JP2005002370A - アルミニウム系基材の表面処理方法及び表面処理基材 - Google Patents
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Abstract
【課題】アルミニウム系基材に対して、優れた耐食性、親水性、防臭性を有する化成皮膜及び親水皮膜を形成することができるアルミニウム系基材の表面処理方法及びそれにより処理された表面処理基材、熱交換器を提供する。
【解決手段】フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤による化成処理反応によってアルミニウム系基材表面に化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなるアルミニウム系基材の表面処理方法であって、上記化成処理反応は、電解処理によって行うアルミニウム系基材の表面処理方法である。
【選択図】 なし
【解決手段】フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤による化成処理反応によってアルミニウム系基材表面に化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなるアルミニウム系基材の表面処理方法であって、上記化成処理反応は、電解処理によって行うアルミニウム系基材の表面処理方法である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム系基材の表面処理方法、表面処理基材及び熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱交換器は、一般的にアルミニウムによって構成されており、熱交換を行うためのフィンが狭い間隔でチューブ間に保持された複雑な構造となっている。熱交換器を冷却用として用いる場合には、大気中の水分が熱交換器表面で凝縮し、水滴として表面に付着する。
【0003】
付着した水滴は、フィン間隙で目詰まりを起こして通風抵抗を増加させ、熱交換率を低下させたり、送風器によって室内に飛散することで不快臭を発生する原因となる。このため、通常フィン等の表面を親水化し、冷房時に凝縮された水分の排出を容易にすることが行われている。
【0004】
また、凝縮した水滴は、アルミニウム又はアルミニウム合金が腐食してしまう原因ともなってしまうため、フィン表面に白色粉末状の酸化アルミニウムを付着させてしまうという問題もある。このため、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面には、通常、耐食性等の性質を向上させる目的で、表面処理が施されている。
【0005】
このような表面処理の一種として、ジルコニウム化合物、チタン化合物を含有する化成処理剤による表面処理が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような表面処理方法は、無電解反応によって行うものであり、処理液中の成分によって被処理金属が溶出する反応と、水素イオンが還元されて水素が発生する反応が生じ、被処理物の表面近傍でのpHの上昇が生じることによって、ジルコニウム錯イオン、チタン錯イオンのフッ素が水酸化物イオンによって置換され、被処理物表面近傍でのpHの上昇が生じることによって、ジルコニウムの水酸化物又は酸化物からなる不溶性のジルコニウム塩皮膜が金属表面に析出する。
【0006】
このようなジルコニウム化成処理剤、チタン化成処理剤の無電解反応においては、被処理物全面で均一な反応を生じさせることが極めて困難であることから充分に緻密で均一な被膜を形成させることが困難であり、またフッ素を多く含んだ皮膜となり、耐食性が悪化また、塗装後の密着性が低下する。また、反応性が低いことから、反応温度を高くする必要もあった。更に、酸洗工程を行うことが必要であるという問題も有する。
【0007】
このため、アルミニウム金属の表面処理において、ジルコニウム化成処理剤、チタン化成処理剤を用いた無電解反応によって得られた化成皮膜を良好な性質を有する化成皮膜とすることによって、より高いレベルでの耐食性を達成することが要求されている。このため、より均一で緻密な化成皮膜を形成することができる表面処理方法が求められている。
【0008】
また、金属表面処理方法として、電解反応による表面処理方法が知られている。(例えば、特許文献2、3参照。)。またリン酸塩処理中の金属イオンと反応してスラッジを発生する、またジルコニウム処理に対し特にアルミ合金で耐食性が充分でない。しかし、リン酸塩化合物を使用する化成処理方法では、富栄養化による環境に対して負荷を与えるという問題がある。また、これらは、熱交換器のアルミニウムのフィンの耐食性及び親水性を向上させることを目的として開発されているものではない。
【0009】
更に、アルミニウム用表面処理として、化成処理によって化成皮膜を形成し、次いで親水皮膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献4、5参照。)。しかし、これらは、無電解処理で化成処理を行うことで化成皮膜を形成する方法である。このため、より均一で緻密な化成皮膜を形成することが望まれている。
【0010】
従って、熱交換器のフィン等に使用されているアルミニウム又はアルミニウム合金に対して、優れた親水性、防臭性を維持しつつ、従来より優れた耐食性を付与することができる表面処理方法の開発が望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−158983号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2000−234200号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2002−194589号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平11−131254号公報(第2頁)
【特許文献5】
特開2002−30462号公報(第2頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、アルミニウム系基材に対して、優れた耐食性、親水性、防臭性を有する化成皮膜及び親水皮膜を形成することができるアルミニウム系基材の表面処理方法及びそれにより処理された表面処理基材、熱交換器を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤による化成処理反応によってアルミニウム系基材表面に化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなるアルミニウム系基材の表面処理方法であって、上記化成処理反応は、電解処理によって行うことを特徴とするアルミニウム系基材の表面処理方法である。
【0014】
上記化成処理剤は、フッ素及びジルコニウム含有化合物の濃度がジルコニウム金属換算で10〜100000ppm、有効フッ素イオン濃度が0.1〜10000ppmであり、pHが1〜6であることが好ましい。
【0015】
上記化成処理剤は、フッ素及びチタン含有化合物の濃度がチタン金属換算で10〜100000ppm、有効フッ素イオン濃度が0.1〜10000ppmであり、pHが1〜6であることが好ましい。
【0016】
上記電解処理は、電圧0.1〜40V、電流密度0.01〜300A/dm2の条件下でのカソード電解処理であることが好ましい。
【0017】
上記工程(1)により形成される化成皮膜は、化成皮膜中のジルコニウム量が1〜1000mg/m2であり、上記工程(2)により形成される親水皮膜は、親水皮膜量が固形分で0.01〜10g/m2であることが好ましい。
【0018】
本発明は、上記アルミニウム系基材の表面処理方法によって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有することを特徴とする表面処理基材である。
【0019】
本発明はまた、アルミニウム系基材の表面処理方法によって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有することを特徴とする熱交換器でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、電解処理によって化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなる方法であり、アルミニウム系基材表面に、化成皮膜及び親水皮膜を形成することで、優れた耐食性、親水性及び防臭性を付与することができる。
【0021】
上記アルミニウム系基材の表面処理方法では、工程(1)を行うことによってアルミニウム系基材表面に緻密な化成皮膜を形成することができるため、アルミニウム系基材の耐食性を大幅に向上させることができる。また、工程(2)を行うことによってアルミニウム系基材に優れた親水性及び防臭性を付与することができる。上記アルミニウム系基材の表面処理方法では、工程(1)を行うことで、素材の耐食性を大幅に向上させることができるため、水酸化アルミニウム等の腐食性生物の発生を抑制することができ、その結果として、埃臭の発生原因が絶つことができる。従って、上記工程(1)と上記工程(2)との両工程を行うことにより、防臭性をより向上させることができると推察される。よって、上記アルミニウム系基材の表面処理方法を用いることにより、優れた耐食性、親水性及び防臭性をすべて併せ持つ表面処理がされたアルミニウム系基材を得ることができる。これにより、これらのすべての性能が要求されるアルミニウム系基材、例えば、熱交換器、カーエバポレーター、ルームエアコン等に好適に適用することができる。
【0022】
また、無電解処理では、化成性を向上させることや均一な化成皮膜を形成させることを目的として脱脂工程やエッチング工程を行うことが必要となるが、上記アルミニウム系基材の表面処理方法のような電解処理では、化成性は自由にコントロールすることができ、また、上述のように皮膜が緻密になるため、脱脂工程やエッチング工程の条件緩和や省略ができる。また、電解処理では、化成処理浴の浴管理を容易にすることもできる。更に、防臭性能を大幅に向上させることができるため、親水皮膜を薄膜化することが可能となり、親水皮膜の形成を簡略化することもできる。
【0023】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、先ず、フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤によってアルミニウム系基材表面を電解処理することによって化成皮膜を形成させる工程を行うものである(工程(1))。電解処理によって反応させると、無電解処理による化成皮膜に比べて緻密で均一性に優れた皮膜となるものである。このため、形成される皮膜量が無電解処理による化成皮膜と同一であっても、耐食性に優れる化成皮膜が形成されるものである。
【0024】
フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤によって電解反応を行うと、極めて優れた耐食性を有する防食性の化成皮膜が得られ、リン酸塩系の化成処理剤の電解反応によって得られる化成皮膜よりも優れた耐食性が得られる。
【0025】
上記フッ素及びジルコニウム含有化合物としては特に限定されず、例えば、フルオロジルコニウム酸又はそのリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、フッ化ジルコニウム等を挙げることができる。また、酸化ジルコニウム等のジルコニウム化合物をフッ化水素酸等のフッ化物水溶液に溶解させることによって得られたものであってもよい。
【0026】
上記フッ素及びチタン含有化合物としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属フルオロチタネート、(NH4)2TiF6等のフルオロチタネート;H2TiF6等のフルオロチタネート酸等の可溶性フルオロジルコネート等;フッ化チタン等を挙げることができる。また、酸化チタン等のチタン化合物をフッ化水素酸等のフッ化物水溶液に溶解させることによって得られたものであってもよい。
【0027】
また、フッ素源として、上記フッ化ジルコニウム、フッ化チタン等の他に、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素酸ナトリウム等を併用することによって、有効フッ素濃度を調整するものであってもよい。
【0028】
上記フッ素及びジルコニウム含有化合物は、上記化成処理剤中にジルコニウム金属換算で、下限10ppm、上限100000ppmの範囲内で配合することが好ましい。10ppm未満であると、ジルコニウム化合物が充分に金属表面上に析出しないため、耐食性が向上しないおそれがある。また、100000ppmを超えて配合すると、それ以上の効果は望めず不経済である。上記下限は、下限30ppmであることがより好ましく、上記上限は、3000ppmppmであることがより好ましい。
【0029】
上記フッ素及びチタン含有化合物は、上記化成処理剤中にチタン金属換算で、下限10ppm、上限100000ppmの範囲内で配合することが好ましい。10ppm未満であると、チタン化合物が充分に金属表面上に析出しないため、耐食性が向上しないおそれがある。また、100000ppmを超えて配合すると、それ以上の効果は望めず不経済である。上記下限は、下限30ppmであることがより好ましく、上記上限は、3000ppmであることがより好ましい。
【0030】
上記化成処理剤がフッ素及びジルコニウム含有化合物とフッ素及びチタン含有化合物とを含有するものである場合は、ジルコニウム及びチタンの合計量が金属換算で、上記範囲内であることが好ましい。
【0031】
上記化成処理剤は、フッ素及びジルコニウム含有化合物を化成処理剤の成分として含むことが好ましい。フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤によって電解反応を行うと、極めて優れた耐食性を有する防食性の化成皮膜が得られる。
【0032】
例えば、リン酸亜鉛処理剤を電解処理することによって化成皮膜を形成する場合、皮膜中のリン酸亜鉛の結晶が小さくなる。従って、リン酸亜鉛処理剤の電解処理によって形成される皮膜は、小さい結晶によって緻密に形成された結晶性のリン酸亜鉛皮膜となる。一方、本発明における化成処理剤を電解処理することによって化成皮膜を形成する場合、形成される皮膜は結晶性の皮膜ではなく、アモルファスな皮膜となる。よって、上記化成処理剤を使用して電解処理する場合には、形成される皮膜中の結晶が小さくなるのではなく、ポーラスでないアモルファスな皮膜が均一に被覆されているものと推察される。従って、リン酸塩処理剤を電解処理することと、上記フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤を電解処理することとでは、それぞれ大きく異なる処理である。
【0033】
フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤を使用し、無電解処理によってアルミニウム系基材に化成皮膜を形成しようとする場合には、先ず下記反応式(1)、(2)に示すような素材のエッチングが起こり、続いて、下記反応式(3)〜(5)に示すようなフルオロジルコニウムの加水分解が起こることによってジルコニウム系化成皮膜が形成される。
【0034】
【化1】
【0035】
つまり、無電解処理によって皮膜を形成する場合には、上記反応式(1)〜(5)が起こることによって化成皮膜が形成されるため、フッ素を比較的多く含むジルコニウム系化成皮膜が形成されることになり、耐食性に劣る皮膜が形成されてしまう。これに対し、フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤を電解処理する場合には、反応を制御することができるため、ジルコニウムイオンが素材に沈殿皮膜化する。このため、(3)の反応が(4)、(5)の反応より優先して進行し、皮膜中のフッ素量を減少させることができ、結果として、耐食性及び塗装密着性の良好なZrO(OH)2を含有する化成皮膜が形成されるものと推察される。
【0036】
また、アルミニウム系基材を表面処理する場合、通常、平衡浴組成ではアルミニウムイオンが蓄積される。この場合、無電解処理では、500ppm以上アルミニウムが蓄積すると、化成反応性を阻害するため、給水・廃棄等の処置が必要とされる。一方、電解処理ではアルミニウムイオンエッチング量が比較的少ない状態で、皮膜化し(皮膜変換効率が良い)、また、蓄積したアルミニウムイオンに対して影響が少ないため、無駄な給水・廃棄が不要となる。
【0037】
上記化成処理剤は、有効フッ素イオン濃度が、下限0.1ppm、上限10000ppmの範囲内であることが好ましい。有効フッ素イオン濃度は、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン等と錯塩を形成していないHF、又は、F−である。有効フッ素イオン濃度が0.1ppm未満であると、アルミニウム表面のエッチングが充分に進行しないため、充分な防錆性能が得られないという問題があり、10000ppmを超えると、過剰エッチングのために、防錆性能が得られないという問題がある。上記下限は、0.5ppmであることがより好ましく、上記上限は、100ppmであることがより好ましい。
【0038】
上記化成処理剤は、pHが下限1、上限6の範囲内であることが好ましい。pHが1未満であると、ジルコニウム化合物、チタン化合物が析出しにくくなるため、充分な皮膜量が得られなくなり、耐食性が低下する場合がある。pHが6を超えると、充分な皮膜量が得られないため好ましくない。上記下限は、2であることが好ましく、上記上限は、5であることがより好ましい。
【0039】
上記化成処理剤は、上記成分の他に、チタン、マンガン、ケイ素、亜鉛、セリウム、鉄、モリブデン、バナジウム、3価クロム、マグネシウム等の金属イオン;タンニン酸、イミダゾール類、トリアジン類、トリアゾール類、グアニン類、ヒドラジン類、ビグアニド、フェノール樹脂、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、アミン類、リン酸等の他の防錆剤;界面活性剤;キレート剤;等を含有するものであってもよい。
【0040】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法の工程(1)において、上記電解処理は、陰極又は陽極のいずれで電解するものであってもよい。上記電解処理は、いずれの場合も公知の方法により行うことができるが、陰極として被処理物を使用することによって電解処理するものであるカソード電解処理であることが好ましい。
【0041】
上記カソード電解処理は、電圧が、下限0.1V、上限40Vであることが好ましい。0.1V未満であると、皮膜量が少なくなり、耐食性が低下するおそれがある。40Vを超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。上記下限は、1Vであることがより好ましく、上記上限は、30Vであることがより好ましい。
【0042】
上記カソード電解処理は、電流が、下限0.1A/dm2、上限30A/dm2であることが好ましい。0.1A/dm2未満であると、皮膜量が少なくなり、耐食性が低下するおそれがある。30A/dm2を超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。上記下限は、0.2A/dm2であることがより好ましく、上記上限は、10A/dm2であることがより好ましい。
【0043】
上記カソード電解処理の処理時間は、下限3秒間、上限180秒間であることが好ましい。3秒間未満であると、皮膜の生成が少なく耐食性が悪くなり、また、電解処理の制御が困難であるおそれがある。180秒間を超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。
【0044】
上記カソード電解処理の処理温度は、下限10℃、上限70℃であることが好ましい。10℃未満であると、皮膜の生成が少なく耐食性が悪くなり、また、電解処理の制御が困難であるおそれがある。70℃を超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。
【0045】
上記電解処理において、対極として使用する電極は、上記化成処理剤に溶解しない電極であれば特に限定されず、例えば、ステンレス、白金メッキチタン、ニオブメッキチタン、カーボン、鉄、亜鉛等を挙げることができることができる。
【0046】
上記工程(1)により形成される化成皮膜は、皮膜量がジルコニウムとして、下限1mg/m2、上限1000mg/m2の範囲内であることが好ましい。1mg/m2未満であると、耐食性が充分でないおそれがある。1000mg/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、10mg/m2がより好ましく、上記上限は、100mg/m2がより好ましい。
【0047】
上記工程(1)により形成される化成皮膜は、皮膜量がチタンとして、下限1mg/m2、上限1000mg/m2の範囲内であることが好ましい。1mg/m2未満であると、耐食性が充分でないおそれがある。1000mg/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、10mg/m2がより好ましく、上記上限は、100mg/m2がより好ましい。
【0048】
上記工程(1)がフッ素及びジルコニウム含有化合物とフッ素及びチタン含有化合物とからなる化成処理剤で行う場合には、上記工程(1)により形成される化成皮膜は、皮膜量がジルコニウムのチタンの合計量として、下限1mg/m2、上限1000mg/m2の範囲内であることが好ましい。1mg/m2未満であると、耐食性が充分でないおそれがある。1000mg/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、10mg/m2がより好ましく、上記上限は、100mg/m2がより好ましい。
【0049】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、上記工程(1)を行って化成皮膜を形成した後に、形成された化成皮膜上に、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成する工程を行うものである(工程(2))。上記工程(1)で形成された化成皮膜によって優れた耐食性が付与されるだけでなく、上記工程(2)で親水皮膜を形成することによってアルミニウム系基材に優れた親水性及び防臭性が付与され、また、耐食性をより向上させることもできる。
【0050】
上記工程(2)で使用する親水処理剤としては特に限定されず、親水皮膜を形成することができる従来公知の親水処理剤を使用して形成することができる。特に、ポストコート処理、カーエバポレーター処理用として用いる場合、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び/又はエーテル基を有する水溶性又は水分散性の親水性樹脂を含有するものであることが好ましい。
【0051】
上記親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、水溶性ナイロン、これらの重合体を形成するモノマーの共重合体、2−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート/アクリル酸2−ヒドロキシルエチル共重合体等のポリオキシエチレン鎖を有するアクリル系重合体、N−メチロールアクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの共重合からなる架橋性微粒子等を挙げることができる。上記親水処理剤としては、形成される親水皮膜の防臭性に優れている点から、ポリビニルアルコールを含む親水処理剤を用いることが好ましい。
【0052】
これらの親水性樹脂は、優れた親水性及び耐水性を有するとともに、自身の臭気がなく、臭気物質が吸着しにくいので、上記親水性樹脂を含有する親水処理剤は、親水性及び防臭性に優れ、又、得られる親水化皮膜は水滴や流水に曝されても劣化しにくいので、所望により含有され自身の埃臭や吸着物質の不快臭を発するシリカ等の無機物や他の残存モノマー成分が露出しにくいので、被処理剤自体が飛散して埃臭を発したり、腐食することが妨げられる。
【0053】
上記親水性樹脂は、数平均分子量が下限1000、上限1000000の範囲内であることが好ましい。1000未満であると、造膜性に劣り、親水性や他の皮膜物性に劣り、1000000を超えると、得られる親水処理剤の溶液の粘度が高くなり、作業性や皮膜物性に劣る。上記下限は、10000がより好ましく、上記上限は、200000がより好ましい。
【0054】
上記親水性樹脂は、上記親水処理剤中の固形分濃度が下限0.01質量%、上限30質量%の範囲内であることが好ましい。0.1質量%未満であると、充分な造膜性及び親水性が得られない。30質量%を超えると、得られる親水処理剤において凝集しやすくなり、作業性や皮膜物性に劣る。上記下限は、0.1質量%がより好ましく、上記上限は、20質量%がより好ましい。
【0055】
上記親水性樹脂は、上述のように、ポリビニルアルコールであることがより好ましいが、なかでもケン化度90%以上のポリビニルアルコールであることが特に好ましい。上記ケン化度が90%未満であると、親水性に劣る場合がある。上記ケン化度は、95%以上であることがより好ましい。上記ポリビニルアルコールは、一部変性したものであってもよい。
【0056】
上記親水性樹脂は、単独で用いても2種以上を併用するものであってもよい。この場合、上記ケン化度90%以上のポリビニルアルコール及びその他の親水性樹脂の混合物であることが好ましい。その他の親水性樹脂は、上述したような親水性樹脂であれば特に限定されないが、樹脂の親水性官能基による表面親水性を有する皮膜、もしくはシリカ等酸化物、樹脂粒子等による表面形状を凹凸にし、親水性を有する皮膜となる添加樹脂、添加化合物が好ましい。混合物とする場合、上記ケン化度90%以上のポリビニルアルコールを親水性樹脂の合計量に対して、固形分で下限20質量%以上含有することが好ましい。上記下限は、40質量%がより好ましい。
【0057】
上記親水処理剤の溶媒は特に限定されないが、廃液処理等の観点から水を主体とするものが好ましい。又、造膜性を向上させ、より均一で平滑な皮膜を形成するために溶剤を併用してもよい。溶剤としては、塗料に一般的に用いられ、水と均一に混合することができるものであれば特に限定されず、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の有機溶剤等を挙げることができる。上記溶剤の使用量は、上記親水処理剤に対して、下限0.01質量%、上限5質量%の範囲内であることが好ましい。
【0058】
上記親水処理剤は、更に、他の添加剤を含有するものであってもよい。上記他の添加剤としては特に限定されず、例えば、硬化剤、分散剤、防錆添加剤、顔料、シランカップリング剤、抗菌剤、界面活性剤、潤滑剤、消臭剤等を挙げることができる。
【0059】
上記硬化剤としては、特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等を挙げることができる。
上記分散剤としては特に限定されず、界面活性剤、分散樹脂等を挙げることができる。
【0060】
上記防錆添加剤としては特に限定されず、例えば、タンニン酸、イミダゾール化合物、トリアジン化合物、トリアゾール化合物、グアニン化合物、ヒドラジン化合物、ジルコニウム化合物等を挙げることができる。なかでも、防錆性を効果的に付与することができることから、ジルコニウム化合物が好ましい。上記ジルコニウム化合物としては特に限定されず、例えば、K2ZrF6等のアルカリ金属フルオロジルコネート;(NH4)2ZrF6等のフルオロジルコネート;H2ZrF6等のフルオロジルコネート酸等の可溶性フルオロジルコネート等;フッ化ジルコニウム;酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
【0061】
上記顔料としては、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al2O3)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)等、酸化アルミニウム(Al2O3)の無機顔料や、有機顔料等の各種着色顔料等を挙げることができる。
【0062】
上記シランカップリング剤を含有させると、上記有機樹脂と上記顔料との親和性が向上し、密着性等を向上させることができる点で好ましい。
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
上記抗菌剤としては特に限定されず、例えば、2−(4−チアゾニル)−ベンスイミダゾール、ジンクピリチオン等の従来公知の抗菌剤を使用することができる。
【0063】
上記工程(2)により形成される親水皮膜は、親水皮膜量が固形分で、下限0.01g/m2、10g/m2であることが好ましい。0.01g/m2未満であると、親水性が充分でないおそれがある。10g/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、0.1g/m2がより好ましく、上記上限は、1g/m2がより好ましい。
【0064】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法を適用することができる被処理物としては、通常使用されているアルミニウム金属を含有するすべての基材に対して適用することができ、例えば、5000番系アルミニウム合金、6000番系アルミニウム合金、1000番系、3000番系、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−シリコン合金及びアルミニウム−マンガン合金等から選ばれ、これは例えばエアコンディショナーのような熱交換器においてチューブ、フィン及び中空プレート等に成形されたものを含む。
【0065】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法において、上記アルミニウム系基材の表面は、上記工程(1)で電解処理する前に脱脂処理、脱脂後水洗処理を行うことが好ましい。
【0066】
上記脱脂処理は、基材表面に付着している油分や汚れを除去するために行われるものであり、無リン・無窒素脱脂洗浄液等の脱脂剤により、通常30〜55℃において数分間程度の浸漬処理がなされる。所望により、脱脂処理の前に、予備脱脂処理を行うことも可能である。
【0067】
上記脱脂後水洗処理は、脱脂処理後の脱脂剤を水洗するために、大量の水洗水によって1回又はそれ以上スプレー処理を行うことにより行われるものである。また、電解処理後に、水洗処理を行ってもよい。
【0068】
本発明は、アルミニウム系基材に対して、上記アルミニウム系基材の表面処理方法を適用することによって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有する表面処理基材でもある。本発明の表面処理基材は、更にカチオン電着塗装、粉体塗装等の塗装を上記親水皮膜上に形成した際に、耐食性に優れるものである。本発明の表面処理基材に対して行うことができる塗装としては特に限定されず、カチオン電着塗装、粉体塗装等を挙げることができる。上記カチオン電着塗装としては特に限定されず、アミノ化エポキシ樹脂、アミノ化アクリル樹脂、スルホニウム化エポキシ樹脂等からなる従来公知のカチオン電着塗料を塗布することができる。上記アルミニウム系基材の表面処理方法を適用するアルミニウム系基材としては、熱交換器、カーエバポレーターであることが好ましい。熱交換器、カーエバポレーターに適用することによって得られる処理材は、耐食性、親水性及び防臭性に優れているものであるため、好適に使用することができるものである。
【0069】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤を電解処理することによって化成皮膜を形成する工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とをアルミニウム系基材に対して適用する処理方法である。このため、優れた耐食性、親水性及び防臭性を有する表面処理基材を得ることができる。
【0070】
本発明は、電解処理で皮膜を形成するため、緻密に皮膜を形成することができ、無電解処理を行って皮膜を形成する場合に比べて、同じ皮膜量でも耐食性を大幅に向上させことができ、更に、比較的低温で皮膜を形成することもできる。
【0071】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
実施例1〜10、比較例1〜5
化成処理剤の調製
フッ素及びジルコニウム含有化合物として、ジルコンフッ酸、ジルコンフッ化アンモニウム、フッ化チタン酸、硝酸アルミニウム、フッ化水素酸、リン酸、水溶性フェノール、硝酸クロム(III)を配合し、イオン交換水を加えて、表1に示すような化成処理剤を調製した。また、アルサーフ600LN2(日本ペイント社製、クロメート系化成処理剤)も使用した。
【0073】
親水処理剤
表1に示した(A)サーフアルコート321(日本ペイント社製、ポリビニルアルコール・ポリエチレンオキサイド系親水処理剤)、(B)サーフアルコート310(日本ペイント社製、カルボキシメチルセルロース系親水処理剤)、(C)サーフアルコート1100(日本ペイント社製、ポリビニルアルコール・シリカ系親水処理剤)、(D)サーフアルコート2000(日本ペイント社製、ポリビニルアルコール・変性ポリビニルアルコール系親水処理剤)、を使用した。
【0074】
試験板の作成
70mm×150mm×0.8mmのA1100(日本テストパネル製)を酸性脱脂剤(サーフクリーナーNHC250AH−3、日本ペイント製)5%水溶液を用いて、70℃で30秒間浸漬処理して脱脂した。水道水で30秒間スプレー処理を行って水洗した後、調製した化成処理剤を表1に示した条件で、対極に銅板を使用し、電解処理した。なお、皮膜中のジルコニウム量、チタン量(mg/m2)は、「XRF1700」(島津製作所製蛍光X線分析装置)を用いて分析した。
【0075】
次に、電解処理後の基材に、固形分濃度2%に調整した親水処理剤を用いて、 室温で30秒間浸漬処理し、160℃で5分間乾燥して親水皮膜が形成した。親水皮膜量は、固形分として0.5g/m2とした。なお、親水皮膜の皮膜量(g/m2)は、「RC142型」(LECO社製全炭素分析装置)を用いて分析した。
【0076】
試験板の物性評価
上記試験板について、以下に示した評価方法によって耐食性を評価した。
<耐食性>
JIS Z 2371に基づき、5%塩水噴霧試験(2000時間)を行い、試験後に処理板の錆発生率を調べた。処理板表面の錆発生面積を下記の評価基準で目視で評価した。
10:白錆発生なし
9:白錆発生面積が10%未満
8:同20%未満
7:同30%未満
6:同40%未満
5:同50%未満
4:同60%未満
3:同70%未満
2:同80%未満
1:同90%未満
【0077】
<親水性>
試験板を流水に72時間接触させた後、水滴との接触角を測定した。接触角が小さい程、親水性が高いと考えられる。接触角の測定は、自動接触角計CA−Z(協和界面化学社製)を用いて行った。
【0078】
<臭気>
試験板を水道水流水に72時間接触させた後、臭いを嗅いで6段階評価した。
0:無臭
1:やっとかすかに臭いを感じる
2:らくに臭いを感じる
3:明らかに臭いを感じる
4:強く臭いを感じる
5:非常に強く臭いを感じる
【0079】
【表1】
【0080】
表1から、無電解処理で得られたもの(比較例1〜2)は、電解処理で得られたもの(実施例)に比べて、耐食性に劣るものであった。また、電解処理で得られたもの(実施例)は、市販の化成処理剤を使用する場合(比較例5)と同等以上の耐食性を有するものであった。更に、親水皮膜を形成しなかった場合(比較例3)、化成皮膜を形成しなかった場合(比較例4)は、それぞれ親水性、耐食性に劣るものであった。これにより、アノード又はカソード電解処理を行って化成皮膜を形成し、次いで親水処理剤で親水皮膜を形成することによって優れた耐食性及び親水性を付与することができることが明らかとなった。また、親水皮膜を形成することによって防臭性を向上させることができることも明らかとなった。
【0081】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、上述した構成よりなるものであるため、無電解処理を行う場合に比べて、耐食性を向上させることができる。また、親水皮膜を形成するものであるため、優れた親水性及び防臭性を付与するだけでなく、耐食性もより向上させることができる。また、環境に対する負荷が少なく、スラッジの発生も抑制された方法である。従って、例えば、熱交換器、カーエバポレーター等のアルミニウム系基材に対して好適に適用することができるものである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルミニウム系基材の表面処理方法、表面処理基材及び熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱交換器は、一般的にアルミニウムによって構成されており、熱交換を行うためのフィンが狭い間隔でチューブ間に保持された複雑な構造となっている。熱交換器を冷却用として用いる場合には、大気中の水分が熱交換器表面で凝縮し、水滴として表面に付着する。
【0003】
付着した水滴は、フィン間隙で目詰まりを起こして通風抵抗を増加させ、熱交換率を低下させたり、送風器によって室内に飛散することで不快臭を発生する原因となる。このため、通常フィン等の表面を親水化し、冷房時に凝縮された水分の排出を容易にすることが行われている。
【0004】
また、凝縮した水滴は、アルミニウム又はアルミニウム合金が腐食してしまう原因ともなってしまうため、フィン表面に白色粉末状の酸化アルミニウムを付着させてしまうという問題もある。このため、アルミニウム又はアルミニウム合金の表面には、通常、耐食性等の性質を向上させる目的で、表面処理が施されている。
【0005】
このような表面処理の一種として、ジルコニウム化合物、チタン化合物を含有する化成処理剤による表面処理が知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような表面処理方法は、無電解反応によって行うものであり、処理液中の成分によって被処理金属が溶出する反応と、水素イオンが還元されて水素が発生する反応が生じ、被処理物の表面近傍でのpHの上昇が生じることによって、ジルコニウム錯イオン、チタン錯イオンのフッ素が水酸化物イオンによって置換され、被処理物表面近傍でのpHの上昇が生じることによって、ジルコニウムの水酸化物又は酸化物からなる不溶性のジルコニウム塩皮膜が金属表面に析出する。
【0006】
このようなジルコニウム化成処理剤、チタン化成処理剤の無電解反応においては、被処理物全面で均一な反応を生じさせることが極めて困難であることから充分に緻密で均一な被膜を形成させることが困難であり、またフッ素を多く含んだ皮膜となり、耐食性が悪化また、塗装後の密着性が低下する。また、反応性が低いことから、反応温度を高くする必要もあった。更に、酸洗工程を行うことが必要であるという問題も有する。
【0007】
このため、アルミニウム金属の表面処理において、ジルコニウム化成処理剤、チタン化成処理剤を用いた無電解反応によって得られた化成皮膜を良好な性質を有する化成皮膜とすることによって、より高いレベルでの耐食性を達成することが要求されている。このため、より均一で緻密な化成皮膜を形成することができる表面処理方法が求められている。
【0008】
また、金属表面処理方法として、電解反応による表面処理方法が知られている。(例えば、特許文献2、3参照。)。またリン酸塩処理中の金属イオンと反応してスラッジを発生する、またジルコニウム処理に対し特にアルミ合金で耐食性が充分でない。しかし、リン酸塩化合物を使用する化成処理方法では、富栄養化による環境に対して負荷を与えるという問題がある。また、これらは、熱交換器のアルミニウムのフィンの耐食性及び親水性を向上させることを目的として開発されているものではない。
【0009】
更に、アルミニウム用表面処理として、化成処理によって化成皮膜を形成し、次いで親水皮膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献4、5参照。)。しかし、これらは、無電解処理で化成処理を行うことで化成皮膜を形成する方法である。このため、より均一で緻密な化成皮膜を形成することが望まれている。
【0010】
従って、熱交換器のフィン等に使用されているアルミニウム又はアルミニウム合金に対して、優れた親水性、防臭性を維持しつつ、従来より優れた耐食性を付与することができる表面処理方法の開発が望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
特開2001−158983号公報(第2頁)
【特許文献2】
特開2000−234200号公報(第2頁)
【特許文献3】
特開2002−194589号公報(第2頁)
【特許文献4】
特開平11−131254号公報(第2頁)
【特許文献5】
特開2002−30462号公報(第2頁)
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記に鑑み、アルミニウム系基材に対して、優れた耐食性、親水性、防臭性を有する化成皮膜及び親水皮膜を形成することができるアルミニウム系基材の表面処理方法及びそれにより処理された表面処理基材、熱交換器を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤による化成処理反応によってアルミニウム系基材表面に化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなるアルミニウム系基材の表面処理方法であって、上記化成処理反応は、電解処理によって行うことを特徴とするアルミニウム系基材の表面処理方法である。
【0014】
上記化成処理剤は、フッ素及びジルコニウム含有化合物の濃度がジルコニウム金属換算で10〜100000ppm、有効フッ素イオン濃度が0.1〜10000ppmであり、pHが1〜6であることが好ましい。
【0015】
上記化成処理剤は、フッ素及びチタン含有化合物の濃度がチタン金属換算で10〜100000ppm、有効フッ素イオン濃度が0.1〜10000ppmであり、pHが1〜6であることが好ましい。
【0016】
上記電解処理は、電圧0.1〜40V、電流密度0.01〜300A/dm2の条件下でのカソード電解処理であることが好ましい。
【0017】
上記工程(1)により形成される化成皮膜は、化成皮膜中のジルコニウム量が1〜1000mg/m2であり、上記工程(2)により形成される親水皮膜は、親水皮膜量が固形分で0.01〜10g/m2であることが好ましい。
【0018】
本発明は、上記アルミニウム系基材の表面処理方法によって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有することを特徴とする表面処理基材である。
【0019】
本発明はまた、アルミニウム系基材の表面処理方法によって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有することを特徴とする熱交換器でもある。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、電解処理によって化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなる方法であり、アルミニウム系基材表面に、化成皮膜及び親水皮膜を形成することで、優れた耐食性、親水性及び防臭性を付与することができる。
【0021】
上記アルミニウム系基材の表面処理方法では、工程(1)を行うことによってアルミニウム系基材表面に緻密な化成皮膜を形成することができるため、アルミニウム系基材の耐食性を大幅に向上させることができる。また、工程(2)を行うことによってアルミニウム系基材に優れた親水性及び防臭性を付与することができる。上記アルミニウム系基材の表面処理方法では、工程(1)を行うことで、素材の耐食性を大幅に向上させることができるため、水酸化アルミニウム等の腐食性生物の発生を抑制することができ、その結果として、埃臭の発生原因が絶つことができる。従って、上記工程(1)と上記工程(2)との両工程を行うことにより、防臭性をより向上させることができると推察される。よって、上記アルミニウム系基材の表面処理方法を用いることにより、優れた耐食性、親水性及び防臭性をすべて併せ持つ表面処理がされたアルミニウム系基材を得ることができる。これにより、これらのすべての性能が要求されるアルミニウム系基材、例えば、熱交換器、カーエバポレーター、ルームエアコン等に好適に適用することができる。
【0022】
また、無電解処理では、化成性を向上させることや均一な化成皮膜を形成させることを目的として脱脂工程やエッチング工程を行うことが必要となるが、上記アルミニウム系基材の表面処理方法のような電解処理では、化成性は自由にコントロールすることができ、また、上述のように皮膜が緻密になるため、脱脂工程やエッチング工程の条件緩和や省略ができる。また、電解処理では、化成処理浴の浴管理を容易にすることもできる。更に、防臭性能を大幅に向上させることができるため、親水皮膜を薄膜化することが可能となり、親水皮膜の形成を簡略化することもできる。
【0023】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、先ず、フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤によってアルミニウム系基材表面を電解処理することによって化成皮膜を形成させる工程を行うものである(工程(1))。電解処理によって反応させると、無電解処理による化成皮膜に比べて緻密で均一性に優れた皮膜となるものである。このため、形成される皮膜量が無電解処理による化成皮膜と同一であっても、耐食性に優れる化成皮膜が形成されるものである。
【0024】
フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤によって電解反応を行うと、極めて優れた耐食性を有する防食性の化成皮膜が得られ、リン酸塩系の化成処理剤の電解反応によって得られる化成皮膜よりも優れた耐食性が得られる。
【0025】
上記フッ素及びジルコニウム含有化合物としては特に限定されず、例えば、フルオロジルコニウム酸又はそのリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム塩、フッ化ジルコニウム等を挙げることができる。また、酸化ジルコニウム等のジルコニウム化合物をフッ化水素酸等のフッ化物水溶液に溶解させることによって得られたものであってもよい。
【0026】
上記フッ素及びチタン含有化合物としては特に限定されず、例えば、アルカリ金属フルオロチタネート、(NH4)2TiF6等のフルオロチタネート;H2TiF6等のフルオロチタネート酸等の可溶性フルオロジルコネート等;フッ化チタン等を挙げることができる。また、酸化チタン等のチタン化合物をフッ化水素酸等のフッ化物水溶液に溶解させることによって得られたものであってもよい。
【0027】
また、フッ素源として、上記フッ化ジルコニウム、フッ化チタン等の他に、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化水素酸アンモニウム、フッ化ナトリウム、フッ化水素酸ナトリウム等を併用することによって、有効フッ素濃度を調整するものであってもよい。
【0028】
上記フッ素及びジルコニウム含有化合物は、上記化成処理剤中にジルコニウム金属換算で、下限10ppm、上限100000ppmの範囲内で配合することが好ましい。10ppm未満であると、ジルコニウム化合物が充分に金属表面上に析出しないため、耐食性が向上しないおそれがある。また、100000ppmを超えて配合すると、それ以上の効果は望めず不経済である。上記下限は、下限30ppmであることがより好ましく、上記上限は、3000ppmppmであることがより好ましい。
【0029】
上記フッ素及びチタン含有化合物は、上記化成処理剤中にチタン金属換算で、下限10ppm、上限100000ppmの範囲内で配合することが好ましい。10ppm未満であると、チタン化合物が充分に金属表面上に析出しないため、耐食性が向上しないおそれがある。また、100000ppmを超えて配合すると、それ以上の効果は望めず不経済である。上記下限は、下限30ppmであることがより好ましく、上記上限は、3000ppmであることがより好ましい。
【0030】
上記化成処理剤がフッ素及びジルコニウム含有化合物とフッ素及びチタン含有化合物とを含有するものである場合は、ジルコニウム及びチタンの合計量が金属換算で、上記範囲内であることが好ましい。
【0031】
上記化成処理剤は、フッ素及びジルコニウム含有化合物を化成処理剤の成分として含むことが好ましい。フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤によって電解反応を行うと、極めて優れた耐食性を有する防食性の化成皮膜が得られる。
【0032】
例えば、リン酸亜鉛処理剤を電解処理することによって化成皮膜を形成する場合、皮膜中のリン酸亜鉛の結晶が小さくなる。従って、リン酸亜鉛処理剤の電解処理によって形成される皮膜は、小さい結晶によって緻密に形成された結晶性のリン酸亜鉛皮膜となる。一方、本発明における化成処理剤を電解処理することによって化成皮膜を形成する場合、形成される皮膜は結晶性の皮膜ではなく、アモルファスな皮膜となる。よって、上記化成処理剤を使用して電解処理する場合には、形成される皮膜中の結晶が小さくなるのではなく、ポーラスでないアモルファスな皮膜が均一に被覆されているものと推察される。従って、リン酸塩処理剤を電解処理することと、上記フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤を電解処理することとでは、それぞれ大きく異なる処理である。
【0033】
フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤を使用し、無電解処理によってアルミニウム系基材に化成皮膜を形成しようとする場合には、先ず下記反応式(1)、(2)に示すような素材のエッチングが起こり、続いて、下記反応式(3)〜(5)に示すようなフルオロジルコニウムの加水分解が起こることによってジルコニウム系化成皮膜が形成される。
【0034】
【化1】
【0035】
つまり、無電解処理によって皮膜を形成する場合には、上記反応式(1)〜(5)が起こることによって化成皮膜が形成されるため、フッ素を比較的多く含むジルコニウム系化成皮膜が形成されることになり、耐食性に劣る皮膜が形成されてしまう。これに対し、フッ素及びジルコニウム含有化合物からなる化成処理剤を電解処理する場合には、反応を制御することができるため、ジルコニウムイオンが素材に沈殿皮膜化する。このため、(3)の反応が(4)、(5)の反応より優先して進行し、皮膜中のフッ素量を減少させることができ、結果として、耐食性及び塗装密着性の良好なZrO(OH)2を含有する化成皮膜が形成されるものと推察される。
【0036】
また、アルミニウム系基材を表面処理する場合、通常、平衡浴組成ではアルミニウムイオンが蓄積される。この場合、無電解処理では、500ppm以上アルミニウムが蓄積すると、化成反応性を阻害するため、給水・廃棄等の処置が必要とされる。一方、電解処理ではアルミニウムイオンエッチング量が比較的少ない状態で、皮膜化し(皮膜変換効率が良い)、また、蓄積したアルミニウムイオンに対して影響が少ないため、無駄な給水・廃棄が不要となる。
【0037】
上記化成処理剤は、有効フッ素イオン濃度が、下限0.1ppm、上限10000ppmの範囲内であることが好ましい。有効フッ素イオン濃度は、アルミニウムイオン、ジルコニウムイオン、チタニウムイオン等と錯塩を形成していないHF、又は、F−である。有効フッ素イオン濃度が0.1ppm未満であると、アルミニウム表面のエッチングが充分に進行しないため、充分な防錆性能が得られないという問題があり、10000ppmを超えると、過剰エッチングのために、防錆性能が得られないという問題がある。上記下限は、0.5ppmであることがより好ましく、上記上限は、100ppmであることがより好ましい。
【0038】
上記化成処理剤は、pHが下限1、上限6の範囲内であることが好ましい。pHが1未満であると、ジルコニウム化合物、チタン化合物が析出しにくくなるため、充分な皮膜量が得られなくなり、耐食性が低下する場合がある。pHが6を超えると、充分な皮膜量が得られないため好ましくない。上記下限は、2であることが好ましく、上記上限は、5であることがより好ましい。
【0039】
上記化成処理剤は、上記成分の他に、チタン、マンガン、ケイ素、亜鉛、セリウム、鉄、モリブデン、バナジウム、3価クロム、マグネシウム等の金属イオン;タンニン酸、イミダゾール類、トリアジン類、トリアゾール類、グアニン類、ヒドラジン類、ビグアニド、フェノール樹脂、シランカップリング剤、コロイダルシリカ、アミン類、リン酸等の他の防錆剤;界面活性剤;キレート剤;等を含有するものであってもよい。
【0040】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法の工程(1)において、上記電解処理は、陰極又は陽極のいずれで電解するものであってもよい。上記電解処理は、いずれの場合も公知の方法により行うことができるが、陰極として被処理物を使用することによって電解処理するものであるカソード電解処理であることが好ましい。
【0041】
上記カソード電解処理は、電圧が、下限0.1V、上限40Vであることが好ましい。0.1V未満であると、皮膜量が少なくなり、耐食性が低下するおそれがある。40Vを超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。上記下限は、1Vであることがより好ましく、上記上限は、30Vであることがより好ましい。
【0042】
上記カソード電解処理は、電流が、下限0.1A/dm2、上限30A/dm2であることが好ましい。0.1A/dm2未満であると、皮膜量が少なくなり、耐食性が低下するおそれがある。30A/dm2を超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。上記下限は、0.2A/dm2であることがより好ましく、上記上限は、10A/dm2であることがより好ましい。
【0043】
上記カソード電解処理の処理時間は、下限3秒間、上限180秒間であることが好ましい。3秒間未満であると、皮膜の生成が少なく耐食性が悪くなり、また、電解処理の制御が困難であるおそれがある。180秒間を超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。
【0044】
上記カソード電解処理の処理温度は、下限10℃、上限70℃であることが好ましい。10℃未満であると、皮膜の生成が少なく耐食性が悪くなり、また、電解処理の制御が困難であるおそれがある。70℃を超えると、皮膜量の増大効果が飽和し、エネルギー的に不利となるおそれがある。
【0045】
上記電解処理において、対極として使用する電極は、上記化成処理剤に溶解しない電極であれば特に限定されず、例えば、ステンレス、白金メッキチタン、ニオブメッキチタン、カーボン、鉄、亜鉛等を挙げることができることができる。
【0046】
上記工程(1)により形成される化成皮膜は、皮膜量がジルコニウムとして、下限1mg/m2、上限1000mg/m2の範囲内であることが好ましい。1mg/m2未満であると、耐食性が充分でないおそれがある。1000mg/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、10mg/m2がより好ましく、上記上限は、100mg/m2がより好ましい。
【0047】
上記工程(1)により形成される化成皮膜は、皮膜量がチタンとして、下限1mg/m2、上限1000mg/m2の範囲内であることが好ましい。1mg/m2未満であると、耐食性が充分でないおそれがある。1000mg/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、10mg/m2がより好ましく、上記上限は、100mg/m2がより好ましい。
【0048】
上記工程(1)がフッ素及びジルコニウム含有化合物とフッ素及びチタン含有化合物とからなる化成処理剤で行う場合には、上記工程(1)により形成される化成皮膜は、皮膜量がジルコニウムのチタンの合計量として、下限1mg/m2、上限1000mg/m2の範囲内であることが好ましい。1mg/m2未満であると、耐食性が充分でないおそれがある。1000mg/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、10mg/m2がより好ましく、上記上限は、100mg/m2がより好ましい。
【0049】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、上記工程(1)を行って化成皮膜を形成した後に、形成された化成皮膜上に、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成する工程を行うものである(工程(2))。上記工程(1)で形成された化成皮膜によって優れた耐食性が付与されるだけでなく、上記工程(2)で親水皮膜を形成することによってアルミニウム系基材に優れた親水性及び防臭性が付与され、また、耐食性をより向上させることもできる。
【0050】
上記工程(2)で使用する親水処理剤としては特に限定されず、親水皮膜を形成することができる従来公知の親水処理剤を使用して形成することができる。特に、ポストコート処理、カーエバポレーター処理用として用いる場合、水酸基、カルボキシル基、アミド基、アミノ基、スルホン酸基及び/又はエーテル基を有する水溶性又は水分散性の親水性樹脂を含有するものであることが好ましい。
【0051】
上記親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキサイド、水溶性ナイロン、これらの重合体を形成するモノマーの共重合体、2−メトキシポリエチレングリコールメタクリレート/アクリル酸2−ヒドロキシルエチル共重合体等のポリオキシエチレン鎖を有するアクリル系重合体、N−メチロールアクリルアミド、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートの共重合からなる架橋性微粒子等を挙げることができる。上記親水処理剤としては、形成される親水皮膜の防臭性に優れている点から、ポリビニルアルコールを含む親水処理剤を用いることが好ましい。
【0052】
これらの親水性樹脂は、優れた親水性及び耐水性を有するとともに、自身の臭気がなく、臭気物質が吸着しにくいので、上記親水性樹脂を含有する親水処理剤は、親水性及び防臭性に優れ、又、得られる親水化皮膜は水滴や流水に曝されても劣化しにくいので、所望により含有され自身の埃臭や吸着物質の不快臭を発するシリカ等の無機物や他の残存モノマー成分が露出しにくいので、被処理剤自体が飛散して埃臭を発したり、腐食することが妨げられる。
【0053】
上記親水性樹脂は、数平均分子量が下限1000、上限1000000の範囲内であることが好ましい。1000未満であると、造膜性に劣り、親水性や他の皮膜物性に劣り、1000000を超えると、得られる親水処理剤の溶液の粘度が高くなり、作業性や皮膜物性に劣る。上記下限は、10000がより好ましく、上記上限は、200000がより好ましい。
【0054】
上記親水性樹脂は、上記親水処理剤中の固形分濃度が下限0.01質量%、上限30質量%の範囲内であることが好ましい。0.1質量%未満であると、充分な造膜性及び親水性が得られない。30質量%を超えると、得られる親水処理剤において凝集しやすくなり、作業性や皮膜物性に劣る。上記下限は、0.1質量%がより好ましく、上記上限は、20質量%がより好ましい。
【0055】
上記親水性樹脂は、上述のように、ポリビニルアルコールであることがより好ましいが、なかでもケン化度90%以上のポリビニルアルコールであることが特に好ましい。上記ケン化度が90%未満であると、親水性に劣る場合がある。上記ケン化度は、95%以上であることがより好ましい。上記ポリビニルアルコールは、一部変性したものであってもよい。
【0056】
上記親水性樹脂は、単独で用いても2種以上を併用するものであってもよい。この場合、上記ケン化度90%以上のポリビニルアルコール及びその他の親水性樹脂の混合物であることが好ましい。その他の親水性樹脂は、上述したような親水性樹脂であれば特に限定されないが、樹脂の親水性官能基による表面親水性を有する皮膜、もしくはシリカ等酸化物、樹脂粒子等による表面形状を凹凸にし、親水性を有する皮膜となる添加樹脂、添加化合物が好ましい。混合物とする場合、上記ケン化度90%以上のポリビニルアルコールを親水性樹脂の合計量に対して、固形分で下限20質量%以上含有することが好ましい。上記下限は、40質量%がより好ましい。
【0057】
上記親水処理剤の溶媒は特に限定されないが、廃液処理等の観点から水を主体とするものが好ましい。又、造膜性を向上させ、より均一で平滑な皮膜を形成するために溶剤を併用してもよい。溶剤としては、塗料に一般的に用いられ、水と均一に混合することができるものであれば特に限定されず、例えばアルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系の有機溶剤等を挙げることができる。上記溶剤の使用量は、上記親水処理剤に対して、下限0.01質量%、上限5質量%の範囲内であることが好ましい。
【0058】
上記親水処理剤は、更に、他の添加剤を含有するものであってもよい。上記他の添加剤としては特に限定されず、例えば、硬化剤、分散剤、防錆添加剤、顔料、シランカップリング剤、抗菌剤、界面活性剤、潤滑剤、消臭剤等を挙げることができる。
【0059】
上記硬化剤としては、特に限定されず、例えば、メラミン樹脂、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等を挙げることができる。
上記分散剤としては特に限定されず、界面活性剤、分散樹脂等を挙げることができる。
【0060】
上記防錆添加剤としては特に限定されず、例えば、タンニン酸、イミダゾール化合物、トリアジン化合物、トリアゾール化合物、グアニン化合物、ヒドラジン化合物、ジルコニウム化合物等を挙げることができる。なかでも、防錆性を効果的に付与することができることから、ジルコニウム化合物が好ましい。上記ジルコニウム化合物としては特に限定されず、例えば、K2ZrF6等のアルカリ金属フルオロジルコネート;(NH4)2ZrF6等のフルオロジルコネート;H2ZrF6等のフルオロジルコネート酸等の可溶性フルオロジルコネート等;フッ化ジルコニウム;酸化ジルコニウム等を挙げることができる。
【0061】
上記顔料としては、例えば酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、炭酸カルシウム(CaCO3)、硫酸バリウム(BaSO4)、アルミナ(Al2O3)、カオリンクレー、カーボンブラック、酸化鉄(Fe2O3、Fe3O4)等、酸化アルミニウム(Al2O3)の無機顔料や、有機顔料等の各種着色顔料等を挙げることができる。
【0062】
上記シランカップリング剤を含有させると、上記有機樹脂と上記顔料との親和性が向上し、密着性等を向上させることができる点で好ましい。
上記シランカップリング剤としては特に限定されず、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−〔2−(ビニルベンジルアミノ)エチル〕−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
上記抗菌剤としては特に限定されず、例えば、2−(4−チアゾニル)−ベンスイミダゾール、ジンクピリチオン等の従来公知の抗菌剤を使用することができる。
【0063】
上記工程(2)により形成される親水皮膜は、親水皮膜量が固形分で、下限0.01g/m2、10g/m2であることが好ましい。0.01g/m2未満であると、親水性が充分でないおそれがある。10g/m2を超えると、それ以上の効果は得られず、経済的に不利である。上記下限は、0.1g/m2がより好ましく、上記上限は、1g/m2がより好ましい。
【0064】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法を適用することができる被処理物としては、通常使用されているアルミニウム金属を含有するすべての基材に対して適用することができ、例えば、5000番系アルミニウム合金、6000番系アルミニウム合金、1000番系、3000番系、アルミニウム−マグネシウム合金、アルミニウム−シリコン合金及びアルミニウム−マンガン合金等から選ばれ、これは例えばエアコンディショナーのような熱交換器においてチューブ、フィン及び中空プレート等に成形されたものを含む。
【0065】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法において、上記アルミニウム系基材の表面は、上記工程(1)で電解処理する前に脱脂処理、脱脂後水洗処理を行うことが好ましい。
【0066】
上記脱脂処理は、基材表面に付着している油分や汚れを除去するために行われるものであり、無リン・無窒素脱脂洗浄液等の脱脂剤により、通常30〜55℃において数分間程度の浸漬処理がなされる。所望により、脱脂処理の前に、予備脱脂処理を行うことも可能である。
【0067】
上記脱脂後水洗処理は、脱脂処理後の脱脂剤を水洗するために、大量の水洗水によって1回又はそれ以上スプレー処理を行うことにより行われるものである。また、電解処理後に、水洗処理を行ってもよい。
【0068】
本発明は、アルミニウム系基材に対して、上記アルミニウム系基材の表面処理方法を適用することによって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有する表面処理基材でもある。本発明の表面処理基材は、更にカチオン電着塗装、粉体塗装等の塗装を上記親水皮膜上に形成した際に、耐食性に優れるものである。本発明の表面処理基材に対して行うことができる塗装としては特に限定されず、カチオン電着塗装、粉体塗装等を挙げることができる。上記カチオン電着塗装としては特に限定されず、アミノ化エポキシ樹脂、アミノ化アクリル樹脂、スルホニウム化エポキシ樹脂等からなる従来公知のカチオン電着塗料を塗布することができる。上記アルミニウム系基材の表面処理方法を適用するアルミニウム系基材としては、熱交換器、カーエバポレーターであることが好ましい。熱交換器、カーエバポレーターに適用することによって得られる処理材は、耐食性、親水性及び防臭性に優れているものであるため、好適に使用することができるものである。
【0069】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤を電解処理することによって化成皮膜を形成する工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とをアルミニウム系基材に対して適用する処理方法である。このため、優れた耐食性、親水性及び防臭性を有する表面処理基材を得ることができる。
【0070】
本発明は、電解処理で皮膜を形成するため、緻密に皮膜を形成することができ、無電解処理を行って皮膜を形成する場合に比べて、同じ皮膜量でも耐食性を大幅に向上させことができ、更に、比較的低温で皮膜を形成することもできる。
【0071】
【実施例】
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0072】
実施例1〜10、比較例1〜5
化成処理剤の調製
フッ素及びジルコニウム含有化合物として、ジルコンフッ酸、ジルコンフッ化アンモニウム、フッ化チタン酸、硝酸アルミニウム、フッ化水素酸、リン酸、水溶性フェノール、硝酸クロム(III)を配合し、イオン交換水を加えて、表1に示すような化成処理剤を調製した。また、アルサーフ600LN2(日本ペイント社製、クロメート系化成処理剤)も使用した。
【0073】
親水処理剤
表1に示した(A)サーフアルコート321(日本ペイント社製、ポリビニルアルコール・ポリエチレンオキサイド系親水処理剤)、(B)サーフアルコート310(日本ペイント社製、カルボキシメチルセルロース系親水処理剤)、(C)サーフアルコート1100(日本ペイント社製、ポリビニルアルコール・シリカ系親水処理剤)、(D)サーフアルコート2000(日本ペイント社製、ポリビニルアルコール・変性ポリビニルアルコール系親水処理剤)、を使用した。
【0074】
試験板の作成
70mm×150mm×0.8mmのA1100(日本テストパネル製)を酸性脱脂剤(サーフクリーナーNHC250AH−3、日本ペイント製)5%水溶液を用いて、70℃で30秒間浸漬処理して脱脂した。水道水で30秒間スプレー処理を行って水洗した後、調製した化成処理剤を表1に示した条件で、対極に銅板を使用し、電解処理した。なお、皮膜中のジルコニウム量、チタン量(mg/m2)は、「XRF1700」(島津製作所製蛍光X線分析装置)を用いて分析した。
【0075】
次に、電解処理後の基材に、固形分濃度2%に調整した親水処理剤を用いて、 室温で30秒間浸漬処理し、160℃で5分間乾燥して親水皮膜が形成した。親水皮膜量は、固形分として0.5g/m2とした。なお、親水皮膜の皮膜量(g/m2)は、「RC142型」(LECO社製全炭素分析装置)を用いて分析した。
【0076】
試験板の物性評価
上記試験板について、以下に示した評価方法によって耐食性を評価した。
<耐食性>
JIS Z 2371に基づき、5%塩水噴霧試験(2000時間)を行い、試験後に処理板の錆発生率を調べた。処理板表面の錆発生面積を下記の評価基準で目視で評価した。
10:白錆発生なし
9:白錆発生面積が10%未満
8:同20%未満
7:同30%未満
6:同40%未満
5:同50%未満
4:同60%未満
3:同70%未満
2:同80%未満
1:同90%未満
【0077】
<親水性>
試験板を流水に72時間接触させた後、水滴との接触角を測定した。接触角が小さい程、親水性が高いと考えられる。接触角の測定は、自動接触角計CA−Z(協和界面化学社製)を用いて行った。
【0078】
<臭気>
試験板を水道水流水に72時間接触させた後、臭いを嗅いで6段階評価した。
0:無臭
1:やっとかすかに臭いを感じる
2:らくに臭いを感じる
3:明らかに臭いを感じる
4:強く臭いを感じる
5:非常に強く臭いを感じる
【0079】
【表1】
【0080】
表1から、無電解処理で得られたもの(比較例1〜2)は、電解処理で得られたもの(実施例)に比べて、耐食性に劣るものであった。また、電解処理で得られたもの(実施例)は、市販の化成処理剤を使用する場合(比較例5)と同等以上の耐食性を有するものであった。更に、親水皮膜を形成しなかった場合(比較例3)、化成皮膜を形成しなかった場合(比較例4)は、それぞれ親水性、耐食性に劣るものであった。これにより、アノード又はカソード電解処理を行って化成皮膜を形成し、次いで親水処理剤で親水皮膜を形成することによって優れた耐食性及び親水性を付与することができることが明らかとなった。また、親水皮膜を形成することによって防臭性を向上させることができることも明らかとなった。
【0081】
【発明の効果】
本発明のアルミニウム系基材の表面処理方法は、上述した構成よりなるものであるため、無電解処理を行う場合に比べて、耐食性を向上させることができる。また、親水皮膜を形成するものであるため、優れた親水性及び防臭性を付与するだけでなく、耐食性もより向上させることができる。また、環境に対する負荷が少なく、スラッジの発生も抑制された方法である。従って、例えば、熱交換器、カーエバポレーター等のアルミニウム系基材に対して好適に適用することができるものである。
Claims (7)
- フッ素及びジルコニウム含有化合物、並びに/又は、フッ素及びチタン含有化合物からなる化成処理剤による化成処理反応によってアルミニウム系基材表面に化成皮膜を形成させる工程(1)と、親水処理剤を用いて親水皮膜を形成させる工程(2)とからなるアルミニウム系基材の表面処理方法であって、
前記化成処理反応は、電解処理によって行うことを特徴とするアルミニウム系基材の表面処理方法。 - 化成処理剤は、フッ素及びジルコニウム含有化合物の濃度がジルコニウム金属換算で10〜100000ppm、有効フッ素イオン濃度が0.1〜10000ppmであり、pHが1〜6である請求項1記載のアルミニウム系基材の表面処理方法。
- 化成処理剤は、フッ素及びチタン含有化合物の濃度がチタン金属換算で10〜100000ppm、有効フッ素イオン濃度が0.1〜10000ppmであり、pHが1〜6である請求項1記載のアルミニウム系基材の表面処理方法。
- 電解処理は、電圧0.1〜40V、電流密度0.01〜30A/dm2の条件下でのカソード電解処理である請求項1、2又は3記載のアルミニウム系基材の表面処理方法。
- 工程(1)により形成される化成皮膜は、化成皮膜中のジルコニウム量が1〜1000mg/m2であり、工程(2)により形成される親水皮膜は、親水皮膜量が固形分で0.01〜10g/m2である請求項1、2、3又は4記載のアルミニウム系基材の表面処理方法。
- 請求項1、2、3、4又は5記載のアルミニウム系基材の表面処理方法によって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有することを特徴とする表面処理基材。
- 請求項1、2、3、4又は5記載のアルミニウム系基材の表面処理方法によって得られた化成皮膜及び親水皮膜を有することを特徴とする熱交換器。
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