JP2005008011A - タイヤの設計方法、タイヤの設計用コンピュータプログラム及びタイヤの設計装置、並びにタイヤ加硫金型の設計方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】制動性能に優れたタイヤを効率的に設計すること。
【解決手段】まず、目的関数と設計パラメータとを設定する(ステップS101)。目的関数及び設計パラメータは、制動性能と相関の高いものを選択する。次に、トレッドパターンを構成するブロックの実験計画モデルを作成し(ステップS102)、圧縮力やせん断力、あるいは路面との摩擦係数等の境界条件を付与して演算することにより、ブロックの実験計画モデルの目的関数を求める(ステップS103)。そして、回帰分析等の手法によって、目的関数を設計パラメータの近似関数で表す(ステップS105)。この近似関数によって目的関数を最適化し(ステップS106)、最適化した設計パラメータによって設計したブロック及びトレッドパターンの健全性を評価する(ステップS107)。この評価結果に基づきトレッドパターンを設計する(ステップS108)。
【選択図】 図3
【解決手段】まず、目的関数と設計パラメータとを設定する(ステップS101)。目的関数及び設計パラメータは、制動性能と相関の高いものを選択する。次に、トレッドパターンを構成するブロックの実験計画モデルを作成し(ステップS102)、圧縮力やせん断力、あるいは路面との摩擦係数等の境界条件を付与して演算することにより、ブロックの実験計画モデルの目的関数を求める(ステップS103)。そして、回帰分析等の手法によって、目的関数を設計パラメータの近似関数で表す(ステップS105)。この近似関数によって目的関数を最適化し(ステップS106)、最適化した設計パラメータによって設計したブロック及びトレッドパターンの健全性を評価する(ステップS107)。この評価結果に基づきトレッドパターンを設計する(ステップS108)。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤの設計に関し、さらに詳しくは、制動性能に優れたタイヤを効率的に設計できるタイヤの設計方法、タイヤの設計用コンピュータプログラム及びタイヤの設計装置、並びにタイヤ加硫金型の設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤのトレッド面には複数のブロックが形成されており、トレッドパターンを構成する。トレッドパターンは、排水性能、制動性能、騒音等に対して大きな影響を与えるものであり、最適なトレッドパターンを設計することが求められる。特許文献1には、初期設計の後、ブロックを有限要素法によりモデル化して性能を評価し、その評価結果に基づいてさらに設計変更する手順を繰り返すことによってトレッドパターンを設計する設計手法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−52716号公報 図1、図2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたトレッドパターンの設計手法では、目的の性能が得られるまで設計変更の手順を繰り返すので、トレッドパターンの設計に時間を要するという問題があった。また、特許文献1に開示されたトレッドパターンの設計手法は、タイヤの径方向に平行なブロックの断面形状に対してのみ適用できるものであり、制動性能に大きな影響を与えるブロックの平面形状に対しては適用できない。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、制動性能に優れたタイヤを効率的に設計できるタイヤの設計方法、タイヤの設計用コンピュータプログラム及びタイヤの設計装置、並びにタイヤ加硫金型の設計方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明によるタイヤの設計方法は、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める工程と、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する工程と、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程と、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する工程と、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める手順と、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する手順と、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順と、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する手順と、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0007】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムでは、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択する。このように、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。また、最適な設計パラメータの探索に、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を関数近似した近似関数を用いる。これによって、有限要素法等による数値シミュレーションを繰り返すことなく目的関数を最適化する設計変数を探索できるので、ブロック及びトレッドパターンを効率的に設計できる。また、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用することにより、制動性能の高いブロック形状及びトレッドパターンを高い精度で設計できる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0008】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする。
【0009】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする。
【0010】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムで用いる設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となるので、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができる。このため、これらを設計パラメータに加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計できる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0011】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数とすることを特徴とする。
【0012】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数とすることを特徴とする。
【0013】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムで用いる目的関数は、いずれも制動性能に対して影響が大きな設計要因である。このため、これらを目的関数に加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的にブロックの形状を設計できる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0014】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程では、有限要素法に基づき前記ブロックの実験計画モデルをモデル化して解析するとともに、前記タイヤの周方向における前記ブロックの分割数を12以上とすることを特徴とする。
【0015】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順では、有限要素法に基づき前記ブロックの実験計画モデルをモデル化して解析するとともに、前記タイヤの周方向における前記ブロックの分割数を12以上とすることを特徴とする。
【0016】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムは、ブロックの実験計画モデルから目的関数を求めるにあたって有限要素法を用い、タイヤの周方向におけるブロックの分割数を12分割以上とする。ブロックの分割数は、計算精度に大きく影響する。本発明における事前検討では、ブロックの平面形状の一辺を少なくとも12分割以上にする必要があることが分かっている。12分割よりも分割数が小さい場合は、分割数による計算結果の変化が大きくなり、形状の変更による接地面積やせん断変形の違いを精度よく表現できないという問題が生じてしまう。これにより、計算時間を無闇に増大させることなく、目的関数に対の近似関数を精度よく求めることができる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0017】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、有限要素法に基づいて前記ブロックの実験計画モデルをモデル化するにあたり、前記タイヤの周方向側における前記ブロックの端部近傍の分割数をそれ以外の部分における分割数よりも多くすることを特徴とする。
【0018】
制動性能に着目した場合には、タイヤの周方向側におけるブロックの端部近傍の接地圧や浮き上がり等をできるだけ細かく、正確に把握する必要がある。このタイヤの設計方法では、タイヤの周方向側におけるブロックの端部近傍における分割数を、ブロックの中央部よりも多くしたので、前記端部近傍における接地圧等の分布を細かく、正確に把握できる。また、全体の分割数を変更せずに前記端部近傍における分割数を細かくすれば、計算の負荷を重くすることなく、必要な箇所における把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。
【0019】
次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程では、少なくとも前記ブロックに圧縮力とせん断力とを付与して解析することを特徴とする。
【0020】
このタイヤの設計方法では、制動性能に大きく影響を与える要因である圧縮力とせん断力とを付与するので、このようにすれば、制動性能を正確に評価することができる。
【0021】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順では、少なくとも前記ブロックに圧縮力とせん断力とを付与するとともに、前記圧縮力と前記せん断力とを同じ計算ステップで与えて解析することを特徴とする。
【0022】
このタイヤの設計用コンピュータプログラムでは、ブロックの実験計画モデルから目的関数を求めるにあたって有限要素法を用い、有限要素法の解析中、同じ計算ステップで圧縮力とせん断力とを付与するので、計算を短時間で終了させることができる。
【0023】
また、次の発明によるタイヤの設計装置は、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定め、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成し、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求め、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換し、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める処理部と、前記設計パラメータ、前記目的関数、境界条件その他のデータを前記処理部に与える入力部と、前記処理部で求めた設計パラメータを表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このタイヤの設計装置は、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択する。このように、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。また、最適な設計パラメータの探索に、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を近似した関数を用いる。これによって、有限要素法等による数値シミュレーションを繰り返すことなく目的関数を最適化する設計変数を探索できるので、ブロック及びトレッドパターンを効率的に設計できる。また、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用することにより、制動性能の高いブロック形状及びトレッドパターンを高い精度で設計できる。
【0025】
また、次の発明によるタイヤの設計装置は、上記タイヤの設計装置において、前記入力部は、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータとして前記処理部に与え、前記処理部はこれらのうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えて前記ブロックの実験計画モデルを作成することを特徴とする。
【0026】
このタイヤの設計装置で用いる設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となるので、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができる。このため、これらを設計パラメータに加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的にブロックの形状を設計できる。
【0027】
また、次の発明によるタイヤの設計装置は、上記タイヤの設計装置において、前記入力部は、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数として前記処理部に与え、前記処理部は、前記ブロックの実験計画モデルからこれらのうち少なくとも一方を目的関数として求めることを特徴とする。
【0028】
このタイヤの設計装置で用いる目的関数は、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となる。このため、これらを目的関数に加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的にブロックの形状を設計できる。
【0029】
また、次の発明によるタイヤ加硫金型の設計方法は、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める工程と、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する工程と、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程と、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する工程と、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0030】
このタイヤ加硫金型の設計方法では、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択する。このように、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するための加硫金型を、効率的に設計することができる。また、最適な設計パラメータの探索に、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を関数近似した近似関数を用いる。これによって、評価/設計を繰り返すことなく設計できるので、タイヤ加硫金型を効率的に設計できる。
【0031】
また、次の発明によるタイヤ加硫金型の設計方法は、上記タイヤの加硫金型の設計方法において、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする。
【0032】
このタイヤの加硫金型の設計方法で用いる設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となるので、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができる。このため、これらを設計パラメータに加えておけば、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するタイヤ加硫金型を、効率的に設計できる。
【0033】
また、次の発明によるタイヤの加硫金型の設計方法は、上記タイヤの加硫金型の設計方法において、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数としたことを特徴とする。
【0034】
このタイヤの加硫金型の設計方法で用いる目的関数は、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となる。このため、これらを目的関数に加えておけば、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するタイヤ加硫金型を、効率的に設計できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同1のものが含まれる。なお、本発明はタイヤの種類は問わず適用できるが、特に空気入りタイヤの設計に好適である。
【0036】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る本発明は、次の点に特徴がある。すなわち、まず、タイヤのブロックの平面形状に関する設計パラメータを用いて実験計画法に基づく実験計画に従いブロックの実験計画モデルを作成する。次に、当該実験計画モデルを有限要素法等の解析手法により解析することによってタイヤの制動性能と相関の高い目的関数を求め、前記設計パラメータによる近似関数で目的関数を表す。そして、求めた近似関数によって目的関数を最適化する設計パラメータを求めて、ブロックの形状を最適化する。
【0037】
実施の形態1に係る本発明を説明する前に、本発明の適用対象であるタイヤ及びそのトレッドパターンについて説明する。図1は、タイヤを、その回転軸を含む子午面で切った断面を示す一部断面図である。同図を用いて、本実施の形態における予測対象構造体であるタイヤ10の構造について、簡単に説明する。キャップトレッド11は、タイヤ10の路面接地部に配置されており、カーカス15、ベルト14又はブレーカの外側を覆うゴム層である。キャップトレッド11は、カット衝撃に対してカーカス15やベルト14を保護する役目を持っている。
【0038】
アンダトレッド12は、キャップトレッド11とベルト14との間に配置されるゴム層で、発熱性、接着性等を向上させる目的で用いられる。サイドトレッド13は、サイドウォール部の最も外側に配置されて外からの傷がカーカス15に達するのを防止するとともに、ラジアルタイヤの場合には、車軸からの駆動力を路面に伝える補助的役割も担っている。
【0039】
ベルト14は、キャップトレッド11とカーカス15との間に配置されたゴム引きコード層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト14は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。カーカス15はタイヤ10の骨格をなすゴム引きコード層である。カーカス15は、タイヤ10に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐える構造を持っている。
【0040】
ビード16は、内圧によって発生するカーカス15のコード張力を支えているスチールワイヤの束を、硬質ゴムで固めたリングである。タイヤ10をホイールのリムに固定させる役割を果たす他、カーカス15、ベルト14及びトレッドとともに、タイヤ10の強度部材となる。ビードフィラ17は、カーカス15をビードワイヤの周囲に巻き込む際に生ずる空間へ充填するゴムである。カーカス15をビード16に固定するとともに、その部分の形状を整え、ビード部全体の剛性を高める。
【0041】
図2は、トレッドパターンの一例を示す平面図である。この例におけるトレッドパターンは、複数のブロック20、21を組み合わせて構成されており、キャップトレッド面11p(図1参照)に形成される。以下、ブロック20において、前進時においてタイヤ10(図1参照)が回転する方向(図2中R方向)における端部を前端部20le、前端部20leの反対側における端部を後端部20te、タイヤのサイドトレッド13(図1参照)側の端部を第1側縁20s1、第1側縁20s1の反対側における端部を第2側縁20s2と呼ぶものとする。なお、前端部20le及び後端部20teは、ともにタイヤの周方向側におけるブロック20の端部である。
【0042】
図3は、実施の形態1に係る本発明におけるトレッドパターンの設計方法及びタイヤ加硫金型の設計方法を説明するフローチャートである。また、図4は、ブロックの形状と設計パラメータとの対応を示す平面図である。本発明に係るタイヤの設計方法は、まず実験計画法に基づいた実験計画の割付条件により、設計対象であるトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックについての実験計画モデルを作成する。ブロックの実験計画モデルは、少なくともブロックの平面形状を表す設計パラメータを複数用いて設計対象であるブロックを表したものであり、前記設計パラメータの水準を変更することによって得られた複数の割付条件の個数分存在する。
【0043】
次に、各割付条件におけるブロックの実験計画モデルの目的関数を有限要素法(Finite Element Method:以下FEMという)によって求める。これにより、前記割付条件の数だけ目的関数と実験パラメータとの関係が得られるので、当該関係を用いて、目的関数Fを設計パラメータP1、P2等による近似関数(応答曲面)で表す。そして、この近似関数から前記目的関数を最適化する設計パラメータを求め、求めた設計パラメータに基づいてトレッドパターンを設計する。このため、まず実験計画法によって設計パラメータによる近似関数で目的関数を表すため、目的関数と設計パラメータとを設定する(ステップS101)。
【0044】
本発明においては、特に制動性能に着目して目的関数を選択する。かかる観点から、目的関数Fは、例えば、ブロック20の接地面積S、接地圧Pの分布、圧縮せん断変形時のブロック剛性等の、制動性能と相関の高いものを使用する。図5は、ブロックがせん断変形を受けていない場合と受けている場合とを示す側面図である。図5中矢印A方向が、タイヤ10を装着した車両の進行方向であり、ブロック20が地面Gに接地している状態を示している。
【0045】
ここで、無せん断変形状態の接地面積S0とせん断変形時の接地面積S1との面積比(以下、接地面積比)S0/S1をρ(図5(a))とする。また、無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧Ple0(Pte0)に対する、せん断変形状態におけるブロック端部接地圧Ple1(Pte1)の増減率(以下、接地圧増減率)をη(図5(b))とする。なお、ηは、(Ple1−Ple0)/Ple0、又は(Pte1−Pte0)/Pte0である。これらは、いずれも制動性能に対して大きな影響要因なので、接地面積比ρ、又は接地圧増減率ηのうち少なくとも一方を目的関数として採用すれば、制動性能を適切に評価することができる。その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。
【0046】
設計パラメータP1、P2等は、ブロック20の形状や物理的特性等を定義するための設計変数である。本発明においては、特に制動性能に着目するので、これに対する影響の大きい設計要因となる寸法パラメータやゴム材料の弾性率等を設計パラメータとして選択することが好ましい。かかる観点から、設計パラメータにはブロック20を構成する弾性材料であるゴム材料の弾性率E、又はタイヤの周方向におけるブロック20の端部の傾斜角(前端部傾斜θl又は後端部傾斜角θt)のうち少なくとも一方を採用することが好ましい(図2参照)。これらの設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因であり、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができるので、これらを設計パラメータに加えておけば、効率的にブロック20の形状を設計できる。本実施の形態においては、図4に示すように、7個の設計パラメータP1〜P7を用いる。そして、それぞれの設計パラメータを、例えばP11、P12、P13のように、3水準に変化させる。表1に、設計パラメータP1〜P7の内容を示す。なお、設計パラメータの変化水準は3水準に限られず、3水準より多くても、また2水準でもよく、実験計画によって適宜好ましい水準を選択することができる。
【0047】
【表1】
【0048】
図6は、各設計パラメータ間における交互作用の有無を示す説明図である。ブロック20の実験計画モデルは、図4に示す各設計パラメータP1〜P7の水準、及び各設計パラメータ間の交互作用を考慮した割付条件に対して作成される(ステップS102)。本実施の形態において、設計パラメータは7変数であり、また3水準で変化させる。図6に示す交互作用を考慮すると、目的関数Fに対する設計パラメータ及びそれらの水準を組み合わせた割付条件が計81通り得られる(L81)。そして、各割付条件に従い、ブロック20の各実験計画モデルのFEMモデルを81通り作成し、圧縮力やせん断力、あるいは路面との摩擦係数等の境界条件を付与して演算することにより、各割付条件における目的関数Fを求める(ステップS103)。前記81通りの割付条件すべてに対して目的関数Fを算出するまでFEMモデルの演算を繰り返し(ステップS104:No)、すべての割付条件下において目的関数Fを求めたら(ステップS104:Yes)、次のステップへ移行する。
【0049】
図7は、FEMモデル化したブロックの一例を示す説明図である。図7中矢印Rは、タイヤの回転方向を示す。上述した通り、本発明においては、ブロック20の目的関数Fを、前記81通りの割付条件下で求める際の解析手法としてFEMを使用する。なお、実施の形態1においてはFEMによって実験計画モデルを解析するが、本発明に適用できる解析手法はFEMに限られず、BEM(Boundary Element Method:境界要素法)、FDM(Finite Differences Method:有限差分法)等も使用できる。目的関数F、設計パラメータ、あるいは境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することが好ましい。
【0050】
図7に示すように、タイヤ10のブロック20は、FEMに基づく有限個の微小要素201、202、・・・20nに分割される。FEMに基づく微小要素とは、例えば2次元平面においては四辺形要素、3次元体としては四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素等、コンピュータで用いうる要素とすることが望ましい。このようにして分割された微小要素は、解析の過程においては、3次元座標を用いて逐一特定される。
【0051】
また、本発明においては、特に制動性能に着目しているので、FEMによって上記実験計画モデルを解析する際には、少なくとも圧縮力PFとせん断力SFとをブロックの実験計画モデルに付与する。圧縮力PFとせん断力SFとは制動性能に大きく影響を与える要因なので、このようにすれば、制動性能を正確に評価することができるようになる。なお、圧縮力PFとは、タイヤの径方向に対してブロック20を圧縮する力であり、せん断力SFとは、前記圧縮力に対して直交する方向にブロック20をせん断する力である。ここで、少なくとも圧縮力PFとせん断力SFとを付与するにあたり、FEMの計算ステップにおいて同じステップで両者を付与すると、計算を短時間で終了させることができ、好ましい。また、FEMの計算ステップにおいて、圧縮力PFを与えるステップが終了したらせん断力SFを与えてもよい。
【0052】
図8は、目的関数Fの解析結果例を示す説明図である。図8中、矢印R方向はタイヤの回転方向を示す。前記81通りの割付条件の下で実験計画モデルを解析すると、目的関数Fの解析値を81通り得ることができる。図8においては、接地面積Sを目的関数として採用した場合の解析結果例を示しており、L1、L40、L81の割付条件下で解析したブロック20のFEMモデルの接地面形状を示している。このように、各割付条件においては、設計パラメータP1〜P7が異なるので、異なる接地面形状が得られ、これにともなって異なる接地圧分布が得られることになる。
【0053】
FEMによって全81通りの割付条件下で目的関数Fを計算したら、回帰分析等の手法によって多項式近似することにより、目的関数Fを設計パラメータP1〜P7の近似関数(応答曲面)に変換する(ステップS105)。例えば、目的関数を接地面積Sとした場合、この近似関数は、S=a+b×P1+cP12+d×P2+e×P22+f×P3+g×P32+h×P4+i×P42+j×P5+・・・のように表される(a、b、c等は定数)。
【0054】
近似関数を求めたら、これを用いて目的関数Fを最適化する(ステップS106)。例えば、目的関数を接地面積Sとした場合において接地面積Sを最小化したい場合には、接地面積Sが最小になるように近似関数に含まれる設計パラメータP1〜P7を変化させる。このようにして最適化した設計パラメータP1〜P7によって設計したブロック20及びトレッドパターンの精度及び健全性を評価する(ステップS107)。そして、この評価結果に基づき、必要に応じて設計パラメータP1〜P7を修正して、ブロック20及びトレッドパターンを設計する(ステップS108)。
【0055】
ここで、トレッドパターンは、タイヤ加硫金型内でゴムを加硫する際に形成される。タイヤ加硫金型にはトレッドパターンの凸部と凹部とが反転した転写パターンが形成されており、当該転写パターンをタイヤの表面に転写することによって、トレッドパターンを形成する。したがって、上記トレッドパターンの設計方法によって設計したトレッドパターンを反転した転写パターンをタイヤ加硫金型内に形成することにより、上記トレッドパターンが形成されたタイヤを製造するタイヤ加硫金型を製造することができる。この場合、上記手順によって設計したトレッドパターンを反転させた転写パターンからタイヤ加硫金型を設計し(ステップS109)、NC(Numerical Control)加工等によってマスターピースを削り出し、このマスターピースから物理的に転写することにより製造することができる。このように、本発明に係るタイヤの設計方法は、タイヤ加硫金型の設計方法に対しても適用することができる。
【0056】
次に、実施の形態1に係る本発明のタイヤの設計装置について説明する。図9は、この発明の実施の形態1に係るタイヤの設計装置を示す説明図である。このタイヤの設計装置50は、処理部52と記憶部54とで構成される。また、このタイヤの設計装置50には、入出力装置51が接続されており、ここに備えられた入力部53で、設計パラメータP1〜P7、目的関数F、境界条件等を処理部52へ入力する。ここで、入力部53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。
【0057】
記憶部54には、本発明に係るタイヤの設計方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが格納されている。ここで、記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0058】
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本発明に係る空気入りタイヤの設計方法を実現できるものであってもよい。また、図9における処理部52の機能を実現するための上記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明に係る空気入りタイヤの設計方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0059】
処理部52は、メモリ及びCPUにより構成されている。ブロックの実験計画モデル解析及び関数近似の際には、設定した設計パラメータに基づいて、処理部52が前記プログラムを当該処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、適宜記憶部54へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0060】
近似関数を最適化して得られた設計パラメータは、入出力装置の表示部55に表示される。ここで、表示部55には、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等を使用することができる。また、予測結果は、必要に応じて設けられたプリンタ(図示せず)に出力することもできる。また、記憶部54は、処理部52に内蔵されるものであっても、他の装置(データベースサーバ)内にあってもよい。このように、上記タイヤの設計装置50は、入出力装置51を備えた端末装置(図示せず)から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。
【0061】
以上、実施の形態1に係る本発明によれば、タイヤの制動性能に着目してブロックの平面形状に関する設計パラメータを選択する。これにより、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を関数近似した近似関数の精度を向上させることができるので、制動性能の高いブロック形状及びトレッドパターンを高い精度で設計できる。また、目的関数及び設計パラメータに制動性能と相関の高いものを使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。さらに、前記近似関数を用いて最適化するので、評価/設計を繰り返すことなく設計でき、トレッドパターンを効率的に設計できる。なお、実施の形態1において開示した本発明の構成は、以下の実施例及び実施の形態においても適用することができる。
【0062】
(実施例1)
この実施例では、接地面積S及び接線力Fssを目的関数Fとして近似関数を求める。設計パラメータは上記実施の形態1において説明した表1に示すものと同様であり、各設計パラメータも3水準に変化させる。また、各設計パラメータ間の交互作用も、上記実施の形態1と同様の関係で考慮する(図6参照)。これにより、L81の実験計画モデルを作成し、制動性能を評価するため、ブロック20の実験計画モデルに圧縮力PFとせん断力SFとを付与して、それぞれの割付条件の下で前記ブロックの実験計画モデルをFEM解析して目的関数Fを求める。そして、得られた解析結果から、目的関数Fと設計パラメータP1〜P7との関係を、多項式で表される近似関数(応答曲面)S=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)、及びFss=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)を得る。
【0063】
図10は、81通りの割付条件の下で接地面積がどのように変化したかを示す説明図である。図10のRSMで表される値は、応答曲面、すなわちS=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)に各割付条件の設計パラメータを代入して得られた接地面積である。FEMから求めたで示される値は、各割付条件の設計パラメータをブロック20のFEMモデルに与えて、これをFEMによって解析して得られた接地面積である。このように、全81通りの割付条件において両者はほぼ同じ値を示し、また、相関係数R2も0.9925と高い値を示す。これにより、この近似関数とFEM解析との相関は十分に高く、この近似関数の精度はブロック20の設計に対して十分に使用できることが確認された。なお、接線力Fssについては図示しないが、接地面積Sと同様の解析結果が得られ、ブロック20の設計に対して十分に使用できることが確認された。
【0064】
図11は、求めた近似関数を用いてブロック形状を最適化した例を示す説明図である。図11(a)は、ブロック20の接地面積Sを最大化した例であり、また、図11(b)は、ブロック20の接線力Fssを最大化した例である。最適化は、求めた近似関数を用いて、ブロック20の接地面積S又は接線力Fssが最大になるように、S=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)又はFss=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)を解いて、各設計パラメータP1〜P7を求める。求めた設計パラメータP1〜P7によって設計したブロックの平面形状を図11に示す。図11は、ブロック20の平面形状とともにブロック20の接地圧Pの分布も示してある。図11(a)、(b)中に示したブロック20の色が薄くなるにしたがって接地圧Pが高くなっている。R方向(前進時においてタイヤが回転する方向)は接地圧が高く、反対方向は接地圧が低くなっていることがわかる。なお、接線力Fssは、ブロック20と地面Gとが接する部分においてブロック20に作用する力であり、タイヤ10の接線方向に向かう力である(図11(a)、(b))。
【0065】
このように、本発明によれば、ブロック20の接地面積S又は接線力Fssを最大化したときの接地圧分布を求め、より好ましいブロック形状を設計することができる。なお、実施例1においては、ブロックの接地面積又は接線力を最適化したが、ブロックの前端部20leにおける接地圧分布を目的関数Fとして、ブロックの形状を最適化してもよい。また、制動性能に対して大きな影響要因となる上記接地面積比ρ、あるいは上記接地圧増減率ηを目的関数Fとしてもよい。
【0066】
(実施例2)
この実施例では、ブロックの後端部浮き上がりhを目的関数Fとして近似関数を求める。図12は、ブロックの後端部における浮き上がりを示す説明図である。図12中矢印A方向は、車両の進行方向を示す。図12に示すように、ブロック20は、制動によって後端部20teが浮き上がる。この後端部浮き上がりhが大きいと、制動時においてブロック20の表面における接地面積が減少するため、制動性能が悪化してしまう。したがって、制動時における後端部浮き上がりhを最小にするようにブロック20を設計することが好ましい。
【0067】
このため、目的関数Fとして後端部浮き上がりhを採用する。そして、上記実施の形態で説明した手順によって実験計画モデルを作成し、ブロック20のFEMモデルを実験計画モデルの各割付条件下で解析して、目的関数Fと設計パラメータとの近似関数(応答曲面)を求める。この近似関数によって、目的関数である後端部浮き上がりhを最適化する。最適化の方法は、実施例1で説明したように、例えば後端部浮き上がりhを最小にするように、近似関数を構成する設計パラメータP1〜P7の値を定めるようにすればよい。
【0068】
(実施の形態2)
実施の形態2においては、上記ブロックのFEMモデルについて説明する。図13は、FEMモデル化したブロックを示す説明図である。十分な精度で目的関数に対する近似関数(応答曲面)を求めるために、タイヤの周方向(図13中の矢印C方向)に対するブロックの分割数Ncは均等分割の場合8分割以上が好ましく、より好ましくは12分割以上である。なお、20分割を超えても前記近似式の精度はほとんど向上せず、計算時間を要するのみになってしまうので、均等分割の場合、周方向に対しては最大でも20分割程度であれば十分である。同様の観点から、ブロック20の高さ方向(図13中の矢印H方向であり、タイヤ10の半径方向)に対する分割数は、均等分割の場合5分割以上が好ましく、より好ましくは8分割以上である。前記近似式の精度向上と計算時間の増大とのバランスを考慮すると、ブロック20の高さ方向に対する分割数は、均等分割の場合最大で12分割程度である。
【0069】
次に、目的関数Fとして、ブロックのエッジ部に生じる物理量を採用した場合のブロックの分割方法について説明する。図14は、他のFEMモデル例によるブロックを示す説明図である。例えば、目的関数Fとして接地圧Pをとり、制動性能に着目した場合には、ブロック20の前端部20leにおける接地圧Pの分布をできるだけ細かく、正確に把握する必要がある。このため、図14(a)に示すように、前端部20le近傍の分割数N2を他の部分の分割数N1よりも細かくし、微小要素を他の部分よりも小さくする。このようにすれば、前端部20le近傍における接地圧Pの分布を細かく、正確に把握できる。また、全体の分割数を変更せずに前端部20le近傍における分割数を細かくすれば、計算の負荷を重くすることなく、必要な箇所における把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。
【0070】
また、目的関数Fとしてブロックの浮き上がり量hをとり、制動性能に着目した場合には、ブロック20の後端部20teにおける浮き上がり量hをできるだけ細かく、正確に把握する必要がある。この場合には、図14(b)に示すように、後端部20teの分割数N3を他の部分の分割数N1よりも細かくし、微小要素を他の部分よりも小さくする。このようにすれば、後端部20leにおける浮き上がり量hを細かく、正確に把握できる。このように、詳細に情報を得たい箇所の分割数を他の箇所よりも多くすることで、必要な箇所における把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。また、全体の分割数を変更せずに詳細に情報を得たい箇所の分割数を細かくすれば、計算の負荷を重くすることなく、詳細に情報を得たい箇所において、把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るタイヤの設計方法では、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択するようにした。これにより、タイヤの制動性能を適切に評価することができるので、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。
【0072】
また、この発明に係るタイヤの設計用コンピュータプログラムでは、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0073】
また、この発明に係るタイヤの設計装置では、タイヤの制動性能に着目して、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを使用するようにした。これにより、タイヤの制動性能を適切に評価することができるので、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。
【0074】
また、この発明に係るタイヤ加硫金型の設計方法では、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択するようにした。これにより、タイヤの制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するための加硫金型を、効率的に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤを、その回転軸を含む子午面で切った断面を示す一部断面図である。
【図2】トレッドパターンの一例を示す平面図である。
【図3】実施の形態1に係る本発明におけるトレッドパターンの設計方法及びタイヤ加硫金型の設計方法を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、ブロックの形状と設計パラメータとの対応を示す平面図である。
【図5】ブロックがせん断変形を受けていない場合と受けている場合とを示す側面図である。
【図6】各設計パラメータ間における交互作用の有無を示す説明図である。
【図7】FEMモデル化したブロックの一例を示す説明図である。
【図8】目的関数Fの解析結果例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るタイヤの設計装置を示す説明図である。
【図10】81通りの割付条件の下で接地面積がどのように変化したかを示す説明図である。
【図11】求めた近似関数を用いてブロック形状を最適化した例を示す説明図である。
【図12】ブロックの後端部における浮き上がりを示す説明図である。
【図13】FEMモデル化したブロックを示す説明図である。
【図14】他のFEMモデル例によるブロックを示す説明図である。
【符号の説明】
10 タイヤ
11 キャップトレッド
11p キャップトレッド面
13 サイドトレッド
20 ブロック
20le 前端部
20te 後端部
50 設計装置
51 入出力装置
52 処理部
53 入力部
54 記憶部
55 表示部
【発明の属する技術分野】
この発明は、タイヤの設計に関し、さらに詳しくは、制動性能に優れたタイヤを効率的に設計できるタイヤの設計方法、タイヤの設計用コンピュータプログラム及びタイヤの設計装置、並びにタイヤ加硫金型の設計方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤのトレッド面には複数のブロックが形成されており、トレッドパターンを構成する。トレッドパターンは、排水性能、制動性能、騒音等に対して大きな影響を与えるものであり、最適なトレッドパターンを設計することが求められる。特許文献1には、初期設計の後、ブロックを有限要素法によりモデル化して性能を評価し、その評価結果に基づいてさらに設計変更する手順を繰り返すことによってトレッドパターンを設計する設計手法が開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−52716号公報 図1、図2
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に開示されたトレッドパターンの設計手法では、目的の性能が得られるまで設計変更の手順を繰り返すので、トレッドパターンの設計に時間を要するという問題があった。また、特許文献1に開示されたトレッドパターンの設計手法は、タイヤの径方向に平行なブロックの断面形状に対してのみ適用できるものであり、制動性能に大きな影響を与えるブロックの平面形状に対しては適用できない。そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、制動性能に優れたタイヤを効率的に設計できるタイヤの設計方法、タイヤの設計用コンピュータプログラム及びタイヤの設計装置、並びにタイヤ加硫金型の設計方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明によるタイヤの設計方法は、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める工程と、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する工程と、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程と、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する工程と、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0006】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める手順と、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する手順と、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順と、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する手順と、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める手順と、をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【0007】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムでは、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択する。このように、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。また、最適な設計パラメータの探索に、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を関数近似した近似関数を用いる。これによって、有限要素法等による数値シミュレーションを繰り返すことなく目的関数を最適化する設計変数を探索できるので、ブロック及びトレッドパターンを効率的に設計できる。また、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用することにより、制動性能の高いブロック形状及びトレッドパターンを高い精度で設計できる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0008】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする。
【0009】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする。
【0010】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムで用いる設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となるので、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができる。このため、これらを設計パラメータに加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計できる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0011】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数とすることを特徴とする。
【0012】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数とすることを特徴とする。
【0013】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムで用いる目的関数は、いずれも制動性能に対して影響が大きな設計要因である。このため、これらを目的関数に加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的にブロックの形状を設計できる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0014】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程では、有限要素法に基づき前記ブロックの実験計画モデルをモデル化して解析するとともに、前記タイヤの周方向における前記ブロックの分割数を12以上とすることを特徴とする。
【0015】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順では、有限要素法に基づき前記ブロックの実験計画モデルをモデル化して解析するとともに、前記タイヤの周方向における前記ブロックの分割数を12以上とすることを特徴とする。
【0016】
このタイヤの設計方法及びタイヤの設計用コンピュータプログラムは、ブロックの実験計画モデルから目的関数を求めるにあたって有限要素法を用い、タイヤの周方向におけるブロックの分割数を12分割以上とする。ブロックの分割数は、計算精度に大きく影響する。本発明における事前検討では、ブロックの平面形状の一辺を少なくとも12分割以上にする必要があることが分かっている。12分割よりも分割数が小さい場合は、分割数による計算結果の変化が大きくなり、形状の変更による接地面積やせん断変形の違いを精度よく表現できないという問題が生じてしまう。これにより、計算時間を無闇に増大させることなく、目的関数に対の近似関数を精度よく求めることができる。また、このタイヤの設計用コンピュータプログラムによれば、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0017】
また、次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、有限要素法に基づいて前記ブロックの実験計画モデルをモデル化するにあたり、前記タイヤの周方向側における前記ブロックの端部近傍の分割数をそれ以外の部分における分割数よりも多くすることを特徴とする。
【0018】
制動性能に着目した場合には、タイヤの周方向側におけるブロックの端部近傍の接地圧や浮き上がり等をできるだけ細かく、正確に把握する必要がある。このタイヤの設計方法では、タイヤの周方向側におけるブロックの端部近傍における分割数を、ブロックの中央部よりも多くしたので、前記端部近傍における接地圧等の分布を細かく、正確に把握できる。また、全体の分割数を変更せずに前記端部近傍における分割数を細かくすれば、計算の負荷を重くすることなく、必要な箇所における把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。
【0019】
次の発明によるタイヤの設計方法は、上記タイヤの設計方法において、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程では、少なくとも前記ブロックに圧縮力とせん断力とを付与して解析することを特徴とする。
【0020】
このタイヤの設計方法では、制動性能に大きく影響を与える要因である圧縮力とせん断力とを付与するので、このようにすれば、制動性能を正確に評価することができる。
【0021】
また、次の発明によるタイヤの設計用コンピュータプログラムは、上記タイヤの設計用コンピュータプログラムにおいて、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順では、少なくとも前記ブロックに圧縮力とせん断力とを付与するとともに、前記圧縮力と前記せん断力とを同じ計算ステップで与えて解析することを特徴とする。
【0022】
このタイヤの設計用コンピュータプログラムでは、ブロックの実験計画モデルから目的関数を求めるにあたって有限要素法を用い、有限要素法の解析中、同じ計算ステップで圧縮力とせん断力とを付与するので、計算を短時間で終了させることができる。
【0023】
また、次の発明によるタイヤの設計装置は、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定め、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成し、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求め、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換し、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める処理部と、前記設計パラメータ、前記目的関数、境界条件その他のデータを前記処理部に与える入力部と、前記処理部で求めた設計パラメータを表示する表示部と、を備えることを特徴とする。
【0024】
このタイヤの設計装置は、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択する。このように、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。また、最適な設計パラメータの探索に、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を近似した関数を用いる。これによって、有限要素法等による数値シミュレーションを繰り返すことなく目的関数を最適化する設計変数を探索できるので、ブロック及びトレッドパターンを効率的に設計できる。また、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用することにより、制動性能の高いブロック形状及びトレッドパターンを高い精度で設計できる。
【0025】
また、次の発明によるタイヤの設計装置は、上記タイヤの設計装置において、前記入力部は、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータとして前記処理部に与え、前記処理部はこれらのうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えて前記ブロックの実験計画モデルを作成することを特徴とする。
【0026】
このタイヤの設計装置で用いる設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となるので、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができる。このため、これらを設計パラメータに加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的にブロックの形状を設計できる。
【0027】
また、次の発明によるタイヤの設計装置は、上記タイヤの設計装置において、前記入力部は、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数として前記処理部に与え、前記処理部は、前記ブロックの実験計画モデルからこれらのうち少なくとも一方を目的関数として求めることを特徴とする。
【0028】
このタイヤの設計装置で用いる目的関数は、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となる。このため、これらを目的関数に加えておけば、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的にブロックの形状を設計できる。
【0029】
また、次の発明によるタイヤ加硫金型の設計方法は、タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める工程と、実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する工程と、前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程と、前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する工程と、前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める工程と、を含むことを特徴とする。
【0030】
このタイヤ加硫金型の設計方法では、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択する。このように、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを選択して使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するための加硫金型を、効率的に設計することができる。また、最適な設計パラメータの探索に、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を関数近似した近似関数を用いる。これによって、評価/設計を繰り返すことなく設計できるので、タイヤ加硫金型を効率的に設計できる。
【0031】
また、次の発明によるタイヤ加硫金型の設計方法は、上記タイヤの加硫金型の設計方法において、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする。
【0032】
このタイヤの加硫金型の設計方法で用いる設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となるので、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができる。このため、これらを設計パラメータに加えておけば、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するタイヤ加硫金型を、効率的に設計できる。
【0033】
また、次の発明によるタイヤの加硫金型の設計方法は、上記タイヤの加硫金型の設計方法において、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数としたことを特徴とする。
【0034】
このタイヤの加硫金型の設計方法で用いる目的関数は、いずれも制動性能に対して大きな設計要因となる。このため、これらを目的関数に加えておけば、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するタイヤ加硫金型を、効率的に設計できる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同1のものが含まれる。なお、本発明はタイヤの種類は問わず適用できるが、特に空気入りタイヤの設計に好適である。
【0036】
(実施の形態1)
実施の形態1に係る本発明は、次の点に特徴がある。すなわち、まず、タイヤのブロックの平面形状に関する設計パラメータを用いて実験計画法に基づく実験計画に従いブロックの実験計画モデルを作成する。次に、当該実験計画モデルを有限要素法等の解析手法により解析することによってタイヤの制動性能と相関の高い目的関数を求め、前記設計パラメータによる近似関数で目的関数を表す。そして、求めた近似関数によって目的関数を最適化する設計パラメータを求めて、ブロックの形状を最適化する。
【0037】
実施の形態1に係る本発明を説明する前に、本発明の適用対象であるタイヤ及びそのトレッドパターンについて説明する。図1は、タイヤを、その回転軸を含む子午面で切った断面を示す一部断面図である。同図を用いて、本実施の形態における予測対象構造体であるタイヤ10の構造について、簡単に説明する。キャップトレッド11は、タイヤ10の路面接地部に配置されており、カーカス15、ベルト14又はブレーカの外側を覆うゴム層である。キャップトレッド11は、カット衝撃に対してカーカス15やベルト14を保護する役目を持っている。
【0038】
アンダトレッド12は、キャップトレッド11とベルト14との間に配置されるゴム層で、発熱性、接着性等を向上させる目的で用いられる。サイドトレッド13は、サイドウォール部の最も外側に配置されて外からの傷がカーカス15に達するのを防止するとともに、ラジアルタイヤの場合には、車軸からの駆動力を路面に伝える補助的役割も担っている。
【0039】
ベルト14は、キャップトレッド11とカーカス15との間に配置されたゴム引きコード層である。なお、バイアスタイヤの場合にはブレーカと呼ぶ。ラジアルタイヤにおいて、ベルト14は形状保持及び強度メンバーとして重要な役割を担っている。カーカス15はタイヤ10の骨格をなすゴム引きコード層である。カーカス15は、タイヤ10に空気を充填した際に圧力容器としての役目を果たす強度メンバーであり、その内圧によって荷重を支え、走行中の動的荷重に耐える構造を持っている。
【0040】
ビード16は、内圧によって発生するカーカス15のコード張力を支えているスチールワイヤの束を、硬質ゴムで固めたリングである。タイヤ10をホイールのリムに固定させる役割を果たす他、カーカス15、ベルト14及びトレッドとともに、タイヤ10の強度部材となる。ビードフィラ17は、カーカス15をビードワイヤの周囲に巻き込む際に生ずる空間へ充填するゴムである。カーカス15をビード16に固定するとともに、その部分の形状を整え、ビード部全体の剛性を高める。
【0041】
図2は、トレッドパターンの一例を示す平面図である。この例におけるトレッドパターンは、複数のブロック20、21を組み合わせて構成されており、キャップトレッド面11p(図1参照)に形成される。以下、ブロック20において、前進時においてタイヤ10(図1参照)が回転する方向(図2中R方向)における端部を前端部20le、前端部20leの反対側における端部を後端部20te、タイヤのサイドトレッド13(図1参照)側の端部を第1側縁20s1、第1側縁20s1の反対側における端部を第2側縁20s2と呼ぶものとする。なお、前端部20le及び後端部20teは、ともにタイヤの周方向側におけるブロック20の端部である。
【0042】
図3は、実施の形態1に係る本発明におけるトレッドパターンの設計方法及びタイヤ加硫金型の設計方法を説明するフローチャートである。また、図4は、ブロックの形状と設計パラメータとの対応を示す平面図である。本発明に係るタイヤの設計方法は、まず実験計画法に基づいた実験計画の割付条件により、設計対象であるトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックについての実験計画モデルを作成する。ブロックの実験計画モデルは、少なくともブロックの平面形状を表す設計パラメータを複数用いて設計対象であるブロックを表したものであり、前記設計パラメータの水準を変更することによって得られた複数の割付条件の個数分存在する。
【0043】
次に、各割付条件におけるブロックの実験計画モデルの目的関数を有限要素法(Finite Element Method:以下FEMという)によって求める。これにより、前記割付条件の数だけ目的関数と実験パラメータとの関係が得られるので、当該関係を用いて、目的関数Fを設計パラメータP1、P2等による近似関数(応答曲面)で表す。そして、この近似関数から前記目的関数を最適化する設計パラメータを求め、求めた設計パラメータに基づいてトレッドパターンを設計する。このため、まず実験計画法によって設計パラメータによる近似関数で目的関数を表すため、目的関数と設計パラメータとを設定する(ステップS101)。
【0044】
本発明においては、特に制動性能に着目して目的関数を選択する。かかる観点から、目的関数Fは、例えば、ブロック20の接地面積S、接地圧Pの分布、圧縮せん断変形時のブロック剛性等の、制動性能と相関の高いものを使用する。図5は、ブロックがせん断変形を受けていない場合と受けている場合とを示す側面図である。図5中矢印A方向が、タイヤ10を装着した車両の進行方向であり、ブロック20が地面Gに接地している状態を示している。
【0045】
ここで、無せん断変形状態の接地面積S0とせん断変形時の接地面積S1との面積比(以下、接地面積比)S0/S1をρ(図5(a))とする。また、無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧Ple0(Pte0)に対する、せん断変形状態におけるブロック端部接地圧Ple1(Pte1)の増減率(以下、接地圧増減率)をη(図5(b))とする。なお、ηは、(Ple1−Ple0)/Ple0、又は(Pte1−Pte0)/Pte0である。これらは、いずれも制動性能に対して大きな影響要因なので、接地面積比ρ、又は接地圧増減率ηのうち少なくとも一方を目的関数として採用すれば、制動性能を適切に評価することができる。その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。
【0046】
設計パラメータP1、P2等は、ブロック20の形状や物理的特性等を定義するための設計変数である。本発明においては、特に制動性能に着目するので、これに対する影響の大きい設計要因となる寸法パラメータやゴム材料の弾性率等を設計パラメータとして選択することが好ましい。かかる観点から、設計パラメータにはブロック20を構成する弾性材料であるゴム材料の弾性率E、又はタイヤの周方向におけるブロック20の端部の傾斜角(前端部傾斜θl又は後端部傾斜角θt)のうち少なくとも一方を採用することが好ましい(図2参照)。これらの設計パラメータは、いずれも制動性能に対して大きな設計要因であり、これらを変化させることで制動性能を大きく変化させることができるので、これらを設計パラメータに加えておけば、効率的にブロック20の形状を設計できる。本実施の形態においては、図4に示すように、7個の設計パラメータP1〜P7を用いる。そして、それぞれの設計パラメータを、例えばP11、P12、P13のように、3水準に変化させる。表1に、設計パラメータP1〜P7の内容を示す。なお、設計パラメータの変化水準は3水準に限られず、3水準より多くても、また2水準でもよく、実験計画によって適宜好ましい水準を選択することができる。
【0047】
【表1】
【0048】
図6は、各設計パラメータ間における交互作用の有無を示す説明図である。ブロック20の実験計画モデルは、図4に示す各設計パラメータP1〜P7の水準、及び各設計パラメータ間の交互作用を考慮した割付条件に対して作成される(ステップS102)。本実施の形態において、設計パラメータは7変数であり、また3水準で変化させる。図6に示す交互作用を考慮すると、目的関数Fに対する設計パラメータ及びそれらの水準を組み合わせた割付条件が計81通り得られる(L81)。そして、各割付条件に従い、ブロック20の各実験計画モデルのFEMモデルを81通り作成し、圧縮力やせん断力、あるいは路面との摩擦係数等の境界条件を付与して演算することにより、各割付条件における目的関数Fを求める(ステップS103)。前記81通りの割付条件すべてに対して目的関数Fを算出するまでFEMモデルの演算を繰り返し(ステップS104:No)、すべての割付条件下において目的関数Fを求めたら(ステップS104:Yes)、次のステップへ移行する。
【0049】
図7は、FEMモデル化したブロックの一例を示す説明図である。図7中矢印Rは、タイヤの回転方向を示す。上述した通り、本発明においては、ブロック20の目的関数Fを、前記81通りの割付条件下で求める際の解析手法としてFEMを使用する。なお、実施の形態1においてはFEMによって実験計画モデルを解析するが、本発明に適用できる解析手法はFEMに限られず、BEM(Boundary Element Method:境界要素法)、FDM(Finite Differences Method:有限差分法)等も使用できる。目的関数F、設計パラメータ、あるいは境界条件等によって最も適当な解析手法を選択し、又は複数の解析手法を組み合わせて使用することが好ましい。
【0050】
図7に示すように、タイヤ10のブロック20は、FEMに基づく有限個の微小要素201、202、・・・20nに分割される。FEMに基づく微小要素とは、例えば2次元平面においては四辺形要素、3次元体としては四面体ソリッド要素、五面体ソリッド要素、六面体ソリッド要素等のソリッド要素や、三角形シェル要素、四角形シェル要素等のシェル要素等、コンピュータで用いうる要素とすることが望ましい。このようにして分割された微小要素は、解析の過程においては、3次元座標を用いて逐一特定される。
【0051】
また、本発明においては、特に制動性能に着目しているので、FEMによって上記実験計画モデルを解析する際には、少なくとも圧縮力PFとせん断力SFとをブロックの実験計画モデルに付与する。圧縮力PFとせん断力SFとは制動性能に大きく影響を与える要因なので、このようにすれば、制動性能を正確に評価することができるようになる。なお、圧縮力PFとは、タイヤの径方向に対してブロック20を圧縮する力であり、せん断力SFとは、前記圧縮力に対して直交する方向にブロック20をせん断する力である。ここで、少なくとも圧縮力PFとせん断力SFとを付与するにあたり、FEMの計算ステップにおいて同じステップで両者を付与すると、計算を短時間で終了させることができ、好ましい。また、FEMの計算ステップにおいて、圧縮力PFを与えるステップが終了したらせん断力SFを与えてもよい。
【0052】
図8は、目的関数Fの解析結果例を示す説明図である。図8中、矢印R方向はタイヤの回転方向を示す。前記81通りの割付条件の下で実験計画モデルを解析すると、目的関数Fの解析値を81通り得ることができる。図8においては、接地面積Sを目的関数として採用した場合の解析結果例を示しており、L1、L40、L81の割付条件下で解析したブロック20のFEMモデルの接地面形状を示している。このように、各割付条件においては、設計パラメータP1〜P7が異なるので、異なる接地面形状が得られ、これにともなって異なる接地圧分布が得られることになる。
【0053】
FEMによって全81通りの割付条件下で目的関数Fを計算したら、回帰分析等の手法によって多項式近似することにより、目的関数Fを設計パラメータP1〜P7の近似関数(応答曲面)に変換する(ステップS105)。例えば、目的関数を接地面積Sとした場合、この近似関数は、S=a+b×P1+cP12+d×P2+e×P22+f×P3+g×P32+h×P4+i×P42+j×P5+・・・のように表される(a、b、c等は定数)。
【0054】
近似関数を求めたら、これを用いて目的関数Fを最適化する(ステップS106)。例えば、目的関数を接地面積Sとした場合において接地面積Sを最小化したい場合には、接地面積Sが最小になるように近似関数に含まれる設計パラメータP1〜P7を変化させる。このようにして最適化した設計パラメータP1〜P7によって設計したブロック20及びトレッドパターンの精度及び健全性を評価する(ステップS107)。そして、この評価結果に基づき、必要に応じて設計パラメータP1〜P7を修正して、ブロック20及びトレッドパターンを設計する(ステップS108)。
【0055】
ここで、トレッドパターンは、タイヤ加硫金型内でゴムを加硫する際に形成される。タイヤ加硫金型にはトレッドパターンの凸部と凹部とが反転した転写パターンが形成されており、当該転写パターンをタイヤの表面に転写することによって、トレッドパターンを形成する。したがって、上記トレッドパターンの設計方法によって設計したトレッドパターンを反転した転写パターンをタイヤ加硫金型内に形成することにより、上記トレッドパターンが形成されたタイヤを製造するタイヤ加硫金型を製造することができる。この場合、上記手順によって設計したトレッドパターンを反転させた転写パターンからタイヤ加硫金型を設計し(ステップS109)、NC(Numerical Control)加工等によってマスターピースを削り出し、このマスターピースから物理的に転写することにより製造することができる。このように、本発明に係るタイヤの設計方法は、タイヤ加硫金型の設計方法に対しても適用することができる。
【0056】
次に、実施の形態1に係る本発明のタイヤの設計装置について説明する。図9は、この発明の実施の形態1に係るタイヤの設計装置を示す説明図である。このタイヤの設計装置50は、処理部52と記憶部54とで構成される。また、このタイヤの設計装置50には、入出力装置51が接続されており、ここに備えられた入力部53で、設計パラメータP1〜P7、目的関数F、境界条件等を処理部52へ入力する。ここで、入力部53には、キーボード、マウス等の入力デバイスを使用することができる。
【0057】
記憶部54には、本発明に係るタイヤの設計方法をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムが格納されている。ここで、記憶部54は、ハードディスク装置や光磁気ディスク装置、又はフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ(CD−ROM等のような読み出しのみが可能な記憶媒体)や、RAM(Random Access Memory)のような揮発性のメモリ、あるいはこれらの組み合わせにより構成することができる。
【0058】
また、上記コンピュータプログラムは、コンピュータシステムにすでに記録されているコンピュータプログラムとの組み合わせによって、本発明に係る空気入りタイヤの設計方法を実現できるものであってもよい。また、図9における処理部52の機能を実現するための上記コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたコンピュータプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本発明に係る空気入りタイヤの設計方法を実行してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器などのハードウェアを含むものとする。
【0059】
処理部52は、メモリ及びCPUにより構成されている。ブロックの実験計画モデル解析及び関数近似の際には、設定した設計パラメータに基づいて、処理部52が前記プログラムを当該処理部52に組み込まれたメモリに読み込んで演算する。その際に処理部52は、適宜記憶部54へ演算途中の数値を格納し、また格納した数値を取り出して演算を進める。なお、この処理部52は、前記コンピュータプログラムの代わりに専用のハードウェアにより実現されるものであってもよい。
【0060】
近似関数を最適化して得られた設計パラメータは、入出力装置の表示部55に表示される。ここで、表示部55には、CRT(Cathode Ray Tube)や液晶表示装置等を使用することができる。また、予測結果は、必要に応じて設けられたプリンタ(図示せず)に出力することもできる。また、記憶部54は、処理部52に内蔵されるものであっても、他の装置(データベースサーバ)内にあってもよい。このように、上記タイヤの設計装置50は、入出力装置51を備えた端末装置(図示せず)から通信により処理部52や記憶部54にアクセスするものであってもよい。
【0061】
以上、実施の形態1に係る本発明によれば、タイヤの制動性能に着目してブロックの平面形状に関する設計パラメータを選択する。これにより、実験計画法によって求めた目的関数と設計パラメータとの関係を関数近似した近似関数の精度を向上させることができるので、制動性能の高いブロック形状及びトレッドパターンを高い精度で設計できる。また、目的関数及び設計パラメータに制動性能と相関の高いものを使用するようにしたので、制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。さらに、前記近似関数を用いて最適化するので、評価/設計を繰り返すことなく設計でき、トレッドパターンを効率的に設計できる。なお、実施の形態1において開示した本発明の構成は、以下の実施例及び実施の形態においても適用することができる。
【0062】
(実施例1)
この実施例では、接地面積S及び接線力Fssを目的関数Fとして近似関数を求める。設計パラメータは上記実施の形態1において説明した表1に示すものと同様であり、各設計パラメータも3水準に変化させる。また、各設計パラメータ間の交互作用も、上記実施の形態1と同様の関係で考慮する(図6参照)。これにより、L81の実験計画モデルを作成し、制動性能を評価するため、ブロック20の実験計画モデルに圧縮力PFとせん断力SFとを付与して、それぞれの割付条件の下で前記ブロックの実験計画モデルをFEM解析して目的関数Fを求める。そして、得られた解析結果から、目的関数Fと設計パラメータP1〜P7との関係を、多項式で表される近似関数(応答曲面)S=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)、及びFss=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)を得る。
【0063】
図10は、81通りの割付条件の下で接地面積がどのように変化したかを示す説明図である。図10のRSMで表される値は、応答曲面、すなわちS=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)に各割付条件の設計パラメータを代入して得られた接地面積である。FEMから求めたで示される値は、各割付条件の設計パラメータをブロック20のFEMモデルに与えて、これをFEMによって解析して得られた接地面積である。このように、全81通りの割付条件において両者はほぼ同じ値を示し、また、相関係数R2も0.9925と高い値を示す。これにより、この近似関数とFEM解析との相関は十分に高く、この近似関数の精度はブロック20の設計に対して十分に使用できることが確認された。なお、接線力Fssについては図示しないが、接地面積Sと同様の解析結果が得られ、ブロック20の設計に対して十分に使用できることが確認された。
【0064】
図11は、求めた近似関数を用いてブロック形状を最適化した例を示す説明図である。図11(a)は、ブロック20の接地面積Sを最大化した例であり、また、図11(b)は、ブロック20の接線力Fssを最大化した例である。最適化は、求めた近似関数を用いて、ブロック20の接地面積S又は接線力Fssが最大になるように、S=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)又はFss=F(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7)を解いて、各設計パラメータP1〜P7を求める。求めた設計パラメータP1〜P7によって設計したブロックの平面形状を図11に示す。図11は、ブロック20の平面形状とともにブロック20の接地圧Pの分布も示してある。図11(a)、(b)中に示したブロック20の色が薄くなるにしたがって接地圧Pが高くなっている。R方向(前進時においてタイヤが回転する方向)は接地圧が高く、反対方向は接地圧が低くなっていることがわかる。なお、接線力Fssは、ブロック20と地面Gとが接する部分においてブロック20に作用する力であり、タイヤ10の接線方向に向かう力である(図11(a)、(b))。
【0065】
このように、本発明によれば、ブロック20の接地面積S又は接線力Fssを最大化したときの接地圧分布を求め、より好ましいブロック形状を設計することができる。なお、実施例1においては、ブロックの接地面積又は接線力を最適化したが、ブロックの前端部20leにおける接地圧分布を目的関数Fとして、ブロックの形状を最適化してもよい。また、制動性能に対して大きな影響要因となる上記接地面積比ρ、あるいは上記接地圧増減率ηを目的関数Fとしてもよい。
【0066】
(実施例2)
この実施例では、ブロックの後端部浮き上がりhを目的関数Fとして近似関数を求める。図12は、ブロックの後端部における浮き上がりを示す説明図である。図12中矢印A方向は、車両の進行方向を示す。図12に示すように、ブロック20は、制動によって後端部20teが浮き上がる。この後端部浮き上がりhが大きいと、制動時においてブロック20の表面における接地面積が減少するため、制動性能が悪化してしまう。したがって、制動時における後端部浮き上がりhを最小にするようにブロック20を設計することが好ましい。
【0067】
このため、目的関数Fとして後端部浮き上がりhを採用する。そして、上記実施の形態で説明した手順によって実験計画モデルを作成し、ブロック20のFEMモデルを実験計画モデルの各割付条件下で解析して、目的関数Fと設計パラメータとの近似関数(応答曲面)を求める。この近似関数によって、目的関数である後端部浮き上がりhを最適化する。最適化の方法は、実施例1で説明したように、例えば後端部浮き上がりhを最小にするように、近似関数を構成する設計パラメータP1〜P7の値を定めるようにすればよい。
【0068】
(実施の形態2)
実施の形態2においては、上記ブロックのFEMモデルについて説明する。図13は、FEMモデル化したブロックを示す説明図である。十分な精度で目的関数に対する近似関数(応答曲面)を求めるために、タイヤの周方向(図13中の矢印C方向)に対するブロックの分割数Ncは均等分割の場合8分割以上が好ましく、より好ましくは12分割以上である。なお、20分割を超えても前記近似式の精度はほとんど向上せず、計算時間を要するのみになってしまうので、均等分割の場合、周方向に対しては最大でも20分割程度であれば十分である。同様の観点から、ブロック20の高さ方向(図13中の矢印H方向であり、タイヤ10の半径方向)に対する分割数は、均等分割の場合5分割以上が好ましく、より好ましくは8分割以上である。前記近似式の精度向上と計算時間の増大とのバランスを考慮すると、ブロック20の高さ方向に対する分割数は、均等分割の場合最大で12分割程度である。
【0069】
次に、目的関数Fとして、ブロックのエッジ部に生じる物理量を採用した場合のブロックの分割方法について説明する。図14は、他のFEMモデル例によるブロックを示す説明図である。例えば、目的関数Fとして接地圧Pをとり、制動性能に着目した場合には、ブロック20の前端部20leにおける接地圧Pの分布をできるだけ細かく、正確に把握する必要がある。このため、図14(a)に示すように、前端部20le近傍の分割数N2を他の部分の分割数N1よりも細かくし、微小要素を他の部分よりも小さくする。このようにすれば、前端部20le近傍における接地圧Pの分布を細かく、正確に把握できる。また、全体の分割数を変更せずに前端部20le近傍における分割数を細かくすれば、計算の負荷を重くすることなく、必要な箇所における把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。
【0070】
また、目的関数Fとしてブロックの浮き上がり量hをとり、制動性能に着目した場合には、ブロック20の後端部20teにおける浮き上がり量hをできるだけ細かく、正確に把握する必要がある。この場合には、図14(b)に示すように、後端部20teの分割数N3を他の部分の分割数N1よりも細かくし、微小要素を他の部分よりも小さくする。このようにすれば、後端部20leにおける浮き上がり量hを細かく、正確に把握できる。このように、詳細に情報を得たい箇所の分割数を他の箇所よりも多くすることで、必要な箇所における把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。また、全体の分割数を変更せずに詳細に情報を得たい箇所の分割数を細かくすれば、計算の負荷を重くすることなく、詳細に情報を得たい箇所において、把握したい情報を詳細に、かつ正確に知ることができる。
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明に係るタイヤの設計方法では、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択するようにした。これにより、タイヤの制動性能を適切に評価することができるので、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。
【0072】
また、この発明に係るタイヤの設計用コンピュータプログラムでは、前述のタイヤの設計方法がコンピュータを利用して実現できる。
【0073】
また、この発明に係るタイヤの設計装置では、タイヤの制動性能に着目して、制動性能に対して影響の強い目的関数及び設計パラメータを使用するようにした。これにより、タイヤの制動性能を適切に評価することができるので、制動性能に優れたブロックの形状及びトレッドパターンを効率的に設計することができる。
【0074】
また、この発明に係るタイヤ加硫金型の設計方法では、タイヤの制動性能に着目して、ブロックの平面形状に関する設計パラメータでブロックをモデル化するとともに、タイヤの制動性能と相関の高い目的関数を選択するようにした。これにより、タイヤの制動性能を適切に評価することができ、その結果、制動性能に優れたトレッドパターンを持つタイヤを製造するための加硫金型を、効率的に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】タイヤを、その回転軸を含む子午面で切った断面を示す一部断面図である。
【図2】トレッドパターンの一例を示す平面図である。
【図3】実施の形態1に係る本発明におけるトレッドパターンの設計方法及びタイヤ加硫金型の設計方法を説明するフローチャートである。
【図4】図4は、ブロックの形状と設計パラメータとの対応を示す平面図である。
【図5】ブロックがせん断変形を受けていない場合と受けている場合とを示す側面図である。
【図6】各設計パラメータ間における交互作用の有無を示す説明図である。
【図7】FEMモデル化したブロックの一例を示す説明図である。
【図8】目的関数Fの解析結果例を示す説明図である。
【図9】この発明の実施の形態1に係るタイヤの設計装置を示す説明図である。
【図10】81通りの割付条件の下で接地面積がどのように変化したかを示す説明図である。
【図11】求めた近似関数を用いてブロック形状を最適化した例を示す説明図である。
【図12】ブロックの後端部における浮き上がりを示す説明図である。
【図13】FEMモデル化したブロックを示す説明図である。
【図14】他のFEMモデル例によるブロックを示す説明図である。
【符号の説明】
10 タイヤ
11 キャップトレッド
11p キャップトレッド面
13 サイドトレッド
20 ブロック
20le 前端部
20te 後端部
50 設計装置
51 入出力装置
52 処理部
53 入力部
54 記憶部
55 表示部
Claims (17)
- タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める工程と、
実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する工程と、
前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程と、
前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する工程と、
前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める工程と、
を含むことを特徴とするタイヤの設計方法。 - 前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする請求項1に記載のタイヤの設計方法。
- 無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数とすることを特徴とする請求項1又は2に記載のタイヤの設計方法。
- 前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程では、有限要素法に基づき前記ブロックの実験計画モデルをモデル化して解析するとともに、前記タイヤの周方向における前記ブロックの分割数を12以上とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤの設計方法。
- 有限要素法に基づいて前記ブロックの実験計画モデルをモデル化するにあたり、前記タイヤの周方向側における前記ブロックの端部近傍の分割数をそれ以外の部分における分割数よりも多くすることを特徴とする請求項4に記載のタイヤの設計方法。
- 前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程では、少なくとも前記ブロックに圧縮力とせん断力とを付与して解析することを特徴とする請求項4又は5に記載のタイヤの設計方法。
- タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める手順と、
実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する手順と、
前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順と、
前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する手順と、
前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める手順と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするタイヤの設計用コンピュータプログラム。 - 前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする請求項7に記載のタイヤの設計用コンピュータプログラム。
- 無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数とすることを特徴とする請求項7又は8に記載のタイヤの設計用コンピュータプログラム。
- 前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順では、有限要素法に基づき前記ブロックの実験計画モデルをモデル化して解析するとともに、前記タイヤの周方向における前記ブロックの分割数を12以上とすることを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のタイヤの設計用コンピュータプログラム。
- 前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める手順では、少なくとも前記ブロックに圧縮力とせん断力とを付与するとともに、前記圧縮力と前記せん断力とを同じ計算ステップで与えて解析することを特徴とする請求項10に記載のタイヤの設計用コンピュータプログラム。
- タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定め、
実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成し、
前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求め、
前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換し、
前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める処理部と、
前記設計パラメータ、前記目的関数、境界条件その他のデータを前記処理部に与える入力部と、
前記処理部で求めた設計パラメータを表示する表示部と、
を備えることを特徴とするタイヤの設計装置。 - 前記入力部は、前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータとして前記処理部に与え、
前記処理部はこれらのうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えて前記ブロックの実験計画モデルを作成することを特徴とする請求項12に記載のタイヤの設計装置。 - 前記入力部は、無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数として前記処理部に与え、
前記処理部は、前記ブロックの実験計画モデルからこれらのうち少なくとも一方を目的関数として求めることを特徴とする請求項12又は13に記載のタイヤの設計装置。 - タイヤのトレッドパターンを構成する少なくとも1つのブロックの平面形状を複数の設計パラメータによってモデル化するとともに、前記タイヤの制動性能に関する目的関数を定める工程と、
実験計画の割付条件に基づいて前記設計パラメータを変更し、前記ブロックの実験計画モデルを前記割付条件分生成する工程と、
前記割付条件に従い、前記ブロックの実験計画モデルから前記目的関数を求める工程と、
前記割付条件分存在する前記目的関数と前記設計パラメータとの関係から、前記目的関数を前記設計パラメータによる近似関数に変換する工程と、
前記近似関数を用いて前記目的関数の最適値が得られる場合における前記設計パラメータを求める工程と、
を含むことを特徴とするタイヤ加硫金型の設計方法。 - 前記ブロックを構成する弾性材料の弾性率、又は前記タイヤの周方向側における前記ブロック端部の傾斜角のうち少なくとも一方を前記設計パラメータに加えることを特徴とする請求項15に記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
- 無せん断変形状態の接地面積とせん断変形時の接地面積との面積比、又は無せん断変形状態におけるブロック端部接地圧に対するせん断変形状態におけるブロック端部接地圧の増減率のうち少なくとも一方を前記目的関数としたことを特徴とする請求項15又は16に記載のタイヤ加硫金型の設計方法。
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