JP2005042145A - プラズマ耐食性溶射部材及びその製造方法 - Google Patents

プラズマ耐食性溶射部材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材を提供する。
【解決手段】本プラズマ耐食性溶射部材は、プラズマ溶射法により基材にイットリア溶射膜が形成されたプラズマ耐食性溶射部材であって、50℃から240℃までの温度域においての総ガス放出量が120μl/cm以下である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はプラズマ耐食性溶射部材に係わり、特に半導体デバイス又は液晶ディスプレイ製造のドライプロセスに適するように使用温度域における総ガス放出量を減少させたプラズマ耐食性溶射部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイス又は液晶ディスプレイ製造のドライプロセスにおいては、低圧高密度プラズマ源が用いられ、腐食性の高いフッ素系や塩素系のガスが用いられている。低圧高密度プラズマは、電子温度及びイオン衝撃エネルギーが高いため、これらのプラズマに曝される部材には高いプラズマ耐食性が要求される。
【0003】
一般にドライプロセス装置部材には、主にアルミナ系材料が用いられていたが、フッ素系ガスのプラズマを使用するプロセスにおいては、反応生成物であるフッ化アルミニウムが生じ、これがチャンバー内のプラズマ密度の低い部分に堆積し、パーティクル源になるという問題を生じていた。
【0004】
そこで近年、アルミナ系材料よりも数倍以上もプラズマ耐食性に優れたイットリウム系の材料が用いられるようになってきた。しかし、イットリウム系の材料は原料が高価であり、機械的強度や破壊靭性の点から大型品の製造に関しても問題があり、溶射等によりプラズマ耐食性材料の薄膜を形成した部材が提案されている。
【0005】
一方、ドライプロセスでは、デバイスの微細化又は高いアスペクト比を達成するため、低圧高密度プラズマが主流として使用されている。従って、チャンバー内の真空度は重要であり、チャンバー構成部材からのガス放出量が多いと所定の真空度になるまで長時間を要し、エッチングや成膜プロセスヘの影響も大きくなりデバイスの歩留を低下させる原因となっている。
【0006】
また、エッチングプロセスでは、反応生成物がプラズマ密度の低い部位に堆積して、パーティクルの発生源となるのを防ぐために、チャンバー全体を加熱することによって堆積を防止する方法がとられていることから、チャンバー構成部材からのガス放出量が、使用温度域で制御されることが重要となっている。
【0007】
従来、プラズマ耐食性を有する被膜の一般的な成膜方法として、プラズマ溶射法がある。この溶射法を用いたイットリア溶射膜では、高融点であるイットリア系材料を高温のプラズマ炎で溶融し基材に衝突させて、高いプラズマ耐食性を発現させるような均一で緻密な溶射膜を形成するものであるが、この溶射法は溶融粒子を基材に衝突させて溶射膜を形成する方法であるため、雰囲気ガスを巻き込むことは避けられず、溶射条件等を制御し、溶射膜に吸着又は内蔵するガスを制御することが重要である。
【0008】
なお、特許文献1には、基材の表面に溶射によりイットリア溶射膜を形成する耐プラズマ部材が提案されているが、この耐プラズマ部材はハロゲン化合物を含むガス雰囲気下におけるプラズマエロージョン作用に対して抵抗性を向上させて、パーティクルの発生を抑制するものであり、溶射時に不可避な雰囲気ガスの巻き込みに対する対策が講じられていないため、使用温度域におけるイットリア溶射膜から発生するガスにより、所定の真空度になるまで長時間を要し、エッチングや成膜プロセスヘの影響も大きくなりデバイスの歩留を低下させる原因となる。
【0009】
また、特許文献2には、基材の表面に溶射によりイットリア溶射膜を形成し、このイットリア溶射膜の基材に対する剥離強度を15MPa以上とする耐プラズマ部材が提案されているが、この耐プラズマ部材は、腐食によりパーティクルがプラズマ容器内の空間に浮遊したり、容器内の他の部材上に落下、堆積しにくくするものであり、所定の真空度になるまで長時間を要し、エッチングや成膜プロセスヘの影響も大きくなりデバイスの歩留を低下させる原因となる。
【0010】
そこで使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材及びその製造方法が要望されていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2000−164354号公報(段落[0008]、[0020]、[0034])
【0012】
【特許文献2】
特開2002−249864号公報(段落[0006]、[0007]、[0050]、[0091])
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の1つの態様によれば、プラズマ溶射法により基材にイットリア溶射膜が形成されたプラズマ耐食性溶射部材であって、50℃から240℃までの温度域においての総ガス放出量が120μl/cm以下であることを特徴とするプラズマ耐食性溶射部材が提供される。これにより、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材が実現される。
【0015】
好適な一例では、前記温度域において放出されるガスの主成分は、水と二酸化炭素であり、この2成分が総ガス放出量の80%以上を占める。これにより、ガス放出が起こり易くガス抜けがよくなる。
【0016】
また、他の好適な一例では、前記水と二酸化炭素の比率(水/二酸化炭素)は、9以下である。これにより、有機成分が抑えられてガスの放出量が抑えられる。
【0017】
また、本発明の他の態様によれば、基材を用意し、造粒したイットリア溶射原料を加熱して有機バインダー分を除去するとともに1次粒子間に軽いネックが形成される温度まで加熱し、プラズマ溶射法によりイットリア溶射原料を前記基材に衝突させてイットリア溶射膜を形成することを特徴とするプラズマ耐食性溶射部材の製造方法が提供される。これにより、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法が実現される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0019】
図1は本発明に係わる耐プラズマ性部材の模式図である。
【0020】
図1に示すように、本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材1は、プラズマ溶射法により基材2例えばアルミニウム基材にイットリア溶射膜3が形成されており、プラズマ耐食性溶射部材1は、使用温度域、例えば50℃から240℃までの温度域においての総ガス放出量が120μl/cm以下である。また、上記温度域において放出されるガスの主成分は、水と二酸化炭素であり、この2成分が総ガス放出量の80%以上を占め、さらに、上記水と二酸化炭素の比率(水/二酸化炭素)は9以下であるのが好ましい。
【0021】
上記基材2は、アルミニウム及びアルミニウム合金、ステンレス鋼を含む各種の鋼、タングステン及びタングステン合金、チタン及びチタン合金、モリブデン及びモリブデン合金、あるいは炭素並びに酸化物系、非酸化物系セラミックス焼結体あるいは、炭素質材料などが好適である。
【0022】
また、基材2の表面へのイットリア溶射膜3の形成は、基材2をブラスト処理した後、イットリアを直接に溶射して成膜するか、または、必要に応じて基材2の表面に中間層を形成し、この中間層として、耐ハロゲンガス腐食性の強い金属材料からなる皮膜を、溶射処理、PVD処理もしくはCVD処理して形成し、その中間層の上にイットリア粉末を表面層として溶射し複合層としてもよい。
【0023】
中間層用材料としては、ニッケル及びニッケル合金、タングステン及びタングステン合金、モリブデン及びモリブデン合金、チタン及びチタン合金などが好適である。
【0024】
上記温度域を50℃から240℃までとしたのは、ドライプロセス装置はプラズマに曝されるため、チャンバー構成部材の温度が上昇する点と反応生成物がプラズマ密度の低い部位に堆積し、パーティクルの発生源となることを防ぐために、チャンバー全体を加熱することによって堆積を防ぐ方法がとられているためである。上記温度域での総ガス放出量を120μl/cm以下としたのは、これ以上である所定の真空度になるまで時間を要し、エッチングや成膜プロセスヘの影響も大きくなりデバイスの歩留を低下させる原因となるためである。今後、半導体関連では半導体基板の直径は12インチにシフトし、また液晶関連でも一辺が1mを超す大型基板にシフトするため、さらに好ましい総ガス放出は、上記温度領域で100μl/cm以下である。
【0025】
また、プラズマ耐食性溶射部材1は、50℃から240℃までの温度域において放出されるガスの主成分が、水と二酸化炭素であることが好ましく、これら2成分のガス放出量が総ガス放出量の80%以上を占めることが好ましい。これにより、ガス放出が起こり易くガス抜けがよくなる。
【0026】
溶射膜に吸着又は内蔵されるガス種は溶射方法、条件及び環境によって左右される。その中で主成分を水と二酸化炭素にした。水については、60℃程度の低温域から脱離し抜け易いためである。二酸化炭素については、主に吸着及び内蔵させている炭素源としては、100℃程度の比較的低い温度域から脱離が始まり抜け易いため好ましい。
【0027】
従って、これら2成分のガス放出量の割合が80%以上であると低温域から速やかにガス放出が起こりガス抜けがよいことと、総ガス放出量も120μm/cmを超えることはないため好ましい。一方、80%未満であるとこの他のガス成分の割合が高くなることを示しており、炭素源についていえば有機物成分の割合が高くなるため、50℃から240℃までの温度域における総ガス放出量が120μl/cm以下を達成するのは難しく、また150℃を超えると著しいガス放出挙動を示すため、エッチングや成膜プロセスヘの影響も大きく好ましくない。
【0028】
さらに上記放出ガスの主成分である水と二酸化炭素の比率(水/二酸化炭素)は、9以下であることが好ましい。これにより、有機成分が抑えられてガスの放出量が抑えられる。この比率が9より大きくなると、炭素源として有機成分が増加する傾向にあり、有機成分の増加は上述の理由の通り好ましくない。
【0029】
上記実施形態によれば、プラズマ耐食性溶射部材は、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができる。
【0030】
次に本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法について説明する。
【0031】
本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法は、基材を用意し、造粒したイットリア溶射原料を加熱して有機バインダー分を除去するとともに1次粒子間に軽いネックが形成される温度まで加熱し、プラズマ溶射法によりイットリア溶射原料を上記基材に衝突させてイットリア溶射膜を形成するものである。
【0032】
例えば、図2に示すようなプラズマ溶射装置11を用いて行うが、このプラズマ溶射装置11のプラズマ発生部(溶射トーチ)12は、ノズル状の陽極13とその中心に配置された陰極14の1対から構成されており、プラズマは、ガス導入部15から陽極・陰極間のドーナツ状の間隙に不活性ガス例えばアルゴン単ガスを流し、直流アーク放電によりガスを電離することにより発生させられ、ノズル状の陽極から溶射トーチ外部にプラズマジェット16となって噴出する。イットリア溶射原料17は、予め加熱手段18により好ましくは800〜1200℃に加熱された後、ノズル出口近傍に設けられた原料投入パイプ19に連通する原料供給孔20を通して、アルゴンガスに載せられ、プラズマにほぼ垂直に供給される。これにより、イットリア溶射原料17はプラズマ中で溶融され液滴となって噴射ノズル21から噴出し、基材2に衝突させてイットリア溶射膜3を形成する。この際、原料投入の速度は原料粒子径に大きく影響されるため、イットリア溶射原料17には分級により粒子径を揃えたものが使用される。
【0033】
上記のようにイットリア溶射原料17は、その供給前に有機バインダーが除去されるとともに、図3に示すような1次粒子間に軽いネックが形成される温度まで加熱されるので、プラズマ耐食性溶射部材1の使用温度域における総ガス放出量が減少する。
【0034】
上記実施形態によれば、プラズマ耐食性溶射部材の製造方法は、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材を製造することができる。
【0035】
【実施例】
試験1: 本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法及び従来法により下記試料を作製し、チャンバー雰囲気温度200℃における真空度到達所要時間及び図4に示すような高精度昇温脱離ガス分析装置を用い放出ガス成分を調べた。
【0036】
(試料): 実施例1;プラズマ溶射法により、100、150、200μmの膜厚でアルミニウム基材上にイットリア溶射膜を形成した。溶射膜に有機成分の吸着および内蔵を可能な限り減らすため、粉粒径1〜10μm、造粒後45〜100μmにしたイットリア溶射原料を大気中で加熱し有機バインダー分を除去するとともに1次粒子間に軽いネックが形成される900℃まで加熱した。これにより流動性を落とすことなく造粒粉の形態の溶射原料を調整した。プラズマはアルゴン単ガスとした。
【0037】
実施例2;実施例1と同様の方法でアルミニウム基材上にイットリア溶射膜を形成した。実施例1と異なる点は、溶射原料の溶融を十分に行い緻密膜を得るため、アルゴンと水素の混合ガスとした。
【0038】
従来例;プラズマ溶射法(従来法)により、100、150、200μmの膜厚でアルミニウム基材上にイットリア溶射膜を形成した。造粒したイットリア溶射原料は、そのまま用いた。プラズマは、溶射原料の溶融を十分に行い緻密膜を得るため、アルゴンと水素の混合ガスとした。
【0039】
比較例;実施例1と同様の方法でアルミニウム基材上にイットリア溶射膜を形成した。実施例1と異なる点は、形成した溶射膜を緻密化するために、樹脂含浸による封孔処理を施した。
【0040】
(結果): 表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 2005042145
【0042】
表1からもわかるように、従来例(膜厚100μm)の真空度到達所要時間を1としたとき、実施例1及び実施例2では全て従来例の半分以下の所要時間で真空度を満足する。また、実施例1及び実施例2におけるガス放出量の傾向は、溶射膜が厚くなるに従いトータルのガス放出量は増加傾向にある。さらに、実施例1及び実施例2ではHO+COの割合が総ガス放出量の80%以上であり、HO/COが9以下である。また、実施例2においてプラズマ溶射ガスに水素ガスを混合するとトータルガス量ご増加するが、これは水素ガスの放出挙動が、低温域から高温域になるに従い増加傾向が継続するためである。
【0043】
従来例は実施例1及び実施例2に比べて真空度到達所要時間が2倍以上、比較例は4倍以上を要して実用性に乏しく、さらに、溶射膜内の気孔を減らし、全体的な表面積を減らすことによりガス放出量の低減を狙った比較例では、封孔処理に用いた樹脂が新たな有機成分のガス放出源となる。また、比較例ではHO+COの割合が総ガス放出量の80%以上であるが、従来例は80%以下である。さらに、従来例ではHO/COが9以下であるが、比較例は9以上である。
【0044】
試験2: 昇温脱離ガス分析により、試験1で作製した試料の質量数を調べた。
【0045】
(結果):図5は実施例1の主成分のイオンクロマトグラムを示す。実施例1はHOとCOが主成分であり、HOとCOのガス抜けがよく、特にHOが比較的低温でガス抜けがよい。
【0046】
図6は実施例1の有機物(バインダー)に起因するイオンクロマトグラムを示す。実施例1に含まれる主成分以外の成分としては、CH、41、C、39、56であることがわかる。
【0047】
図7は従来例の主成分のイオンクロマトグラムを示す。従来例はHOとCOが主成分であり、HOとCOのガス抜けがよいが、実施例1に比べて高温域であり、さらに、その放出量も実施例に比べて多い。
【0048】
図8は従来例の有機物に起因するイオンクロマトグラムを示す。従来例は250〜550℃の温度域で主成分以外の成分が認められ、その成分は、CH、C、30、39、55である。
【0049】
図9は比較例の主成分のイオンクロマトグラムを示す。比較例はHOとCOが主成分であり、HOとCOのガス抜けがよいが、240℃近傍ではこの2成分が総ガス放出量の80%以下になり、さらに、その放出量も実施例に比べて多い。
【0050】
図10は比較例の有機物に起因するイオンクロマトグラムを示す。比較例は250〜550℃の温度域で主成分以外の成分が認められ、その成分は、41、C、CH、39、56であり、その含有量が実施例に比べて多い。
【0051】
試験3: 試験1で作製した試料を用い、チャンバー内での温度変化と圧力の関係を調べた。
【0052】
(結果):図11は実施例1の温度−圧力の関係を示す。実施例1は50℃から240℃までの温度域で、従来例及び比較例に比べて高真空が得られかつ安定した真空度が保たれる。
【0053】
図12は従来例の温度−圧力の関係を示す。従来例は50℃から240℃までの温度域で、実施例1に比べて高真空が得られずかつ温度上昇に伴って真空度が低下し、これにより、表1からもわかるように実施例1に比べて真空到達時間も長い。
【0054】
図13は比較例の温度−圧力の関係を示す。比較例は50℃から240℃までの温度域で、実施例1に比べて高真空が得られず、従来例に比べても真空度が低く、これにより、表1からもわかるように実施例1、比較例に比べて真空到達時間も長い。
【0055】
【発明の効果】
本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材によれば、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材を提供することができる。
【0056】
本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法によれば、使用温度域における総ガス放出量を減少させ、短時間で所定の真空度になり、エッチングや成膜プロセスヘの影響が小さくデバイスの歩留を向上させることができるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の模式図。
【図2】本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法に用いられるプラズマ溶射装置の概念図。
【図3】本発明に係わるプラズマ耐食性溶射部材の製造方法におけるイットリア溶射原料の状態説明図。
【図4】プラズマ耐食性溶射部材の放出ガス成分を調べる高精度昇温脱離ガス分析装置の概念図。
【図5】実施例1の主成分のイオンクロマトグラム。
【図6】従来例の主成分のイオンクロマトグラム。
【図7】比較例の主成分のイオンクロマトグラム。
【図8】実施例1の有機物に起因するイオンクロマトグラム。
【図9】従来例の有機物に起因するイオンクロマトグラム。
【図10】比較例の有機物に起因するイオンクロマトグラム。
【図11】実施例1の温度−圧力の関係を示す線図。
【図12】従来例の温度−圧力の関係を示す線図。
【図13】比較例の温度−圧力の関係を示す線図。
【符号の説明】
1 プラズマ耐食性溶射部材
2 基材
3 イットリア溶射膜

Claims (4)

  1. プラズマ溶射法により基材にイットリア溶射膜が形成されたプラズマ耐食性溶射部材であって、50℃から240℃までの温度域においての総ガス放出量が120μl/cm以下であることを特徴とするプラズマ耐食性溶射部材。
  2. 請求項1に記載のプラズマ耐食性溶射部材において、前記温度域において放出されるガスの主成分は、水と二酸化炭素であり、この2成分が総ガス放出量の80%以上を占めることを特徴とするプラズマ耐食性溶射部材。
  3. 請求項1または2に記載のプラズマ耐食性溶射部材において、前記水と二酸化炭素の比率(水/二酸化炭素)は、9以下であることを特徴とするプラズマ耐食性溶射部材。
  4. 基材を用意し、造粒したイットリア溶射原料を加熱して有機バインダー分を除去するとともに1次粒子間に軽いネックが形成される温度まで加熱し、プラズマ溶射法によりイットリア溶射原料を前記基材に衝突させてイットリア溶射膜を形成することを特徴とするプラズマ耐食性溶射部材の製造方法。
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CN116102050A (zh) * 2022-09-30 2023-05-12 郑州振中电熔新材料有限公司 一种耐等离子腐蚀热喷涂氧化钇粉的制备方法

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