処理ユニット8aにおけるスピンチャック11の回転数に関するパラメータNAの値が示されており、「TA1」の欄には、塗布処理ユニット8aでの立ち上がり/立ち下がり時間に関するパラメータTA1の値が示されている。そして「TA2」の欄には、塗布処理ユニット8aでの回転保持時間に関するパラメータTA2の値が示されている。
また、図8(b)中の「NB」の欄には、塗布処理ユニット8bにおけるスピンチャック11の回転数に関するパラメータNBの値が示されており、「TB1」の欄には、塗布処理ユニット8bでの立ち上がり/立ち下がり時間に関するパラメータTB1の値が示されている。そして、「TB2」の欄には、塗布処理ユニット8bでの回転保持時間に関するパラメータTB2の値が示されている。
また、図8(c)中の「NC」の欄には、塗布処理ユニット8cにおけるスピンチャック11の回転数に関するパラメータNCの値が示されており、「TC1」の欄には、塗布処理ユニット8cでの立ち上がり/立ち下がり時間に関するパラメータTC1の値が示されている。そして、「TC2」の欄には、塗布処理ユニット8cでの回転保持時間に関するパラメータTC2の値が示されている。
上述の立ち上がり/立ち下がり時間とは、指定された値にまでスピンチャック11の回転数が到達するまでの時間であって、回転数が大きくなる場合には立ち上がり時間となり、回転数が小さくなる場合には立ち下がり時間となる。また回転保持時間とは、指定された回転数を保持する時間である。
なお、図8に示されているパラメータNA,NB,NCの単位は「r.p.m」であって、パラメータTA1,TA2,TB1,TB2,TC1,TC2の単位は「秒」である。また、実際の塗布処理ユニット8a〜8cのライブラリには、処理パラメータとして、塗布液の種類に関するパラメータなどが含まれていたり、処理工程数は図8に示される工程数よりも多いが、説明の煩雑さを避けるために、図8のライブラリでは、処理パラメータの記載を限定し、工程数を間引いてライブラリ内容を簡略化している。
図8に示されるように、ライブラリ101〜103のそれぞれには、スピンチャック11の回転数に関するパラメータの値と、立ち上がり/立ち下がり時間に関するパラメータの値と、回転保持時間に関するパラメータの値とが、処理の順番に対応して含まれている。本例では、ステップ2におけるパラメータNA,NB,Ncの値はそれぞれ3000,3001,2999であって、ライブラリ101〜103の間ではスピンチャック11の回転数が異なっている。従って、並行処理を行う塗布処理ユニット8a〜8cでは、互いに異なった処理条件で動作することになる。
このように、処理条件を相違させることによって、塗布処理ユニット8a〜8c間での性能差を吸収し、均一な塗布処理結果を得るようにしている。
図9はホットプレートHP1,HP2のライブラリの具体例を示す図であって、図9(a),9(b)はそれぞれライブラリ201,202を示している。図9(a)中の「HTA」の欄には、ホットプレートHP1の設定温度に関するパラメータHTAの値が示されており、「HSA」の欄には、ホットプレートHP1での処理時間に関するパラメータHSAの値が示されている。また、図9(b)中の「HTB」の欄には、ホットプレートHP2の設定温度に関するパラメータHTBの値が示されており、「HSB」の欄には、ホットプレートHP2での処理時間に関するパラメータHSBの値が示されている。なお、図9に示されているパラメータHTA,HTBの単位は「℃」であって、パラメータHSA,HSBの単位は「秒」である。
図9に示されるように、ライブラリ201,202のぞれぞれには、設定温度に関するパラメータの値と、処理時間に関するパラメータの値とが含まれている。パラメータHTA,HTBの値はそれぞれ100℃,99.5℃であって、ライブラリ201,202の間では設定温度が異なっている。従って、並行処理を行うホットプレートHP1,HP2では、互いに異なった処理条件で動作することになる。
このように、処理条件を相違させることによって、ホットプレートHP1,HP2の間での性能差を吸収し、均一な熱処理結果を得るようにしている。
図10はクールプレートCP1のライブラリ301の具体例を示す図である。図10中の「CTA」の欄には、クールプレートCP1の設定温度に関するパラメータCTAの値が示されており、「CSA」の欄には、クールプレートCP1での処理時間に関するパラメータCSAの値が示されている。なお、図10に示されているパラメータCTAの単位は「℃」であって、パラメータCSAの単位は「秒」である。
図10に示されるように、ライブラリ301には、設定温度に関するパラメータCTAの値と、処理時間に関するパラメータCSAの値とが含まれており、本例では、設定温度は25℃であって処理時間は50秒である。
以上のように、本実施形態の基板処理装置では、並行処理ユニット群に対して、共通のライブラリを準備するのではなく、処理ユニットごとにライブラリを準備してフローレシピに登録している。従って、スレーブコントローラSCが、フローレシピにペアで登録された処理ユニットとライブラリとの対応関係を参照して、ライブラリに含まれる各ユニット固有の処理パラメータの値に基づいて各処理ユニットを動作させることにより、並行処理を行う複数の同種の処理ユニットは互いに異なった処理条件で基板処理を行う。
このように、個別ライブラリを準備して、処理フロー手順情報(フローレシピ)上で処理ユニットと当該ライブラリをペアリングして登録するという引用形式を採用することによって、新たにフローレシピを作成し、あるいは既存のフローレシピを変更する際にも、処理ユニットごとのパラメータ値を再入力あるいは複写する必要がない。このため、処理フロー手順情報の作成や変更のための作業が効率的となる。
次に、ライブラリの登録方法について説明する。上述のように、図7に示されるフローレシピや、図8〜10に示されるライブラリはメインコントローラMCのメモリ51に記憶されている。オペレータは、データ入力部53を操作して、メモリ51に記憶されているフローレシピを読み出して表示部52に表示させる。このフローレシピの表示は制御部50によって行われる。フローレシピが表示されると、オペレータは、各処理ユニットに対応するライブラリ番号を入力する。ライブラリ番号が登録されたフローレシピは、制御部50によって記憶部51に記憶され、それ以降の基板処理に使用される。
このようにして、ユニットごとにライブラリを登録することができるとともに、ユニットごとにライブラリの内容を修正(変更)可能となっている。ライブラリには各ユニットに固有の処理パラメータの値が含まれているため、ライブラリをユニットごとに登録することによって、ユニットごとに処理パラメータが設定される。
以上のように、本実施形態の基板処理装置では、並行処理ユニット群に対する処理パラメータに関して、ユニットごとに固有のパラメータ値をメモリ51で保持することが可能である。従って、並行処理を行う処理ユニット間で処理条件を適宜調整することができる。その結果、処理ユニット間の性能差を吸収でき、並行処理を行う処理ユニット間のプロセス結果の差を低減することができる。
またデータ入力部53が、外部からのライブラリの登録を処理ユニットごとに受け付ける入力部として機能するため、言い換えれば、外部からの処理パラメータの設定を処理ユニットごとに受け付ける入力部として機能するため、オペレータはデータ入力部53を利用して簡単にユニットごとに処理条件を変更あるいは登録することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、この発明は上記の例に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、ライブラリ番号でライブラリを管理していたが、各ライブラリに固有の名前を設けて管理してもよい。
なお、この発明においては処理ユニットごとに処理パラメータを異なる値とすることが可能であればよく、いくつかの処理ユニット間で偶然にパラメータ値が同一となっているという状況が生じることを禁ずるものではない。
また、本発明に係る基板処理装置の構成は図1から図4に示したような形態に限定されるものではなく、基板Wに所定の処理を行う処理部に対して搬送ロボットによって基板Wを搬送するような形態であれば種々の変形が可能である。