JP2004090430A - 発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】長い乾燥ラインを必要とすることなく、コンパクトなローラ生産ラインを作ることができ、品質の安定した発泡体ローラを、コスト性や生産性、品質性を損なうことなく製造することのできる発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置を提供する。
【解決手段】軸1の外周に、弾性層2と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層3とを形成する発泡体ローラの製造方法である。弾性層2の原料成分を、筒状型20の中心線上に軸1が貫設された状態にて筒状型20内に注入して、軸1の外周に弾性層2を一体的に形成する成形工程を含む。成形工程において、弾性層2を、原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型20内に混合射出し、重合反応させると同時に発泡させて形成し、かつ、成形工程後に、樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を弾性層2上に塗布し、硬化させて形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】軸1の外周に、弾性層2と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層3とを形成する発泡体ローラの製造方法である。弾性層2の原料成分を、筒状型20の中心線上に軸1が貫設された状態にて筒状型20内に注入して、軸1の外周に弾性層2を一体的に形成する成形工程を含む。成形工程において、弾性層2を、原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型20内に混合射出し、重合反応させると同時に発泡させて形成し、かつ、成形工程後に、樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を弾性層2上に塗布し、硬化させて形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置に関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置などにおいて好適に使用される発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置等の画像形成装置には、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、トナー供給ローラなどの各種ローラ部材として、高分子弾性部材を使用したローラ、特に、低硬度の高分子弾性フォームからなる弾性層を有する発泡体ローラが多く用いられている。かかる発泡体ローラに関しては、例えば、実開61−150370号公報、特公平5−20754号公報、特開平8−4749号公報、特開平9−305039号公報等において様々に改良が検討されてきている。
【0003】
ところが、低硬度の高分子弾性フォームからなる弾性層は摩擦係数が比較的大きいので、熱的、物理的にトナーが表面に付着しやすく、トナーフィルミングが生ずることにより十分な帯電性を得ることができなくなって、画出枚数の増加と共に画質が低下してしまうという問題がある。そのため、弾性層の表面にソリッド層を設けて摩擦係数を下げることが行われている。かかるソリッド層は、マシン寿命の延長に伴う表面強度の向上や表面平滑性の向上、表面への電気的な特性付与の観点からも、有効な手法であることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このソリッド層を設ける方法としては、弾性層の成形後にチューブを被せる方法や、円筒状の型に予めチューブをセットしておき、弾性層およびソリッド層を一体的に成形する方法などがあるが、これらの方法は、▲1▼チューブを成形するための別工程が必要なこと、▲2▼弾性層の成形後にチューブを被せる方法では、チューブと弾性層との間の接着性等の技術課題の解決が別途必要なこと、▲3▼型内で一体成形する方法では、型構造が複雑化する上、しわが発生しやすいこと等、品質やコストの面で様々な問題があった。
【0005】
これらの問題を解決する方法としては、弾性層の成形後に表面塗装してソリッド層を設ける方法があるが、溶剤系または水系の塗料中にローラをディップまたはスプレーした後に熱または熱風で乾燥硬化するこれまでの表面塗装の方法では、以下のような問題があった。即ち、長時間の乾燥が必要であるので量産には長い乾燥ラインが必要となることや、その用途上ローラのソリッド層には微妙な導電性と表面状態が要求されるのに対し、乾燥ライン内の温度分布や風量のバラツキが性能に大きく影響してしまうことなど、コスト上や品質上における種々の問題を有するものであった。
【0006】
一方、従来より用いられているローラの効率的な製造方法としては、円筒状の型に軸をセットしておき、型内の空隙部にポリウレタンや他のエラストマー系樹脂、あるいはその発泡体等の基材原料を満たして、軸と基材とを一体で成形する方法がある。しかしこの方法は、キュア時間の関係で樹脂の注入から脱型までに概略10分以上の時間を要するので、生産タクト短縮のためには型数の増加が必要となり、即ち、コスト上昇を伴うものであった。
【0007】
このような問題を解決するために、ポリウレタン樹脂等を用い、その重合反応を利用することで反応性を上げて、脱型時間を短縮したいわゆるRIM(Reaction Injection Molding)成形技術が提案されている。しかし、RIM成形法を用いた場合であっても、一体成形された成形品を研削加工せずに使用する場合には、表面の強度や平滑性、耐汚染性等の確保のために表面の塗装が必須となり、溶剤の乾燥、キュアに時間がかかることから、生産性のよい工程にはなり得なかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、従来のような長い乾燥ラインを必要とすることなく、よりコンパクトなローラ生産ラインにおいて、品質の安定した発泡体ローラを、コスト性や生産性、品質性を損なうことなく製造することのできる発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記ソリッド層に紫外線(UV)硬化型樹脂を適用して、これとRIM成形法を用いた一体成形の手法とを組み合わせることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
【0010】
(1)軸の外周に、発泡体層または発泡体層およびスキン層からなる弾性層と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層とを形成する発泡体ローラの製造方法であって、前記弾性層の原料成分を、筒状型の中心線上に前記軸が貫設された状態にて該筒状型内に注入して、前記軸の外周に前記弾性層を一体的に形成する成形工程を含む発泡体ローラの製造方法において、
前記成形工程において、前記弾性層を、前記原料成分を構成する2種のモノマー成分を前記筒状型内に混合射出し、重合反応させると同時に発泡させて形成し、かつ、該成形工程後に、前記樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を前記弾性層上に塗布し、硬化させて形成することを特徴とする発泡体ローラの製造方法である。
【0011】
(2)前記(1)の製造方法において、前記発泡体層を、ポリウレタンフォームにより形成する製造方法である。
【0012】
(3)前記(1)または(2)の製造方法において、前記紫外線硬化型樹脂として、(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物を用いる製造方法である。
【0013】
(4)前記(1)〜(3)のうちいずれかの製造方法において、前記弾性層または前記弾性層およびソリッド層に導電材を含有させる製造方法である。
【0014】
(5)前記(1)〜(4)のうちいずれかの製造方法において、前記ソリッド層を厚み1〜500μmにて形成する製造方法である。
【0015】
(6)前記(1)〜(5)のうちいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする発泡体ローラである。
【0016】
(7)前記(6)の発泡体ローラを装着してなることを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について詳細に説明する。
図2に示すように、本発明の発泡体ローラ10は、軸1の外周に、発泡体層を主体とする弾性層2と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層3とを有しており、このうち弾性層2は、発泡体ローラ10の最終形状を形成する筒状型を用いて、軸1と一体的に形成されている。
【0018】
かかる軸1と弾性層2との一体成形においては、例えば、図1(イ)に示すような筒状型20を用いることができる。具体的には、図1(イ)に示すように、筒状型20の中心線上に軸1が貫設された状態で、弾性層2の原料成分を筒状型20内に注入し、筒状型20を密閉して(図1(ロ))、軸1の外周に弾性層2を一体的に形成する。
【0019】
本発明の製造方法では、軸1と弾性層2との一体化を行うための上記成形工程において、いわゆるRIM成形法を用いる。即ち、弾性層2の原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型20内に混合射出して、重合反応させると同時に発泡させて、軸1と弾性層2とを一体化する。これにより原料の注入から脱型までの所要時間60秒程度で成形工程を行うことができるので、生産コストを大幅に削減することが可能となる。
【0020】
また、本発明においては、上記成形工程後に、ソリッド層3を構成する樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を弾性層2上に塗布し、硬化させることにより形成する。UV硬化樹脂は塗布後のUV照射によりごく短時間で硬化させることができるので、ソリッド層3の形成にUV硬化樹脂を用いることにより、従来のような長い乾燥ラインを用いない全く新しいコンパクトなローラ生産ラインを作ることができ、品質的に安定した発泡体ローラを効率よく大量生産することが可能となる。
【0021】
弾性層2を構成する発泡体層としては、ポリウレタンフォーム、シリコーンゴムフォーム、エチレンプロピレンゴムフォーム、アクリロニトリルブタジエンゴムフォーム、ポリウレタンゴムフォームなどが挙げられるが、このうちポリウレタンフォームが好ましい。この場合、弾性層2の原料成分としてはポリウレタン原料が用いられ、2種のモノマー成分は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とで構成される。
【0022】
ポリウレタン原料を構成するポリイソシアネート成分としては、芳香族イソシアネートまたはその誘導体、脂肪族イソシアネートまたはその誘導体、脂環族イソシアネートまたはその誘導体が用いられる。これらの中でも、芳香族イソシアネートまたはその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネートまたはその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が好適に用いられる。
【0023】
トリレンジイソシアネートまたはその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物等が用いられる。
【0024】
ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタンまたはその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体などがあり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートなどを用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05〜4.00、より好ましくは2.50〜3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物なども用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
【0025】
また、ポリウレタン原料を構成するポリオール成分としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分とを縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
【0026】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコジット、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。また、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましく用いられる。さらに、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの配列は、ランダムであることが好ましい。
【0027】
上記ポリエーテルポリオールの分子量は、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300〜6000の範囲のものが好ましく、特には、400〜3000の範囲のものが好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900〜9000の範囲のものが好ましく、特には、1500〜6000の範囲のものが好ましい。また、2官能のポリオールと3官能のポリオールとを適宜ブレンドして用いることもできる。
【0028】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得られ、重量平均分子量が400〜4000のもの、特には、650〜3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。さらに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
【0029】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることも好ましく、この場合、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとの比率が、重量比で95:5〜20:80の範囲になるように用いることが好ましく、特には、90:10〜50:50の範囲になるように用いることが好ましい。
【0030】
また、上記ポリオール成分とともに、各種ポリアミン、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンなどのポリオール類やそれらの誘導体等を併用することができる。
【0031】
さらに、ポリオールをポリイソシアネートによりあらかじめプレポリマー化して用いてもよく、その方法としては、ポリオールとポリイソシアネートを適当な容器に入れ、十分に撹拌して、30〜90℃、より好ましくは40〜70℃に、6〜240時間、より好ましくは24〜72時間保温する方法が挙げられる。
【0032】
ポリウレタン原料の硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の発泡体ローラにおいては導電性を付与する必要があり、発泡体原料に導電材を加える。導電材にはイオン導電材と電子導電材があり、発泡体原料に添加する導電材としては限定されるものではない。イオン導電材としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等のアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などの有機イオン導電材、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などの無機イオン導電材が挙げられる。電子導電材としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック;酸化カーボンブラック等のインク用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅等の金属;カーボンウイスカー、黒鉛ウイスカー、炭化チタンウイスカー、導電性チタン酸カリウムウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカー、導電性酸化チタンウイスカー、導電性酸化亜鉛ウイスカー等の導電性ウイスカーなどが挙げられる。上記導電材の添加により、本発明の発泡体ローラの体積固有抵抗を所望の範囲に調整することができる。また、イオン導電材と電子導電材とを併用して抵抗を調整してもよい。
【0034】
また、ポリウレタン原料等の発泡体原料には、上記導電材の他に無機炭酸塩等の充填材、シリコーン整泡剤や各種界面活性剤等の整泡剤、フェノールやフェニルアミン等の酸化防止剤、低摩擦化剤、電荷調整剤などを添加することができる。
【0035】
シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分とからなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル、各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
なお、シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、発泡体原料100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の上記成形工程により形成される弾性層2は、▲1▼成形時にローラ表面にスキン層を同時に形成する所謂インテグラルスキンフォーム(発泡体層およびスキン層)と、▲2▼ローラ表面スキン層を形成しないタイプの成形品(発泡体層のみ)とがあるが、後者の成形品を用い、この表面にソリッド層3を塗布形成した場合、成形品の表面がポーラスになるために次に塗る塗膜の密着性が向上することと、基材スキンがないために製品の表面硬度が柔らかく仕上がり、トナーに対するストレスが軽減され、また、OPCドラム等に接触する場合に曲面へのフィット性がよくなるため、性能的に有利である。なお、前者の方法により得られる弾性層2のスキン層を研磨加工により除去して用いることも可能である。
【0038】
従って、ソリッド層3は、弾性層2の発泡体層上か、または、発泡体層表面に形成されたスキン層上に塗布形成される。前述したように、ソリッド層3は1層以上の樹脂層からなるものであるが、かかる樹脂層のうち少なくとも1層をUV硬化樹脂を用いて塗布形成すれば、本発明の所期の効果を得ることができる。
【0039】
ソリッド層の厚みは、表面の強度向上を目的とする場合には、10〜500μm、好ましくは50〜300μmとすることが適当であり、表面(界面)の電気的物性やトナー付着防止等の物理的性質の改良を目的とするような場合には、1〜50μm、好ましくは3〜30μmとすることが適当である。
【0040】
紫外線硬化型の樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートオリゴマーと紫外線重合開始剤とを含む(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物が好適である。
【0041】
かかる(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系のアクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
【0042】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0043】
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
【0044】
また、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。ポリオールおよびイソシアネート化合物としては、発泡体原料としてのポリウレタンフォーム原料を構成するとして例示したのと同様のものが使用できる。
【0045】
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。ポリオールとしては、発泡体原料としてのポリウレタンフォーム原料を構成するとして例示したのと同様のものが使用できる。
【0046】
紫外線硬化型の樹脂組成物には、必要に応じて粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合する。このような反応性希釈剤としては、アミノ基や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応およびアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常10〜200重量部用いることが好ましい。
【0047】
また、本発明の発泡体ローラを導電性ローラとする場合には、弾性層2のみならずソリッド層3にも導電性を付与するために、紫外線硬化型樹脂に対し導電材を加えることが好ましい。導電材としては、発泡体原料に添加する導電材として上記に例示したイオン導電材や電子導電材を適宜使用することができる。
【0048】
紫外線重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
なお、かかる紫外線重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.1〜10重量部が好ましい。
【0050】
本発明においては、上記必須成分以外に、必要に応じて、上記の光重合開始剤による光重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを添加してもよい。これらの化合物の添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0051】
また、本発明の製造方法において弾性層2の表面に紫外線硬化型樹脂を塗布する方法には特に制限はなく、樹脂溶液中に発泡体ローラをディップする方法や、スプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
【0052】
紫外線を照射するための光源としては、通常使用される水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のいずれもが使用可能である。また、紫外線照射の条件は、紫外線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択すればよいが、照度100〜700mW/cm2、積算光量200〜3000mJ/cm2程度とすることが適当である。
【0053】
本発明の製造方法により製造される本発明の発泡体ローラは、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ機、レーザビームプリンタ、カラーレーザビームプリンタ、トナージェットプリンタなどの画像形成装置に帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、トナー供給ローラ等として装着して好適に使用される。即ち、本発明の画像形成装置は、本発明の上記発泡体ローラを各種ローラ部材として装着してなるものであればよく、他の部材等の条件には特に制限はない。かかる画像形成装置の一例としては、例えば、上記発泡体ローラ10をトナー供給ローラとして用いた図3に示す非磁性一成分系の現像装置を備えたものが挙げられる。図中の符号11はトナー、12は現像ローラ、13は画像形成体、14はクリーニング部、15はクリーニングブレード、16はブレードを夫々表す。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
実施例1
図1(イ)に示すような、内径16mm長さ250mmの、内表面をフッ素加工した金属性円筒型1の片側開口部から、図示するようにして直径6mmの金軸2をセットした後、下記の表1に示す配合内容の混合液20.0gを、ミキシングヘッドを備えたRIM成形用の発泡機からキャビティ内に注入し、キャビティ内を満たした。
【0055】
その後、この型を80℃オーブン中で1.0分キュアして脱型し、軸1と弾性層2としてのウレタンフォームとが一体化したウレタンフォーム製ローラを得た。得られたローラのフォーム密度は0.36g/cm3であり、全体に均一な密度と硬度を有した成形品であった。
【0056】
この基材を軸1に垂直な方向に輪切りにして観察したところ、内部は均一なセル密度で、表層部の密度勾配、ソリッドスキンの形成は認められなかった。また、ローラ表面を同様に拡大観察したところ、表面はポーラスで発泡セルが表面にも生成していることがわかった。
【0057】
次に、上記ローラの表面に、下記の表2に示す配合内容のUV硬化型樹脂溶液を厚み100μmになるようにロールコーターでコートして、ウシオ電気(株)製ユニキュアUVH−0252Cを用いて、サンプルを回転させながら、照度400mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2にてUV照射を行ったところ、コートされたUV樹脂は瞬時に硬化して、弾力性のあるソリッド層3が形成された。得られたローラは、給紙ローラや転写ローラ、現像ローラ、帯電ローラ等に適したものであった。
【0058】
実施例2
弾性層2としてのウレタンフォームを下記の表1に示す配合内容として導電性を付与し、また、ソリッド層3についても下記の表2に示す配合とした以外は、実施例1と同様の方法でローラを作製した。
【0059】
コートされたUV樹脂は、実施例1と同様に瞬時に硬化して、弾力性のあるソリッド層3を形成した。また、得られたローラは、両端に0.1Nの荷重をかけてアルミ板に圧着された状態で、軸とアルミ板間に200V印加した際に2×107Ωの導電性を有し、導電性を必要とする各種ローラに適したローラであることが確かめられた。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、RIM成形法およびUV硬化樹脂の適用により、以下のような利点を得ることができる。
即ち、型面数を1/5以下程度、成形ライン長を1/3以下とすることが可能となり、初期設備投資を低減して、工場の占有スペースを小さくすることができる。また、長い乾燥ラインが不要になるので、工程スペースや高価な設備を必要としなくなり、コスト的に有利となる。さらに、成形工程、その後の塗装工程ともに、サイズ切り替えが容易である。さらにまた、一定条件での成形/キュアが再現性よく実施できるため、ローラ間の品質バラツキを少なく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に係る筒状型の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の発泡体ローラの一例を示す斜視図である。
【図3】非磁性一成分系の現像装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 軸
2 弾性層
3 ソリッド層
10 発泡体ローラ
11 トナー
12 現像ローラ
13 画像形成体
14 クリーニング部
15 クリーニングブレード
16 ブレード
20 筒状型
【発明の属する技術分野】
本発明は発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置に関し、詳しくは、複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置などにおいて好適に使用される発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の電子写真技術の進歩に伴い、乾式電子写真装置等の画像形成装置には、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、トナー供給ローラなどの各種ローラ部材として、高分子弾性部材を使用したローラ、特に、低硬度の高分子弾性フォームからなる弾性層を有する発泡体ローラが多く用いられている。かかる発泡体ローラに関しては、例えば、実開61−150370号公報、特公平5−20754号公報、特開平8−4749号公報、特開平9−305039号公報等において様々に改良が検討されてきている。
【0003】
ところが、低硬度の高分子弾性フォームからなる弾性層は摩擦係数が比較的大きいので、熱的、物理的にトナーが表面に付着しやすく、トナーフィルミングが生ずることにより十分な帯電性を得ることができなくなって、画出枚数の増加と共に画質が低下してしまうという問題がある。そのため、弾性層の表面にソリッド層を設けて摩擦係数を下げることが行われている。かかるソリッド層は、マシン寿命の延長に伴う表面強度の向上や表面平滑性の向上、表面への電気的な特性付与の観点からも、有効な手法であることが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このソリッド層を設ける方法としては、弾性層の成形後にチューブを被せる方法や、円筒状の型に予めチューブをセットしておき、弾性層およびソリッド層を一体的に成形する方法などがあるが、これらの方法は、▲1▼チューブを成形するための別工程が必要なこと、▲2▼弾性層の成形後にチューブを被せる方法では、チューブと弾性層との間の接着性等の技術課題の解決が別途必要なこと、▲3▼型内で一体成形する方法では、型構造が複雑化する上、しわが発生しやすいこと等、品質やコストの面で様々な問題があった。
【0005】
これらの問題を解決する方法としては、弾性層の成形後に表面塗装してソリッド層を設ける方法があるが、溶剤系または水系の塗料中にローラをディップまたはスプレーした後に熱または熱風で乾燥硬化するこれまでの表面塗装の方法では、以下のような問題があった。即ち、長時間の乾燥が必要であるので量産には長い乾燥ラインが必要となることや、その用途上ローラのソリッド層には微妙な導電性と表面状態が要求されるのに対し、乾燥ライン内の温度分布や風量のバラツキが性能に大きく影響してしまうことなど、コスト上や品質上における種々の問題を有するものであった。
【0006】
一方、従来より用いられているローラの効率的な製造方法としては、円筒状の型に軸をセットしておき、型内の空隙部にポリウレタンや他のエラストマー系樹脂、あるいはその発泡体等の基材原料を満たして、軸と基材とを一体で成形する方法がある。しかしこの方法は、キュア時間の関係で樹脂の注入から脱型までに概略10分以上の時間を要するので、生産タクト短縮のためには型数の増加が必要となり、即ち、コスト上昇を伴うものであった。
【0007】
このような問題を解決するために、ポリウレタン樹脂等を用い、その重合反応を利用することで反応性を上げて、脱型時間を短縮したいわゆるRIM(Reaction Injection Molding)成形技術が提案されている。しかし、RIM成形法を用いた場合であっても、一体成形された成形品を研削加工せずに使用する場合には、表面の強度や平滑性、耐汚染性等の確保のために表面の塗装が必須となり、溶剤の乾燥、キュアに時間がかかることから、生産性のよい工程にはなり得なかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、従来のような長い乾燥ラインを必要とすることなく、よりコンパクトなローラ生産ラインにおいて、品質の安定した発泡体ローラを、コスト性や生産性、品質性を損なうことなく製造することのできる発泡体ローラの製造方法、発泡体ローラおよびそれを用いた画像形成装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記ソリッド層に紫外線(UV)硬化型樹脂を適用して、これとRIM成形法を用いた一体成形の手法とを組み合わせることにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下のとおりである。
【0010】
(1)軸の外周に、発泡体層または発泡体層およびスキン層からなる弾性層と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層とを形成する発泡体ローラの製造方法であって、前記弾性層の原料成分を、筒状型の中心線上に前記軸が貫設された状態にて該筒状型内に注入して、前記軸の外周に前記弾性層を一体的に形成する成形工程を含む発泡体ローラの製造方法において、
前記成形工程において、前記弾性層を、前記原料成分を構成する2種のモノマー成分を前記筒状型内に混合射出し、重合反応させると同時に発泡させて形成し、かつ、該成形工程後に、前記樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を前記弾性層上に塗布し、硬化させて形成することを特徴とする発泡体ローラの製造方法である。
【0011】
(2)前記(1)の製造方法において、前記発泡体層を、ポリウレタンフォームにより形成する製造方法である。
【0012】
(3)前記(1)または(2)の製造方法において、前記紫外線硬化型樹脂として、(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物を用いる製造方法である。
【0013】
(4)前記(1)〜(3)のうちいずれかの製造方法において、前記弾性層または前記弾性層およびソリッド層に導電材を含有させる製造方法である。
【0014】
(5)前記(1)〜(4)のうちいずれかの製造方法において、前記ソリッド層を厚み1〜500μmにて形成する製造方法である。
【0015】
(6)前記(1)〜(5)のうちいずれかの製造方法により製造されたことを特徴とする発泡体ローラである。
【0016】
(7)前記(6)の発泡体ローラを装着してなることを特徴とする画像形成装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について詳細に説明する。
図2に示すように、本発明の発泡体ローラ10は、軸1の外周に、発泡体層を主体とする弾性層2と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層3とを有しており、このうち弾性層2は、発泡体ローラ10の最終形状を形成する筒状型を用いて、軸1と一体的に形成されている。
【0018】
かかる軸1と弾性層2との一体成形においては、例えば、図1(イ)に示すような筒状型20を用いることができる。具体的には、図1(イ)に示すように、筒状型20の中心線上に軸1が貫設された状態で、弾性層2の原料成分を筒状型20内に注入し、筒状型20を密閉して(図1(ロ))、軸1の外周に弾性層2を一体的に形成する。
【0019】
本発明の製造方法では、軸1と弾性層2との一体化を行うための上記成形工程において、いわゆるRIM成形法を用いる。即ち、弾性層2の原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型20内に混合射出して、重合反応させると同時に発泡させて、軸1と弾性層2とを一体化する。これにより原料の注入から脱型までの所要時間60秒程度で成形工程を行うことができるので、生産コストを大幅に削減することが可能となる。
【0020】
また、本発明においては、上記成形工程後に、ソリッド層3を構成する樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を弾性層2上に塗布し、硬化させることにより形成する。UV硬化樹脂は塗布後のUV照射によりごく短時間で硬化させることができるので、ソリッド層3の形成にUV硬化樹脂を用いることにより、従来のような長い乾燥ラインを用いない全く新しいコンパクトなローラ生産ラインを作ることができ、品質的に安定した発泡体ローラを効率よく大量生産することが可能となる。
【0021】
弾性層2を構成する発泡体層としては、ポリウレタンフォーム、シリコーンゴムフォーム、エチレンプロピレンゴムフォーム、アクリロニトリルブタジエンゴムフォーム、ポリウレタンゴムフォームなどが挙げられるが、このうちポリウレタンフォームが好ましい。この場合、弾性層2の原料成分としてはポリウレタン原料が用いられ、2種のモノマー成分は、ポリイソシアネート成分とポリオール成分とで構成される。
【0022】
ポリウレタン原料を構成するポリイソシアネート成分としては、芳香族イソシアネートまたはその誘導体、脂肪族イソシアネートまたはその誘導体、脂環族イソシアネートまたはその誘導体が用いられる。これらの中でも、芳香族イソシアネートまたはその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネートまたはその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が好適に用いられる。
【0023】
トリレンジイソシアネートまたはその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物等が用いられる。
【0024】
ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタンまたはその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体などがあり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートなどを用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05〜4.00、より好ましくは2.50〜3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物なども用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
【0025】
また、ポリウレタン原料を構成するポリオール成分としては、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分とを縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
【0026】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコジット、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が2〜95重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜90重量%である。また、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましく用いられる。さらに、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの配列は、ランダムであることが好ましい。
【0027】
上記ポリエーテルポリオールの分子量は、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300〜6000の範囲のものが好ましく、特には、400〜3000の範囲のものが好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900〜9000の範囲のものが好ましく、特には、1500〜6000の範囲のものが好ましい。また、2官能のポリオールと3官能のポリオールとを適宜ブレンドして用いることもできる。
【0028】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得られ、重量平均分子量が400〜4000のもの、特には、650〜3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。さらに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
【0029】
ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることも好ましく、この場合、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとの比率が、重量比で95:5〜20:80の範囲になるように用いることが好ましく、特には、90:10〜50:50の範囲になるように用いることが好ましい。
【0030】
また、上記ポリオール成分とともに、各種ポリアミン、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンなどのポリオール類やそれらの誘導体等を併用することができる。
【0031】
さらに、ポリオールをポリイソシアネートによりあらかじめプレポリマー化して用いてもよく、その方法としては、ポリオールとポリイソシアネートを適当な容器に入れ、十分に撹拌して、30〜90℃、より好ましくは40〜70℃に、6〜240時間、より好ましくは24〜72時間保温する方法が挙げられる。
【0032】
ポリウレタン原料の硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物などが挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
本発明の発泡体ローラにおいては導電性を付与する必要があり、発泡体原料に導電材を加える。導電材にはイオン導電材と電子導電材があり、発泡体原料に添加する導電材としては限定されるものではない。イオン導電材としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム等のドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム等のオクタデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪族ジメチルエチルアンモニウム等のアンモニウムの過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩などの有機イオン導電材、リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩などの無機イオン導電材が挙げられる。電子導電材としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンブラック;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック;酸化カーボンブラック等のインク用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、グラファイト;酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅等の金属;カーボンウイスカー、黒鉛ウイスカー、炭化チタンウイスカー、導電性チタン酸カリウムウイスカー、導電性チタン酸バリウムウイスカー、導電性酸化チタンウイスカー、導電性酸化亜鉛ウイスカー等の導電性ウイスカーなどが挙げられる。上記導電材の添加により、本発明の発泡体ローラの体積固有抵抗を所望の範囲に調整することができる。また、イオン導電材と電子導電材とを併用して抵抗を調整してもよい。
【0034】
また、ポリウレタン原料等の発泡体原料には、上記導電材の他に無機炭酸塩等の充填材、シリコーン整泡剤や各種界面活性剤等の整泡剤、フェノールやフェニルアミン等の酸化防止剤、低摩擦化剤、電荷調整剤などを添加することができる。
【0035】
シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350〜15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200〜4000のポリオキシアルキレン部分とからなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル、各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。
【0036】
なお、シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、発泡体原料100重量部に対して0.1〜10重量部とすることが好ましく、0.5〜5重量部とすることがさらに好ましい。
【0037】
本発明の上記成形工程により形成される弾性層2は、▲1▼成形時にローラ表面にスキン層を同時に形成する所謂インテグラルスキンフォーム(発泡体層およびスキン層)と、▲2▼ローラ表面スキン層を形成しないタイプの成形品(発泡体層のみ)とがあるが、後者の成形品を用い、この表面にソリッド層3を塗布形成した場合、成形品の表面がポーラスになるために次に塗る塗膜の密着性が向上することと、基材スキンがないために製品の表面硬度が柔らかく仕上がり、トナーに対するストレスが軽減され、また、OPCドラム等に接触する場合に曲面へのフィット性がよくなるため、性能的に有利である。なお、前者の方法により得られる弾性層2のスキン層を研磨加工により除去して用いることも可能である。
【0038】
従って、ソリッド層3は、弾性層2の発泡体層上か、または、発泡体層表面に形成されたスキン層上に塗布形成される。前述したように、ソリッド層3は1層以上の樹脂層からなるものであるが、かかる樹脂層のうち少なくとも1層をUV硬化樹脂を用いて塗布形成すれば、本発明の所期の効果を得ることができる。
【0039】
ソリッド層の厚みは、表面の強度向上を目的とする場合には、10〜500μm、好ましくは50〜300μmとすることが適当であり、表面(界面)の電気的物性やトナー付着防止等の物理的性質の改良を目的とするような場合には、1〜50μm、好ましくは3〜30μmとすることが適当である。
【0040】
紫外線硬化型の樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートオリゴマーと紫外線重合開始剤とを含む(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物が好適である。
【0041】
かかる(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系のアクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
【0042】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物および水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0043】
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
【0044】
また、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。ポリオールおよびイソシアネート化合物としては、発泡体原料としてのポリウレタンフォーム原料を構成するとして例示したのと同様のものが使用できる。
【0045】
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマーおよびポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。ポリオールとしては、発泡体原料としてのポリウレタンフォーム原料を構成するとして例示したのと同様のものが使用できる。
【0046】
紫外線硬化型の樹脂組成物には、必要に応じて粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合する。このような反応性希釈剤としては、アミノ基や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応およびアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常10〜200重量部用いることが好ましい。
【0047】
また、本発明の発泡体ローラを導電性ローラとする場合には、弾性層2のみならずソリッド層3にも導電性を付与するために、紫外線硬化型樹脂に対し導電材を加えることが好ましい。導電材としては、発泡体原料に添加する導電材として上記に例示したイオン導電材や電子導電材を適宜使用することができる。
【0048】
紫外線重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
なお、かかる紫外線重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.1〜10重量部が好ましい。
【0050】
本発明においては、上記必須成分以外に、必要に応じて、上記の光重合開始剤による光重合反応を促進するために、トリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを添加してもよい。これらの化合物の添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0051】
また、本発明の製造方法において弾性層2の表面に紫外線硬化型樹脂を塗布する方法には特に制限はなく、樹脂溶液中に発泡体ローラをディップする方法や、スプレーコート法、ロールコート法などの中から、状況に応じて適宜選択して用いることができる。
【0052】
紫外線を照射するための光源としては、通常使用される水銀灯、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等のいずれもが使用可能である。また、紫外線照射の条件は、紫外線硬化型樹脂の種類や塗布量に応じて適宜選択すればよいが、照度100〜700mW/cm2、積算光量200〜3000mJ/cm2程度とすることが適当である。
【0053】
本発明の製造方法により製造される本発明の発泡体ローラは、普通紙複写機、普通紙ファクシミリ機、レーザビームプリンタ、カラーレーザビームプリンタ、トナージェットプリンタなどの画像形成装置に帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、給紙ローラ、トナー供給ローラ等として装着して好適に使用される。即ち、本発明の画像形成装置は、本発明の上記発泡体ローラを各種ローラ部材として装着してなるものであればよく、他の部材等の条件には特に制限はない。かかる画像形成装置の一例としては、例えば、上記発泡体ローラ10をトナー供給ローラとして用いた図3に示す非磁性一成分系の現像装置を備えたものが挙げられる。図中の符号11はトナー、12は現像ローラ、13は画像形成体、14はクリーニング部、15はクリーニングブレード、16はブレードを夫々表す。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。
実施例1
図1(イ)に示すような、内径16mm長さ250mmの、内表面をフッ素加工した金属性円筒型1の片側開口部から、図示するようにして直径6mmの金軸2をセットした後、下記の表1に示す配合内容の混合液20.0gを、ミキシングヘッドを備えたRIM成形用の発泡機からキャビティ内に注入し、キャビティ内を満たした。
【0055】
その後、この型を80℃オーブン中で1.0分キュアして脱型し、軸1と弾性層2としてのウレタンフォームとが一体化したウレタンフォーム製ローラを得た。得られたローラのフォーム密度は0.36g/cm3であり、全体に均一な密度と硬度を有した成形品であった。
【0056】
この基材を軸1に垂直な方向に輪切りにして観察したところ、内部は均一なセル密度で、表層部の密度勾配、ソリッドスキンの形成は認められなかった。また、ローラ表面を同様に拡大観察したところ、表面はポーラスで発泡セルが表面にも生成していることがわかった。
【0057】
次に、上記ローラの表面に、下記の表2に示す配合内容のUV硬化型樹脂溶液を厚み100μmになるようにロールコーターでコートして、ウシオ電気(株)製ユニキュアUVH−0252Cを用いて、サンプルを回転させながら、照度400mW/cm2、積算光量1000mJ/cm2にてUV照射を行ったところ、コートされたUV樹脂は瞬時に硬化して、弾力性のあるソリッド層3が形成された。得られたローラは、給紙ローラや転写ローラ、現像ローラ、帯電ローラ等に適したものであった。
【0058】
実施例2
弾性層2としてのウレタンフォームを下記の表1に示す配合内容として導電性を付与し、また、ソリッド層3についても下記の表2に示す配合とした以外は、実施例1と同様の方法でローラを作製した。
【0059】
コートされたUV樹脂は、実施例1と同様に瞬時に硬化して、弾力性のあるソリッド層3を形成した。また、得られたローラは、両端に0.1Nの荷重をかけてアルミ板に圧着された状態で、軸とアルミ板間に200V印加した際に2×107Ωの導電性を有し、導電性を必要とする各種ローラに適したローラであることが確かめられた。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、RIM成形法およびUV硬化樹脂の適用により、以下のような利点を得ることができる。
即ち、型面数を1/5以下程度、成形ライン長を1/3以下とすることが可能となり、初期設備投資を低減して、工場の占有スペースを小さくすることができる。また、長い乾燥ラインが不要になるので、工程スペースや高価な設備を必要としなくなり、コスト的に有利となる。さらに、成形工程、その後の塗装工程ともに、サイズ切り替えが容易である。さらにまた、一定条件での成形/キュアが再現性よく実施できるため、ローラ間の品質バラツキを少なく抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に係る筒状型の一例を示す斜視図である。
【図2】本発明の発泡体ローラの一例を示す斜視図である。
【図3】非磁性一成分系の現像装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 軸
2 弾性層
3 ソリッド層
10 発泡体ローラ
11 トナー
12 現像ローラ
13 画像形成体
14 クリーニング部
15 クリーニングブレード
16 ブレード
20 筒状型
Claims (7)
- 軸の外周に、発泡体層または発泡体層およびスキン層からなる弾性層と、1層以上の樹脂層からなるソリッド層とを形成する発泡体ローラの製造方法であって、前記弾性層の原料成分を、筒状型の中心線上に前記軸が貫設された状態にて該筒状型内に注入して、前記軸の外周に前記弾性層を一体的に形成する成形工程を含む発泡体ローラの製造方法において、
前記成形工程において、前記弾性層を、前記原料成分を構成する2種のモノマー成分を前記筒状型内に混合射出し、重合反応させると同時に発泡させて形成し、かつ、該成形工程後に、前記樹脂層のうち少なくとも1層を、紫外線硬化樹脂を前記弾性層上に塗布し、硬化させて形成することを特徴とする発泡体ローラの製造方法。 - 前記発泡体層を、ポリウレタンフォームにより形成する請求項1記載の発泡体ローラの製造方法。
- 前記紫外線硬化型樹脂として、(メタ)アクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物を用いる請求項1または2記載の発泡体ローラの製造方法。
- 前記弾性層または前記弾性層およびソリッド層に導電材を含有させる請求項1〜3のうちいずれか一項記載の発泡体ローラの製造方法。
- 前記ソリッド層を厚み1〜500μmにて形成する請求項1〜4のうちいずれか一項記載の発泡体ローラの製造方法。
- 請求項1〜5のうちいずれか一項記載の製造方法により製造されたことを特徴とする発泡体ローラ。
- 請求項6記載の発泡体ローラを装着してなることを特徴とする画像形成装置。
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JP2006023728A (ja) * | 2004-06-10 | 2006-01-26 | Bridgestone Corp | 導電性ローラ及びそれを備えた画像形成装置 |
WO2017135284A1 (ja) | 2016-02-02 | 2017-08-10 | 株式会社ブリヂストン | 積層体、現像部材及び積層体の製造方法 |
US11576837B2 (en) | 2019-10-03 | 2023-02-14 | Jfxd Trx Acq Llc | Multi-zonal roller and method of use thereof |
-
2002
- 2002-08-30 JP JP2002255120A patent/JP2004090430A/ja active Pending
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