JP2005060763A - 多孔質膜、及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 細孔が柱状形状で互いに独立し、かつ膜面に対して垂直又はほぼ垂直であり、細孔を隔てる壁材料が半導体材料(シリコン、ゲルマニウム、又はシリコンとゲルマニウム)であり、壁材料が一部もしくは全部が結晶化しているナノ多孔質膜を提供する。
【解決手段】 膜面に対して実質的に垂直に配列した複数の微細な細孔1を有する多孔体の薄膜であって、前記微細な細孔は、第1の材料を含み構成される微細な柱状の部材が第2の材料を含み構成される領域2中に取り囲まれた構造を有する構造体から前記柱状の部材を除去して形成され、前記第2の材料の一部又は全部が結晶質である。第1の材料はアルミニウムであり、第2の材料はシリコン、ゲルマニウム、又はシリコンとゲルマニウムの混合物である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、エレクトロニクス材料等に応用可能な新規な多孔質膜及びその製造方法に関し、特に結晶性の細孔壁を有し、膜方向に垂直な柱状の細孔を有する新規な多孔質膜及びその製造方法に関する。
金属及び半導体の薄膜、細線、ドットなどでは、ある特徴的な長さより小さなサイズにおいて、電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的特性を示すことがある。このような観点から、機能性材料として、数十nmより微細なサイズ(幅や厚さなど)をもつ構造を有する材料(以下、「ナノ構造体」)への関心が高まっている。
こうしたナノ構造体の作製方法としては、例えば、フォトリソグラフィを始め、電子線露光、X線露光などの微細パターン形成技術を始めとする半導体加工技術によって直接的にナノ構造体を作製する方法が挙げられる。
しかし、この半導体加工技術による直接的なナノ構造体の製造は、歩留まりの悪さや装置のコストが高いなどのことがあり、簡易な手法で再現性よく作製できる手法が望まれている。
そこで、このような半導体加工技術によるナノ構造体の作製方法のほかに、自然に形成される規則的な構造、すなわち自己規則的に形成される構造あるいは自己形成的に作製される構造をベースに、新規なナノ構造体を実現しようとする試みがある。これらの手法は、ベースとして用いる微細構造によっては、従来の方法を上まわる微細で特殊な構造を作製できる可能性があるため、多くの研究が行われ始めている。
このような自己規則的あるいは自己形成的手法として、ナノサイズの細孔を有するナノ構造体を制御よく大面積に形成できる陽極酸化が挙げられる。たとえば、アルミニウムを酸性浴中で陽極酸化することで作製する陽極酸化アルミナが知られている。
これは、アルミニウム板あるいは基板上に形成されたアルミニウム膜を酸性電解質中で陽極酸化して、多孔質酸化被膜(陽極酸化アルミナ)が形成されるものであり、(下記非特許文献1参照)、直径が数nm〜数百nmの微細な円柱状細孔(ナノホール)が、数十nm〜数百nmの間隔(セルサイズ)で平行に配列する構造を有する。この応用として例えば着色、磁気記録媒体、EL発光素子、エレクトロクロミック素子、光学素子、太陽電池、ガスセンサなどが提案されている。さらには、量子細線、MIM素子などの量子効果デバイス、ナノホールを化学的反応場として用いる分子センサ、など多方面への応用が期待されている(下記非特許文献2参照)。
また、このような陽極酸化アルミナの他に、ナノサイズの細孔を有するナノ構造体を作製する方法として、シリコンの陽極化成がある。これは結晶シリコンあるいは多結晶シリコンをHF(フッ化水素酸)をベースとした水溶液中で陽極化成を行うと多孔質シリコンが形成される(下記非特許文献3参照)というものであり、1〜数10nm程度の微小細孔が無数に存在した構造を持つ。陽極化成シリコンは、例えば、フォトリソグラフィの犠牲層等に用いられている。
R.C.Furneaux,W.R.Rigby & A.P.Davidson Nature Vol.337 1989 p.147 益田"固体物理"31巻 1996 p.493 D.R.Turner J.Electrochem.Soc.105巻 1985 p.402
しかしながら、アルミニウムの陽極酸化では、平均孔径20nm以下の細孔を高密度に形成することは可能であるが、アルミナ自体が絶縁体であるため、アルミナに電気をほとんど流すことができず、その応用範囲が限定される。
また、シリコンの陽極化成では、マクロ的に見た場合、細孔は膜面に対して垂直に形成されているが、より詳細に観察すると細孔の形状が樹枝状となっており、デバイス応用に必要な構造の制御性という観点で未だ不十分なものであった。
このような技術的背景により、本発明者らは種々検討を重ねた結果、細孔の平均孔径が20nm以下であり、かつ、細孔の平均間隔が30nm以下であり、該細孔が柱状形状で互いに独立し、かつ膜面に対して垂直又はほぼ垂直であり、該細孔を隔てる壁材料が半導体材料(シリコン、ゲルマニウム、シリコンとゲルマニウム)であり、該壁材料が一部もしくは全部が結晶化しているナノ多孔質体を形成できる方法を見出し、本発明に至った。
本発明は、膜面に垂直かつ一定のサイズの細孔を有し、電気伝導性を有する多孔質膜を形成し得たものである。
すなわち、本発明の多孔質膜は、膜面に対して実質的に垂直に配列した複数の微細な細孔を有する多孔体の薄膜であって、前記微細な細孔は、第1の材料を含み構成される微細な柱状の部材が第2の材料を含み構成される領域中に取り囲まれた構造を有する構造体から前記柱状の部材を除去して形成され、前記第2の材料の一部又は全部が結晶質であることを特徴とする。
特に、前記多孔質膜は、前記第2の材料を含み構成される領域が、第1の材料を含み第2の材料を主成分とし、前記多孔質膜の組成が酸素を除く全ての元素に対して第1の材料が0.1atomic%以上30atomic%以下であり、第2の材料が70atomic%以上99.9atomic%以下であり、該細孔の平均孔径が1nm以上20nm以下であり、第1の材料がアルミニウムであり、第2の材料がシリコン、ゲルマニウム、又はシリコンとゲルマニウムの混合物であることが望ましい。
また、本発明の多孔質膜の製造方法は、膜面に対して実質的に垂直に配列した複数の微細な細孔を有する多孔質膜の製造方法であって、第1の材料を含み構成される微細な柱状の部材が第2の材料を含み構成される領域中に取り囲まれた構造を有する構造体を作製する工程、前記構造体から前記柱状部材を除去して多孔質膜を作製する工程、及び前記多孔質膜の一部又は全部を結晶化する工程、を有することを特徴とする。
特に、前記多孔質膜の製造方法において、前記構造体を作製する工程は、前記第1の材料及び前記第2の材料を用意し、非平衡状態で成膜する方法により前記構造体を形成する工程であり、前記構造体が、第2の材料が第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれており、前記第1の材料がアルミニウムであり、前記第2の材料がシリコン、ゲルマニウム、又はシリコンとゲルマニウムの混合物であり、前記多孔質膜の一部又は全部を結晶化する工程が加熱処理であることが望ましい。
本発明によれば、新規なナノ構造体としての多孔質膜及びその製造方法を提供することができる。
本発明の多孔質膜によれば、微細な細孔が壁材料により互いに分離されており、前記細孔が膜面に対して垂直又はほぼ垂直に形成されており、前記多孔質膜の一部又は全部が結晶化している多孔質膜を提供することができる。
また、本発明の多孔質膜によれば、平均孔径が1nm以上20nm以下で、平均間隔が3nm以上30nm以下の微細な細孔とすることができる。
また、本発明の多孔質膜によれば、シリコン、ゲルマニウム、又はシリコンゲルマニウムとすることができる。
さらに、本発明の多孔質膜の製造方法によれば、上記の多孔質膜を容易に製造することができる製造方法を提供することができる。
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
始めに本発明に適用できる構造体について説明する。
本発明に適用できる構造体は、第1の材料と第2の材料を含み構成される構造体であって、該第1の材料を含み構成される柱状の部材が、該第2の材料を含み構成される領域に取り囲まれており、且つ該構造体には該第2の材料が、該第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれていることを特徴とする。
上記割合は、構造体を構成する前記第1の材料と第2の材料の全量に対する前記第2の材料の割合のことであり、好ましくは25atomic%以上65atomic%以下、より好ましくは30atomic%以上60atomic%以下である。
なお、実質的に柱状形状が実現していればよく、例えば柱状に部材の成分として第2の材料が含まれていてもよいし、前記領域に第1の材料が含まれていてもよい。また、上記柱状の部材やその周囲の領域に酸素、アルゴン、窒素、水素などが含まれていてもよい。
第1の材料としては、AlやAuなどが挙げられる。第2の材料としては、Si、Ge、SixGe1-xあるいはCなどが挙げられる。特に第2の材料としては、非晶質となり得る材料であることが望ましい。第1及び第2の材料としては、両者の成分系相平衡図において、共晶点を有する材料(いわゆる共晶系の材料)であることが好ましい。特に共晶点が300℃以上好ましくは400℃以上であるのがよい。なお、第1の材料と第2の材料として好ましい組み合わせとしては、第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてSiを用いる形態、第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてGeを用いる形態、あるいは第1の材料としてAlを用い、第2の材料としてSixGe1-x(0<x<1)を用いるのが好ましい。
前記柱状の部材を取り囲む領域は、非晶質であることが望ましい。
前記柱状の部材の平面形状としては円形あるいは楕円形状である。
前記構造体には、前記第2の材料を含み構成されるマトリックス中に複数の前記柱状の部材が分散していることになる。柱状の部材の径(平面形状が円の場合は直径)は、主として前記構造体の組成(すなわち、前記第2の材料の割合)に応じて制御可能であるが、その平均径2r(図1(b))は、0.5nm以上50nm以下、好ましくは0.5nm以上20nm以下、さらに好ましくは0.5nm以上10nm以下である。なお、楕円等の場合は、最も長い外径部が、上記範囲内であればよい。ここで平均径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される柱状の部分を、その写真から直接、あるいはコンピュータで画像処理して、導出される値である。なお、上記構造体をどのようなデバイスに用いるか、あるいはどのような処理を行うかにもよるが、平均径の下限としては1nm以上、あるいは数nm以上であることが実用的な下限値である。
また、複数の柱状の部材間の中心間距離2R(図1(b))は、3nm以上30nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下、さらに好ましくは5nm以上15nm以下である。勿論、中心間距離の下限として上記2Rは柱状の部材どうしが接触しない間隔は最低限備えている必要がある。
前記構造体は、前記柱状の部材が膜の面内方向に対して略垂直になるように前記第2の材料を含み構成されるマトリックス中に分散していることになる。構造体の膜厚としては、特に限定されるものではないが、1nm〜100μmの範囲で適用できる。プロセス時間等を考慮してより現実的な膜厚としては、1nm〜1μm程度である。特に300nm以上の膜厚でも柱状構造が維持されていることが好ましい。
前記構造体は、基板上に当該構造体が設けられていてもよい。基板としては、特に限定されるものではないが、石英ガラスなどの絶縁性基板、シリコン基板、ガリウム砒素、あるいはインジウム燐などの半導体基板、アルミニウムなどの金属基板あるいは支持部材としての基板上に上記構造体が形成できるのであれば、フレキシブル基板(例えばポリイミド樹脂など)も用いることができる。
前記構造体は、非平衡状態で成膜する方法を利用して作製することができる。当該成膜方法としては、スパッタリング法が好ましいが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)、イオンプレーティング法を始めとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。スパッタリング法で行う場合には、マグネトロンスパッタリング、RFスパッタリング、ECRスパッタリング、DCスパッタリング法を用いることができる。スパッタリング法で行う場合は、アルゴンガス雰囲気中で反応装置内の圧力を0.2から1Pa程度にして成膜を行うことが可能である。スパッタリングの際には、ターゲット原料として前記第1の材料と第2の材料をそれぞれ別途用意してもよいが、予め所望の割合で第1の材料と第2の材料が焼成されたターゲット材料を用いてもよい。
基板上に形成される前記構造体は、基板温度を20℃以上300℃以下、好ましくは20℃以上200℃以下で形成されることが好ましい。
前記構造体から前記柱状の部材を除去(ウェットエッチングあるいはドライエッチングなど)することにより複数の柱状の孔を有する非晶質の多孔質膜が形成される。エッチングには、柱状の部材を選択的に除去できればよく、エッチング液としては例えば、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸が好適であり、さらには膜の酸化を防ぎつつ該柱状の部材を選択的に除去できることが好ましく、例えば濃硫酸が好適である。当該除去により形成される多孔質膜の孔は、互いに連結せず独立していることが好適である。そして、当該多孔質膜の細孔内に種々の材料を充填することで様々な機能素子、装置が提供可能である。なお、柱状の部材を除去後に得られる多孔質膜を化学あるいは熱処理(例えば、酸化処理、窒化処理など)を行った後に、機能材料の充填を行ってもよい。
前記多孔質膜を熱処理等の結晶化処理により該非晶質多孔質膜の一部あるいは全部を結晶質にすることができる。その際、熱処理は還元雰囲気で行うのが好ましく、さらには水素雰囲気中で600℃以上で熱処理を行うのが好ましい。
以下、上記構造体を利用した本発明の多孔質膜及びその製造方法を詳細に説明する。
(1)本発明のシリコン多孔質膜及びその製造方法
本発明のシリコン多孔質膜及びその製造方法について説明する。
本発明のシリコン多孔質膜は、平均孔径が1nm以上20nm以下であり、平均間隔が3nm以上30nm以下である膜面に対して垂直又はほぼ垂直な細孔を有し、また、前記細孔は柱状径状をなしており、さらに、前記細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が酸素を除く主成分がシリコンである結晶質シリコンを含む非晶質シリコン領域で隔てられていることを特徴とする。
<シリコン多孔質膜の構成>
図1は、本発明のシリコン多孔質膜の一例を示す概略図である。
図1(a)は、細孔の平均孔径が20nm以下であり、かつ互いに隣接する該細孔の平均間隔が30nm以下であり、該細孔が互いに独立し、かつ膜面に対して垂直又はほぼ垂直であり、該細孔を隔てる壁材のシリコン領域がシリコンを主成分とする材料から成るシリコン多孔質膜の模式的平面図である。また、図1(b)は、図1(a)の破線AAに沿ってシリコン多孔質膜を切ったときの模式的断面図である。図1において、1は細孔(ナノホール)、2は結晶質シリコン領域を含む非晶質シリコン領域、3は基板である。
本発明のシリコン多孔質膜は、細孔1と酸素を除く主成分がシリコンである結晶質シリコンを含む非晶質シリコン領域2により構成されていることを特徴とする。また、前記細孔は、図1(b)に示されているように非晶質シリコン領域及び結晶質シリコン領域により、互いに分離されており、互に連結しないで独立しており、また、基板に対して垂直又はほぼ垂直に形成されている。
また、本発明のシリコン多孔体膜を構成している細孔の形状は、図1(b)に示されているように柱状形状である。また、細孔の孔径(膜面から見た細孔の平均孔径を示す)2rは1nm以上20nm以下であり、細孔の間隔(膜面から見た細孔の平均中心間間隔を示す)2Rは3nm以上30nm以下である。好ましくは、細孔の径2rは1〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。ここで平均孔径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
また、本発明のシリコン多孔質膜内の細孔は、図1(b)に示されるように、細孔と基板を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板と細孔をつなげなくてもよい。
また、本発明のシリコン多孔質膜を構成している結晶質シリコンを含む非晶質シリコン領域の酸素を除く主成分はシリコンであるが、数から数十atomic%程度の他の元素、例えばアルミニウム(Al)、アルゴン(Ar)、窒素(N)、水素(H)などの各種の元素を含有してもよい。
なお、通常のシリコンウエハと同じように前記シリコン多孔質膜の表面は酸化されていてもかまわない。
また、本発明のシリコン多孔質膜を構成している細孔部分の基板上面からみた形状は、図1(a)のように、ほぼ円形のものでもよいし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。
また、本発明のシリコン多孔質膜を構成している細孔部分の基板断面からみた形状は、図1(b)のように長方形形状でもよいし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。
また、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000、好ましくは0.5〜1000の範囲である形状のものが望ましい。
<シリコン多孔質膜の製造方法>
以下、本発明にかかるシリコン多孔質膜の製造方法について詳細に説明する。
図2は、本発明のシリコン多孔質膜の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
図2において、本発明のシリコン多孔質膜の製造方法は、下記の(a)工程〜(d)工程を有することを特徴とする。
(a)工程:まずアルミニウムとシリコンを用意する。
(b)工程:次に、該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上にアルミニウムシリコン構造体を形成する。成膜されたアルミニウムシリコン構造体は、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲む非晶質シリコン領域とを有し、アルミニウムとシリコンの全量に対してシリコンを20〜70atomic%の割合で含有する構造体から成る。
(c)工程:次に、該アルミニウムシリコン構造体のアルミニウムのみを選択的にエッチングして細孔を形成する。アルミニウムシリコン構造体にシリコンに比べてアルミニウムを溶かし易い酸あるいはアルカリを用いたウェットエッチングを施すと、アルミニウムを含む柱状の部材からアルミニウムがエッチングされて細孔が形成され、該細孔と非晶質シリコン領域から成る非晶質シリコン多孔質膜が形成される。
なお、上記アルミニウムのみを選択的にエッチングとは、実質的にアルミニウムが除去されればよい。
(d)工程:さらに、上記非晶質シリコン多孔質膜に加熱処理を施すと非晶質シリコン領域中に結晶質シリコンが形成される。
次に、本発明のシリコン多孔質膜の製造方法を図面に基づいて説明する。
図3は、本発明のシリコン多孔質膜の製造方法の一例を示す説明図である。
図4は、本発明におけるアルミニウムシリコン構造体の成膜方法の一例を示す概略図である。
図3の(a)〜(d)の順に追って説明する。
以下の工程(a)〜(d)は、図3の(a)〜(d)に対応する。
(a)工程:アルミニウムとシリコンを用意する工程
原料としてのシリコン及びアルミニウムを、例えば、図4に示すように、アルミニウムとシリコンを焼成したアルミニウムシリコン焼成ターゲット12を用意する。
(b)工程:アルミニウムシリコン構造体の形成
次に、基板上にアルミニウムシリコン構造体を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
基板22上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコン構造体23を形成する。アルミニウムシリコン構造体23は、アルミニウムを主成分とする組成から成るアルミニウムを含む柱状の部材21と、その周囲のシリコンを主成分とする非晶質シリコン領域24から構成される。
非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いてアルミニウムシリコン混合体を成膜する方法について説明する。
図4において、11が基板、12がアルミニウムのスパッタリングターゲットである。13はアルゴンプラズマである。スパッタリング法を用いる場合は、アルミニウムとシリコンの割合を簡単に変化させることができる。基板11上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコン構造体を形成する。
原料としてのシリコン及びアルミニウムは、図4のように所定量のアルミニウムとシリコンを焼成したターゲット12を用いることで達成される。
また、アルミニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いてもよい。
また、アルミニウムターゲット上にシリコンチップを配置し、それをスパッタリングするという方法を用いてもよい。
形成される膜中のシリコンの量は、アルミニウムとシリコンの全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。シリコン量がかかる範囲内であれば、シリコン領域内にアルミニウムの柱状の部材が分散したアルミニウムシリコン構造体が得られる。
上記のアルミニウムとシリコンの割合を示すatomic%とは、シリコンとアルミニウムの原子の数の割合を示し、atom%あるいはat%とも記載され、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法(ICP法)でアルミニウムシリコン構造体中のシリコンとアルミニウムの量を定量分析したときの値である。
また、基板温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
なお、このような方法でアルミニウムシリコン構造体を形成すると、アルミニウムとシリコンが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムがシリコンマトリックス内に数nmレベルのナノ構造体(柱状の部材)を形成し、自己組織的に分離する。そのときのアルミニウムはほぼ円柱状形状であり、その孔径は1〜20nmであり、間隔は5〜30nmである。
アルミニウムシリコン構造体のシリコンの量は、例えばターゲットを焼成する際のアルミニウムとシリコンの混合比を調節することで制御できる。
また、非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度が好ましい。また、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットでは、150〜1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。
基板としては、例えば石英ガラスやプラスチックを始めとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素を始めとする半導体基板などの基板、金属基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、アルミニウムシリコン構造体の形成に不都合がなければ、基板の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、アルミニウムシリコン構造体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)を始めとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
上記のようにして成膜されたアルミニウムシリコン構造体23は、アルミニウムを主成分とする組成から成るアルミニウムを含む柱状の部材21と、その周囲の酸素を除く主成分がシリコンである非晶質シリコン領域24を備える。
アルミニウムを含有する柱状の部材部21の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、シリコン、水素、酸素、アルゴン、窒素などの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、柱状の部材部の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
また、アルミニウムを含む柱状の部材の周囲を取り囲んでいる非晶質シリコン領域24の組成は、酸素を除く主成分はシリコンであるが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、アルミニウム、アルゴン、窒素、水素などの各種の元素を含有してもよい。前記組成が酸素を除く全ての元素に対してアルミニウムが0.1atomic%以上30atomic%以下であり、シリコンが70atomic%以上99.9atomic%以下である。なお、主成分とは、シリコン領域の成分構成比においてシリコンの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
(c)工程:細孔形成工程
上記のアルミニウムシリコン構造体中のアルミニウム領域(アルミニウムを含む柱状の部材領域)のみを選択的にエッチングを行う。その結果、アルミニウムシリコン構造体23には、細孔26を有する非晶質シリコン領域24のみが残り、非晶質シリコン多孔質膜25が形成される。なお、該非晶質シリコン多孔質膜中の細孔は、間隔2Rが30nm以下、孔径2rが20nm以下であるが、好ましくは、細孔の孔径2rは1〜15nmであり、その間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜1000nmの範囲である。
エッチングに用いる溶液は、例えばアルミニウムを溶かしシリコンをほとんど溶解しない、燐酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられるが、その中でもアルミニウムのエッチング時に非晶質シリコン領域を酸化しない、あるいは酸化の進行が遅いエッチング溶液を使用することが好ましく、例えば濃硫酸を使用することが望ましい。しかしエッチングによる細孔形成及びその後の工程に不都合がなければ、エッチング溶液は特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する非晶質シリコン多孔質体に応じて、適宜設定することができる。
(d)工程:非晶質シリコン領域の結晶化工程
上記非晶質シリコン多孔体膜25に対して、非晶質シリコンが結晶化する条件、例えば加熱処理やレーザ照射を行うことにより該非晶質シリコンの一部もしくは全部が結晶化する。その結果非晶質シリコン領域中に結晶シリコンが形成され、結晶質シリコンを含む非晶質シリコン領域27が形成される。この際、高還元雰囲気中での加熱処理が好ましく、さらに好ましくは高還元雰囲気下で800℃以上1000℃以下での加熱処理を行うことが望ましい。しかし該非晶質シリコン領域の結晶化及び該シリコン多孔質膜の構造に問題がなければどのような方法、条件を用いてもよく、加熱処理とレーザ照射を同時に行うというような、数種類の方法を複合して用いてもよい。このように基板22上にシリコン多孔質膜28が形成される。
(2)本発明のゲルマニウム多孔質膜及びその製造方法
次に、本発明のゲルマニウム多孔質膜及びその製造方法について説明する。
本発明のゲルマニウム多孔質膜は、平均孔径が1nm以上20nm以下であり、平均間隔が3nm以上30nm以下である膜面に対して垂直又はほぼ垂直な細孔を有し、また、前記細孔は柱状径状をなしており、さらに、前記細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が酸素を除く主成分がゲルマニウムである結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム領域で隔てられていることを特徴とする。
<ゲルマニウム多孔質膜の構成>
図5は、本発明のゲルマニウム多孔質膜の一例を示す概略図である。
図5(a)は、細孔の平均孔径が1nm以上20nm以下であり、かつ互いに隣接する該細孔の平均間隔が3nm以上30nm以下であり、該細孔が互いに独立し、かつ膜面に対して垂直又はほぼ垂直であり、該細孔を隔てる壁材のゲルマニウム領域がゲルマニウムを主成分とする材料から成るゲルマニウム多孔質膜の模式的平面図である。また、図5(b)は、図5(a)の破線BBに沿ってゲルマニウム多孔質膜を切ったときの模式的断面図である。図5において、101は細孔(ナノホール)、102は結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム領域、103は基板である。
本発明のゲルマニウム多孔質体は、細孔101と酸素を除く主成分がゲルマニウムである結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム領域102により構成されていることを特徴とする。また、前記細孔は、図5(b)に示されているように非晶質ゲルマニウム領域及び結晶質ゲルマニウム領域により、互いに分離されており、互に連結しないで独立しており、また、基板に対して垂直又はほぼ垂直に形成されている。
また、本発明のゲルマニウム多孔質膜を構成している細孔の形状は、図5(b)に示されているように柱状形状である。また、細孔の孔径(膜面から見た細孔の平均孔径を示す)2rは1nm以上20nm以下であり、細孔の間隔(膜面から見た細孔の平均中心間間隔を示す)2Rは3nm以上30nm以下である。好ましくは、細孔の径2rは1〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。ここで平均孔径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
また、本発明のゲルマニウム多孔質膜内の細孔は、図5(b)に示されるように、細孔と基板を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板と細孔がつながっていなくてもかまわない。
また、本発明のゲルマニウム多孔質膜を構成している結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム領域の酸素を除く主成分はゲルマニウムであるが、数から数十atomic%程度のアルミニウム(Al)、アルゴン(Ar)、窒素(N)、水素(H)などの各種の元素を含有してもよい。
なお、前記ゲルマニウム多孔質膜の表面は酸化されていてもかまわない。
また、本発明のゲルマニウム多孔質膜を構成している細孔部分の基板上面からみた形状は、図5(a)のように、ほぼ円形のものでもよいし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。
また、本発明のゲルマニウム多孔質膜を構成している細孔部分の基板断面からみた形状は、図5(b)のように長方形形状でもよいし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。
また、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000、好ましくは0.5〜1000の範囲である形状のものが望ましい。
<ゲルマニウム多孔質膜の製造方法>
以下、本発明にかかるゲルマニウム多孔質膜の製造方法について詳細に説明する。
図6は、本発明のゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
図6において、本発明のゲルマニウム多孔質膜の製造方法は、下記の(a)工程〜(d)工程を有することを特徴とする。
(a)工程:まずアルミニウムとゲルマニウムを用意する。
(b)工程:次に、該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上にアルミニウムゲルマニウム構造体を形成する。成膜されたアルミニウムゲルマニウム構造体は、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対してゲルマニウムを20〜70atomic%の割合で含有する構造体から成る。
(c)工程:次に、該アルミニウムゲルマニウム構造体のアルミニウムのみを選択的にエッチングして細孔を形成する。アルミニウムゲルマニウム構造体にゲルマニウムに比べてアルミニウムを溶かし易い酸あるいはアルカリを用いたウェットエッチングを施すと、アルミニウムを含む柱状の部材からアルミニウムがエッチングされて細孔が形成され、該細孔と非晶質ゲルマニウム領域から成る非晶質ゲルマニウム多孔質膜が形成される。
なお、上記アルミニウムのみを選択的にエッチングとは、実質的にアルミニウムが除去されればよい。
(d)工程:さらに、上記非晶質ゲルマニウム多孔質膜に加熱処理を施すと非晶質ゲルマニウム領域中に結晶質ゲルマニウムが形成される。
次に、本発明のゲルマニウム多孔質膜の製造方法を図面に基づいて説明する。
図7は、本発明のゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一例を示す説明図である。
図7の(a)〜(d)の順に追って説明する。
以下の工程(a)〜(d)は、図7の(a)〜(d)に対応する。
(a)工程:アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程
原料としてのゲルマニウム及びアルミニウムを焼成したアルミニウムゲルマニウム焼成ターゲットを用意する。
(b)工程:アルミニウムゲルマニウム構造体の形成
次に、基板上にアルミニウムゲルマニウム構造体を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
基板122上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムゲルマニウム構造体123を形成する。アルミニウムゲルマニウム構造体123は、アルミニウムを主成分とする組成から成るアルミニウムを含む柱状の部材121と、その周囲のゲルマニウムを主成分とする非晶質ゲルマニウム領域124から構成される。
非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いてアルミニウムゲルマニウム混合体を成膜する方法について説明する。
基板上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムゲルマニウム構造体を形成する。
原料としてのゲルマニウム及びアルミニウムは、所定量のアルミニウムとゲルマニウムを焼成したターゲットを用いることで達成される。
また、アルミニウムターゲットとゲルマニウムターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いてもよい。
また、アルミニウムターゲット上にゲルマニウムチップを配置し、それをスパッタリングするという方法を用いてもよい。
形成される膜中のゲルマニウムの量は、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。ゲルマニウム量がかかる範囲内であれば、ゲルマニウム領域内にアルミニウムの柱状の部材が分散したアルミニウムゲルマニウム構造体が得られる。
上記のアルミニウムとゲルマニウムの割合を示すatomic%とは、ゲルマニウムとアルミニウムの原子の数の割合を示し、atom%あるいはat.%とも記載され、例えばICP法でアルミニウムゲルマニウム構造体中のゲルマニウムとアルミニウムの量を定量分析したときの値である。
また、基板温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
なお、このような方法でアルミニウムゲルマニウム構造体を形成すると、アルミニウムとゲルマニウムが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムがゲルマニウムマトリックス内に数から数十nmレベルのナノ構造体(柱状の部材)を形成し、自己組織的に分離する。そのときのアルミニウムはほぼ円柱状形状であり、その孔径は1〜20nmであり、間隔は5〜30nmである。
アルミニウムゲルマニウム構造体のゲルマニウムの量は、例えばターゲットを焼成する際のアルミニウムとゲルマニウムの混合比を調節することで制御できる。
また、非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度が好ましい。また、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットでは、150〜1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。
基板としては、例えば石英ガラスやプラスチックを始めとする絶縁体基板やゲルマニウムやガリウム砒素を始めとする半導体基板などの基板、金属基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、アルミニウムゲルマニウム構造体の形成に不都合がなければ、基板の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、アルミニウムゲルマニウム構造体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)を始めとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
また、成膜する方法としては、ゲルマニウムとアルミニウムを同時に形成する同時成膜プロセスを用いてもよいし、ゲルマニウムとアルミニウムを数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
上記の様にして成膜されたアルミニウムゲルマニウム構造体123は、アルミニウムを主成分とする組成から成るアルミニウムを含む柱状の部材121と、その周囲のゲルマニウムを主成分とする非晶質ゲルマニウム領域124を備える。
アルミニウムを含有する柱状の部材121の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、ゲルマニウム、水素、酸素、アルゴン、窒素などの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、柱状の部材部の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
また、アルミニウムを含む柱状の部材の周囲を取り囲んでいる非晶質ゲルマニウム領域124の組成は、酸素を除いては主成分はゲルマニウムであるが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、アルミニウム、アルゴン、窒素、水素、炭素などの各種の元素を含有してもよい。前記組成が酸素を除く全ての元素に対してアルミニウムが0.1atomic%以上30atomic%以下であり、ゲルマニウムが70atomic%以上99.9atomic%以下である。なお、主成分とは、ゲルマニウム領域の成分構成比においてゲルマニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
(c)工程:細孔形成工程
上記のアルミニウムゲルマニウム構造体中のアルミニウム領域(アルミニウムを含む柱状の部材領域)のみを選択的にエッチングを行う。その結果、アルミニウムゲルマニウム構造体123には、細孔126を有する非晶質ゲルマニウム領域124のみが残り、非晶質ゲルマニウム多孔質膜125が形成される。なお、非晶質ゲルマニウム多孔質膜中の細孔は、間隔2Rが20nm以下、孔径2rが30nm以下であるが、好ましくは、細孔の孔径2rは1〜15nmであり、その間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜1000nmの範囲である。
エッチングに用いる溶液は、例えばアルミニウムを溶かしゲルマニウムをほとんど溶解しない、燐酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられるが、その中でもアルミニウムのエッチング時に非晶質ゲルマニウム領域を酸化しない、あるいは酸化の進行が遅いエッチング溶液を使用することが好ましく、例えば濃硫酸を使用することが望ましい。しかしエッチングによる細孔形成に不都合がなければ水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができ、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製するゲルマニウム多孔質体に応じて、適宜設定することができる。
(d)工程:非晶質ゲルマニウム領域の結晶化工程
上記非晶質ゲルマニウム多孔質膜125に対して、非晶質ゲルマニウムが結晶化する条件、例えば加熱処理やレーザ照射により該非晶質ゲルマニウムの一部もしくは全部が結晶化する。その結果非晶質ゲルマニウム領域中に結晶ゲルマニウムが形成され、結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム領域127が形成される。この際、高還元雰囲気中での加熱処理が好ましく、さらに好ましくは高還元雰囲気下で800℃以上1000℃以下での加熱処理を行うことが望ましい。しかし該非晶質ゲルマニウム領域の結晶化及び該ゲルマニウム多孔質膜の構造に問題がなければどのような方法、条件を用いてもよく、加熱処理とレーザ照射を同時に行うというような、数種類の方法を複合して用いてもよい。このように基板122上にゲルマニウム多孔質膜128が形成される。
(3)本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜及びその製造方法
次に、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜及びその製造方法について説明する。
本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜は、平均孔径が1nm以上20nm以下であり、平均間隔が3nm以上30nm以下である膜面に対して垂直又はほぼ垂直な細孔を有し、また、前記細孔は柱状形状をなしており、さらに、前記細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔がシリコンゲルマニウムを主成分とする非晶質シリコンゲルマニウム領域及び結晶質シリコンゲルマニウム領域で隔てられていることを特徴とする。
<シリコンゲルマニウム多孔質膜の構成>
図8は、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の一例を示す概略図である。
図8(a)は、細孔の平均孔径が1nm以上20nm以下であり、かつ互いに隣接する該細孔の平均間隔が3nm以上30nm以下であり、該細孔が互いに独立し、かつ膜面に対して垂直又はほぼ垂直であり、該細孔を隔てる壁材のシリコンゲルマニウム領域がシリコンゲルマニウムを主成分とする材料から成るシリコンゲルマニウム多孔質膜の模式的平面図である。また、図8(b)は、図8(a)の破線AAに沿ってシリコンゲルマニウム多孔質膜を切ったときの模式的断面図である。図8において、201は細孔(ナノホール)、202は結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム領域、203は基板である。
本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜は、細孔201と酸素を除く主成分はシリコン及びゲルマニウムである結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム領域202により構成されていることを特徴とする。また、前記細孔は、図8(b)に示されているようにシリコンゲルマニウム領域により、互いに分離されており、互に連結しないで独立しており、また、基板に対して垂直又はほぼ垂直に形成されている。
また、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜を構成している細孔の形状は、図8(b)に示されているように柱状形状である。また、細孔の孔径(膜面から見た細孔の平均孔径を示す)2rは1nm〜20nm以下であり、細孔の間隔(膜面から見た細孔の平均中心間間隔を示す)2Rは3nm〜30nm以下である。好ましくは、細孔の径2rは1〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。ここで平均孔径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
また、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜内の細孔は、図8(b)に示されるように、細孔と基板を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板と細孔がつながっていなくてもかまわない。
また、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜を構成している結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム領域の組成は、酸素を除いてはシリコンとゲルマニウムを主成分とするが、数から数十atomic%程度の他元素、例えば、アルミニウム(Al)、アルゴン(Ar)、窒素(N)、水素(H)などの元素を含有してもよい。
また、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜を構成している結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム領域のシリコンとゲルマニウムの組成比は、特に限定されるものではなく、少なくともシリコン元素とゲルマニウム元素の両方が含まれてればよい。つまり、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)の組成割合をSixGe1-xとしたとき、0<x<1の範囲で有ればよい。組成がこの範囲であれば、アルミニウムシリコン多孔質膜やアルミニウムゲルマニウム多孔質膜で可能なアルミニウムナノ柱状の部材の間隔制御よりも、広範囲にアルミニウムナノ柱状の部材の間隔を制御することが可能となる。
なお、前記シリコンゲルマニウム多孔質体の表面は酸化されていてもかまわない。
また、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜を構成している細孔部分の基板上面からみた形状は、図8(a)のように、ほぼ円形のものでもよいし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。
また、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜を構成している細孔部分の基板断面からみた形状は、図8(b)のように長方形形状でもよいし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。
また、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000、好ましくは0.5〜1000の範囲である形状のものが望ましい。
<シリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法>
以下、本発明にかかるシリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法について詳細に説明する。
図9は、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一実施態様を示す工程図である。
図9において、本発明のシリコンゲルマニウム多質膜の製造方法は、下記の(a)工程〜(d)工程を有することを特徴とする。
(a)工程:まずアルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する。
(b)工程:次に、該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上にアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成する。成膜されたアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体は、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対してシリコンとゲルマニウムの総量を20〜70atomic%の割合で含有する構造体から成る。
(c)工程:次に、該アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体のアルミニウムのみを選択的にエッチングして細孔を形成する。アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体にシリコンゲルマニウムに比べてアルミニウムを溶かし易い酸あるいはアルカリを用いたウェットエッチングを施すと、アルミニウムを含む柱状の部材からアルミニウムがエッチングされて該細孔と非晶質シリコンゲルマニウム領域から成る非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜が形成される。
なお、上記アルミニウムのみを選択的にエッチングとは、実質的にアルミニウムが除去されればよい。
(d)工程:さらに、上記非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜に加熱処理を施すと非晶質シリコンゲルマニウム領域中に結晶質シリコンゲルマニウムが形成される。
次に、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法を図面に基づいて説明する。
図10は、本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一例を示す説明図である。
図10の(a)〜(d)の順に追って説明する。
以下の工程(a)〜(d)は、図10の(a)〜(d)に対応する。
(a)工程:アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程
原料としてのシリコンとゲルマニウム及びアルミニウムの焼成ターゲットを用意する。
(b)工程:アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体の形成
次に、基板上にアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
基板222上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体223を形成する。アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体223は、アルミニウムを主成分とする組成から成るアルミニウムを含む柱状の部材221と、その周囲のシリコンとゲルマニウムを主成分とする非晶質シリコンゲルマニウム領域224から構成される。
基板222上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成する。
原料としてのシリコン及びゲルマニウム及びアルミニウムは、所定量のアルミニウムとゲルマニウムとシリコンを焼成したターゲットを用いることで達成される。
また、アルミニウムターゲットとゲルマニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に3つのターゲットをスパッタリングする方法を用いてもよい。
形成される膜中のシリコンとゲルマニウムの総量は、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して20〜70atomic%であり、好ましくは25〜65atomic%、さらに好ましくは30〜60atomic%である。シリコンとゲルマニウムの総量がかかる範囲内であれば、シリコンゲルマニウム領域内にアルミニウムの柱状の部材が分散したアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体が得られる。
上記のアルミニウムとシリコンゲルマニウムの割合を示すatomic%とは、シリコンゲルマニウムとアルミニウムの原子の数の割合を示し、atom%あるいはat.%とも記載され、例えばICP法でアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体中のシリコンゲルマニウムとアルミニウムの量を定量分析したときの値である。
なお、上記のシリコンとアルミニウムとゲルマニウムの全量に対するシリコンとゲルマニウムの総量の割合とは、シリコンの量をSi、ゲルマニウムの量をGe、アルミニウムの量をAlとしたときに、(Si+Ge)/(Si+Ge+Al)×100で表される値のことである。つまり、Si+Ge+Alの合計を100atomic%としたときに、その中のSi+Geの割合である。
また、基板温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
なお、このような方法でアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を形成すると、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの混合物が準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムがシリコンゲルマニウムマトリックス内に数から数十nmレベルのナノ構造体(柱状の部材)を形成し、自己組織的に分離する。そのときのアルミニウムはほぼ円柱状形状であり、その孔径は1〜20nmであり、間隔は5〜30nmである。
アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体のシリコンゲルマニウムの総量は、例えばアルミニウムターゲット上に置くシリコンチップ及びゲルマニウムチップの量を変えることで制御できる。
また、非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度が好ましい。また、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットでは、150〜1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。
基板としては、例えば石英ガラスやプラスチックを始めとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素を始めとする半導体基板などの基板、金属基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体の形成に不都合がなければ、基板の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)を始めとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
また、成膜する方法としては、シリコンとゲルマニウムとアルミニウムを同時に形成する同時成膜プロセスを用いてもよいし、シリコンとゲルマニウムとアルミニウムを数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
上記の様にして成膜されたアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体223は、アルミニウムを主成分とする組成から成るアルミニウムを含む柱状の部材221と、その周囲のシリコンとゲルマニウムを主成分とするシリコンゲルマニウム領域224を備える。
アルミニウムを含有する柱状の部材221の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、シリコン、ゲルマニウム、水素、酸素、アルゴン、窒素などの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、柱状の部材の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
また、アルミニウムを含む柱状の部材の周囲を取り囲んでいる非晶質シリコンゲルマニウム領域224の組成は、酸素を除いてはシリコンとゲルマニウムを主成分とするが、柱状構造の微細構造体が得られていれば、アルミニウム、アルゴン、窒素、水素、炭素などの各種の元素を含有してもよい。前記組成が酸素を除く全ての元素に対してアルミニウムが0.1atomic%以上30atomic%以下であり、シリコンとゲルマニウムが70atomic%以上99.9atomic%以下である。なお、主成分とは、シリコンゲルマニウム領域の成分構成比においてシリコンとゲルマニウムの総量の割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。
(c)工程:細孔形成工程
上記のアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体中のアルミニウム領域(アルミニウムを含む柱状の部材領域)のみを選択的にエッチングを行う。その結果、アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体223には、細孔226を有する非晶質シリコンゲルマニウム領域224のみが残り、非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜225が形成される。なお、非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜中の細孔は、間隔2Rが20nm以下、孔径2rが30nm以下であるが、好ましくは、細孔の孔径2rは1〜15nmであり、その間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜1000nmの範囲である。
エッチングに用いる溶液は、例えばアルミニウムを溶かしシリコンとゲルマニウムの混合物をほとんど溶解しない、燐酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられるが、その中でもアルミニウムのエッチング時に非晶質シリコンゲルマニウム領域を酸化しない、あるいは酸化の進行が遅いエッチング溶液を使用することが好ましく、例えば濃硫酸を使用することが望ましい。しかしエッチングによる細孔形成に不都合がなければ水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができ、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製するシリコンゲルマニウム多孔質体に応じて、適宜設定することができる。
(d)工程:非晶質シリコンゲルマニウム領域の結晶化工程
上記非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜に対して、非晶質シリコンゲルマニウムが結晶化する条件、例えば加熱処理やレーザ照射により該非晶質シリコンゲルマニウムの一部もしくは全部が結晶化する。その結果非晶質シリコンゲルマニウム領域中に結晶シリコンゲルマニウムが形成され、結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム領域227が形成される。この際、高還元雰囲気中での加熱処理が好ましく、さらに好ましくは高還元雰囲気下で800℃以上1000℃以下での加熱処理を行うことが望ましい。しかし該非晶質シリコンゲルマニウム領域の結晶化及び該シリコンゲルマニウム多孔質膜の構造に問題がなければどのような方法、条件を用いてもよく、加熱処理とレーザ照射を同時に行うというような、数種類の方法を複合して用いてもよい。このように基板222上にゲルマニウム多孔質膜228が形成される。
以下に説明する実施例について、第1,2の実施例は実施形態の(1)に、第3,4の実施例は実施形態の(2)に、第5,6の実施例は実施形態の(3)に対応する。
(第1の実施例)
本実施例は、平均細孔間隔Rが8nmであり、平均細孔径2rが5nmであり、高さLが160nmである細孔を有した結晶質シリコンを含む非晶質シリコン多孔質膜を形成した例を示す。
ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を約160nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムとシリコンを焼結したターゲットを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:150Wとした。また、基板温度は100℃とした。
このようなシリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を、濃硫酸中にて24時間浸してアルミニウム柱状部分を除去した。この結果、非晶質シリコン多孔質膜が作製された。
次に、FE−SEM(電界放出走査型電子顕微鏡)にて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコン構造体(非晶質シリコン多孔質膜)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図1に示すように、非晶質シリコン領域に囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは5nmであり、その平均間隔2Rは約8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察したところ、長さLは160nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンにより隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
この試料をRaman分光法により測定したところ、そのスペクトル形状により非晶質シリコンであることが確認できた。またこの時点でアルミニウムとシリコンの全量に対するシリコンの含有量は、EDX(エネルギー分散型蛍光X線分析装置)測定より90%程度であった。
この試料を水素濃度100%、大気圧の雰囲気中で600℃で5時間加熱した。その結果、非晶質シリコン中に結晶質シリコンを含む多孔質膜が形成された。
この加熱した試料をFE−SEMにて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は、細孔が2次元的に配列しており、その平均間隔、細孔の孔径はともに加熱前と大きな変化は観察されなかった。
また、ラマン(Raman)分光法による測定により、アモルファスシリコンのスペクトル形状と合わせて520cm-1付近に結晶質シリコンのピークが観察され、非晶質シリコンと結晶質シリコンが同時に存在していることが確認された。またX線回折法により結晶質シリコンの存在を確認した。
この試料の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極を2箇所作製し、基板に水平な方向の電気伝導度を測定したところ、室温において約5×10-4S・cm-1の電気伝導度を示し、加熱処理前の非晶質シリコン多孔質膜と比較して電気伝導度が向上していることを確認した。
(第2の実施例)
本実施例は、平均細孔間隔Rが10nmであり、平均細孔径2rが7nmであり、高さLが200nmである細孔を有した結晶質シリコンを含む非晶質シリコン多孔質膜を形成した例を示す。
ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を約160nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムとシリコンを焼結したターゲットを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:150Wとした。また、基板温度は100℃とした。
このようなシリコンをアルミニウムとシリコンの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコン構造体を、濃硫酸中にて24時間浸してアルミニウム柱状部分を除去した。この結果、非晶質シリコン多孔質膜が作製された。
次に、FE−SEMにて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコン構造体(非晶質シリコン多孔質膜)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図1に示すように、非晶質シリコン領域に囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは7nmであり、その平均間隔2Rは約10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察したところ、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンにより隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
この試料をRaman分光法により測定したところ、そのスペクトル形状により非晶質シリコンであることが確認できた。またこの時点でアルミニウムとシリコンの全量に対するシリコンの含有量は、EDX測定より90%程度であった。
この試料を水素濃度100%、大気圧の雰囲気中で600℃で5時間加熱した。その結果、非晶質シリコン中に結晶質シリコンを含む多孔質膜が形成された。
この加熱した試料をFE−SEMにて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は、細孔が2次元的に配列しており、その平均間隔、細孔の孔径ともに加熱前と大きな変化は観察されなかった。
また、ラマン分光法による測定により、アモルファスシリコンのスペクトル形状と合わせて520cm-1付近に結晶質シリコンのピークが観察され、非晶質シリコンと結晶質シリコンが同時に存在していることが確認された。またX線回折法により結晶質シリコンの存在を確認した。
この試料の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極を2箇所作製し、基板に水平な方向の電気伝導度を測定したところ、室温において約5×10-4S・cm-1の電気伝導度を示し、加熱処理前の非晶質シリコン多孔質膜と比較して電気伝導度が向上していることを確認した。
(第3の実施例)
本実施例は、平均細孔間隔Rが8nmであり、平均細孔径2rが5nmであり、高さLが160nmである細孔を有した結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム多孔質膜を形成した例を示す。
ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、ゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を約160nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムとゲルマニウムを焼結したターゲットを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:150Wとした。また、基板温度は100℃とした。
このようなゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を、濃硫酸中にて24時間浸してアルミニウム柱状部分を除去した。この結果、非晶質ゲルマニウム多孔質膜が作製された。
次に、FE−SEMにて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムゲルマニウム構造体(非晶質ゲルマニウム多孔質膜)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図5に示すように、非晶質ゲルマニウム領域に囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは5nmであり、その平均間隔2Rは約8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察したところ、長さLは160nmであり、それぞれの細孔部分はゲルマニウムにより隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
この試料をラマン分光法により測定したところ、そのスペクトル形状により非晶質ゲルマニウムであることが確認できた。またこの時点でアルミニウムとゲルマニウムの全量に対するゲルマニウムの含有量は、EDX測定より90%程度であった。
この試料を水素濃度100%、大気圧の雰囲気中で600℃で5時間加熱した。その結果、非晶質ゲルマニウム中に結晶質ゲルマニウムを含む多孔質膜が形成された。
この加熱した試料をFE−SEMにて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は、細孔が2次元的に配列しており、その平均間隔、細孔の孔径ともに加熱前と大きな変化は観察されなかった。
また、ラマン分光法による測定により、非晶質ゲルマニウムのスペクトル形状と合わせて結晶質ゲルマニウムのピークが観察され、非晶質ゲルマニウムと結晶質ゲルマニウムが同時に存在していることが確認された。またX線回折法により結晶質ゲルマニウムの存在を確認した。
この試料の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極を2箇所作製し、基板に水平な方向の電気伝導度を測定したところ、室温において約5×10-4S・cm-1の電気伝導度を示し、加熱処理前の非晶質ゲルマニウム多孔質膜と比較して電気伝導度が向上していることを確認した。
(第4の実施例)
本実施例は、平均細孔間隔Rが10nmであり、平均細孔径2rが7nmであり、高さLが200nmである細孔を有した結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム多孔質膜を形成した例を示す。
ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、ゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を約160nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムとゲルマニウムを焼結したターゲットを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:150Wとした。また、基板温度は100℃とした。
このようなゲルマニウムをアルミニウムとゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムゲルマニウム構造体を、濃硫酸中にて24時間浸してアルミニウム柱状部分を除去した。この結果、非晶質ゲルマニウム多孔質膜が作製された。
次に、FE−SEMにて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムゲルマニウム構造体(非晶質ゲルマニウム多孔質膜)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図5に示すように、非晶質シリコン領域に囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは7nmであり、その平均間隔2Rは約10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察したところ、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はゲルマニウムにより隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
この試料をラマン分光法により測定したところ、そのスペクトル形状により非晶質ゲルマニウムであることが確認できた。またこの時点でアルミニウムとゲルマニウムの全量に対するゲルマニウムの含有量は、EDX測定より90%程度であった。
この試料を水素濃度100%、大気圧の雰囲気中で600℃で5時間加熱した。その結果、非晶質ゲルマニウム中に結晶質ゲルマニウムを含む多孔質膜が形成された。
この加熱した試料をFE−SEMにて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は、細孔が2次元的に配列しており、その平均間隔、細孔の孔径ともに加熱前と大きな変化は観察されなかった。
また、ラマン分光法による測定により、非晶質ゲルマニウムのスペクトル形状と合わせて結晶質ゲルマニウムのピークが観察され、非晶質ゲルマニウムと結晶質ゲルマニウムが同時に存在していることが確認された。またX線回折法により結晶質ゲルマニウムの存在を確認した。
この試料の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極を2箇所作製し、基板に水平な方向の電気伝導度を測定したところ、室温において約5×10-4S・cm-1の電気伝導度を示し、加熱処理前の非晶質ゲルマニウム多孔質膜と比較して電気伝導度が向上していることを確認した。
(第5の実施例)
本実施例は、平均細孔間隔Rが8nmであり、平均細孔径2rが5nmであり、高さLが160nmである細孔を有した結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜を形成した例を示す。
ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンとゲルマニウムの混合物をアルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を約160nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムとシリコンとゲルマニウムを焼結したターゲットを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:150Wとした。また、基板温度は100℃とした。
このようなシリコンとゲルマニウムの混合物(以下シリコンゲルマニウムと呼ぶ)をアルミニウムとシリコンゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を、濃硫酸中にて24時間浸してアルミニウム柱状部分を除去した。この結果、非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜が作製された。
次に、FE−SEMにて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体(非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図8に示すように、非晶質シリコンゲルマニウム領域に囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは5nmであり、その平均間隔2Rは約8nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察したところ、長さLは160nmであり、それぞれの細孔部分は非晶質シリコンゲルマニウム領域により隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
この試料は非晶質シリコンゲルマニウムであり、またこの時点でアルミニウムとシリコンゲルマニウムの全量に対するシリコンゲルマニウムの含有量は、EDX測定より90%程度であった。
この試料を水素濃度100%、大気圧の雰囲気中で600℃で5時間加熱した。その結果、非晶質シリコンゲルマニウム中に結晶質シリコンゲルマニウムを含む多孔質膜が形成された。
この加熱した試料をFE−SEMにて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は、細孔が2次元的に配列しており、その平均間隔、細孔の孔径ともに加熱前と大きな変化は観察されなかった。
また、ラマン分光法による測定により、非晶質シリコンゲルマニウムと結晶質シリコンゲルマニウムが同時に存在していることが確認された。またX線回折法により結晶質シリコンゲルマニウムの存在を確認した。
この試料の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極を2箇所作製し、基板に水平な方向の電気伝導度を測定したところ、室温において約5×10-4S・cm-1の電気伝導度を示し、加熱処理前の非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜と比較して電気伝導度が向上していることを確認した。
(第6の実施例)
本実施例は、平均細孔間隔Rが10nmであり、平均細孔径2rが7nmであり、高さLが200nmである細孔を有した結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜を形成した例を示す。
ガラス基板上に、マグネトロンスパッタ法を用いて、シリコンとゲルマニウムの混合物をアルミニウムとシリコンゲルマニウムの全量に対して 44atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を約160nmの厚さに形成した。ターゲットには、直径が4インチ(101.6mm)の円形のアルミニウムとシリコンとゲルマニウムを焼結したターゲットを用いた。スパッタ条件は、RF電源を用いて、Ar流量:50sccm、放電圧力:0.7Pa、投入電力:150Wとした。また、基板温度は100℃とした。
このようなシリコンとゲルマニウムの混合物(以下シリコンゲルマニウムと呼ぶ)をアルミニウムとシリコンゲルマニウムの全量に対して44atomic%含んだアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体を、濃硫酸中にて24時間浸してアルミニウム柱状部分を除去した。この結果、非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜が作製された。
次に、FE−SEMにて、濃硫酸エッチングしたアルミニウムシリコンゲルマニウム構造体(非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜)を観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は図8に示すように、非晶質シリコンゲルマニウム領域に囲まれた細孔が二次元的に配列していた。細孔の孔径2rは7nmであり、その平均間隔2Rは約10nmであった。また、断面をFE−SEMにて観察したところ、長さLは200nmであり、それぞれの細孔部分はシリコンゲルマニウムにより隔たれており互いに独立していた。また、細孔と基板の間には被膜の形成はなく、観察できず、直接つながっていた。
この試料は非晶質シリコンゲルマニウムであり、またこの時点でアルミニウムとシリコンゲルマニウムの全量に対するシリコンゲルマニウムの含有量は、EDX測定より90%程度であった。
この試料を水素濃度100%、大気圧の雰囲気中で600℃で5時間加熱した。その結果、非晶質シリコンゲルマニウム中に結晶質シリコンゲルマニウムを含む多孔質膜が形成された。
この加熱した試料をFE−SEMにて観察した。基板斜め上方向から見た表面の形状は、細孔が2次元的に配列しており、その平均間隔、細孔の孔径ともに加熱前と大きな変化は観察されなかった。
また、ラマン分光法による測定により、非晶質シリコンゲルマニウムと結晶質シリコンゲルマニウムが同時に存在していることが確認された。またX線回折法により結晶質シリコンゲルマニウムの存在を確認した。
この試料の表面に、蒸着法によりアルミニウム電極を2箇所作製し、基板に水平な方向の電気伝導度を測定したところ、室温において約5×10-4S・cm-1の電気伝導度を示し、加熱処理前の非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜と比較して電気伝導度が向上していることを確認した。
本発明のシリコン多孔質膜の一例を示す概略図 本発明のシリコン多孔質膜の製造方法の一実施態様を示す工程図 本発明のシリコン多孔質膜の製造方法の一例を示す説明図 本発明におけるアルミニウムシリコン構造体の成膜方法の一例を示す概略図 本発明のゲルマニウム多質薄膜の一例を示す概略図 本発明のゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一実施態様を示す工程図 本発明のゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一例を示す説明図 本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の一例を示す概略図 本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一実施態様を示す工程図 本発明のシリコンゲルマニウム多孔質膜の製造方法の一例を示す説明図
符号の説明
1,26 細孔
2,27 結晶質シリコンを含む非晶質シリコン領域
3,11,22 基板
21 アルミニウム柱状部材
23 アルミニウムシリコン構造体
24 非晶質シリコン領域
25 非晶質シリコン多孔質膜
28 シリコン多孔質膜
12 アルミニウムシリコン焼成ターゲット
13 アルゴンプラズマ
101,126 細孔
102,127 結晶質ゲルマニウムを含む非晶質ゲルマニウム領域
103,122 基板
121 アルミニウム柱状部材
123 アルミニウムゲルマニウム構造体
124 非晶質ゲルマニウム領域
125 非晶質ゲルマニウム多孔質膜
128 ゲルマニウム多孔質膜
201,226 細孔
202,227 結晶質シリコンゲルマニウムを含む非晶質シリコンゲ
ルマニウム領域
203,222 基板
221 アルミニウム柱状部材
223 アルミニウムシリコンゲルマニウム構造体
224 非晶質シリコンゲルマニウム領域
225 非晶質シリコンゲルマニウム多孔質膜
228 シリコンゲルマニウム多孔質膜

Claims (10)

  1. 膜面に対して実質的に垂直に配列した複数の微細な細孔を有する多孔体の薄膜であって、前記微細な細孔は、第1の材料を含み構成される微細な柱状の部材が第2の材料を含み構成される領域中に取り囲まれた構造を有する構造体から前記柱状の材料を除去して形成され、前記第2の材料の一部又は全部が結晶質であることを特徴とする多孔質膜。
  2. 前記第2の材料を含み構成される領域は、第1の材料を含み第2の材料を主成分とした請求項1に記載の多孔質膜。
  3. 前記多孔質膜の組成が、酸素を除く全ての元素に対して前記第1の材料が0.1atomic%以上30atomic%以下であり、前記第2の材料が70atomic%以上99.9atomic%以下である請求項2に記載の多孔質膜。
  4. 前記細孔の平均孔径が1nm以上20nm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の多孔質膜。
  5. 前記第1の材料がアルミニウムであり、前記第2の材料がシリコン、ゲルマニウム、又はシリコンとゲルマニウムの混合物である請求項1〜4のいずれかに記載の多孔質膜。
  6. 膜面に対して実質的に垂直に配列した複数の微細な細孔を有する多孔質膜の製造方法であって、第1の材料を含み構成される微細な柱状の部材が第2の材料を含み構成される領域中に取り囲まれた構造を有する構造体を作製する工程、前記構造体から前記柱状部材を除去して多孔質膜を作製する工程、及び前記多孔質膜の一部又は全部を結晶化する工程、を有することを特徴とする多孔質膜の製造方法。
  7. 前記構造体を作製する工程は、前記第1の材料及び前記第2の材料を用意し、非平衡状態で成膜する方法により前記構造体を形成する工程である請求項6に記載の多孔質膜の製造方法。
  8. 前記構造体は、第2の材料が第1の材料と第2の材料の全量に対して20atomic%以上70atomic%以下の割合で含まれている請求項6又は7に記載の多孔質膜の製造方法。
  9. 前記第1の材料がアルミニウムで、前記第2の材料がシリコン、ゲルマニウム、又はシリコンとゲルマニウムの混合物である請求項6〜8のいずれかに記載の多孔質膜の製造方法。
  10. 前記多孔質膜の一部又は全部を結晶化する工程が加熱処理である請求項6〜9のいずれかに記載の製造方法。
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