以下、本発明に係る構造体、及びその製造方法の実施の形態を図1〜図7を参照して説明する。
本実施形態では、第一の材料と第二の材料に対して、第三の材料として少なくともボロン、窒素、水素、カーボンのうち一種類以上を含有することを特徴とするため、これらの組成を示す方法として、第一の材料をA、第二の材料をB、第三の材料をCとした場合に、次式に含まれるx、yを用いて、材料の組成を表現することとする。
(AxB1-x)yC1-y
ここで、x、yは、0から1の間の値をとることが可能であり、100倍することでatomic%に換算することができるものとする。以下、材料の組成はこの表記を適用する。
(実施形態1:混合体)
本実施形態は、混合体に適用したものである。本実施形態に係る混合体に関して、図1を用いて説明する。
図1は、柱状構造体を有し第一の材料を主成分とする領域(第一の部材)11と、それを取り囲む第二の材料を主成分とする領域(第二の部材)12からなる混合体14を示しており、図1(a)及び(b)はそれぞれ、上面図と断面図である。13は基板である。
図1中の混合体14は、第一の材料を主成分とする領域11が、第二の材料を主成分とする領域12に取り囲まれており、且つ混合体14には第二の材料が、0.3≦x≦0.8(20atomic%以上70atomic%以下)となる割合で含まれている。この割合の範囲であれば、実質的に柱状の部材がそれを取り囲むマトリックス領域に分散した混合体14の提供が可能である。
なお、混合体14が形成される下地の基板形状にもよるが、その基板形状が水平であれば柱状の部材は、基板13にほぼ垂直な配置をとる。この場合、混合体14に含まれるボロン、または窒素、または水素、またはカーボンのうち一つ以上の元素は、第一の材料と第二の材料の双方に分散して存在してもよい。ただし、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンは、第一の材料と第二の材料の合計に対して、0.7≦y<1(30atomic%以下)となる割合で含有されていることが好ましい。また、好ましくは0.8≦y≦0.995(0.5atomic%以上20atomic%以下)である。ただし、この割合の範囲において、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンは、比較的厳密に定量することが困難であることから、割合に多少の揺らぎが生じることを排除するものではない。
第二の材料の割合は、好ましくは0.35≦x≦0.75となる割合であり、より好ましくは0.40≦x≦0.70となる割合である。この割合は、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法で定量分析することにより得られる。
特に、第二の材料がシリコンまたはシリコンゲルマニウムであり、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、ボロン、または窒素、または水素は、第一の材料と第二の材料の合計に対して、y≧0.995(0.5atomic%以下)となる量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためには、y≦0.995(0.5atomic%以上)であることが好ましい。
なお、混合体14は、実質的に柱状形状が実現していればよく、例えば柱状の部材の成分として第二の材料が含まれていてもよいし、前記第二の材料を主成分とする領域12に第一の材料が含まれていてもよい。また、柱状の部材を成す領域11やその周囲の領域12に酸素、アルゴンなどの不純物が含まれていてもよい。
第一の材料としては、AlやAuなどが挙げられる。第二の材料としては、Si、Ge、SiとGeの混合物(以降、SizGe1-z(0<z<1)と記載することがある。)、あるいはCなどが挙げられる。特に、第二の材料としては、非晶質となり得る材料であることが望ましい。また、第一及び第二の材料としては、両者の成分系相平衡図において、共晶点を有する材料(いわゆる共晶系の材料)であることが好ましい。特に共晶温度が300℃以上好ましくは400℃以上であるのがよい。なお、共析系の材料を用いることもできる。
第一の材料と第二の材料の好ましい組み合わせは、第一の材料としてAlを用い、第二の材料としてSiを用いる形態、あるいは第一の材料としてAlを用い、第二の材料としてSizGe1-z(0<z<1)を用いる形態が挙げられる。
柱状の部材を成す領域11は、少なくとも一部が多結晶であり、該柱状の部材を取り囲む領域12は、非晶質であることが望ましい。領域11から成る柱状の部材の平面形状としては、円形あるいは楕円形状である。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有により、柱状の部材を取り囲む領域12において、微視的には非晶質部分の中に一部結晶質が存在していることも好ましい。つまり、微結晶の存在は、電子デバイスにおける電気特性、磁気記録媒体における媒体強度等に反映されることからも重要である。
混合体14には、第二の材料を主成分とする領域12中に複数の柱状の部材、つまり第一の材料を主成分とする領域11が分散していることになる。領域11から成る柱状の部材の径(平面形状が円の場合は直径)は、主として混合体14の組成(即ち、第二の材料の割合)などに応じて制御可能であるが、その平均径は、0.5nm以上50nm以下、好ましくは1nm以上20nm以下、さらに好ましくは2nm以上10nm以下である。特に20nm未満の径であることが好適である。
ここでいう「径」とは、図1(b)における2rである。なお、楕円等の場合は、最も長い外径部が、上記範囲内であればよい。ここで「平均径」とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される柱状の部分を、その写真から直接、あるいはコンピュータで画像処理して、導出される値である。もっとも、用いる材料や組成あるいは、混合体14の用途によって最適な径や下記間隔は変動し得る。
また、複数の柱状部材(領域11)間の中心間距離2R(図1(b))は、2nm以上30nm以下、好ましくは5nm以上20nm以下、更に好ましくは5nm以上15nm以下である。勿論、中心間距離の下限として上記2Rは柱状構造体どうしが接触しない間隔は最低限備えている必要がある。なお、第二の材料(即ち、第一の材料を主成分とする領域11を取り囲む材料)として、複数の元素の混合物(例えば、SizGe1-z(0<z<1))を用いれば、その混合比の割合によっても柱状の部材間の中心間距離の制御が可能となる。また、ここで柱状の部材(領域11)間の中心間距離とは、互いに隣り合う柱状の部材(領域11)同士の中心間距離である。
また、混合体14は、膜状の混合体であることが好ましく、かかる場合、柱状である第一の材料を主成分とする領域11は、膜の面内方向に対して略垂直になるように第二の材料を主成分とする領域12に分散していることになる。膜状混合体の膜厚としては、特に限定されるものではないが、1nm〜100μmの範囲で適用できる。プロセス時間等を考慮してより現実的な膜厚としては、1nm〜1μm、あるいは1nm〜3μm、程度である。特に300nm以上の膜厚でも柱状構造が維持されていることが好ましい。また、柱状の部材は、厚さ方向L(長さ方向)に対しては、実質的に分岐をもたない構造が好ましい。
混合体14は、膜状の混合体であることが好ましく、基板上に当該混合体が設けられていてもよい。基板13としては、特に限定されるものではないが、絶縁物や表面に絶縁層を有する基板の場合、また石英ガラス、強化ガラス、結晶化ガラス、ガラスなどの絶縁性基板、シリコン基板、ガリウム砒素、あるいはインジウム燐などの半導体基板、アルミニウムなどの金属基板あるいは支持部材としての基板上に上記混合体が形成できるのであれば、フレキシブル基板(例えばポリイミド樹脂など)も用いることができる。なお、シリコン基板の場合は、p型、n型、高抵抗基板、あるいは低抵抗基板など適宜用いることができる。
なお、混合体14上に更に絶縁膜などを形成することにより、電子デバイスを提供することができる。ここでいう、電子デバイスとは、量子ドット、量子細線、量子細線トランジスタ、単電子トランジスタ、あるいは単電子メモリなどであり、更には、それらを備えた情報処理装置をも含むものである。
本実施形態における混合体(以下、混合体という場合もある。)は、種々の母材として応用が考えられ、例えば単電子トランジスタや単電子メモリなど様々な量子デバイスや微小電極等に適用できる。
また、本実施形態における混合体(例えば、アルミニウムシリコン混合体)を、別の基板あるいは基板上の膜を加工する目的で、ドライエッチング用あるいはウエットエッチング用マスクとして使用することもできる。
また、本実施形態は、量子ドットや量子細線などの柱状構造体をさまざまな形態で応用することを可能とするものであり、その応用範囲を著しく広げるものである。本発明における混合体は、それ自体機能材料として使用可能である。
(実施形態2:混合体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態1の混合体14の製造方法に適用したものである。前記実施形態1の混合体14は、非平衡状態で成膜する方法を利用して作製することができる。当該成膜方法としては、図2に示すスパッタリング法(物理蒸着法)が好ましいが、抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)、イオンプレーティング法をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
図2を参照して、スパッタリング法による混合体の製造方法を説明する。
スパッタリング法で行う場合には、マグネトロンスパッタリング、RFスパッタリング、ECRスパッタリング、DCスパッタリング法を用いることができる。スパッタリング法で行う場合は、アルゴンガス雰囲気中で反応装置内の圧力を0.2から1Pa程度、あるいは0.1から1Pa程度にして成膜を行う。さらに0.1Pa以下のガス圧力の低い領域でのスパッタリングでもよく、ガス種をその他の希ガスを用いることも可能であり、一部窒素、水素、酸素等を混入させることも好ましい。
スパッタリングの際には、ターゲット22原料として前記第一の材料と第二の材料をそれぞれ別途用意しても良いが(例えば、アルミニウムとシリコンが分離されたターゲット22材料を用いる。)、予め所望の割合で第一の材料と第二の材料が焼成されたターゲット22材料を用いてもよい。
また、ボロン、窒素、カーボンに関しては、第一または第二の材料との化合物をターゲット22材料の一部にチップ23として配置してもよく、あらかじめ所望の量を含んだ原料を焼結したターゲット22を作製しておくことも好ましい。本実施形態に係る混合体は、柱状の部材とその側面を取り囲む領域とが同時に形成されることになる。なお、膜が成長する基板21に、Arプラズマが接しない状態でスパッタリングを行うことも好ましい。
また、イオンインプランテーション法によりボロン等を打ち込んで混入させることも好ましい。
また、本実施形態にかかる混合体は、所定膜厚以上成膜しても、柱状構造を成す部材の側面がそれを取り囲む領域に分散した状態が維持できるものである。即ち、膜厚が厚くなっても、膜厚方向に対して、柱状構造体の径が大きく変化しないのである。所定膜厚とは、110nm以上、より好適には300nm以上である。
基板上に形成される混合体は、基板温度が300℃以下で作製可能であり、好適には、20℃以上200℃以下、より好適には100℃以上150℃以下であることが特に好ましい。
(実施形態3:アルミニウムシリコン混合体)
本実施形態は、前述の実施形態1の混合体をアルミニウムシリコン混合体に適用したものである。上記実施形態1で説明した図1を再度利用して、第一及び第二の材料を、それぞれアルミニウム、シリコンとした場合の混合体について説明する。
本実施形態においては、図1の第一の材料をアルミニウム、第二の材料をシリコンとした場合該当する。つまり、図1(a)は本発明に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコン混合体の模式的平面図である。また、図1(b)は、図1(a)の破線AA'に沿って試料を切断した場合の模式的断面図である。
基板上に形成された、膜状のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコン混合体は、アルミニウムとシリコンの割合が0.3≦x≦0.8であることが好ましい。また、好ましくは0.35≦x≦0.75、さらに好ましくは0.4≦x≦0.7である。なお、アルミニウムとシリコンの割合が上記範囲内でれば、シリコン領域内に柱状構造体が分散したアルミニウムシリコン混合体が得られる。
上記アルミニウムとシリコンの割合とは、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法でアルミニウムシリコン混合体膜中のシリコンとアルミニウムの量を定量分析したときの値である。また、アルミニウムとシリコンに対してのボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、それぞれ好ましくは、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。また、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995を満たす量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995を満たすことが好ましい。
本実施形態におけるボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコン混合体は、アルミニウムを主成分とする組成からなるアルミニウム柱状構造体と、その周囲のシリコンを主成分とするシリコン領域部を備える。
また、アルミニウムを含有する柱状構造体部の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含んでいることが好ましい。さらに、シリコン、酸素、アルゴンなどの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、例えば柱状構造体部の成分構成比においてアルミニウムの割合が50atomic%以上、より好適には80atomic%以上ということである。
また、柱状構造体の周囲を取り囲んでいるシリコン領域部の組成は、シリコンを主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含んでいることが好ましい。さらに、アルミニウム、酸素、アルゴンなどの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、例えばシリコン領域部の成分構成比においてシリコンの割合が50atomic%以上、より好適には80atomic%以上ということである。
なお、シリコン領域部は非晶質であることが望ましい。また、前記シリコン領域部が非晶質シリコンであることは絶縁性と言う観点からも好ましい。その理由は、非晶質シリコンは結晶質シリコンに比べて、欠陥密度が多く、さらにはバンドギャップが大きいため、柱状構造体を隔てる母体材料の電気的な絶縁性が向上するからである。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有によりシリコン領域部において、微視的には非晶質部分の中に一部結晶質が存在していることも好ましい。つまり、微結晶の存在は後の電子デバイスにおける電気特性、磁気記録媒体における媒体強度等に反映されることからも重要である。
なお、ここで用いている混合体とは、シリコン母体中にアルミニウムが遊離している状態を示している。
アルミニウムを含む柱状構造体は、その膜面から見た平面形状は円形、あるいは楕円形である。勿論、シリコン領域に前記柱状構造体が適度に分散していれば、任意の形状であってもよい。
本実施形態に係るアルミニウムシリコン混合体における柱状構造体の径としては、特に限定されるものではないが、平均径が0.5nm以上50nm以下、好ましくは0.5nm以上20nm以下、さらに好ましくは0.5nm以上10nm以下であるのがよい。ここでいう径とは図1(b)における2rである。なお、楕円等の場合は、最も長い外径部が、上記範囲内であればよい。ここで平均径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察されるアルミニウム部分をコンピュータで画像処理して、導出される値である。
ところで、ナノメートルサイズのナノ混合体(概ね0.1nm〜100nmの範囲)においては、ある特徴的な長さより小さいサイズとなることで、電子の動きが閉じ込められることにより、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような観点から、機能性材料としてナノ混合体は有用であり、本実施形態に係るアルミニウムシリコン混合体においても、当該混合体を構成する柱状構造体の径が0.5nm以上50nm以下、特に0.5nm以上10nm以下である場合には、ナノ混合体として種々の利用が可能である。
また、複数の柱状構造体の中心間距離2R(図1(b)参照)は、30nm以下、好ましくは15nm以下であるのがよい。もちろん、上記2Rは柱状構造体どうしが接触しない間隔は有する。特に径2r及び中心間距離2Rが共に上記範囲内にあるのが良い。
たとえば、前記アルミニウムナノ構造の径が1〜9nmであり、かつ、前記アルミニウムナノ混合体の間隔が5〜10nmであり、かつ、前記アルミニウムナノ混合体の高さと径の比が0.1〜100000であり、かつ、前記アルミニウムナノ混合体が基板に対して垂直である微細混合体などが挙げられる。
また、柱状構造体の基板断面からみた形状は、図1(b)のように長方形形状が好ましいが、正方形や台形などの形状をとりうる。なお、柱状構造とは、任意のアスペクト比(径/長さ)を有する形状を含むものである。例えば、アスペクト比(径2r/長さL)として、0.1〜100000をとることができる。
例えば、柱状構造の長さLとしては、1nm〜100μmの範囲で適用できる。
特に、柱状構造体の径2rが例えば1〜10nmであり、その中心間距離2Rが5〜15nmである場合に、長さLを1nm〜数μmの範囲で制御する場合を考える。長さLが数nm〜数十nmのとき(長さと径の比が低いとき)、柱状構造体1はアルミニウム量子ドットとなり、それよりも大きい場合はアルミニウム量子細線となる。
また、アルミニウム含有の柱状構造体は、図1(b)に示されているようにシリコンを主成分とするシリコン領域部により互いに分離されている。即ち、複数の柱状構造がシリコン領域中に分散している。
アルミニウム含有の柱状構造体は、特定方向に整列しているのがよい。図1(b)に示すように、特に基板に対して垂直方向に整列しているのがよい。
基板としては、特に限定されるものではないが、石英ガラスなどの絶縁性基板、シリコン基板、ガリウム砒素、あるいはインジウム燐などの半導体基板、あるいは支持部材としての基板上にアルミニウムシリコン混合体が形成できるのであれば、フレキシブル基板(例えばポリイミド樹脂など)も用いることができる。さらには、支持基板上に一層以上の膜が形成されているものを使用してもかまわない。
(実施形態4:アルミニウムシリコン混合体の製造方法)
本実施形態は、前述の実施形態3のアルミニウムシリコン混合体の製造方法に適用したものである。
図2を用いて、本発明に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコン混合体の作製方法について説明する。ここでは、非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いた例を示す。なお、図2において、21が基板、22がスパッタリングターゲットである。スパッタリング法を用いる場合は、アルミニウムとシリコンの割合を簡単に変化させることができる。もちろん、アルミニウムやシリコンの化合物としてボロン、または窒素をターゲットに含有させておくことも可能である。さらには、窒素、または水素などはスパッタリングガス中に混入させることで混合体へ含有させることも好ましい。
図2に示したように、基板上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、ボロン、または窒素、または水素、カーボンを含有したアルミニウムシリコン混合膜を形成する。
原料としてのシリコン及びアルミニウムは、図2のようにアルミニウムのターゲット基板上にシリコンのチップ23を配することで達成される。シリコンのチップ23は、図2では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであっても良い。但し、均一なアルミニウム含有の柱状構造体をシリコン領域内に均一に分散させるには、基板21に対象に配置しておいた方が良い。また、シリコンのチップ23の中に一部、シリコン硼化物、シリコン窒化物、シリコン水素化物、シリコンカーバイトのチップを混ぜて配置することも可能である。
また、所定量のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムやシリコンの粉末を焼成して作製したアルミニウムシリコン焼成物を成膜のターゲット22材として用いることもできる。
また、アルミニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲットをスパッタリングする方法を用いても良い。さらに、ターゲット22の種類を増やしてボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有した材料を準備して同時にスパッタリングしてもよい。
形成されるボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有した膜中のシリコンの量は、アルミニウムとシリコンの全量に対して0.30≦x≦0.80であり、好ましくは0.35≦x≦0.75、さらに好ましくは0.40≦x≦0.70である。さらに、ボロン、窒素、水素、カーボンの含有量は、それぞれ好ましくは、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。また、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995を満たす量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995を満たすことが好ましい。
また、基板温度としては300℃以下、好適には20℃以上200℃以下であり、さらに好ましくは100℃以上150℃以下であるのがよい。シリコン量が斯かる範囲内であれば、シリコン領域内に柱状構造体が分散したアルミニウムシリコン混合体が得られる。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコン混合膜を形成しているときの試料温度は300℃以下、好適には200℃以下が好ましい。このように、300℃以下の試料温度でアルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法で形成することにより、作製されたアルミニウムシリコン混合膜は、アルミニウムとシリコンが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムが数nmレベルのナノ柱状構造体を形成し、自己形成的に分離する。
ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコン混合体のシリコンの量は、例えばアルミニウムターゲット上に置くシリコンチップの量を変えることで制御できる。さらに、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量も同様に変えることが可能である。
非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度、あるいは0.1〜1Paがよい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力であればよい。つまり、0.1Pa以下のガス圧の低い領域のスパッタリングも可能であり、ガス種もその他の希ガスを用いることも可能である。また、一部窒素、水素、酸素ガスを混入させることも好ましい。
基板11としては、例えば石英ガラスをはじめとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素をはじめとする半導体基板などの基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、アルミニウムシリコンナノ混合体の形成に不都合がなければ、基体の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンナノ混合体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)、イオンプレーティング法をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
また、成膜のやり方としては、シリコンとアルミニウムを同時に形成する同時成膜プロセスを用いても良いし、シリコンとアルミニウムを数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもかまわない。
(実施形態5:アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体)
本実施形態は、前述の実施形態1の混合体をアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体に適用したものである。
図1を再度利用して、柱状の部材を構成する第一の材料としてアルミニウムを、第二の材料としてSizGe1-z(0<z<1)を用いる場合について説明する。
図1(a)は、本発明に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウムからなる混合体14の模式的平面図である。また、図1(b)は、図1(a)の破線AA'に沿って試料を切断した場合の模式的断面図である。図1において、第一の材料を主成分とする領域11がアルミニウムであり、第二の材料を主成分とする領域12がシリコンゲルマニウムである。また、図1(b)において、13は基板である。
基板13上に形成された、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有した膜状のアルミニウムシリコンゲルマニウムの混合体14は、その全量に対するシリコンとゲルマニウムの合計の割合が0.3≦x≦0.8であることが好ましい。また、好ましくは0.35≦x≦0.75であり、さらに好ましくは0.40≦x≦0.70である。なお、シリコンゲルマニウムの割合が上記範囲内でれば、シリコンゲルマニウムからなる領域内に柱状構造体が分散したアルミニウムシリコンゲルマニウムの混合体14が得られる。
上記割合とは、例えば誘導結合型プラズマ発光分析法でアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体膜中のシリコンゲルマニウムとアルミニウムの全量に対しての量を定量分析したときの値である。ただし、上記の割合の範囲において、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンは、比較的厳密に定量することが困難であることから、割合に多少の揺らぎが生じることを排除するものではない。また、アルミニウムとシリコンゲルマニウムに対してのボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。特に、第二の材料がシリコンまたはシリコンゲルマニウムである場合に、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995の量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995であることが好ましい。
また、本発明のシリコンゲルマニウム混合部分を構成しているシリコンゲルマニウム領域のシリコンとゲルマニウムの組成比は、特に限定されるものではなく、少なくともシリコン元素とゲルマニウム元素の両方が含まれてればよい。つまり、シリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)の組成割合をSizGe1-zとしたとき、0<z<1の範囲で有ればよい。組成がこの範囲であれば、アルミニウムシリコンナノ混合体やアルミニウムゲルマニウムナノ混合体で可能なアルミニウムナノ柱状構造体の間隔あるいは径の制御よりも、広範囲にアルミニウムナノ柱状構造体の間隔等を制御することが可能となる。かかる意味では、本発明は、柱状の部材間の間隔や径の制御方法をも含むものである。
本発明におけるボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウムの混合体14は、アルミニウムを主成分とする組成からなるアルミニウム柱状構造体11と、その周囲のシリコンゲルマニウムを主成分とするシリコンゲルマニウム領域部12を備える。
また、アルミニウムを含有する柱状構造体11部分の組成は、アルミニウムを主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、シリコン、ゲルマニウム、ボロン、窒素、水素、カーボン、酸素、アルゴン、などの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、例えば柱状構造体部の成分構成比においてアルミニウムの割合が50atomic%以上、より好適には80atomic%以上ということである。
また、柱状構造体11の周囲を取り囲んでいるシリコンゲルマニウム領域部12の組成は、シリコンとゲルマニウムを主成分とするが、アルミニウムを含有する柱状構造の微細混合体の周囲を囲んでさえいれば、アルミニウム、ボロン、窒素、水素、カーボン、酸素、アルゴン、などの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、例えばシリコンゲルマニウム領域部の成分構成比においてシリコンとゲルマニウムの合計の割合が50atomic%以上、より好適には80atomic%以上ということである。
シリコンゲルマニウム領域部12は、非晶質であることが望ましい。また、シリコンゲルマニウム領域部12が非晶質シリコンゲルマニウムであることは絶縁性と言う観点からは好ましいものである。その理由は、非晶質シリコンゲルマニウムは、バンドギャップが大きく、柱状構造体11を隔てる母体材料の電気的な絶縁性が高いからである。もしくは、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有により前記柱状の部材を取り囲む領域において、微視的には非晶質部分の中に一部結晶質が存在していることも好ましい。つまり、微結晶の存在は電子デバイスにおける電気特性、磁気記録媒体における媒体強度等に反映されることからも重要である。
なお、ここで用いている混合体14とは、シリコンとゲルマニウム母体中にアルミニウムが遊離している状態を示している。
アルミニウムを含む柱状構造体11は、膜面から見たその平面形状は円形、あるいは楕円形である。勿論、シリコンゲルマニウム領域12に柱状構造体11が適度に分散していれば、任意の形状であってもよい。
本発明に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体14における柱状構造体11の径としては、特に限定されるものではないが、平均径が0.5nm以上30nm以下、好ましくは0.5nm以上20nm以下、さらに好ましくは0.5nm以上15nm以下であるのがよい。下限値は1nmあるいは2nmでもよい。ここでいう径とは図1(b)における2rである。なお、楕円等の場合は、最も長い外径部が、上記範囲内であればよい。ここで平均径とは、例えば、実際の膜表面のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察されるアルミニウム部分をコンピュータで画像処理して、そのアルミニウム部分を楕円と仮定したとき、長軸として導出される長さの平均値である。
ところで、ナノメートルサイズのナノ混合体(概ね0.1nm〜100nmの範囲)においては、ある特徴的な長さ(平均自由工程等)より小さいサイズとなることで、特異な電気的、光学的、化学的性質を示すことがある。このような観点から、機能性材料としてナノ混合体は有用であり、本発明に係るアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体においても、当該混合体を構成する柱状構造体の径が0.5nm以上30nm以下、特に0.5nm以上15nm以下である場合には、ナノ混合体として種々の利用が可能である。
また、複数の柱状構造体の中心間距離2R(図1(b))は、30nm以下、好ましくは20nm以下であるのがよい。もちろん、上記2Rは柱状構造体どうしが接触しない間隔は有する。特に径2r及び中心間距離2Rが共に上記範囲内にあるのが良い。ここで、2Rは、隣り合う柱状部材の中心間距離ともいえる。
たとえば、柱状構造をした前記アルミニウムナノ構造体の径が1〜15nmであり、かつ、前記アルミニウムナノ混合体の間隔が10〜20nmであり、かつ、前記アルミニウムナノ混合体の高さと径の比が0.1〜100000であり、かつ、前記アルミニウムナノ混合体が基板に対して垂直である微細混合体などが挙げられる。
また、柱状構造体11の基板断面からみた形状は、図1(b)のように長方形形状でも良いし、正方形や台形など任意の形状が可能である。なお、柱状構造とは、任意のアスペクト比(径/長さ)を有する形状を含むものである。例えば、アスペクト比(径2r/長さL)として、0.1〜100000をとることができる。
例えば、柱状構造の長さLとしては、1nm〜100μmの範囲で適用できる。
特に、柱状構造体の径2rが例えば1〜15nmであり、その中心間距離2Rが10〜20nmである場合に、長さLを1nm〜数μmの範囲で制御する場合を考える。長さLが数nm〜数十nmのとき(長さと径の比が低いとき)、柱状構造体1はアルミニウム量子ドット(0次元)として作用し、それよりも大きい場合はアルミニウム量子細線(1次元)として作用する。
また、アルミニウム含有の柱状構造体11は、図1(b)に示されているようにシリコンとゲルマニウムを主成分とするシリコンゲルマニウム領域部12により互いに分離されている。即ち、複数の柱状構造がシリコンゲルマニウム領域中に分散している。
アルミニウム含有の柱状構造体11は、特定方向に整列しているのがよい。図1(b)に示すように、特に基板に対して垂直方向に整列しているのがよい。
基板13としては、特に限定されるものではないが、石英ガラスやプラスチックなどの絶縁性基板、シリコン基板、ゲルマニウム基板、ガリウム砒素、あるいはインジウム燐などの半導体基板、あるいは支持部材としての基板上にアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体が形成できるのであれば、フレキシブルな基板(例えばポリイミド樹脂など)も用いることができる。さらには、支持基板上に一層以上の膜が形成されているものを使用してもかまわない。
(実施形態6:アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体の製造方法)
本実施形態は、前述の実施形態5のアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体の製造方法に適用したものである。
図2を再度利用して、本発明に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体の作製方法について説明する。ここでは、非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いた例を示す。なお、図2において、21が基板、22がスパッタリングターゲットである。スパッタリング法を用いる場合は、ターゲット22材料を変化させることで、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの割合を簡単に変化させることができる。23はシリコンチップと記載されているが本実施形態では、シリコンチップあるいはゲルマニウムチップということになる。もちろん、アルミニウムやシリコンゲルマニウムの化合物としてボロン、または窒素、または水素、またはカーボンをターゲットに含有させておくことも可能である。さらには、窒素、または水素などはスパッタリングガス中に混入させることで混合体へ含有させることも好ましい。
図2に示したように、基板上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合膜を形成する。
原料としてのシリコン、ゲルマニウム及びアルミニウムは、図2のようにアルミニウムのターゲット22上にシリコンのチップ23とゲルマニウムのチップ23、さらにシリコン、ゲルマニウムの硼化物、窒化物、水素化物、炭化物のチップ23を配することで達成される。これらチップ23は、図2では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであっても良い。但し、均一なアルミニウム含有の柱状構造体をシリコンゲルマニウム領域内に均一に分散させるには、図2に示したように基板21に対象に配置しておいた方が良い。
また、所定量のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウム、シリコン、ゲルマニウムの粉末を焼成して作製したアルミニウムシリコンゲルマニウム焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。このようなターゲット22を用いることにより、膜組成のばらつきの少ない、均質な膜を形成することが可能となる。
また、アルミニウムターゲット、シリコンターゲット、ゲルマニウムターゲットを別々に用意し、同時に各々のターゲット22をスパッタリングする方法を用いても良い。このとき、硼化物、窒化物、水素化物、炭化物としてターゲット22に混入させておくことで、ボロン、窒素、水素、カーボンを混合体に含有させることが可能である。また、スパッタリングガス中に窒素、水素を一部混ぜる方法でもよい。
形成される膜中のシリコンとゲルマニウムの合計総量は、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの全量に対して0.30≦x≦0.80であり、好ましくは0.35≦x≦0.75、さらに好ましくは0.40≦x≦0.70である。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。特に、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995の量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995であることが好ましい。
また、基板温度としては、300℃以下、好適には200℃以下であり、好ましくは100℃以上150℃以下であるのがよい。下限としては、0℃あるいは室温である。シリコンとゲルマニウムの合計量が斯かる温度範囲内で作製されれば、シリコンゲルマニウム領域内に柱状構造体が分散したボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体が得られる。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合膜を形成しているときの試料温度は、300℃以下、好ましくは200℃以下が好ましい。このように、成膜条件にもよるが、300℃以下の試料温度でアルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法で形成することにより、作製されたボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合膜は、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムが準安定状態の共晶型組織となり、アルミニウムが数nmレベルのナノ柱状構造体を形成し、シリコンゲルマニウム領域と自己形成的に分離する。
ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体のシリコンとゲルマニウムの総量は、例えばアルミニウムターゲット上に置くシリコンチップあるいはゲルマニウムチップの量を変えることや、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムの粉末の混合量を変えて作製したターゲットを用いることにより制御できる。
非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度、あるいは0.1〜1Paがよい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力であればよい。つまり、0.1Pa以下のガス圧の低い領域のスパッタリングも可能であり、ガス種もその他の希ガスを用いることも可能である。また、一部窒素、水素、酸素ガスを混入させることも好ましい。
基板21としては、例えば石英ガラスをはじめとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素をはじめとする半導体基板などの基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、アルミニウムのナノ柱状構造体の形成に不都合がなければ、基体の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、アルミニウムのナノ柱状構造体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが蒸着法(抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着等)、イオンプレーティング法をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
また、成膜のやり方としては、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムを同時に形成する同時成膜プロセスを用いても良いし、シリコン、ゲルマニウム、アルミニウムを数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもかまわない。
(実施形態7:多孔質体)
本実施形態は、多孔質体に適用したものである。本実施形態の多孔質体に適用できる混合体とは、前述した実施形態1、3、5に記載の混合体である。そして、図1における混合体14の第一の材料を主成分とする領域11を除去することで多孔質化させることが好ましい。
図3を用いて説明すると、本発明のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有した多孔質体34は、平均孔径2rが20nm以下であり、平均間隔2Rが30nm以下である膜面に対して垂直またはほぼ垂直な細孔31を有し、また、前記細孔31は柱状径状をなしており、さらに、前記細孔31の長さLと孔径2rの比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔31がボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したシリコンゲルマニウムを主成分とするシリコンゲルマニウム領域32で隔てられていることを特徴とする。
さらに、図3(a)は細孔の平均孔径が20nm以下であり、かつ互いに隣接する該細孔31の平均間隔が30nm以下であり、該細孔31がお互いに独立し、かつ膜面に対して垂直またはほぼ垂直である模式的平面図である。また、図3(b)は、図3(a)の破線BB'に沿って多孔質体34を切断したときの模式的断面図である。図3において、31は細孔(ナノホール)、32は領域、33は基板、34は多孔質体である。
本実施形態に係る多孔質体34は、細孔31と領域32により構成されていることを特徴とする。また、細孔31は、図3(b)に示されているように、お互いに分離されており、互に連結しないで独立しており、また、基板33に対して垂直またはほぼ垂直に形成されている。
また、本実施形態に係る多孔質体34を構成している細孔31の形状は、図3(b)に示されているように柱状形状である。また、細孔31の孔径(膜面から見た細孔31の平均孔径を示す)2rは、20nm以下であり、細孔31の間隔(膜面から見た細孔31の平均中心間間隔を示す)2Rは、30nm以下である。好ましくは、細孔31の径2rは、0.5〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは、5〜20nmである。また、長さLは、0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。
ここで「平均孔径」とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×70nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
また、多孔質体34内の細孔31は、図3(b)に示されるように、細孔31と基板33を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板33と細孔31をつなげなくても良い。
また、本実施形態の多孔質体34を構成している領域32の組成は、例えばボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したシリコンゲルマニウムを主成分とするが、数から数十atomic%程度の他の元素、例えばアルミニウム(Al)、酸素(O)、アルゴン(Ar)などの各種の元素を含有してもよい。ここで、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。特に、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995の量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995であることが好ましい。
また、本実施形態の多孔質体34の構造は、非晶質であること。また、本発明のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有した多孔質体34を構成している細孔31部分の基板上面からみた形状は、図3(a)のように、ほぼ円形のものでも良いし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。さらに、非晶質部分の一部が結晶質であることも好ましい。
また、本実施形態の多孔質体34を構成している細孔31部分の基板断面からみた形状は、図3(b)のように長方形形状でも良いし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。
また、細孔31の長さLと孔径2rの比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000、好ましくは0.5〜1000の範囲である形状のものが望ましい。
(実施形態8:シリコン多孔質体)
本実施形態は、前述した実施形態7の多孔質体をシリコン多孔質体に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコン多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコン領域を有するシリコン多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする多孔質体である。
前記多孔質体は、柱状形状の細孔とボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンからなるシリコン領域を有する膜状のシリコン多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下で、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が前記シリコンを主成分とするシリコン領域で隔てられているのが好ましい。上記シリコン領域の表面には酸化膜が形成されている場合がある。
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記シリコン領域がシリコンを80atomic%以上含有するのが好ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。特に、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995の量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995であることが好ましい。
前記シリコンが非晶質シリコンであるのが好ましい。また、前記非晶質部分の一部は、結晶質が含まれていることも好ましい。
(実施形態9:ゲルマニウム多孔質体)
本実施形態は、前述した実施形態7の多孔質体をゲルマニウム多孔質体に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素を含有するゲルマニウム多孔質体は、柱状形状の細孔と、それを取り囲むゲルマニウム領域を有するゲルマニウム多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする多孔質体である。
前記多孔質体は、柱状形状の細孔とボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウムを主成分とするゲルマニウム領域を有する膜状の多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下で、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が前記ゲルマニウムを含有するゲルマニウム領域で隔てられているのが好ましい。
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記ゲルマニウム領域がゲルマニウムを80atomic%以上含有するのが好ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。特に、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995の量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995であることが好ましい。
前記ゲルマニウム領域が少なくともゲルマニウムとアルミニウムを含有するのが好ましい。
前記ゲルマニウムが非晶質ゲルマニウムであるのが好ましい。さらに、非晶質の一部が結晶質であることも好ましい。
(実施形態10:シリコンゲルマニウム多孔質体)
本実施形態は、前述した実施形態7の多孔質体をシリコンゲルマニウム多孔質体に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素を含有するシリコンゲルマニウム多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコンゲルマニウム領域を有するシリコンゲルマニウム多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下である多孔質体である。
前記多孔質体は、柱状形状の細孔とボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウムを含有する領域を有する膜状の多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下で、細孔の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)が0.1〜10000であり、かつ前記細孔が前記シリコンゲルマニウムを主成分とするシリコンゲルマニウム領域で隔てられているのが好ましい。
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウム領域内のシリコンとゲルマニウムの総量が80atomic%以上含有するのが好ましい。当該割合には含有酸素量は除いている。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7であることが好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。特に、ボロン、または窒素、または水素を該材料の伝導型の制御に用いる場合は、y≧0.995の量で十分制御可能であり、膜の硬度をもたせるという目的のためにはy≦0.995であることが好ましい。
前記シリコンゲルマニウム領域のシリコン(Si)とゲルマニウム(Ge)の組成の割合をSixGe1-xとしたとき、0<x<1の範囲であるのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウムが非晶質シリコンゲルマニウムであるのが好ましい。さらに、非晶質の一部が結晶質であることも好ましい。
(実施形態11:多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態7の多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する多孔質体の製造方法は、第一の材料と第二の材料を主成分として構成され、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する混合体であって、該第一の材料を含み構成される柱状の部材が、該第二の材料を含み構成される領域に取り囲まれている混合体を用意する工程(図4(a)参照)、該混合体から該柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする(図4(b)参照)。
図4において、41は第一の材料を主成分とする領域、42は第一の材料を主成分とする領域を取り囲むように配置される第二の材料を主成分とする領域、43は混合体、44は基板、45は多孔質体、46は細孔である。
ここで、混合体43には該第二の材料が、0.3≦x≦0.8の割合で含まれているのがよい。但し、基板44に垂直方向に並んだ柱状構造体が、前記領域中に分散している混合体43が得られているのであれば上記割合に限定されるものではない。本発明においては、混合体43が、当該混合体から選択的に前記柱状構造体を除去できる材料の組み合わせにより得られている点が重要である。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有は、第一の材料、第二の材料の化合物、混合物から混入させてもよく、スパッタリング法においてはアルゴンなどのガスの一部に導入して達成させることも好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.7≦y≦0.995であることが好ましい。
また、細孔46形成後、必要に応じて当該細孔46を拡大させることもできる(図4(c)参照)。
前記第一の材料としては、例えばアルミニウムや金を、前記第二の材料としては、例えばSi、SiGe,Ge,C、あるいはこれらの組み合わせ材料を用いることができる。勿論、複数種類の材料を組み合わせてもよい。以下の説明においても同様である。
本発明に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する多孔質体の製造方法は、下記の(a)工程〜(c)工程を有することを特徴とする。
(a)工程:第一の材料(例えばアルミニウム)と第二の材料(例えばシリコン)を用意する。
(b)工程:次に、前記2つの材料を非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上に成膜する。当該成膜により得られるボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する混合体は、前記第一の材料を含む柱状の部材と、前記第二の材料により構成され、該柱状の部材を取り囲む領域とを有する。第一の材料と第二の材料の全量に対して、第二の材料を0.3≦x≦0.8の割合で含有するように成膜することで、柱状の部材が分散した混合体が得られる。もちろん、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるためには、第一の材料または第二の材料に化合物、混合物として混入させておく方法が好ましく。さらに、スパッタリング法を用いる場合には、アルゴンガスの一部に窒素、水素ガスとして導入することで達成する方法も好ましい。
(c)工程:次に、得られた混合体から柱状の部材を除去して細孔を形成する。第二の材料に比べて、第一の材料を溶かしやすい酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを施すと、主として第一の材料により形成される柱状の部材が除去されて細孔が形成される。
なお、上記柱状の部材のエッチングなどによる除去は、実質的に柱状の部材が選択的に除去されればよく、柱状部材の深さ方向の長さ分すべてを除去する必要はない。
また、上記(c)工程に引き続き、前記第二の材料を溶かす酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを行って、形成された細孔の孔径を広げる事も可能である。
この工程においても、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させることが可能であり、イオンインプランテーション法により、イオン化させたボロンなどを打ち込むことが可能である。もちろん、混入させる量はわずかではあるがドーピングという観点からは十分適用可能である。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
さらに、本発明に係る多孔質体の製造方法を(a)〜(d)の順に追って説明する。
(a)工程:成膜装置内に第一の材料(例えばアルミニウム)と、第二の材料(例えばシリコン)を用意する。このとき、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させる場合は、第一の材料または第二の材料の中に化合物、混合物としてあらかじめ含有させておくことが好ましい。
例えば、に示すように、第一の材料(例えば、アルミニウム)により構成されるターゲット(基板)上に、第二の材料(例えばシリコン)により構成されるチップを配置する。
または、第一の材料または第二の材料からなるターゲット上に、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する第二または第一の材料のチップを配置する。
(b)工程:混合体の形成
次に、基板上に混合体を成膜して形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
基板上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、混合体を形成する。混合体は、第一の材料を主成分とする組成からなる柱状の部材と、その周囲に配置され第二の材料を主成分とする領域から構成される。
図2に示したように、基板21上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、混合体を形成する。
原料としての第二の材料及び第一の材料は、図2のように第一の材料を含むターゲット22上に、第二の材料からなるチップ23を配することで達成される。チップ23は、図2では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであっても良い。但し、柱状の部材を領域内に均一に分散させるには、基板21に対象に配置しておくのがよい。
また、所定量の第一の材料(例えばアルミニウム)と第二の材料(例えばシリコン)との粉末を焼成して作製した焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。
また、例えばアルミニウムターゲットとシリコンターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲット22をスパッタリングする方法を用いても良い。
また、ターゲット22にボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させる方法の他に、スパッタリングガスとしてアルゴンの一部を窒素、水素にする方法も好ましい。
形成される膜中の第二の材料の量は、第一の材料と第二の材料の全量に対して0.3≦x≦0.8の割合であり、好ましくは0.35≦x≦0.75、さらに好ましくは0.40≦x≦0.70である。第二の材料の量が斯かる範囲内であれば、領域内に柱状の部材が分散した混合体が得られる。
また、基板温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
なお、このような方法で前記混合体を形成すると、第一の材料と第二の材料が準安定状態の共晶型組織となり、第一の材料が第二の材料により形成されるマトリックス内に数nmレベルのナノ混合体(柱状の部材)を形成し、自己組織的に分離する。そのときの柱状の部材はほぼ円柱状形状であり、その孔径は1〜20nmであり、間隔は5〜30nmである。
混合体に含まれる第二の材料の量は、例えば第一の材料からなるターゲット上に置くチップの量を変えることで制御できる。
また、非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度、あるいは0.1から1Pa程度が好ましい。
さらに0.1Pa以下のガス圧力の低い領域でのスパッタリングでもよく、ガス種をその他の希ガスを用いることも可能であり、一部窒素、水素、酸素等を混入させることも好ましい。
また、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットでは、150〜1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。
基板としては、例えば石英ガラスやプラスチックをはじめとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素をはじめとする半導体基板などの基板、金属基板、カーボン基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、本発明に係る混合体の形成に不都合がなければ、基板の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、前記混合体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。ポリイミド樹脂などを用いたフレキシブル基板も用いることができる。なお、シリコン基板の場合は、p型、n型、高抵抗あるいは低抵抗基板を用いることができる。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。なお、スパッタリング法の中でも、前記混合体が成長する基板に、プラズマが実質的に接しない状態でスパッタリングを行うことも好ましい。
また、成膜する方法としては、第一の材料と第二の材料を同時に形成する同時成膜プロセスを用いても良いし、両材料を数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
上記の様にして成膜された混合体は、第一の材料を主成分とする組成からなる柱状の部材と、その周囲の第二の材料を主成分とするシリコン領域を備える。
柱状の部材部の組成は、第一の材料を主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、シリコン、酸素、アルゴン、などの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、例えば柱状の部材部の成分構成比においてアルミニウムの割合が80atomic%以上、好ましくは90atomic%以上が望ましい。当該割合において含有酸素量は除いている。
また、柱状の部材の周囲を取り囲んでいる領域の組成は、第二の材料を主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、ボロン、窒素、水素、カーボンを多く含んでもよく、y≧0.7の割合で含むことが好ましい。また、アルミニウム、酸素、アルゴン、などの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、領域24の成分構成比において、例えば第二の材料の割合が80atomic%以上、あるいは90atomic%以上である。
(c)工程:細孔形成工程
上記混合体中の柱状の部材を選択的に除去する。その結果、混合体には、細孔を有する領域が残り、多孔質体が形成される。
なお、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したシリコン多孔質体中の細孔は、間隔2Rが30nm以下、孔径2rが20nm以下であるが、好ましくは、細孔の孔径2rは1〜15nmであり、その間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜1000nmの範囲である。
エッチングに用いる溶液は、例えばアルミニウムを溶かしシリコンをほとんど溶解しない、りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられるが、エッチングによる細孔形成に不都合がなければ水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができ、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製するボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したシリコン多孔質体に応じて、適宜設定することができる。もちろん、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有により、エッチング耐性が向上していることから、アルカリを用いたエッチングも好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
なお、上記工程により得られる多孔質体の孔壁には、酸化膜を形成することができる。
また、必要に応じて、以下の工程(d)を行なってもよい。
(d)工程:細孔径の拡大工程:
さらに上記多孔質体に対して、第二の材料を溶解する酸溶液、例えばフッ化水素を薄めた溶液など、あるいはアルカリ溶液、例えば水酸化ナトリウムなど、の中に浸すポアワイド処理により、適宜、細孔径を広げることができる。この溶液も特に細孔の拡大に問題がなければどのような酸及びアルカリを用いてもよい。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもよい。
また細孔の孔径拡大(ポアワイド処理)条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する細孔の大きさに応じて、適宜設定することができる。
(実施形態12:シリコン多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態8のシリコン多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコン多孔質体の製造方法は、アルミニウムとシリコンを含み構成される混合体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、アルミニウムとシリコンの全量に対してシリコンを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコン混合体を用意する工程、及び該アルミニウムシリコン混合体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする。
前記多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、シリコンが0.3≦x≦0.8の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムシリコン混合体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムシリコン混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程を有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、シリコンが0.3≦x≦0.8の割合で、ボロン、または窒素、または水素を含有するアルミニウムシリコン混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコン混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程、及び(d)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.80≦y≦0.995であることが好ましい。
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
(実施形態13:ゲルマニウム多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態9のゲルマニウム多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウム多孔質体の製造方法は、アルミニウムとゲルマニウムを含み構成される混合体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、ゲルマニウムを0.30≦x≦0.80の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を用意する工程、及び該アルミニウムゲルマニウム混合体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、ゲルマニウムを0.30≦x≦0.80の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程を有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素を含有する多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、ゲルマニウムを0.30≦x≦0.80の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程、及び(d)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.80≦y≦0.995であることが好ましい。
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
(実施形態14:シリコンゲルマニウム多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態9のシリコンゲルマニウム多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム多孔質体の製造方法は、アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを含み構成される混合体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの総量を0.30≦x≦0.80の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を用意する工程、及び該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する工程を有することを特徴とする。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの総量を0.30≦x≦0.80の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程を有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.7≦y≦0.995であることが好ましい。
前記エッチングが酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素を含有する多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの総量を0.30≦x≦0.80の割合で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を形成する工程、及び(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を形成する工程、及び(d)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.7≦y≦0.995であることが好ましい。
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
以下の実施形態15から実施形態20は参考例である。
(実施形態15:酸化物多孔質体)
本実施形態は、酸化物多孔質体に適用したものである。本発明の酸化物多孔質体に適用できる混合体とは、前述した実施形態1に記載の混合体である。そして、適用できる混合体の第一の材料を除去することで多孔質化させることが好ましい。
つまり、本実施形態に係る酸化物多孔質体は、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する混合体から第一の材料からなる柱状の部材を除去する除去処理、及び酸化処理工程を含むことにより得られる。これら二つの処理は、除去処理と同時に酸化処理を行ってもよいし、除去処理後に酸化処理を行っても良いし、酸化処理後に除去処理を行なってもよい。ここでいう同時とは、時間的に厳密に同時である必要は無く、例えばエッチングによる除去工程を行った基体が結果として酸化されている場合等を含むものである。また、ボロン、窒素、水素の混入は、混合体作製時にも可能であるが、エッチングによる除去工程後に窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス雰囲気中で加熱したり、プラズマ処理する方法も好ましい。
本実施形態では、第一の材料としては、AlやAuやMgやAgなどが挙げられる。第二の材料としては、Si、Ge、SixGe1−xなどが挙げられる。特に第二の材料としては、非晶質となり得る材料であることが望ましい。
第一及び第二の材料としては、両者の成分系相平衡図において、共晶点を有する材料(いわゆる共晶系の材料)であることが好ましい。特に共晶点が300℃以上好ましくは400℃以上であるのがよい。また、第一及び第二の材料として共析系を用いることもできる。なお、第一の材料と第二の材料として好ましい組み合わせとしては、第一の材料としてAlを用い、第二の材料としてSiを用いる形態、第一の材料としてAlを用い、第二の材料としてGeを用いる形態、あるいは第一の材料としてAlを用い、第二の材料としてSixGe1−x(0<x<1)を用いるのが好ましい。
なお、多孔質体を構成する前記領域に含まれる第一の材料(例えばアルミニウム)の割合としては、1atomic%以上20atomic%以下であることが好ましい。ここで、上記割合には、多孔質体中に含まれる含有酸素量は考慮していない。
前記柱状の部材を取り囲む領域は、非晶質であることが望ましい。さらに、非晶質部分には一部結晶質が含まれていることも好ましい。
前記柱状の部材の平面形状としては円形あるいは楕円形状である。
前記混合体から前記柱状の部材を除去(ウェットエッチングあるいはドライエッチングなど)することにより複数の柱状の孔を有する多孔質体が形成される。エッチングには、柱状の部材を選択的に除去できればよく、エッチング液としては例えば、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸などの酸が好適である。当該除去により形成される多孔質体の孔は、互いに連結せず独立していることが好適である。多孔質体を酸化等する場合には、細孔を有する混合体を完全に酸化してもよいし、主としてその孔壁を酸化し、孔壁内部に非酸化処理部を残存させていてもよい。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する多孔質体は、複数の柱状の孔とそれを取り囲む領域を備え、該領域はSi、Geあるいはこれらの組み合わせ材料を含み構成される酸化物非晶質領域であることを特徴とする。
図5(a)において、51は細孔を、52はそれを取り囲む酸化物領域(例えば、Si、Geあるいはこれらの組み合わせ材料により形成される。)である。53は基板、54は酸化物多孔質体である。
図5(b)は、図5(a)の破線CC'に沿って多孔質体を切断したときの模式的断面図である。
図5(b)に示すように、本実施形態によれば、実質的に分岐していない細孔51を有する酸化物多孔質体54が得られる。同図からも明らかなように、細孔51がお互いに独立し、かつ膜面(あるいは基板)に対して垂直又はほぼ垂直な細孔51が得られる。
本実施形態によれば、複数の細孔51同士の平均中心間距離(図1中の2R)を30nm以下にし、柱状の細孔51の平均径が20nm以下(図1中の2r)にすることができる。好ましくは、細孔51の径2rは0.5〜15nmであり、その中心間距離の間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは0.5nm〜数μm、好ましくは2nm〜5μmの範囲である。ここで平均孔径とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
また、本実施形態に係る酸化物多孔質体54内の細孔51は、図5(b)に示されるように、細孔51と基板53を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板53と細孔51をつなげなくても良い。
また、本実施形態に係る酸化物多孔質体を構成している酸化物領域52の組成は、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する第二の材料の酸化物を主成分とするが、数から数十atomic%程度の他の元素、例えばアルミニウム(Al)、アルゴン(Ar)などの各種の元素を含有してもよい。また、ボロン、または窒素、または水素の含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
特に、柱状の細孔51が存在する位置にアルミニウムなどの上述した第一の材料を含み構成される柱状の部材が存在していた場合は、酸化物多孔質体54内にアルミニウム等が存在する。柱状の部材を構成していた第一の材料は、多孔質の孔壁面付近でその濃度は高く、孔壁内部では低くなる。即ち、酸化物多孔質体54内の第一の材料は、面内方向に濃度分布を持つことになる。勿論、熱処理等によりアルミニウムなどの上記第一の材料の拡散を促せば、その濃度分布は減少する。
なお、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する酸化物多孔質体54は、孔壁面付近、その内部ともに非晶質構造をとる。また、非晶質部分に一部結晶質が形成されていることも好ましい。
第二の材料とは、Si、SiGe、Geあるいはこれらの組み合わせ材料などである。
また、本実施形態に係る酸化物多孔質体54を構成している領域2の構造は、非晶質構造であり、細孔51部分の基板上面からみた形状は、図1(a)のように、ほぼ円形のものでも良いし、また楕円形など任意の形状のものでもよい。
また、本実施形態の酸化物多孔質体54を構成している細孔51部分の基板断面からみた形状は、図5(b)のように長方形形状でも良いし、正方形や台形など任意の形状のものでもよい。また、複数の細孔51の深さ方向が実質的に同一であることが好ましい。
また、酸化物領域52には、アルミニウムが含まれていてもよい。
なお、本実施形態によれば、前記細孔51の長さと孔径の比であるアスペクト比(長さ/孔径)を0.1〜10000にすることができる。
また、本発明に係る酸化物多孔質体54は、柱状形状の細孔51と酸化物領域52を有する膜状の混合体であって、細孔51が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔51の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下であり、かつ細孔51が酸化物領域52で隔てられていることを特徴とする。
細孔51は、図5(b)に示されているように酸化物領域52により、お互いに分離されており、互に連結しないで独立しており、また、基板53に対して垂直またはほぼ垂直に形成されている。
また、本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する酸化物多孔質体54を構成している細孔51の形状は、図5(b)に示されているように柱状形状である。また、細孔51の孔径(平均孔径を示す)2rは20nm以下であり、細孔51の間隔(平均間隔を示す)2Rは30nm以下である。好ましくは、細孔51の径2rは1〜15nmであり、その間隔2Rは5〜20nmである。また、長さLは5nm〜数μm、好ましくは2nm〜1000nmの範囲である。ここで「平均孔径」とは、例えば、実際のSEM写真(約100nm×100nmの範囲)で観察される細孔部分をコンピュータで画像処理(抽出)して、その穴を楕円と仮定し画像解析して得られた長軸の平均のことを指している。
また、本実施形態のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する酸化物多孔質体内の細孔51は、図5(b)に示されるように、細孔51と基板53を直接つなげることができるが、これに限定されるものではなく、基板53と細孔51をつなげなくてもよい。
また、本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する酸化物多孔質体54がシリコン酸化物(SiOx)を主成分とする場合、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。さらに、アルミニウム酸化物(AlOx)などの酸化物の他、アルゴン(Ar)、などの各種の元素を含有してもよい。シリコン酸化物領域におけるシリコン(Si)の含有量は酸素を除くすべての元素に対して80atomic%以上、好ましくは85〜99atomic%の範囲である。
なお、第一の材料としてアルミニウムを用いた場合、得られる酸化物多孔質体54に含まれるアルミニウムの含有量は、酸素を除くすべての元素に対して、0.01〜20atomic%の範囲であり、好ましくは0.1〜10atomic%の範囲である。
なお、細孔51の柱状形状とは、上記サイズを満足するものであれば、任意のアスペクト比(長さL/孔径2r)を有する形状を含むものである。なお、好ましくはアスペクト比(長さL/孔径2r)は0.5〜1000の範囲である。
(実施形態16:シリコン酸化物多孔質体)
本実施形態は、前述した実施形態15の酸化物多孔質体をシリコン酸化物多孔質体に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコン酸化物多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコン酸化物領域を有するシリコン酸化物多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする酸化物多孔質体である。
柱状形状の細孔とボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコン酸化物を主成分とするシリコン酸化物領域を有する膜状のシリコン酸化物多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下であり、かつ前記細孔が前記シリコン酸化物を主成分とするシリコン酸化物領域で隔てられているのが好ましい。
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記シリコン酸化物領域が酸素を除くすべての元素の総量に対してシリコンを80atomic%以上含有するのが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコン酸化物には、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。さらに、アルミニウム酸化物を含むことが好ましい。さらに、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコン酸化物は、非晶質であるのが好ましい。また、非晶質部分の一部は、結晶質であることが好ましい。
(実施形態17:ゲルマニウム酸化物多孔質体)
本実施形態は、前述した実施形態15の酸化物多孔質体をゲルマニウム酸化物多孔質体に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウム酸化物多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むゲルマニウム酸化物領域を有するゲルマニウム酸化物多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする酸化物多孔質体である。
柱状形状の細孔とボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウム酸化物を主成分とするゲルマニウム酸化物領域を有する膜状のゲルマニウム酸化物多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下であり、かつ前記細孔が前記ゲルマニウム酸化物を主成分とするゲルマニウム酸化物領域で隔てられているのが好ましい。
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記ゲルマニウム酸化物領域が酸素を除くすべての元素の総量に対してゲルマニウムを80atomic%以上含有するのが好ましい。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウム酸化物領域は、アルミニウム酸化物を含有するのが好ましい。さらに、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウム酸化物は、非晶質であることが好ましい。また、非晶質部分の一部は、結晶質であることが好ましい。
(実施形態18:シリコンゲルマニウム酸化物多孔質体)
本実施形態は、前述した実施形態15の酸化物多孔質体をシリコンゲルマニウム酸化物多孔質体に適用したものである。
本実施形態のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム酸化物多孔質体は、柱状形状の細孔とそれを取り囲むシリコンゲルマニウム酸化物領域を有するシリコンゲルマニウム酸化物多孔質体であって、該細孔の平均孔径が20nm以下であり、且つ該細孔同士の平均間隔が30nm以下であることを特徴とする酸化物多孔質体である。
柱状形状の細孔とボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム酸化物を主成分とするシリコンゲルマニウム酸化物領域を有する膜状のシリコンゲルマニウム酸化物多孔質体であって、前記細孔が膜面に対して垂直またはほぼ垂直に設けられ、細孔の平均孔径が20nm以下で、平均間隔が30nm以下であり、かつ前記細孔が前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム酸化物を主成分とするシリコンゲルマニウム酸化物領域で隔てられているのが好ましい。
前記細孔の平均孔径が1〜15nmであり、かつ細孔の平均間隔が5〜20nmであるのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウム酸化物領域が酸素を除くすべての元素の総量に対してシリコンとゲルマニウムの合計を80atomic%以上含有するのが好ましい。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム酸化物領域のシリコン元素(Si)とゲルマニウム元素(Ge)の組成の割合をSizGe1-zとしたとき、0<z<1の範囲であるのが好ましい。前記ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム酸化物には、アルミニウム酸化物が含まれることが好ましい。
また、シリコンゲルマニウム酸化物は、非晶質であるのが好ましい。さらに、非晶質部分の一部には、結晶質を含むことが好ましい。
(実施形態19:酸化物多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態15の酸化物多孔質体の製造方法に適用したものである。以下、本実施形態にかかるボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する酸化物多孔質体の製造方法について詳細に説明する。
本実施形態に係る酸化物多孔質体の製造方法は、第一の材料と第二の材料を含み構成される混合体であって、該第一の材料を含み構成される柱状の部材が、該第二の材料を含み構成される領域に取り囲まれている混合体を用意する工程(図6(a)参照)、該混合体から該柱状の部材を除去する除去工程(図6(b)参照)、及び前記領域を酸化する工程を有することを特徴とする。
図6において、61は第一の材料を主成分とする領域、62は基板、63は混合体、64は第二の材料を主成分とする領域、65は多孔質体、66は細孔、67は拡大した細孔、68酸化物多孔質体である。
ここで、混合体63には該第二の材料が、0.30≦x≦0.80の割合で含まれているのがよい。但し、基板62に垂直方向に並んだ柱状構造体が、前記領域中に分散している混合体が得られているのであれば上記割合に限定されるものではない。本実施形態においては、混合体63が、当該混合体から選択的に前記柱状構造体を除去できる材料の組み合わせにより得られている点が重要である。
なお、前記除去工程後、必要に応じて、酸化物多孔質体68の孔径を拡大する孔径拡大工程を行うこともできる(図6(d)参照)。勿論、除去工程後、酸化工程を行わずに、孔径拡大工程を行った後、酸化工程を行なってもよい。
また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるためには、第一の材料を含み構成される柱状の部材が、該第二の材料を含み構成される領域に取り囲まれている混合体を用意する工程で混入させるか、その後にイオンインプランテーションにより膜中にイオンを打ち込むか、混入させる材料からなるガス中で熱処理、プラズマ処理するなどの手段が好ましい。また、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
第一の材料としては、例えばアルミニウムや金を、第二の材料としては、例えばSi、SiGe,Geあるいはこれらの組み合わせ材料を用いることができる。勿論、複数種類の材料を組み合わせてもよい。以下の説明においても同様である。
以下に、酸化物多孔質体の製造方法に関する工程を(a)〜(d)に分けて説明する。
(a)工程:まず第一の材料(例えばアルミニウム)と第二の材料(例えばシリコン)を用意する。この時点で、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させる場合は、第一の材料、または第二の材料に化合物、または混合物としてボロン、窒素、水素、カーボンを目的の組成に合わせて混入させておくことが好ましい。
(b)工程:次に、該第一の材料と第二の材料を非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上に混合体を形成する(図6(a)参照)。成膜されて得られる混合体は、第一の材料を含む柱状の部材と、前記第二の材料により形成され、該柱状の部材を取り囲む領域とを有する。第二の材料を0.30≦x≦0.80の割合で含有するように成膜することで、柱状の部材が分散した混合体が得られる。特に、ボロン、窒素、水素、カーボンがあらかじめ原料に混入されていた場合には、この時点で混合体に取り込まれているようにすることができる。
(c)工程:次に、該混合体から柱状の部材をエッチング等により除去して細孔を形成する(図6(b)参照)。混合体に酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを施すと、柱状の部材が選択的に除去されて細孔を有する多孔質体が形成される。
(d)工程:次に、該細孔を有する多孔質体を酸化して酸化物多孔質体を得る(図6(c)参照)。
上記、(d)工程に引き続き、酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを行なって、酸化物多孔質体の孔径を拡大する工程(e)を行なってもよい。
また、酸化させる工程においては、酸素雰囲気中での加熱処理、プラズマ処理が適用できるが、まだボロン、窒素、水素、カーボンの混入を達成していない場合には、特に窒素、水素においては加熱処理、プラズマ処理により混合体への添加を行うことができる。
本実施形態のボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有する酸化物多孔質体の製造方法は、下記の(a)〜(c),(e')および(d)工程を有することを特徴とする。
(a)工程:まず第一の材料(例えばアルミニウム)と第二の材料(例えばシリコン)を用意する。この時点でボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させておくことも好ましい。
(b)工程:次に、第一の材料と第二の材料を非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、基板上に混合体を形成する。成膜された混合体は、第一の材料を含む柱状の部材と、第二の材料から構成され該柱状の部材を取り囲む領域とを有し、第二の材料を0.30≦x≦0.80の割合で含有する。成膜法がスパッタリングの場合にアルゴンガスの一部を窒素、または水素ガスとして成膜することも好ましい。
(c)工程:次に、該混合体から柱状の部材を除去して多孔質体を形成する。該混合体に酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを施すと、第一の材料を含む柱状の部材がエッチングされて細孔を有する多孔質体が形成される。
(e')工程:次に、酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングを行って、形成された多孔質体の細孔の孔径を広げる。
(d)工程:さらに、該孔径を広げた細孔を有する多孔質体を酸化して酸化物多孔質体を得る。
最後に、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるために、イオンインプランテーション法でイオンを打ち込んでもよく、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス中で熱処理、プラズマ処理することも好ましい。
さらに、(a)〜(e)、(e')を用いて工程を説明する。
(a)工程:第一の材料(例えばアルミニウム)と第二の材料(例えばシリコン)を用意する工程
原料としての第二の材料及び第一の材料を、図2のように第一の材料からなるターゲット22上に第二の材料からなるチップ23を配置する。
(b)工程:混合体の形成
次に、基板21上に混合体を形成する。ここでは、非平衡状態で物質を形成する成膜法として、スパッタリング法を用いた例を示す。
基板21上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、混合体を形成する。混合体は、第一の材料を主成分とする組成からなる柱状の部材と、その周囲に配置される第二の材料を主成分とする領域から構成される。
非平衡状態で成膜する方法として、スパッタリング法を用いて混合体を成膜する方法について説明する。なお、21が基板、22が第一の材料からなるスパッタリングターゲットである。スパッタリング法を用いる場合は、第一の材料と第二の材料の割合を簡単に変化させることができる。基板21上に、非平衡状態で物質を形成する成膜法であるマグネトロンスパッタリング法により、混合体を形成する。また、ボロン、または窒素、または水素の含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。
原料としての第二の材料及び第一の材料は、第一の材料のターゲット22上に第二の材料からなるチップ23を配することで達成される。このチップは、図2では、複数に分けて配置しているが、勿論これに限定されるものではなく、所望の成膜が可能であれば、1つであってもよい。但し、均一な柱状の部材を領域内に均一に分散させるには、基板21に対象(例えば同心円上)に配置しておくのがよい。さらに、チップ23として硼化物、窒化物、水素化物、炭化物としてボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させることも好ましい。
また、所定量の第一の材料と第二の材料との粉末を焼成して作製した焼成物を成膜のターゲット材として用いることもできる。焼結体の方にボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを化合物、混合物として含有させておくことも好ましい。
また、第一の材料からなるターゲットと第二の材料からなるターゲットを別々に用意し、同時に両方のターゲット22をスパッタリングする方法を用いてもよい。
形成される混合体膜中の第二の材料の量は、0.3≦x≦0.8であり、好ましくは0.35≦x≦0.75、さらに好ましくは0.4≦x≦0.7である。第二の材料の量が斯かる範囲内であれば、領域内に柱状の部材が分散した混合体が得られる。
また、基板温度としては、300℃以下であり、好ましくは200℃以下であるのがよい。
なお、このような方法で混合体を形成すると、第一の材料と第二の材料が準安定状態の共晶型組織となり、第一の材料が第二の材料からなるマトリックス中に数nmレベルのナノ混合体(柱状の部材)を形成し、第一の材料と第二の材料が自己組織的に分離する。そのときの第一の材料はほぼ円柱状形状であり、その孔径は1〜10nmであり、間隔は3〜15nmである。
混合体中の第二の材料の量は、例えば第一の材料からなるターゲット上に置く第二の材料からなるチップの量を変えることで制御できる。
非平衡状態で成膜を行う場合、特にスパッタリング法の場合は、アルゴンガスを流したときの反応装置内の圧力は、0.2〜1Pa程度、あるいは0.1〜1Pa程度がよく、プラズマを形成するための出力は4インチターゲットの場合は150から1000W程度が好ましい。しかし、特に、これに限定されるものではなく、アルゴンプラズマが安定に形成される圧力及び出力であればよい。特に、被成膜基板に、プラズマが実質的に接しない状態でスパッタリング法による成膜を行うのがよい。
基板としては、例えば石英ガラスやプラスチックをはじめとする絶縁体基板やシリコンやガリウム砒素をはじめとする半導体基板、金属基板などの基板や、これらの基板の上に1層以上の膜を形成したものが挙げられる。なお、アルミニウムシリコン混合体の形成に不都合がなければ、基板の材質、厚さ、機械的強度などは特に限定されるものではない。
また、基板の形状としては平滑な板状のものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどが挙げられるが、アルミニウムシリコン混合体に不都合がなければ、特に限定されるものではない。
非平衡状態で物質を形成する成膜法は、スパッタリング法が好ましいが抵抗加熱蒸着、電子ビーム蒸着(EB蒸着)をはじめとする任意の非平衡状態で物質を形成する成膜法が適用可能である。
また、成膜する方法としては、第二の材料と第一の材料を同時に形成する同時成膜プロセスを用いてもよいし、第二の材料と第一の材料を数原子層づつ積層する積層成膜プロセスを用いてもよい。
上記の様にして成膜された混合体は、第一の材料を主成分とする組成からなる柱状の部材と、その周囲の第二の材料を主成分とする領域を備える。
柱状の部材の組成は、第一の材料を主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、シリコン、酸素、アルゴンなどの他の元素を含有していてもよい。なお、主成分とは、柱状の部材部の成分構成比において、例えば第一の材料の割合が80atomic%以上、あるいは90atomic%以上の場合である。
また、第一の材料を含む柱状の部材の周囲を取り囲んでいる領域の組成は、第二の材料を主成分とするが、柱状構造の微細混合体が得られていれば、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンの含有量は、y≧0.7が好ましく、さらには0.8≦y≦0.995であることが好ましい。さらに、アルミニウム、酸素、アルゴン、などの各種の元素を含有してもよい。なお、主成分とは、領域24の成分構成比において第二の材料の割合が、例えば80atomic%以上、あるいは90atomic%以上である。
(c)工程:細孔形成工程
上記の混合体中の柱状の部材を選択的に除去する。この除去方法としては、第一の材料を選択的に溶解する酸やアルカリを用いたウエットエッチングが好ましい。その結果、混合体には、細孔を有する領域が主として残り、多孔質体が形成される。なお、多孔質体中の細孔は、間隔2Rが30nm以下、孔径2rが20nm以下であるが、好ましくは、細孔の孔径2rは1〜15nmであり、その中心間距離2Rは5〜20nmである。また、長さLは1nm〜数μmの範囲である。なお、柱状の部材を選択的に除去するとは、実質的に柱状の部分が除去されればよい。
ウエットエッチングに用いる溶液は、例えば、第一の材料としてアルミニウムを溶かし、第二の材料としてシリコンをほとんど溶解しない、りん酸、硫酸、塩酸、クロム酸溶液などの酸が挙げられるが、エッチングによる細孔形成に不都合がなければ水酸化ナトリウムなどのアルカリを用いることができ、特に酸の種類やアルカリの種類に限定されるものではない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもよい。またエッチング条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する多孔質体に応じて、適宜設定することができる。
(d)多孔質体の酸化処理
工程(c)で作製された多孔質体の酸化方法としては、酸素雰囲気中で加熱する方法の他、水蒸気中あるいは空気中での加熱、陽極酸化、酸素プラズマにさらすなどの任意の酸化処理方法が適用可能である。多孔質体を構成する第二の材料は酸化されて酸化物領域となり、酸化物多孔質体が得られる。なお、水分の多い酸あるいはアルカリを使うことで、工程(c)と同時に酸化を行うことも可能である。なお、本発明においては、多孔質体を酸化処理することを主として述べているが、必要に応じて酸化処理に代えて、窒化処理などを行なってもよい。
また、本発明は、工程(e')に示す様に、工程(c)で作製された多孔質体の細孔の拡大を行なった後に、酸素雰囲気中で加熱し、酸化物多孔質体を得る方法でもよい。また、孔壁全てを酸化物にする必要がない場合には、酸化工程の時間を短くしてもよい。
(e)および(e')工程:細孔径の拡大工程:
細孔径の拡大工程は、図5に示す様に、工程(d)で作製された酸化物多孔質体の細孔の拡大(e)工程を行う。または、工程(c)で作製された多孔質体の細孔の拡大(e')工程を行う。
細孔径の拡大は、上記多孔質体または酸化物多孔質体に対して、それらを溶解する酸溶液(例えばフッ化水素を薄めた溶液など)、あるいはアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)中に浸すポアワイド処理(孔径拡大処理)により、適宜、細孔径を広げることができる。
この溶液も特に細孔の拡大に問題がなければどのような酸及びアルカリを用いてもよい。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもよい。
また細孔孔径拡大(ポアワイド処理)条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する細孔の大きさに応じて、適宜設定することができる。
上記の様に、本発明に係る酸化物多孔質体の製造方法は、細孔の孔径の拡大を多孔質体の作製後に行う方法、またはシリコン酸化物多孔質体を作製した後に、細孔の孔径の拡大処理を行う方法が含まれる。
最後に、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるために、イオンインプランテーション法でイオンを打ち込んでもよく、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス中で熱処理、プラズマ処理することも好ましい。
(実施形態20:シリコン酸化物多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態16のシリコン酸化物多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有したシリコン酸化物多孔質体の製造方法は、アルミニウムとシリコンを含み構成される混合体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、シリコンを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコン混合体を用意する工程、該アルミニウムシリコン混合体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する除去工程、該除去工程後あるいは同時に該アルミニウムシリコン混合体を酸化する工程を有することを特徴とする。
前記シリコン酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、シリコンを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコン混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコン混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するシリコン多孔質体を形成する工程及び(d)該細孔を有するシリコン多孔質体を酸化する工程を有するのが好ましい。
前記シリコン酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、シリコンを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコン混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコン混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するシリコン多孔質体を形成する工程、(d)該細孔を有するシリコン多孔質体を酸化する工程及び(e)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
前記シリコン酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコン領域とを有し、シリコンを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコン混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコン混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するシリコン多孔質体を形成する工程、(e')該シリコン多孔質体の細孔の孔径を広げる工程及び(d)該細孔を有するシリコン多孔質体を酸化する工程を有するのが好ましい。
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記酸化する工程が熱酸化あるいは水溶液を用いた酸化であるのが好ましい。前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
最後に、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるために、イオンインプランテーション法でイオンを打ち込んでもよく、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス中で熱処理、プラズマ処理することも好ましい。
(実施形態21:ゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態17のゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、アルミニウムとゲルマニウムを含み構成される混合体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、アルミニウムとゲルマニウムの全量に対してゲルマニウムを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を用意する工程、該アルミニウムゲルマニウム混合体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する除去工程、該除去工程と同時あるいは後に該アルミニウムゲルマニウム混合体を酸化する工程を有することを特徴とする。
前記ゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、ゲルマニウムを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成する工程及び(d)該細孔を有するゲルマニウム多孔質体を酸化する工程を有するのが好ましい。
前記ゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、ゲルマニウムを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成する工程、(d)該細孔を有するゲルマニウム多孔質体を酸化する工程及び(e)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
前記ゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むゲルマニウム領域とを有し、ゲルマニウムを0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するゲルマニウム多孔質体を形成する工程、(e')該ゲルマニウム多孔質体の細孔の孔径を広げる工程及び(d)該細孔を有するゲルマニウム多孔質体を酸化する工程を有するのが好ましい。
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記酸化する工程が熱酸化あるいは水溶液を用いた酸化であるのが好ましい。前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
最後に、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるために、イオンインプランテーション法でイオンを打ち込んでもよく、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス中で熱処理、プラズマ処理することも好ましい。
(実施形態22:シリコンゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態18のシリコンゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法に適用したものである。
本実施形態に係るボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有するシリコンゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、アルミニウムとシリコンゲルマニウムを含み構成される混合体であって、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの合計量を0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を用意する工程、該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体から該アルミニウムを含む柱状の部材を除去する除去工程、該除去工程と同時あるいは後に該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を酸化する工程を有することを特徴とする。
前記シリコンゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの総量を0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成する工程及び(d)該細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を酸化する工程を有するのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの総量を0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成する工程、(d)該細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を酸化する工程及び(e)該細孔の孔径を広げる工程を有するのが好ましい。
前記シリコンゲルマニウム酸化物多孔質体の製造方法は、(a)アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを用意する工程、(b)該アルミニウムとシリコンとゲルマニウムを非平衡状態で物質を形成する成膜法を用いて、アルミニウムを含む柱状の部材と該柱状の部材を取り囲むシリコンゲルマニウム領域とを有し、シリコンとゲルマニウムの総量を0.3≦x≦0.8の割合で含有するアルミニウムシリコンゲルマニウム混合体を形成する工程、(c)該アルミニウムシリコンゲルマニウム混合体のアルミニウムをエッチングし、細孔を有するシリコンゲルマニウム多孔質体を形成する工程、(e')該シリコンゲルマニウム多孔質体の細孔の孔径を広げる工程及び(d)該細孔を有するシリコンゲルマニウムナノ混合体を酸化する工程を有するのが好ましい。
前記細孔を広げる工程が酸あるいはアルカリを用いたウエットエッチングであるのが好ましい。
前記酸化する工程が熱酸化あるいは水溶液中での酸化であるのが好ましい。
前記非平衡状態で物質を形成する成膜法がスパッタリング法であるのが好ましい。
最後に、ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させるために、イオンインプランテーション法でイオンを打ち込んでもよく、窒素ガス、アンモニアガス、水素ガス中で熱処理、プラズマ処理することも好ましい。
(実施形態23:酸化物多孔質体を作製するための他の製造方法)
本実施形態は、前述した実施形態15の酸化物多孔質体の他の製造方法に適用したものである。ボロン、または窒素、または水素、またはカーボンを含有させた酸化物多孔質体を得るには、上述した方法のみではなく、混合体を陽極酸化することにより、多孔質の形成と酸化処理を実質的に同時に行うこともできる。
図7は、本実施形態に用いる陽極酸化装置の一例を示す概略図である。図7中、70は混合体(例えば柱状部材を構成する第一の材料としてアルミニウム、その周囲を取り囲む領域としてシリコンを有する混合体である。)、71は恒温槽、72はPt板のカソード、73は電解液、74は反応容器、75は陽極酸化電圧を印加する電源、76は陽極酸化電流を測定する電流計である。図では省略してあるが、このほか電圧、電流を自動制御したり、測定するコンピュータなどが組み込まれている。
混合体70およびカソード72は、恒温槽71により温度を一定に保たれた電解液73中に配置され、電源75よりアルミニウムシリコン混合膜、カソード72間に電圧を印加することで陽極酸化が行われる。
陽極酸化に用いる電解液は、例えば、シュウ酸、りん酸、硫酸、硝酸、クロム酸溶液などが挙げられるが、陽極酸化による細孔形成に不都合がなければ特に限定されるものではない。また各電解液に応じた陽極酸化電圧、温度などの諸条件は、作製する酸化物ナノ混合体に応じて、適宜設定することができる。
陽極酸化により、混合体からアルミニウムが除去されて細孔が形成されると同時に、シリコン領域のシリコンの酸化が行われシリコン酸化物領域が形成される。その結果、混合体には、細孔を有するシリコン酸化物領域が残り、シリコン酸化物多孔質体が形成される。なお、シリコン酸化物多孔質体の細孔間隔及び径は、例えば間隔2Rが15nm以下、孔径2rが10nm以下である。細孔の孔径2rを1〜9nmにし、その中心間距離2Rを3〜10nmにすることもできる。また、長さLは2nm〜数μmの範囲である。
上記陽極酸化工程後、多孔質層の孔径を拡大する工程を行なってもよい。
例えば、シリコンを溶解する酸溶液(例えばフッ化水素を薄めた溶液など)、あるいはアルカリ溶液(水酸化ナトリウムなど)中に浸すポアワイド処理(孔径拡大処理)により、適宜、細孔径を広げることができる。
この溶液も特に細孔の拡大に問題がなければどのような酸及びアルカリを用いてもかまわない。また、数種類の酸溶液やあるいは数種類のアルカリ溶液を混合したものを用いてもかまわない。
また細孔孔径拡大(ポアワイド処理)条件は、例えば、溶液温度、濃度、時間などは、作製する細孔の大きさに応じて、適宜設定することができる。
以下に実施例をあげて、本発明を説明する。
以下の実施例では、第一の材料と第二の材料に対して、第三の材料としてボロン、窒素、水素、カーボンの含有を特徴とするため、これらの組成を示す方法として、第一の材料をA、第二の材料をB、第三の材料をCとした場合に、次式に含まれるx、yを用いて、材料の組成を表現することとする。
(AxB1-x)yC1-y
ここで、x、yは、0から1の間の値をとることが可能であり、100倍することでatomic%に換算することができるものとする。以下、材料の組成はこの表記を適用する。