JP2005028204A - スプレーガンの補助装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】スプレーガンから接着剤等の液剤をスプレー塗布するに際し、円筒状の対象物の内面に対しても近距離から良好に接着剤をスプレー塗布できるようにする。
【解決手段】液剤噴出口30と霧化エアを噴出する霧化エア噴出口32とをスプレーノズル14に備えた補助装置16をスプレーガンに取り付けて使用する。その補助装置16は、スプレーノズル14から出た液剤の粒子とエアとを含む噴霧流に対して、スプレーノズル14の外部且つ側方からエアの噴出流をスプレーノズル14の軸線と直角方向に噴出し、スプレーノズル14から出た噴霧流全体の向きをサイドエアの吹付けによって軸線と直角方向に変化させるものとする。
【選択図】 図2
【解決手段】液剤噴出口30と霧化エアを噴出する霧化エア噴出口32とをスプレーノズル14に備えた補助装置16をスプレーガンに取り付けて使用する。その補助装置16は、スプレーノズル14から出た液剤の粒子とエアとを含む噴霧流に対して、スプレーノズル14の外部且つ側方からエアの噴出流をスプレーノズル14の軸線と直角方向に噴出し、スプレーノズル14から出た噴霧流全体の向きをサイドエアの吹付けによって軸線と直角方向に変化させるものとする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は接着剤や塗料等の液剤を霧状に対象物に吹き付けて塗布するスプレーガンの補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、接着剤や塗料その他各種の液剤を対象物に吹き付けて塗布するためのものとしてスプレーガンが広く用いられている。
このスプレーガンは、スプレーノズルに液剤噴出口とその液剤を霧化するための霧化エアを噴出する霧化エア噴出口とを備えており、液剤噴出口からの液剤に対してエアを衝突させて液剤を微粒子として霧化させ、そしてこれをエアの噴出流に乗せて対象物にスプレー塗布する。
【0003】
図10はこの種スプレーガンの一例(詳しくはその要部)を具体的に示している。
同図において200はスプレーガンのガン本体から延び出したスプレーノズルである。
このスプレーノズル200は、ガン本体から外パイプ201,中パイプ203を同軸状に延び出させて構成してあり、先端にプロテクタ202が装着してある。
【0004】
スプレーノズル200には、液剤噴出口204と、霧化エアを噴出する霧化エア噴出口206とが設けられており、液剤通路208を通じて送られて来た液剤が液剤噴出口204から噴出されるとともに、主エア通路210を通じて送られて来たエアが霧化エア噴出口206から噴出され、そして液剤噴出口204から噴出された液剤に対し霧化エア噴出口206から噴出されたエアが衝突して液剤が微粒化され、その噴霧流Aがエアの噴出流に乗って対象物212の表面にスプレー塗布される。
【0005】
しかしながら従来のスプレーガンの場合、スプレーノズル200から出た直後の液剤粒子は未だ十分に微粒化されていない粗い粒子であり、このため図に示しているように液剤のスプレー塗布に際しては、スプレーノズル200と対象物212との間隔を十分に取って(例えばD=80mm程度)スプレー塗布することが必要であった。
【0006】
この場合、液剤の噴霧流Aは対象物212に到るまでに大きく広がることとなり、即ち対象物212の表面積に対して液剤の噴霧範囲が大きく広がることとなり、その結果として対象物212に塗布されない液剤の量が多くなってロスを多く生じ、対象物212に対する塗着率が低くなるのみならず、対象物212に塗布されなかった液剤が周辺に飛び散ってしまうといった問題があった。
【0007】
これを避けようとしてスプレーノズル200を対象物212に近づけてスプレー塗布すると、対象物212に対する液剤の塗布が良好に行えず、塗布むらを生じたり膜厚の不均一を招いてしまう。
【0008】
また従来のスプレーガンは、対象物に対して遠距離から液剤をスプレー塗布しなければならないため、塗布面が例えば円筒状の対象物の内面である場合、その内面に対してスプレーノズルを直角に向けて液剤を噴霧することができず、即ち円筒状の対象物の外部且つ遠く離れた位置からその内面に液剤をスプレー塗布せざるを得ず、この場合対象物の外面に対しても液剤がスプレー塗布されてしまわないように、その外面をマスキングしておかなければならず、そのために多大な手間を要するといった問題があった。
【0009】
更に従来のスプレーガンの場合、液剤の噴霧を停止したときにスプレーノズル先端から液剤が垂れ落ちるといった問題があり、またその後乾いたときにノズル先端が固まった液剤で閉塞してしまうことがあるといった問題があった。
【0010】
この種スプレーガンについては、従来から様々なものが提案されているが、何れも基本的にスプレーノズルの軸線と同じ方向に液剤を噴霧するもの、即ち液剤の噴霧流の軸線とノズルの軸線とが同一のものであった。
【0011】
例えば下記特許文献1には、塗装用ノズルについての考案が示され、そこにおいて塗料噴出口の周りに主エア噴出口と補助エア噴出口とを設け、更にこれから半径方向に離れた位置にパターンエア噴出口を設けた点が開示されているが、この考案は補助エア噴出口を蓋体にて一部若しくは全体的に閉塞してエアの供給量を制御するものであって、塗料の噴霧の向きはノズルの軸線と同一の向きであり、円筒状の対象物の内面に対して無駄少なく液剤を塗布することができない点で上記スプレーガンと同様の問題を有している。
また対象物から遠く離れた位置から塗料を噴霧しなければならない点でも上記図10に示すスプレーガンと同様の問題を有している。
【0012】
また下記特許文献2には、エア霧化式スプレーガンについての考案が示され、そこにおいて上記と同様に塗料噴出口の周りに環状空気孔と、補助空気孔、更にそれより径方向に離れた位置においてエアを斜めに噴出する側面空気孔を設けた点が開示されているが、この考案は環状空気孔を楕円形状として塗料の噴霧パターンを制御するものであって、上記図10に示すスプレーガン及び特許文献1に開示のものと同様にスプレーノズルの軸線と同方向に塗料を噴霧するものであり、上記と同様の問題が内在している。
【0013】
他方、下記特許文献3には液体吹付方法およびその装置についての発明が示され、そこにおいてスプレーガンの先端に移送パイプを取り付け、更にその移送パイプの先端にエルボを取り付けて、スプレーノズルからの噴霧流の向きを変えて対象物にスプレー塗布するようにした点が開示されている。
【0014】
しかしながら特許文献3に開示のものは、スプレーノズルから一旦噴霧された液剤の噴霧流を、単に管体にて導くだけのものであり、対象物に対して近距離から液剤を十分に微粒化した上で良好に塗布することが困難である問題があるとともに、噴霧流を導く管体の内面に液剤が付着し、堆積し易いといった問題がある。
【0015】
【特許文献1】
実開平7−3736号公報
【特許文献2】
実開平7−39954号公報
【特許文献2】
特公平7−24799号公報
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のスプレーガンの補助装置はこのような問題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、液剤噴出口と該液剤を霧化するための霧化エアを噴出する霧化エア噴出口とをスプレーノズルに備えたスプレーガンに取り付けられる補助装置であって、(イ)前記スプレーガンの前記スプレーノズルから出た液剤の粒子とエアとを含む噴霧流に対して、該スプレーノズルの外部且つ側方であって該スプレーノズル及び噴霧流の軸線に対し交叉する方向からエアの噴出流を吹き付けるサイドエア噴出口、及び該サイドエア噴出口に対してエアを供給するサイドエア通路を備えたハウジングと、(ロ)該ハウジングを前記スプレーガンに取り付ける取付手段とを備え、前記スプレーノズルから出た噴霧流全体の向きを、該サイドエアの吹付けによって前記軸線と交叉する方向且つ該サイドエアの吹付方向に変化させるようになしたことを特徴とする。
【0017】
請求項2のものは、請求項1において、前記サイドエア通路は前記スプレーノズルの霧化エア噴出口に対しエアを供給する主エア通路と独立して設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記サイドエア噴出口に対して供給されるエアの供給圧力が前記霧化エア噴出口に供給されるエアの供給圧力よりも1.5〜5倍の高圧力に設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記サイドエアの噴出の向きが、前記軸線と直角方向を基準として60°の範囲内であることを特徴とする。
【0020】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記液剤の塗布面が筒状の対象物の内面であることを特徴とする。
【0021】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、スプレーガンに補助装置を取り付け、その補助装置のサイドエア噴出口からのサイドエアの噴出によって、スプレーノズルから出た噴霧流全体の向きを、スプレーノズルの軸線と交叉する方向に且つサイドエアの吹付方向に変化させるようになしたもので、本発明によれば、そのサイドエアの吹付方向に応じて噴霧流全体の向きを様々に変化させることができる。
【0022】
また本発明では、スプレーノズルから一旦噴出された液剤粒子とエアとの混合流、即ち液剤の噴霧流全体の向きをサイドエアの吹付けによって変えるものであることから、スプレーノズルから出た直後の未だ十分に微粒化していない粗い液剤粒子を、サイドエアの吹付時に2次的にエアとミキシングしてこれを迅速に微粒化することができる。
【0023】
従って本発明によれば、対象物表面に対して近距離から液剤をスプレー塗布することができ、そのようにしても対象物表面に液剤をむらなく均一に塗布することができる。
それ故本発明によれば、比較的口径の小さな筒状の対象物の内面に対しても、スプレーノズルを補助装置とともにその内部に挿入した状態で液剤をスプレー塗布することができる。
その際、サイドエアの吹付方向をノズルの軸線と直角方向としておけば、筒状の対象物の内面に対して直角向きに液剤をスプレー塗布することが可能となる。
【0024】
また本発明によれば、近距離から対象物に対して液剤をスプレー塗布することができるため、図10に示す従来のスプレーガンからだけの液剤のスプレー塗布のように、スプレーノズルからの液剤の噴霧流が対象物表面に到ったところで大きく広がった状態となって、対象物表面に塗布されない液剤が多量に発生するといったことがなく、スプレーノズルから出た液剤の多くを対象物表面に塗布することができ、対象物に対する液剤の塗着率を従来よりも高めることができる。
これにより液剤に要するコストを低減でき、また周辺に飛散する液剤の量を少なくすることができる。
【0025】
本発明ではまた、スプレーガンからの液剤の噴霧を停止した後に、一定時間サイドエアの噴出を続けることによって、スプレーノズル先端から液剤が垂れ落ちたり、或いはスプレーノズル先端に残った液剤が固化してノズル閉塞を起すといった問題を解消できる利点も得られる。
【0026】
ここで上記サイドエア通路は、スプレーノズルの霧化エア噴出口に対してエアを供給する主エア通路と独立したものとなしておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、サイドエアの噴出圧力や噴出量を、スプレーノズルの霧化エア噴出口からの霧化エア噴出に対して様々に独立して制御することができる。
【0027】
またサイドエアとして供給されるエアの供給圧力は、主エア通路を通じて供給されるエア圧力よりも1.5〜5倍の高圧力となしておくことができる(請求項3)。
このようにすることによって、サイドエアの噴出によりスプレーノズルからの液剤の噴霧流に打ち勝って噴霧流の向きを強制的にサイドエアの噴出方向に変化させることができる。
【0028】
本発明ではまた、サイドエアの噴出の向きをスプレーノズルの軸線と直角方向を基準として60°の範囲内(好ましくは45°の範囲内)となしておくことができる(請求項4)。
【0029】
また本発明は、筒状の対象物の内面を塗布面としてそこに液剤をスプレー塗布するものとして好適に適用可能である(請求項5)。
【0030】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10はスプレーガンで、12はガン本体、14はガン本体12から延び出したスプレーノズルで、16はそのスプレーノズル14の先端部に取り付けられた本例の補助装置である。
即ちこの例において、補助装置16はスプレーノズル14の先端部においてスプレーガン10に取り付けられている。
【0031】
図2に示しているように、スプレーノズル14はガン本体12から外パイプ18及び中パイプ20を延び出させて構成してあり、その先端にプロテクタ22が装着されている。
ここでプロテクタ22は、その先端において周方向3箇所で爪24が内向きに突き出しており、それら爪24によって中パイプ20を把持する状態に取り付けられている。
【0032】
スプレーノズル14において、中パイプ20はその内部に接着剤を供給する液剤通路26を形成しており、また外パイプ18はその内部且つ中パイプ20周りに、霧化エアを供給する主エア通路28を形成している。
これら液剤通路26及び主エア通路28の先端は、それぞれ液剤噴出口30及び霧化エア噴出口32とされている。
【0033】
スプレーノズル14に取り付けられた本例の補助装置16は、ハウジング34を有しており、そのハウジング34の先端にサイドエア噴出口36を備えている。
またその内部にはサイドエアをサイドエア噴出口36に供給するサイドエア通路38が形成されている。
【0034】
ここでサイドエア噴出口36は、スプレーノズル14の外部の直近位置に且つスプレーノズル14の軸線に対し略直角向きに設けられている。
そしてこのサイドエア噴出口36にサイドエアを供給するサイドエア通路38は、スプレーノズル14の軸線と平行方向に延びる縦通路38aと、これから直角に折れ曲ってサイドエア噴出口36に到る横通路38bとを有している。
【0035】
ハウジング34は、ブロック状の第1部材40とフランジ付円筒形状の第2部材42とを有している。
第1部材40には、図3,図4及び図5に示しているように雌ねじ孔44が設けられていて、そこに第2部材42の雄ねじ管部46がねじ込まれ、それらの螺合によって第1部材40と第2部材42とが締結されている。
【0036】
この第2部材42の内部には、サイドエアを送り込むためのパイプ48が挿入されている。
ハウジング34、具体的には第1部材40には、図3,図4及び図5に示しているように取付孔50が設けられており、その取付孔50にスプレーノズル14を挿入させた状態で、かかるハウジング34が、ハウジング34に設けられた雌ねじ孔52への止めねじ54のねじ込みにより、プロテクタ22を介してスプレーノズル14に取付固定されている。
【0037】
尚、ここではハウジング34が直接的にスプレーガン10に取付固定されているが、ハウジング34以外の部位をスプレーガン10に固定することによって間接的にハウジング34をスプレーガン10に取り付けるようになすこともできる。
【0038】
本例では、ガン本体12からスプレーノズル14の先端の液剤噴出口30に接着剤が液剤通路26を通じて供給され、またこれを霧化させるための霧化エアが、主エア通路28を通じてその先端の霧化エア噴出口32に供給される。
そして霧化エア噴出口32からの霧化エアの噴出によって、液剤噴出口30から噴出された接着剤が霧化される。
このときの接着剤の噴霧流はスプレーノズル14の軸線方向となる。
【0039】
本例では、このスプレーノズル14からの接着剤の噴霧に際して、補助装置16のサイドエア噴出口36から、サイドエア通路38を通じて送られて来たサイドエアをスプレーノズル14の軸線と直角向きに噴出させる。
このときのサイドエアの供給圧力は、スプレーノズル14における霧化エア噴出口32への霧化エアの供給圧力よりも高圧力とされる。具体的には霧化エアの供給圧力に対しサイドエアの供給圧力が1.5〜5倍の範囲、好ましくは3〜5倍とされる。
【0040】
この補助装置16におけるサイドエア噴出口36からのサイドエアの噴出によって、スプレーノズル14の先端から一旦その軸線方向に噴出された接着剤の噴霧流は、その向きをサイドエアの噴出方向、即ちスプレーノズル14の軸線と直角方向に変化させ、そして向きを変化させた噴霧流Aがサイドエア噴出口36から所定距離離れた位置の対象物に吹き付けられる。
【0041】
以上のように本例の補助装置16は、スプレーノズル14から一旦噴霧された接着剤の噴霧流を、サイドエア噴出口36からのサイドエアの噴出により、スプレーノズル14の軸線と直角方向にその向きを変化させるものであり、従って本例の補助装置16を用いれば、スプレーノズル14の軸線と平行をなす塗布面に対しても接着剤を良好にスプレー塗布することができる。
【0042】
図6はその一例を示したもので、ここでは筒状(本例では円筒)の対象物56の内面に接着剤をスプレー塗布するようにしている。
ここでスプレーノズル14の先端と対象物56の内面との距離dは約20mmの近距離である。
【0043】
図7は本発明の他の実施例を示したもので、この例はサイドエア噴出口36の向きを、スプレーノズル14の軸線と直角方向に対し角度θだけ下向きに傾けたもので、このようにしておけば、下部に水平な段部58を有する段付の対象物60の内面に対し、単にスプレーノズル14及び補助装置16を図中上下に移動させて行くだけで、水平な段部58の内面を含む対象物60内面全体に良好に接着剤をスプレー塗布することができる。
尚このとき、対象物60を回転させながらスプレーノズル14及び補助装置16を移動させて接着剤をスプレー塗布して行く。この点は図6の実施例においても同様である。
【0044】
また図8に示しているように、軸方向一端(図中上端)に水平なフランジ部61を有する円筒形状の対象物62の、フランジ部61上面及び対象物62の内面に対して接着剤をスプレー塗布するに際しても、同様にして支障無く接着剤のスプレー塗布を行うことができる。
【0045】
以上のように本例によれば、スプレーノズル14から出た噴霧流全体の向きを、サイドエア噴出口36からのサイドエアの吹付けによって変化させることができる。
またスプレーノズル14から出た直後の、未だ十分に微粒化していない粗い接着剤粒子を、サイドエアの吹付けによって2次的にエアとミキシングし直ちに微粒化できるため、対象物表面に対し近距離から接着剤をスプレー塗布することができ、そのようにしても対象物表面に良好に接着剤塗布を行うことができる。
従って本例によれば、筒状の対象物内面に対しても接着剤を良好にスプレー塗布することができる。
【0046】
また本例によれば、近距離から対象物に対して接着剤をスプレー塗布することができるため、スプレーノズル14から出た接着剤の多くを対象物表面に塗着することができ、接着剤のロスを従来より少なくすることができる。
これにより接着剤に要するコストを低減でき、また周辺に飛散する接着剤の量を少なくすることができる。
【0047】
因みに表1及び表2は、図9に示す内外筒接着タイプの防振ゴム64における内筒金具68及び外筒金具66を対象物として、その内筒金具68の外面と外筒金具66の内面とに本例の装置を用いて接着剤を塗布したときの、接着剤の塗着量その他を従来のスプレーガンを用いた場合と比較して示したものである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
尚、表1は内筒金具68の外面に対して接着剤を塗布した場合を、また表2は外筒金具66の内面に対して接着剤を塗布した場合をそれぞれ示している。
尚内筒金具68は外径20mm,長さ40mmで塗布面積は30cm2、外筒金具66は内径55mm,長さ40mmで塗布面積は65cm2である。
【0051】
これら表1及び表2の結果から、本例の補助装置16を用いることで接着剤の塗着率が高く、従って接着剤のロス量(捨て量)も少なく、接着剤の消費量も少なくて済むことが分る。
【0052】
その他に、本例によればスプレーノズル14から液剤の噴霧を停止した後に、一定時間サイドエアの噴出を続けることによって、スプレーノズル14の先端から接着剤が垂れ落ちたり、或いはスプレーノズル14の先端に残った接着剤が固化してノズル閉塞を起すといった問題を解消できる利点も得られる。
【0053】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明は上例以外の他の様々な対象物に対して接着剤をスプレー塗布する際に適用することができるし、またスプレー塗布すべき液剤として接着剤のみならず塗料その他の各種液剤を用いることが可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の補助装置をスプレーガンへの取付状態で示す図である。
【図2】同実施例の補助装置をスプレーガンへの取付状態で拡大して示す図である。
【図3】同実施例の補助装置を各部材に分解して示す図である。
【図4】同実施例の補助装置の要部の斜視図である。
【図5】図4と同じ要部の平面構成,側面断面構成及び正面構成を示す図である。
【図6】同実施例の補助装置を用いた接着剤の塗布例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例の補助装置とこれを用いた接着剤の塗布例を示す図である。
【図8】図7とは異なる塗布例を示す図である。
【図9】表1及び表2の効果確認試験に用いた接着剤の塗布対象物を示す図である。
【図10】従来のスプレーガンの要部を塗布対象とともに示す図である。
【符号の説明】
10 スプレーガン
14 スプレーノズル
16 補助装置
28 主エア通路
30 液剤噴出口
32 霧化エア噴出口
34 ハウジング
36 サイドエア噴出口
38 サイドエア通路
50 取付孔(取付手段)
52 雌ねじ孔(取付手段)
54 止めねじ(取付手段)
56,60,62 対象物
A 噴霧流
【発明の属する技術分野】
この発明は接着剤や塗料等の液剤を霧状に対象物に吹き付けて塗布するスプレーガンの補助装置に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来より、接着剤や塗料その他各種の液剤を対象物に吹き付けて塗布するためのものとしてスプレーガンが広く用いられている。
このスプレーガンは、スプレーノズルに液剤噴出口とその液剤を霧化するための霧化エアを噴出する霧化エア噴出口とを備えており、液剤噴出口からの液剤に対してエアを衝突させて液剤を微粒子として霧化させ、そしてこれをエアの噴出流に乗せて対象物にスプレー塗布する。
【0003】
図10はこの種スプレーガンの一例(詳しくはその要部)を具体的に示している。
同図において200はスプレーガンのガン本体から延び出したスプレーノズルである。
このスプレーノズル200は、ガン本体から外パイプ201,中パイプ203を同軸状に延び出させて構成してあり、先端にプロテクタ202が装着してある。
【0004】
スプレーノズル200には、液剤噴出口204と、霧化エアを噴出する霧化エア噴出口206とが設けられており、液剤通路208を通じて送られて来た液剤が液剤噴出口204から噴出されるとともに、主エア通路210を通じて送られて来たエアが霧化エア噴出口206から噴出され、そして液剤噴出口204から噴出された液剤に対し霧化エア噴出口206から噴出されたエアが衝突して液剤が微粒化され、その噴霧流Aがエアの噴出流に乗って対象物212の表面にスプレー塗布される。
【0005】
しかしながら従来のスプレーガンの場合、スプレーノズル200から出た直後の液剤粒子は未だ十分に微粒化されていない粗い粒子であり、このため図に示しているように液剤のスプレー塗布に際しては、スプレーノズル200と対象物212との間隔を十分に取って(例えばD=80mm程度)スプレー塗布することが必要であった。
【0006】
この場合、液剤の噴霧流Aは対象物212に到るまでに大きく広がることとなり、即ち対象物212の表面積に対して液剤の噴霧範囲が大きく広がることとなり、その結果として対象物212に塗布されない液剤の量が多くなってロスを多く生じ、対象物212に対する塗着率が低くなるのみならず、対象物212に塗布されなかった液剤が周辺に飛び散ってしまうといった問題があった。
【0007】
これを避けようとしてスプレーノズル200を対象物212に近づけてスプレー塗布すると、対象物212に対する液剤の塗布が良好に行えず、塗布むらを生じたり膜厚の不均一を招いてしまう。
【0008】
また従来のスプレーガンは、対象物に対して遠距離から液剤をスプレー塗布しなければならないため、塗布面が例えば円筒状の対象物の内面である場合、その内面に対してスプレーノズルを直角に向けて液剤を噴霧することができず、即ち円筒状の対象物の外部且つ遠く離れた位置からその内面に液剤をスプレー塗布せざるを得ず、この場合対象物の外面に対しても液剤がスプレー塗布されてしまわないように、その外面をマスキングしておかなければならず、そのために多大な手間を要するといった問題があった。
【0009】
更に従来のスプレーガンの場合、液剤の噴霧を停止したときにスプレーノズル先端から液剤が垂れ落ちるといった問題があり、またその後乾いたときにノズル先端が固まった液剤で閉塞してしまうことがあるといった問題があった。
【0010】
この種スプレーガンについては、従来から様々なものが提案されているが、何れも基本的にスプレーノズルの軸線と同じ方向に液剤を噴霧するもの、即ち液剤の噴霧流の軸線とノズルの軸線とが同一のものであった。
【0011】
例えば下記特許文献1には、塗装用ノズルについての考案が示され、そこにおいて塗料噴出口の周りに主エア噴出口と補助エア噴出口とを設け、更にこれから半径方向に離れた位置にパターンエア噴出口を設けた点が開示されているが、この考案は補助エア噴出口を蓋体にて一部若しくは全体的に閉塞してエアの供給量を制御するものであって、塗料の噴霧の向きはノズルの軸線と同一の向きであり、円筒状の対象物の内面に対して無駄少なく液剤を塗布することができない点で上記スプレーガンと同様の問題を有している。
また対象物から遠く離れた位置から塗料を噴霧しなければならない点でも上記図10に示すスプレーガンと同様の問題を有している。
【0012】
また下記特許文献2には、エア霧化式スプレーガンについての考案が示され、そこにおいて上記と同様に塗料噴出口の周りに環状空気孔と、補助空気孔、更にそれより径方向に離れた位置においてエアを斜めに噴出する側面空気孔を設けた点が開示されているが、この考案は環状空気孔を楕円形状として塗料の噴霧パターンを制御するものであって、上記図10に示すスプレーガン及び特許文献1に開示のものと同様にスプレーノズルの軸線と同方向に塗料を噴霧するものであり、上記と同様の問題が内在している。
【0013】
他方、下記特許文献3には液体吹付方法およびその装置についての発明が示され、そこにおいてスプレーガンの先端に移送パイプを取り付け、更にその移送パイプの先端にエルボを取り付けて、スプレーノズルからの噴霧流の向きを変えて対象物にスプレー塗布するようにした点が開示されている。
【0014】
しかしながら特許文献3に開示のものは、スプレーノズルから一旦噴霧された液剤の噴霧流を、単に管体にて導くだけのものであり、対象物に対して近距離から液剤を十分に微粒化した上で良好に塗布することが困難である問題があるとともに、噴霧流を導く管体の内面に液剤が付着し、堆積し易いといった問題がある。
【0015】
【特許文献1】
実開平7−3736号公報
【特許文献2】
実開平7−39954号公報
【特許文献2】
特公平7−24799号公報
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明のスプレーガンの補助装置はこのような問題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、液剤噴出口と該液剤を霧化するための霧化エアを噴出する霧化エア噴出口とをスプレーノズルに備えたスプレーガンに取り付けられる補助装置であって、(イ)前記スプレーガンの前記スプレーノズルから出た液剤の粒子とエアとを含む噴霧流に対して、該スプレーノズルの外部且つ側方であって該スプレーノズル及び噴霧流の軸線に対し交叉する方向からエアの噴出流を吹き付けるサイドエア噴出口、及び該サイドエア噴出口に対してエアを供給するサイドエア通路を備えたハウジングと、(ロ)該ハウジングを前記スプレーガンに取り付ける取付手段とを備え、前記スプレーノズルから出た噴霧流全体の向きを、該サイドエアの吹付けによって前記軸線と交叉する方向且つ該サイドエアの吹付方向に変化させるようになしたことを特徴とする。
【0017】
請求項2のものは、請求項1において、前記サイドエア通路は前記スプレーノズルの霧化エア噴出口に対しエアを供給する主エア通路と独立して設けられていることを特徴とする。
【0018】
請求項3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記サイドエア噴出口に対して供給されるエアの供給圧力が前記霧化エア噴出口に供給されるエアの供給圧力よりも1.5〜5倍の高圧力に設定されていることを特徴とする。
【0019】
請求項4のものは、請求項1〜3の何れかにおいて、前記サイドエアの噴出の向きが、前記軸線と直角方向を基準として60°の範囲内であることを特徴とする。
【0020】
請求項5のものは、請求項1〜4の何れかにおいて、前記液剤の塗布面が筒状の対象物の内面であることを特徴とする。
【0021】
【作用及び発明の効果】
以上のように本発明は、スプレーガンに補助装置を取り付け、その補助装置のサイドエア噴出口からのサイドエアの噴出によって、スプレーノズルから出た噴霧流全体の向きを、スプレーノズルの軸線と交叉する方向に且つサイドエアの吹付方向に変化させるようになしたもので、本発明によれば、そのサイドエアの吹付方向に応じて噴霧流全体の向きを様々に変化させることができる。
【0022】
また本発明では、スプレーノズルから一旦噴出された液剤粒子とエアとの混合流、即ち液剤の噴霧流全体の向きをサイドエアの吹付けによって変えるものであることから、スプレーノズルから出た直後の未だ十分に微粒化していない粗い液剤粒子を、サイドエアの吹付時に2次的にエアとミキシングしてこれを迅速に微粒化することができる。
【0023】
従って本発明によれば、対象物表面に対して近距離から液剤をスプレー塗布することができ、そのようにしても対象物表面に液剤をむらなく均一に塗布することができる。
それ故本発明によれば、比較的口径の小さな筒状の対象物の内面に対しても、スプレーノズルを補助装置とともにその内部に挿入した状態で液剤をスプレー塗布することができる。
その際、サイドエアの吹付方向をノズルの軸線と直角方向としておけば、筒状の対象物の内面に対して直角向きに液剤をスプレー塗布することが可能となる。
【0024】
また本発明によれば、近距離から対象物に対して液剤をスプレー塗布することができるため、図10に示す従来のスプレーガンからだけの液剤のスプレー塗布のように、スプレーノズルからの液剤の噴霧流が対象物表面に到ったところで大きく広がった状態となって、対象物表面に塗布されない液剤が多量に発生するといったことがなく、スプレーノズルから出た液剤の多くを対象物表面に塗布することができ、対象物に対する液剤の塗着率を従来よりも高めることができる。
これにより液剤に要するコストを低減でき、また周辺に飛散する液剤の量を少なくすることができる。
【0025】
本発明ではまた、スプレーガンからの液剤の噴霧を停止した後に、一定時間サイドエアの噴出を続けることによって、スプレーノズル先端から液剤が垂れ落ちたり、或いはスプレーノズル先端に残った液剤が固化してノズル閉塞を起すといった問題を解消できる利点も得られる。
【0026】
ここで上記サイドエア通路は、スプレーノズルの霧化エア噴出口に対してエアを供給する主エア通路と独立したものとなしておくことができる(請求項2)。
このようにすることで、サイドエアの噴出圧力や噴出量を、スプレーノズルの霧化エア噴出口からの霧化エア噴出に対して様々に独立して制御することができる。
【0027】
またサイドエアとして供給されるエアの供給圧力は、主エア通路を通じて供給されるエア圧力よりも1.5〜5倍の高圧力となしておくことができる(請求項3)。
このようにすることによって、サイドエアの噴出によりスプレーノズルからの液剤の噴霧流に打ち勝って噴霧流の向きを強制的にサイドエアの噴出方向に変化させることができる。
【0028】
本発明ではまた、サイドエアの噴出の向きをスプレーノズルの軸線と直角方向を基準として60°の範囲内(好ましくは45°の範囲内)となしておくことができる(請求項4)。
【0029】
また本発明は、筒状の対象物の内面を塗布面としてそこに液剤をスプレー塗布するものとして好適に適用可能である(請求項5)。
【0030】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において10はスプレーガンで、12はガン本体、14はガン本体12から延び出したスプレーノズルで、16はそのスプレーノズル14の先端部に取り付けられた本例の補助装置である。
即ちこの例において、補助装置16はスプレーノズル14の先端部においてスプレーガン10に取り付けられている。
【0031】
図2に示しているように、スプレーノズル14はガン本体12から外パイプ18及び中パイプ20を延び出させて構成してあり、その先端にプロテクタ22が装着されている。
ここでプロテクタ22は、その先端において周方向3箇所で爪24が内向きに突き出しており、それら爪24によって中パイプ20を把持する状態に取り付けられている。
【0032】
スプレーノズル14において、中パイプ20はその内部に接着剤を供給する液剤通路26を形成しており、また外パイプ18はその内部且つ中パイプ20周りに、霧化エアを供給する主エア通路28を形成している。
これら液剤通路26及び主エア通路28の先端は、それぞれ液剤噴出口30及び霧化エア噴出口32とされている。
【0033】
スプレーノズル14に取り付けられた本例の補助装置16は、ハウジング34を有しており、そのハウジング34の先端にサイドエア噴出口36を備えている。
またその内部にはサイドエアをサイドエア噴出口36に供給するサイドエア通路38が形成されている。
【0034】
ここでサイドエア噴出口36は、スプレーノズル14の外部の直近位置に且つスプレーノズル14の軸線に対し略直角向きに設けられている。
そしてこのサイドエア噴出口36にサイドエアを供給するサイドエア通路38は、スプレーノズル14の軸線と平行方向に延びる縦通路38aと、これから直角に折れ曲ってサイドエア噴出口36に到る横通路38bとを有している。
【0035】
ハウジング34は、ブロック状の第1部材40とフランジ付円筒形状の第2部材42とを有している。
第1部材40には、図3,図4及び図5に示しているように雌ねじ孔44が設けられていて、そこに第2部材42の雄ねじ管部46がねじ込まれ、それらの螺合によって第1部材40と第2部材42とが締結されている。
【0036】
この第2部材42の内部には、サイドエアを送り込むためのパイプ48が挿入されている。
ハウジング34、具体的には第1部材40には、図3,図4及び図5に示しているように取付孔50が設けられており、その取付孔50にスプレーノズル14を挿入させた状態で、かかるハウジング34が、ハウジング34に設けられた雌ねじ孔52への止めねじ54のねじ込みにより、プロテクタ22を介してスプレーノズル14に取付固定されている。
【0037】
尚、ここではハウジング34が直接的にスプレーガン10に取付固定されているが、ハウジング34以外の部位をスプレーガン10に固定することによって間接的にハウジング34をスプレーガン10に取り付けるようになすこともできる。
【0038】
本例では、ガン本体12からスプレーノズル14の先端の液剤噴出口30に接着剤が液剤通路26を通じて供給され、またこれを霧化させるための霧化エアが、主エア通路28を通じてその先端の霧化エア噴出口32に供給される。
そして霧化エア噴出口32からの霧化エアの噴出によって、液剤噴出口30から噴出された接着剤が霧化される。
このときの接着剤の噴霧流はスプレーノズル14の軸線方向となる。
【0039】
本例では、このスプレーノズル14からの接着剤の噴霧に際して、補助装置16のサイドエア噴出口36から、サイドエア通路38を通じて送られて来たサイドエアをスプレーノズル14の軸線と直角向きに噴出させる。
このときのサイドエアの供給圧力は、スプレーノズル14における霧化エア噴出口32への霧化エアの供給圧力よりも高圧力とされる。具体的には霧化エアの供給圧力に対しサイドエアの供給圧力が1.5〜5倍の範囲、好ましくは3〜5倍とされる。
【0040】
この補助装置16におけるサイドエア噴出口36からのサイドエアの噴出によって、スプレーノズル14の先端から一旦その軸線方向に噴出された接着剤の噴霧流は、その向きをサイドエアの噴出方向、即ちスプレーノズル14の軸線と直角方向に変化させ、そして向きを変化させた噴霧流Aがサイドエア噴出口36から所定距離離れた位置の対象物に吹き付けられる。
【0041】
以上のように本例の補助装置16は、スプレーノズル14から一旦噴霧された接着剤の噴霧流を、サイドエア噴出口36からのサイドエアの噴出により、スプレーノズル14の軸線と直角方向にその向きを変化させるものであり、従って本例の補助装置16を用いれば、スプレーノズル14の軸線と平行をなす塗布面に対しても接着剤を良好にスプレー塗布することができる。
【0042】
図6はその一例を示したもので、ここでは筒状(本例では円筒)の対象物56の内面に接着剤をスプレー塗布するようにしている。
ここでスプレーノズル14の先端と対象物56の内面との距離dは約20mmの近距離である。
【0043】
図7は本発明の他の実施例を示したもので、この例はサイドエア噴出口36の向きを、スプレーノズル14の軸線と直角方向に対し角度θだけ下向きに傾けたもので、このようにしておけば、下部に水平な段部58を有する段付の対象物60の内面に対し、単にスプレーノズル14及び補助装置16を図中上下に移動させて行くだけで、水平な段部58の内面を含む対象物60内面全体に良好に接着剤をスプレー塗布することができる。
尚このとき、対象物60を回転させながらスプレーノズル14及び補助装置16を移動させて接着剤をスプレー塗布して行く。この点は図6の実施例においても同様である。
【0044】
また図8に示しているように、軸方向一端(図中上端)に水平なフランジ部61を有する円筒形状の対象物62の、フランジ部61上面及び対象物62の内面に対して接着剤をスプレー塗布するに際しても、同様にして支障無く接着剤のスプレー塗布を行うことができる。
【0045】
以上のように本例によれば、スプレーノズル14から出た噴霧流全体の向きを、サイドエア噴出口36からのサイドエアの吹付けによって変化させることができる。
またスプレーノズル14から出た直後の、未だ十分に微粒化していない粗い接着剤粒子を、サイドエアの吹付けによって2次的にエアとミキシングし直ちに微粒化できるため、対象物表面に対し近距離から接着剤をスプレー塗布することができ、そのようにしても対象物表面に良好に接着剤塗布を行うことができる。
従って本例によれば、筒状の対象物内面に対しても接着剤を良好にスプレー塗布することができる。
【0046】
また本例によれば、近距離から対象物に対して接着剤をスプレー塗布することができるため、スプレーノズル14から出た接着剤の多くを対象物表面に塗着することができ、接着剤のロスを従来より少なくすることができる。
これにより接着剤に要するコストを低減でき、また周辺に飛散する接着剤の量を少なくすることができる。
【0047】
因みに表1及び表2は、図9に示す内外筒接着タイプの防振ゴム64における内筒金具68及び外筒金具66を対象物として、その内筒金具68の外面と外筒金具66の内面とに本例の装置を用いて接着剤を塗布したときの、接着剤の塗着量その他を従来のスプレーガンを用いた場合と比較して示したものである。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
尚、表1は内筒金具68の外面に対して接着剤を塗布した場合を、また表2は外筒金具66の内面に対して接着剤を塗布した場合をそれぞれ示している。
尚内筒金具68は外径20mm,長さ40mmで塗布面積は30cm2、外筒金具66は内径55mm,長さ40mmで塗布面積は65cm2である。
【0051】
これら表1及び表2の結果から、本例の補助装置16を用いることで接着剤の塗着率が高く、従って接着剤のロス量(捨て量)も少なく、接着剤の消費量も少なくて済むことが分る。
【0052】
その他に、本例によればスプレーノズル14から液剤の噴霧を停止した後に、一定時間サイドエアの噴出を続けることによって、スプレーノズル14の先端から接着剤が垂れ落ちたり、或いはスプレーノズル14の先端に残った接着剤が固化してノズル閉塞を起すといった問題を解消できる利点も得られる。
【0053】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示であり、本発明は上例以外の他の様々な対象物に対して接着剤をスプレー塗布する際に適用することができるし、またスプレー塗布すべき液剤として接着剤のみならず塗料その他の各種液剤を用いることが可能であるなど、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の補助装置をスプレーガンへの取付状態で示す図である。
【図2】同実施例の補助装置をスプレーガンへの取付状態で拡大して示す図である。
【図3】同実施例の補助装置を各部材に分解して示す図である。
【図4】同実施例の補助装置の要部の斜視図である。
【図5】図4と同じ要部の平面構成,側面断面構成及び正面構成を示す図である。
【図6】同実施例の補助装置を用いた接着剤の塗布例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施例の補助装置とこれを用いた接着剤の塗布例を示す図である。
【図8】図7とは異なる塗布例を示す図である。
【図9】表1及び表2の効果確認試験に用いた接着剤の塗布対象物を示す図である。
【図10】従来のスプレーガンの要部を塗布対象とともに示す図である。
【符号の説明】
10 スプレーガン
14 スプレーノズル
16 補助装置
28 主エア通路
30 液剤噴出口
32 霧化エア噴出口
34 ハウジング
36 サイドエア噴出口
38 サイドエア通路
50 取付孔(取付手段)
52 雌ねじ孔(取付手段)
54 止めねじ(取付手段)
56,60,62 対象物
A 噴霧流
Claims (5)
- 液剤噴出口と該液剤を霧化するための霧化エアを噴出する霧化エア噴出口とをスプレーノズルに備えたスプレーガンに取り付けられる補助装置であって、
(イ)前記スプレーガンの前記スプレーノズルから出た液剤の粒子とエアとを含む噴霧流に対して、該スプレーノズルの外部且つ側方であって該スプレーノズル及び噴霧流の軸線に対し交叉する方向からエアの噴出流を吹き付けるサイドエア噴出口、及び該サイドエア噴出口に対してエアを供給するサイドエア通路を備えたハウジングと、(ロ)該ハウジングを前記スプレーガンに取り付ける取付手段とを備え、前記スプレーノズルから出た噴霧流全体の向きを、該サイドエアの吹付けによって前記軸線と交叉する方向且つ該サイドエアの吹付方向に変化させるようになしたことを特徴とするスプレーガンの補助装置。 - 請求項1において、前記サイドエア通路は前記スプレーノズルの霧化エア噴出口に対しエアを供給する主エア通路と独立して設けられていることを特徴とするスプレーガンの補助装置。
- 請求項1,2の何れかにおいて、前記サイドエア噴出口に対して供給されるエアの供給圧力が前記霧化エア噴出口に供給されるエアの供給圧力よりも1.5〜5倍の高圧力に設定されていることを特徴とするスプレーガンの補助装置。
- 請求項1〜3の何れかにおいて、前記サイドエアの噴出の向きが、前記軸線と直角方向を基準として60°の範囲内であることを特徴とするスプレーガンの補助装置。
- 請求項1〜4の何れかにおいて、前記液剤の塗布面が筒状の対象物の内面であることを特徴とするスプレーガンの補助装置。
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-
2003
- 2003-07-07 JP JP2003192602A patent/JP2005028204A/ja active Pending
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