JP2004501237A - スチレン重合体、共重合体又はブレンドを含む組成物及び物品 - Google Patents
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Abstract
スチレン重合体、スチレン共重合体又はブレンドを含む組成物は消費者製品の成形に用いられ、この組成物から成形した物品は強い明るい色を呈し、耐表面損傷性を有する。本発明のスチレン重合体及び/又は共重合体を含む組成物は、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて(a)4%未満の内部滑剤及び(b)2〜10%のワセリン油を含む。
Description
【0001】
【技術分野】
本発明は、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物及びこの組成物から製造した成形品に関する。
【0002】
【発明の背景】
スチレン重合体及び共重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン及びアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂を含む組成物は、成形品、例えば、消費者製品、具体的には、肉皿、鉢、カップなどの食器或いはアイロン、冷蔵庫、真空掃除機、フードプロセッサなどの家庭電化製品のハウジングなどの製造に広く使用されている。
【0003】
スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物から成形された物品の短所の一つは、衝撃やこすれ(例えば取扱い及び/又は使用時の成形品同士のこすれ)による表面損傷耐性が低いことである。例えば、製造時に成形品をコンベヤベルトで貯蔵及び/又は包装位置まで移送することが多い。特に移送時に物品が互いにぶつかったりこすれあったりすることがあり、成形品表面にスクラッチや痕跡などの損傷が現れ、その結果かなりの数の物品が不良となる。
【0004】
溶融粘度の低下及び/又は加工装置の金属表面への重合体の付着の防止によって主として配合プラスチック材料の加工性を改良するため、滑剤がプラスチック材料に配合されている。内部滑剤と外部滑剤という異なる2種類のプラスチック滑剤が存在するが、これは作用の態様、ひいては各々の用途の違いによるものである。内部滑剤は重合体系に可溶であり、重合体鎖間の凝集力を変化させて重合体鎖同士の流れを向上させて、溶融粘度を下げるとともに流れ特性を改良する。外部滑剤は重合体溶融物に不溶であり、そのまま重合体の表面に移動する傾向があり、重合体の表面に単層を形成し、溶融・融着プラスチック組成物と加工装置の金属部品との間に潤滑作用を与える。重合体に添加する滑剤の量は、重合体の加工に際して重要である。滑剤が多すぎると、すべりが生じ、押出機のバレル内を重合体が移動するのに必要な摩擦がなくなり、また仕上げ用途における美観に乏しくなる。その結果、出力とトルクが減少する。重合体は内部過潤滑よりも外部過潤滑に敏感である。通例、外部滑剤の濃度は概して内部滑剤の濃度よりも格段に低い。
【0005】
滑剤を用いた刊行物として、欧州特許公報第177096号には、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に0.1〜3重量%の量の鉱油又はシリコーンオイルを内部滑剤として使用して、耐衝撃性及び流動性を高めることが開示されている。カナダ国特許第992235号には、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に約5〜20重量%の石油ゼリー(すなわち、約2〜10重量%のオイルを含むマイクロクリスタリンワックス)を用いることによって、組成物の流れ特性を改良し、衝撃強さを高めることが開示されている。
【0006】
内部滑剤を用いた従来技術では、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物から成形した物品の表面損傷の問題は解決されていない。欧州特許公報EP877054Aの出願人は、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に約3〜10重量%のパラフィンワックスを外部滑剤として用いると耐表面損傷性の向上した組成物及び成形品となることを確認した。
【0007】
近年、明るく深い色の製品への需要が特に家庭電化製品部門で増大しており、消費者がきわめて広範な色パレットから選択できるようにすることが特に重要とみなされている。しかし、パラフィンワックスを含むスチレン重合体及び共重合体組成物からは、明るい強い色をもつ、特に高度に飽和した緑、青、赤又は黄色の色相の成形品を製造することができない。実際、パラフィンが存在すると抑えた着色となる。パラフィンワックスの高度不透明性は背景白色度を生み、これが色の強度を減衰し、結果として鈍い色の完成製品となる。そのため、耐摩耗性、耐摩擦性の成形品の製造から、ある範囲の色は排除されてしまう。
【0008】
したがって、本発明の要旨は、耐表面損傷性を高めながら、明るい強い色の光沢のある着色物品を得ることが可能な、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む新規組成物並びにこれから得られる成形品に存する。
【0009】
【発明の概要】
本発明者らは、スチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて約2〜10重量%のワセリン油を外部滑剤として配合することによって、又はこれに組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて2%未満の内部滑剤をさらに配合することによって、他の特性を損なうことなく、耐表面損傷性が向上し、かつ明るい強い色の成形品を得ることができて、しかも色、特に高度に飽和した色を広い範囲で選ぶことのできる組成物が得られることを見いだした。
【0010】
さらに、本発明の組成物では、アイゾッド衝撃強さ、ビカー軟化温度(熱特性)、金型からの成形品の離型性が向上する。
【0011】
本発明の組成物にワセリン油を配合することで組成物の流動性も上昇するが、これは射出成形での物品製造に有利である。
【0012】
約150〜250℃の低温成形用の本発明の一実施形態では、ワセリン油が射出成形機又は押出ラインのバレルにクリーニング効果を発揮する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のスチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物は、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて、
(a)2%未満の内部滑剤、及び
(b)2〜10%の、好ましくは3〜7%の外部滑剤としてのワセリン油
を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の組成物から製造される物品は耐表面損傷性に優れる。
【0015】
成分A:スチレン重合体及び共重合体
本発明の組成物に有用なスチレン重合体及び共重合体としては、スチレン単独重合体、アルキルスチレン、例えばα−メチルスチレンの単独重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)及びグラフト化スチレン重合体が挙げられる。
【0016】
本発明の一実施形態では、スチレン重合体及び共重合体には耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が包含される。これらの耐衝撃性重合体は、通常、スチレンとおそらくは1種以上の追加の共重合可能なビニル単量体の混合物をゴム状重合体主鎖の存在下でグラフトすることによる重合によって製造する。同様の樹脂を、硬質マトリックス重合体をグラフト化ゴム主鎖と混合することによって製造することができる。硬質スチレン共重合体を製造するためのスチレンとの混合物に有用な、したがってグラフト化単量体として用いるのに有用な共単量体としては、エチルスチレン形態、ハロゲノスチレン、ビニルアルキルベンゼン(例えばビニルトルエン、ビニルキシレン及びブチルスチレン)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸の低級アルキルエステル、及びこれらの混合物から選択される単量体がある。耐衝撃性スチレン樹脂において、ゴム状重合体主鎖は通常5〜80%をなす。耐衝撃性スチレン樹脂の別の例では、ゴム状重合体主鎖はグラフト重合体の全重量の約5〜50重量%をなし、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ゴム状スチレン−ジエン共重合体、アクリルゴム、ニトリルゴム及びオレフィン系ゴム(例えばPDM及びPR)から選択されるゴム状共重合体を含む。さらに、当業界で周知の他のスチレン重合体も本発明のブレンド組成物に有用である。
【0017】
本発明の別の実施形態では、グラフト化重合体及び共重合体を使用する。このようなものとしては、塊状重合及び乳化重合したアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)重合体型の樹脂、メチルメタクリレート/ブタジエン/アクリロニトリル/スチレン(MABS)樹脂、スチレン/ブタジエングラフト化重合体型の樹脂(HIPS)及びメチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン(MBS)樹脂が挙げられる。スチレン重合体及び共重合体の例としては、スチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/無水マレイン酸(SAMA)ターポリマー型の樹脂、アクリロニトリル/スチレン/ブチルアクリレート(ASA)共重合体、スチレン/無水マレイン酸(SMA)共重合体型の樹脂、N−フェニル置換マレイミド又は他の置換マレイミドを含む同様の重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。そのほかに、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)共重合体及び合成ブチルゴム(SBR)を用いることもできる。さらに、スチレン単量体成分の一部を他のスチレン単量体、例えばα−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン又はビニルトルエンで置換した類似の共重合体樹脂も使用できる。また、上記スチレン重合体及び共重合体の混合物又はブレンドを使用することもできる。さらに、上記スチレン重合体及び共重合体と、ポリフェニレンエーテル、ポリ塩化ビニル型重合体、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンの単独又はブレンドとの混合物、或いは当業界でスチレン重合体と混合することの知られている他の重合体との混合物を使用してもよい。これらの追加の重合体は、当業界で周知であり、Modern Plastic Encyclopedia,1986−1987,McGraw−Hill,Inc.,New York,USAに記載されている。
【0018】
本発明に有用なスチレン重合体には、コア−シェル構造の重合体も包含される。スチレン重合体は通常、乳化重合、塊状重合、乳化−塊状重合又は塊状−懸濁重合法で製造される。
【0019】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物に適当なスチレン重合体はABS樹脂である。別の実施形態では、本発明の組成物に適当なスチレン重合体は、樹脂の全重量に基づいて4〜70重量%のブタジエンを含むABS樹脂、及びABS樹脂とスチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体のブレンドである。ABS樹脂が粒状である第三の実施形態では、ABS樹脂は4〜40重量%のブタジエンを含む。さらに他の実施形態では、ABS樹脂は4〜30重量%のブタジエンを含む。
【0020】
本発明の別の実施形態では、本発明の組成物は、10〜80重量部のABS樹脂及び90〜20重量部のSAN共重合体を含むABS/SANブレンドを含む。別の実施形態では、樹脂は、10〜40重量部のABS樹脂と90〜60重量部のSAN共重合体とを含むABS/SANブレンドである。さらに他の実施形態では、ABS/ポリカーボネートブレンド及びABS/ポリブチレンテレフタレートブレンドを使用する。
【0021】
本発明で使用できるアクリル及びメタクリル重合体及び共重合体として、アクリル酸誘導体、例えばアクリル酸エステルとスチレン、塩化ビニルとの共重合体、メタクリル酸誘導体、酢酸エステル、ポリ(アルキルメタクリレート)、例えばポリ(メチルメタクリレート)及びポリ(アルキルアクリレート)が挙げられる。
【0022】
ビニル重合体及び共重合体としては、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルベンゼン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリ(ビニルアルコール)が挙げられる。
【0023】
成分B:滑剤
本発明の表面(外部)滑剤は、a)鉱油又は植物油の油状溶剤、例えばオリーブ油、ピーナッツ油、パラフィン油、ワセリン油又はこれらの混合物、b)液体シリコーン、例えばジメチコーン又はシメチコーン、c)グリコール重合体、例えばポリエチレングリコール600、800又は1200及びd)グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールからなる群から選択される透明な滑剤である。
【0024】
本発明の一実施形態では、外部滑剤はワセリン油である。ここでワセリン油とは、40℃での粘度が約10〜150mm2/sのワセリン油を95重量%以上含むものを意味する。
【0025】
本発明の一実施形態では、外部滑剤を約3〜10%の量で使用する。第二の実施形態では、その量は約3〜7重量%の範囲である。外部滑剤の含量が3重量%未満であると、耐表面損傷性の向上効果が得られず、10重量%を超えるとそれ以上の特性の向上は見られない。
【0026】
例えば、外部滑剤の例としてMERKURから登録商標MERKUR PHARMA240Bにて市販されているワセリン油がある。
【0027】
内部滑剤は、本発明の組成物において、組成物中に存在する重合体及び共重合体の全重量に基づいて約4重量%未満の量で使用できる。スチレン重合体及び共重合体を含む組成物における内部滑剤は周知の助剤であり、例えばステアリン酸金属塩やエチレンビスステアルアミドワックスなどを挙げることができる。
【0028】
本発明の一実施形態では、内部滑剤は2重量%未満である。第三の実施形態では、内部滑剤は0.1重量%未満である。さらに他の実施形態では、組成物は内部滑剤を全く含まない。
【0029】
任意成分
本発明の組成物は、スチレン重合体を含む組成物に通常用いられる助剤、例えば顔料、染料、UV安定剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤及び増量及び/又は補強用充填剤を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の組成物に使用できる無機充填剤としては、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ヒドロキシ炭酸アルミニウムマグネシウム及びヒドロキシ炭酸アルミニウムカルシウムを挙げることができる。
【0031】
本発明の組成物に使用できる難燃剤は、ポリオレフィン系又はスチレン重合体系組成物に難燃性を付与する周知の難燃剤のいずれか又はその混合物である。難燃剤としては、難燃性有機化合物、例えばテトラブロモビスフェノール、ビストリブロモフェノキシエタン、ポリブロモジフェニルエーテル、ポリブロモフェノール、ポリブロモフェニルアルキルエーテル、ポリブロモベンジルアクリレート又はポリアクリレート、ポリブロモシクロドデカン、ポリブロモスチレン、ポリブロモフェニルマレイミド、臭素化エポキシ単量体又はエポキシ重合体、ジフェノール又はハロ置換ジフェノールから誘導されたコポリカーボネートを挙げることができる。なお、上記ハロゲンは塩素又は臭素が好ましい。
【0032】
ホスフェート化合物、特に有機ホスフェートも難燃剤として使用できる。一実施形態では、ハロゲン化有機難燃剤を、酸化アンチモンなどのアンチモン化合物のような相乗化合物と併用する。
【0033】
本発明の組成物は染料及び顔料、例えば酸化チタン、群青又はカーボンブラックを含んでいてもよい。
【0034】
組成物の調製
本発明の組成物の製造は、スチレン重合体及び共重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)を含む組成物のブレンド及び押出に関する公知の各種操作のいずれで行ってもよく、例えば諸成分を2本ロールミル、バンバリーミキサ、単軸押出機又は二軸押出機で混合又はブレンドすればよい。
【0035】
本発明の組成物は、耐表面損傷性に優れた有用な物品へと成形できる。これらの物品は、異形押出、シート押出、押出吹込成形、熱成形、射出成形などの種々の公知の方法で成形できる。
【0036】
【実施例】
以下の実施例で本発明を具体的に説明するが、これらの実施例はいかなる意味でも本発明を限定するものではない。実施例において、特記しない限り、%及び部は重量基準である。実施例の諸成分を混合することにより下記表1の組成物を製造し、試験片を形成して下記表1に示す種々の物理的及び機械的特性を調べた。
【0037】
【表1】
【0038】
これらの結果から、本発明の組成物で得られる機械的特性は、従来の衝撃強さの良好な組成物の特性とほぼ同等であることが分かる。試験は以下の通り行った。
【0039】
(a)DIN EN60068摩耗試験
表1の組成物A、B、1及び2から寸法90mm×70mm×4mmの平板を240℃で成形した。
【0040】
これらの平板を、600回転で回転している80cmの木製シリンダーと接触させて、摩耗させた。摩耗状態を目視して耐摩耗性を評価した。
【0041】
0:耐摩耗性ほどほど
+:耐摩耗性良好
++:耐摩耗性極めて良好
実施例1及び2では、ワセリン油を含まない比較例Aに比べて耐摩耗性が向上しており、また、従来のパラフィンワックスを含む比較例Bと同等の耐摩耗性が認められた。
【0042】
(b)擦傷試験
表1の組成物A、B、1及び2から寸法90mm×70mm×4mmの平板を240℃で成形した。
【0043】
各組成物の平板を、同じ組成物の別の平板の角で異なる位置で3、4度こすった。こすられた平板に残った痕跡を観察し、痕跡の幅を測った。
【0044】
痕跡の幅が狭いほど、組成物のこすりによる耐擦傷性が良好である。結果から、内部滑剤を含む従来の組成物と比較して、本発明の組成物の耐擦傷性が優れていることが分かる。
【0045】
(c)色測定
上記の通りに作成した平板の色を標準GN1304の色と比較した。
【0046】
実施例1及び2について得られた色合いは比較例Bとは大きく異なることが分かる。組成物1及び2で作成した物品の色は、パラフィンワックスを含む比較例Bの著しく鈍い色に対して、明るさと艶が向上している。
【0047】
着色適性測定
青及び緑色相への着色適性の向上を測定した。青色相については、組成物A、B及び2それぞれにSandoplast Blue2Bの0.5pを加えた。緑色相については、組成物A、B及び2それぞれにMacrolex Green5Bの0.5pを加えた。
【0048】
色をCIELAB Lab測色系にて表示した。青及び緑色相では、bの絶対値ができるだけ小さくなければならない。これは、比較例B(パラフィン)に対する比較例A(典型的なABS性能)がそうであった。実施例2のb値は比較例Aの値に近く、概ね比肩しうる着色適性を示しているが、比較例Bとは異なっている。
【0049】
なお、典型的なABS組成物から作成した物品は着色適性に極めて優れている。
【技術分野】
本発明は、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物及びこの組成物から製造した成形品に関する。
【0002】
【発明の背景】
スチレン重合体及び共重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン及びアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂を含む組成物は、成形品、例えば、消費者製品、具体的には、肉皿、鉢、カップなどの食器或いはアイロン、冷蔵庫、真空掃除機、フードプロセッサなどの家庭電化製品のハウジングなどの製造に広く使用されている。
【0003】
スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物から成形された物品の短所の一つは、衝撃やこすれ(例えば取扱い及び/又は使用時の成形品同士のこすれ)による表面損傷耐性が低いことである。例えば、製造時に成形品をコンベヤベルトで貯蔵及び/又は包装位置まで移送することが多い。特に移送時に物品が互いにぶつかったりこすれあったりすることがあり、成形品表面にスクラッチや痕跡などの損傷が現れ、その結果かなりの数の物品が不良となる。
【0004】
溶融粘度の低下及び/又は加工装置の金属表面への重合体の付着の防止によって主として配合プラスチック材料の加工性を改良するため、滑剤がプラスチック材料に配合されている。内部滑剤と外部滑剤という異なる2種類のプラスチック滑剤が存在するが、これは作用の態様、ひいては各々の用途の違いによるものである。内部滑剤は重合体系に可溶であり、重合体鎖間の凝集力を変化させて重合体鎖同士の流れを向上させて、溶融粘度を下げるとともに流れ特性を改良する。外部滑剤は重合体溶融物に不溶であり、そのまま重合体の表面に移動する傾向があり、重合体の表面に単層を形成し、溶融・融着プラスチック組成物と加工装置の金属部品との間に潤滑作用を与える。重合体に添加する滑剤の量は、重合体の加工に際して重要である。滑剤が多すぎると、すべりが生じ、押出機のバレル内を重合体が移動するのに必要な摩擦がなくなり、また仕上げ用途における美観に乏しくなる。その結果、出力とトルクが減少する。重合体は内部過潤滑よりも外部過潤滑に敏感である。通例、外部滑剤の濃度は概して内部滑剤の濃度よりも格段に低い。
【0005】
滑剤を用いた刊行物として、欧州特許公報第177096号には、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に0.1〜3重量%の量の鉱油又はシリコーンオイルを内部滑剤として使用して、耐衝撃性及び流動性を高めることが開示されている。カナダ国特許第992235号には、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に約5〜20重量%の石油ゼリー(すなわち、約2〜10重量%のオイルを含むマイクロクリスタリンワックス)を用いることによって、組成物の流れ特性を改良し、衝撃強さを高めることが開示されている。
【0006】
内部滑剤を用いた従来技術では、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物から成形した物品の表面損傷の問題は解決されていない。欧州特許公報EP877054Aの出願人は、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に約3〜10重量%のパラフィンワックスを外部滑剤として用いると耐表面損傷性の向上した組成物及び成形品となることを確認した。
【0007】
近年、明るく深い色の製品への需要が特に家庭電化製品部門で増大しており、消費者がきわめて広範な色パレットから選択できるようにすることが特に重要とみなされている。しかし、パラフィンワックスを含むスチレン重合体及び共重合体組成物からは、明るい強い色をもつ、特に高度に飽和した緑、青、赤又は黄色の色相の成形品を製造することができない。実際、パラフィンが存在すると抑えた着色となる。パラフィンワックスの高度不透明性は背景白色度を生み、これが色の強度を減衰し、結果として鈍い色の完成製品となる。そのため、耐摩耗性、耐摩擦性の成形品の製造から、ある範囲の色は排除されてしまう。
【0008】
したがって、本発明の要旨は、耐表面損傷性を高めながら、明るい強い色の光沢のある着色物品を得ることが可能な、スチレン重合体、共重合体又はこれらのブレンドを含む新規組成物並びにこれから得られる成形品に存する。
【0009】
【発明の概要】
本発明者らは、スチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物に、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて約2〜10重量%のワセリン油を外部滑剤として配合することによって、又はこれに組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて2%未満の内部滑剤をさらに配合することによって、他の特性を損なうことなく、耐表面損傷性が向上し、かつ明るい強い色の成形品を得ることができて、しかも色、特に高度に飽和した色を広い範囲で選ぶことのできる組成物が得られることを見いだした。
【0010】
さらに、本発明の組成物では、アイゾッド衝撃強さ、ビカー軟化温度(熱特性)、金型からの成形品の離型性が向上する。
【0011】
本発明の組成物にワセリン油を配合することで組成物の流動性も上昇するが、これは射出成形での物品製造に有利である。
【0012】
約150〜250℃の低温成形用の本発明の一実施形態では、ワセリン油が射出成形機又は押出ラインのバレルにクリーニング効果を発揮する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のスチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物は、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて、
(a)2%未満の内部滑剤、及び
(b)2〜10%の、好ましくは3〜7%の外部滑剤としてのワセリン油
を含むことを特徴とする。
【0014】
本発明の組成物から製造される物品は耐表面損傷性に優れる。
【0015】
成分A:スチレン重合体及び共重合体
本発明の組成物に有用なスチレン重合体及び共重合体としては、スチレン単独重合体、アルキルスチレン、例えばα−メチルスチレンの単独重合体、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)及びグラフト化スチレン重合体が挙げられる。
【0016】
本発明の一実施形態では、スチレン重合体及び共重合体には耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)が包含される。これらの耐衝撃性重合体は、通常、スチレンとおそらくは1種以上の追加の共重合可能なビニル単量体の混合物をゴム状重合体主鎖の存在下でグラフトすることによる重合によって製造する。同様の樹脂を、硬質マトリックス重合体をグラフト化ゴム主鎖と混合することによって製造することができる。硬質スチレン共重合体を製造するためのスチレンとの混合物に有用な、したがってグラフト化単量体として用いるのに有用な共単量体としては、エチルスチレン形態、ハロゲノスチレン、ビニルアルキルベンゼン(例えばビニルトルエン、ビニルキシレン及びブチルスチレン)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、メタクリル酸の低級アルキルエステル、及びこれらの混合物から選択される単量体がある。耐衝撃性スチレン樹脂において、ゴム状重合体主鎖は通常5〜80%をなす。耐衝撃性スチレン樹脂の別の例では、ゴム状重合体主鎖はグラフト重合体の全重量の約5〜50重量%をなし、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ゴム状スチレン−ジエン共重合体、アクリルゴム、ニトリルゴム及びオレフィン系ゴム(例えばPDM及びPR)から選択されるゴム状共重合体を含む。さらに、当業界で周知の他のスチレン重合体も本発明のブレンド組成物に有用である。
【0017】
本発明の別の実施形態では、グラフト化重合体及び共重合体を使用する。このようなものとしては、塊状重合及び乳化重合したアクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)重合体型の樹脂、メチルメタクリレート/ブタジエン/アクリロニトリル/スチレン(MABS)樹脂、スチレン/ブタジエングラフト化重合体型の樹脂(HIPS)及びメチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン(MBS)樹脂が挙げられる。スチレン重合体及び共重合体の例としては、スチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/無水マレイン酸(SAMA)ターポリマー型の樹脂、アクリロニトリル/スチレン/ブチルアクリレート(ASA)共重合体、スチレン/無水マレイン酸(SMA)共重合体型の樹脂、N−フェニル置換マレイミド又は他の置換マレイミドを含む同様の重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。そのほかに、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)共重合体及び合成ブチルゴム(SBR)を用いることもできる。さらに、スチレン単量体成分の一部を他のスチレン単量体、例えばα−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン又はビニルトルエンで置換した類似の共重合体樹脂も使用できる。また、上記スチレン重合体及び共重合体の混合物又はブレンドを使用することもできる。さらに、上記スチレン重合体及び共重合体と、ポリフェニレンエーテル、ポリ塩化ビニル型重合体、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリブチレンの単独又はブレンドとの混合物、或いは当業界でスチレン重合体と混合することの知られている他の重合体との混合物を使用してもよい。これらの追加の重合体は、当業界で周知であり、Modern Plastic Encyclopedia,1986−1987,McGraw−Hill,Inc.,New York,USAに記載されている。
【0018】
本発明に有用なスチレン重合体には、コア−シェル構造の重合体も包含される。スチレン重合体は通常、乳化重合、塊状重合、乳化−塊状重合又は塊状−懸濁重合法で製造される。
【0019】
本発明の一実施形態では、本発明の組成物に適当なスチレン重合体はABS樹脂である。別の実施形態では、本発明の組成物に適当なスチレン重合体は、樹脂の全重量に基づいて4〜70重量%のブタジエンを含むABS樹脂、及びABS樹脂とスチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体のブレンドである。ABS樹脂が粒状である第三の実施形態では、ABS樹脂は4〜40重量%のブタジエンを含む。さらに他の実施形態では、ABS樹脂は4〜30重量%のブタジエンを含む。
【0020】
本発明の別の実施形態では、本発明の組成物は、10〜80重量部のABS樹脂及び90〜20重量部のSAN共重合体を含むABS/SANブレンドを含む。別の実施形態では、樹脂は、10〜40重量部のABS樹脂と90〜60重量部のSAN共重合体とを含むABS/SANブレンドである。さらに他の実施形態では、ABS/ポリカーボネートブレンド及びABS/ポリブチレンテレフタレートブレンドを使用する。
【0021】
本発明で使用できるアクリル及びメタクリル重合体及び共重合体として、アクリル酸誘導体、例えばアクリル酸エステルとスチレン、塩化ビニルとの共重合体、メタクリル酸誘導体、酢酸エステル、ポリ(アルキルメタクリレート)、例えばポリ(メチルメタクリレート)及びポリ(アルキルアクリレート)が挙げられる。
【0022】
ビニル重合体及び共重合体としては、ポリ(塩化ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(ビニルベンゼン)、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びポリ(ビニルアルコール)が挙げられる。
【0023】
成分B:滑剤
本発明の表面(外部)滑剤は、a)鉱油又は植物油の油状溶剤、例えばオリーブ油、ピーナッツ油、パラフィン油、ワセリン油又はこれらの混合物、b)液体シリコーン、例えばジメチコーン又はシメチコーン、c)グリコール重合体、例えばポリエチレングリコール600、800又は1200及びd)グリコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール又はグリセロールからなる群から選択される透明な滑剤である。
【0024】
本発明の一実施形態では、外部滑剤はワセリン油である。ここでワセリン油とは、40℃での粘度が約10〜150mm2/sのワセリン油を95重量%以上含むものを意味する。
【0025】
本発明の一実施形態では、外部滑剤を約3〜10%の量で使用する。第二の実施形態では、その量は約3〜7重量%の範囲である。外部滑剤の含量が3重量%未満であると、耐表面損傷性の向上効果が得られず、10重量%を超えるとそれ以上の特性の向上は見られない。
【0026】
例えば、外部滑剤の例としてMERKURから登録商標MERKUR PHARMA240Bにて市販されているワセリン油がある。
【0027】
内部滑剤は、本発明の組成物において、組成物中に存在する重合体及び共重合体の全重量に基づいて約4重量%未満の量で使用できる。スチレン重合体及び共重合体を含む組成物における内部滑剤は周知の助剤であり、例えばステアリン酸金属塩やエチレンビスステアルアミドワックスなどを挙げることができる。
【0028】
本発明の一実施形態では、内部滑剤は2重量%未満である。第三の実施形態では、内部滑剤は0.1重量%未満である。さらに他の実施形態では、組成物は内部滑剤を全く含まない。
【0029】
任意成分
本発明の組成物は、スチレン重合体を含む組成物に通常用いられる助剤、例えば顔料、染料、UV安定剤、酸化防止剤、難燃剤、帯電防止剤及び増量及び/又は補強用充填剤を含んでいてもよい。
【0030】
本発明の組成物に使用できる無機充填剤としては、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、ヒドロキシ炭酸アルミニウムマグネシウム及びヒドロキシ炭酸アルミニウムカルシウムを挙げることができる。
【0031】
本発明の組成物に使用できる難燃剤は、ポリオレフィン系又はスチレン重合体系組成物に難燃性を付与する周知の難燃剤のいずれか又はその混合物である。難燃剤としては、難燃性有機化合物、例えばテトラブロモビスフェノール、ビストリブロモフェノキシエタン、ポリブロモジフェニルエーテル、ポリブロモフェノール、ポリブロモフェニルアルキルエーテル、ポリブロモベンジルアクリレート又はポリアクリレート、ポリブロモシクロドデカン、ポリブロモスチレン、ポリブロモフェニルマレイミド、臭素化エポキシ単量体又はエポキシ重合体、ジフェノール又はハロ置換ジフェノールから誘導されたコポリカーボネートを挙げることができる。なお、上記ハロゲンは塩素又は臭素が好ましい。
【0032】
ホスフェート化合物、特に有機ホスフェートも難燃剤として使用できる。一実施形態では、ハロゲン化有機難燃剤を、酸化アンチモンなどのアンチモン化合物のような相乗化合物と併用する。
【0033】
本発明の組成物は染料及び顔料、例えば酸化チタン、群青又はカーボンブラックを含んでいてもよい。
【0034】
組成物の調製
本発明の組成物の製造は、スチレン重合体及び共重合体、例えば耐衝撃性ポリスチレン及びアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS樹脂)を含む組成物のブレンド及び押出に関する公知の各種操作のいずれで行ってもよく、例えば諸成分を2本ロールミル、バンバリーミキサ、単軸押出機又は二軸押出機で混合又はブレンドすればよい。
【0035】
本発明の組成物は、耐表面損傷性に優れた有用な物品へと成形できる。これらの物品は、異形押出、シート押出、押出吹込成形、熱成形、射出成形などの種々の公知の方法で成形できる。
【0036】
【実施例】
以下の実施例で本発明を具体的に説明するが、これらの実施例はいかなる意味でも本発明を限定するものではない。実施例において、特記しない限り、%及び部は重量基準である。実施例の諸成分を混合することにより下記表1の組成物を製造し、試験片を形成して下記表1に示す種々の物理的及び機械的特性を調べた。
【0037】
【表1】
【0038】
これらの結果から、本発明の組成物で得られる機械的特性は、従来の衝撃強さの良好な組成物の特性とほぼ同等であることが分かる。試験は以下の通り行った。
【0039】
(a)DIN EN60068摩耗試験
表1の組成物A、B、1及び2から寸法90mm×70mm×4mmの平板を240℃で成形した。
【0040】
これらの平板を、600回転で回転している80cmの木製シリンダーと接触させて、摩耗させた。摩耗状態を目視して耐摩耗性を評価した。
【0041】
0:耐摩耗性ほどほど
+:耐摩耗性良好
++:耐摩耗性極めて良好
実施例1及び2では、ワセリン油を含まない比較例Aに比べて耐摩耗性が向上しており、また、従来のパラフィンワックスを含む比較例Bと同等の耐摩耗性が認められた。
【0042】
(b)擦傷試験
表1の組成物A、B、1及び2から寸法90mm×70mm×4mmの平板を240℃で成形した。
【0043】
各組成物の平板を、同じ組成物の別の平板の角で異なる位置で3、4度こすった。こすられた平板に残った痕跡を観察し、痕跡の幅を測った。
【0044】
痕跡の幅が狭いほど、組成物のこすりによる耐擦傷性が良好である。結果から、内部滑剤を含む従来の組成物と比較して、本発明の組成物の耐擦傷性が優れていることが分かる。
【0045】
(c)色測定
上記の通りに作成した平板の色を標準GN1304の色と比較した。
【0046】
実施例1及び2について得られた色合いは比較例Bとは大きく異なることが分かる。組成物1及び2で作成した物品の色は、パラフィンワックスを含む比較例Bの著しく鈍い色に対して、明るさと艶が向上している。
【0047】
着色適性測定
青及び緑色相への着色適性の向上を測定した。青色相については、組成物A、B及び2それぞれにSandoplast Blue2Bの0.5pを加えた。緑色相については、組成物A、B及び2それぞれにMacrolex Green5Bの0.5pを加えた。
【0048】
色をCIELAB Lab測色系にて表示した。青及び緑色相では、bの絶対値ができるだけ小さくなければならない。これは、比較例B(パラフィン)に対する比較例A(典型的なABS性能)がそうであった。実施例2のb値は比較例Aの値に近く、概ね比肩しうる着色適性を示しているが、比較例Bとは異なっている。
【0049】
なお、典型的なABS組成物から作成した物品は着色適性に極めて優れている。
Claims (15)
- スチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物であって、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて、
(a)任意成分として2%未満の内部滑剤、及び
(b)約2〜10重量%の、i)鉱油又は植物油の油状溶剤、ii)液体シリコーン、iii)グリコール重合体及びd)グリコールからなる群から選択される少なくとも1種の透明な外部滑剤
を含むことを特徴とする組成物。 - 前記油状溶剤がワセリン油である、請求項1記載の組成物。
- 前記透明な外部滑剤が約3〜7重量%の量で存在する、請求項2記載の組成物。
- 前記内部滑剤が約0.10重量%未満である、請求項1記載の組成物。
- 前記スチレン重合体及び共重合体が、スチレン単独重合体及び共重合体、アルキルスチレン、耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)及びグラフト化スチレン重合体及び共重合体から選択される、請求項1記載の組成物。
- 前記スチレン重合体及び共重合体が、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン(ABS)樹脂、メチルメタクリレート/ブタジエン/アクリロニトリル/スチレン(MABS)樹脂、グラフト化スチレン/ブタジエン樹脂(HIPS)、メチルメタクリレート/ブタジエン/スチレン(MBS)樹脂、スチレン/アクリロニトリル(SAN)共重合体、アクリロニトリル/スチレン/ブチルアクリレート(ASA)共重合体、スチレン/メタクリル酸エステル重合体、スチレン/アクリロニトリル/無水マレイン酸(SAMA)樹脂、スチレン/無水マレイン酸樹脂、スチレン/ブタジエン/スチレン(SBS)共重合体、ブチルゴム(SBR)及びこれらの混合物から選択される、請求項1記載の組成物。
- 前記スチレン重合体及び共重合体が、ABS樹脂、ABS樹脂とSAN共重合体のブレンド、ABS樹脂とポリカーボネートのブレンド、及びABS樹脂とポリブチレンテレフタレートのブレンドから選択される、請求項6記載の組成物。
- さらに、充填剤、顔料、染料、UV安定剤、酸化防止剤、難燃剤及び帯電防止剤から選択される1種以上の助剤を含む、請求項7記載の組成物。
- スチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含む組成物から作成された物品の色、光沢及び耐表面損傷性の強度を改良するため、組成物中の重合体及び/又は共重合体の全重量に基づいて、約2〜10重量%の、i)鉱油又は植物油の油状溶剤、ii)液体シリコーン、iii)グリコール重合体及びd)グリコールからなる群から選択される少なくとも1種の透明な外部滑剤及び任意成分として約2重量%未満の内部滑剤を使用する方法。
- 組成物中の内部滑剤の量が0.1重量%未満であることを特徴とする請求項9記載の使用。
- 外部滑剤の量が約3〜7重量%であることを特徴とする請求項9記載の使用。
- 前記外部滑剤がワセリン油であることを特徴とする請求項9記載の使用。
- 請求項1記載の組成物から成形された物品。
- (a)スチレン重合体、スチレン共重合体又はこれらのブレンドを含むスチレン系重合体成分を調製する工程と、
(c)スチレン系重合体成分を含む混合物を、スチレン系重合体成分の全重量に基づいて、約2〜10重量%の、i)鉱油又は植物油の油状溶剤、ii)液体シリコーン、iii)グリコール重合体及びd)グリコールからなる群から選択される少なくとも1種の透明な外部滑剤及び任意成分として2%未満の内部滑剤とブレンドする工程
を含む新規熱可塑性組成物の製造方法。 - 前記油状溶剤がワセリン油である、請求項14記載の方法。
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