JP2005034852A - 半凝固金属成形体の鍛造制御方法及びその鍛造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、半凝固金属体を圧縮成形する速度制御工程と最終加圧力を加える加圧力制御工程とに分離し、速度制御工程から加圧力制御工程に連続的に切り換える工程を備え、鍛造成形中の加圧が連続するようにして製品の品質を向上した半凝固金属成形体の鍛造成形を提供する。
【解決手段】上金型と下金型とにより形成される成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する。上金型の下降により、下金型の成形キャビティ内に載置された半凝固金属成形体を圧縮成形する速度制御工程Avと、上金型が第1ストローク距離を下降したとき、下金型を上昇させて、キャビティ内で圧縮成形された半凝固金属成形体に最終成形圧力Pmaxを加える加圧力制御工程Apとを有する。速度制御工程から加圧力制御工程に移行するとき、速度制御工程の最終段階で生成された圧力より大きい圧力を発生させる切換工程Acを有する。
【選択図】 図3
【解決手段】上金型と下金型とにより形成される成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する。上金型の下降により、下金型の成形キャビティ内に載置された半凝固金属成形体を圧縮成形する速度制御工程Avと、上金型が第1ストローク距離を下降したとき、下金型を上昇させて、キャビティ内で圧縮成形された半凝固金属成形体に最終成形圧力Pmaxを加える加圧力制御工程Apとを有する。速度制御工程から加圧力制御工程に移行するとき、速度制御工程の最終段階で生成された圧力より大きい圧力を発生させる切換工程Acを有する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下の金型で形成するキャビティ内に搬入された半凝固金属成形体を鍛造成形する鍛造制御方法とその鍛造装置に関し、特に、鍛造成形において速度制御工程と加圧力制御工程とに分離することにより省エネルギー化を図り、しかも、半凝固金属成形体の鍛造成形における加圧が連続するようにして製品の品質を向上させることができる半凝固金属成形体の鍛造制御方法とその鍛造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、注目されている新しい成形技術として、チクソキャスティング法、レオキャスティング法等の半溶融金属又は半凝固金属(スラリ)による成形法がある。これらの成形法は、従来の鋳造法に比べて収縮巣や偏析が少なく、半溶融金属又は半凝固金属内の金属組織が均一であるために、成形された製品の機械的性質が優れており、しかも、金型の寿命が長いことや、成形サイクルが短いこと等によるコスト低減の利点がある。
【0003】
そこで、従来の機械撹拌法や電磁撹拌法によらずに、自動的かつ連続的に、簡便容易に、かつ、低コストで、微細かつ球状のチクソ組織を有している半凝固金属の成形体を大量に生産する半凝固成形用金属の製造装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。この製造装置の概要は、次の様である。
【0004】
この製造装置は、微細な初晶が液相中に分散した均一な温度分布を有する半溶融金属成形体を製造するものである。金属溶湯を所定の温度にして溶湯カップに給湯する溶湯給湯部と、該溶湯カップ内に供給された金属溶湯中に結晶核を発生させる核生成部と、該金属溶湯を固液共存状態の成形温度まで冷却しつつ目標成形温度範囲内に収めるように温度調整する結晶生成部と、該結晶生成部により得られた溶湯カップ内の半凝固金属を成形装置の射出スリーブに搬送し挿入するロボットを有する容器搬送部とで構成されている。
【0005】
更に、所望の固相率を有する半凝固金属を生成することができる種々の半凝固金属生成装置が提案されている。例えば、レオキャスティング鋳造が本来有する生産性を有効に利用して、鋳造ショットに合わせて連続的に半凝固金属を自動的に生成する半凝固金属生成装置が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
この装置では、溶湯金属を収容する複数の溶湯カップが回転テーブル上に載置されており、該テーブルが、鋳造ショットの速さに合わせて回転される。該テーブルの回転に合わせて、夫々の溶湯カップが段階的に移送され、給湯工程、複数の冷却工程、そして加熱工程で順次処理される。該加熱工程が終了すると、所望する固相率を有する半凝固金属が溶湯カップ内で生成されている。そこで、溶湯カップ内で生成された半凝固金属成形体が、搬出用ロボットによって、成形装置の射出スリーブに搬送され、挿入される。
【0007】
この様に、この製造装置によれば、回転テーブル上に順次供給される複数の溶湯カップが、各処理工程において順次冷却及び加熱されることにより、鋳造ショットに合わせて、半凝固金属成形体が、自動的に連続して製造される。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−211565号公報
【特許文献2】
特開2000−280064号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、例えば、自動車部品などでは、地球環境の保護の観点、或いは、省エネルギーの観点から、軽量化が期待されている。この様な中で、自動車部品の製造において、半凝固金属成形体を用いた鍛造成形が注目されている。
【0010】
この鍛造成形に用いられる半凝固金属成形体では、塊状となっている半凝固金属が持っている熱エネルギーは、成形時の溶湯金属が持っている熱エネルギーに比較して、非常に少なくなっている。そのため、鍛造後の成形品質を高めるには、半凝固金属成形体の鍛造成形において、この少ない熱エネルギーが消失する前に、成形工程を完了していなければならない。そこで、鍛造成形の最終加圧力を達成するためには、0.01秒単位の加圧制御が要求される。
【0011】
さらに、この最終加圧力は、成形品の投影面積当りで見て、例えば、100〜200MPaの高圧力となる必要がある。一般の自動車部品の成形においても、同様の高圧力が得られなければならない。これまで、この最終加圧力を得る手段として、一般的な油圧プレス装置が使用されている。
【0012】
しかし、半凝固金属成形体の鍛造成形に必要な最終加圧力に対応しようとして、この一般的な油圧プレス装置によったのでは、該装置の仕様が、高速、大加圧力のものとなる。そのため、この最終加圧力が得られる仕様をとした油圧プレス装置では、その油圧動力が、大出力のものとなり、しかも、短時間単位での制御が難しいものとなる。その結果、成形された製品の品質が不安定となるばかりでなく、エネルギー効率が低下し、コストを上昇させていた。
【0013】
そこで、本発明は、半凝固金属成形体の鍛造成形において、成形工程を、該成形体を圧縮成形する速度制御工程と最終加圧力を加える加圧力制御工程とに分離し、速度制御工程から加圧力制御工程に連続的に切り換える工程を備え、省エネルギー化を図り、しかも、半凝固金属成形体の鍛造成形における加圧が連続するようにして製品の品質を向上させることができる半凝固金属成形体の鍛造制御方法とその鍛造装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、上金型と下金型とにより形成される成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する半凝固金属成形体の鍛造制御方法において、前記上金型の下降により、前記下金型の前記成形キャビティ内に載置された前記半凝固金属成形体を圧縮成形する速度制御工程と、前記上金型が第1ストローク距離を下降したとき、前記下金型を上昇させて、前記キャビティ内で圧縮成形された前記半凝固金属成形体に最終成形圧力を加える加圧力制御工程とを備えることとした。
【0015】
そして、前記速度制御工程から前記加圧力制御工程に移行するとき、前記速度制御工程の最終段階で生成された圧力より大きい圧力を発生させる切換工程を有し、該切換工程において、前記上金型は、楔係合部材の挿入に応じて第2ストローク距離を下降され、前記半凝固金属成形体に対して加圧するようにし、さらに、前記加圧力制御工程において、前記上金型が前記第2ストローク距離を下降したとき、前記下金型を第3ストローク距離だけ上昇させることにより、前記最終成形圧力が前記半凝固金属成形体に生成されることとした。
【0016】
また、本発明による、上下に昇降可能な成形キャビティを有する上金型と、該上金型の下面に対向して成形キャビティを有する下金型とにより、該成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する半凝固金属成形体の鍛造装置においては、前記上金型を下面に取付けられた可動盤を昇降させる第1駆動装置と、前記第1駆動装置が取付けられたトッププラテンを昇降するダイハイト調整装置と、前記上金型の下面に対向する位置に前記下金型が載置された台盤を昇降する第2駆動装置とを備えた。
【0017】
そして、前記第1駆動装置は、前記半凝固金属成形体の高さ方向で圧縮成形する速度制御工程において長ストローク距離で作動する第1流体シリンダを有し、前記第2駆動装置は、前記成形キャビティ内で圧縮成形された前記半凝固金属成形体に最終成形圧力を加える加圧力制御工程において短ストローク距離で作動する第2流体シリンダを有し、前記第2流体シリンダの径を、前記第1流体シリンダの径より大きくした。
【0018】
さらに、前記可動盤の上面に載置され、頭部に所定角を有する斜面が形成された楔受ブロックと、前記トッププラテンに取付けられた第3流体シリンダの作動により該トッププラテンの下面に沿って移動し、該下面と前記斜面との間に挿入される楔体とが備えられ、前記楔体の上下面が前記トッププラテンの下面と前記斜面とに摺動して圧入されたとき、前記上金型が該楔体の圧入ストロークに対応したストローク距離で下降されるようにした。
【0019】
そして、前記楔受ブロックは、前記頭部において、互いに対向した位置に少なくとも一対の前記斜面を有し、前記楔体は、前記一対の斜面に対応した2個の楔体を含み、該楔体が互いに反対方向に同期して移動されるようにした。
【0020】
また、前記トッププラテンは、前記第1流体シリンダの作動により前記可動盤が上昇したとき、該可動盤の上昇に伴う前記楔受ブロックの上昇に対応して該楔受ブロックを収容する開口部分を有することとした。
【0021】
前記楔体は、前記第3流体シリンダの動作により、前記楔受ブロックが上昇しているとき、初期位置に退避され、該楔受ブロックが下降した状態のとき、該初期位置から所定ストローク距離だけ移動されるようにした。
【0022】
また、本発明による鍛造装置において、前記半凝固金属成形体を前記成形キャビティ内で鍛造成形する制御を実行する制御装置が備えられ、該制御装置は、前記第3流体シリンダを作動して前記楔体を初期位置から基準ストローク距離だけ移動させ、該楔体を前記トッププラテンの下面と前記斜面とに接触させた状態で、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記上金型と前記下金型を接触させたときに、前記トッププラテンの下面から前記第2流体シリンダを内蔵する基台の上面までの距離を求め、該距離に該第2流体シリンダによる最終成形圧力が生成される第2ストローク距離を加算して基準高さを演算することとした。
【0023】
そして、前記制御装置は、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記トッププラテンの下面の位置を前記基準高さに維持し、前記第3流体シリンダを動作させて前記楔体を前記初期位置に移動させた後、前記半凝固金属成形体の前記成形キャビティ内への搬入用の高さと、前記半凝固金属成形体の圧縮成形に係る高さと、前記第2ストローク距離と、前記第3流体シリンダの動作による前記楔体の圧入によって前記上金型が下降する第3ストローク距離とを加算した距離だけ前記第1流体シリンダを動作させて前記可動盤を上昇させ、当該半凝固金属成形体の鍛造開始準備の完了とすることとした。
【0024】
また、前記制御装置は、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記トッププラテンを前記基準高さに維持した後、前記第1流体シリンダを動作させて前記可動盤を前記搬入用高さと前記圧縮成形高さだけ前記可動盤を下降させ、下降させた前記上金型によって当該半凝固金属成形体に対する速度制御工程を実行し、前記上金型と前記下金型の距離が、前記第2ストローク距離と前記第3ストローク距離とを加算した距離となり、前記第1流体シリンダの作動圧が設定値になったとき、前記第3流体シリンダを作動させて、前記楔体を圧入し前記上金型を前記第3ストローク距離だけ下降させる切換工程を実行し、前記上金型と前記下金型の距離が前記第2ストローク距離になったとき、前記第2流体シリンダを作動させて前記下金型を前記最終成形圧力が得られるまで上昇させる加圧力制御工程を実行するようにした。
【0025】
さらに、前記制御装置は、当該半凝固金属成形体に係る鍛造成形を完了したとき、前記楔体に係る圧入位置を計測し、該圧入位置と前記基準ストローク距離とに基づいて、前記基準高さを調整し、該基準高さを次半凝固金属成形体に係る鍛造成形開始時の前記トッププラテンの前記基台に対する高さとすることとした。
【0026】
また、前記楔体は、前記トッププラテンの下面と平行な楔上面と、前記楔受ブロックの前記斜面と平行な楔下面とを有し、該斜面の前記所定角をθ、前記下面と前記楔上面と、及び、前記斜面と前記楔下面との摩擦係数をμとしたとき、少なくとも、(tanθ−2μ)≦0の関係が成立するものであることとした。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による半凝固金属成形体の鍛造制御方法及びその鍛造装置の実施形態を説明する前に、先ず、半凝固金属成形体の鍛造成形において要求される加圧速度、加圧力などに関する制御条件について、図を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、半凝固金属成形体の鍛造成形における時間に対する加圧速さと圧力変化を示している。同図において、横軸は、成形時間(秒)を、左側の縦軸Vは、加圧速度(m/秒)を、そして、右側の縦軸Pは、加圧力(MPa)をそれぞれ表している。図中、細い実線又は破線は、加圧速度Vの曲線を、太い実線又は破線は、加圧力Pに対応している。
【0029】
図1の例では、上金型と下金型とで形成されるキャビティ内に挿入された半凝固金属成形体を鍛造成形する場合が示されている。時間0秒において、上金型のキャビティ面が挿入されている半凝固金属成形体の上端部に接触したことを表しており、その後、上金型が下降して成形が行われ、時間0.8秒で、当該半凝固金属成形体の鍛造成形が完了したことを表している。
【0030】
半凝固金属成形体を用いて、製品を鍛造成形する場合に、高品質のものを得るには、元々、半凝固金属成形体が有する熱エネルギーが少ないことに起因して、短時間で、高加圧力が達成される必要であるので、上金型と下金型とで形成されるキャビティ内に、半凝固金属成形体の大部分が充填されるまでは、加圧速度を高め、そして、その大部分が充填された後において、更に高圧力が加えられて、所定長さの時間の冷却工程では、最終加圧力Pmaxが保持されなければならない。この場合の加圧力曲線は、曲線Paを含む太い実線で示された曲線Pで表される。
【0031】
そこで、この様な加圧力曲線Pを、例えば、前述した一台の油圧プレス装置で実現することは、困難なことであるので、鍛造成形において、加圧速度を高めて、半凝固金属成形体の大部分がキャビティ内に充填されるまでを、高い加圧速度で圧縮成形する速度制御工程と、その大部分が充填された後の冷却工程である加圧力制御工程とに分離して制御することとした。この様に分離することによって、速度制御工程に対しては、上金型を下降制御する流体プレス装置として、比較的低圧でも、ストロークの長い流体シリンダを備えればよく、また、加圧力制御工程に対しては、ストロークは短くても、高圧力が得られる流体シリンダを備えればよい。一台の油圧プレス装置で加圧制御する代りに、これらの流体シリンダを備えて加圧制御すると、より短時間の制御が可能となり、製品の高品質化が実現されるとともに、省エネルギー化、そして、低コスト化が図られる。
【0032】
速度制御流体シリンダと加圧力制御流体シリンダとを駆動制御して、半凝固金属成形体を鍛造成形する場合において、図1に示される加圧力曲線Pを得るときの加圧速度の変化を説明する。図1では、上金型のキャビティの内面が、搬入された半凝固金属成形体の上端部に接触した時点を、時間0秒とし、これを基準にした経過時間で表示されている。ここで、上金型が、速度制御流体シリンダによって、一定の加圧速度1.0m/secで下降制御されると、半凝固金属成形体は、キャビティ内に圧縮変形されて、キャビティ内に閉じ込まれる。半凝固金属成形体の約90%程度がキャビティ内に閉じ込められ始めると、該成形体の変形抵抗が、急速に増大する。このときの加圧速度Vは、図示のように、0.2秒を経過すると、急速に低下し、加圧力Pは、10MPa程度に上昇している。
【0033】
加圧速度が急速に低下することは、速度制御流体シリンダの加圧能力の限界を示していることになるので、このときに、加圧力Pが、最終加圧力Pmaxに到達するように、加圧力制御流体シリンダを駆動して、キャビティ内の加圧力を上昇させる必要がある。しかし、速度制御流体シリンダの出力が、半凝固金属成形体の変形抵抗に負ける直前であるので、加圧力制御流体シリンダの駆動による加圧が、速度制御流体シリンダによる加圧速度低下のタイミングに間に合わないことがある。この場合には、加圧速度Vは、細い破線で示されるように、加圧力制御流体シリンダの加圧が開始されるまで、加圧が停止され、速度が0(図中では、V0で表示した)の切換区間Tpが生じてしまう。加圧力流体シリンダによる加圧力による加圧速度は、図中では、V2で示されている。
【0034】
この切換区間Tpの間の加圧力Pは、図中の太い破線で示されているように、速度制御流体シリンダによって、約10MPaに維持されている。切換区間Tpの最後で、加圧力制御流体シリンダによる加圧開始によって、加圧速度V2が上昇するとともに、加圧力Pも、太い破線で示される曲線Pbに沿って、最終加圧力Pmaxに向けて上昇する。
【0035】
この様な切換区間Tpが存在すること、例えば、0.01秒の間でも、加圧速度Vが0の加圧停止状態になることは、この間に、加圧力が低い状態で冷却工程が進行してしまうことを意味し、このことは、半凝固金属成形体の鍛造成形による製品の品質に重大な影響を与え、品質の悪化を招来する。そのため、切換区間Tpは、存在しないほうがよく、この区間が0となるように、速度制御工程から加圧力制御工程に切り換えられる必要があり、図1に示されるように、速度制御流体シリンダによる加圧速度Vから連続して、加圧力制御流体シリンダによる加圧速度V1となるように制御する。この様に速度制御されれば、キャビティ内の加圧力Pは、太い実線で示される曲線Paを含む加圧曲線となり、短時間で最終加圧力Pmaxが得られる。
【0036】
この短時間で最終加圧力Pmaxが得られる加圧曲線Pについて、図1では、横軸を、加圧する時間としたが、図2に、横軸を、流体シリンダの圧縮ストローク(%)として、加圧曲線Pと加圧速度Vの変化を示した。図2において、加圧速度Vが、0%から約90%の範囲、つまり、1.0m/secから約0.9m/secまでに変化する範囲では、速度制御工程を表し、約90%から100%の範囲では、加圧力制御工程を表している。速度制御工程と加圧力制御工程とは、加圧速度が一度も0にならないように加圧力Pが制御されている。
【0037】
そこで、本実施形態の半凝固金属成形体の鍛造成形において、途中で加圧が停止されること無く、速度制御工程と加圧力制御工程が、連続して短時間で切り換えられる切換工程を採用したことについて、説明する。図3は、特に、図2における圧縮ストロークSの90%から100%の範囲を、横軸だけ拡大したグラフを示している。同図のグラフにおける縦軸は、図2の場合と同様である。
【0038】
図3に示された例では、圧縮ストロークSが、約95%までの範囲にあるときを、速度制御工程域Avとし、速度制御流体シリンダによって加圧制御される。そして、圧縮ストロークSが、約95%から100%までの範囲にあるときを、加圧力制御工程域Apとしている。ここで、本実施形態による鍛造成形では、速度制御工程域Avから加圧力制御工程域Apへの移行において、切換工程域Acが設けられていることを特徴としている。
【0039】
この切換工程域Acを設けるにあたって、本実施形態の鍛造装置では、速度制御流体シリンダと加圧力制御流体シリンダの他に、所定加圧力を出力できる切換制御装置を備えた。この切換制御装置は、速度制御流体シリンダが、半凝固金属成形体の変形抵抗に負け始めたタイミングで作動し、速度制御流体シリンダの最大出力P1以上の加圧力を出力する。そして、圧縮ストロークSが、所定ストロークになったところで、つまり、切換制御装置の最大出力P2に到達したところで、加圧力制御流体シリンダを駆動させる。
【0040】
この様にして、速度制御工程域Avから加圧力制御工程域Apに移行するとき、図3に示された加圧速度Vで示されるように、切換工程域Acの部分で、加圧速度Vが、一度も0になることがなく、半凝固金属成形体は、速度制御工程域Avから連続して加圧され、加圧力制御域Apに移行された後において、最終加圧力Pmaxに到達するまで加圧される。これで、速度制御工程域から加圧力制御工程域に移行するとき、加圧停止状態になることが防止され、半凝固金属成形体の鍛造成形による製品の品質に重大な影響を与える要因を排除できるため、その品質の向上を図ることができる。
【0041】
次に、以上の様に、速度制御工程域と、切換工程域と、加圧力制御工程域とを設けた半凝固金属成形体を鍛造成形する本実施形態の鍛造装置の構成例を図4に示した。図4では、本実施形態の鍛造装置の側面を図示しており、図示の例では、金型のキャビティ内に挿入された半凝固金属成形体を上方から圧縮変形し、加圧成形する縦型鍛造装置を基本としている。
【0042】
この鍛造装置は、キャビティC1を有する上金型1と、キャビティC2を有する下金型2とを備えており、半凝固金属成形体は、キャビティC1とC2とで加圧されることによって、鍛造成形される。下金型2は、基台5上に配置された台盤4に載置されている。この台盤4は、基台5に設けられた加圧力制御油圧シリンダ14及び15によって、所定ストロークだけ上昇されるようになっており、半凝固金属成形体への最終加圧力が加えられる。
【0043】
上金型1は、タイロッド7及び8を上下に摺動する可動盤3の下面に取付けられ、可動盤3の下降に伴って、下金型2と共に半凝固金属成形体の鍛造成形を行う。タイロッド7及び8を上下に摺動し、基台5までの高さが調整されるトッププラテン6が備えられ、トッププラテン6の両端には、夫々長ストロークの速度制御油圧シリンダ10及び12が取付けられている。速度制御油圧シリンダ10及び12のシリンダロッド11及び13の先端が、可動盤3に固定され、速度制御油圧シリンダ10及び12の作動により、可動盤3がタイロッド7及び8を上下に摺動される。さらに、トッププラテン6は、ダイハイト調整装置9の駆動によって、タイロッド7及び8に沿って上下され、基台5までの所定高さに調整され保持される。
【0044】
トッププラテン6の下面には、断面が楔状に形成された一対の楔体17及び18が、楔状の薄い側を内側にして対向配置されている。一方、一対の楔体17及び18の下面と平行な斜面を有する楔受ブロック16が、可動盤3の上面に載置されている。一対の楔体17及び18は、トッププラテン6の下面に取付けられた楔体駆動油圧シリンダ19及び20によって、内側に移動される。図4に示された楔体受ブロック16の高さ方向の位置において、楔体17及び18が移動されて、楔体17及び18の夫々の下面が、楔体受ブロック16の上部に形成された斜面に係合される。この係合により、鍛造成形時に、速度制御油圧シリンダ10及び12の加圧能力を超える圧力が可動盤3に加わったとき、可動盤3が押し返されることを阻止する。
【0045】
図5に、図4に示された縦型鍛造装置の上方から見た上面図を示した。図5では、楔体駆動油圧シリンダ19及び20の取付け位置が明瞭となるように、図示の都合上、図4の楔体駆動油圧シリンダ19及び20の大きさを変更してあるため、各部の大きさは、一致していない。図5において、図4に示したのと同じ部分に対応する部分には、同じ符号を付した。
【0046】
図5において、トッププラテン6の中央部分には、円形の開口部が設けられており、速度制御油圧シリンダ10及び12の作動によって、可動盤3が上昇されたとき、この開口部が、楔体受ブロック16を収容するようになっている。ここで、この開口部は、円柱状に形成された楔体受ブロック16の形状に合わせて、円形とされているが、楔体受ブロック16が角柱状に形成されている場合には、その開口部の形状は、角形状とされてもよい。
【0047】
トッププラテン6の開口部内に、楔体受ブロック16が、この開口部に収容されているときには、一対の楔体17及び18は、図中で斜線が施されたように、楔体受ブロック16の出入に邪魔にならないように、初期位置に退避している。そして、楔体受ブロック16が、この開口部から完全に出されて、楔体駆動油圧シリンダ19及び20が作動すると、楔体17及び18は、距離Kだけ、図中で2点鎖線により示した位置に移動される。楔体17及び18が、距離Kだけ移動されたときには、楔体17及び18の下面が、楔体受ブロック16の上端部の両側に設けられた斜面に接触している。
【0048】
以上の様に、本実施形態の鍛造装置では、上金型1と下金型2とで形成されるキャビティC1及びC2内で、半凝固金属成形体を鍛造成形するとき、速度制御油圧シリンダ10及び12によって、半凝固金属成形体を圧縮変形する速度制御工程が実施され、加圧力油圧シリンダ14及び15によって、圧縮変形された半凝固金属成形体に最終加圧力を発生させる加圧力制御工程が実施される。そして、速度制御工程から加圧力制御工程に移行するとき、楔体駆動油圧シリンダ19及び20の作動による一対の楔体17及び18の移動によって、切換工程が実施される。
【0049】
次に、参考として、本実施形態の鍛造装置で鍛造成形に用いられる半凝固金属成形体の生成について、図6を参照しながら説明する。図に示された半凝固金属成形体を連続生成する製造装置は、特許文献2に開示されたものである。
【0050】
この製造装置では、溶湯金属を収容する複数の溶湯カップ23が、図示されていない回転テーブル上に載置されており、該テーブルが、鍛造ショットの速さに合わせて回転される。該テーブルの回転に合わせて、夫々の溶湯カップ23が段階的に移送される。計量工程において、溶湯金属が、溶湯容器22から所定量を計測されて給湯される。回転テーブルの回転に伴って、給湯された溶湯カップ23は、回転テーブルの回転により複数の冷却工程を経て、徐々に冷却される。そして、計測工程において、加熱処理が終了すると、所望の固相率を有する半凝固金属成形体が生成され、ここで、種々の計測が行われる。
【0051】
そこで、溶湯カップ23内で生成された半凝固金属成形体が、図示されていない搬出用ロボットによって、鍛造装置の下金型2に形成されているキャビティC2に搬送される。この様に、この製造装置によって、回転テーブル上に順次供給される複数の溶湯カップが、各処理工程において順次冷却及び加熱されることにより、鍛造ショットの速さに合わせて、当該鍛造成形に適した固相率と容積に調整された半凝固金属成形体が、自動的に連続して製造される。
【0052】
次いで、本実施形態の鍛造装置に備えられた、一対の楔体による切換制御装置によって、半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程から加圧力制御工程に移行するときの切換工程を実施できる原理について説明する。ここで、図7に、図4に示された切換制御装置を一部拡大して、切換制御装置の構成を示した。図7では、一対のうち右側に示された部分を代表的に示しており、楔体駆動油圧シリンダ19によって移動される楔体17を表している。楔体17は、その下面が楔体受ブロック16の上端部に形成された斜面に当接するまで移動されて、楔体17の上面が、トッププラテン6の下面に、そして、その下面が、楔体受ブロックの斜面に圧接された状態である。
【0053】
そこで、θを、楔体17の下面が水平面となす角度又は楔対受ブロックの斜面の勾配角とし、加圧力制御シリンダによる加圧力を、Fとし、楔体により発生する分力を、Frとする。この分力Frは、楔体を、図において右方向に戻そうとする力でもある。さらに、楔体駆動油圧シリンダ19によって楔体に発生する力を、Fcとし、楔体17の上面側接触面Mと下面側接触面Nの摩擦係数を、μとする。そして、各接触面M及びNに発生する摩擦力を、Fμとする。
【0054】
この様に、記号化できた場合に、加圧力油圧シリンダによって発生した力Fが加えられたとき、楔体17が、戻されない条件として、
Fr≦Fc+2・fμ
の関係が満足されることを必要とする。ここで、Fr=F・tanθ、fμ=μ・Fの関係が成立するので、上記の関係を整理すると、
Fc≧F(tanθ―2・μ)
となる。従って、少なくとも、(tanθ−2・μ)≦0の条件が成立することによって、楔体17は、加圧力油圧シリンダの作動による加圧力Fによって戻されないことになる。つまり、楔体の圧入によって、所謂、セルフロックの機能が働くことを意味している。実際には、例えば、−0.05<tanθ−2・μ<0.05のような条件の範囲で、勾配角が選択される。
【0055】
一般的に、摺動面M及びNが潤滑条件にあっても、各面における摺動摩擦係数μの大きさは、約0.05であるので、この大きさであると、勾配角θは、約6度となる。よって、楔体17の下面が水平面となす角度又は楔対受ブロックの斜面の勾配角を6度以下にすれば、鍛造成形における切換工程において、速度制御工程から加圧力制御工程に移行するときに、速度制御油圧シリンダの最大加圧力を超える加圧力が楔体に加わっても、楔体が押し戻されることがない。そのため、楔体のセルフブロック機能が作用してトッププラテン6と可動盤3の間隔が変化せず、速度制御油圧シリンダが最大加圧力を超える加圧力に負けることがなくなる。
【0056】
また、楔体に関して、上述のセルフロック機能の条件が成立するとして、楔体17が、楔体受ブロック16に対して、図面において下方に押す力をf2とすると、
f2=Fc/tanθ
の関係が成立するので、楔体駆動油圧シリンダから楔体に加えられる力は、Fc=f2・tanθと表せる。ここで、θ=6(度)とすれば、tan6≒0.105であるので、Fcは、f2の約1/10となる。逆に言い換えれば、Fcが、f2の約10倍の力に変換される。そのため、図7に示されたように、楔体を用いた切換制御装置は、楔体駆動油圧シリンダの出力より大きい力に対するセルフロック機能が発揮されるばかりでなく、楔体駆動油圧シリンダの出力が小さくても大きな加圧力を発生することができるので、半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程から加圧力制御工程への切換時の工程を実施するための好適な機構といえる。
【0057】
以上に説明した切換制御装置が、図4に示した本実施形態の鍛造装置に組み込まれている。そこで、鍛造装置に組み込まれた切換制御装置の具体的動作について、図を参照しながら、以下に説明する。図8は、本実施形態の鍛造装置を使用して半凝固金属成形体を鍛造成形する場合について、速度制御工程、切換工程及び加圧力制御工程に係るストローク距離の関係を模式的に表したものである。同図では、上金型1が引き上げられ、上流工程で生成された半凝固金属成形体24が、鍛造成形のため、キャビティC2内に搬入された状態が示されている。
【0058】
図8において示されたストローク距離の基準は、上金型1の下面又は下金型2の上面に置いている。ストローク距離S1は、半凝固金属成形体24の搬入用のスペースであり、ストローク距離S1の間においては、上金型1が、速度制御油圧シリンダ10及び12によって下降される。このときの下降速度は、例えば、最高速度の1m/sec程度であり、速度制御油圧シリンダ10及び12による加圧力をf1とすれば、この間は、f1≒0となっている。
【0059】
ストローク距離S2は、速度制御工程域Avに対応した区間である。該距離S2は、上金型1が更に下降され、半凝固金属成形体24の上端がキャビティC1の内面に接触した位置から、半凝固金属成形体24が圧縮変形されてキャビティ内にほぼ充填完了の直前の位置までを指している。このときの加圧力F1としては、速度制御油圧シリンダ10及び12の出力の0から90%程度が加えられている。加圧速度Vは、約1m/secから0.1m/secの範囲で制御される。
【0060】
ストローク距離d1は、速度制御工程域Avから加圧力制御工程域Apに移行する切換工程域Acに対応した区間である。この区間では、上述した切換制御装置が作動し、一定の加圧速度、例えば、約0.1m/secを維持しながら、加圧力F2が加えられる。この加圧力F2は、加圧力F1の2倍程度の大きさである。
【0061】
ストローク距離d2は、切換工程域Acを完了した後における加圧力制御工程域Apに対応した区間である。この区間では、加圧力制御油圧シリンダ14及び15の動作による加圧力F3で、下金型2が上方に押し上げられる。この加圧力F3については、最終加圧力Pmaxとして昇圧時間と保持時間の制御が実施され、半凝固金属成形体24の内部に存在するガスを押し潰し、凝固収縮に追従して金属組織の緻密度を向上している。この区間では、加圧力F3の力が、加圧力F2より大きいので、下金型2の上昇によりキャビティ内の圧力が高まり、上金型1の下降が阻止されている。そして、切換制御装置のセルフロック機能によって、上金型1は、切換工程域Acの切換完了時の位置で保持される。
【0062】
以上で、図8を示して、鍛造成形における金型の各ストローク距離の関係について説明したが、次に、具体的に、図4に示された鍛造装置における速度制御工程、切換工程、そして加圧力制御工程の動作について、図9(a)乃至(c)を参照しながら説明する。図9(a)乃至(c)では、図示を簡単化するため、図4に示された鍛造装置の右側の半分を示し、タイロッド7と速度制御油圧シリンダ10が図示されていないが、それらは、図示を省略されただけであって、実際には備えられている。
【0063】
図9(a)では、キャビティ内の半凝固金属成形体に対する鍛造成形の速度制御工程をほぼ終了する直前の状態が示されている。速度制御油圧シリンダの作動により、上金型1が、ストローク距離S2だけ下降制御され、半凝固金属成形体が、圧縮変形されて、キャビティ内にほぼ充填完了されている。ここで、楔体駆動油圧シリンダ19が作動して、楔体17が初期位置から所定距離Kだけ移動される。楔体17の上面は、トッププラテンの下面を摺動し、楔体17の下面が、楔体受ブロック16の斜面に接触している。この状態においては、上金型1の下面と下金型2の上面の間隔は、距離d1+d2になっている。
【0064】
次いで、図9(b)に示されるように、切換工程が開始され、楔体駆動油圧シリンダ19がさらに駆動制御されて、楔体17が圧入される。楔体17の圧入により、力f2が、楔体受ブロック16に加えられる。結果として、上金型1には、速度制御油圧シリンダ19による力f1と楔体17の圧入による力f2とが合された力F2が加えられる。そこで、キャビティ内の半凝固金属成形体にも、力F2が加圧力として加えられ、上金型1が、ストローク距離d1だけ押し下げられる。この状態においては、上金型1の下面と下金型2の上面の間隔は、距離d2になっている。
【0065】
なお、ここでは、力F2について、f1+f2として説明したが、速度制御油圧シリンダ19による力f1のみでも、実行可能である。しかし、f1+f2の力を利用した方が、型圧縮力を大きくすることができるので、有利である。
【0066】
さらに、図9(c)に示されるように、上金型1の下面と下金型2の上面の間隔が、距離d2になる直前で、加圧力制御油圧シリンダ15を駆動して、力F3を発生させる。加圧力制御油圧シリンダ15の駆動開始は、図9(b)に示された切換工程の制御が完了する前であることが重要であり、力F2より大きく、最終加圧力Pmaxを発生する力F3が、下金型2に加えられたときに、切換工程における加圧力制御工程への切り換えが完了したことになる。
【0067】
加圧力制御油圧シリンダ15の駆動が開始されると、該油圧シリンダ15によって、台盤4が基台5から押し上げられるとともに、下金型2も押し上げられ、半凝固金属成形体に加圧力F3が加えられる。距離d3だけ押し上げられたとき、型閉状態となる。ここで、距離d3は、ストローク距離d2にほぼ等しくなるが、この型閉状態になったとき、加圧力F3によって、キャビティ内の半凝固金属成形体に最終加圧力Pmaxが得られるように、搬入される半凝固金属成形体の容積がキャビティの容積に合うように調整されるとよい。
【0068】
なお、加圧力制御油圧シリンダ15によって、加圧力F3を発生させるには、この大きさに見合った反力が必要である。図9(c)に示された鍛造装置の場合では、この反力は、f1+f3となっている。この力f3には、楔体駆動油圧シリンダ19の駆動に従って発生した力f2も含まれている。
【0069】
ここで、切換制御装置のセルフロック機能について前述されたように、楔体の勾配角を6度以下に設定しておくことにより、楔体受ブロック16から楔体17に、力f2の約10倍の大きさを持つ力Fが作用しても、楔体17は押し戻されない。そこで、加圧力F3の大きさは、力f2の5倍から10倍に設定されるので、楔体17は、押し戻されることが無く、充分に反力を受けることができる。
【0070】
楔体駆動制御油圧シリンダ19による力f2は、速度制御油圧シリンダの最大出力f1の2倍に設定されていれば、楔体17の作用によって、力f1の1/5の大きさで力f1の2倍の力を発生することが可能であるとともに、力f2の5倍から10倍になる反力に耐えることができる。
【0071】
以上の様に、本実施形態の鍛造装置では、図4に示されるように、楔体を作動できる切換制御装置が備えられ、この切換制御装置の動作によって、図2及び図3に示された加圧力曲線Pのように、速度制御工程から加圧力制御工程に移行するとき、加圧速度が止まることなく、連続した加圧力制御が実行される。そこで、本実施形態の鍛造装置において、この様な加圧力制御を実行するための制御システムについて、以下に説明する。
【0072】
図10は、本実施形態の鍛造装置における制御システムの概要が、ブロック構成で示されている。この制御システムは、制御装置30、入力手段31、表示器32、記憶手段33、ダイハイト調整制御装置34、速度制御装置35、楔体駆動制御装置36、加圧力制御装置37、速度制御シリンダ位置検出器38、楔***置検出器39、そして、加圧力制御シリンダ位置検出器40を有している。
【0073】
制御装置30は、キーボード、GUIなどによる入力手段31から入力される情報や、速度制御シリンダ位置検出器38、楔***置検出器39及び加圧力制御シリンダ位置検出器40によって検出された位置情報、更には、記憶手段33に設定された制御情報に基づいて、ダイハイト調整装置34、速度制御装置35、楔体駆動装置36、加圧力制御装置37を駆動制御し、制御システム全体を管理している。
【0074】
ここで、ダイハイト調整制御装置34は、ダイハイト調整装置9を動作させて上金型1と下金型2との間隔を調整する。速度制御装置35は、速度制御油圧シリンダ10及び12を動作させて可動盤3を上昇又は下降させる。楔体駆動制御装置36は、楔体駆動油圧シリンダ19及び20を動作させて楔体17及び18を移動又は圧入させる。そして、加圧力制御装置37は、加圧力制御油圧シリンダ14及び15を動作させて台盤4とともに下金型2を上昇させる。
【0075】
また、速度制御シリンダ位置検出器38は、速度制御油圧シリンダ10及び12に取付けられており、シリンダロッド11及び13の出入位置を検出し、可動盤3の上昇又は下降に合わせて、上金型1の下面に係るストローク距離S1、S2及びd1を検出する。楔***置検出器39は、楔体駆動油圧シリンダ19及び20に取付けられ、楔体17及び18の移動した位置を検出する。そして、加圧力制御シリンダ位置検出器40は、加圧力制御油圧シリンダ14及び15に関連して取付けられ、台盤4の上昇によるストローク距離d2又はd3を検出する。
【0076】
ところで、本実施形態の鍛造装置において、半凝固金属成形体を鍛造成形して得られる製品の品質に影響を及ぼすストローク距離d1及びd2に対して、楔体の移動距離をどう決めるかは重要なことである。そこで、上述した制御システムを備えた鍛造装置において、楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めを行う手順を、図11及び図12を参照して説明する。図11には、楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めを行う手順に係るフローチャートが示され、図12には、本実施形態の鍛造装置において、該手順の実行に関連した部分の動作状態が示されている。
【0077】
図12に示された鍛造装置は、図9に示したのと同様な図示の仕方であるが、図9の鍛造装置と異なる点は、図12では、楔体駆動油圧シリンダ19に楔***置検出器39が設けられていることである。楔体17は、初期位置に退避した状態で示されている。ただし、図12における鍛造装置には、半凝固金属成形体は、キャビティ内に搬入されていない。
【0078】
先ず、楔体駆動油圧シリンダ19が駆動されて、楔体17は、初期位置から、適宜設定した基準距離Ksだけ移動される(ステップS1)。このときには、楔体17の下面が、楔体受ブロック16の斜面に当たらないように、楔体17と楔体受ブロック16の斜面との間隙gを大きめに開ける(ステップS2)。この間隙gは、ダイハイト調整装置9によって、トッププラテン6の下面の高さHaを調整されて大きく開けられる。
【0079】
次いで、ダイハイト調整装置9によるダイハイト調整によって、上金型1を下降させ、上金型1と下金型2との間隔を0として、型閉状態にする(ステップS3)。この型閉状態とすることにより、d1+d2=0とすることができる。
【0080】
ここで、ダイハイト調整によって型閉状態になっても、トッププラテン6は、尚も下降し、遂には、楔体17の下面が、楔体受ブロック16の斜面に圧接されることになり、間隙gが0になって(ステップS4)、そこで、ダイハイト調整が、停止される。
【0081】
次いで、間隙gが0になったときに、制御装置30は、トッププラテン6の下面と基台5の上面との距離Haを求め、基準高さHb=Ha+d2を演算し、このHbを、制御装置の制御データとして、記憶手段33に格納する(ステップS5)。ここで、ストローク距離d2は、所定の加圧力Pが得られる予測値にしておく。
【0082】
基準高さHbが求められたところで、楔体駆動油圧シリンダ19を作動させ、楔体17を初期位置に戻す(ステップS6)。楔体17が、完全に初期位置に戻って退避状態になってから、速度制御油圧シリンダを作動させて、可動盤3を上昇させることにより、上金型1をストローク距離S1+S2+d1だけ上げる(ステップS7)。ここでも、ストローク距離d1も、所定の加圧力Pが得られる予測値としておく。
【0083】
なお、上金型1がストローク距離S1+S2+d1だけ上げられたときには、楔体受ブロック16は、トッププラテン6の開口部に収容されるため、楔体受ブロック16の高さH0は、上金型1がストローク距離S1+S2+d1だけ上げられるだけの十分な大きさに設計される必要がある。
【0084】
以上によって、半凝固金属成形体の鍛造成形の準備が完了したことになる(ステップS8)。しかし、ステップS7において、上金型1が上げられたストローク距離S1+S2+d1は、暫定的に決められた大きさであって、半凝固金属成形体を鍛造成形して得た製品の品質が満足されるものとなるかどうかは分からない。そこで、キャビティ内に半凝固金属成形体を搬入し、実際に、当該半凝固金属成形体の鍛造成形を実行する(ステップS9)。
【0085】
この鍛造成形において、ストローク距離d1が得られるように、楔体17が圧入されるので、楔***置検出器39から、楔体17の実際に移動したストローク距離が読み取られ、楔体17の圧入距離Kが取得される(ステップS10)。そこで、当初に設定した基準距離Ksと取得された距離Kとを比較し、Ks−K=ΔKの演算によって、距離偏差ΔKを算出する(ステップS11)。
【0086】
次いで、算出されたΔKに基づいて、基準高さHbを調整する(ステップS12)。ここで、ΔKが、負になっているときは、Hbが大きくなる方向に、そして、ΔKが、正であるときは、Hbが小さくなる方向になる制御ロジックで、制御装置30が、ダイハイト調整制御装置39にダイハイト調整を指示し、基準高さHbを自動調整する。このダイハイト調整量ΔHbは、ΔHb=ΔK・tanθによって演算され、制御データとなる。
【0087】
この様にして、距離偏差ΔKが、0となるように、ダイハイト調整が実行され、半凝固金属成形体の鍛造成形における最終加圧力Pmaxが、型閉状態であるd1+d2=0のときに得られる基準高さHbに調整される。これ以降においては、調整された基準高さHbにトッププラテン6をダイハイト調整して保持したままで、上金型1をストローク距離S1+S2+d1だけ上げることにより、鍛造装置は、鍛造成形の準備完了状態にされる。
【0088】
次に、以上で説明したように、基準高さHbが適切に調整された本実施形態の鍛造装置を使用して、半凝固金属成形体を鍛造成形する制御手順について、図13に示したフローチャートを参照して説明する。
【0089】
先ず、トッププラテン6の高さが、ダイハイト調整装置9の駆動によって、基準高さHbに調整され、トッププラテン6が、その高さHbで保持される(ステップS21)。
【0090】
次いで、楔体17及び18が、楔体駆動油圧シリンダ19及び20の作動によって初期位置に戻され、退避された後(ステップS22)、上金型1が、速度制御油圧シリンダ10及び12の作動によって、ストローク距離S1+S2+d1だけ上げられる(ステップS23)。
【0091】
ここで、上金型1と下金型2との間隔が、半凝固金属成形体の搬入スペースとなり、鍛造成形準備状態になったので、上流工程で生成された半凝固金属成形体をキャビティC2内に搬入する(ステップS24)。
【0092】
そこで、半凝固金属成形体がキャビティC2内に搬入された後に、速度制御油圧シリンダ10及び12を駆動して(ステップS25)、上金型1をストローク距離S1だけ下降させ、搬入された半凝固金属成形体の上端部をキャビティC1の内面に到達させる。さらに、上金型1を続けて下降させ、半凝固金属成形体の圧縮変形処理が行われる(ステップS26)。この処理が行われている間が、速度制御工程となっている。
【0093】
この速度制御工程の間、速度制御シリンダ位置検出器38によって、上金型1のストローク変化が検出され、ストローク距離S2が把握されている。該検出器38が、上金型1の位置がストローク距離S2に近づいたことを検出したとき、制御装置30は、楔体駆動油圧シリンダ19及び20を駆動させて、楔体17及び18を初期位置から移動させ(ステップS27)、速度制御シリンダ位置検出器38がストローク距離d1を検出するまで、楔体17及び18を圧入する(ステップS28)。この段階が、速度制御工程から加圧力制御工程への切換工程になっている。
【0094】
次いで、速度制御シリンダ位置検出器38がストローク距離d1を検出する直前に、制御装置30は、加圧力制御油圧シリンダ14及び15を駆動し、キャビティ内の圧力が、最終加圧力Pmaxとなるまで、下金型2を押し上げる(ステップS29)。この段階が、切換工程後の加圧力制御工程になっている。
【0095】
加圧力制御シリンダ位置検出器40が、シリンダ位置d2を検出したとき、加圧力制御油圧シリンダ14及び15の作動を停止する(ステップS30)。このとき、ストローク距離d2=0となっており、キャビティ内の圧力は、最終加圧力Pmaxになっており、加圧力制御工程の処理が完了したことになる。そして、半凝固金属成形体の鍛造成形は、終了している。
【0096】
ここで、制御装置30は、速度制御油圧シリンダ10及び12を作動させて、上金型1をストローク距離S1+S2+d1だけ上げ、そして、加圧力制御油圧シリンダ14及び15を駆動して、下金型2をストローク距離d2だけ下げて(ステップS31)、鍛造成形が終了した製品を取り出す(ステップS32)。製品が取り出された後では、キャビティC2は、空となり、次の半凝固金属成形体の鍛造成形に向けて準備完了の状態になる。
【0097】
このように、本実施形態の鍛造装置では、最初にトッププラテンの高さを所定の基準高さに設定して保持させ、その後の半凝固金属成形体の鍛造成形に当たっては、上金型をストローク距離S1+S2+d1だけ上昇又は下降を繰り返せばよく、半凝固金属成形体の鍛造成形中には、半凝固金属成形体への加圧速度を0にすることなく、速度制御工程から加圧力制御工程に連続して切り換えられ、キャビティ内の圧力を所望の最終加圧力Pmaxに到達させることができる。そのため、所望の加圧力曲線に沿って加圧力制御された半凝固金属成形体による鍛造成形を実行できる。
【0098】
【発明の効果】
以上の様に、本発明の半凝固金属成形体の鍛造成形においては、半凝固金属成形体の大部分がキャビティ内に充填されるまでを、高い加圧速度で圧縮成形する速度制御工程と、その大部分が充填された後の冷却工程である加圧力制御工程とに分離して制御することとしたので、速度制御工程に対しては、上金型を下降制御する流体プレス装置として、比較的低圧でも、ストロークの長い流体シリンダを備え、また、加圧力制御工程に対しては、ストロークは短くても、高圧力が得られる流体シリンダを備えることができ、一台で大出力の油圧プレス装置で加圧制御する代りに、これらの流体シリンダの装備で済み、より短時間の制御が可能となり、製品の高品質化が実現されるとともに、省エネルギー化、そして、低コスト化が図られる。
【0099】
また、本発明の半凝固金属成形体の鍛造装置では、一対の楔体による切換制御装置が備えられ、この切換制御装置の作動によって、半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程から加圧力制御工程に移行するときの切換工程を実施するようにしたので、半凝固金属成形体の鍛造成形中には、半凝固金属成形体への加圧速度を0にすることなく、速度制御工程から加圧力制御工程に連続して切り換えることを実現でき、キャビティ内の圧力を所望の最終加圧力Pmaxに容易に到達させることができる。そのため、半凝固金属成形体による鍛造成形製品の品質を向上でき、品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半凝固金属成形体の鍛造成形における時間に対する圧力変化を説明するグラフである。
【図2】本発明における半凝固金属成形体の鍛造成形における圧縮ストロークに対する圧力変化を説明するグラフである。
【図3】図2に示されたグラフにおいて、圧縮ストロークのメモリを拡大して示した要部の圧力変化のグラフである。
【図4】本実施形態の鍛造装置の概略構成を説明する側面から見た図である。
【図5】本実施形態の鍛造装置に概略構成を説明する上面から見た図である。
【図6】本実施形態の鍛造装置において鍛造成形される半凝固金属成形体の製造工程を説明する図である。
【図7】本実施形態の鍛造装置に設けられている楔体の作用を説明する図である。
【図8】半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程、切換工程及び加圧力制御工程に係るストローク距離の関係を説明する図である。
【図9】本実施形態の鍛造装置による半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程、切換工程及び加圧力制御工程を説明する図である。
【図10】本実施形態の鍛造装置に関わる制御装置を説明する概略ブロック構成を示した図である。
【図11】本実施形態の鍛造装置に設けられた楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めの仕方を説明するフローチャートである。
【図12】本実施形態の鍛造装置における楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めに関連した動作を説明する図である。
【図13】本実施形態の鍛造装置を使用して半凝固金属成形体を鍛造成形する制御手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…上金型
2…下金型
3…可動盤
4…台盤
5…基台
6…トッププラテン
7、8…タイロッド
9…ダイハイト調整装置
10、12…速度制御油圧シリンダ
11、13…シリンダロッド
14、15…加圧力制御油圧シリンダ
16…楔受ブロック
17、18…楔体
19、20…楔体駆動油圧シリンダ
22…溶湯容器
23…カップ
24…半凝固金属成形体
30…制御装置
31…入力手段
32…表示器
33…記憶手段
34…ダイハイト調整装置
35…速度制御装置
36…楔体駆動装置
37…加圧力制御装置
38…速度制御シリンダ位置検出器
39…楔***置検出器
40…加圧力制御シリンダ位置検出器
C1、C2…キャビティ
【発明の属する技術分野】
本発明は、上下の金型で形成するキャビティ内に搬入された半凝固金属成形体を鍛造成形する鍛造制御方法とその鍛造装置に関し、特に、鍛造成形において速度制御工程と加圧力制御工程とに分離することにより省エネルギー化を図り、しかも、半凝固金属成形体の鍛造成形における加圧が連続するようにして製品の品質を向上させることができる半凝固金属成形体の鍛造制御方法とその鍛造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近、注目されている新しい成形技術として、チクソキャスティング法、レオキャスティング法等の半溶融金属又は半凝固金属(スラリ)による成形法がある。これらの成形法は、従来の鋳造法に比べて収縮巣や偏析が少なく、半溶融金属又は半凝固金属内の金属組織が均一であるために、成形された製品の機械的性質が優れており、しかも、金型の寿命が長いことや、成形サイクルが短いこと等によるコスト低減の利点がある。
【0003】
そこで、従来の機械撹拌法や電磁撹拌法によらずに、自動的かつ連続的に、簡便容易に、かつ、低コストで、微細かつ球状のチクソ組織を有している半凝固金属の成形体を大量に生産する半凝固成形用金属の製造装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。この製造装置の概要は、次の様である。
【0004】
この製造装置は、微細な初晶が液相中に分散した均一な温度分布を有する半溶融金属成形体を製造するものである。金属溶湯を所定の温度にして溶湯カップに給湯する溶湯給湯部と、該溶湯カップ内に供給された金属溶湯中に結晶核を発生させる核生成部と、該金属溶湯を固液共存状態の成形温度まで冷却しつつ目標成形温度範囲内に収めるように温度調整する結晶生成部と、該結晶生成部により得られた溶湯カップ内の半凝固金属を成形装置の射出スリーブに搬送し挿入するロボットを有する容器搬送部とで構成されている。
【0005】
更に、所望の固相率を有する半凝固金属を生成することができる種々の半凝固金属生成装置が提案されている。例えば、レオキャスティング鋳造が本来有する生産性を有効に利用して、鋳造ショットに合わせて連続的に半凝固金属を自動的に生成する半凝固金属生成装置が開発されている(例えば、特許文献2を参照)。
【0006】
この装置では、溶湯金属を収容する複数の溶湯カップが回転テーブル上に載置されており、該テーブルが、鋳造ショットの速さに合わせて回転される。該テーブルの回転に合わせて、夫々の溶湯カップが段階的に移送され、給湯工程、複数の冷却工程、そして加熱工程で順次処理される。該加熱工程が終了すると、所望する固相率を有する半凝固金属が溶湯カップ内で生成されている。そこで、溶湯カップ内で生成された半凝固金属成形体が、搬出用ロボットによって、成形装置の射出スリーブに搬送され、挿入される。
【0007】
この様に、この製造装置によれば、回転テーブル上に順次供給される複数の溶湯カップが、各処理工程において順次冷却及び加熱されることにより、鋳造ショットに合わせて、半凝固金属成形体が、自動的に連続して製造される。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−211565号公報
【特許文献2】
特開2000−280064号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年、例えば、自動車部品などでは、地球環境の保護の観点、或いは、省エネルギーの観点から、軽量化が期待されている。この様な中で、自動車部品の製造において、半凝固金属成形体を用いた鍛造成形が注目されている。
【0010】
この鍛造成形に用いられる半凝固金属成形体では、塊状となっている半凝固金属が持っている熱エネルギーは、成形時の溶湯金属が持っている熱エネルギーに比較して、非常に少なくなっている。そのため、鍛造後の成形品質を高めるには、半凝固金属成形体の鍛造成形において、この少ない熱エネルギーが消失する前に、成形工程を完了していなければならない。そこで、鍛造成形の最終加圧力を達成するためには、0.01秒単位の加圧制御が要求される。
【0011】
さらに、この最終加圧力は、成形品の投影面積当りで見て、例えば、100〜200MPaの高圧力となる必要がある。一般の自動車部品の成形においても、同様の高圧力が得られなければならない。これまで、この最終加圧力を得る手段として、一般的な油圧プレス装置が使用されている。
【0012】
しかし、半凝固金属成形体の鍛造成形に必要な最終加圧力に対応しようとして、この一般的な油圧プレス装置によったのでは、該装置の仕様が、高速、大加圧力のものとなる。そのため、この最終加圧力が得られる仕様をとした油圧プレス装置では、その油圧動力が、大出力のものとなり、しかも、短時間単位での制御が難しいものとなる。その結果、成形された製品の品質が不安定となるばかりでなく、エネルギー効率が低下し、コストを上昇させていた。
【0013】
そこで、本発明は、半凝固金属成形体の鍛造成形において、成形工程を、該成形体を圧縮成形する速度制御工程と最終加圧力を加える加圧力制御工程とに分離し、速度制御工程から加圧力制御工程に連続的に切り換える工程を備え、省エネルギー化を図り、しかも、半凝固金属成形体の鍛造成形における加圧が連続するようにして製品の品質を向上させることができる半凝固金属成形体の鍛造制御方法とその鍛造装置を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するため、本発明では、上金型と下金型とにより形成される成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する半凝固金属成形体の鍛造制御方法において、前記上金型の下降により、前記下金型の前記成形キャビティ内に載置された前記半凝固金属成形体を圧縮成形する速度制御工程と、前記上金型が第1ストローク距離を下降したとき、前記下金型を上昇させて、前記キャビティ内で圧縮成形された前記半凝固金属成形体に最終成形圧力を加える加圧力制御工程とを備えることとした。
【0015】
そして、前記速度制御工程から前記加圧力制御工程に移行するとき、前記速度制御工程の最終段階で生成された圧力より大きい圧力を発生させる切換工程を有し、該切換工程において、前記上金型は、楔係合部材の挿入に応じて第2ストローク距離を下降され、前記半凝固金属成形体に対して加圧するようにし、さらに、前記加圧力制御工程において、前記上金型が前記第2ストローク距離を下降したとき、前記下金型を第3ストローク距離だけ上昇させることにより、前記最終成形圧力が前記半凝固金属成形体に生成されることとした。
【0016】
また、本発明による、上下に昇降可能な成形キャビティを有する上金型と、該上金型の下面に対向して成形キャビティを有する下金型とにより、該成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する半凝固金属成形体の鍛造装置においては、前記上金型を下面に取付けられた可動盤を昇降させる第1駆動装置と、前記第1駆動装置が取付けられたトッププラテンを昇降するダイハイト調整装置と、前記上金型の下面に対向する位置に前記下金型が載置された台盤を昇降する第2駆動装置とを備えた。
【0017】
そして、前記第1駆動装置は、前記半凝固金属成形体の高さ方向で圧縮成形する速度制御工程において長ストローク距離で作動する第1流体シリンダを有し、前記第2駆動装置は、前記成形キャビティ内で圧縮成形された前記半凝固金属成形体に最終成形圧力を加える加圧力制御工程において短ストローク距離で作動する第2流体シリンダを有し、前記第2流体シリンダの径を、前記第1流体シリンダの径より大きくした。
【0018】
さらに、前記可動盤の上面に載置され、頭部に所定角を有する斜面が形成された楔受ブロックと、前記トッププラテンに取付けられた第3流体シリンダの作動により該トッププラテンの下面に沿って移動し、該下面と前記斜面との間に挿入される楔体とが備えられ、前記楔体の上下面が前記トッププラテンの下面と前記斜面とに摺動して圧入されたとき、前記上金型が該楔体の圧入ストロークに対応したストローク距離で下降されるようにした。
【0019】
そして、前記楔受ブロックは、前記頭部において、互いに対向した位置に少なくとも一対の前記斜面を有し、前記楔体は、前記一対の斜面に対応した2個の楔体を含み、該楔体が互いに反対方向に同期して移動されるようにした。
【0020】
また、前記トッププラテンは、前記第1流体シリンダの作動により前記可動盤が上昇したとき、該可動盤の上昇に伴う前記楔受ブロックの上昇に対応して該楔受ブロックを収容する開口部分を有することとした。
【0021】
前記楔体は、前記第3流体シリンダの動作により、前記楔受ブロックが上昇しているとき、初期位置に退避され、該楔受ブロックが下降した状態のとき、該初期位置から所定ストローク距離だけ移動されるようにした。
【0022】
また、本発明による鍛造装置において、前記半凝固金属成形体を前記成形キャビティ内で鍛造成形する制御を実行する制御装置が備えられ、該制御装置は、前記第3流体シリンダを作動して前記楔体を初期位置から基準ストローク距離だけ移動させ、該楔体を前記トッププラテンの下面と前記斜面とに接触させた状態で、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記上金型と前記下金型を接触させたときに、前記トッププラテンの下面から前記第2流体シリンダを内蔵する基台の上面までの距離を求め、該距離に該第2流体シリンダによる最終成形圧力が生成される第2ストローク距離を加算して基準高さを演算することとした。
【0023】
そして、前記制御装置は、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記トッププラテンの下面の位置を前記基準高さに維持し、前記第3流体シリンダを動作させて前記楔体を前記初期位置に移動させた後、前記半凝固金属成形体の前記成形キャビティ内への搬入用の高さと、前記半凝固金属成形体の圧縮成形に係る高さと、前記第2ストローク距離と、前記第3流体シリンダの動作による前記楔体の圧入によって前記上金型が下降する第3ストローク距離とを加算した距離だけ前記第1流体シリンダを動作させて前記可動盤を上昇させ、当該半凝固金属成形体の鍛造開始準備の完了とすることとした。
【0024】
また、前記制御装置は、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記トッププラテンを前記基準高さに維持した後、前記第1流体シリンダを動作させて前記可動盤を前記搬入用高さと前記圧縮成形高さだけ前記可動盤を下降させ、下降させた前記上金型によって当該半凝固金属成形体に対する速度制御工程を実行し、前記上金型と前記下金型の距離が、前記第2ストローク距離と前記第3ストローク距離とを加算した距離となり、前記第1流体シリンダの作動圧が設定値になったとき、前記第3流体シリンダを作動させて、前記楔体を圧入し前記上金型を前記第3ストローク距離だけ下降させる切換工程を実行し、前記上金型と前記下金型の距離が前記第2ストローク距離になったとき、前記第2流体シリンダを作動させて前記下金型を前記最終成形圧力が得られるまで上昇させる加圧力制御工程を実行するようにした。
【0025】
さらに、前記制御装置は、当該半凝固金属成形体に係る鍛造成形を完了したとき、前記楔体に係る圧入位置を計測し、該圧入位置と前記基準ストローク距離とに基づいて、前記基準高さを調整し、該基準高さを次半凝固金属成形体に係る鍛造成形開始時の前記トッププラテンの前記基台に対する高さとすることとした。
【0026】
また、前記楔体は、前記トッププラテンの下面と平行な楔上面と、前記楔受ブロックの前記斜面と平行な楔下面とを有し、該斜面の前記所定角をθ、前記下面と前記楔上面と、及び、前記斜面と前記楔下面との摩擦係数をμとしたとき、少なくとも、(tanθ−2μ)≦0の関係が成立するものであることとした。
【0027】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による半凝固金属成形体の鍛造制御方法及びその鍛造装置の実施形態を説明する前に、先ず、半凝固金属成形体の鍛造成形において要求される加圧速度、加圧力などに関する制御条件について、図を参照しながら説明する。
【0028】
図1は、半凝固金属成形体の鍛造成形における時間に対する加圧速さと圧力変化を示している。同図において、横軸は、成形時間(秒)を、左側の縦軸Vは、加圧速度(m/秒)を、そして、右側の縦軸Pは、加圧力(MPa)をそれぞれ表している。図中、細い実線又は破線は、加圧速度Vの曲線を、太い実線又は破線は、加圧力Pに対応している。
【0029】
図1の例では、上金型と下金型とで形成されるキャビティ内に挿入された半凝固金属成形体を鍛造成形する場合が示されている。時間0秒において、上金型のキャビティ面が挿入されている半凝固金属成形体の上端部に接触したことを表しており、その後、上金型が下降して成形が行われ、時間0.8秒で、当該半凝固金属成形体の鍛造成形が完了したことを表している。
【0030】
半凝固金属成形体を用いて、製品を鍛造成形する場合に、高品質のものを得るには、元々、半凝固金属成形体が有する熱エネルギーが少ないことに起因して、短時間で、高加圧力が達成される必要であるので、上金型と下金型とで形成されるキャビティ内に、半凝固金属成形体の大部分が充填されるまでは、加圧速度を高め、そして、その大部分が充填された後において、更に高圧力が加えられて、所定長さの時間の冷却工程では、最終加圧力Pmaxが保持されなければならない。この場合の加圧力曲線は、曲線Paを含む太い実線で示された曲線Pで表される。
【0031】
そこで、この様な加圧力曲線Pを、例えば、前述した一台の油圧プレス装置で実現することは、困難なことであるので、鍛造成形において、加圧速度を高めて、半凝固金属成形体の大部分がキャビティ内に充填されるまでを、高い加圧速度で圧縮成形する速度制御工程と、その大部分が充填された後の冷却工程である加圧力制御工程とに分離して制御することとした。この様に分離することによって、速度制御工程に対しては、上金型を下降制御する流体プレス装置として、比較的低圧でも、ストロークの長い流体シリンダを備えればよく、また、加圧力制御工程に対しては、ストロークは短くても、高圧力が得られる流体シリンダを備えればよい。一台の油圧プレス装置で加圧制御する代りに、これらの流体シリンダを備えて加圧制御すると、より短時間の制御が可能となり、製品の高品質化が実現されるとともに、省エネルギー化、そして、低コスト化が図られる。
【0032】
速度制御流体シリンダと加圧力制御流体シリンダとを駆動制御して、半凝固金属成形体を鍛造成形する場合において、図1に示される加圧力曲線Pを得るときの加圧速度の変化を説明する。図1では、上金型のキャビティの内面が、搬入された半凝固金属成形体の上端部に接触した時点を、時間0秒とし、これを基準にした経過時間で表示されている。ここで、上金型が、速度制御流体シリンダによって、一定の加圧速度1.0m/secで下降制御されると、半凝固金属成形体は、キャビティ内に圧縮変形されて、キャビティ内に閉じ込まれる。半凝固金属成形体の約90%程度がキャビティ内に閉じ込められ始めると、該成形体の変形抵抗が、急速に増大する。このときの加圧速度Vは、図示のように、0.2秒を経過すると、急速に低下し、加圧力Pは、10MPa程度に上昇している。
【0033】
加圧速度が急速に低下することは、速度制御流体シリンダの加圧能力の限界を示していることになるので、このときに、加圧力Pが、最終加圧力Pmaxに到達するように、加圧力制御流体シリンダを駆動して、キャビティ内の加圧力を上昇させる必要がある。しかし、速度制御流体シリンダの出力が、半凝固金属成形体の変形抵抗に負ける直前であるので、加圧力制御流体シリンダの駆動による加圧が、速度制御流体シリンダによる加圧速度低下のタイミングに間に合わないことがある。この場合には、加圧速度Vは、細い破線で示されるように、加圧力制御流体シリンダの加圧が開始されるまで、加圧が停止され、速度が0(図中では、V0で表示した)の切換区間Tpが生じてしまう。加圧力流体シリンダによる加圧力による加圧速度は、図中では、V2で示されている。
【0034】
この切換区間Tpの間の加圧力Pは、図中の太い破線で示されているように、速度制御流体シリンダによって、約10MPaに維持されている。切換区間Tpの最後で、加圧力制御流体シリンダによる加圧開始によって、加圧速度V2が上昇するとともに、加圧力Pも、太い破線で示される曲線Pbに沿って、最終加圧力Pmaxに向けて上昇する。
【0035】
この様な切換区間Tpが存在すること、例えば、0.01秒の間でも、加圧速度Vが0の加圧停止状態になることは、この間に、加圧力が低い状態で冷却工程が進行してしまうことを意味し、このことは、半凝固金属成形体の鍛造成形による製品の品質に重大な影響を与え、品質の悪化を招来する。そのため、切換区間Tpは、存在しないほうがよく、この区間が0となるように、速度制御工程から加圧力制御工程に切り換えられる必要があり、図1に示されるように、速度制御流体シリンダによる加圧速度Vから連続して、加圧力制御流体シリンダによる加圧速度V1となるように制御する。この様に速度制御されれば、キャビティ内の加圧力Pは、太い実線で示される曲線Paを含む加圧曲線となり、短時間で最終加圧力Pmaxが得られる。
【0036】
この短時間で最終加圧力Pmaxが得られる加圧曲線Pについて、図1では、横軸を、加圧する時間としたが、図2に、横軸を、流体シリンダの圧縮ストローク(%)として、加圧曲線Pと加圧速度Vの変化を示した。図2において、加圧速度Vが、0%から約90%の範囲、つまり、1.0m/secから約0.9m/secまでに変化する範囲では、速度制御工程を表し、約90%から100%の範囲では、加圧力制御工程を表している。速度制御工程と加圧力制御工程とは、加圧速度が一度も0にならないように加圧力Pが制御されている。
【0037】
そこで、本実施形態の半凝固金属成形体の鍛造成形において、途中で加圧が停止されること無く、速度制御工程と加圧力制御工程が、連続して短時間で切り換えられる切換工程を採用したことについて、説明する。図3は、特に、図2における圧縮ストロークSの90%から100%の範囲を、横軸だけ拡大したグラフを示している。同図のグラフにおける縦軸は、図2の場合と同様である。
【0038】
図3に示された例では、圧縮ストロークSが、約95%までの範囲にあるときを、速度制御工程域Avとし、速度制御流体シリンダによって加圧制御される。そして、圧縮ストロークSが、約95%から100%までの範囲にあるときを、加圧力制御工程域Apとしている。ここで、本実施形態による鍛造成形では、速度制御工程域Avから加圧力制御工程域Apへの移行において、切換工程域Acが設けられていることを特徴としている。
【0039】
この切換工程域Acを設けるにあたって、本実施形態の鍛造装置では、速度制御流体シリンダと加圧力制御流体シリンダの他に、所定加圧力を出力できる切換制御装置を備えた。この切換制御装置は、速度制御流体シリンダが、半凝固金属成形体の変形抵抗に負け始めたタイミングで作動し、速度制御流体シリンダの最大出力P1以上の加圧力を出力する。そして、圧縮ストロークSが、所定ストロークになったところで、つまり、切換制御装置の最大出力P2に到達したところで、加圧力制御流体シリンダを駆動させる。
【0040】
この様にして、速度制御工程域Avから加圧力制御工程域Apに移行するとき、図3に示された加圧速度Vで示されるように、切換工程域Acの部分で、加圧速度Vが、一度も0になることがなく、半凝固金属成形体は、速度制御工程域Avから連続して加圧され、加圧力制御域Apに移行された後において、最終加圧力Pmaxに到達するまで加圧される。これで、速度制御工程域から加圧力制御工程域に移行するとき、加圧停止状態になることが防止され、半凝固金属成形体の鍛造成形による製品の品質に重大な影響を与える要因を排除できるため、その品質の向上を図ることができる。
【0041】
次に、以上の様に、速度制御工程域と、切換工程域と、加圧力制御工程域とを設けた半凝固金属成形体を鍛造成形する本実施形態の鍛造装置の構成例を図4に示した。図4では、本実施形態の鍛造装置の側面を図示しており、図示の例では、金型のキャビティ内に挿入された半凝固金属成形体を上方から圧縮変形し、加圧成形する縦型鍛造装置を基本としている。
【0042】
この鍛造装置は、キャビティC1を有する上金型1と、キャビティC2を有する下金型2とを備えており、半凝固金属成形体は、キャビティC1とC2とで加圧されることによって、鍛造成形される。下金型2は、基台5上に配置された台盤4に載置されている。この台盤4は、基台5に設けられた加圧力制御油圧シリンダ14及び15によって、所定ストロークだけ上昇されるようになっており、半凝固金属成形体への最終加圧力が加えられる。
【0043】
上金型1は、タイロッド7及び8を上下に摺動する可動盤3の下面に取付けられ、可動盤3の下降に伴って、下金型2と共に半凝固金属成形体の鍛造成形を行う。タイロッド7及び8を上下に摺動し、基台5までの高さが調整されるトッププラテン6が備えられ、トッププラテン6の両端には、夫々長ストロークの速度制御油圧シリンダ10及び12が取付けられている。速度制御油圧シリンダ10及び12のシリンダロッド11及び13の先端が、可動盤3に固定され、速度制御油圧シリンダ10及び12の作動により、可動盤3がタイロッド7及び8を上下に摺動される。さらに、トッププラテン6は、ダイハイト調整装置9の駆動によって、タイロッド7及び8に沿って上下され、基台5までの所定高さに調整され保持される。
【0044】
トッププラテン6の下面には、断面が楔状に形成された一対の楔体17及び18が、楔状の薄い側を内側にして対向配置されている。一方、一対の楔体17及び18の下面と平行な斜面を有する楔受ブロック16が、可動盤3の上面に載置されている。一対の楔体17及び18は、トッププラテン6の下面に取付けられた楔体駆動油圧シリンダ19及び20によって、内側に移動される。図4に示された楔体受ブロック16の高さ方向の位置において、楔体17及び18が移動されて、楔体17及び18の夫々の下面が、楔体受ブロック16の上部に形成された斜面に係合される。この係合により、鍛造成形時に、速度制御油圧シリンダ10及び12の加圧能力を超える圧力が可動盤3に加わったとき、可動盤3が押し返されることを阻止する。
【0045】
図5に、図4に示された縦型鍛造装置の上方から見た上面図を示した。図5では、楔体駆動油圧シリンダ19及び20の取付け位置が明瞭となるように、図示の都合上、図4の楔体駆動油圧シリンダ19及び20の大きさを変更してあるため、各部の大きさは、一致していない。図5において、図4に示したのと同じ部分に対応する部分には、同じ符号を付した。
【0046】
図5において、トッププラテン6の中央部分には、円形の開口部が設けられており、速度制御油圧シリンダ10及び12の作動によって、可動盤3が上昇されたとき、この開口部が、楔体受ブロック16を収容するようになっている。ここで、この開口部は、円柱状に形成された楔体受ブロック16の形状に合わせて、円形とされているが、楔体受ブロック16が角柱状に形成されている場合には、その開口部の形状は、角形状とされてもよい。
【0047】
トッププラテン6の開口部内に、楔体受ブロック16が、この開口部に収容されているときには、一対の楔体17及び18は、図中で斜線が施されたように、楔体受ブロック16の出入に邪魔にならないように、初期位置に退避している。そして、楔体受ブロック16が、この開口部から完全に出されて、楔体駆動油圧シリンダ19及び20が作動すると、楔体17及び18は、距離Kだけ、図中で2点鎖線により示した位置に移動される。楔体17及び18が、距離Kだけ移動されたときには、楔体17及び18の下面が、楔体受ブロック16の上端部の両側に設けられた斜面に接触している。
【0048】
以上の様に、本実施形態の鍛造装置では、上金型1と下金型2とで形成されるキャビティC1及びC2内で、半凝固金属成形体を鍛造成形するとき、速度制御油圧シリンダ10及び12によって、半凝固金属成形体を圧縮変形する速度制御工程が実施され、加圧力油圧シリンダ14及び15によって、圧縮変形された半凝固金属成形体に最終加圧力を発生させる加圧力制御工程が実施される。そして、速度制御工程から加圧力制御工程に移行するとき、楔体駆動油圧シリンダ19及び20の作動による一対の楔体17及び18の移動によって、切換工程が実施される。
【0049】
次に、参考として、本実施形態の鍛造装置で鍛造成形に用いられる半凝固金属成形体の生成について、図6を参照しながら説明する。図に示された半凝固金属成形体を連続生成する製造装置は、特許文献2に開示されたものである。
【0050】
この製造装置では、溶湯金属を収容する複数の溶湯カップ23が、図示されていない回転テーブル上に載置されており、該テーブルが、鍛造ショットの速さに合わせて回転される。該テーブルの回転に合わせて、夫々の溶湯カップ23が段階的に移送される。計量工程において、溶湯金属が、溶湯容器22から所定量を計測されて給湯される。回転テーブルの回転に伴って、給湯された溶湯カップ23は、回転テーブルの回転により複数の冷却工程を経て、徐々に冷却される。そして、計測工程において、加熱処理が終了すると、所望の固相率を有する半凝固金属成形体が生成され、ここで、種々の計測が行われる。
【0051】
そこで、溶湯カップ23内で生成された半凝固金属成形体が、図示されていない搬出用ロボットによって、鍛造装置の下金型2に形成されているキャビティC2に搬送される。この様に、この製造装置によって、回転テーブル上に順次供給される複数の溶湯カップが、各処理工程において順次冷却及び加熱されることにより、鍛造ショットの速さに合わせて、当該鍛造成形に適した固相率と容積に調整された半凝固金属成形体が、自動的に連続して製造される。
【0052】
次いで、本実施形態の鍛造装置に備えられた、一対の楔体による切換制御装置によって、半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程から加圧力制御工程に移行するときの切換工程を実施できる原理について説明する。ここで、図7に、図4に示された切換制御装置を一部拡大して、切換制御装置の構成を示した。図7では、一対のうち右側に示された部分を代表的に示しており、楔体駆動油圧シリンダ19によって移動される楔体17を表している。楔体17は、その下面が楔体受ブロック16の上端部に形成された斜面に当接するまで移動されて、楔体17の上面が、トッププラテン6の下面に、そして、その下面が、楔体受ブロックの斜面に圧接された状態である。
【0053】
そこで、θを、楔体17の下面が水平面となす角度又は楔対受ブロックの斜面の勾配角とし、加圧力制御シリンダによる加圧力を、Fとし、楔体により発生する分力を、Frとする。この分力Frは、楔体を、図において右方向に戻そうとする力でもある。さらに、楔体駆動油圧シリンダ19によって楔体に発生する力を、Fcとし、楔体17の上面側接触面Mと下面側接触面Nの摩擦係数を、μとする。そして、各接触面M及びNに発生する摩擦力を、Fμとする。
【0054】
この様に、記号化できた場合に、加圧力油圧シリンダによって発生した力Fが加えられたとき、楔体17が、戻されない条件として、
Fr≦Fc+2・fμ
の関係が満足されることを必要とする。ここで、Fr=F・tanθ、fμ=μ・Fの関係が成立するので、上記の関係を整理すると、
Fc≧F(tanθ―2・μ)
となる。従って、少なくとも、(tanθ−2・μ)≦0の条件が成立することによって、楔体17は、加圧力油圧シリンダの作動による加圧力Fによって戻されないことになる。つまり、楔体の圧入によって、所謂、セルフロックの機能が働くことを意味している。実際には、例えば、−0.05<tanθ−2・μ<0.05のような条件の範囲で、勾配角が選択される。
【0055】
一般的に、摺動面M及びNが潤滑条件にあっても、各面における摺動摩擦係数μの大きさは、約0.05であるので、この大きさであると、勾配角θは、約6度となる。よって、楔体17の下面が水平面となす角度又は楔対受ブロックの斜面の勾配角を6度以下にすれば、鍛造成形における切換工程において、速度制御工程から加圧力制御工程に移行するときに、速度制御油圧シリンダの最大加圧力を超える加圧力が楔体に加わっても、楔体が押し戻されることがない。そのため、楔体のセルフブロック機能が作用してトッププラテン6と可動盤3の間隔が変化せず、速度制御油圧シリンダが最大加圧力を超える加圧力に負けることがなくなる。
【0056】
また、楔体に関して、上述のセルフロック機能の条件が成立するとして、楔体17が、楔体受ブロック16に対して、図面において下方に押す力をf2とすると、
f2=Fc/tanθ
の関係が成立するので、楔体駆動油圧シリンダから楔体に加えられる力は、Fc=f2・tanθと表せる。ここで、θ=6(度)とすれば、tan6≒0.105であるので、Fcは、f2の約1/10となる。逆に言い換えれば、Fcが、f2の約10倍の力に変換される。そのため、図7に示されたように、楔体を用いた切換制御装置は、楔体駆動油圧シリンダの出力より大きい力に対するセルフロック機能が発揮されるばかりでなく、楔体駆動油圧シリンダの出力が小さくても大きな加圧力を発生することができるので、半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程から加圧力制御工程への切換時の工程を実施するための好適な機構といえる。
【0057】
以上に説明した切換制御装置が、図4に示した本実施形態の鍛造装置に組み込まれている。そこで、鍛造装置に組み込まれた切換制御装置の具体的動作について、図を参照しながら、以下に説明する。図8は、本実施形態の鍛造装置を使用して半凝固金属成形体を鍛造成形する場合について、速度制御工程、切換工程及び加圧力制御工程に係るストローク距離の関係を模式的に表したものである。同図では、上金型1が引き上げられ、上流工程で生成された半凝固金属成形体24が、鍛造成形のため、キャビティC2内に搬入された状態が示されている。
【0058】
図8において示されたストローク距離の基準は、上金型1の下面又は下金型2の上面に置いている。ストローク距離S1は、半凝固金属成形体24の搬入用のスペースであり、ストローク距離S1の間においては、上金型1が、速度制御油圧シリンダ10及び12によって下降される。このときの下降速度は、例えば、最高速度の1m/sec程度であり、速度制御油圧シリンダ10及び12による加圧力をf1とすれば、この間は、f1≒0となっている。
【0059】
ストローク距離S2は、速度制御工程域Avに対応した区間である。該距離S2は、上金型1が更に下降され、半凝固金属成形体24の上端がキャビティC1の内面に接触した位置から、半凝固金属成形体24が圧縮変形されてキャビティ内にほぼ充填完了の直前の位置までを指している。このときの加圧力F1としては、速度制御油圧シリンダ10及び12の出力の0から90%程度が加えられている。加圧速度Vは、約1m/secから0.1m/secの範囲で制御される。
【0060】
ストローク距離d1は、速度制御工程域Avから加圧力制御工程域Apに移行する切換工程域Acに対応した区間である。この区間では、上述した切換制御装置が作動し、一定の加圧速度、例えば、約0.1m/secを維持しながら、加圧力F2が加えられる。この加圧力F2は、加圧力F1の2倍程度の大きさである。
【0061】
ストローク距離d2は、切換工程域Acを完了した後における加圧力制御工程域Apに対応した区間である。この区間では、加圧力制御油圧シリンダ14及び15の動作による加圧力F3で、下金型2が上方に押し上げられる。この加圧力F3については、最終加圧力Pmaxとして昇圧時間と保持時間の制御が実施され、半凝固金属成形体24の内部に存在するガスを押し潰し、凝固収縮に追従して金属組織の緻密度を向上している。この区間では、加圧力F3の力が、加圧力F2より大きいので、下金型2の上昇によりキャビティ内の圧力が高まり、上金型1の下降が阻止されている。そして、切換制御装置のセルフロック機能によって、上金型1は、切換工程域Acの切換完了時の位置で保持される。
【0062】
以上で、図8を示して、鍛造成形における金型の各ストローク距離の関係について説明したが、次に、具体的に、図4に示された鍛造装置における速度制御工程、切換工程、そして加圧力制御工程の動作について、図9(a)乃至(c)を参照しながら説明する。図9(a)乃至(c)では、図示を簡単化するため、図4に示された鍛造装置の右側の半分を示し、タイロッド7と速度制御油圧シリンダ10が図示されていないが、それらは、図示を省略されただけであって、実際には備えられている。
【0063】
図9(a)では、キャビティ内の半凝固金属成形体に対する鍛造成形の速度制御工程をほぼ終了する直前の状態が示されている。速度制御油圧シリンダの作動により、上金型1が、ストローク距離S2だけ下降制御され、半凝固金属成形体が、圧縮変形されて、キャビティ内にほぼ充填完了されている。ここで、楔体駆動油圧シリンダ19が作動して、楔体17が初期位置から所定距離Kだけ移動される。楔体17の上面は、トッププラテンの下面を摺動し、楔体17の下面が、楔体受ブロック16の斜面に接触している。この状態においては、上金型1の下面と下金型2の上面の間隔は、距離d1+d2になっている。
【0064】
次いで、図9(b)に示されるように、切換工程が開始され、楔体駆動油圧シリンダ19がさらに駆動制御されて、楔体17が圧入される。楔体17の圧入により、力f2が、楔体受ブロック16に加えられる。結果として、上金型1には、速度制御油圧シリンダ19による力f1と楔体17の圧入による力f2とが合された力F2が加えられる。そこで、キャビティ内の半凝固金属成形体にも、力F2が加圧力として加えられ、上金型1が、ストローク距離d1だけ押し下げられる。この状態においては、上金型1の下面と下金型2の上面の間隔は、距離d2になっている。
【0065】
なお、ここでは、力F2について、f1+f2として説明したが、速度制御油圧シリンダ19による力f1のみでも、実行可能である。しかし、f1+f2の力を利用した方が、型圧縮力を大きくすることができるので、有利である。
【0066】
さらに、図9(c)に示されるように、上金型1の下面と下金型2の上面の間隔が、距離d2になる直前で、加圧力制御油圧シリンダ15を駆動して、力F3を発生させる。加圧力制御油圧シリンダ15の駆動開始は、図9(b)に示された切換工程の制御が完了する前であることが重要であり、力F2より大きく、最終加圧力Pmaxを発生する力F3が、下金型2に加えられたときに、切換工程における加圧力制御工程への切り換えが完了したことになる。
【0067】
加圧力制御油圧シリンダ15の駆動が開始されると、該油圧シリンダ15によって、台盤4が基台5から押し上げられるとともに、下金型2も押し上げられ、半凝固金属成形体に加圧力F3が加えられる。距離d3だけ押し上げられたとき、型閉状態となる。ここで、距離d3は、ストローク距離d2にほぼ等しくなるが、この型閉状態になったとき、加圧力F3によって、キャビティ内の半凝固金属成形体に最終加圧力Pmaxが得られるように、搬入される半凝固金属成形体の容積がキャビティの容積に合うように調整されるとよい。
【0068】
なお、加圧力制御油圧シリンダ15によって、加圧力F3を発生させるには、この大きさに見合った反力が必要である。図9(c)に示された鍛造装置の場合では、この反力は、f1+f3となっている。この力f3には、楔体駆動油圧シリンダ19の駆動に従って発生した力f2も含まれている。
【0069】
ここで、切換制御装置のセルフロック機能について前述されたように、楔体の勾配角を6度以下に設定しておくことにより、楔体受ブロック16から楔体17に、力f2の約10倍の大きさを持つ力Fが作用しても、楔体17は押し戻されない。そこで、加圧力F3の大きさは、力f2の5倍から10倍に設定されるので、楔体17は、押し戻されることが無く、充分に反力を受けることができる。
【0070】
楔体駆動制御油圧シリンダ19による力f2は、速度制御油圧シリンダの最大出力f1の2倍に設定されていれば、楔体17の作用によって、力f1の1/5の大きさで力f1の2倍の力を発生することが可能であるとともに、力f2の5倍から10倍になる反力に耐えることができる。
【0071】
以上の様に、本実施形態の鍛造装置では、図4に示されるように、楔体を作動できる切換制御装置が備えられ、この切換制御装置の動作によって、図2及び図3に示された加圧力曲線Pのように、速度制御工程から加圧力制御工程に移行するとき、加圧速度が止まることなく、連続した加圧力制御が実行される。そこで、本実施形態の鍛造装置において、この様な加圧力制御を実行するための制御システムについて、以下に説明する。
【0072】
図10は、本実施形態の鍛造装置における制御システムの概要が、ブロック構成で示されている。この制御システムは、制御装置30、入力手段31、表示器32、記憶手段33、ダイハイト調整制御装置34、速度制御装置35、楔体駆動制御装置36、加圧力制御装置37、速度制御シリンダ位置検出器38、楔***置検出器39、そして、加圧力制御シリンダ位置検出器40を有している。
【0073】
制御装置30は、キーボード、GUIなどによる入力手段31から入力される情報や、速度制御シリンダ位置検出器38、楔***置検出器39及び加圧力制御シリンダ位置検出器40によって検出された位置情報、更には、記憶手段33に設定された制御情報に基づいて、ダイハイト調整装置34、速度制御装置35、楔体駆動装置36、加圧力制御装置37を駆動制御し、制御システム全体を管理している。
【0074】
ここで、ダイハイト調整制御装置34は、ダイハイト調整装置9を動作させて上金型1と下金型2との間隔を調整する。速度制御装置35は、速度制御油圧シリンダ10及び12を動作させて可動盤3を上昇又は下降させる。楔体駆動制御装置36は、楔体駆動油圧シリンダ19及び20を動作させて楔体17及び18を移動又は圧入させる。そして、加圧力制御装置37は、加圧力制御油圧シリンダ14及び15を動作させて台盤4とともに下金型2を上昇させる。
【0075】
また、速度制御シリンダ位置検出器38は、速度制御油圧シリンダ10及び12に取付けられており、シリンダロッド11及び13の出入位置を検出し、可動盤3の上昇又は下降に合わせて、上金型1の下面に係るストローク距離S1、S2及びd1を検出する。楔***置検出器39は、楔体駆動油圧シリンダ19及び20に取付けられ、楔体17及び18の移動した位置を検出する。そして、加圧力制御シリンダ位置検出器40は、加圧力制御油圧シリンダ14及び15に関連して取付けられ、台盤4の上昇によるストローク距離d2又はd3を検出する。
【0076】
ところで、本実施形態の鍛造装置において、半凝固金属成形体を鍛造成形して得られる製品の品質に影響を及ぼすストローク距離d1及びd2に対して、楔体の移動距離をどう決めるかは重要なことである。そこで、上述した制御システムを備えた鍛造装置において、楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めを行う手順を、図11及び図12を参照して説明する。図11には、楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めを行う手順に係るフローチャートが示され、図12には、本実施形態の鍛造装置において、該手順の実行に関連した部分の動作状態が示されている。
【0077】
図12に示された鍛造装置は、図9に示したのと同様な図示の仕方であるが、図9の鍛造装置と異なる点は、図12では、楔体駆動油圧シリンダ19に楔***置検出器39が設けられていることである。楔体17は、初期位置に退避した状態で示されている。ただし、図12における鍛造装置には、半凝固金属成形体は、キャビティ内に搬入されていない。
【0078】
先ず、楔体駆動油圧シリンダ19が駆動されて、楔体17は、初期位置から、適宜設定した基準距離Ksだけ移動される(ステップS1)。このときには、楔体17の下面が、楔体受ブロック16の斜面に当たらないように、楔体17と楔体受ブロック16の斜面との間隙gを大きめに開ける(ステップS2)。この間隙gは、ダイハイト調整装置9によって、トッププラテン6の下面の高さHaを調整されて大きく開けられる。
【0079】
次いで、ダイハイト調整装置9によるダイハイト調整によって、上金型1を下降させ、上金型1と下金型2との間隔を0として、型閉状態にする(ステップS3)。この型閉状態とすることにより、d1+d2=0とすることができる。
【0080】
ここで、ダイハイト調整によって型閉状態になっても、トッププラテン6は、尚も下降し、遂には、楔体17の下面が、楔体受ブロック16の斜面に圧接されることになり、間隙gが0になって(ステップS4)、そこで、ダイハイト調整が、停止される。
【0081】
次いで、間隙gが0になったときに、制御装置30は、トッププラテン6の下面と基台5の上面との距離Haを求め、基準高さHb=Ha+d2を演算し、このHbを、制御装置の制御データとして、記憶手段33に格納する(ステップS5)。ここで、ストローク距離d2は、所定の加圧力Pが得られる予測値にしておく。
【0082】
基準高さHbが求められたところで、楔体駆動油圧シリンダ19を作動させ、楔体17を初期位置に戻す(ステップS6)。楔体17が、完全に初期位置に戻って退避状態になってから、速度制御油圧シリンダを作動させて、可動盤3を上昇させることにより、上金型1をストローク距離S1+S2+d1だけ上げる(ステップS7)。ここでも、ストローク距離d1も、所定の加圧力Pが得られる予測値としておく。
【0083】
なお、上金型1がストローク距離S1+S2+d1だけ上げられたときには、楔体受ブロック16は、トッププラテン6の開口部に収容されるため、楔体受ブロック16の高さH0は、上金型1がストローク距離S1+S2+d1だけ上げられるだけの十分な大きさに設計される必要がある。
【0084】
以上によって、半凝固金属成形体の鍛造成形の準備が完了したことになる(ステップS8)。しかし、ステップS7において、上金型1が上げられたストローク距離S1+S2+d1は、暫定的に決められた大きさであって、半凝固金属成形体を鍛造成形して得た製品の品質が満足されるものとなるかどうかは分からない。そこで、キャビティ内に半凝固金属成形体を搬入し、実際に、当該半凝固金属成形体の鍛造成形を実行する(ステップS9)。
【0085】
この鍛造成形において、ストローク距離d1が得られるように、楔体17が圧入されるので、楔***置検出器39から、楔体17の実際に移動したストローク距離が読み取られ、楔体17の圧入距離Kが取得される(ステップS10)。そこで、当初に設定した基準距離Ksと取得された距離Kとを比較し、Ks−K=ΔKの演算によって、距離偏差ΔKを算出する(ステップS11)。
【0086】
次いで、算出されたΔKに基づいて、基準高さHbを調整する(ステップS12)。ここで、ΔKが、負になっているときは、Hbが大きくなる方向に、そして、ΔKが、正であるときは、Hbが小さくなる方向になる制御ロジックで、制御装置30が、ダイハイト調整制御装置39にダイハイト調整を指示し、基準高さHbを自動調整する。このダイハイト調整量ΔHbは、ΔHb=ΔK・tanθによって演算され、制御データとなる。
【0087】
この様にして、距離偏差ΔKが、0となるように、ダイハイト調整が実行され、半凝固金属成形体の鍛造成形における最終加圧力Pmaxが、型閉状態であるd1+d2=0のときに得られる基準高さHbに調整される。これ以降においては、調整された基準高さHbにトッププラテン6をダイハイト調整して保持したままで、上金型1をストローク距離S1+S2+d1だけ上げることにより、鍛造装置は、鍛造成形の準備完了状態にされる。
【0088】
次に、以上で説明したように、基準高さHbが適切に調整された本実施形態の鍛造装置を使用して、半凝固金属成形体を鍛造成形する制御手順について、図13に示したフローチャートを参照して説明する。
【0089】
先ず、トッププラテン6の高さが、ダイハイト調整装置9の駆動によって、基準高さHbに調整され、トッププラテン6が、その高さHbで保持される(ステップS21)。
【0090】
次いで、楔体17及び18が、楔体駆動油圧シリンダ19及び20の作動によって初期位置に戻され、退避された後(ステップS22)、上金型1が、速度制御油圧シリンダ10及び12の作動によって、ストローク距離S1+S2+d1だけ上げられる(ステップS23)。
【0091】
ここで、上金型1と下金型2との間隔が、半凝固金属成形体の搬入スペースとなり、鍛造成形準備状態になったので、上流工程で生成された半凝固金属成形体をキャビティC2内に搬入する(ステップS24)。
【0092】
そこで、半凝固金属成形体がキャビティC2内に搬入された後に、速度制御油圧シリンダ10及び12を駆動して(ステップS25)、上金型1をストローク距離S1だけ下降させ、搬入された半凝固金属成形体の上端部をキャビティC1の内面に到達させる。さらに、上金型1を続けて下降させ、半凝固金属成形体の圧縮変形処理が行われる(ステップS26)。この処理が行われている間が、速度制御工程となっている。
【0093】
この速度制御工程の間、速度制御シリンダ位置検出器38によって、上金型1のストローク変化が検出され、ストローク距離S2が把握されている。該検出器38が、上金型1の位置がストローク距離S2に近づいたことを検出したとき、制御装置30は、楔体駆動油圧シリンダ19及び20を駆動させて、楔体17及び18を初期位置から移動させ(ステップS27)、速度制御シリンダ位置検出器38がストローク距離d1を検出するまで、楔体17及び18を圧入する(ステップS28)。この段階が、速度制御工程から加圧力制御工程への切換工程になっている。
【0094】
次いで、速度制御シリンダ位置検出器38がストローク距離d1を検出する直前に、制御装置30は、加圧力制御油圧シリンダ14及び15を駆動し、キャビティ内の圧力が、最終加圧力Pmaxとなるまで、下金型2を押し上げる(ステップS29)。この段階が、切換工程後の加圧力制御工程になっている。
【0095】
加圧力制御シリンダ位置検出器40が、シリンダ位置d2を検出したとき、加圧力制御油圧シリンダ14及び15の作動を停止する(ステップS30)。このとき、ストローク距離d2=0となっており、キャビティ内の圧力は、最終加圧力Pmaxになっており、加圧力制御工程の処理が完了したことになる。そして、半凝固金属成形体の鍛造成形は、終了している。
【0096】
ここで、制御装置30は、速度制御油圧シリンダ10及び12を作動させて、上金型1をストローク距離S1+S2+d1だけ上げ、そして、加圧力制御油圧シリンダ14及び15を駆動して、下金型2をストローク距離d2だけ下げて(ステップS31)、鍛造成形が終了した製品を取り出す(ステップS32)。製品が取り出された後では、キャビティC2は、空となり、次の半凝固金属成形体の鍛造成形に向けて準備完了の状態になる。
【0097】
このように、本実施形態の鍛造装置では、最初にトッププラテンの高さを所定の基準高さに設定して保持させ、その後の半凝固金属成形体の鍛造成形に当たっては、上金型をストローク距離S1+S2+d1だけ上昇又は下降を繰り返せばよく、半凝固金属成形体の鍛造成形中には、半凝固金属成形体への加圧速度を0にすることなく、速度制御工程から加圧力制御工程に連続して切り換えられ、キャビティ内の圧力を所望の最終加圧力Pmaxに到達させることができる。そのため、所望の加圧力曲線に沿って加圧力制御された半凝固金属成形体による鍛造成形を実行できる。
【0098】
【発明の効果】
以上の様に、本発明の半凝固金属成形体の鍛造成形においては、半凝固金属成形体の大部分がキャビティ内に充填されるまでを、高い加圧速度で圧縮成形する速度制御工程と、その大部分が充填された後の冷却工程である加圧力制御工程とに分離して制御することとしたので、速度制御工程に対しては、上金型を下降制御する流体プレス装置として、比較的低圧でも、ストロークの長い流体シリンダを備え、また、加圧力制御工程に対しては、ストロークは短くても、高圧力が得られる流体シリンダを備えることができ、一台で大出力の油圧プレス装置で加圧制御する代りに、これらの流体シリンダの装備で済み、より短時間の制御が可能となり、製品の高品質化が実現されるとともに、省エネルギー化、そして、低コスト化が図られる。
【0099】
また、本発明の半凝固金属成形体の鍛造装置では、一対の楔体による切換制御装置が備えられ、この切換制御装置の作動によって、半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程から加圧力制御工程に移行するときの切換工程を実施するようにしたので、半凝固金属成形体の鍛造成形中には、半凝固金属成形体への加圧速度を0にすることなく、速度制御工程から加圧力制御工程に連続して切り換えることを実現でき、キャビティ内の圧力を所望の最終加圧力Pmaxに容易に到達させることができる。そのため、半凝固金属成形体による鍛造成形製品の品質を向上でき、品質の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】半凝固金属成形体の鍛造成形における時間に対する圧力変化を説明するグラフである。
【図2】本発明における半凝固金属成形体の鍛造成形における圧縮ストロークに対する圧力変化を説明するグラフである。
【図3】図2に示されたグラフにおいて、圧縮ストロークのメモリを拡大して示した要部の圧力変化のグラフである。
【図4】本実施形態の鍛造装置の概略構成を説明する側面から見た図である。
【図5】本実施形態の鍛造装置に概略構成を説明する上面から見た図である。
【図6】本実施形態の鍛造装置において鍛造成形される半凝固金属成形体の製造工程を説明する図である。
【図7】本実施形態の鍛造装置に設けられている楔体の作用を説明する図である。
【図8】半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程、切換工程及び加圧力制御工程に係るストローク距離の関係を説明する図である。
【図9】本実施形態の鍛造装置による半凝固金属成形体の鍛造成形における速度制御工程、切換工程及び加圧力制御工程を説明する図である。
【図10】本実施形態の鍛造装置に関わる制御装置を説明する概略ブロック構成を示した図である。
【図11】本実施形態の鍛造装置に設けられた楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めの仕方を説明するフローチャートである。
【図12】本実施形態の鍛造装置における楔体の基準距離の設定とトッププラテンの位置決めに関連した動作を説明する図である。
【図13】本実施形態の鍛造装置を使用して半凝固金属成形体を鍛造成形する制御手順を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1…上金型
2…下金型
3…可動盤
4…台盤
5…基台
6…トッププラテン
7、8…タイロッド
9…ダイハイト調整装置
10、12…速度制御油圧シリンダ
11、13…シリンダロッド
14、15…加圧力制御油圧シリンダ
16…楔受ブロック
17、18…楔体
19、20…楔体駆動油圧シリンダ
22…溶湯容器
23…カップ
24…半凝固金属成形体
30…制御装置
31…入力手段
32…表示器
33…記憶手段
34…ダイハイト調整装置
35…速度制御装置
36…楔体駆動装置
37…加圧力制御装置
38…速度制御シリンダ位置検出器
39…楔***置検出器
40…加圧力制御シリンダ位置検出器
C1、C2…キャビティ
Claims (15)
- 上金型と下金型とにより形成される成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する半凝固金属成形体の鍛造制御方法において、
前記上金型の下降により、前記下金型の前記成形キャビティ内に載置された前記半凝固金属成形体を圧縮成形する速度制御工程と、
前記上金型が第1ストローク距離を下降したとき、前記下金型を上昇させて、前記キャビティ内で圧縮成形された前記半凝固金属成形体に最終成形圧力を加える加圧力制御工程と、
を有することを特徴とした半凝固金属成形体の鍛造制御方法。 - 前記速度制御工程から前記加圧力制御工程に移行するとき、前記速度制御工程の最終段階で生成された圧力より大きい圧力を発生させる切換工程を有することを特徴とする請求項1に記載の半凝固金属成形体の鍛造制御方法。
- 前記切換工程において、前記上金型は、楔係合部材の挿入に応じて第2ストローク距離を下降され、前記半凝固金属成形体に対して加圧することを特徴とする請求項2に記載の半凝固金属成形体の鍛造制御方法。
- 前記加圧力制御工程において、前記上金型が前記第2ストローク距離を下降したとき、前記下金型を第3ストローク距離だけ上昇させることにより、前記最終成形圧力が前記半凝固金属成形体に生成されることを特徴とする請求項3に記載の半凝固金属成形体の鍛造制御方法。
- 上下に昇降可能な成形キャビティを有する上金型と、該上金型の下面に対向して成形キャビティを有する下金型とにより、該成形キャビティ内で半凝固金属成形体を鍛造成形する半凝固金属成形体の鍛造装置において、
前記上金型を下面に取付けられた可動盤を昇降させる第1駆動装置と、
前記第1駆動装置が取付けられたトッププラテンを昇降するダイハイト調整装置と、
前記上金型の下面に対向する位置に前記下金型が載置された台盤を昇降する第2駆動装置と、
を備えた半凝固金属成形体の鍛造装置。 - 前記第1駆動装置は、前記半凝固金属成形体の高さ方向で圧縮成形する速度制御工程において長ストローク距離で作動する第1流体シリンダを有し、
前記第2駆動装置は、前記成形キャビティ内で圧縮成形された前記半凝固金属成形体に最終成形圧力を加える加圧力制御工程において短ストローク距離で作動する第2流体シリンダを有し、
前記第2流体シリンダの径が、前記第1流体シリンダの径より大きいことを特徴とする請求項5に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。 - 前記可動盤の上面に載置され、頭部に所定角を有する斜面が形成された楔受ブロックと、
前記トッププラテンに取付けられた第3流体シリンダの作動により該トッププラテンの下面に沿って移動し、該下面と前記斜面との間に挿入される楔体と、を備え、
前記楔体の上下面が前記トッププラテンの下面と前記斜面とに摺動して圧入されたとき、前記上金型が該楔体の圧入ストロークに対応したストローク距離で下降されることを特徴とする請求項5又は6に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。 - 前記楔受ブロックは、前記頭部において、互いに対向した位置に少なくとも一対の前記斜面を有し、
前記楔体は、前記一対の斜面に対応した2個の楔体を含み、該楔体が互いに反対方向に同期して移動されることを特徴とする請求項7に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。 - 前記トッププラテンは、前記第1流体シリンダの作動により前記可動盤が上昇したとき、該可動盤の上昇に伴う前記楔受ブロックの上昇に対応して該楔受ブロックを収容する開口部分を有することを特徴とする請求項7又は8に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。
- 前記楔体は、前記第3流体シリンダの動作により、前記楔受ブロックが上昇しているとき、初期位置に退避され、該楔受ブロックが下降した状態のとき、該初期位置から所定ストローク距離だけ移動されることを特徴とする請求項9に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。
- 前記半凝固金属成形体を前記成形キャビティ内で鍛造成形する制御を実行する制御装置を備え、
前記制御装置は、前記第3流体シリンダを作動して前記楔体を初期位置から基準ストローク距離だけ移動させ、該楔体を前記トッププラテンの下面と前記斜面とに接触させた状態で、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記上金型と前記下金型を接触させたときに、前記トッププラテンの下面から前記第2流体シリンダを内蔵する基台の上面までの距離を求め、該距離に該第2流体シリンダによる最終成形圧力が生成される第2ストローク距離を加算して基準高さを演算することを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。 - 前記制御装置は、前記ダイハイト調整装置を駆動して前記トッププラテンの下面の位置を前記基準高さに維持し、前記第3流体シリンダを動作させて前記楔体を前記初期位置に移動させた後、前記半凝固金属成形体の前記成形キャビティ内への搬入用の高さと、前記半凝固金属成形体の圧縮成形に係る高さと、前記第2ストローク距離と、前記第3流体シリンダの動作による前記楔体の圧入によって前記上金型が下降する第3ストローク距離とを加算した距離だけ前記第1流体シリンダを動作させて前記可動盤を上昇させ、当該半凝固金属成形体の鍛造開始準備の完了とすることを特徴とする請求項11に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。
- 前記制御装置は、
前記ダイハイト調整装置を駆動して前記トッププラテンを前記基準高さに維持した後、前記第1流体シリンダを動作させて前記可動盤を前記搬入用高さと前記圧縮成形高さだけ前記可動盤を下降させ、
下降させた前記上金型によって当該半凝固金属成形体に対する速度制御工程を実行し、
前記上金型と前記下金型の距離が、前記第2ストローク距離と前記第3ストローク距離とを加算した距離となり、前記第1流体シリンダの作動圧が設定値になったとき、前記第3流体シリンダを作動させて、前記楔体を圧入し前記上金型を前記第3ストローク距離だけ下降させる切換工程を実行し、
前記上金型と前記下金型の距離が前記第2ストローク距離になったとき、前記第2流体シリンダを作動させて前記下金型を前記最終成形圧力が得られるまで上昇させる加圧力制御工程を実行することを特徴とする請求項12に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。 - 前記制御装置は、当該半凝固金属成形体に係る鍛造成形を完了したとき、前記楔体に係る圧入位置を計測し、該圧入位置と前記基準ストローク距離とに基づいて、前記基準高さを調整し、該基準高さを次半凝固金属成形体に係る鍛造成形開始時の前記トッププラテンの前記基台に対する高さとすることを特徴とする請求項13に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。
- 前記楔体は、前記トッププラテンの下面と平行な楔上面と、前記楔受ブロックの前記斜面と平行な楔下面とを有し、該斜面の前記所定角をθ、前記下面と前記楔上面と、及び、前記斜面と前記楔下面との摩擦係数をμとしたとき、少なくとも、(tanθ−2μ)≦0の関係が成立するものであることを特徴とする請求項7乃至14のいずれか一項に記載の半凝固金属成形体の鍛造装置。
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