JP2005037895A - Icラベル - Google Patents

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Abstract

【課題】高い耐久性、耐水圧性を満足するICラベルを提供すること。
【解決手段】IC6を接続したアンテナ回路を持つ、上面と下面を有する扁平状のICチップ実装体基本部分2と、該ICチップ実装体基本部分の上面全面を少なくとも覆って余剰部分A,Bを有する応力緩和接着層16、耐水バリア層1および水密な被覆層14を水密な被覆層を少なくとも表面側に位置するように有する上面側層群21と、該ICチップ実装体基本部分の下面全面を少なくとも覆って固定部余剰部分Cを有する水密な固定部であって、ICチップ実装体基本部分を覆う面と反対側の面に被着体への被着面を有する固定部とを有し、上面側層群余剰部分の一部と該固定部余剰部分の一部が該ICチップ実装体基本部分の周囲を封止するように接合し、かつ周囲部の上面側層群余剰部分が凹むことによって下側の固定部の被着体への被着面を実質的に平面とし水圧下でも被着体に安定して接着できる。
【選択図】図2

Description

本発明のICラベルは、物品に取り付けるラベル等に使用され、データの交信等を外部電波により行なうICラベルに関するものである。特に本発明のICラベルは、非接触型ICラベルとも呼ばれる。
近年、個人の情報管理や物流管理または通勤通学等に使用される定期券等に新しい情報記録媒体としてICチップを搭載した小型電子機器が普及しつつある。個人が携帯する定期券等はICカードと呼ばれ、物品に取り付ける場合はICタグ・ラベルと呼ばれている。どちらの場合もICチップを搭載した大容量可変情報記録媒体であり、広く普及し始めている。タグは強いて言えば、紐状のもので物品に取付けられ、ラベルは接着剤等で物品に貼り付けられるようなものである。
個人が携帯するICカードの使用方法の一例として、非接触で駅の改札を通ることが可能で、かつ同じカードで小額の決済も可能となる例が挙げられる。
又、物流分野におけるICタグ・ラベルの使用方法の一例として、従来バーコード等で行っていた商品管理・決済に加えて、売れ筋商品の把握から製造工程に至るまでの情報伝達を迅速にすることで、最適な時期に最適な商品を投入することが可能とする例が挙げられる。このように在庫減少・コストダウン・品切れ回避など総合的なICラベルによる管理が主流になりつつある。
特許文献1には従来のICラベルの例が示されている。
特開2001−66990号公報(図1)
ICラベルは以上のようにさまざまな領域で使用される機会が増えている。中には海、河等の水中で使用されることも想定されるICラベルもあるため、屋外における高い耐久性・耐水圧性が要求されている。しかし、以上にあげた従来のICラベルではこのような過酷な条件では継続的使用の中で腐食や回路破壊や接続不良等による故障の問題がおこる可能性が高かった。本発明の目的は以上のような過酷な条件で継続的に使用されても、故障したりすることの無い耐久性、耐水圧性の強いICラベルを提供することにある。
本発明に係るICラベルは、少なくともICを接続したアンテナ回路を持つ、上面と下面を有する扁平状のICチップ実装体基本部分と、該ICチップ実装体基本部分の上面全面を少なくとも覆って余剰部分を有する応力緩和接着層、耐水バリア層および水密な被覆層を水密な被覆層を少なくとも表面側に位置するように有する上面側層群と、該ICチップ実装体基本部分の下面全面を少なくとも覆って固定部余剰部分を有する水密な固定部であって、該ICチップ実装体基本部分を覆う面と反対側の面に被着体への被着面を有する固定部とを有し、上面側層群余剰部分の少なくとも一部と該固定部余剰部分の少なくとも一部が該ICチップ実装体基本部分の周囲を封止するように接合し、かつ周囲部の上面側層群余剰部分が凹むことによって下側の固定部の被着体への被着面を実質的に平面としたICラベルである。
また、耐水バリア層がポリ塩化ビニリデン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂の中の少なくとも1種類の合成樹脂膜を有する層であることがより高い耐水性を得る上で好ましい。
また、耐水バリア層が少なくとも一つの無機材料膜を有する層であることがより高い耐水性を得る上で好ましい。
また、水密な被覆層が、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂の中の少なくとも1種類の合成樹脂膜を有する層であることが耐候性を向上させる上で好ましい。
また、水密な固定部及び応力緩和接着層が、接着性発泡基材または両面に接着剤層を有する非接着性発泡基材を有する層であることが耐環境の耐久性を向上させる上で好ましい。
また、ICチップ実装体基本部分が、少なくともICを接続したアンテナ回路、透磁性金属材料を含む非導電性透磁性層、非導電性透磁性層の更に固定部側に位置する導電性層を備えるICチップ実装体基本部分であることが被着物が金属等の導電性物質であるときに通信性能を確保する上で好ましい。
耐水バリア層がポリ塩化ビニリデン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂の中の少なくとも1種類の合成樹脂膜を有しJIS K7126(1987年)に規定する水蒸気分子の透過度が30g/m・24h・atm以下、酸素分子の透過度が10cc/m・24h・atm以下であると、より高水圧下での耐久性が向上する上で好ましい。
耐水バリア層が少なくとも1層の無機材料膜を有する層であって、JIS K7126(1987年)に規定する水蒸気分子の透過度が30g/m・24h・atm以下、酸素分子の透過度が10cc/m・24h・atm以下であると、より高水圧下での耐久性が向上する上で好ましい。
被覆層が、JIS Z0237(1991年)に規定する初期の伸び率が100%以上、厚さが20μm以上150μm以下であり、JIS K 7219(1998年)に規定する屋外暴露試験A法において5年後に初期の伸び率に対して80%以上の伸び率を有するものであると、より過酷な環境条件での耐久性が向上する上で好ましい。
固定部及び応力緩和接着層が、密度1g/cm以下で、JIS Z0237(1991年)に規定する初期の伸び率20%以上、引っ張り破断強度が30N/cm以上であり、JIS K 7219(1998年)に規定する屋外暴露試験A法において5年後に初期の伸び率に対して80%以上の伸び率及び引っ張り破断強度が有するものであると、より過酷な環境条件での耐久性が向上する上でより好ましい。
固定部と前記ICチップ実装体基本部分の下面間に更に第2の耐水バリア層を有することにより、より耐水性が向上するので好ましい。
ただし請求項でICチップ実装体基本部分について上面、下面と称しているが、これは同部分に上面、下面の区別があるものではなく、実際はどちらの面が上でも下でも良い。ただし、請求項6のごとく導電性層を備えるICチップ実装体基本部分の場合は、導電性層のある側が下面となる。またICチップは回路面側の方が、回路の無い面と比較すると外部応力に対して破壊に強い。本発明では回路面側を被覆層側にした図2の様な構成が好ましい。更に好ましくは図2に示すようにチップの回路の無い部分に補強部材などを装着したほうがより好ましい。
本発明のICラベルでは、ICを接続したアンテナ回路を含むICチップ実装体基本部分が上面側層群21と固定層10の間に挟まれて全周囲を各層により保護されており、更に、固定層の被着面が実質的に平面になっており、被着体と密着しやすいので、水中での使用においても水・溶存ガスの浸入がなく、電気的故障が起こらず、また剥がれ等の問題もおこらない耐久性が優れるICラベルが得られた。
本発明者らは、少なくともICを接続したアンテナ回路を持つ、上面と下面を有する扁平状のICチップ実装体基本部分と、該ICチップ実装体基本部分の上面全面を少なくとも覆って余剰部分を有する応力緩和接着層、耐水バリア層および水密な被覆層を水密な被覆層を少なくとも表面側に位置するように有する上面側層群と、該ICチップ実装体基本部分の下面全面を少なくとも覆って固定部余剰部分を有する水密な固定部であって、該ICチップ実装体基本部分を覆う面と反対側の面に被着体への被着面を有する固定部とを有し、上面側層群余剰部分の少なくとも一部と該固定部余剰部分の少なくとも一部が該ICチップ実装体基本部分の周囲を封止するように接合し、かつ周囲部の上面側層群余剰部分が凹むことによって下側の固定部の被着体への被着面を実質的に平面としたICラベルとすることで上記問題が解決できることを発見し、本発明のICラベルを提供できることに至った。
以下に本発明を使用する上で好適な非接触型ICラベルとその中に使用される回路基材について図面で概略を説明する。
本発明のICラベルの基本的な構成図を図1、2に示す。図1は本発明のICラベルのICチップ実装体基本部分の断面の一例であり、インレット15(支持体4、回路パターン(図示省略)、IC6から主に構成されている)の片面に接着層3bを介して、非導電性透磁性層5、更に接着層3aを介して導電性層9が積層されて実装体基本部分が構成されている。図2は上記実装体基本部分を使用した本発明のICラベルの一実施例の断面図である。上記実装体基本部分2が被覆層14、耐水バリア層1、応力緩和接着層16からなる上面側層群21と固定部10で挟まれている様子が分かる。
上記本発明の構成のICラベル至るまでの経過を以下に説明する。単純にIC実装体基本部分2の表面に被覆層、裏側に接着層を重ね合わせただけであると(図示省略)、端面からインレット15や透磁性金属材料などからできているIC実装体基本部分の端部が露出してしまい、過酷な環境の影響を受けて層間剥離、腐食などの不具合を起こす。
次に図3に示すようにIC実装体基本部分2を被覆層14aと被覆層14bにより両側から包むように保護し被覆層14bに固定部10を設けた構成を検討した。図3は考えられる非接触型ICラベルの別の一例の断面図である。しかしながら、この構成では被着体への接着面端の方が被着体との間に隙間が生じ、被着体に接着した場合、端の部分を十分に接着させることが困難になり、接着面が持ち上がり易く容易に剥がれてしまう恐れがある。
次にICラベルのように周辺部分から剥離すること無く被着体と強力に接着するように、図4に示すようにICラベルの被着体と接する面即ち固定部のC部分を固定部の中央部と同等に平坦にすることで、上記問題点を解決することを計った。図4は考えられる非接触型ICラベルのまた別の一例の断面図である。その結果、固定部分と反対面の被覆層部の周辺部分A+B、この部分を本明細書では被覆層余剰部分と呼んでいる、が凹んだ形状のICラベルが得られた。
しかしながら上記改善で全般的な耐久性は向上したが、高い水圧の加わる水中で使用するとICラベル内部に水や溶存ガスが浸透し、通信不良や耐久性の低下を引き起こすことが判明した。本発明者は、図2に示すように、被覆層14、耐水バリア層1、応力緩和接着層16から構成されている上面側層群をインレットの上面に設けることで、耐久性と耐水性を持つICタグとすることが出来た。上面側層群に使用されているそれぞれの層は被覆層14=耐光性・耐候性、耐水バリア層1=水・気体の低透過性、応力緩和接着層16=圧力変形緩和機能、を主にそれぞれに機能分担をしていると考えられる。
本発明の周辺部分A+Bが凹んだ形状のICラベルであると、IC実装体基本部分が露出することなく、耐環境特性に優れた材料で覆われて上記耐久性の問題は起こらないことに加えて、下記の理由でICラベルが被着体の形状に影響されることが少なく接着できると考えられる。
本形状のICラベルを用いると凸面に貼り付ける場合、本来上面側層群21と固定部10の曲率が異なるため、上面側層群21に過大な引っ張り応力がかかるが、周辺部分の境の段差部分Bが伸び変形して応力を緩和するため脱落・層間剥離を起こしにくい。逆に凹面に貼り付ける場合、同様に上面側層群21と固定部10の曲率が異なり上面側層群21に収縮応力が発生するが、周辺部分の境の段差部分Bが収縮変形して応力を緩和するため脱落・層間剥離を起こしにくいようである。
又、本発明では、IC実装体基本部分の周辺部A+Bが滑らかに凹んでいることで、全面的に背が高くなる構造に較べて、比較的高さ(厚さ)のあるIC実装体基本部分がより引っかかりにくくなるようになった。
また、本発明のICラベルはガスボンベの肩部のごとくの3次元凸面に貼りつける場合も考えられるので、図5に示すようにIC実装体の両側が広く、中心部分がくびれている形状にすると、面への追従性がより良くなり、より好ましい。図5は本発明のICラベルの別の一実施例の平面図である。尚、普通に長方形型であっても良い。
まず、1.回路基材からインレット/ICチップ実装体基本部分の形成までを説明し、次に2.ICラベル化材料・工程を説明する。
1.回路基材からインレット/ICチップ実装体基本部分の形成までの工程
以下、本発明の(1)回路基材からインレット/ICチップ実装体基本部分までの製造工程を中心に、順を追って説明し、その後、(2)ICラベルの組立てについて説明する。
まず回路基材を構成している金属箔と支持体について詳細に説明する。
本発明のICラベルには、支持体上に電波で電力と信号を受送信するエッチングや他の方法やそれらの組合せによりアンテナ回路が設けられ、この回路にICチップやコンデンサなどの電子部品を搭載または形成しているものが含まれている。これは通信出来る最小部品でありインレット15と呼ぶ。
〔アンテナ回路〕
アンテナ回路は、導電部分の材料として銅やアルミ金属箔、導電性インク、金属線、メッキ膜、金属粉、金属蒸着膜をエッチング、印刷等の手法で作る。一般的には金属箔、金属線、導電性インクが使用されることが多い。
〔インレット用支持体〕
インレット用支持体4は電気絶縁性の材料から選択される。支持体には大きく分けてリジット基板とフレキシブル基板とに分けることが出来る。
リジット基板とはアラミド繊維やガラス繊維シートにエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂、紙にフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を含浸させて、表面に金属箔を設けて熱と圧力を加えて硬化させて製造したものである。リジット基板は機械的応力に対して高い弾性率を持っている。
一方フレキシブル基板とは、フィルム状の支持体に金属箔等で回路が設けられているものであって、プリンターのヘッドや車の中の配線等に使用されており、形の変わるもの、動くものに対して多く使用されている。
[IC]
本発明で使用されるICチップ6 としては125KHz、4.9MHz、6.5MHz、13.56MHz、950MHz(日本国内のUHF帯)2.54GHz帯等のベアチップが挙げられる。ICラベルに使用されるICチップ6は、チップにバンプを設けたのみのベアチップの形態、端子部分に兼用可能なリードフレーム材料にチップをダイボンドし、金ワイヤーなどでチップのパッド部分とリードフレーム間を配線した後、エポキシ樹脂等で封止されたり、端子がついたフィルム上に固定したパッケージチップといわれる形態で供給されている。
[補強]
本発明は過酷な環境下で使用されることを前提としているので外部応力で破損し易いICチップ部分は、補強するのが好ましい。
補強材料としては、樹脂7や金属板8が一般的に使用されている。樹脂としては、エポキシ樹脂やUV硬化樹脂などで、チップ部分を全面被覆し硬化させて補強する。また金属板8を使用する場合は樹脂7でチップ部分を覆った上に、更に金属板8を貼り付け樹脂を硬化させ補強する。どちらの方法でもチップの表裏片面あるいは両面から施すことが可能である。両面補強は強度がより強くなるが、更にコストアップとなるのでICラベルが使用される環境を考慮して選択するのが好ましい。
〔インレット〕
インレット15の一例としては、上記主要材料を使用することにより、支持体上に金属箔の一部をエッチング法により取り除いて必要なアンテナ回路を含む回路パターンを形成した後、ICチップ6をその回路パターンに装着したものがある。
本発明はベアチップをACF(異方導電性フィルム)、ACP(異方導電性ペースト)、NCP(非導電性ペースト)などの接続樹脂で熱圧着する方法や、ハンダ等の金属を使用して加熱接続する方法や、銀、銅などの金属粉末を含有する導電性接着剤で接続する方法や、超音波接合、溶接、金属同士の熱圧着など定法の接続方法が使用可能である。
又、下記に述べるパッケージチップを使用した場合、アンテナ回路との接続は上記に述べたものと同様に、ハンダ等の金属を使用して加熱接続する方法や、銀、銅などの金属粉末を含有する導電性接着剤で接続する方法や、超音波接合、溶接、金属同士の熱圧着など定法の接続方法が使用可能である。
インレット15はそのままでもICチップ実装体基本部分2として使用することが可能であるが、更にこのインレット15に以下で説明する非導電性透磁性層と非導電性透磁性層の更に外側に位置する導電性層を加えることにより、金属表面でも通信が可能なICチップ実装体基本部分2とすることも可能である。
〔非導電性透磁性層〕
本層は常に使用されるわけではない。インレット15の両側に被覆層14と固定部10が設けられた状態の本発明の通常のタグを金属体等の被着体に貼り付けて使用する場合、被着体の金属がリーダーライタからの信号を吸収してしまうためインレット15に信号が伝わらず通信が出来ない。この現象を回避するため信号の通り道としてインレットシートの裏側に本層を設けることにより通信が可能となる。非導電性透磁性層5は、透磁率の高い磁性粉またはフレークを樹脂に練りこんだ電気導電性のないシートであり信号の通り道をインレットシートの裏側に設ける層である。非導電性透磁性層の初期透磁率μは1より大きく、好ましくは2以上であることが良い。実際的には、透磁率の高い透磁性金属材料が連続的につながらず、非連続的に存在する。言い換えれば、樹脂部分を海として島状に磁性紛を含む層となって電気伝導性が生じないようになっている。ここでいう電気導電性とは、体積抵抗値10−2Ω・cm程度を境とし、この抵抗値より低い場合は電気導電性を有するものとし、高い場合は非導電性とする。このように海島構造をとっているので海に相当する樹脂部分が比較的柔軟であり、また本層は数十μmから数mmと薄い層であるので相当な可撓性を有することはいうまでもない。
これは電気導電性を有する、例えばアモルファス合金製シートを非導電性透磁性層の代わりに使用すると、リーダーライターから発信された電波が導電性のアモルファス合金製シート表面で吸収されて、実装体のアンテナに信号及び電力を供給しないため不都合になると考えられる。
透磁性材料の形状としては磁性粉やフレイクが考えられる。具体的材料としては、珪素鋼、センダスト合金、Fe−Al合金、電磁軟鉄、アモルファス合金、パーマロイ、カルボニル鉄、フェライト等が使用できる。
センダスト・Fe−Al合金としては、アルパーム、ハイパーマル、センダスト、スーパーセンダスト等が用いられる。電磁軟鉄としては工業純鉄、アームコ鋼、低炭素鋼などが用いられる。アモルファス合金としてはコバルト系、鉄系、ニッケル系が使用できる。アモルファス合金の組成としては、合計70〜98重量%のCo、Fe、Niを主成分とし、B、Si、Pを合計2〜30重量%含有させ、その他Al、Mn、Zr、Nbを含有する。パーマロイとしては、78−Permalloy、45−Permalloy、36−Permalloy、Cr−Permalloy、Mo−Permalloy、Supermalloy等が使用可能である。
非導電性透磁性層5に使用されるもう一方の成分である樹脂は、ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、アクリル、スチレン、シリコーン、PET、PEN、PET−G、ABS、塩ビ、塩酢ビ、EVA、ポリカーボネート、アロイ等一般的に顔料などを混ぜて使用している樹脂であればどのようなものでも使用が可能である。
その他の資材としては樹脂と磁性粉の親和性(接着性)を向上させる助剤や、防錆剤、酸化防止剤、滑剤、離型剤、消泡剤、濡れ剤、硬化剤、紫外線吸収剤など樹脂シートの製造工程で必用な添加剤や耐久性・利便性を向上させる添加剤が含まれても良い。
非導電性透磁性層5の製造方法は大きく分けて2通りの方法がある。1つの方法は基材シート上に磁性塗料を塗布する方法であり、もう一方は磁性粉を熱溶融等、液状にした樹脂にニーダー等の装置を使用して練りこみシート状にするものである。
〔導電性層〕
本層もまた常に使用されるわけではない。前述したように非導電性透磁性層5を使用することによって、信号の通り道をインレットシートの裏側に設けることになり通信が可能となる。従って、特定の材料の金属表面に常に置かれて使用する場合であれば問題無い。しかし、場合によっては、金属表面以外の樹脂材料表面など何処に貼り付けられるか想定できない場合がある。そのような場合も含めて汎用性を考慮すると、非導電性透磁性層5のインレットシート15がある側の反対面側に、更に本導電性層9を設けることが好ましい。さらに好ましくは、体積抵抗値10−2Ω・cm程度以下の導電性層がより良好な通信特性を得ることが出来る。
体積抵抗値10−2Ω・cm程度を以下の導電性層9としては、アルミ、銅、亜鉛、合金等の金属箔や、銀、銅、合金などの金属粉を樹脂中に分散した導電性インクや、カーボンシート、カーボンインク印刷シートや、導電性樹脂シートや、ポリアセチレン等の導電性高分子シートなどが使用できる。本層の厚みは数μmから数十μmあれば上記のような作用を奏するものであり、かつこの程度の厚さの範囲に保つことによりラベルに仕上がった状態においても可撓性を妨げることは少ないものである。
〔IC実装体基本部分〕
前述したようにインレット15はそのままでもICチップ実装体基本部分2として使用することが可能であるが、ここでは非導電性透磁性層5と非導電性透磁性層の更に外側(被着体側)に位置する導電性層9を加えたICチップ実装体基本部分2の組み立てを説明する。チップ部分に補強を施した又は補強が無いインレット15と非導電性透磁性層5を接着剤層3bを介して貼り合わせる。この時非導電性透磁性層5の一部にインレット15上のチップ部分が入る穴を開けておくと、完成したICラベルの表面平滑性が良くなる。インレット15上には接着剤3aを介して導電性層9を貼り付ける。インレット15を集合体として使用した場合は一旦ここで切り離して、個々のICチップ実装体基本部分2とする。ICチップ実装体基本部分の厚さは、薄い方が可撓性があり好ましいが、金属表面に貼って使用するように非導電性透磁性層等を設けた場合であっても以上のように各層の材料、厚み等を選択すれば、ある程度の可撓性を有するようになる。具体的には30×60mm角の大きさのICラベルで100mmφの外径の金属製円筒物体に円周方向を長手側として貼付け可能な程度の可撓性は十分であった。
2.ICラベル化材料・工程
以上説明したICラベルの実装体基本部分から、ICラベルになるまでに使用される材料・工程を以下に述べる。
〔被覆層〕
本発明ではインレットの上面に上面側層群21が設けられる。上面側層群は水密な被覆層/耐水バリア層/応力緩和接着層/インレットまたは水密な被覆層/応力緩和接着層/耐水バリア層/インレットの順番に設けられる。いずれの場合においても水密な被覆層が少なくとも最外面側に位置し、外部の環境と接するものである。本発明の特徴の1つである水密な被覆層14は、完成したICラベルの最外殻の基材である。この水密ということは雨等の水滴や水の噴流を受けても水が通過しないような性質を有することを意味し、殆んどの数十μm厚以上の合成樹脂フィルムがこのような性質を満足し得る。なかでも屋外の広告・看板等で使用することを考慮した耐侯性フィルム12と耐久性接着剤層13から構成される水密な被覆層を使用することが好ましい。耐侯性フィルム12としては、紫外線、風雨、温度変化などに対応出来る塩化ビニル系、ポリオレフィン系、フッ素樹脂系、シリコーン系のフィルムなどの屋外で使用することを前提としたフィルムが使用出来る。耐侯性フィルム12は耐久性を向上させるために、通常の延伸法で製造される上記材質のフィルムのほか、環境変化による寸法変化が少ない無延伸フィルム、更に耐光性や耐熱性や強度など各機能を各層の中に分担した多層構造を持つものも有る。さらに必要に応じて印刷層、磁気層、保護層等を被覆層14上に設けることができる。被覆層14は用途によって透明、半透明、不透明、着色のものが使用できる。本被覆層はフィルムと接着剤層より構成されるため、ある程度の厚さ以下、普通は数mm以下に設計されれば、殆んどの材料を使用しても可撓性を示す。
被覆層14には耐久性接着剤層13が設けられており、耐侯性フィルム12と同様に過酷な環境でも剥がれることがない材質が選ばれる。被覆層に使用される耐久性接着剤層13の機能としては、他の接着層と異なり最外部の被覆層に接しているため、(1)被覆層を通して透過してくる紫外線等に対しての耐光性(2)熱・湿度等による耐環境性、などの特性がより優れることが好ましい。耐光性・耐環境性の高い接着剤としてはアクリル系やシリコーン系接着剤を使用するのが好ましい。耐久性接着剤層13には更にUV吸収剤 、ラジカル吸収剤等の添加剤が加えられていても良い。
本発明に使用される被覆層は、JIS K7219(1998)A法に定める屋外暴露テストにおいて5年後の被着体との接着強度が、初期接着強度に比較して70%以上であり、5年間以上表面の使用上問題となる色調・ヒビ割れ等の変化は見られない事が好ましい。このような条件を満足することにより、屋外での使用の際に直射日光・風雨に長期間にわたり晒されたりする劣悪な環境に余裕を持って耐え、また工場・倉庫等の高温・低温・高湿等の過酷な環境で長期間保存・使用されることにもまた余裕を持って耐える。
一般的にフィルムと接着剤層より構成されるこのような被覆層では温度・湿度等の環境変化で収縮・膨張を繰り返して、接着剤層に応力がかかり、徐々に接着剤と被着体とに部分的な剥離が生じ、最終的に全体が剥がれてしまう恐れがある。本発明で使用される被覆層は、上記のような応力を緩和するためJIS Z0237(1991年)の規定により速度500mm/分の速度で引っ張った場合の伸び率100%以上であることが好ましい。被覆層の厚さは応力の絶対値を少なくするため、500μm程度より薄くするのが好ましく、より好ましくは150μm以下である。また被覆層の厚さがあまり薄く20μm以下であると耐環境特性が悪くなる。被覆層の5年後の伸び率は初期の80%以上であることが好ましい。被覆層に使用される高分子の構造で被覆層の可撓性が大きく変わる。例えば、高分子鎖中に剛直性の分子構造が含まれたり、結晶部分が多くなる分子構造だったり、高分子間で架橋する構造だったりする場合は特に剛直になり易く、厚さが500μm以上であると可撓性が少なくなり好ましくない。逆に以上のように150μm以下であれば、十分な可撓性が得られ易いので好ましい。
また、この被覆層には、名称、シリアル番号、配送先等必要情報を表示する場合は、記録機器を使用してプリントすることができる。記録機器としては、例えばインクジェット方式、インクリボン方式、熱転写方式、電子写真方式、レーザー刻印機等が挙げられる。表面に情報を記録した場合はその情報の耐久性を向上させるために被覆層14の表面に更にオーバーラミするのが好ましい。
〔耐水バリア層〕
本発明の特徴の1つである耐水バリア層に要求される特性は、水及び水中の溶存ガスの透過が著しく低いことである。具体的には、この耐水バリア層はJIS K 7126の水蒸気分子の透過度が30g/m・24h・atm以下、酸素分子の透過度が10cc/m・24h・atm以下であることがより好ましい。また単に耐水バリア性や気体の透過性のみを考えると、菓子袋やカレーのレトルト袋に使用されているアルミ蒸着膜やアルミ箔などの金属膜等の使用が考えられる。しかし、金属を耐水バリア層として使用すると、電波が遮蔽され通信性能の低下や最悪の場合、通信不能状態となり、これらの膜を使用することは非常に困難である。
そこで、このような通信特性に悪影響を与えずかつ上記のような耐水バリア性等を満足し得る耐水バリア層について探求した。その詳細を以下に記述する。
耐水バリア層は、(1)少なくとも一つの特定の合成樹脂膜による層、(2)少なくとも1層の無機材料膜と合成樹脂膜を積層した構成のものが本発明において好ましく使用できる。耐水バリア層は厚いほど耐水バリア性が高くなるが、可撓性が少なくなる。可撓性があって耐水バリア性を良好にするには、後述するようなPVDCの様に分子構造そのものに耐水バリア性があるものや、元々耐水バリア性の高い金属やセラミックなどの材料を極薄く可撓性の材料に設ける方法がある。
上記(1)の耐水バリア層では、少なくとも一つの特定の合成樹脂膜に使用される材料としては、ポリ塩化ビニリデン系(PVDC)、ナイロン系、ポリアクリロニトリル系樹脂がある。これらの樹脂で構成された所謂耐水バリア性を備えた合成樹脂膜が少なくとも一つあれば上記のような性能を確保できるわけである。これらの膜は10から100μm厚程度に作成される。
普通はこれらの樹脂で構成されたフィルムを単独で取り扱うのは強度が不足したり等の原因で後工程の接着等の際に扱いにくいので基材となるフィルムに以上の耐水バリア性の高い材料を膜として積層させた構成となっている。基材として使用されるフィルムには、二軸延伸ポリプロピレン、二軸延伸ナイロン、無延伸ナイロン、PET、セロハン、ビニロン等が使用される。これらの基材フィルムは10から数百μm厚のものが使用される。積層方法としてはI)共押し出し法、II)ラミネート法と、III)塗工法が挙げられる。
I)共押し出し法
2台以上の押し出し機から種類の異なる樹脂を溶融・吐出し、溶融状態で貼り合わせてフィルムとする方法である。実際にはPVDC、ナイロン等の耐水バリア性の有る樹脂とポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を貼り合わして、耐水バリア層とする場合が多い。
II)ラミネート法
基材フィルムとPVDC、ナイロン等の耐水バリア性のあるフィルムを貼り合わせる方法であり、ドライラミネーション、ホットメルトラミネーション、ヒートラミネーションなどがある。
III)塗工法
基材フィルムにPVDCなどのバリア性のある樹脂を溶液状態あるいは熱溶融状態で塗工する方法である。
上記(2)の耐水バリア層は、(1)に挙げたような材質、厚さの基材となるフィルムに少なくとも1層の無機材料膜を積層することにより、少なくとも1層の無機材料膜を有する膜として得られる。この無機材料膜を積層する方法としては蒸着法やゾル・ゲルコーティング法がとられる。このように無機材料膜を積層することにより一種の表面改質がなされる。代表的な例として蒸着法について以下に説明する。
蒸着法によって作製された耐水バリア層の一例を図6に示した。図6(a),(b),(c)はそれぞれ耐水バリア層の一例を示す断面図である。図6(a)に示す様に耐水バリア層1は、基材19に透明なセラミック系の無機材料膜17を蒸着により設けて作製される。この蒸着はいわゆるスパッタリング等を含むPVD(物理蒸着)およびCVD(化学蒸着)の両方を含むものである。ここで得られるセラミック系の無機材料膜17に使用される材質は、ダイヤモンドライクカーボン、アルミナ、シリカ、アルミナとシリカの混合物等であり、基材にアルミ蒸着したフィルムと同程度のバリア性が得られる。無機材料膜17は、通常0.01μmから1μmの厚さで設けられる。無機材料膜17は薄く、物理的な強度が低い。そのため、無機材料膜17面の保護と接着力を改善するために(1)の例のようにヒートシール層18を図6(a)に示したように設ける。また、ヒートシール層を利用して無機材料膜を2枚設けることもできる。この例が(2)であり、図6(b)に示すように2枚の耐水バリア層をヒートシール層18を挟んで向かい合わせに貼り合わせる、また(3)の例としては図6(c)に示したように接着剤層20にて2枚の無機材料膜17を貼り合せることによって無機材料膜が表面に露出しないようにする。これで無機材料膜17の表面保護と外側に出た基材19による接着性の改善を両立させることが可能で好ましい。これらのヒートシール層や接着剤層の厚みは10から数百μmであり、より好ましくは20から100μmであり可撓性も得られて扱いやすい。ヒートシール層の材質はポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル、アイオノマー等であり、接着剤層に使用される接着剤は後述の[接着層]と同様である。
本発明で使用されるICラベルは、使用される環境が水中であることを想定している。そのためICラベル内に水が進入し電気回路がショートして通信出来なくなったり、水中使用している間に水に含有している気体分子がICタグ内に入り、大気中に被着物品が回収され常圧に戻った際に膨張してICタグに悪影響を起こすことが考えられる。このような現象の発生を未然に防止するため、ICラベルの構成材料の一つであるインレットシートの上面側層群の中に、JIS K 7126(1987年)の水蒸気の透過度が30g/m・24h・atm以下、酸素分子の透過度が10cc/m・24h・atm以下である耐水バリア層を設けることが好ましい。この値より水蒸気分子の透過度が高いと水深50mを越える場合、ICラベルに浸水し、短絡や腐食による通信不良になりやすく好ましくない。またこの値より酸素分子の透過度が高いと水深50mを越える場合、溶存ガスが進入し易く水面上に出て常圧に戻った場合タグ内に気泡が発生し、層間隔離、水ぶくれなど耐久性の低下に繋がりやすく好ましくない。更に水蒸気の透過度が5g/m・24h・atm以下、酸素分子の透過度が5cc/m・24h・atm以下である耐水バリア層を使用することがより深い水深での使用等の場合により好ましい。
このような低透過性の耐水バリア層を得るためには、図6(b),(c)に示したように無機材料膜を2枚以上重ねて使用することも可能である。
また、より過酷な条件や長期にわたる使用を考えると、本耐水バリア層と同等の第2の耐水バリア層をICチップ実装体基本部分の下面を覆う固定部とICチップ実装体基本部分の下面間に有することがより好ましい。このような構成にすることでより優れた耐水性能を発揮することができる。このような構成の一例を図7に示した。図7は本発明のICラベルの別の一実施例の断面図である。図7中図2と同一符号で示す部材は説明を省略する。第1の耐水バリア層1a及び第2の耐水バリア層1bが使用される。この二つの耐水バリア層は同一のものが使用されても良いし、類似したものが使用されても良い。図に示すように第2の耐水バリア層1bが使用される場合、第2の耐水バリア層1bは固定部10とインレット15の間に位置する。第2の耐水バリア層1bは固定部10を全面的に覆うように固定部10と同じ面積形状が好ましい。このとき固定部10は後述するように接着機能を有するため、固定部10と第2の耐水バリア層1b間には特に接着層を必要としない。第2の耐水バリア層1bとインレット15の下面及び応力緩和接着層16とを接着するための接着層を挿入しても良い。もっとも応力緩和接着層16自体は接着機能を有するため、この接着層は必ずしも必要ではない。接着層をどのような接着剤から構成するかについては後述の[接着層]の欄に説明してあるとおりである。
尚、固定部10と被着物の間に本第2の耐水バリア層1bを位置させることも考えられるが、被着物に対してより良い耐久性を持って本ICラベルを固定させるために本固定部10を使用しているので、第2の耐水バリア層1bは本図7に示すように固定部10とインレット15の間に位置することが好ましい。
また、この上面側層群21の中の構成要素としての耐水バリア層1、1aの該上面側層群の中での位置については、一番表面側、すなわち外側に水密な被覆層14を配置するという条件さえ満足できればよい。すなわち、本耐水バリア層と応力緩和接着層の位置関係についてはいずれの層がICチップ実装体基本部分の側に配置されても良い。
前記図7に示した例の変形例として図8に第1の耐水バリア層1aが応力緩和接着層16の内側、すなわちインレット15と接する側に位置する例を示した。図8は本発明のICラベルのまた別の一実施例の断面図である。この例では第2の耐水バリア層1bも固定部10とインレット15の間に位置するように配置されている。このような例では第1及び第2の耐水バリア層のそれぞれのヒートシール層18(図6(a)参照)が互いに対向するように配置することが好ましい。そのように対向させてヒートシール層同士を加熱接合することにより、被覆層余剰部分C部分において第1および第2の耐水バリア層どうしが強固に接合するので非常に好ましい。結局、この場合インレット15が周囲を耐水バリア層の主機能を果たす無機材料膜等で覆われつつ、かつヒートシール層によっても周囲を覆われることになるからである。
〔応力緩和接着層〕
図2に示した例では、インレット15と耐水バリア層1を接着する接着剤層として応力緩和接着層16を使用している。また図8に示した例では水密な被覆層14と耐水バリア層1aとを接着する接着剤層として応力緩和接着層16を使用している。本発明のICラベルは普通保管されている空気中から実際に使用される水中数十mにかけて大きく変動する圧力の変化を何回も受ける。この応力緩和接着層はインレット15等にこのような圧力変化が直接加わらないように圧力の変動に起因する応力を吸収する作用を奏する。
応力緩和接着剤層の厚さは、厚いほど応力緩和能力が高くなるが、あまり厚いと可撓性が少なくなるので、0.2mm以上3mm未満が好ましい。
〔接着層〕
接着層3a,3bはインレット支持体4と非導電性透磁性層5や、非導電性透磁性層5と導電層9、を接着する機能をもつ層である。接着層に使用される接着剤樹脂は、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂の接着剤として使用されるものの他に、エポキシ樹脂、などの熱硬化型樹脂、ポリエステル、ABS、アクリル、ポリウレタン等のドライラミネート用接着剤や、ホットメルト樹脂で且つ熱硬化型樹脂、吸湿硬化型樹脂、及び線硬化樹脂が好ましい。接着層は場合によってはウェットラミネート用接着剤で各フィルムを接着させることも可能である。ここで使用する接着層の厚さは、可撓性を考慮すると100μm以下が好ましく、更に30μm以下がより好ましい。5μm以下の接着層であると可撓性は良いが接着力が弱い場合が有るので注意が必要である。また100μmより厚い場合、ICラベルの厚さが厚くなり、又コストも高くなるので好ましくない。接着層3aに使用される接着剤は他の接着層、例えば、図8に示したような状態において、第2の耐水バリア層1bとインレット15の下面とを接着するための接着層に使用しても良い。
〔固定部〕
本発明のICラベルを被着体に強固に接着する作用を有するのが水密な固定部10である。この水密ということは雨等の水滴や水の噴流を受けても水が通過しないような性質を有することを意味するほか、固定部に使用されている接着剤が水によって分解されにくいUV(紫外線)硬化樹脂やEB(電子線)硬化樹脂等を利用した無溶剤系、溶剤系、エマルジョン系のものであることを意味する。水密な固定部10は、(1)IC実装体基本部分2を物品へ強力に貼り付け長期間保持する機能、(2)IC実装体基本部分2を外部の過酷な環境から守るため、被覆層14と接合して周辺部分で封止し、IC実装体基本部分2の端面を含むいずれの表面も外部に露出させない機能、の二つの機能を有することを特徴としている。
更にこれらの特性に加えて固定部の引っ張り破断強度が30N/cm以上であることが好ましい。これは本発明のICラベルが被着体に貼り付けられた場合、物品同士のこすりによる揃断応力によってICラベルが被着体から容易に剥がれ・引き千切られないようにするためである。
固定部10及び被覆層14はIC実装体基本部分2の全面を被った以上に周辺部に余剰部分を設けている。この余剰部分の被覆層14を固定部10側に凹ましてIC実装体基本部分2を封止した形状とすることで、周辺部分Aが中央部分よりも薄く、中央部分に向かってBの部分が滑らかに厚さが増えているため、ICラベルの端が引っかかりにくく剥がれにくい効果があり好ましい。
上記の固定部に加わる表裏に加わる環境変化に伴う温度変化等に因る応力の差の緩和については、固定部の厚さ方向の中でその応力が徐々に緩和されるものと推定されるので、固定部はある程度の厚さがある事が好ましいと考えられる。この点から固定部の厚さが0.1mm以上で上限が5mm未満であることが好ましく、更には同部の厚さが0.2mm以上で上限が3mm未満であることがより好ましい。すなわち、0.1mmより薄いと応力の緩和が十分でなくなるおそれがあり、あまり厚いとICラベルが引っ掛かり易くなるので、上限が数mmまでであることが好ましいというこである。また十分な可撓性を確保する上でも固定部の厚さは薄いほうが好ましいが、5mm程度でも下記のような発泡性基材を使用すれば相当の可撓性が確保できる。
このような固定部10には、(1)両面に接着剤層を設けた非接着性発泡基材または(2)接着性発泡基材が好ましい。又、固定部10は被覆層4と同様に、温度・湿度等の環境変化で収縮・膨張を繰り返して、固定部10に応力がかかるので、応力を緩和し経時変化で脱離することがない様に、密度1以下で、伸び率20%以上、引っ張り破断強度が30N/cm以上であることが好ましい。伸び率及び引っ張り破断強度の測定方法は、JIS Z0237(1999年)の規定により25mm巾に切った固定部サンプルを300mm/分にて引っ張った時の伸び率及び破断強度を求める。
上記(1)は基材として使用されるフィルム等に何らかの手段で泡やボイドを形成したもので、それ自体は所謂接着性を持たないものである。例としてはポリオレフィン(例えばポリエチレン、ポリプロピレンなど)、ポリ塩化ビニル(例えば軟質ポリ塩化ビニル、硬質ポリ塩化ビニルなど)、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート(PET−Gとして商品化されている)など)、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハン、アクリルなどの樹脂に発泡剤を配合し発泡せしめた発泡フィルム、該樹脂に無機顔料、有機顔料等を配合し延伸によりボイドを形成した多孔質フィルムなどのフィルム類。紙基材上に発泡ウレタン樹脂を含む水溶液を塗布、または、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、アクリロニトリル系のマイクロカプセルを印刷または捺染し、熱処理することにより発泡させたり、金属ロールと金属ロールによって形成されるニップ部に通して紙の紙層部を発泡させた発泡紙等の紙類。あるいは合成紙類や不織布類等が例示できる。
発泡体の表面には接着剤層が設けられる。発泡体表面には無数のボイドが存在しているものも有り、この場合は接着剤の一部をこのボイドの中に浸透させて、接着剤と発泡体との接着強度を高くすることが好ましい。接着剤に使用される接着剤としては、アクリル系やシリコーン系の、無溶剤系、溶剤系もしくはエマルジョン系の接着剤又は次に述べる同様の系の発泡性接着剤などを使用することが好ましい。
(2)の例としては、(1)の例として示したポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、セロハン、アクリルなどの樹脂に接着剤を含侵することにより接着性を付与した合成樹脂を主成分とし、化学的あるいは機械的に発泡させることにより、内部に空隙部を形成している接着テープがあげられる。例えばアクリルフォーム接着テープは、硬化前のアクリル溶液中において発泡剤を発泡させ、その後に、それを硬化させることによる化学発泡法、または、硬化前のアクリル溶液に窒素ガスのような不活性ガスを分散混入し、それを硬化されることによる機械発泡法等により製造される。具体的には住友スリーエム社からVHBという商品名で市販されている。
本発明に使用される固定部は、JIS Z0237(1991年)に規定する初期の伸び率20%以上、引っ張り破断強度が30N/cm以上であり、JIS K 7219(1998年)に規定する屋外暴露試験A法において5年後に初期の伸び率に対して80%以上の伸び率及び引っ張り破断強度を有するものである事が好ましい。このような条件を満足することにより、屋外での使用の際に直射日光・風雨に長期間にわたり晒されたりする劣悪な環境に余裕を持って耐え、また工場・倉庫等の高温・低温・高湿等の過酷な環境で長期間保存・使用されることにもまた余裕を持って耐える。
本発明のICラベルの固定部10にこのような密度1以下の発泡基材を用いることで、ICチップ実装体基本部分2に外部から加わる衝撃、振動吸収性が良好で被着体から剥がれにくい。又固定部10に伸び率20%以上のフォーム基材を使用すると変形性が良好で、多少の凹凸面でも接着する事が可能である。
(1)の発泡基材の両面に接着剤層を設けた場合、基材の発泡層と接着剤層には界面が有るが、(2)の接着性発泡基材は一体構造であるため、(1)に比較すると耐久性が一層高いと考えられる。もちろん(2)の方が、ICラベルを作製する際に、他の構成層のインレット15や被覆層14と貼り合わせるために別の接着剤層を用いる必要がないという理由によりより好ましい。
固定部10を覆う剥離層11の基材としては、シリコーン等の剥離処理を施したフィルムあるいは紙が使用可能である。
〔貼り合わせ〕
ICラベルとして組み上げるためには上記ICチップ実装体基本部分2や各種構成材料を貼り合わせる。
具体的にはバラバラにした個々のICチップ実装体基本部分2を上面側層群21と固定部10の間に貼り込む。
各構成材料の貼り合わせは、シート状の材料同士でも良いし、ロールで供給される材料同士でも貼り合わせることが出きる。
接着剤又は接着剤を予め設けられた各層材料を使用する場合、離型紙を剥がしてゴムのニップロール等で空気が入らないように貼り合わせる。この場合注意するのは、インレット15にチップが実装されているので必要以上に圧力を加えないことである。各種材料を貼り合わせるので、数回の工程が必用である。
ホットメルト接着剤を使用する場合、固体の接着剤シートを各材料間に挟み、ホットプレスで一度に接着することが可能である。この方法の場合、材料の耐熱性について注意して材料を選択することが必要になる。
各材料に接着剤を塗布しながら貼り合わせることも可能である。接着剤で貼り合わせる方法と似ているが、接着剤の硬化の為に熱をある程度加える場合もある。接着材を用いる方法に比較して層間の接着強度を向上させることや、インレット15の厚さむらを軽減できるが、工程が複雑になり、歩留まりが低下し易い。またこれらの方法を適宜組み合わせて貼り合わせることもできる。
〔打ち抜き〕
成型されたシートから一枚づつラベル化するには電動、空圧、油圧プレスに取り付けたトムソン刃、雄雌刃で1枚ずつのラベル形状に切断することができる。
〔貼り付け〕
このようにして作成した本発明のICラベルは剥離層11を剥がして、固定部10を被着体に重ね合わせて接着して使用する。本発明のICラベルは可撓性の有るそれぞれの上面側層群、IC実装体基本部分、固定部からなり、従って全体にも可撓性があり曲面や凹凸の有る面でも追従して接着することが出来る。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、勿論本発明はこれによって限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例1を先に説明した図1を用いて説明する。図1に示すように、エッチング法によりPET基材上にアルミ箔製のループアンテナを含む回路パターン(図示省略)を設けたインレット用支持体4(厚み50μm)に、さらにスルーホール部(図示省略)を設け回路基板とし、回路基板の電気的接続用端子上にフィルム状のACF(図示省略)を仮貼り付けし、その上にフェースダウン方式によりベアICチップ6を順次仮置きした後、ACF層を硬化させた構成のインレット15を使用した。このインレット15はISO15693準拠のインレット(商品名:TagIT HFI mini、テキサスインスツルメント社製)であった。
次に、上記操作にて得られたインレット15のチップ部分をエポキシ樹脂7(A1004 長瀬チバ社製)と金属板8(SUS304 100μm厚、3mmφ)で被い、100℃×30分加熱してチップ補強を行った。接着層3a,3bが設けられた非導電性透磁性層5となる塩素化ポリエチレンに磁性金属として珪素鋼粉末を練んで製造された磁性シート(商品名:ノイズ対策シートPE72 FDK社製、非導電性透磁性層部厚み250μm、体積抵抗値10Ω・m、付属各接着剤層3b,3c厚み45μm)は、インレット15のICチップ補強部分の当たる位置に3.2mmφの開穴部を開けた。インレット15のICチップ部分が上記非導電性透磁性層5の開穴部の部分に来るように接着剤層3bを介して貼り合わせた。次ぎに導電性層9となるアルミニウム箔(東洋アルミ社製、アルミニウム部厚み30μm)を接着層3aを介して非導電性透磁性層に貼り合わせ、図1に示したICチップ実装体基本部分2とした。
次に、耐水バリア層1(PVDC単体フィルム、商品名:HBケイフレックス、厚さ15μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が1.0g/m・24h・atm、酸素透過度が1cc/m・24h・atm、呉羽化学社製)の片面に被覆層14 (商品名:スコッチカル、厚さ85μm、住友スリーエム製)、反対面に応力緩和接着層16(商品名:VHB構造用接合テープY−4930、厚さ640μm、住友スリーエム社製)を貼り合わせ上面側層群21とした。上記のようにして得られたICチップ実装体基本部分2を上面側層群21と固定部10(商品名:VHB構造用接合テープY−4930、厚さ640μm、住友スリーエム製)との間にICチップ実装体基本部分2の端面が露出しないように図2に示した様に挟み込み、トムソン刃で30mm×54mmのサイズに打ち抜き、本発明の可撓性の有るICラベルを得た。
本実施例で使用した被覆層14は塩化ビニル系のフィルムにアクリル系の耐久性接着剤層13を設けたものであった。この被覆層は、JIS Z0237(1991年)に規定する初期の伸び率が100%以上、厚さが20μm以上150μm以下であり、JIS K 7219(1998年)に規定する屋外暴露試験A法において5年後に初期の伸び率に対して80%以上の伸び率を有するものであるという性能を満足するものであった。固定部10の使用した接合テープは先に説明したようにアクリル系の接着性発泡基材であった。この接合テープもJIS Z0237(1991年)に規定する初期の伸び率20%以上、引っ張り破断強度が30N/cm以上であり、JIS K 7219(1998年)に規定する屋外暴露試験A法において5年後に初期の伸び率に対して80%以上の伸び率及び引っ張り破断強度を有するものであるという性能を満足するものであった。
(実施例2)
上面側層群21の耐水バリア層1に透明蒸着フィルム(シリカ蒸着フィルム、商品名:テックバリアH、厚さ12μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が0.3g/m・24h・atm、酸素透過度が0.5cc/m・24h・atm、三菱化学興人バックス社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(実施例3)
上面側層群21の耐水バリア層1に透明蒸着フィルム(シリカ+アルミナ2元蒸着フィルム、商品名:エコシアール、厚さ12μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が1g/m・24h・atm、酸素透過度が1cc/m・24h・atm、東洋紡社製)を2枚使用して、図6(b)に示したように、接着剤層18となる低密度ポリエチレン層80μmによって貼り合わせたものを使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(実施例4)
上面側層群21の耐水バリア層1に透明蒸着フィルム(アルミナ蒸着フィルム、商品名:ファインバリア−AT、厚さ12μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が1g/m・24h・atm、酸素透過度が1.5cc/m・24h・atm、麗光社製)、固定部10に両面接着テープ(商品名:No.500、厚さ170μm、日東電工社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(実施例5)
本実施例5を先に説明した図8を用いて説明する。実施例1で使用したICチップ実装体基本部分と同じ構成のICチップ実装体基本部分2の図中上面及び下面をそれぞれ、耐水バリア層1aおよび1bによって被覆している。各々の耐水バリア層としては、透明蒸着フィルム(シリカ蒸着フィルム、商品名:テックバリアH、厚さ12μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が0.3g/m・24h・atm、酸素透過度が0.5cc/m・24h・atm、三菱化学興人バックス社製)のシリカ蒸着面側に40μm厚のポリエチレン層を設けた複合フィルムを使用した。この耐水バリア層の単独の構成としては先に説明した図6(a)に示したものと同じである。この耐水バリア層1aおよび1bをそれぞれポリエチレン層側をICチップ実装体基本部分2に向けて対向するように覆い、両層のポリエチレン層同士が対向する部分を減圧下で熱圧着した。図中上側の耐水バリア層1aに応力緩和接着層16として接合テープ(商品名:VHB構造用接合テープY−4930、厚さ640μm、住友スリーエム社製)を貼り、その上から更に被覆層14としてフィルム(商品名:スコッチカル、厚さ85μm、住友スリーエム製)を貼り付けた。この耐水バリア層1a、応力緩和接着層16、被覆層14によって上面側層群が構成されているわけである。
図中下側の耐水バリア層1bに固定部10として両面接着テープ(商品名:No.500、厚さ170μm、日東電工社製)を貼り付けてICラベルを得た。
(比較例1)
上面側層群21の被覆層14として白色PETフイルム(商品名:U2、厚さ75μm、帝人社製)に接着剤(サイビノールAT−560/強粘着アクリルエマルジョン、サイデン化学社製)を20μm厚に塗工したものを使用し、耐水バリア層1として透明蒸着フィルム(シリカ蒸着フィルム、商品名:テックバリアH、厚さ12μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が0.3g/m・24h・atm、酸素透過度が0.5cc/m・24h・atm、三菱化学興人バックス社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(比較例2)
上面側層群21から耐水バリア層1を除いた以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(比較例3)
上面側層群21の耐水バリア層1にレトルト食品包装に使用される中間製品の9μm厚のアルミ箔と12μm厚のPETフィルムを張り合わせた層(厚さ25μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が≒0g/m・24h・atm、酸素透過度が≒0cc/m・24h・atm、東洋アルミ社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(比較例4)
上面側層群21の耐水バリア層1にスナック菓子包装に使用されるアルミ蒸着PETフィルム(商品名:VM−PET 1200(#12)、厚さ12μm、JIS K 7126の水蒸気透過度が0.7g/m・24h・atm、酸素透過度が0.7cc/m・24h・atm、東洋メタライジング社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(比較例5)
上面側層群21の応力緩和接着剤層16と、固定部10に両面接着テープ(商品名:No.500、厚さ170μm、日東電工社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(比較例6)
上面側層群21の応力緩和接着剤層16に両面接着テープ(商品名:No.500、厚さ170μm、日東電工社製)を使用した以外は実施例1と同様にしてICラベルを得た。
(評価)
上記実施例、比較例として作成したサンプルについて以下の方法で測定を行なった。
1.耐久性テスト
ICラベルを金属板(1mm厚のSUS304板)上に貼り付けた状態において以下の各種耐久性テストを行い、試験後に2.ICラベルの評価を行った。
[耐候性テスト]
JIS K7219(1998年)に従い傾き25°で1年間屋外暴露を行った。
[耐水圧テスト]
高圧容器中に海水を入れ、その中にタグを水没させ、0.5MPa(ゲージ圧)に加圧し30分後に取り出し、大気雰囲気に30分間放置することを500回繰り返した。
[耐光性テスト]
JISB7753(1993年)に規定するサンシャインカーボンアーク灯式耐光性及び耐候性試験機を使用して5000時間照射試験を行った。
2. ICラベルの評価
a)通信の可否の測定
通信の可否は微弱型リーダライタ(RI−K10−001A、テキサスインスツルメント社製)をパーソナルコンピュータに接続した評価装置によって行なった。それぞれの状態において、リーダライタのアンテナとラベルの距離を10mm以上にて読み取りできたものを○、0から10mmまでの距離範囲において読み取り出きたものを△、全く読み取りできなかったものを×とした。
b)外観
目視でテスト前後の外観の差異を官能評価した。具体的には目視により観察し、はがれ、しわ、ふくれ等の外観上の不具合が無いことを確認した。
以上の測定結果を以下の表1にまとめて示した。
Figure 2005037895
表1中の左端欄の通信テストは耐久性テストの前におこなったものである。
比較例1は耐光性テストにおいて表面のPETがひび割れ、雨水がしみ込み又は短絡の為か通信が出来なかった。
比較例2は耐水圧テストにおいて、被覆層を通して内部に水と溶存ガスが入り込み水脹れが発生した。又短絡の為か通信が出来なかった。
比較例3は通信が出来ないため各種耐久テストは取りやめた。
比較例4は通常のタグに比較して通信距離が短かかった。
比較例5は耐侯性テストにおいて、被着体の金属板と固定部端面の間でエッジリフトを起こした。将来的には自然に剥がれ落ちる、あるいは物に当たって剥離する可能性が高い。
比較例6は耐侯性テストにおいて、耐水バリア層1と応力緩和接着層の層間剥離を生じた。将来水がこの部分から入り込み、通信不良が発生する可能性が高い。
本発明のICラベルに使用するIC実装体基本部分の一例の断面図 本発明のICラベルの一実施例の断面図 考えられるICラベルの別の一例の断面図 考えられるICラベルの別の一例の断面図 本発明のICラベルの別の一実施例の平面図 図6(a),(b),(c)はそれぞれ耐水バリア層の一例を示す断面図 本発明のICラベルの別の一実施例の断面図 本発明のICラベルのまた別の一実施例の断面図
符号の説明
1,1a,1b 耐水バリア層
2 ICチップ実装体基本部分
6 IC
10 固定部
14 被覆層
16 応力緩和接着層

Claims (7)

  1. 少なくともICを接続したアンテナ回路を持つ、上面と下面を有する扁平状のICチップ実装体基本部分と、該ICチップ実装体基本部分の上面全面を少なくとも覆って余剰部分を有する応力緩和接着層、耐水バリア層および水密な被覆層を水密な被覆層を少なくとも表面側に位置するように有する上面側層群と、該ICチップ実装体基本部分の下面全面を少なくとも覆って固定部余剰部分を有する水密な固定部であって、該ICチップ実装体基本部分を覆う面と反対側の面に被着体への被着面を有する固定部とを有し、上面側層群余剰部分の少なくとも一部と該固定部余剰部分の少なくとも一部が該ICチップ実装体基本部分の周囲を封止するように接合し、かつ周囲部の上面側層群余剰部分が凹むことによって下側の固定部の被着体への被着面を実質的に平面としたICラベル。
  2. 前記耐水バリア層がポリ塩化ビニリデン系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂の中の少なくとも1種類の合成樹脂膜を有する層である請求項1記載のICラベル。
  3. 前記耐水バリア層が少なくとも一つの無機材料膜を有する層である請求項1記載のICラベル。
  4. 前記水密な被覆層が、塩化ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂の中の少なくとも1種類の合成樹脂膜を有する層である請求項1から3のいずれか一項に記載のICラベル。
  5. 前記水密な固定部及び応力緩和接着層が、接着性発泡基材または両面に接着剤層を有する非接着性発泡基材を有する層である請求項1から4のいずれか一項に記載のICラベル。
  6. 前記ICチップ実装体基本部分が、少なくともICを接続したアンテナ回路、透磁性材料を含む非導電性透磁性層、非導電性透磁性層の更に固定部側に位置する導電性層を備えるICチップ実装体基本部分である請求項1から5のいずれか一項に記載のICラベル。
  7. 前記固定部と前記ICチップ実装体基本部分の下面間に更に第2の耐水バリア層を有する請求項1から6のいずれか一項に記載のICラベル。
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