JP2004506816A - タンパク質性繊維を処理する方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、タンパク質性繊維を酵素処理する方法に関する。本方法では、酵素の機能に適切な条件下に、タンパク質繊維とチロシナーゼ酵素を含有する水溶液とを接触させる。チロシナーゼ酵素は、植物、動物または微生物由来などの様々な源に由来してよい。タンパク質性繊維には、ウール、ウール繊維または獣毛が含まれ、あるいはシルク、クモシルクまたはヒトの毛髪も含まれる。

Description

【0001】
本発明は、請求項1の導入部によるタンパク質性繊維を処理するための新規の方法および請求項27の導入部による方法により製造された製品に関する。
【0002】
(発明の背景)
ウール(羊毛)は、非常に複雑な、高度に架橋したタンパク質性繊維である。他のタンパク質繊維の例は、ヒトの毛髪、アルパカ、モヘア、カシミア、アンゴラ、ラマおよびシルクである。ウールタンパク質は、ケラチンである。純粋なウールは、タンパク質97%、脂質2%および塩類および炭水化物などの他の化合物1%からなる。大部分のケラチンは、微結晶性α−へリックス構造から構成されている。システインが大量に存在するためケラチンには鎖間または鎖内共有S−S−架橋が多い。これらの結合の開裂またはその再配列が、防縮加工またはセッティングなどの多くの重要なウール処理工程で行われる。共有架橋に加えて、水素結合、イオン結合および疎水性相互作用が、ウール中には存在する。
【0003】
ウールの収縮は、動物のケラチン繊維の代表的な特性である(Makinson、1979年)。収縮は、洗毛、カーディング、紡績、製織、後染めおよび仕上げを含むウール加工工程の間に生じる。Makinson(1979年)によると、ウールの収縮は、3つの異なるクラスに分けることができる:1)繊維の含水分に応じた吸湿膨張(hygral expansion)、2)ウールを水に浸すような加工の間に生じた水素結合が加工の後に再配列することにより生じる緩和収縮および3)繊維の毛元方向移動(rootward migration)により生じるフェルト化収縮、の3つである。吸湿膨張および緩和収縮は、基本的には変えられない特性であるが、フェルト化収縮は変えることができる。フェルト化収縮は、攪拌を必要とし、進行性である。フェルト化収縮の予防が、ウールの防縮には重要であり、そのためには繊維の毛元方向移動を防止する。
【0004】
ウールの防縮は、主に、2つの異なる方法を使用して実施されている;塩素/ハーコセット(Hercosett)方法およびディラン(Dylan)GRC法(Makinson、1979年;Lewis、1992年)である。いずれの方法も、塩素化および脱塩素化工程とそれに続くポリマー添加からなる。塩素によるスケールの化学的分解により、繊維中の帯電基の量が増加し、ジスルフィド架橋は酸化されて、システイン酸基になる(Makinson、1979年)。ポリマー処理の目的は、スケールをポリマー・フィルムで覆うことにより、スケールを軟化させることである(Makinson、1979年)。これらの方法に加えて、SIMPL−Xなど他のいくつかの方法が開発されている(EP618986号)。さらに、ポリマーのみの適用を特徴とする2つの方法即ち、Synthaprett BAP(Bayer)およびDC109(Dow Corning/PPT)がある(Byrne、1995年)。現在の防縮方法には、いくつかの欠点があり、例えば、塩素処理により環境に有害なAOX−化合物が生じることなどである。
【0005】
酵素によるウール加工に関する研究は、ペプチド架橋を加水分解するプロテイナーゼから始まった。Ellisにより検討されているように(1995年)、ウール加工のためにプロテイナーゼを使用することは文献では広範囲の研究が行われているが、プロテイナーゼ処理すると、強度および重量が著しく減少する。
ウール加工のための酵素的方法は例えば、次の特許文献に記載されている:WO96/19611号には、ウール繊維のスケールを変性するためにプロテイナーゼを使用して、フェルト化収縮に対する耐性を与えることが記載されている。WO98/27264号には、酵素とウールとの反応に適した条件下にウールとオキシダーゼまたはペルオキシダーゼ溶液とを接触させることを含む、ウールの収縮を低減するための方法が記載されている。US5529928号には、始めに化学的または酵素(例えば、ペルオキシダーゼ、カタラーゼまたはリパーゼ)処理工程、それからプロテイナーゼおよび熱処理を使用することにより、柔らかいウールの手触りと耐収縮性を有するウールを得る方法が記載されている。EP358386号には、タンパク質分解処理と、酸化処理(NaOClなど)とポリマー処理のいずれかまたはその両方、とからなるウール処理方法が記載されている。EP134267号には、動物性繊維をまず酸化剤で処理し、続いて塩をふくむ組成物中のタンパク質分解酵素で処理する方法が記載されている。WO99/60200号には、ウール(羊毛繊維または獣毛)をタンパク質分解酵素およびトランスグルタミナーゼで処理することが記載されている。
【0006】
ウールの耐収縮性を増すために、フェノールオキシダーゼに属するラッカーゼを使用する報告が、公表されている(WO94/25574号)。ラッカーゼ処理は、HBT−またはABTS−メディエーターを用いて実施されている。処理されたウールフランネルは、処理の後の収縮が少ないと報告されている。ラッカーゼ処理により生じる化学的変化は、分析されていない。ウールを含む繊維製品をオキシダーゼまたはペルオキシダーゼおよび特に、Trametes spp.またはPleurotus spp由来のラッカーゼと接触させることによりウールの収縮を減らす方法が、WO98/27264号に記載されている。しかしながら、強力なラジカル形成性のメディエーターであるHBTおよびABTSを用いると、ウール繊維は過剰に酸化されていたむことがある。さらに、例えばラッカーゼ/HBT反応で、ウールの着色が生じる。この着色は、後続のウールの染色段階に、悪影響を及ぼす。
【0007】
WO98/05816号には、セルロース性テキスタイルを過染色する酵素的方法が記載されている。この方法では、布や繊維製品を、単環式、二環式または多環式芳香族または複素芳香族化合物、過酸化水素源、ペルオキシダーゼおよび/またはオキシダーゼ、とを含有する水性染料系で処理する。WO00/31333号には、材料を還元建染め(バット)染料および/または還元硫化染料を含有する染料系で処理することにより、材料を染色する方法が記載されており、これらの還元染料は、酸素源およびオキシダーゼまたは過酸化水素源およびペルオキシダーゼを含有する酸化系で酸化される。WO99/15137号は、ケラチン性繊維を染色するために適した酵素の発泡組成物に関し、この組成物は、酸化酵素、発泡剤、染料前駆体および、場合によっては改質剤を含有する。これら3つの特許刊行物が開示する方法では全て、使用される酵素は染料または染料前駆体と反応するが繊維とは直接反応しない。US特許6140109号には、ウールを、過酸化水素源およびハロゲン化物源と共にハロペルオキシダーゼで処理することが記載されている。
【0008】
ウール工業で化学薬品を使用して収縮を防ぐことには著しい進歩がみられるが、化学的方法は多く環境に有害であるという欠点が残っている。一方酵素的方法の多くは、重量および強度を減らしてウールを傷める。したがって、耐収縮性その他の性質を改善しかつ既知の酵素的処理よりも繊維を傷めることが少ない、ウール、ウール繊維または獣毛材料を処理するための酵素方法の改良法は依然として必要とされている。
【0009】
(概要)
本発明の目的は、先行技術に伴う問題をとり除き、ウールまたはウール含有材料または他のタンパク質由来またはタンパク質含有材料を処理する方法におけるこれらの問題を解決することである。本発明は特に、タンパク性繊維を処理するための改良法を提供する。本方法は、チロシナーゼと材料の反応に適した条件下で、タンパク性材料と、チロシナーゼ酵素を含有する水溶液とを接触させることからなる。
より具体的には、本方法は主として請求項1の特徴部の記載により特徴付けられる。
【0010】
本発明の方法は、タンパク質含有繊維、例えばケラチン繊維を処理するために適用することができる。これは、ヒツジ、ヤギ、ラマ、ラクダ、ウサギなどから取れるウール、ウール繊維、アンゴラ、モヘア、カシミア、アルパカなどの獣毛、または商業価値のある他の獣毛製品を処理するのに適している。さらに、本発明の方法で、シルク、スパイダーシルク(クモの糸)またはヒトの毛髪を処理することもできる。繊維は、繊維、ウールトップ、糸、織物、ニットまたは衣料品の形であってもよい。
【0011】
チロシナーゼ酵素は、チロシナーゼを産生しうる植物、動物または微生物のどれに由来してもよいし、新しい源に由来してもよいし、適切な宿主生物中で遺伝子工学的に製造することもできる。この酵素は、タンパク質性材料中のチロシン残基の対応するヒドロキシ化合物への変換を触媒することができる。あるいは初めにヒドロキシ化合物にしてからキノンにする変換を触媒することができる(図1参照)。
【0012】
好ましくは、この酵素は、ベリー類、果実(グレープフルーツ等のかんきつ類、リンゴ、ナシ、モモ、バナナなど)、野菜(ジャガイモ、キャベツ、エンドウ豆、豆、キュウリ、トマト、ホウレンソウ、オリーブ)、穀類(大麦、小麦、ライ麦)、茶、コーヒー豆およびカカオ豆、動物(マウス、カエル、小エビ)、食用キノコ(Agaricus bisporusなどのAgaricus、PleurotusやLentinus)、カビ(Neurospora crassa、Aspergillus oryzaeなどのAspergillus)、細菌(P.maltophiliaなどのPseudomonas属、X.maltiphiliaなどのXanthomonas属、S.maltophiliaなどのStenotrophomonas属、S.glaucescens、S.antibioticus、S.castaneoglobisporusなどのStreptomyces属、Vibrio tyrosinaticusなどのVibrio属、Rosebacterium属、Thermomicrobium roseumなどのThermomicrobium属、M.mediterraneaなどのMarinomonas属、Alternaria tenuisなどのAlternaria属、Alteromonas属またはRhizobium属)に由来する。
【0013】
好ましい実施形態では、酵素は、ジャガイモ、あるいはPseudomonasなどのPseudomonas科に属する細菌、または以前はシュードモナスに分類されていたザントモナス(Xanthomonas)、または初めはXanthomonasに分類されていたStenotrophomonasなどのPseudomonasと近縁の細菌に由来する。特に、チロシナーゼが由来してよいのは、本発明に関連して2000年6月16日に番号DSM13540としてDSMZ(Duetsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)に寄託された菌株により代表される属および種に属する微生物株である。この株は、シュードモナス属のPseudomonas beteliに非常に類似しているが、シュードモナス科(Pseudomonadaceae)、ステノトロフォモナス属(Stenotrophomonas)、ステノトロフォモナス種(Stenotrophomonas sp.)に属すると同定された。
【0014】
チロシナーゼはまた、ラッカーゼを産生することが知られている微生物、例えばT.hirsutaまたはT.versicolorなどのTrametesやMyceliophthora起源の物でもよい。
【0015】
ウール、ウール含有材料または他のタンパク質性繊維含有材料1kg当たりのチロシナーゼ処理用量は、タンパク質繊維材料に対し1 nkat/g〜5000 nkat/gまたはタンパク質繊維材料に対し10mg/kg〜50g/kgである。好ましくは、処理用量は、10nkat/g〜500nkat/gまたは100mg/kgから5g/kgである。処理時間は、5分〜24時間、特に好ましくは、30分から2時間である。この処理は、加工の様々な段階で実施することができる。この処理は、収縮条件前、その途中、および/またはそのあいだ、および/または染色やその他の仕上げ段階の前および/またはその間に実施することができる。
【0016】
処理は、pH3〜8の範囲のpH、好ましくは5〜7の範囲のpHで実施することができる。加工温度は、20〜80℃、好ましくは30〜70℃、最も好ましくは40〜50℃がよい。
【0017】
チロシナーゼ処理は、チロシナーゼの酵素活性を強める促進剤またはメディエーターと組み合わせることができる。チロシナーゼ処理は、アスコルビン酸などの還元剤と組み合わせることもできる。
【0018】
さらにタンパク質性繊維は、チロシナーゼ処理の前、その間またはその後に、他の酵素処理または化学処理をすることもできる。酵素処理には例えば、プロテイナーゼ、リパーゼ、リポキシゲナーゼ、ラッカーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、トランスグルタミナーゼまたはタンパク質ジスルフィドイソメラーゼ処理またはこれらの組合せがある。化学的処理は、収縮低減のために慣用的に使用されているいずれの化学的処理を含んでもよい。このような化学的処理とは例えば、塩素性収縮低減剤を用いる処理である。
【0019】
チロシナーゼ処理は、湿潤剤および軟化剤などの化学的添加剤と組み合わせることもできる。
好ましくは、本発明のチロシナーゼ処理は、加工工程の前またはその間に、攪拌しながら、またはせずに実施する。
【0020】
本発明は、本発明の方法で処理されたタンパク質由来繊維も提供する。より具体的には、請求項27の特徴部の記載により特定されるタンパク質性繊維である。
【0021】
この繊維は、ヒツジ、ヤギ、ラマ、ラクダまたはウサギなどに由来する、ウール、ウール繊維またはアンゴラ、モヘア、カシミア、アルパカなどの獣毛、または商業的に有用な他の獣毛製品でよい。この繊維は、繊維、ウールトップ、紡糸、織物、ニットまたは衣料品の形であってよい。さらに、本発明の1つの目的は、本発明の方法により処理されたヒトの毛髪、シルク、クモシルクである。
【0022】
本発明の好ましい一実施形態では、タンパク質性材料を、本発明に関連して寄託され受託番号DSM13540を有する菌株が代表する属または種に属する微生物から単離可能な新規の酵素で処理する。この株は、Stenotrophomonas sp.に属すると同定されている。この酵素の至適pHは8.0であり、至適温度は40〜50℃である。SDS−PAGEにより概算された分子量は、約95000Da(または95±1kDa)であり、等電点電気泳動により概算されたpI値は、約5(または5±0.5)であった。この酵素は、タンパク質性材料、特にウールを処理するために特に適している。タンパク質を架橋することにより、チロシナーゼは、ウールタンパク質の構造を安定化して、フェルト化条件でウール繊維のスケールが、毛元方向へスライドするのを防ぐ。この酵素は、酸素を消費する。即ち、pH5〜7および40〜50℃のウール処理に好適な条件下で、ウールタンパク質を酸化する。ESCAにより測定したところ、酵素によりウール繊維のチロシン基を酸化すると、繊維表面に存在する炭素の酸化レベルが上昇した。
【0023】
チロシナーゼ処理は、使用する加工法に応じていくつかの利点をもたらすことができる。この処理により架橋が増えると、より高い強度、より良好な皺特性およびフェルト化収縮の減少をもたらす。さらに、表面酸化によりぬれ性が変化すると、布の染色または捺染が改善される。繊維上に反応部位が生じると、染色特性の改善がもたらされる。
【0024】
ウールの化学的酸化は、イオウ架橋の酸化をもたらし、結果として、繊維構造が弱くなり、繊維は機械的および化学的損傷をさらに受けやすくなる。一方、チロシナーゼでウール構造に存在するアミノ酸基を酸化すると、別のタイプの酸化が起こり、必ずしもイオウ架橋に影響しない。その結果、繊維強度を効率よく保つことができる。
【0025】
前記の利点に加えて、もう1つの利点は、ウールまたは他のタンパク質含有動物性繊維のための防縮処理を主眼とする環境に優しい新規の方法である。この方法は世界のテキスタイル市場が要求している柔軟性および低公害特性を提供する。この方法はまた、ウールまたは他のタンパク質含有動物性繊維製衣服に洗濯機での洗濯可能性(machine washability)を付与し、それらの染色性および快適さを改善する。チロシン基から生じるキノンの官能性により、様々なタイプの化学薬品をこれらの部位を介してウール繊維にグラフトすることも可能である。
【0026】
<寄託>
本発明で単離された微生物株は、ブタペスト条約に従い、2000年6月16日にDSMZ、Duetsche Sammlung von Mikrooranismen und Zellkulturen GmbH(Mascheroder Weg1b、D−38124、Braunschweig、ドイツ所在)に寄託し、DSM13540と指定された。この株は、Stenotrophomonas sp.に属すると同定された(ID00−309)。
【0027】
発明の詳細な説明
「タンパク質性繊維」との用語は、ここではタンパク質由来繊維のことを意味する。これらの繊維はケラチン繊維構造を有するもの、あるいは、織られたり加工されて、衣服やタンパク質性繊維含有物品、例えばカーペット、帽子などにするためのものである。この用語には、ヒツジ、ヤギ、ラマ、ラクダまたはウサギなどに由来するウール、ウール繊維や獣毛、他の商業的に有用な獣毛製品が含まれる。例は、アンゴラ、モヘア、カシミア、アルパカ、メリノおよびシェットランドウールである。この用語にはさらに、シルク、クモシルクおよびヒトの毛髪が含まれる。繊維は、繊維、ヤーン、織物、ニットまたは衣料品の形であってよい。本発明により加工することができるタンパク質材料には、他の非タンパク質性成分との組成物、例えば、ウール(または他のタンパク質性繊維)とセルロース性繊維(木綿、リネン、ラミー、ジュート、サイザルなど)とのブレンドまたはウール(または他のタンパク質性繊維)とポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、スパンデックス、ナイロンなどの合成繊維、あるいは、ビスコース、レーヨン、アセテート、Lyocell(登録商標)、テンセル(登録商標)などの人造繊維とのブレンドなどが含まれる。本発明の組成物は、少なくとも20%、好ましくは少なくとも50%、特に好ましくは少なくとも80%のタンパク質性材料を含有する。
【0028】
「タンパク質性繊維中のチロシン基の酸化」という表現は、ここでは、タンパク質性繊維中のチロシン基が、処理されていないタンパク質性繊維に比較して測定可能な量、酸化されることを意味している。この酸化は、例えばESCAまたはラマン分光法により測定することができる。チロシン処理により酸化が起こるが、これはO/C比が、処理されていないタンパク質性繊維と比べ処理されたタンパク質性繊維で少なくとも5%、好ましくは7%、特に好ましくは少なくとも10%増加することにより示される。繊維は、水酸化だけ、あるいは水酸化とそれに続くキノン形成によって酸化される。チロシン基の修飾をラマン分光法により測定すると、吸光度の変化は少なくとも5%で、好ましくは少なくとも10%、特に好ましくは少なくとも20%である。
【0029】
「収縮」との用語は、ここでは、収縮条件下に加工した場合に、ウールなどのタンパク質性材料が縮む能力を意味している。
【0030】
「収縮条件」とは、ここでは、ウールなどのタンパク質性材料が、フェルト化メカニズムによって不可逆的に縮む条件のことを意味している。フェルト化収縮をもたらす条件は、Makinson(1979年)に記載されている。特に機械的な攪拌を伴う水の存在は収縮を惹き起こすことが知られている。単独で、または組合せでフェルト化を増すと報告されている他の条件は、20から60℃、またそれ以上の温度、酸またはアルカリ、アルカリまたは中性媒体中の洗浄剤(石鹸)の存在、中性塩、潤滑剤、アルコールの存在および攪拌である。
【0031】
「フェルト化収縮の低減」とは、ここでは、本発明の処理を伴わない収縮に比較しての収縮の低減を意味している。
【0032】
「通常の防縮方法および化学薬剤」とは、ここでは、フェルト化収縮を制御または減少させるために現在、工業的に使用されている方法および化学薬剤を意味している。このような方法は、バッチまたは連続ベースで実施することができ、通常は、ウールの酸化、それに続くポリマーの塗布を含む多段階処理からなる。最も一般的に使用されている酸化剤は、塩素および塩素化剤または一過硫酸などの過酸素化合物である。ポリマーには、幅広く使用されているHercosettポリマー(ポリアミノアミド)または特別に開発された多くのポリマーのどれが含まれる。現在工業的に用られているのは、これらの酸化−ポリマー方法にかわるものとしては、ポリマーのみの方法だけである。この方法ではテキスタイルの表面上でポリマーを沈着させ硬化させる。これらの方法の適用性は限られており、人造テキスタイル物品にしか適用することができない。
【0033】
「手触り」という用語は、布に触れ、その粗さ、ざらつき(harshness)、柔軟性または柔らかさを評価することにより得られる主観的な反応のことである。
【0034】
「柔らかさ」という用語は、簡単に変形される表面および心地よい触覚を伴う柔軟なテキスタイルの感触のことである。
【0035】
<チロシナーゼ酵素>
チロシナーゼは、補助基質として酸素を使用するフェノールオキシダーゼに属し、したがって、NAD(P)H/NAD(P)などの高価な補因子を反応で必要としないので、酵素方法に特に適している。チロシナーゼは、モノフェノールのo−水酸化およびo−ジフェノールからo−キノンへの酸化の両方を触媒する(EC1.14.18.1;モノフェノールモノオキシゲナーゼ、EC1.10.3.1;カテコールオキシダーゼ)(Lerch、1981年)。したがって、酵素活性を2種の異なる反応に分けることは、同じ酵素により触媒される2種の反応を区別することになる(Mayer、1987年)。ウールは、かなりの量のチロシン基を含み、その量はタンパク質がウール繊維中のどこに存在するか、すなわち繊維のキューティクル、毛皮質、耐性膜または細胞間セメントに由来するかどうか、で決まる。ウールは全体で約3〜4%のチロシンを含有し、細胞間セメントは、7%を上回るチロシンを含有する。したがって、チロシナーゼは特に、ウールまたは他のタンパク質繊維の特性を改変するのに役立つ。
【0036】
チロシナーゼとラッカーゼはともに、分子酸素を用いてとてもよく似た基質を酸化するが、両者は区別することができる。チロシナーゼの典型的な特性は、p−ジフェノールの酸化を触媒することができないことである(MayerおよびHarel、1979年)。一方、ラッカーゼ活性の証拠としては、チロシンを酸化させることはできないが、L−ジヒドロキシフェニルアラニン(L−DOPA)を酸化させることができることが挙げられる(Mayer、1987年)。 Rhizobium meliloti(Mercado−Blanco et al.、1993年)、Streptomyces(Bernan et al.、1985年;Huber et al.、1985年;Kawamoto et al.、1993年;Ikeda et al.、1996年)、Aspergillus oryzae(Fujita et al.、1995年)、Neurospora Crassa(Kupper et al.、1989年)、Rana nigromaculata(Takase et al.、1992年)、Mus musculus(Kwon et al.、1988年;Muller et al.、1988年)およびHomo sapiens(Kwon et al.、1987年;Giebel et al.、1991年)のチロシナーゼの一次構造は分析されていて、かなりの相同性を有する。これらの酵素全ての触媒ドメインには、ヘモシアニンと同様、双核銅中心(binuclear copper center)が1つある(Gaykema et al.、1991年)。
【0037】
食品タンパク質を架橋するチロシナーゼの能力は、既に調査されている(MatheisおよびWhitaker、1987年)。MatheisおよびWhitaker(1984a)によると、チロシナーゼによる架橋の形成は、チロシンからのo−キノンの形成を介して進行する。これらのo−キノンは、相互に縮合するか、タンパク質中のアミノ基およびスルフヒドリル基と反応する(MatheisおよびWhitaker、1984a)。さらにチロシナーゼは、チロシン基のp−ヒドロキシフェニル基の酸化を触媒することができ、したがって、タンパク質の架橋をもたらす(MatheisおよびWhitaker、1984b;EP947142号)。
【0038】
チロシンまたはチロシン含有ポリペプチドなどの低分子量のフェノール系化合物または他の非フェノール系メディエーターを加えると、タンパク質を架橋または改変するチロシナーゼの能力を高めることができる。メディエーターとしてチロシンを使用する場合には、酵素により生じたo−キノンが、タンパク質中のアミノ、スルフヒドリル、チオエーテル、フェノール、インドールおよびイミダゾール基と反応できる(MatheisおよびWhitaker、1984a;MatheisおよびWhitaker、1984b)。
【0039】
チロシナーゼは、コラーゲン繊維の成分であるトロポコラーゲン高分子を重合するために使用されている(Dabbous、1966年)。分子間および分子内チロシン残基架橋の形成が、重合をもたらす。
【0040】
タンパク質性材料の改変に適した新規のチロシナーゼは、チロシナーゼ活性の基質として適切なタンパク質を包含する加工工程または天然環境から単離された微生物から見つけることができる。微生物を適切なスクリーニング培地上で培養することにより、微生物をチロシナーゼ活性に関してスクリーニングし、純粋な培養物として単離する。微生物はチロシナーゼ産生を誘導する適切な液体培地中で培養する。また、チロシナーゼはベリー類、果実(グレープ、リンゴ、ナシ、モモ、バナナ)、野菜(ジャガイモ、キャベツ、エンドウ豆、豆、キュウリ、トマト、ホウレンソウ、オリーブ)、穀類(大麦、小麦、ライ麦)、茶、コーヒー豆およびカカオ豆、動物(マウス、カエル、小エビ)、食用キノコ(Agaricus bisporus、PleurotusまたはLentinusなどのAgaricus)、カビ(Neurospora crassa、Aspergillus oryzaeなどのAspergillus)、細菌(P.maltophiliaなどのPseudomonas、X.maltiphiliaなどのXanthomonas、S.maltophiliaなどのStenotrophomonas、Pseudomonadaceae科に属する他の細菌、S.glaucescensなどのStreptomyces、S.castaneoglobisporusなどのS.antibioticus、Vibrio.tyrosinaticusなどのVibrio、Rosebaceterium、Thermomicrobium roseumなどのThermomicrobium、M.mediterraneaなどのMarinomonas、Alternaria tenuisなどのAlternaria、AlteromonasまたはRhizobium)から単離することもできる。チロシナーゼは、ラッカーゼを産生することが知られている微生物から、例えばT.hirsuta、T.versicolorなどのTrametesから、またはMyceliophthoraから単離することもできる。
【0041】
必要なpHおよび温度特性を有するチロシナーゼを、ウールまたは他のタンパク質性材料と反応させることができる。チロシナーゼは、培養濾液のかたちで、または部分的にまたは完全に精製されたタンパク質として適用することができる。チロシナーゼをコードする遺伝子を、前記の微生物からクローニングし、続いて、適切な生産生物に移すことができる。適切な発現および産生ホストは、例えば、TrichodermaおよびAspergillusなどのカビ、酵母、BacillusおよびE.coliなどの細菌である。効率のよいチロシナーゼのスクリーニングは、酵素反応の間の酸素消費を測定することにより実施することができる。
【0042】
<繊維、糸または布の処理条件>
あらゆる形態のタンパク質性繊維、好ましくはウールまたはウール含有材料であるタンパク質性繊維1kg当たりのチロシナーゼ処理用量は、タンパク質繊維材料に対し1 nkat/g〜5000 nkat/gまたはタンパク質繊維材料に対し10mg/kg〜50g/kgである。好ましくは、処理用量は、10nkat/g〜500nkat/gまたは100mg/kgから5g/kgである。処理時間は、5分〜24時間、特に好ましくは、30分から2時間である。この処理は、pH3〜8の範囲のpH、好ましくは5〜7の範囲のpHで実施することができる。加工温度は、20〜80℃、好ましくは30〜70℃、特に好ましくは40〜50℃であってよい。この処理は、加工の様々な段階で実施することができる。この処理は、防縮加工の前、その間、および/またはその下で、かつ/または染色またはその他の仕上げ段階の前および/またはその間に実施することができる。さらにこの処理は、他の化学的ステップを伴わずに、実施することもできる。
【0043】
この酵素的加工方法は、化学的耐収縮処理と同様に、ウール加工のどの段階―繊維からニットや織物製品まで―でも実施することが可能である。同様に、酵素加工方法は染色の前またはその後に実施することもできる。さらに酵素処理は、酵素段階の前またはその後に、酸化などの化学的処理と組み合わせることもできる。さらに酵素段階は、アスコルビン酸などの還元剤と組み合わせて実施することもできる。可能性の1つは、化学的処理の条件が酵素方法に適合する場合に、化学的処理と酵素処理とを同時に行うことである。処理は様々なタイプの繊維機械中で、例えば、ニットを処理する場合にはサイドパドルまたはロータリーマシーン中で、または織物を処理する場合には、ウインチ、ジェットまたはジグ中で実施することができる。
次の実施例は、本発明を説明するためのものであって、本発明を限定するものと解釈すべきではない。
【0044】
(実施例)
実施例1 ウール加工工場から単離された微生物からチロシナーゼを得るためのスクリーニング
【0045】
ウール加工工場からの埃、ウールおよび粉塵サンプルを、工程の様々な段階で集めた。微生物を単離するために、液体サンプルは1mlを生理食塩水(NaCl0.9w/v%溶液)で10mlに希釈した。固体サンプルは約1gを生理食塩水10mlに浸漬し、その後、全てのサンプルを、200rpmで2時間攪拌した。攪拌の後に、希釈溶液を調製した(通常、10−2〜10−4)。細菌株はカビの成長を抑制するためにベノミル(Sigma)0.01%を含有する生菌数寒天(Plate Count Agar)プレート(PCA−プレート)上でサンプルを培養して稀釈液から単離した。糸状菌株は細菌の成長を抑制するためにクロラムフェニコールおよびクロルテトラサイクリン(Sigma)0.01%を含有する麦芽エキス寒天(Malt Extract Agar)プレート(MEA−プレート)を使用して単離した。全ての微生物を30℃で生育させた。最初の培養後、細菌のコロニーまたはカビ胞子をそれぞれPCA−またはMEA−プレートに継代して接種することにより、純粋な培養を調製した。
【0046】
様々な呈色試薬を、プレート培養における酸化酵素活性のインジケータとして使用した(表1)。チロシン(Sigma)を、チロシナーゼ特異的インジケータとして使用した。使用したラッカーゼ特異的インジケータは、グアイアコール(Merck)であった。加えて、Remazol Brilliant Blue R(RBBR、Sigma)を、酸化酵素活性のためのインジケータとして使用した。グアイアコールおよびRBBRは、Paasivirta(2000)に記載されているように使用した。
【0047】
【表1】
スクリーニングで使用された特異的インジケータ、その色反応およびプレート上での濃度
Figure 2004506816
RBBR=レマゾールブリリアントブルーR
【0048】
カビ約30種および細菌約95種を、ウール加工工場から分離して純粋培養とし、チロシナーゼ、ラッカーゼおよびペルオキシダーゼ活性に関してスクリーニングした。これらのスクリーニングされた微生物のうちに、ラッカーゼやペルオキシダーゼ陽性と判明したものは無かったが、8種の細菌がチロシナーゼ陽性であると判明した(表2)。
【0049】
【表2】ウール加工工場から単離されたチロシナーゼ陽性細菌の由来
Figure 2004506816
【0050】
BW65は本発明で単離された細菌株で、2000年6月16日にDSMZ−Duetsche Sammlung von Mikrooranismen und Zellkulturen GmbHに番号DSM13540として寄託された。寄託された株は、DSMZにより、Stenotrophomonas sp.であると同定された。この株はDSMZの同定によってもStenotrophomonas maltophila、Pseudomonas beteli、Pseudomonas hibiscicolaおよびPseudomonas geniculataと同定することも可能であった。
【0051】
実施例2 DSM13540によるチロシナーゼの産生
寄託株DSM13540を、グルコース20g/l、カゼイン2.5g/l、チロシン2g/lおよびウール2g/lを含有する培地を使用して培養した。ペルオキシダーゼ、ラッカーゼ、中性プロテイナーゼおよびチロシナーゼ酵素活性を、培養の間に測定した。加えて、生菌数および培養液のpHを測定した。チロシナーゼ活性は、菌がその定常期に達したときに、最高値に達した(図2)。最も高いチロシナーゼ活性は、約8nkat/mlであった。ラッカーゼ活性もペルオキシダーゼの活性も、培養液中に検出されなかった。
【0052】
チロシナーゼ活性を、基質として2mMのDL−DOPA(Sigma)を使用して測定した。基質溶液のpHを、0.05Mのリン酸ナトリウム緩衝液を用いて7に調節した。サンプル40μlを、2mMのDL−DOPA溶液960μlと混合した。Perkin Elmer Lambda 20−分光光度計を用いて、30℃で3分間、475nmでの吸収の増加を測定することにより、チロシナーゼ活性を求めた。
チロシナーゼ活性(nkat/ml)=(10×ΔAbs475nm×Vtot)/(V×t×ε×k×l)により、活性を算出した
[上式中、
ΔAbs475nmは、475nmでの反応時間内での吸収の増加であり、
totは、全容量(1ml)であり、
εは、酸化されたドーパクロムのモル吸光係数(3400lmol−1cm )であり、
tは、反応時間(秒)であり、
は、サンプルの容量(0.04ml)であり、
kは、希釈係数であり、
lは、キュベット中での光通過距離(1cm)である]。
チロシナーゼ活性の1単位(katal)は、30℃およびpH7.0で、1秒間にドーパクロム1モルの形成を触媒する酵素の量と定義される。
【0053】
培養中様々な時間間隔でサンプル1mlを採取した。プロテイナーゼ活性はフッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF、Sigma)の17mg/ml溶液0.1mlをサンプルに加えることにより阻害した。上澄みを4℃で遠心分離して澄明にし、この上澄みを用いてチロシナーゼ活性を測定した。
【0054】
実施例3 ジャガイモチロシナーゼの単離
ジャガイモチロシナーゼを、Asterixというジャガイモの品種から単離した。新鮮重量で500g、乾燥重量で95gの剥皮後のジャガイモと0.1Mのリン酸Na緩衝液pH7.0 200mlとを、Waring Blendor ホモジナイザーをハイパワーで15秒間4回使用して均質化した。この懸濁液をさらに、氷浴中で30分間、750rpmで攪拌し、篩絹およびガラス繊維フィルター(Whatman GF/C)で濾過した。最終濾液容量は、300mlであった。濾液中のチロシナーゼ活性を不活性化しているフェノールを、タンパク質を4℃で1時間、70%硫酸アンモニア飽和で沈殿させることにより、タンパク質から分離した。沈殿物を0.1Mのリン酸Na緩衝液(pH7.0)250mlに溶かした。粗製ジャガイモチロシナーゼは4℃で貯蔵した(表3)。
【0055】
【表3】粗製ジャガイモチロシナーゼの調製
Figure 2004506816
粗製ジャガイモチロシナーゼは、タンパク質分解性の不純物を含有しなかった。
【0056】
実施例4 新規のチロシナーゼの至適pHおよび至適温度の決定
DSM13540株が産生した新規のチロシナーゼを、濃縮培養濾液からイオン交換クロマトグラフィにより部分的に精製した。培養濾液を限外濾過により濃縮し、濃縮物を、25mMのリン酸緩衝液pH7で平衡化したQ−セファロースアニオン交換体に吸着させた。酵素を出発緩衝液および0.3MのNaClを加えた出発緩衝液からなる勾配で溶離した。各分画のチロシナーゼおよびタンパク質分解活性を監視した。チロシナーゼ活性のみを有するフラクションをまとめ、新規の酵素を同定するために使用した。精製により、培養濃縮物中の活性の58%が得られた。pH6.5〜9.0で部分的に精製された酵素調製物のチロシナーゼ活性を測定することにより、至適pHおよび至適温度を決定した。基質としてDL−DOPA(2mM)を使用し、反応混合物を10分間インキュベーションし、その後、475nmでの吸光を記録した。新規のチロシナーゼの至適温度は、至適pHで、20℃〜90℃でのチロシナーゼ活性を測定することにより決定した。至適pHは、8.0であり、至適温度は40〜50℃であることが判明した(図3Aおよび3B)。
【0057】
このチロシナーゼ酵素は、同時出願された国際特許出願にも記載されており、その内容は全て、ここで参照して援用することができる。この国際特許出願は、本出願と同日に提出されており、2000年8月15日に提出されたフィンランド特許出願20001808号に基づく。
【0058】
実施例5 新規のチロシナーゼの分子量および等電点の決定
新規のチロシナーゼの生化学的特性は、標準的な技術により求められる。分子量はSDS−PAGEにより、pI値は等電点電気泳動により推定された。MWは、約95000Daであり、pI値は約5であった。
【0059】
実施例6 新規酵素の基質特異性の決定
新規酵素の基質特異性は、基質として2mMのチロシン、カテコールおよびDOPAを使用することにより決定した。pH8、50℃でのこれらの基質に対する相対的活性はそれぞれ、10、40および100%であった。
【0060】
実施例7 新規なチロシナーゼをコードする遺伝子の単離
精製されたチロシナーゼタンパク質からN−末端および内部ペプチドの配列を決定した。ペプチド配列に基づき、オリゴヌクレオチドプローブを、通常のPCR技術により作成する。オリゴヌクレオチドプローブは、DSM13540ゲノムからチロシナーゼをコードする遺伝子をクローニングする際に使用する。
【0061】
実施例8 酸素消費により測定されるチロシナーゼとウール繊維との反応性
様々なチロシナーゼ、即ちAgaricus bisoprus(Sigma)、ジャガイモチロシナーゼ(実施例3から)およびDSM13540チロシナーゼ(実施例2から)がウール繊維を酸化する能力を、VTT Biotechnology Standard 5555〜95に従い、Orion Research97〜08酸素電極を用いて、密閉されたエーレンマイヤーフラスコ中での酵素反応の酸素消費を測定することにより、明らかにした。使用したチロシナーゼ用量は、500または1000nkat/gウール繊維であった。洗毛されたウール繊維を、基質として使用した。処理を、45℃で、200rpmの攪拌と共に実施した。使用したウール対液体比は、1:100であった。溶解した酸素の濃度を、15秒毎に45分間測定した。
【0062】
酸素消費により測定したところ、ジャガイモおよび新規の微生物チロシナーゼの両方が、ウールを酸化させることができた。Agaricus bisporus−tyrosinase(Sigma T−7755)は、ウール繊維中のチロシン基を酸化させることはできなかった(図4)。この研究で単離された細菌DSM13540により産生されたチロシナーゼ(図5)は、ジャガイモチロシナーゼにくらべかなり多い酸素をウール繊維に消費した(図4)。
【0063】
実施例9 ウール繊維特性に対する酵素処理の効果
ウール繊維(ウールトップ)を新規のチロシナーゼ(DSM13540)およびジャガイモチロシナーゼで処理した。処理は20rpmで攪拌しながら、Linitest Plus装置(Atlas)中で実施した。用いたウール対液体比は、1:15だった。様々な酵素用量および処理条件を表4に示す。pHは0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)で調節した。酵素を添加せずに対照処理を同様に実施した。プロテイナーゼは阻害するか、プロテイナーゼを含有しない酵素調製物を使用した。
【0064】
【表4】ウール繊維処理での処理条件(処理時間は2時間)
Figure 2004506816
【0065】
酵素処理は、繊維を75℃で5分間、75%酢酸で調節されたpH3.0溶液に含浸させることにより停止した。その後、繊維を水道水で5分間すすぎ、50℃で乾燥させた。SFS2600標準に従い、繊維を最終的に格付けした(湿度65%±2%、温度20℃±2℃)。
【0066】
ウール繊維の重量損失は酵素処理の前と後に繊維を秤量することにより求めた。ウール繊維のアルカリ可溶性は、IWTO−4−60(D)標準に従い測定した。ウール繊維の乾燥重量は、105℃でサンプルを一定重量になるまで乾燥させた後に秤量することにより求めた。ウール繊維の簡単な濡れ性試験は、標準条件下で繊維切片が脱イオン水中沈下する時間を測定することにより実施した。標準格付けされた(standard conditioned)繊維約10mgを、小さい切片に切断し、脱イオン水50mlの表面に慎重に置き繊維切片の沈下時間を記録した。ウール繊維のフェルトボール密度は、標準IWTO20〜69(D)(Aachener Filz test)に従い測定した。
【0067】
<ウール繊維の重量損失に対する酵素処理の効果>
酵素処理の間に、1.7〜3.0%という軽度のウール繊維の重量損失が観察された。酵素処理は、対照品に比較して重量損失が増加するということはなかった(表5)。
【0068】
【表5】ウール繊維の重量損失およびチロシナーゼおよびラッカーゼ処理の処理濾液のプロテイナーゼ活性
Figure 2004506816
【0069】
<ウール繊維の架橋度に対する酵素処理の効果>
アルカリ可溶性を、IWTO4−60に従って求めた。2、3の測定の平均を図6に示す。この結果によると、チロシナーゼ処理は架橋をもたらした(図6)。BWV1は、同様の条件で処理されたが、酵素添加をしなかった対照区である。
【0070】
<ウール繊維の湿潤性およびフェルト化特性に対する酵素処理の効果>
酵素により処理されたウール繊維の濡れ特性を、簡単な沈下試験により求めた。対照として処理された繊維よりも、酵素により処理された繊維が早く沈下した場合に、繊維の疎水性が低下したと判定した。疎水性の低下はジャガイモチロシナーゼ処理されたウール繊維で観察された。
【0071】
<フェルトボール密度に対する酵素処理の効果>
ウールフェルト化特性を、ばら(loose)ウールについてAachenフェルト化試験を使用して試験した(表6)。この結果によると、フェルト化傾向が減少した(表6)。
【0072】
【表6】チロシナーゼ処理されたウールサンプルのフェルト密度
Figure 2004506816
【0073】
<ESCAおよびラマンにより分析されたウール繊維の化学組成に対する酵素処理の効果>
ESCA分析によると、チロシナーゼ処理された繊維表面中の酸素(O)量の増加と表面の炭素量の減少により示されるように、ウール繊維の明確な酸化が生じた。その結果酸化の指標であるO/C比が高くなった(表7)。
【0074】
【表7】酵素処理されたBIOWOOL標品の表面の元素組成(原子%)
Figure 2004506816
【0075】
<酵素処理されたウールトップのラマン分光分析>
タンパク質のラマン・スペクトルは、アミノ酸類の特徴的な振動を示し、特に、643cm−1でのスペクトル強度はチロシンと関連付けることができる。大筋として集められたラマン・データは、プロジェクトの様々な段階で処理された比較可能なサンプル間で合理的な再現性を示し、加えて酵素系によりチロシンが改変された証拠がある(表8)。処理条件:0.1MのNaP緩衝液、30℃、ジャガイモチロシナーゼpH7。
【0076】
【表8】処理されたウールトップのラマン強度データ
Figure 2004506816
【0077】
参照文献
【外1】
Figure 2004506816
【外2】
Figure 2004506816
【外3】
Figure 2004506816

【図面の簡単な説明】
【図1】チロシナーゼにより触媒される反応を示す図である。
【図2】チロシナーゼ産生細菌DSM13540を培養している間のチロシナーゼ活性、pHおよび生菌の量を示す図である。cfu=コロニー形成単位。
【図3A】本発明で単離されたDSM13540により産生された部分的に精製されたチロシナーゼ活性の至適pHを示す図である。基質は、2mMのDopaで、50℃で10分間のインキュベーション、A475nm。
【図3B】本発明で単離されたDSM13540により産生された部分的に精製されたチロシナーゼ活性の至適温度を示す図である。基質は、2mMのDopaで、50℃で10分間のインキュベーション、A475nm。
【図4】酸素消費により測定される、様々なチロシナーゼとウール繊維との反応性を示す図である。
【図5】酸素消費により測定される、DSM13540により産生されたチロシナーゼとウール繊維との反応性を示す図である。
【図6】チロシナーゼ処理された標品のアルカリ可溶性を示す図である。

Claims (28)

  1. タンパク質性繊維を酵素処理する方法であって、タンパク質性繊維を、タンパク質性繊維中のチロシン残基の酸化をもたらすチロシナーゼ酵素が作用するのに適した条件下で、該酵素を含有する水溶液に接触させることを特徴とする方法。
  2. チロシナーゼ処理が、タンパク質性繊維中のチロシン残基を酸化してこれらの残基を水酸化するか、あるいは水酸化したのちキノンを形成するものである、請求項1に記載の方法。
  3. チロシナーゼが、ベリー類や果実、好ましくは、グレープフルーツ等のかんきつ類果実、またはリンゴ、ナシ、モモ、バナナなどの果実、またはジャガイモ、キャベツ、エンドウ豆、豆、キュウリ、トマト、ホウレンソウ、オリーブなどの野菜、または大麦、小麦、ライ麦などの穀類、または茶、コーヒー豆およびカカオ豆、またはマウス、カエル、小エビなどの動物、またはAgaricus属のAgaricus bisporus、PleurotusまたはLentinusなどの食用キノコに由来するものである、請求項1に記載の方法。
  4. チロシナーゼが、Neurospora crassa、AspergillusのAspergillus oryzae、TrametesのTrametes hirsuta、Trametes versicolorまたはMyceliophthoraなどのカビに由来するものである、請求項1に記載の方法。
  5. チロシナーゼがPseudomonas属のP.maltophilia、Xanthomonas属のX.maltophilia、Stenotrophomonas属のS.maltophilia、Streptomyces属のS.glaucescens、S.antibioticus、S.castaneoglobisporus、Vibrio属のV.tyrosinaticus、Rosebaceterium属、Thermomicrobium属のT.roseum、Marinomonas属のM.mediterranea、Alternaria属のA.tenuis、Alteromonas属またはRhizobium属等の細菌に由来する、請求項1に記載の方法。
  6. チロシナーゼが、ジャガイモあるいはPseudomonas sp.、Xanthomonas sp.、Stenotrophomonas sp.などのPseudomonadaceaeに属する細菌由来のチロシナーゼからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  7. チロシナーゼが、発現または産生宿主中で、該酵素をコードするチロシナーゼ遺伝子を発現させることによって、組換え宿主により産生される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の方法。
  8. タンパク質材料がヒツジ、ヤギ、ラマ、ラクダまたはウサギに由来する、ウールやウール繊維、アンゴラ、モヘア、カシミア、アルパカなどの獣毛または商業的に有用な獣毛製品である、あるいはタンパク質材料がシルクまたはクモシルクである、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の方法。
  9. タンパク質材料が、ヒトの毛髪を含む、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 繊維が、繊維、ウールトップ、糸、織物、ニットまたは衣料品の形である、請求項1乃至9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 処理される材料が、少なくとも20%のタンパク質性繊維を含有する混合材料を含む、請求項1乃至10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 混合材料が、木綿、リネン、ラミー、ジュート、サイザル、レーヨン、アセテート、ビスコースなどのセルロース性繊維、またはポリアミド、ポリエステル、ポリプロピレン、アクリル、スパンデックス、ナイロンなどの合成繊維、またはリヨセル(Lyocell)(登録商標)、テンセル(登録商標)を含む、請求項11に記載の方法。
  13. チロシナーゼの量が、タンパク質繊維材料に対し1 nkat/g〜5000 nkat/gまたはタンパク質繊維材料に対し10mg/kg〜50g/kg、好ましくはタンパク質繊維材料に対し10 nkat/g〜500nkat/kgまたは100mg/kg〜5g/kgである、請求項1乃至12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 処理を、pH3〜8の範囲のpH、好ましくは5〜7の範囲のpHで実施する、請求項1乃至13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 処理を、20〜80℃、好ましくは30〜70℃、特に好ましくは40〜50℃で実施する、請求項1乃至14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 処理を、化学的防縮処理の前、その間および/またはその下で実施する、請求項1乃至15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 処理を、染色の前および/またはその間に実施する、請求項1乃至16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 処理を、仕上げ処理の前および/またはその間に実施する、請求項1乃至17のいずれか1項に記載の方法。
  19. チロシナーゼを、メディエーターと一緒に使用する、請求項1乃至18のいずれか1項に記載の方法。
  20. メディエーターが、チロシンあるいは任意のチロシン含有ペプチドまたはポリペプチドである、請求項1乃至19のいずれか1項に記載の方法。
  21. メディエーターがフェノール系または非フェノール系化合物である、請求項1乃至20のいずれか1項に記載の方法。
  22. チロシナーゼ処理を、アスコルビン酸などの還元剤と組み合わせる、請求項1乃至21のいずれか1項に記載の方法。
  23. タンパク質性繊維を、チロシナーゼ処理の前、その間、またはその後に、他の酵素的または化学的な慣用の収縮低減処理により処理する、請求項1乃至22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 他の酵素がリパーゼ、リポキシゲナーゼ、トランスグルタミナーゼ、ラッカーゼ、プロテアーゼ、ペルオキシダーゼ、ハロペルオキシダーゼ、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼまたはこれらの組合せである、請求項23に記載の方法。
  25. 処理が攪拌を含む、請求項1乃至24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 処理を攪拌することなしに実施する、請求項1乃至25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 請求項1乃至26のいずれか1項に記載の方法により処理されているタンパク質性繊維。
  28. 布、衣料品、繊維、ウールトップあるいは獣毛またはヒトの毛髪を含む、請求項27に記載の繊維。
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