JP2005003422A - 全反射蛍光x線分析方法および気相分解処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】より高感度、高精度の定量測定が可能な気相分解−全反射蛍光X線分析法を可能とする全反射X線分析方法および分析装置を提供する。
【解決手段】ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜をフッ酸気相中で分解する(1a、1b)。次に、フッ酸気相中での分解で生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に滴下して回収液をウエハ表面の全面に走査する(2)。次に、回収液をウエハ表面上で乾燥させて乾燥痕を形成する(3)。次に、乾燥痕を全反射蛍光X線分析で測定する(4)。ここで、ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する際に、フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進した後、減圧状態でウエハを保持している試料ステージを加熱し、微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する(1b)。
【選択図】 図1
【解決手段】ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜をフッ酸気相中で分解する(1a、1b)。次に、フッ酸気相中での分解で生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に滴下して回収液をウエハ表面の全面に走査する(2)。次に、回収液をウエハ表面上で乾燥させて乾燥痕を形成する(3)。次に、乾燥痕を全反射蛍光X線分析で測定する(4)。ここで、ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する際に、フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進した後、減圧状態でウエハを保持している試料ステージを加熱し、微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する(1b)。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ表面の微量不純物を分析するための表面分析装置である全反射蛍光X線分析装置を用いた高感度の分析方法および気相分解処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体デバイスの微細化に従い、半導体ウエハ表面の微量不純物の分析が非常に重要になっている。これは、ごく微量の金属不純物であってもゲート酸化膜の耐圧を低下させるなど、トランジスタの電気特性を変動させるためである。従って、半導体デバイスの電気特性を向上するには、ウエハ表面の不純物を出来る限り低減する必要がある。そのため、ウエハ表面の不純物量を高感度かつ正確に分析する必要がある。
【0003】
高感度なウエハ表面の組成分析法として、ウエハ表面の微量不純物を濃縮・回収したのちに全反射蛍光X線分析装置で測定する方法がある(例えば特許文献1、2)。この分析方法は気相分解−全反射蛍光X線分析法と呼ばれている。
【0004】
この気相分解−全反射蛍光X線分析法の測定方法のフローチャートを図4に示す。図4に示すとおり、気相分解−全反射蛍光X線分析法は、
(1)ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜をフッ酸蒸気中で気相分解する工程、
(2)気相分解された酸化膜を回収液によって回収する工程、
(3)回収液を乾燥する工程、
(4)回収液を乾燥した痕を全反射蛍光X線分析で測定する工程、
以上の4工程からなる。
【0005】
このようにすることによって、ウエハ全面の汚染物を一箇所に集めて気相分解−全反射蛍光X線分析法により測定するので、高感度分析が可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−9615号公報
【特許文献2】
特開2001−201442号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の気相分解−全反射蛍光X線分析法では、以下に示すように乾燥痕の形状が測定精度に影響するという問題がある。
【0008】
一般的に全反射蛍光X線分析では、特開平6−207889号公報および特開平8−327566号公報に記載されているように、測定対象部の形状によって定量分析値が変動することが知られている。つまり、気相分解−全反射蛍光X線分析法においては、ウエハ表面の汚染物を回収した後に乾燥しているため、回収・乾燥条件などによって乾燥痕の形状が変化して、定量分析値が変化する問題がある。特に酸化膜中の微量不純物の測定においては、酸化膜を分解、回収、乾燥するため、乾燥痕中にSi残渣が多く含まれて乾燥痕の形状が大きくなり、定量分析値の変動は著しい問題となってくる。
【0009】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて、より高感度、高精度の定量測定が可能な気相分解−全反射蛍光X線分析法を可能とする全反射X線分析方法および分析装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の全反射蛍光X線分析方法は、ウエハ表面の微量不純物を分析する全反射蛍光X線分析方法であって、前記ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜をフッ酸気相中で分解する工程と、前記フッ酸気相中での分解で生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に滴下して前記回収液を前記ウエハ表面の全面に走査する工程と、前記回収液を前記ウエハ表面上で乾燥させて乾燥痕を形成する工程と、前記乾燥痕を全反射蛍光X線分析で測定する工程とを備え、前記ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する工程において、フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進する工程と、減圧状態で前記ウエハを保持している試料ステージを加熱し、前記微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する工程を含む。
【0011】
このような構成とすることで、乾燥痕中の不要な残渣が除去でき、全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕とするための分解生成物を得ることができ、高感度、高精度の分析が可能となる。
【0012】
また、本発明の全反射蛍光X線分析方法において、前記気相分解を促進する工程と前記残渣の脱離を促進する工程とを複数回繰り返すことが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、さらに十分に乾燥痕中の不要な残渣が除去でき、全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕とするための分解生成物を得ることができ、さらに高感度、高精度の分析が可能となる。
【0014】
また、本発明の全反射蛍光X線分析方法において、前記気相分解を促進する工程は、前記試料ステージの温度を20℃以下、容器内雰囲気をフッ酸雰囲気下で行い、前記残渣の脱離を促進する工程は、前記試料ステージの温度を40℃以上、容器内圧力を100Pa以下とすることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、全反射蛍光X線分析での測定の障害となるSi残渣を低減した乾燥痕が得られ、高感度、高精度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0016】
また、本発明の気相分解処理装置は、ウエハを保持するとともに前記ウエハの温度を制御する試料ステージを備えた密閉容器と、開閉バルブを介して前記密閉容器内にガス状態でフッ酸を供給する薬品瓶と、前記密閉容器内を排気する排気ポンプと、前記開閉バルブの開閉と前記排気ポンプの稼動とによる前記密閉容器内の雰囲気制御と、前記試料ステージの温度制御とを行う制御装置とを備え、前記ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する際に、前記制御装置による前記密閉容器内の雰囲気制御と前記試料ステージの温度制御とによって、前記フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進する工程と、減圧状態で前記ウエハを保持している試料ステージを加熱し、微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する工程を実施する。
【0017】
このような構成とすることで、微量不純物の分析精度を低下させる残渣を低減する試料処理が可能となり、気相分解後の回収、乾燥工程によって全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕を得ることができ、高感度、高精度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0018】
また、本発明の気相分解処理装置において、前記制御装置による前記密閉容器内の雰囲気制御と前記試料ステージの温度制御とによって、前記気相分解を促進する工程と前記残渣の脱離を促進する工程とを複数回繰り返すことが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、微量不純物の分析精度を低下させる残渣を低減する試料処理が可能となり、気相分解後の回収、乾燥工程を繰り返すことで、さらに全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕を得ることができ、さらに高感度、高精度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態を図1に基づいて説明する。
【0021】
図1はこの発明の第1の実施形態である分析方法のフローチャートである。なお、図1のフローチャートに示されるウエハ表面の分解物を回収する工程、回収液を乾燥する工程、全反射蛍光X線分析する工程は従来例と同様である。
【0022】
本発明の分析方法では気相分解のステップにおいて、試料ステージの温度および気相分解容器内の雰囲気を複数の条件によって処理し、必要に応じて繰り返すことを特徴としている。
【0023】
本実施形態では、まず試料ステージ温度を15℃とし、気相分解容器内をフッ酸雰囲気とし、この状態を3分間保持している、続いて試料ステージを40℃に加熱して気相分解容器を100Paの真空とし、この状態を2分間保持している。そしてこの処理を3回繰り返している。
【0024】
この本実施形態と従来例との比較結果を次に示す。
【0025】
図2は膜厚500nmのSi酸化膜上に5pgのFe,Ni,Cuの標準試薬を滴下して、従来法と本発明とによる気相分解−全反射蛍光X線分析法で分析し、その測定結果から各元素の検出下限値を求めた結果である。
【0026】
図2に示すとおり本発明の方法では検出下限が向上していることが分かる。これは、本発明ではSi残渣が低減されて乾燥痕の形状が小さくなっているため、各元素のピーク強度が高まるとともにバックグラウンド強度も低減されているので、検出下限が向上しているためである。
【0027】
このように本発明の気相分解−全反射蛍光X線分析法を用いれば、フッ酸雰囲気時に試料ステージを冷却してフッ酸水滴による気相分解を促す処理と、真空排気時に試料ステージを加熱してSi残渣の脱離を促す処理を繰り返すことによってSi残渣が低減され、乾燥痕の形状を小さくすることができるため高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0028】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態である気相分解試料処理装置の形態を図3に基づいて説明する。
【0029】
図3において、5は気相分解処理するウエハ、6はウエハ5をセットする試料ステージ、7は密閉容器、8は密閉容器7の上蓋、9は薬品瓶、10は薬品瓶9に入れられたフッ酸、11は密閉容器にフッ酸10のガスを導入するための開閉バルブ、12は密閉容器7内にフッ酸ガスの導入および密閉容器7内を真空排気するための排気ポンプである。
【0030】
次に、この気相分解試料処理装置を用いて全反射蛍光X線分析を行う測定手順について説明する。
【0031】
まず、ウエハ5を温度が制御できる試料ステージ6にセットする。次に、ウエハ5をセットすると密閉容器7の上蓋8を閉じる。次に、試料ステージ6の温度を15℃として、開閉バルブ11を開き、排気ポンプ12を稼動すると薬品瓶9に入れられたフッ酸10のガスを密閉容器7内に導入する。これにより、密閉容器7内はフッ酸雰囲気となる。次に、あらかじめセットされた経過時間後、試料ステージ温度を40℃にするとともに開閉バルブ11を閉じ、密閉容器7内を約10Paの真空とし、あらかじめ設定された時間だけこの状態を保持する。この2段階の試料処理を設定された回数繰り返し、気相分解処理が終了する。その後、次の回収処理へ進む。
【0032】
このように本実施形態の気相分解試料処理装置では、フッ酸雰囲気でのウエハ冷却と真空雰囲気でのウエハ加熱とを繰り返すことができ、フッ酸水滴の付着によるSi酸化膜の分解と、Siとフッ素との化合物とのウエハ表面からの脱離とを効率的に実施している。
【0033】
これによって、気相分解工程後の回収、乾燥工程による乾燥痕中のSi残渣が低減され乾燥痕の形状を小さくすることができるため、高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0034】
【発明の効果】
本発明による全反射蛍光X線分析方法および気相分解処理装置によれば、Si酸化膜の気相分解処理において生じるSiとフッ素との化合物による残渣を低減することができ、気相分解処理による乾燥痕の形状を小さくできるため、高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0035】
これによって、半導体デバイス製造工程における適切な汚染評価が可能となり、安定した半導体デバイスの生産ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析方法を説明するフローチャート
【図2】本発明と従来法との検出下限を比較した図
【図3】本発明による気相分解試料処理装置を説明する図
【図4】従来の分析方法を説明するフローチャート
【符号の説明】
1 気相分解工程
2 回収工程
3 乾燥工程
4 全反射蛍光X線分析工程
5 ウエハ
6 試料ステージ
7 密閉容器
8 上蓋
9 薬品瓶
10 フッ酸
11 開閉バルブ
12 排気ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体ウエハ表面の微量不純物を分析するための表面分析装置である全反射蛍光X線分析装置を用いた高感度の分析方法および気相分解処理装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の半導体デバイスの微細化に従い、半導体ウエハ表面の微量不純物の分析が非常に重要になっている。これは、ごく微量の金属不純物であってもゲート酸化膜の耐圧を低下させるなど、トランジスタの電気特性を変動させるためである。従って、半導体デバイスの電気特性を向上するには、ウエハ表面の不純物を出来る限り低減する必要がある。そのため、ウエハ表面の不純物量を高感度かつ正確に分析する必要がある。
【0003】
高感度なウエハ表面の組成分析法として、ウエハ表面の微量不純物を濃縮・回収したのちに全反射蛍光X線分析装置で測定する方法がある(例えば特許文献1、2)。この分析方法は気相分解−全反射蛍光X線分析法と呼ばれている。
【0004】
この気相分解−全反射蛍光X線分析法の測定方法のフローチャートを図4に示す。図4に示すとおり、気相分解−全反射蛍光X線分析法は、
(1)ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜をフッ酸蒸気中で気相分解する工程、
(2)気相分解された酸化膜を回収液によって回収する工程、
(3)回収液を乾燥する工程、
(4)回収液を乾燥した痕を全反射蛍光X線分析で測定する工程、
以上の4工程からなる。
【0005】
このようにすることによって、ウエハ全面の汚染物を一箇所に集めて気相分解−全反射蛍光X線分析法により測定するので、高感度分析が可能となる。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−9615号公報
【特許文献2】
特開2001−201442号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記の気相分解−全反射蛍光X線分析法では、以下に示すように乾燥痕の形状が測定精度に影響するという問題がある。
【0008】
一般的に全反射蛍光X線分析では、特開平6−207889号公報および特開平8−327566号公報に記載されているように、測定対象部の形状によって定量分析値が変動することが知られている。つまり、気相分解−全反射蛍光X線分析法においては、ウエハ表面の汚染物を回収した後に乾燥しているため、回収・乾燥条件などによって乾燥痕の形状が変化して、定量分析値が変化する問題がある。特に酸化膜中の微量不純物の測定においては、酸化膜を分解、回収、乾燥するため、乾燥痕中にSi残渣が多く含まれて乾燥痕の形状が大きくなり、定量分析値の変動は著しい問題となってくる。
【0009】
本発明の目的は、上記課題に鑑みて、より高感度、高精度の定量測定が可能な気相分解−全反射蛍光X線分析法を可能とする全反射X線分析方法および分析装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の全反射蛍光X線分析方法は、ウエハ表面の微量不純物を分析する全反射蛍光X線分析方法であって、前記ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜をフッ酸気相中で分解する工程と、前記フッ酸気相中での分解で生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に滴下して前記回収液を前記ウエハ表面の全面に走査する工程と、前記回収液を前記ウエハ表面上で乾燥させて乾燥痕を形成する工程と、前記乾燥痕を全反射蛍光X線分析で測定する工程とを備え、前記ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する工程において、フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進する工程と、減圧状態で前記ウエハを保持している試料ステージを加熱し、前記微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する工程を含む。
【0011】
このような構成とすることで、乾燥痕中の不要な残渣が除去でき、全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕とするための分解生成物を得ることができ、高感度、高精度の分析が可能となる。
【0012】
また、本発明の全反射蛍光X線分析方法において、前記気相分解を促進する工程と前記残渣の脱離を促進する工程とを複数回繰り返すことが好ましい。
【0013】
このような構成とすることで、さらに十分に乾燥痕中の不要な残渣が除去でき、全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕とするための分解生成物を得ることができ、さらに高感度、高精度の分析が可能となる。
【0014】
また、本発明の全反射蛍光X線分析方法において、前記気相分解を促進する工程は、前記試料ステージの温度を20℃以下、容器内雰囲気をフッ酸雰囲気下で行い、前記残渣の脱離を促進する工程は、前記試料ステージの温度を40℃以上、容器内圧力を100Pa以下とすることが好ましい。
【0015】
このような構成とすることで、全反射蛍光X線分析での測定の障害となるSi残渣を低減した乾燥痕が得られ、高感度、高精度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0016】
また、本発明の気相分解処理装置は、ウエハを保持するとともに前記ウエハの温度を制御する試料ステージを備えた密閉容器と、開閉バルブを介して前記密閉容器内にガス状態でフッ酸を供給する薬品瓶と、前記密閉容器内を排気する排気ポンプと、前記開閉バルブの開閉と前記排気ポンプの稼動とによる前記密閉容器内の雰囲気制御と、前記試料ステージの温度制御とを行う制御装置とを備え、前記ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する際に、前記制御装置による前記密閉容器内の雰囲気制御と前記試料ステージの温度制御とによって、前記フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進する工程と、減圧状態で前記ウエハを保持している試料ステージを加熱し、微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する工程を実施する。
【0017】
このような構成とすることで、微量不純物の分析精度を低下させる残渣を低減する試料処理が可能となり、気相分解後の回収、乾燥工程によって全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕を得ることができ、高感度、高精度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0018】
また、本発明の気相分解処理装置において、前記制御装置による前記密閉容器内の雰囲気制御と前記試料ステージの温度制御とによって、前記気相分解を促進する工程と前記残渣の脱離を促進する工程とを複数回繰り返すことが好ましい。
【0019】
このような構成とすることで、微量不純物の分析精度を低下させる残渣を低減する試料処理が可能となり、気相分解後の回収、乾燥工程を繰り返すことで、さらに全反射蛍光X線分析に適した乾燥痕を得ることができ、さらに高感度、高精度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
この発明の第1の実施形態を図1に基づいて説明する。
【0021】
図1はこの発明の第1の実施形態である分析方法のフローチャートである。なお、図1のフローチャートに示されるウエハ表面の分解物を回収する工程、回収液を乾燥する工程、全反射蛍光X線分析する工程は従来例と同様である。
【0022】
本発明の分析方法では気相分解のステップにおいて、試料ステージの温度および気相分解容器内の雰囲気を複数の条件によって処理し、必要に応じて繰り返すことを特徴としている。
【0023】
本実施形態では、まず試料ステージ温度を15℃とし、気相分解容器内をフッ酸雰囲気とし、この状態を3分間保持している、続いて試料ステージを40℃に加熱して気相分解容器を100Paの真空とし、この状態を2分間保持している。そしてこの処理を3回繰り返している。
【0024】
この本実施形態と従来例との比較結果を次に示す。
【0025】
図2は膜厚500nmのSi酸化膜上に5pgのFe,Ni,Cuの標準試薬を滴下して、従来法と本発明とによる気相分解−全反射蛍光X線分析法で分析し、その測定結果から各元素の検出下限値を求めた結果である。
【0026】
図2に示すとおり本発明の方法では検出下限が向上していることが分かる。これは、本発明ではSi残渣が低減されて乾燥痕の形状が小さくなっているため、各元素のピーク強度が高まるとともにバックグラウンド強度も低減されているので、検出下限が向上しているためである。
【0027】
このように本発明の気相分解−全反射蛍光X線分析法を用いれば、フッ酸雰囲気時に試料ステージを冷却してフッ酸水滴による気相分解を促す処理と、真空排気時に試料ステージを加熱してSi残渣の脱離を促す処理を繰り返すことによってSi残渣が低減され、乾燥痕の形状を小さくすることができるため高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0028】
(第2の実施形態)
この発明の第2の実施形態である気相分解試料処理装置の形態を図3に基づいて説明する。
【0029】
図3において、5は気相分解処理するウエハ、6はウエハ5をセットする試料ステージ、7は密閉容器、8は密閉容器7の上蓋、9は薬品瓶、10は薬品瓶9に入れられたフッ酸、11は密閉容器にフッ酸10のガスを導入するための開閉バルブ、12は密閉容器7内にフッ酸ガスの導入および密閉容器7内を真空排気するための排気ポンプである。
【0030】
次に、この気相分解試料処理装置を用いて全反射蛍光X線分析を行う測定手順について説明する。
【0031】
まず、ウエハ5を温度が制御できる試料ステージ6にセットする。次に、ウエハ5をセットすると密閉容器7の上蓋8を閉じる。次に、試料ステージ6の温度を15℃として、開閉バルブ11を開き、排気ポンプ12を稼動すると薬品瓶9に入れられたフッ酸10のガスを密閉容器7内に導入する。これにより、密閉容器7内はフッ酸雰囲気となる。次に、あらかじめセットされた経過時間後、試料ステージ温度を40℃にするとともに開閉バルブ11を閉じ、密閉容器7内を約10Paの真空とし、あらかじめ設定された時間だけこの状態を保持する。この2段階の試料処理を設定された回数繰り返し、気相分解処理が終了する。その後、次の回収処理へ進む。
【0032】
このように本実施形態の気相分解試料処理装置では、フッ酸雰囲気でのウエハ冷却と真空雰囲気でのウエハ加熱とを繰り返すことができ、フッ酸水滴の付着によるSi酸化膜の分解と、Siとフッ素との化合物とのウエハ表面からの脱離とを効率的に実施している。
【0033】
これによって、気相分解工程後の回収、乾燥工程による乾燥痕中のSi残渣が低減され乾燥痕の形状を小さくすることができるため、高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0034】
【発明の効果】
本発明による全反射蛍光X線分析方法および気相分解処理装置によれば、Si酸化膜の気相分解処理において生じるSiとフッ素との化合物による残渣を低減することができ、気相分解処理による乾燥痕の形状を小さくできるため、高感度な全反射蛍光X線分析が可能となる。
【0035】
これによって、半導体デバイス製造工程における適切な汚染評価が可能となり、安定した半導体デバイスの生産ができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分析方法を説明するフローチャート
【図2】本発明と従来法との検出下限を比較した図
【図3】本発明による気相分解試料処理装置を説明する図
【図4】従来の分析方法を説明するフローチャート
【符号の説明】
1 気相分解工程
2 回収工程
3 乾燥工程
4 全反射蛍光X線分析工程
5 ウエハ
6 試料ステージ
7 密閉容器
8 上蓋
9 薬品瓶
10 フッ酸
11 開閉バルブ
12 排気ポンプ
Claims (5)
- ウエハ表面の微量不純物を分析する全反射蛍光X線分析方法であって、
前記ウエハ表面に形成された薄膜または自然酸化膜をフッ酸気相中で分解する工程と、
前記フッ酸気相中での分解で生じた分解物を回収するための回収液をウエハ表面に滴下して前記回収液を前記ウエハ表面の全面に走査する工程と、
前記回収液を前記ウエハ表面上で乾燥させて乾燥痕を形成する工程と、
前記乾燥痕を全反射蛍光X線分析で測定する工程とを備え、
前記ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する工程において、
フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進する工程と、
減圧状態で前記ウエハを保持している試料ステージを加熱し、前記微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する工程を含むことを特徴とする全反射蛍光X線分析方法。 - 前記気相分解を促進する工程と前記残渣の脱離を促進する工程とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項1に記載の全反射蛍光X線分析方法。
- 前記気相分解を促進する工程は、前記試料ステージの温度を20℃以下、容器内雰囲気をフッ酸雰囲気下で行い、前記残渣の脱離を促進する工程は、前記試料ステージの温度を40℃以上、容器内圧力を100Pa以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の全反射蛍光X線分析方法。
- ウエハを保持するとともに前記ウエハの温度を制御する試料ステージを備えた密閉容器と、開閉バルブを介して前記密閉容器内にガス状態でフッ酸を供給する薬品瓶と、前記密閉容器内を排気する排気ポンプと、前記開閉バルブの開閉と前記排気ポンプの稼動とによる前記密閉容器内の雰囲気制御と、前記試料ステージの温度制御とを行う制御装置とを備え、
前記ウエハ表面の薄膜または自然酸化膜を分解する際に、前記制御装置による前記密閉容器内の雰囲気制御と前記試料ステージの温度制御とによって、前記フッ酸が液化する温度以下の温度で気相分解を促進する工程と、減圧状態で前記ウエハを保持している試料ステージを加熱し、微量不純物の分析精度を低下させる残渣の脱離を促進する工程を実施することを特徴とする気相分解処理装置。 - 前記制御装置による前記密閉容器内の雰囲気制御と前記試料ステージの温度制御とによって、前記気相分解を促進する工程と前記残渣の脱離を促進する工程とを複数回繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の気相分解処理装置。
Priority Applications (1)
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JP2003164992A JP2005003422A (ja) | 2003-06-10 | 2003-06-10 | 全反射蛍光x線分析方法および気相分解処理装置 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013190403A (ja) * | 2012-03-15 | 2013-09-26 | Toshiba Corp | 不純物分析装置及び方法 |
JP2017053806A (ja) * | 2015-09-11 | 2017-03-16 | 株式会社東芝 | 分析前処理装置 |
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2003
- 2003-06-10 JP JP2003164992A patent/JP2005003422A/ja active Pending
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