JP2005048222A - マグネトロンスパッタリング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】1つの基板に対向して配置された複数のターゲットのそれぞれの背面側空間に配置される磁石機構の間で生じる磁場の干渉を防止し、基板上に堆積される薄膜の良好な膜厚分布を得るマグネトロンスパッタリング装置を提供する。
【解決手段】このマグネトロンスパッタリング装置は、少なくとも1枚の基板15に対してターゲット21〜24と磁石機構31〜34を備える複数のカソード部11〜14を備え、各カソード部のターゲットに対して孔38を有したターゲット選択用シャッタ35,36を設け、これらのシャッタの孔を用いて選択したターゲットをスパッタして基板を成膜する装置であり、スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場19をシャッタの基板側スペースに出さないようにする磁場遮断部(43,35等)を設ける。磁場遮断部は代表的に磁性体を利用して作られる。
【選択図】 図3
【解決手段】このマグネトロンスパッタリング装置は、少なくとも1枚の基板15に対してターゲット21〜24と磁石機構31〜34を備える複数のカソード部11〜14を備え、各カソード部のターゲットに対して孔38を有したターゲット選択用シャッタ35,36を設け、これらのシャッタの孔を用いて選択したターゲットをスパッタして基板を成膜する装置であり、スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場19をシャッタの基板側スペースに出さないようにする磁場遮断部(43,35等)を設ける。磁場遮断部は代表的に磁性体を利用して作られる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマグネトロンスパッタリング装置に関し、特に、複数のマグネトロンカソードを有するマグネトロンスパッタリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネトロンスパッタリング法は、ターゲットの背面側のスペースに磁石機構を配備し、ターゲットにおける基板側空間であってターゲット表面近傍に上記磁石機構によって高密度プラズマ領域を作り、この高密度プラズマ中のイオンによるスパッタリング作用で基板表面に上記ターゲットの材料を堆積させる方法である。このようなマグネトロンスパッリング法を利用して、複数の基板に同時に膜堆積の処理を行う場合、あるいは一枚の基板の上に複数の異種あるいは同種の膜を積層させる場合には、マグネトロンスパッタリング装置では、それぞれターゲットを取り付けた複数のカソードが近接して配置される。複数のカソードのそれぞれの背面側には磁石機構が設けられる。
【0003】
複数のカソードを近接して配置したマグネトロンスパッタリング装置では、別の観点から見ると、複数のカソードのそれぞれの箇所で磁石機構によって形成される磁場が互いに干渉し合うという関係が形成される。その結果、各カソードに対応して作られるプラズマ領域が領域変形作用を受け、基板上に成膜される膜について均一な膜厚分布を得ることができないという不具合が生じる。
【0004】
特に、近年の高磁気記録密度の磁気ヘッドや磁気記録媒体においては、巨大磁気抵抗薄膜(GMR)ヘッドやトンネル型磁気抵抗薄膜(TMR)ヘッド、さらに次世代の半導体記憶素子として注目されているTMR構造を有するMRAM(Magnetic Random Access Memory)が採用され、0.5〜20nm程度の極薄い単数あるいは複数の膜を0.1%(1σ)の極めて均一な膜厚分布で基板上に堆積させることが要求されてきている。そのため、上記の磁場干渉の問題がより深刻になってきた。
【0005】
上記の磁場干渉の問題に関連する従来技術として特許文献1〜4を挙げることができる。特許文献1は、1つの基板ホルダに複数の基板を所定間隔で並べ、複数の基板に対応させて複数のターゲットおよび磁石装置を並べて配置するようにしたマグネトロンスパッタリング装置において、磁石装置による磁場干渉をなくすため、ターゲットの近傍空間に、磁性体から成り、ターゲットからのスパッタ粒子を通過させるための通過孔と各ターゲットを仕切る仕切り板を有し、磁気シールドと兼用になった防着板を各ターゲットに対向して配置する構成を開示している。さらに特許文献2〜4では、ターゲットが寿命を迎えるまでの間ターゲット表面の近傍空間での磁場強度が均一に保たれるようにするため、例えば磁場の干渉を防止することができるように磁石装置の配置位置を適切に変化させることができる構成を開示している。
【0006】
【特許文献1】
特許第3151031号公報
【特許文献2】
特開平7−258842号公報
【特許文献3】
特開平11−335830号公報
【特許文献4】
特開平11−350129号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示される従来技術では、各磁石機構による各ターゲットの表面側への漏洩磁場は、スパッタ粒子が他に飛散しないように設けられた防着板を磁気シールドとして兼用することにより、さらに外側に広がらないようになっている。しかしながら、防着板ではすべてのターゲットのそれぞれに対向する位置にターゲット粒子通過孔が設けられているので、特定のターゲットだけを使用する場合であっても、すべてのターゲットによる磁場はこれらのターゲット粒子通過孔を通して防着板から基板側に出ている。一方、多層膜形成のように異種の膜を堆積させるには、それぞれのターゲット材料に適した磁場の設計をするので、強磁性体のターゲット材料に適した磁場強度は、非磁性のターゲット材料の場合より強くしなければならない。そのため防着板に形成されたターゲット粒子通過孔から出る磁場の強さはそれぞれで異なり、完全に磁場の影響を回避できない場合が生じる。特に、各カソードが同一平面状に配置されておらず、特定の方向に傾斜されている場合には、例え同じ強度の漏洩磁場が形成されているときでも、互いの磁場の干渉を回避することができないという問題が生じる。
【0008】
また特許文献2〜4のそれぞれに開示される従来技術では、1つのターゲットについて、スパッタ中に放電特性の経時変化を発生させないようにエロージョンの進行に従って背面側に設けられる磁石機構をターゲットから遠ざけ、常にターゲットの表面側での漏洩磁束密度を所要の一定な密度にすることにより、プラズマ密度を均一にするようにしている。このような技術的観点で構成されたこれらの従来技術では、隣接するターゲットからの磁場の影響を回避するという技術課題については何等考察されておらず、当該磁場影響を回避することができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、1つの基板に対向して配置された複数のターゲットのそれぞれの背面側空間に配置される磁石機構の間で生じる磁場の干渉を防止し、基板上に堆積される薄膜の良好な膜厚分布を得ることができるマグネトロンスパッタリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0011】
第1のマグネトロンスパッタリング装置(請求項1に対応)は、少なくとも1枚の基板に対してターゲットと磁石機構を備える複数のカソード部を備え、各カソード部のターゲットに対して孔を有したターゲット選択用シャッタ機構を設け、このシャッタ機構の孔を用いて選択したターゲットをスパッタして基板を成膜するものであり、スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場をシャッタ機構の基板側スペースに出さないようにする磁場抑制部を設けるように構成される。
【0012】
上記の第1のマグネトロンスパッタリング装置では、シャッタ機構によってスパッタしないものとして選択されたターゲットに係るカソード部に含まれる磁石機構による磁場が、スパッタするものとして選択されたターゲットに係る磁石機構が作る磁場に影響を与えないように、スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場をシャッタ機構の基板側スペースに出さないようにする磁場抑制部を設ける。この磁場抑制部によって、他の磁場の影響を回避でき、基板表面の全体にわたり均一な成膜を行うことができる。
【0013】
第2のマグネトロンスパッタリング装置(請求項2に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、磁場抑制部はシャッタ機構に設けられた磁場遮断部であることで特徴づけられる。この構成により、シャッタ機構の磁場遮断部は、スパッタしないターゲットのカソード部の磁石機構からの磁場を封じ込めることができる。
【0014】
第3のマグネトロンスパッタリング装置(請求項3に対応)は、上記の第2の構成において、好ましくは、磁場遮断部は、シャッタ機構のシャッタ部材のターゲット側表面に設けられた磁性体による表面部であることで特徴づけられる。磁性体による表面部は、磁性体のコーティングまたは薄板部材等を施すことにより設けられる。
【0015】
第4のマグネトロンスパッタリング装置(請求項4に対応)は、上記の第2の構成において、好ましくは、磁場遮断部は、シャッタ機構における磁性体で作られたシャッタ部材であることで特徴づけられる。この構成では、シャッタ機構のシャッタ部材そのものを磁性体で作るようにしている。
【0016】
第5のマグネトロンスパッタリング装置(請求項5に対応)は、上記の各構成において、好ましくは、磁場抑制部は、ターゲットの周囲に配置される、少なくとも内面に磁性体による表面を有して磁場を遮断する仕切り部を含むことで特徴づけられる。この構成によれば、複数のカソード部の各々磁石機構による磁場が隣り等のカソード部の磁場に影響を与えないように仕切り部を設ける。この構成では、複数のカソード部のターゲットのそれぞれを、空間的に、磁場を遮る作用を有する仕切り板で仕切るようにし、これによって他の磁石機構の磁場の影響を排除するようにしている。
【0017】
第6のマグネトロンスパッタリング装置(請求項6に対応)は、上記の各構成において、好ましくは、磁場抑制部は、ターゲットと磁石機構の間隔を、スパッタするターゲットに係る磁場を干渉しないように変化させる磁石機構の位置調整機構であることで特徴づけられる。この構成では、磁石機構の位置調整機構によって、各磁石機構から与えられる磁場が状況に応じて基板側スペースに入らないように、当該磁石機構を後退させ、磁場を抑制し、他のカソード部の磁場への影響を排除する。
【0018】
第7のマグネトロンスパッタリング装置(請求項7に対応)は、上記の第6の構成において、好ましくは、位置調整機構は、磁石機構を、ターゲットの面に平行な状態を保って移動させることで特徴づけられる。この構成によれば、スパッタしないターゲットが取り付けられるカソード部の磁石機構を、スパッタに寄与しているターゲットの漏洩磁場に影響をなくす位置まで平行移動することができ、さらにこのターゲットをスパッタするために磁石機構を元の位置に戻すことが簡単で、再現性良く行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1〜図4に基づいて本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の基本的構成および第1実施形態を説明する。
【0021】
図1ではマグネトロンスパッタリング装置のチャンバ10の内部構造が示され、図2ではチャンバ天井部の外側に設けられた4つのカソード部11〜14の配置状態とこれらのカソード部11〜14と基板15(破線で示す)との位置関係が示されている。図1の縦断面図は、実際には、図2においてA−A線で切って見た縦断面図となっている。
【0022】
マグネトロンスパッタリング装置は、その側壁が例えば円筒形であるチャンバ10を備えている。チャンバ10の底壁10aの中央には基板ホルダ16が設けられている。基板ホルダ16と底壁10aの間にはリング状絶縁部材17が設けられる。基板15は、チャンバ10の側壁に設けられたゲートバルブ18を通して搬入・搬出される。成膜対象である基板18は基板ホルダ16の上に搭載される。基板ホルダ16上の基板15の上面に対してスパッタリング作用によって成膜が行われ、ターゲット材料が堆積される。
【0023】
チャンバ10の天井部10bには、高い位置にある中心部から低い位置にある全周縁部に向かって傾斜する壁部が形成されている。傾斜した壁部において、例えば4ヶ所にカソード部11〜14が設けられている。4つのカソード部11〜14のそれぞれでは、例えば円板形状のターゲット21,22,23,24が傾斜した状態に設けられている。ターゲット21〜24の各材料は同一であるか、または異なる。ターゲット21〜24の下面は傾斜した状態でチャンバ10の内部に面しており、ターゲット21〜24の傾斜した下面がスパッタされる。4つのカソード部11〜14のそれぞれで、各ターゲット21〜24の背面側のスペースには磁石機構(カソードマグネット機構)31,32,33,34が設けられている。磁石機構31〜34内の例えば板状の磁石部材(図3で示す)もターゲット21〜24の面に沿って傾斜して設けられ、かつターゲット21〜24の内側表面に所要の磁場が生成されるようにターゲットとの間で所望の間隔を有するように配置されている。図1において、各ターゲットの基板側のスペースにおける分布19は磁場が生じている様子(磁束分布パターン)を示している。
【0024】
チャンバ10の天井部10bの内側には、天井部壁面に沿って例えば2枚のシャッタ35,36が設けられている。2枚のシャッタ35,36は中央部の軸部37に取り付けられている。シャッタ35,36は後述するように少なくとも一方が磁性体(「磁性材」または「磁性材料」)で作られている。またシャッタ35,36は、軸部37を中心に個別に回転自在に設けられている。さらにシャッタ35,36のそれぞれには、任意に選択されるカソード部11〜14のターゲット21〜24に対してスパッタリングを行うときに、当該カソードの内側面がチャンバ10の内部空間に向かって露出するように任意の数の孔または開口(図3と図4に示される38、以下では「孔」という)が形成されている。
【0025】
チャンバ10内でプラズマが生成され、4つのターゲット21〜24のうち少なくとも1つの特定のターゲットをスパッタしようとするとき、シャッタ35,36のそれぞれを独立に適宜に回転させて、孔38を介してスパッタしようとする当該ターゲットの内側面がチャンバ10の内部に露出するようにセットされ、かつスパッタしないターゲットの内側面はシャッタによって覆われ、チャンバ内部から見て遮ぎられることになる。すなわち、スパッタしないターゲットはシャッタ35,36によってチャンバ10の内部に生成されたプラズマから遮断される。
【0026】
図1に示された構成では、2枚のシャッタ部材からなる二重シャッタの構成としているが、2枚目のシャッタ36を基板15の直上に平行に配置したシャッタとして設けることもできる。
【0027】
また図1に示した構成では、4つのカソード部11〜14について、それぞれ、その外側部分を基板15の側に傾斜させているが、基板15と平行にしてもよい。またカソード部の個数は2つ以上であればよく、その個数が特定の数に限定されるものではない。またカソード部11〜14は静止状態でスパッタする構成でも、回転可能な構成でもよい。
【0028】
本実施形態では、カソードユニットを形成する4つのカソード部11〜14の各々のカソード21〜24を天井部10bの中心部に向かって高くなるように傾斜させており、さらに二重構成のシャッタ35,36を天井部10bの中心に位置する軸部37の周りに回転可能な構成としている。
【0029】
なお図1および図2において、真空排気装置、電源、ガス供給装置、回転駆動機構、基板搬送機構等の周辺部分の装置の図示は省略されている。
【0030】
上記の構成において、シャッタ35,36の材料がアルミニウム(Al)のような非磁性体である場合には、スパッタされないターゲットに対してシャッタが対向して覆いとして配置されたとしても、当該ターゲットに関して背面の磁石機構で形成される磁場は、シャッタより基板15側に出てしまう。そのため、スパッタ対象であるターゲットの磁石機構で作られる磁場を本来の形状から歪める。この効果は、カソードの数が多くなるほど、さらに磁場強度が強いものほど大きく複雑になり、スパッタしようとするターゲットのカソード部が作るプラズマの領域を歪ませる原因となる。その結果、基板15に堆積される膜の膜厚分布が悪化する。シャッタの材料がAl材である場合には、膜厚分布は0.2〜0.5%(1σ)であった。
【0031】
次に図3および図4を参照して例えばカソード部11およびシャッタ35の具体的な構成を説明する。
【0032】
図3は、本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第1実施形態の要部構造を示しており、カソード部11とシャッタ35の1つの孔38の部分との対向状態にあるときの配置関係を示している。カソード部11とシャッタ35の1つの孔部分との配置関係は、図1で示す通り、本来は傾斜状態で並行な位置関係にあるが、図3では、説明の便宜上、水平状態で並行な位置関係にて示している。このことは、以下で説明される図4,5,7,9,11,14においても同じである。
【0033】
図3で、例えばカソード部11は、ターゲット21と、ターゲット21を下面に取り付けるケース部41と、ケース部41の内部に配置された磁石機構31と、ターゲット21に所要の電圧を印加する電源42とから構成されている。この構成は、他のカソード部12〜14についても同じである。上記のカソード部11のターゲット21に対して、孔38が形成されたシャッタ35の部分が平行に対向して配置されている。図3の構成では、シャッタ35はAl材で作られ、かつターゲット21に面する側の表面のすべてと孔38の内面に例えば磁性体のコーティング43が施されている。
【0034】
図4の構成では、図3で示した同じ構成を有するカソード部11に対して全体が磁性体で作られたシャッタ35の一部の部分が対向して平行に配置されている。
【0035】
第1実施形態では、2枚のシャッタ35,36のうち少なくともターゲット21側のシャッタ35の材質はFeやCoなどの高透磁率の磁性体で形成されている。図4に示すごとく、例えばシャッタ35がFe材(磁性体)の場合、7mm程度の厚さの板材であれば、ターゲット21をシャッタ35が覆う時(シャッタ35の孔38以外の部分が覆う時)、ターゲット21とシャッタ35の間のスペースにターゲット21の表面からの漏洩磁場を閉じ込めることができ、磁石機構31による漏洩磁場がシャッタ35の基板側スペースへ出ることを防止することができる。
【0036】
また一般的な非磁性体がターゲットに用いられる磁石機構であれば、強磁性ターゲットよりも作られる磁場強度は弱いので、前述した磁性体のシャッタ板材でなくとも、図3に示すごとく、例えば通常のアルミニウム板材(35a)の表面にFe等の磁性体(43)をコーティングしたり、薄い磁性体の板(53)を張り付けてもよい。
【0037】
なお、シャッタ35,36に形成された孔38の数は好ましくは2個であるが、カソード部の数、あるいは実施されるプロセスに応じて、その数と形成位置は任意に定められる。
【0038】
上記の構成によれば、スパッタしないターゲットに係るカソード部の磁石機構により作られる磁場は、シャッタ35で遮断されまたはその強度を弱められることにより抑制することができるので、スパッタするターゲットに係るカソード部の磁石機構が作る磁場を歪めることがない。そのため、基板15に膜厚分布が良好な膜を堆積することができる。具体的に膜の膜厚分布は例えば0.1%(1σ)に向上させることができる。
【0039】
次に、図5〜図12を参照して本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2実施形態を説明する。図5と図6は第2実施形態の第1例、図7と図8は第2実施形態の第2例、図9と図10は第2実施形態の第3例、図9と図10は第2実施形態の第4例を示す。各図において、第1実施形態で説明した要素と同一の要素には同一の符合を付し、詳細な説明を省略する。図5と図7と図9と図11は、上記の図3または図4と同様な図である。図6と図8と図10と図12は、4つのカソード部のレイアウトを下側から見た平面的な図として示ししている。
【0040】
第2実施形態において、図5に示した第1例は、図3に示した構成において、さらにリング状の絶縁体51を介してターゲット21の下側スペースの全周囲を囲みかつその他の側方領域部分から仕切るリング状の仕切り部材52を設けている。リング状仕切り部材52の少なくとも内面には全面に渡り磁性体53によるコーティングまたは薄板材が設けられている。リング状仕切り部材52の軸方向の幅は、好ましくは、シャッタ35にほぼ到るまでの寸法を有している。その他の構成は図3で説明した構成と同じである。
【0041】
図6に示されるように、カソード部11の仕切り構造は、他のカソード部12〜14のすべてに設けられる。
【0042】
シャッタ35と仕切り部材52の少なくともターゲット側の内面を磁性体で構成すれば、隣接する他のカソード部からの磁場の影響を遮断することができ、かつターゲット21に対向したシャッタ35の部分の少なくとも表面を磁性体で構成すれば、第1実施形態と同様に、スパッタしないターゲットのカソード部からの磁場をシャッタ35で閉じ込めることができる。これによってスパッタしようとするターゲットの磁場を歪めることがなく、基板に膜厚均一性の良好な膜を堆積することができる。
【0043】
第2実施形態において、図7および図8に示した第2例は、図3に示した構成において、さらに4つのカソード部11〜14のそれぞれが存する領域を区切るためのための仕切り板54が設けられる。この仕切り板54は、4つのカソード部11〜14のそれぞれおよび各ターゲットの下側スペースの全周囲を囲みかつ他の側方領域部分から区切っている。仕切り板54の少なくとも内面には全面に渡り磁性体55によるコーティングまたは薄板材が設けられている。仕切り板54の幅は、好ましくは、シャッタ35にほぼ到るまでの寸法を有している。その他の構成は図3で説明した構成と同じである。
【0044】
シャッタ35と仕切り板54の少なくともターゲット側の内面を磁性体で構成すれば、隣接する他のカソード部からの磁場の影響を遮断することができ、スパッタしないターゲットのカソード部からの磁場をシャッタ35で閉じ込めることができる。これによってスパッタしようとするターゲットの磁場を歪めることがなく、基板に膜厚均一性の良好な膜を堆積することができる。
【0045】
第2実施形態において、図9と図10に示した第3例は、図5と図6で説明した第1例の構成において、シャッタ35とリング状仕切り部材61のそれぞれを全体として磁性体で作るようにした構成である。その他の構成は第2実施形態の第1例と同じであり、同様な作用・効果を発揮する。
【0046】
第2実施形態において、図11と図12に示した第4例は、図7と図8で説明した第2例の構成において、シャッタ35と仕切り板62のそれぞれを全体として磁性体で作るようにした構成である。その他の構成は第2実施形態の第2例と同じであり、同様な作用・効果を発揮する。
【0047】
上記の第2実施形態における第3例と第4例の場合には、磁石機構の作る磁場の強さに応じた厚みを有する磁性体製仕切り板を設けることが望ましい。
【0048】
次に図13と図14を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図13と図14において、上記の第1および第2の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符合を付している。図13は図1と同様な図である。
【0049】
この実施形態のマグネトロンスパッタリング装置では、4つのカソード部11〜14のそれぞれにおいてその磁石機構の位置を変える(例えば後退・前進)位置調整装置を備えている。図13では、当該位置調整装置によって、例えば、スパッタしないターゲット23に係るカソード部13の磁石機構33の位置を変え、外側に移動するように後退させている。磁石機構33が隣接するターゲット22に影響しない位置を予め測定しておき、後退位置設定値として記憶させておく。実際の成膜にあたっては、スパッタしないターゲット23の磁石機構33を位置調整装置で後退位置設定値に対応する距離まで後退移動させるようにする。その結果、磁石機構33による磁場19も後退し、ターゲット23の背面の後方に存する。なお他方のカソード部12では、シャッタ35,36の孔を通して磁場19がチャンバ10の内部スペースに深く侵入し、基板15の近くまで接近している。
【0050】
例えば磁石機構33の位置を変える位置調整装置71の具体的構成は図14に示される。カソード部13において、ケース41はチャンバ10の天井部10bの一部に固定されており、ケース41の下面にはリング状絶縁体51を介してリング状仕切り機構72が設けられている。ケース41に対してはガイド部材73A,73Bが設けられ、当該ガイド部材に案内されて、磁石機構33を固定する取付け板74が図14中上下動自在に設けられている。モータ75を回転駆動させると、プーリ76,77とベルト78から成る動力伝達機構によってネジ部材79が回転され、ガイド部材72,73に沿って取付け板74を上下動させることができる。これによって磁石機構33の位置を変えることができる。なお磁石機構33を回転させる磁石回転機構80が設けられている。
【0051】
別のターゲットをスパッタする場合には、ターゲット23に対応する磁石機構33を元の定位置に戻し、スパッタしない他のターゲットの磁石機構を予め測定して設定した位置まで後退移動させる。
【0052】
上記のようにスパッタプロセスに応じて磁石機構の移動を連続的に行う。なおこの磁石機構はターゲットの利用効率を向上させるために図14に示すごとく磁石回転機構80を設けることが好ましい。さらにターゲット23からの磁石機構33の距離を変える移動は、手動で行ってもよいし、プロセスに従って自動制御により行ってもよい。
【0053】
上記の構成を採用することによって、スパッタしないターゲットの磁石機構はターゲットから離れるので、スパッタしようとするターゲットの磁場に影響を与えることをなくす、または低減することができる。
【0054】
上記の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成要素の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、複数のカソード部を備えかつ傾斜姿勢のターゲットでスパッタ成膜を行うマグネトロンスパッタリング装置において、スパッタしないターゲットに対応するカソード部の磁石機構に基づく磁場を、磁気的にシールしてターゲット側スペースに閉じ込める、あるいはターゲットから当該磁石機構を遠ざけるようにしたため、スパッタ成膜処理に不要な磁場を抑圧して磁場の間の相互干渉を防止することができる。この結果、スパッタするターゲットの磁場は設計した通りの歪みのない良好な形状となり、均一なスパッタリングが可能となり、基板上に良好な膜厚分布の薄膜を堆積させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の基本的な構成を概略的に描いた縦断面図である。
【図2】本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の基本的な構成の概略平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第1例を示す縦断面図である。
【図4】第1実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第2例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第1例を示す縦断面図である。
【図6】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第1例の複数のカソード部の平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第2例を示す縦断面図である。
【図8】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2例の複数のカソード部の平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第3例を示す縦断面図である。
【図10】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第3例の複数のカソード部の平面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第4例を示す縦断面図である。
【図12】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第4例の複数のカソード部の平面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置を概略的に描いた縦断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部の具体的構成を示す要部縦断面図である。
【符合の説明】
10 チャンバ
11〜14 カソード部
15 基板
19 磁場
21〜24 ターゲット
31〜34 磁石機構
35,36 シャッタ
35a アルミニウム板材
43 磁性体
【発明の属する技術分野】
本発明はマグネトロンスパッタリング装置に関し、特に、複数のマグネトロンカソードを有するマグネトロンスパッタリング装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マグネトロンスパッタリング法は、ターゲットの背面側のスペースに磁石機構を配備し、ターゲットにおける基板側空間であってターゲット表面近傍に上記磁石機構によって高密度プラズマ領域を作り、この高密度プラズマ中のイオンによるスパッタリング作用で基板表面に上記ターゲットの材料を堆積させる方法である。このようなマグネトロンスパッリング法を利用して、複数の基板に同時に膜堆積の処理を行う場合、あるいは一枚の基板の上に複数の異種あるいは同種の膜を積層させる場合には、マグネトロンスパッタリング装置では、それぞれターゲットを取り付けた複数のカソードが近接して配置される。複数のカソードのそれぞれの背面側には磁石機構が設けられる。
【0003】
複数のカソードを近接して配置したマグネトロンスパッタリング装置では、別の観点から見ると、複数のカソードのそれぞれの箇所で磁石機構によって形成される磁場が互いに干渉し合うという関係が形成される。その結果、各カソードに対応して作られるプラズマ領域が領域変形作用を受け、基板上に成膜される膜について均一な膜厚分布を得ることができないという不具合が生じる。
【0004】
特に、近年の高磁気記録密度の磁気ヘッドや磁気記録媒体においては、巨大磁気抵抗薄膜(GMR)ヘッドやトンネル型磁気抵抗薄膜(TMR)ヘッド、さらに次世代の半導体記憶素子として注目されているTMR構造を有するMRAM(Magnetic Random Access Memory)が採用され、0.5〜20nm程度の極薄い単数あるいは複数の膜を0.1%(1σ)の極めて均一な膜厚分布で基板上に堆積させることが要求されてきている。そのため、上記の磁場干渉の問題がより深刻になってきた。
【0005】
上記の磁場干渉の問題に関連する従来技術として特許文献1〜4を挙げることができる。特許文献1は、1つの基板ホルダに複数の基板を所定間隔で並べ、複数の基板に対応させて複数のターゲットおよび磁石装置を並べて配置するようにしたマグネトロンスパッタリング装置において、磁石装置による磁場干渉をなくすため、ターゲットの近傍空間に、磁性体から成り、ターゲットからのスパッタ粒子を通過させるための通過孔と各ターゲットを仕切る仕切り板を有し、磁気シールドと兼用になった防着板を各ターゲットに対向して配置する構成を開示している。さらに特許文献2〜4では、ターゲットが寿命を迎えるまでの間ターゲット表面の近傍空間での磁場強度が均一に保たれるようにするため、例えば磁場の干渉を防止することができるように磁石装置の配置位置を適切に変化させることができる構成を開示している。
【0006】
【特許文献1】
特許第3151031号公報
【特許文献2】
特開平7−258842号公報
【特許文献3】
特開平11−335830号公報
【特許文献4】
特開平11−350129号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に開示される従来技術では、各磁石機構による各ターゲットの表面側への漏洩磁場は、スパッタ粒子が他に飛散しないように設けられた防着板を磁気シールドとして兼用することにより、さらに外側に広がらないようになっている。しかしながら、防着板ではすべてのターゲットのそれぞれに対向する位置にターゲット粒子通過孔が設けられているので、特定のターゲットだけを使用する場合であっても、すべてのターゲットによる磁場はこれらのターゲット粒子通過孔を通して防着板から基板側に出ている。一方、多層膜形成のように異種の膜を堆積させるには、それぞれのターゲット材料に適した磁場の設計をするので、強磁性体のターゲット材料に適した磁場強度は、非磁性のターゲット材料の場合より強くしなければならない。そのため防着板に形成されたターゲット粒子通過孔から出る磁場の強さはそれぞれで異なり、完全に磁場の影響を回避できない場合が生じる。特に、各カソードが同一平面状に配置されておらず、特定の方向に傾斜されている場合には、例え同じ強度の漏洩磁場が形成されているときでも、互いの磁場の干渉を回避することができないという問題が生じる。
【0008】
また特許文献2〜4のそれぞれに開示される従来技術では、1つのターゲットについて、スパッタ中に放電特性の経時変化を発生させないようにエロージョンの進行に従って背面側に設けられる磁石機構をターゲットから遠ざけ、常にターゲットの表面側での漏洩磁束密度を所要の一定な密度にすることにより、プラズマ密度を均一にするようにしている。このような技術的観点で構成されたこれらの従来技術では、隣接するターゲットからの磁場の影響を回避するという技術課題については何等考察されておらず、当該磁場影響を回避することができないという問題があった。
【0009】
本発明の目的は、上記の問題を解決することにあり、1つの基板に対向して配置された複数のターゲットのそれぞれの背面側空間に配置される磁石機構の間で生じる磁場の干渉を防止し、基板上に堆積される薄膜の良好な膜厚分布を得ることができるマグネトロンスパッタリング装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段および作用】
本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置は、上記の目的を達成するために、次のように構成される。
【0011】
第1のマグネトロンスパッタリング装置(請求項1に対応)は、少なくとも1枚の基板に対してターゲットと磁石機構を備える複数のカソード部を備え、各カソード部のターゲットに対して孔を有したターゲット選択用シャッタ機構を設け、このシャッタ機構の孔を用いて選択したターゲットをスパッタして基板を成膜するものであり、スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場をシャッタ機構の基板側スペースに出さないようにする磁場抑制部を設けるように構成される。
【0012】
上記の第1のマグネトロンスパッタリング装置では、シャッタ機構によってスパッタしないものとして選択されたターゲットに係るカソード部に含まれる磁石機構による磁場が、スパッタするものとして選択されたターゲットに係る磁石機構が作る磁場に影響を与えないように、スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場をシャッタ機構の基板側スペースに出さないようにする磁場抑制部を設ける。この磁場抑制部によって、他の磁場の影響を回避でき、基板表面の全体にわたり均一な成膜を行うことができる。
【0013】
第2のマグネトロンスパッタリング装置(請求項2に対応)は、上記の第1の構成において、好ましくは、磁場抑制部はシャッタ機構に設けられた磁場遮断部であることで特徴づけられる。この構成により、シャッタ機構の磁場遮断部は、スパッタしないターゲットのカソード部の磁石機構からの磁場を封じ込めることができる。
【0014】
第3のマグネトロンスパッタリング装置(請求項3に対応)は、上記の第2の構成において、好ましくは、磁場遮断部は、シャッタ機構のシャッタ部材のターゲット側表面に設けられた磁性体による表面部であることで特徴づけられる。磁性体による表面部は、磁性体のコーティングまたは薄板部材等を施すことにより設けられる。
【0015】
第4のマグネトロンスパッタリング装置(請求項4に対応)は、上記の第2の構成において、好ましくは、磁場遮断部は、シャッタ機構における磁性体で作られたシャッタ部材であることで特徴づけられる。この構成では、シャッタ機構のシャッタ部材そのものを磁性体で作るようにしている。
【0016】
第5のマグネトロンスパッタリング装置(請求項5に対応)は、上記の各構成において、好ましくは、磁場抑制部は、ターゲットの周囲に配置される、少なくとも内面に磁性体による表面を有して磁場を遮断する仕切り部を含むことで特徴づけられる。この構成によれば、複数のカソード部の各々磁石機構による磁場が隣り等のカソード部の磁場に影響を与えないように仕切り部を設ける。この構成では、複数のカソード部のターゲットのそれぞれを、空間的に、磁場を遮る作用を有する仕切り板で仕切るようにし、これによって他の磁石機構の磁場の影響を排除するようにしている。
【0017】
第6のマグネトロンスパッタリング装置(請求項6に対応)は、上記の各構成において、好ましくは、磁場抑制部は、ターゲットと磁石機構の間隔を、スパッタするターゲットに係る磁場を干渉しないように変化させる磁石機構の位置調整機構であることで特徴づけられる。この構成では、磁石機構の位置調整機構によって、各磁石機構から与えられる磁場が状況に応じて基板側スペースに入らないように、当該磁石機構を後退させ、磁場を抑制し、他のカソード部の磁場への影響を排除する。
【0018】
第7のマグネトロンスパッタリング装置(請求項7に対応)は、上記の第6の構成において、好ましくは、位置調整機構は、磁石機構を、ターゲットの面に平行な状態を保って移動させることで特徴づけられる。この構成によれば、スパッタしないターゲットが取り付けられるカソード部の磁石機構を、スパッタに寄与しているターゲットの漏洩磁場に影響をなくす位置まで平行移動することができ、さらにこのターゲットをスパッタするために磁石機構を元の位置に戻すことが簡単で、再現性良く行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0020】
図1〜図4に基づいて本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の基本的構成および第1実施形態を説明する。
【0021】
図1ではマグネトロンスパッタリング装置のチャンバ10の内部構造が示され、図2ではチャンバ天井部の外側に設けられた4つのカソード部11〜14の配置状態とこれらのカソード部11〜14と基板15(破線で示す)との位置関係が示されている。図1の縦断面図は、実際には、図2においてA−A線で切って見た縦断面図となっている。
【0022】
マグネトロンスパッタリング装置は、その側壁が例えば円筒形であるチャンバ10を備えている。チャンバ10の底壁10aの中央には基板ホルダ16が設けられている。基板ホルダ16と底壁10aの間にはリング状絶縁部材17が設けられる。基板15は、チャンバ10の側壁に設けられたゲートバルブ18を通して搬入・搬出される。成膜対象である基板18は基板ホルダ16の上に搭載される。基板ホルダ16上の基板15の上面に対してスパッタリング作用によって成膜が行われ、ターゲット材料が堆積される。
【0023】
チャンバ10の天井部10bには、高い位置にある中心部から低い位置にある全周縁部に向かって傾斜する壁部が形成されている。傾斜した壁部において、例えば4ヶ所にカソード部11〜14が設けられている。4つのカソード部11〜14のそれぞれでは、例えば円板形状のターゲット21,22,23,24が傾斜した状態に設けられている。ターゲット21〜24の各材料は同一であるか、または異なる。ターゲット21〜24の下面は傾斜した状態でチャンバ10の内部に面しており、ターゲット21〜24の傾斜した下面がスパッタされる。4つのカソード部11〜14のそれぞれで、各ターゲット21〜24の背面側のスペースには磁石機構(カソードマグネット機構)31,32,33,34が設けられている。磁石機構31〜34内の例えば板状の磁石部材(図3で示す)もターゲット21〜24の面に沿って傾斜して設けられ、かつターゲット21〜24の内側表面に所要の磁場が生成されるようにターゲットとの間で所望の間隔を有するように配置されている。図1において、各ターゲットの基板側のスペースにおける分布19は磁場が生じている様子(磁束分布パターン)を示している。
【0024】
チャンバ10の天井部10bの内側には、天井部壁面に沿って例えば2枚のシャッタ35,36が設けられている。2枚のシャッタ35,36は中央部の軸部37に取り付けられている。シャッタ35,36は後述するように少なくとも一方が磁性体(「磁性材」または「磁性材料」)で作られている。またシャッタ35,36は、軸部37を中心に個別に回転自在に設けられている。さらにシャッタ35,36のそれぞれには、任意に選択されるカソード部11〜14のターゲット21〜24に対してスパッタリングを行うときに、当該カソードの内側面がチャンバ10の内部空間に向かって露出するように任意の数の孔または開口(図3と図4に示される38、以下では「孔」という)が形成されている。
【0025】
チャンバ10内でプラズマが生成され、4つのターゲット21〜24のうち少なくとも1つの特定のターゲットをスパッタしようとするとき、シャッタ35,36のそれぞれを独立に適宜に回転させて、孔38を介してスパッタしようとする当該ターゲットの内側面がチャンバ10の内部に露出するようにセットされ、かつスパッタしないターゲットの内側面はシャッタによって覆われ、チャンバ内部から見て遮ぎられることになる。すなわち、スパッタしないターゲットはシャッタ35,36によってチャンバ10の内部に生成されたプラズマから遮断される。
【0026】
図1に示された構成では、2枚のシャッタ部材からなる二重シャッタの構成としているが、2枚目のシャッタ36を基板15の直上に平行に配置したシャッタとして設けることもできる。
【0027】
また図1に示した構成では、4つのカソード部11〜14について、それぞれ、その外側部分を基板15の側に傾斜させているが、基板15と平行にしてもよい。またカソード部の個数は2つ以上であればよく、その個数が特定の数に限定されるものではない。またカソード部11〜14は静止状態でスパッタする構成でも、回転可能な構成でもよい。
【0028】
本実施形態では、カソードユニットを形成する4つのカソード部11〜14の各々のカソード21〜24を天井部10bの中心部に向かって高くなるように傾斜させており、さらに二重構成のシャッタ35,36を天井部10bの中心に位置する軸部37の周りに回転可能な構成としている。
【0029】
なお図1および図2において、真空排気装置、電源、ガス供給装置、回転駆動機構、基板搬送機構等の周辺部分の装置の図示は省略されている。
【0030】
上記の構成において、シャッタ35,36の材料がアルミニウム(Al)のような非磁性体である場合には、スパッタされないターゲットに対してシャッタが対向して覆いとして配置されたとしても、当該ターゲットに関して背面の磁石機構で形成される磁場は、シャッタより基板15側に出てしまう。そのため、スパッタ対象であるターゲットの磁石機構で作られる磁場を本来の形状から歪める。この効果は、カソードの数が多くなるほど、さらに磁場強度が強いものほど大きく複雑になり、スパッタしようとするターゲットのカソード部が作るプラズマの領域を歪ませる原因となる。その結果、基板15に堆積される膜の膜厚分布が悪化する。シャッタの材料がAl材である場合には、膜厚分布は0.2〜0.5%(1σ)であった。
【0031】
次に図3および図4を参照して例えばカソード部11およびシャッタ35の具体的な構成を説明する。
【0032】
図3は、本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第1実施形態の要部構造を示しており、カソード部11とシャッタ35の1つの孔38の部分との対向状態にあるときの配置関係を示している。カソード部11とシャッタ35の1つの孔部分との配置関係は、図1で示す通り、本来は傾斜状態で並行な位置関係にあるが、図3では、説明の便宜上、水平状態で並行な位置関係にて示している。このことは、以下で説明される図4,5,7,9,11,14においても同じである。
【0033】
図3で、例えばカソード部11は、ターゲット21と、ターゲット21を下面に取り付けるケース部41と、ケース部41の内部に配置された磁石機構31と、ターゲット21に所要の電圧を印加する電源42とから構成されている。この構成は、他のカソード部12〜14についても同じである。上記のカソード部11のターゲット21に対して、孔38が形成されたシャッタ35の部分が平行に対向して配置されている。図3の構成では、シャッタ35はAl材で作られ、かつターゲット21に面する側の表面のすべてと孔38の内面に例えば磁性体のコーティング43が施されている。
【0034】
図4の構成では、図3で示した同じ構成を有するカソード部11に対して全体が磁性体で作られたシャッタ35の一部の部分が対向して平行に配置されている。
【0035】
第1実施形態では、2枚のシャッタ35,36のうち少なくともターゲット21側のシャッタ35の材質はFeやCoなどの高透磁率の磁性体で形成されている。図4に示すごとく、例えばシャッタ35がFe材(磁性体)の場合、7mm程度の厚さの板材であれば、ターゲット21をシャッタ35が覆う時(シャッタ35の孔38以外の部分が覆う時)、ターゲット21とシャッタ35の間のスペースにターゲット21の表面からの漏洩磁場を閉じ込めることができ、磁石機構31による漏洩磁場がシャッタ35の基板側スペースへ出ることを防止することができる。
【0036】
また一般的な非磁性体がターゲットに用いられる磁石機構であれば、強磁性ターゲットよりも作られる磁場強度は弱いので、前述した磁性体のシャッタ板材でなくとも、図3に示すごとく、例えば通常のアルミニウム板材(35a)の表面にFe等の磁性体(43)をコーティングしたり、薄い磁性体の板(53)を張り付けてもよい。
【0037】
なお、シャッタ35,36に形成された孔38の数は好ましくは2個であるが、カソード部の数、あるいは実施されるプロセスに応じて、その数と形成位置は任意に定められる。
【0038】
上記の構成によれば、スパッタしないターゲットに係るカソード部の磁石機構により作られる磁場は、シャッタ35で遮断されまたはその強度を弱められることにより抑制することができるので、スパッタするターゲットに係るカソード部の磁石機構が作る磁場を歪めることがない。そのため、基板15に膜厚分布が良好な膜を堆積することができる。具体的に膜の膜厚分布は例えば0.1%(1σ)に向上させることができる。
【0039】
次に、図5〜図12を参照して本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2実施形態を説明する。図5と図6は第2実施形態の第1例、図7と図8は第2実施形態の第2例、図9と図10は第2実施形態の第3例、図9と図10は第2実施形態の第4例を示す。各図において、第1実施形態で説明した要素と同一の要素には同一の符合を付し、詳細な説明を省略する。図5と図7と図9と図11は、上記の図3または図4と同様な図である。図6と図8と図10と図12は、4つのカソード部のレイアウトを下側から見た平面的な図として示ししている。
【0040】
第2実施形態において、図5に示した第1例は、図3に示した構成において、さらにリング状の絶縁体51を介してターゲット21の下側スペースの全周囲を囲みかつその他の側方領域部分から仕切るリング状の仕切り部材52を設けている。リング状仕切り部材52の少なくとも内面には全面に渡り磁性体53によるコーティングまたは薄板材が設けられている。リング状仕切り部材52の軸方向の幅は、好ましくは、シャッタ35にほぼ到るまでの寸法を有している。その他の構成は図3で説明した構成と同じである。
【0041】
図6に示されるように、カソード部11の仕切り構造は、他のカソード部12〜14のすべてに設けられる。
【0042】
シャッタ35と仕切り部材52の少なくともターゲット側の内面を磁性体で構成すれば、隣接する他のカソード部からの磁場の影響を遮断することができ、かつターゲット21に対向したシャッタ35の部分の少なくとも表面を磁性体で構成すれば、第1実施形態と同様に、スパッタしないターゲットのカソード部からの磁場をシャッタ35で閉じ込めることができる。これによってスパッタしようとするターゲットの磁場を歪めることがなく、基板に膜厚均一性の良好な膜を堆積することができる。
【0043】
第2実施形態において、図7および図8に示した第2例は、図3に示した構成において、さらに4つのカソード部11〜14のそれぞれが存する領域を区切るためのための仕切り板54が設けられる。この仕切り板54は、4つのカソード部11〜14のそれぞれおよび各ターゲットの下側スペースの全周囲を囲みかつ他の側方領域部分から区切っている。仕切り板54の少なくとも内面には全面に渡り磁性体55によるコーティングまたは薄板材が設けられている。仕切り板54の幅は、好ましくは、シャッタ35にほぼ到るまでの寸法を有している。その他の構成は図3で説明した構成と同じである。
【0044】
シャッタ35と仕切り板54の少なくともターゲット側の内面を磁性体で構成すれば、隣接する他のカソード部からの磁場の影響を遮断することができ、スパッタしないターゲットのカソード部からの磁場をシャッタ35で閉じ込めることができる。これによってスパッタしようとするターゲットの磁場を歪めることがなく、基板に膜厚均一性の良好な膜を堆積することができる。
【0045】
第2実施形態において、図9と図10に示した第3例は、図5と図6で説明した第1例の構成において、シャッタ35とリング状仕切り部材61のそれぞれを全体として磁性体で作るようにした構成である。その他の構成は第2実施形態の第1例と同じであり、同様な作用・効果を発揮する。
【0046】
第2実施形態において、図11と図12に示した第4例は、図7と図8で説明した第2例の構成において、シャッタ35と仕切り板62のそれぞれを全体として磁性体で作るようにした構成である。その他の構成は第2実施形態の第2例と同じであり、同様な作用・効果を発揮する。
【0047】
上記の第2実施形態における第3例と第4例の場合には、磁石機構の作る磁場の強さに応じた厚みを有する磁性体製仕切り板を設けることが望ましい。
【0048】
次に図13と図14を参照して本発明の第3実施形態について説明する。図13と図14において、上記の第1および第2の実施形態で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符合を付している。図13は図1と同様な図である。
【0049】
この実施形態のマグネトロンスパッタリング装置では、4つのカソード部11〜14のそれぞれにおいてその磁石機構の位置を変える(例えば後退・前進)位置調整装置を備えている。図13では、当該位置調整装置によって、例えば、スパッタしないターゲット23に係るカソード部13の磁石機構33の位置を変え、外側に移動するように後退させている。磁石機構33が隣接するターゲット22に影響しない位置を予め測定しておき、後退位置設定値として記憶させておく。実際の成膜にあたっては、スパッタしないターゲット23の磁石機構33を位置調整装置で後退位置設定値に対応する距離まで後退移動させるようにする。その結果、磁石機構33による磁場19も後退し、ターゲット23の背面の後方に存する。なお他方のカソード部12では、シャッタ35,36の孔を通して磁場19がチャンバ10の内部スペースに深く侵入し、基板15の近くまで接近している。
【0050】
例えば磁石機構33の位置を変える位置調整装置71の具体的構成は図14に示される。カソード部13において、ケース41はチャンバ10の天井部10bの一部に固定されており、ケース41の下面にはリング状絶縁体51を介してリング状仕切り機構72が設けられている。ケース41に対してはガイド部材73A,73Bが設けられ、当該ガイド部材に案内されて、磁石機構33を固定する取付け板74が図14中上下動自在に設けられている。モータ75を回転駆動させると、プーリ76,77とベルト78から成る動力伝達機構によってネジ部材79が回転され、ガイド部材72,73に沿って取付け板74を上下動させることができる。これによって磁石機構33の位置を変えることができる。なお磁石機構33を回転させる磁石回転機構80が設けられている。
【0051】
別のターゲットをスパッタする場合には、ターゲット23に対応する磁石機構33を元の定位置に戻し、スパッタしない他のターゲットの磁石機構を予め測定して設定した位置まで後退移動させる。
【0052】
上記のようにスパッタプロセスに応じて磁石機構の移動を連続的に行う。なおこの磁石機構はターゲットの利用効率を向上させるために図14に示すごとく磁石回転機構80を設けることが好ましい。さらにターゲット23からの磁石機構33の距離を変える移動は、手動で行ってもよいし、プロセスに従って自動制御により行ってもよい。
【0053】
上記の構成を採用することによって、スパッタしないターゲットの磁石機構はターゲットから離れるので、スパッタしようとするターゲットの磁場に影響を与えることをなくす、または低減することができる。
【0054】
上記の実施形態で説明された構成、形状、大きさおよび配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成要素の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明される実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように本発明によれば、複数のカソード部を備えかつ傾斜姿勢のターゲットでスパッタ成膜を行うマグネトロンスパッタリング装置において、スパッタしないターゲットに対応するカソード部の磁石機構に基づく磁場を、磁気的にシールしてターゲット側スペースに閉じ込める、あるいはターゲットから当該磁石機構を遠ざけるようにしたため、スパッタ成膜処理に不要な磁場を抑圧して磁場の間の相互干渉を防止することができる。この結果、スパッタするターゲットの磁場は設計した通りの歪みのない良好な形状となり、均一なスパッタリングが可能となり、基板上に良好な膜厚分布の薄膜を堆積させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の基本的な構成を概略的に描いた縦断面図である。
【図2】本発明に係るマグネトロンスパッタリング装置の基本的な構成の概略平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第1例を示す縦断面図である。
【図4】第1実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第2例を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第1例を示す縦断面図である。
【図6】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第1例の複数のカソード部の平面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第2例を示す縦断面図である。
【図8】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第2例の複数のカソード部の平面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第3例を示す縦断面図である。
【図10】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第3例の複数のカソード部の平面図である。
【図11】本発明の第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部とシャッタとの関係の第4例を示す縦断面図である。
【図12】第2実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置の第4例の複数のカソード部の平面図である。
【図13】本発明の第3実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置を概略的に描いた縦断面図である。
【図14】本発明の第3実施形態に係るマグネトロンスパッタリング装置のカソード部の具体的構成を示す要部縦断面図である。
【符合の説明】
10 チャンバ
11〜14 カソード部
15 基板
19 磁場
21〜24 ターゲット
31〜34 磁石機構
35,36 シャッタ
35a アルミニウム板材
43 磁性体
Claims (7)
- 基板に対してターゲットと磁石機構を備える複数のカソード部を備え、前記ターゲットに対し孔を有したターゲット選択用シャッタ機構を設け、このシャッタ機構の前記孔を用いて選択した前記ターゲットをスパッタして前記基板を成膜するマグネトロンスパッタリング装置において、
スパッタしないターゲットに対応する磁石機構による磁場を前記シャッタ機構の基板側スペースに出さないようにする磁場抑制手段を設けたことを特徴とするマグネトロンスパッタリング装置。 - 前記磁場抑制手段は前記シャッタ機構に設けられた磁場遮断部であることを特徴とする請求項1記載のマグネトロンスパッタリング装置。
- 前記磁場遮断部は、前記シャッタ機構のシャッタ部材のターゲット側表面に設けられた磁性体による表面部であることを特徴とする請求項2記載のマグネトロンスパッタリング装置。
- 前記磁場遮断部は、前記シャッタ機構における磁性体で作られたシャッタ部材であることを特徴とする請求項2記載のマグネトロンスパッタリング装置。
- 前記磁場抑制手段は、前記ターゲットの周囲に配置される、少なくとも内面に磁性体による表面を有して磁場を遮断する仕切り部を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
- 前記磁場抑制手段は、ターゲットと磁石機構の間隔を、スパッタするターゲットに係る磁場を干渉しないように変化させる前記磁石機構の位置調整機構であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のマグネトロンスパッタリング装置。
- 前記位置調整機構は、前記磁石機構を、前記ターゲットの面に平行な状態を保って移動させることを特徴とする請求項6記載のマグネトロンスパッタリング装置。
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