JP2004532634A - タンパク質分泌のためのClyA溶血素の使用 - Google Patents

タンパク質分泌のためのClyA溶血素の使用 Download PDF

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Abstract

以下の開示は、宿主細胞から効率良く組換えタンパク質を産生するためのタンパク質輸送系を産生する。好ましい実施形態において、このタンパク質輸送系は、このタンパク質輸送系ベクターが導入される宿主細菌に内因性のタンパク質輸送機構を利用する。1つの局面において,本発明は、以下を提供する:細菌細胞において遺伝子を発現させるための方法であって、形質転換されていない細菌細胞の集団に発現ベクターを提供する工程であって、該発現ベクターが、目的のタンパク質に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む発現カセットを含む、工程;該発現カセットを発現させる工程であって、その結果、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質が、産生され、そして培養培地中に輸送される、工程、を包含する、方法。

Description

【0001】
(政府援助)
本明細書中に規定したタンパク質輸送系は、National Institutes of Healthより、助成金5 R01 AI29471、R01 AI40297、およびResearch Contract N01 AI45251(M.M.Levine、Principal Investigator)からの援助を通じて開発された。
【0002】
(関連出願)
本出願は、米国仮特許出願第60/252,516号(2000年11月22日出願)(これは、本明細書中にその全体が参考として援用される)に対する優先権を主張する。
【0003】
(発明の背景)
(発明の分野)
以下の開示は、タンパク質輸送系の使用に関する。この開示された系は、組換えタンパク質の産生に有用な、効果的な方法および組成物を提供する。
【0004】
(関連分野の説明)
タンパク質発現系は、長い間、目的の組換えタンパク質の収率を増加するための試みにおいて、高コピー数の発現プラスミドまたは発現ベクターを用いてきた。高コピー数の発現プラスミドおよびそれらがコードする目的のタンパク質は、発現プラスミドを含む宿主の適合性に負の効果を与え得る。多コピープラスミドを保有する原核生物宿主細胞に与えられる顕著な負荷は、以下の2つのプロセスによって引き起こされる、代謝的カスケードの蓄積的な結果である:1)発現プラスミドの複製および維持ならびに2)目的の遺伝子を含む、プラスミドにコードされた種々の機能の転写および翻訳。そのような機構は、プラスミド保有細菌が、プラスミドを含まない細菌よりも遅く増殖するという観察を説明し得る。この負荷はまた、コピー数が増加するに従い増殖速度が減少するという観察も説明し得る。
【0005】
目的の遺伝子が発現される場合、組換え宿主細胞の増殖速度は、減少する。増殖速度の減少は、宿主細胞の細胞質中に存在する、組換え産生されたタンパク質を分解し得る、種々の細胞性プロテアーゼの誘導を引き起こし得る。従って、減少した増殖速度は、代謝的負荷の不可避な結果であり、これはまた、多くの生理学的な摂動の累積的な結果である。増殖速度のこの減少が、選択の非存在下で内在するプラスミドの損失に対する選択圧を産生するので、発現ベクターを保有する宿主細胞からの発現プラスミドの有意な損失は、宿主細胞の形質転換後に起こり得る。
【0006】
減少した増殖速度を有する宿主細胞は、その宿主細胞から必要とされない代謝的負荷を取り除くために自発的に発現プラスミドを排出し得、そしてプラスミドを含まない細胞に、プラスミドを保有する宿主細胞の集団よりも速く増殖させ得る。そのような宿主細胞の集団内でのタンパク質発現の変化は、タンパク質産生を減少させることが予想される。
【0007】
従って、発現ベクターからのタンパク質発現を最適化しながら、一方で、その発現ベクターによって産生された宿主細胞に対する代謝的負荷を最小化する、タンパク質発現系を調製することが所望される。
【0008】
(発明の要旨)
開示物は、宿主細胞外への融合タンパク質の輸送を促進する輸送タンパク質の使用に関する。1つの開示された実施形態は、形質転換されていない細菌宿主細胞の集団に発現ベクターを提供する工程であって、ここで、この発現ベクターが、目的のタンパク質のコード配列に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む発現カセットを含む、工程、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質が、産生され、そして培養培地中に輸送(export)もしくは輸送(transport)されるように、発現カセットを発現させる工程、を包含する、細菌細胞中で遺伝子を発現させるための方法を提供する。
【0009】
別の開示された実施形態は、目的のタンパク質のコード配列に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む発現カセットを含む発現ベクターで形質転換された細菌宿主細胞の集団を、動物に提供する工程、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質が、産生され、そしてその動物中に輸送(export)または輸送(transport)されるように、発現カセットを発現させる工程、および融合タンパク質に対する免疫応答をその動物から誘発する工程、を包含する、動物から免疫応答を誘発するための方法に関する。
【0010】
別の開示された実施形態は、発現カセットを有する発現ベクターであって、発現カセットが、目的のタンパク質のコード配列に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む、発現ベクター、この発現ベクターで形質転換される宿主細胞、および形質転換された宿主細胞のための培養環境であって、この発現カセットが、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質を発現し、その融合タンパク質が、その形質転換された宿主細胞の外に輸送される、培養環境、を備える目的のタンパク質を発現させるための系に関する。
【0011】
(好ましい実施形態の詳細な説明)
以下の開示は、細菌性宿主から組換えタンパク質を効率良く産生するためのタンパク質輸送系を提供する。好ましい実施形態において、このタンパク質輸送系は、このタンパク質輸送系ベクターが導入される宿主細菌に内因性のタンパク質輸送機構を利用する。
【0012】
タンパク質輸送系は多くの有用な適用を有する。この系は、細菌宿主細胞内部で目的の組換えタンパク質を効率的に産生し、そしてその細菌宿主細胞からその目的の組換えタンパク質を輸送するために用いられ得る。例えば、この開示された系は、バイオリアクターにおいて目的の組換えタンパク質を効率良く産生するために用いられ得る。
【0013】
このタンパク質輸送系はまた、動物の抗原性物質に提供するために用いられ得、それに対して、免疫応答がマウントされ得る。例えば、1つの実施形態において、弱毒化された細菌(例えばSalmonella)が、このタンパク質輸送系の成分で形質転換される。次いで、この組換えSalmonellaが、動物において免疫応答の生成を促進し得る、生きたベクター免疫原成分として用いられ得る。このタンパク質輸送系は、目的の種々の抗原と共に用いられ得る。特定の実施形態は、腸チフスおよび他の疾患に対する免疫原性組成物を含む。最小限の細菌の溶解で、組換え細菌から輸送される抗原を発現する免疫原性組成物もまた、開示される。
【0014】
(A.HlyEファミリータンパク質輸送系)
以下の開示は、タンパク質発現を促進するためのタンパク質輸送系におけるHlyEファミリーのメンバーの使用に関する。HlyEファミリーのメンバーは、それらの細菌宿主からの、組換え産生されたタンパク質の輸送を促進するために用いられ得る。組換え的に産生されたタンパク質を輸送する発現系は、増加したタンパク産生を促進すると考えられる。この開示のタンパク質輸送系はまた、動物にワクチン接種するための免疫原性組成物を調製するためにもまた用いられ得る。
【0015】
発現ベクターを含む組換え生物の増殖速度が、目的の遺伝子の発現のレベルが増殖するにつれて減少することが、観察された。増殖の減少は、発現された組換えタンパク質を分解し得る種々の細胞性プロテアーゼの誘導を引き起こし得る。従って、減少した増殖速度は、代謝的負荷の不可避な結果であり、これらはまた、多くの生理学的な摂動の累積的な結果である。例えば、生理学的摂動は、宿主細菌内部での目的のタンパク質の発現および蓄積により生じる。この蓄積は、宿主細菌の生存力に有害であり得、したがって負の選択圧であり得る。
【0016】
上述のような代謝的負荷が、選択の非存在下で内在する発現ベクターの損失に対する選択圧を生じるので、宿主細菌からの発現ベクターの有意な損失は、その宿主細菌が目的の遺伝子を含む発現ベクターによって形質転換された後に、生じ得る。自発的なプラスミドの損失は、宿主細菌から任意の代謝的負荷を取り除き、そしてプラスミドを含まない細胞を、プラスミドを保有する宿主細胞の集団よりも速く増殖させ得る。発現ベクターを含まず、従って目的のタンパク質を発現しない細菌細胞の過剰増殖は、全体のタンパク質産生レベルを減少させる。従って、目的の所定のタンパク質の高レベルの合成を指向する発現ベクターを維持するように遺伝子的に拘束されていない宿主細菌は、有意に少ないタンパク質を産生し得る。
【0017】
組換え発現された目的のタンパク質を輸送するための好ましい実施形態は、発現ベクターを有する宿主細菌中の内因性輸送系を利用することを包含する。内因性輸送系の利用は、それが外因性輸送系を供給するための外来性のタンパク質をコードする大量の異種DNAの必要性を回避するので、部分的に有利である。しかし、外因性輸送系を利用するタンパク質輸送系もまた、本開示に包含される。
【0018】
魅力的な内因性輸送系候補は、Salmonella enterica血液型亜型Typhi(本明細書中以降「S.Typhi」)の染色体中の細胞溶解酵素A(CytolysinA)(clyA)によりコードされる潜在性の溶血素(HlyEファミリーのタンパク質のメンバー)である。このHlyEファミリーは、単一のタンパク質(HlyE)ならびにE.coli、Shigella flexneri、およびS.Typhiならびに他の細菌由来のその近縁のホモログからからなる。そのE.coliタンパク質は、ClyA、HlyE、およびサイレント溶血素A(SheA)とも呼ばれる、機能的に十分に特徴づけられた、孔形成する、染色体にコードされた溶血素である。これは、303アミノ酸残基(34kDa)からなる。その転写は、SlyA(いくつかの腸内細菌中に見出される調製因子)によって正に制御される。HlyEは、脂質二重層中に、2.5〜3.0nmの直径を有する、安定で、穏やかなカチオン選択性の膜貫通孔を形成する。このタンパク質は、コレステロールと結合し、そして膜がコレステロールを含む場合、膜における孔形成が、刺激される。E.coli HlyEの結晶構造が、2.0Åの解像度で解析され、そして低解像度でのこのトキシンの脂質会合形態の可視化が、電子顕微鏡によって達成された。この構造は、数100Å長の精巧な螺旋状の束を示す。それは、脂質存在下で、オリゴマーとなり、膜貫通孔を形成する。
【0019】
(B、細胞溶解素A(ClyA)タンパク質輸送系)
本開示の好ましい実施形態は、タンパク質輸送系における、ClyAタンパク質(HlyEファミリーのメンバー)の使用に関する。約1kbのclyA遺伝子を、タンパク質輸送系における使用のために、S.Typhi CVD 908−htrAよりクローニングした。このCly Aタンパク質は、E.coliおよびS.Typhiの両方より輸送され、そしてclyAオープンリーディングフレームの3’末端に遺伝子的に融合されたパッセンジャータンパク質を輸送し得る。本明細書中に示されるパッセンジャータンパク質はまた、目的のタンパク質とも呼ばれる。これらの融合タンパク質の適切な折りたたみは、これらのドメインの固有の生物学的活性が観察されるように生じることが実証される。
【0020】
S.Typhi由来の細胞溶解素A(ClyA)は、最初に、Wallaceら(彼らはまた、E.coli由来の相同性溶血素についての結晶構造も報告している(Wallace,A.J.、T.J.Stillman、A.Atkins、S.J.Jamieson、P.A.Bullough、J.Green、およびP.J.Artymiuk、2000.E.coli hemolysin E(HlyE,ClyA,SheA): X−ray crystal structure of the toxin and obserbation of membrane pores by election microscopy.Cell 100:265−276によって記載された。この溶血素は、以前に記載され、そしてClyA、HlyEまたはSheAと様々で呼ばれている。本明細書では、混同を回避するために、E.coliの溶血素を、HlyEと称し、そしてこれは、hlyEによってコードされる。また、明確さのために、S.Typhi溶血素を、本明細書中においてClyAと示し、これは、clyAによってコードされる。
【0021】
例示の目的のために、HlyEファミリーメンバーのタンパク質の構造を、E.coliタンパク質HlyEを参照として議論する。HlyEは、疎水性の27残基の膜貫通領域を有するねじれた棒状の分子である。この領域は、この折りたたまれた分子の一端を有し、そして標的の膜内に孔を形成することが提唱されている。この孔の形成は、最終的には、標的細胞の溶解を導く。高度な電子顕微鏡での研究において、Wallaceらは、HlyEが、脂質小胞に挿し、8分子のHlyEモノマーから構成される孔を形成することを示した。
【0022】
HlyEによって促進される孔形成が解明されたが、HlyEおよびHlyEホモログが細菌外に輸送される機構は、不明確のままである。さらに、溶血素が集合的に孔となるために標的の膜へと挿入する様式もまた、十分には理解されていない。Del Castilloらは、中期対数増殖期にわたってピークとなりそして定常期の開始時に消滅する、溶血素活性の増殖期依存分泌を記載した(del Castillo,F.J.、S.C.Leal、F.Moreno、およびI.del Castillo.1997.The Escherichia coli K−12 sheA gene encodes a 34−kDa secreted haemolysin.Mol.Microbiol.25:107−115.)。Ludwigおよび共同研究者は、この潜在性の溶血素の分泌に、ペリプラズムに閉じ込められたタンパク質の洩れが付随するが、細胞質のタンパク質の損失が付随しないことを報告をし、HlyEを放出するための完全な細胞溶解に対して議論した(Ludwig,A.、S.Bauer、R.Benz、B.Bergmann、およびW.Goebel.1999.Analysis of the SlyA−controlled expresion,subcellular localization and pore−forming activity of a 34 kDa haemolysin (ClyA) from Escherichia coli K−12.Mol.Microbial.31:557−567)。
【0023】
さらに、hlyEによってコードされる配列と比較した場合、分泌されたHlyEのN末端配列決定は、HlyEが、輸送の間に、N末端がプロセッシングをされないことを明らかにした。Oscarssonらは、HlyEが、コレステロールに結合すること、および標的膜中のコレステロールの存在が、孔形成および溶解を刺激することを報告した(Oscarsson,J.、Y.Mizunoe、L.Li、X.Lai、A.Wieslander、およびB.E.Uhlin.1999.Molecular analysis of the cytolytic protein ClyA(SheA) from Escherichia coli.Mol.Microbiol.32:1226−1238)。約10分子のHlyEが、標的の赤血球の溶解のために必要とされると推定され、これは、細胞溶解検出の前のHlyEの有意な蓄積を示唆する。HlyEは、3.0〜9.0の間のpH値の範囲内で非常に安定であり、そしてトリプシンおよびペプシンを含むプロテアーゼによる切断に対して耐性である(Atkins,A.、N.R.Wyborn、A.J.Wallace、T.J.Stillman、L.K.Black、A.B.Fielding、M.Hisakado、P.J.Artymiuk、およびJ.Green.2000.Structure−function relationships of a novel becterial toxin,hemolysin E.The role of .J.Biol.Chem.275:41150−41155)。
【0024】
この開示された研究中に用いられる単離されたclyA遺伝子およびClyAタンパク質のヌクレオチド配列およびアミノ酸配列を、配列番号1および配列番号2として提供する。他のHlyEファミリーメンバーもまた、当業者に入手可能かつ公知である。例えば、細胞溶解素Aの別のS.Typhi clyA遺伝子は、GENBANK登録番号AJ313034の下で入手可能であり;細胞溶解素AのSalmonella paratyphi clyA遺伝子配列は、GENBANK登録番号AJ313033の下で入手可能であり;Shigella flexneri短縮型HlyE(hlyE)遺伝子の完全なコード配列は、GENBANK登録番号AF200955の下で入手可能であり;そしてEscherichia coli clyA遺伝子配列は、GENBANK登録番号AJ001829の下で入手可能である。
【0025】
HlyEファミリーのタンパク質は、代表的に、標的細胞中で溶血を引き起こす。溶血素的に活性または不活性なHlyEファミリーメンバーは、両方とも、開示された教示により用いられ得る。例えば、clyA遺伝子の変異は、溶血素の活性を減少または排除し得ることが、知られている。例えば、溶血素活性の損失は、clyAが、アミノ酸置換が第180位、第185位、第187位および第193位に生じるように変異された場合に、報告された。詳細には、G180V、V185S、A187S、およびI193Sは、変異clyA遺伝子から発現されたClyAタンパク質の溶血素的活性の損失を生じる。
【0026】
本開示は、タンパク質輸送系を生じる、HlyEファミリーのタンパク質の輸送特性を利用する。例えば、HylAファミリーの任意のメンバーおよび目的のタンパク質を含む融合タンパク質が、開示される。さらに詳細には、ClyAおよび目的のタンパク質を含む融合タンパク質が、開示される。以下に議論されるように、ClyA含有融合タンパク質が、細菌宿主細胞から周囲の培地へと輸送される。輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質成分を含む発現系のこの特徴は、目的のタンパク質の産生および輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質の輸送を促進する。
【0027】
(輸送タンパク質発現ベクター)
本明細書中に記載されるタンパク質輸送系は、輸送タンパク質および目的のタンパク質を含む広範な融合タンパク質を発現および輸送させるために用いられ得る。この輸送タンパク質は、HlyEファミリーのタンパク質より選択される。1つの実施形態において、この目的のタンパク質は、目的の遺伝子によってコードされる。この目的の遺伝子は、タンパク質輸送系を含む細菌に対して異種であり得るか、またはその細菌に対して内因性である遺伝子であり得る。代表的には、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質構築物は、発現カセット中に存在し、それは次いで発現ベクター中に存在する。これらのユニットの各々が、以下に議論される。
【0028】
(発現ベクター)
タンパク質輸送系は、目的のタンパク質の組換え産生を容易にするために、発現ベクターを利用する。代表的には、その発現ベクターは、複製起点ならびにその宿主細胞における発現ベクターの維持を制御および調節する他の構造的特徴を含む。定義により、用語「発現ベクター」とは、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質発現カセットを含む、発現カセットの挿入または組み込みによって操作された、当該分野において公知のプラスミド、ウイルス、または他のビヒクルをいう。発現ベクター系の例として、Galenら、Immun.67:6424−6433(1999)ならびに米国特許出願第09/204,117号、1998年12月2日出願および同第09/453,313号、1999年12月2日出願、(これらは、本明細書中にその全体が、参考として援用される)に記載されるような、プラスミドに、2つの独立したレベルでの安定性を与える発現ベクターが、教示される。
【0029】
(輸送タンパク質−融合タンパク質発現カセット)
本明細書中に記載されるタンパク質輸送系は、輸送タンパク質および目的のタンパク質を含む広範な融合タンパク質を発現および輸送させるために用いられ得る。この目的のタンパク質は、目的の遺伝子でもある、その目的のタンパク質のコード配列によってコードされている。この目的の遺伝子は、タンパク質輸送系を含む細菌に対して異種であり得るか、またはその細菌に対して内因性の遺伝子であり得る。目的のタンパク質は、単一のアミノ酸から輸送タンパク質分子の数倍のサイズのタンパク質の範囲であり得る。さらに好ましくは、目的のタンパク質は、10アミノ酸から輸送タンパク質の2倍のサイズの範囲であり得る。この目的のタンパク質のサイズが、細菌外に完全に輸送される輸送タンパク質の能力を干渉しない程度であることが好ましい。例示的な目的のタンパク質は、質量として0kDaから少なくとも50kDaである。より大きな質量(従って、より長いタンパク質)もまた目的のタンパク質として用いられ得る。例えば、目的のタンパク質は、55kDa、60kDa、65kDa、70kDa、75kDa、80kDa、85kDa、90kDa、95kDa、100kDa、またはそれ以上の質量を有し得る。
【0030】
あるいは、目的のタンパク質は、1〜1000アミノ酸、またはそれ以上からなる。例えば、目的のタンパク質は、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、150、200、250、300、350、400、450、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、またはそれ以上のアミノ酸を有し得る。
【0031】
代表的には、発現される目的の遺伝子は、発現カセット中に存在する。発現カセットは、代表的に、目的の遺伝子を転写させ得るのに適した構造的特徴(例えば、プロモーター、終結因子など)を有する。
【0032】
輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド配列(「輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質コード配列」としても公知)は、発現制御配列に作動可能に連結され得、発現カセットを形成し得る。用語「作動可能に連結された」とは、そのように記載された成分が、それらの意図する様式でそれらを機能させ得る関係にある、近位をいう。コード配列に作動可能に連結された発現制御配列は、そのコード配列の発現が発現制御配列に適合する条件下で達成されるように連結されている。本明細書中に使用される場合、用語「発現制御配列」とは、それが作動可能に連結された核酸配列の発現を調節する核酸配列をいう。発現制御配列が、核酸配列の転写、および(適する場合に)翻訳を制御および調節する場合、その発現制御配列は、核酸配列に作動可能に連結されている。従って、発現制御配列は、適切なプロモーター、転写終結因子、最適化されたリボソーム結合配列、タンパク質コード遺伝子の前の開始コドン(すなわち、ATG)、mRNAの適切な翻訳を可能とするためのこの遺伝子の正しいリーディングフレーム、および終止コドンを含み得る。用語「制御配列」は、その存在が発現に影響し得る成分を最低限含むことが意図され、そしてその存在が有利となる(例えば、リーダー配列)さらなる成分も含み得る。発現制御配列は、プロモーターを含み得る。
【0033】
「プロモーター」とは、転写を指向するのに十分な最小限の配列である。また、本発明中には、細胞型特異性、組織特異性、または外来性のシグナルもしくは薬剤による誘導性について制御可能なプロモーター依存性遺伝子発現を与えるのに十分であるこれらのプロモーターエレメントも含まれ;そのようなエレメントは、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質コード配列の5’領域に配置されても、3’領域に配置されてもよい。構成性プロモーターおよび誘導性プロモーターの両方は、開示された方法に有用である。輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質コード配列の発現は、多くのプロモーターによって推進され得る。輸送タンパク質の内因性プロモーターが、発現カセットの転写調節のために用いられ得るが、好ましくは、このプロモーターは、異種の調節配列である。誘導可能な内因性プロモーターの例は、発現カセットの転写を推進するために用いられ得るompCプロモーターである。
【0034】
本発明において有用なプロモーターは、構成性および誘導性の両方の天然プロモーターおよび操作されたプロモーターである。好ましい誘導性プロモーターは、1)インデューサーの非存在下で低発現を提供し;2)インデューサーの存在下で高発現を提供し;3)宿主細胞の通常の生理を干渉しない誘導機構を用い;そして4)他の遺伝子の発現に対する効果をほとんど有さないか、または全く有さないべきである。誘導性プロモーターの例は、化学的手段によって誘導されるものを含む。当業者は、構成性および誘導性の、他のプロモーターを知っている。
【0035】
選択された特定のプロモーターは、有効量の輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質の産生を生じるのに十分な発現を引き起こし得る。有効量の輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質は、発現の目標に依存して変化し得る。本開示のベクター構築物において用いられたプロモーターは、所望の場合、それらの制御特性に影響するように改変され得る。
【0036】
輸送タンパク質および目的のタンパク質を含む、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質は、さらに、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質の一部として発現されるように発現カセット中に操作された精製タグを含み得る。このタグは、記載の方法によって産生された、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質および/または目的のタンパク質の精製を促進するために選択される。例えば、多数のヒスチジン残基は、タンパク質精製を促進するために、目的のタンパク質のC末端部分またはN末端部分へと操作され得る。タグの導入が、目的のタンパク質の不適切は折りたたみを最小限にすることが好ましい。
【0037】
ポリヒスチジンタグに加えて、タンパク質精製を促進するために用いられ得る多くの他のタンパク質タグが存在する。例えば、マルトース結合タンパク質タグ、c−mycエピトープタグ、緑色蛍光タンパク質タグ、ルシフェラーゼタグ、β−ガラクトシダーゼタグ、ポリヒスチジンタグ、または記載の系に用いられ得る任意の他の適切なタンパク質発現タグのような抗原タグ。
【0038】
輸送タンパク質および目的のタンパク質を含む、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質は、さらに、発現および輸送されたタンパク質の使用を促進するためのさらなる特徴を含む。例えば、プロテアーゼ認識部位は、適用可能な場合に上記のタグを含む、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質の種々の成分の間で操作され得、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質の成分の分離を促進する。例えば、プロテアーゼ認識部位は、発現カセット中の輸送タンパク質の配列と目的のタンパク質の配列との間に導入され得る。また、プロテアーゼ認識部位は、配列カセット中のタグの配列と目的のタンパク質の配列との間に導入され得る。これらのプロテアーゼ認識部位は、目的のタンパク質からの輸送タンパク質の分離を促進する。
【0039】
必要に応じて、選択マーカーが、発現カセットに結合され得る。本明細書中に使用される場合、用語「マーカー」とは、マーカーを含む宿主細胞の選択(またはそれについてのスクリーニング)を可能とする形質または表現型をコードする遺伝子をいう。マーカー遺伝子は、抗生物質耐性遺伝子であり得、それによって適切な抗生物質が、形質転換されていない細胞の中から形質転換宿主細胞について選択するために用いられ得るか、またはマーカー遺伝子は、いくつかの他の薬物耐性遺伝子であり得る。適切な選択マーカーの例としては、アデノシンジアミナーゼ、ジヒドロ葉酸還元酵素、ハイグロマイシン−B−ホスホトランスフェラーゼ、チミジンキナーゼ、キサンチン−グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ、グリホスフェートおよびグルフォシネート耐性ならびにアミノグリコシド3’−O−ホスホトランスフェラーゼII(カナマイシン、ネオマイシン、およびG418耐性)。当業者は、この開示された教示で用いられ得る他の適切なマーカーを知る。
【0040】
発現ベクターの例を、図1に示す。図1Aに、pSEC84発現ベクターを示す。pSEC84ベクターのヌクレオチド配列が、配列番号3に見出され得る。clyA遺伝子によってコードされたClyAのアミノ酸配列が、配列番号2に見出される。
【0041】
図1A〜図1Dに示す各々のベクターは、プロモーター(PampC−E.coli由来の、改変され、浸透圧的に制御されるompCプロモーター)、輸送タンパク質(clyA)、複製起点、転写終止因子(T1)、受動性分割機能(passive partitioning function、par)、カナマイシン耐性(aph)、分離後死滅系(post−segregational killing system、hok−sok)、および活性分割系(parA)を含む。これらのベクター成分が、単に、この開示された系の1つの実施形態の例示であることが注意されるべきである。
【0042】
図1Bは、pSEC84bla発現ベクターを例示する。この発現ベクターは、pSEC84ベクターと同じ特徴を有し、そしてさらに輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質構築物を含む。詳細には、β−ラクタマーゼをコードするbla遺伝子を、親のベクターの第1426位の、Nhe I部位で、pSEC84ベクターにクローニングした。他の融合構築物を、図1C(pSEC84sacB)および図1D(pSEC84gfpuv)に示す。
【0043】
(目的の遺伝子)
本明細書中に開示されるタンパク質輸送系が、目的の種々の遺伝子と共に用いられ得る。1つの実施形態において、目的の遺伝子は、所望のタンパク質をコードする。組換え細菌発現に従う任意のタンパク質が、この開示された輸送系と共に用いられ得る。目的の遺伝子は、例えば、酵素、酵素インヒビター、ホルモン、リンホカイン、プラスミノーゲン活性化因子のような哺乳動物のポリペプチド、または目的の任意の他のタンパク質のような任意のポリペプチドをコードし得る。目的の遺伝子は、目的の、真核生物遺伝子、原核生物遺伝子、植物遺伝子、またはウイルス遺伝子をコードし得る。
【0044】
この開示された系の1つの利点は、宿主細菌に対して毒性のタンパク質を現在発現させ得る方法を提供することである。例えば、特定のタンパク質の組換え発現は、その発現タンパク質が宿主細胞から輸送されない場合、悪化されるか、または不可能である。本明細書に開示される方法を用いて、当業者は、これまで発現不可能または低発現のタンパク質を発現し得、そして使用可能な量の所望のタンパク質を産生し得た。
【0045】
別の実施形態において、目的の遺伝子は、免疫学的抗原コード遺伝子であり、そして目的のタンパク質は、ウイルス性病原体、細菌性病原体、および寄生生物性病原体のような、任意の病原体由来のタンパク質またはその抗原フラグメントであり得る、抗原である。あるいは、目的の遺伝子は、ウイルス性病原体、細菌性病原体、寄生生物性病原体、または目的の別の抗原由来の抗原またはそれらの部分をコードする、組換えDNA法を用いて構築された合成遺伝子であり得る。これらの病原は、ヒト、家畜動物、または野生動物宿主において感染性であり得る。
【0046】
ウイルス病原体が誘導される、特定のウイルス性病原体の例としては、オルトミクソウイルス(例えば、インフルエンザウイルス);レトロウイルス(例えば、ラウス肉腫ウイルス(RSV))およびシミアン免疫欠損ウイルス(SIV)、疱疹ウイルス(例えば、エプスタイン−バーウイルス(EBV)、サイトメガロウイルス(CMV)または単純疱疹ウイルス);レンチウイルス(例えば、ヒト免疫欠損ウイルス);ラブドウイルス(例えば、狂犬病);ピコルナウイルス(例えば、ポリオウイルス);ポックスウイルス(例えば、痘疹);ロタウイルスおよびパルボウイルスが挙げられるが、これらに限定されない。
【0047】
ウイルス性病原体由来の免疫原性抗原の例としては、ヒト免疫欠損ウイルス抗原Nef、p24、gp120、gp41、Tat、Rev、およびPolが挙げられる。抗原のさらなる例としては、T細胞およびB細胞のエピトープであるp120、B型肝炎表面抗原、ロタウイルス抗原(例えば、VP4、VP6、およびVP7)、インフルゼンザウイルス抗原(例えば、ヘマグルチニンまたは核タンパク質)、および単純疱疹ウイルスチミジンキナーゼが挙げられる。これらのウイルス抗原の各々についての核酸配列およびアミノ酸配列は、当該分野において周知であり、そして容易に入手可能である。
【0048】
細菌性病原体(そこから細菌性抗原が、誘導され得る)としては、Mycobacterium種、Helicobacter pylori、Salmonella種、Shigella種、E.coli、Rickettsia種、Listeria種、Legionella pneumoniae、Pseudomonas種、Vibrio種、およびBorellia burgdorferiが挙げられるが、これらに限定されない。
【0049】
細菌性病原体の免疫原性抗原の例としては、Shigella sonnei形態1抗原、V.cholerae Inaba株569BのO抗原、腸毒素産生性E.coliの免疫原性抗原(例えば、CFA/I采状抗原および非耐熱性毒素の非毒性Bサブユニット)、Bordetella pertussisのペルタクチン(pertactin)、B型肝炎のアデニル酸シクラーゼ−溶血素、ならびにClostridium tetaniの破傷風毒素のフラグメントCが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
寄生生物病原体の免疫原性抗原(そこから寄生生物抗原が、誘導され得る)の例としては、Plasmodium種、Trypanosome種、Giardia種、Boophilus種、Babesia種、Entamoeba種、Eimeria種、Leishmania種、Schistosome種、Brugia種、Fascida種、Dirofilaria種、Wuchereria種、およびOnchocerea種が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
寄生生物病原体の免疫原性抗原の例としては、のPlasmodium種の周線虫(circumsporozoite)抗原(例えば、P.bergeriiの周線虫抗原またはP.falciparumの周線虫抗原);Plasmodium種メロゾイド表面抗原;Entamoeba histolyticaのガラクトース特異性レクチン、Leishmania種のgp63、Brugia malayiのパラミオシン、Schistosoma mansonrのトリオースホスフェートイソメラーゼ;Trichostrongylus colubriformisの分泌グロブリン様タンパク質;Frasciola hepatica、Schistosoma bovis、およびS.japonicumのグルタチオン−S−トランスフェラーゼ;ならびにSchistosoma bovisおよびS.japonicumのKLHが挙げられるが、これらに限定されない。
【0052】
別の実施形態において、目的の遺伝子は、治療的薬剤(例えば、腫瘍特異的抗原、移植抗原、または自己免疫抗原、あるいはそれらの部分(これらに限定されない))をコードし得る。あるいは、目的の遺伝子は、例えば、腫瘍特異的抗原、移植抗原、または自己免疫抗原、あるいはそれらの部分をコードする、合成遺伝子をコードし得る。
【0053】
腫瘍特異的抗原の例としては、前立腺特異的抗原(TAG−72およびCEA)、MAGE−1、ならびにチロシナーゼが挙げられる。最近、腫瘍抗原を発現する非悪性細胞による免疫が、ワクチン型の効果を提供し、かつその動物が、同じ抗原を提示する悪性腫瘍細胞を除去する免疫応答をマウントするのを補助することがマウスにおいて示された。
【0054】
移植抗原の例としては、T細胞のCD3レセプターが挙げられる。CD3レセプターに対する抗体を用いた処置が、循環しているT細胞を即時に除去することおよびほとんどの拒絶反応のエピソードを取り消すことが示された。
【0055】
自己免疫抗原の例としては、IAS鎖が挙げられる。IAS鎖由来の18アミノ酸ペプチドを用いたマウスのワクチン接種が、マウスに対する実験的自己免疫脳脊髄炎の防御および処置を提供することを実証した。
【0056】
あるいは、目的の遺伝子は、免疫調節分子をコードし得る。これらの免疫調節分子としては、増殖因子(例えば、M−CSF、GM−CSF)およびサイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、IL−5、IL−6、IL−10、IL−12またはIFN−γ)が挙げられるが、これらに限定されない。最近、腫瘍組織へのサイトカインの局在化送達が、全身性のサイトカイン毒性を産生することなく、潜在的な全身系免疫および増強された腫瘍抗原の提示を刺激することが示された。
【0057】
(安定化されたプラスミドに基づく発現系)
細菌性発現系は、代表的に、意図的に、目的のタンパク質を産生するために細菌性宿主細胞のタンパク質合成機構を利用(harness)および利用(exploit)するために発現ベクターを用いる。タンパク質発現レベルは、しばしば、宿主細胞に伴って、高コピー数のプラスミドまたは高コピー数の発現ベクターを用いることによって増加し得る。しかし、上述のように、細菌性宿主細胞への高コピー数の発現ベクターの導入は、宿主細胞への特定の代謝的ストレスを配置し、そのストレスは、宿主細胞の発現ベクターの排出を引き起こし、それによってタンパク発現レベルを減少させ得る。
【0058】
高コピー数の発現ベクターが導入される宿主細胞の適合性に対してこのベクターが頻繁に与える効果は、発現ベクターの操作においてしばしば見落とされる。多コピープラスミドを保有する宿主細胞に配置された負荷は、代謝的カスケードの蓄積した結果である。このカスケードは、発現ベクターの複製および維持によって引き起こされる(A.Fiechter(編)、Advances in Biochemical Engineering.Biotechnology.Springer−Verlag、Berlin(1993)、p.29−77.中のBailey,J.E.,Host−vector interactions in Escherichia coli、Glick,B.R.、Biotechnol.Adv.13:247−261(1995)、およびSmith & Bidochka.Can.J.Microbiol.44:351−355(1998)を参照のこと)。このカスケードはまた、目的のタンパク質を含む、種々の発現ベクターにコードされる機能の転写および翻訳によっても引き起こされる。上記のような機構は、プラスミド保有細菌が、プラスミドを含まない細菌よりも、より遅く増殖するという観察を説明する。これらの機構はまた、増殖速度が、コピー数が増加するにつれて減少することも説明する。
【0059】
発現ベクターを含む組換え生物の増殖速度が、目的の遺伝子の発現が増加するにつれて、減少することが観察された。増殖の減少は、発現された目的の組換えタンパク質を分解する種々の細胞性プロテアーゼの誘導をひき起こし得る。減少した増殖速度は、従って、代謝的負荷の不可避な結果であり、それらはまた、多くの生理学的摂動の蓄積した結果である。例えば、生理学的摂動は、宿主細菌内部での、目的のタンパク質の発現および蓄積により生じる。この蓄積は、宿主生物の生存力に有害であり得、従って負の選択圧であり得る。
【0060】
上で議論されたような代謝的負荷が、選択の非存在下で存在する発現ベクターの損失に対する選択圧を生じるので、宿主細胞からの発現ベクターの有意な損失が、宿主細胞が目的の遺伝子を含む発現ベクターで形質転換された後に、生じ得る。自発的なプラスミド損失は、宿主細胞から任意の代謝的負荷を取り除き、そしてプラスミドを含まない宿主細胞を、プラスミドを保有する宿主細胞の集団よりも速く増殖させ得る。目的のタンパク質を含まず、従ってその発現をしない宿主細胞の過剰増殖は、全体のタンパク質生成レベルを減少させる。従って、所定の目的のタンパク質の高レベルでの合成を指向する発現ベクターを維持するように遺伝子的に制限されていない宿主細胞は、非常に少ないタンパク質を産生し得る。
【0061】
この代謝的ストレスを減少させ得るような多くの手段が存在する。多コピー発現ベクターからの目的のタンパク質の制御された発現は、宿主細胞中での目的のタンパク質の高レベルの合成のための1つの解決法を表す。この解決法は、開示された方法を実施するために用い得る1つの実施形態である。誘導プロモーターの使用は、例えば、発現ベクター由来の発現を制御し得る、1つの方法である。そのような誘導プロモーターが、本開示の発現カセットの項で議論される。
【0062】
本明細書中に開示される方法の別の実施形態は、増殖した細胞集団にわたる、1つ以上のタンパク質の高レベルでの安定な発現を可能とするように操作されたプラスミドに基づく発現系に関する。好ましくは、安定な発現ベクターは、宿主細胞が複製するのに伴い、発現ベクターを永続させるものである。2つの独立したレベルでプラスミドに安定性を与える発現ベクターが、Galenら、Immun.67:6424−6433(1999)および米国特許出願第09/204,117号、1998年12月2日出願および同第09/453,313号、1999年12月2日出願(これらの両方は、本明細書中に、その全体が参考として援用される)に、最近、記載された。
【0063】
この実施形態において、分割機能が、発現ベクター中に組み込まれ得、所定の細菌または宿主細胞が増殖し、続いて***するのに伴い、そのプラスミド固有の特性を増強させ得る。娘細胞が、発現ベクターの1つの複製も有さないというまれな場合において、潜在的な分離後死滅系が、活性化され、そして細胞溶解を通じて、増殖集団から、この細菌または宿主細胞が取り除かれる。
【0064】
(C.細菌性宿主細胞)
多くの種の細胞が本明細書中に開示される教示による使用に適する。好ましくは、適切な細菌種は、タンパク質輸送を可能とし、その輸送の結果、目的の遺伝子が適切に転写され、その結果、目的のタンパク質が翻訳され、そして細菌の外へ輸送され得る。本発明の1つの実施形態において、細菌が、動物に投与され、次いで、目的のタンパク質が、細菌中から動物中に輸送される。侵襲性細菌および非侵襲性の細菌が、用いられ得る。侵襲性の細菌の例としては、Shigella種、Listeria種、Rickettsia種、および腸侵襲性Escherichia coliが挙げられる。好ましい実施形態は、Salmonella種を用いる。
【0065】
以下の開示に用いられる特定のSalmonella株は、必要不可欠ではない。本発明において用いられ得るSalmonella株の例としては、S.Typhi(ATCC番号7251)およびS.Typhimurium(ATCC番号13311)が挙げられる。好ましくは、弱毒化されたSalmonella株が、本発明において、用いられ、そしてその株は、S.Typhi aroAaroD(Honeら、Vacc.、9:810−816(1991)およびS.Typhimurium aroA 変異体(Mastroeniら、Micro.Pathol.、13:477−491(1992)))を含む。あるいは、新規の弱毒化Salmonella株が、Salmonella種に関する上の記載のように、1つ以上の弱毒化変異体の導入によって構築され得る。
【0066】
(D.バイオリアクター)
本明細書中に記載されたタンパク質輸送系は、細菌の増殖および所望の産生物または目的のタンパク質の収集または使用を促進するバイオリアクターおよび類似のデバイスを伴う使用に適する。古典的には、先行技術のバイオリアクターにによる生物分子の収集には以下の5つの段階が存在する:前処理、固/液分離、濃縮、精製、および処方。各々の段階には利用可能な、広範な操作が存在し得る。各々の段階についてのこれらの範囲の操作は、以下の通りである:前処置:細胞破壊、安定化、滅菌、パストリゼーション、および凝集;固/液分離:ろ過、沈殿、および遠心分離;濃縮:膜、沈降、エバポレーション、抽出、および凍結濃縮;精製:沈降、抽出、ダイアフィルトレーション、吸着、およびクロマトグラフィー;ならびに処方:乾燥、小球化、押出、顆粒化および錠剤化。
【0067】
細菌が所望の生成物を細胞外に輸送しないバイオリアクターにおいては、実施者は、細菌をスケールアップし、細胞を誘導して所望の産生物を産生させ、次いでその細胞を溶解して成分を放出させる必要がある。代表的には、この破壊は、細菌が増殖したのと同じ培地中で実施される。実施者は、ホモジナイザーまたはビーズ粉砕機(bead mill)を用いて細胞を機械的に破壊し得る。非機械的破壊に関して、実施者は、熱ショック(これは、タンパク質を破壊し得る)、界面活性剤、溶媒、壊死剤(sequestrant)、および酵素を用い得る(Krijgsman、“Releases of Intracellular Components”、pp.27−42、in Product Recovery in Bioprocess Technology、編集者Butterworth−Heinemann Ltd、Oxford、England、1992)。
【0068】
細胞が破壊された後、実施者は、流体から固体粒子を分離する(固/液分離)。所望の産生物は、通常液体であり、実施者は、次いで、濃縮をする必要がある。次いで、実施者は、濃縮された液体から所望の産生物を抽出する。
【0069】
所望とされない固体または液体のいずれかからの所望の産生物の分離に影響する因子は、サイズ、拡散係数、イオン電荷、溶解性、および濃度である。サイズ依存分離のために、実施者は、マイクロフィルター、クロスフィルターおよびファイバーフィルター、限外ろ過、スクリーン/ストレナー、ならびにゲルクロマトグラフィーを用い得る。拡散依存分離のために、実施者は逆浸透および透析を用い得る。イオン交換クロマトグラフィーが、イオン電荷依存分離のために用いられ得る。溶解性に基づいて所望の産生物を分離するために、実施者は、溶媒抽出を用い得る。濃度依存分離のために、実施者は、超遠心、遠心分離、および重力沈降を用い得る。(Krijgsman、“Downstream Proscessing in Biotechnology”、pp.2−12、in Product Recovery in Bioprocess Technology、編集者Butterworth−Heinemann Ltd、Oxford、England、1992)
開示された系を用いる1つの利点は、組換え細菌宿主細胞の集団が、開示されたタンパク質輸送系を含む発現ベクターを用いて形質転換され得ること、ならびに細菌宿主細胞の集団が、培養物中で維持されそして使用され、細菌宿主細胞を収集および溶解することを必要とせずに、タンパク質を産生し得ることである。細菌宿主細胞の培養、および組換え発現した目的のタンパク質を含む培養培地の収集が、任意の型のバイオリアクターで実施され得る。
【0070】
種々の型のバイオリアクターが存在するが、そのデバイスのファミリーは、2つの主なカテゴリー(「フリーフロート」バイオリアクターおよび「ベッド」バイオリアクター)に分類される。「フリーフロート」バイオリアクターにおいては、細菌は、培体中で自由に移動する。「フリーフロート」バイオリアクターの例は、古典的な撹拌槽バイオリアクター、バブルカラム、エアリフト型ループ、多目的タワーバイオリアクター、侵液体(liquid impelled)ループバイオリアクター、およびポンプ型タワーループバイオリアクターがある。「ベッド」型バイオリアクターの例は、充填ベッドバイオリアクターである。「ベッド」型バイオリアクターにおいては、細菌が、ビーズ、膜、または固体の担体に固定される。ハイブリッド型のバイオリアクターが、流動層バイオリアクターを用いて生成され得、このリアクターにおいて、細菌が、培地中を移動し得るビーズまたは他の担体に付着しているが移動可能である(Mijnbeek、“The Conventional Stirrer Tank Reactor”pp.39−74;Mijnbeek、“Bubble Column、Airlift Reactors、and Other Reactor Designs”pp.75−114;Geraats、“An Introduction to Immobilized Systems”pp115−124;全て“Operational Modes of Bioreactors”中(出版者Butterworth−Heinemann Ltd、Oxford、England、1992))。
【0071】
所望の目的のタンパク質が、細胞から培地中へと輸送されるので、本明細書中に記載された、「ベッド」バイオリアクターを用いるタンパク質輸送系は、前処理および固/液分離を回避する。実施者は、所望の産生物の単離を試みる前に、層から培地を取り除くだけでよい。「フリーフロート」バイオリアクターについて、実施者は、液体/細菌混合物を遠心分離して、細菌をペレット化し得る。次いで、実施者は、ペレット化した細菌から、所望の目的のタンパク質を取り除くことが出来る。次に、実施者は、培地から、所望の目的のタンパク質を単離する。開示された系のさらなる利益は、その培地が、細胞が破壊された培地中に存在するよりも、より少ない、所望でないタンパク質を含むことである;破壊された全ての細胞内成分は、本発明中の培地中には全く存在しない。従って、所望の目的のタンパク質の精製は、より容易である。さらにまた、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質中にタグおよびプロテアーゼ切断部位を有することにより、目的のタンパク質の単離および精製をさらに容易となる。
【0072】
バイオリアクターの1つの例は、Lommiら(1997年6月3日)に対する米国特許第5,635,368号“Bioreactor with immobilized lactic acid bacteria and the use thereof”(これは、本明細書中に、その全体が参考として援用される)において教示される装置である。Lommiの装置は、細菌が実質的に非圧縮性の担体の表面に固定されることで特徴付けられる、固定化された細菌を備えるバイオリアクターに関する。バイオリアクターの別の例は、Changら(1990年3月20日)に対する、米国特許第4,910,139号、“Method for continuously producing citric acid by dual hollow fiber membrane bioreactor”(これは、本明細書中に、その全体が参考として援用される)に見出される。本発明は、固定化された細菌を増殖し、連続的にクエン酸を産生することに関する。
【0073】
さらなるバイオリアクター装置が、Plittらに対する米国特許第5,585,266号「Immobilized cell bioreactor」(1996年12月17日)(これは、本明細書中に、その全体が参考として援用される)中に開示される。開示されるPlittのデバイスは、細胞が、共通の繊維織物からなる細胞支持シートを含む固定化マトリックス内にか、またはその上に収容される、固定化細胞バイオリアクターに関する。米国特許第4,665,027号および同第5,512,480号(それらの両方は、本明細書中に、その全体が参考として援用される)は、他のバイオリアクター実施形態を開示する。
【0074】
(E.ワクチン)
本明細書中に記載されるタンパク質輸送系は、ワクチン産生において有用性を有する。例えば、サブユニットワクチンの産生は、その系が、組換えタンパク質収集を容易にし、かつ組換え宿主細胞が増殖する増殖培地由来の混入タンパク質の存在を減少させるような、タンパク質輸送系を用いて達成され得る。組換え宿主細胞はまた、免疫原性組成物を産生するためにも用いられ得、ここで、その組換え宿主細胞は、被験体に提供され、そして被験体の免疫系は、組換え宿主細胞から輸送されたタンパク質に対する免疫応答を生成する。
【0075】
本明細書中に記載されるタンパク質輸送系は、任意の抗原を用いて使用され得、それらに由来するワクチンを調製し得、この抗原は、上記の目的のタンパク質である。ワクチン調製は、一般的に、New Trends and Developments in Vaccines 、Vollerら編、University Park Press、Baltimore、Md.U.S.A.1978に記載される。リポソーム中へのカプセル化は、例えば、Fullerton 米国特許第4,235,877号によって記載される。高分子へのタンパク質の結合体化は、例えば、Likhite、米国特許第4,372,945号およびArmorら、同第4,474,757号によって開示される。
【0076】
各々のワクチン用量における抗原の量は、代表的なワクチンにおける有意で有害な副作用を伴うことなく、免疫保護応答を誘導する量として、選択される。そのような量は、どの特異的抗原が用いられるか、およびどの送達技術(単なる例としては、精製されたタンパク質または生きた細菌)が用いられるかに依存して変化する。一般的に、精製したタンパク質を含む用量は、1〜1000μg(好ましくは、2〜200μg)の総抗原を含むことが予想される。一般的に、目的のタンパク質を送達する生きた細菌を含む用量は、1〜1000μgの目的の総抗原を含むことが期待される。特定のワクチンのための最適量は、被験体おける抗体力価および他の応答の観察を含む、標準的な研究によって確認され得る。最初のワクチン接種の後、被験体(動物またはヒト)は、例えば、1ヶ月後および6ヶ月後に、1回以上の追加免疫(booster)用量を受け得る。
【0077】
タンパク質輸送系はまた、調製物の効力を高めるために、生きた細菌のベクターワクチンと共に用いられ得る。例えば、「Avirulent microbes and uses therefor:Salmonella typhi」との発明の名称のCurtissらに対する米国特許第5,387,744号(これは、本明細書中に参考として援用される)は、S.Typhiに対する生きた細菌のベクターワクチンを提供する。さらに詳細には、Curtissの特許は、S.Typhiの無毒性誘導体を含む脊椎動物または非脊椎動物の免疫のための免疫原性組成物を提供する。これらの誘導体は、cya遺伝子および/またはcrp遺伝子および/またはcdt遺伝子の変異を有する。
【0078】
Curtissらによって教示された無毒性誘導体を、本明細書中に記載されたタンパク質輸送系で形質転換して、得られる組換え生物を、S.Typhiに対する免疫原性組成物、およびその記載された系のタンパク質輸送タンパク質に結合された他の任意の抗原(単数または複数)として作用させ得る。
【0079】
(F.さらなる有用性)
薬学的産業に有用である治療的タンパク質および抗原に加えて、目的の遺伝子は、単なる例として、食品産業、栄養補助剤産業、動物飼料産業、バイオメディエーション(biomediation)産業、廃棄物廃棄産業、廃棄物処理産業におそらく有用である、酵素、ポリペプチド、タンパク質、またはアミノ酸をコードし得る。これらの産業に関して、目的の遺伝子によってコードされた目的のタンパク質は、目的のタンパク質にその機能を作用させるために、バイオリアクターの培地から単離されることを、必要としなくてもよい。目的のタンパク質は、所望の反応のための触媒であり得るか、または所望の反応の前駆体成分として作用し得る。
【0080】
以下の実施例は、例示のみのために提供され、決して本発明の範囲を限定することが意図されない。
【0081】
(実施例)
(実施例1)
(S.Typhi clyAのクローニングおよび変異誘発)
clyAの同定を、E.coli hlyE由来DNA配列(GenBank登録番号U57430)を用いてSanger Centre(Wellcome Trust Genome Campus、Hinxton、Cambridge、CB 10 1SA、UK)(http://www.sanger.ac.uk/Projects/S_typhi/blast_server.shtmlを参照のこと)より入手可能な、最近完了されたS.Typhiゲノム配列のBLASTN分析によって行った。
【0082】
このclyAオープンリーディングフレームを、E.coli HlyEに89.4%同一である33.8kDaの分子量を有する304残基タンパク質をコードすると予想される、912bpの配列として同定した。clyAは、915bpのE.coli hlyEオープンリーディングフレームに85.3%同一であるが、上流の転写制御領域は、関連性が低く、その塩基は、250bpの領域内で33.6%のみが同一である。
【0083】
この分析に基づき、プライマーを、最適化されたリボソーム結合部位が、ATG開始コドンの5’近位に操作された、プロモーターを含まないClyAをコードする遺伝子カセットのPCR増幅のために設計した。このプライマー配列を、表1に列挙する。
【0084】
(表1)
(プラスミドカセットの構築および配列分析に用いられるプライマー)
【0085】
【表1】
Figure 2004532634
適切な制限部位を、下線を付した太字で示す;リボソーム結合部位および開始コドンをイタリック体で示す。
【0086】
回収を容易にするために、オーバーラップPCR(overlapping PCR)技術を用いて、プライマーを含まない2252塩基対clyA−tetA遺伝子カセットを作製した。これは、CVD 908−htrA由来の染色体テンプレートDNAと共にプライマー1およびプライマー2を用い、かつpBR322由来テンプレートと共にプライマー3およびプライマー4を用いて、先に記載したようなオーバーラップPCR技術によって合成し、そしてE.coli DH5へと形質転換されたpGEM−T(Promega、Madison WI)中で回収した。
【0087】
組換えクローンを、ヒツジ赤血球を含む固体寒天培地上でスクリーニングした。詳細には、溶血素活性についてのスクリーニングを、適切な抗生物質選択物および5%のヒツジ血漿を含む、新しく調製した1×LB寒天培地上で実施した。次いで、プレートを、37℃で、24時間インキュベートし、赤血球(RBC)溶血のゾーンを検出した。複数のコロニーを、どれが溶血素の明確なハロ(halo)を産生するか即座に同定した。この観察は、clyAが、細菌外への移動に補助タンパク質を必要とする場合、これらのタンパク質が、S.TyphiおよびE.coliの両方について明らかに共通することを示唆した。陽性の単離体(pGEM−TclyAと名付けた)を、さらなる使用のために選択した。
【0088】
ClyAの種々の領域の機能的役割を、ClyAに融合された抗原をコードする組換え融合タンパク質の適切な操作についての情報を提供するために試験した。詳細には、細菌外への溶血素の輸送におけるアミノ末端、カルボキシル末端、またはその両方によって果たされる役割を、試験した。
【0089】
これを果たすために、トランスポゾンTnphoAを用いて、clyAをランダムに変異させた。この「TnphoA」の「phoA」は、アルカリホスファターゼをコードする(ManoilおよびBechwith、PNAS Vol82、pp 8129−8133、1985を参照のこと)。TnphoAのトランスポゾンは、所定の標的タンパク質上に、PhoAのN末端のインフレーム融合物のランダムな形成を可能とする。TnphoA変異誘発を、DH5への機能的S.Typhi ClyA溶血素を発現する、pGEM−TclyAのエレクトロポレーションを行ってDH5(pGEM−TclyA)を生成した後に、実施した。次いで、交差画線接合(cross streak mating)を、DH5(pGEM−TclyA)およびTnphoAのドナー株SM10(pRT733)の間で実施し、そしてテトラシクリン、カルベニシリン、およびカナマイシンを各々10g/ml、50g/ml、および10g/ml補充した2×LB50(2×LB50+T10C50K10)上でトランス接合体(transconjugant)選択をした。次いで、細菌を、プラスミド精製のためにブロス(broth)培養中にプールし、そして増殖させ、そして精製したプラスミドを、200g/mlのアルカリホスファターゼ基質5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−ホスフェート(BCIP;Sigma、St.Louis、MO)を補充した2×LB50+T10C50K10上でのPho形質転換株の選択のために、phoA 20変異体E.coli株CC118へと再び形質転換した。ペリプラズムへとN末端が分泌されるか、表面に露出されるか、または全体が細胞外に輸送される、標的のタンパク質融合物を、色素生産性基質BCIPを用いて加水分解の濃青色のハロを検出することによって、容易にスクリーニングし得る;C末端が分泌されるタンパク質は、この方法を用いて検出されない。
【0090】
TnphoA変異誘発を用いて、もはや溶血活性を示さない621個のPhoAコロニーのうち4つのコロニーを同定した。1つの単離物の配列決定によって、ClyAの残基179(Ala)の後のインフレームでのPhoAの挿入を確認した。この挿入は、提唱された疎水膜貫通領域でClyAを切断し、そして残った125カルボキシル末端残基を除去する。従って、S.Typhi ClyAのカルボキシル末端が、E.coliの細胞質の輸送に(およびおそらくS.Typhi由来の輸送にも)必要とされないこと、および輸送されるタンパク質融合物を潜在的にコードする異種遺伝子の遺伝的融合が、clyAの3’末端で実施されるであろうことを結論付けた。
【0091】
(実施例2)
(ClyAに対する試験抗原のカルボキシル末端融合物の構築)
ClyAのカルボキシル末端で融合されたパッセンジャータンパク質を輸送する能力を試験するために、アンピシリンおよびカルベニシリンの両方に対する耐性を与えるRTEM−1−ラクタマーゼタンパク質をコードするbla遺伝子を、実験に選択した。
【0092】
このタンパク質融合物を、pSEC84のclyA 3’末端のタンデム終止コドン隣接するNheI部位へとインフレームで挿入されたSpeIカセットの遺伝子融合物として操作した。最初に、23残基のシグナル配列を有さない、成熟268アミノ酸−ラクタマーゼをコードする807bpのSpeI−NheIフラグメントを、PCRによってpBR322誘導体から合成した。次いで、精製したフラグメントを、clyAの操作されたカルボキシル末端のNheI部位へとインフレームで挿入し、推定62.9kDaの融合タンパク質をコードする1742bpのclyA−bla遺伝子融合物を作製した。所望のプラスミド構築物は、5μg/mlのカルベニシリンの存在下で増殖した培養物由来の単離されたコロニー中に容易に回収されたが、50μg/mlのカルベニシリンを用いた選択後に回収したプラスミドは、不安定かつ遺伝子的に再構成されているようであった。
【0093】
(bla−tetA融合物)
上記のclyA−bla構築物のプラスミド安定性および遺伝子再構成に関する問題に起因して、bla−tetA融合物を、pGEM−Tテンプレートと共にプライマー5およびプライマー6を用い、かつpBR322由来テンプレートと共にプライマー7およびプライマー4を用いるオーバーラップPCRによって2111bpのSpelカセットとして合成した;NheI部位で切断されたpSEC84へのこのカセットの挿入により、pSEC84bla(図1Bを参照のこと)を得た。
【0094】
CVD908−htrAの導入の後、コロニーを、溶血素活性の保持についてスクリーニングし、次いで、2×LA50+DHB+T10中の100g/mlの濃度の色素生産性基質ニトロセフィン(nitrocefin)を用いて、−ラクタマーゼ活性についてスクリーニングし;プレートを、30℃で、少なくとも16時間インキュベートし、そしてニトロセフィンの切断を示すコロニー周辺の赤色ハロの存在について試験した。赤色ハロが、CVD 908−htrA(pSEC84bla)周辺で観察され、これは、ニトロセフィンの切断を示し、酵素的に活性な−ラクタマーゼの存在を確認した。34kDaから63kDaへのClyAの分子量のおよその倍加は、両方のドメインが、明らかに、各々のドメインの予想される生物学的活性を維持するように正しく折りたたまれた、2ドメインの融合タンパク質を生じることが結論づけられた。
【0095】
(sacB−tetA融合物)
S.Typhiの外に異種抗原を輸送するための融合パートナーとしてのClyAの多能性を調査するために、ClyAが、Bacillus subtilis由来のsacBによってコードされた、潜在的に致死性のレバンスクラーゼを輸送する効率を検査した。スクロースの存在下で増殖する腸内細菌(S.Typhiを含む)の細胞質内で発現された場合、sacB遺伝子の発現は、致死的である。CVD 908−htrAへの導入のための、83.9kDaの予測された分子量を有するClyA−SacBタンパク質融合物の構築を試みた。この融合物を、29アミノ酸シグナル配列を有さない、成熟445残基50.0kDaレバンスクラーゼをコードするsacB−tetA SpeIカセットとして操作し、そしてpSEC84中のClyAの操作されたカルボキシル末端NheI部位へとインフレームで挿入した。所望の構築物を保有するCVD 908−htrAを、テトラシクリンを用いて選択し、そしてスクロースの存在下で生存についてスクリーニングした。ClyA−SacBが、細胞質外に輸送されなかった場合、単離物は、全く回収されないが、表面で発現されるか、または細胞から周辺の培地中に十分に輸送されるかのいずれかの融合物に関しては、酵素的に活性なSacB部分は、スクロースを切断してグルコースを放出し、そのグルコースが直ちに細菌内に輸送されそして代謝されることが、予想される。
【0096】
sacB−tetAカセットを、pIB279テンプレートと共にプライマー8およびプライマー9ならびに上記のようにプライマー10およびプライマー4を用いて合成して、2653bp SpeIカセットを産生し、これを、pSEC84へと挿入してpSEC84sacBのclyA::sacB融合物を産生した(図1Cを参照のこと)。CVD908−htrAへの導入の後、コロニーを再び、溶血素活性の保持についてスクリーニングし、次いで、DHBならびに唯一の糖質源としてスクロース(8%もしくは16% w/v)または8%スクロースおよび8%アラビノースのいずれかを補充したMacConkey寒天基礎培地(Difco)上の平板培養によって、レバンスクラーゼ活性について試験した。プレートを、30℃で、16〜24時間インキュベートし、単離されたcfusを回収し、その糖質の発酵を決定し;室温でのさらに数日間のさらなるインキュベーションを、コロニー上の多糖様のドームの形成を観察するために必要とした。
【0097】
図2Bおよび図2Dに示すように、唯一の炭化水素源として8%スクロースまたは16%スクロースのいずれかを含む指示培地上で増殖する場合(ここで、MacConkey寒天基礎培地上で増殖した)、CVD 908−htrA(pSEC84sacB)の増殖は、良好であった。実際、CVD 908−htrAについては観察されなかった多糖様のドームが、単離したCVD 908−htrA(pSEC84sacB)コロニー上に形成するのが観察され(図2Aおよび図2C)、そしてその多糖様ドームは、スクロースの濃度が増加するにつれて強められた。この多糖様物質が、スクロースの加水分離によって遊離したフルクトースのレバンスクラーゼ触媒性重合によって形成されたレバンであると仮定して、本発明者らは、レバンスクラーゼを阻害することが公知である8% L−アラビノースの導入によって、この重合をブロックすることを試みた。図2Fに示すように、ドームは、もはや観測されず、CVD 908−htrAおよびCVD 908−htrA(pSEC84sacB)のコロニーは、その時同様に見えた。
【0098】
ClyA−SacBタンパク質融合物が、実際に、CVD 908−htrA(pSEC84sacB)の外に輸送される場合、遊離のグルコースを遊離するためのSacBドメインによるスクロースの切断は、これらの株が、スクロースの存在下でブロス培養物として増殖する場合に、CVD 908−htrAと比較して、代謝的な利点を提供するはずである。この加水分解を検査するために、CVD 908−htrA(pSEC84)またはCVD 908−htrA(pSEC84sacB)のいずれかの100mlのブロス培養物を、10%スクロースを添加した2×LB50+DHB+K10を含む、1lのバッフルフラスコ中に設定し、そして増殖を、10%グルコースの存在下で増殖した陽性コントロールとしてのCVD 908−htrA(pSEC84)培養物と比較した。図3に示すように、スクロースの存在下でのCVD 908−htrA(pSEC84sacB)が、グルコースまたはスクロースのいずれかを用いて増殖したCVD 908−htrA(pSEC84)よりも速く増殖することを観察した。観察を、生存数によって確認した。ClyA−Blaについて上記の観察された結果と組みあわせた場合、このデータは、ClyAが、融合ドメインの生物学的活性が保存される適切に折りたたまれた細菌融合タンパク質の細胞外への輸送のための、用途の広い融合パートナーであることを強く示唆する。
【0099】
(clyA::gfpuv融合)
ClyAの輸送特性をさらに定義するためおよび対数増殖中のCVD 908−htrAの上清中のClyA融合産生物の存在を詳細に証明するために、clyAの遺伝子的融合物を、構築した。この融合物において、clyAを、蛍光レポーター緑色蛍光タンパク質(GFPuv)に融合して、pSEC84gfpuvのclyA::gfpuvカセット(図1Dを参照のこと)を作製した。このclyAは、pSEC84blaおよびpSEC84sacBの両方について同系であった。さらに、CVD 908−htrA(pSEC84gfpuv)は、溶血性を維持したが、細胞質に発現したGFPuvと比較した場合、蛍光が減少した。GFPポリクローナル抗体(BD Bioscience Clonetech、Palo Alto、CA)を用いて、培養物上清へのClyA−GFPuvの輸送を、図4に示すようなウエスタンイムノブロット分析を用いて検査した。図4は、CVD 908−htrA(レーン1〜3)またはCVD 908−htrA(pSEC84gfpuv)(レーン4〜8)のいずれか由来の細菌細胞画分を分析する、1セットのウエスタンイムノブロットを例示する。細胞の画分を、以下のようにローディングした:上清、レーン1およびレーン4;細胞質画分、レーン2およレーン6;ペリプラズム画分、レーン5;不溶性画分、レーン7;細胞全体画分、レーン3およびレーン8;ならびに50ng GFPuv、レーン9。同一のサンプルを有するメンブランを、GFPuv特異的抗体(パネルA)またはE.coli GroEL特異的抗体(パネルB)でプロービングした。この図において観察され得るように、有意な量の推定61kDaタンパク質融合物が、CVD 908−htrA(pSEC84gfpuv)由来の0.5mlのTCA沈降した上清(レーン4)中に検出され;約45kDaの無関係な相互作用種もまた、CVD 908−htrAの細胞質(レーン2)中ならびにCVD 908−htrA(pSEC84gfpuv)の細胞質画分、不溶性画分、および細胞全体画分において検出され;興味深いことに、レーン5は、非常に少ないCLyA−GFPuvが、ペリプラズム空間より回収されることを示唆する。
【0100】
(結論)
本研究の結果は、S.Typhi由来の潜在性溶血素ClyAを用いて、弱毒化ワクチン株CVD 908−htrAから周辺の培地への異種抗原ドメインの輸送を促進させ得るという結論を明白に支持する。さらに、本研究は、ClyAを用いて、細菌から周辺の培地への融合タンパク質の輸送を促進させ得ることを実証する。上に例示されるように、ClyAのカルボキシル末端に融合された適切に折りたたまれた目的のタンパク質を輸送する能力が、アンピシリンおよびカルベニシリンの両方に対する耐性を与えるRTEM−1−ラクタマーゼタンパク質をコードするbla遺伝子を用いて示された。pBR322のbla遺伝子は、861bp長であり、かつペリプラズム空間へのラクタマーゼのN末端分泌を指向する23アミノ酸シグナル配列を有する31.5kDaのタンパク質をコードする。上記の研究は、機能的ClyA− −ラクタマーゼタンパク質融合物をコードする遺伝子融合物の好首尾な操作を示し、このタンパク質融合物は、溶血活性および色素原性−ラクタマーゼ基質ニトロセフィンを切断して、切断されていないニトロセフィンの黄色の背景に対して赤色環を産生する能力の両方を保持した。
【0101】
興味深いことに、50g/mlのカルベニシリンまたはアンピシリンのいずれかを補充した栄養豊富な培地中で形質転換株を増殖させている場合、そのような発現ベクターについて選択するための試みは、成功せず、そして大幅に再構成したプラスミドのみが、制限マッピングによって判断した場合に回収された。細胞質で発現した−ラクタマーゼが、約5g/mlのアンピシリンに対する耐性を与えながら、一方で適切に発現したペリプラズムのβ−ラクタマーゼが、4000g/mlを超えるアンピシリンに対する耐性を与えることが、結局、実証された。しかし、−ラクタマーゼタンパク質融合物の表面ディスプレイが、約100g/mlのアンピシリンに対する耐性を与えることが示された。実際、Chervauxらは、E.coliからのβ−ラクタマーゼ融合物のHlyA媒介分泌は、約5μg/mlのアンピシリンに対する低レベルの耐性を再び与えることを報告している。彼らは、融合物表面のインタクトの−ラクタマーゼドメインの比活性が、改変されていないβ−ラクタマーゼの比活性と同様であるままであったけれども、高レベルのアンピシリンに対する耐性が観察されなかったことを実証し、そして彼らは、β−ラクタム抗生物質に対する細菌の耐性が、死滅させる標的に近いペリプラズム空間内のβ−ラクタマーゼの十分な濃度を必要とすると結論付けた。そのような観察に基づき、適切に折りたたまれたClyA−β−ラクタマーゼタンパク質融合物が、CVD 908−htrA(pSEC84bla)内で合成され、そして輸送されて、アンピシリンまたはカルベニシリンに対する耐性を与えることなく、溶血性表現型、および色素原性セファロスポリンニトロセフィンのβ−ラクタマーゼ媒介加水分解を与えると結論付けられた。
【0102】
CVD 908−htrAからの異種抗原ドメインのClyA媒介輸送の性質をさらに明白に規定するためおよび恐らくペリプラズム性中間体の関与を除外するために、B.subtilis由来の潜在的に致命的なレバンスクラーゼをコードする、sacBの融合物を、研究した。レバンスクラーゼは、スクロースの加水分解を触媒して遊離のグルコースおよびフルクトースを産生し、次いでフルクトースの、レバンと呼ばれる長鎖ポリマーへの重合を触媒する、50kDAの単一ポリペプチドの外酵素である。スクロースを含む培地で増殖したB.subtilis由来のレバンスクラーゼの分泌は、室温での長期インキュベーションの後で、粘性レバンの印象的なドームによって覆われた単離されたコロニーの増殖を生じる。
【0103】
sacBによってコードされたレバンスクラーゼの細胞質およびぺリプラズムでの発現が、スクロースの存在下で増殖する種々の細菌にとって致命的であることは、十分に確立されている。レバンスクラーゼが、スクロース存在下で増殖したB.subtilisの細胞質内で致命的となること、およびフルクトースポリメラーゼ活性の不活性化が、スクロース誘導性の致死の回避に必須であることが、シグナルペプチド変異体を用いて最近示された。従って、CVD 908−htrAの細胞質空間およびペリプラズム空間の両方からのClyA−SacB融合物の輸送の失敗が、融合タンパク質の顕著な細胞内蓄積を生じ、その蓄積が、スクロース存在下で増殖するCVD 908−htrA(pSEC84sacB)に対する致死を生じるべきであることが、結論付けられた。
【0104】
しかし、図2Bに示すように、CVD 908−htrA(pSEC84sacB)が、8%スクロースの存在下で増殖するだけでなく、その糖を発酵することが観察され、同一条件下で増殖するCVD 908−htrA(pSEC84)についての表現型が観察されなかった。スクロースの濃度を、8%から16%スクロースへと増加するにつれて、スクロースの発酵もまた、レバン様物質の印象的なドームの蓄積を伴って増加し、そのドームは、レバンスクラーゼインヒビターアラビノースの存在下で消失した。レバンスクラーゼ活性の類似の観察が、Pseudomonas syringaeの氷核形成(ice nucleation)タンパク質のカルボキシル末端に融合されそしてE.coli内に発現された、表面発現レバンスクラーゼドメインに関して、Jungらによって報告された。これらの結果を考慮して、ブロス培養実験(ここで、CVD 908−htrA(pSEC84sacB)が、スクロースまたは純粋なグルコースの存在下のいずれかで増殖したCVD 908−htrA(pSEC84)より速く増殖することが観察された)において、操作したCVD 908−htrA(pSEC84sacB)は炭素原としてスクロースを利用する能力を有することが、結論付けられた。上記のClyA−β−ラクタマーゼタンパク質融合物を用いる場合に、適切に折りたたまれたClyA−SacBタンパク質融合物が、CVD 908−htrA内で合成され、そして輸送されて、予想される溶血性表現型、およびプラスミドを含まない宿主株によって用いられない代替の炭化水素源の細胞外異化を可能とするレバンスクラーゼ活性の両方を与えることが、再び結論付けられた。
【0105】
(実施例3)
(ClyA−SacB融合物のバイオリアクタータンパク質の発現)
バイオリアクターを、米国特許第5,635,368号(これは、本明細書中に、その全体が参考として援用される)の教示に従い調製する。簡単には、顆粒状に誘導したセルロースを、米国特許第4,335,117号に従い、以下のように製造する:25パーツの繊維状セルロースを、25パーツの二酸化チタンと混合し、そしてその混合物を、ツインスクリューエクストルーダー(twin−screw extruder)を用いて50パーツの高衝撃(high−impact)ポリスチレンとともに混合する。この押出し形成物を水冷し、そして0.35〜0.85mmの粒径にふるいをかける。ふるいをかけた顆粒状集塊化セルロース粒子を誘導して、上記米国特許に記載のようなDEAEセルロースを形成する。
【0106】
次に、10(10)gの顆粒状DEAEセルロースを蒸留水中のスラリーに薄め、そして時折撹拌しながら5時間浸す。次いで、この水和したキャリアを、蒸留水でデカンテーションし、そして内径15mmのガラスカラム中に移し、これは、ここで、145mmの高さを有する層を形成する。
【0107】
pSEC84sacBで形質転換した細菌(実施例2を参照のこと)を、30℃で48時間培養する。50(50)mlの細胞懸濁液を、25ml/時間の流速で、キャリア層を通してポンピングする。続いて、さらなる量の培養培地を、キャリア層を通してポンピングする。このカラムの流出を収集し、そして組換え発現したClyA−SacB融合タンパク質(配列番号19によってコードされる)を、流出から単離および精製する。SacBの切断によって、レバン生成のために豊富な商業的な量のレバンスクラーゼを提供し得る。
【0108】
(実施例4)
(変性条件下でのHisタグタンパク質精製)
細菌培養物を、ポリヒスチジンタグコード配列に融合される、プロテアーゼ認識部位をコードするコード配列に融合される、sacB遺伝子に融合した弱毒化ClyAタンパク質についてのコード配列を含む発現カセットを含有する発現ベクターを用いて形質転換する。この細菌培養物を、実施例3に記載するように、バイオリアクターへと移す。
【0109】
この培養物を、培養培地中に輸送される組換え融合タンパク質の発現を促進する条件下に置く。この培養培地を収集し、そしてタンパク質を変性するのに十分に高い濃度での尿素含有緩衝液で平衡化したNiカラム(HISTRAP;Pharmacia)にアプライする。次いで、カラムを、洗浄および溶出する。溶出物を、ゲル電気泳動によって分析して、精製したタンパク質の存在を決定する。
【0110】
精製したタンパク質を含有する画分を、酵素消化緩衝液に対して透析する。次いで透析したサンプルをプールし、そして適切な酵素により触媒されるタンパク質溶解に供する。タンパク質溶解されたサンプルを、精製して、削除されたポリヒスチジンタグを排除し、単離、精製されたタンパク質を残す。
【0111】
(実施例5)
(Frag Cを発現する無毒化CVD 908−htrAの構築およびそれに応答する免疫応答の惹起)
ClyA−Frag C融合タンパク質を、実施例1で議論した工程に従って、CVD 908−htrA中で産生する。本発明者らの試みは、本明細書中に開示される発現ベクターから発現される、ClyAへと挿入された破傷風毒素のフラグメントCをコードする、コドン最適化されたtoxCオープンリーディングフレームを発現させることである。フラグメントCの輸送を、clyAの3’末端へのtoxCのインフレームでの遺伝子融合を介して達成し、そして1426bpPampC−clyA EcoRI−NheIカセットとしてoriE1レプリコンpSEC84に保有させる。toxCコードフラグメントCを、従来の技術の構築物から順方向プライマー
【0112】
【化1】
Figure 2004532634
(配列番号15)
および逆方向プライマー
【0113】
【化2】
Figure 2004532634
(配列番号16)
を用いて再操作し、所望のPCR産物(1424bp)を産生する。次いで、このtoxCカセットを、NheIで消化したpSEC84へとサブクローニングしてpSEC84toxCを構築する。意図するclyA−toxC融合結合部のDNA配列を、clyAの3’末端の操作されたNheI部位の172塩基上流にハイブリダイズする配列決定プライマー5’−CGATGCGGCAAAATTGAAATTAGCCACTGA−3’(配列番号17)を用いて確認する。構築物を、溶血活性の保持についてスクリーニングし、そしてウエスタンイムノブロット分析によって、上清へのClyA−Frag Cの輸送を確認する。
【0114】
10匹の6週齢のBalb/cマウスの群を、ClyA−Frag C融合タンパク質を発現する1.0×1010cfuのCVD 908−htrA株で、鼻腔内的に免疫する。マウスから、それらの免疫の前および30日後に採血し、そして血清を、使用するまで−20℃で保存する。血清中に存在する、ClyAおよびFrag C抗原に対する抗体を、ELISAによって決定する。結果は、ClyA−Frag C融合タンパク質を発現するCVD 908−htrA株での免疫が、ClyA−Frag C融合タンパク質を発現しない908−htrA株で得られるものよりも有意により高い、Frag C抗原に対する抗体レベルを誘発することを示す。この結果は、ClyAを有する融合タンパク質としてのFrag C抗原の発現が、この抗原に対する免疫応答を増強することを実証する。破傷風毒素に対する保護免疫は、別な方法では致死用量の天然の破傷風毒素を用いて免疫したマウスをチャレンジすることによって確認される。
【0115】
上記の開示が、詳細にかつ本発明の特定の実施形態に関連して本発明を記載するが、種々の変化および改変が、本発明の精神および範囲から逸脱することなく本明細書中でなされ得ることは、当業者に明らかである。
【0116】
【表2】
Figure 2004532634
Figure 2004532634
Figure 2004532634
Figure 2004532634

【図面の簡単な説明】
【図1】
図1は、本発明の発現ベクターの例を提供する。図1Aは、pSEC84発現ベクターを例示する。図1Bは、pSEC84bla発現ベクターを例示する。図1Cは、pSEC84sacBを例示する。図1Dは、pSEC84gfpuvを例示する。
【図2】
図2は、固体増殖培地中のスクロースの代謝を生じるClyA−SacBタンパク質融合物の輸送を例示する。これらの株を、8%スクロース(2Aおよび2B)、16%スクロース(2Cおよび2D)、または8%スクロースおよび8%L−アラビノース(2Eおよび2F)のいずれかを含む培地上で増殖させた。図2A、図2C、および図2Eは、ClyAを発現するCVD 908−htrAの増殖を示す。図2B、図2D、および図2Fは、ClyA−SacBを発現するCVD 908−htrAの増殖を示す。
【図3】
図3は、DHBおよび10%スクロースまたは10%グルコースのいずれかを補充した2×LB50ブロス中で増殖させた、ClyA(pSEC84)またはClyA−SacB(pSEC84SacB)のいずれかを発現するCVD 908−htrAの増殖を例示する。
【図4】
図4は、CVD 908−htrA(1〜3レーン)またはCVD 908−htrA(pSEC84gfpuv)(4〜8レーン)のいずれかからの細菌細胞画分のウエスタンイムノブロット分析を例示する。細胞画分を以下のようにロードした:上清(1および4レーン);細胞質(2および6レーン);ペリプラズム(5レーン);不溶物(7レーン);細胞全体(3および8レーン);および50ngのGFPuv(9レーン)。同一のサンプルを有する膜を、GFPuv(パネルA)またはE.coli GroEL(パネルB)に特異的な抗体でプローブ化した。

Claims (20)

  1. 細菌細胞において遺伝子を発現させるための方法であって、以下:
    形質転換されていない細菌細胞の集団に発現ベクターを提供する工程であって、該発現ベクターが、目的のタンパク質に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む発現カセットを含む、工程;および
    該発現カセットを発現させる工程であって、その結果、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質が、産生され、そして培養培地中に輸送される、工程、
    を包含する、方法。
  2. 請求項1に記載の方法であって、前記細菌細胞がS.Typhi細胞である、方法。
  3. 請求項1に記載の方法であって、前記細菌細胞が、Escherichia coli細胞である、方法。
  4. 請求項1に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、S.Typhi clyA遺伝子、S.paratyphi clyA遺伝子、またはEscherichia coli clyA遺伝子からなる群より選択される、方法。
  5. 請求項1に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、配列番号2のアミノ酸配列をコードする、方法。
  6. 請求項1に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、第180位、第185位、第187位、および第193位でのアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を生じる1つ以上の変異を有する配列番号2のアミノ酸配列をコードし、該変異が、該輸送タンパク質の溶血活性を減弱する、方法。
  7. 請求項1に記載の方法であって、前記目的のタンパク質が、抗原である、方法。
  8. 宿主の免疫応答を誘発するための方法であって、以下:
    細菌細胞の集団を、被験体に提供する工程であって、該細菌細胞は、発現ベクターで形質転換されており、該発現ベクターは、目的のタンパク質コード配列に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む発現カセットを含む、工程;
    該発現カセットを発現させる工程であって、その結果、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質が、産生され、そして被験体中に輸送される、工程;および
    該融合タンパク質に対する該被験体からの免疫応答を誘発する工程、
    を包含する、方法。
  9. 請求項8に記載の方法であって、前記細菌細胞がS.Typhi細胞である、方法。
  10. 請求項8に記載の方法であって、前記細菌細胞が、Escherichia coli細胞である、方法。
  11. 請求項8に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、S.Typhi clyA遺伝子、S.paratyphi clyA遺伝子、またはEscherichia coli clyA遺伝子からなる群より選択される、方法。
  12. 請求項8に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、配列番号2のアミノ酸配列をコードする、方法。
  13. 請求項8に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、第180位、第185位、第187位、および第193位でのアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を生じる1つ以上の変異を有する配列番号2のアミノ酸配列をコードし、該変異が、該輸送タンパク質の溶血活性を減弱する、方法。
  14. 請求項8に記載の方法であって、前記目的のタンパク質が、抗原である、方法。
  15. 目的のタンパク質を発現するための系であって、以下:
    発現カセットを含む発現ベクターであって、該発現カセットが、目的のタンパク質のコード配列に遺伝子的に融合された輸送タンパク質コード配列を含む、発現ベクター;
    該発現ベクターで形質転換される宿主細胞;および
    形質転換された宿主細胞のための培養環境であって、該発現カセットが、輸送タンパク質::目的のタンパク質の融合タンパク質を発現し、該融合タンパク質が、該形質転換された宿主細胞の外に輸送される、培養環境、
    を備える、系。
  16. 請求項15に記載の方法であって、前記宿主細胞がS.Typhi細胞である、方法。
  17. 請求項15に記載の方法であって、前記宿主細胞が、Escherichia coli細胞である、方法。
  18. 請求項15に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、S.Typhi clyA遺伝子、S.paratyphi clyA遺伝子、またはEscherichia coli clyA遺伝子からなる群より選択される、方法。
  19. 請求項15に記載の方法であって、前記輸送タンパク質コード配列が、配列番号2のアミノ酸配列をコードする、方法。
  20. 請求項15に記載の方法であって、輸送タンパク質コード配列が、第180位、第185位、第187位、および第193位のアミノ酸置換からなる群より選択されるアミノ酸置換を生じる1つ以上の変異を有する配列番号2のアミノ酸配列をコードし、該変異が、該輸送タンパク質の溶血活性を減弱する、方法。
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