JP2005011478A - 回折格子とその作製方法及び複製方法並びにその回折格子を用いた光ヘッド装置及び光ディスクドライブ装置 - Google Patents
回折格子とその作製方法及び複製方法並びにその回折格子を用いた光ヘッド装置及び光ディスクドライブ装置 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】本発明に係る回折格子20は、格子部が複数の領域20−1〜20−3に分割され、各領域20−1〜20−3からの回折光は光検出器の対応した個別の光検出領域PD(1)〜(3)で受光されるように設定され、格子部の各領域は、光源の発光点と等価な位置から出射する発散光と各光検出領域に対応した受光点と等価な位置から出射する発散光とによる干渉縞を記録材料へ露光する2光束干渉露光、あるいは光源の発光点と等価な位置へ集光する収束光と各光検出領域に対応した受光点と等価な位置へ集光する収束光とによる干渉縞を記録材料へ露光する2光束干渉露光で形成されていることを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回折格子(ホログラム)とその作製方法及び複製方法、並びにその回折格子を用いた光ヘッド装置(光ピックアップ装置)、及びその光ヘッド装置を搭載した光ディスクドライブ装置に関し、さらには、複数の光源を備え、CD(コンパクト・ディスク)系の光ディスク(CD,CD−R,CD−RW等)、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)系の光ディスク(DVD、DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW等)、青色半導体レーザを光源とした高密度光ディスクなどの使用する波長の異なる複数規格の光記録媒体(光ディスク)に対して記録または再生を行なうことが可能な光ヘッド装置及びその光ヘッド装置を搭載した光ディスクドライブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ディスクドライブ装置における光ヘッド装置(光ピックアップ装置とも言う)として、光記録媒体である光ディスクからの反射光を回折光学素子により分岐し、光検出器で受光する光学系を備えたものが種々提案されており、回折光学素子として、偏光性の回折格子(ホログラム)を用いたものが知られている。例えば特許文献1には、複屈折媒体に凹凸格子を設けて、少なくとも凹部に等方性媒体を充填することで、光の偏光方向により回折効率の異なる偏光性を有するようにした回折格子(ホログラム)が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特許第2594548号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
図33及び図34に従来の光ヘッド装置及びその光ヘッド装置に用いる回折格子の一例を示す。
図33に示すように光ヘッド装置は、半導体レーザ等からなる光源8、回折格子7、カップリングレンズ10、1/4波長板11、集光レンズ(対物レンズ)12、光検出器9を備えた構成であり、光源8からの光をカップリングレンズ10により光学系に取り込み、集光レンズ(対物レンズ)12で光記録媒体である光ディスク13に集光し、該光ディスク13からの反射光を光検出器9で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう。
【0005】
回折格子7は例えば図34に示すように、透明基板1上に矩形凹凸形状を持つ複屈折(光学異方性)を示す媒体2が配置され、その上に光学的に等方性を示す媒体3が充填され、その上を透明基板1’で覆われている構成の偏光性回折格子であり、等方性媒体3の屈折率を複屈折媒体2の常光屈折率、または異常光屈折率のいずれかと等しくすることにより、偏光性(光学異方性)を示す回折格子となる。すなわち、ある方向の偏光に対してはほぼ全透過し、これと直交する偏光に対しては全回折するような特性を持たせることができる。
このような偏光性回折格子7を図33に示す光ヘッド装置の分岐素子として用いれば、光源8から光ディスク13へ向かう往路を全透過する偏光方向に設定して効率良く光ディスク13に集光させ、光路中に1/4波長板11を配置しておき光ディスク13からの反射光を往路の偏光方向とは直交して戻るようにさせて再び偏光性回折格子7に入射させると、復路光は全回折され光検出器9に効率良く受光されるようにでき、往路、復路とも高効率の光ヘッド装置が実現できる。
【0006】
図35に図34に示す偏光性回折格子7の入射角・対・+1次回折光の回折効率特性を示す。この偏光性回折格子7は、矩形格子の特性として、垂直入射を中心に約40%程度の回折効率を持つ。従来は図35の回折効率を持つ偏光性回折格子で十分であったが、図33に示す構成の光ヘッド装置が搭載される光ディスクドライブ装置の記録・再生速度(特に再生速度)を高速化させようとした場合、光ディスク13からの反射信号を光検出器9で受光する場合のS/N比を向上させるため、偏光性回折格子には40%以上の回折効率が必要となってくる。特に青色領域の半導体レーザを光源とした高密度光ディスクに適用する場合、記録情報の高密度化により再生信号帯域が広帯域となり、同時に光検出器の感度が青色領域では赤色あるいは赤外領域より感度低下することの2面から、光検出信号のS/N比の低下が生じる。このS/N比の低下を改善させるため、偏光性回折格子の復路効率(+1次回折効率)は40%を越えた高回折効率が必要となる。また、青色領域で光源、光検出器一体の小型ホログラムユニット(図33の光源8と光検出器9及び偏光性回折格子7が一体化したユニット)を実現するためには、偏光性回折格子に必要な格子ピッチは短波長化にともない、1μmオーダーの狭ピッチが必要となる。
【0007】
以上のように、今後の光源短波長化に伴い必要となる、狭ピッチで高回折効率の偏光性回折格子は、図34の矩形格子では+1次回折効率が40%以上にならないという点で実現できず、また、従来より片側の+1次回折効率を高効率化する方法であるブレーズ格子は80〜90%の高回折効率化はできるが、1μmオーダーの狭ピッチ化は加工の難易度が高く実現が困難である。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、その目的は、光ディスク用の光ヘッド装置に適用される回折格子において、片側の+1次(または−1次)回折効率の高効率化と格子ピッチの狭ピッチ化とを両立させることができる構成の回折格子、特に偏光性回折格子を実現することにある。また、本発明は、その回折格子の作製方法、及びその回折格子を複製して大量に生産する複製方法を提供することを目的とする。さらに本発明は、回折効率の高効率化と格子ピッチの狭ピッチ化とを両立させた回折格子を用いた光ヘッド装置、及びその光ヘッド装置を搭載した光ディスクドライブ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するための手段として、請求項1に係る発明は、光源からの光をカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光し、該光記録媒体からの反射光を光検出器で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ヘッド装置に用いられる回折格子において、格子部は複数の領域に分割され、各領域からの回折光は光検出器の対応した個別の光検出領域で受光されるように設定され、格子部の各領域は、光ヘッド装置の光源の発光点と等価な位置から出射する発散光と各光検出領域に対応した受光点と等価な位置から出射する発散光とによる干渉縞を記録材料へ露光する2光束干渉露光、あるいは光源の発光点と等価な位置へ集光する収束光と各光検出領域に対応した受光点と等価な位置へ集光する収束光とによる干渉縞を記録材料へ露光する2光束干渉露光で形成されていることを特徴とする。
また、請求項2に係る発明は、請求項1記載の回折格子を作製する際の作製方法であって、格子部の複数に分割された領域を個別に2光束干渉露光で形成するとき、各領域を規定するセクターマスクを記録材料の直前に配置して露光することを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1記載の回折格子あるいは請求項2記載の作製方法で作製した回折格子において、干渉露光により回折格子を形成する光の波長が光ヘッド装置の波長と異なり、回折格子の各領域は光ヘッド装置の光源発光点に対応して波長の違いに応じた位置から出射する発散光と光ヘッド装置の各検出領域の受光点に対応して波長の違いに応じた位置から出射する発散光とによるホログラム記録材料への2光束干渉露光、あるいは該光源発光点に対応して波長の違いに応じた位置へ集光する収束光と該各検出領域の受光点に対応して波長の違いに応じた位置へ集光する収束光とによる2光束干渉露光で形成されていることを特徴とする。
また、請求項4に係る発明は、請求項3記載の回折格子を作製する際の作製方法であって、作成した回折格子を光ヘッド装置に用いるとき光検出器に収差のない回折光が生じるように、2光束干渉露光の少なくとも一方の光学系に記録と再生で波長が異なるときの収差を逆補正する収差を持たせて回折格子を形成することを特徴とする。
さらに、請求項5に係る発明は、請求項4記載の回折格子の作製方法において、波長が異なるときの収差を逆補正する収差を持つホログラムを2光束干渉露光光学系中の少なくとも一方に配置して、ホログラムからの回折光を用いて干渉露光することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、回折格子の複製方法であり、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子を原板として用い、該原板を複製用記録材料に略密着し、原板側から光照射して原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製することを特徴とする。
また、請求項7に係る発明は、回折格子の複製方法であり、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を原板として用い、該原板を複製用記録材料に略密着し、原板側から光照射して原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製することを特徴とする。
【0012】
請求項8に係る発明は、請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光源の発光点と等価な位置に集光する収束光、あるいは光源発光点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする
また、請求項9に係る発明は、請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光源の発光点に対応して、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光源の発光点に対応して、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いたことを特徴とする。
さらに、請求項10に係る発明は、請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点と等価な位置に集光する収束光、あるいは複数の受光点のうちの1点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
さらにまた、請求項11に係る発明は、請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点に対応しており複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点に対応しており複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
さらにまた、請求項12に係る発明は、請求項10または11記載の回折格子の複製方法において、複製用照射光として、複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点としてフォーカス誤差信号を得るための光検出領域の受光点と対応した位置に集光する収束光、あるいは対応した位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
【0013】
請求項13に係る発明は、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、第二原板の回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光源発光点と等価な位置に集光する収束光、あるいは光源発光点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
また、請求項14に係る発明は、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、複製露光波長と光ヘッド装置の光源波長が異なっていて、第二原板の回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いたことを特徴とする。
【0014】
請求項15に係る発明は、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、第二原板回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光検出器に複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点と等価な位置に集光する収束光、あるいは複数の受光点のうちの1点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
また、請求項16に係る発明は、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、複製露光波長と光ヘッド装置の光源波長が異なっていて、第二原板回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光検出器に複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光検出器に複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
さらに、請求項17に係る発明は、請求項6〜16のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複製露光波長と光ヘッド装置の光源波長が異なるとき、原板側から照射する複製露光光学系には複製と再生で波長が異なるときの収差を逆補正する収差を持たせて複製露光することを特徴とする。
【0015】
請求項18に係る発明は、請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子のいずれかを原板として用い、原板側から光照射して原板から発生する透過0次光と1次回折光をリレー光学系を介して複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製することを特徴とする。
また、請求項19に係る発明は、請求項18記載の回折格子の複製方法において、リレー光学系により原板面と複製用記録材料面がほぼ結像の共役面となっていることを特徴とする。
さらに、請求項20に係る発明は、請求項18または19記載の回折格子の複製方法において、リレー光学系は2つのレンズ系から成り、原板に近い第一のレンズ系の前側焦点が原板面と一致し、第一のレンズ系の後側焦点と第二のレンズ系の前側焦点を一致させ、かつ第二のレンズ系の後側焦点が複製用記録材料面に一致していることを特徴とする。
【0016】
請求項21に係る発明は、請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長が光ヘッド装置の光源波長の近傍であり、該照射光として、光ヘッド装置の光源発光点と等価な位置に集光する収束光、あるいは光源発光点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
また、請求項22に係る発明は、請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長と光ヘッド装置の光源波長が異なり、該照射光として、光ヘッド装置の光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長の違いに応じた位置から出射する発散光を用いたことを特徴とする。
さらに、請求項23に係る発明は、請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長が光ヘッド装置の光源波長の近傍であり、該照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点と等価な位置に集光する収束光、あるいは複数の受光点のうちの1点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
さらにまた、請求項24に係る発明は、請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長と光ヘッド装置の光源波長とが異なり、該照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光検出器の複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いることを特徴とする。
さらにまた、請求項25に係る発明は、請求項18〜24のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、リレー光学系内に原板からの0次光と片方の1次光のみを透過させ、その他の次数の回折光を遮断する空間フィルタを配置したことを特徴とする。
さらにまた、請求項26に係る発明は、請求項21〜25のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板への複製用照射光の集光点、あるいは発散点を含んでリレー光学系光軸に垂直な面と、リレー光学系によるこれらの点からの光の再集光点を含む光軸に垂直な面との関係が、リレー光学系による結像の共役面となっていることを特徴とする。
さらにまた、請求項27に係る発明は、請求項21〜26のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、リレー光学系による原板面の複製用記録材料面への結像倍率と、原板への複製用照射光の集光あるいは発散点のリレー光学系による結像倍率が等しいことを特徴とする。
【0017】
請求項28に係る発明は、請求項6〜27のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複製される回折格子は、複製用記録材料に液晶材料を含んだ体積位相型の回折格子であることを特徴とする。
また、請求項29に係る発明は、請求項6〜28のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、体積位相型回折格子を用いていることを特徴とする。
さらに、請求項30に係る発明は、請求項29記載の回折格子の複製方法において、原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、0次光と+1次回折光の回折効率が略等しいことを特徴とする。
さらにまた、請求項31に係る発明は、請求項6〜28のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、表面レリーフ型回折格子を用いていることを特徴とする。
さらにまた、請求項32に係る発明は、請求項31記載の回折格子の複製方法において、原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、0次光と−1次回折光の回折効率が略等しいことを特徴とする。
【0018】
請求項33に係る発明は、請求項6〜17、28〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板を複製用記録材料に略密着し、原板側より単一の回折格子に光照射して原板の回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、原板と複製用記録材料と露光照明光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする。
また、請求項34に係る発明は、請求項6〜17、28〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板を複製用記録材料に略密着し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、原板と複製用記録材料と露光照明光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする。
さらに、請求項35に係る発明は、請求項6〜17、28〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板を複製用記録材料に略密着し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光することにより原板上の複数の回折格子を一括露光して複製することを特徴とする。
【0019】
請求項36に係る発明は、請求項18〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複数の分割領域をもつ回折格子が記録された原板とリレー光学系を介して複製用記録材料を配置し、原板側より単一の回折格子に光照射して原板の回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、複製用記録材料と露光照射光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする。
また、請求項37に係る発明は、請求項18〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板とリレー光学系を介して複製用記録材料を配置し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、原板と複製用記録材料と露光照射光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする。
さらに、請求項38に係る発明は、請求項18〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板とリレー光学系を介して複製用記録材料を配置し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光することにより原板上の複数の回折格子を一括露光して複製することを特徴とする。
さらにまた、請求項39に係る発明は、請求項1記載の回折格子と同様の格子部を有する回折格子であり、請求項6〜38のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法を用いて作製したことを特徴とする。
【0020】
請求項40に係る発明は、光源からの光をカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光し、該光記録媒体からの反射光を光検出器で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ヘッド装置において、光路中に回折格子及び1/4波長板を配置し、前記光記録媒体からの反射光を前記回折格子により分岐して光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する前記回折格子が、請求項1または3記載の回折格子、または請求項2,4,5のいずれか一つに記載の作製方法で作製した回折格子、あるいは請求項39記載の回折格子であることを特徴とする。
また、請求項41に係る発明は、請求項40記載の光ヘッド装置において、光源と光検出器及び回折格子が一体化されていることを特徴とする。
【0021】
請求項42に係る発明は、複数の光源からの光を共通するカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光し、該光記録媒体からの反射光を光検出器で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ヘッド装置において、光路中に回折格子及び1/4波長板を配置し、前記光記録媒体からの反射光を前記回折格子により分岐して共通の光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する前記回折格子が、請求項1または3記載の回折格子、または請求項2,4,5のいずれか一つに記載の作製方法で作製した回折格子、あるいは請求項39記載の回折格子であることを特徴とする。
また、請求項43に係る発明は、請求項42記載の光ヘッド装置において、複数の光源と光検出器及び回折格子が一体化されていることを特徴とする。
【0022】
請求項44に係る発明は、記録媒体に対して光ヘッド装置を用いて情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ディスクドライブ装置において、前記光ヘッド装置として、請求項40〜43のいずれか一つに記載の光ヘッド装置を搭載したことを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
[実施例1]
以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
まず、請求項1,2に係る発明の実施例を説明する。ここでは、光ヘッド装置に用いる回折格子として、図33に示した構成の光ヘッド装置の回折格子7と同様の位置に配置される回折格子を例に挙げて説明する。図1は本発明に係る回折格子の複数に分割された格子部の回折格子領域と光検出器の光検出領域との関係を示す図である。図1(a)に示すように、本発明に係る回折格子20は、基板中に形成された格子部が複数の領域に分割されており、例えばセクター(1),(2),(3)の3つの回折格子領域20−1〜20−3で構成されている。また、図1(b)に示すように、光検出器は回折格子20の回折格子領域(セクター(1),(2),(3))20−1〜20−3に対応して3つの光検出領域PD(1)〜PD(3)で構成されている。但し、図1は典型的な実施例の一つであり、回折格子や光検出器の領域は、この分割形式に限定されるものではない。ここで、回折格子20のセクター(1)の回折格子領域20−1で回折された光は2分割された光検出領域PD(1)の分割線上に集光し、ナイフエッジ法によるフォーカス検出を行なう。また、回折格子20のセクター(2)及びセクター(3)の回折格子領域20−2,20−3からの回折光はそれぞれPD(2)及びPD(3)で受光し、プッシュプル法によるトラック検出を行なう。
【0024】
次に図1に示す回折格子20を作製する方法の一例を図2に示す。図2において、符号24は透明基板、25はその基板上に形成されたホログラム記録材料である。このホログラム記録材料25に近接してセクターマスク23−1が配置されている。図示しないが、ガスレーザ、固体レーザ、あるいは半導体レーザ(LD)などのレーザ光源からのコヒーレントなレーザ光をハーフミラーなどで2分割した後、その一方を第1のレンズ21に入射させ集光させる。このときの集光点は、図33に示した構成の光ヘッド装置の光源8としてのLDの発光点と等価な位置に集光する。これにより光ヘッド装置の光源(LD)8の発光点と等価な点から発散する光となり記録材料25に入射する。また、ハーフミラーで分割されたもう一方のレーザ光は第2のレンズ22に入射させ集光させる。このときの集光点は、図33に示した構成の光ヘッド装置の光検出器9の光検出領域PD(1)の受光点と等価な位置に集光する。これにより光ヘッド装置の光検出器9の光検出領域PD(1)の受光点と等価な点から発散する光となり記録材料25に入射する。従って、第1のレンズ21からの入射光と第2のレンズ22からの入射光とが記録材料25上で重なり、2光束干渉露光による干渉縞が記録材料25に露光される。
【0025】
この露光のとき、記録材料25の直前にセクターマスクを配置して、回折格子のセクター(1)〜(3)の領域を規定する。すなわち、セクターマスクは図3(a)〜(c)に示すように、回折格子の各セクター領域以外を遮蔽する開口マスクで構成されている。例えば図2はセクター(1)を記録する際の配置の例であり、このときは図3(a)のセクターマスク23−1を配置して前述の2光束干渉露光を行う。図4はセクター(2)を記録する際の配置の例であり、このときは図3(b)のセクターマスク23−2を配置して、光検出領域PD(2)の受光点と等価な点からの発散光と、光源の発光点と等価な点からの発散光とにより2光束干渉露光を行なう。図5はセクター(3)を記録する際の配置の例であり、このときは図3(c)のセクターマスク23−3を配置して、光検出領域PD(3)の受光点と等価な点からの発散光と、光源の発光点と等価な点からの発散光とにより2光束干渉露光を行なう。
【0026】
また、発散光同士による2光束干渉記録の他に、図6に示すように収束光同士により2光束干渉記録する方法もある。この場合は図6に示すように、図示しない光源やハーフミラー、レンズ21,22を、ホログラム記録材料25を形成した基板24の背面側に配置し、第1のレンズ21により図33に示した構成の光ヘッド装置の光源8としてのLDの発光点と等価な位置に集光する収束光と、第2のレンズ22により図33に示した構成の光ヘッド装置の光検出器9の光検出領域PD(PD(1)〜(3)のいずれか)の受光点と等価な位置に集光する収束光を、ホログラム記録材料25上で干渉させて記録する。このときホログラム記録材料25を形成した基板24に密着して図3(a)〜(c)のいずれかと同様のセクターマスク23を配置し、回折格子の分割領域を規定する。
【0027】
以上のような方法で複数領域に分割された光ヘッド装置用のホログラム回折格子を作製することができるが、図7にこのホログラム回折格子を図33と同様の構成の光ヘッド装置に使用するときの様子を示す。図示しない光ディスクからの反射光は、カップリングレンズであるコリメートレンズレンズ27により光源である半導体レーザ(LD)(図示せず)の発光点に向かって集光する。収束光の途中におかれたホログラム回折格子20には2光束干渉露光のときの一方の光が入射するので、ホログラム回折格子20からは効率良く+1次回折光が発生し、図1に示したようにホログラム回折格子20を構成する各分割領域(セクター(1),(2),(3))で回折された回折光が光検出器の各光検出領域PD(1),(2),(3)に集光し、光検出器で受光される。
【0028】
[実施例2]
次に請求項3に係る発明の実施例を説明する。
実施例1ではホログラム回折格子の記録波長と、光ヘッド装置に用いるときの使用波長(光源波長)が略同一の場合であるが、ここでは記録波長と光ヘッド装置の使用波長が異なる場合の実施例について述べる。図36はホログラム回折格子の記録波長が光ヘッド装置の使用波長より長波長の場合を示す。
波長が異なるとき、光ヘッド装置使用時の光源発光点(LD発光点)に対応した原板露光擬似集光点(1)に第1のレンズ21で集光し、擬似集光点(1)から発散する発散光と、光ヘッド装置の光検出器中の光検出領域PD(1)の受光点と対応した原板露光擬似集光点(2)に第2のレンズ22で集光し、擬似集光点(2)から発散する発散光をホログラム回折格子20の記録材料25に入射させて両発散光が重なったところで干渉縞を生じさせて記録する。
【0029】
ホログラム回折格子の記録波長が光ヘッド装置の使用波長より長波長の場合、干渉露光の2光束の主光線入射角は光ヘッド装置の使用波長の場合より大きくなる。また、原板露光擬似集光点(1),(2)は光ヘッド装置のLD発光点および光検出領域PD(1)の受光点より記録材料25に近くなる。図38に波長の異なる場合の2光束干渉露光について示す。尚、ホログラム回折格子の記録波長が光ヘッド装置の使用波長より短波長のときは干渉露光の2光束の主光線入射角は光ヘッド装置の使用波長の場合よりは小さくなり、また、原板露光擬似集光点(1)、(2)は光ヘッド装置のLD発光点および光検出領域PD(1)の受光点より記録材料から遠くなる。しかし、本質は本実施例の波長が長い場合と変らず、同様に適用できる。
【0030】
図38において、ホログラム記録層に波長λ1で干渉露光で干渉縞を形成させ、波長λ0で再生する(光ヘッド装置で使用する)状態を考える。ここで、λ0<λ1とする。また、ホログラム記録層の屈折率は波長λ0ではn0、波長λ1ではn1とする。
ホログラム記録層内に波長λ1の2光束が入射角α1、β1で入射して干渉縞を形成し、生じた干渉縞のピッチをd、記録層内での傾斜角をγとする。このときの入射角α1、β1、γの関係は以下のようになる。
d=λ1/n1・( sinα1+ sinβ1) (1)
γ=(α1+β1)/2 (2)
【0031】
形成されたホログラム格子に波長λ0の再生照明光を入射角α0(記録層内)で入射させると回折角β0は、
sinα0+sinβ0=λ0/n0・d (3)
となり、このとき、回折がブラッグ回折を起こす条件は、
(α0+β0)/2=γ (4)
であり、(1)〜(4)式から記録波長λ1で形成した干渉縞から波長λ0でブラッグ回折を起こさせる条件は、
n0・( sinα0+sinβ0)/λ0=n1・( sinα1+sinβ1)/λ1 (5)
α0+β0=α1+β1 (6)
であり、(5),(6)式を満足するように入射角、回折角を設定すれば良い。
【0032】
ここで波長λ0の光源を持つ光ヘッド装置で使用するときのことを考える。光ディスクからの反射戻り光がホログラム回折格子に入射するとき、戻り光の主光線は垂直入射となる。このため主光線に対してはα0=0となり、(5),(6)式は、
n0・sinβ0/λ0=n1・( sinα1+sinβ1)/λ1 (7)
β0=α1+β1 (8)
となる。光ヘッド装置に用いるときは記録時の2光束主光線の記録層内入射角と光ヘッド装置の使用時の回折主光線の回折角は(7),(8)式を略満足するように設定すれば良い。
【0033】
[実施例3]
次に請求項4に係る発明の実施例を説明する。
図36における記録配置では原板露光用擬似集光点(1),(2)には収差のないスポットが集光されて干渉露光されるが、記録波長と光ヘッド装置の使用波長が大きく異なる場合や光源発光点、光検出器の受光点の配置によっては図36のホログラム回折格子の記録時に擬似集光点に収差のないスポットを形成してしまうと、光ヘッド装置へ適用した使用時に光ヘッド装置の光検出器への回折光に収差が載ってしまい、良好な収束光が生じない場合がある。これを改善するには光ヘッド装置の使用波長のときに回折光に生じる収差を逆補正する収差をホログラム回折格子の干渉記録時に付加して、最終的に回折光に収差が生じないようにすれば良い。上記逆補正する収差を与えるためにはホログラム回折格子の記録のための2光束干渉露光の光学系中の2光束両方あるいは一方の光学系中のレンズ、ミラーなどの光学素子に逆補正のための収差を持たせるようにする。レンズの場合はレンズ設計時に逆補正収差を持たせればよいし、ミラーの場合は反射光の波面が収差を逆補正するように表面形状が凹凸形状をしているような加工をすれば良い。また、別の方法として位相板を2光束干渉露光光学系の少なくとも一方、または両方に配置する方法もある。この位相板はガラスのような透明基板の表面を加工して、透過した光に逆補正収差を付与する凹凸形状を持たせる。
ホログラム回折格子の記録時に逆補正収差を持たせてしまえば、光ヘッドで使用するときに回折光に収差を発生させないようにできる。
【0034】
[実施例4]
次に請求項5に係る発明の実施例を説明する。
実施例3(請求項4)において2光束干渉露光光学系に逆補正の収差を持たせる方法として、2光束干渉露光光学系の少なくとも一方、または両方に逆補正の収差を発生させるホログラムを配置する方法もある。
図37はその一例を示しており、図36と同様の2光束干渉露光光学系の光路中に第1のホログラム61および第2のホログラム62を配置したものである。各ホログラム61,62は記録波長と光ヘッド装置の使用波長の違いによる収差を逆補正するための収差が記録されている。各ホログラム61,62からの1次回折光はレンズ21,22によりそれぞれ、原板露光擬似集光点(1’),および(2’)に集光し、発散光となってホログラム記録材料25に入射してホログラム回折格子の記録が行われる。このようにして記録されたホログラム回折格子は、記録波長と光ヘッド装置の使用波長の違いによる収差が逆補正されて、光ヘッド装置の使用時には収差のないスポットが光検出器に回折される。
尚、図37は2光束干渉露光光学系の両方に収差補正用のホログラム61,62を配置するものであるが、これに限定されず、2光束干渉露光光学系のいずれか一方に収差補正用のホログラムを配置しても良い。
また、請求項3〜5についての実施例を示した図36、図37においては、原板露光擬似集光点から発散する2光束で干渉記録する場合について述べたが、これに限定されず2つの原板露光擬似集光点に集光する2つの収束光による2光束干渉露光でも同様に記録することができる。
【0035】
[実施例5]
次に請求項6,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例1〜4のいずれかの方法によりホログラム回折格子を大量に作製する場合、1枚ずつ分割領域毎に2光束干渉露光して作製する方法では、作製に時間と手間がかかり困難であり、製造コストも高くなる。そこで本実施例では、実施例1〜4のいずれかの方法で作製したホログラム回折格子をホログラム原板として複製用記録材料に露光複製して大量生産する方法を行なう。図8に回折格子の複製方法の一実施例を示す。
図8に示すように、例えば実施例1の方法で作製したホログラム回折格子をホログラム原板26として、これに複製用記録材料28を略密着し、ホログラム原板26側から複製用の光を照射する。このときホログラム原板26からの0次光と1次回折光が生じるが、原板背後の0次光と1次回折光が重なる領域では干渉縞が生じている。この干渉縞を略密着して配置された複製用記録材料28に露光して記録することになる。その結果、ホログラム原板26に記録されているホログラム回折格子が複製用記録材料28に転写され、ホログラム回折格子の複製が得られる。
【0036】
[実施例6]
次に請求項7,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例5では大量生産のための露光複製用のホログラム原板26を、例えば実施例1で説明した2光束干渉露光により作製していたが、原板作製方法はこれに限定されるものではなく、2光束干渉露光により生じる干渉縞を計算機で計算してそのデータを元にマスクを作成し、ホログラム原板とする方法がある。図9に計算機で計算したデータを元にホログラムを作製したホログラム原板30の一例を示す。このホログラム原板30では、実施例1で述べたホログラム回折格子20と等価な波面による干渉縞を計算機上で計算して、電子ビームリソグラフィー、あるいはフォトリソグラフィー手法により基板29上にホログラムセクター30−1〜30−3を形成する。
この方法によると回折格子の分割領域の自由な設定が容易であり、原板記録波長と複製したホログラム回折格子を光ヘッド装置に搭載したときの使用波長の違いによる収差発生の問題が生じない(干渉縞を計算する波長を光ヘッド装置での使用波長とすればよい)などメリットが増して好ましい。図10は干渉縞を計算機で計算してそのデータを元に作製したホログラム原板30を使用して複製用記録材料にホログラム回折格子を複製する場合の配置例を示す図であり、ホログラム原板30の作製方法以外は実施例5と同様である。
【0037】
[実施例7]
次に請求項8,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例5または実施例6の方法で作製したホログラム原板を複製用記録材料に略密着させて複製露光するとき、原板側から照射する光が、光ヘッド装置に搭載時の光源の波長近傍の波長を持ち、光源の発光点と等価な位置に集光する収束光とすることにより、複製されたホログラム回折格子が光検出器に回折、集光するスポットに収差が発生せず、また、回折効率が回折格子全面に亘って高効率な特性を持たせることができる。これは光ヘッド装置の使用波長で光ディスクからの反射戻り光と光検出器への回折光に相当する2光束による干渉露光を行なっているので、複製用記録材料中に形成される干渉縞は、作製用の2光束に対して最適化されたブラッグ格子となっている。このため光ヘッド装置で使用するとき、光ディスクからの戻り光は光源の発光点に集光する収束光としてホログラム回折格子に入射するが、このときホログラム回折格子全面にわたりブラッグ条件が満たされ、高効率の1次回折光が生じる。図11に従来例との比較を示す。図11のグラフは横軸にホログラム回折格子内の位置座標、縦軸に+1次回折光の回折効率を示している。図11において、曲線Iは図34に示した従来の矩形格子による回折格子内の回折効率分布を示しており、矩形格子のピーク効率に近い、約40%の効率分布を持っている。一方、曲線IIは本発明により複製したホログラム回折格子内の回折効率分布を示しており、回折格子全面にわたって80%以上の+1次回折効率を保持しており、光ヘッド装置用回折格子の従来例では達成できなかった高効率が実現できる。また、このとき光検出器への回折光は、ホログラム回折格子の複製記録時と同じ波面が再生され、無収差の集光スポットが光検出器面に生じる。
【0038】
また、別の実施例としてホログラム原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から露光して複製する場合、図10の収束光による露光の他に図41に示すようにレンズ27によりレーザ光を一旦光源発光点と等価な位置に集光して、光源発光点から発散する発散光をホログラム原板30に入射させる方法もある。この場合、ホログラム原板30からは光源発光点から発散する0次光と、光検出器の各光検出領域から発散する1次回折光が生じる。複製用記録材料31にはこの0次光と1次回折光が干渉した干渉縞が露光され、ホログラム回折格子が複製される。この方法によっても回折効率が回折格子全面にわたって高効率を持たせることができる。これは光ヘッド装置の使用波長で光源発光点からの出射光と光検出器の各検出領域からの出射光に相当する2光束による干渉露光を行なっているので、複製用記録材料中に形成される干渉縞は作製用の2光波に対して最適化されたブラッグ格子となっている。このため光ヘッド装置で使用するとき、光ディスクからの戻り光は光源発光点に集光する収束波としてホログラム回折格子に入射するが、このときホログラム回折格子全面にわたりブラッグ条件が満たされ、高効率の1次回折光が生じる。また、このとき光検出器への回折光はホログラム複製記録時と同じ波面が再生され、無収差の集光スポットが光検出器面に生じる。
【0039】
尚、以上の実施例では回折スポットが光検出器面上に集光する場合について述べたが、これはナイフエッジ法などのフォーカス検出方式が適用される場合であり、本発明はこれに限定されず、光検出器面以外の位置に集光する場合にも同様に適用できる。この場合はビームサイズ法などのフォーカス検出法に適用するときである。これは以下の請求項9の実施例についても同様である。
【0040】
[実施例8]
次に請求項9,39に係る発明の実施例を説明する。
請求項8ではホログラム回折格子の複製波長(複製露光用の光の波長)と光ヘッド装置の使用波長が略同一の場合であったが、波長が異なるときについての実施例を図39に示す。ホログラム原板30と複製用記録材料31が略密着され、原板側から収束光で露光するとき、収束光の集光点は光ヘッド装置使用時の光源発光点でなく複製波長と光ヘッド装置の使用波長の違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(1)に対応)への収束光とする。
このとき複製露光用の収束光の主光線の入射角(複製記録材料層内)をα1’、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)をβ1’とし、光ヘッド装置使用時の光検出器への1次回折光の回折角(複製記録材料層内)をβ0として、光ヘッド装置の使用波長λ0のときの複製記録材料屈折率をn0、複製波長λ1’のときの屈折率をn1’とすると、主光線に関しては(7),(8)式に類似した次式が略成り立つ。
n0・sinβ0/λ0=n1’・( sinα1’+sinβ1’)/λ1’ (9)
β0=α1’+β1’ (10)
【0041】
図40に別の実施例を示す。これは図39の収束光の代りに発散光をホログラム原板30側から照射するものである。複製用波長と光ヘッド装置の使用波長の違いに応じて光ヘッド装置の光源発光点と異なる点(図36の原板露光用擬似集光点(1)に対応)にレンズ27によりレーザ光を一旦集光して、集光点から発散してくる発散光をホログラム原板30に照射する。ホログラム原板30からはそのまま透過する0次光と光ヘッド装置の光検出器の各検出領域に対応して波長の違いにより発散位置の違う点から発散してくる1次回折光が生じる。そして0次光と1次回折光の2光束による干渉縞がホログラム原板30と略密着させて置かれた複製用記録材料31に露光され、ホログラム回折格子が複製される。このときの複製用照射光の主光線、回折光の主光線は式(9),(10)に略従う。
【0042】
[実施例9]
次に請求項10,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例7においては、複製時にホログラム原板側から照射する光として、光ヘッド装置に搭載時の光源波長近傍の波長を持ち、光源の発光点と等価な位置に集光する収束光を照射するようにしたが、この他の方法として、図12に示すように、光ヘッド装置に搭載時の光源波長近傍の波長を持ち、光ヘッド装置の光検出器の受光点に集光する収束光を複製時の照射光として、ホログラム原板30には斜め入射光として照射する方法がある。この場合、ホログラム原板30からは光検出器の受光点に集光する0次光と光源の発光点に集光する−1次回折光が発生する。この2光束により、ホログラム原板30に略密着して配置された複製用記録材料31上で干渉縞が形成され、ホログラム回折格子が複製記録される。
【0043】
図12はホログラム回折格子の分割がないときの状態であるが、実際は実施例1〜3で述べたように、複数の分割領域(セクター(1)〜(3)等)が設定されている。このときは光検出器の複数の光検出領域(PD(1)〜(3)等)のうちの一つの領域の受光点に集光する収束光を複製用の照射光とする。このとき、図13に示すようにホログラム原板30からはホログラムの各分割領域から回折され光源の発光点に集光する回折光が分割領域の数だけ生じ、かつ相対的に集光位置がずれて回折される。この集光位置のずれは光検出器上の各検出領域の位置の違いに対応している。
【0044】
以上の原板への照射光に対して0次光とホログラム分割領域に対応した回折光群が生じ、ホログラム原板30の直後で干渉縞を生じ、複製用記録材料31に複製される。
光ディスクからの反射光が光ヘッド装置の光源の発光点に集光する収束光として上記方法で複製記録されたホログラム回折格子に入射すると、回折格子の各分割領域からブラッグ条件を満たす方向に回折光が生じ、各々光検出器の各検出領域に集光する。
【0045】
また、別の実施例としてホログラム原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から露光して複製する場合、図12の収束光による露光の他に、図41に示すようにレンズ27によりレーザ光を一旦光検出器の受光点と等価な位置に集光して、光検出器の受光点から発散する発散光をホログラム原板30に入射させる方法もある。この場合、ホログラム原板30からは光検出器の受光点から発散する0次光と、光源発光点から発散する1次回折光が生じる。複製用記録材料31にはこの0次光と1次回折光が干渉した干渉縞が露光され、ホログラム回折格子が複製される。この方法によっても回折効率が回折格子全面にわたって高効率を持たせることができる。これは光ヘッド装置の使用波長で光源発光点からの出射光と光検出器の各検出領域からの出射光に相当する2光束による干渉露光を行なっているので、複製用記録材料中に形成される干渉縞は作製用の2光波に対して最適化されたブラッグ格子となっている。このため光ヘッド装置で使用するとき、光ディスクからの戻り光は光源発光点に集光する収束波としてホログラム回折格子に入射するが、このときホログラム回折格子の全面にわたりブラッグ条件が満たされ、高効率の1次回折光が生じる。また、このとき光検出器への回折光はホログラム複製記録時と同じ波面が再生され、無収差の集光スポットが光検出器面に生じる。
【0046】
尚、図41の補足説明として、実際のホログラム回折格子は複数に分割領域が設定されている。このときは光検出器の複数の光検出領域のうちの一つの領域の受光点から発散する発散光を複製用の照射光とする。このとき、図41に示すようにホログラム原板30からはホログラム各分割領域から回折される光源発光点から発散する回折光が分割領域の数だけ生じ、かつ相対発散位置がずれて回折される。この発散位置のずれは、光検出器上の各検出領域の位置の違いに対応している。
【0047】
[実施例10]
次に請求項11,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例9ではホログラム複製波長と光ヘッド装置の使用波長が略同一の場合であったが、波長が異なるときについての実施例を図42に示す。ホログラム原板30と複製用記録材料31が略密着され、原板側から収束光で露光するとき、収束光の集光点は光ヘッド装置の使用時の光検出器の受光点ではなく、複製波長と光ヘッド装置の使用波長の違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(2)に対応)への収束光とする。
このとき複製露光用の収束光の主光線の入射角(複製記録材料層内)をβ1’、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)をα1’とし、光ヘッド装置の使用時の光検出器への1次回折光の回折角(複製記録材料層内)をβ0として、光ヘッド装置の使用波長がλ0のときの複製記録材料の屈折率をn0、複製波長がλ1’のときの屈折率をn1’とすると、主光線に関しては(7),(8)式に類似した(9),(10)式が略成り立つ。
【0048】
図43に別の実施例を示す。これは図42の収束光の代りに発散光をホログラム原板側から照射するものである。複製用波長と光ヘッド装置の使用波長の違いに応じて光ヘッド装置の光検出器の受光点と異なる点(図36の原板露光用擬似集光点(2)に対応)にレンズ27によりレーザ光を一旦集光して、集光点から発散してくる発散光をホログラム原板30に照射する。ホログラム原板30からはそのまま透過する0次光と光ヘッド装置の光源発光点に対応して波長の違いにより発散位置の違う点から発散してくる1次回折光が生じる。そして0次光と1次回折光の2光束による干渉縞がホログラム原板30と略密着させて置かれた複製用記録材料31に露光されホログラム回折格子が複製される。このときの複製用照射光の主光線、回折光の主光線は略、式(9),(10)に従う。
【0049】
[実施例11]
次に請求項12,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例9,10においては、複製露光するときに光検出器の複数の光検出領域のうちの一つの領域の受光点に対応した点に集光する収束光、あるいは一つの光検出領域の受光点に対応した点から発散する発散光を複製用の照射光としているが、選択する一つの検出領域としてはフォーカス誤差信号を得るための領域を選ぶ。このことにより、光ディスクからの反射光が光源の発光点に集光する収束光として複製された回折格子に入射したとき、フォーカス誤差信号を検出する領域に集光する回折光は無収差であり、フォーカス誤差信号に不要なオフセットが生じず、また、フォーカス誤差信号の振幅の低下も生じない。
これに対し、トラック誤差信号を検出するための回折光には僅かに収差が発生し、光検出器上の集光スポットは大きくなる。しかし、光検出領域にこのスポットをカバーする大きさを持たせておけば、トラック誤差信号の検出には全く支障がないようにすることができる。
【0050】
[実施例12]
次に請求項13,39に係る発明の実施例を説明する。
ホログラム原板から複製用記録材料への露光による複製方法であり、ホログラム原板を2段階で作成する実施例を図44に示す。図44(a)において第1の原板301は干渉露光により生じる干渉縞を計算機で計算してそのデータを元にマスクを作成し、ホログラム原板とする。これは干渉縞を計算機上で計算して電子ビームリソグラフィー、あるいはフォトリソグラフィー手法により領域分割されたホログラムセクター(1),(2),(3)を形成し、第1の原板301とする。この第1の原板301を感光性のある原板記録材料に略密着して第1の原板301側から光を照射して第1の原板301からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して第2の原板302とする。
次に図44(b)に示すように第2の原板302を複製用記録材料31に略密着して第2の原板302側から光ヘッド装置の使用波長と略同一の波長を持つ光を照射し、第2の原板302からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して最終的に光ヘッド装置に搭載するホログラム回折格子を作製する。
この方法により第1の原板301はフォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィなどを用いた計算機発生ホログラムの作製に適した1次原板とし、第2の原板302は最終的に光ヘッド装置で使われるホログラム回折格子が高回折効率を持つような複製露光ができるホログラム原板とするように複製工程において原板を最適化できるのである。つまり計算機上で発生したホログラムから最終的に高回折効率のホログラム回折格子が形成できるように原板を2枚用いる。
【0051】
複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍である場合、第2の原板302から複製用記録材料31への複製露光のときは、第2の原板302への照射光は図10と同じように、原板に対して光ヘッド装置の光源発光点に集光する収束光を照射して0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料31に露光、記録する。または図45に示すようにホログラム原板側から光ヘッド装置の光源発光点に一度集光し、光源発光点から発散してくる発散光で照射する方法も適用できる。また、第1の原板301から略密着により第2の原板302を作製するときの複製光の照射条件は、第2の原板302から最終的複製用記録材料に略密着露光複製するとき、第2の原板302から発生する0次光と1次回折光の回折効率が略等しくなるような照射条件(主光線方向および集光点または発散点位置)を設定する。このとき照射波長は必ずしも光ヘッド装置の使用波長あるいは第2の原板302からの2段階目の複製波長と同一でなくても良い。第2の原板302からの0次光と1次回折光の露光強度が略等しくなると、最終的複製記録材料31に対しては最もコントラストの高い干渉縞が形成されて複製されたホログラム回折格子を高回折効率化できる。
以上の方法により計算機で計算された理想的ホログラム回折格子を原板として、高回折効率でかつ、回折光に収差の生じない光ヘッド装置用ホログラム回折格子を提供できる。
【0052】
[実施例13]
次に請求項14,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例12(請求項13)では、第2の原板302から最終的複製用記録材料31に複製露光するときの波長が光ヘッド装置の使用波長と略等しい場合であった。本実施例では、第2原板302から複製露光するときの波長が光ヘッド装置の使用波長とは異なる場合についての実施例を示す。
ホログラム原板30を2段階で作製するのは実施例12と同様である。干渉縞を計算機上で計算して電子ビームリソグラフィー、あるいはフォトリソグラフィー手法により領域分割されたホログラムセクター(1)〜(3)を形成し、第1の原板301とする。この第1の原板301を感光性のある原板記録材料に略密着して、図44(a)と同様に、第1の原板301側から光を照射して第1の原板301からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して第2の原板302とする。次に図44(b)と同様に第2の原板302を複製用記録材料31に略密着して第2の原板302側から光ヘッド装置の使用波長と異なる波長を持つ光を照射し、第2の原板302からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して最終的に光ヘッド装置に搭載するホログラム回折格子を作製する。
【0053】
複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なる場合、第2の原板302から複製用記録材料31への複製露光のときは、第2の原板302への照射光は、第2の原板302をホログラム原板として図39と同じように、ホログラム原板30と複製用記録材料31が略密着され、原板側から収束光で露光するとき、収束光の集光点は光ヘッド装置の使用時の光源発光点ではなく、複製波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(1)に対応)への収束光とする。そしてホログラム原板30(第2の原板302)から発生する0次光と1次回折光による干渉縞が生じ、複製用記録材料31にホログラム回折格子が転写される。
または図40と同様に収束光の代りに発散光を原板側から照射する方法もある。この場合、複製用波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じて光ヘッド装置の光源発光点と異なる点(図36の原板露光用擬似集光点(1)に対応)にレンズ27によりレーザ光を一旦集光して、集光点から発散してくる発散光をホログラム原板30(第2の原板302)に照射する。そして第2の原板から発生する0次光と1次回折光による干渉縞が生じ、複製用記録材料31にホログラム回折格子が転写される。
【0054】
いずれの場合も、複製露光の主光線の入射角(複製記録材料層内)をβ1’、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)をα1’とし、光ヘッド装置で使用時の光検出器への1次回折光の回折角(複製記録材料層内)をβ0として、光ヘッド装置の使用波長がλ0のときの複製記録材料屈折率をn0、複製波長がλ1’のときの屈折率をn1’とすると、主光線に関しては(9),(10)式が略成り立つ。
【0055】
また、第1の原板301から略密着により第2の原板302を作製するときの複製光の照射条件は、第2の原板302から最終的複製用記録材料31に略密着露光複製するとき、第2の原板から発生する0次光と1次回折光の回折効率が略等しくなるような照射条件(主光線方向および集光点または発散点位置)を設定する。このとき照射波長は必ずしも光ヘッド装置の使用波長あるいは第2の原板からの2段階目の複製波長と同一でなくても良い。第2の原板からの0次光と1次回折光の露光強度が略等しくなると、最終的複製記録材料に対しては最もコントラストの高い干渉縞が形成されて、複製されたホログラム回折格子を高回折効率化できる。
以上の方法により計算機で計算された理想的なホログラム回折格子を原板として、高回折効率でかつ、回折光に収差の生じない光ヘッド装置用ホログラム回折格子を提供することができる。
【0056】
[実施例14]
次に請求項15,39に係る発明の実施例を説明する。
ホログラム原板30を2段階で作製するのは実施例12(請求項13)と同様である。まず干渉縞を計算機上で計算して電子ビームリソグラフィー、あるいはフォトリソグラフィー手法により領域分割されたホログラムセクター(1)〜(3)を形成し、第1の原板とする。そして第1の原板を感光性のある原板記録材料に略密着して、図44(a)と同様に、第1の原板301側から光を照射して第1の原板301からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して第2の原板302とする。次に図44(b)と同様に第2の原板302を複製用記録材料31に略密着して第2の原板302側から光ヘッド装置の使用波長と異なる波長を持つ光を照射し、第2の原板302からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して最終的に光ヘッド装置に搭載するホログラム回折格子を作製する。
【0057】
複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合、第2の原板302から複製用記録材料31への複製露光のときは、第2の原板302への照射光は図12と同じように、ホログラム原板30(第2の原板302)に対して光ヘッド装置の光検出器の光検出領域の1点に集光する収束光を照射して0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料31に露光、記録する。
または図41と同じようにホログラム原板30(第2の原板302)側から、光ヘッド装置の光検出器の光検出領域の1点(受光点)に一度集光し、その受光点から発散してくる発散光で照射する方法もある。
【0058】
また、第1の原板301から略密着により第2の原板302を作製するときの複製露光の照射条件は、第2の原板302から最終的複製用記録材料31に略密着露光複製するとき、第2の原板302から発生する0次光と1次回折光の回折効率が略等しくなるような照射条件(主光線方向および集光点または発散点位置)を設定する。このとき照射波長は必ずしも光ヘッド装置の使用波長あるいは第2の原板302からの2段階目の複製波長と同一でなくても良い。第2の原板302からの0次光と1次回折光の露光強度が略等しくなると、最終的複製記録材料31に対しては最もコントラストの高い干渉縞が形成されて複製されたホログラム回折格子を高回折効率化できる。
以上の方法により計算機で計算された理想的ホログラム回折格子を原板として、高回折効率でかつ、回折光に収差の生じない光ヘッド装置用ホログラム回折格子を提供することができる。
【0059】
[実施例15]
次に請求項16,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例14(請求項15)は第2の原板302から最終的複製用記録材料31に複製露光する波長が光ヘッド装置の使用波長と略等しい場合であった。本実施例では、第2の原板302から複製する際の波長が光ヘッド装置の使用波長とは異なる場合についての実施例を示す。
ホログラム原板を2段階で作製しするのは実施例12(請求項13)と同様である。干渉縞を計算機上で計算して電子ビームリソグラフィー、あるいはフォトリソグラフィー手法により領域分割されたホログラムセクター(1)〜(3)を形成し、第1の原板とする。この第1の原板を感光性のある原板記録材料に略密着して、図44(a)と同様に、第1の原板301側から光を照射して第1の原板301からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して第2の原板302とする。次に図44(b)と同様に第2の原板302を複製用記録材料31に略密着して第2の原板302側から光ヘッド装置の使用波長と異なる波長を持つ光を照射し、第2の原板302からの0次光と1次回折光による干渉縞を露光記録して最終的に光ヘッド装置に搭載するホログラム回折格子を作製する。
【0060】
複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なる場合、第2の原板302から複製用記録材料への複製露光のときは、第2の原板302への照射光は図42と同じように、ホログラム原板(第2の原板302)30と複製用記録材料31が略密着され、原板側から収束光で露光するとき、収束光の集光点は光ヘッド装置使用時の光検出器の受光点ではなく、複製波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(2)に対応)への収束光とする。これにより第2の原板302から発生する0次光と1次回折光による干渉縞が生じ、複製用記録材料31にホログラムが転写される。
または、図43と同様に収束光の代りに発散光を原板側から照射する方法もある。すなわち複製用波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じて光ヘッド装置の光検出器の受光点と異なる点(図36の原板露光用擬似集光点(2)に対応)にレンズ27によりレーザ光を一旦集光して、集光点から発散してくる発散光をホログラム原板30(第2の原板302)に照射する。これにより第2の原板302から発生する0次光と1次回折光による干渉縞が生じ、複製用記録材料31にホログラムが転写される。
いずれの場合も、複製露光主光線の入射角(複製記録材料層内)をβ1’、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)をα1’とし、光ヘッド装置使用時の光検出器への1次回折光の回折角(複製記録材料層内)をβ0として、光ヘッド装置の使用波長がλ0のときの複製記録材料の屈折率をn0、複製波長がλ1’のときの屈折率をn1’とすると、主光線に関しては(9),(10)式が略成り立つ。
【0061】
また、第1の原板301から略密着により第2の原板302を作製するときの複製光の照射条件は、第2の原板302から最終的複製用記録材料31に略密着露光複製するとき、第2の原板302から発生する0次光と1次回折光の回折効率が略等しくなるような照射条件(主光線方向および集光点または発散点位置)を設定する。このとき照射波長は必ずしも光ヘッド装置の使用波長あるいは第2の原板302からの2段階目の複製波長と同一でなくても良い。第2の原板302からの0次光と1次回折光の露光強度が略等しくなると、最終的複製記録材料31に対しては最もコントラストの高い干渉縞が形成されて複製されたホログラム回折格子を高回折効率化できる。
以上の方法により計算機で計算された理想的なホログラム回折格子を原板として、高回折効率でかつ、回折光に収差の生じない光ヘッド装置用ホログラム回折格子を提供することができる。
【0062】
[実施例16]
次に請求項17,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例5〜15(請求項6〜16)に示した原板からの複製方法において、複製露光波長と光ヘッド装置の使用波長が大きく異なるとき、あるいは光源および光検出器の配置の状況により、場合によっては、光ヘッド装置でホログラム回折格子を使用したときに光検出器への回折光に収差が発生して、光検出器への集光が不十分になることがある。このときは略密着露光するときの原板側からの照射光の光学系中に収差を逆補正するための収差を付加して、最終的に回折光に収差が生じないようにすれば良い。上記逆補正する収差を与えるためにはホログラム複製用照射光を形成する光学系中のレンズ、ミラーなどの光学素子に逆補正のための収差を持たせるようにする。レンズの場合はレンズ設計時に逆補正収差を持たせればよいし、ミラーの場合は反射光の波面が収差を逆補正するように表面形状が凹凸形状をしているような加工をすれば良い。また、別の方法として図46,47に示すように位相板63(位相板アレイ64)を複製光学系中に配置する方法もある。この位相板はガラスのような透明基板の表面を加工して、透過した光に逆補正収差を付与する凹凸形状を持たせる。また、複製用照射光学系中に1次回折光に逆補正の収差を持たせたホログラムを配置して、ホログラムからの1次回折光を複製用照射光に用いる方法もある。
【0063】
[実施例17]
次に請求項18,19,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例5〜15(請求項6〜16)においては、原板からのホログラム回折格子の複製は、原板と複製用記録材料を略密着させて複製露光していた。しかし、密着によるホログラム回折格子の複製では、原板と複製用記録材料間の多重光干渉による不要な干渉縞の発生を防ぐために間に屈折率マッチング液などを介在させる必要も出てきて作業性が悪い。あるいはホログラム回折格子が複数の領域に分割され、各分割ホログラムからの1次回折光の回折方向が異なる場合、原板のホログラム層と複製用記録材料の記録層間に距離ギャップが存在すると複製したホログラム回折格子の分割線はギャップ量に応じて原板の分割線からずれていく。このことから距離ギャップは微小量に抑える必要があり、原板ホログラムおよび複製用記録材料にカバーガラスを用いる場合にはガラス厚は極力薄くしなければならない、等の技術的課題が発生してくる。
【0064】
そこで本実施例では、密着露光複製に関する上記課題を避けるために図48に別の複製方法を示す。図48に示す回折格子の複製方法では、実施例5〜15(請求項6〜16)における原板72(ホログラム原板30または第2の原板302)と複製用記録材料75は空間的に離して配置し、両者の間にリレー光学系を介在させる構成である。図48において原板72をレンズ71からの収束光で照射して原板72から生じる0次光と1次回折光をレンズ73,74で構成されるリレー光学系で複製用記録材料75に入射させる。このときリレー光学系は原板72を物体面、複製用記録材料75がその像面となる結像の共役面の関係になっている。このことにより原板72で発生した0次回折光と1次回折光は複製用記録用材料面で再び重なって干渉縞を生じる。複製用記録材料75はこの干渉縞を記録することにより原板72のホログラム回折格子の複製が行われる。
【0065】
[実施例18]
次に請求項20,39に係る発明の実施例を説明する。
図48においてリレー光学系は2つのレンズ系(レンズ73とレンズ74)から構成されている。図ではレンズ73,レンズ74は単レンズであるが、2つのレンズ系は各々複数レンズを組み合わせたものでも良い。
レンズ73はその前側焦点が原板面と一致して、レンズ73の後側焦点とレンズ74の前側焦点を一致するように各レンズを配置し、また、レンズ74の後側焦点を複製用記録材料面と一致させている。図48ではレンズ73とレンズ74の焦点距離は共にfであり等しい場合を示す。レンズ73とレンズ74の焦点距離が等しいとリレー光学系により原板面は等倍で複製用記録材料面に結像する。原板72に記録されたホログラム分割パターンは等倍で複製用記録材料75に露光される。また、ホログラム格子パターンも原板72と同じピッチで複製用記録材料75に形成される。
【0066】
図49は回折格子の複製方法の別の実施例であり、リレー光学系を構成する2つのレンズ系の焦点距離が異なる場合である。リレー光学系はレンズ73’とレンズ74’から構成され、レンズ73’の焦点距離はf1、レンズ74’の焦点距離はf2である。レンズ73’およびレンズ74’の前側焦点、後側焦点の配置関係は図48の場合と同じである。図49の配置ではリレー光学系により原板面は倍率f2/f1倍で複製用記録材料面に結像される。原板72に記録された分割ホログラムパターンおよび格子ピッチはf2/f1倍で複製用記録材料75に記録される。
この複製方法では、最終的なホログラム回折格子の格子ピッチが小さく、ホログラム原板の作製が困難なときなどはf1>f2として原板の格子ピッチを粗くして原板を作製し、複製することもできる。
【0067】
[実施例19]
次に請求項21,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例17,18(請求項18〜20)のホログラム複製方法において、原板への複製露光照射光は、図48に示すようにレンズ71により光ヘッド装置の光源の発光点と等価な点に集光される光を原板72に入射する。原板72からは光源発光点に集光する0次光と光ヘッド装置の光検出器の受光点と等価な位置に集光する1次回折光が生じる。この2光束はリレー光学系のレンズ73,74により複製用記録材料面で再び重なった後、0次光は光源発光点’、1次回折光は受光点’に集光する。複製用記録材料面で重なった2光束は干渉縞を形成して、これが複製用記録材料75に露光される。
図48では原板面と複製用記録材料面はリレー光学系により結像の共役面になっているが、同時に原板から発生する光源発光点の面(図48中のa面)とリレー光学系による光源発光点’の面(図48中のb面)も結像の共役面となっている。
【0068】
原板72を照射する光が光ヘッド装置への搭載時の光源波長近傍の波長を持ち、光源発光点と等価な位置に集光する収束光とすることにより、複製用記録材料75へ入射する2光束がリレー光学系のレンズ73,74で形成された光源発光点と等価な光源発光点’への収束光と、光検出器の受光点と等価な器受光点’への収束光であるので、複製されたホログラム回折格子が光検出器に回折、集光するスポットに収差が生せず、また、回折効率が回折格子全面にわたって高効率を持たせることができる。これは光ヘッド装置の使用波長で光ディスクからの反射戻り光と光検出器への回折光に相当する2光束による干渉露光を行なっているので、複製用記録材料75中に形成される干渉縞は作製用の2光波に対して最適化されたブラッグ格子となっている。このため光ヘッド装置で使用するとき、光ディスクからの戻り光は光源発光点に集光する収束波としてホログラム回折格子に入射するが、このときホログラム回折格子の全面にわたりブラッグ条件が満たされ、高効率の1次回折光が生じる。
【0069】
図50は原板72のホログラムが複数の分割ホログラムから構成されている場合の例であり、光源発光点に集光する光が原板72に照射されると、各分割ホログラムからは光検出器上の異なる光検出領域に対応した受光点に集光し、受光点群を形成する。原板からの光源発光点に集光する0次光と受光点群に集光する1次回折光群はリレー光学系のレンズ73,74により複製用記録材料面で再び重なり合い、各分割領域に対応した干渉縞が形成されて複製用記録材料75に露光される。
【0070】
別の実施例を図51に示す。波長が光ヘッド装置の使用波長近傍の複製用照射光をレンズ71により一度光ヘッド装置の光源発光点と等価な点に集光し、この集光点から発散する発散光束で原板72を照射する。原板72からはそのまま発散する0次光と光検出器受光点と等価な点から発散する1次回折光が生じる。この2光束はレンズ73,74よりなるリレー光学系により、レンズ74の後で一度2点に集光して再び発散していく。この集光する2点の一つは光源発光点の像である光源発光点’であり、もう1点は光検出器の受光点の像である受光点’である。また、原板面と複製用記録材料面をリレー光学系による結像の共役面に設定することでレンズ74の後で集光した2点からの発散光は複製用記録材料面で再び正確に重なる。複製用記録材料面で重なった発散2光束は干渉縞を形成し、複製用記録材料75に露光される。
【0071】
図51ではリレー光学系は焦点距離の等しいレンズ73およびレンズ74から構成され、レンズ73の前側焦点が原板面と一致し、レンズ73の後側焦点とレンズ74の前側焦点を一致させて両レンズを配置し、また、複製用記録材料面とレンズ74の後側焦点を一致するように配置している。
図51の場合は原板72から発生する波面が図48の場合とは位相が逆の(共役の)発散波を使った例であり、収差のないブラッグ格子が形成されるのは図48の場合と同様である。
【0072】
[実施例20]
次に請求項22,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例19(請求項21)は複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合であったが、本実施例ではホログラム複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なる場合について述べる。波長が異なり原板格子への複製用照射光が収束光のときは基本光学系は図48と同様であるが図のレンズ71による収束光の集光点は光ヘッド装置の光源発光点ではなく、図39の原板への照射光のように複製波長と光ヘッド装置の使用波長との違いにより光ヘッド装置使用時の光源発光点でなく複製波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(1)に対応)への収束光とする。
このとき複製露光収束光の主光線の入射角(複製記録材料層内)をα1’、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)をβ1’とし、光ヘッド装置使用時の光検出器への1次回折光の回折角(複製記録材料層内)をβ0として、光ヘッド装置の使用波長がλ0のときの複製記録材料屈折率をn0、複製波長がλ1’のときの屈折率をn1’とすると、主光線に関しては前出の(9),(10)式が略成り立つ。
【0073】
また、波長が異なり原板格子への複製用照射光が発散光のときは基本光学系は図51と同様であるが図のレンズ71による収束光の集光点は光ヘッド装置の光源発光点ではなく、図40の原板への照射光のように、複製波長と光ヘッド装置の使用波長との違いにより光ヘッド装置使用時の光源発光点でなく波長の違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(1)に対応)への収束光とする。原板にはこの点から発散する発散光を照射することになる。このとき複製露光収束光の主光線の入射角(複製記録材料層内)、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)、光ヘッド装置使用時の光検出器への1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)は前述(9),(10)式を略満足する。
【0074】
[実施例21]
次に請求項23,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例17,18(請求項18〜20)のホログラム回折格子の複製方法において、原板への複製露光照射光は図52に示すようにレンズ71により光ヘッド装置の光検出器受光点中の1点と等価な点に集光される収束光を原板72に入射する。原板72からは光検出器受光点に集光する0次光と光ヘッド装置の光源発光点と等価な位置に集光する1次回折光が生じる。この2光束はリレー光学系のレンズ73,74により複製用記録材料面で再び重なった後、0次光は光検出器の受光点’’、1次回折光は光源発光点’’に集光する。複製用記録材料面で重なった2光束は干渉縞を形成して、これが複製用記録材料75に露光される。
図52では原板面と記録材料面はリレー光学系により結像の共役面になっているが、同時に原板72から発生する光源発光点の面(図52中のa’’面)とリレー光学系による光源発光点’’の面(図52中のb’’面)も結像の共役面となっている。
【0075】
原板72を照射する光が光ヘッド装置への搭載時の光源波長近傍の波長を持ち、光検出器受光点と等価な位置に集光する収束光とすることにより、複製用記録材料75へ入射する2光束がリレー光学系で形成された光源発光点と等価な光源発光点’’への収束光と、光検出器受光点と等価な光検出器受光点’’’への収束光であるので、複製されたホログラム回折格子が光検出器に回折、集光するスポットに収差が生ぜず、また、回折効率が回折格子全面にわたって高効率を持たせることができる。これは光ヘッド装置の使用波長で光ディスクからの反射戻り光と光検出器への回折光に相当する2光束による干渉露光を行なっているので、複製用記録材料中に形成される干渉縞は作製用の2光波に対して最適化されたブラッグ格子となっている。このため光ヘッド装置で使用するとき、光ディスクからの戻り光は光源発光点に集光する収束波としてホログラム回折格子に入射するが、このときホログラム回折格子全面にわたりブラッグ条件が満たされ、高効率の1次回折光が生じる。
尚、図52の方法の他に、図41のように光ヘッド装置の光検出器受光点中の1点と等価な点に1度集光して、この点から発散する発散光を原板に照射して、原板から発生する0次光と1次光をリレー光学系を介して複製用記録材料上で重ね合せて干渉露光する構成もある。
【0076】
[実施例22]
次に請求項24,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例21(請求項23)は複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合であったが、本実施例ではホログラム複製波長と光ヘッド使用波長が異なる場合について述べる。波長が異なり原板格子への複製用照射光が収束光のときは基本光学系は図52と同様であるが、図のレンズ71による収束光の集光点は光ヘッド装置の光源受光点ではなく、図42の原板への照射光のように、複製波長と光ヘッド装置の使用波長の違いにより光ヘッド装置使用時の光検出器受光点でなく、複製波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じた点(図36の原板露光用擬似集光点(2)に対応)への収束光とする。このとき複製露光収束光の主光線の入射角(複製記録材料層内)、原板からの1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)、光ヘッド装置使用時の光検出器への1次回折光主光線の回折角(複製記録材料層内)は前述の式(9),(10)が略成り立つ。
【0077】
また、原板への複製用照射光が発散光の場合、基本光学系は図52の場合と同様であるが、照射光は図43のように複製用波長と光ヘッド装置の使用波長との違いに応じて光ヘッド装置の光検出器受光点と異なる点(図36の原板露光用擬似集光点(2)に対応)にレンズによりレーザ光を一旦集光して、集光点から発散してくる発散光をホログラム原板に照射する。原板からはそのまま透過する0次光と光ヘッド装置の光源発光点に対応して波長の違いにより発散位置の違う点から発散してくる1次回折光が生じる。そしてリレー光学系を介して0次光と1次回折光の2光束による干渉縞が複製用記録材料に露光され、ホログラムが複製される。このときの複製用照射光の主光線、回折光の主光線はほぼ前述の式(9),(10)に従う。
【0078】
尚、実施例20,22(請求項22,24)において複製波長と光ヘッド装置の使用波長が大きく異なるとき、光ヘッド装置への搭載時に、複製したホログラム回折格子の使用で波長が大きく違うことにより回折光に収差を持つことがある。このときはリレー光学系を用いた複製方法において、図46に示すように波長の違いによる収差を逆補正する収差を持った位相板63と原板30を図48のリレー光学系の原板に照射するビーム中に配置して複製時に収差を補償する構成もある。また、収差を逆補正する位相板以外にも原板照射光中のレンズ71に逆補正の収差を持たせる、あるいは原版照射光学系中に逆補正の収差を持ったホログラムを配置して、原板照射光にはそのホログラムからの1次回折光を使うなどの方法がある。
【0079】
[実施例23]
次に請求項25,26,27,39に係る発明の実施例を説明する。
ここでは、実施例17〜22(請求項18〜24)のホログラム回折格子の複製方法において、原板からの0次光と片方の1次光の2光束のみで複製用記録材料に干渉縞を露光する方法を示す。図53において原板72より発生する0次光および1次回折光の集光面近傍に空間フィルタ76を配置する。この空間フィルタ76は原板72から発生する0次光と1次回折光のみを透過させ、他の1次回折光および2次以上の高次回折光を遮断するような開口が設けられたものである。この空間フィルタ76により例え原板72から0次光と片方の1次回折光以外の回折光が生じても、リレー光学系内に配置した空間フィルタ76で遮断してしまうので、複製用記録材料75には0次光と片方の1次回折光のみの2光束による干渉縞が露光される。純粋に2光束の干渉により複製されたホログラム回折格子からは必要な1次回折光以外の回折光が生じにくくなり、高回折効率のホログラム回折格子が複製できる。
【0080】
図51は別の実施例であり、ホログラム原板72を発散光で照射する構成においては、空間フィルタ76はリレー光学系の2番目のレンズ74の後で0次光が集光する面近傍に配置して0次光と片方の1次光のみを通過させ、他の回折光は遮断するようにして2光束のみによる干渉縞を複製用記録材料75に露光する。また、別の実施例として図52の光検出器受光点に集光する収束光で原板72を照射する構成の場合は図53と同様に原板72とレンズ73の間の集光点近傍に空間フィルタ76を配置すれば良い。
ここで、空間フィルタ76を透過する0次光と1次光の強度は略等しいことが望ましい。これは干渉する2光束の強度が等しいときが干渉して形成される干渉縞のコントラストが最も大きいので、複製されるホログラム回折格子が高回折効率となる。この原板の実施例について述べる。原板はガラスなどの透明基板上に凹凸の矩形形状を持った表面レリーフ回折格子であり、実施例としては屈折率 n=1.5の透明ガラス基板の片側にDuty=0.5の矩形格子を形成する。図54に矩形格子の格子深さと0次光、±1次光の回折効率の関係を示す。図より格子深さhを0.26μmにすると0次光と±1次光の回折効率が等しくなることがわかる。この深さの矩形回折格子を図53の複製露光系の原板72として用いる。この矩形格子に複製光を照射すると0次光と±1次回折光が発生する。しかし、0次光の集光点に空間フィルタ76が配置され、0次光と片方の1次光のみが透過し、他方の1次光およびその他の高次回折光は空間フィルタ76で遮断される。この結果、リレー光学系を介して複製用記録材料75には強度の等しい0次光と片方の1次光のみによる2光束干渉縞が露光されることになる。
尚、本実施例では原板に矩形格子の場合を述べたが、原板はこれに限定されず0次光と片方の1次光の回折効率が略等しければ任意の格子で良く、他の次数の回折光が存在しても空間フィルタを併用すれば理想的な2光束干渉複製露光が実現できる。
【0081】
ところで、請求項26に係る発明では、請求項21〜25の回折格子の複製方法において、原板への複製用照射光の集光点あるいは発散点を含んでリレー光学系光軸に垂直な面と、リレー光学系によるこれらの点からの光の再集光点を含む光軸に垂直な面との関係が、リレー光学系による結像の共役面となっていることを特徴としている。この関係は先の実施例19等で既に述べており、例えば図48では、原板面と複製用記録材料面はリレー光学系により結像の共役面になっているが、同時に原板から発生する光源発光点の面(図48中のa面)とリレー光学系による光源発光点’の面(図48中のb面)も結像の共役面となっている。また、請求項27に係る発明では、請求項21〜26の回折格子の複製方法において、リレー光学系による原板面の複製用記録材料面への結像倍率と、原板への複製用照射光の集光あるいは発散点のリレー光学系による結像倍率が等しいことを特徴としている。より詳しく述べると、リレー光学系によるホログラム原板面の複製用記録材料面への結像倍率M1と、原板への複製用照射光の集光あるいは発散点のリレー光学系による結像倍率M2を等しくすることにより、原板からの0次光と1次回折光の波面を正確に複製用記録材料面に投影転写することができる。これを行なうには実施例18で説明したリレー光学系を用いることにより実現することができる。すなわち、図48(または図49)のリレー光学系においては、第1のレンズ系73(または73’)と第2のレンズ系74(または74’)がその焦点距離の和(2fまたはf1+f2)だけ離れて配置されており、かつ複製照射光の集光または発散点が原板72の前後に配置されてホログラム原板との距離が第1のレンズ系73(または73’)の焦点距離以内であれば、この複合したレンズ系によるリレー光学系の結像特性からホログラム原板の結像倍率M1と、複製照射光の集光または発散点の結像倍率M2を常に等しくすることができる。
以上のようにすることにより、ホログラム原板から生じる0次光と1次回折光の波面が正確に複製用記録材料面に投影転写され、原板と相似なホログラム回折格子を正確に複製することができる。
【0082】
[実施例24]
次に請求項28,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例5〜23(請求項6〜27)で述べた方法により複製されたホログラム回折格子を光ヘッド装置に用いるときは、光源から光ディスクに向かう往路では光束は回折格子をほとんど透過し(すなわち0次回折効率が高い)、光源からの光の損失をできるだけ少なくして光ディスクへの記録速度を向上させることができ、光ディスクから反射された光が光検出器へ向かう復路においては、光束は回折格子でほとんど回折し(すなわち1次回折効率が高い)、光検出器へ入射する光量を多くして、信号検出におけるS/N比を高めて再生速度の高速化ができることが望ましい。
【0083】
以上を可能にするホログラム回折格子としては偏光性回折格子がある。これは直交する偏光方向に対して回折特性が異なる回折格子であり、往路における入射光の偏光方向に対しては回折格子の屈折率変化がなく、周期構造を感じないので光は回折されず直進する。このため往路の透過率は高い。また、回折格子と光ディスクの間に1/4波長板を配置しておくと、この1/4波長板を往路と復路で2回透過することにより、回折格子に戻ってくる光の偏光は往路の偏光方向と直交している。偏光性回折格子は往路の光束の偏光と直交する偏光の光束については周期的屈折率変化が最も大きく、復路において回折格子に入射した光は大部分が回折されて光検出器に入射する。
【0084】
このような偏光性回折格子を実施例5〜23(請求項6〜27)で述べた干渉露光による複製方法により実現するための複製用記録材料としては、液晶材料を含んだ記録材料がある。一例としてはホログラフィック高分子分散液晶(HPDLC:Holographc Polymer Dispersed Liquid Crystal)、あるいは光硬化型液晶(PPLC:Photo−Polymerized Liquid Crystal)などがある。
前者のHPDLCは、高分子モノマー中に液晶を分散させて記録材料としたものであり、これに前述の干渉縞を露光すると、干渉縞の明部はモノマーが移動して硬化する。干渉縞暗部には液晶が残り、明部で硬化したポリマーに引っ張られて液晶が特定の方向に配向する。この配向のために、直交する入射偏光に対し、一方は屈折率変化が生じずほとんど透過する。また、これと直交する偏光方向は液晶が配向して屈折率が大きい方向と一致することにより、周期的屈折率変化を感じて入射光は回折する。以上によりHPDLCは偏光性回折格子として機能する。
【0085】
後者のPPLCは、透明電極(ITO等)と液晶を配向させる配向層を持つ基板間に光重合性の感応基がついた液晶を封入して液晶を水平配向させたものであり、これに干渉縞を露光すると縞の明部では液晶分子が重合して硬化する。一方、縞の暗部では液晶分子は硬化しないで残っている。次に液晶層を挟む透明電極間に電圧をかけながら光を照射する。このとき暗部の液晶は電圧印加により基板に垂直方向に配向して光により硬化する。以上により干渉縞の明、暗に対応して液晶の配向が水平/垂直の周期構造を持つようになる。このようにして記録した回折格子に互いに直交する偏光を入射させると、一方の偏光方向(水平配向した液晶分子の短軸方向と一致する方向)では、水平/垂直の配向があっても屈折率変化を感じないで入射光はほとんど透過し、これと直交する方向では、水平配向した液晶分子の長軸方向と一致して水平/垂直の配向による屈折率変化を感じて入射光はほとんど回折する。
【0086】
以上のHPDLC,PPLCなどの液晶材料を用いた記録材料を複製用に適用することで、干渉露光で作製するホログラム回折格子で偏光性を発現させることができる。また、複製の際の露光量を最適化させることで、1次回折効率は図11の曲線IIの特性を持たせることができる。この結果、往路は高透過率、復路は高回折効率の偏光性回折格子が実現でき、光ヘッド装置用としては最適な回折格子となる。
【0087】
[実施例25]
次に請求項29,30,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例5〜24(請求項6〜28)で述べた複製方法において、実施例5〜11(請求項6〜12)の原板ホログラム回折格子(ホログラム原板30)及び実施例12〜15(請求項13〜16)の第2の原板ホログラム回折格子(第2の原板302)は、複製用記録材料に対して原板から生じた0次光と1次回折光による干渉縞のコントラストが高いことが望ましい。すなわち、コントラストの高い干渉縞が露光されることにより、複製された回折格子に高回折効率を持たせることができる。このためには、原板のホログラム回折格子は0次光と1次回折光の強度をほぼ等しくすることが必要であり、かつ0次光と1次回折光以外の回折光が生じないことが望ましい。
【0088】
このようなホログラム原板を実現する方法として、一つは原板に体積位相型回折格子を用いることである。図14に体積位相型回折格子32の格子断面図を示す。屈折率が高/低の周期的格子がホログラム層内に3次元的に生じている。層内ではホログラム(干渉縞)が傾斜して形成されていて特定の回折光が効率良く生じる構造になっている。ここで、入射光が垂直な場合に、波長λの光について考える。格子の表面上のピッチをdx、層内の格子傾斜角をα、格子層の平均屈折率をn、回折光の回折角度をθ、層内の回折角をθ’とすると、
dx・sinθ=λ
より、
sinθ=λ/dx
であり、
sinθ=n・sinθ’
より、
sinθ’=λ/n・dx
となり、
θ’=sin− 1λ/n・dx=2α (11)
が成り立つとき回折のブラッグ条件が満たされ、回折光としては+1次回折光のみが生じる。
【0089】
図14において(11)式が成立つようにして干渉露光で体積位相型回折格子を作製するときの干渉露光の露光量と回折効率の関係を図15に示す。干渉露光の露光量を増やすにしたがい0次光は減少し、+1次回折光は増加していく。図15において干渉露光の露光量E0において0次光と+1次回折光の強度が等しくなる。このように体積位相型回折格子の作製においては、干渉露光の露光量を適正化することにより、0次光と+1次回折光の強度が等しく、かつ他の回折光が生じない理想的なホログラム原板が作製できる。このホログラム原板を用いて実施例2〜7で述べた方法による複製を行なうと、複製露光の干渉縞コントラストを最大化でき、高効率の複製回折格子を作製することができる。尚、体積位相型回折格子を作製することができる材料としては、代表的なものに、フォトポリマー、重クロム酸ゼラチン、Fe添加LiNbO3などがある。
【0090】
[実施例26]
次に請求項31,39に係る発明の実施例を説明する。
実施例25(請求項29,30)では、ホログラム原板あるいは第2の原板を、体積位相型回折格子で実現する場合の実施例について述べたが、これに限定されず図16や図17に示すような表面レリーフ型回折格子でホログラム原板を作製することもできる。
図16は表面レリーフ型回折格子のうちのブレーズ回折格子でホログラム原板を実現する例である。この場合、ブレーズ回折格子で+1次回折光を増強するようなブレーズ角をもたせておき、格子深さを0次光と+1次回折光の強度が等しくなるように設定して複製用ホログラム原板33とする。
また、図17は図16のブレーズ回折格子を階段状の格子で近似させてホログラム原板34を実現したものである。この場合、格子を階段状形状にすることにより作製が容易になる。
【0091】
[実施例27]
次に請求項32,39に係る発明の実施例を説明する。
図16や図17に示すようなブレーズ回折格子で0次光と+1次回折光をほぼ同一強度にできるが、それ以外の高次回折光もある程度発生してしまう。高次回折光の発生を抑えるには図18に示すホログラム原板35の例のように、矩形格子に斜め入射させて矩形格子による斜め出射の0次光と基板に垂直方向に回折する−1次回折光を発生させる。斜め入射による回折では0次と−1次回折光以外の回折光の発生が抑えられる。また、0次光と−1次回折光の光強度を略同一にするには、矩形格子の深さを調整する。
【0092】
図19は別の実施例で、表面レリーフ回折格子としてブレーズ回折格子を使ったホログラム原板36の例であり、ブレーズ格子に斜め入射させると、直進する斜め出射の0次光と基板に垂直方向に回折する−1次回折光が発生し、それ以外の回折光の発生を抑えることができる。0次光と−1次回折光の光強度を略同一にするにはブレーズ回折格子の深さを調整することにより実現できる。
また、図20は図19のブレーズ回折格子を階段状の格子で近似して同じ機能を実現させたホログラム原板の例であり、この場合も0次光と−1次回折光の光強度を略同一にし、他の回折光の発生を抑えることができる。
【0093】
[実施例28]
次に請求項33,39に係る発明の実施例を説明する。
本実施例では、実施例5〜11(請求項6〜12)の原板ホログラム回折格子(ホログラム原板30)及び実施例12〜15(請求項13〜16)の第2の原板ホログラム回折格子(第2の原板302)から干渉縞を複製用記録材料に露光して複製する方法において、多数のホログラム回折格子を複製する方式について述べる。図21に実施例2または実施例3と同様の方法で作製したホログラム回折格子38aを多数、同一基板上に配列した構成のホログラム原板38を示す。これは実施例2または実施例3で述べたような光ヘッド装置用の領域分割されたホログラム原板26(30)を、複数個マトリックス状に同一の基板上に配列したものと同じである。
【0094】
複製用の露光方法としては、図22に示すように、ホログラム原板38を複製用記録材料39に略密着させる。そして、これに複製用のレーザ光をレンズ40で拡大し、必要に応じてピンホール(またはアパーチャ)41を通してビームのフレア光をカットし、コリメートレンズ42でコリメート光とした後、集光レンズ43で光ヘッド装置の光源の発光点と等価な位置に集光する収束光を形成して複製用照射光をホログラム原板38上の複数のホログラム回折格子38aのうちの1つに入射させる。そして、所定時間複製露光した後、ホログラム原板38と複製用記録材料39が密着されたものを原板中の隣のホログラム回折格子に基板面内で一体的に移動させ、再び複製露光する。以上の過程をホログラム原板上にあるホログラム回折格子の数だけ繰り返して原板上の全てのホログラム回折格子を複製用記録材料39に干渉露光し、転写する。
【0095】
複製用照射光の波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合は、集光レンズ43による集光点は光ヘッド装置の光源の発光点と等価な位置であり、また、複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なる場合は波長の違いに応じて光源の発光点と異なる点に集光するようにしてホログラム原板38に入射させる。
また、他の例としては、図55に示すように集光レンズ43により一度集光させた後、集光点からの発散光を原板38上の単一のホログラム格子に照射して複製露光する配置もある。このとき、複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合は集光レンズ43による集光点は光ヘッド装置の光源の発光点と等価な点に設定する。また、複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なるときは、波長の違いに応じて光源の発光点と異なる点に集光するようにして、そこからの発散光を原板38に入射させる。
【0096】
次に別の例として実施例9,10(請求項10,11)と同様の斜め露光方式に対応した複製方法を図23に示す。複製用の収束光に対し、ホログラム原板38と複製用記録材料39とを略密着させたものを斜めに配置して複製用の収束光が、光ヘッド装置の光検出器の受光点と等価な位置に収束するようにして複製露光する。次にホログラム原板38と複製用記録材料39を一体的に基板面内で所定量移動させ、再び複製露光する。この工程を繰返して原板上の全てのホログラム回折格子を複製用記録材料39に干渉露光し、転写する。
【0097】
ここで複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合は、複製用収束光の集光点は光ヘッド装置の光検出器の受光点と等価な位置に設定する。また、複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なる場合は、集光点は波長の違いに応じて光ヘッド装置の光検出器の受光点とは異なる位置に集光する光でホログラム原板38に入射させる。
さらに別の例として図56に示すように原板38と複製用記録材料39は略密着されて斜めに傾けて配置され、集光レンズ43により一度集光させた後、集光点からの発散光を原板上の単一のホログラム格子に照射して複製露光する配置もある。このとき、複製波長が光ヘッド装置の使用波長の近傍の場合は、集光レンズ43による集光点は光ヘッド装置の光検出器の受光点と等価な点に設定する。また、複製波長と光ヘッド装置の使用波長が異なるときは、波長の違いに応じて光検出器の受光点と異なる点に集光するようにして、そこからの発散光をホログラム原板38に入射させる。
【0098】
以上の方法において、複製露光の間にホログラム原板38と複製用記録材料39を一体的に移動させる代わりに、原板38と記録材料39は固定しておき、露光照射光の方を所定量移動させても良い。この場合は露光照射光学系の一部を原板面内方向に移動させることになる。
【0099】
以上のようにしてホログラム原板38上の複数のホログラム回折格子を複製用記録材料39に複製した後、複製された複数のホログラム回折格子を、基板からダイヤモンドカッターなどで単体のホログラム回折格子として切り出し、光ヘッド装置に搭載して使用する。また、以上のような方法によれば、多数のホログラム回折格子を容易に作製することができ、生産性を向上することができる。
【0100】
[実施例29]
次に請求項34,39に係る発明の実施例を説明する。
図24及び図25に回折格子の別の複製方法を示す。本実施例では、ホログラム原板38上の複数のホログラム回折格子を一つずつ複製用記録材料39に露光して転写するのではなく、複数個のホログラム回折格子を一括露光して、これに原板38の移動(または露光照明光の移動)を加えて原板上のホログラム回折格子全体を複製する方法である。図24ではレーザ光をレンズ40で発散光とし、必要に応じてピンホール(またはアパーチャ)41を通してビームのフレア光をカットし、コリメートレンズ44で平行光としてレンズアレイ45に入射させる。図24の例では紙面方向には3個、紙面と垂直方向にも3個の合計9個のレンズアレイ45となっている。ホログラム原板38としては、図21に示したようにホログラム回折格子38aを多数、同一基板上に配列した構成のホログラム原板が用いられ、このホログラム原板38が複製用記録材料39と略密着して配置されている。
【0101】
複製方法としては、まず図25の(1)のように3×3=9個の回折格子が複製露光される。次にホログラム原板38と複製用記録材料39が一体となって基板面内の縦方向に格子間隔だけ移動した後、図25の(2)のように3×3=9個の回折格子が複製露光される。次にホログラム原板38と複製用記録材料39が一体となって基板面内の横方向に格子間隔だけ移動して図25の(3)のように9個の回折格子が複製露光される。更にホログラム原板38と複製用記録材料39が一体となって基板面内の縦方向に格子間隔だけ移動して図25の(4)のように9個の回折格子が複製露光される。以上の図25(1)〜(4)の工程により複製用記録材料39に合計36個のホログラム回折格子が複製される。この方法により1個ずつ個別に露光する場合に比べ、1/9の露光回数で露光が完結し、工程が短縮される。
【0102】
図57は回折格子の複製方法のさらに別の実施例を示す図であり、コリメートレンズ44で平行光化され、レンズアレイ45で一旦集光し、集光点からの発散光を複数同時に形成して複数のホログラム格子に同時に入射させる複数一括露光する構成である。ホログラム全体の複製は上で述べた方法で基板の面内移動で行なう。
また、複製露光の間にホログラム原板38と複製用記録材料39を一体的に移動させる代わりに、原板38と記録材料39は固定しておき、露光照射光の方を所定量移動させても良い。この場合は露光照射光学系の一部を原板面内方向に移動させることになる。
【0103】
[実施例30]
次に請求項35,39に係る発明の実施例を説明する。
図26に回折格子のさらに別の複製方法を示す。図26に示す複製方法は、実施例12で述べた図24の方法と類似しているが、本実施例では図26に示すように、レンズアレイ45として、ホログラム原板38上のホログラム回折格子と同数のレンズをマトリクス状に配置したものを用い、コリメートレンズ44で平行化され強度分布平坦化フィルタ46を通して平坦化されたレーザ光をレンズアレイ45の全面に入射してホログラム原板38上のホログラム回折格子を同時に一括して複製用記録材料39に露光・複製する方法である。
【0104】
また、図27は回折格子のさらに別の複製方法を示しており、図26と同様の光学系を用いた複製方法において、ホログラム原板38に複製用露光を斜め入射する場合の実施例である。ホログラム原板38と複製用記録材料39は略密着され、コリメートレンズ44で平行化された光に対して斜めに配置される。ホログラム原板38上のホログラム回折格子に収束光を照射するためのレンズアレイ45はホログラム原板38と平行に配置され、平行光に対しては斜めに配置される。レンズアレイ45を構成する個々のレンズは斜め入射の平行光に対して、先鋭なスポットを集光するように収差補正されている。
【0105】
以上の方法により多数のホログラム回折格子を1回の露光工程で複製用記録材料39に一括複製でき、工程を簡略化できる。
また、図26ではコリメートレンズ44で平行光化した後に強度分布平坦化フィルタ46を配置している。これはレーザ光のガウス状の強度分布を中央部が透過率が低く、周辺にいくにしたがって透過率が高くなるようにする強度分布補正フィルタを配置して、レンズアレイ45に入射する平行光の強度分布を均一化して各ホログラム回折格子の複製露光量を同一にする機能がある。尚、この強度分布平坦化フィルタ46は図22や図24などの複製露光光学系にも同様に適用できる。
【0106】
次に別の実施例として図58に示すようにコリメートレンズ44で平行光化した後、原板上のホログラム格子数と同数のレンズアレイ45により一旦集光させ、集光点からの発散光を全ホログラム格子に照射して全体を一括露光する。
また、さらに別の実施例として図59に示すようにコリメートレンズ44により平行化したビーム中に原板38と複製用記録材料39を略密着させて斜めに傾けて配置し、また、レンズアレイ45も原板38と平行に傾けて配置して、マイクロレンズアレイ45による集光の後の発散光を全ホログラム格子に同時に入射させて一括露光する構成もある。
【0107】
[実施例31]
次に請求項36,39に係る発明の実施例を説明する。
図60にリレー光学系を用いたホログラム回折格子の大量複製露光方法を示す。この方法では、単一の原板72を収束光または発散光で照射し、原板72から発生する0次光と1次光をリレー光学系のレンズ73,74により複製用記録材料75上で重ね合せて干渉させて単一のホログラムを露光する工程と、複製用記録材料75のみを面内方向に移動させ停止する工程を順次繰り返して、複製用記録材料75に複数のホログラム格子をマトリクス状に複製記録する。
また、複製露光の間に複製用記録材料75を面内に移動させる代わりに、複製用記録材料は固定しておき、露光照射光の方を所定量移動させても良い。この場合は原板72を含む露光照射光学系の一部を原板面内方向に移動させることになる。
【0108】
[実施例32]
次に請求項37,39に係る発明の実施例を説明する。
図61にリレー光学系を用いた別のホログラム回折格子の大量複製露光方法を示す。複製する全ホログラム数をN、一回に一括露光するホログラム数をN1とする(N>N1)。この複製露光方法は、レンズ81でカップリングされた複製用のレーザ光をコリメートレンズ82により平行光化し、レンズ群83を通過したN1個の収束光または発散光を原板84上のN1個のホログラム格子に入射させ、各ホログラム格子から発生する0次光と1次回折光をN1個のリレー光学系85,86を介して複製用記録材料87で個々に重ね合せて干渉露光によりN1個のホログラムを記録する工程と、複製用記録材料87のみを面内方向に移動させ停止する工程を順次繰り返して、複製用記録材料87にN個のホログラム格子をマトリクス状に複製記録する方法である。
また、複製露光の間に複製用記録材料87を面内に移動させる代わりに、複製用記録材料87は固定しておき露光照射光の方を所定量移動させても良い。この場合は原板、N1個のリレー光学系85,86を含む露光照射光学系を原板面内方向に移動させることになる。
【0109】
[実施例33]
次に請求項38,39に係る発明の実施例を説明する。
図62にリレー光学系を用いたさらに別のホログラム回折格子の大量複製露光方法を示す。複製する全ホログラム数をNとする。この複製露光方法は、レンズ81でカップリングされた複製用のレーザ光をコリメートレンズ82により平行光化し、レンズ群83を通過したN個の収束光または発散光を原板84上のN個のホログラム格子に入射させ、各ホログラム格子から発生する0次光と1次回折光をN個のリレー光学系85’,86’を介して複製用記録材料87で個々に重ね合せて、一括干渉露光により複製用記録材料87にN個のホログラム格子をマトリクス状に一括複製記録する方法である。
【0110】
[実施例34]
次に請求項40に係る発明の実施例を説明する。
ここでは実施例1〜33(請求項1〜38)で説明した回折格子のうち、特に偏光性回折格子を光ヘッド装置(光ピックアップ装置)に適用する実施例を示す。図28は本発明の一実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。図中の符号48は半導体レーザ(LD)からなる光源、47は本発明の偏光性回折格子、50はカップリングレンズであるコリメートレンズ、51は1/4波長板、52は対物レンズ(集光レンズ)、53は光記録媒体である光ディスク、49は光検出器である。
【0111】
図28において、光源48よりの出射光は偏光性回折格子47をほとんど全透過するような偏光方向に設定され、コリメートレンズ50で略平行光にコリメートした後、1/4波長板51により円偏光となり、対物レンズ52で光ディスクに集光される。光ディスク53からの反射光は対物レンズ52で略平行光となり、1/4波長板51で往路とは直交する偏光方向に変換されてコリメートレンズ50により集束光となり、偏光性回折格子47に入射する。この入射光は往路とは直交する偏光なのでほとんど回折し、+1次回折光が光検出器9に入射して信号検出される。このとき光ディスク53のトラック方向が紙面とは垂直方向にあるとすると、トラッキング信号としてのPush−Pull信号は偏光性回折格子47への戻り集束光について光軸を中心に左側と右側の光量を比較して、その差信号から得られる。
また、本発明の偏光性回折格子47の回折効率は前述したように垂直入射で80%以上あり、従来の垂直矩形格子の約40%より回折効率が大幅にアップしているので高速の信号再生ができるというメリットが生じる。
【0112】
[実施例35]
次に請求項41に係る発明の実施例を説明する。
図29は本発明の別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。本実施例では、実施例14で説明した図28に示す構成の光ヘッド装置において、光源48、光検出器49及び偏光性回折格子47を一つのケース54の内部と開口部に配置して一体化し、ユニット構成としたものであり、このようなユニット構成とすることにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に光源48、光検出器49、偏光性回折格子47が一体化されているので組立て時間が短縮され、調整も簡単になる。
【0113】
[実施例36]
次に請求項42に係る発明の実施例を説明する。
ここでは実施例1〜33(請求項1〜38)で説明した回折格子のうち、特に偏光性回折格子を2波長対応の光ヘッド装置(光ピックアップ装置)に適用する実施例を示す。図30は本実施例の光ヘッド装置の概略構成図である。図中の符号48−1,48−2は異なる波長を持つ半導体レーザ(LD)からなる光源、47は本発明の偏光性回折格子、50はカップリングレンズであるコリメートレンズ、51は1/4波長板、52は2波長に対して収差補正された対物レンズ(集光レンズ)、53は光記録媒体である光ディスク、49は2波長共通の光検出器である。
この2波長対応の光ヘッド装置は、波長の異なる2つの光源48−1,48−2を備えているので、記録密度が異なる2種類の光ディスク53に対応することができる。光ディスク53としては例えば通常の記録密度のCD系の光ディスクと、高密度記録が可能なDVD系の光ディスクなどがある。CD系とDVD系では記録密度が異なるので、使用する光源の波長と光ディスクの基板厚が異なり、例えば波長780nmを用いるCD系ディスクの場合、基板厚は1.2mmであり、波長660nmを用いるDVD系ディスクの場合、基板厚は0.6mmとなる。
【0114】
図30において、各光源48−1,48−2からの出射光は偏光性回折格子47をほとんど全透過するような偏光方向に設定され、コリメートレンズ50で略平行光にコリメートした後、2波長に対応した1/4波長板51により円偏光となり、対物レンズ52で光ディスク53に集光される。光ディスク53からの反射光は対物レンズ52で略平行光となり、1/4波長板51で往路とは直交する偏光方向に変換されてコリメートレンズ50により集束光となり、偏光性回折格子47に入射する。この入射光は往路とは直交する偏光なのでほとんど回折し、+1次回折光が2波長共通の光検出器49に入射して信号検出される。このとき光ディスク53のトラック方向が紙面とは垂直方向にあるとすると、トラッキング信号としてのPush−Pull信号は偏光性回折格子7への戻り集束光について光軸を中心に左側と右側の光量を比較して、その差信号から得られる。
また、本発明の偏光性回折格子47の回折効率は前述したように垂直入射で80%以上あり、従来の垂直矩形格子の約40%より回折効率が大幅にアップしているので高速の信号再生が可能になる。
【0115】
[実施例37]
次に請求項43に係る発明の実施例を説明する。
図31は本発明のさらに別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。本実施例では、実施例16で説明した図30に示す構成の2波長対応の光ヘッド装置において、波長の異なる2つの光源48−1,48−2、光検出器49及び偏光性回折格子47を一つのケース54の内部と開口部に配置して一体化し、ユニット構成としたものである。このようなユニット構成とすることにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に、光源48−1,48−2、光検出器49及び偏光性回折格子47が一体化されているので、組立て時間が短縮され、調整も簡単になる。
【0116】
[実施例38]
次に請求項44に係る発明の実施例を説明する。
ここでは、実施例34〜37のいずれかに示した光ヘッド装置(光ピックアップ装置)を搭載した光ディスクドライブ装置の実施例について説明する。
実施例34〜37に示した光ヘッド装置(光ピックアップ装置)は、回折効率が高効率で、格子ピッチが狭ピッチ化された偏光性回折格子を用いるので、光利用効率が高く、高速な記録・再生に適した信頼性の高い信号が得られる。また、回折効率が高いと信号検出系の光集積回路(OPIC)のゲインを小さくでき、OPICの高速応答化に貢献できる。また、入射角度により回折効率が変わらなければオフセットの小さい信号が得られる。したがって光ディスクドライブ装置の記録・再生速度の高速化と安定したサーボ制御を達成することができる。
さらに、本発明に係る光ヘッド装置は、偏光性回折格子を用い、光源と光検出器を配設したユニットと一体化しているので、光ヘッド装置の小型化、薄型化が可能であり、例えばノート型パーソナルコンピュータに搭載される光ディスクドライブ装置の光ヘッド装置(光ピックアップ装置)として好適に用いることができる。
【0117】
次に光ディスクドライブ装置の一構成例を図32に示す。図32は光ディスクドライブ装置の概略構成の一例を示すブロック図である。この光ディスクドライブ装置120は、光記録媒体としての光ディスク117を回転駆動するためのスピンドルモータ122、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123、レーザコントロール回路124、エンコーダ125、モータドライバ127、再生信号処理回路128、サーボコントローラ133、バッファRAM134、バッファマネージャ137、インターフェース138、リード・オンリー・メモリ(ROM)139、中央演算処理装置(CPU)140、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)141などを備えている。尚、図32における矢印は、代表的な信号や情報の流れを示すものであり、各ブロックの接続関係の全てを表わすものではない。また、図32の構成は一例であり、これに限るものではない。
【0118】
光ディスク117としては、CD(コンパクト・ディスク)系の光ディスク(CD,CD−R,CD−RW)や、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)系の光ディスク(DVD,DVD−R,DVD+R,DVD−RW,DVD+RW)、青色半導体レーザを光源とした高密度光ディスク等があるが、図30や図31に示す光ヘッド装置のように、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123内に波長の異なる光源を複数備えた構成とし、光ディスク117の種類に応じて光源を選択的に駆動するようにすれば、複数種類の光ディスクに対して記録や再生を行うことができる光ディスクドライブ装置を構成することができる。
【0119】
図32において、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123は、光ディスク117のスパイラル状または同心円状のトラックが形成された記録面にレーザ光を照射すると共に、記録面からの反射光を受光し、情報の記録または再生を行うための装置であり、例えば図28〜31のいずれかに示したような構成となっている。
再生信号処理回路128は、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123の出力信号である電流信号を電圧信号に変換し、該電圧信号に基づいてウォブル信号、再生情報を含むRF信号及びサーボ信号(フォーカス信号、トラッキング信号)などを検出する。そして、再生信号処理回路128では、ウォブル信号からアドレス情報及び同期信号等を抽出する。ここで抽出されたアドレス情報はCPU140に出力され、同期信号はエンコーダ125に出力される。さらに、再生信号処理回路128では、RF信号に対して誤り訂正処理等を行なった後、バッファマネージャ137を介してバッファRAM134に格納する。また、サーボ信号は再生信号処理回路128からサーボコントローラ133に出力される。サーボコントローラ133では、サーボ信号に基づいて光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123を制御する制御信号を生成しモータドライバ127に出力する。
【0120】
前記バッファマネージャ137では、バッファRAM134へのデータの入出力を管理し、蓄積されたデータ量が所定の値になると、CPU140に通知する。前記モータドライバ127では、サーボコントローラ133からの制御信号及びCPU140の指示に基づいて、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123及びスピンドルモータ122を制御する。前記エンコーダ125では、CPU140の指示に基づいて、バッファRAM134に蓄積されているデータをバッファマネージャ137を介して取り出し、エラー訂正コードの付加などを行い、光ディスク117への書き込みデータを作成するとともに、再生信号処理回路128からの同期信号に同期して、書き込みデータをレーザコントロール回路124に出力する。前記レーザコントロール回路124では、エンコーダ125からの書き込みデータに基づいて、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123からのレーザ光出力を制御する。
【0121】
前記インターフェース138は、ホスト(例えば、パーソナルコンピュータ)との双方向の通信インターフェースであり、ATAPI(AT Attachment Packet Interface)及びSCSI(Small Computer System Interface)等の標準インターフェースに準拠している。
前記ROM139には、CPU140にて解読可能なコードで記述された制御用のプログラム等が格納されている。CPU140は、ROM139に格納されている前記プログラムに従って上記各部の動作を制御するとともに、制御に必要なデータ等を一時的にRAM141に保持する。
【0122】
以上、光ディスクドライブ装置の一構成例を説明したが、本発明では光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123として、回折効率が高い偏光性回折格子を用いた光ヘッド装置(光ピックアップ装置)を搭載しているので、光利用効率が高く、信頼性の高い信号が得られ、かつ記録・再生速度の高速化を達成することができる。さらに本発明では、光ヘッド装置(光ピックアップ装置)123内に波長の異なる複数の光源を備えることにより、CD系やDVD系の光ディスク、青色半導体レーザを光源とした高密度光ディスクなどの使用する波長の異なる複数規格の光ディスクを記録または再生することができる光ディスクドライブ装置を実現することができる。
【0123】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の回折格子においては、格子部が複数の領域に分割され、各領域が2光束干渉露光により形成されているので、光ディスク用の光ヘッド装置に適用される回折格子として、片側(+1次)回折効率の高効率化と狭ピッチ化とを両立させる回折格子が実現できる。
また、請求項2記載の回折格子の作製方法においては、干渉露光によるホログラム回折格子を複数領域に分割して個別に形成することにより、光ヘッド装置で必要とされるフォーカス誤差信号、トラック誤差信号、Rf信号などを検出できるようになる。
【0124】
請求項3〜5記載の回折格子及びその作製方法においては、ホログラム記録材料が光ヘッド使用波長では記録感度がない場合でも記録感度のある波長でホログラムを記録することができる。また、記録と再生で波長が異なることに伴う収差の発生を抑え光ヘッド装置に使用したときに光検出器へ収差のない光を入射でき、ホログラム全面にわたってブラッグ条件を満足して80%以上の高効率でかつ均一性が良いホログラム回折格子を提供することができる。
【0125】
請求項6記載の回折格子の複製方法においては、高効率、狭ピッチの光ヘッド装置用ホログラム回折格子を、請求項1記載の回折格子を原板に用いて簡易な構成で大量に複製でき、大量生産による低コスト化が可能となる。
また、請求項7記載の回折格子の複製方法においては、回折格子の原板(例えばホログラム原板)から露光複製する方法においてホログラム原板を計算機で計算して人工的に作成した干渉縞(ホログラム(CGH : Computer Generated Hologram))を用いて作製することにより、回折格子の分割領域の自由な設定が容易であり、原板記録波長と複製したホログラム回折格子を光ヘッド装置に搭載したときの使用波長の違いによる収差発生の問題が生じない(干渉縞を計算する波長を光ヘッド装置での使用波長とすればよい)などのメリットが多い。
【0126】
請求項8,10記載の回折格子の複製方法においては、回折格子の原板(ホログラム原板)から露光複製したホログラム回折格子が無収差でかつホログラム全面にわたってブラッグ条件を満足するようにしているので、80%以上の高効率でかつ均一性が良いホログラム回折格子を作製することができる。
また、請求項9,11記載の回折格子の複製方法においては、ホログラム複製材料が光ヘッド装置の使用波長(光源波長)に対して記録感度がない場合でも感度のある波長で原板からホログラム回折格子を複製でき、波長が異なることに伴う収差の発生を抑えホログラム全面にわたってブラッグ条件を満足して80%以上の高効率でかつ均一性が良いホログラム回折格子を提供することができる。
また、請求項12記載の回折格子の複製方法においては、請求項6の効果に加え、特にフォーカス誤差信号を検出するための回折光が無収差となるようにしているので、光ヘッド装置に適用したときに、フォーカスオフセットのない良好なフォーカス誤差信号が検出できるホログラム回折格子を作製することができる。
【0127】
請求項13,15記載の回折格子の複製方法においては、この方法により第1の原板はフォトリソグラフィ、電子ビームリソグラフィなどを用いた計算機発生ホログラムの作成に適した1次原板とし、第2の原板は最終的に光ヘッド装置で使われるホログラム回折格子が高回折効率を持つような複製露光ができるホログラム原板とするように複製工程において原板を最適化できる。つまり原板を2枚用いることにより計算機発生ホログラムから最終的高回折効率のホログラム回折格子が複製できるようになる。
また、請求項14,16記載の回折格子の複製方法においては、請求項13の効果に加え、ホログラム複製材料が光ヘッド装置の使用波長に対して記録感度がない場合でも感度のある波長で原板からホログラム回折格子を複製でき、波長が異なることに伴う収差の発生を抑えホログラム全面にわたってブラッグ条件を満足して80%以上の高効率でかつ均一性が良いホログラム回折格子を提供することができる。
さらに請求項17記載の回折格子の複製方法においては、複製波長と光ヘッド装置の使用波長が大きく異なっている場合、波長が異なることに伴う収差の発生を抑え光ヘッド装置に使用したときに光検出器へ収差のない光を入射できる。
【0128】
請求項18,19記載の回折格子の複製方法においては、ホログラムを複製するとき、原板と複製用記録材料を密着せず空間的に離して配置して複製できるので、密着複製するときの技術的難しい点(原板と複製用記録材料の間のギャップを小さくするために原板あるいは記録材料のカバーガラスを極薄にしなければならないこと、あるいは密着した原板と記録材料の間の多重反射による不要な干渉縞の発生を防ぐために密着面に屈折率マッチング液を挟まなければならない点等)を回避できる。従って、極薄カバーガラス、屈折率マッチング液などを使用しなくても高品質なホログラム回折格子が複製できる。また、原板は複製用記録材料に密着させないので、多数回の複製における接触による原板の損傷が生じることがない。
また、請求項20記載の回折格子の複製方法においては、必ずしも原板を最終的ホログラムと同一スケールにする必要はなく、原板作製時の自由度が増える。
【0129】
請求項21,23記載の回折格子の複製方法においては、リレー光学系を用いた光ヘッド装置用ホログラム回折格子の複製において、光ヘッド装置に使用したときに光検出器に対して収差がなく、かつ回折効率の高い回折光を生成できる回折格子を作製することができる。
また、請求項22,24記載の回折格子の複製方法においては、原板と記録材料を密着しなくてもリレー光学系を用いてホログラム回折格子が複製でき、かつ複製用記録材料が光ヘッド装置の使用波長に記録感度がない場合でも、感度のある波長で記録できて光ヘッド装置に使用したときに光検出器に対して収差がなく、かつ回折効率の高い回折光を生成できる回折格子を作製することができる。
さらに請求項25記載の回折格子の複製方法においては、原板が必要な0次光と1次光以外の回折光が生じているものでも、必要とする0次光と1次光のみを抽出して複製用記録材料に2光束のみによる干渉露光できるので、複製されたホログラムは不要な回折光が発生せず、高効率な光ヘッド装置用ホログラム回折格子を提供することができる。
さらにまた、請求項26,27記載の回折格子の複製方法においては、請求項21〜25の効果に加え、ホログラム原板から生じる0次光と1次回折光の波面が正確に複製用記録材料面に投影転写され、原板と相似なホログラム回折格子を正確に複製することができる。
【0130】
請求項28記載の回折格子の複製方法においては、液晶材料を含む体積位相型の複製用記録材料を用いることにより、往路は高透過率、復路は高回折効率の偏光性回折格子が作製でき、光ヘッド装置用として用いれば、高速記録、高速再生が可能でかつ小型軽量な光ヘッド装置を提供できる。
また、請求項29記載の回折格子の複製方法においては、回折格子の原板に体積位相型回折格子を用いているので、0次光と1次回折光以外の回折光が生じない理想的な原板を用いて複製を作製することができる。
さらに、請求項30記載の回折格子の複製方法においては、請求項29の効果に加え、原板作成時に干渉露光の露光量を適正化することにより、0次光と+1次回折光の強度が略等しくでき、この回折格子原板を用いて請求項6〜28の複製を行なうことにより複製露光の干渉縞コントラストを最大化でき、高効率の複製回折格子が作製できる。
【0131】
請求項31記載の回折格子の複製方法においては、請求項6〜28の複製方法において原板として表面レリーフ型回折格子を用いているので、0次光と1次回折光の強度を略等しくでき、ホログラム原板に適した回折格子が実現できる。
また、請求項32記載の回折格子の複製方法においては、原板を表面レリーフ型回折格子とした場合に、特に0次光と−1次回折光を使いその光強度を略等しくすることにより、他の回折光の発生が抑圧され、このホログラム原板を用いて複製を行なうことにより、複製露光の干渉縞コントラストを最大化でき、高効率の複製回折格子が作製できる。
【0132】
請求項33記載の回折格子の複製方法においては、原板上に複数個配列されたホログラム回折格子を複製用記録材料に同数個複製できるので、大量生産が可能となり低コスト化できる。
また、請求項34記載の回折格子の複製方法においては、請求項33と同様の効果が得られ、しかも請求項33の方法より複製の工程数を減少でき、更に大量生産、低コスト化が可能となる。
さらに、請求項35記載の回折格子の複製方法においては、請求項33,34と同様の効果が得られ、しかも請求項34の方法より更に複製の工程数を減少でき、更に大量生産、低コスト化が可能となる。
【0133】
請求項36記載の回折格子の複製方法においては、原板と記録材料を密着させずに原板上のホログラム回折格子を複製用記録材料に多数個複製できるので、大量生産が可能となり低コスト化できる。
また、請求項37記載の回折格子の複製方法においては、原板と記録材料を密着させずに複製でき、請求項36の方法より複製の工程数を減少でき、さらに大量生産、低コスト化が可能となる。
さらに請求項38記載の回折格子の複製方法においては、原板と記録材料を密着させずに複製でき、請求項37の方法より更に複製の工程数を減少でき、更に大量生産、低コスト化が可能となる。
さらにまた、請求項39記載の回折格子においては、請求項6〜38のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法を用いて作製したので、請求項1,3と同様の効果を有し、大量生産が可能で低コストな回折格子を実現することができる。
【0134】
請求項40記載の光ヘッド装置においては、請求項1〜39に係る回折格子(特に偏光性回折格子)を用いることにより、回折格子を光源に近づけて、光源、光検出器構成をコンパクトにする場合に、格子ピッチの微細化が可能で、検出効率の良い光ヘッド装置が実現でき、高速記録・高速再生が可能となる。
また、請求項41記載の光ヘッド装置においては、光源、光検出器及び回折格子を一体化してユニット構成とすることにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に光源、光検出器、回折格子が一体化されているので組立て時間が短縮され、光学系調整も簡単になる。
【0135】
請求項42記載の光ヘッド装置においては、請求項1〜39に係る回折格子(特に偏光性回折格子)を複数波長の光源と組み合わせて用いることにより、回折格子を複数光源に近づけて、複数光源、光検出器構成をコンパクトにする場合に、格子ピッチの微細化及び検出効率の良い光ヘッド装置が実現でき、高速記録・高速再生が可能な光ヘッド装置を実現できる。
また、請求項43記載の光ヘッド装置においては、複数波長の光源、光検出器及び回折格子を一体化してユニット構成とすることにより、光ヘッド装置の組立てを行なう際に複数波長光源、光検出器、回折格子が一体化されているので組立て時間が短縮され、光学系調整も簡単になる。
【0136】
請求項44記載の光ディスクドライブ装置においては、光ヘッド装置として、請求項40〜43のいずれか一つに記載の光ヘッド装置を搭載したことにより、安定した信号検出ができ、記録・再生速度の高速化を達成することができる光ディスクドライブ装置を実現することができる。
また、光ヘッド装置内に波長の異なる複数の光源を備えることにより、CD系やDVD系の光ディスク、青色半導体レーザを光源とした高密度光ディスクなどの使用する波長の異なる複数規格の光ディスクを記録または再生することができる光ディスクドライブ装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る回折格子の複数に分割された格子部の回折格子領域と光検出器の光検出領域との関係を示す図である。
【図2】図1に示す回折格子のセクター(1)の領域を作製する際の作製方法の説明図である。
【図3】図1に示す回折格子を作製する際に用いられるセクターマスクの例を示す図である。
【図4】図1に示す回折格子のセクター(2)の領域を作製する際の作製方法の説明図である。
【図5】図1に示す回折格子のセクター(3)の領域を作製する際の作製方法の説明図である。
【図6】図1に示す回折格子を作製する際の別の作製方法の説明図である。
【図7】図1に示す構成のホログラム回折格子を図33と同様の構成の光ヘッド装置に使用したときの様子を示す図である。
【図8】本発明に係る回折格子の複製方法の一実施例を示す図である。
【図9】計算機で計算したデータを元に作成したホログラム原板の一例を示す平面図である。
【図10】図9に示すホログラム原板を使用して複製用記録材料にホログラム回折格子を複製する場合の配置例を示す図である。
【図11】本発明の回折格子と従来例の回折格子の回折効率を比較した結果を示す図である。
【図12】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図13】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図14】体積位相型回折格子の格子断面の一例を示す図である。
【図15】干渉露光で体積位相型回折格子を作製するときの干渉露光の露光量と回折効率の関係を示す図である。
【図16】表面レリーフ型回折格子の一例を示す概略要部断面図である。
【図17】表面レリーフ型回折格子の別の例を示す概略要部断面図である。
【図18】表面レリーフ型回折格子の別の例を示す概略要部断面図である。
【図19】表面レリーフ型回折格子の別の例を示す概略要部断面図である。
【図20】表面レリーフ型回折格子の別の例を示す概略要部断面図である。
【図21】ホログラム回折格子を多数、同一基板上に配列した構成のホログラム原板の一例を示す平面図である。
【図22】図21に示すホログラム原板を用いた複製方法の実施例を示す図である。
【図23】図21に示すホログラム原板を用いた複製方法の別の実施例を示す図である。
【図24】図21に示すホログラム原板を用いた複製方法の別の実施例を示す図である。
【図25】図24に示す複製方法を用いた場合の複製過程の説明図である。
【図26】図21に示すホログラム原板を用いた複製方法のさらに別の実施例を示す図である。
【図27】図21に示すホログラム原板を用いた複製方法のさらに別の実施例を示す図である。
【図28】本発明の一実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図29】本発明の別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図30】本発明の別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図31】本発明の別の実施例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図32】光ディスクドライブ装置の一構成例を示すブロック図である。
【図33】従来技術の一例を示す光ヘッド装置の概略構成図である。
【図34】図33の光ヘッド装置に用いる回折格子の一例を示す概略断面図である。
【図35】図34に示す偏光性回折格子の入射角・対・+1次回折光の回折効率特性を示す図である。
【図36】図1に示す回折格子を作製する際の別の作製方法の説明図である。
【図37】図1に示す回折格子を作製する際の別の作製方法の説明図である。
【図38】波長の異なる場合の2光束干渉露光についての説明図である。
【図39】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図40】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図41】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図42】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図43】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図44】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図45】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図46】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図47】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図48】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図49】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図50】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図51】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図52】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図53】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図54】表面レリーフ格子の格子深さと回折効率の関係を示す図である。
【図55】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図56】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図57】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図58】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図59】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図60】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図61】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【図62】本発明に係る回折格子の複製方法の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
20:回折格子
20−1〜20−3:回折格子領域
21,22:レンズ
23,23−1〜23−3:セクターマスク
24:基板
25:記録材料
26:ホログラム原板
27:レンズ(コリメートレンズ)
28,31,39:複製用記録材料
30:ホログラム原板
32:体積位相型回折格子
33〜37:表面レリーフ回折格子を用いたホログラム原板
38:ホログラム原板
38a:ホログラム回折格子
40:レンズ
41:ピンホール
42:コリメートレンズ
43:集光レンズ
44:コリメートレンズ
45:レンズアレイ
46:強度分布平坦化フィルタ
47:偏光性回折格子
48,48−1,48−2:光源
49:光検出器
50:コリメートレンズ(カップリングレンズ)
51:1/4波長板
52:対物レンズ
53,117:光記録媒体(光ディスク)
61,62:ホログラム
63:位相板
71:レンズ
72:原板
73,73’:リレー光学系のレンズ
74,74’:リレー光学系のレンズ
75:複製用記録材料
76:空間フィルタ
81:レンズ
82:コリメートレンズ
83:レンズ群
84:原板
85,86:リレー光学系
85’,86’:リレー光学系
87:複製用記録材料
123:光ヘッド装置(光ピックアップ装置)
301:第1の原板
302:第2の原板
Claims (44)
- 光源からの光をカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光し、該光記録媒体からの反射光を光検出器で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ヘッド装置に用いられる回折格子において、
格子部は複数の領域に分割され、各領域からの回折光は光検出器の対応した個別の光検出領域で受光されるように設定され、格子部の各領域は、光ヘッド装置の光源の発光点と等価な位置から出射する発散光と各光検出領域に対応した受光点と等価な位置から出射する発散光とによる干渉縞を記録材料へ露光する2光束干渉露光、あるいは光源の発光点と等価な位置へ集光する収束光と各光検出領域に対応した受光点と等価な位置へ集光する収束光とによる干渉縞を記録材料へ露光する2光束干渉露光で形成されていることを特徴とする回折格子。 - 請求項1記載の回折格子を作製する際の作製方法であって、
格子部の複数に分割された領域を個別に2光束干渉露光で形成するとき、各領域を規定するセクターマスクを記録材料の直前に配置して露光することを特徴とする回折格子の作製方法。 - 請求項1記載の回折格子あるいは請求項2記載の作製方法で作製した回折格子において、
干渉露光により回折格子を形成する光の波長が光ヘッド装置の波長と異なり、回折格子の各領域は光ヘッド装置の光源発光点に対応して波長の違いに応じた位置から出射する発散光と光ヘッド装置の各検出領域の受光点に対応して波長の違いに応じた位置から出射する発散光とによるホログラム記録材料への2光束干渉露光、あるいは該光源発光点に対応して波長の違いに応じた位置へ集光する収束光と該各検出領域の受光点に対応して波長の違いに応じた位置へ集光する収束光とによる2光束干渉露光で形成されていることを特徴とする回折格子。 - 請求項3記載の回折格子を作製する際の作製方法であって、
作成した回折格子を光ヘッド装置に用いるとき光検出器に収差のない回折光が生じるように、2光束干渉露光の少なくとも一方の光学系に記録と再生で波長が異なるときの収差を逆補正する収差を持たせて回折格子を形成することを特徴とする回折格子の作製方法。 - 請求項4記載の回折格子の作製方法において、
波長が異なるときの収差を逆補正する収差を持つホログラムを2光束干渉露光光学系中の少なくとも一方に配置して、ホログラムからの回折光を用いて干渉露光することを特徴とする回折格子の作製方法。 - 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子を原板として用い、該原板を複製用記録材料に略密着し、原板側から光照射して原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製することを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を原板として用い、該原板を複製用記録材料に略密着し、原板側から光照射して原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製することを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、
回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光源の発光点と等価な位置に集光する収束光、あるいは光源発光点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、
回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光源の発光点に対応して、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光源の発光点に対応して、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いたことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、
回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点と等価な位置に集光する収束光、あるいは複数の受光点のうちの1点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6または7記載の回折格子の複製方法において、
回折格子の原板を複製用記録材料に略密着させ原板側から光照射して回折格子を複製する際に、照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点に対応しており複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点に対応しており複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項10または11記載の回折格子の複製方法において、
複製用照射光として、複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点としてフォーカス誤差信号を得るための光検出領域の受光点と対応した位置に集光する収束光、あるいは対応した位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、第二原板の回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光源発光点と等価な位置に集光する収束光、あるいは光源発光点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、複製露光波長と光ヘッド装置の光源波長が異なっていて、第二原板の回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いたことを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、第二原板回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光検出器に複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点と等価な位置に集光する収束光、あるいは複数の受光点のうちの1点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子と等価な干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子を第一原板として用い、該第一原板を原板複製用記録材料に略密着し、第一原板側から光照射して第一原板から発生する透過0次光と1次回折光を原板複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して第二原板を作製し、該第二原板を複製用記録材料に略密着し、第二原板側から光照射して第二原板から発生する透過0次光と1次回折光を複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製する方法であり、複製露光波長と光ヘッド装置の光源波長が異なっていて、第二原板回折格子を複製用記録材料に略密着させ第二原板側から光照射して回折格子を複製するとき、照射光は光ヘッド装置の光検出器に複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光検出器に複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項6〜16のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複製露光波長と光ヘッド装置の光源波長が異なるとき、原板側から照射する複製露光光学系には複製と再生で波長が異なるときの収差を逆補正する収差を持たせて複製露光することを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項1または3記載の複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは請求項2または4または5記載の作製方法で作製した複数領域に分割された格子部を持つ回折格子、あるいは干渉縞を計算機で計算して人工的に作製した回折格子のいずれかを原板として用い、原板側から光照射して原板から発生する透過0次光と1次回折光をリレー光学系を介して複製用記録材料に入射させて生じる干渉縞を露光して複製することを特徴とする回折格子の複製方法。
- 請求項18記載の回折格子の複製方法において、
リレー光学系により原板面と複製用記録材料面がほぼ結像の共役面となっていることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18または19記載の回折格子の複製方法において、
リレー光学系は2つのレンズ系から成り、原板に近い第一のレンズ系の前側焦点が原板面と一致し、第一のレンズ系の後側焦点と第二のレンズ系の前側焦点を一致させ、かつ第二のレンズ系の後側焦点が複製用記録材料面に一致していることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長が光ヘッド装置の光源波長の近傍であり、該照射光として、光ヘッド装置の光源発光点と等価な位置に集光する収束光、あるいは光源発光点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長と光ヘッド装置の光源波長が異なり、該照射光として、光ヘッド装置の光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光源発光点に対応して複製波長と光ヘッド装置の光源波長の違いに応じた位置から出射する発散光を用いたことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長が光ヘッド装置の光源波長の近傍であり、該照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域に対応した複数の受光点のうちの1点と等価な位置に集光する収束光、あるいは複数の受光点のうちの1点と等価な位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜20のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板側から光照射して回折格子を複製するとき、複製用照射光の波長と光ヘッド装置の光源波長とが異なり、該照射光として、光ヘッド装置の光検出器の複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置に集光する収束光、あるいは光検出器の複数ある光検出領域の複数の受光点のうちの1点に対応しており、複製波長と光ヘッド装置の光源波長との違いに応じた位置から出射する発散光を用いることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜24のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
リレー光学系内に原板からの0次光と片方の1次光のみを透過させ、その他の次数の回折光を遮断する空間フィルタを配置したことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項21〜25のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板への複製用照射光の集光点、あるいは発散点を含んでリレー光学系光軸に垂直な面と、リレー光学系によるこれらの点からの光の再集光点を含む光軸に垂直な面との関係が、リレー光学系による結像の共役面となっていることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項21〜26のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
リレー光学系による原板面の複製用記録材料面への結像倍率と、原板への複製用照射光の集光あるいは発散点のリレー光学系による結像倍率が等しいことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜27のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複製される回折格子は、複製用記録材料に液晶材料を含んだ体積位相型の回折格子であることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜28のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、体積位相型回折格子を用いていることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項29記載の回折格子の複製方法において、
原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、0次光と+1次回折光の回折効率が略等しいことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜28のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、表面レリーフ型回折格子を用いていることを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項31記載の回折格子の複製方法において、
原板の回折格子、または第一原板、第二原板の回折格子は、0次光と−1次回折光の回折効率が略等しいことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜17、28〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板を複製用記録材料に略密着し、原板側より単一の回折格子に光照射して原板の回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、原板と複製用記録材料と露光照明光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜17、28〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板を複製用記録材料に略密着し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、原板と複製用記録材料と露光照明光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜17、28〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板を複製用記録材料に略密着し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光することにより原板上の複数の回折格子を一括露光して複製することを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複数の分割領域をもつ回折格子が記録された原板とリレー光学系を介して複製用記録材料を配置し、原板側より単一の回折格子に光照射して原板の回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、複製用記録材料と露光照射光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板とリレー光学系を介して複製用記録材料を配置し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光する工程と、露光後、原板と複製用記録材料と露光照射光を相対的に所定量移動させる工程を、交互に複数回行なうことを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項18〜32のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法において、
複数の分割領域をもつ回折格子が複数個配列された原板とリレー光学系を介して複製用記録材料を配置し、原板側より同時に複数の回折格子を光照射して原板の各回折格子から発生する0次光と1次回折光による干渉縞を複製用記録材料に露光することにより原板上の複数の回折格子を一括露光して複製することを特徴とする回折格子の複製方法。 - 請求項6〜38のいずれか一つに記載の回折格子の複製方法を用いて作製したことを特徴とする回折格子。
- 光源からの光をカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光し、該光記録媒体からの反射光を光検出器で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ヘッド装置において、
光路中に回折格子及び1/4波長板を配置し、前記光記録媒体からの反射光を前記回折格子により分岐して光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する前記回折格子が、請求項1または3記載の回折格子、または請求項2,4,5のいずれか一つに記載の作製方法で作製した回折格子、あるいは請求項39記載の回折格子であることを特徴とする光ヘッド装置。 - 請求項40記載の光ヘッド装置において、
光源と光検出器及び回折格子が一体化されていることを特徴とする光ヘッド装置。 - 複数の光源からの光を共通するカップリングレンズにより光学系に取り込み、集光レンズで光記録媒体に集光し、該光記録媒体からの反射光を光検出器で検出して情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ヘッド装置において、
光路中に回折格子及び1/4波長板を配置し、前記光記録媒体からの反射光を前記回折格子により分岐して共通の光検出器で受光する光学系を備え、該光学系において配置する前記回折格子が、請求項1または3記載の回折格子、または請求項2,4,5のいずれか一つに記載の作製方法で作製した回折格子、あるいは請求項39記載の回折格子であることを特徴とする光ヘッド装置。 - 請求項42記載の光ヘッド装置において、
複数の光源と光検出器及び回折格子が一体化されていることを特徴とする光ヘッド装置。 - 記録媒体に対して光ヘッド装置を用いて情報の記録または再生、あるいは記録及び再生を行なう光ディスクドライブ装置において、
前記光ヘッド装置として、請求項40〜43のいずれか一つに記載の光ヘッド装置を搭載したことを特徴とする光ディスクドライブ装置。
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