JP2005053752A - 改質黒鉛粒子及びこの改質黒鉛粒子を配合した塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】黒鉛を表面改質して、界面活性剤乃至分散剤を添加せずに、又は添加量をできるだけ少なくして、塗料中の黒鉛の分散性、塗膜の平滑性を改善しようとするものであって、併せて、塗膜の耐水性・耐溶剤性などを向上させる。
【解決手段】塗料などの配合材として使用される黒鉛粒子において、該黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子を修飾させて、該黒鉛粒子の表面電荷をゼータ電位にて−2〜−30mVの範囲内にした改質黒鉛粒子。前記シリカ微粒子は、平均粒子径が5〜100nmのコロイダルシリカ又は一次粒子径が5〜30nmの疎水性シリカが好ましく、前記黒鉛粒子は、天然黒鉛、メソフェーズピッチ系黒鉛、人造黒鉛及びキッシュ黒鉛から選ばれる少なくとも何れか一種が好ましい。また、前記の改質黒鉛粒子を配合してなる塗料とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、黒鉛粒子の表面改質による分散性に優れた改質黒鉛粒子、並びにこの改質黒鉛粒子を配合してなる塗料に関するものである。
黒鉛(Graphite)は、六方晶系の黒色鱗片状の光沢のある結晶からなる天然黒鉛、キッシュ黒鉛(溶けた銑鉄が溶銑予備処理等で温度低下するのに伴って析出する黒鉛)及び、例えばアチェソン法(コークスやカーボン等の炭素粉末をピッチ及び少量の砂と混ぜて加圧成形し、電気炉内で強熱して製造される)で製造される人造黒鉛等がある。これらの黒鉛は、電気の良導体であり、伝熱性、電気化学的安定性、層間を有する構造などに着目し、電気部品用導電塗料の媒質、リチウムイオン二次電池用負極材料、各種電極、導電接着剤、電波吸収材などのさまざまな用途に使用されている。そして、これら用途の多くの場合、黒鉛を媒体中に分散させて塗料状態にし、この塗料から塗膜状に形成されたものを使用している。
一般に塗料として黒鉛を媒体中に均一に分散させるためには、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース系分散剤を使用したり、β−ナフタレンスルホン酸ソーダ、アルキルナフタレンスルホン酸ソーダ、リグニンスルホン酸ソーダなどの界面活性剤を用いることが多い。ところが、前述の分散剤や界面活性剤が塗膜中に残存することによって、塗膜の耐水性、耐溶剤性、電気化学的安定性などを阻害するおそれがある。この分散剤の悪影響を回避しようとして、分散剤や界面活性剤の添加量を減らすと、今度は均一な分散状態が得られず、分散不良による支障をきたすこととなり問題であった。
一方、特許文献1によれば、扁平状粒子からなる無機質粉体をフィラーとし、コロイダルシリカ等をバインダーとして含む無機質塗料組成物から得られる塗膜は、前記扁平状粒子が被塗膜面に平行に配向し積層することによって、不燃性で、平滑度・光沢度・透水防止性・耐汚染性に優れ、建材の表面化粧に好適であることが開示されている。実施例7には、所望の扁平度からなる鱗片状黒鉛とコロイダルシリカと界面活性剤を配合した塗料組成物が記載されており、比較例3には、実施例7の鱗片状黒鉛に代えて人工球状黒鉛を用いた塗料組成物が記載されている。前記の各組成物を塗布した塗膜面について、実施例7の場合は非常に平滑であるが、比較例3については肌荒れが認められたことが記載されている(特許文献1第4頁)。前記の記載から、この発明は特定の扁平状粒子以外には適用が困難であり、範囲が限定される点において問題であった。
特公昭61−11980号公報
本発明は、黒鉛の形状に関係なく、あらゆる形状の黒鉛に対して表面改質を行うことで、界面活性剤乃至分散剤を添加せずに、又は添加量をできるだけ少なくして、塗料中の黒鉛の分散性、塗膜の平滑性を改善しようとするものであって、併せて、塗膜の耐水性・耐溶剤性などを向上させることを主たる目的とするものである。
本発明は、上記した課題を解決するために、黒鉛を媒体中に均一に分散させるためには、黒鉛の表面改質が重要であるとの見地に立ってなされたものである。即ち、本発明者らは、黒鉛の表面にメカノフィジカル的或いはメカノケミカル的にシリカ微粒子を修飾させて、溶媒中への分散時に、黒鉛微粒子に表面電荷を与え、黒鉛微粒子の凝集を抑えるとともに、シリカ微粒子の立体障害により凝集を抑えることを知見し、鋭意研究した結果、以下の発明を想到するに至ったものである。
即ち、前記の課題を解決するために、本発明は、塗料などの配合材として使用される黒鉛粒子において、該黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子を修飾させて、該黒鉛粒子の表面電荷をゼータ電位にて−2〜−30mVの範囲内にしてなることを特徴とする改質黒鉛粒子とする(請求項1)。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記シリカ微粒子がコロイダルシリカからなり、該シリカ微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲内にあることを特徴とする前記の改質黒鉛粒子とすることが好ましい(請求項2)。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記シリカ微粒子が疎水性シリカからなり、該シリカ微粒子の一次粒子径が5〜30nmの範囲内にあることを特徴とする前記の改質黒鉛粒子とすることが好ましい(請求項3)。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記黒鉛粒子は、天然黒鉛、メソフェーズピッチ系黒鉛、人造黒鉛及びキッシュ黒鉛から選ばれる少なくとも何れか一種からなることを特徴とする前記の改質黒鉛粒子とすることが好ましい(請求項4)。
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記の改質黒鉛粒子から選ばれる少なくとも何れか一種を配合してなることを特徴とする塗料とすることが好ましい(請求項5)。
本発明の改質黒鉛粒子は、前記のように黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子が修飾されていて、該黒鉛粒子の表面電荷がゼータ電位にて−2〜−30mVの範囲内にあるため、極めて分散性が良好であり、且つ、長期安定性に優れている。また、係る改質黒鉛粒子を配合してなる塗料は、界面活性剤乃至分散剤を添加せずに、又は添加量を極力少なくしても、塗料中の改質黒鉛粒子は充分に均一に分散するので、この塗料から形成された塗膜は、平滑性、耐水性、耐溶剤性及び電気化学的安定性などの機能が保持されるという効果を奏する。また、改質黒鉛粒子が均一に分散する結果、黒鉛の添加量を軽減できる上、界面活性剤乃至分散剤を添加しないことによる経済的なメリットも期待できる。更に、前記改質黒鉛粒子は、所望のゼータ電位の範囲内において、黒鉛粒子の形状に無関係に分散性を向上でき、広く様々な塗料への応用が期待されるという利点がある。
本発明を実施するための最良の形態について、以下に詳細に説明する。
本発明に係る改質黒鉛粒子は、黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子が修飾されていて、且つ、該黒鉛粒子の表面電荷がゼータ電位にて−2〜−30mVの範囲内にあることを特徴とする。特に限定されるものではないが、黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子を修飾する方法について以下に説明する。先ず、水ないしアルコール中にシリカ微粒子を投入し、更に微粒子黒鉛を配合後、ボールミル、ビーズミル、振動ミル等の粉砕機にて分散混合処理を行う。その後、前記の分散混合物を乾燥させることによって、黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子がメカノフィジカル的或いはメカノケミカル的に修飾された改質黒鉛粒子が得られる。ここで、「メカノフィジカル的或いはメカノケミカル的に修飾される」とは、黒鉛粒子がボールミル等の粉砕機によって機械的作用を受けて、二次凝集粒子が分離ないし粒子が破壊して生じた新生面にいわゆる活性点を生じ、ここに、例えば、ファンデルヴールス力や分子間力のような物理的或いは何らかの化学反応を伴って、シリカ微粒子が付着し、乾燥によって定着すると考えられる現象を意味する。
前記で得られた改質黒鉛粒子を溶剤に分散して1質量%の分散液(塗料)を調整し、ゼータ電位を測定したところ、黒鉛表面が電荷を有しており、ゼータ電位が−2〜−30mVの範囲で良好な分散性を示した。ゼータ電位が−2mV以下では、シリカ微粒子の修飾が少ないため、分散安定性が悪くなる。一方、表面改質に使用するシリカ微粒子量は、黒鉛に対して20質量%を越えると、黒鉛本来の諸特性である導電性・伝熱性・電気化学的安定性・層間を有する構造に基づく特有の作用などが発揮され難くなる。このときのゼータ電位を測定したところ−30mVであったので、この値をゼータ電位の上限値としたのである。
ここで、液体中に分散している粒子の多くは、プラス乃至マイナスに帯電しているが、この粒子から充分離れた電気的に中性領域をゼロ点と定義づけ、このゼロ点を基準として、粒子の移動が起こる滑り面の電位をゼータ電位(zeta−potential)と定義され、ゼータ電位の絶対値が増加すれば、粒子間の反発力が強くなり、粒子の安定性は高くなり、逆に、ゼータ電位がゼロに近くなると、粒子は凝集し易くなる。ゼータ電位の測定法として、例えば、分散液に交流電場を印加して音場を測定するESA(Electrokinetic Sonic Amplitude)法やコロイド振動電流法などがあり、本発明におけるゼータ電位は、特に限定されるものではないが、ESA法に基づく装置の一種である濃厚系ゼータ電位測定装置(ESA−8000)によって求めた値をもって表したものである。
平均粒子径が5〜100nmのコロイダルシリカからなるシリカ微粒子で修飾した本発明に係る改質黒鉛粒子は、シラノール基を有するシリカ微粒子が黒鉛表面に修飾されることで表面電荷を発生する。本発明に使用されるコロイダルシリカは、粒子径が5〜100nmの範囲にあるものが好ましく、このように粒子径が小さいコロイダルシリカは、黒鉛表面への付着力が向上する。
次に、一次粒子径が5〜30nmの疎水性シリカからなるシリカ微粒子で修飾された本発明に係る改質黒鉛粒子の場合、疎水性シリカは、表面官能基として、ハロゲン化シラン類、アルコキシシラン類、シラザン類、シロキサン類などとの反応で疎水化されたもの、例えば、ジメチルシリコーンオイルで表面処理したもの、オクチルシランで表面処理したもの、トリメチルシリル基で表面処理したものなどが挙げられる。このような疎水性シリカに使用されるシリカの例としては、例えば、デグサアクチエンゲゼルシャフト社製の火炎加水分解法で製造されるアエロジル(登録商標aerosil)が好ましい。
前記の疎水性シリカは、親水性シリカに比較してシラノール基密度がより少ないが、化学処理して疎水性官能基を付加した疎水性シリカを黒鉛表面に修飾することによって表面電荷を発生できる。また、疎水性シリカは、粒子径5〜30nmの一次粒子が複数個凝集し、数μmの大きさからなるが、ボールミルなどを使用して黒鉛粒子の表面に均一に、且つ、メカノフィジカル的或いはメカノケミカル的に修飾することができる。これはシリカと黒鉛が共に疎水性であることに基づく疎水性相互作用が機能することにより、黒鉛粒子の全体に均一にシリカを修飾させることができると考えられ、疎水性シリカは親水性シリカと同様に黒鉛の表面改質剤として有効である。
次に、修飾する黒鉛粒子として、天然黒鉛、メソフェーズピッチ系黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛から選ばれる少なくとも何れか一種からなる本発明に係る改質黒鉛粒子において、これらの黒鉛は、黒鉛化度ないし結晶性は異なるが、六角網面炭素構造からなる黒鉛構造を有しており、前記のとおり粒子表面は疎水性である。本発明の場合、特許文献1記載の発明のように扁平状粒子に限定して適用されるものではなく、天然黒鉛の一種のリン状黒鉛やキッシュ黒鉛のような鱗片状のものは勿論、微小球状のメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)にも適用でき、修飾される対象物の形状によって制限を受けないことが特徴の一つである。
また、一般にアスファルトやタールボトムを加熱すると、その中に含まれる多環式芳香族化合物が重縮合反応して成長し、コークスになる過程において、400℃近辺で微小球状の炭素質が形成され、更にこれらが合体して均一な層状の異方性相を生ずる。この状態のピッチをメソフェーズピッチと称し、前記の過程において、微小球状が発生したピッチを冷却すると、微小球状が固化し、キノリン不溶分として分離される。この分離された微小球状粒子がメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)である。一方、前記のアスファルトやタールボトムに代えて水添により分子量を低下させた原料から調製したメソフェーズピッチは、溶剤に可溶である。これらを黒鉛化した微粒子も本発明における黒鉛として使用可能であることは言うまでもない。
次に、前記の改質黒鉛粒子から選ばれる少なくとも何れか一種を配合してなる本発明に係る塗料は、前記の改質黒鉛粒子を媒体中に分散させて塗料状態にし、塗膜を形成できるものであって、およそ一般に塗料と称されるものを広く含むものである。前記の改質黒鉛粒子と共に他の無機系乃至有機系のフィラー等を媒体中に分散させてもよい。これらを水乃至溶剤等の媒体に分散させる方法は、特に限定されず、通常の塗料の調製手段によって分散混合することができる。また、本発明を実施するための最良の形態には、黒鉛粒子についてのみ記載したが、本発明は黒鉛以外にも、例えば金属粉その他の無機系粉体にも広く適用可能であると考えられる。以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
<親水性シリカ(コロイダルシリカ)を用いた改質黒鉛粒子の調整>
黒鉛微粒子9g、水10mlをタングステンカーバイト製の容器に入れ、コロイダルシリカA〜C(いずれも固形分20質量%)を黒鉛に対し10質量%になるように調整して添加し、遊星ボールミルにて1時間、分散処理を行った。その後乾燥し、改質黒鉛粒子を調整した。
<塗料の調整>
改質黒鉛粒子10gに対して、カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液乃至エチルセルロース、スチレンブタジエンゴム(SBR)エマルジョン(固形分35質量%)乃至ポリビニルブチラール及び純水乃至イソプロピルアルコールをそれぞれ所定量加え、攪拌混合して塗料を調整した。
<黒鉛粒子へのシリカ微粒子の修飾状態の確認>
走査型電子顕微鏡で観察して確認した。
<黒鉛分散液の分散安定性の評価>
改質黒鉛粒子を水(溶媒)中に分散させ、5質量%の黒鉛分散液を調整した。これを室温で48時間静置し、分散状態を目視観察により評価した。
<ゼータ電位の測定>
改質黒鉛粒子を水(溶媒)中に分散させ、1質量%黒鉛分散液を調整した。これをマテックアプライドサイエンス(Matec Applied Science)社製の濃厚系ゼータ電位測定装置(ESA−8000)を用いてゼータ電位を測定した。
<黒鉛塗膜の均一性の評価>
銅箔上に前記にて調製した塗料を塗布後120℃で乾燥して得た黒鉛塗膜をスライドガラスで挟み、エポキシ樹脂で固定した後、表面を研磨し走査型電子顕微鏡で観察した。
<評価結果>
各検討試料における評価の結果を表1に示す。
表1において、実施例1〜3は、粒子径5〜100nmのコロイダルシリカを天然黒鉛粒子の表面に修飾させたものであり、実施例4及び5は、実施例1〜3の粒子径5〜100nmのコロイダルシリカに代えて粒子径50nmのコロイダルシリカを用い、天然黒鉛に代えてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)およびキッシュ黒鉛を用いた例である。比較例Aはコロイダルシリカを配合することなく、天然黒鉛を水に分散させた例であり、比較例Bは粒子径5nmのコロイダルシリカを加え、遊星ボールミルで分散処理後、乾燥工程を経ないで調製した例である。
表1に示すように、実施例1〜5に係る改質黒鉛粒子は、何れもシリカ微粒子が黒鉛粒子の表面に均一に修飾されており、これらの改質黒鉛粒子を水に分散させたときのゼータ電位は、−8.0mV〜−8.3mVであった。このように改質された黒鉛粒子の表面には、表面電荷が発生しており、分散性・安定性の評価において、分散液は48時間放置後も分離現象等の異常が全く認められず、分散性は極めて良好であった。これに対して、比較例Aは、ゼータ電位が−0.6mVと、黒鉛の表面にはほとんど電荷が認められず、分散状態も良くなかった。同様に、比較例Bは、ゼータ電位が−7mVを示すものの、黒鉛エッジ面へのシリカの付着が少なく、分散性・安定性評価においては、48時間放置後、分散液の上部に上澄みの分離現象が発生し、分散安定性が劣ることが分かった。これは、分散処理後に乾燥工程を省いたことに起因するものと考えられる。図1(a)は、未処理の黒鉛粒子の電子顕微鏡写真であり、図1(b)は、コロイダルシリカで修飾した改質黒鉛粒子であって、黒鉛のエッジ面にもシリカが付着した状態の電子顕微鏡写真である。
次に、黒鉛粒子の表面を疎水性シリカで修飾した改質黒鉛粒子について説明する。
前記の親水性シリカを用いた改質黒鉛粒子の調整において、コロイダルシリカに代えて、疎水性シリカを用い、水に代えてエタノールを用いる以外は前記の親水性シリカを用いた場合と同様にして改質黒鉛粒子を調整した。また、前記の親水性シリカを用いた場合における、<黒鉛分散液の分散安定性の評価>及び<ゼータ電位の測定>中の、水(溶媒)に代えてエタノールを用いた以外は親水性シリカを用いた場合と同様である。その他の評価法等についても前記の親水性シリカを用いた場合と同様に行って、その評価の結果を表2に示す。
表2において、実施例6〜8は、表面官能基の異なる粒径7nm、12nmの疎水性シリカ微粒子を黒鉛粒子の表面に修飾させた実施例であり、比較例Cは疎水性シリカを配合しない例であり、比較例Dは粒子径12nmの疎水性シリカを加え、遊星ボールミルで分散処理後、乾燥工程を経ていない例である。
表2に示すように、実施例6〜8に係る改質黒鉛粒子は、何れもシリカ微粒子が黒鉛粒子の表面に均一に修飾されており、これらの改質黒鉛粒子をエタノールに再分散させたときのゼータ電位は、−14.7mV〜−29.8mVである。改質された黒鉛の表面には、表面電荷が発生しており、分散性・安定性の評価において、分散液は48時間放置後も分散状態は良好なままであり、上澄みの分離現象も全く認められなかった。これに対して比較例は、前記の親水性シリカを用いた改質黒鉛粒子の場合と同様に分散状態が悪く、分散安定性も劣ることが分かった。
次に、前記の実施例によって得られた改質黒鉛粒子を配合した塗料の塗膜特性を表3に示す。この実験例において、塗料をブレードコータで銅箔上に塗布後、120℃で約10分間乾燥して得られた厚さ約60μmの塗膜を使用した。
表3において、実施例9は、親水性シリカを黒鉛表面に修飾した改質黒鉛粒子を用い、少量のカルボキシメチルセルロース、スチレンブタジエンエマルジョンを水で分散した塗料であり、実施例10は、前記の実施例9において、分散剤のカルボキシメチルセルロースを添加しない例である。実施例11は、前記の実施例9において、親水性シリカに代えて疎水性シリカを黒鉛粒子の表面に修飾した改質黒鉛粒子を、カルボキシメチルセルロースに代えてエチルセルロースを、水に代えてイソプロピルアルコールを、スチレンブタジエンエマルジョンに代えてポリビニルブチラールをそれぞれ用いて塗料化した例であり、実施例12は、前記の実施例11において、分散剤のエチルセルロースを添加しない例である。比較例Eは、前記の実施例9において、改質黒鉛粒子に代えて表面改質を行っていない天然黒鉛粒子を用い、カルボキシメチルセルロースの添加量を増やした以外は実施例9と同様にして調整した塗料である。
表3に示すように、実施例9及び11は、従来の配合に比較して極端に分散剤の添加量を減らし、実施例10及び12は、分散剤を全く添加しないにもかかわらず、何れも塗膜中にクラックなどの欠陥がなく、塗膜面は平滑であった。一方、比較例Eは、分散剤を従来の配合量よりやや少な目に添加した(本実施例に比較すると50倍以上添加)のであるが、塗膜中にクラックが発生し、分散が悪いため塗膜面も不均一であった。本実施例と比較例とでは、明らかに分散性において差が認められた。
本発明に係る改質黒鉛粒子及びこの改質黒鉛粒子を配合した塗料は、例えば、電気部品用導電塗料の媒質、リチウムイオン二次電池用負極材料、各種電極、導電接着剤、電波吸収材などのさまざまな用途に適用でき、極めて有用である。
未処理の黒鉛粒子(a)及びコロイダルシリカで修飾した改質黒鉛粒子(b)の電子顕微鏡写真である。

Claims (5)

  1. 塗料などの配合材として使用される黒鉛粒子において、該黒鉛粒子の表面にシリカ微粒子を修飾させて、該黒鉛粒子の表面電荷をゼータ電位にて−2〜−30mVの範囲内にしてなることを特徴とする改質黒鉛粒子。
  2. 前記シリカ微粒子がコロイダルシリカからなり、該シリカ微粒子の平均粒子径が5〜100nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の改質黒鉛粒子。
  3. 前記シリカ微粒子が疎水性シリカからなり、該シリカ微粒子の一次粒子径が5〜30nmの範囲内にあることを特徴とする請求項1記載の改質黒鉛粒子。
  4. 前記黒鉛粒子は、天然黒鉛、メソフェーズピッチ系黒鉛、人造黒鉛及びキッシュ黒鉛から選ばれる少なくとも何れか一種からなることを特徴とする請求項1記載の改質黒鉛粒子。
  5. 請求項1〜4に記載の改質黒鉛粒子から選ばれる少なくとも何れか一種を配合してなることを特徴とする塗料。
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