JP2004527540A - 三分子複合物を主成分とする表皮保全用化粧品 - Google Patents

Abstract

本発明は、三分子複合物を主成分とする表皮保全用化粧品を対象とするものである。酵素、サイトカイン、ビオスチムリンという三つの活性要素を組み合わせたものである。酵素には皮膚に対して角質溶解効果があり、サイトカインには細胞活性を促進し、ひいては細胞の新陳代謝を促進する機能があり、ビオスチムリンには細胞の酸素供給を助長する機能があり、それが生命力エネルギーの源となる。本発明は美容術に応用される。

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は、三分子複合物を主成分とする表皮保全用化粧品を対象とするものである。
【背景技術】
【０００２】
現行技術は、サイトカインの作用について述べている以下の特許により明らかにすることが可能である。
【０００３】
欧州特許第０８２６３６７号明細書は、コラーゲンの合成を促進させるためのブラジルナッツエキスの作用について述べている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、化粧品または薬品、特に皮膚科の分野で、細胞培養培地を作成するブラジルナッツエキスの新しい使用法に関するものである。
【０００５】
本発明は特に、化粧品または薬品の分野において、コラーゲンＶＩＩの合成を促進し及び／またはビタミンＣを皮膚細胞、特に線維芽細胞に取り入れることを助長することを目指すものである。
【０００６】
本発明はまた、ブラジルナッツエキスを含ませた新しい細胞培養培地に関するものでもある。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
仏国特許公開第２７４３８１７号明細書：
本発明は皮膚再建のモデルに関するものであり、該モデルは、媒体上に表皮同等物を含み、前記表皮同等物は少なくとも、ケラチン生成細胞とランゲルハンス細胞及び／またはランゲルハンス細胞前駆体、並びに前記表皮同等物を作成する方法をも含んでいることを特徴としている。
【０００８】
本発明はまた、表皮同等物に関するものでもあり、該表皮同等物は、少なくともケラチン生成細胞とランゲルハンス細胞及び／またはランゲルハンス細胞前駆体、並びにその表皮同等物を作成する方法をも含んでいることを特徴としている。
【０００９】
本発明による化粧品は、活性要素を組み合わせて用いることによって皮膚の特性を再活性化させ、それにより、皮膚の柔軟性と活力と弾力性を保つことを目的とするものである。
【００１０】
本発明は要するに、それぞれ固有の機能をもつ酵素、サイトカイン、ビオスチムリンの三つの分子を組み合わせるということである。
【発明の効果】
【００１１】
これら三つの機能を組み合わせることで、とりわけ皮膚において目に見える、目覚しい結果をもたらす。
【００１２】
酵素には、皮膚に対する角質溶解効果がある。
【００１３】
サイトカインには細胞活性を促進し、ひいては細胞の新陳代謝を促進する機能がある。
【００１４】
ビオスチムリンには細胞の酸素供給を助長する機能があり、それが生命力エネルギーの源となる。
【００１５】
コラーゲンとエラスチンを合成することで、皮膚を確実に活力と弾力性のあるものにする。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
酵素は枯草菌のものである。
【００１７】
サイトカインは乳蛋白質から抽出したポリペプチドである。
【００１８】
ビオスチムリンは、ヨーロッパブナであるブナの若芽の新鮮な組織から抽出したものである。
【００１９】
互いに作用するために組み合わせて用いられる活性要素は、以下のものである。
・角質溶解効果をもつ酵素。このようなバイオテクノロジー的分子の役割は、落屑する角質細胞を消化して排除することである。
このような分子により活性要素を完全に吸収することが助長され、細胞の皮膜の質の改善を確実に行うことになる。
・細胞の自己制御に関して重要な分子であるサイトカイン。サイトカインは、ある種の細胞（白血球、免疫系細胞）から発せられるペプチド性のメッセンジャーである。これらサイトカインは他の細胞の受容体に作用して、それにより、数多くの生体反応が誘発され、ひいては細胞を新しくすることになる。
サイトカインは乳から抽出したものである。それらは、生物学的活性を有する、選ばれたポリペプチド（アミノ酸群）であり、その生物学的活性は調節され、かつ検証可能なものである。
・細胞に酸素を供給し、蛋白質合成を助長するビオスチムリン。人間の皮膚組織の蛋白質と非常に似通った組成をもつブナの若芽の新鮮な組織のビオスチムリンは、
・生命力エネルギーの源となる細胞の酸素供給と、
・活力と弾力性を保証するコラーゲンとエラスチンの合成とを、
助長する。
【００２０】
角質溶解効果をもつ酵素。微生物すなわち枯草菌の発酵により抽出した酵素（プロテアーゼ）の能力は、要するに落屑する角質細胞を排除するということである。その天然の酵素作用により皮膚を穏やかに掃除することができ、そのようにして皮膚の新陳代謝を促すことができる。必要に応じてそのような作用を長期にわたるものにする。角質細胞の死んだケラチンは消化され、落屑する細胞の凝集は破壊され、皮膚の新陳代謝が加速される。
【００２１】
ビオスチムリンは、ブナ（ヨーロッパブナ L）の若芽の新鮮な組織から得られる。一年の内の正確に定まった短い期間(収穫期)に、そのような組織の植物性ビオスチムリンの濃度は高まる。
【００２２】
そのようなビオスチムリンのアミノ酸は、皮膚組織を構成する蛋白質（コラーゲン）に類似のものである。それらは、細胞の代謝においてきわめて重要な役割を果たす、必須の分子（無機塩類、ペプチド）とアミノ酸（プロリン 、トリプトファン、アラニン）にも富んでいる。
【００２３】
ビオスチムリンを２０％で用いると、酸素の消費が７１％（８８３０オキシグラフ単位）増加するので、オキシグラフの値も非常に大きくなる。
【００２４】
ビオスチムリンは、線維芽細胞や角質細胞に対して細胞毒性をもつものではなく、角質細胞が、皮膚レベルで本発明の製品の作用の恩恵を受けることになるのである。
【００２５】
ビオスチムリンは、ケラチン、フィラグリン、インボルクリン、輸送蛋白質、免疫蛋白質等の、角質細胞が生成する必須蛋白質の合成に作用することもあり得る。
【００２６】
ビオスチムリンを０．４％添加すると、それに誘発されて、蛋白質合成が４２％増加する。
【００２７】
ビオスチムリンは接触する細胞の形態を変化させることはなく、また細胞増殖を誘発させることはない。
【００２８】
老化は、身体全体の様々な部位に作用する動的プロセスである。
【００２９】
遺伝的にプログラムされた生来の老化プロセスの他にも、外的な変調が加わることにより、皮膚の構造／機能の関係の変化が引き起こされる。そこで必要となるのは、生物学的老化と促進された（早すぎる）老化とを区別することである。
【００３０】
皮膚の構造／機能の関係は、皮膚において細胞外気質と細胞との間に生じるものである。
【００３１】
細胞外基質は高度に組織化された複雑な区画であり、様々なタイプのコラーゲン、エラスチン、プロテオグリカン、ラミニン及びフィブロネクチンで構成されている。
【００３２】
細胞は、その細胞外区画についての一定の分子情報を維持し、それにより、その環境の変化に適合していかなければならない。
【００３３】
そのような情報は細胞受容体とインテグリン（粘着分子）とを介して伝達され、それらによって、細胞の活性とその細胞が属する組織の活性（機能）とをうまく連関させることができる。
【００３４】
調節のメカニズムとそれらメカニズムの制御因子に関する知識は非常に幅広いものになっている。
【００３５】
サイトカインという用語は一般的なもので、明らかになっているいくつかのポリペプチドを包含するものである。そのようなポリペプチドは、シグナル分子と成長因子、または抑制因子とを兼ねて細胞の情報系の役割を果たすものであり、それぞれに一定の任務を負っている。そのような分子は、特定の受容体の助けを借りて細胞と相互作用を行う。
【００３６】
サイトカインは、細胞と細胞外環境との間の機能の平衡である恒常性の、良好な維持と回復を制御する。
【００３７】
サイトカインは、細胞を制御する上で重要な分子である。そのような成分の相互作用が統合されて皮膚の健全性が回復され維持されることになる。
【００３８】
サイトカインにおいては、乳は、それ自体が、生命を維持するためのほぼ完全な栄養分であるが、乳は単なる栄養分の源というよりは、それをはるかに越えるものである。乳に含まれる生物学的に活性のポリペプチドの種類は莫大なものであり、いくつかの細胞機能を促進し、調節するだけでなく抑制することもできることが明らかになっている。
【００３９】
益々多くの証拠により、乳ペプチドの有する生理学的機能が本物であることを確認することができるようになっている（この問題の概略を理解するには、Ｂｒｉｔｔｏｎ ａｎｄ Ｋａｓｔｉｎ，Ａｍ．Ｊ．Ｍｅｄ．Ｓｃｉ．１９９１，３０１（２），１２４−１３２ を参照されたい）。
【００４０】
そのような乳ペプチドの幾つかの役割は立証されている。それらは、皮膚を良好な状態に維持する役割を担う細胞プロセスの天然の媒介物質として作用している（Ｐｉｔｔｅｌｋｏｗ， Ａｄｖｅｎｃｅｓ ｉｎ Ｄｅｒｍａｔｏｌｏｇｙ ｖｏｌ． ７．５５−８１ （１９９１）参照）。
【００４１】
そのようなポリペプチドは、ペプチド成長因子の一部をなすものであり、サイトカインとして分類されるものである。
【００４２】
乳の中から以下のような最も重要なサイトカインの大部分を単離することができた。
・表皮成長因子（ＥＧＦ）（Ｃａｒｐｅｎｔｅｒ，１９８０；Ｂｅａｒｄｍｏｒｅ，Ｒｉｃｈａｒｄｓ，１９８３；Ｐｅｔｒｉｄｅｓ ｅｔ ａｌ．，１９８５；Ｙａｇｉ ｅｔ ａｌ．，１９８６）
・形質転換成長因子α（ＴＧＦ−α）（Ｓｗｅｉｂｅｌ ｅｔ ａｌ．，１９８６；Ｏｋ ａｄａ ｅｔ ａｌ．，１９９１）
・ 形質転換成長因子β−1及びβ−２（ＴＧＦ−β１，２）（Ｃｏｘ，Ｂｕｒｋ，１９９１；Ｊｉｎ ｅｔ ａｌ．，１９９１）
・コロニー刺激因子（ＣＳＦ）（Ｓｉｎｈａ，Ｙｕｎｉｓ，１９８３）
・インシュリン様成長因子Ｉ及びＩＩ（ＩＧＦ）（Ｓｕｉｋｋａｒｉ，１９８９； Ｎａｇａｓｈｉｍａ ｅｔ ａｌ．，１９９０；Ｄｏｎｏｖａｎ ｅｔ ａｌ．，１９９１）
・インターロイキン−１及び２（ＩＬ−１，ＩＬ−２）（Ｓｏｄｏｒ，１９８７；Ｂｒｉｔｔｏｎ ｅｔ ａｌ．， １９９１）
・神経成長因子（ＮＧＦ）（Ｂｒｉｔｔｏｎ ｅｔ ａｌ．， １９９１）
【００４３】
乳中に存在するサイトカインは、不活性化された形のものである。幾つもの手順からなる方法により、乳から、そのようなサイトカインをそれら本来の生物学的活性の状態まで回復させることが可能になっている。
【００４４】
このような複合物にはラクトアルブミン、ラクトース、ラクトグロブリン、ラクトフェリンも含まれている。そのような成分には、化粧品物質としてそれぞれ固有の価値や機能があるが、必須の機能はなによりもまずサイトカインを活性化された状態で安定化させることである。

Claims (5)

1. ・酵素、
   ・サイトカイン、
   ・ビオスチムリン
   という三つの活性要素を組み合わせたものであることを特徴とする、皮膚の柔軟性、活力及び弾力性を保つために皮膚の特性を再活性化するための化粧品。
2. 酵素には皮膚に対して角質溶解効果があり、サイトカインには細胞活性を促進し、ひいては細胞の新陳代謝を促進する機能があり、ビオスチムリンには細胞の酸素供給を助長する機能があり、それが生命力エネルギーの源となることを特徴とする、請求項１に記載の化粧品。
3. 酵素が枯草菌のものである
   ことを特徴とする、請求項１と２のいずれかに記載の化粧品。
4. サイトカインが乳蛋白質から抽出したポリペプチドである
   ことを特徴とする、請求項１と２のいずれか一つに記載の化粧品。
5. ビオスチムリンが、ヨーロッパブナであるブナの若芽の新鮮な組織から抽出したものである
   ことを特徴とする、請求項１と２のいずれかに記載の化粧品。