JPH11513562A - 組換えプラスミドの生産方法 - Google Patents

組換えプラスミドの生産方法

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JPH11513562A
JPH11513562A JP9515377A JP51537797A JPH11513562A JP H11513562 A JPH11513562 A JP H11513562A JP 9515377 A JP9515377 A JP 9515377A JP 51537797 A JP51537797 A JP 51537797A JP H11513562 A JPH11513562 A JP H11513562A
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エイ. モージー,モハマド
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バイオスター,インコーポレイテッド
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    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、組換えプラスミド中に含有されたDNAを安定で高レベルに生産するための培養系、およびこの培養系を含む細菌およびプラスミドに関する。細菌細胞染色体は、1つの実施態様では、細菌に対して毒性の物質を生産するように;第2の実施態様では、細胞が必須代謝物を合成および吸収できなくなるように;そして、第3の実施態様では、分泌産物を導かない必要とされる細胞内タンパク質を生産できないように、不可逆的に改変される。全ての場合において、組換えプラスミドは、染色体改変を機能的に補足する遺伝物質を含む。プラスミドにおけるDNAが治療用途または真核生物への投与のために用いられる場合、この遺伝物質は、真核生物細胞において機能的または構造的な等価物を有さず、そしていかなる真核生物細胞成分においても作用するmRNAもポリペプチドも生産しない。生産されるいかなるポリペプチドも、望ましくは、細菌細胞に対して毒性でない。

Description

【発明の詳細な説明】 組換えプラスミドの生産方法発明の背景 遺伝子操作された細菌細胞および組換えプラスミドの組み合わせは工業的バイ オテクノロジーの基本となる。これらは例えば、酵素、サイトカイン、成長ホル モンおよび抗原、または細菌性生ワクチンのような工業的、医療的に重要なタン パク質の生産に用いられる。DNA免疫および遺伝子治療技術の出現は、遺伝子操 作された細菌細胞およびそれらの随伴組換えプラスミドの用途に別の一面を加え た。これらの技術の目的に関しては、遺伝子操作された細菌細胞におけるタンパ ク質の発現はもはや主目的ではない。代わりに主目的は、外来DNAを保有する構 造的、遺伝的に安定な組換えプラスミドの複製および高レベルの生産である。こ れは、DNAが、その中でコードされたタンパク質よりも、DNA免疫または遺伝子治 療での使用のための望ましい産物であるからである。 したがって、本発明は、外来DNAクローン化のための遺伝子操作された細菌細 胞およびその随伴組換えプラスミドの使用に関する。更に詳説すれば、本発明は 、これによりDNA免疫および遺伝子治療での使用に適切な外来DNAが、これらの随 伴組換えプラスミド中で大量に複製および生産され得る方法を提供する。 組換えDNA技術の開発の初期では、その新たな技術に対する主要な課題は、細 菌細胞内の組換えプラスミドの安定な維持であることが理解されていた。また、 この問題点は、遺伝子操作された細菌細胞に対して何の価値もないタンパク質が 高レベルで発現することの結果として、それらの細胞に重い代謝負担がかかるこ とから生じることも理解された。 したがって、組換えプラスミドを維持しようとする誘因を持たない遺伝子操作 された細菌細胞を増殖させると、時間の経過にしたがって、プラスミド非含有細 菌細胞の出現頻度が大きくなる。プラスミド含有細菌細胞により重い代謝負担が かかるので、プラスミド非含有細菌細胞がより早い増殖速度を有する。したがっ て、比較的短時間で、細菌培養はプラスミド非含有細菌細胞で占められるように なり、このためプラスミド収量の減少に至る。 プラスミド含有細菌細胞はプラスミド非含有細菌細胞と比較してほとんどいつ も増殖に不利な条件にあるので、長期の培養期間で生じるプラスミド非含有細菌 細胞がいずれも、最終的に発酵バイオリアクターを占めるようになる。これに関 しては、たとえプラスミドの損失頻度が1×10-7のみであっても、プラスミド非 含有細菌細胞が10%増殖益であると、1時間/Lの希釈速度で培養されて150時間 以内でバイオリアクターを占領すると推定される。細菌細胞を工業用バイオリア クター内で300時間連続培養で増殖させることは通常行わないので、これらの計 算の結果は、プラスミドの損失を防ぐのに100%有効であるプラスミド安定化系 の必要性を強調している。 これらの観察は、増殖した遺伝子操作された細菌細胞において組換えプラスミ ドの維持についての選択圧がないことが、結果としてプラスミド含有細菌細胞の 頻度の減少となることを示している。そして、プラスミド含有細菌細胞の方が増 殖速度がより遅いことにより、プラスミドの損失がさらに強調されることも示し ている。 細菌細胞の集団中で組換えプラスミドの安定性を増強するために数種の方法が 考案された。これらの方法は全て、以下の一般的な根底原理、組換えプラスミド を含有するそれら細菌細胞のみの成長および増殖を確実にするための選択圧の適 用、を有する。 これらの方法の一つでは、選択圧は、特定の抗生物質に対する耐性を特定する 一以上の遺伝子をまた有する組換えプラスミド上に所望の遺伝子をクローン化す ることにより、細菌細胞に適用される。したがって、特定の抗生物質の増殖中の 細菌細胞の培養物への添加が、組換えプラスミド含有細菌細胞のみが生存するこ とを確実にする。 抗生物質耐性遺伝子は、組換えプラスミドの安定性の手段を提供することにつ いて非常に有益および有効であるが、その使用には重大な欠点がある。第一に、 工業的規模の発酵中の培養培地への抗生物質の添加は高価である。第二に、抗生 物質耐性の機構が抗生物質不活性化化合物の分泌に基づいている場合、いくつか のプラスミド非含有細菌細胞が生存し得る。なぜなら、周囲のプラスミド含有細 菌細胞が十分な量の抗生物質不活性化化合物を培養培地に分泌し、それによりプ ラスミド含有細菌細胞およびプラスミド非含有細菌細胞が共に生存可能となるか らである。第三に、抗生物質耐性遺伝子を含有する組換えプラスミドDNAのDNA免 疫および遺伝子治療のための使用は好ましくないと見られている。なぜなら、そ のような遺伝子は、動物のゲノムまたは内在性の微生物相のゲノムに組み込まれ 得るからである。第四に、プラスミドDNAに混入した残留抗生物質(培養培地に 抗生物質を加えた結果として)は、そのようなプラスミドDNAで処置された特定 の動物において、感受性および/または全身性アレルギー反応を引き起こし得る ことである。 抗生物質耐性遺伝子の使用の代替として、組換えプラスミドの安定性を増強し 、そしてプラスミド非含有細菌細胞の蓄積を防止するためのいくつかの方法が考 案された。これらの方法に共通のテーマは、遺伝子操作された細菌細胞の生存を 、プラスミド保有遺伝子(plasmid-borne gene)を利用する機能的相補系に依存さ せることである。 これらの公知方法は、使用された遺伝子にコードされたポリペプチドのタイプ により、3つのグループに分けられ得る。しかしながら、各公知方法は、工業条 件下でのプラスミド非含有細菌細胞の発生速度の減少に非実用的であり、かつ/ またはDNA免疫および遺伝子治療のような真核生物での使用のための組換えプラ スミドの生産に不適当である。それぞれのグループの方法を順番に記述する。 第一のグループは、染色体欠陥が必須栄養素の生産不全を生じ、そしてプラス ミド保有遺伝子が、一般的に使用される細菌増殖培地に通常存在するこの栄養素 (例えばアミノ酸)の生合成に欠くことのできない酵素をコードする方法を包含 する(Dwivedi,C.P.ら Biotechnology and Bioengineering(1982)24:1465-1668; Imanaka,T.ら J Gen Microbiol(1980)118:253-261)。先行技術において記載さ れたようなこれらの方法は、プラスミド含有細菌細胞を、該当するアミノ酸を欠 く特別および高価な合成培地で増殖させることを必要とする。これは、工業的バ イオリアクター条件において実用的ではない。 第二のグループは、染色体欠陥が、必要とされる最終産物の生産を不完全にし 、そしてプラスミド保有遺伝子が、この最終産物を合成する酵素をコードする方 法 を包含する。しかし、ここで最終産物は一般的に使用される細菌増殖培地には存 在しない。(Diderichsen,B.Bacillus Molecular Genetics and BiotechnologyAp plications (1986)35-46頁;Ferrari,E.ら BioTechnology(1985)3:1003-1007;Gala n,J.E.ら Gene(1990)94:29;Nakayama,K.ら BioTechnology(1988)6:696;Curtiss, R.ら Res Microbiol(1990)141:797)。 現在まで、この方法は、細菌細胞壁へ取り込まれるアミノ酸の合成に焦点が当 てられてきた。DNA免疫および遺伝子治療でのこのアプローチの有用性は、以下 の理由で妨げられている。 現在までにこれらの状況で利用されてきた酵素(例えばアスパラギン酸セミア ルデヒドデヒドロゲナーゼ(asd)またはアラニンラセミ化酵素(alr))は、低 分子量拡散性増殖因子(それぞれアスパラギン酸セミアルデヒドおよびD-アラニ ン)の形成を触媒し、そしてその因子は、工業的バイオリアクター条件下で培養 培地中に蓄積し得る。そのような蓄積は、栄養共生効果(ここでプラスミド含有 細菌細胞(低分子量拡散性増殖因子を生産する)はプラスミド非含有細菌細胞の 増殖を補助する)のために、プラスミドの損失に寄与する。それゆえに、そのよ うな栄養共生効果を避けるために、このタイプの遺伝子は、低コピー数プラスミ ド、すなわち細菌細胞当たり1または2コピーのみ生じるタイプのプラスミド、 とともに使用されてきた。明らかに、低コピー数の組換えプラスミドの使用は、 プラスミドDNAの工業的規模での生産に実用的ではなく、工業的規模では高コピ ー数を生じるタイプのプラスミドが望ましい。高コピー数の組換えプラスミドは 、細菌細胞当たりおよそ約50から数百のプラスミドのコピーが生じるタイプのプ ラスミドである。 プラスミド保有遺伝子であるasd遺伝子には別の欠点がある。この欠点は、細 菌細胞(例えばE.coli)が実際に自己のペプチドグリカン層の約50%を分解する という最近の発見(Park,J.T.Molecular Microbiology(1995)17:421-426)に関 連する。この分解産物は、L-アラニン/D-グルタミン酸/メソジアミノピメリン 酸からなるトリペプチドである。これはペプチドグリカンを形成するために細菌 細胞により再利用され、したがって、ペプチドグリカンの新しいトリペプチド成 分を合成する、細菌細胞が消費するであろうエネルギーを貯蔵する。このトリペ プチドの大部分が培養培地中に放出され、そしてこれは、近隣の細菌細胞が自身 のペプチドグリカン層に組み入れるために取り込むことに利用可能である。asd 遺伝子は、このトリペプチドに既に含有されているアミノ酸、メソジアミノピメ リン酸(dap)の生合成における最初の酵素をコードする。しかしながら、細菌 細胞は自身のペプチドグリカンを再利用し、置換アミノ酸dapを含むトリペプチ ドを分泌し得るため、プラスミド含有細菌細胞にはそれらのプラスミドを維持す るための選択圧が存在しない。 第三のグループは、プラスミド保有遺伝子が、真核生物細胞において機能的お よび構造的に対応するものを有し、かつ/または真核生物細胞成分に作用する能 力のあるタンパク質をコードする方法を包含する。このような遺伝子の使用は、 重大な安全性の懸念を示す。なぜなら、これらの遺伝子にコードされたタンパク 質が真核生物細胞内で機能する可能性および相同組換えにより真核生物ゲノムに その遺伝子自身が組み込まれる可能性があるからである。例には、DNA複製(一 本鎖DNA結合タンパク質;Porter,R.D.ら BioTechnology(1990)8:47)またはtRNA 関連機能(バリンtRNA合成酵素;Nilsson,J.およびSkogman,G.Biotechnology(19 86)4:901-903)の生命機能に関与するタンパク質をコードする遺伝子が含まれる 。 アラニンラセミ化酵素(alr)をコードする遺伝子のマーカーとしての使用も また、この酵素が真核生物細胞において機能し得るという理由で、DNA免疫およ び遺伝子治療のための組換えプラスミドDNAの生産には実用的ではない。アラニ ンラセミ化酵素はL-アラニンからD-アラニンへの変換を触媒する。真核生物細胞 は、L-アラニンを生化学的構造の天然成分として含有しているので、アラニンラ セミ化酵素の使用は、真核生物細胞におけるL-アラニン生合成に関与する生化学 的反応を妨害し得、そして真核生物細胞内に通常存在しないアミノ酸(D-アラニ ン)の形成に至り得る。 最近、DNA免疫および遺伝子治療の問題に向けた世界保健機関(WHO)の会議が 開かれた(Nucleic Acid Vaccines,WHO,Geneva,Cichutek,K.Vaccine(1994)12:15 20;Robertson,J.S.Vaccine(1994)12:1526;Smith,H.Vaccine(1994)12:1515が報 告された)。DNA免疫および遺伝子治療の分野の専門家および調整当局からの専門 家からなるこの会議で、多数の事項が困難な問題として示され、これらは医療 的に有用な産物を生産するこれらの技術を可能にするために取り組まれるべきも のであった。これらには、組換えプラスミドの構造的および遺伝的な安定性、組 換えプラスミドDNAでの宿主染色体内の組み込みの可能性、および所望のプラス ミド含有細菌細胞の選択および増殖のためのマーカー遺伝子(例えば抗生物質耐 性遺伝子)の使用が含まれていた。 したがって、真核生物への外来DNAの導入の目的(例えばDNA免疫および遺伝子 治療のための)に関しては、一つの系の必要性がある。それは、遺伝物質自身が 真核生物ゲノム内へ組み込み得るか、またはそのコードされた産物により真核生 物細胞内で機能し得るか、もしくはいずれかの真核生物細胞成分で作用し得る遺 伝物質を使用することなく、プラスミド保有外来遺伝子の生産のために、遺伝子 操作された細菌細胞が使用され得る系である。 さらに、細菌内での安定で高生産力のクローン化の改良法は、単に、望ましい DNAの大量生産に有用となる。発明の開示 本発明は、所望のDNA、特に真核生物に安全に導入され得るDNAを大量生産する ための組換え系を提供する。本発明の系は、当該技術で公知の方法を超える効率 性および安全性という利点を提供する。 したがって、一つの局面において、本発明は、組換えプラスミドを安定に高レ ベルで生産するために設計された培養系およびその成分に関する。これらの培養 系では、細菌細胞が用いられ、ここで細菌細胞染色体はその細菌細胞に対して毒 性の物質の生産をもたらすように不可逆的に改変されている。細菌細胞は組換え プラスミドを含有するように改変され、ここで組換えプラスミドは、細胞培養系 条件下で、そうでなければ細胞に対して毒性である第一物質の毒性を中和する第 二物質の生産をもたらす遺伝物質を含有する。また、本発明は、この細胞培養系 において有用な細菌細胞およびプラスミド、ならびにこれらの物質を用いて所望 のDNAを高レベルで生産する方法に関する。この系で用いられるプラスミドは、 真核生物においてのみ機能的な制御配列に作動可能に連結された外来DNAをさら に含有し得、これにより、外来DNAが真核生物細胞において発現されるが、原核 生物細胞においては発現されない。 第二の局面では、本発明は、組換えプラスミドを安定に高レベルで生産するた めの細胞培養系に関し、ここでこれら培養中の細菌の細菌細胞染色体は、細胞が 必須代謝物を生産できず、そしてまた培養培地からその代謝物を取り込むことが できなくなるように不可逆的に改変されている。この系で用いられる組換えプラ スミドは、その代謝物を合成する能力または培地から取り込む能力のいずれか、 あるいは両方を回復する遺伝物質を含有するプラスミドである。本発明のこの局 面はまた、細胞培養系の成分である細菌細胞およびプラスミド、ならびにその系 を用いるDNAの大量生産方法を包含する。そのプラスミドはまた、真核生物にお いてのみ機能的な制御配列に作動可能に連結された外来DNAを含有するように改 変され得る。その結果、外来DNAは真核生物細胞において発現されるが、原核生 物細胞においては発現されない。 さらに別の局面では、本発明は、DNA免疫および遺伝子治療のための組換えプ ラスミドを安定に高レベルで生産するための培養系を提供し、遺伝子操作された 細菌細胞および組換えプラスミドを含む。この系では、細菌細胞染色体は不可逆 的に改変され、そして細菌細胞は、その細菌細胞の生存度が組換えプラスミドに 依存するような条件下で増殖される。組換えプラスミドは、染色体改変を機能的 に補足する遺伝物質を含むが、その遺伝物質は真核生物細胞において機能的また は構造的な等価物を有さず、そしていかなる真核生物細胞成分においても作用し 得るいかなるタンパク質も生産しない。補償する遺伝物質にコードされたタンパ ク質またはそれらのいかなる産物もまた、細菌細胞もより分泌され得ず、細菌細 胞に対して毒性のレベルで生産され得ない。組換えプラスミドはまた、真核生物 においてのみ機能的な制御配列に作動可能に連結された外来DNAを含有するよう に改造される。これにより、真核生物細胞においてのみ外来DNAが発現し、原核 生物細胞では外来DNAが発現しない。本発明はまた、この細胞培養系で使用され る細菌細胞および高コピー数プラスミド、ならびにこの系を使用して真核生物へ 投与するための外来DNAを安定に調製する方法に関する。 さらに他の局面では、本発明は、所望の外来DNAを真核生物細胞または真核生 物被験体に提供する方法に関し、ここでその方法は、本発明の方法により調製さ れたDNAを、上記細胞に接触させるか、または上記被験体に投与する工程、ある いは所望のDNAを含有する細菌細胞を被験体に投与する工程を包含する。図面の簡単な説明 図1は、組換えプラスミドpCB237の構築を示す。 図2は、染色体のgalEおよびgalT遺伝子において欠失を有する遺伝子操作され た細菌株(CB101 E.coli)の構築を示す。 図3は、murF遺伝子のクローン化の模式図である。 図4は、組換えプラスミドpCB243の構築を示す。 図5は、染色体のmurF遺伝子において欠失を有する遺伝子操作された細菌株( CB1031 E.coli)の構築を示す。 図6は、murF遺伝子を含有するプラスミドの構築の概略図である。 図7は、42℃で、murF欠損株で生産されたpMO106のプラスミド収率を示す。 図8は、TKL-50細胞中のpMO106の安定性を示す。 図9は、murFを含有するベクターのインビトロにおけるトランスフェクション 効率を示す。 図10は、murF遺伝子を伴うかまたは伴わない抗原を含有するベクターから得 たELISAの力価のグラフである。 図11は、TKL-46に由来する熱感受性murF遺伝子のヌクレオチド配列を示す。発明の実施形態 本発明は、所望のDNAの安定な産生を可能にする培養系を提供する。いくつか の例において、所望のDNAは外来DNAであり、真核生物細胞中でのその発現は、免 疫または遺伝子治療のいずれかのために所望される。この「発現」は、ポリペプ チドの産生と同様に、単純な転写を含有する。従って、真核生物中での使用のた めの外来DNAが、治療的タンパク質またはマーカーの産生に関連する遺伝子治療 においてと同様にアンチセンス治療において使用され得る。 外来DNAが真核生物に投与される場合、増幅された複製DNAは回収され、標準的 な処方技術を用いる薬学的組成物の形態で処方され得る。DNAを投与するために 適切な処方物は、種々の賦形剤(例えば、リポソーム、デンドリマー(dendrime r)、アクアソーム、蝸牛(cochleate)、等張生理食塩水、またはPBS)を含む 。DNAはまた回収され得、そしてレトロウィルスベクターに連結され得る。DNAそ れ自身に加えて、それ自身が複製DNAを含む細菌細胞が、真核生物被験体に投与 され得る。細胞は、含むDNAを例えば、マクロファージの核に配置することを可 能にする適切な特色を有するように選択または操作され、その結果、外来DNAの 発現に影響し得る。従って、投与される原核生物は、リソソームを脱出し、分解 し、そして核にDNAを入れることを可能にすることができなければならない。Shi gella およびListeria株のようないくつかの細菌宿主は、生来これらの結果に影 響し得る。発現可能なDNAに加えて、単純な「裸のDNA」を含むワクチンもまた、 首尾良く使用されている。 一般に、薬学的組成物中のそれ自身か、または細菌細胞中に含まれるかのいず れかのDNAの投与は、注射(代表的には、静脈内、筋肉内、皮内、または皮下) による。投与はまた、鼻内もしくは経口であり得るか、または粒子ボンバードメ ント技術により得る。しかし、任意の効果的な全身性の投与手段が使用され得る 。 本発明のすべての培養系は、細菌培養物中でそれ自身を安定に複製する、プラ スミド上に含まれる遺伝物質の効果による、細菌染色体中に見出される破壊特性 の相補性による。一つの実施態様では、細菌染色体は細菌細胞に対して毒性であ る物質を産生し、そして、この物質はプラスミド上の遺伝物質から産生される物 質によって中和される。第二の実施態様において、細菌染色体は不可欠な代謝産 物を産生し得ず、そしてまた、培養培地からこの代謝産物を取り込み得ないよう に改変され、そして、組換えプラスミドは、これらの能力の一つまたは両方を回 復する。これらの場合のいずれかにおいて、増幅されるさらなる所望のDNA配列 が、プラスミド中に含まれ得る;さらに、この所望のDNAは真核生物細胞におけ る排他的な発現のための制御配列に作動可能に連結され得る。 第三のアプローチにおいて、真核生物における排他的な発現に影響を与える制 御配列に作動可能に連結された外来DNAの産生のためのこの場合において、特に 、本発明は、遺伝子操作された(その生来の染色体ゲノムが不可逆に改変された )細菌細胞を使用する。改変は、単独または組み合わせが、細菌細胞が増殖する 条 件での細胞の生存性について不可欠である一つまたはそれ以上の染色体遺伝子の 改変からなり得るか、あるいは、そのような条件下での細菌細胞の生存性に対し て有害である一つまたはそれ以上の外来遺伝子の挿入からなり得る。 次いで、細菌細胞は、組換えプラスミド(好ましくは、高コピー数組換えプラ スミド(プラスミドを有する細菌細胞当たり50から数百の比較的高いコピー数を 生じる型))の封入によってさらに改変される。組換えプラスミドは、上記の染 色体改変を相補する遺伝物質を含むように構築される。組換えプラスミドの細菌 細胞への導入は、細菌細胞の生存性を回復し、そして、組換えプラスミドを有す る細菌細胞のみが生存し得ることを確実にする。 プラスミドが、外来の所望のDNAについて真核生物においてのみ作動可能な発 現系の産生のために使用される場合、相補性の遺伝物質はプラスミドDNAで処置 される真核生物細胞において、機能的または構造的な等価性を有さない、一つま たはそれ以上の遺伝子に関係しなければならない。相補性遺伝物質は、プラスミ ドDNAで処理される真核生物細胞のいかなる細胞成分にも作用し得るポリペプチ ドをコード(またはmRNAを産生)しないはずである。さらに、相補性遺伝物質の 存在の結果として生産される、いかなる因子または物質も、遺伝子操作された細 菌細胞によって分泌され得ること、または、遺伝子操作された細菌細胞に対して 毒性であるレベルで産生され得ることがあってはならない。 従って、相補性遺伝物質は、プラスミドを有する細菌細胞のみ生存する選択圧 を用いることによって、遺伝子操作された細菌細胞の構造的および遺伝的安定性 を確実にするために提供される。上記のように、プラスミドは高コピー数プラス ミドであることが好ましいが、必ずしもそうではない。 同じ組換えプラスミドでの一つまたはそれ以上の外来遺伝子のクローン化によ って、遺伝子操作された細菌細胞は、DNA免疫およびアンチセンス治療を含む遺 伝子治療における使用のための外来遺伝子を含む多量のプラスミドDNAを産生す るために使用される。外来遺伝子は、不必要な代謝負荷または細胞毒性を避ける ために、好ましくは、遺伝子操作された細菌細胞において発現され得ない。これ は、真核生物においてのみ機能的であるプロモーターに各外来遺伝子を作動可能 に連結することによって達成され得る。 組換えプラスミド上にクローン化した外来遺伝子に依存して、プラスミドDNA は、DNA免疫および/または遺伝子治療に使用され得る。プラスミドDNAは、真核 生物宿主に一つまたはそれ以上の所望の外来遺伝子を運ぶために、インビボの処 置に使用され得る。例えば、外来遺伝子は、処置された哺乳動物の健康または生 存性に必要とされるポリペプチドをコードする哺乳動物の遺伝子であり得る。ま たは、外来遺伝子は、処置された動物においてそれに対する免疫を誘導すること が所望されるポリペプチドをコードするウィルス遺伝子であり得る。あるいは、 組換えプラスミドに含まれる発現系は、処置的処置のためのアンチセンスmRNAを 産生し得る。別の実施例は当業者に明らかである。 本発明は、ここで様々な好ましい実施態様を参照してさらに記載される。しか し、本発明は、これらの実施態様に制限されず、そして当業者は、本発明の特徴 の記載の範囲内で、別の実施態様を容易に実施する。 一つの実施態様は細菌細胞壁の産生のために必要とされるアミノ酸を付加する 酵素に依存する。 ペプチドグリカンは細菌細胞に独特の細胞壁構造である。従って、ペプチドグ リカン層の生合成または集合(assembly)を担う酵素をコードするいくつかの遺伝 子は、DNA免疫および遺伝子治療における使用のために意図される組換えプラス ミド中のマーカー遺伝子としての使用のための優秀な候補である。 ペプチドグリカン層はいくつかの隣接する鎖からなる。各鎖はN-アセチルムラ ミン酸(NAM)およびN-アセチルグルコサミン(NAG)残基の改変ユニットからなる 。各鎖上の特定のNAM残基は四量体ペプチドに接続され、その組成は、細菌がグ ラム陽性であるか、またはグラム陰性であるかに依存してわずかに変化する。隣 接するペプチドグリカン鎖は、ペプチド結合によって互いに連結される。このペ プチド結合は、1つのテトラペプチドの第三のアミノ酸であるジアミノピメリン (dap)を、隣接する鎖のNAM残基に接続されるテトラペプチドの第四のアミノ酸 であるD-アラニンに連結する。アミノ酸D-アラニンはすべての細菌のペプチドグ リカンの独特の成分である。このアミノ酸は、アラニンラセマーゼ(alr)と称さ れる酵素の作用によって、L-アラニンから合成される。この後者のペプチド結合 の形成は、細菌細胞生存性に対してきわめて重要である。なぜなら、その非 存在下で、細菌細胞は一般に細菌増殖培地を使用して溶菌するからである。 テトラペプチド形成は二つの異なる対の遺伝子の作用を必要とする。すなわち これらは四量体ペプチドの個々のアミノ酸の生合成を必要とされる酵素(例えば 、L-アラニン、D-グルタミン酸、dapおよびD-アラニンの生合成に必要とされる 酵素)をコードし、そしてこれらは続いて、これらのアミノ酸を別のアミノ酸に 付加および連結してテトラペプチドを形成するために必要とされる。後者の酵素 はアミノ酸付加酵素と呼ばれる。一般に、N→C方向の四量体ペプチド配列はL-ア ラニン/D-グルタミン酸/ジアミノピメリン酸(dap)/D-アラニンである。ア ミノ酸付加酵素のシリーズは、多糖鎖にアミノ酸L-アラニンを付加するL-Ala付 加酵素;L-アラニンを連結された多糖にアミノ酸D-グルタミン酸を付加する酵素 (murD)、L-アラニン/D-グルタミン酸ジペプチドにアミノ酸dapを付加する酵 素(murE)、およびL-アラニン/D-グルタミン酸/dapトリペプチドにD-アラニ ンを付加する酵素(murF)を含む。 従って、本発明の1つの実施態様において、DNA免疫および遺伝子治療におけ る使用のために適切なプラスミドDNAの産生のための系は、アミノ酸付加酵素( 例えば、murF遺伝子)の1つをコードする染色体遺伝子を非機能的にするために 、遺伝子操作された細菌細胞によって構築され得る。遺伝子操作された細菌細胞 の生存性は、機能的murF遺伝子をその上にクローン化された組換えプラスミドの 封入によって確実にされる。 温度感受性の細菌細胞はアミノ酸付加酵素(例えばmurF)の一つをコードする 遺伝子に変異を有することが知られている。これらの細胞は非許容温度では生育 し得ないが、四量体ペプチドの個々のアミノ酸成分を合成し得る。非許容温度で 生育についてこれらの変異体の不能は、これらがこの温度で、完全で機能的なテ トラペプチドを集合させ得ないという事実による。従って、本発明の細胞培養で の使用のために適切なさらなる細菌宿主細胞は、非許容温度で培養されるそのよ うな存在する株を含む。 相補的な組換えプラスミドを含む遺伝子操作された細菌細胞を含む、得られた 系におけるmurF遺伝子の使用に、いくつか利点がある。第一に、murF酵素は細胞 内性の非拡散性タンパク質であり、そして毒性であるか、または分泌されるかの いずれかである生成物を生じない。従って、プラスミドを有する細菌細胞の数の 減少は、以前に記載される栄養共生効果のために回避される。第二に、murF遺伝 子は細菌細胞に独特であり、そして以下で哺乳動物細胞について詳細に記載され るように、真核細胞中で機能的または構造的に対応する部分を有さない。第三に 、murF遺伝子は真核生物細胞中に基質を有さない。従って、murF遺伝子がプラス ミドDNAで処理された真核生物細胞中で発現される場合でさえ、murF酵素の活性 の危険は無いように見える。これらの利点は、工業的な培養条件下で有効な組換 えプラスミドの安定性および産生を生じる。さらに、murFに基づく系は、DNA免 疫および遺伝子治療における使用について安全である。 上記の4つのアミノ酸付加酵素の全てが、本発明に有用な相補系に基づいて使 用され得る。従って一つは、L-アラニン付加酵素をコードする遺伝子を欠失し、 そしてプラスミド上でこの酵素をコードする遺伝子を供給するように細菌ゲノム を改変し得る;または、染色体は、murD、murEもしくはmurFを合成することを不 能にし、そしてプラスミド上に対応する酵素を産生する能力を供給するように改 変され得る。 これらのアミノ酸付加酵素の任意の1つが選択され得るが、murF>murE>murD >L-Ala付加酵素の優先的な選択を導く体系が存在する。これは細胞壁分解が細 菌***時に生じるという様式に基づく、効率に基づく決定(efficiency-based c onsideration)である。分解は必然的に四量体ペプチドのC末端で開始され、そ して不完全であり得る。従って、娘細胞は一般に、それらがmurEを必要とするよ り過度にmurF成分を必要とし、これは順に、murDまたはL-アラニン付加酵素をよ り過度に必要とする。 第二の実施態様は、工業的設定で使用される通常使用される細菌培地に天然に 存在するアミノ酸の合成を担う酵素をコードする染色体遺伝子を非機能的にする ことに依存する。一般に、そのような染色体遺伝子の改変は、組換えプラスミド の安定性を増強するため、またはプラスミドDNAの高レベルな産生のための実用 的な方法ではない。しかし、以下に例示されるように、さらなる安全性の予防措 置が組み込まれる場合、このアプローチは工業的規模での安定なプラスミドDNA 生産に使用され得る。 例えば、アミノ酸リジンの合成に不可欠な酵素をコードする染色体遺伝子(ly sAと称される)は非機能的にされる。環境または生育培地からのそのアミノ酸の 取り込みを担うパーミアーゼタンパク質をコードする第二の染色体遺伝子(lysP と称される)がまた、非機能的にされる。そのように遺伝子操作された細菌細胞 は、もはやそれ自身では生存し得ない。それらはlysAもしくはlysPについて機能 的遺伝子を有するか、またはその等価物を有する組換えプラスミドで形質転換さ れた場合、生存し得る。従って、lysAの遺伝子の機能的遺伝子もしくは等価物を 有する組換えプラスミドで形質転換された、リジン取り込みを欠損している(非 機能的染色体lysP遺伝子のため)、およびリジン生合成を欠損している(非機能 的染色体lysA遺伝子のため)遺伝子操作された細菌細胞は、DNA免疫および遺伝 子治療のための、プラスミドDNAの安定な高レベルの産生のために効率的な系を 提供する。 lysA遺伝子は真核生物細胞中で構造的または機能的部分を持たないことが既知 であるため、この実施例におけるプラスミド保有相補性遺伝子は、lysA遺伝子で ある。さらに、lysA遺伝子によりコードされるlysA酵素は真核生物細胞で基質を 有さず、そして、lysA酵素がその細胞中で発現される場合さえ、この酵素は真核 生物細胞中で機能し得ない。リジンはグラム陽性およびグラム陰性細菌の両方を 含む全ての生存微生物にとって必須アミノ酸であるため、この系は任意の細菌細 胞中でプラスミドDNAの安定なそして高レベル産生のための、実用的および多目 的な系を提供する。 第三の実施態様において、選択圧は***後殺傷(postsegregational killing )メカニズムを使用することによって維持される。天然に存在するE.coliプラス ミドR1およびFはこのアプローチに適切な遺伝子座を含む。R1プラスミドについ て、この座はparBである(Gerdes,K.ら、PNAS(1986)83:3116-3120; Rasmussen ,P.B.ら、Mol Gen Genetjcs(1987)209:122-128)。Fプラスミドの場合におい て、この座はFlmである(Loh,S.M.ら、Gene(1987)66:259-268)。これらの座 は、***後殺傷メカニズムの手段によって、有効な組換えプラスミドの安定化を 媒介する。 二つの小さな遺伝子からなるparBおよびFlm座の両方は、parBの場合はhok遺伝 子(宿主殺傷)およびsok遺伝子(宿主殺傷のサプレッサー)、そしてFプラスミ ドの場合はflmA(宿主殺傷)およびflmB(宿主殺傷のサプレッサー)と呼ばれる 。 従って、hokとflmA遺伝子とは構造および機能において類似しており、そして このhokとflmB遺伝子とは構造および機能において類似している。 hokおよびflmA遺伝子産物は小さな親水性タンパク質(52アミノ酸)であり、 これらは強力な宿主殺傷因子である。hok遺伝子の発現は、sok遺伝子から転写さ れる小さな(約100塩基対)のRNA分子によって調節され、そしてsok遺伝子はhok 遺伝子のmRNAに相補的なアンチセンスRNAとして作用する。同様にflmA遺伝子の 発現は、flmA遺伝子のmRNAに相補的なアンチセンスRNAとして作用するflmB遺伝 子から転写される約100塩基対のRNA分子によって調節される。hokおよびflmA mR NAは高安定性であるが、sokおよびflmBのRNAは迅速に分解される。細菌細胞殺傷 のメカニズムを生じる各場合において、二つのRNA種の安定性は異なる。parB座 を有するプラスミドを含む細菌細胞がそのようなプラスミドを欠失する場合、ho k mRNAの延長された持続性はhokタンパク質の合成を導き、従って、新たに形成 されたプラスミドを含まない細菌細胞の迅速な、そして選択的な殺傷を確実にす る。同様に、Flm座を有するプラスミドを含む細菌細胞がプラスミドを欠失する 場合、flmA mRNAの延長された持続性はflmAタンパク質の合成を導き、従って、 新たに形成されたプラスミドを含まない細菌細胞の迅速な、そして選択的な殺傷 を確実にする。 hokおよびsok遺伝子、またはflmAおよびflmB遺伝子の組み合わせ効果は、DNA 免疫および遺伝子治療における使用のために、プラスミドDNA産生での使用のた めの系の構築において有利に使用され得る。これらの系の有用性は、DNA免疫ま たは遺伝子治療中に、hok/sokもしくはflmA/flmB組み合わせを含むプラスミドDN Aで注射した哺乳動物宿主の細胞のような殺傷真核生物細胞の可能性によって妨 げられ得る。従って、sok遺伝子(100bp)またはflmB遺伝子(100bp)のみが組 換えプラスミドに含まれるが、hok遺伝子またはflmA遺伝子は細菌細胞染色体に おいて組み込まれる。 hok/sokまたはflmA/flmB組み合わせに基づくプラスミド産生系のために、細菌 株が遺伝子操作される。この遺伝子操作において、hokまたはflmAタンパク質を コードする遺伝子は細菌染色体の不可欠ではない領域(例えば、lacZ遺伝子中) に挿入される。次いで、遺伝子操作された細菌細胞は、組換えプラスミドで形質 転換される。これにおいて、マーカーのみがsokまたはflmB遺伝子に対応する。 組換えプラスミドが細菌細胞中に残っている限り、組換えプラスミド上のsokま たはflmB遺伝子はhokまたはflmA遺伝子の発現を調節するように機能し、そして 細菌細胞は生育する。sokまたはflmB遺伝子を有する組換えプラスミドが欠失さ れるとすぐに、細菌細胞は、hokまたはflmA遺伝子によって産生される殺傷因子 のために死ぬ。 この系は、プラスミドDNAの産生について以下の特異的な利点を提供する。第 一に、系は特定の細菌株に対してその使用を制限されない。第二に、sokまたはf lmB遺伝子をコードするDNAの100bpのみが組換えプラスミド中で使用されるため 、より小さな、そしてよりコンパクトなプラスミドが構築され得る。これはそれ 自身により高プラスミド収率を提供し、そして組換えプラスミド上に一つより多 い外来遺伝子をクローン化する能力を提供する。 当業者は、遺伝子操作された細菌株および組換えプラスミド(外来DNAのため のベクターとして機能し得る)の発明に従って、他の組み合わせを認識する。こ こで組換えプラスミドは変更された(すなわち、改変、欠失、または不活化によ って、付加されたか、または非機能的にされた)染色体DNAに相補的なDNAを含み 、従ってこれは、組換えプラスミドの存在または非存在下についてのマーカーと して、ならびに遺伝子操作された細菌細胞中で組換えプラスミドを維持するため の選択圧として機能する。 本発明は以下の実施例に詳細に例示される。これらの実施例は例示の目的のた めに含まれ、そして本発明を制限するとは考えられるべきではない。 実施例1 染色体が改変された宿主CB102の構築 ペプチドグリカン層は、通常の環境下での細菌細胞の生存能力に絶対的に必要 とされる。なぜなら、特定のペプチドグリカン層は、脆い細胞質膜を浸透圧衝撃 から保護するからである。しかし、特定の環境下では、ペプチドグリカンの合成 に欠損を有する細菌細胞は、塩化ナトリウムまたはショ糖を補充した培地のよう な特定のタイプの培地中で依然として生存し得る。これらのタイプの培地中でこ れらの細菌細胞が生存することができる理由は、これらの補充化合物の浸透圧安 定剤としての作用に起因すると考えられるか、または浸透圧安定剤として作用す るコラニック酸(colanic acid)生成を誘導するそれらの能力に起因する。従っ て、好ましい実施態様においては、細菌細胞は、一般に、細菌細胞が増殖する培 地のタイプにかかわらず、傷ついていないペプチドグリカン層の存在に絶対的に 依存するように遺伝子操作される。本実施態様においては、これらの細菌細胞が コラニック酸を合成する能力は、不完全なペプチドグリカン集合体をもたらす変 異または欠失を導入することに加えて破壊される。 コラニック酸は、グルコース、ガラクトース、フコースおよびグルクロン酸か ら構成される重合体である。ガラクトースはコラニック酸の構成要素の一つであ るので、細菌細胞がコラニック酸を生産する能力を破壊する一つの方法は、細菌 細胞がガラクトースを合成および利用する能力を阻害することである。本実施例 においては、これは、ガラクトースの利用に関与するgalEおよびgalTの染色体 遺伝子中に不可逆的な欠失を導入することによって達成される。次いで、得られ た細菌株は、以下の通り、murF染色体遺伝子中に欠失を受けて、その生存能力 が機能的なmurF遺伝子を有する組換えプラスミドとの相補に依存する株を生産 する: 第一に、galE遺伝子およびgalT遺伝子中に欠失を含むJM105 E.coli株を構築 した。galE遺伝子およびgalT遺伝子をクローン化するために、2つのオリゴヌ クレオチドプライマー(上流および下流)を、galE遺伝子およびgalT遺伝子の 公知のヌクレオチド配列に基づいて合成した。クローン化を容易にするために、 XbaI部位をこれらのプライマーのそれぞれの末端で操作した。(gal-3と称する )上流プライマーは、galE遺伝子の5’末端に対応し、そして以下のヌクレオ チド配列を有する: 5'gctctagaggctaaattcttgtgtaaacga3。 (gal-4と称する)下流プライマーは、galT遺伝子の3’末端に対応し、そし て以下のヌクレオチド配列を有する: 5'gctctagatctgccagcatttcataaccaa3'。 プライマーgal-3およびgal-4(それぞれ100pmol)を、2μlのJM105細菌細胞 の一晩培養物と組合わせた。この混合物に4μlの5mMデオキシヌクレオシド(d NTP)溶液、1μlの100mM MgSO4、(NEB Biolabから購入した)5μlの10×Vent 反応緩衝液および1μlのVent DNAポリメラーゼを添加した。反応混合物を、以 下のサイクリングプロフィールを用いる30サイクルで増幅した:融解:94℃で1 分間、アニーリング:55℃で1分間、および伸長:72℃で2分間。増幅の後、反 応混合物を1%のアガロースを通して電気泳動によって分析した。予想された大 きさ(約2キロ塩基対;galE遺伝子全体およびgalT遺伝子全体に対応する)の 単一のバンドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)の反応混合物中に存在するDNAの 臭化エチジウム染色の後に明らかであった。上述のDNAバンドを切り出し、そし て(BioCanから入手した)GeneCleanキットを用いてアガロースから精製した。 図1に示されるように、精製したDNAフラグメントをT4ポリヌクレオチドキナー ゼ(Pharmacia)で処理し、そしてpTZ18プラスミドのHincII部位に連結した。ga lE遺伝子およびgalT遺伝子を含むpTZ18プラスミドをpCB233と称した。 galE遺伝子およびgalT遺伝子の内部欠失を、図1にさらに示されるように構 築した。pTZ18プラスミドをHindIII酵素で切断し、クレノウ酵素で処理し、そし て自己連結してHindIII部位がもはや存在しないプラスミドpCB234を生産した。 プラスミドpCB233をEcoRI酵素およびPstI酵素で切断し、galE遺伝子全体および galT遺伝子全体を含むDNAフラグメントを回収した。この後者のフラグメントを 、EcoRI酵素およびPstI酵素でも切断されたpCB234に連結した。この連結事象に より、pCB235と称するプラスミドの単離が導かれた。プラスミドpCB235を、Hind III酵素およびNcoI酵素で切断して、galE遺伝子配列およびgalT遺伝子配列内 のヌクレオチド配列の内部の一部を欠失させ、クレノウ酵素で処理し、次いで自 己連結してプラスミドpCB236を生産した。プラスミドpCB236をEcoRI酵素およびp stI酵素で切断し、短縮化したgalE遺伝子およびgalT遺伝子を回収した。短縮 化したgalE遺伝子およびgalT遺伝子を含むDNAフラグメントをT4 DNAポリメラ ーゼ酵素で処理した。これと同時に、pCVD442と称する自殺ベクタープラスミド (J.B.Kaper;University of Pennsylvania)をXbaI酵素で切断し、その後、クレ ノウ 酵素で処理した。次いで、短縮化したgalE遺伝子およびgalT遺伝子を含むDNA フラグメントを、上記のpCVD442に連結し、そしてE.coli SY327へ形質転換して プラスミドpCB237を生産した。次いで、プラスミドpCB237をE.coli SM10へ形質 転換し、そして、pCB237を含む後者の細菌細胞を、以下に記載のようなさらなる 使用のために選択した。 galEおよびgalTの欠失を、図2に示されるようにJM105 E.coliに導入した。 プラスミドpCB237を有するSM10細菌細胞を用いて、不可逆的に非機能的な(すな わち、内部欠失を有する)galE遺伝子およびgalT遺伝子を、Donnenberg,M.お よびKaper,J Infection and Immunity(1990)59:4310-4317に記載された接合プロ トコルによって、E.coli JM105株に移入した。JM105細菌細胞の染色体への不可 逆的に非機能的なgalE遺伝子およびgalT遺伝子の取り込み、ならびに不可逆的 に非機能的なgalE遺伝子およびgalT遺伝子での、後者の細菌細胞の全長野生型 のgalE遺伝子およびgalT遺伝子の置換を、JM105の染色体DNAのPCR分析で確認 した。galE遺伝子およびgalT遺伝子に内部欠失を含むJM105 E.coli細菌株をCB 101と称した。 murF遺伝子座の欠失を生産するために、第一に、JM105 E.coli由来の染色体mu rF遺伝子を、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて分離した。2つのオリゴヌ クレオチドプライマーを、murF遺伝子の公知の配列に基づいて合成した。これら のプライマーをmurF1およびmurF2と称し、そしてこれらのヌクレオチド配列は以 下の通りである: 上流プライマー(murF1): 5'cgagcactgcgagagatgattagcgtaacccttagccaactt3' および 下流プライマー(murF2): 5'cagcgcgtgcagcaggctgacagtggcgcga3'. 。 murF遺伝子はmurEプロモーターの制御下で転写されるようであり、従って、上 記のPCRプライマーは、murFのコード配列とmurEプロモーターとのインフレーム での融合を可能にするように設計された。この目的のために、そのプロモーター エレメントを含むmurE遺伝子を、murE1およびmurE2と称するPCRプライマーを用 いて、JM105 E.coliから分離した。これらのプライマーのヌクレオチド配列は以 下の通りである: 上流プライマー(murE1): 5'gccggatccgcgccggtctttggtgcca3', および 下流プライマー(murE2): 5'aagggatccgctaatcatgcaatcacc3'. 。 図3に示されるように、PCR増幅の後、murE遺伝子をプラスミドpBR322の中に クローン化して、pCB238と称するプラスミドを生産した。murF遺伝子を、プライ マーmurF1およびmurF2を用いてJM105細菌細胞から増幅した。プラスミドpCB238 を、NruI酵素で消化して、murE遺伝子コード配列を除去し、murEプロモーター配 列を残した。次いで、増幅されたmurF遺伝子を、NruI酵素で消化されているプラ スミドpCB238へ連結した。そして、得られたプラスミドをpCB239と称した。 プラスミドpCB239を、適切な酵素で消化してmurF遺伝子に融合したmurEプロモ ーターを含むDNAフラグメントを取り出し、次いでこのフラグメントをプラスミ ドpACYC184の中にクローン化して、プラスミドpCB240を生産した。 murF遺伝子に不可逆的な改変(すなわち、欠失)を有するE.coli株を構築する ために、欠失されたmurF遺伝子が上流および下流の隣接配列から誘導されたDNA 配列とともにクローン化されているプラスミドを構築した。この目的のために、 オリゴヌクレオチドプライマーをmurE遺伝子(murF遺伝子の上流)の公知の配列 に基づいて設計し、そして、2番目のオリゴヌクレオチドプライマーをOrfY遺伝 子(murF遺伝子の下流)の公知の配列を基礎にして設計する。上流プライマーを murE1と称する。これは以下のヌクレオチド配列を有した: 5'gccggatccgcgccggtctttggtgcca3'. 。 下流プライマーをOrfY-1と称し、そして以下のヌクレオチド配列を有する: 5'taacgccagcgaacctacatc3'. 。 プライマーmurE1およびOrfY-1をPCR反応で用いて、murEおよびOrfy遺伝子に由 来する隣接配列を有するmurF遺伝子を増幅する。図4に示されるように、増幅さ れたDNAフラグメントをプラスミドpBR322中にクローン化して、プラスミドpCB24 1を生産する。プラスミドpCB241を適切な酵素で消化してmurF遺伝子の大部分を 除去し、一方の側でmurE遺伝子に由来する配列に隣接し他方の側でOrfY遺伝子に 由来する配列に隣接したmurF遺伝子配列の小さな部分のみを残す。消化後、プラ スミドを自己連結して、プラスミドpCB242を生産する。murF遺伝子のmurE遺伝子 部分およびOrfY遺伝子に由来する配列を含むDNAフラグメントを、後者を適切な 酵素で消化することによってプラスミドpCB242から回収する。次いで、後者の配 列を有するDNAフラグメントを自殺ベクターpCVD442に連結し、そしてSY327 E.co li細胞へ形質転換する。後者の細菌細胞を用いて、隣接配列を含むプラスミドpC VD442を調製する。そしてこの後者のプラスミドをpCB243と称する。次いで、プ ラスミドpCB243をE.coli SM10細胞へ形質転換し、E.coli CB101株へのmurF欠失 の移入における使用に適切な細菌細胞の集団を生産する。 図5に示されるように、プラスミドpCB243を有するSM10細菌細胞を用いて、不 可逆的に非機能的な(すなわち、内部欠失を有する)murF遺伝子を、プラスミド pCB240で形質転換されたE.coli CB101株へ上記の接合プロトコル(Donnenbergお よびKaper 1990)によって移入する。CB101細菌細胞の染色体への、不可逆的に 改変されたmurF遺伝子の取り込み、および不可逆的に改変されたmurF遺伝子での 、後者の細菌細胞の全長野生型murF遺伝子の置換を、CB101染色体DNAのPCR分析 で確認する。murF遺伝子に内部欠失を含むCB101細菌株をCB102と称する。 次いで、細菌株CB102をプラスミドpCB239で形質転換して、プラスミドpCB240 を置換し得る。プラスミドpCB239を有する細菌株CB102をCB103と称する。 実施例2 別のmurF欠損細菌宿主、TK-48の構築 murF遺伝子に変異を有する、特定の温度感受性細菌細胞変異体(例えばTKL-46 )は、30℃で増殖し得るが、42℃の非許容温度では増殖し得ない。これらの変異 体が非許容温度で増殖し得ないのは、これらが、murF遺伝子における変異に起因 して、完全かつ機能的な細胞壁テトラペプチドを集合し得ないという事実に起因 する。これらの変異体は、本発明の細胞培養系で細菌宿主として使用し得る。 従って、DNA免疫化および遺伝子治療での使用に適切な組換えプラスミドの生 産系を、これらの温度感受性細菌細胞(例えば、E.coli TKL-46株またはその派 生株)の中に、42℃で機能的なmurF遺伝子を含む組換えプラスミドを含有させる ことにより構築し得る。この細菌細胞を42℃で増殖させることによって、この組 換えプラスミドを有する細胞のみが生存し得る。 本実施例において、宿主として有用な、TKL-46のより好ましい派生株を調製し た。E.coli TKL-46株(Lugtenbergら,J Bacteriology(1972)110:35-40)をColi G enetic Stock Center(CGSC)から得た。TKL-46細菌細胞を、抗生物質であるナ リジクス酸を含むLBブロス中で30℃で最初に増殖させ、TKL-47と称するナリジク ス酸耐性株を選択した。相同組換えを行なう細胞の能力を破壊するために、TKL- 47細胞を、(ナリジクス酸感受性、recA陰性の)細菌株JC10240との接合によっ てrecA陰性にした。従って、これらの染色体は、導入されたプラスミドDNAに由 来するいずれの遺伝物質も取得し得ない。TKL-47細胞から誘導されたrecA陰性細 胞をTKL-48と称した。 TKL-48細菌細胞を30℃で増殖させ、次いでコンピテントな細菌細胞の調製のた めに用いた。コンピテントなTKL-48細菌細胞を、機能的なmurF遺伝子を有するプ ラスミドpCB239で形質転換し、TKL-49と称する細菌株を生産する。次いで、TKL- 49細菌細胞を、組換えプラスミドの保持およびプラスミドDNA生産のための方法 のように、42℃で増殖させる。 宿主としてのCH102またはTKL-48細菌細胞の代替物として、さらなる改良型を 、望ましい天然の性質を有する細胞の染色体においてmurF遺伝子を改変すること で構築する。例えば、いくつかのE.coli株は、プラスミドDNAを分解するエンド ヌクレアーゼのような酵素が欠損している。これらの宿主の染色体を、例えば、 温度感受性型のmurFを提供するために改変し得るならば、これらの宿主はTKL-48 に対して有利な代替物を提供する。 TKL-46由来の温度感受性murF遺伝子を、プライマーとしてmurF3およびmurF4を 用いるPCRを使用して適切な配列を増幅することによって得た: murF3(上流プライマー): 5'gccggatcccgatcgcgtcacggtggcgcg3' murF4(下流プライマー): 5'gaagatctcagcgcgtgcagcaggctgacagtggcgcga3' 。 増幅されたヌクレオチド配列をpUC19のBamHI部位にクローン化し、そしてこの ヌクレオチド配列を、ジデオキシヌクレオチド法を用いて決定した。増幅された 遺伝子の完全なヌクレオチド配列は、図11に示されており、そして図11に示され たように862位および990位で野生型の遺伝子とは異なる。862位のGのAでの置 換によってアラニンではなくトレオニンを生じ;990位でのGACコドンの付加は、 ペプチド配列へのアスパラギン酸残基の付加を生じる。 次いで、望ましい特徴を有する宿主株を、典型的には、相同組換えによって野 生型murF遺伝子を温度感受性型遺伝子で置換することにより改変して、改良され た細菌宿主を得る。 こうして、CB102もしくはTKL-48、または温度感受性murF遺伝子を含むように 改変された他の所望の細菌のいずれかは、murF遺伝子中に不可逆的な染色体変異 を有し、遺伝子またはコードされたmurFタンパク質を用いられた培養条件下で非 機能的にし、導入されたプラスミドが用いられた培養条件下で機能的なmurF遺伝 子を有する、適切な宿主として使用され得る。その生産レベルは、マーカー遺伝 子がアンピシリンをコードするプラスミドpBR322に含まれる外来DNAの生産に匹 敵し得る。 実施例3 さらなるmurF含有プラスミドの構築 実施例1に記載されるmurE1プライマーおよびmurE2プライマーを用いて、染色 体murE遺伝子を、E.coli JM105 ゲノムDNAからPCR増幅し、そしてpUC18のBamHI 部位にクローン化した。得られたプラスミドpMO101を、murEプロモーターおよび murE3’末端の約330塩基対を除いて、murE遺伝子の大部分を除去するNruIで切 断した。実施例1に記載されたように増幅されたmurF遺伝子を、pMO101のNruI部 位に連結し、そして、その連結混合物をE.coli JM109へ形質転換した。pMO102お よびpMO106と称する2つのプラスミドを同定した。これらは逆の方向でmurFコー ド配列を含む。pMO106は、murEプロモーターに対して作動可能に連結されたmurF 遺伝子を正しい方向で含み、murFタンパク質を発現する;pMO102は、誤った方向 でmurFを含み、従って、この遺伝子を発現しない。pMO102およびpMO106の構築の 概要を図6に示す。 murF遺伝子を含むさらなるプラスミドを以下の通りに構築した: pHW203を、インビトロでの真核生物細胞へのトランスフェクション効率を試験 するための系として構築した。pCMVB(Clonetechから入手可能であり、哺乳動物 細胞中で作動可能なプロモーターの制御下にあるβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を 含む)を、EcoRIで切断し、クレノウで処理し、そしてmurF遺伝子を含むpMO106 に由来しクレノウでフィルインされたフラグメントにBamHIで連結した。得られ たプラスミドをBstHIで切断してアンピシリン耐性遺伝子を除去し、そして再度 連結した。再度連結された生成物をTKL-48へ形質転換し、そしてプラスミドpHW2 03を含む単離されたコロニー(このコロニーをTKL-52と称した)を、そのプラス ミドの大量生産に用いた。 murF遺伝子が真核生物宿主におけるDNA免疫化に何らかの効果を有するかどう かを評価するために、プラスミドpCB253を構築した。R.Braunから得た宿主プラ スミドpSLRSVGIV.mdlは、ラウス肉腫ウイルスプロモーターの制御下でウシヘル ペスウイルス由来の糖タンパク質IV(GIV)をコードする遺伝子を含み;それゆ え、このプラスミドは、脊椎動物における免疫原の生産のための発現系を含む。 murEプロモーターの制御下でmurF遺伝子を含むpMO106に由来するBamHI DNAフラ グメントを、pSLRSVGIV.mdlのMsc部位に連結し、そして、その連結混合物を(Ne w England Biolabsから入手した)JM109細胞へ形質転換した。好結果の形質転換 体から分離されたプラスミドをBstHIで消化してアンピシリン耐性遺伝子を除去 し、再度連結し、次いでTKL-48へ形質転換して、生成物であるプラスミドpCB253 を得た。TKL-51と称するこのpCB253コロニーを、このプラスミドの大量調製に用 いた。 先の段落において、コンピテント細胞をプラスミドDNAと混合し、そして氷上 で30分間インキュベートすることによって、TKL-48を、pMO102、pMO106、pCB253 、またはpHW203で形質転換した。次いで、細胞に42℃で90秒間の熱ショックを与 え、次いで1mlのLBブロス中で30℃で2時間インキュベートした。次いで、細胞 を、LB/0.1%チミンプレート上にプレートし、42℃で一晩インキュベートした 。得られた形質転換細胞系を以下のように称した: pMO102-TKL-49A; pMO106-TKL-50; pCB253-TKL-51; pHW203-TKL-52。 当然、TKL-49A細胞は、30℃でのみmurF遺伝子産物を生産し、これらは、30℃ で選択マーカーとしてのアンピシリンの存在下でのプラスミドの収量を評価する ためのコントロールとして使用される。プラスミドの収量は、42℃で、残った細 胞系へのアンピシリンの添加なしで評価され得た。 実施例4 プラスミドの収量 TKL-50、TKL-51、およびTKL-52細胞を、細胞を42℃でアンピシリンの添加なし で増殖する際のプラスミドの収量を評価するために用いた。TKL-49A細胞をコン トロールとして使用した。LB/チミンプレートからシングルコロニーを拾い、2 mlのTB/チミンブロス中に接種し、そして6時間、42℃(TKL-49Aについてはア ンピシリンの存在下で30℃)でインキュベートした。次いで、細胞を10mlのTB/ チミンブロス中へ接種し、4時間以上増殖させ、次いで、250mlのTB/チミンブ ロス中へ接種し、そしてさらに12時間増殖させた。プラスミドを、製造業者によ って推奨されたようにQuiagenカラムを用いて細胞から抽出し、そしてプラスミ ドの収量をO.D.260およびO.D.280を計算することによって決定した。プラスミド の純度を、アガロースゲル上でのプラスミドのアリコートの分析によって決定し た。 プラスミドの収量をまた、14リットルNBS Microferm装置中での10リットル供 給バッチ(fed-batch)酸素濃縮発酵で、0.01%チミンを補充したTBブロスにお いて、撹拌速度200rpm、曝気流0.6VVM(61/分、5psig)および7.2に保持されたp Hで、決定した。プラスミドの収量を、Quiagenカラム法を用いて、培養培地のア リコートからの以下のプラスミドDNA抽出物から決定した。 振とうフラスコ(3調製物)または10リットルの発酵槽(運転2回分)中で増 殖した細胞からの収量を表1に示した。 a振とうフラスコおよび発酵槽運転からのプラスミドの収量は、プラスミドDNAの 調製のために使われた培養体積(5、10、および25ml)のアリコートから推定さ れる。b 培養物1リットルあたりのg乾燥重量(g/L)を、以下の式から決定した: g/L=0.08+0.63(O.D.660)c 収量はpMO102およびpMO106についての2回の発酵の平均である。pCB253の収量 は1回の発酵運転から導かれた。d 決定されていない 図7は、TKL-50株で生産されたプラスミドpMO106について決定した、プラスミ ドの絶対収量およびプラスミドの比収量を示す。 実施例5 プラスミドの安定性 TKL-50株でのプラスミドpMO106の安定性を、以下のようなプラスミドの保持に ついて異なる選択圧の下での170世代にわたる増殖について評価した。細胞を、T B/0.1%チミンブロス中で30℃または42℃のいずれか一方で増殖させた。サンプ ルを、適切な温度での異なる世代数の後に採取し、希釈し、そしてTB/チミンプ レート上にプレートし、そして30℃でインキュベートした。次いで、コロニーを TB/チミン/アンピシリンプレート上に複製し、そして30℃または42℃でインキ ュベートした。プラスミド含有細胞の%を、30℃または42℃でのアンピシリンの 存在下および非存在下で増殖するコロニーの数を比較することで決定した。プラ スミドの存在を、プラスミドの調製のための小規模のアルカリ溶菌法でさらに確 認した。 プラスミドpMO106は、30℃で増殖した細胞から徐々に消失したが、図8に示さ れるように、42℃で170世代の増殖で増殖させた細胞の100%で保持された。プラ スミドpMO106の完全性を、制限分析で確認した。 TKL-49A細胞をまた、30℃でアンピシリンの存在下で増殖することにより試験 した;プラスミドpMO102は、120世代の細胞の100%で保持された。 実施例6 インビトロでのトランスフェクションの有効性 上記のプラスミドpCMVBおよびpHW203をこのアッセイで使用した。それぞれ2 μgのプラスミドを、製造業者の推奨にしたがって、種々の量のリポフェクタミ ン(lipofectamine)(Gibco/BRL)と別々に混合し、そしてマウス線維芽細胞L- 929細胞へトランスフェクトした。トランスフェクションの効率を、X-gal比色ア ッセイ(colorometric assay)で、1ウェルあたりの細胞の総数に対するβ−ガ ラクトシダーゼを発現する細胞の数を数えることで決定した。 同様のトランスフェクション効率は、図9に示されたように、両方のプラスミ ドについて見い出された。 実施例7 免疫におけるmurF遺伝子の効果 10匹のマウスの群を、(上記の)プラスミドpCB253、pSLRSVGlV.mdlのいずれ かのそれぞれ100μg、または空のベクター(null vector)で筋肉内で2回(2 週間の間隔をおいて)免疫した。2回目の注射の1週後および3週後に、マウス から採血し、そしてその血清を、ELISA検定を用いてGIV糖タンパク質に対して特 異的に免疫反応性の抗体の存在について分析した。同様の抗体の力価は、図10に 示されるように、両方の場合について見い出された。 実施例8 ヒト配列に対するmurF相同性の欠如 ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データベースの検索は、murF遺伝子/タンパ ク質に関連する配列が、公知のヒト遺伝子/タンパク質配列のいずれに対しても 相同性を有さないことを示した。この相同性の欠如を確認するために、Promega Corporationから購入されたヒトゲノムDNAを、EcoRIおよびBamHIで消化し、そし てBamHIで切断されたpMO106でスパイクした。ゲノムDNAを、0.7%のアガロース ゲルで、pMO106由来のmurF遺伝子、murF遺伝子コード配列自体、およびEcoRI線 状化プラスミドpMO106を含むBamHIフラグメントとともに電気泳動した。キャピ ラリートランスファーを用いてのナイロン膜へのトランスファーの後、DNAを製 造業者の指示にしたがって紫外線架橋により固定した。この膜を、6×SSC、0.5 %ドデシル硫酸ナトリウム(sodium dodecosulfate)中で50℃で8時間プレハイ ブリダイズし、次いで32PdCTPで標識された全長murF DNAプローブで12時間ハイ ブリダイズした。ブロットを、2×SSC、0.5%SDSで30分間、22℃で2回洗浄し、 次いで1×SSC、0.5%SDSで50℃で、30分間で2回洗浄した。乾燥およびX線フィ ルムへの16時間〜2週間の露出の後、ヒトゲノムDNAとのハイブリダイゼーショ ンシグナルは検出されなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12P 13/08 C12R 1:19) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,IT,L U,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF ,CG,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE, SN,TD,TG),AP(KE,LS,MW,SD,S Z,UG),UA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD ,RU,TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ ,BA,BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN, CU,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,GB,G E,HU,IL,IS,JP,KE,KG,KP,KR ,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV, MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO,NZ,P L,PT,RO,RU,SD,SE,SG,SI,SK ,TJ,TM,TR,TT,UA,UG,UZ,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.組換えプラスミドを安定に高レベルで生産するための培養系であって、遺伝 子操作された細菌細胞および組換えプラスミドを含み、 ここで該細菌細胞の染色体は、該細菌細胞に対して毒性の第1物質の生産をも たらすように不可逆的に改変され、そして ここで該組換えプラスミドは、該培養系の培養条件下で該第1物質の毒性を中 和するのに有効な第2物質の生産をもたらす遺伝物質を含み、そして真核生物に おいてのみ機能的な制御配列に作動可能に連結された外来DNAを必要に応じてさ らに含み、これにより、該外来DNAが真核生物細胞において発現されるが、原核 生物細胞においては発現されない、培養系。 2.前記第1物質がhok遺伝子の産物であり、そして前記第2物質がsok遺伝子の 産物であるか、または前記第1物質がflmA遺伝子の産物であり、そして前記第2 物質がflmB遺伝子の産物である、請求項1に記載の細胞培養系。 3.細菌細胞と共に用いられる安定な組換えプラスミドであって、該細胞は、細 菌細胞に対して毒性の第1物質の生産をもたらすように不可逆的に改変されたそ の染色体を有し、 ここで該組換えプラスミドは、該第1物質の毒性効果を中和する第2物質の生 産をもたらす遺伝物質を含み;そして真核生物においてのみ機能的な制御配列に 作動可能に連結された外来DNAを必要に応じてさらに含み、これにより、該外来D NAが真核生物細胞において発現されるが、原核生物細胞においては発現されない 、プラスミド。 4.前記第1物質がhok遺伝子の産物であり、そして前記第2物質がsok遺伝子の 産物であるか、または前記第1物質がflmA遺伝子の産物であり、そして前記第2 物質がflmB遺伝子の産物である、請求項3に記載のプラスミド。 5.細菌細胞に対して毒性の第1物質の生産をもたらすように不可逆的に改変さ れたその染色体を有する細菌細胞であって、該細胞は、請求項3または4に記載 のプラスミドをさらに含む、細胞。 6.プラスミド中に含有されたDNAを複製する方法であって、請求項5に記載の 細胞を、該細胞の生存度が該細胞中の該プラスミドの存在に依存する条件下で培 養する工程を包含する、方法。 7.組換えプラスミドを安定に高レベルで生産するための培養系であって、遺伝 子操作された細菌細胞および組換えプラスミドを含み、 ここで該細菌細胞の染色体は、該細胞が、必須代謝物を生産できず、そしてま た培養培地から該代謝物を取り込むことができなくなるように不可逆的に改変さ れ、そして ここで該組換えプラスミドは、該代謝物を合成する能力または該培地から該代 謝物を取り込む能力あるいはその両方のいずれかを回復する遺伝物質を含み、そ して真核生物においてのみ機能的な制御配列に作動可能に連結された外来DNAを 必要に応じてさらに含み、これにより、該外来DNAが真核生物細胞において発現 されるが、原核生物細胞においては発現されない、培養系。 8.前記必須代謝物がリジンである、請求項7に記載の培養系。 9.リジンの合成不能が、lysA遺伝子の変異によってもたらされ、そして/また は培地からのリジンの取り込み不能が、lysP遺伝子の破壊によりもたらされる、 請求項8に記載の培養系。 10.細菌細胞と共に用いられる安定な組換えプラスミドであって、該細胞は、 該細胞が、必須代謝物を生産できず、そしてまた培養培地から該代謝物を取り込 むことができなくなるように不可逆的に改変されたその染色体を有し、 ここで該組換えプラスミドは、該代謝物を合成する能力または該培地から該代 謝物を取り込む能力あるいはその両方のいずれかを回復する遺伝物質を含み、そ して真核生物においてのみ機能的な制御配列に作動可能に連結された外来DNAを 必要に応じてさらに含み、これにより、該外来DNAが真核生物細胞において発現 されるが、原核生物細胞においては発現されない、プラスミド。 11.前記必須代謝物がリジンである、請求項10に記載のプラスミド。 12.リジンの合成不能が、lysA遺伝子の変異によってもたらされ、そして/ま たは培地からのリジンの取り込み不能が、lysP遺伝子の破壊によりもたらされる 、請求項11に記載のプラスミド。 13.細胞が必須代謝物を生産できなくなり、そしてまた培養培地から該代謝物 を取り込むことができなくなるように不可逆的に改変されたその染色体を有する 細菌細胞であって、該細胞は、請求項10から12のいずれかに記載のプラスミ ドを含む、細胞。 14.プラスミド中に含有されたDNAを複製する方法であって、請求項13に記 載の細胞を、該細胞の生存度が該細胞中の該プラスミドの存在に依存する条件下 で培養する工程を包含する、方法。 15.組換えプラスミドを安定に高レベルで生産するための培養系であって、遺 伝子操作された細菌細胞および組換えプラスミドを含み、 ここで該細菌細胞の染色体は不可逆的に改変され、そして該細菌細胞が、該細 菌細胞の生存度が該組換えプラスミドに依存するような条件下で増殖され、そし てここで該プラスミドが、該染色体改変を機能的に補足する遺伝物質を含み、 ここで該遺伝物質が、真核生物細胞において機能的または構造的な等価物を有 さず;そして ここで該遺伝物質により発現されるタンパク質は、いかなる真核生物細胞成分 においても作用し得ず;そして ここで該遺伝物質により発現されるタンパク質または該タンパク質の存在から 生じる産物は、該細菌細胞により分泌されず、しかも該細菌細胞に対して毒性で なく;そして ここで該プラスミドは、真核生物においてのみ機能的な制御配列に作動可能に 連結された外来DNAをさらに含み、これにより、該外来DNAが真核生物細胞におい て発現されるが、原核生物細胞においては発現されない、培養系。 16.前記染色体が、細菌細胞壁の合成を破壊するように改変される、請求項1 5に記載の細胞培養系。 17.前記染色体が、前記細菌細胞が前記細胞壁の生合成における段階を触媒す る酵素を合成することができなくなるように改変される、請求項16に記載の細 胞培養系。 18.前記酵素が、L-アラニンの細胞壁多糖への付加(L-Ala付加酵素);D-グ ルタミン酸の該多糖鎖に結合したL-アラニンへの付加(murD);L-アラニン/D- グルタミン酸ジペプチドへのdapの付加(murE);およびD-アラニンの該細菌細 胞壁のL-アラニン/D-グルタミン酸/dapトリペプチドへの付加(murF)からな る群から選択される反応を触媒する、請求項17に記載の細胞培養系。 19.細菌細胞と共に用いられる安定な組換えプラスミドであって、該細菌細胞 は、該細菌細胞が適切な条件下で増殖されるとき、該細菌細胞の生存度が該プラ スミドに依存するように不可逆的に改変された染色体を有し、そしてここで該プ ラスミドが、該染色体改変を機能的に補足する遺伝物質を含み、 ここで該遺伝物質が、真核生物細胞において機能的または構造的な等価物を有 さず;そして ここで該遺伝物質により発現されるタンパク質は、いかなる真核生物細胞成分 においても作用し得ず;そして ここで該遺伝物質により発現されるタンパク質または該タンパク質の存在から 生じる産物は、該細菌細胞により分泌されず、しかも該細菌細胞に対して毒性で なく;そして ここで該プラスミドは、真核生物においてのみ機能的な制御配列に作動可能に 連結された外来DNAをさらに含み、これにより、該外来DNAが真核生物細胞におい て発現されるが、原核生物細胞においては発現されない、プラスミド。 20.前記染色体改変を機能的に補足する遺伝物質が、細菌細胞壁の合成に関連 する、請求項19に記載のプラスミド。 21.前記遺伝物質が、前記細胞壁の生合成における段階を触媒する酵素をコー ドする、請求項20に記載のプラスミド。 22.前記酵素が、L-アラニンの細胞壁多糖への付加(L-Ala付加酵素);D-グ ルタミン酸の該多糖鎖に結合したL-アラニンへの付加(murD);L-アラニン/D- グルタミン酸ジペプチドへのdapの付加(murE);およびD-アラニンのL-アラニ ン/D-グルタミン酸/dapトリペプチドへの付加(murF)からなる群から選択さ れる反応を触媒する、請求項21に記載のプラスミド。 23.細菌細胞であって、該細菌細胞が適切な条件下で増殖されるとき、該細菌 細胞の生存度が請求項19から22のいずれかに記載のプラスミドに依存するよ うに不可逆的に改変された染色体を有し、そして該プラスミドをさらに含む、細 胞。 24.プラスミド中に含有されたDNAを複製する方法であって、請求項23に記 載の細胞を、該細胞の生存度が該細胞中の該プラスミドの存在に依存する条件下 で培養する工程を包含する、方法。 25.所望のDNAを真核宿主生物または細胞に提供する方法であって、該方法は 、該宿主生物または細胞に、請求項6、14または24に記載の方法によって調 製 されたDNAを投与する工程を包含する、方法。 26.複製されたプラスミドDNAを含有する原核生物細胞を調製する方法であっ て、請求項5、13または23に記載の細胞を、該細胞の生存度が該細胞中の該 プラスミドの存在に依存する条件下で培養する工程;および該細胞を回収する工 程を包含する、方法。 27.所望のDNAを真核生物宿主に提供する方法であって、該方法は、請求項2 6に記載の方法によって調製された細胞を、該宿主に投与する工程を包含する、 方法。
JP9515377A 1995-10-17 1996-10-17 組換えプラスミドの生産方法 Ceased JPH11513562A (ja)

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