JP2005041753A - 圧電磁器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 圧電特性を向上させることができる圧電磁器を提供する。
【解決手段】 菱面晶系ペロブスカイト構造を有する第1の化合物および正方晶系ペロブスカイト構造を有する第2の化合物に加えて、Bi(Ni0.5Ti0.5)Oを加えることでさらに圧電特性を向上させるものである。
【選択図】
なし

Description

本発明は、アクチュエータ、センサーまたはレゾネータなどの分野において広く利用される圧電磁器に関する。
圧電材料は、外部から電界が印加されることにより歪みを発生する(電気エネルギーの機械エネルギーへの変換)効果と、外部から応力を受けることにより表面に電荷が発生する(機械エネルギーの電気エネルギーへの変換)効果とを有するものであり、近年、各種分野で幅広く利用されている。 例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O:PZT)などの圧電材料は、印加電圧に対して1×10-10 m/Vのオーダーでほぼ比例した歪みを発生することから、微少な位置調整などに優れており、光学系の微調整などにも利用されている。また、それとは逆に、圧電材料は加えられた応力あるいはそれによる自身の変形量に比例した大きさの電荷が発生することから、微少な力や変形を読み取るためのセンサーとしても利用されている。更に、圧電材料は優れた応答性を有することから、交流電界を印加することで、圧電材料自身あるいは圧電材料と接合関係にある弾性体を励振して共振を起こさせることも可能であり、圧電トランス、超音波モータなどとしても利用されている。
現在実用化されている圧電材料の大部分は、PbZrO(PZ)−PbTiO3 (PT)からなる固溶体系(PZT系)である。その理由は、菱面晶系のPZと正方晶系のPTの結晶学的な相境界(M.P.B.)付近の組成を用いることで、優れた圧電特性を得ることができるからである。このPZT系圧電材料には、様々な副成分あるいは添加物を加えることにより、多種多様なニーズに応えるものが幅広く開発されている。例えば、機械的品質係数(Qm)が小さいかわりに圧電定数(d)が大きく、直流的な使い方で大きな変位量が求められる位置調整用のアクチュエータなどに用いられるものから、圧電定数(d)が小さいかわりに機械的品質係数(Qm)が大きく、超音波モータなどの超音波発生素子のような交流的な使い方をする用途に向いているものまで様々なものがある。
また、PZT系以外にも圧電材料として実用化されているものはあるが、それもマグネシウム酸ニオブ酸鉛(Pb(Mg,Nb)O:PMN)などの鉛系ペロブスカイト組成を主成分とする固溶体がほとんどである。
ところが、これらの鉛系圧電材料は、主成分として低温でも揮発性の極めて高い酸化鉛(PbO)を60〜70質量%程度と多量に含んでいる。例えば、PZTまたはPMNでは、質量比で約2/3が酸化鉛である。よって、これらの圧電材料を製造する際には、磁器であれば焼成工程、単結晶品であれば溶融工程などの熱処理工程において、工業レベルで極めて多量の酸化鉛が大気中に揮発し拡散してしまう。また、製造段階で放出される酸化鉛については回収することも可能であるが、工業製品として市場に出された圧電製品に含有される酸化鉛については現状では回収が難しく、これらが広く環境中に放出されると、酸性雨による鉛の溶出などが心配される。従って、今後圧電磁器および単結晶の応用分野が広がり、使用量が増大すると、無鉛化の問題が極めて重要な課題となる。
更に、最近では、新たな材料として、チタン酸ナトリウムビスマス系の材料について研究が進められている。例えば、特許文献1および特許文献2には、チタン酸ナトリウムビスマスとチタン酸バリウムとを含む材料が開示されており、特許文献3にはチタン酸ナトリウムビスマスとチタン酸カリウムビスマスとを含む材料が開示されている。
特公平4−60073号公報 特開平11−180769号公報 特開平11−171643号公報
鉛を全く含有しない圧電材料としては、例えばチタン酸バリウム(BaTiO)あるいはビスマス層状強誘電体などが知られている。しかし、チタン酸バリウムはキュリー点が120℃と低く、その温度以上では圧電性が消失してしまうので、はんだによる接合または車載用などの用途を考えると実用的でない。一方、ビスマス層状強誘電体は、通常400℃以上のキュリー点を有しており、熱的安定性に優れているが、結晶異方性が大きいので、ホットフォージングなどで自発分極を配向させる必要があり、生産性の点で問題がある。また、完全に鉛の含有をなくすと、大きな圧電性を得ることが難しい。
更に、最近では、新たな材料として、チタン酸ビスマスナトリウム系の材料について研究が進められている。例えば、特公平4−60073号公報,特開平11−180769号公報には、チタン酸ビスマスナトリウムとチタン酸バリウムとを含む材料が開示されており、特開平11−171643号公報にはチタン酸ビスマスナトリウムとチタン酸ビスマスカリウムとを含む材料が開示されている。しかし、これらチタン酸ビスマスナトリウム系の材料では、鉛系圧電材料に比べると未だ十分といえる圧電特性が得られておらず、圧電特性の向上が求められていた。 また、特開平2002−265262号公報にはチタン酸ビスマスカリウムとニッケル・チタン酸ビスマスとを含む材料が開示されている。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れた圧電特性を示し、低公害化、対環境性および生態学的見地からも優れた圧電磁器を提供することにある。
本発明による圧電磁器は、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とを含ませることにより、圧電特性の向上が図られる。
また、これら酸化物のモル比による組成比は、前記菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と、前記正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、前記Bi(Ni0.5Ti0.5)Oとのモル比による組成比はそれらを頂点とした三角図において、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物をx、正方晶系ペロブスカイト構造化合物をy、ニッケル・チタン酸ビスマスをzとすると、下記のA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値(z=0を除く)であることが好ましい。
A(x,y,z)=(1.0,0.0,0.0)
B(x,y,z)=(0.9,0.1,0.0)
C(x,y,z)=(0.5,0.4,0.1)
D(x,y,z)=(0.9,0.0,0.1)
以上説明したように請求項1ないし請求項7のいずれか1に記載の圧電磁器によれば、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物(チタン酸ナトリウムビスマス)と正方晶系ペロブスカイト構造化合物(チタン酸カリウムビスマス)以外にニッケル・チタン酸ビスマス等とを含むように、あるいはこれらを含む固溶体を含有するようにしたので、電気機械結合係数あるいは変位(圧電定数)などの圧電特性を向上させることができる。よって、鉛を含有しないまたは鉛の含有量が少ない圧電磁器についても、利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができる低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電磁器の活用を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の一実施の形態に係る圧電磁器は、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とを含んでいる。 または、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とを含む固溶体を含有している。 すなわち、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とを含んでおり、それらは固溶していてもよく、完全には固溶していなくてもよい。
これにより、この圧電磁器では、少なくとも一部において結晶学的な相境界(M.P.B.)が形成され、圧電特性が向上するようになっている。具体的には、1成分系あるいは2成分系に比べて誘電率、電気機械結合係数あるいは圧電定数などの圧電特性が向上するようになっている。
チタン酸ナトリウムビスマスは、菱面晶系(Rhombohedral)ペロブスカイト構造を有しており、ナトリウムおよびビスマスはペロブスカイト構造のAサイトに位置し、チタンはペロブスカイト構造のBサイトに位置している。その組成は例えば(Na0.5 Bi0.5 TiOにより表される。
式中、sは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよく、1以下であれば焼結性を高めることができると共により高い圧電特性を得ることができるので好ましい。ナトリウムとビスマスとの組成、および酸素の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
チタン酸カリウムビスマスは、正方晶系(Tetragonal)ペロブスカイト構造を有しており、カリウムおよびビスマスはペロブスカイト構造のAサイトに位置し、チタンはペロブスカイト構造のBサイトに位置している。その組成は例えば(K0.5 Bi0.5 TiOにより表される。
式中、tは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。カリウムとビスマスとの組成、および酸素の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
ニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)は、ペロブスカイト構造を有する化合物に固溶する形で存在し、その組成は例えばBi(Ni0.5 Ti0.5 )Oにより表される。
式中、uは化学量論組成であれば1であるが、化学量論組成からずれていてもよい。NiとTiとの組成、および酸素の組成は化学量論組成から求めたものであり、化学量論組成からずれていてもよい。
これら菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス((Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とのモル比による組成比は、以下のような組成範囲の値であることが望ましい。 なお、ここで言う組成比というのは、固溶しているものも固溶していないものも含めた圧電磁器全体における値である。
これは、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と正方晶系ペロブスカイト構造化合物の結晶学的な相境界(M.P.B.)から遠ざかると圧電特性が低下し、また、ニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)の含有量が多くなりすぎると、圧電特性が低下してしまうからである。
なお、この圧電磁器は鉛(Pb)を含んでいてもよいが、その含有量は1質量%以下であることが好ましく、鉛を全く含んでいなければより好ましい。焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができ、低公害化、対環境性および生態学的見地から好ましいからである。また、この圧電磁器の結晶粒の平均粒径は例えば0.5μm〜20μmである。
このような構成を有する圧電磁器は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、出発原料として、酸化ビスマス(Bi2 3 ),炭酸ナトリウム(Na2 CO3 ),炭酸カリウム(K2 CO3 ),酸化ニッケル(NiO)および酸化チタン(TiO2 )などの粉末を必要に応じて用意し、100℃以上で十分に乾燥させたのち、目的とする組成に応じて秤量する。なお、出発原料には、酸化物に代えて炭酸塩あるいはシュウ酸塩のように焼成により酸化物となるものを用いてもよく、炭酸塩に代えて酸化物あるいは焼成により酸化物となる他のものを用いてもよい。
次いで、例えば、秤量した出発原料をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で5時間〜20時間十分に混合したのち、十分乾燥し、プレス成形して、750℃〜900℃で1時間〜3時間程度仮焼する。続いて、例えば、この仮焼物をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で5時間〜30時間粉砕したのち、再び乾燥し、バインダー溶液を加えて造粒する。造粒したのち、例えば、この造粒粉をプレス成形してブロック状とする。
ブロック状としたのち、例えば、この成形体を400℃〜800℃で2時間〜4時間程度熱処理してバインダーを揮発させ、950℃〜1300℃で2時間〜4時間程度本焼成する。本焼成の際の昇温速度および降温速度は、共に例えば50℃/時間〜300℃/時間程度とする。本焼成ののち、得られた焼結体を必要に応じて研磨し、電極を設ける。そののち、25℃〜150℃のシリコンオイル中で5MV/m〜10MV/mの電界を5分間〜1時間程度印加して分極処理を行う。これにより、上述した圧電磁器が得られる。
このように本実施の形態によれば、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とを含むようにしたので、またはこれらを含む固溶体を含有するようにしたので、誘電率、電気機械結合係数あるいは圧電定数などの圧電特性を向上させることができる。
よって、鉛を含有しないまたは鉛の含有量が少ない圧電磁器についても、利用の可能性を高めることができる。すなわち、焼成時における鉛の揮発、および圧電部品として市場に流通し廃棄された後における環境中への鉛の放出を最小限に抑制することができる低公害化、対環境性および生態学的見地から極めて優れた圧電磁器の活用を図ることができる。
また、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、正方晶系ペロブスカイト構造化合物であるチタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)が、それぞれそれらを頂点とした三角図において、チタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))をx、チタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))をy、ニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)をzとすると、下記のA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値(z=0を除く)を満たすようにすれば更に圧電特性を向上させることができる。
A(x,y,z)=(1.0,0.0,0.0)
B(x,y,z)=(0.9,0.1,0.0)
C(x,y,z)=(0.5,0.4,0.1)
D(x,y,z)=(0.9,0.0,0.1)
更に、本発明の具体的な実施例について説明する。
(実施例1〜19)
まず、チタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5 Bi0.5 )TiO)、チタン酸カリウムビスマス((K0.5 Bi0.5 )TiO3 )、およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)の出発原料として、酸化ビスマス粉末、炭酸ナトリウム粉末,炭酸カリウム粉末、酸化ニッケル粉末および酸化チタン粉末を用意し、100℃以上で十分に乾燥させたのち、それらを秤量した。出発原料の配合比は、焼成後のモル比による組成比x,yおよびzが表1に示したようになるように実施例1〜16で変化させた。
Figure 2005041753
次いで、秤量した出発原料をボールミルにより水中で約16時間混合したのち、十分乾燥し、プレス成形して、850℃で約2時間仮焼した。続いて、この仮焼物をボールミルにより水中で約16時間粉砕したのち、再び乾燥し、バインダーとしてポリビニールアルコール(PVA)水溶液を加えて造粒した。そののち、直径17mm、厚さ1.5mmの円板状ペレットに成形した。成形した試料は700℃で2時間の熱処理を行ってバインダーを揮発させた後、1100℃〜1300℃で2〜4時間の本焼成を行った。焼成条件は、昇温、降温共に200℃/時間である。本焼成により得られた試料を、厚さ約0.4〜0.6mmの平行平板に研磨した後、銀ペーストを600〜700℃で焼き付け電極とした。そののち、50〜150℃のシリコンオイル中で10MV/mの電界を15分間印加して分極処理を行った。これにより、実施例1〜16の圧電磁器を得た。
得られた実施例1〜16の圧電磁器について、比誘電率εd、電気機械結合係数krおよび3MV/mの電圧パルスを印加した際の変位量を測定した。LCRメータ(ヒューレットパカード社製HP4284A)、インピーダンスアナライザー(ヒューレットパカード社製HP4194A)とデスクトップコンピュータを用いた自動測定器で誘電率および共振***振法により電気機械結合係数(kr)などの測定を行い、さらに渦電流式の非接触変位計、アンプ、発振器、マルチメータ等をデスクトップコンピュータで制御してシリコンオイル中で3MV/mの電圧パルスを印加して変位測定を行った結果も表1に示す。
また、本実施例に対する比較例1〜9として、モル比による組成比x,yおよびzが表1に示したようになるように出発原料の配合比を変化させたことを除き、他は本実施例と同一の条件で圧電磁器を作製した。比較例1〜9についても、本実施例と同様にして、比誘電率εd、電気機械結合係数krおよび3MV/mの電圧パルスを印加した際の変位量を測定した。それらの結果も表1に示す。
表1に示したように、本実施例によれば、比較例に比べて電気機械結合係数krおよび変位量について大きな値が得られた。すなわち、チタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5 Bi0.5 )TiO3 )と、チタン酸カリウムビスマス((K0.5 Bi0.5 )TiO3 )と、ニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)とを含むように、あるいはそれらの固溶体を含むようにすれば、チタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5 Bi0.5 )TiO3 )と、チタン酸カリウムビスマス((K0.5 Bi0.5 )TiO3 )だけの時と比べて圧電特性、変位量を向上できることが分かった。
つまり、チタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))、チタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))およびニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)を頂点とした三角図において、チタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5Bi0.5)TiO))をx、チタン酸カリウムビスマス((K0.5Bi0.5)TiO))をy、ニッケル・チタン酸ビスマス(Bi(Ni0.5Ti0.5)O)をzとすると、下記のA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値(z=0を除く)を満たすようにすれば更に圧電特性を向上させることができる。
A(x,y,z)=(1.0,0.0,0.0)
B(x,y,z)=(0.9,0.1,0.0)
C(x,y,z)=(0.5,0.4,0.1)
D(x,y,z)=(0.9,0.0,0.1)
なお、上記実施例では、チタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸カリウムビスマス、およびニッケル・チタン酸ビスマスの各酸化物の組成について一例を挙げて説明したが、上記実施の形態において説明したように、これらの酸化物が他の組成を有するように構成しても、同様の結果を得ることができる。
(実施例17〜19)
実施例17〜19では、ペロブスカイト成分であるチタン酸ナトリウムビスマス((Na0.5 Bi0.5 )TiO3 )と、チタン酸カリウムビスマス((K0.5 Bi0.5 )TiO3 )のAサイト(Na0.5 Bi0.5 )および(K0.5 Bi0.5 )とBサイト(Ti)の比S(A/B比)を出発原料の配合比が焼成後のモル比による組成比x,yおよびzが表2に示したようにしたことを除き、実施例1〜16と同様にして試料を作製し、同様に評価した。
Figure 2005041753
表2に示したように、本実施例によれば、S(A/B比)が0.9〜1.00では圧電特性、変位量が良好なのに対して、比較例10のように、1.01つまり1.00を越えると圧電特性が急激に低下することがわかる。これは焼結性が悪くなり密度が向上せず、分極時に高い電圧が印加できなかったためと考えられる。また、比較例11のように0.9よりも小さくなった場合には、Bサイト成分であるチタン(Ti)が多量に余り異相を生じるため圧電特性が低下すると考えられる。したがって、S(A/B比)を0.9〜1.00の範囲にすることで圧電特性を良好に保つことが可能である。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、チタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸カリウムビスマス、ニッケル・チタン酸ビスマス等を含む場合についてのみ説明したが、これらに加えて他の化合物を含んでいてもよい。
また、本発明は、チタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸カリウムビスマス、ニッケル・チタン酸ビスマスを構成する元素以外の元素を、不純物または他の化合物の構成元素として含んでいてもよい。そのような元素としては、例えば、ストロンチウム(Sr),カルシウム(Ca),マグネシウム(Mg),バリウム(Ba),リチウム(Li),ジルコニウム(Zr),ハフニウム(Hf),錫(Sn),タンタル(Ta),ケイ素(Si),ホウ素(B),アルミニウム(Al)および希土類元素が挙げられる。
更に、上記実施の形態では、チタン酸ナトリウムビスマス,チタン酸カリウムビスマスの結晶構造についても説明したが、上述した組成を有する酸化物を含んでいれば、またはこれらを含む固溶体を含有していれば、これらの結晶構造について論じるまでもなく、本発明に含まれる。
アクチュエータ、センサーまたはレゾネータなどの分野において広く利用することができる。
本発明の実施の形態に係る圧電磁器におけるチタン酸ナトリウムビスマス、チタン酸カリウムビスマスとニッケル・チタン酸ビスマスからなる組成比範囲を示す三角図である。

Claims (3)

  1. 菱面晶系ペロブスカイト構造化合物と、正方晶系ペロブスカイト構造化合物と、Bi(Ni0.5Ti0.5)Oからなり、それらのモル比による組成比はそれらを頂点とする三角図において、菱面晶系ペロブスカイト構造化合物をx、正方晶系ペロブスカイト構造化合物をy、ニッケル・チタン酸ビスマスをzとすると、下記のA,B,CおよびDの各点を結んだ範囲内の値(z=0を除く)であることを特徴とする圧電磁器。
    A(x,y,z)=(1.0,0.0,0.0)
    B(x,y,z)=(0.9,0.1,0.0)
    C(x,y,z)=(0.5,0.4,0.1)
    D(x,y,z)=(0.9,0.0,0.1)
  2. 鉛(Pb)の含有量が1質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の圧電磁器。
  3. 前記菱面晶系ペロブスカイト構造化合物、正方晶系ペロブスカイト構造化合物のAサイト成分(例えばNa,K)とBサイト成分(例えばTi)との比(A/B)が0.9以上1.0以下であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の圧電磁器。
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