JP2005084113A - 防眩性フィルム及びその製造方法、偏光板、画像表示装置 - Google Patents

防眩性フィルム及びその製造方法、偏光板、画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリマーフィルムに反射防止性と防眩性とを両立して発現させる。
【解決手段】 セルローストリアセテートを支持体とする反射防止フィルム11の反射防止層32側にエンボス加工を施し防眩性を付与する。エンボスローラ22の表面温度をTEとするとき、フィルム11の接触開始点P2における温度をTE−30℃以上TE℃以下とし、エンボスローラ22との接触時間を0.1〜10秒とする。反射防止フィルム11はジャケットローラ13または加熱器14により加熱される。フィルム11が加熱後位置P1から接触開始点P2に至る時間をt1とし、搬送方向での張力をFとするとき、F×t1を5〜300N・秒/mとする。エンボス加工された後の防眩性反射防止フィルム12は冷却される。得られた防眩性反射防止フィルム12は良好な防眩性と反射防止性とを有し、これを使用した偏光板、画像表示装置はいずれも高品質なものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、光学用途等に用いられる防眩性フィルム及びその製造方法と、偏光板及び画像表示装置に関する。
反射防止フィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような様々な画像表示装置に設けられている他に、眼鏡やカメラのレンズにも使用されている。反射防止フィルムとしては、金属酸化物の透明薄膜を積層させた多層フィルムが従来より用いられている。複数の透明薄膜を用いるのは、可視域でなるべく広い波長領域での光の反射を防止するためである。
金属酸化物の透明薄膜は、化学蒸着(CVD)法や物理蒸着(PVD)法、特に物理蒸着法の一種である真空蒸着法やスパッタ法により形成されている。金属酸化物の透明薄膜は、反射防止フィルムとして優れた光学的性質を有しているが、蒸着法やスパッタ法は生産性が低く大量生産に適していない。
また、PVD法による反射防止フィルムとしては、用途に応じて、表面凹凸の形成により防眩性を付与された支持体上に金属薄膜を形成されてつくられるものがある。このようなフィルムは、平滑な支持体上に金属薄膜を形成されたものよりも、平行光線の透過率は減少するが、表面凹凸による光散乱のために背景の映り込みが低下して防眩性を発現する。そして、画像表示装置にこのようなフィルムを適用した場合には、反射防止効果とあいまって、その表示品位が著しく改善されるという利点がある。
一方、上記の蒸着法に代えて、無機微粒子の塗布による反射防止フィルムやその製造方法が種々提案されている。例えば、塗布により形成されて、微細空孔と微粒子状無機物とを有する反射防止層であって、この微細空孔を、反射防止層の塗布後に活性化ガス処理を行なってガスが層から離脱することによって形成するという提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。また、低屈折率層が、ポリマーまたは無機微粒子を含む塗布液の塗布により形成され、支持体と、高屈折率層と、低屈折率層とを順に積層した反射防止フィルムや、支持体と高屈折率層との間に中屈折率層を設けたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、例えばMgF2 とSiO2 等の、2種類以上の超微粒子を混在させて、フィルムの厚み方向にその混合比を変化させた反射防止フィルムも提案されている(例えば、特許文献3参照)。前記特許文献3によると、混在された2種類以上の超微粒子の混合比を変化させることによりフィルムの屈折率を変化させ、上記特許文献2に記載される高屈折率層と低屈折率層とが設けられた反射防止フィルムと同様の光学的性質を得ている。なお、これらの超微粒子は、エチルシリケートの熱分解で生じたSiO2 により基板上に固着されている。エチルシリケートの熱分解では、エチル部分の燃焼によって二酸化炭素と水蒸気も発生し、この二酸化炭素と水蒸気が層から離脱することにより、超微粒子の間に間隙が生じている。
さらに、特許文献3記載の反射防止フィルムに存在する超微粒子間隙をバインダーで充填したもの(例えば、特許文献4参照)や、多孔質シリカよりなる無機微粉末とバインダーとを含有するものが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。その他には、低屈折率層に無機微粒子を少なくとも2個以上積み重ねてミクロボイドを含有させ、ウエット塗布によって3層構成とされた反射防止層を有するフィルムであって、オールウェット塗布による安価な製造コストにて、膜強度と低反射率とを両立させる提案がなされている(例えば、特許文献6参照)。
上述のような、塗布による反射防止フィルムへの防眩性付与手段としては、表面凹凸を有する支持体上に反射防止層を塗布する方法や、表面凹凸を形成するためのマット粒子を、反射防止層形成用の塗布液に添加する方法の他に、平滑な反射防止フィルムの作成後に、エンボス法等によって表面凹凸構造を形成する方法が提案されている(例えば、特許文献7,8参照)。
一方、画像表示装置用の防眩性フィルム、あるいは反射防止フィルムは、その機能により、装置の最外面に装着されることが多い。テレビやコンピューター用モニター、携帯用デジタル機器に用いられる場合には、特に、使用中に様々な外力を受けることがあるため、スクラッチや押し込みに対しての耐性が要求される。外力に対する耐性を向上させるためには、表面における摩擦係数や表面エネルギーを下げて表面の滑りを良くしたり、積層された層と層との間の結合力を上げて剥離抵抗を持たせたりするが、基本的には、外力に勝る硬さを有する層、つまりハードコート層を少なくとも一つ設ける必要がある。このハードコート層は、透明ポリマーフィルムに隣接して数μmから数十μmの厚みで設けられ、鉛筆硬度として少なくともH、好ましくは2H以上の硬さに設計される。
特公昭60−59250号公報 特開昭59−50401号公報 特開平2−245702号公報 特開平5−13021号公報 特開平7−48527号公報 特開平11−6902号公報 特開2000−275401号公報 特開2000−275404号公報
上記特許文献等で提案されている反射防止フィルムでは、積み重なった超微粒子の間に空隙が生じているが、その層構造が図に示されているだけであって、空隙の光学的機能については全く記載されていない。また、微粒子間の空隙をバインダで充填すると、フィルムには強度が付与されるが、空隙の光学的機能は失われてしまうという問題がある。
また、反射防止フィルムに、凹凸を形成して防眩性を付与するという、上記のような方法は、画像表示セルよりも大きな凹凸が反射防止フィルムの表面に存在する。これにより、単一セルからの透過光がレンズ効果によって集光現象を起こしたり、隣接する幾つかのセルからのRGB透過光が混色を起こしたりすることによって、描画故障が発生する。この描画故障は、一般にはギラツキと呼ばれるものであって、特に、近年における液晶ディスプレイの高視野角化、高速応答化とならび、高精細化、つまり高画質に対する要求が高まる中で、表示品質を劣化させるという問題を引き起こす。すなわち、高精細化の実現には液晶セルサイズの微細化が重要であって、セルサイズが小さくなるにつれて、例えば133ppi(133pixels/inch)以上の領域になると、場合によっては防眩性を有する反射防止フィルムを透過した後の像に輝度バラツキを生じさせ、これがギラツキとして認識されるというものである。
さらに、ハードコート層が付与されている場合には、防眩性をフィルムに付与するためのエンボス加工の際に、この硬い層の存在のために、エンボス版の凹凸(パターン)が、層の深さ方向にも面内方向にも十分に付与されないため、防眩性の発現効果が十分でなかったり、上記ギラツキの欠陥が発生していた。
また、エンボス版を用いてフィルム表面に凹凸形成する方法では、フィルムを加熱することにより、フィルムの弾性率を下げて変形をうながすことが必要である。ところが、加熱温度や加熱速度によっては、フィルムに対して好ましくない変形を起こさせてしまうことがしばしばある。例えば、エンボス版を高温にして加熱とエンボス版付与を同時に行う方法においては、常温からフィルムのガラス転移温度まで急速にフィルムを加熱すると、フィルムの伸張によってシワが発生する。特に、フィルムを連続的に搬送しながらエンボス加工する際には、フィルムの搬送テンションや、搬送速度によって変化する搬送方向の温度設定も、重要な条件となりうる。例えば、高温で弾性率が低下したフィルムに高い搬送テンションをかけると、長軸方向では延伸されて、幅方向では収縮が起こるという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、透明ポリマーフィルムに対して、反射防止フィルム等の用途に十分な防眩性を付与することができる防眩性フィルムの製造方法を提供することを目的とし、さらに蒸着層からなる反射防止フィルムに匹敵する反射防止機能と防眩機能とを有する反射防止フィルムを提供する。また、この防眩性を従来の反射防止フィルムの塗布層に付与することによって、反射防止機能を低下させることなく、蒸着層と同様の表面凹凸を形成し、光学機能と強度を満足する偏光板及び画像表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、ポリマーフィルムの少なくとも片面に、加熱された表面加工手段により凹凸形成加工を施す防眩性フィルムの製造方法において、前記表面加工手段と前記ポリマーフィルムとの接触時間を0.1秒以上10秒以下とし、前記表面加工手段の温度をTE(単位;℃)とするとき、前記表面加工手段との接触開始時における前記ポリマーフィルムの温度を、(TE−30)(℃)以上TE(℃)以下とすることを特徴として構成されている。
さらに、ポリマーフィルムを加熱するための加熱手段により、前記凹凸形成加工前のポリマーフィルムをガラス転移温度Tg以上に加熱して、ポリマーフィルムが、長尺状であって、ガラス転移温度Tgに達したときから前記表面加工手段に接触するまでの時間をt1とし、ポリマーフィルムの長手方向にかかる張力をFとするとき、この張力Fと時間t1との積が、5N・秒/m以上300N・秒/m以下であることが好ましい。そして、このポリマーフィルムを冷却するための冷却手段により、前記凹凸形成加工後のポリマーフィルムを、(TE−20)℃以下の温度に冷却し、凹凸形成加工からこの冷却までの時間を0.1秒以上2秒以下とすることが好ましい。
そして、本発明では、前記ガラス転移温度Tgは、動的粘弾性の温度依存性測定における損失正接tanδが最大となる温度であって、損失正接tanδは、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2との比G2/G1で表される値であることを特徴としている。
さらに、前記表面加工手段は、エンボス版を有するエンボス加工手段であることが好ましく、前記ポリマーフィルムを、搬送手段により連続搬送しながら、前記加熱と、前記凹凸形成加工と、前記冷却とを連続して行うことが好ましい。
また、ポリマーフィルムがセルロースアシレートを含むときに、本発明は特に効果がある。そして、前記ポリマーフィルムが、透明樹脂支持体と反射防止層とを有すること、あるいは、前記ポリマーフィルムが、透明樹脂支持体と複層部とを有し、前記複層部が、透明樹脂支持体側から順にハードコート層と反射防止層とを有すること、あるいは、前記ポリマーフィルムが、透明樹脂支持体と複層部とを有し、この複層部が、透明樹脂支持体側から順にプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有することがより好ましい。
そして、本発明は、上記の製造方法により製造されたことを特徴とする防眩性フィルムと、この防眩性フィルムを有することを特徴とする反射防止フィルムとを含んで構成されている。さらに、本発明は、偏光膜の両面に保護膜を有する偏光板において、保護膜の少なくとも一方が、前記防眩性フィルムであることを特徴とする偏光板と、前記の防眩性フィルムを有することを特徴とする画像表示装置とを含んで構成されている。
本発明の防眩性フィルムの製造方法は、透明ポリマーフィルムに対して、反射防止フィルム等の用途に十分な防眩性を付与することができる。そして、本発明によると、蒸着層からなる反射防止フィルムに匹敵する反射防止機能と防眩機能とを有する反射防止フィルムを得ることができる。また、この防眩性を従来の反射防止フィルムの塗布層に付与することによって、反射防止機能を低下させることなく、蒸着層と同様の表面凹凸を形成し、光学機能と強度とを満足する偏光板及び画像表示装置を得ることができる。
以下に本発明の実施形態について図を引用しながら説明するが、本発明は下記実施形態に限定されるものではない。
[防眩性の付与]
図1は、本発明の実施形態を示しており、ポリマーフィルムに対する防眩性付与工程を示す概略図である。本実施形態におけるポリマーフィルムは、透明な反射防止フィルム11であって、以下の説明においては、防眩性を付与される前のフィルムを反射防止フィルム11と称し、この反射防止フィルム11に防眩性を付与したものを防眩性反射防止フィルム12と称するものとする。防眩性付与工程には、第1及び第2加熱手段としての加熱用ジャケットローラ13及び加熱器14と、エンボス加工装置としての片面エンボシングカレンダ装置17とが備えられている。片面エンボシングカレンダ装置17の下流には冷却手段としての冷却用ジャケットローラ21が設置されている。片面エンボシングカレンダ装置17は、エンボスローラ22とバックアップローラ23とを備えており、これらのローラ22,23は、駆動制御手段26,27と温度制御手段28,29とを有している。また、本実施形態の防眩性付与工程には、適宜、フィルム搬送用のローラが設置されているが、図1においては図の煩雑さを避けるために図示を省略する。
反射防止フィルム11は、透明支持体を含む積層部31に無機微粒子層を塗布により付設したものとなっており、この塗布層が反射防止層32となっている。防眩性反射防止フィルムも、同様に積層部31と反射防止層32とを有している。
なお、以降の説明において、エンボス加工前の反射防止フィルム11が、加熱されて所定の温度に達した位置を加熱後位置P1としている。ジャケットローラ13または加熱器14にて加熱された反射防止フィルム11がエンボスローラ22と接触を開始する位置を接触開始位置P2、エンボスローラ22とバックアップローラ23とによって反射防止フィルム11が挟まれる位置をニップ位置P3、防眩性反射防止フィルム12が、冷却用ジャケットローラ21により後述のように冷却され、所定の温度にまで下がったときの位置を冷却位置P4とする。また、反射防止フィルム11または防眩性反射防止フィルム12の温度については、初期温度をT1とし、加熱後位置P1における温度を加熱後温度T2とし、接触開始位置P2における温度をT3とし、ニップ位置P3における温度をT4とし、冷却位置P4における温度をT5とする。さらに、反射防止フィルム11が、加熱後位置P1から接触開始位置P2に至る時間をt1とし、接触開始位置P2からニップ位置P3に至る時間をラップ時間t2とし、ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間をt3とするとともに、接触開始位置P2からニップ位置P3までのエンボスローラ22に関する中心角、つまりラップ角をθとする。
加熱用のジャケットローラ13と加熱器14とは、エンボシングカレンダ装置17によるエンボス加工前に、反射防止フィルム11を加熱する(以降、プレ加熱処理と称することがある。)。反射防止フィルム11は、初期温度T1が常温となっている。加熱用ジャケットローラ13は、温度制御手段13aを備えている。加熱用ジャケットローラ13は二重構造であって、温度制御手段13aによりジャケット内部の伝熱媒体温度が調節され、この伝熱媒体の熱が反射防止フィルム11に伝えられる。また、加熱器14には送風機14aと送風コントローラbとが接続されている。加熱器14には送風機14aから所定の温度及び所定の風量の風が送られる。送風機14aによる風の温度と風量は、送風コントローラ14bにより制御される。これにより加熱器14では、反射防止フィルム11に対し、所定の温度と風量の風が吹き付けられる。反射防止フィルム11は、以上のジャケットローラ13と加熱器14との少なくともひとつを用いることにより、所定の温度に加熱される。このプレ加熱処理は、ジャケットローラ13と加熱器14との両方を用いて行うことが好ましい。
このプレ加熱工程を設ける場合には、反射防止フィルム11が、常温からエンボス加工温度へと徐々に昇温されることが好ましい。この工程を設けることにより、常温付近となっている反射防止フィルム11を80℃以上のエンボスローラ22に導入したときに起こる反射防止フィルム11の急激な軟化と体積変化、さらには反射防止フィルム11とエンボスローラ22との摩擦等による、シワ等の発生を防止することができる。したがって、ジャケットローラ13を、反射防止フィルム11の搬送方向に対して複数設けて、それらの温度設定を、上流から下流へと徐々に高くすることも好ましい。さらに、加熱器14についても、ジャケットローラ13と同様に、複数設ける等して、反射防止フィルム11に対する風の温度を徐々に上昇させる方法も効果的である。
このプレ加熱方法としては、反射防止フィルム11に対して、熱風をあてたり、加熱ローラによる接触伝熱を行ったり、マイクロ波による誘導加熱を行ったり、あるいは、赤外線ヒーターによる輻射熱加熱等を好ましく利用することができる。特に、加熱ローラによる接触伝熱は、反射防止フィルム11に対する熱伝達効率が高く、小さな設置面積で行うことができ、また、搬送開始時のフィルム温度の立上りが速い点で好ましい。加熱ローラとしては、例えば、本実施形態にて用いたような、一般的な2重構造のジャケットローラ13や電磁誘導ロール(トクデン社製)等を利用することができる。
プレ加熱後の反射防止フィルム11の温度、つまり加熱後温度T2は、25℃以上220℃以下であることが好ましく、25℃以上150℃以下がさらに好ましく、40℃以上100℃以下が最も好ましい。そして、エンボスローラ22の表面温度をTE(℃)とするとき、この加熱後温度T2が、TE−30以上TE以下とすることが特に好ましい。加熱後温度T2を上記温度範囲とすることにより、この後のエンボス加工を、より効果的に行うことができる。また、本実施形態においては、加熱器14のフィルム出口を加熱後位置P1としており、この加熱後位置P1におけるフィルム温度を加熱後温度T2と見なしている。これは、本実施形態ではフィルム温度を赤外線温度計により測定した結果、加熱器14のフィルム出口において、フィルム温度が目的とする温度に達することが確認されたためである。つまり、加熱器14の加熱能力や、フィルムの比熱、熱伝導率、厚み等に応じて、加熱後位置P1は加熱器14の内部となったり、あるいは加熱器14の下流となる場合もある。本発明においては、公知の種々の温度計を用いることにより、加熱後位置P1を正確に求めておくことが好ましい。また、本実施形態においては、目標とする加熱後温度T2と同じ温度に、ジャケットローラ13と加熱器14の送風温度とを設定したが、これに限定されるものではなく、搬送速度や、フィルムの熱伝導性、厚み等に応じて、目標加熱後温度T2よりも高めに設定してもよい。さらに、本実施形態では、搬送速度に応じて加熱器14の出口P1とエンボスローラ22との距離を変えることができるように、加熱器14はフィルムの搬送方向において設置位置を変えられるものとしている。また、上記温度範囲に制御するために、上記の各加熱手段に対して温度センサ(図示なし)とコントローラ(図示なし)とを設けて、これらによるフィードバック制御を行ってもよい。
エンボスローラ22は、その表面が金属製のエンボス版とされており、バックアップローラ23は、その表面が金属製の平滑面とされている。エンボスローラ22は反射防止フィルム11の反射防止層32側に位置し、また、バックアップローラ23は積層部31側に位置している。エンボスローラ22とバックアップローラ23は反射防止フィルム11に対して押しつけ圧力をかけて挟み込みながらこれを搬送するように回転する。これらのローラ22,23による挟み込み圧力及びそれぞれの回転速度は、駆動制御手段26,27により制御される。これらのローラ22,23により反射防止フィルム11にはエンボス加工が施され、防眩性反射防止フィルム12として搬送される。また、エンボスローラ22とバックアップローラ23は、温度制御手段28,29によりそれぞれの外周面温度を制御され、エンボス加工に好適な所定の温度とされる。さらに、冷却用ジャケットローラ21は、エンボス加工直後の防眩性フィルムbの反エンボス加工面である積層部31側に接触して、防眩性反射防止フィルム12の温度を低下させる。
以上の方法により、反射防止フィルム11は、その反射防止層32側の表面にエンボス形状が付与された防眩性反射防止フィルム12とされ、反射防止性を失うことなく、実質的に厚みが均一でありながらも防眩性を発現する。反射防止性を損なわないために必要な防眩性反射防止フィルム12の厚みの均一性は、光干渉層である反射防止層32の層数や光学設計によって異なる。例えば、低屈折率層、高屈折率層、中屈折率層が空気相側より、この順序に各層ともnλ/4(nは屈折率を表す)の厚みで積層された3層型設計の反射防止層32の場合には、その各層の厚みの変動が各平均厚み±3%であることが、厚み均一性とみなすことができる最大値であって、それ以上になると反射防止性能が著しく低下するので好ましくない。
[フィルム表面形状]
ところで、画像表示装置に組み込むための防眩性反射防止フィルムには、近年の高精細化により、微細な周期の凹凸が要求されるので、本発明の防眩性反射防止フィルム12においては、50ppi以上の画素密度の画像表示装置に好ましく利用できるようにする。具体的には、防眩性反射防止フィルム12の表面の凹凸に関し、平均凹凸周期(RSm)が5μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましく、5μm以上30μm以下が最も好ましい。
この表面凹凸(以降、パターンと称することもある。)の大きさは、求められる防眩性の程度によって決まる。表面の凹凸が小さいと防眩性フィルムとして必要な外光を散乱する効果が低下し、凹凸が大きすぎると著しい散乱によって解像度が低下したり、画像が白味をおびてしまう。そこで、本発明においては、防眩性反射防止フィルム12の算術平均粗さ(Ra)は、0.01μm以上2μm以下が好ましく、0.05μm以上2μm以下がさらに好ましく、0.05μm以上1μm以下が最も好ましい。
また、本発明においては、凹凸プロファイルの傾斜角は小さい方が好ましい。凹凸プロファイルの傾斜角は分布をもって存在しているので不規則ではある。そして、大きい傾斜角の存在頻度が高くなると防眩性反射防止フィルム12が白味をおびてくることがあるので、傾斜角は0.5度以上10度以下の範囲に分布していることが好ましく、0.5度以上5度以下の範囲に分布していることがさらに好ましい。
本実施形態においては、平均凹凸周期(RSm)と、算術平均粗さ(Ra)と、傾斜角の平均値とは、(株)ミツトヨ社製2次元粗さ計SJ−400型もしくは、(株)RYOKA SYSTEM社製のマイクロマップ機を用いて測定しているが、その他の市販の二次元表面粗さ計測器を用いて計測することができる。
[エンボス版]
本発明に用いるエンボスローラ22におけるエンボス版は、金属表面に凹凸を形成する種々の方法で作成することができる。金属表面に凹凸形成する方法としては、放電加工、ショット加工、エッチング加工、レーザー加工等が利用できる。施される凹凸配列の規則性が高い場合には、光学フィルム作成に用いるとそのフィルムでは光干渉が発生するため好ましくない。したがって、容易に不規則な凹凸パターンを形成できることが好ましく、この点で放電加工が好ましい。しかし、エッチングやレーザー加工においても、レジストパターンの作成方法やレーザービームの操作方法によって不規則なパターニングが可能ではある。
エンボス版として好ましく用いられる金属は、ビッカーズ硬度が500Hv以上の、炭素とクロムを含む鉄合金であればいずれでも良く、これらには高炭素鋼、クロム−モリブデン鋼、ステンレス鋼などが挙げられる。ここで、ビッカーズ硬度は、対面角136度の正四角錐ダイアモンド圧子を用いて、材料に荷重を加え、その際の荷重量と材料面上のピラミッド形圧痕の対角線長さから評価される物性値である。ただし好ましい硬さは、ビッカーズ硬度による上記値に限定されず、他の硬さ測定法においても、上記好ましい値と一般的に対応されるべく同等なレベルであればよい。
また、表面を硬化する目的で、窒化処理や、メッキ処理等の適用することができる。窒化処理は、ステンレスに代表される鉄合金を真空下でアンモニアなどの窒素化合物を導入して、高温反応させるものであり、メッキ処理としては、ハードクロムメッキが代表的な例であり、さらに、リンあるいはリンとホウ素とを含むニッケルメッキ(日本カニゼン株式会社のカニゼンメッキ、カニボロンメッキ)や、炭化チタン(TiC)、炭化タングステン(WC)、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(B4 C)、ホウ化チタン(TiB2 )から選ばれる少なくとも1種類の化合物の微粒子を共析させたクロムメッキまたはニッケルメッキも挙げることができ、エンボス版を形成する前に表面に施される。これらのメッキ層が付与されたあと、このメッキ層を300℃以上1000℃以下で少なくとも1時間熱硬化させるとさらに好ましい。なお、共析とは、冷却につれて、固体から2種類以上の固体が同時に析出することである。これら硬質層の被覆厚は、5μm以上300μm以下が好ましく、20μm以上100μm以下がさらに好ましい。
放電加工によりエンボス版を形成する場合には、エンボスローラ22の材質の重要なパラメータは、硬度と、融点と、熱伝導係数とである。これらのパラメータは、放電によって発生する熱により表面が彫られていく形状や速度に影響する。すなわち、硬度や融点が異なると、放電で同じ熱量が発生しても、エンボス版の表面材料が融解して彫られる量や形が異なるものとなる。また、熱伝導係数も、スパークで局所的に加熱された熱の拡散速度に影響するため、凹凸周期や深さに反映される。
放電加工は、加工油等の液中で、マイクロ秒オーダーのパルス放電を発生させて、主として導電性材料を被加工物とする加工法であって、本発明においては、汎用の形彫放電加工機(例えば、三菱電機(株)製、Sodick社製等)が利用できる。微細な凹凸形状を得るためには、ミクロン単位の位置制御が可能なCAD/CAM機能を搭載している機種が好ましい。
放電加工には電極に正の電位を掛けるプラス放電と負の電位を掛けるマイナス放電とがあるが、マイナス放電とすることが好ましい。プラス放電の場合、ワーク表面で発生する熱量が高いため加工速度は速いが、不均一な凹凸形状となることがしばしば起こり、一方、マイナス放電では、電極の消耗は激しいが、ワーク表面の凹凸形状はより均一となるからである。
本発明においては、放電電極は、電気抵抗が低く熱伝導係数が高い銅を用いることが好ましい。ここで、一つ一つの局所放電を微小にし、放電エネルギーを小さくして微細な凹凸形状を得るためには、平板電極の厚みを好ましくは5mm以下、更に好ましくは3mm以下、最も好ましくは2mm以下にする必要があるが、銅で十分な剛性が得られない場合には、真鍮を用いることが好ましい。
また、放電電圧の制御には、電源側でパルスを発生させる方法と、電源回路と放電加工機とが形成するRC回路を利用するコンデンサー放電とがある。近年では電源のスイッチング技術が向上し、高い電圧−電流においても正確なパルス制御が可能となっているが、本発明においては、コンデンサー放電の方が広い面積で、均質な凹凸形状が得られ好ましい。本発明の目的とする不規則で微細な凹凸面に対して放電を発生させる場合には、電源側のパルス発生では十分な制御が困難であり、放電電流の波形が乱れているからである。
また、印加電圧は高い方が電極とワーク間の距離が大きい状態で放電できるため、熱や溶融片の放出効率が高く好ましい。半導体電源の上限に当たる100V以上500V以下を用いるが、本発明においては、100V以上400V以下とすることが好ましい。
本発明における放電加工に用いる加工液は、一般的な加工液としての各種ケロシンを利用することができる。また、ケロシンに、平均粒子径が1μm以上10μm以下のグラファイト、シリコン、モリブデンサルファイド、アルミナ、シリコンカーバイド等の粒子を、1g/L以上20g/Lの濃度で添加することによって、より微細なパターニングを施すことができる。これらの微粒子は、それぞれを単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、エンボス版の形状は、防眩性反射防止フィルム12の表面凹凸と同様に、3つのパラメータで決定することができる。平均凹凸周期(RSm)は5μm以上100μm以下が好ましく、5μm以上50μm以下がさらに好ましく、5μm以上30μm以下が最も好ましい。算術平均粗さ(Ra)は、0.05μm以上20μm以下が好ましく、0.1以上10μm以下がさらに好ましく、0.1μm以上5μm以下が最も好ましい。凹凸の傾斜角は0.5度以上10度以下に分布していることが好ましく、0.5度以上5度以下に分布していることがさらに好ましい。
[エンボス加工]
本実施形態におけるエンボス加工の方式は、ロール版プレスであるが、これに限定されない。例えば、平板版プレスや、連続ベルト版プレスも採用することができる。このうち、長尺物の連続加工としては連続ベルト版プレスとロール版プレスが好ましく、さらにプレス圧やプレス温度の自由度の点でロール版プレスが最も好ましい。
本発明においてエンボス加工は、ホットエンボスと通常呼ばれる方法であり、加熱した版を被加工物に押し当てながらパターンを形成させる方法である。これは、加熱溶融製膜や、加熱溶融ラミネート、あるいは、予め加熱したフィルムの温度以下の版を押し当ててパターンを形成させるコールドエンボスとは異なる。エンボス版を加熱する手段としては、80℃以上に加熱することができ、版表面の温度分布が小さければ限定されないが、電熱線ヒーター、電磁誘導加熱、赤外線ヒーター、版内部を中空構造にして温水、オイル、スチームなどの温度制御熱媒を循環させるジャケット式ヒーターなどを好ましく利用することができる。このうち、ロール版プレスに利用できる方法としては、電熱線ヒーターや、電磁誘導加熱機(例えば、トクデン社製ヒートロール)や、ジャケット式ヒーター等が好ましく、版表面の温度分布が小さい点では、電磁誘導加熱ならびにジャケット式ヒーターがさらに好ましい。
本実施形態で示すようなロール版プレスに用いるエンボスローラ22の材質は、プレス圧に耐えられる剛性を有するものであれば金属、セラミックス、合成樹脂、合成樹脂と金属やガラスのコンポジットなど、限定されず使用できるが、版の耐久性の観点より、版表面は、ビッカーズ硬度が500Hv以上の、炭素とクロムを含む鉄合金で被覆されていることが好ましい。この被覆厚みは10μm以上50mm以下が好ましく、50μm以上50mm以下がさらに好ましい。ただし、フィルムに含浸させる液体によって変性しないものが好ましく、含浸させる液体の種類とエンボスローラ22の種類を相互に考慮して選定することが好ましい。
前記ロール版プレスに用いるエンボスローラ22の外径には特に限定はない。ロールとして製作できる50mm以上3000mm以下の外径を適用することができるが、反射防止フィルム11の幅方向における真直度を数μm/mとして精度良く加工できる点、ならびに重量の肥大化を避ける点により、実質的には50mm以上2000mm以下の外径である。
エンボスローラ22に対向して設置するバックアップローラ23の材質もプレス圧に耐えられる剛性を有するものであればよく、金属や、セラミックス、合成樹脂、合成樹脂と金属、ガラスのコンポジットなど、限定されず使用できる。耐久性の観点より、ビッカーズ硬度が500Hv以上の炭素とクロムを含む鉄合金で被覆されていることが好ましい。この被覆厚みは、10μm以上50mm以下であり、好ましくは50μm以上50mm以下である。また、ビッカーズ硬度が高く、耐食性に優れ、表面研摩しやすいハードクロムメッキも好ましく利用することができる。
バックアップローラ23の表面粗さは、反射防止フィルム11の積層部31側の表面の平滑さを維持した防眩性フィルムを得るために、可能な限り小さいことが好ましい。具体的には金属表面の鏡面仕上げとして得られる算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以下であることが好ましい。また、ローラ表面がゴムやコンポジット樹脂等の弾性体の場合には、材質が弾性変形することができるために、表面の平滑性は金属表面の場合よりも劣っていてもよい。この場合には、最大粗さ(Ry)が0.8μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
本発明においては、ロール版プレスに用いるバックアップローラ23の外径に特に限定はない。ロールとして製作できる50mm以上3000mm以下の外径が適用できるが、反射防止フィルム11の幅方向における真直度を数μm/mとして精度良く加工できる点、ならびに重量の肥大化を避ける点において、実質的には50mm以上2000mm以下の外径である。
バックアップローラ23は冷却されてもよい。この場合には、バックアップローラ23の内部を中空構造にして冷水などの冷媒を循環させるジャケット構造のローラを用いたり、またはローラに対する冷風吹き付けを行う方法等を好ましく利用することができる。バックアップローラ23を冷却することにより、防眩性反射防止フィルム12に可塑剤等の添加剤が含まれる場合には、これらの添加剤のフィルム内部からの揮散や蒸発を軽減できる。さらに、バックアップローラ23の冷却は、プレス部を通過した直後の防眩性反射防止フィルム12がバックアップローラ23と接触することにより即時に冷却されてエンボスパターンを固定できる等の利点を有する。
プレス条件としては、反射防止フィルム11にかける圧力と、エンボスローラ23の表面温度と、プレス時間とがある。プレス圧力は1×105 Pa以上が好ましく、1×105 Pa以上1×107 Pa以下がさらに好ましく、5×105 Pa以上5×106 Pa以下が最も好ましい。本発明に用いられるエンボスローラ22ならびにバックアップローラ23の直径の範囲では、これら圧力範囲に対応する線圧として、1000N/cm以上が好ましく、1000N/cm以上50000N/cm以下がさらに好ましく、5000N/cm以上30000N/cm以下が最も好ましい。
そして、エンボスローラ22に接触を開始する時の反射防止フィルム11の温度T3は、高品質の防眩性反射防止フイルムを得る上で重要な因子である。この接触開始時の反射防止フィルム11の温度T3は、低すぎても高すぎても好ましくない。本発明においては、T3は(TE−30)℃以上TE℃以下を好ましい範囲としている。
本発明において、エンボス加工における版の表面温度、つまりエンボスローラ22の表面温度TEは、80℃以上であることが好ましい。80℃以上220℃以下であることがさらに好ましく、100℃以上200℃以下であることが最も好ましい。特に、この温度は、反射防止フィルム11のガラス転移温度Tg以上となっていることが好ましい。
このように、エンボスローラ22の表面TEは通常、反射防止フィルム11が熱変形可能な温度となるように設定される。反射防止フィルム11は、エンボスローラ22との接触前にTE以上に加熱されると、搬送中における外乱等によって不要な変形が発生しやすくなるので好ましくない。また、反射防止フィルム11は、エンボスローラ22との接触時に、温度差TE−T3が大きい場合には、急激な温度上昇によって熱膨張を始めてしまう。その結果、エンボスローラ22の幅方向に波うったままプレス部に入ってしまうため、シワ発生の原因となる。エンボスローラ温度TEと接触開始点P2における反射防止フィルム温度T3との温度差はTE−T3は、50℃以下が好ましく、40℃以下がさらに好ましく、30℃以下が最も好ましい。
そして、上記の温度差範囲を満足するために、エンボスローラ22との接触開始時の反射防止フィルム11の温度T3は、ガラス転移温度Tgを超えていることがある。ガラス転移温度Tg以上のときに、搬送方向において高い張力を作用させたり、もしくは低い張力でも長い時間作用させると、反射防止フィルム11が搬送方向に延伸されてしまうことがある。そこで、本発明においては、5(N・sec/m)≦F×t1≦ 300(N・sec/m)の関係式を満たすことが好ましい。なお、ここで、Fは、接触開始位置P2及びその近傍における反射防止フィルム11に対して、搬送方向にかけられている張力であり、t1は、反射防止フィルム11がガラス転移温度に達したときから、エンボスローラ22に接触を開始するまでの時間であって、既に記載のとおり、本実施形態においてはこれを、加熱器14によりガラス転移温度に達して、その出口位置P1から接触開始位置P2に至るまでの時間としている。
本実施形態においては、張力Fを測定するために、ダンサーロール(図示なし)を用いており、これを加熱器14と接触開始位置P2との間に設けている。そして、反射防止フィルム11をダンサーロールに巻きかけて、ダンサーロールに張られたフィルムの力と釣り合うようにダンサーロールの軸に関して反対側に荷重をかける。この荷重測定により、張力Fを求めている。しかし、本発明は、張力Fの測定方法に依存するものではなく、上記以外の公知の測定方法を適用してもよい。張力Fの他の測定方法としては、例えば、歪みゲージを備えたローラを加熱器14と接触開始位置P2との間に設けて、このローラにフィルムをラップし、そのラップ角度から、ローラにかかる力を換算して求める方法等がある。また、この張力Fをより正確に求めるために、加熱後位置P1と接触開始位置P2との間の、複数の任意の位置において測定データをとり、それらの複数データの平均化を行うことも有効である。
本発明において、F×t1の範囲は上記範囲に限定されるものではないが、上記範囲における下限値は、エンボス加工装置の物理的な制約で決定されることが多い。例えば、1mの幅の反射防止フイルムの場合、搬送方向における張力Fが少なくとも数10Nとしなければ安定した搬送は難しい。また、エンボシングカレンダ装置17の上流にジャケットローラ13または加熱器14を設置すると、t1にも下限値の制約が発生する。
一方、上記範囲の上限値は、防眩性反射防止フィルム12の目標とする品質により決まる。例えば、搬送方向における張力Fが高すぎたり、ガラス転移温度以上に温度維持された時間が長すぎたりすると、搬送方向における延伸、あるいはそれに類似した現象が起こり、好ましくない面上欠陥や光学的欠陥が生じる。そこで、本発明においてこの上限値は、500N・秒/m以下が好ましく、400N・秒/m以下がさらに好ましく、300N・秒/m以下が最も好ましい。
本発明において、反射防止フィルム11がエンボスローラと接触する時間、つまりラップ時間t2を制御することが好ましい。t2は、ラップ角θ、ならびに搬送速度で決まる。ラップする目的は、エンボスローラ22の温度TEにできるだけ近い温度にまでフィルム11aを加熱することであって、この加熱に要する時間は、本来、接触開始温度T3、エンボスローラ温度TE、フィルム11aの種類(例えば、比熱、熱伝導係数、厚み等)であり、さらに厳密には、フィルムに同伴されるエアの厚み、エンボスローラ22の凹凸形状に依存する。そして、必要な加熱時間は、本実施形態における温度条件、フィルムの種類、及び搬送速度においては、実質的にラップ時間t2で決まるものと見なしている。ただし、このラップ時間t2が長すぎると、反射防止フィルム11が熱劣化したり、反射防止フィルム11に含まれる可塑剤等の低分子量成分が、フィルム外部へ蒸発あるいはフィルム表面に析出することがあり好ましくない。そこで、本発明においては、ラップ時間t2は、20秒以下が好ましく、15秒以下がさらに好ましく、10秒以下が最も好ましい。
なお、エンボスローラとバックアップローラによるロール版プレスに代えて、平板版プレスと連続ベルト版プレスとしたときには、プレス時間が厳密に定義できる。このとき、プレス時間は1秒以上600秒以下が好ましく、10秒以上600秒以下がさらに好ましく、10秒以上300秒以下が最も好ましい。本実施形態のように、ロール版プレスの場合には、プレス圧によるエンボスローラ22とバックアップローラ23とに挟まれた部分(ニップ部分)の接触長と反射防止フィルム11の搬送速度とにより、実効プレス時間が決まる。ニップ部分の搬送方向における接触長は、エンボスローラ22とバックアップローラ23の各外径や弾性率等の物性や、圧力、温度等のプレス条件等によって変化する。搬送速度は、1m/分以上50m/分以下が好ましく、1m/分以上30m/分以下がさらに好ましく、5m/分以上30m/分以下が最も好ましい。
本実施形態のように、ロール版プレスの場合には、回転軸を介してプレス圧を掛けるとローラがたわんで幅方向に均一な圧力が作用しなくなる。これを軽減するためには、プレス圧に対応したたわみ量を予め予測してローラの径を補正するクラウンロール方式や、プレス方向に対向して回転軸に圧力を掛けるベンド補正方式を適用することができる。エンボスローラ22またはバックアップローラ23のいずれか一方の幅方向における外径がローラ幅1m当り5μm以上50μm以下となるように、テーパー状にすることが好ましく、このテーパー形状は、外径差が5μm以上30μm以下とすることがさらに好ましく、10μm以上30μm以下とすることが最も好ましい。ベンド補正圧は、エンボスローラ22とバックアップローラ23の径や弾性率などの物性や、圧力や温度等のプレス条件等によって変化するが、プレス圧の3%以上20%以下で反作用する圧力とすることが好ましく、プレス圧の3%以上15%以下で反作用する圧力とすることがさらに好ましく、プレス圧の5%以上10%以下で反作用する圧力とすることが最も好ましい。
ニップ位置P3を通過した後の防眩性反射防止フィルム11は高温状態にある。そして、温度が低下して十分に弾性率が下がらないまま、搬送に伴うテンションを受けたり各種ローラと接触すると、エンボスのパターニングが変形したり緩和したりすることがしばしば発生する。理想的には、ニップ位置P3を通過した後すぐにガラス転移温度以下となり、そして圧縮弾性率が例えば数GPa以上に上昇することが好ましい。しかし、装置上、ならびに工程上の制約により、高いままの温度が長く維持されてしまうことがある。
そこで、エンボス加工直後に強制冷却の工程を設けることによってこの現象を回避することができる。本実施形態においては、冷却方法としては、図1に示すように、防眩性反射防止フィルム12を冷却用ジャケットローラ21に接触させる方法を用いている。冷却用ジャケットローラ21は、温度制御手段21aを備えている。冷却用ジャケットローラ21は二重構造であって、温度制御手段21aによりジャケット内部の伝熱媒体温度が調節され、この伝熱媒体の熱が反射防止フィルム11に伝えられる。これにより、反射防止フィルム11は所定の温度以下に冷却される。本実施形態におけるこの伝熱媒体は、水としており、これに限定されるものではないが、簡便さの点では水が好ましい。以上の冷却により、エンボシングカレンダ機17で付与されたエンボスパターンが良好な状態で維持される。
この方法の他にも、図示は省略するが、送風機により所定の温度に冷却された風を反射防止フィルム11にあてて冷却する方法も好ましい。また、冷却器等を片面エンボシングカレンダ装置17の下流の所定の位置に設けて、この冷却器内をフィルム搬送させることにより冷却してもよい。このように、本発明は、冷却方法に依存するものではなく、公知の各種フィルム冷却方法を適用することができる。
冷却用ジャケットローラ21により冷却した場合には、冷却位置P4は、冷却用ジャケットローラ21上あるいは冷却用ジャケットローラの下流側となる。これは、防眩性反射防止フィルム12を構成する材料の比熱や熱伝導率、外気温等の他、ジャケットローラ21にラップされた長さ等の条件に応じて、冷却に要する時間が変化するからである。そして、本発明では、エンボスパターンが所定の状態に形成及び維持されるために、防眩性反射防止フィルム12がニップ位置P3を通過してから所定の温度T5にまで温度が低下するまでの時間、つまりニップ位置から冷却位置P4までの時間t3は、0.1秒以上5秒以下が好ましく、0.1秒以上3秒以下が更に好ましく、0.1秒以上2秒以下が最も好ましい。冷却後の防眩性反射防止フィルム12の温度T5は、(TE−20)℃以下となるようにすることが好ましい。そして、この温度T5は、80℃以下であることが好ましく、10℃以上80℃以下であることがより好ましく、15℃以上70℃以下であることがさらに好ましいことがある。
なお、フィルム温度を測定するときは、非接触式の赤外線温度計でこれを測定することが好ましい。これにより、フィルムに面状故障を与えることなく温度を測定することができる。また、上記のような各種冷却手段に対して、別途コントローラを設けてフィードバック制御を行い、冷却温度を調節することもできる。
また、ガラス転移温度Tgは一般的に熱的測定より求めることが多いが、本発明においては粘弾性測定より求める。熱的測定においては、例えば、示差熱測定方法において徐々に昇温すると、ガラス転移温度において吸熱ピークが見られ、このピークにて検知される。これは、高分子化合物の自由体積変化に対応したガラス転移に一致する場合も多いが、一方では、フィルムの製膜過程で延伸を受けていたり、高分子溶液から製膜した場合にはその乾燥過程で結晶構造が形成されるために、結晶構造がくずれる温度でも吸熱ピークが発生するので、ガラス転移温度と区別しにくいという問題がある。
そして、本発明において重要であるのは、上記のように圧縮弾性率等の力学的特性である。したがって、ガラス転移温度も力学的な方法で測定する事が好ましい。具体的には、動的粘弾性測定において、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2の温度依存性を測定する。この測定より、G2/G1の比は損失正接tanδと呼ばれ、温度をx軸に、tanδをy軸にプロットした際、最大値が現れる。このtanδの最大値に対応した温度を、本発明ではガラス転移温度(ガラス転移点)とする。動的粘弾性の測定器は、市販の各種動的粘弾性測定装置を用いることができ、例えば、株式会社オリエンテック社のレオバイブロンが有名である。
本発明において、画像表示装置に組み込む光学フィルムとしてのエンボス加工では、塵埃の制御を厳密に行う必要がある。具体的には、エンボス加工し、再び巻き取るまでの工程は、クラス100以上、好ましくはクラス10以上のクリーンルーム環境で実施する。また、エンボス加工工程前に除塵機を設置して除塵することも好ましい。
周知の乾式の除塵方法としては、特開昭59−150571号公報に記載のように、フィルム表面に不織布やブレード等を押し付ける方法や、特開平10−309553号公報に記載されているように、清浄度の高い空気を高速で吹き付け、付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口に導入して除去する方法等を適用することができる。特に、超音波振動する圧縮空気を吹き付けると共に付着物を吸引する機能を有するものは、例えば、ニューウルトラクリーナーの商品名で( 株) 伸興から市販されている。これらの装置の特徴は、空気流による剪断力と超音波を組み合わせて、厚み数十〜百μmの、空気流の境界層の中で、付着物が受ける剪断力によって剥離させる作用と超音波による振動作用を組み合わせて、高い除塵作用を実現していることである。また、静電力で付着した異物を除去する方法としては、特開平10−290964号公報に記載されているように、正、負の空気イオンを注入しながら電荷を中和させ、剥離した異物を別の空気流によって除去する手段がある。一般的な除電方法としては、特開昭62−131500号公報に記載の方法、除塵方法としては、特開平2−43157号公報に記載の方法も利用することができる。
一方、これら乾式の方法に対して湿式の除塵方法も考案されている。例えば、洗浄槽内にフィルムを導入し、ここで超音波振動子により付着物を剥離させる方法や、特公昭49−13020号公報に開示のフィルムに洗浄液を供給した後に高速空気の吹き付け、吸い込みを行う方法や、特開2001−038306号公報、特開2002−079200号公報、特開2002−040245号公報等に記載されているように、液体で濡らした弾性体でフィルム面を連続的に擦る方法が知られている。
以上の方法によりクリーンルーム内で除塵処理した後の反射防止フィルム11または防眩性反射防止フィルム12の表面における10μm径以上の異物は、10個/m2 未満であることが好ましく、1個/m2 未満であることがさらに好ましく、0.1個/m2 未満であることが最も好ましい。
本発明においては、各種フィルムにエンボス加工をより効果的に施すために、上記の実施形態に加え種々の方法を適用させてもよい。例えば、エンボス加工を施す前に、液体を反射防止フィルム11に含浸させることができる。これにより反射防止フィルム11の圧縮弾性率を低下させ、エンボスパターンを良好かつ効果的に形成させることができる。液体を含浸させる方法としては、反射防止フィルム11に液体を塗布する方法、液体を吹き付ける方法、液体の入った容器に反射防止フィルム11を浸漬する方法、反射防止フィルム11を液体蒸気濃度が高い雰囲気と接触させる方法等を適用することができる。このうち。液体を塗布する方法、吹き付ける方法、蒸気雰囲気と接触させる方法が、反射防止フィルム11を連続搬送しながら実施する点で好ましい。さらに、塗布する方法は、必要最小限の量の液体を用いて実施することができる点で最も好ましい。
エンボス加工前に反射防止フィルム11に含浸させる場合に用いる液体は、反射防止フィルム11の圧縮弾性率を低下させ、フィルムの所定用途における要求性能を損なわないものであれば限定はなく、1種であってもあるいは複数を組み合わせて用いてもよい。しかし、反射防止フィルム11を溶解したり極度に軟化させる液体は好ましくない。例えば、水や、各種アルコール、あるいはこれらの混合物等を最も好ましく用いることができる。特に、光学用途で広く使われるセルロールエステルフィルムにおいては、含水率が数%増加するとガラス転移温度が大きく低下する効果が得られるので好ましい。
有機溶剤を含浸させる場合には、新版溶剤ポケットブック(オーム社、1994年刊)などに挙げられる各種有機溶媒が使用可能であるが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、フッ素化アルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールジエチルエーテル等の多価アルコール類の他に、N,N−ジメチルホルムアミド、パーフルオロトリブチルアミン、トリエチルアミン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、メチルセルソルブ等を挙げることができる。中でも、炭素数2以上6未満の各種アルコールの単体、またはこれらの各種アルコールのうち2種以上の混合物、またはこれらの少なくとも1種類のアルコールと水との混合物が、特に好ましい。
そして、反射防止フィルム11の液体含浸前の25℃における圧縮弾性率は5GPa以上であり、エンボス加工時における圧縮弾性率との差が1GPa以上5GPa以下であることが好ましい。したがって、圧縮弾性率の値が、エンボス加工時において上記範囲の値となるように、フィルム種に応じた含浸液体の種類ならびに含浸量等の含浸条件を決定することが好ましい。
また、液体含浸処理をした場合には、前述のプレ加熱工程は、液体含浸後であって、エンボス加工前に、実施されることが好ましい。
エンボス加工時においては、反射防止フィルム11内部の液体含有率が1質量%以上8質量%以下であることが好ましい。これにより、含浸前及び含浸後における、上記圧縮含有率及びその差を達成することができることが多く、好適なエンボスパターンを形成することができる。ただし、エンボス加工時においては、圧縮弾性率EL2及び液体含有率について、厳密な意味での測定が困難である。したがって、フィルムの含浸工程とエンボス加工までの雰囲気条件における反射防止フィルム11の乾燥曲線、及び液体含有率と圧縮弾性率との関係のデータを予め求めておいて、含浸工程後かつエンボス加工前のフィルム11aから一部をサンプリングして、それぞれの値を測定し、前記乾燥曲線または前記データから、エンボス加工時における圧縮弾性率または液体含有率を予測して求めることが好ましい。
なお、上記圧縮弾性率は、市販の表面硬度計測器を用いて測定することができる。本実施形態においては、微小表面硬度計(型式;フィッシャースコープH100VPーHCU、(株)フィッシャー・インスツルメンツ社製)を用いて測定している。測定方法は、ガラス基板上に試料を貼り付け、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度:136°)を使用して、押し込み深さが膜厚の1/10を超えない範囲で荷重を掛けながら押し込み深さを測定し、荷重に対する変位の大きさから求めるものとしている。
本実施形態のように長尺物をロールエンボス加工する場合には、巻取り工程の前に調湿処理を施すこともできる。これは、長尺物内部に含まれている水分の量を調節する処理である。ただし、本発明は、この調湿処理工程の有無ならびに調湿処理方法に依存するものではない。調湿処理装置には、温湿度制御手段や、送風手段等を設けることが好ましい。この工程の付設により、防眩性反射防止フィルム12をロール状に巻き取る前に、好ましい含水率となるように調整するための加熱乾燥処理や、あるいは、設定された湿度を有する風を送ることによってフィルム中における含水率の調整処理を行うことができ、好ましいエンボスパターンを形成された良好な光学フィルムとして得ることができる。ただし、樹脂は、過度な昇温及び昇湿により変形や変性を起こすので、調湿処理においては、付与したエンボスパターン及び光学特性をはじめとする所定用途の要求スペックを損なわない範囲で、処理条件を適宜設定することが好ましい。例えば、処理対象の透明ポリマーフィルムのガラス転移温度Tgあるいは熱変形温度、あるいは流動開始点等における樹脂変性を考慮して、加熱温度等を設定することが好ましい。
[反射防止フィルムの形成]
図2〜図4は、本発明におけるエンボス加工を施した後の防眩性反射防止フィルム12を示す断面図である。防眩性反射防止フィルム12は、その使用目的によって、様々な層構造とされる。図2に示す態様は、最下層から順に、透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43、そして低屈折率層44の順序の層構成を有する。図3に示す態様は、最下層から順に、透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43、高屈折率層50、そして低屈折率層44の順序の層構成を有する。図4に示す態様は、最下層から順に、透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43、中屈折率層55、高屈折率層50、そして低屈折率層44の順序の層構成を有する。
図2〜図4の透明支持体41、プライマー層42、ハードコート層43からなる積層部は、図1における積層部31に対応し、また、それ以外の低屈折率層44、高屈折率層50、中屈折率層55の少なくとも1層から構成される単一層または複層が反射防止層32に対応している。ただし、図2においては、反射防止層を示す符号32を略している。図2〜図4に示すように、いずれの層構造の防眩性反射防止フィルム12においても、エンボス加工による変形がそれぞれのプライマー層42に集中する。プライマー層に比べると、ハードコート層43や反射防止層32は、厚みがほぼ均一となる。支持体は若干変形する。
図2〜図4に示すように、本発明においては、防眩性反射防止フィルム12は、特許文献2に記載されているように、中屈折率層55、高屈折率層50、低屈折率層44のそれぞれの層の光学厚み、すなわち屈折率nと膜厚dの積(n・d)が、設計波長λに対してnλ/4前後、またはその倍数であることが好ましい。
しかしながら、低反射率且つ反射光の色味が低減された反射率特性を実現するためには、特に設計波長λ(=500nm)に対して中屈折率層55が下式(I)を、高屈折率層50が下式(II)を、低屈折率層44が下式(III)をそれぞれ満足する必要がある。なお、下記の式中において、n1、n2、n3はそれぞれ中屈折率層55、高屈折率層50、低屈折率層44の屈折率を表し、d1、d2、d3はそれぞれ中屈折率層55、高屈折率層50、低屈折率層44の層厚み(単位;nm)を表す。
100.00<(n1・d1)<125.00 (I)
187.50<(n2・d2)<237.50 (II)
118.75<(n3・d3)<131.25 (III)
さらに、例えば、セルローストリアセテート(TAC)(屈折率:1.49)からなるような、屈折率が1.45〜1.55の透明支持体41に対しては、n1は1.60〜1.65、n2は1.85〜1.95、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要がある。また、ポリエチレンテレフタレート(屈折率:1.66)からなるような、屈折率が1.55〜1.65の透明支持体41に対しては、n1は1.65〜1.75、n2は1.85〜2.05、n3は1.35〜1.45の屈折率である必要がある。
上記のような屈折率を有する中屈折率層55や高屈折率層50の素材が選択できない場合には、等価膜の原理を用いて、所定屈折率よりも高い屈折率を有する層と低い屈折率を有する層とを複数層組み合わせ、実質的に所定屈折率の中屈折率層55あるいは高屈折率層50と光学的に等価な層を形成できることは公知であり、本発明の反射率特性を実現するためにも適用することができる。また、本発明では、このように等価膜を用いた3層以上の任意の積層構造を有する反射防止層32を含む。
本発明において、透明支持体41としては、ポリマーフィルムを用いることが好ましい。ポリマーフィルムの例としては、セルロースエステル(例えば、セルローストリアセテート、セルロースジアセテート、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等)、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリー1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンー1,2ージフェノキシエタンー4,4’ージカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリスチレン(例えば、シンジオタクチックポリスチレン等)、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリメチルメタクリレートおよびポリエーテルケトンが含まれる。
特に、本発明の防眩性反射防止フィルム12を、偏光板の表面保護フィルムの片側に用いる反射防止フィルムとし、これを液晶表示装置や有機EL表示装置等に用いる場合には、セルローストリアセテートが好ましく用いられる。セルローストリアセテートフィルムの作成法は、公開技報番号2001−1745にて公開されたものが好ましく用いられる。また、平面CRTやPDP等に用いるためにガラス基板等に張り合わせて用いる場合には、ポリエチレンテレフタレート、あるいはポリエチレンナフタレートを用いることが好ましい。
透明支持体41の光透過率は、80%以上であることが好ましく、86%以上であることがさらに好ましい。透明支持体41のヘイズは、2.0%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。透明支持体41の屈折率は、1.4以上1.7以下であることが好ましい。
中屈折率層55および高屈折率層50は、屈折率の高い微粒子、熱または電離放射線硬化性のモノマ−、開始剤および溶媒を含有する塗布組成物の塗布、溶媒の乾燥、熱および/または電離放射線による硬化によって形成される。前記微粒子としては、高屈折率の無機微粒子がより好ましく、例えば、Ti、Zr、In、Zn、Sn、Sbの酸化物から選ばれた少なくとも1種の金属酸化物からなるものが好ましい。このようにして形成された中屈折率層および高屈折率層は、高屈折率を有するポリマー溶液を塗布、乾燥したものと比較して、耐傷性や密着性に優れる。分散液安定性や、硬化後の膜強度等を確保するために、特開平11−153703号公報や特許番号US6210858 B1等に記載されているような、多官能(メタ)アクリレートモノマーとアニオン性基含有(メタ)アクリレート分散剤とが塗布組成物中に含まれることが好ましい。
上記微粒子の平均粒径は、コールターカウンター法で測定したときの平均粒径で1nmより大きく100nm未満であることが好ましい。1nm以下では、比表面積が大きすぎるために、分散液中での安定性に乏しく、好ましくない。また、100nm以上では、バインダとの屈折率差に起因する可視光の散乱が発生し、好ましくない。そして、高屈折率層50および中屈折率層55のヘイズは、3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましい。
次に、低屈折率層44を形成する素材について以下に説明する。本発明においては、低屈折率層44として例えば、低屈折率材料、中でもLiF(屈折率n=1.4)、MgF2 (n=1.4)、3NaF・AlF3 (n=1.4)、AlF3 (n=1.4)、Na3 AlF6 (n=1.33)、SiO2 (n=1.45)等の低屈折率の無機材料が好ましく、あるいはこれらを微粒子化し、アクリル系樹脂やエポキシ系樹脂等に含有させた材料、フッ素系、シリコーン系の有機材料等を用いることができる。これらの中でも本発明では特に熱または電離放射線により硬化する含フッ素化合物を用いることが好ましい。該硬化物の動摩擦係数は好ましくは0.02〜0.18、より好ましくは0.03〜0.15、純水に対する接触角は好ましくは90〜130度、より好ましくは100〜120度である。動摩擦係数が高いと、表面を擦った時に傷つきやすくなり、好ましくない。また、純水に対する接触角が小さいと指紋や油汚れ等が付着しやすくなるため、防汚性の観点で好ましくない。また本発明において、低屈折率層44には膜強度向上を目的として適宜シリカ粒子等のフィラーを添加しても良い。
低屈折率層44に用いられる硬化性の含フッ素化合物としてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロー1,1,2,2ーテトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)等の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
含フッ素モノマー単位の具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロー2,2ージメチルー1,3ージオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
硬化反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己硬化性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の硬化反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
また、上記含フッ素モノマー単位、硬化反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tertブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。
上記のポリマーに対しては特開平8−92323号公報、同10−25388号公報、同10−147739号公報、同12−17028号公報に記載されているように、適宜、硬化剤を併用しても良い。特に、ポリマーの硬化反応性基が、水酸基、カルボキシル基のような単独で硬化反応性を持たない基の場合には、硬化剤を用いることが必要である。硬化剤としては、例えば、ポリイソシアネート系、アミノプラスト、多塩基酸またはその無水物などを挙げることができる。一方、硬化反応性基が自己硬化反応性の基である場合には、特に硬化剤を添加しなくても良いが、多官能(メタ)アクリレート化合物、多官能エポキシ化合物等種々の硬化剤を適宜併用することもできる。
本発明においては、低屈折率層44として特に有用な含フッ素共重合体は、パーフルオロオレフィンとビニルエーテル類またはビニルエステル類のランダム共重合体である。特に単独で架橋反応可能な基((メタ)アクリロイル基等のラジカル反応性基、エポキシ基、オキセタニル基等の開環重合性基等)を有していることが好ましい。これらの架橋反応性基含有重合単位はポリマーの全重合単位の5モル%以上70モル%以下を占めていることが好ましく、特に好ましくは30モル%以上60モル%以下の場合である。
また、含フッ素ポリマーを用いた場合には、防汚性を付与する目的でこの含フッ素ポリマーにポリシロキサン構造が導入されていることが好ましい。ポリシロキサン構造の導入方法に制限はないが、例えば特開平11−189621号公報、同11−228631号公報、特開2000−313709号公報に記載されるように、シリコーンマクロアゾ開始剤を用いてポリシロキサンブロック共重合成分を導入する方法や、特開平2−251555号公報、同2−308806号公報に記載されているようにシリコーンマクロマーを用いてポリシロキサングラフト共重合成分を導入する方法が好ましい。これらの場合、ポリシロキサン成分は、ポリマー中の0. 5質量%ないし10質量%であることが好ましく、特に好ましくは1質量%ないし5質量%の場合である。
防汚性の付与に対しては、上記以外にも反応性基含有ポリシロキサン(例えば、商品名;KF−100T,X−22−169AS,KF−102,X−22−3701IE,X−22−164B,X−22−5002,X−22−173B,X−22−174D,X−22−167B,X−22−161AS、以上信越化学工業(株)製、商品名;AK−5,AK−30,AK−32、以上東亜合成(株)製、商品名;サイラプレーンFM0275,サイラプレーンFM0721、以上チッソ(株)製等)を添加する手段も好ましい。この際、これらのポリシロキサンは、低屈折率層44の全固形分の0. 5質量%以上10質量%以下の範囲で添加されることが好ましく、特に好ましくは1質量%以上5質量%以下の範囲の添加である。
本発明において、低屈折率層44では、市販の含フッ素化合物として、例えば、TEFRON(登録商標)(AF1600、デュポン社製、屈折率n=1.30)、CYTOP(旭硝子(株)社製 n=1.34)、17FM(三菱レーヨン(株)社製、n=1.35)、オプスターJN−7212(JSR(株)社製、n=1.40)、オプスターJN−7228(JSR(株)社製、n=1.42)、LR201(日産化学工業(株)社製、n=1.38)(いずれも商品名)等を利用することもできる。
プライマー層42には、(メタ)アクリル系ポリマー、スチレン系ポリマー、ポリエステルが好ましく用いられる。使用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーでは、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルアクリレート、(メタ)ウレタンアクリレート、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルを挙げることができる。また、スチレン系ポリマ−では、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンを例示することができ、ポリエステルでは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコールと無水フタル酸、フタル酸、テレフタル酸、無水マレイン酸、マレイン酸等との縮合物等が挙げられる。
ポリマーの分子量(または重合度)は、ポリマーのガラス転移温度を考慮して決定する。プライマー層42に含まれるポリマーのガラス転移温度や、透明支持体41のガラス転移温度は、エンボス加工の処理温度より低いことが好ましく、60℃ないし130℃であることがさらに好ましい。また、プライマー層42の厚さとしては0.1μm以上50μm以下が好ましく、さらに好ましくは0.1μm以上20μm以下の範囲である。
常温においては、プライマー層42は透明支持体41より高い圧縮弾性率を有する。プライマー層42の常温における圧縮弾性率としては、好ましくは3GPa以上8GPa以下の範囲であり、さらに好ましくは4GPa以上7GPa以下の範囲である。プライマー層42の常温における圧縮弾性率と、透明支持体41の常温における圧縮弾性率との差は、0.1GPa以上5GPa以下の範囲が好ましく、0.2GPa以上4GPa以下がより好ましい。
エンボス加工温度T℃における圧縮弾性率については、プライマー層42はハードコート層43より低いことが好ましい。プライマー層42とハードコート層43とのT℃における圧縮弾性率の差は、0.1GPa以上8GPa以下が好ましく、0.5以上7.5GPa以下がより好ましい。本発明においては、プライマー層42を設けることで高精細モードの液晶表示装置においても輝度バラツキ、即ちギラツキを低減させることができるほか、表面硬度を向上させることができる。
プライマー層42には、上記の各種ポリマーと他のポリマーや粒子とを併用してもよい。また、この層42に含まれる化合物は架橋構造を有していても良い。ほかのポリマーと粒子の例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアルギン酸およびその塩、セルロースエステル(例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等)、ポリエーテルケトン、多価アルコール、シリカ粒子およびアルミナ粒子が含まれる。
また、上記架橋構造を得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3ーシクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン等)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わり、またはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造をプライマー層42に含まれる化合物に導入してもよい。架橋性官能基の例としては、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基を挙げることができ、ヒドラジンアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン等も、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用することができる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。ここでの架橋基とは、上記化合物に限らず、上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
プライマー層42は、溶剤中にポリマーおよび/またはモノマー、重合開始剤を溶解し、この溶液を塗布液として塗布した後に重合反応(必要ならばさらに架橋反応)により形成させることが好ましい。重合開始剤については、ベンゾフェノン系等の水素引き抜き型、アセトフェノン系、トリアジン系等のラジカル開列型を単独使用あるいは複数併用して、これらをモノマーと共に塗布液に添加することが好ましい。
プライマー層42は、透明支持体41と、その面上に形成される層、ここではハードコート層43との接着を強化する機能を有する。接着強化については、モノマーを用いることがより好ましい。ポリマーとモノマーの含有量比は重量比でポリマー:モノマー=(75〜25):(25〜75)であることが好ましく、より好ましくはポリマー:モノマー=(65〜35):(35〜65)である。
本発明の反射防止フィルムの製造方法において、ハードコート層43は、透明支持体41に耐傷性を付与することを目的として設けられている。ハードコート層43は、透明支持体41とその上に形成される層、ここでは反射防止層32との接着を強化する機能も有する。ハードコート層43は、アクリル系ポリマー、ウレタン系ポリマー、エポキシ系ポリマーやシリカ系化合物を用いて形成することができる。顔料をハードコート層に添加してもよい。
ハードコート層43に用いる材料としては、飽和炭化水素またはポリエーテルを主鎖として有するポリマーが好ましく、飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましく、これらは架橋構造を有していることが好ましい。飽和炭化水素を主鎖として有するポリマーは、エチレン性不飽和モノマーの重合反応により得ることが好ましい。架橋しているポリマーを得るためには、二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーを用いることが好ましい。
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの例には、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ジクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例えば、1,4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1,4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例えば、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例えば、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが含まれる。
二つ以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりまたはそれに加えて、架橋性基の反応により、架橋構造を導入してもよい。架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジンアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン等も、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用することができる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。また、ここでの架橋基とは、上記化合物に限らず上記官能基が分解した結果反応性を示すものであってもよい。
ハードコート層43は、溶剤中にモノマーおよび重合開始剤を溶解し、この溶液を塗布液として塗布した後に重合反応(必要に応じてさらに架橋反応)により形成することが好ましい。重合開始剤については、ベンゾフェノン系等の水素引き抜き型、アセトフェノン系、トリアジン系等のラジカル開列型を単独であるいは複数を併用してモノマーと共に塗布液に添加するのが好ましい。ハードコート層の塗布液に、少量のポリマー(例:ポリメチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、ニトロセルロース、ポリエステル、アルキド樹脂)を添加してもよい。
ハードコート層43の厚みとしては0.5μm以上5μm以下であり、好ましくは0.5μm以上3μm以下の範囲である。このようなハードコート層43の厚さは、エンボス処理の適性に大きく影響する。即ち、ハードコート層43が厚すぎるとエンボス適性を低下し、同じエンボス処理を行っても必要とする粗さを得ることができない。本発明に用いる反射防止フィルム11では、薄くしたハードコート層43の硬さを、高い表面弾性率のプライマー層42でカバーしている。さらに、本発明においては、防眩性反射防止フィルム12にはさらに、防湿層、帯電防止層や保護層を設けてもよい。
防眩性が付与される前の反射防止フィルム11の各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)等の塗布により形成することができる。ウェット塗布量を最小化することで乾燥ムラをなくすという観点では、マイクログラビア法およびグラビア法が好ましく、幅方向の膜厚均一性の観点では、特にグラビア法が好ましい。また、2層以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
また、本発明の製造方法における防眩性反射防止フィルム12を、偏光子の表面保護フィルムの片側として用いる場合には、透明支持体41の反射防止層32が形成される面とは反対側の面をアルカリによってけん化処理することが必要である。アルカリ鹸化処理の具体的手段としては、以下の2つから選択することができる。
ひとつの方法は、透明支持体41の上に反射防止層32を形成した後、これをアルカリ液中に少なくとも1回浸漬する方法であり、ふたつめの方法は、透明支持体41の上に反射防止層32を形成する前または後に、アルカリ液を反射防止層32を形成する面とは反対側の面に塗布し、フィルムの裏面だけを処理した後に、加熱、水洗および/または中和する方法である。
汎用のセルローストリアセテートフィルムと同一の工程で処理できる点では前者の方法が優れているが、この方法では反射防止フィルム面までけんか化処理される。そのため、この方法は、表面がアルカリ加水分解されて膜が劣化する点、けん化処理液が残ると汚れになる点が問題になり得る。したがって、特別な工程とはなるが後者の方法が優れる。
本発明の製造方法における反射防止フィルム11は、これを偏光子の表面保護フィルムの片側として用いた場合、ツイステットネマチック(TN)、スーパーツイステットネマチック(STN)、バーティカルアライメント(VA)、インプレインスイッチング(IPS)、オプティカリーコンペンセイテットベンドセル(OCB)等のモードの透過型、反射型、または半透過型の液晶表示装置に好ましく用いることができる。また、液晶表示装置の視野角を改良する視野角拡大フィルムなどの光学補償フィルム、位相差板等を組み合わせて使用することもできる。また、透過型または半透過型の液晶表示装置に用いる場合には、市販の輝度向上フィルム(偏光選択層を有する偏光分離フィルム、例えば住友3M(株)製のD−BEFなど)と併せて用いることにより、さらに視認性の高い表示装置を得ることができる。
また、反射防止フィルム11を、λ/4板と組み合わせ、有機ELディスプレイ用表面保護板とし、表面および内部からの反射光を低減する目的で用いることができる。さらに、PET、PEN等の透明支持体上に本発明の反射防止層を形成して、プラズマディスプレイパネル(PDP)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に適用することができる。
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(エンボスローラ22の製作)
熱硬化処理したS45C材芯金ローラに対し、その表面をメッキ処理して50μm厚のハードクロム層を形成した。このローラは、外径が20cmであり、軸方向の長さが12cmである。次に、放電加工機(型式;型彫放電加工機EA8型、三菱電機(株)製)を用いて、マイナスのコンデンサー放電加工を350Vで行った。放電加工に用いた加工液は、平均粒径1.5μmのグラファイト粒子を3g/リットル添加したケロシンである。得られたエンボスローラ22の算術平均粗さ(Ra)は0.5μm、平均凹凸周期(RSm)は16μmであった。
ポリマーフィルムの片面に、エンボシングカレンダー機(由利ロール(株)製)を用いて、線圧5.00×103 N/cm、バックアップローラ23の表面温度を常温、搬送速度3m/分の条件で、エンボス加工をした。バックアップローラ23は、上記エンボスローラ22と基本的には同一構造であるが、エンボスの版加工はされていないものである。ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3は1秒とした。この他の条件は、表1に記載した条件とし、それぞれの条件で得られたものを防眩性フィルム試料1〜12とした。ポリマーフィルムを、厚さ80μmのセルローストリアセテートフイルム(商品名;TAC- TD80U、富士写真フイルム(株)製)としたものが防眩性フィルム試料1〜8であり、厚さ100μmのポリカーボネートフィルム(商品名;ピュアエース、帝人(株)製)としたものが防眩性フィルム試料9〜12である。なお、表1において、TE(℃)はエンボスローラ22の表面温度であり、T2(℃)は加熱後温度であり、T3(℃)は接触開始温度である。そして、t1(秒)は加熱後位置P1から接触開始位置P2に至る時間であり、F(N/m)はフィルムの搬送方向における張力である。
Figure 2005084113
動的粘弾性測定機(商品名;レオバイブロンDDV、(株)オリエンテック製)を用いて、引っ張り振動試験を行うことによりガラス転移温度を測定した。得られた防眩性フィルム試料1〜12をそれぞれ幅5mm、長さ20mmにサンプリングし、これらを測定機内のクリップに装着して3℃/分の昇温速度で30℃から200℃まで加熱した。そして1Hzと10Hzの周波数で動的粘弾性測定を行った。計測した貯蔵弾性率G1、損失弾性率G2、損失正接tanδの対数値を温度軸に対しプロットし、tanδの最大値に対応する温度をガラス転移温度として求めた。セルローストリアセテートフイルム(商品名;TAC- TD80U、富士写真フイルム(株)製)のガラス転移温度は160℃、ポリカーボネートフイルム(商品名;ピュアエース、帝人(株)製)のガラス転移温度は160℃であった。
得られた試料1〜12に関し、以下の項目(1)〜(7)に記載の評価をそれぞれ行った。結果は、表2に示し、表2における評価項目の番号は以下の項目番号に対応する。
(1)面状評価
試料1〜12に蛍光灯照射し、0.2m2 の面積内に、シワと、ウロコ状の変形と、ワレとについて、それぞれの有無を目視で評価した。表2において、○は面状故障が確認されなかったものであり、×は光学顕微鏡により倍率20倍で認識されたものであり、××は肉眼により認められたものであったことを示す。
(2)幅収縮評価
エンボス処理の前後において、幅方向10cmあたり1mm以上の収縮があるか否かを測定した。表2においては、○は上記の幅収縮が認められないことを示し、×は上記幅収縮が確認されたことを示す。
(3)算術平均粗さ(Ra)の測定
エンボスパターンを付与した面の算術平均粗さRaを、マイクロマップ機((株)RYOKA SYSTEM社製)を用いて測定した。エンボスパターンが十分に付与されずに計測不能であったものに対しては、表2において、横罫線をもって示している。
(4)防眩性評価
得られた各試料1〜12に、ルーバーなしのむき出し蛍光灯(8000cd/m2)を映し、各試料1〜12上に映った蛍光灯の像のボケの程度を以下の基準で目視評価した。表2において、○は、像がぼけていて防眩性有りと評価されたことを示し、×は像がほとんどぼけずに防眩性が不足していると評価されたことを示す。
(5)平均反射率(単位;%)測定
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にアダプターARV−474を装着して、380〜780nmの波長領域にて、入射角5°における出射角−5°の鏡面反射率を測定して、このデータから450〜650nmにおける平均反射率を算出し、この値をもって反射防止性を評価した。エンボスパターンが十分に付与されずに、鏡面反射率が計測不能であったものに対しては、表2において、横罫線をもって示している。
(6)鉛筆硬度評価
耐傷性の指標としてJIS K 5400による鉛筆硬度評価を行った。各試料1〜12を、温度25℃、湿度60%RHで2時間調湿した後、JIS S 6006に規定するH〜5Hの試験用鉛筆を用いて、500gの荷重にて、以下のとおりの判定で評価し、OKとなる最も高い硬度を評価値とした。なお、上記試験結果を識別できないほどの面状故障がもともとあったものは評価不能として、表2において横罫線をもって示している。
5回の試験において傷なし〜傷1つ :OK
5回の試験において傷が3つ以上 :NG
(7)スチールウール擦り耐性の評価
♯0000のスチールウールを各試料1〜12のエンボスパターン面上に載せた。スチールウールに1.96N/cm2 の荷重をかけ、10往復した後の傷の状態を観察して、以下の4段階で評価した。
◎:傷が全く付かなかったもの
○:殆ど見えない傷が少しついたもの
△:明確に見える傷が付いたもの
×:明確に見える傷が顕著に付いたもの
Figure 2005084113
試料4〜6、10〜11については、シワ、ワレなどの面状故障の発生がなく、良好な防眩性が得られた。また、エンボス付与によりフィルム強度も劣化していないことがわかる。これにより、本発明によるプレ加熱温度、ガラス転移温度以上での温度維持時間、搬送方向における張力条件において、セルローストリアセテートおよびポリカーボネートフイルムに対し、良好にエンボスパターンを付与することができたことがわかる。一方、試料1〜4、7〜9、12については、面状故障のため防眩性や平均反射率などが計測できないなど、光学フイルムとして満足できない品質であった。
(プライマー層用塗布液Aの調製)
重量平均分子量25,000のメタクリル酸メチル樹脂200質量部を、480質量部のメチルエチルケトンと320質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液を、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してプライマー層42用塗布液Aを調製した。
(ハードコート層用塗布液Bの調整)
ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)306質量部を、16質量部のメチルエチルケトンと220質量部のシクロヘキサノンの混合溶媒に溶解した。得られた溶液に、光重合開始剤(イルガキュア907、チバガイギー社製)7.5質量部を加え、溶解するまで攪拌した後に、450質量部のMEK−ST(平均粒径10〜20nm、固形分濃度30質量%のSiO2 ゾルのメチルエチルケトン分散物、日産化学(株)製)を添加し、撹拌して混合物を得、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過してハードコート層43用塗布液を調製した。
(二酸化チタン分散物Cの調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)300質量部、ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA、(株)興人製)10質量部、リン酸基含有アニオン性分散剤(商品名;KAYARAD PM−21、日本化薬(株)製)60質量部およびシクロヘキサノン630質量部を、サンドグラインダによって、コールター法で測定した平均粒径が42nmになるまで分散し、二酸化チタン分散物Cを調製した。
(二酸化チタン分散物Dの調製)
二酸化チタン超微粒子(TTO−55B、石原産業(株)製)250gと、化1で示される架橋反応性基含有アニオン性ポリマー37.5gと、カチオン性モノマー(DMAEA、(株)興人製)2.5gと、およびシクロヘキサノン710gとを混合して、ダイノミルにより分散し、重量平均径65nmの二酸化チタン分散液Dを調製した。
Figure 2005084113
(中屈折率層用塗布液Eの調製)
シクロヘキサノン750質量部およびメチルエチルケトン190質量部に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、チバガイギー社製)1.1質量部および光増感剤(商品名;カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、31質量部の二酸化チタン分散物Aと、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)21質量部とを先に得た溶液に加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、中屈折率層55用塗布液Eを調製した。
(高屈折率層用塗布液Fの調製)
シクロヘキサノン540質量部およびメチルエチルケトン180質量部に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、チバガイギー社製)1.3質量部および光増感剤(商品名;カヤキュアーDETX、日本化薬(株)製)0.4質量部を溶解した。さらに、二酸化チタン分散物Bの264質量部およびジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(DPHA、日本化薬(株)製)16質量部を先の溶液に加え、室温で30分間撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、高屈折率層50用塗布液Fを調製した。
(低屈折率層用塗布液Gの調製)
化2で示される含フッ素共重合体PF1を下記の方法で合成した後、シクロヘキサノン193重量部およびメチルエチルケトン623重量部に、光重合開始剤(商品名;イルガキュア907、チバガイギー社製)1.7重量部および反応性シリコーン(商品名;X−22−164B、信越化学工業(株)製)1.7重量部を溶解した。さらに、化2で示される含フッ素共重合体の18.4重量パーセントのメチルイソブチルケトン溶液182重量部を添加、撹拌した後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、低屈折率層44用塗布液Gを調製した
Figure 2005084113
化2で示される含フッ素共重合体PF1の合成を以下に説明する。内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル40ml、ヒドロキシエチルビニルエーテル14.7gおよび過酸化ジラウロイル0.55gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらに、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)25gを、オートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は5.4×105 Paであった。該温度を保持し8時間反応を続け、圧力が3.2×105 Paに達した時点で加熱をやめて放冷した。室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。
得られた反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらに、このポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して、ヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥した後、ポリマー28gを得た。次に、このポリマーの20gをN, N−ジメチルアセトアミド100mlに溶解し、氷冷下でアクリル酸クロライド11.4gを滴下した後、室温で10時間攪拌した。反応液に酢酸エチルを加え水洗し、有機層を抽出した後に濃縮し、得られたポリマーをヘキサンで再沈殿させることにより化2の含フッ素共重合体PF1を19g得た。得られた含フッ素共重合体PF1の数平均分子量は3.1万であり、屈折率は1.421であった。
(低屈折率層用塗布液Hの調製)
化3で示される含フッ素共重合体PF2を下記の方法で合成した後、シクロヘキサノン193重量部およびメチルエチルケトン623重量部に、光重合開始剤(商品名;UVI16990、ユニオンカーバイト社製)3.4重量部および反応性シリコーン(商品名;X−22−169AS、信越化学工業(株)製)3.4重量部を溶解した。さらに、含フッ素共重合体PF2の18.4重量パーセントのメチルイソブチルケトン溶液182重量部を添加、撹拌の後、孔径3μmのポリプロピレン製フィルター(PPE−03)で濾過して、低屈折率層44用塗布液Hを調製した
Figure 2005084113
化3に示される含フッ素共重合体PF2の合成方法を以下に説明する。内容量100mlのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル30ml、グリシジルビニルエーテル11.5gおよび過酸化ジラウロイル0.42gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらに、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)21gをオートクレーブ中に導入して65℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が65℃に達した時点の圧力は6.2×105 Paであった。この温度を保持して8時間反応を続け、圧力が3.6×105 Paに達した時点で加熱をやめて放冷した。
室温まで内温が下がった時点で未反応のモノマーを追い出し、オートクレーブを開放して反応液を取り出した。反応液を大過剰のヘキサンに投入し、デカンテーションにより溶剤を除去することにより沈殿したポリマーを取り出した。さらに、このポリマーを少量の酢酸エチルに溶解して、ヘキサンから2回再沈殿を行うことによって残存モノマーを完全に除去した。乾燥した後、含フッ素共重合体PF2を21g得た。得られた含フッ素共重合体PF2の数平均分子量は2.8万であり、屈折率は1. 424であった。
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフイルム(商品名;TAC- TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、図4に示すようなハードコート層43と中複屈折率層55と高複屈折率層50と低複屈折率層44とを設けた。しかし、プライマー層42は設けなかった。上記のハードコート層用塗布液Bを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗膜を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:7μm)43を設けた。
続いて、上記の中屈折率層用塗布液Eを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、中屈折率層(屈折率:1.63、膜厚:67nm)55を設けた。
中屈折率層55の上に、高屈折率層用塗布液Fをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:107nm)50を設けた。
さらに高屈折率層50の上に、上記の低屈折率層用塗布液Gをグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間、塗膜を硬化させ、低屈折率層(屈折率:1.43、膜厚:86nm)44を設けた。このようにして反射防止フイルム11を作製した。
(実験2−1)
得られた反射防止フイルム11の片面に実施例1と同様のエンボシングカレンダー装置17(由利ロール(株)製)を用いて、、エンボスパターンを付与した。エンボス加工時におけるフィルムの幅方向での線圧は5.00×103N/cmであり、バックアップロール23の温度を常温とした。搬送速度は3m/分、エンボスローラ22の表面温度TEは160℃であり,加熱後温度T2が160℃となるように加熱器14における熱風温度を160℃とし、また、接触開始温度T3は160℃であった。また、加熱後位置P1から接触開始位置P2に至る時間t1は2秒であり、フィルムの搬送方向における張力Fは100N/mである。ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3は2秒であり、冷却手段としては、ジャケットローラを用いた。ジャケットローラは、直径5cmであり、ジャケット内に5℃の水を通して、フィルムのラップ角が90°となるようにラップさせて冷却した。このようにして得られたフィルムを防眩性反射防止フィルム試料13とした。
(実験2−2)
フィルムの搬送方向における張力Fを150N/mに変更した他は、実験2‐1と同様に実施して、防眩性反射防止フイルム試料14を作製した。
(実験2‐3)
加熱後位置P1から接触開始位置P2に至る時間t1を3秒となるように、加熱器14の位置を変えた。つまり、加熱器14の出口の位置P1は接触位置P2から15cm上流である。その他の条件は実験2−2と同様に実施し、防眩性反射防止フイルム試料15を作製した。
(実験2−4)
加熱後位置P1から接触開始位置P2に至る時間t1を1秒となるように、加熱器14の位置を変えた。つまり、加熱器14の出口の位置P1は接触位置P2から5cm上流である。また、フィルムの搬送方向における張力Fを200N/mに変更した。その他の条件は実験2−2と同様に実施し、防眩性反射防止フイルム試料16を作製した。
(実験2‐5)
フィルムの搬送方向における張力Fを200N/mに変更した。その他の条件は実験2−2と同様に実施し、防眩性反射防止フイルム試料17を作製した。
(実験2‐6)
ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3を1秒、つまりその間の搬送路長さを5cmとした。その他の条件は実施例2‐2と同様として、防眩性反射防止フイルム試料18を作製した。
(実験2−7)
ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3を3秒、つまりその間の搬送路長さを15cmとした。その他の条件は実施例2‐2と同様として、防眩性反射防止フイルム試料19を作製した。
(実験2−8)
ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3を4秒、つまりその間の搬送路長さを20cmとした。その他の条件は実施例2‐2と同様として、防眩性反射防止フイルム試料20を作製した。
(実験2−9)
加熱後温度T2が140℃となるように加熱器14における熱風温度を140℃とした他は、実験2‐2と同様に実施して、防眩性反射防止フイルム試料21を作製した。
(実験2−10)
厚さ80μmのトリアセチルセルロースフイルム(商品名;TAC- TD80U、富士写真フイルム(株)製)に、プライマー層用塗布液Aを、グラビアコータを用いて塗布し、厚みが5μmのプライマー層42を形成した。そして、上記のハードコート層用塗布液Bを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で2分間乾燥した。次に紫外線を照射して、塗膜を硬化させ、ハードコート層(屈折率:1.51、膜厚:7μm)43を設けた。
ハードコート層43を形成した後、上記の中屈折率層用塗布液Eを、グラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、中屈折率層(屈折率:1.63、膜厚:67nm)55を設けた。
中屈折率層55の上に、高屈折率層用塗布液Fをグラビアコーターを用いて塗布し、100℃で乾燥した後、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、高屈折率層(屈折率:1.90、膜厚:107nm)50を設けた。
さらに高屈折率層50の上に、上記の低屈折率層用塗布液Gをグラビアコーターを用いて塗布し、120℃で8分間、塗膜を硬化させ、低屈折率層(屈折率:1.43、膜厚:86nm)44を設けた。このようにして反射防止フイルム11を作製した。
得られた反射防止フィルムに次の条件でエンボス加工を施した。エンボスローラ温度TEを140℃とし、加熱後温度T2が100℃となるように加熱器14における熱風温度を100℃とし、また、接触開始温度T3を100℃とした。また、加熱後位置P1から接触開始位置P2に至る時間t1は0秒であり、フィルムの搬送方向における張力Fは150N/mである。ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3は1秒である。得られたフィルムを防眩性反射防止フイルム試料22とした。
(実験2−11)
加熱後温度T2が130℃となるように加熱器14における熱風温度を130℃とし、また、接触開始温度T3を100℃とした。そして、ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3を2秒となるように冷却位置を変更した。その他の条件は実験2−10と同様に実施し、防眩性反射防止フイルム試料23を得た。
(実験2−12)
ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3を4秒となるように冷却位置を変更し、防眩性反射防止フイルム試料24を得た。
(実験2−13)
加熱後温度T2が140℃となるように加熱器14における熱風温度を140℃とし、また、接触開始温度T3を140℃とした。そして、ニップ位置P3から冷却位置P4に至る時間t3を2秒となるように冷却位置を変更した。その他の条件は実験2−10と同様に実施し、防眩性反射防止フイルム試料25を得た。
実施例1で得られた試料1〜12と同様に、動的粘弾性測定機(商品名;レオバイブロンDDV、(株)オリエンテック製)を用いて、引っ張り振動試験を行うことによりガラス転移温度を測定した。結果は、上にプライマー層、ハードコート層、反射防止膜が塗布されているか否かに関係なく、支持体となるポリマーフィルムにガラス転移温度は依存した。つまり、透明支持体41がセルローストリアセテートフイルム(商品名;TAC- TD80U、富士写真フイルム(株)製)の場合はガラス転移温度が160℃であった。
実験2‐1〜13にて得られた各試料に関し、実施例1と同様の試料評価項目及び方法により、評価を実施した。各評価結果については表3に示しており、表3中の記載方法は、表2におけるそれと同じである。
Figure 2005084113
表3に示すように、試料13、14、16、18、21、23、25については、面状故障も無く良好な防眩性反射防止フイルムが得られた。これにより、本発明の温度制御方法、搬送方向における張力条件により、良好なエンボスパターンをフィルムに付与することができることがわかる。また、本発明のエンボス加工により、良好なフィルム強度を得ることができたことがわかる。一方、本発明によるプレス条件以外で作製した試料15、17、19、20、22、24については、シワやワレなどの面状故障が発生するのみならず、算術平均粗さが低く十分な防眩性が得られないなど、高品位画像表示用の光学フイルムとして満足できないレベルであった。
上記の実施例2で得られた試料14の防眩性反射防止フィルムを、2.0規定、55℃のNaOH水溶液中に2分間浸漬することにより、防眩性反射防止フイルムの裏面のトリアセチルセルロース面を鹸化処理した。また、同条件により、厚さ80μmのセルローストリアセテートフイルム(TAC−TD80U、富士写真フイルム(株)製)を鹸化処理した。これら2つのフィルムを保護フィルムとして、ポリビニルアルコールにヨウ素を吸着させてこれを延伸することにより作成された偏光子の両面の、互いに異なる面に接着し、偏光板を作成した。この偏光板を、透過型TN液晶表示装置搭載のノートパソコンの液晶表示装置(偏光選択層を有する偏光分離フイルムである住友3M(株)製のD‐BEFを、バックライトと液晶セルとの間に有する)の視認側の偏光板と貼り代えた。このとき、防眩性反射防止フィルムは、その反射防止膜側が最表面となるようにした。得られた液晶表示装置は、背景の映りこみが極めて少なく、表示品位の非常に高いものであった。
鹸化処理に関して、1.0規定のKOHの水/イソプロピルアルコール溶液を#3バーにて防眩性反射防止フィルムの裏面に塗布し、塗布層表面温度を40℃として10秒間維持した後に水洗、乾燥して行った。なお、ここで、水/イソプロピルアルコール溶液は、水:イソプロピルアルコール=75:25(質量%)とした。この偏光板を用いることにより、実施例3と同様にして液晶表示装置を組み立てたところ、実施例3と同様、表示品位の高い表示装置が得られた。
実施例3における透過型TN液晶セルの視認側の偏光板の液晶セル側の保護フイルムを、視野角拡大フィルム(ワイドビュ−フイルムSA−12B、富士写真フイルム(株)製)に代えた。また、そのバックライト側の偏光板の保護フイルムを、ワイドビュ−フイルム(SA−12B、富士写真フイルム(株)製)に代えた。この視野角拡大フィルムは、ディスコティック構造単位の円盤面が透明支持体面に対して傾いており、且つディスコティック構造単位の円盤面と透明支持体面とのなす角度が、光学異方層の深さ方向において変化している光学補償層を有するものである。明室でのコントラストに優れ、且つ、上下左右の視野角が非常に広く、極めて視認性に優れ、表示品位の高い液晶表示装置が得られた。
実施例2で得られた試料14の防眩性反射防止フィルムを、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせた。得られた表示装置は、ガラス表面での反射が抑えられ、視認性の高いものであった。
実施例3で作成した片面反射防止フィルム付き偏光板の、反射防止膜を有している側の反対面に、λ/4板を張り合わせ、有機EL表示装置の表面のガラス板に貼り付けた。得られた表示装置は、表面反射、および表面ガラスの内部からの反射がカットされ、極めて視認性の高い表示を示した。
本発明の実施形態としての防眩性フィルムの製造工程を示す概略図である。 エンボス加工後の防眩性反射防止フィルムを示す断面図である。 エンボス加工後の別の防眩性反射防止フィルムである。 エンボス加工後の別の防眩性反射防止フィルムである。
符号の説明
11 反射防止フィルム
12 防眩性反射防止フィルム
13 ジャケットローラ
13a 温度制御手段
14 加熱器
14a 送風機
14b 送風コントローラ
17 片面エンボシングカレンダ装置
22 エンボスローラ
23 バックアップローラ
28 温度制御手段
21 送風ダクト
21a 第2送風機
21b 送風コントローラ
31 積層部
32 反射防止層
41 透明支持体
42 プライマー層
43 ハードコート層
P1 加熱器のフィルム出口
P2 接触開始位置
P3 ニップ位置
P4 冷却位置
θ エンボスローラにおけるラップ角

Claims (14)

  1. ポリマーフィルムの少なくとも片面に、加熱された表面加工手段により凹凸形成加工を施す防眩性フィルムの製造方法において、
    前記表面加工手段と前記ポリマーフィルムとの接触時間を0.1秒以上10秒以下とし、
    前記表面加工手段の温度をTE(単位;℃)とするとき、
    前記表面加工手段との接触開始時における前記ポリマーフィルムの温度を、(TE−30)(℃)以上TE(℃)以下とすることを特徴とする防眩性フィルムの製造方法。
  2. 前記ポリマーフィルムを加熱するための加熱手段により、前記凹凸形成加工前の前記ポリマーフィルムをガラス転移温度Tg以上に加熱し、
    前記ポリマーフィルムが、長尺状であって、ガラス転移温度Tgに達したときから前記表面加工手段に接触するまでの時間をt1とし、前記ポリマーフィルムの長手方向にかかる張力をFとするとき、
    前記張力Fと前記時間t1との積が、5N・秒/m以上300N・秒/m以下であることを特徴とする請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
  3. 前記ポリマーフィルムを冷却するための冷却手段により、前記凹凸形成加工後の前記ポリマーフィルムを、(TE−20)℃以下の温度に冷却し、
    前記凹凸形成加工から前記冷却までの時間を、0.1秒以上2秒以下とすることを特徴とする請求項1または2記載の防眩性フィルムの製造方法。
  4. 前記ガラス転移温度Tgは、動的粘弾性の温度依存性測定における損失正接tanδが最大となる温度であり、
    前記損失正接tanδは、貯蔵弾性率G1と損失弾性率G2との比G2/G1で表される値であることを特徴とする請求項2または3記載の防眩性フィルムの製造方法。
  5. 前記表面加工手段が、エンボス版を有するエンボス加工手段であることを特徴とする請求項1ないし4いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  6. 前記ポリマーフィルムを搬送手段により連続搬送しながら、
    前記加熱と、前記凹凸形成加工と、前記冷却とを連続して行うことを特徴とする請求項2ないし5いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  7. 前記ポリマーフィルムがセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項1ないし6いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  8. 前記ポリマーフィルムが、
    透明樹脂支持体と反射防止層とを有することを特徴とする請求項1ないし7いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  9. 前記ポリマーフィルムが、
    透明樹脂支持体と複層部とを有し、
    前記複層部は、前記透明樹脂支持体側から順にハードコート層と反射防止層とを有することを特徴とする請求項1ないし7いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  10. 前記ポリマーフィルムが、
    透明樹脂支持体と複層部とを有し、
    前記複層部は、前記透明樹脂支持体側から順にプライマー層とハードコート層と反射防止層とを有することを特徴とする請求項1ないし7いずれかひとつ記載の防眩性フィルムの製造方法。
  11. 請求項1ないし10いずれかひとつ記載の製造方法により製造されたことを特徴とする防眩性フィルム。
  12. 請求項11記載の防眩性フィルムを有することを特徴とする反射防止フィルム。
  13. 偏光膜の両面に保護膜を有する偏光板において、
    前記保護膜の少なくとも一方が、請求項11記載の防眩性フィルムであることを特徴とする偏光板。
  14. 請求項11記載の防眩性フィルムを有することを特徴とする画像表示装置。
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