JP2005062266A - 電子写真装置用導電性ローラの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】導電層の構成材料としてウレタンエラストマーを用い、且つ導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合において、触媒のブリード等によって他部材に悪影響を与えず、しかも所定の導電性を有するような電子写真装置用導電性ローラを効率良く得ることのできる導電性ローラの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】導電層を備えた電子写真装置用導電性ローラの製造方法であって、カーボンブラックの添加されたポリウレタン原料を、環状アミン系触媒のうち、モルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種の存在下で架橋させることにより、前記導電層を形成する。
【選択図】 なし
【解決手段】導電層を備えた電子写真装置用導電性ローラの製造方法であって、カーボンブラックの添加されたポリウレタン原料を、環状アミン系触媒のうち、モルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種の存在下で架橋させることにより、前記導電層を形成する。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリなどの電子写真装置に用いられる導電性ローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンター、複写機、ファクシミリなどの電子写真装置においては、例えば、帯電ローラ、現像ローラ、クリーニングローラ、転写ローラなどのように、導電性を有する各種ローラが用いられている。
【0003】
近年、この種の導電性ローラとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)等のゴム系の導電層を備えたローラに代わり、低硬度で低永久変形性という優れたゴム特性を有するウレタンエラストマーによって形成された導電層を備えたローラが多用される傾向にある。
また、該ローラに導電性を付与する方法としては、カーボンブラック等の導電性付与剤を添加する方法が一般的に行われている。
【0004】
そして、ウレタンエラストマーを用いて導電層を形成するに際しては、環状アミン系触媒を用いて反応を促進させることにより、導電層の物性が均一となることや、触媒を原因とする感光体の汚染や損傷を防止し得ること(特許文献1)などが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−34215号公報
【0006】
しかしながら、導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合、微粒子状であるカーボンブラックをして鎖状の集合体(以下、ストラクチャーともいう)を形成させ、所定の導電性を発現させる必要があるところ、本発明者らの研究によれば、単にアミン系触媒を用いただけではカーボンブラックのストラクチャーが十分に発達せず、所定の導電性が得られない場合もあることが判明した。
また、所定の導電性を得るために、単にカーボンブラックの添加量を増やすだけでは、材料の粘度が高くなりすぎてしまい、硬化剤との均一な攪拌が困難となるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、導電層の構成材料としてウレタンエラストマーを用い、且つ導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合において、触媒のブリード等によって他部材に悪影響を与えず、しかも所定の導電性を有するような電子写真装置用導電性ローラを効率良く得ることのできる導電性ローラの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、導電層を備えた電子写真装置用導電性ローラの製造方法であって、カーボンブラックの添加されたポリウレタン原料を、環状アミン系触媒のうち、モルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種の存在下で架橋させることにより、前記導電層を形成することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記電子写真装置用導電性ローラの製造方法において、環状アミン系触媒を100〜1000ppmの濃度とすることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子写真装置用導電性ローラの製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0011】
本発明において使用する環状アミン系触媒は、分子内に飽和若しくは不飽和のヘテロ単環を有するアミンであって、しかもモルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種に属するものである。
例えば、環状アミン系触媒のうち、ピペラジン類に属するものとしては、N,N−ジメチルピペラジン、N,−メチル,N’−(2ジメチルアミノ)−エチルピペラジン等を挙げることができ、モルホリン類に属するものとしては、N−メチルモルホリン、N・(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン等を挙げることができ、イミダゾール類に属するものとしては、1,2−ジメチルイミダゾール等を挙げることができる。
【0012】
斯かる環状アミン系触媒を用いてウレタンの架橋反応を促進させると、イソシアネートとポリオールの反応によるカーボンブラックのストラクチャー発達が阻害されにくく、ポリウレタンエラストマーに所望の導電性を付与することが可能となる。しかも、架橋反応と、その後のアフターキュアに要する時間をそれぞれ大きく短縮することができるため、生産性の改善を図ることができる。例えば、架橋反応については、30分〜45分、アフターキュアについては、約1時間短縮することができる。
【0013】
また、カーボンブラックの添加量による導電性、即ち、体積抵抗値の制御が容易となり、所望の体積抵抗値を有する導電層を形成することが可能となる。
例えば、一般的な電子写真装置用導電性ローラでは、体積抵抗値が103〜107Ωの範囲に設定されるが、前記環状アミン系触媒を用いた場合には、該体積抵抗値を±100.3Ωの範囲で正確に制御することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、斯かる環状アミン系触媒のうち、特に、1−(ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジンやN,−メチル,N’−(2ジメチルアミノ)−エチルピペラジンなどのピペラジン類、又は、N−メチルモルホリン、N・(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリンなどのモルホリン類のうち、少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。
このようなピペラジン類やモルホリン類の環状アミン系触媒を用いた場合にはカーボンブラックのストラクチャー発達が阻害されにくいのみならず、ウレタンの架橋反応をより一層速やかに進行させることができ、電子写真装置用導電性ローラの生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0015】
また、該環状アミン系触媒の濃度は、反応溶液中において100〜1000ppmとすることが好ましく、100〜500ppmとすることがより好ましい。
1000ppmを越える濃度とすると該環状アミン系触媒がポリウレタンエラストマーからブリード又はブルームし易くなり、製造された電子写真装置用導電性ローラは他部材を汚染し易いものとなる虞がある。
【0016】
本発明で用いるポリウレタン原料としては、各種イソシアナートおよびポリオールを使用することができ、イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等、ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリプロピレングリコール(PPG)等を挙げることがことができる。
【0017】
また、これらのポリウレタン原料のうち、カーボンブラックのストラクチャー形成を阻害し難いという観点から、イソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ポリオールとしてポリエチレンアジペート(PEA)又はポリプロピレングリコール(PPG)を用いることが好ましい。
【0018】
本発明の電子写真装置用導電性ローラの製造方法は、上述のようなポリウレタン原料を用いて1層又は2層以上の導電層を形成する。
好ましくは、芯材の周りに熱硬化性ポリウレタンによる第一層を形成した後、該第一層の周りにポリエチレンアジペート(PEA)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を原料とする熱可塑性ポリウレタンによる第二層(皮膜)を形成する。斯かる製造方法により、耐摩耗性が良好であり且つトナーへの安定した摩擦帯電付与能力を備えた電子写真装置用導電性ローラを得ることができる。
【0019】
一方、本発明で用いるカーボンブラックは、前記ウレタンエラストマーに導電性を付与し得るものであれば特に限定されず、各種製法および粒子形状のカーボンブラックを使用することができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、商品名「ケッチェンブラックEC」(ライオンアクゾ社製)を使用することができる。
【0020】
カーボンブラックの添加量については特に限定されず、所望の体積抵抗値となるように適宜調整すればよい。例えば、体積抵抗値を103〜107Ωの範囲とするには、ポリウレタン原料100重量部に対して、カーボンブラックを0.4〜0.6重量部配合することが好ましい。
【0021】
尚、本発明においては、ポリウレタン原料を架橋させる際に、他の添加剤を添加することも可能である。他の添加剤としては、例えば、加水分解防止剤、鎖延長剤等を挙げることができる。
【0022】
電子写真装置用導電性ローラを製造する具体的な手順としては、まず、所定量のポリウレタン原料、環状アミン系触媒、カーボンブラックを混練して混合液とした後、該混合液を、予め接着剤が塗布された導電性軸体がセットされ且つ予熱された金型内に注入し、130〜160℃の所定温度で15〜25分保持して硬化させる。次いで、脱型した後に、140〜160℃の所定温度にて1〜2時間のアフターキュアを施した後、好ましくは室温にて冷却するものとする。こうして、導電性軸体の周囲にウレタンエラストマーの導電層が形成されてなる電子写真装置用導電性ローラを成型することができる。
このようにして成型されたローラは、外周面の研磨等の最終仕上げを行うことにより、電子写真装置用導電性ローラとして使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明について更に詳細に説明する。
【0024】
(実施例1)
ジエチレングリコールとアジピン酸のポリエステルポリオールの混合物(混合比1:1)99.5重量部と、カーボンブラック(ライオンアクゾ社製、ケッチェンブラックEC)0.5重量部と、トリレンジイソシアネート7〜9重量部と、カルボンジイミド(加水分解防止剤)1.0重量部と、1−(ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン(ピペラジン類に属する環状アミン系触媒)0.05重量部(原料液中において500ppm)とを混合して実施例1の試験液を作製した。
【0025】
(実施例2)
触媒量を0.04重量部(試験液中の濃度400ppm)とし、他は実施例1と同様にして実施例2の試験液とした。
【0026】
(実施例3)
触媒量を0.02重量部(試験液中の濃度200ppm)とし、他は実施例1と同様にして実施例3の試験液を作製した。
【0027】
(比較例1)
触媒を使用せず、他は実施例1と同様にして比較例1の試験液を作製した。
【0028】
(比較例2)
触媒として、トリエチルアミン(DABCO社製、TETN)を用い、他は実施例1と同様にして比較例2の試験液を作製した。
【0029】
(比較例3)
触媒として、ジアザビシクロアミン塩(サンアプロ社製、U−cat SA1)を用い、他は実施例1と同様にして比較例3の試験液を作製した。
【0030】
ゲル化タイム
斯かる試験液を100℃に保持し、ゲル化タイムとして、ハンドリング法により試験液の流動性がなくなるまでの時間を測定した。即ち、150±2℃に設定した金型(直径30mm×深さ10mm)内に該試験液を3g滴下し、ニードルを該試験液に接触させ、その流動性がなくなるまでの時間を測定し、これをゲル化タイムとした。
【0031】
体積抵抗値
また、硬化後のポリウレタンエラストマーの表面を研磨した後、体積抵抗値(Ω・cm)を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
感光体汚染試験
接着剤を塗布した金属製の軸体を予熱した金型にセットし、その周りに前記実施例および比較例の試験液を注入して硬化させた後、アフターキュアすることにより、前記軸体の外周に導電層を形成した電子写真装置用導電性ローラを作製した。
そして、各電子写真装置用導電性ローラを、プリンター(三星電子(株)製、ML−7000)のカートリッジに組み込んで感光体ドラムと接触させた状態とし、温度40℃、湿度95%の雰囲気下で1週間放置した。その後、該カートリッジを用いて印刷を行い、初期画像を目視により評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すように、触媒を使用しない比較例1ではゲル化タイムが非常に長くなり、効率的に導電性ローラを製造できないことがわかる。また、環状アミン系触媒でない触媒を用いた比較例2では、ローラと接触していた感光体ドラム表面が何らかの損傷を受け、これに起因して印刷結果に画像ムラが発生した。さらに、ピペラジン類、モルホリン類、イミダゾール類の何れにも属さない環状アミン系触媒を用いた比較例3では、所望の体積抵抗値とは大きく異なる値となり、しかも作製したロールには表面に凹凸が生じてしまい、良好な印刷結果が得られなかった。
これに対し、実施例1〜3では、比較的ゲル化タイムが短く所望の体積抵抗値とすることが可能であり、しかも感光体への悪影響がなく画像ムラのない良好な印刷を行うことができた。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る電子写真装置用導電性ローラの製造方法によれば、ウレタンエラストマーにカーボンブラックを用いて導電性を付与する場合において、比較的短時間で所定の導電性を有し且つ他部材への悪影響のない電子写真装置用導電性ローラを製造することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリなどの電子写真装置に用いられる導電性ローラの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンター、複写機、ファクシミリなどの電子写真装置においては、例えば、帯電ローラ、現像ローラ、クリーニングローラ、転写ローラなどのように、導電性を有する各種ローラが用いられている。
【0003】
近年、この種の導電性ローラとしては、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)やクロロプレンゴム(CR)等のゴム系の導電層を備えたローラに代わり、低硬度で低永久変形性という優れたゴム特性を有するウレタンエラストマーによって形成された導電層を備えたローラが多用される傾向にある。
また、該ローラに導電性を付与する方法としては、カーボンブラック等の導電性付与剤を添加する方法が一般的に行われている。
【0004】
そして、ウレタンエラストマーを用いて導電層を形成するに際しては、環状アミン系触媒を用いて反応を促進させることにより、導電層の物性が均一となることや、触媒を原因とする感光体の汚染や損傷を防止し得ること(特許文献1)などが知られている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−34215号公報
【0006】
しかしながら、導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合、微粒子状であるカーボンブラックをして鎖状の集合体(以下、ストラクチャーともいう)を形成させ、所定の導電性を発現させる必要があるところ、本発明者らの研究によれば、単にアミン系触媒を用いただけではカーボンブラックのストラクチャーが十分に発達せず、所定の導電性が得られない場合もあることが判明した。
また、所定の導電性を得るために、単にカーボンブラックの添加量を増やすだけでは、材料の粘度が高くなりすぎてしまい、硬化剤との均一な攪拌が困難となるという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、導電層の構成材料としてウレタンエラストマーを用い、且つ導電性付与剤としてカーボンブラックを用いる場合において、触媒のブリード等によって他部材に悪影響を与えず、しかも所定の導電性を有するような電子写真装置用導電性ローラを効率良く得ることのできる導電性ローラの製造方法を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決すべく、本発明は、導電層を備えた電子写真装置用導電性ローラの製造方法であって、カーボンブラックの添加されたポリウレタン原料を、環状アミン系触媒のうち、モルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種の存在下で架橋させることにより、前記導電層を形成することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明は、前記電子写真装置用導電性ローラの製造方法において、環状アミン系触媒を100〜1000ppmの濃度とすることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る電子写真装置用導電性ローラの製造方法について、さらに詳細に説明する。
【0011】
本発明において使用する環状アミン系触媒は、分子内に飽和若しくは不飽和のヘテロ単環を有するアミンであって、しかもモルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種に属するものである。
例えば、環状アミン系触媒のうち、ピペラジン類に属するものとしては、N,N−ジメチルピペラジン、N,−メチル,N’−(2ジメチルアミノ)−エチルピペラジン等を挙げることができ、モルホリン類に属するものとしては、N−メチルモルホリン、N・(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリン等を挙げることができ、イミダゾール類に属するものとしては、1,2−ジメチルイミダゾール等を挙げることができる。
【0012】
斯かる環状アミン系触媒を用いてウレタンの架橋反応を促進させると、イソシアネートとポリオールの反応によるカーボンブラックのストラクチャー発達が阻害されにくく、ポリウレタンエラストマーに所望の導電性を付与することが可能となる。しかも、架橋反応と、その後のアフターキュアに要する時間をそれぞれ大きく短縮することができるため、生産性の改善を図ることができる。例えば、架橋反応については、30分〜45分、アフターキュアについては、約1時間短縮することができる。
【0013】
また、カーボンブラックの添加量による導電性、即ち、体積抵抗値の制御が容易となり、所望の体積抵抗値を有する導電層を形成することが可能となる。
例えば、一般的な電子写真装置用導電性ローラでは、体積抵抗値が103〜107Ωの範囲に設定されるが、前記環状アミン系触媒を用いた場合には、該体積抵抗値を±100.3Ωの範囲で正確に制御することが可能となる。
【0014】
また、本発明においては、斯かる環状アミン系触媒のうち、特に、1−(ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン、N,N−ジメチルピペラジンやN,−メチル,N’−(2ジメチルアミノ)−エチルピペラジンなどのピペラジン類、又は、N−メチルモルホリン、N・(N’,N’−ジメチルアミノエチル)−モルホリンなどのモルホリン類のうち、少なくともいずれか1種を用いることが好ましい。
このようなピペラジン類やモルホリン類の環状アミン系触媒を用いた場合にはカーボンブラックのストラクチャー発達が阻害されにくいのみならず、ウレタンの架橋反応をより一層速やかに進行させることができ、電子写真装置用導電性ローラの生産性を飛躍的に向上させることができる。
【0015】
また、該環状アミン系触媒の濃度は、反応溶液中において100〜1000ppmとすることが好ましく、100〜500ppmとすることがより好ましい。
1000ppmを越える濃度とすると該環状アミン系触媒がポリウレタンエラストマーからブリード又はブルームし易くなり、製造された電子写真装置用導電性ローラは他部材を汚染し易いものとなる虞がある。
【0016】
本発明で用いるポリウレタン原料としては、各種イソシアナートおよびポリオールを使用することができ、イソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等、ポリオールとしては、例えば、ポリエチレンアジペート(PEA)、ポリプロピレングリコール(PPG)等を挙げることがことができる。
【0017】
また、これらのポリウレタン原料のうち、カーボンブラックのストラクチャー形成を阻害し難いという観点から、イソシアネートとして4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ポリオールとしてポリエチレンアジペート(PEA)又はポリプロピレングリコール(PPG)を用いることが好ましい。
【0018】
本発明の電子写真装置用導電性ローラの製造方法は、上述のようなポリウレタン原料を用いて1層又は2層以上の導電層を形成する。
好ましくは、芯材の周りに熱硬化性ポリウレタンによる第一層を形成した後、該第一層の周りにポリエチレンアジペート(PEA)及びジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)を原料とする熱可塑性ポリウレタンによる第二層(皮膜)を形成する。斯かる製造方法により、耐摩耗性が良好であり且つトナーへの安定した摩擦帯電付与能力を備えた電子写真装置用導電性ローラを得ることができる。
【0019】
一方、本発明で用いるカーボンブラックは、前記ウレタンエラストマーに導電性を付与し得るものであれば特に限定されず、各種製法および粒子形状のカーボンブラックを使用することができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、商品名「ケッチェンブラックEC」(ライオンアクゾ社製)を使用することができる。
【0020】
カーボンブラックの添加量については特に限定されず、所望の体積抵抗値となるように適宜調整すればよい。例えば、体積抵抗値を103〜107Ωの範囲とするには、ポリウレタン原料100重量部に対して、カーボンブラックを0.4〜0.6重量部配合することが好ましい。
【0021】
尚、本発明においては、ポリウレタン原料を架橋させる際に、他の添加剤を添加することも可能である。他の添加剤としては、例えば、加水分解防止剤、鎖延長剤等を挙げることができる。
【0022】
電子写真装置用導電性ローラを製造する具体的な手順としては、まず、所定量のポリウレタン原料、環状アミン系触媒、カーボンブラックを混練して混合液とした後、該混合液を、予め接着剤が塗布された導電性軸体がセットされ且つ予熱された金型内に注入し、130〜160℃の所定温度で15〜25分保持して硬化させる。次いで、脱型した後に、140〜160℃の所定温度にて1〜2時間のアフターキュアを施した後、好ましくは室温にて冷却するものとする。こうして、導電性軸体の周囲にウレタンエラストマーの導電層が形成されてなる電子写真装置用導電性ローラを成型することができる。
このようにして成型されたローラは、外周面の研磨等の最終仕上げを行うことにより、電子写真装置用導電性ローラとして使用することができる。
【0023】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げ、本発明について更に詳細に説明する。
【0024】
(実施例1)
ジエチレングリコールとアジピン酸のポリエステルポリオールの混合物(混合比1:1)99.5重量部と、カーボンブラック(ライオンアクゾ社製、ケッチェンブラックEC)0.5重量部と、トリレンジイソシアネート7〜9重量部と、カルボンジイミド(加水分解防止剤)1.0重量部と、1−(ジメチルアミノエチル)−4−メチルピペラジン(ピペラジン類に属する環状アミン系触媒)0.05重量部(原料液中において500ppm)とを混合して実施例1の試験液を作製した。
【0025】
(実施例2)
触媒量を0.04重量部(試験液中の濃度400ppm)とし、他は実施例1と同様にして実施例2の試験液とした。
【0026】
(実施例3)
触媒量を0.02重量部(試験液中の濃度200ppm)とし、他は実施例1と同様にして実施例3の試験液を作製した。
【0027】
(比較例1)
触媒を使用せず、他は実施例1と同様にして比較例1の試験液を作製した。
【0028】
(比較例2)
触媒として、トリエチルアミン(DABCO社製、TETN)を用い、他は実施例1と同様にして比較例2の試験液を作製した。
【0029】
(比較例3)
触媒として、ジアザビシクロアミン塩(サンアプロ社製、U−cat SA1)を用い、他は実施例1と同様にして比較例3の試験液を作製した。
【0030】
ゲル化タイム
斯かる試験液を100℃に保持し、ゲル化タイムとして、ハンドリング法により試験液の流動性がなくなるまでの時間を測定した。即ち、150±2℃に設定した金型(直径30mm×深さ10mm)内に該試験液を3g滴下し、ニードルを該試験液に接触させ、その流動性がなくなるまでの時間を測定し、これをゲル化タイムとした。
【0031】
体積抵抗値
また、硬化後のポリウレタンエラストマーの表面を研磨した後、体積抵抗値(Ω・cm)を測定した。結果を表1に示す。
【0032】
感光体汚染試験
接着剤を塗布した金属製の軸体を予熱した金型にセットし、その周りに前記実施例および比較例の試験液を注入して硬化させた後、アフターキュアすることにより、前記軸体の外周に導電層を形成した電子写真装置用導電性ローラを作製した。
そして、各電子写真装置用導電性ローラを、プリンター(三星電子(株)製、ML−7000)のカートリッジに組み込んで感光体ドラムと接触させた状態とし、温度40℃、湿度95%の雰囲気下で1週間放置した。その後、該カートリッジを用いて印刷を行い、初期画像を目視により評価した。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1に示すように、触媒を使用しない比較例1ではゲル化タイムが非常に長くなり、効率的に導電性ローラを製造できないことがわかる。また、環状アミン系触媒でない触媒を用いた比較例2では、ローラと接触していた感光体ドラム表面が何らかの損傷を受け、これに起因して印刷結果に画像ムラが発生した。さらに、ピペラジン類、モルホリン類、イミダゾール類の何れにも属さない環状アミン系触媒を用いた比較例3では、所望の体積抵抗値とは大きく異なる値となり、しかも作製したロールには表面に凹凸が生じてしまい、良好な印刷結果が得られなかった。
これに対し、実施例1〜3では、比較的ゲル化タイムが短く所望の体積抵抗値とすることが可能であり、しかも感光体への悪影響がなく画像ムラのない良好な印刷を行うことができた。
【0035】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る電子写真装置用導電性ローラの製造方法によれば、ウレタンエラストマーにカーボンブラックを用いて導電性を付与する場合において、比較的短時間で所定の導電性を有し且つ他部材への悪影響のない電子写真装置用導電性ローラを製造することが可能となる。
Claims (2)
- 導電層を備えた電子写真装置用導電性ローラの製造方法であって、カーボンブラックの添加されたポリウレタン原料を、環状アミン系触媒のうち、モルホリン類、ピペラジン類又はイミダゾール類から選ばれる少なくとも1種の存在下で架橋させることにより、前記導電層を形成することを特徴とする電子写真装置用導電性ローラの製造方法。
- 前記環状アミン系触媒の濃度を100〜1000ppmとすることを特徴とする請求項1記載の電子写真装置用導電性ローラの製造方法。
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JP2003207940A JP2005062266A (ja) | 2003-08-19 | 2003-08-19 | 電子写真装置用導電性ローラの製造方法 |
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KR101172130B1 (ko) | 2008-09-30 | 2012-08-10 | 캐논 가부시끼가이샤 | 현상 롤러, 현상 롤러의 제조 방법, 프로세스 카트리지, 및 전자 사진 장치 |
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2003
- 2003-08-19 JP JP2003207940A patent/JP2005062266A/ja active Pending
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