JP2004506221A - 高度に均一な電気泳動用分子マーカー - Google Patents

高度に均一な電気泳動用分子マーカー Download PDF

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Abstract

本発明は、電気泳動システムを用いて分離された分子種の物理的性質を特定するためのマーカー分子に関する。さらに、本発明は、マーカー分子を調製および使用する方法に関する。

Description

【0001】
発明の背景
発明の分野
本発明は、分子生物学およびタンパク質生化学の分野にある。本発明は、電気泳動システムを用いて分離された分子種の物理的性質を特定するためのマーカー分子に関する。さらに、本発明は、マーカー分子を調製および使用する方法に関する。
【0002】
背景技術
ゲル電気泳動は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、ポリペプチド、およびタンパク質などの生物学的分子を分離するための一般的な手順である。一般的なタンパク質電気泳動法は、電気泳動前に、試料を、負に荷電した界面活性剤(例えば、ドデシル硫酸ナトリウム(SDS))で平衡化することを必要とする。これにより、全てのタンパク質が正味の負電荷を帯び、従って、陽極に移動するようになる。核酸は、そのままの状態で電荷を帯びている。ゲル電気泳動において、かけられた電場によって分子が媒体を移動する速度に従って、分子はバンドに分離する。
【0003】
この技法の一般的に用いられる変形は、ガラス管に封入された水性ゲルまたはガラスプレートもしくはプラスチックプレートの間に板状物として挟まれた水性ゲルからなる。ゲルには穴のあいた分子網状構造があり、この構造は、導電性緩衝塩液をたっぷり含む孔を規定する。ゲルを貫くこれらの孔は、移動高分子の通過をさせるのに十分に大きい。
【0004】
ゲルは、ゲルと電源の陰極または陽極とを電気的に接触させる緩衝溶液と接触した状態でチャンバー内に入れられる。高分子を含む試料および追跡用色素がゲル上部に入れられる。電位がゲルに加えられ、これにより、試料高分子および追跡用色素は、高分子の電荷に応じて電極の一方に向かって移動する。追跡用色素がゲル末端に達する直前に、電気泳動を止める。次いで、分離された高分子のバンドの位置を決定する。移動度が既知の追跡用色素および高分子と比較して特定のバンドが移動した距離を比較することによって、他の高分子の移動度を決定することができる。次いで、高分子のサイズを計算することができる。または、異なるサイズの高分子をゲル内で分離することができる。
【0005】
等電点電気泳動(IEF)は、pH勾配において分子種がその等電点(pI)に移動することに基づいた電気泳動法である。pH勾配は、通常、ゲルなどの架橋マトリックス内で、pIが異なる多数の種を含む両性電解質溶液を電場にかけることによって確立される。電位差がゲルの端から端まで加えられると、両性電解質を含む媒体に添加された分析物はpH勾配に沿って等電点に移動する。
【0006】
多くの成分からなる試料の場合、1種類だけの電気泳動次元を使用する時に同時移動する種をさらによく分離するために多次元電気泳動法が用いられてきた。一般的なものとして1つには2次元電気泳動すなわち2D−Eが挙げられる。タンパク質の2D−E分析の場合、例えば、試料は、通常、まず最初に、チューブゲルまたはストリップゲル内でpHへの各タンパク質の正味の電荷の独特の依存性を利用するIEFによって分画される。次に、pIによって分離されたタンパク質を含むゲルを、チューブゲルの場合、チューブから押し出し、SDSで平衡化し、スラブゲル(一般的に、SDSを含む架橋ポリアクリルアミドゲル)の一端に沿って水平に置く。他のIEF分画法を用いると、非導電性の裏板で支えられたゲル片またはゲル細片をゲル平板の上に直接置くことができる。次いで、電気泳動を第1の次元とは垂直の第2の次元で行い、タンパク質は分子量に基づいて分離する。このプロセスはSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動すなわちSDS−PAGEと呼ばれる。SDS−PAGEゲルを通る高分子の移動速度は4つの主な要因:ゲルの多孔度;高分子のサイズおよび形状;磁界強度;ならびに高分子の電荷密度によって決まる。これらの4つの要因が正確に制御され、ゲルごとに、試料ごとに再現できることは有効な電気泳動システムにとって重要である。しかしながら、これらの要因はどれもシステムにおけるゲルおよび他の試薬の化学的性質ならびに高分子の特性の多くの変数に影響されやすいので、ゲル間の均一性を維持することは難しい。従って、第1の次元(IEF)で十分に分離されない、ほぼ同じ正味の電荷を有するタンパク質は、第2の次元(SDS−PAGE)における他の主な要因の変数に従って分離する。これらの2つの分離方法は独立した性質に依存しているので、総分離能は、おおよそ各次元における分離能の積である。
【0007】
2D−EおよびSDS−PAGEを含む、これらの電気泳動法の多くの実施に必須のものは、分子マーカー標準(すなわち、既知の分子量およびpIを有する標準タンパク質分子)である。分子マーカーは、電気泳動システムにおいて、関心対象の未知試料と物理的性質を比較するための基準として用いられる。分子マーカーには非常に多くの用途があるが、ある特定の例として、広いpH範囲の固定化pH勾配(IPG)細片を使用した従来の2次元ゲル電気泳動、狭いpH範囲のIPG細片を使用した重複2次元ゲル電気泳動、独立型SDS−PAGE、担体両性電解質を含むIEFゲル、キャピラリー電気泳動、動電クロマトグラフィーが挙げられる。他の多くのゲル電気泳動形態が当業者に周知である。
【0008】
従って、未知試料と比較するために、性質が十分に明確な信頼性の高い標準マーカーを有することが望ましい。これは、2D−Eなどの高分離能システムにおいて特に当てはまる。残念なことに、市販の2D−E標準(バイオラド(BioRad),Hercules,CA,カタログ番号161−0320;シグマ(Sigma),St.Louis,MO,カタログ番号G0653;ファルマシア(Pharmacia),Uppsala,Sweden,カタログ番号17−0471−01および17−0582−01)は、主として、限定された範囲のpIおよび分子量でしか利用できない、染色されていない天然タンパク質からなる。これらの市販マーカーは2次元ゲルにおいてランダムに分布し、分析物と区別することができない。さらに、様々な薬剤を用いてタンパク質のpIおよび分子量を操作すると、電気泳動条件下で鮮明な区画に移動しない、生成物の不均一な混合物が生じる。これは、発色団基を取り付けることによって視覚的に検出可能なタンパク質を作成する従来の技法を用いた時に特に問題である。最新技術では、タンパク質は、タンパク質を反応性薬剤(これは発色団基または他の標識でもよい)で処理することによって標識される。タンパク質は複数の潜在的に反応性の部位(例えば、−NHまたは−SH基)を有し、全ての部位の完全な反応は決して得られないので、標識反応は生成物の混合物をもたらす。1つのマーカー集団には、利用可能な活性部位の数に応じて様々な数の標識があり得る。この不均一な分子混合物はpIおよび分子量が様々にあり、電気泳動条件下でスメアなまたは拡散したバンドまたはスポットを生じる。分子マーカーが厳密でないことは全ての分離法(特に、等電点電気泳動を伴う分離法)に悪影響を及ぼす。結果を視覚化する間のマーカーのスメアまたは不鮮明な外観は、実験データの不明瞭なまたは信頼できない表示につながる。結果として、市販の分離法(特に、電荷および/または分子量に基づいてタンパク質を分離する技法)と適合する高度に均一な目に見える分子マーカーの必要がまだ満たされていない。
【0009】
発明の概要
本発明は、既知のpIおよび分子量を有する、均一な目に見える(好ましくは、色のついた)マーカー分子を調製する方法に関する。さらに、本発明は、有機分子またはペプチドを用いて、一定した再現可能な様式でタンパク質または核酸のpIおよび分子量を変える方法に関する。本発明のマーカー分子は、一般的に、電気泳動条件下で細い鮮明なバンドまたはスポットを生じるように分離する。本発明はまた、本発明のマーカー分子を調製する方法およびこれらの分子を使用する方法に関する。
【0010】
1つの態様において、本発明は、同じpIおよび同じ分子量のマーカー分子を含むマーカー分子組成物に関する。別の態様において、本発明は、同じpIおよび異なる分子量のマーカー分子を含むマーカー分子組成物に関する。さらに別の態様において、本発明は、異なるpIおよび異なる分子量のマーカー分子を含むマーカー分子組成物に関する。さらなる態様において、異なるpIおよび同じ分子量を含むマーカー分子組成物に関する。
【0011】
別の態様において、本発明は、約200ダルトン〜約2,000ダルトン、約300ダルトン〜約2,500ダルトン、約3,000ダルトン〜約250,000ダルトンの分子量、約2〜約12の等電点(pI)、および少なくとも1つまたは複数の標識分子を含むマーカー分子に関する。このような標識分子は、発色団、発蛍光団、または紫外線(UV)吸収基を含んでもよい。標識はまた、UV吸収部分を含む天然アミノ酸(例えば、トリプトファンおよびチロシンの芳香族基)を導入することによって達成することができる(シムラ(Shimura),K.ら,Electrophoresis 21:603−610(2000))。別の態様において、本発明は、式:
セグメントA−L−セグメントB
のマーカー分子に関する。式中、
セグメントAは、標識された分子(例えば、天然または合成の分子(有機分子、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、高分子(例えば、炭水化物)、低分子、オリゴペプチド、天然もしくは非天然アミノ酸を含むが、これらに限定されない))、好ましくは、1つまたは複数の発色団、発蛍光団、またはUV吸収基で標識された分子であり;
Lは、リンカーまたは結合であり;
セグメントBは、タンパク質(例えば、未変性タンパク質(native protein)、組換えタンパク質、もしくは合成タンパク質)または核酸(例えば、DNAもしくはRNA)である。
【0012】
さらなる態様において、本発明は、2つ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20など)本発明のマーカー分子の集まりを含むマーカー分子組成物に関し、マーカー分子は分子量および/または等電点(pI)が異なる。
【0013】
別の態様において、本発明は、標識分子が発色団、発蛍光団、およびUV吸収基からなる群より選択されるマーカー分子に関する。
【0014】
さらなる態様において、本発明は、ゲル電気泳動システム(例えば、2次元ゲル電気泳動システム)における本発明のマーカー分子の使用に関する。
【0015】
別の態様において、本発明は、ゲル電気泳動によって、試料中に存在する1つまたは複数のタンパク質を分離する方法であり、本発明のマーカー分子組成物を、1つまたは複数のタンパク質を含む試料に添加する段階、試料を電気泳動ゲルに適用する段階、および電気泳動ゲルを電場にかける段階を含む方法に関する。さらなる態様において、本発明は、ゲルを電場にかけた後に、1つまたは複数のマーカー分子を検出する段階、および1つまたは複数のマーカー分子の位置と1つまたは複数のタンパク質の位置を比較する段階をさらに含む方法に関する。さらに別の態様において、本発明は、2次元ゲル電気泳動を用いて、試料中に存在する1つまたは複数のタンパク質を分離する方法に関する。
【0016】
さらに別の態様において、本発明は、試料中に存在する1つまたは複数の分子を分離する方法であり、本発明のマーカー分子組成物を、1つまたは複数の分子を含む試料に添加する段階、試料をマトリックスに適用する段階、および1つまたは複数の分子を分離する段階を含む方法に関する。
【0017】
別の態様において、本発明は、マーカー分子を調製する方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
(a)分子(例えば、既知分子量のポリペプチド)を標識する段階;および
(b)分子とタンパク質または核酸(例えば、既知分子量のタンパク質または核酸)を連結する段階であり、分子またはタンパク質(もしくは核酸)はα−チオエステルを含み、他方はチオール含有部分を含む段階。
【0018】
さらに別の態様において、本発明は、マーカー分子組成物を調製する方法であり、以下の段階をさらに含む方法に関する:
(c)異なる分子量およびpIの多数の標識されたマーカー分子を得るために、1回またはそれ以上の回数で(a)〜(b)を繰り返す段階;および
(d)異なる分子量およびpIを有する標識されたマーカー分子を組み合わせる段階。
【0019】
1つの態様において、マーカー分子に取り付けられた標識の数は既知である。さらなる態様において、標識の数は少なくとも1であり、一般的に、1またはそれ以上(例えば、1、2、3、4、5など)である。荷電発色団基などの標識は、最終的なマーカー分子のpIを変えることができる。スルホン酸基(pKa 1.5)を有する発色団はマーカー分子のpIを酸性pHに変え、またはアミノ基を有する発色団はpIを塩基性pHに変える。従って、pIは操作することが可能であり、結果として、既知pIのマーカー分子を調製することができる。さらに別の態様において、マーカー分子の集まりは少なくとも1より多く、好ましくは少なくとも2つ以上(例えば、2、3、4、5など)である。
【0020】
さらなる態様において、本発明は、マーカー分子を調製する方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
(a)アミノ末端システイン残基を含む分子(好ましくは、既知分子量の分子)を標識する段階;および
(b)分子と、Cα−チオエステルを含む既知分子量のタンパク質または核酸を連結する段階。
【0021】
さらに別の態様において、本発明は、マーカー分子組成物を調製する方法であり、以下の段階をさらに含む方法に関する:
(c)異なる量およびpIの多数の標識されたマーカー分子を得るために、1回またはそれ以上の回数で(a)〜(b)を繰り返す段階;および
(d)異なる量およびpIの標識されたマーカー分子を組み合わせる段階。
【0022】
さらなる態様において、本発明は、マーカー分子を標識する方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
(a)第1のアミノ酸を固相に取り付ける段階;
(b)該第1のアミノ酸と、ブロック基によって保護された第2のアミノ酸をカップリングさせて、アミノ酸鎖を得る段階であり、該ブロック基はアミノ酸を付加する前に除去される段階;
(c)さらなるアミノ酸を用いた固相合成によって鎖の長さを伸長して、標識されたオリゴペプチドを得る段階であり、該鎖は少なくとも1つの標識されたアミノ酸を含む段階;
(d)標識されたオリゴペプチドを固相から放出する段階;および
(e)標識されたオリゴペプチドと、既知分子量のタンパク質を連結する段階。
【0023】
1つの態様において、1、2、またはそれ以上の(例えば、2、3、4、5など)さらなるアミノ酸が標識で修飾される。好ましくは、ブロック基は、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、およびその誘導体からなる群より選択される。
【0024】
さらに別の態様において、本発明は、1つまたは複数のタンパク質を特徴付ける方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
(a)少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10など)本発明のマーカー分子と共に、ゲル内で1つまたは複数のタンパク質(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10など)を電気泳動する段階;
(b)1つまたは複数のタンパク質の移動と少なくとも1つの本発明のマーカー分子の移動を比較する段階;および
(c)任意選択的に、1つまたは複数のタンパク質の等電点(pI)および/または分子量を決定する段階。
【0025】
さらなる態様において、本発明は、1つまたは複数の分子を特徴付ける方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
(a)少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10など)本発明のマーカー分子と共に、マトリックス内で1つまたは複数の分子(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10など)を分離する段階;
(b)1つまたは複数の分子の移動と少なくとも1つの本発明のマーカー分子の移動を比較する段階;および
(c)任意選択的に、1つまたは複数の分子の等電点(pI)および/または分子量を決定する段階。
【0026】
さらに別の態様において、本発明は、1つまたは複数の分子を特徴付ける方法であり、以下の段階を含む方法に関する:
(a)少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10など)本発明のマーカー分子と共に、マトリックス内で1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10など)分子を電気泳動する段階;
(b)1つまたは複数の分子の移動と少なくとも1つの本発明のマーカー分子の移動を比較する段階;および
(c)任意選択的に、1つまたは複数の分子の等電点(pI)および/または分子量を決定する段階。
【0027】
1つの態様において、1つまたは複数のタンパク質を分析して、その分子量および/またはpIを決定するために、2次元ゲル電気泳動を使用してもよい。別の態様において、マーカー分子は、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5など)標識されたタンパク質、好ましくは少なくとも2つの(例えば、2、3、4、5など)本発明の標識されたタンパク質を含んでもよい。
【0028】
別の態様において、本発明は、式:
Cys−Y−Z
を有するペプチドに関し、式中、
Yは、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン、または適切な官能基を有する任意の非天然アミノ酸(trans−4−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、cis−4−フルオロ−L−プロリン、ジメチルアルギニン、およびホモシステインを含むが、これらに限定されない)からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸であり;少なくとも1つのアミノ酸が発色団、発蛍光団、またはUV吸収基で標識されており、多くの場合、少なくとも2つの(例えば、2、3、4、5など)アミノ酸が標識されており;
Zは、C末端アミノ酸(Cαカルボキシル基はアミド官能基を有するように改変されてもよい)または非天然アミノ酸であり;および
nは、1〜100の共有結合したアミノ酸である。1つの態様において、Yは、タンパク質に一般的に見出される20のアミノ酸の1つでない非天然アミノ酸でもよい。さらに、当業者が理解するように、Yは、異なるアミノ酸(例えば、前記で列挙したアミノ酸)からなってもよい。別の態様において、Zは、前記で列挙した非天然アミノ酸を含む前記で列挙した任意のアミノ酸でもよい。
【0029】
別の態様において、本発明は、核酸をオリゴペプチドに連結する方法に関する。例えば、チオール含有基(例えば、1−アミノ−2−メルカプトエチル)を核酸の一端に組み込み(例えば、核酸−CH(NH)−CH−SH)、その後に、Cα−チオエステルを含むオリゴペプチドと連結すると、核酸−オリゴペプチド結合体が形成される。この方法は、例えば、核酸マーカーを構築するのに使用することができる。核酸−CH(NH)−CH−SHと、Cα−チオエステルを含む標識された高分子または標識された有機低分子との連結は、標識された核酸を形成するのに使用することができる。
【0030】
キットは、一緒に詰められた複数の成分および試薬を供給することによって、例えば、本発明の方法の作業を迅速化するのに役立つ。さらに、これらのキットの試薬は、方法の精度および信頼性を高めるように、予め測定された単位で供給することができる。本発明のキットは、一般的に、1つのカートン(例えば、ボックス);1つまたは複数の容器(例えば、ボックス、チューブ、アンプル、広口瓶、またはバッグ);1つまたは複数の(例えば、1、2、3など)予め成形されたゲルなど;1つまたは複数の(例えば、1、2、3など)緩衝液;およびキット成分を使用するための説明書を含む。
【0031】
別の態様において、本発明は、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5など)容器が密に閉じ込められている運搬装置を含むマーカー分子キットに関する。ここで、第1の容器は、少なくとも1つの(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20など)本発明のマーカー分子を含む。さらに別の態様において、本発明のマーカー分子キットは、キット成分を使用するための説明書をさらに含む。さらなる態様において、本発明のマーカー分子キットは、1つまたは複数(例えば、1、2、3など)予め成形された電気泳動ゲルをさらに含む。
【0032】
本発明の他の態様は、当技術分野において周知なもの、以下の図面および発明の説明、ならびに特許請求の範囲を考慮すれば当業者に明らかであろう。
【0033】
発明の詳細な説明
概して、ゲル電気泳動システム用のマーカー分子を生成するために特定の標識を付加することによってタンパク質を修飾する時、一般的に、タンパク質は、生成物の混合物を生じるように標識に連結される。これらの生成物混合物は、一般的に、様々なpIおよび分子量を有する分子を含み、多くの場合、電気泳動条件下でスメアになる。さらに、これらの分子には、特に、このようなマーカーを等電点によって分離しようとする時に分子マーカーに必要とされる精度または均一性がない。従って、マーカー分子を調製する方法は、ランダムではなく1つの部位(例えば、1つのアミノ酸)または少数の位置(例えば、1、2、3、4、もしくは5つの位置)に標識を向けるように、発色団または他の検出可能な基(例えば、目で見える色のついた分子)をマーカー分子に組み込むべきである。
【0034】
本発明は、
セグメントA−L−セグメントB
を含むマーカー分子に関する。式中、
セグメントAは、標識された分子(例えば、天然または合成の分子(有機分子、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、高分子(例えば、炭水化物)、低分子、オリゴペプチド、天然もしくは非天然アミノ酸を含むが、これらに限定されない))、好ましくは、1つもしくはそれ以上の発色団、発蛍光団、またはUV吸収基で標識された分子であり;
Lは、リンカーまたは結合であり;
セグメントBは、タンパク質(例えば、未変性タンパク質、組換えタンパク質、もしくは合成タンパク質)または核酸(例えば、DNAもしくはRNA、ポリヌクレオチド)である。例えば、セグメントBは、既知の分子量のタンパク質(例えば、約200ダルトン〜約2,000ダルトン、約300ダルトン〜約2,500ダルトン、約1,000ダルトン〜約250,000ダルトン、約2,000ダルトン〜約250,000ダルトン、約3,000ダルトン〜約250,000ダルトン、1,000ダルトン〜約200,000ダルトン、約2,000ダルトン〜約200,000ダルトン、約3,000ダルトン〜約200,000ダルトン、約4,000ダルトン〜約150,000ダルトン、約6,000ダルトン〜約100,000ダルトン、約2,000ダルトン〜約50,000ダルトン、約3,000ダルトン〜約50,000ダルトン、約8,000ダルトン〜約50,000ダルトンの分子量を有するタンパク質)でもよい。マーカー分子は、約0〜約14、約2〜約12、約3〜約11、約4〜約10、約5〜約9、約6〜約8の既知のpIを有する。セグメントAは、セグメントBにどちらの向きでも連結されてもよい。
【0035】
1つの態様において、セグメントAは、1〜100の共有結合したアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、10、30、50、75、100などの共有結合したアミノ酸または10〜30、5〜50、15〜40、20〜50、30〜60、40〜70、50〜80、60〜90、70〜100などの共有結合したアミノ酸)、最も好ましくは15の共有結合したアミノ酸を含んでもよい。さらなる態様において、セグメントAのアミノ酸の1、2、またはそれ以上(2、3、4、5など)が標識される。別の態様において、セグメントAの1つまたは複数のアミノ酸はチロシンまたはトリプトファンである。さらに別の態様において、標識されたアミノ酸はリジンである。さらに別の態様において、ポリペプチドまたはポリヌクレオチドは、カルボキシテトラメチルローダミン(TMR)で標識される。
【0036】
別の態様において、セグメントBは、約100ヌクレオチド(nt)〜約1,000nt、約200nt〜約2,000nt、約300nt〜約3,000nt、約1,000nt〜約5,000nt、約3,000nt〜約10,000nt、約5,000nt〜約20,000nt、約6,000nt〜約30,000nt、約10,000nt〜約50,000nt、約20,000nt〜約100,000nt、約50,000nt〜約200,000nt、約70,000nt〜約250,000ntを含んでもよい。
【0037】
本発明は、さらに、約300ダルトン〜約3,000ダルトン、約500ダルトン〜約4,000ダルトン、約1,000ダルトン〜約5,000ダルトン、約3,000ダルトン〜約8,000ダルトン、約5,000ダルトン〜約12,000ダルトン、約10,000ダルトン〜約15,000ダルトン、約12,000ダルトン〜約18,000ダルトン、約15,000ダルトン〜約25,000ダルトン、約20,000ダルトン〜約30,000ダルトン、約25,000ダルトン〜約40,000ダルトン、約30,000ダルトン〜約50,000ダルトン、約40,000ダルトン〜約60,000ダルトン、約50,000ダルトン〜約80,000ダルトン、約60,000ダルトン〜約90,000ダルトン、約75,000ダルトン〜約110,000ダルトン、約90,000ダルトン〜約140,000ダルトン、約110,000ダルトン〜約160,000ダルトン、約130,000ダルトン〜約180,000ダルトン、約140,000ダルトン〜約200,000ダルトン、約180,000ダルトン〜約220,000ダルトン、または約200,000ダルトン〜約250,000ダルトンの分子量を有するマーカー分子を提供する。
【0038】
本発明は、さらに、約0.5〜約2、約1〜約3、約2〜約4、約3〜約5、約4〜約6、約5〜約7、約6〜約8、約7〜約9、約8〜約10、約9〜約11、約10〜約12、約11〜約13、約12〜約13.5、約2〜約6、約3〜約7、約5〜約9、約6〜約10、約8〜約12、または約9〜約13のpIを有するマーカー分子を提供する。
【0039】
別の態様において、本発明は、セグメントAが、標識された有機分子を含み、Lがリンカー結合であり、セグメントBがペプチド、タンパク質、またはポリヌクレオチドであり、セグメントAが、セグメントBの1つの位置だけで結合Lを形成することができる、マーカー分子に関する。
【0040】
さらなる態様において、本発明は、セグメントAがチオエステルを含み、セグメントBが1つの1−アミノ−2−メルカプトエチル基を含むマーカー分子に関する。さらに別の態様において、本発明は、標識されたポリペプチドチオエステルまたは標識された有機チオエステルを含むセグメントAに関する。さらなる態様において、本発明は、1−アミノ−2−メルカプトエチル基を含むタンパク質、ペプチド、またはポリヌクレオチドを含むセグメントBに関する。さらに別の態様において、本発明は、N末端アミノ酸システインを含むタンパク質またはペプチドにおける1−アミノ−2−メルカプトエチル基に関する。別の態様において、本発明は、1つの修飾塩基を含むポリヌクレオチドにおける1−アミノ−2−メルカプトエチル基に関する。さらに別の態様において、本発明は、N末端システインを有するように構築された組換えタンパク質を含むペプチドまたはタンパク質に関する。さらなる態様において、本発明は、酵素反応によって1つの修飾塩基を含む調製されたポリヌクレオチドに関する。別の態様において、本発明は、セグメントAが1つの1−アミノ−2−メルカプトエチル基を含み、セグメントBがチオエステルを含むマーカー分子に関する。別の態様において、本発明は、N末端アミノ基としてアミノ酸システインを有する標識されたポリペプチドを含むセグメントAに関する。別の態様において、本発明は、1−アミノ−2−メルカプトエチル基を含む有機分子を含むセグメントAに関する。別の態様において、本発明は、システイニルカルボキシエステルまたはアミドを含むセグメントAに関する。別の態様において、本発明は、自動ペプチド合成によって構築されたセグメントAに関する。別の態様において、本発明は、セグメントAがアルデヒド反応基を含み、セグメントBが、ポリペプチドまたはタンパク質のN末端セリンまたはスレオニンの酸化によって形成されたアルデヒドを含むマーカー分子に関する。別の態様において、本発明は、セグメントAが、標識されたヒドラゾンを含むマーカー分子に関する。別の態様において、本発明は、Lがヒドラジド結合であるマーカー分子に関する。
【0041】
別の態様において、本発明は、マーカー組成物を調製する方法であり、有機分子を標識する段階、および標識された有機分子を、ペプチド、タンパク質、またはポリヌクレオチドの1つの位置に連結する段階を含む方法に関する。別の態様において、本発明は、マーカー分子を標識する方法であり、第1の標識分子を、タンパク質、ペプチド、またはポリヌクレオチドからなる第2の分子の1つの位置に連結する段階を含む方法に関する。別の態様において、本発明は、マーカー分子の等電点を改変する方法であり、酸性または塩基性のイオン化基を含む第1の標識分子を、タンパク質、ペプチド、またはポリヌクレオチドからなる第2の分子に連結する段階を含む方法に関する。
【0042】
本明細書で使用する用語「既知のpI」は、マーカー分子およびその組成物に適用される場合、pIが、参照として本明細書に組み入れられるシレロ(Sillero),A.ら,Analytical Biochem.179:319−325(1989)およびリベイロ(Ribeiro),J.ら,Comput.Biol.Med.20:235−242(1990)に記載の多項式を用いて理論的に計算されるか、実験的に求められることを意味する。
【0043】
さらなる態様において、リンカーは、ペプチド結合または以下の二官能リンカーの1つを含むが、これらに限定されない。
Figure 2004506221
【0044】
1つの態様において、セグメントAは、好ましくはかつ詳細には、5−カルボキシフルオレセイン(FAM)、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、2’7’−ジメトキシ−4’5’−ジクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(JOE)、ローダミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−6−カルボキシローダミン(TAMRA)、テトラメチルローダミン、またはカルボキシテトラメチルローダミン(TMR)などの発色団、発蛍光団、またはUV吸収基で標識されてもよい。さらなる態様において、セグメントAは、ビオチン、フルオロセイン、ジゴキシゲニン、ポリヒスチジン、またはその誘導体などの捕捉タグまたは結合タグを含んでもよい。別の態様において、セグメントAは、1つもしくはそれ以上の酸性アミノ酸(例えば、アスパラギン酸およびグルタミン酸)または1つもしくはそれ以上の塩基性アミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、およびヒスチジン)が存在することによってセグメントBのpIを改変するのに使用することができる。別の態様において、スルホン酸を含む荷電した発色団基または発色団の付加もまたpIに影響を及ぼす。さらなる態様において、セグメントAは、タンパク質の共有結合のための反応部位を導入するのに使用することができる。
【0045】
別の態様において、本発明は、標識されたセグメントAを、1−アミノ−2−メルカプトエチル基を有するタンパク質、ポリペプチド、またはポリヌクレオチドに取り付けるための、標識されたチオエステルの使用に関し、ここで、標識されたチオエステルは、1つのアミノ酸チオエステル(例えば、N−テトラメチルローダミンアミドグリシルチオエステル)でもよい。
【0046】
さらなる態様において、本発明は、標識を、C末端チオエステル基を有するタンパク質またはポリペプチドに取り付けるための、標識された1−アミノ−2−メルカプトエチル基の使用に関する。
【0047】
なおさらなる態様において、本発明は、標識を、酸化した(または酸化可能な)N末端セリン基またはスレオニン基を有するタンパク質またはポリペプチドに取り付けるための、セグメントAとしての標識されたヒドラジドおよび他のアルデヒド反応基の使用に関する。
【0048】
タンパク質は、選択された試薬の標的となり得る官能基を排除または導入するように改変することができる。例えば、タンパク質の一次配列に天然に生じるシステインがなく、そのタンパク質をコードする核酸(例えば、DNA)クローンが入手可能であれば、1つまたは複数のシステインを導入するように変異誘発を行うことができる。このような改変の手順は当技術分野において周知である(アウスベル(Ausubel),F.M.ら,「分子生物学の最新プロトコール(Current Protocols in Molecular Biology)」,John Wiley and Sons,Chapter 8(1995))。簡単に述べると、一例では、改変しようとするタンパク質をコードする野生型核酸を、ランダムなウラシル塩基を含む一本鎖バクテリオファージベクターに組み込む。一本鎖核酸を、その位置にあることが所望される新しいアミノ酸をコードする改変部位のコドンを組み込んだ相補的合成オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズさせる。新たな二本鎖配列をT4 DNAポリメラーゼで伸長させ、結果として生じるファージを使用して大腸菌細菌を形質転換する。次いで、当業者に周知の標準的な技法によって、発現タンパク質を単離することができる。
【0049】
このような手順は、関心対象のアミノ酸を組み込むだけでなく、アミノ酸を置換するのに、および反応部位を排除するのにも使用することができる。例えば、改変に使用できる部位が小数しかないように野生型タンパク質のシステイン基の数を減らすことができる。システイン基は、そのスルフヒドリル側鎖と選択的に反応することができる試薬が多数あるので特に有用である。例として、発色団化合物または市販されている他の標識のマレイミジル誘導体またはヨードアセトアミジル誘導体(例えば、エオシン−5−マレイミド,商品E−118(モレキュラープローブス(Molecular Probes),Bothell,WAから市販されている);オレゴングリーンヨードアセトアミド,商品O−6010(これもモレキュラープローブスから市販されている)が挙げられる。
【0050】
他の基も選択的に改変することができる。例えば、標識試薬にあるオキサリル基はアルギニンのアミジノ基と選択的に反応する。すでにシステインについて述べたように、アルギニンを付加または欠失させるためにタンパク質をクローニングすることができる。次いで、このような改変されたタンパク質を選択的に標識することができる。別の例として、N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルはタンパク質のリジン基と反応する。N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルも広く市販されており、例えば、カルボキシフルオレセイン−N−ヒドロキシスクシンイミジルエステル(商品1048Cとしてリサーチオルガニクス(Research Organics),Cleveland、OHから入手可能)を含む。標準的なクローニング技法を用いて、所望のようにリジンを選択的に付加または排除することができる。改変のための部位としてのリジンまたはアルギニンの使用はシステインより魅力的なものではない。なぜなら、一般的に、これらの塩基性アミノ酸以外に塩基性アミノ酸があり、その排除は、多くの場合、組換えタンパク質の溶解度の特性およびpIを変えるからである。
【0051】
核酸もまた、本明細書に記載の技法を用いて改変することができる。例えば、修飾塩基(例えば、特に、ビオチン−16−dUTP、ビオチン−11−dUTP、およびビオチン−14−dATP)を、DNAのインビトロ合成に用いられる一般的なヌクレオチド三リン酸混合物に添加した時に、このような構成要素を、ポリメラーゼの作用によって標識として組む込むことができることは周知である(アウスベル,F.M.ら,「分子生物学の最新プロトコール」,John Wiley and Sons,3.18.3(1995))。1−アミノ−2−メルカプトエチル基を含むように修飾された塩基を調製し、酵素の作用によってDNAに組み込ませて、セグメントBを形成することができる。このような標識は、DNAの複数の部位への修飾塩基の非特異的な組み込みをもたらす。しかしながら、この基は、チオエステルを有するセグメントAとしての分子または高分子(例えば、図1、3Aおよび3Bに示す)と反応する。そのため、この反応基は、酵素的合成後に標識を核酸に取り付けるのに使用することができる。チオエステルを有する分子としてポリペプチドならびにより小さな分子を挙げることができる。
【0052】
一例として、N−(6−アミノヘキシル)ATPが市販されている(インビトロジェン(Invitrogen Corporation))。この化合物は、カルボジイミドで活性化された、ブロックされたシステインに容易に連結して、6−アミノヘキシルシステイニルアミドを形成することができる。脱ブロックされると、この化合物は、前記のようにオリゴヌクレオチドの酵素的合成において使用することができる。結果として生じる1−アミノ−2−メルカプトエチル基はチオエステルと反応し、標識の容易な組み込みを可能にし、チオエステル基を有するオリゴペプチドおよびタンパク質の結合さえも可能にする。このように、プリン塩基およびピリミジン塩基の他の多くの構造類似体を修飾することができる(一例として、CTPのN位またはグアニンのN位への結合)。1−アミノ−2−メルカプトエチル基を組み込んだヌクレオチド三リン酸の調製に適した修飾塩基(O4−チアゾリル−dT−CE(CEはβ−シアノエチルである)、O6−フェニル−dI−CE、およびO4−チアゾリル−dU−CEなどがあるが、これらに限定されない)は、グレンリサーチ(Glen Research),Sterling,VAおよびトリリンクバイオテクノロジーズ(TriLink Biotechnologies),San Diego,CAからも入手することができる。
【0053】
修飾塩基を核酸に組み込んでセグメントBを形成する別の方法は、修飾塩基を核酸鎖の末端に付ける方法である。ターミナルヌクレオチドトランスフェラーゼ(インビトロジェン)は、オリゴヌクレオチドをDNAの3’末端に付けるのに使用することができる周知の酵素である(フリキンガー(Flickinger),J.ら,Nucleic Acids Res.,20:9(1992))。この酵素はビオチン化オリゴヌクレオチドを組み込むのに用いられ、あまりかさ高くない側鎖(例えば、チオエステルとアミド結合を形成することができる1−アミノ−2−メルカプトエチル基)で修飾された塩基を容易に組み込む。
【0054】
標識をRNAに組み込むさらに別の方法は、5’末端に二リン酸基または三リン酸基を有するRNA転写物の5’末端にGMPを付けるグアニリルトランスフェラーゼ(インビトロジェン)を使用する。修飾されたグアニリル三リン酸を使用すると、チオエステルと連結可能な官能基のRNAへの組み込みを可能にする、1−アミノ−2−メルカプトエチル基を有する塩基が得られる(メルトン(Melton),D.A.ら,Nucleic Acids Res.12:18(1984))。グアニリルトランスフェラーゼはGTPを交換する性質を有し、そのため、キャップされたmRNAを、この酵素および1−アミノ−2−メルカプトエチル修飾GTPとインキュベートすることによって、キャップされたmRNAをチオエステル反応性塩基で標識することができる。
【0055】
特定の態様において、本発明は、ゲル電気泳動システム用の均一な分子マーカー組成物を調製するための、以下でさらに説明される、異なる化学連結ストラテジーを提供する。
【0056】
本明細書で使用する用語「単離された」は、マーカー分子に適用される場合、分子が周囲の汚染物質の実質的に全てから分離されていることを意味する。「周囲の汚染物質」は、マーカー分子の生成に関連している分子(例えば、アミノ酸、カップリングされていないセグメントA、カップリングされていないセグメントB、副産物など)を含むが、単離プロセスに関連した分子もしくは薬剤、または特定の性質をマーカー分子もしくはマーカー分子を含む組成物に付与する分子もしくは薬剤を含まない。一般的に、周囲の汚染物質であるとみなされない分子の例として、水、塩、緩衝液、およびHPLCなどのプロセスにおいて用いられる試薬(例えば、アセトニトリル)が挙げられる。従って、例えば、逆相HPLC(RP−HPLC)によってマーカー分子生成に関連した未反応分子から分離されているマーカー分子は、有機溶媒および緩衝液(例えば、アセトニトリルおよび10mM Tris−HCl)などの10%精製試薬を含む溶液中に存在しても単離されているとみなされる。マーカー分子が例えば、75μg/mlの濃度で溶液中に存在する時でさえも、このことは当てはまる。さらに、用語「単離された」は、単離されたマーカー分子が汚染物質量と比較して少なくとも90%純粋であることを意味する。言い換えれば、単離されたマーカー分子は、周囲の汚染物質の少なくとも90%から分離されている。
【0057】
本発明は、さらに、単離されたマーカー分子ならびに1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、20、50など)単離されたマーカー分子を含む組成物、単離されたマーカー分子を調製する方法、単離されたマーカー分子を含む組成物を調製する方法、単離されたマーカー分子を使用する方法、ならびに1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、20、50など)単離されたマーカー分子を含む組成物を使用する方法を含む。本発明はまた、1つまたは複数の単離されたマーカー分子を含む組成物を含む。
【0058】
本発明のマーカー分子は、任意の数の方法によって単離および/または精製することができる。このような方法の例として、HPLC(例えば、逆相HPLC)、高速タンパク質液体クロマトグラフィー(FPLC)、酢酸セルロース電気泳動(CAE)、等電点分画、カラムクロマトグラフィー(例えば、アフィニティクロマトグラフィー、分子ふるいクロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなど)、キャピラリーゾーン電気泳動、透析、等電点電気泳動、およびフィールドフローフラクショネーションが挙げられる。
【0059】
本発明のマーカー分子を単離および/または精製するのに使用することができる装置の一例は、アマシャムファルマシアバイオテク(Amersham Pharmacia Biotech Inc.)(Piscataway,NJ 08855)のHoefer Isoprime等電点精製ユニット(カタログ番号80−6081−90)である。
【0060】
化学連結は、脱保護された合成オリゴペプチド、ポリヌクレオチド、有機化合物、高分子、または低分子(セグメントAと呼ばれる)と、既知の質量および電荷の別の脱保護されたタンパク質(例えば、合成タンパク質、組換えタンパク質、もしくは未変性タンパク質)または修飾核酸(セグメントBと呼ばれる)との化学選択的な反応を伴う。連結反応は部位特異的であり、他の潜在的に反応する基の存在下で、あるセグメントの1つの部位と別のセグメントの1つの部位との1つの特異的なカップリング反応だけを可能にする。化学連結は、例えば、両方ともポリペプチドである2つのセグメントをつなぐのに有用である。ペプチドは、段階的固相ペプチド合成によって作成することができ、連結ストラテジーに応じてN末端システイン(またはNα−(1−フェニル−2−メルカプトエチル))を有してもよく、C末端チオエステルを有してもよい。ペプチド鎖への発色団基、酸性基、および塩基性基の組み込みは、ペプチド合成中に、このような基で標識されたアミノ酸を使用することによって達成することができる。
【0061】
タンパク質の化学連結には本発明において以下の利点がある。
−部位特異的であり、他の反応基の存在下で、あるセグメント(例えば、セグメントAまたはセグメントB)のCαと別のセグメント(例えば、セグメントAまたはセグメントB)のNαとの1つの特異的なカップリング反応だけを可能にする。
−1種類の生成物しか生成しない。
−結果として生じる生成物は既知のpIおよび既知の分子量を有する。これらのパラメータは理論的および実験的に求めることができる。
−一定した再現可能な様式で、発色団および発蛍光団を用いたタンパク質標識を可能にする。
−一定した再現可能な様式で、発色団および発蛍光団を用いた核酸標識を可能にする。
−タンパク質のpIを変えるのに使用することができる。セグメントAへの荷電アミノ酸残基または荷電発色団基の組み込みは最終タンパク質生成物のpIを変える。例えば、アルギニンのグアニジノ基(pKa>12)は生成物のpIを塩基性pHに移すが、スルホン酸基(pKa=1.5)を有する発色団は生成物のpIを酸性pHに移す。他の荷電発色団または荷電アミノ酸は同様の効果を有する。
−タンパク質の分子量の操作を可能にする。例えば、30残基のオリゴペプチド(セグメントA)は、連結するとアミノ酸配列に応じてタンパク質(セグメントB)の分子量を約3.0ダルトン(kD)増加させる。
−タンパク質へのタグの組み込みを可能にする。合成ペプチドにビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、ポリヒスチジンなどのタグを付加し、その後に、このペプチドをタンパク質に連結することによって、タグ化タンパク質が生成される。このタグ化ストラテジーは精製を容易にするために使用することができる。
−一定した再現可能な様式で、標識されたオリゴペプチドへのポリヌクレオチドの連結を可能にする。
【0062】
本発明において、タンパク質(セグメントB)のN末端アミノ酸またはC末端カルボキシレートに応じて、セグメントAをセグメントBに取り付けるために、自然の化学連結(native chemical ligation)、インビトロ化学連結、または部位特異的修飾などの連結ストラテジーを使用することができる。
【0063】
特定の局面において、本発明は、1)セグメントAおよびBの合成、2)分子マーカーを形成するためのセグメントAとセグメントBとの連結、および/または3)分子量および等電点マーカーとしての分子量マーカーの使用を提供する。
【0064】
自然の化学連結
自然の化学連結は、チオエステルを含む高分子または低分子(セグメントA)と、N末端システインまたはNα−(1−フェニル−2−メルカプトエチル)基を有するタンパク質(例えば、未変性タンパク質、組換えタンパク質、または合成タンパク質) (セグメントB)との連結を伴う。一般的に、望ましい末端を有する組換えタンパク質は、好ましくは翻訳後修飾がほとんどないか、または全くないように原核生物発現系において産生される。未変性タンパク質は適切な末端を有する限り適している。1−フェニル−2−メルカプトエチルなどの補助基とN末端アミノ基とのカップリングは、転写後、全ての活性のある側鎖がブロックされている時に行われる。
【0065】
セグメントAとして適しているペプチドは、高度に最適化された段階的固相ペプチド合成などの固相合成法によって調製することができる(ケント(Kent),S.B.H.ら,米国特許第6,184,344号B1;ダウソン(Dawson),P.E.ら,Science 266:776−779(1994);ルー(Lu),W.ら,J.Am.Chem.Soc.118:8518−8523(1996);トルバート(Tolbert),T.J.ら,J.Am.Chem.Soc 122(23):5421−5428(2000);およびスイネン(Swinen),D.ら,Org Lett.2:2439−2442(2000))。
【0066】
固相化学合成は、個々のアミノ酸からポリペプチドを系統立てて構築するための技法である。ブロックされた以下のようなアミノ酸(例えば、α−アミノ基を有するアミノ酸)を固相化学合成において使用することができる:アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン。未変性タンパク質において一般的に見られる20のアミノ酸以外のアミノ酸も固相合成によってタンパク質に組み込むことができ、本発明のマーカー分子を調製するのに使用することができる。このような非天然アミノ酸の例として、trans−4−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、cis−4−フルオロ−L−プロリン、ジメチルアルギニン、ホモシステイン、2−メチルバリンの鏡像異性体形態およびラセミ形態、2−メチルアラニン、(2−i−プロピル)−β−アラニン、フェニルグリシン、4−メチルフェニルグリシン、4−イソプロピルフェニルグリシン、3−ブロモフェニルグリシン、4−ブロモフェニルグリシン、4−クロロフェニルグリシン、4−メトキシフェニルグリシン、4−エトキシフェニルグリシン、4−ヒドロキシフェニルグリシン、3−ヒドロキシフェニルグリシン、3,4−ジヒドロキシフェニルグリシン、3,5−ジヒドロキシフェニルグリシン、2,5−ジヒドロフェニルグリシン、2−フルオロフェニルグリシン、3−フルオロフェニルグリシン、4−フルオロフェニルグリシン、2,3ジフルオロフェニルグリシン、2,4−ジフルオロフェニルグリシン、2,5−ジフルオロフェニルグリシン、2,6−ジフルオロフェニルグリシン、3,4−ジフルオロフェニルグリシン、3,5−ジフルオロフェニルグリシン、2−(トリフルオロメチル)フェニルグリシン、3−(トリフルオロメチル)フェニルグリシン、4−(トリフルオロメチル)フェニルグリシン、2−(2−チエニル)グリシン、2−(3−チエニル)グリシン、2−(2−フリル)グリシン、3−ピリジルグリシン、4−フルオロフェニルアラニン、4−クロロフェニルアラニン、2−ブロモフェニルアラニン、3−ブロモフェニルアラニン、4−ブロモフェニルアラニン、2−ナフチルアラニン、3−(2−キノイル)アラニン、3−(9−アントラセニル)アラニン、2−アミノ−3−フェニルブタン酸、3−クロロフェニルアラニン、3−(2−チエニル)アラニン、3−(3−チエニル)アラニン、3−フェニルセリン、3−(2−ピリジル)セリン、3−(3−ピリジル)セリン、3−(4−ピリジル)セリン、3−(2−チエニル)セリン、3−(2−フリル)セリン、3−(2−チアゾリル)アラニン、3−(4−チアゾリル)アラニン、3−(1,2,4−トリアゾール−1−イル)−アラニン、3−(1,2,4−トリアゾール−3−イル)−アラニン、ヘキサフルオロバリン、4,4,4−トリフルオロバリン、3−フルオロバリン、5,5,5−トリフルオロロイシン、2−アミノ−4,4,4−トリフルオロ酪酸、3−クロロアラニン、3−フルオロアラニン、2−アミノ−3−フルオロ酪酸、3−フルオロノルロイシン、4,4,4−トリフルオロスレオニン、L−アリルグリシン、tert−ロイシン、プロパルギルグリシン、ビニルグリシン、S−メチルシステイン、シクロペンチルグリシン、シクロヘキシルグリシン、3−ヒドロキシノルバリン、4−アザロイシン、3−ヒドロキシロイシン、2−アミノ−3−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸、4−チアイソロイシン、アシビシン、イボテン酸、キスカル酸、2−インダニルグリシン、2−アミノイソ酪酸、2−シクロブチル−2−フェニルグリシン、2−イソプロピル−2−フェニルグリシン、2−メチルバリン、2,2−ジフェニルグリシン、1−アミノ−1−シクロプロパンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロペンタンカルボン酸、1−アミノ−1−シクロヘキサンカルボン酸、3−アミノ−4,4,4−トリフルオロ酪酸、3−フェニルイソセリン、3−アミノ−2−ヒドロキシ−5−メチルヘキサン酸、3−アミノ−2−ヒドロキシ−4−フェニル酪酸、3−アミノ−3−(4−ブロモフェニル)プロピオン酸、3−アミノ−3−(4−クロロフェニル)プロピオン酸、3−アミノ−3−(4−メトキシフェニル)プロピオン酸、3−アミノ−3−(4−フルオロフェニル)プロピオン酸、3−アミノ−3−(2−フルオロフェニル)プロピオン酸、3−アミノ−3−(4−ニトロフェニル)プロピオン酸、および3−アミノ−3−(1−ナフチル)プロピオン酸が挙げられる。従って、本発明は、タンパク質において一般的に見られる20のアミノ酸以外の1つまたは複数のアミノ酸を含むマーカー分子を含む。
【0067】
ペプチドの固相化学合成において、アミノ酸は、ポリペプチド鎖にC末端からN末端の方向へ1つずつ共有結合される。C末端アミノ酸は、一般的に、架橋ポリスチレン樹脂または他の適切な不溶性支持体などの固体支持体にカップリングされる。典型的な例として、アミノ酸は、まず最初に樹脂リンカー、次に先に付加されたアミノ酸に系統立てて付加される。成長している鎖に付加される各アミノ酸は、1サイクルで多くのアミノ酸が鎖に付加しないようにα−アミノ基で化学的にブロックされていなければならない。一般的なブロッキング剤として、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、アセトアミドメチル、アセチル、アダマンチルオキシ、ベンゾイル、ベンジル、ベンジルオキシ、ベンジルオキシカルボニル、ベンジルオキシメチル、2−ブロモベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシ、t−ブトキシメチル、t−ブチル、t−ブチルチオ、2−クロロベンジルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシ、2,6−ジクロロベンジル、4,4’−ジメトキシベンズヒドリル、1−(4,4−ジメチル−2,6−ジオキソシクロヘキシリデン)エチル、2,4−ジニトロフェニル、ホルミル、メシチレン−2−スルホニル、4−メトキシベンジル、4−メトキシ−2,3,6−トリメチル−ベンゼンスルホニル、4−メトキシトリチル、4−メチルトリチル、3−ニトロ−2−ピリジンスルフェニル、2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル、タシル、トリフルオロアセチル、トリメチルアセトアミドメチル、トリチル、キサンチル、および当業者に周知の他のものが挙げられる。このようなブロックされたアミノ酸は、シグマ,St.Louis,MOから入手することができる。従って、アミノ酸付加の各サイクルは、一般的に、脱ブロック段階、その後のアミノ酸カップリング段階を必要とする。選択されたアミノ酸を系統立ててカップリングしてポリペプチド鎖を形成した後に、α−トルエンチオールまたは他の適切な溶媒などの薬剤を添加することによって、樹脂リンカーからペプチドを放出することができる。さらに、逆相高速液体クロマトグラフィー(RP−HPLC)、アフィニティクロマトグラフィー、または等電点分画などの精製技法によって、ペプチドを回収することができる。
【0068】
適切なセグメントAの調製の一例において、最初のアミノ酸は、チオエステル化によってポリエステルビーズに取り付けられ、FMOC基によって保護されたグリシンである。構成要素アミノ酸はNα−Fmoc− Nε−TMR−リジン(これもFMOCによってブロックされている)であり、モレキュラーブローブス(Eugene,OR,カタログ番号F−11830)を含む多くの供給業者から入手することができる。ペプチド合成間の不要な反応を妨げるために、ブロック基が存在する。まず最初に、トリフルオロ酢酸(TFA)などの薬剤を用いてブロック基を除去し、次いで、新たに遊離したアミノ基が次の構成要素アミノ酸とペプチド結合を形成できるようにすることによって、ペプチドの伸長が起こる。樹脂リンカーの伸長後に、N末端グリシンを付加し、グレッグ・T・ヘルマンソン(Greg T.Hermanson)(「バイオコンジュゲートテクニック(Bioconjugate Techniques)」,Academic Press,San Diego,CA,159頁(1996))によって述べられたように、ペプチドを0.1Mリン酸ナトリウム中で2−イミノビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(カルバイオケム−ノババイオケム(Calbiochem−Novabiochem),San Diego,CA,カタログ番号401778から入手可能)で処理することによってペプチド回収のためにイミノビオチンで標識することができる。α−トルエンチオールで切断した後に、RP−HPLCなどのプロセスによって粗チオエステルペプチドを精製することができる(図1)。前記の連続的なかつ厳しく制御されたアプローチによるセグメントAの合成は、特異的に標識されたペプチドの均一な集団をもたらす。前記のような本発明の方法は、予め決められた数の荷電した基および/または発色団の基をアミノ酸配列に連続的に導入して、C末端チオエステルを有するセグメントAを形成するのに使用することができ、当業者によって容易に実施することができる。
【0069】
別の態様において、セグメントAは、以下の式:
Cys−Y−Z
を有してもよく、式中、
Yは、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリン、または非天然アミノ酸(例えば、trans−4−ヒドロキシプロリン、3−ヒドロキシプロリン、cis−4−フルオロ−L−プロリン、ジメチルアルギニン、およびホモシステイン)からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸であり、少なくとも1つのアミノ酸が、発色団、発蛍光団、またはUV吸収基で標識されており、好ましくは、少なくとも2つのアミノ酸が標識されており;
Zは、C末端アミノ酸であり(Cα−カルボキシル基がアミド官能基を有するように改変されてもよい);および
nは、1〜100の共有結合したアミノ酸(例えば、1、2、3、4、5、6、10、30、50、75、100などの共有結合したアミノ酸、もしくは10〜30、5〜50、15〜40、20〜50、30〜60、40〜70、50〜80、60〜90、70〜100の共有結合したアミノ酸)、および/または14の共有結合したアミノ酸である。別の態様において、Zは、非天然アミノ酸(例えば、本明細書で示された非天然アミノ酸)を含む前記で列挙した任意のアミノ酸でよい。別の態様において、ペプチドは、化学合成、好ましくは固相化学合成を介して調製される。さらなる態様において、アミノ酸は、特に、カルボキシテトラメチルローダミン(TMR)で標識される。なおさらなる態様において、標識されたアミノ酸はリジンである。別の態様において、N末端がシステインの標識されたペプチドと、α−チオエステルを有する分子量が既知のタンパク質を連結することができる。連結は、自然の化学連結またはインビトロ化学連結を介して行われる。さらなる態様において、結果として生じる連結反応生成物は、既知の分子量およびpIのタンパク質マーカーである。
【0070】
さらなる態様において、本発明は、タグ分子をさらに含む本発明のポリペプチド、タンパク質、およびマーカー分子に関する。別の態様において、タグ分子は、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、ポリヒスチジン、およびその誘導体からなる群より選択される。タグに結合することができるリガンド(例えば、アビジン(ビオチンに結合する)、抗体(フルオレセインまたはジゴキシゲニンに結合する)、レクチン(糖に結合する)、またはキレート化金属イオン(ポリヒスチジンに結合する))を用いてタンパク質精製を容易にするために、タグ分子を使用することができる。別の態様において、ポリヒスチジンは、2〜10の連続したヒスチジン残基(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の連続したヒスチジン残基)を含む。タグはまた、以下の式:
−(His−X)−R
を有するアミノ酸配列を含むペプチドタグでもよい。式中、(His−X)は、金属キレート化ペプチドであり、nは、2〜10の数字(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、または10)であり、Xは、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンからなる群より選択されるアミノ酸である。さらに、Rは、金属キレート化ペプチドに共有結合されたポリペプチドであり、Rは、水素または1つもしくはそれ以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、50、60など)アミノ酸残基である。この種のタグは、全ての開示が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,594,115号に記載されている。
【0071】
セグメントBは、任意のN末端システイン含有タンパク質(例えば、合成タンパク質、組換えタンパク質、または未変性タンパク質)でもよく、好ましくは、既知の分子量およびpIのN末端システイン含有タンパク質である。N末端システインを有する組換えタンパク質は、多くの大腸菌発現ベクターのいずれか1つを用いて調製することができる。大腸菌発現ベクターは、pBAD/Thio−TOPO(登録商標)(インビトロジェン)、pET(インビトロジェン)、pTWIN(ニューイングランドバイオラボ(New England Biolabs))、pTYB(ニューイングランドバイオラボ)、および当技術分野において周知の他のものなどがあるが、これらに限定されない。
【0072】
セグメントAとセグメントBとの連結:連結反応は、全ての開示が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第6,184,344号B1のケント(Kent)の最適化されたプロトコールに従って行うことができる(図2)。
【0073】
第1の反応は、例えば、1%トルエンチオールおよび5%チオフェノールの存在下で6Mグアニジン塩酸塩(HCl)(pH7.5)中での、セグメントBのN末端システインとセグメントA(1.5当量)のC末端チオエステルとの化学選択的反応である。セグメントAのα−カルボニルチオエステルは、セグメントBのN末端にあるシステイン残基による求核攻撃を受け、それによりチオエステル中間体が生じる。結果として生じるチオエステルで連結された中間体は近傍アミンへの自発的分子内アシル転移を受け、ペプチド結合を形成する(図2)。完了するまで(例えば、24時間)反応を続け、結果として生じた生成物を、例えば、アフィニティクロマトグラフィーによって精製する。
【0074】
別の態様において、セグメントAは、TMRで標識された有機チオエステルでもよい(図3Aを参照のこと)。トリエチレンテトラミン(TREN,アルドリッチ(Aldrich),Milwaukee,WI,カタログ番号90462)から入手可能)を、3.5当量のカルボキシテトラメチルローダミン(TMR)活性化エステル(モレキュラーブローブス,OR(カタログ番号e−6123)から入手可能)でアシル化すると、(TMR)−TREN 5が形成される。Nα−Fmoc−リジンを2−イミノビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ビオチン−NSエステル)でアシル化すると、Nε−Fmoc−Nα−ビオチン−リジン6が生成される。図3Aおよび3Bを参照のこと。6のα−アミノ基を脱ブロックし、その後に、ブロモアセチルクロリドでアシル化すると、Nε−ブロモアセトアミド− Nα−ビオチニル−リジン8が形成される。8とα−トルエンチオールとのカルボジイミドカップリングによって9が得られる。ヨウ化ナトリウムの存在下で5をチオエステル9でアルキル化すると、第4級アンモニウム塩10(セグメントA)が生成され、前記と同じ条件下で10とセグメントBをカップリングすることによって11(発色団対タンパク質比=3)が得られる。
【0075】
さらなる態様において、セグメントAは、大きな消衰係数を有する発色団(例えば、図3Bに示されるようなテトラメチルローダミン(TMR))で標識された合成有機分子でもよい。1−[(3−ジメチルアミノ)プロピル]−3−エチルカルボジイミド、ヨウ化メチル、およびジメチルアミノピリジン(DMAP,アルドリッチ,Milwaukee,WI,カタログ番号33,245−3から入手可能)の存在下で、N−Boc−8−ヘプタン酸12とα−トルエンチオールが反応すると、対応するチオベンジルエステルが生成される(図3B)。TFAの存在下で13のアミノ基を脱保護し、その後に、14とTMRのN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルをカップリングすることによって、N−TMR−8−ヘプタン酸のベンジルチオエステル誘導体15が生成される。チオエステル15(セグメントA)と、N末端システインを有する組換えタンパク質(セグメントB)との反応によって、透析によって精製することができるTMR−タンパク質16(発色団対タンパク質比=1)が形成される。
【0076】
別の態様において、セグメントBは、以下の式:
システイン−オリゴヌクレオチド
を有してもよい。水溶性カルボジイミド(例えば、EDC)の存在下で、Nα−(6−アミノヘキシル)ATPとN−α−t−Boc−S−トリチル−L−システインをカップリングすることによって、N−α−t−Boc−S−トリチル−6−アミノヘキシルシステイニルアミドが形成される。トリフルオロ酢酸およびトリイソプロピルシランの存在下でN−α−t−Boc−S−トリチル−6−アミノヘキシルシステイニルアミドを脱ブロックすることによって、システイン−オリゴヌクレオチド(セグメントB)を生成するようにオリゴヌクレオチド鎖に酵素的に付加できるシステイン−ATPが形成される。チオフェノールおよびトルエンチオールの存在下で、発色団、発蛍光団、およびUV吸収基で標識された、Cα−チオエステルを有するオリゴペプチドを、システイン−オリゴヌクレオチドセグメントに連結すると、標識されたオリゴペプチド−オリゴヌクレオチドが形成される。
【0077】
インビトロ化学連結
この方法は、セグメントA(これは、Nα−システインもしくはNα−(1−フェニル−2−メルカプトエチル)を有する標識された分子、または標識されており、システイン残基(そのカルボキシル基を介して標識される)に1−アミノ−2−メルカプトエチル部分を含む有機低分子である)と、C末端チオエステルを有する組換えタンパク質との連結を伴ってもよい(エバンス(Evans),Jr.,T.C.,ら,J.Biol.Chem.274:18359−8363(1999))。しかしながら、本発明は、N末端システインを有する分子に限定されない(ロー(Low),D.W.,ら,Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.98:6554−6655(2001))。従って、Nαに連結された除去可能な部分を形成するように、N末端システインを含まない分子を改変することができる(キャン(Canne),L.ら,J.Amer.Chem.Soc.118:5891−5896(1996))。特定の態様において、チオールを含む除去可能な補助部分(例えば、1−フェニル−2−メルカプトエチル)がN末端に付けられた任意の合成ペプチドをセグメントAとして使用してもよい。ペプチド結合が形成した後、適切な脱ブロック試薬の存在下で補助基を除去することができる。図9を参照のこと。別の態様において、1−アミノ−2−メルカプトエチル基を含む任意の標識された有機分子をセグメントAとして使用してもよい。特定の態様において、標識されたシステインをセグメントAとして使用することができる。
【0078】
セグメントBは、C末端チオエステルを有するタンパク質(例えば、未変性タンパク質、組換えタンパク質、もしくは合成タンパク質)または核酸でもよい。さらなる態様において、関心対象のタンパク質のC末端に遺伝的に融合されたMxe GyrAインテインを発現させるために、2つの改変されたミニインテインSsp DnaBおよびMxe GyrAを有する市販のpTWIN1発現プラスミド(例えば、IMPACT(ニューイングランドバイオラボ))を使用してもよい。(例えば、Mxe GyrAの下流に配置されたキチン結合ドメイン(CBD)を介した)融合タンパク質の親和性精製後に、標的タンパク質は自発的に放出されて、外部チオール(例えば、エタンチオール、n−ブタンチオール、または2−メルカプトエタンスルホン酸(MESNA))による処理によってチオエステルを形成することができる。インテインおよびその使用は、全ての開示が参照として本明細書に組み入れられる米国特許第5,834,247号に記載されている。IMPACTベクターは、C末端チオエステルと共にマルトース結合タンパク質(MBP)、McrB、T4 DNAリガーゼ、Bst DNAポリメラーゼラージフラグメント、Bam HI、Bg lII、CDK2、CamK II、および大腸菌RNAポリメラーゼ、ならびにこれらのタンパク質の変形を発現させるのに使用されている。
【0079】
セグメントAとセグメントBとの連結:まず最初に、目で見える色のついたタンパク質マーカーを作成するインビトロ化学連結の実現可能性を一連のモデル反応において調べた。404アミノ酸長の大腸菌マルトース結合(MBP)のアミノ酸1−92に対応する組換え断片を、インテイン−CBDと遺伝的に融合させた。この遺伝子は、C末端に配列Met−Arg−Metを付けるようにDNAレベルで改変された。この付加は、インテインからの標的タンパク質(MBP−95aa)のインビトロ切断を改善するために、ならびに連結反応を促進するために行った。固定化されたインテイン−融合構築物のMESNAへの暴露は切断を誘導することが示されており、これは本発明の系において確かめられた。標的タンパク質はMBP−95aa−CO−S−CH−CH−SONaとして溶出され、質量分析(MS)およびSDSゲルによって特徴付けられた。次いで、固定化された構築物は、N末端システインを含む、発色団で標識された短い合成ペプチド(Cys−Lys(フルオレセイン)−Lys−Arg−Lys(フルオレセイン)−Lys−His−His−His−His−His−His)(配列番号:1)に化学的に連結できるかどうかが評価された。キチンビーズを1.0mMペプチドおよび30mM MESNAに4℃で一晩暴露することによってMBP−107aa−(フルオレセイン)が生成され、これは質量分析によって特徴付けられた。MBP−95aa(10.6kD、pI 5.12)は、トリブチルホスフィン、トルエンチオール、およびチオフェノールの存在下で、室温、37℃、および50℃で、
Figure 2004506221
で処理された(図8)。生成物はRP−HPLCによって精製され、MALDI/MSによって特徴付けられた(13.0kD、pI 4.75)。組換えタンパク質を用いたインビトロ化学連結は報告されている(ムイル(Muir),T.W.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95:6704−6710(1998))。
【0080】
部位特異的修飾
部位特異的修飾は、ペプチドまたは有機分子と、N末端セリンまたはスレオニンを有するタンパク質との結合を伴ってもよい。この方法は、ゲオゲガン(Geoghegan),K.F.およびストロー(Stroh)J.G.,Bioconjugate Chem.3:138−146(1992)に記載されている。
【0081】
図6に示すさらなる態様は、ペプチドまたは有機分子と、N末端セリンまたはスレオニンを有するタンパク質との結合を規定する。これらのN末端アミノ酸のヒドロキシ基は過ヨウ素酸塩(アルドリッチ,Milwaukee,WIから入手可能)の存在下で酸化されて、アルデヒド17(セグメントB)を形成する。セグメントAは、オリゴペプチドまたは合成有機分子(例えば、カルボキシル官能基を有する8−アミノカプリル酸、7−アミノヘプタン酸、および6−アミノヘキサン酸(18))から調製される。ペプチドのCαまたは有機分子のカルボキシル基をエステル化し、その後に、ヒドラジンに暴露すると、ヒドラジド19が形成される。例えば、ゲオゲガンのプロトコール(ゲオゲガンK.F.およびストローJ.G.、Bioconjugate Chem.3:138−146(1992))を用いて、セグメントAとセグメントBをカップリングすると、対応するヒドラゾン20が形成され、20はシアノボロ水素化ナトリウムの存在下で還元されて、より安定な生成物21を生成することができる。発色団標識は、合成間にセグメントAに導入することができる。従って、結果として生じた生成物は目で見える色がついている。この手順は、N末端に反応基を作成するために、セグメントBのタンパク質を傷つける可能性のあるオキシダントの使用を必要とするので、ネイティブなペプチド連結手順またはインビトロ化学連結手順を使用することより好ましくない。
【0082】
本発明のマーカー分子およびマーカー分子組成物は、(例えば、サイズ、pI、または他の物理的性質もしくは化学的性質によって)高分子を分離するために一般的に用いられるどのシステムにおいても標準として使用することができる。マーカー分子およびマーカー分子組成物をマトリックスに添加し、マトリックスを通って分子マーカーを移動させる電磁場に暴露することができる。このようなマトリックスの例として、アガロース、架橋ポリアクリルアミドゲル、架橋デキストラン、DEAE−セルロース、DEAE−Sephadex、DEAE−Sephacelなどが挙げられるが、これらに限定されない。マトリックスは、どんな形態または形状、サイズまたは多孔度であってもよい。形状として、スラブ、ブロック、チューブ、カラム、膜などが挙げられる。マトリックスは多数の添加物を含んでもよい。添加物として、変性剤および緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。別の態様において、マーカー分子およびマーカー分子組成物は、キャピラリー電気泳動のマーカーとして使用することができる。別の態様において、マーカー分子およびマーカー分子組成物は、他の任意の方法によって高分子を分離する時に標準として用いられる。このような方法として、カラムクロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、液体クロマトグラフィーなどが挙げられる。
【0083】
特に、本発明のマーカー分子は、以下に記載のようなゲル電気泳動システムにおいて使用することができる。かなりの数のゲル電気泳動分離システムが当技術分野において周知である。さらに、これらのシステムは、分離される分子に関連した様々な性質によって分子を分離するように働く。さらに、(1)単一のゲル電気泳動システムまたは(2)異なるゲル電気泳動システムにおいて分子を分離するように複数の分離原理を組み合わせることができる。言い換えると、分子は、1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6など)性質に基づいて分子を分離する一次元ゲルシステムにおいて互いと分離してもよく、分離プロセスの各段階が1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6など)性質に基づいて分子を分離する2次元ゲルを用いて互いと分離してもよい。一般的に、2次元ゲルシステムを使用する場合、分子は、少なくとも1つの異なる性質(例えば、第1の次元では電荷、第2の次元では分子量)に基づいて2つの次元のそれぞれで分離される。本発明のマーカー分子は、1次元ゲル電気泳動システムおよび2次元ゲル電気泳動システムにおいて使用することができる。
【0084】
前記のように、ゲル電気泳動システムは様々な性質に基づいて分子を分離することができる。これらの性質の例として、分子量、等電点、および分子が界面活性剤(例えば、非イオン界面活性剤)に結合する能力、ならびにこれらの性質の組み合わせが挙げられる。さらに、本発明のマーカー分子を使用することができるゲル電気泳動システムの例として、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)、酸−尿素ゲル電気泳動、1つまたは複数の界面活性剤(例えば、TRITON X−100(商標)、デオキシコール酸ナトリウム、NONIDET P−40(商標)などの1つまたは複数の非イオン界面活性剤)の存在下で行われる酸−尿素ゲル電気泳動、および等電点電気泳動が挙げられる。本発明のマーカー分子は、例えば、1次元ゲル電気泳動システム、2次元ゲル電気泳動システム、キャピラリー電気泳動システム、および動電クロマトグラフィーシステム、ならびに他のゲル電気泳動システムなどの電気泳動システムと共に使用することができる。
【0085】
1つの局面において、本発明は、均一な分子量のマーカー分子、ならびに分子量が異なる1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、20、50など)マーカー分子を含む組成物を含む。これらのマーカー分子は、分子量に基づいて分子を分離するゲル電気泳動システムとの使用に特に適している。主として分子量に基づいて分子を分離するゲル電気泳動システムとして、SDS−PAGEシステム(ラエムリ(Laemmli),U.K.,Nature 227:680−685(1970))が挙げられる。
【0086】
別の局面において、本発明は、均一な等電点のマーカー分子、ならびに等電点が異なる1つまたは複数の(例えば、1、2、3、4、5、6、8、10、12、20、50など)マーカー分子を含む組成物を含む。これらのマーカー分子は、等電点に基づいて分子を分離するゲル電気泳動システム(例えば、等電点電気泳動システム)との使用に特に適している。
【0087】
本明細書で説明された方法および用途に対する他の適切な変更および適応は、当業者に周知の知識を考慮すれば、本明細書に含まれる発明の説明から容易に明らかであり、本発明の範囲または本発明の任意の態様から逸脱することなくなされ得ることが、関連する技術分野の当業者に理解されるだろう。今や、本発明は詳細に説明されたが、以下の実施例を参照することによってさらにはっきりと理解されるだろう。以下の実施例は例示のためだけに本明細書に含まれ、本発明を限定することが意図されない。
【0088】
実施例
実施例1
自然の化学連結を用いた、Cys−Ser−Thr−Met−Met−Ser−Arg−Ser−His−Lys−Thr−Arg−Ser−His−His−Val−OH(配列番号:2)と、TMR−チオエステル15との反応
最適化された段階的固相ペプチド合成によって、モデルペプチドCys−Ser−Thr−Met−Met−Ser−Arg−Ser−His−Lys−Thr−Arg−Ser−His−His−Val−OH(配列番号:2)を調製した。図3Bに概説するように、チオエステル15を調製した。ペプチド5.0mg(2.65×10−36mmol)を含む(0.1Mリン酸ナトリウムを用いてpH7.3に緩衝化した)6.0Mグアニジン塩酸塩溶液1mLに、アセトニトリル20μLに溶解したTMR−チオエステル15 3.0mg(1.5×10−3mmol)を添加した。これに、10μL(1%v/v)トルエンチオールおよび30μL(3%v/v)チオフェノールを添加し、アルゴンの下で室温で一晩攪拌した。質量分析データおよびSDSゲル電気泳動によって、TMRで標識されたペプチド生成物が形成されたことが分かった。
【0089】
実施例2
pTWIN1ベクターへのマルトース結合タンパク質−95aa(MBP−95aa)遺伝子のクローニング
MBP−95aa遺伝子のTOPOクローニング:2つの制限部位Spe1およびNde1を、MBP−95aa遺伝子の両側に導入した。PCRで増幅された遺伝子を精製し、pCR−TOPOベクターにTOPOクローニングした。pCR−TOPOMBP−95aa遺伝子を形質転換によってTOP10コンピテント細胞に導入し、LB/AMPプレート上で一晩増殖させた。10個のコロニーを採取し、10個の2mL LB/AMP培養物に接種するのに使用し(1コロニー/チューブ)、37℃で一晩増殖させた。各培養物からのDNAを、S.N.A.P.(商標)(Simple Nucleic Acid Prep)Miniprepキット(インビトロジェン,Carlsbad、CA)を用いて単離し、DNA配列決定によって分析した。
【0090】
制限消化および連結:pCR−TOPOMBP−95aaを、同時にSpeIおよびNdeIを用いて37℃で一晩消化した。同じ酵素を用いてpTWIN1ベクターを消化した。両反応混合物を1.2%アガロースゲルで精製した。pTWIN1プラスミドへのMBP−95aa遺伝子の挿入を14℃で3時間〜30分間行った。
【0091】
形質転換:TOP10細胞を前記の連結混合物で形質転換し、対照実験と共にLB/AMP/Xgalの上にプレートした。いくつかの2mL LB/AMP培養液に異なるコロニーを接種し(1コロニー/チューブ)、37℃で一晩増殖させた。pTWIN1MBP−95aaをS.N.A.P.Miniprepによって単離した。
【0092】
インサートのスクリーニング:挿入を確かめるために、pTWIN1MBP−95aaをSpeIおよびNdeI酵素で消化した。この反応によって2つの断片:インサート,250−300bpおよびバックボーン,約7000bpが得られた。
【0093】
細胞培養および融合タンパク質発現
BL21/BAD細胞をpTWIN1MBP−95aaで形質転換し、LB/AMPの上にプレートし、37℃で一晩増殖させた。LB/CAR(200μgカルベニシリン/mL LB)培養物2mLに1個のコロニーを接種し、37℃で一晩増殖させた。0.01%グルコースを含むLB/CAR培地1リットルに前記培養物を接種し、30℃で増殖させた。対数期中期の細胞を、0.1mMイソプロピル−1−β−D−ガラクトピラノシド(IPTG)および0.1%アラビノースを用いて30℃で2時間〜30分間誘導した。
【0094】
細胞採取
誘導培養物からの細胞を4℃で15分間、5000×gで沈殿させ、上清を捨てた。この段階で、細胞ペレットを−80℃で保存した。
【0095】
親和性精製およびオンカラム切断
粗細胞抽出物の調製
ペレット2.0gを氷***解緩衝液(25mM Tris(pH8.0),800mM KCl,0.1mM EDTA,0.5%Triton X−100,1.0mM PMSF)100mLに再懸濁し、2つに分けた。各懸濁液を1分×4で超音波処理した。混合した溶解産物を4℃で30分間、12000×gでの遠心分離によって清澄した。
【0096】
キチンカラムの調製
キチンビーズ15mL(カラム体積)が詰められたカラムを調製し、カラム緩衝液(20mM Tris(pH8.5),500mM NaCl,0.1mM EDTA,0.1% Triton X−100)100mLで平衡化した。
【0097】
清澄された細胞溶解産物の添加
清澄された細胞溶解産物を、流速0.5mL/分でキチンカラムに添加(load)した。フロースルーを収集し、流速1.0〜2.0mL/分で同じカラムに添加した。
【0098】
キチンカラムの洗浄
カラムを、カラム緩衝液500mLを用いて流速2.0mL/分で洗浄した。
【0099】
粗抽出物を跡形もなくカラム側から洗い落とした。
【0100】
オンカラム切断の誘導
カラムにMESNA緩衝液(カラム緩衝液に溶解した200mMメルカプトエタンスルホン酸)50mLをロードし、緩衝液がキチンビーズの少し上にくるまで素早く流した。流れを止め、カラムを室温で一晩ゆっくりと揺り動かした。
【0101】
標的タンパク質の溶出
インテインのオンカラム切断の後、MBP−95aaのMESNA誘導体をα−チオエステルとして放出し、カラム緩衝液を用いて溶出した。全ての画分をSDS−PAGEで分析した。混合した画分を、Millipore Ultrafree−15 Centrifugal Filter Device Biomax−5Kを用いて濃縮して、所望のタンパク質5.6mgを得た。
【0102】
実施例3
ペプチドの合成
「セグメントA」として適しており、以下のアミノ酸配列:
Figure 2004506221
を有するペプチドを、高度に最適化された段階的固相ペプチド合成によって調製した。Fmoc−PAL−PEG−PS樹脂(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems),0.22meq.)のガラスフリット909mg(0.2mmol)がはめ込まれた30mL反応容器を、0.05M HOBtを含む20%ピペリジン/DMF溶液10mlに5分間浸けた。液体を捨て、同じ手順をもう2回繰り返した。樹脂をDMF 10mlで6回洗浄した。別の反応容器において、Fmoc−Ala(249.0mg,0.8mmol)のカルボキシル基を、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)30.0mg(0.2mmol)およびDMF 10mlに溶解したN,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)280.0μL(1.6mmol)の存在下で、O−ベンゾトリアゾール−1−イル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU) 303.0mg(0.8mmol)を用いて活性化した。混合物を室温で3分間撹拌し、樹脂に添加し、室温で1.5時間撹拌した。混合物をDMFで数回洗浄した。第2のアミノ酸Fmoc−Asp(O−t−Bu)の活性化およびカップリングを、Fmoc−Alaについて述べたのと同じ条件下で行った。第3のアミノ酸Fmoc−Lys(TMR)は、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(モレキュラーブローブス)として購入した。これは、さらなる活性化を必要とせず、反応混合物(250mg 0.32mmol)に添加し、光から保護し、室温で一晩放置した。Fmoc−Lys(TMR)カップリングの後、混合物を、Applied Biosystems Pioneer Peptide Synthesizer容器に移した。次いで、アミノ酸配列:
Figure 2004506221
を有するペプチドを、Lys(TMR)−Asp−Ala−樹脂に集めた。この合成装置のための合成プロトコールは、0.05M HOBtを含むピペリジン/DMF(1:4,v/v)を用いた5分間の脱保護段階、Fmoc−アミノ酸/HBTU/HOBT/DIEA(4:4:1:8)を用いた1時間のカップリング時間であった。合成装置によって合成を行った後、
Figure 2004506221
を含む反応混合物を手作業用反応容器に移し、残りの配列Cys−Leu−Lys(TMR)を前記のように段階的に手作業でカップリングした(図8)。
【0103】
脱ブロック:
Figure 2004506221
1.364gを含む反応混合物を、スカベンジャー混合物(チオアニソール10ml/トリイソプロピルシリン4ml/フェノール600mg)300μL、メルカプトプロピオン酸(MPA)200μl、および95%TFA/5%HO 10mlと共に添加し、時々攪拌しながら室温で3時間放置した。tert−ブチルメチルエーテル(MTBE)/ヘキサン(1:1)100mlを反応混合物に添加し、遠心分離した。上清を捨て、残渣をMTBE/ヘキサン(1:1)50mlで洗浄し、再度遠心分離した。固体をデカンテーションによって分離し、HOに溶解した50%アセトニトリル50mlで抽出し、凍結乾燥した。粗混合物を調製用C−18 RP−HPLCで精製して、純粋なペプチド198mgを得た。このペプチドをMSによって分析した(実験値2397.67、計算値2398.71)。
【0104】
以下のペプチドを調製した:
Figure 2004506221
【0105】
Cys−Leu−Lys(TMR)−Asp−Ala−Leu−Asp−Ala−Leu−Asp−Ala−Leu−Lys(TMR)−Asp−Ala−アミド(セグメントA)(配列番号:3)とMBP−95aa(セグメントB)との連結:MBP−95aa(0.4×10−6mmol,4.0mg)およびCys−Leu−Lys(TMR)−Asp−Ala−Leu−Asp−Ala−Leu−Asp−Ala−Leu−Lys(TMR)−Asp−Ala−アミド(0.4×10−5mmol,8.9mg)(配列番号:3)の混合物を、5mMトリブチルホスフィン(1−メチル−2−ピロリジノンに溶解した200mM溶液25μL)および20mMメルカプトエタノールの存在下で、0.1Mリン酸ナトリウムを用いてpH7.3で緩衝化された6.0Mグアニジン塩酸塩溶液中で攪拌した。これに、触媒として3%(v/v)チオフェノールを添加し、室温で96時間攪拌した。24時間ごとに、反応混合物に200mMトリブチルホスフィン溶液25μLを添加した。反応混合物をSDSゲル電気泳動でモニターした。反応は60%完了していた。所望の生成物MBP−110aa−(TMR)を調製用RP HPLCで精製し、SDS−ゲルおよびMALDI−MSによって特徴付けた(実験値13061.1、計算値13037.01;pI値4.75)。タンパク質マーカーとしてMultiMark(インビトロジェン)を用いて、MBP−110aa−(TMR),pI 4.75をNuPAGE Bis−Tris,4−12%(インビトロジェン)および16%トリシンゲル(インビトロジェン)において試験した。ゲルを図10に示す。
【0106】
Cys−Asp−Asp−Lys(TMR)−Asp−Asp−Asp−Asp−Leu−Ala−Asp−Asp−Asp−Lys(TMR)−Asp−アミド(配列番号:6)とMBP−95aaとの連結によって、マーカー分子MBP(110a)−(TMR)が得られた。計算pI 4.3。
Figure 2004506221
とMBP−95aaの連結によって、マーカー分子MBP(110a)−(TMR)が得られた。計算pI 4.5。
Figure 2004506221
とMBP−95aaの連結によって、マーカー分子MBP(110a)−(TMR)が得られた。計算pI 6.5。
Figure 2004506221
とMBP−95aaの連結によって、マーカー分子MBP(110a)−(TMR)が得られた。計算pI 7.4。
Figure 2004506221
とMBP−95aaの連結によってMBP(110a)−(TMR)が得られた。計算pI 9.5。
【0107】
今や、本発明は、はっきりと理解できるようにするための例示および実例としていくらか詳細に十分に説明されたが、本発明の範囲にも本発明のどの特定の態様にも影響を及ぼすことなく条件、配合、および他のパラメータの広くかつ等価な範囲内で本発明を変更または修正することによって同じことを実施することができ、このような変更または修正は添付の特許請求の範囲内に含まれると意図されることが当業者に明らかであろう。
【0108】
本明細書で述べられた全ての刊行物および特許は、本発明が属する当業者の技術レベルを示し、それぞれ個々の刊行物または特許が参照として組み入れられるように詳細かつ個々に示されるのと同じ程度に参照として本明細書に組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマーカー分子のセグメントAとして用いられるペプチドの固相合成を示すスキームを示す。この例において、チオエステルで連結されたグリシンを含む樹脂リンカーが存在する。さらに、テトラメチルローダミン(TMR)で標識されているNα−Fmoc− Nε−TMR−リジンが構成要素アミノ酸として用いられる。N末端アミノ酸はイミノビオチンで標識されたグリシンである。標識されたペプチドはベンジルチオール(Ph−CH−SH)処理によって固相から放出され、ペプチド生成物は逆相HPLC(RP−HPLC)によって精製される。
【図2】セグメントA(TMRおよびビオチンで標識されたペプチド)と、N末端システイン含有タンパク質(セグメントB)との連結を示すスキームを示す。システインチオールでチオエステルをトランスチオエステル化するとS→Nアシルシフトが起こって、アミド結合によって接続された2つのセグメントを有する連結生成物が生成される。これにより、既知分子量およびpIの標識されたタンパク質である最終生成物が生成される。
【図3】蛍光染料(例えば、テトラメチルローダミン)で標識された有機チオエステルと、N末端システインを有するタンパク質(セグメントB)とのカップリングによるTMRで標識されたタンパク質の調製を示すスキームを示す。図3Aは、トリエチレンテトラミン(TREN,アルドリッチ,Milwaukee,WI,カタログ番号90462から入手可能)を3.5当量のカルボキシテトラローダミン(TMR)活性化エステル(モレキュラープローブス,OR(カタログ番号e−6123)から入手可能)でアシル化して(TMR)−TREN 5を形成することによって、標識されたタンパク質を形成するスキームを示す。Nα−Fmoc−リジンを2−イミノビオチン−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(ビオチン−NSエステル)でアシル化すると、Nε−Fmoc− Nα−ビオチン−リジン6が生成される。6のα−アミノ基を脱ブロックし、その後に、ブロモアセチルクロリドでアシル化すると、Nε−ブロモアセトアミド− Nα−ビオチニル−リジン8が形成される。8とα−トルエンチオールとのカルボジイミドカップリングによって9が得られる。ヨウ化ナトリウムの存在下で5をチオエステル9でアルキル化すると、第4級アンモニウム塩10(セグメントA)が生成され、前記と同じ条件下で10とセグメントBをカップリングすると、11(発色団対タンパク質比=3)が得られる。図3Bは、まず最初に、チオールベンジルエステル(13)を調製することによって、TMRで標識されたタンパク質を形成するためのスキームを示す。トリフルオロ酢酸の存在下で13のアミノ基を脱保護することによって、14が生成され、その後に、14とTMRのN−ヒドロキシスクシンイミジルエステルとカップリングすることによって、N−TMR−8−ヘプタン酸のベンジルチオエステル誘導体15が生成される。チオエステル15(セグメントA)と、N末端システインを有する組換えタンパク質(セグメントB)との反応によって、透析によって精製することができるTMR−タンパク質16(発色団対タンパク質比=1)が形成される。
【図4】TMRで標識されたペプチド(セグメントA)の固相合成を示す。樹脂リンカーは、チオエステルで連結されたヒスチジンであり、Nα−Fmoc−ε−TMR−リジンは、TMRで標識された構成要素アミノ酸である。このスキームにおいて、N末端アミノ酸はシステインである。トリフルオロ酢酸(TFA)で処理した後、結果として生じた生成物は、発色団TMRで標識され、金属親和性結合(ヒスチジン)配列でタグ化されたオリゴペプチドである。
【図5】インビトロ化学連結を介したタンパク質の標識を示すスキームを示す。この方法において、C末端チオエステルを有する組換えタンパク質(セグメントB)が、トルエンチオール、ベンジルチオール、およびチオフェノールの存在下で、N末端システインを有する、TMRで標識されたポリヒスチジンタグ化ペプチド(セグメントA)に連結する。反応によって、既知の分子量およびpIの生成物が得られる。
【図6】N末端スレオニンまたはシステインを含むタンパク質の部位特異的修飾を示すスキームを示す。N末端アルデヒドを有するタンパク質(17,セグメントB)を形成するために、N末端アミノ酸の隣接する炭素にあるアミノ基およびヒドロキシル基を容易に酸化することができる。セグメントBと19(セグメントA)のカップリングによって、既知の分子量およびpIを有する目で見える色のついたタンパク質(21)が得られる。
【図7】Fmoc−PAL−PEG−PS樹脂またはスクノルザー(Schnolzer),M.ら,Intl.J.Peptide Protein Research 40:180(1990)により述べられた任意のアミド樹脂を用いた、N末端システインを有するペプチド(セグメントA)の固相合成を示すスキームを示す。
【図8】インビトロ化学連結を介したタンパク質の標識を示すスキームを示す。この方法において、C末端チオエステルを有する組換えタンパク質MBP−95aa(マルトース結合タンパク質の95アミノ酸セグメント)(セグメントB)が、N末端システインを有する、TMRで標識されたペプチドに連結する。
【図9】N末端システインのないペプチドを用いたインビトロ化学連結を示すスキームを示す。Nα−(1−フェニル−2−メルカプトエチル)補助基が、固相ペプチド合成を用いてオリゴペプチドN末端にカップリングされる。連結すると、補助基は穏やかな条件下で除去される。
【図10】MBP−110aa−(TMR)を特徴付けるNU−PAGE(登録商標)4−12%Bis−Trisゲルの写真である。レーン1は、Multimark(インビトロジェン,Carlsbad,CA)タンパク質マーカーである。レーン2は、MBP−110aa−(TMR)(最大分子量)、MBP−95aa、未反応
Figure 2004506221
を含む反応混合物である。レーン3はブランクである。レーン4は、MBP−110aa−(TMR)(最大分子量)、MBP−95aa、未反応
Figure 2004506221
を含む反応混合物である。レーン5はMBP−95aaである。

Claims (38)

  1. 式I:
    セグメントA−L−セグメントB
    のマーカー分子であり、式中、
    セグメントAは標識された分子であり、
    Lはリンカーまたは結合であり;および
    セグメントBはタンパク質または核酸である、マーカー分子。
  2. セグメントAが少なくとも2つ以上の標識されたアミノ酸を含む、請求項1記載のマーカー分子。
  3. 標識が発色団、発蛍光団、およびUV吸収基からなる群より選択される、請求項1記載のマーカー分子。
  4. Lがペプチド結合である、請求項1記載のマーカー分子。
  5. 標識されたアミノ酸がリジンである、請求項2記載のマーカー分子。
  6. セグメントAが約1〜約100の共有結合したアミノ酸を含む、請求項1記載のマーカー分子。
  7. セグメントAが約5〜約50の共有結合したアミノ酸を含む、請求項1記載のマーカー分子。
  8. セグメントAが約10〜約30の共有結合したアミノ酸を含む、請求項1記載のマーカー分子。
  9. セグメントAが15の共有結合したアミノ酸を含む、請求項1記載のマーカー分子。
  10. セグメントBが約3,000ダルトン〜約250,000ダルトンの分子量および約2〜約12のpIを有する、請求項1記載のマーカー分子。
  11. 2つ以上の請求項1記載のマーカー分子を含む、マーカー分子組成物。
  12. 2つ以上のマーカー分子が異なる分子量および/または等電点(pI)を有する、請求項11記載のマーカー分子組成物。
  13. マトリックス内で、試料中に存在する1つまたは複数の分子を分離する方法であり、以下の段階を含む方法:
    請求項11記載のマーカー分子組成物を、1つまたは複数の分子を含む試料に添加する段階、
    試料をマトリックスに適用する段階、および
    マトリックスを電場にかける段階。
  14. 試料中に存在する1つまたは複数の分子を分離する方法であり、以下の段階を含む方法:
    請求項11記載のマーカー分子組成物を、1つまたは複数の分子を含む試料に添加する段階、
    試料をマトリックスに適用する段階、および
    1つまたは複数の分子を分離する段階。
  15. 以下の段階をさらに含む、請求項13記載の方法:
    マトリックスを電場にかけた後に、分子マーカーを検出する段階、および
    標識された分子マーカーの位置と1つまたは複数の分子の位置を比較する段階。
  16. マーカー分子を調製する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)分子を標識する段階;および
    (b)分子と、既知分子量のタンパク質および/または核酸を連結する段階であり、分子またはタンパク質および/もしくは核酸はα−チオエステルを含み、他方はチオール含有部分を含む段階。
  17. 以下の段階をさらに含む、請求項16記載の方法:
    (c)異なる分子量およびpIの多数の標識されたマーカー分子を得るために、1回または複数回(a)〜(b)を繰り返す段階;および
    (d)異なる分子量およびpIを有する標識されたマーカー分子を組み合わせる段階。
  18. チオール含有部分が1−フェニル−2−メルカプトエチル基である、請求項16記載の方法。
  19. マーカー分子を調製する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)アミノ末端システイン残基を含む分子を標識する段階;および
    (b)分子と、Cα−チオエステルを含む既知分子量のタンパク質および/または核酸を連結する段階。
  20. 以下の段階をさらに含む、請求項19記載の方法:
    (c)異なる分子量およびpIの多数の標識されたマーカー分子を得るために、1回またはそれ以上の回数で(a)〜(b)を繰り返す段階;および
    (d)異なる分子量およびpIを有する標識されたマーカー分子を組み合わせる段階。
  21. マーカー分子を標識する方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)第1のアミノ酸を固相に取り付ける段階;
    (b)該第1のアミノ酸と、ブロック基によって保護された第2のアミノ酸をカップリングさせて、アミノ酸鎖を得る段階であり、該ブロック基はアミノ酸を付加する前に除去される段階;
    (c)さらなるアミノ酸を用いた固相合成によって鎖の長さを伸長して、標識されたオリゴペプチドを得る段階であり、該鎖は少なくとも1つの標識されたアミノ酸を含む段階;
    (d)標識されたオリゴペプチドを固相から放出する段階;および
    (e)標識されたオリゴペプチドと、既知分子量のタンパク質を連結する段階。
  22. 標識されたオリゴペプチドが、標識で修飾された1、2、またはそれ以上のアミノ酸を含む、請求項21記載の方法。
  23. ブロック基が、tert−ブチルオキシカルボニル(BOC)、9−フルオレニルメトキシカルボニル(FMOC)、およびその誘導体からなる群より選択される、請求項21記載の方法。
  24. 1つまたは複数のタンパク質を特徴付ける方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)少なくとも1つの請求項1記載のマーカー分子と共に、マトリックス内で1つまたは複数のタンパク質を電気泳動する段階;
    (b)1つまたは複数のタンパク質の移動と少なくとも1つのマーカー分子の移動を比較する段階;および
    (c)任意選択的に、1つまたは複数のタンパク質の等電点(pI)および/または分子量を決定する段階。
  25. 1つまたは複数の分子を特徴付ける方法であり、以下の段階を含む方法:
    (a)少なくとも1つの請求項1記載のマーカー分子と共に、マトリックス内で1つまたは複数の分子を分離する段階;
    (b)1つまたは複数の分子の移動と少なくとも1つのマーカー分子の移動を比較する段階;および
    (c)任意選択的に、1つまたは複数の分子の等電点(pI)および/または分子量を決定する段階。
  26. ゲルが2次元電気泳動ゲルである、請求項24記載の方法。
  27. 式:
    Cys−Y−Z
    を有するペプチドであり、式中、
    Yは、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、アスパラギン、システイン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、および/または非天然アミノ酸からなる群より選択される1つまたは複数のアミノ酸であり;
    Zは、C末端アミノ酸および/または非天然アミノ酸であり;および
    nは、1〜100である、ペプチド。
  28. Yが1つまたは複数の発色団、発蛍光団、またはUV吸収基で標識されている、請求項27記載のペプチド。
  29. 以下の配列:
    Figure 2004506221
    を有する、請求項27記載のペプチド。
  30. 以下の配列:
    Figure 2004506221
    を有する、請求項27記載のペプチド。
  31. 以下の配列:
    Figure 2004506221
    を有する、請求項27記載のペプチド。
  32. 以下の配列:
    Figure 2004506221
    を有する、請求項27記載のペプチド。
  33. 以下の配列:
    Figure 2004506221
    を有する、請求項27記載のペプチド。
  34. タグ分子をさらに含む、請求項27記載のペプチド。
  35. タグ分子が、ビオチン、フルオレセイン、ジゴキシゲニン、ポリヒスチジン、およびその誘導体からなる群より選択される、請求項34記載のペプチド。
  36. 少なくとも1つの容器が密に閉じ込められている運搬装置を含むタンパク質マーカーキットであり、第1の容器が少なくとも1つの請求項1記載のマーカー分子を含む、タンパク質マーカーキット。
  37. キット成分を使用するための説明書をさらに含む、請求項36記載のタンパク質マーカーキット。
  38. 予め成形された電気泳動ゲルをさらに含む、請求項36記載のタンパク質マーカーキット。
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