JP2015107119A - 遊離チオールの酵素的除去によるタンパク質性基質の酵素処理の改善 - Google Patents

遊離チオールの酵素的除去によるタンパク質性基質の酵素処理の改善 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の低減のための酵素系の提供。
【解決手段】第1の酵素および第2の酵素を含む酵素系であって、第1の酵素が、タンパク質性基質から遊離チオールを除去できる酵素であり、第2の酵素がチロシナーゼである酵素。第1の酵素は、タンパク質性基質中に存在する遊離チオールなどの酵素阻害剤を除去する。基質中の阻害性化合物の除去によって、チロシナーゼ酵素による基質中に存在するタンパク質のタンパク質架橋などの第2の酵素の有効な酵素作用が可能となる。第1の酵素はスルフヒドリルオキシダーゼ、ラッカーゼ、グルタチオンオキシダーゼ、ジスルフィドイソメラーゼである。
【選択図】なし

Description

本発明は、スルフヒドリルオキシダーゼなどの第1の酵素でのタンパク質性基質の酵素処理に関する。第1の酵素は、タンパク質性基質中に存在する遊離チオールなどの酵素阻害剤を除去する。基質中の阻害性化合物の除去によって、チロシナーゼによる基質中に存在するタンパク質のタンパク質架橋などの第2の酵素の有効な酵素作用が可能になる。
WO02/14484およびWO02/14595には、シュードモナス科から単離されたチロシナーゼ酵素、および特に羊毛繊維のようなタンパク質繊維のタンパク質架橋のためのその使用が報告されている。
WO2006/084953には、トリコデルマ属の種から得られるチロシナーゼ酵素および食用タンパク質の架橋におけるその使用が報告されている。
スルフヒドリルオキシダーゼは、一般反応:2RSH+O2→RS−SR+Hに従って、スルフヒドリル基のジスルフィドへの酸化を触媒する。
多数のスルフヒドリルオキシダーゼが当技術分野で公知であり、例えば、酵母由来のスルフヒドリルオキシダーゼが、例えばX−Zyme(Erv1pおよびErv1p−X1)GmbH(Duesseldorf/Germany)(http://www.x−zyme.com/de/products.html)から市販されており、R.S. de la Motte and F.W. Wagner, Biochemistry 26 (1987)7363-7371は、アスペルギルス・ニガー由来のスルフヒドリルオキシダーゼを提供し、US4,087,328には、牛乳から調製されたスルフヒドリルオキシダーゼが報告されており、US4,632,905には、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)から得られたスルフヒドリルオキシダーゼが報告されており、US4,894,340には、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)由来のスルフヒドリルオキシダーゼが報告されており、Hoober et al., 1996, Journal of Biological Chemistry 271 No 48 pp 30510-30516には、鶏卵白スルフヒドリルオキシダーゼが提供されている。
食品の調製におけるスルフヒドリルオキシダーゼの使用、例えば、ベーキングにおける使用が知られている:EP0321811Bには、グルコースオキシダーゼと組み合わせて、生地を強化するためにスルフヒドリルオキシダーゼを使用できることが開示されている。EP0705538Bには、ウシおよび微生物スルフヒドリルオキシダーゼが、ヘミセルロースと組み合わせて生地のための酵素添加剤として使用されていると報告されている。WO2006/046146には、スルフヒドリルオキシダーゼが、デュラム小麦焼成品の調製において使用できることが示されている。
WO2007/093674には、チロシナーゼを添加することにより低成分肉製品を調製する方法、およびチロシナーゼによって改変された低成分肉製品が報告されている。チロシナーゼは、低含量の少なくとも塩、リン酸塩または肉を有する低成分肉製品のきめ(texture)または水結合特性を改変するために使用される。
Lantto et al., LWT 389 (2006) 1117-1124には、豚肉における、微生物トランスグルタミナーゼ、キノコチロシナーゼおよびポリフェノールオキシダーゼおよびトランスグルタミナーゼの両方を含有するリンゴ粉の適用が報告されている。すべての酵素調製物は、非加熱肉ホモジネートのゲル硬度を改善できたということが報告されている。添加されたシステインは、リンゴ粉処理豚肉の硬度に対して正に影響を及ぼしたが、キノコチロシナーゼおよび微生物トランスグルタミナーゼ処理肉に対して負に影響を及ぼした。
本発明は、タンパク質性食材などのタンパク質性基質中に天然に存在する、遊離チオールなどの阻害性物質が、チロシナーゼなどのいくつかの酵素の阻害に関与し、スルフヒドリルオキシダーゼなどの、このような作用物質を減少または排除できる可能性がある第1の酵素の使用により、阻害性物質によって阻害されるチロシナーゼなどの酵素を有効に利用して、例えば、タンパク質性基質中に存在するタンパク質を架橋することが可能となり、これはゲル強度、水分保持能を改善し、および/またはタンパク質性基質のきめを改善し得るという発見に基づく。
一態様では、本発明は、活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素での処理に先立つ、またはそれと同時の、スルフヒドリルオキシダーゼなどの第1の酵素でのタンパク質性基質の処理に関する。第1の酵素は、タンパク質性基質中に存在する遊離チオールなどの酵素阻害剤を除去する。基質中の阻害性化合物の除去によって、チロシナーゼ酵素による基質中に存在するタンパク質のタンパク質架橋などの、第2の酵素のより有効な作用が可能となり得る。
別の態様では、本発明は、架橋されたタンパク質性基質を調製する方法であって、
a.遊離チオールを含むタンパク質性基質を、遊離チオールを除去できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性基質を、活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、または工程b)と同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらす方法を提供する。
別の態様では、本発明は、第1の酵素および第2の酵素を含む酵素系であって、第1の酵素が、タンパク質性基質から遊離チオールを除去できる酵素であり、第2の酵素がチロシナーゼである酵素系を提供する。
本発明は、タンパク質性基質中の遊離チオールの濃度を低減するための、スルフヒドリルオキシダーゼなどの第1の酵素の使用をさらに提供する。
別の態様では、本発明は、活性が遊離チオールの存在によって阻害される第2の酵素による、遊離チオールを含むタンパク質性基質に対する酵素活性を改善する方法であって、遊離チオールを除去できる第1の酵素でのタンパク質性基質の処理を含み、第1の酵素での処理が、第2の酵素での処理に先立って、またはそれと同時に実施され、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法を提供する。
さらなる態様では、本発明は、架橋されたタンパク質性製品を調製する方法であって、
a.遊離チオールを分解または酸化できる第1の酵素でタンパク質性基質を処理する工程と、
b.第2の酵素でタンパク質性基質を処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらす方法を提供する。
上記の方法は、タンパク質が架橋されたタンパク質性製品の調製をもたらす。
タンパク質性基質は、タンパク質性食材であり得る。
タンパク質性製品は、タンパク質性のタンパク質が架橋された食材であり得る。
本発明はまた、上記方法によって調製された、架橋されたタンパク質性製品を提供し、タンパク質性基質がタンパク質性食材である場合には、本発明はまた、タンパク質性のタンパク質が架橋された食材製品を含む食品を提供する。
本発明はまた、水分保持能の増強および/またはゲル強度の増大を示す、ミオシンタンパク質を含むタンパク質性食材または食品も提供し、これでは、タンパク質性食品中に存在するミオシンタンパク質の少なくとも一部が架橋されている。製品の水分保持能およびゲル強度は、本発明の方法を用いずに製造された同様の製品、または本明細書において別に定義されるような製品と比較できる。
TrTyr2およびTGaseで処理された肉抽出物。レーンは以下の抽出物/処理を含む:1)シチメンチョウ肉/TGase、2)シチメンチョウ肉/TrTyr2、3)シチメンチョウ肉/参照、4)タラ/TGase、5)タラ/TrTyr2、6)タラ/参照、7)牛肉/TGase、8)牛肉/TrTyr2、9)牛肉/参照、10)豚肉/TGase、11)豚肉/TrTyr2、12)豚肉/参照、13)鶏肉/TGase、14)鶏肉/TrTyr2、15)鶏肉/参照、16)子羊肉/TGase、17)子羊肉/TrTyr2、18)子羊肉/参照。 STPPを含むバッファー(レーン1〜3)および含まないバッファー(レーン4〜6)に対して透析した豚肉抽出物。抽出物は、TGaseで(レーン1および4)、TrTyr2で(レーン2および5)で処理されているか、または参照である(レーン3および6)。 さらなる酵素処理の前にスルフヒドリルオキシダーゼで処理した抽出物のSDS−PAGEゲル。「高SOX」は、0.33U/mlでの処理を表す。低SOXは、0.033nkat/mlを表す。a)豚肉由来の抽出物。レーンは、(第1の酵素処理/第2の酵素処理)を含む:1)高スルフヒドリルオキシダーゼ/TGase、2)高スルフヒドリルオキシダーゼ/TrTyr2、3)高スルフヒドリルオキシダーゼ/処理なし、4)低スルフヒドリルオキシダーゼ/TGase、5)低スルフヒドリルオキシダーゼ/TrTyr2、6)低スルフヒドリルオキシダーゼ/処理なし、7)処理なし/TGase、8)処理なし/TrTyr2、9)処理なし/処理なし。b)牛肉由来の抽出物。レーンは、(第1の酵素処理/第2の酵素処理)を含む:1)高スルフヒドリルオキシダーゼ/TGase、2)高スルフヒドリルオキシダーゼ/TrTyr2、3)高スルフヒドリルオキシダーゼ/処理なし、4)低スルフヒドリルオキシダーゼ/TGase、5)低スルフヒドリルオキシダーゼ/TrTyr2、6)低スルフヒドリルオキシダーゼ/処理なし、7)処理なし/TGase、8)処理なし/TrTyr2、9)処理なし/処理なし。 図4は、種々の肉抽出物から製造されたゲルのゲル強度およびWHCの両方が、タンパク質含量と正に相関することを示す。この図は、参照サンプル(酵素処理なし)を表すだけであるということに留意されたい。タラ抽出物から製造されたゲルは、不均質であり、これはゲル強度測定値に大きな変動を与える。しかし、その他のゲルについてよりも、一貫して低かった。 a:水(Ref;n=3)、チロシナーゼ単独(TrTyr2;n=2)、チロシナーゼおよびスルフヒドリルオキシダーゼ同時(TrTyr2+スルフヒドリルオキシダーゼ;n=1)またはトランスグルタミナーゼ(TGase n=2)のいずれかで処理された、タンパク質抽出物から製造された種々の熱誘導性ゲルのゲル強度。b:aと同様であるが、WHCを表す。エラーバーは、標準偏差を表す。
一態様では、架橋されたタンパク質性基質を調製する方法であって、
a.遊離チオールを含むタンパク質性基質を、遊離チオールを除去できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性基質を、活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらし、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法が開示される。
さらなる態様では、方法は、活性が遊離チオールの存在によって阻害される第2の酵素による、遊離チオールを含むタンパク質性基質に対する酵素活性を改善するための方法であって、タンパク質性基質の、遊離チオールを除去できる第1の酵素での処理を含み、第1の酵素での処理が、第2の酵素での処理に先立って、またはそれと同時に実施され、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法が開示される。
本発明者らは、タンパク質性基質におけるチロシナーゼ酵素の阻害は、タンパク質性基質中に存在する遊離チオールの存在によるものであり得るということを見い出した。本発明は、タンパク質性基質の遊離チオール含量の少なくとも一部の除去に基づいており、それによって、チロシナーゼなどの第2の酵素の阻害を少なくとも部分的に軽減する。
本発明は、特に、チロシナーゼが、加工肉製品の水分保持を増大し、ゲル強度を改善し、きめおよび口当たりを改善するのに適した加工助剤と考えられている食肉加工産業に関係している。
酵素処理
本発明は、架橋されたタンパク質性基質を調製する方法であって、
a.遊離チオールを含むタンパク質性基質を、遊離チオールを除去できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性基質を、活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、それと同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらし、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法を提供する。
本発明はさらに、タンパク質が架橋された食材などの、架橋されたタンパク質製品を調製する方法であって、
a.タンパク質性基質を、遊離チオールを分解または酸化できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性基質を、第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらして、架橋されたタンパク質製品を製造する方法を提供する。
本発明はさらに、活性が遊離チオールの存在によって阻害される第2の酵素による、遊離チオールを含むタンパク質性基質に対する酵素活性を改善する方法であって、遊離チオールを除去できる第1の酵素でのタンパク質性基質の処理を含み、第1の酵素での処理が、第2の酵素での処理に先立って、またはそれと同時に実施され、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法を提供する。
一実施形態では、例えば、工程a)における第1の酵素での処理は、タンパク質性基質の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす。
一実施形態では、例えば、工程a)における第1の酵素での処理は、タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす。
一実施形態では、例えば、工程a)における第1の酵素での処理は、タンパク質性食材などの基質中に存在するミオシンであり得るタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分な、タンパク質性基質の遊離チオール濃度の低減をもたらす。
架橋されたタンパク質性製品中に存在するタンパク質の架橋は、ii)本発明の方法によって得られた本発明の架橋されたタンパク質性製品と比較した、i)タンパク質性基質中に存在するタンパク質のSDS−PAGE分析によって決定できる。i)と比較したii)における、SDS−PAGEにおけるタンパク質の平均的な大きさの増大は、タンパク質が架橋された製品を示す。チロシナーゼの活性によって形成されるタンパク質架橋が、ジチオトレイトールまたはメルカプトエタノールなどの還元剤によって影響を受けないので、還元SDS−PAGEが適当である。
一実施形態では、タンパク質性食材は、ミオシンを含み、工程a)およびb)後の、処理された(すなわち、架橋された)タンパク質性食品中に存在するミオシンタンパク質の架橋度は、少なくとも5%である。
上記の方法は、タンパク質性基質(例えば、食材)のゲル強度または水分保持能または両方を増強するために使用でき、その結果、工程a)およびb)が実施された後、タンパク質性基質と比較して、タンパク質が架橋されたタンパク質性製品において、これらのパラメータのうち1種または複数が増強される。
第1の酵素
第1の酵素は、通常、肉抽出物、例えば、豚肉抽出物などのタンパク質性基質内の第2の酵素の阻害を軽減できる酵素として選択される。実施例は、このような肉抽出物が実施される方法のプロトコールを提供する。実施例に開示されるチロシナーゼスポットアッセイを使用し、対照阻害剤としての遊離システインまたは実施例に従って調製された豚肉抽出物などの肉抽出物のいずれかを使用して、チロシナーゼ阻害およびその軽減を測定できる。
本分析から、タンパク質性基質中に存在する阻害剤種のうちの1種または重要な阻害剤種が、遊離システインなどの遊離チオールであるということが考慮される。したがって、このような一実施形態では、タンパク質性基質から遊離チオールを除去できる酵素は、本明細書において「第1の酵素」と呼ばれる。
用語「遊離チオールを除去すること」は、タンパク質性基質中に存在する遊離チオールの濃度の低下(すなわち、低減)を指し、これは、オキシダーゼであり得る第1の酵素を使用して適宜実施できるということは認識されるべきである。
したがって、用語「遊離チオールを除去すること」は、必ずしも、あらゆる遊離チオールを欠くタンパク質性基質/製品の調製に関連せず、ただ、遊離チオールの濃度が低減されているということが考慮されるべきである。
一実施形態では、用語「遊離チオールを除去すること」または「遊離チオールの濃度を低減すること」とは、「遊離チオールの酸化」を指す。
したがって、本発明は、タンパク質性食材などのタンパク質性基質中の遊離チオールの濃度を低減するための第1の酵素の使用を提供する。
タンパク質性基質からの遊離チオールの除去は、タンパク質性基質から遊離チオールを除去できる酵素を使用して実施してよい。このような酵素は、遊離チオール枯渇アッセイを使用して同定できる。一実施形態では、実施例に従って調製した、ミンチにした豚肉基質抽出物を用いて、遊離チオール枯渇アッセイを使用する。
1ユニットの酵素活性は、リン酸バッファー中、pH7.4および30℃で、基質として1mMを用いて、1分あたり1μmolの遊離チオール基、例えば、遊離システインまたはグルタチオンを消費する酵素の量として定義される。
触媒活性はまた、所定の基質濃度、温度およびpHで、1秒あたり1molの基質を変換するのに必要とされる酵素の量である、カタール(触媒活性のSIユニット)で定義してもよい。
したがって、1nkat/gは、0.06ユニット/gの比酵素活性に相当し、または1ユニット/gは、16.6nkat/gに相当する。
タンパク質性基質から遊離チオールを除去する方法の1つは、遊離チオール構成成分、またはその一部を酸化することであり、したがって、このような実施形態では、第1の酵素は、オキシダーゼ(オキシド−レダクターゼ)酵素であることが好ましい。
一実施形態では、第1の酵素は、オキシダーゼ酵素、例えば、以下の活性のうち1以上を示す酵素である:スルフヒドリルオキシダーゼ、ラッカーゼ(E.C.1.10.3.2)、グルタチオンオキシダーゼおよびジスルフィドイソメラーゼ。
一実施形態では、第1の酵素は、EC1.8.3.2および1.8.3.3からなる群から選択される酵素活性を示す。
一実施形態では、第1の酵素は、スルフヒドリルオキシダーゼであるか、またはスルフヒドリルオキシダーゼ活性、すなわち、E.C.1.8.3.2を示す。
一実施形態では、第1の酵素は、過酸化水素を生成できる酵素、例えば、炭水化物オキシダーゼ、例えば、グルコースオキシダーゼまたはヘキソースオキシダーゼである。このような実施形態では、本発明者は、生成した過酸化水素が、存在する遊離チオールを酸化し、それによって、チロシナーゼの阻害を軽減するということを考慮している。
用語スルフィドリルオキシダーゼ(SOX)は、式:2RSH+0→RSSR+Hに従ってチオール化合物をその対応するジスルフィドに変換する酵素として国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会によって提示される酵素分類E.C.1.8.3.2によって定義される。
多数のスルフヒドリルオキシダーゼが、当技術分野で公知であり、本発明の目的のために使用してもよい。一実施形態では、スルフヒドリルオキシダーゼは、微生物供給源、例えば、真菌、例えば、酵母またはアスペルギルスから単離してもよく、またはそれに由来するものであってもよい。EP0321881、EP0338452およびEP0705538には、製パン適用における微生物スルフィドリルオキシダーゼの使用が報告されている。
好ましいスルフヒドリルオキシダーゼは、アスペルギルス・ニガーに由来するもの、例えば、de la Motte and Wagner Biochemistry 26 (1987) 7363 - 737に記載されるスルフィドリルオキシダーゼであり得る。
参照により本明細書に組み込まれるUS4,632,905には、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)に由来するスルフィドリルオキシダーゼが提供されている。
その他のスルフィドリルオキシダーゼとして、ウシスルフィドリルオキシダーゼが挙げられる。
アスペルギルスSOX酵素−NCBI受託番号−以下の記録は、参照により本明細書に組み込まれる。
1: CAB58940. unnamed protein p...[gi:6090366]
2: EAU34803. FAD-linked sulfhy...[gi:114193103]
3: XP_754731. FAD dependent sul...[gi:71000028]
4: XP_749041. FAD dependent sul...[gi:70987121]
5: XP_001213534. FAD-linked sulfhy...[gi:115395790]
6: EAL92693. FAD dependent sul...[gi:66852368]
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酵母SOX−酵素−NCBI受託番号−以下の記録は、参照により本明細書に組み込まれる。
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2: EDN61173sulfhydryl oxidas...[gi:151942827]
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配列番号1で示されるような、適したスルフィフリル(sulfyhryl)オキシダーゼは、参照により本明細書に組み込まれるEP0565172によって提供される。
配列番号1:
>gi|134078459|emb|CAK40401.1| 特許EP565172−A1−アスペルギルス・ニガーに由来するスルフィドリルオキシダーゼSOX
MAPKSLFYSLFSTISVALASSIPQTDYDVIVVGGGPAGLSVLSSLGRMRRKTVMFDSGEYRNGVTREMHD
VLGFDGTPPAQFRGLARQQISKYNSTSVIDIKIDSITPVEDAAANSSYFRAVDANGTQYTSRKVVLGTGL
VDVIPDVPGLREAWGKGIWWCPWCDGYEHRDEPLGILGGLPDVVGSVMETHTLYSDIIAFTNGTYTPANE
VALAAKYPNWKQQLEAWNVGIDNRSIASIERLQDGDDHRDDTGRQYDIFRVHFTDGSSVVRNTFITNYPT
AQRSTLPEELSLVMVDNKIDTTDYTGMRTSLSGVYAVGDCNSDGSTNVPHAMFSGKRAGVYVHVEMSREE
SNAAISKRDFDRRALEKQTERMVGNEMEDLWKRVLENHHRRS
ラッカーゼ(EC1.10.3.2)は、SH基を直接酸化すると報告されている(参考文献:Applied and Environmental Microbiology, February 2000, p. 524-528, Vol. 66, No. 2)。したがって、一実施形態では、第1の酵素(enxyme)は、ラッカーゼであるか、またはラッカーゼ活性を示す。
用語「ラッカーゼ活性」は、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会によって提示される酵素分類EC1.10.3.2(ラッカーゼ)または酵素分類EC1.10.3.1(カテコールオキシダーゼ)、酵素分類EC1.10.3.4(o−アミノフェノールオキシダーゼ)、または酵素分類EC1.3.3.5(ビリルビンオキシダーゼ)によって定義される。
多数のラッカーゼ酵素、例えば、ストレプトマイセス・セリカラー(Streptomyces coelicolor)に由来するラッカーゼ、特に、参照により本明細書に組み込まれるWO2007/054034Aの配列番号2の1から343によって表されるラッカーゼについて報告するWO2007/054034Aに開示されるものが、当技術分野で公知である。本発明の一実施形態では、オキシダーゼはラッカーゼ、例えば、ポリポラス(polyporus)種ラッカーゼ、例えば、WO96/00290(Novo Nordisk Biotech.,inc.から)に記載されるポリポラス・ピニシタス(Polyporus pinisitus)ラッカーゼ(トラメーテス・ビロサ(Trametes villosa)ラッカーゼとも呼ばれる)またはミセリオフテラ(Myceliophthera)種のラッカーゼ、特に、WO95/33836(Novo Nordisk Biotech inc.から)に記載されるミセリオフテラ・サーモフィラ(Myceliophthera thermophila)ラッカーゼである。さらに、ラッカーゼは、スキタリジウム(Scytalidium)種のラッカーゼ、例えば、WO95/33837(Novo Nordisk Biotech inc.から)に記載されるS.サーモフィリウム(thermophilium)ラッカーゼまたはピリクラリア(Pyricularia)種のラッカーゼ、例えば、SIGMAから商標名SIGMA番号L5510の下で購入できるピリキュラリア・オリザエ(Pyricularia oryzae)ラッカーゼまたはコプリナス(Coprinus)属の種のラッカーゼ、例えば、C.シネレウス(C.cinereus)ラッカーゼ、特に、C.シネレウスIFO30116ラッカーゼまたはリゾクトニア(Rhizoctonia)属の種のラッカーゼ、例えば、Rh.ソラニ(solani)ラッカーゼ、特に、WO95/07988(Novo Nordisk A/Sから)に記載される、6.0〜8.5の範囲のpH最適を有する中性のRh.ソラニラッカーゼであり得る。ラッカーゼはまた、コリビア(Collybia)、フォメス(Fomes)、レンチナス(Lentinus)、プレウロータス(Pleurotus)、アスペルギルス、ニューロスポラ(Neurospora)、ポドスポラ(Podospora)、フレビア(Phlebia)、例えば、P.ラジアータ(radiata)(WO92/01046)、コリオラス(Coriolus)属の種、例えば、アラゲカワラタケ(C.hirsitus)(JP2−238885)またはボトリチス(Botrytis)属などの真菌に由来するものであり得る。さらなるラッカーゼは、WO01/83770に開示されている。
用語「グルタチオンオキシダーゼ」(GOX)は、反応2グルタチオン+O(2)=酸化型グルタチオン+H(2)O(2)を触媒し、システインおよびいくつかのその他のチオールの酸化を触媒し得る酵素として、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会によって提示される酵素分類(E.C.1.8.3.3)として定義される。一実施形態では、グルタチオン活性は、酸素の存在下でバッファー溶液中のグルタチオンの消失を測定することによって決定できる。このような実施形態では、1「GOX」ユニットは、30℃、pH7で、1分あたり1μモルグルタチオンを酸化するのに必要とされる酵素の量である。
第1の酵素投与量:
一実施形態では、第1の酵素は、少なくとも0.01nkat/mg、例えば、少なくとも0.1nkat/mg、例えば、少なくとも1nkat/mg、例えば、少なくとも10nkat/mg、例えば、少なくとも50nkat/mg、例えば、少なくとも100nkat/mg、例えば、少なくとも200nkat/mg、例えば、少なくとも300nkat/mgの比活性を有する。一実施形態では、第1の酵素は、500nkat/mg以下、例えば、300nkat/mg以下、例えば、100nkat/mg以下、例えば、10nkat/mg以下、例えば、5nkat/mg以下、例えば、1nkat/mg以下の比活性を有する。
一実施形態では、第1の酵素は、0.00001mg/gから100mg/gの間のタンパク質性基質、例えば、0.01mg/gから10mg/gの間、例えば、0.10mg/gから5mg/gの間の量でタンパク質性基質に加えられる。一実施形態では、タンパク質性基質1gあたり、少なくとも0.00001mg、例えば、少なくとも0.0001mg/g、例えば、少なくとも0.001mg/g、例えば、少なくとも0.01mg/gの第1の酵素が加えられる。一実施形態では、タンパク質性基質1gあたり、最大10mg、例えば、最大5mg/g、例えば、最大1mg/g、例えば、最大0.5mg/g、例えば、最大0.2mg/gの第1の酵素が加えられる。
一実施形態では、加えられる第1の酵素の量は、0.01から1nkat/g、例えば、0.02から0.5nkat/gの間のタンパク質性基質(または食材)である。
第2の酵素
タンパク質性基質中の阻害性化合物の除去によって、第2の酵素のより有効な作用、例えば、チロシナーゼによる、基質中に存在するタンパク質の、より有効なタンパク質架橋が可能となり得る。
一実施形態では、第2の酵素は、その触媒作用が、遊離チオールの存在によって阻害される酵素である。一実施形態では、タンパク質性基質中のチロシナーゼなどの第2の酵素の触媒作用が、タンパク質の架橋をもたらす。
一実施形態では、用語「改善」は、第1の酵素での処理を行わない製品中の第2の酵素の触媒活性と比較した、本発明に従って処理された製品中の第2の酵素の触媒活性の増大によって定義される。
一実施形態では、用語「改善」は、測定可能なパラメータ(例えば、ゲル強度)の変化によって定義され、これは製造業者または消費者により改善と受け取られる。
一実施形態では、用語「改善」は、第1の酵素での処理を行わない製品中の水分保持能と比較した、本発明に従って処理された製品中の水分保持能の改善によって定義される。
別の実施形態では、用語「改善」は、第1の酵素での処理を行わない製品中の架橋と比較した、本発明に従って処理された製品中の架橋の改善によって定義される。
別の実施形態では、用語「改善」は、第1の酵素での処理を行わない製品のきめ(texture)と比較した、本発明に従って処理された製品のきめの改善によって定義される。
一実施形態では、酵素活性は、肉などのタンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらす。タンパク質性基質、例えば、肉中のタンパク質の架橋のために使用するのに適している第2の酵素の一例として、チロシナーゼがある。
一実施形態では、第1の酵素および第2の酵素は、同一酵素ではない。
一実施形態では、第2の酵素は、チロシナーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、タンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)、ガラクトリパーゼおよびリゾホスホリパーゼからなる群から選択される。
一実施形態では、第2の酵素は、チロシナーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼおよびタンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)からなる群から選択される。さらなる一実施形態では、第2の酵素は、リポキシゲナーゼおよびタンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)からなる群から選択される。さらなる一実施形態では、第2の酵素は、ラッカーゼである。酵素は、EC番号:1.14.18.1によって記載される群に属するチロシナーゼであることが最も好ましい。
一態様では、第2の酵素は、国際生化学分子生物学連合(IUBMB)の命名法委員会によって提示される酵素分類EC E.C.1.14.18.1によって定義されるチロシナーゼである(モノフェニルモノキソイゲナーゼ(monophenyl monoxoygenase)とも呼ばれる)。
チロシナーゼは、電子受容体として酸素を使用するフェノールオキシダーゼの群に属する。従来、チロシナーゼは、阻害剤に対する基質特異性および感受性に基づいてその他のフェノールオキシダーゼ、すなわち、ラッカーゼと区別され得る。しかし、区別は、今日では、構造的特徴に基づいている。構造的には、チロシナーゼとラッカーゼ間の主要な相違は、チロシナーゼは、その活性部位中に2個のIII型銅を含む二核銅部位を有するが、ラッカーゼは、活性部位中に全部で4個の銅原子(IおよびM型銅、およびIII型銅の対)を有する。チロシナーゼは、種々のフェノール化合物を対応するキノンに酸化する。キノンは、高度に反応性であり、非酵素的にさらに反応し得る。チロシナーゼの通常の基質は、チロシン(またはタンパク質中のチロシン残基)であり、これは、まず、DOPA(タンパク質中のジヒドロキシフェニルアラニンまたはDOPA残基)にヒドロキシル化され、次いで、酵素によってドーパキノン(またはタンパク質中のドーパキノン残基)にさらに酸化される。ドーパキノンは、その他のドーパキノン、チオールおよびアミノ基などのいくつかの化学構造と非酵素的に反応し得る。したがって、以下に示されるように、チロシナーゼは、1種の同一のタンパク質において2種の酵素活性、すなわち、モノフェノールモノオキシガナーゼ(monophenol monooxyganase)活性(EC1.14.18.1)およびカテコールオキシダーゼ活性(EC1.10.3.1)を有する。
Figure 2015107119
チロシナーゼの基質特異性は比較的広く、この酵素は、いくつかのポリフェノールおよび芳香族アミンを酸化できる。しかし、ラッカーゼ(EC1.10.3.2)とは対照的に、チロシナーゼは、シリンガルダジンを酸化しない。タンパク質中の少なくともチロシン、リシンおよびシステイン残基は、チロシナーゼによって触媒された活性ドーパキノンと共有結合を形成する。
チロシナーゼ活性は、当技術分野で一般に知られている技術によって測定できる。L−ドーパまたはL−チロシンは、基質として使用でき、その後、ドーパクロム形成を分光光度的にモニタリングしてもよく、あるいは、酸素消費量をたどることによって基質消費をモニタリングしてもよい。
チロシナーゼは、自然界に広く分布しており、それらは動物、植物、真菌および細菌において見られる。特に、褐変を受けやすい野菜および果物には、チロシナーゼが豊富である。現在のところ、唯一の市販されているチロシナーゼは、キノコであるアガリクス・ビスポルス(Agaricus bisporus)に由来している。本発明において使用されるチロシナーゼは、チロシナーゼを産生し得る任意の動物、植物、真菌または微生物を起源とするものであり得る。本発明の1つの実施形態によれば、チロシナーゼは糸状菌に由来する。例えば、トリコデルマ・リーゼイ(Trichoderma reesei)から得られる細胞外チロシナーゼであり得る(WO2006/084953)(参照により本明細書に組み込まれる)。
チロシナーゼは、反応L−チロシン+L−ドーパ+O(2)−−>L−ドーパ+ドーパキノン+H(2)Oを触媒する。
一実施形態では、チロシナーゼは、トリコデルマ属またはヒポクレア属などの真菌の種から単離されるか、それに由来する。
参照により本明細書に組み込まれるSelinheimo et al., FEBS Lett. 273, 4322-4335 (2006)は、トリコデルマ属由来のチロシナーゼを提供している。
一実施形態では、チロシナーゼは、配列番号2に開示されるように、翻訳と同時および翻訳後の修飾、例えば、シグナルペプチド切断を考慮している。
配列番号2
>gi|118764455|emb|CAL90884.1| チロシナーゼ2[ヒポクレア・ジェコリナ(Hypocrea jecorina)]
MLLSASLSALALATVSLAQGTTHIPVTGVPVSPGAAVPLRQNINDLAKSGPQWDLYVQAMYNMSKMDSHD
PYSFFQIAGIHGAPYIEYNKAGAKSGDGWLGYCPHGEDLFISWHRPYVLLFEQALVSVAKGIANSYPPSV
RAKYQAAAASLRAPYWDWAADSSVPAVTVPQTLKINVPSGSSTKTVDYTNPLKTYYFPRMSLTGSYGEFT
GGGNDHTVRCAASKQSYPATANSNLAARPYKSWIYDVLTNSQNFADFASTSGPGINVEQIHNAIHWDGAC
GSQFLAPDYSGFDPLFFMHHAQVDRMWAFWEAIMPSSPLFTASYKGQSRFNSKSGSTITPDSPLQPFYQA
NGKFHTSNTVKSIQGMGYSYQGIEYWQKSQAQIKSSVTTIINQLYGPNSGKKRNAPRDFLSDIVTDVENL
IKTRYFAKISVNVTEVTVRPAEINVYVGGQKAGSLIVMKLPAEGTVNGGFTIDNPMQSILHGGLRNAVQA
FTEDIEVEILSKDGQAIPLETVPSLSIDLEVANVTLPSALDQLPKYGQRSRHRAKAAQRGHRFAVPHIPP
L
シグナルペプチドプロセシングの全配列および詳細は、参照により本明細書に組み込まれるWO06/084953に記載されている。
1ユニットのチロシナーゼ活性−1nkatは、pH7および25℃で、1秒あたり1nmolのL−ドーパをドーパキノンに変換する酵素の量として定義される。
一実施形態では、第2の酵素は上記で定義されるラッカーゼである。
一実施形態では、第2の酵素は、酵素分類EC1.13.11によって定義されるリポキシゲナーゼである。リポキシゲナーゼは、シス,シス−1,4−ペンタジエン構造を含有する脂質のヒドロペルオキシ化を触媒する鉄含有ジオキシゲナーゼの一クラスである。一次生成物は、ヒドロペルオキシ脂肪酸であり、これは、通常、ヒドロキシ誘導体に迅速に還元される。
一実施形態では、第2の酵素は、ガラクトースオキシダーゼである。ガラクトースオキシダーゼ酵素は、第一アルコールの、対応するアルデヒドへの立体特異的酸化を触媒する。この酵素の生物学的にもっとも関連のある基質は、この酵素が広い基質特異性を示すためにわかっていない。一実施形態では、ガラクトースが基質である。
一実施形態では、第2の酵素は、酵素分類EC1.4.3.13によって定義されるリシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)である。リシルオキシダーゼは、種々のコラーゲンおよびエラスチンの前駆体中のペプチジルリシン残基の酸化的脱アミノ化を触媒する細胞外銅依存性酵素である。次いで、脱アミノ化リシンは、アルデヒド架橋を形成することができる。
一実施形態では、第2の酵素は、酵素分類E.C.3.1.1.26によって定義されるガラクトリパーゼである。ガラクトリパーゼは、少なくとも1,2−ジアシル−3−β−D−ガラクトシル−sn−グリセロールを加水分解できる。概して、ガラクトリパーゼはまた、2,3−ジ−O−アシル−1−O−(6−O−α−D−ガラクトシル−β−D−ガラクトシル)−D−グリセロールおよびホスファチジルコリンおよびその他のリン脂質も加水分解できる。しかし、それらはトリグリセリドおよび/または1−モノグリセリドを加水分解できない、または実質的に加水分解できない。
一実施形態では、第2の酵素は、酵素分類EC3.1.1.5によって定義されるリゾホスホリパーゼである。リゾホスホリパーゼは、リゾグリセロホスファチデート(lysoglycerophosphatidates)中の単一の脂肪酸エステル結合の加水分解を触媒し、グリセリルホスファチデートおよび脂肪酸を形成する酵素である。
第2の酵素投与量。
使用される第2の酵素、例えば、チロシナーゼの投与量は、例えば、少なくとも20、少なくとも40、少なくとも80、少なくとも160、少なくとも320または少なくとも640nkat/gのタンパク質であり得る。本発明者らは、100から500の間、例えば、200〜200または250〜350の間、または(約)300nkat/gの量の肉タンパク質が、通常、肉タンパク質の架橋に適していることを見い出している。
一実施形態では、第2の酵素、例えば、チロシナーゼは、少なくとも0.1nkat/mg、例えば、少なくとも1nkat/mg、例えば、少なくとも10nkat/mg、例えば、少なくとも100nkat/mg、例えば、少なくとも200nkat/mg、例えば、少なくとも250nkat/mg、例えば、少なくとも300nkat/mgの比活性を有する。
一実施形態では、第2の酵素、例えば、チロシナーゼは、1000nkat/mg以下、例えば、800nkat/mg以下、例えば、500nkat/mg以下の比活性を有する。実施例において使用される酵素(配列番号2に由来する)は、約300nkat/mgの比活性を有する。
一実施形態では、第2の酵素は、0.00001mg/gから100mg/gの間のタンパク質性基質、例えば、0.01mg/gから10mg/gの間、例えば、0.10mg/gから5mg/gの間の量でタンパク質性基質に加えられる。一実施形態では、タンパク質性基質1gあたり、少なくとも0.00001mg、例えば、少なくとも0.0001mg/g、例えば、少なくとも0.001mg/g、例えば、少なくとも0.01mg/gの第2の酵素が加えられる。一実施形態では、タンパク質性基質1gあたり、最大10mg、例えば、最大5mg/g、例えば、最大1mg/g、例えば、最大0.5mg/g、例えば、最大0.2mg/gの第2の酵素が加えられる。
一実施形態では、加えられる第2の酵素の量は、0.001から10nkat/mlの間、例えば、0.01nkat/mlから1nkat/mlの間のタンパク質性基質(または食材)、例えば、0.02から0.5nkat/mlである。
酵素およびその調製
第1および第2の酵素は、その天然供給源から単離してもよく、または合成もしくは組換え技術によって調製してもよい。
本明細書において言及される酵素のアミノ酸配列について、本明細書において開示または参照される配列に関しては、配列は変異体、相同体または断片であり得る(これらの用語は、EP1704240Bに定義されるように使用される)ということが認識される。酵素は、本明細書において開示または参照される(成熟)配列に対して少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%、例えば、少なくとも95%、例えば、少なくとも98%相同または100%相同の相同性を有し得ることが適している。
通常、第1および/または第2の酵素の発現は、真核細胞宿主、例えば、外来宿主細胞由来のものであり、翻訳と同時および翻訳後の修飾、例えば、シグナルペプチド切断をもたらす。
EP1704240Bは、酵素の発現および調製のために使用できる標準組換え技術の記載を提供している。
遊離チオール
チオールは、チオール基としても知られる−SH基を含む。遊離チオールは、チオール含有化合物、例えば、1000g/mol未満、例えば、500g/mol未満、例えば、350g/mol未満、例えば、200g/mol未満の分子量を有するアミノ酸または短いペプチドである。
通常、タンパク質性基質中に存在し得る、または形成され得る遊離チオールとして、システイン、グルタチオンが挙げられ、システインが好ましい。
一実施形態では、遊離チオールは、−SH基含有(遊離)アミノ酸、例えば、遊離システイン−すなわち、アミノ酸モノマーとして存在し、ポリペプチド鎖の一部ではないシステインである。
一実施形態では、「遊離チオール」は、1個以上のチオール基を含むペプチドであり、ペプチドは、2〜8個の間のアミノ酸残基の長さ、例えば、2、3、4、5、6、7または8個のアミノ酸からなるペプチド、例えば、ジ−またはトリ−ペプチド、例えば、グルタチオンからなる。好ましい実施形態では、ペプチドは、1個以上のシステイン残基を含むことが適している。
タンパク質性基質中に存在する遊離チオールの存在または濃度は、実施例において提供される遊離チオールアッセイによって求めることができる−肉抽出物の調製のためのプロトコールはまた、その他のタンパク質性基質を用いて使用してもよいということに留意されたい。
一実施形態では、第1の酵素で処理され得る、タンパク質性(食物)基質中の遊離チオール濃度は、第1の酵素での処理に先立って、少なくとも2μM、例えば、少なくとも3μM、例えば、少なくとも4μM、例えば、少なくとも5μM、例えば、少なくとも6μM、例えば、少なくとも7μM、例えば、少なくとも8μM、例えば、少なくとも9μM、例えば、少なくとも10μM、例えば、少なくとも11μM、例えば、少なくとも12μM、例えば、少なくとも13μM、例えば、少なくとも14μM、例えば、少なくとも15μM、例えば、少なくとも16μM、例えば、少なくとも17μMの遊離チオール濃度を有する。
一実施形態では、第1の酵素で処理され得る、タンパク質性(食物)基質中の遊離チオール濃度は、第1の酵素での処理に先立って、5〜25μMの間、例えば、10〜25μMの間、例えば、15〜20μMの間の遊離チオール濃度を有する。
一実施形態では、タンパク質性(食物)基質中の遊離チオール濃度は、第1の酵素での処理によって(例えば、工程a)後)、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%低減される。
一実施形態では、第1の酵素での処理後(例えば、工程a)後)のタンパク質性(食物)基質中の遊離チオール濃度は、15μM未満、例えば、10μM未満、例えば、9μM未満、例えば、8μM未満、例えば、7μM未満、例えば、6μM未満、例えば、5μM未満、例えば、4μM未満、例えば、3μM未満である。
一実施形態では、タンパク質性食物基質の遊離チオール濃度の低減は、(例えば、工程a後)、少なくとも1μM、例えば少なくとも2μM、少なくとも3μM、少なくとも4μM、少なくとも5μM、少なくとも6μM、少なくとも7μM、少なくとも8μM、少なくとも9μM、少なくとも10μM、少なくとも11μM、少なくとも12μM、少なくとも13μM、少なくとも14μM、少なくとも15μM、例えば、少なくとも16μMである。
一実施形態では、タンパク質性食物基質の遊離チオール濃度の低減は、ミオシンなどの、食物基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である。
タンパク質性基質
タンパク質性食物基質は、食材または食品、好ましくは、食材の形態であり得る。タンパク質性(食物)基質は、肉または肉タンパク質を含むことが好ましい。
さらなる一実施形態では、タンパク質性基質は、粉、生地、穀物由来製品、ミルク、ミルク由来製品、乳製品、ダイズタンパク質、豆乳または植物由来製品である。
タンパク質性基質は、一実施形態では、食材である。
一実施形態では、タンパク質性基質は、動物肉を含み、またはそれからなる。
一実施形態では、肉基質などのタンパク質性基質は、ミオシンを含む。
本明細書において、用語「タンパク質性」とは、少なくとも1重量%、例えば、少なくとも2重量%、例えば、少なくとも3重量%、例えば、少なくとも4重量%、例えば、少なくとも5重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも10重量%、例えば、少なくとも20重量%、例えば、少なくとも30重量%、例えば、少なくとも40重量%、例えば、少なくとも50重量%のタンパク質含量を有する基質または組成物を指す。
好ましい実施形態では、タンパク質性基質または組成物は、タンパク質であるミオシンを含み、タンパク質性基質または組成物中に存在するタンパク質の例えば、少なくとも1%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%がミオシンである。
本明細書において用語ミオシンとは、真核細胞の筋肉中に見られるモータータンパク質、すなわち、肉中に見られる主要なタンパク質を指す。ミオシンは、SDS−PAGE分析によって188kDaのタンパク質として同定される。したがって、ミオシンタンパク質の割合は、SDS−PAGE分析によって決定してもよい。
用語「肉」とは、食物として使用され、好ましくは、脂肪および結合組織と結合していてもよい筋肉の肉を含む動物の肉を指す。本明細書において、肉は、家畜、獲物、家禽、魚およびその他の食用海洋動物の任意の種類の肉を含む。肉は、例えば、豚肉、牛肉、羊肉、カンガルー、鶏肉、シチメンチョウ肉、ダチョウ、魚、軟体動物、サメおよび甲殻類などであり得る。「肉製品」とは、必須成分として肉または肉タンパク質を含む任意の物質、例えば、ソーセージ、ハム、再構成肉製品、スリミなどを指す。
タンパク質性基質は、一実施形態では、肉基質であり得る。
一実施形態では、タンパク質性食物基質は、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉を含有し、またはそれに由来する。
一実施形態では、タンパク質性食物供給源は、哺乳類、例えば、豚肉、子羊肉、牛肉、ヤギ、ウマ、カンガルーなどから得られる(一般に、赤肉と呼ばれる)。
一実施形態では、タンパク質性食物基質は、鳥類、例えば、家禽、例えば、鶏肉、シチメンチョウ肉、ダチョウから得られる。
一実施形態では、タンパク質性食物基質は、白身魚、タラ、コダラ、コーリーなどといった魚類、サメなどの軟骨魚類、メカジキ、海水魚、マグロ、サバ、イワシ、セグロイワシ、ニシン、サケ、淡水魚、マスなどを含有し、またはそれに由来する。
一実施形態では、タンパク質性食物基質は、豚肉、子羊肉、鶏肉、牛肉、シチメンチョウ肉、タラ、カンガルー、ダチョウ、サメからなる群から選択される肉を含有し、またはそれであり、またはそれを含み、またはそれに由来する。
一実施形態では、タンパク質性食物基質は、豚肉、子羊肉、および鶏肉、最も好ましくは、豚肉であり、またはそれを含み、またはそれに由来する。
用語豚肉とは、ブタの屠体から得た肉を指す。用語牛肉とは、ウシの屠体から得た肉を指す(雄ウシまたは雌ウシ)。用語子羊肉とは、ヒツジから得られた肉を指す。
肉基質(または製品)は、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%または少なくとも45重量%(湿潤)の肉を含み得ることが好都合である。肉基質(または製品)は、最大100重量%の肉(湿潤)、例えば、最大50%、最大60%、最大70%、最大80%および最大90%の肉を含み得る。例えば、1再構成肉基質は、実際には、最大100重量%の肉を含み得る。
タンパク質性基質は、通常、水、例えば、1重量%から95重量%の間の水を含む。肉(動物筋肉)は、通常、約60〜75%の水を含むが、種々の供給源および種々の種に由来する肉は、異なる量の水を含み得る。
一実施形態では、タンパク質性基質に外因性の水を加える、例えば、本発明の方法の工程a)および/またはb)に先立って、またはその間に水を加える。肉基質に関連して、外因性の水は、例えば、動物から得られた肉中に天然には存在しない、または動物から得られた肉に由来しない水である。一実施形態では、外因性の水の量は、タンパク質性基質の元の重量(すなわち、外因性の水の添加の前)の1%から90%の間、例えば、10から80%の間である。外因性の水または添加される水の量は、最大90%、最大80%、最大70%、最大60%、最大50%、最大40%、最大30%、最大20%、最大10%であり得る。添加される水の量は、少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%であり得る。
工程a)および/またはb)に先立って、またはその間に基質に添加される外因性の水は、その他の成分を含み得る。
タンパク質性基質と比較して水含量が増大された製品(例えば、肉製品)を製造するために、外因性の水を本発明の方法によってタンパク質性基質(例えば、肉基質)に組み込まれるようにすることができることが認識される。製品中に組み込まれなかった過剰の水は、分離および除去することができる。
したがって、本発明の方法を使用して、肉製品の水分保持能を増強できることが認識される。これに関して、1つの好ましい実施形態では、タンパク質性基質の水含量は、本発明の酵素処理によって増大される。例えば、本発明の方法から得られた肉製品の水含量は、酵素処理の前の肉基質の水含量よりも高い。水含量の増大は、一実施形態では、少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10、例えば、少なくとも15%、例えば、少なくとも20%であり得ることが適している。
挽肉(基質)の粒径は、調製される予定の肉製品の種類に応じて変わる。再構成肉製品の製造には、肉は、通常、数cmの縁を有する認識可能な断片に切断されるのに対し、ハムおよびソーセージ中の肉は、通常、挽かれ、刻まれおよび/またはミンチにされるか、そうでなければ、均質化される。一般に、ハムは、数mmから最大1または数cmの粒子を含む粗挽き肉を含むのに対し、ソーセージは、細挽き肉を含む。
肉タンパク質(すなわち、肉基質中に存在する)は、機械的に分離された肉または再生された肉、および/または例えば、均質化されること、ミンチにすること、すりつぶすこと、サイコロ状にすること、液化することなど(まとめて「粉砕すること」と呼ばれる)によって機械的に破壊された肉の形態であり得る。一実施形態では、タンパク質性食物基質は、肉スラリー、再構成肉または乳化肉の形態である。
一実施形態では、肉基質は、このようなタンパク質の乾重に基づいて約1〜約30重量%(「% w/w」)の動物タンパク質を含む。
一実施形態では、肉基質は、食品の約100% w/wに基づいて、約1% w/w〜約30% w/wの筋肉タンパク質(ミオシン)、約30% w/w〜約80% w/wの水、最大約50% w/wの脂肪を含む。
一実施形態では、タンパク質性基質、例えば、肉基質は、所望により、水の存在下で肉を粉砕することによって得られる。
肉スラリーは、通常、肉を最初に細かく挽き、水と混合する工程によって調製される。次いで、混合物を、遠心機中で乳化剤とともに使用して、筋肉から脂肪およびミオグロビンを分離する。次いで、生成物を三層:肉、過剰の水および脂肪に沈降させる。次いで、肉層を分離し、チキンナゲット、ソーセージ、バーガー、再構成肉などといった食品の調製において食材として直接使用するか、または将来の使用のために保存する(例えば、凍結することによって)。
機械的分離肉(MSM)は、機械的回収肉(MRM)としても知られ、食用肉が付着している動物(例えば、牛肉、豚肉または鶏肉)の骨を、高圧下で篩または同様の装置に通して押し出し、食用肉組織から骨を分離することによって製造される、ペースト様およびバター様肉製品である。BSE疾患の出現以来、機械的分離肉の使用は、あまり好まれておらず、回収肉が好ましい。
回収肉とは、骨と肉組織を混合せずに、骨およびその他の屠体材料から抽出される残存肉を切り落とすことを指す。この肉は外観、きめおよび組成において、手作業によって得られた肉切り落とし物および同様の肉製品に匹敵する。肉は、骨からこそげとる、削り落とすまたは骨から肉を押し出すことによって、骨を破壊または粉砕することなく骨から肉を分離する。
「肉基質」は、肉を含む。さらに、NaCl、リン酸塩および/または水などの任意の従来の添加物を包含する「その他の成分」を含んでもよい。さらに、用語その他の成分は、例えば、NaClおよびリン酸塩以外の塩、スパイス、保存料、抗酸化物質、安定剤、糖、甘味料、ゴム、結合剤、増量剤、デンプン、デキストリン型の炭水化物、動物性または植物性脂肪および油状物、脂肪代替品および/またはその他の非肉成分、例えば、ダイズ、カゼインおよびホエイ、コムギタンパク質およびその他の非肉タンパク質などを含む。
一実施形態では、「肉基質」は、肉および水からなる、またはそれを含む。肉基質は、挽肉(communited meat)であり得る。
肉製品
用語「肉製品」とは、タンパク質性基質が「肉基質」である、本発明の方法によって調製された製品を指す。したがって、タンパク質性のタンパク質が架橋されたタンパク質性製品は、肉製品であり得る。
本発明の関連では、本発明の方法によって調製された製品は、第2の酵素(チロシナーゼ)の活性によって、挽肉を結合することによって調製された肉製品であり得る。このような肉製品は、再構成(restructured)(再構成(reconstituted))されたと呼ばれ得る。挽肉は、チロシナーゼ処理の前またはその間に、本発明の第1の酵素で処理される。
一実施形態では、調製された肉製品は、15〜18重量%の脂肪を含有する脂肪低減(fat-reduced)製品または最大10重量%の脂肪を含有する低脂肪(low-fat)肉製品または最大5重量%の脂肪を含有する脂肪のない肉製品であり得る。好ましくは、肉製品の脂肪含量は、18重量%以下、好ましくは、10重量%以下、最も好ましくは、5重量%以下またはさらに3重量%以下である。
一実施形態では、肉製品は、2.0重量%未満の塩、好ましくは、1.5重量%未満を含み得る。1.2重量%以下の塩を含む肉製品が、通常、低塩製品と考えられる。したがって、本発明の肉製品は、1.2重量%以下の塩を含むことが好ましく、本発明の1つの実施形態によれば、1.0重量%以下を含む。この点において「塩」とは、塩化ナトリウム(NaCl)を指す。一実施形態では、肉基質およびまたは製品は、本質的に塩を含まない、すなわち、リン酸塩の濃度は、0.1%重量%未満の塩である。
リン酸塩の添加は、ここ何年かの間、増大したが、これは低塩製品の構造および水結合能を維持するためにリン酸塩を使用できるからである。現今、製造業では、通常、肉製品に0.2重量%(Pとして測定される)のリン酸塩を加え、これは0.34重量%のピロリン酸三ナトリウムに相当する。本発明の肉基質および/または製品は、0.2重量%未満のリン酸塩を含み得るが、0.1重量%以下の添加されるリン酸塩(Pとして測定される)を含むことが好ましい。肉基質および/または製品はリン酸塩を含まない、すなわち、リン酸塩が添加されていないことが最も好ましい。
一実施形態では、肉基質およびまたは製品は本質的にはリン酸塩を含まない−すなわち、リン酸塩の濃度は、0.1%重量%未満リン酸塩である。
食材
本明細書において、用語「食材」とは、ヒトまたは動物の食事の一部を形成する食用組成物である。食材は、食物として直接使用してもよく、または食品の調製において使用してもよい。本発明の食材は、タンパク質性食材であることが好ましい。
好ましい実施形態では、食材は、肉食材、すなわち、肉、例えば、本明細書において言及される肉、例えば、豚肉(ブタ)、牛肉、シチメンチョウ肉、鶏肉、子羊肉または魚からなる群から選択される肉を含む食材である。肉食材は、豚肉および鶏肉であることが好ましく、豚肉が最も好ましい。
一実施形態では、肉食材は、本明細書において言及される粉砕方法によって調製され得る本明細書において言及される肉基質である。
食品
本明細書において、用語「食品」とは、1種または複数の「食材」からなる、またはそれを含む食用組成物を指す。通常、食品は、組み合わされ、消費者によって直接購入される(または食される)食品に加工されるいくつかの「食材」を含む。これに関連して、一態様では、「食品」とは、加工された食材を指す。
一実施形態では、本明細書において言及されるタンパク質が架橋されたタンパク質性製品は、(肉)食品であるか、または続いて、肉食品の調製において使用される。
限定されない例では、食品は、以下の食品カテゴリーのうち1以上から選択され得る:
−調理肉−例えば、ハム、ロイン、ピクニックハム、ベーコン、豚バラ肉
−乾燥および半乾燥加工肉−発酵製品、乾燥加工および種菌を用いて発酵させたもの、例えば、ドライソーセージ、サラミ、ペペロニ、ドライハム
−冷消費および温消費用の乳化製品、例えば、モルタデッラ、フランクフルトソーセージ、ランチョンミート、パテ
−魚およびシーフード−エビ、サケ、再成形魚製品、凍結コールドパック魚。
−新鮮肉筋肉−全注入肉筋肉、例えば、ロイン、ショルダーハム、マリネ肉。
−挽いた新鮮肉/再構成新鮮肉−再形成肉。低温硬化性ゲルまたは結合によるアップグレードした切り取り肉、例えば、生の、未調理のロインチョップ、ステーキ、ロースト、新鮮ソーセージ、ビーフバーガー、ミートボール、ペルメニ。
−家禽製品−例えば、鶏肉またはシチメンチョウ胸肉または再形成家禽、チキンナゲット、チキンソーセージ。
−レトルト製品−オートクレーブ処理した肉製品、例えば、ピクニックハム、ランチョンミート、乳化製品。
−ベジタリアンおよび肉類似品−例えば、ベジタリアンソーセージ、ナゲット、バーガー
酵素系
本発明は、第1の酵素を利用して、タンパク質性基質(組成物)から第2の酵素の阻害剤を除去する。第1の酵素処理は、第2の酵素処理の前または、さらに第2の酵素処理の間に実施してもよい。したがって、本発明は、第1の酵素および第2の酵素を含み、第1の酵素が、タンパク質性基質などの基質から第2の酵素の阻害剤を除去できる酵素系に関する。
好ましい実施形態では、本発明は、第1の酵素および第2の酵素を含み、第1の酵素が、タンパク質性基質から遊離チオールを除去できる酵素であり、第2の酵素がチロシナーゼである酵素系を提供する。
一実施形態では、第1の酵素およびまたは第2の酵素は、単離された形態である。
用語「単離」とは、それが天然に見られる環境からの酵素の単離を指す。
一実施形態では、第1の酵素およびまたは第2の酵素は、精製された形態である。
精製された第1および/または酵素が使用される、すなわち、酵素が、本発明の組成物に添加される前に精製されることが好ましい。酵素純度は、SDS−PAGEおよび濃度測定を使用して決定されることが好ましい。精製された酵素は、少なくとも10%純粋、例えば、少なくとも20%純粋、例えば、少なくとも30%純粋、例えば、少なくとも40%純粋、例えば、少なくとも50%純粋である。しかし、精製された酵素は、その他のタンパク質とともに配合され得、例えば、タンパク質安定化剤、例えば、BSAまたはその他の酵素と混合され得、したがって、酵素純度の評価は、精製後に酵素に加えられたタンパク質を除外するということは認識される。第1および第2の酵素が、同一区画内に両方とも存在する酵素系(1ポット系)のために、各(第1または第2の)酵素の純度は、その他の酵素が存在しないかのように算出される。
一実施形態では、第1および第2の酵素は、同一酵素組成物内に存在する。
しかし、一実施形態では、第1の酵素は、第2の酵素から単離される(使用に先立って)。
これに関連して、酵素系は単一ポット(パート)または複数ポット(複数のパート)(例えば、2)ポット系であり得る。
したがって、酵素系は、第1の酵素を含む第1のポット(パート)と、第2の酵素を含む第2のポット(パート)とを含むキットの形態で提供され得る。
上記で使用される用語ポットまたはパートは、その他のポット/パートまたは区画(単数または複数)から単離された、単一の区画を指す。
酵素系(または個々のポット)中に存在する第1の酵素の量は、例えば、少なくとも0.001mg/g、例えば、少なくとも0.01mg/g、例えば、少なくとも0.1mg/g、例えば、少なくとも1mg/g、例えば、少なくとも3mg/g、例えば、少なくとも5mg/g、例えば、少なくとも10mg/gであり得る。約15mg/g以上、例えば、最大25mg/g、50mg/g、最大100mg/g、最大200mg/gまたはさらには最大300mg/gの投与量が適当であり得ることが適している。
酵素系(または個々のポット)中に存在する第2の酵素の量は、例えば、少なくとも0.001mg/g、例えば、少なくとも0.01mg/g、例えば、少なくとも0.1mg/g、例えば、少なくとも1mg/g、例えば、少なくとも3mg/g、例えば、少なくとも5mg/g、例えば、少なくとも10mg/g、例えば、少なくとも50mg/g、例えば、少なくとも100mg/g、例えば、少なくとも200mg/g、またはさらにはそれ以上、例えば、最大500mg/g、例えば、最大400mg/g、または例えば、最大25mg/g、50mg/g、最大100mg/g、最大200mg/gまたはさらには最大300mg/gであり得る。
一実施形態では、酵素系は、タンパク質性食品の酵素処理のための食品加工助剤の形態である。
酵素系または複数の酵素系は、食品酵素組成物成分または担体などの、酵素配合において通常使用される任意のその他の成分を−例えば、マルトデキストリン、炭水化物ベースの物質、シリカベースの物質、タンパク質、タンパク質加水分解物および/またはその他のタンパク質ベースの物質、例えば、BSAなどの増量剤を含み得る。
一実施形態では、例として、10mgのミックスは、SOX0.015mg、チロシナーゼ2mgおよび増量剤7.985mgを含み得る。あるいは、100mgのミックスは、SOX0.015mg、チロシナーゼ2mgおよび増量剤97.985mgを含み得る。最初の場合では、処理するタンパク質1グラムあたり10mgのミックスを添加し、後者の例では、処理するタンパク質1グラムあたり100mgのミックスを添加する。処理する肉製品のタンパク質含量が3%であると推定する場合には、最初の場合では、肉製品1kgに300mgの酵素ミックスを加え、後者の場合では、肉製品1kgあたり3000mgを加える。
本発明者らは、増量剤としてタンパク質を使用することは、チロシナーゼのさらなる基質を添加し、さらなる架橋につながるという利益をさらに有し得ることに注目する。
一実施形態では、本発明は、水分保持が増強されたタンパク質性食材を調製するための本発明の酵素系の使用を提供し、および/または
一実施形態では、本発明は、ゲル強度が増強されたタンパク質性食材を調製するための本発明の酵素系の使用を提供し、および/または
一実施形態では、本発明は、きめまたは口当たりが増強されたタンパク質性食材を調製するための本発明の酵素系の使用を提供する。
ゲル形成−ゲル強度。タンパク質が架橋されたタンパク質性製品などの本発明の製品は、タンパク質性基質または処理工程a)を含まずに調製された比較製品のいずれかと比較して、改善されたゲル強度を有し得る。一実施形態では、ゲル強度の改善は、少なくとも1g、例えば、少なくとも2g、少なくとも3g、少なくとも4g、少なくとも5gである。
水分保持。タンパク質が架橋されたタンパク質性製品などの本発明の製品は、タンパク質性基質または処理工程a)を含まずに調製された比較製品のいずれかと比較して、改善された水分保持能を有し得る。一実施形態では、水分保持能は、少なくとも1%、例えば、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%改善されている。
架橋。タンパク質が架橋されたタンパク質性製品などの本発明の製品のタンパク質架橋度は、非処理タンパク質性基質と比較して、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%のタンパク質架橋度を有し得る。タンパク質架橋度は、タンパク質性基質と比較した、本発明の製品から得られたタンパク質抽出物のSDS−PAGE(還元条件を使用してよい)の濃度測定分析によって得ることができる。
一実施形態では、製品中に存在するミオシンタンパク質のタンパク質架橋度は、非処理タンパク質性基質と比較して、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%、例えば、少なくとも20%、例えば、少なくとも30%、例えば、少なくとも40%、例えば、少なくとも50%、例えば、少なくとも60%、例えば、少なくとも70%、例えば、少なくとも80%、例えば、少なくとも90%のタンパク質架橋度を有し得る。
酵素組成物
酵素調製物は、動物、植物および微生物供給源から種々の純度で製造される。それらは、死滅細胞全体、細胞の一部または細胞を含まない抽出物からなり得る。それらはまた、担体、溶媒、保存料および抗酸化物質を含み得る。酵素調製物は、液体、半液体または乾燥固体調製物として配合され得る。食品酵素調製物は、従来、加工の際に食品に直接添加されてきた。多数の適用に関して、調製物の構成成分は加工食品中に残る。近年、固相支持体上に固定化された酵素が重要性を高めてきた。固定化酵素調製物は、高度に特異的な、精製された酵素を含むものから、死滅細胞全体または構造的に無傷の生存細胞を含むものまで多岐にわたり得る。いくつかの酵素過程について、酵素および細胞の同時固定化が有利であり得る。固定化酵素調製物は食品構成成分になるよう意図されるものではない。
したがって、一態様では、第1の酵素およびまたは第2の酵素が固定化されることが認識される。しかし、第2の酵素の活性を考慮すると、第2の酵素は、固定化されていないこと、すなわち、おそらくは不活性の酵素(例えば、熱不活化型)が食品中に残ることが好ましい。
(さらなる実施形態および態様)
実施形態1。第1の酵素および第2の酵素を含む酵素系であって、第1の酵素がタンパク質性基質から遊離チオールを除去できる酵素であり、第2の酵素がチロシナーゼである酵素系。
実施形態2。第1の酵素およびまたは第2の酵素が、単離または精製された形態である、実施形態1に記載の酵素系。
実施形態3。第1の酵素がオキシダーゼである、前記実施形態のいずれかに記載の酵素系。
実施形態4。第1の酵素がECコード1.8.3.2.または1.8.3.3.を有する、実施形態1に記載の酵素系。
実施形態5。第1の酵素がスルフヒドリルオキシダーゼである、実施形態1に記載の酵素系。
実施形態6。第1の酵素がラッカーゼである、実施形態1に記載の酵素系。
実施形態7。第1の酵素がグルタチオンオキシダーゼである、実施形態1に記載の酵素系。
実施形態8。第1の酵素がジスルフィドイソメラーゼである、実施形態1に記載の酵素系。
実施形態9。第1および第2の酵素が、同一酵素組成物内に存在する、実施形態1から8に記載の酵素系。
実施形態10。第1の酵素が、使用に先立って第2の酵素から単離される、前記実施形態のいずれかに記載の酵素系。
実施形態11。キットの形態で提供され、前記キットが、第1の酵素を含む第1のポットと、第2の酵素を含む第2のポットとを含む、実施形態10に記載の酵素系。
実施形態12。第1の酵素が、使用に先立って0.001から300mg/gの間の濃度で酵素系中に存在する、前記実施形態のいずれか1つに記載の酵素系。
実施形態13。第2の酵素が、使用に先立って0.001から500mg/gの間の濃度で酵素系中に存在する、前記実施形態のいずれか1つに記載の酵素系。
実施形態14。タンパク質性食品の酵素処理のための食品加工助剤の形態である、前記実施形態のいずれか1つに記載の酵素系。
実施形態15。1種または複数の食品酵素組成物成分および/または担体などのさらなる構成成分を含む、実施形態14に記載の酵素系。
実施形態16。タンパク質性基質中の遊離チオールの濃度を低減するための、前記実施形態のいずれか1つに記載の第1の酵素の使用。
実施形態17。タンパク質性基質が、好ましくはミオシンを含むタンパク質性食材である、実施形態16に記載の第1の酵素の使用。
実施形態18。タンパク質性食物基質が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉を含有し、またはそれに由来する、実施形態17に記載の第1の酵素の使用。
実施形態19。タンパク質性食物基質が、豚肉、子羊肉、鶏肉、牛肉、シチメンチョウ肉、タラ、カンガルー、ダチョウ、サメからなる群から選択される肉を含有し、またはそれに由来する、実施形態17に記載の第1の酵素の使用。
実施形態20。タンパク質性食物基質が、豚肉、子羊肉および鶏肉、最も好ましくは、豚肉である、実施形態17に記載の第1の酵素の使用。
実施形態21。タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、実施形態16から20のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
実施形態22。タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、実施形態16から21のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
実施形態23。タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の低減が、ミオシンなどの、基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である、実施形態16から22のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
実施形態24。第2の酵素が、実施形態1〜15のいずれか1つに定義されるとおりである、実施形態23に記載の第1の酵素の使用。
実施形態25。タンパク質が架橋された食材を調製する方法であって、
a.タンパク質性食材を、遊離チオールを分解または酸化できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性食材を第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性食品中に存在するタンパク質の架橋をもたらす方法。
実施形態26。遊離チオールを分解または酸化できる酵素が、実施形態1〜15のいずれか1つに定義される第1の酵素に従うとおりである、実施形態25に記載の方法。
実施形態27。工程a)が、実施形態16〜24のいずれか1つに従う第1の酵素の使用を含む、実施形態25または26に記載の方法。
実施形態28。工程a)が、タンパク質性食物基質の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、実施形態25〜27のいずれか1つに記載の方法。
実施形態29。工程a)が、タンパク質性食物基質の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、実施形態25〜28のいずれか1つに記載の方法。
実施形態30。工程a)が、ミオシンなどの、食物基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である、タンパク質性食物基質の遊離チオール濃度の低減をもたらす、実施形態25〜29のいずれか1つに記載の方法。
実施形態31。第2の酵素が、実施形態1〜15のいずれか1つに定義されるとおりである、実施形態25〜30のいずれか1つに記載の方法。
実施形態32。タンパク質性食品が、実施形態17〜20のいずれか1つに定義されるとおりである、実施形態25〜31のいずれか1つに記載の方法。
実施形態33。タンパク質性食材が、ミオシンを含み、工程a)およびb)後の処理されたタンパク質性食品中に存在するミオシンタンパク質の架橋度が少なくとも5%である、実施形態25〜32のいずれか1つに記載の方法。
実施形態34。工程a)およびb)後のタンパク質性食材のゲル強度または水分保持能または両方が、未処理タンパク質性食品と比較して増強される、実施形態25〜33のいずれか1つに記載の方法。
実施形態35。実施形態25〜34のいずれか1つによって調製された食材。
実施形態36。前記食品中に存在する遊離チオールの濃度が、15μM以下、または10μM以下、または5μM以下である、実施形態35に記載のタンパク質性食材。
実施形態37。ゲル強度が少なくとも2g増強されている、実施形態35〜36に記載のタンパク質性食材。
実施形態38。水分保持能が、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%増強されている、実施形態35〜37のいずれかに記載のタンパク質性食材。
実施形態39。総ミオシンの少なくとも10%が架橋される、実施形態35〜38のいずれかに記載のタンパク質性食材。
実施形態40。遊離チオールの濃度が、少なくとも2μM低減されている、実施形態35〜39のいずれかに記載のタンパク質性食材。
実施形態41。タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉に由来する、実施形態35〜40のいずれかに記載のタンパク質性食材。
実施形態42。食品が、人工添加物、特に、リン酸塩などの添加物を含まない、実施形態35〜41のいずれかに記載のタンパク質性食材。
実施形態43。実施形態35〜42のいずれか1つに記載のタンパク質性食材を含む加工食品。
実施形態44。調理肉、乾燥および半乾燥加工肉製品、発酵製品、乳化製品、魚およびシーフード製品、新鮮肉筋肉、挽いた新鮮肉/再構成新鮮肉、再形成肉、家禽製品、レトルト製品、オートクレーブ処理した肉製品、ベジタリアンおよび肉類似製品からなる群から選択される、実施形態43に記載の加工食品。
実施形態45。水分保持が増強されたタンパク質性食材を調製するための、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の酵素系の使用。
実施形態46。ゲル強度が増強されたタンパク質性食材を調製するための、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の酵素系の使用。
実施形態47。きめまたは口当たりが向上されたタンパク質性食材を調製するための、実施形態1〜15のいずれか1つに記載の酵素系の使用。
態様1。架橋されたタンパク質性基質を調製する方法であって、
a.遊離チオールを含むタンパク質性基質を、遊離チオールを除去できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性基質を、活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらし、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法。
態様2。第2の酵素が、チロシナーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼおよびタンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)からなる群から選択される、態様1に記載の方法。
態様3。第2の酵素が、リポキシゲナーゼおよびタンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)からなる群から選択される、態様2に記載の方法。
態様4。第2の酵素がラッカーゼである、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
態様5。第2の酵素がチロシナーゼである、態様1から3のいずれか1つに記載の方法。
態様6。第1の酵素および/または第2の酵素が、単離または精製された形態である、態様1から5のいずれか1つに記載の方法。
態様7。第1の酵素がオキシダーゼである、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
態様8。第1の酵素がラッカーゼではない、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
態様9。第1の酵素が、ECコード1.8.3.2.または1.8.3.3.を有する、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
態様10。第1の酵素がスルフヒドリルオキシダーゼである、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
態様11。第1の酵素がグルタチオンオキシダーゼである、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
態様12。第1の酵素がジスルフィドイソメラーゼである、態様1から6のいずれか1つに記載の方法。
態様13。タンパク質性基質が、好ましくはミオシンを含むタンパク質性食材である、態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
態様14。タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉を含有し、またはそれに由来する、態様13に記載の方法。
態様15。タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉、鶏肉、牛肉、シチメンチョウ肉、タラ、カンガルー、ダチョウ、サメからなる群から選択される肉を含有し、またはそれに由来する、態様14に記載の方法。
態様16。タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉および鶏肉からなる群から選択され、最も好ましくは、豚肉である、態様15に記載の方法。
態様17。第1および第2の酵素が、同一酵素組成物内に存在する、態様1から16のいずれか1つに記載の方法。
態様18。第1の酵素が、使用に先立って第2の酵素から単離される、態様1から17のいずれか1つに記載の方法。
態様19。第1の酵素および第2の酵素が、キットの形態の酵素系として提供され、前記キットが、第1の酵素を含む第1のポットと、第2の酵素を含む第2のポットとを含む、態様1から18のいずれか1つに記載の方法。
態様20。第1の酵素が、使用に先立って0.001から300mg/gの間の濃度で酵素系の形態で存在する、態様19に記載の方法。
態様21。第2の酵素が、使用に先立って0.001から500mg/gの間の濃度で酵素系の形態で存在する、態様19から20のいずれか1つに記載の方法。
態様22。酵素系が、タンパク質性食品の酵素処理のための食品加工助剤の形態である、態様19から21のいずれか1つに記載の方法。
態様23。酵素系が、1種または複数の食品酵素組成物成分および/または担体などのさらなる構成成分を含む、態様22に記載の方法。
態様24。工程a)における遊離チオールの除去が、タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、態様1から23のいずれか1つに記載の方法。
態様25。工程a)における遊離チオールの除去が、タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、態様1から24のいずれか1つに記載の方法。
態様26。タンパク質性基質中の遊離チオールの濃度を低減するための、前記態様のいずれか1つにおいて定義される第1の酵素の使用。
態様27。タンパク質性基質が、好ましくはミオシンを含むタンパク質性食材である、態様26に記載の第1の酵素の使用。
態様28。タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉を含有し、またはそれに由来する、態様27に記載の第1の酵素の使用。
態様29。タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉、鶏肉、牛肉、シチメンチョウ肉、タラ、カンガルー、ダチョウおよびサメからなる群から選択される肉を含有し、またはそれに由来する、態様28に記載の第1の酵素の使用。
態様30。タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉および鶏肉からなる群から選択され、最も好ましくは、豚肉である、態様29に記載の第1の酵素の使用。
態様31。タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、態様26から30のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
態様32。タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、態様26から31のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
態様33。タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の低減が、ミオシンなどの、基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である、態様26から32のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
態様34。第2の酵素が、態様1から25のいずれか1つに定義されるとおりである、態様33に記載の第1の酵素の使用。
態様35。活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素により、遊離チオールを含むタンパク質性基質に対する酵素活性を改善する方法であって、遊離チオールを除去できる第1の酵素でのタンパク質性基質の処理を含み、第1の酵素での処理が、第2の酵素での処理に先立って、またはそれと同時に実施され、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法。
態様36。酵素活性が、前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらす、態様35に記載の方法。
態様37。第1の酵素が、態様1から26のいずれか1つに定義されるとおりである、態様35から36のいずれか1つに記載の方法。
態様38。第2の酵素が、チロシナーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、タンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)、ガラクトリパーゼおよびリゾホスホリパーゼからなる群から選択される、態様35から37のいずれか1つに記載の方法。
態様39。タンパク質性基質が、態様1から26のいずれか1つに定義のとおりである、態様35から38のいずれか1つに記載の方法。
態様40。タンパク質が架橋された食材を調製する方法であって、
a.タンパク質性食材を、遊離チオールを分解または酸化できる第1の酵素で処理する工程と、
b.タンパク質性食材を第2の酵素で処理する工程と
を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性食品中に存在するタンパク質の架橋をもたらす方法。
態様41。遊離チオールを分解または酸化できる酵素が、態様1から25のいずれか1つに定義されるとおりである、態様40に記載の方法。
態様42。工程a)が、態様26から34のいずれか1つに記載の第1の酵素の使用を含む、態様40または41に記載の方法。
態様43。工程a)が、タンパク質性食材の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、態様40から42のいずれか1つに記載の方法。
態様44。工程a)が、タンパク質性食材の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、態様40から43のいずれか1つに記載の方法。
態様45。工程a)が、ミオシンなどの、食物基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である、タンパク質性食材の遊離チオール濃度の低減をもたらす、態様40から44のいずれか1つに記載の方法。
態様46。第2の酵素が、態様1から25のいずれか1つに定義されるとおりである、態様40から45のいずれか1つに記載の方法。
態様47。タンパク質性食品が、態様27から30のいずれか1つに定義されるとおりである、態様40から46のいずれか1つに記載の方法。
態様48。タンパク質性食材が、ミオシンを含み、工程a)およびb)後の、処理されたタンパク質性食品中に存在するミオシンタンパク質の架橋度が、少なくとも5%である、態様40から47のいずれか1つに記載の方法。
態様49。工程a)およびb)後の、タンパク質性食材のゲル強度または水分保持能または両方が、未処理タンパク質性食品と比較して増強される、態様40から48のいずれか1つに記載の方法。
態様50。態様40から49のいずれか1つによって調製された食材。
態様51。前記食品中に存在する遊離チオールの濃度が、15μM以下、または10μM以下、または5μM以下である、態様50に記載のタンパク質性食材。
態様52。ゲル強度が少なくとも2g増強されている、態様50から51に記載のタンパク質性食材。
態様53。水分保持能が、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%増強されている、態様50から52のいずれかに記載のタンパク質性食材。
態様54。総ミオシンの少なくとも10%が架橋されている、態様50から53のいずれかに記載のタンパク質性食材。
態様55。遊離チオールの濃度が、少なくとも2μM低減されている、態様50から54のいずれかに記載のタンパク質性食材。
態様56。タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉に由来する、態様50から55のいずれかに記載のタンパク質性食材。
態様57。食品が、人工添加物、特に、リン酸塩などの添加物を含まない、態様50から56のいずれかに記載のタンパク質性食材。
態様58。態様50から57のいずれか1つに記載のタンパク質性食材を含む加工食品。
態様59。調理肉、乾燥および半乾燥加工肉製品、発酵製品、乳化製品、魚およびシーフード製品、新鮮肉筋肉、挽いた新鮮肉/再構成新鮮肉、再形成肉、家禽製品、レトルト製品、オートクレーブ処理した肉製品、ベジタリアンおよび肉類似製品からなる群から選択される、態様58に記載の加工食品。
態様60。水分保持が増強されたタンパク質性食材を調製するための、態様1から25のいずれか1つに記載の方法の使用。
態様61。ゲル強度が増強されたタンパク質性食材を調製するための、態様1から25のいずれか1つに記載の方法の使用。
態様62。きめまたは口当たりが増強されたタンパク質性食材を調製するための、態様1から25のいずれか1つに記載の方法の使用。
[実施例1]
材料および方法
成分:
豚肉(3〜7%脂肪)、牛肉(9〜12%脂肪)、子羊肉(8〜10%脂肪)、鶏肉(3〜6%脂肪)、シチメンチョウ肉(3〜7%脂肪)、およびタラ(脂肪含量未知)から得たミンチにした肉は、すべて地元の小売店で購入した。トリポリリン酸ナトリウム(STPP)チロシナーゼ(供給業者によれば、TrTyr2;VTT、Finland、1067 nkat/ml)、TGase(供給業者によれば、Activa MP;Ajinomoto;1666nkat/g)、スルフヒドリルオキシダーゼ(アスペルギルス種/アスペルギルス・ニガー;325nkat/g;測定された活性)
タンパク質抽出物:
1.2%NaClおよび0.3%STPPを使用してブライン(brine)を製造した
2.肉20g部分を、250mlのバッフル付き振盪フラスコに入れた
3.各振盪フラスコに、60mlのブラインを加えた
4.振盪フラスコを、ロータリーシェーカー(Certomat R、Braun Int.)上に置いた;室温で120分、180rpm
5.肉−ブライン懸濁液を、10000g、5℃で60分間遠心分離した
6.上清を0.8mm格子を通して濾過することによって脂肪粒子を除去した
7.肉−タンパク質抽出物(上清)を、−18℃で保存した
ゲル濾過/透析
透析を、Pierce(Order nr:66810)製のSlide−A−Lyzer透析カセットで実施した。透析は、透析バッファーを1回交換して4℃で一晩実施した。
遊離チオール濃度の決定
エルマン試薬I:3mM EDTA(0.558g);0.2M Tris(12.14g)を、約400mlの水に溶解し、HClでpHを8に調整し、水を用いて最大500mlに満たした。エルマン試薬II:DTNB(Sigma D−8130)8mGを、20mlのエルマンIに溶解し、暗所で保存し、1日以内に使用した。
タンパク質が結合しているチオールを除去するためおよびサンプルを清澄化するため:肉抽出物(0.5ml)および0.5%のトリクロロ酢酸(0.5ml)を、エッペンドルフ管中で混合した。この管を、10000gで5分間遠心分離した。0.3mlの上清を、新しい管に移し、40μLの1M NaOHを用いて中和した。
分析:100μLのタンパク質を含まないサンプルを、マイクロタイタートレイウェル中で170μlのエルマン試薬IIと混合した。このサンプルを、プレートシェーカーを使用して混合した。プレートを、マイクロタイタープレートリーダーの内側で(暗所を維持するため)室温でインキュベートし、Abs420を、エルマン試薬IIの添加の正確に2分後に測定した。
チオール濃度の算出:
ε=吸光係数
(2−ニトロ−5−チオベンゾエート;NTB)=13600M−1*cm−1
r=ウェルの半径=0.35cm
v=ウェル中の容量サンプル=0.27mL
光路=l=v/(ε)=0.27/(ε0.35)=0.70cm
チオール濃度(mol/L)=Abs420/(l*ε)=Abs420/(0.70*13600)
すべての決定は、2連で行った。
スルフヒドリルオキシダーゼ活性の測定:
スルフヒドリルオキシダーゼを添加した後の、ジチオトレイトール(dithiotreitol)(DTT)濃度(上記に従う)の低下として測定される。活性は、1秒当たりに酸化されるnmol DTTとして定義される。
タンパク質含量の決定
パーセントでの総窒素含量は、ケルダール法に従って決定した(Ma T S & Zuazaga G. Micro-Kjeldahl determination of nitrogen. Ind. Eng. Chem. (Analytical Edition) 14:280-2, 1942)。タンパク質含量は、総窒素%を因子6.25で乗じることによって求めた(http://www.foodcomp.dk/fvdb_aboutfooddata_proximates.asp#Protein)。
SDS−PAGE分析のためのサンプル調製/酵素処理
SDS−PAGE分析に先立ってタンパク質抽出物の酵素処理を以下のとおりに行った:チロシナーゼを、15.5nkat/ml抽出物(抽出物1mlあたり0.015mgチロシナーゼに相当する)の終濃度に加え、40℃で60分間インキュベートした。TGaseを、2.5nkat/ml抽出物(抽出物1mlあたり0.015mg TGaseに相当する)の終濃度に加え、40℃で60分間インキュベートした。スルフヒドリルオキシダーゼを、0.0033(低スルフヒドリルオキシダーゼ)または0.033(高スルフヒドリルオキシダーゼ)nkat/mlの終濃度に加えた。それは、常に、その他の酵素処理に先立って、またはそれと同時に加えた。その他の酵素処理に先立って加えられる場合には、室温で60分のインキュベーション時間を適用した。
SDS−Page分析:
SDS−PAGEを、Pre−cast Novex Bis−Trisゲル(Invitrogen、Carlsbad CA、USA)で、製造業者のプロトコールに従って実施した。非還元SDS−PAGEでは、DTTをサンプルバッファーから除外した。
チロシナーゼスポットアッセイおよび阻害の試験
1mlのスキムミルクに、11nkatのチロシナーゼを添加することによって、チロシナーゼ活性のスポットアッセイを調べた。5〜10秒以内の赤色形成は、チロシナーゼ活性が高いことを示す。チロシナーゼ阻害を調べるために、ミルクに添加する前に阻害剤をチロシナーゼと混合するか、チロシナーゼ添加の前に阻害剤をミルクに加える。調べた阻害剤は、終濃度1もしくは0.1mMの遊離システインまたは最終サンプルで10倍希釈された肉抽出物であった。
きめおよびWHCの評価のための肉タンパク質ゲルの製造
熱誘導した肉タンパク質ゲルを、以下の方法に従って製造した:
1.12gの肉タンパク質抽出物を、50mlのねじ口プラスチック遠心管に入れた
2.酵素処理:180μL TrTyr2(1067nkat/ml)+180μL水、180μLスルフヒドリルオキシダーゼ(1mg/ml)+180μL TrTyr2(1067nkat/ml)、180μLスルフヒドリルオキシダーゼ(1mg/ml)+180μL水または360μL水(参照)のいずれかを、肉タンパク質抽出物に加えた
3.サンプルを、40℃で1時間インキュベートした
4.80℃で60分間加熱することによってゲルを製造した
5.ゲルを5℃で一晩保存した
6.ゲルを35℃で2時間調節した
7.TPA分析を、きめ分析器(TI−XT2、Stable micro systems)を使用し、以下の設定を用いて試験管中のゲルで実施した:プレスピード(Pre speed)2mm/秒、テストスペッド(Test sped)5mm/秒、トリガー力(trigger force):3g、移動距離(travel distance)3mm、圧縮5秒間の時間(time between compressions 5 sec)、ロードセル(Load cell)5kg、プローブ:P0.5(5mm エボナイト)
8.ゲル中でクロスを切断し、試験管を、4000rpmで10分間遠心分離する(Hettich Rotina 46)
9.上清を捨て、秤量した。
水分保持能(WHC)は以下のとおりに算出した:
WHC=
Figure 2015107119
は、ゲルから放出される水の重量であり、WTotは、ゲルの総重量である
結果
図1は、製造したすべての肉タンパク質抽出物のSDS−PAGEゲルを示す。各抽出物は、TGase(特定の抽出物の第1のレーン)、チロシナーゼ(特定の抽出物の第2のレーン)および酵素なし(特定の抽出物の第3のレーン)で処理した。約188KDaのMWのバンドはミオシンである。
図2は、電気泳動の前に透析した、豚肉から得た抽出物のSDS−PAGE分析を示す。最初の3レーンについては、抽出物を、STPPを含まないということを除いて、抽出に使用したブラインと同様のブライン溶液に対して透析した。レーン4〜6については、抽出物を、抽出に使用したものと同一のブライン溶液に対して透析した。図1と同様に、抽出物は、TGase(レーン1および4)およびTrTyr2(レーン2および5)の両方で処理した。
表1は、各抽出物において測定されたタンパク質および遊離チオール濃度(2回の測定の平均)を列挙する。結果は、種々の抽出物のタンパク質および遊離チオール含量両方における大きな相違を示す。タンパク質含量および遊離チオール濃度の間に相関は全くないようである。0.033nkat/mlスルフヒドリルオキシダーゼで60分間処理した後の豚肉および牛肉抽出物の遊離チオール含量も測定した。
Figure 2015107119
活性スポット試験は、約10μMの濃度まで低下した遊離システインが、チロシナーゼの顕著な阻害を与えるということを示した。システインおよび酵素を、基質を加える前に1分間互いに接触させた。
図3は、架橋酵素の添加の前に、スルフヒドリルオキシダーゼで処理して遊離チオールを除去した豚肉(a)および牛肉(b)抽出物のSDS−PAGE分析を示す。
図4は、種々の肉抽出物から作製したゲルのゲル強度およびWHCの両方が、タンパク質含量と正に相関することを示す。この図は、参照サンプル(酵素処理なし)のみを表すことに留意されたい。タラ抽出物から作製したゲルは不均質であり、これはゲル強度測定において大きな変動を与える。しかし、それは、その他のゲルのものよりも一貫して低かった。
図5aおよびbは、それぞれ、種々の酵素処理を行った、種々のタンパク質抽出物から得た熱誘導性ゲルのゲル強度およびWHCを表す。スルフヒドリルオキシダーゼおよびTrTyr2の両方で処理した場合に、豚肉、鶏肉および子羊肉から得たゲルで、ゲル強度に対する著しく正の効果が観察された。牛肉およびシチメンチョウ肉抽出物から得たゲルについては、スルフヒドリルオキシダーゼ+チロシナーゼでの処理によって、チロシナーゼ単独での処理と同様の結果が得られた。タラについてのゲル強度結果は、極めて不均質なゲルのために省略した。ゲルWHCについて観察された傾向は、鶏肉ゲルのWHCが、処理にもかかわらず変化しなかったことを除いてゲル強度と同様であった。タラのWHCを測定できたが、ゲルは不均質であった。TGase処理は、参照のために実施した。
豚肉抽出物ならびにスルフヒドリルオキシダーゼおよびチロシナーゼの組合せを用いる実験を反復し、同様の結果を得た。しかし、第2の実験は、種々のレベルのゲル強度およびWHCの両方を示す新規タンパク質抽出物を用いて実施した。したがって、結果は図5に含めなかった。また、サンプルをスルフヒドリルオキシダーゼ単独を用いて実施した。この場合には、参照サンプルと比較して、ゲル強度およびWHCに相違はなかった。
考察
種々の種の動物から得た肉タンパク質抽出物に対するチロシナーゼ処理の効果は、同様ではない(図1)。豚肉から得た抽出物におけるチロシナーゼ処理の際に架橋が起こらないようであることが最も注目に値する(レーン11−チロシナーゼ処理をレーン12−参照と比較)が、例えば、牛肉に由来する抽出物では、チロシナーゼ処理の際にゲルの上部にHMWタンパク質バンドが観察され、このことは、タンパク質架橋を示す(レーン8−チロシナーゼ処理をレーン9−参照と比較)。同時に、ミオシンバンド(188KDaの)の強度の低減があり、これは、架橋されるのが、主にこのタンパク質であることを示す。豚肉を除いて、チロシナーゼ処理によって、すべての種に由来する抽出物中に高MWタンパク質凝集体が生成する。しかし、架橋活性の効率は異なると思われる。タラ抽出物では、ミオシンバンドは、完全に消失し、このことは、極めて効率的な架橋を示す。さらに牛肉、シチメンチョウ肉、鶏肉および子羊肉については、種々の程度のミオシンバンド退色があり、このことは、種々の程度の架橋効率を示す。
TGaseという周知のタンパク質架橋酵素は、陽性参照として常に含まれている(図1中、レーン1、4、7、13、16)。TGaseによって触媒される架橋は、すべての抽出物において効率的であると思われる。本明細書において記載される結果では、TGase活性は、任意のさらなる処理によって影響を受けなかった。
ミオシンは、動物界において極めて保存されているタンパク質であり、したがって、ミオシン基質は、種々の肉サンプル間で同等であると考えられる。
本発明者らは、豚肉または鶏肉などの肉基質における低チロシナーゼ活性は、種々の抽出物中のチロシナーゼ阻害の存在によるものであるということを明らかにした。この考えは、2つの簡単な試験によって実証された:1)チロシナーゼ処理前の豚肉抽出物の10倍希釈が、酵素を活性にした(SDS−PAGEでの高MWバンドおよびミオシン退色として観察される;結果は示さず。2)チロシナーゼが、キノンの形成によってミルクを赤色に変える。これは、チロシナーゼ活性スポット試験として使用される。チロシナーゼが、ミルクに添加される前に豚肉抽出物と混合される場合には、色形成は観察されなかった。両試験は、抽出物の阻害効果を示す。
さらに、本発明者らは、ミンチにした豚肉のタンパク質抽出物から作製したタンパク質ゲルのきめを改善するよう試みたが、きめの改善を得るには極めて高いチロシナーゼ濃度が必要であることが観察された。この結果もまた、チロシナーゼは、豚肉抽出物中のいくつかの構成成分から阻害されているということを支持する。
豚肉抽出物の透析を実施した(図2)。タンパク質の抽出に使用したものと全く同じ溶液に対する透析は、チロシナーゼを活性にすると思われる(レーン5および6を比較)。これは、阻害が、低MW化合物から起こることを示す。
リン酸塩は、チロシナーゼの潜在的な阻害剤であるが、これは、それらがチロシナーゼの触媒活性にとって必須である銅原子とコレート(collate)し得るからである。リン酸塩STPPは、すべての抽出物中に0.3%のレベルで存在する。しかし、STPPは、透析後も依然として存在するので、STPPが、阻害の原因であるということはありそうもない。さらに、すべての種から得た抽出物中に、チロシナーゼ触媒による架橋が効率的であるものにも存在する。それにもかかわらず、豚肉抽出物を、STPPを含まない溶液に対して透析した。上記と一致して、チロシナーゼ架橋のさらなる効率性は観察されなかった(レーン2および5の比較;SDSサンプル溶液は粘性であり、ピペッティングの正確性を低減させるので、バンド強度のわずかな相違の際には結論を導くべきではない)。追加の銅の添加もまた、チロシナーゼ活性を増強しないと思われた(結果は示さず)。
文献研究によって、肉抽出物中で遭遇する可能性の高い2種の潜在的な阻害剤が示された。一方は、二重結合の総数が4を超えるトリグリセリドであり、もう一方は、遊離システインである。
最初に、抽出前に肉から、潜在的に阻害性である脂質を除去するよう、種々の手順によって試みを行った。これらは、溶媒(ヘキサン、acetem、トリブチリンまたは水)での洗浄およびリパーゼでの処理を含んでいた。概ね、これらの実験から得た結果は決定的なものではなく、脂質がチロシナーゼ阻害の主原因であるということを示すものは全く決して与えなかった。
システインの潜在的な阻害効果を追求するために、アッセイ培地中、種々の濃度のシステインを用いた状態、および用いない状態でのチロシナーゼ活性をスポットした。チロシナーゼは、10μMを超える濃度のシステインによって明らかに阻害された。その後、種々のタンパク質抽出物中の遊離チオール含量(遊離システインを含む)を測定した(表1)。豚肉から得た抽出物中に最高濃度の遊離チオールが存在することおよび濃度(18.4μM)が、システインを用いて観察される阻害の限界を実質的に越えることが観察された。サンプル中に存在する遊離チオールのどのくらいが、遊離システインに起因するかはわかっていない。しかし、チロシナーゼが、遊離システイン単独ではなく、一般に、低MW遊離チオールによって阻害される可能性は高い。鶏肉および子羊肉から得た抽出物では、遊離チオール濃度はまた、システインについて見られた阻害レベルを超えていた。鶏肉および子羊肉抽出物から得たこれらのサンプルはまた、ミオシンバンドの最小の広範囲の退色が起こるものである(図1)、すなわち、チロシナーゼはある程度阻害されると思われる。タラ抽出物は、最低含量の遊離チオールを有し、また、ミオシンバンド退色が最も顕著である抽出物でもある。全体としてみると、これは、遊離チオールが、チロシナーゼ阻害に関与しているという強力な証拠である。
遊離チオールの阻害効果を回避する試みでは、抽出物を、遊離チオールをジスルフィド化合物に酸化するスルフヒドリルオキシダーゼで処理した。豚肉から得た抽出物を、スルフヒドリルオキシダーゼ(0.33または0.033nkat/ml)で処理した後、図3aにおけるSDS−PAGE分析での高MWタンパク質凝集体の形成およびミオシンバンドの相当な退色からわかるようにチロシナーゼはもはや阻害されなかった(レーン2、5および8を比較)。スルフヒドリルオキシダーゼ単独は、観察可能なタンパク質架橋を全く引き起こさなかった(レーン3、6および9を比較)。本発明者らは、スルフヒドリルオキシダーゼが、タンパク質間でジスルフィド架橋を生成する可能性を考慮したが、これは、SDSサンプルバッファー中の還元剤DTTの存在のために、図3におけるゲルでは観察可能でない場合がある。したがって、SDS−PAGE分析は、非還元条件下(DTTを含まない)で実施した。しかし、スルフヒドリルオキシダーゼ単独の架橋効果は観察されなかった(結果は示さず)。牛肉抽出物(図3b)については、チロシナーゼは、抽出物がスルフヒドリルオキシダーゼ処理を受けたか受けていないかにかかわらず、タンパク質を架橋できた。これは、スルフヒドリルオキシダーゼ自体は、チロシナーゼ活性に対して負の効果を有さないということを示す。
肉タンパク質の架橋は、肉製品のきめおよび感覚の特性を増強し得る。初期の研究で、予想に反して、チロシナーゼ単独は、特に豚肉抽出物から製造された熱誘導タンパク質ゲルのゲル強度およびWHCを増強しないことがわかった。上記の結果の延長として、チロシナーゼによって触媒された架橋によって期待されるタンパク質抽出物中の遊離チオールの除去が機能的効果を後押しできるかどうかを調べた。(図5)チロシナーゼ単独は、遊離チオール含量の低い抽出物(牛肉およびシチメンチョウ肉)から作製した熱誘導性タンパク質ゲルの強度およびWHCの両方を改善し得るということがわかった。チオール含量の高い抽出物(豚肉および鶏肉)から製造したゲルでは、このような改善は、チロシナーゼ作用の前に遊離チオールが除去される(スルフヒドリルオキシダーゼによって)場合にのみ可能であった。
種々の抽出物間にはゲル強度およびWHCのレベルの極めて顕著な相違がある。これは、抽出物中の異なるタンパク質含量の結果である(図4)。
結論
種々の種類の肉から得たタンパク質抽出物は、チロシナーゼによって触媒される架橋に関して極めて異なる特徴を示す。相違は、サンプル中の遊離チオールの異なるレベルと相関する。チロシナーゼ処理の前にスルフヒドリルオキシダーゼで処理することによって、相当な阻害を有する肉抽出物、例えば、豚肉から得た抽出物における、チロシナーゼによって触媒される架橋の低い効率が解消された。
チロシナーゼ単独は、遊離チオール含量の低い抽出物(牛肉およびシチメンチョウ肉)から製造した、熱誘導タンパク質ゲルの強度およびWHCの両方を改善し得る。チオール含量の高い抽出物(豚肉および鶏肉)から製造したゲルでは、このような改善は、チロシナーゼ作用の前に遊離チオールが除去される(スルフヒドリルオキシダーゼによって)場合にのみ可能であった。
本発明者らは、ほとんどの肉は検出可能であり、多くの場合、相当な遊離チオール含量を有し、したがって、満足のいくゲル強度または水分保持能を得ることが可能である肉においてでさえ、スルフィドリルオキシダーゼ酵素の使用は、チロシナーゼの投与量の低減、および/またはより短い、もしくは、より望ましい酵素インキュベーション条件を可能にするということに注目する。
この概念はまた、全肉製品に適用可能である。これは、SOXおよびチロシナーゼの種々の組合せを、ミンチにした鶏肉を含有するモデル鶏肉ソーセージレシピに添加することによって示された。SOX処理後にチロシナーゼを加えた場合には、製品の製品硬度および水分保持能が、対照製品と比較して大幅に増大することがわかった。これは2種の酵素のいずれかを単独で使用した場合はあてはまらなかった。チロシナーゼ−SOXの組合せから、供給業者によって推奨される用量のトランスグルタミナーゼよりも大幅に高い製品硬度および水分保持能が生じた(結果は示さず)。

Claims (62)

  1. 架橋されたタンパク質性基質を調製する方法であって、
    a.遊離チオールを含むタンパク質性基質を、遊離チオールを除去できる第1の酵素で処理する工程と、
    b.タンパク質性基質を、活性が遊離チオールによって阻害される第2の酵素で処理する工程と
    を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらし、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法。
  2. 第2の酵素が、チロシナーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼおよびタンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. 第2の酵素が、リポキシゲナーゼおよびタンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  4. 第2の酵素がラッカーゼである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 第2の酵素がチロシナーゼである、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  6. 第1の酵素および/または第2の酵素が、単離または精製された形態である、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 第1の酵素がオキシダーゼである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 第1の酵素がラッカーゼではない、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 第1の酵素が、ECコード1.8.3.2.または1.8.3.3.を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  10. 第1の酵素がスルフヒドリルオキシダーゼである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  11. 第1の酵素がグルタチオンオキシダーゼである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  12. 第1の酵素がジスルフィドイソメラーゼである、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  13. タンパク質性基質が、好ましくはミオシンを含むタンパク質性食材である、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
  14. タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉を含有し、またはそれに由来する、請求項13に記載の方法。
  15. タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉、鶏肉、牛肉、シチメンチョウ肉、タラ、カンガルー、ダチョウ、サメからなる群から選択される肉を含有し、またはそれに由来する、請求項14に記載の方法。
  16. タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉および鶏肉からなる群から選択され、最も好ましくは、豚肉である、請求項15に記載の方法。
  17. 第1および第2の酵素が、同一酵素組成物内に存在する、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 第1の酵素が、使用に先立って第2の酵素から単離される、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 第1の酵素および第2の酵素が、キットの形態の酵素系として提供され、前記キットが、第1の酵素を含む第1のポットと、第2の酵素を含む第2のポットとを含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 第1の酵素が、使用に先立って0.001から300mg/gの間の濃度で酵素系の形態で存在する、請求項19に記載の方法。
  21. 第2の酵素が、使用に先立って0.001から500mg/gの間の濃度で酵素系の形態で存在する、請求項19から20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 酵素系が、タンパク質性食品の酵素処理のための食品加工助剤の形態である、請求項19から21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 酵素系が、1種または複数の食品酵素組成物成分および/または担体などのさらなる構成成分を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 工程a)における遊離チオールの除去が、タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 工程a)における遊離チオールの除去が、タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
  26. タンパク質性基質中の遊離チオールの濃度を低減するための、前記請求項のいずれか一項に定義される第1の酵素の使用。
  27. タンパク質性基質が、好ましくはミオシンを含むタンパク質性食材である、請求項26に記載の第1の酵素の使用。
  28. タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉を含有し、またはそれに由来する、請求項27に記載の第1の酵素の使用。
  29. タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉、鶏肉、牛肉、シチメンチョウ肉、タラ、カンガルー、ダチョウおよびサメからなる群から選択される肉を含有し、またはそれに由来する、請求項28に記載の第1の酵素の使用。
  30. タンパク質性食材が、豚肉、子羊肉および鶏肉からなる群から選択され、最も好ましくは、豚肉である、請求項29に記載の第1の酵素の使用。
  31. タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、請求項26から30のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
  32. タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、請求項26から31のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
  33. タンパク質性基質中の遊離チオール濃度の低減が、ミオシンなどの、基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である、請求項26から32のいずれかに記載の第1の酵素の使用。
  34. 第2の酵素が、請求項1から25のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項33に記載の第1の酵素の使用。
  35. 活性が遊離チオールの存在によって阻害される第2の酵素により、遊離チオールを含むタンパク質性基質に対する酵素活性を改善する方法であって、遊離チオールを除去できる第1の酵素でのタンパク質性基質の処理を含み、第1の酵素での処理が、第2の酵素での処理に先立って、またはそれと同時に実施され、第1の酵素および第2の酵素が、同一酵素ではない方法。
  36. 酵素活性が、前記タンパク質性基質中に存在するタンパク質の架橋をもたらす、請求項35に記載の方法。
  37. 第1の酵素が、請求項1から26のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項35から36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 第2の酵素が、チロシナーゼ、ラッカーゼ、リポキシゲナーゼ、ガラクトースオキシダーゼ、タンパク質リシン6−オキシダーゼ(リシルオキシダーゼ)、ガラクトリパーゼおよびリゾホスホリパーゼからなる群から選択される、請求項35から37のいずれか一項に記載の方法。
  39. タンパク質性基質が、請求項1から26のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項35から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. タンパク質が架橋された食材を調製する方法であって、
    a.タンパク質性食材を、遊離チオールを分解または酸化できる第1の酵素で処理する工程と、
    b.タンパク質性食材を第2の酵素で処理する工程と
    を含み、工程a)が、工程b)に先立って、またはそれと同時に実施され、工程b)が、前記タンパク質性食品中に存在するタンパク質の架橋をもたらす方法。
  41. 遊離チオールを分解または酸化できる酵素が、請求項1から25のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項40に記載の方法。
  42. 工程a)が、請求項26から34のいずれか一項に記載の第1の酵素の使用を含む、請求項40または41に記載の方法。
  43. 工程a)が、タンパク質性食材の遊離チオール濃度の、少なくとも5%の低減をもたらす、請求項40から42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 工程a)が、タンパク質性食材の遊離チオール濃度の、少なくとも1μMの低減をもたらす、請求項40から43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 工程a)が、ミオシンなどの、食物基質中に存在するタンパク質を架橋する第2の酵素の能力を増強するのに十分である、タンパク質性食材の遊離チオール濃度の低減をもたらす、請求項40から44のいずれか一項に記載の方法。
  46. 第2の酵素が、請求項1から25のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項40から45のいずれか一項に記載の方法。
  47. タンパク質性食品が、請求項27から30のいずれか一項に定義されるとおりである、請求項40から46のいずれか一項に記載の方法。
  48. タンパク質性食材が、ミオシンを含み、工程a)およびb)後の、処理されたタンパク質性食品中に存在するミオシンタンパク質の架橋度が、少なくとも5%である、請求項40から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 工程a)およびb)後の、タンパク質性食材のゲル強度または水分保持能または両方が、未処理タンパク質性食品と比較して増強される、請求項40から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 請求項40から49のいずれか一項によって調製された食材。
  51. 前記食品中に存在する遊離チオールの濃度が、15μM以下、または10μM以下、または5μM以下である、請求項50に記載のタンパク質性食材。
  52. ゲル強度が少なくとも2g増強されている、請求項50から51に記載のタンパク質性食材。
  53. 水分保持能が、少なくとも5%、例えば、少なくとも10%増強されている、請求項50から52のいずれかに記載のタンパク質性食材。
  54. 総ミオシンの少なくとも10%が架橋されている、請求項50から53のいずれかに記載のタンパク質性食材。
  55. 遊離チオールの濃度が、少なくとも2μM低減されている、請求項50から54のいずれかに記載のタンパク質性食材。
  56. タンパク質性食材が、哺乳類、鳥類または魚類などの動物肉に由来する、請求項50から55のいずれかに記載のタンパク質性食材。
  57. 食品が、人工添加物、特に、リン酸塩などの添加物を含まない、請求項50から56のいずれかに記載のタンパク質性食材。
  58. 請求項50から57のいずれか一項に記載のタンパク質性食材を含む加工食品。
  59. 食品が、調理肉、乾燥および半乾燥加工肉製品、発酵製品、乳化製品、魚類およびシーフード製品、新鮮肉筋肉、挽いた新鮮肉/再構成新鮮肉、再形成肉、家禽製品、レトルト製品、オートクレーブ処理した肉製品、ベジタリアンおよび肉類似製品からなる群から選択される、請求項58に記載の加工食品。
  60. 水分保持が増強されたタンパク質性食材を調製するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法の使用。
  61. ゲル強度が増強されたタンパク質性食材を調製するための、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法の使用。
  62. きめまたは口当たりが改善されたタンパク質性食材を調製するための、請求項1から25のいずれか1つに記載の方法の使用。
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