JP2004360006A - 金メッキ液および金メッキ方法 - Google Patents

金メッキ液および金メッキ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シアン系金メッキ液に匹敵する性能を持ちながら、低毒性で、安定であり、且つ金結晶粒径が極めて微細で粒界が緻密な金メッキ膜を形成することができる金メッキ液を提供する。
【解決手段】ヨウ化物イオン、ヨウ化金錯イオン、非水溶媒及び水溶性ポリマーを含有する金メッキ液。この金メッキ液を用いた金メッキ方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金メッキ液および金メッキ方法に関し、特に非シアン系の電解金メッキ液と、この金メッキ液を用いた電解金メッキ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
金メッキ液としては、古くから、シアン系のメッキ液が知られている。シアン系の金メッキ液を用いると、緻密で表面平滑な優れた特性をもつ金メッキ膜を析出させることができる。しかも、シアン系金メッキ液は安定で、管理が容易なため、広く用いられている。しかしながら、シアンは毒性が強く、作業環境、廃液処理などに多くの問題点があった。
【0003】
そこで、非シアン系の低毒性金メッキ液が種々提案されている。例えば、亜硫酸金を溶解した金メッキ液が広く用いられている(特許文献1参照)。しかしこの金メッキ液は、その溶液中の亜硫酸イオンが溶存酸素や大気中の酸素によって酸化されやすいので、金メッキ液としての寿命が低下しやすい。このため、保管時やメッキ作業中においても窒素シール等による酸化防止手段を講ずる必要があり、取り扱いにくいという問題があった。
【0004】
また、チオスルファト金錯体、亜硫酸塩、ホウ酸およびエチレングリコールを溶解した金メッキ液も提案されている(特許文献2参照)。しかしこの金メッキ液においても、メッキ液中の亜硫酸イオンが酸化されやすいため、上記の亜硫酸金を用いた金メッキ液と同様の問題があった。
【0005】
更に、アセチルシステイン金錯体などの種々の金錯体からなる群から選ばれた金化合物および錯化剤であるアセチルシステインを溶解した金メッキ液や、アルカンスルホン酸またはアルカノールスルホン酸の1種以上、金イオン、非イオン系界面活性剤を含有する金メッキ液等が提案されている(特許文献3、4参照)。しかし、いずれも亜硫酸金を含む金メッキ液と同じく一価の金イオンを含有しているので、3Au→2Au+Au3+の反応による金の析出が起こり易く、金メッキ液の不安定性の問題がある。
【0006】
そこで、三価金イオンであるエチレンジアミン金錯体を溶解した金メッキ液が提案されている(特許文献5〜8参照)。しかし、エチレンジアミンは経皮および吸入暴露による死亡事故例があるなど(化学物質毒性ハンドブック第II巻、II−84、(1999)丸善)、有害性の問題がある。
【0007】
また、ヨウ素(I)およびヨウ化物イオン(I)を含有する溶液に金を溶解させた金溶液を用いて電解金メッキを行う際、有機溶媒の存在下で金メッキを行うことで、黒色の金メッキ膜が得られた例(平成14年度全国理科教育大会 第24巻 p66−67)が報告されている。しかし、この場合には、形成される金メッキ膜の金の結晶粒子が粗く、このため金メッキ膜は黒色を呈し、光沢のある美麗な金メッキ膜は得られていない。
【0008】
以上のように、従来の技術では、
1)毒性物質による作業環境及び廃液処理の問題
2)酸化し易い等の低い化学的安定性
3)金メッキ膜の金結晶粒子の肥大化
などの問題があった。特に、金メッキ膜の金結晶粒子が粗いと、金メッキ膜の光沢度や平滑性が低くなり、装飾・電子部品用途等への適用が困難となる。このため、安全かつ化学的に安定で取り扱い性に優れ、同時に金結晶粒子が微細で緻密で平滑な金メッキ膜を形成することができる金メッキ液が求められている。
【0009】
【特許文献1】
特開平11−61480号公報
【特許文献2】
特開昭51−47539号公報
【特許文献3】
特開平10−317183号公報
【特許文献4】
特開平8−41676号公報
【特許文献5】
特開平11−293487号公報
【特許文献6】
特開2000−204496号公報
【特許文献7】
特開2000−355792号公報
【特許文献8】
特開2001−110832号公報
【非特許文献1】
化学物質毒性ハンドブック第II巻、II−84、(1999)丸善
【非特許文献2】
平成14年度全国理科教育大会 第24巻 p66−67
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記従来の問題点を解決し、作業環境や廃液処理に問題を有する毒性の強いシアン等を含まず、化学的安定性に優れ、酸化防止対策等が不要で大気中でも安定かつ容易に取り扱うことができ、特に形成される金メッキ膜の金結晶粒子が微細かつ緻密で表面平滑性に優れ、高い表面平滑性や光沢性が求められる装飾品や、コネクタ端子、プリント配線基板などの電子部品への金メッキに好適な金メッキ液と、この金メッキ液を用いる金メッキ方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の金メッキ液は、ヨウ化物イオン、ヨウ化金錯イオン、非水溶媒、および水溶性ポリマーを含有することを特徴とする。
【0012】
即ち、本発明者らは、上記課題について鋭意検討を行ったところ、金をヨウ化金錯イオンとして溶解する溶液として知られている、ヨウ素(I)およびヨウ化物イオン(I)を含有する金溶液にて電解金メッキ(以下、単に「金メッキ」ということがある)を行う際、この金溶液に溶解可能な水溶性ポリマーを非水溶媒と共に添加しておくと、形成される金メッキ膜の金結晶粒子が極めて微細となり、また結晶粒界が緻密な金メッキ膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
金メッキ液に非水溶媒および水溶性ポリマーを含有させることにより、結晶粒子が微細な金メッキ膜を形成することができる理由の詳細は明らかではないが、非水溶媒の存在により、陰極における水の電解によるガス発生が抑制され、また水溶性ポリマーの添加により、金−ヨウ素元素−水溶性ポリマーの相互作用で、金イオン還元時の結晶配向制御による金結晶粒子の微細化が図られると共に、還元析出効率が良好になったためと考えられる。
【0014】
なお、金結晶の粒子サイズは走査型電子顕微鏡による上面観察により、単位面積当たりの金結晶粒子数をカウントして、これより金メッキ膜の金結晶粒子サイズを算出して求めることができる。
【0015】
一般に、金メッキ膜に求められる金結晶の粒子サイズは、その用途により異なるが、高い表面平滑性と光沢性が求められる分野においては、2μm以下であることが好ましく、より好ましくは1μm以下であり、0.5μm以下であることが最も好ましい。本発明によれば、このような要求にも十分に対応し得る微細な金結晶粒子を析出させることができる。
【0016】
本発明の金メッキ液は、金が次式に従って、ヨウ素およびヨウ化物イオンを含有する溶液に室温で容易に溶解することからもわかるように、非常に安定であるので、溶存酸素や大気中の酸素に接触しても、金メッキ液中のヨウ化金錯イオンは安定に存在することができる。
2Au+I+2I→2[AuI
【0017】
また、本発明の金メッキ液のヨウ化金錯体イオンは液中において次式の平衡が存在し、前出の不均化反応(3Au→2Au+Au3+)等による金の析出が起こり難く、安定性に優れる。
[AuI+I ⇔[AuI+I
【0018】
本発明の金メッキ液は、実質的にシアンを含有していないので、安全性に優れ、且つ廃液処理も容易であり、環境への負荷が低い、優れた金メッキ液である。ここで「実質的にシアンを含まない」とは、シアンを金メッキの目的のために積極的に含有させないことを意味し、全く含有しないことが好ましい。例えば、本発明の金メッキ液を調製する際に、不純物としてシアンが混入した場合にも、当然、シアンの含有量は低い方が好ましく、具体的には1重量%以下、中でも0.1重量%以下、特に0.01重量%以下とすることが好ましい。
【0019】
本発明の金メッキ方法は、このような本発明の金メッキ液を用いるものであり、金結晶粒子が微細で粒界が緻密な良好な金メッキ膜を形成することができる。
【0020】
本発明の金メッキ方法において、陽極材料に金又は金合金を用いて電解メッキを行うと、陽極の金がメッキ液中に溶解し、メッキによって減少した金メッキ液中の金とバランスした量の金を金メッキ液に供給することができるので、安定したメッキを長期間行うことができる。
【0021】
また、本発明の金メッキ方法によれば、目的や用途に応じた金合金のメッキも容易に行うことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の金メッキ液及び金メッキ方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0023】
本発明の金メッキ液は、ヨウ化物イオン(I)と、ヨウ化金錯イオンおよび非水溶媒に加えて、水溶性ポリマーを含有するものである。
【0024】
本発明の金メッキ液におけるヨウ化物イオンは、ヨウ化物塩等を用いて調製されることが好ましい。用いるヨウ化物塩のカチオンとしては、金を安定して溶解させ、金メッキに悪影響与えないものであれば良く、特に制限はない。このようなカチオンとしては、具体的には、アルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、1,2,3または4級アルキルアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオンなどが挙げられ、好ましくは、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオンであり、特に好ましくは、カリウムイオンである。これらのカチオンは単独で使用しても、2種類以上のカチオンを組み合わせて用いても良い。
【0025】
本発明の金メッキ液におけるヨウ化金錯イオンは、次式(1)または(2)に従って調製することができる。即ち、ヨウ化物イオンおよび非水溶媒を含有する溶液、またはこれに酸化剤を加えた溶液に金を電解溶解させて調製する方法や、ヨウ化物イオン、非水溶媒及び酸化剤を含む溶液に金を溶解させて調製する方法が挙げられる。
Au+2I→[AuI+e− …(1)
2Au+I+2I→2[AuI …(2)
【0026】
ここで、酸化剤としてはヨウ素(I)を直接用いても良いし、またメッキ液中のヨウ化物イオン(I)を酸化してIとする酸化剤を用いても良い。このような酸化剤としては、金メッキ液中のヨウ化物イオン(I)を酸化してIとするものであれば任意のものを使用することができる。例えば、ヨウ素酸(HIO)、過ヨウ素酸(HIO)やこれらの塩等が挙げられる。中でも、溶液への溶解性及び液中の安定性等を考慮して、本発明の金メッキ液を調製する際は、酸化剤としてヨウ素(I)を用いることが好ましい。
【0027】
本発明の金メッキ液におけるヨウ素元素の含有量は、金メッキ液に含有させるべきヨウ化金錯イオンの量によって適宜選択すれば良い。即ち、本発明の金メッキ液を調製するに際し、金の所望溶解量に必要とされる、I等の酸化剤量を必要に応じて選択すれば良い。
【0028】
従って、本発明の金メッキ液におけるヨウ素元素の含有量は、特に制限はないが、金メッキ液全体に対して、通常0.1重量%以上、好ましくは0.5重量%以上、更に好ましくは1重量%以上、特に好ましくは5重量%以上である。またこの含有量の上限は通常75重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは30重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。
【0029】
なお、本発明の金メッキ液中におけるヨウ素元素含有量とは、金メッキ液中のヨウ化物イオンやヨウ化金錯イオン、更には金を溶解させるためにIを用いた際にはその残存量等の合計量を、ヨウ素元素に換算した値を示す。この値は、本発明のメッキ液を調製する際に用いる仕込み原料の量から計算して求められる。
【0030】
また、本発明の金メッキ液がヨウ素(I)とヨウ化物イオン(I)の両方を含有する際には、ヨウ素(I)とヨウ化物イオン(I)の重量比(ヨウ素(I):ヨウ化物イオン(I))は、金を安定に溶解させることができ、本発明の所期の効果を損なわない限り、特に制限はない。
【0031】
但し、本発明の金メッキ液におけるヨウ素(I)含有量が多すぎると、例えば金メッキをするに当たり、金(または金合金)膜が積層されたものを陰極として用いる際、金メッキ液中のヨウ素(I)による電極の溶解が著しく、所望のメッキが行えない場合がある。よって、本発明の金メッキ液におけるヨウ素(I)含有量は金メッキ液としての性能を損なわない限りにおいて低い方が好ましく、金源として金、ヨウ素源としてヨウ素およびヨウ化物イオンを用いる場合は、通常、仕込み時の重量比として、ヨウ素(I):ヨウ化物イオン(I)は、1:2〜1:1000、好ましくは1:3〜1:100、更に好ましくは1:5〜1:30である。
【0032】
本発明の金メッキ液は、更に非水溶媒を含有する。本発明の金メッキ液は、非水溶媒と水を含有していても良い。非水溶媒の種類は、良好にメッキができ、溶質に対する十分な溶解度を持つものであれば特に制限はないが、アルコール性水酸基および/またはフェノール性水酸基を有する化合物、若しくは非プロトン性有機溶媒が好ましい。
【0033】
アルコール性水酸基を有する化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等の1価アルコール;エチレングリコール、プロピレングリコール等の2価アルコール;グリセリン等の3価以上の多価アルコールを用いることができる。
【0034】
中でも2つ以上のアルコール性水酸基を有するもの、例えば2価アルコールや3価アルコールが好ましく、中でもエチレングリコール、プロピレングリコールやグリセリンが好ましく、特にエチレングリコールが好ましい。
【0035】
フェノール性水酸基を有する化合物としては、例えば、1つの水酸基を有するものとして無置換フェノールや、o−、m−又はp−クレゾール類、キシレノール類等のアルキルフェノール類が、また、2つの水酸基を有するものとしてレゾルシノール類が、また3つの水酸基を有するものとしてピロガロール類等を用いることができる。
【0036】
非水溶媒としては、分子内にアルコール性水酸基やフェノール性水酸基以外の官能基を有する化合物も、本発明の所期の効果を阻害しない限り用いることができる。例えば、メチルセロソルブやセロソルブ等のようにアルコール性水酸基とともにアルコキシ基を有する化合物も用いることができる。
【0037】
非プロトン性有機溶媒は、極性溶媒であっても非極性溶媒であっても良い。
【0038】
極性溶媒としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン系溶媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネートなどのカーボネート系溶媒;N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノンなどのアミド系溶媒;3−メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリルなどのニトリル系溶媒;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェートなどのリン酸エステル系溶媒を例示することができる。
【0039】
非極性溶媒としては、ヘキサン、トルエン、シリコンオイルなどを例示することができる。
【0040】
これらの非水溶媒は、1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0041】
本発明の金メッキ液において、特に好ましい非水溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、またはγ−ブチロラクトンの単独、あるいは上述したいずれかの非水溶媒との混合物である。
【0042】
本発明の金メッキ液における非水溶媒の含有量は、金メッキ液全体に対して、通常10重量%以上、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは50重量%以上、特に好ましくは55重量%以上であり、通常95重量%以下、好ましくは90重量%以下、更に好ましくは85重量%以下、特に好ましくは80重量%以下である。
【0043】
金メッキ液が水を含む場合、その含有量は、金メッキ液全体に対して、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは7重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、通常85重量%以下、好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下、特に好ましくは30重量%以下である。
【0044】
非水溶媒に対する水の割合は、通常1重量%以上、好ましくは5重量%以上、更に好ましくは7重量%以上、特に好ましくは10重量%以上であり、通常90重量%以下、好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下、特に好ましくは40重量%以下である。
【0045】
本発明の金メッキ液は、更に水溶性ポリマーを含有することを特徴とする。なお、本発明において、「ポリマー」とは「オリゴマー」を包含する「広義のポリマー」である。
【0046】
水溶性ポリマーの種類に関しては、良好にメッキができ、媒質に対して十分な溶解度を持つものであれば特に制限はないが、金メッキ液への溶解性及び保存安定性等を勘案して、繰り返し単位構造の主鎖または側鎖中に、以下の置換基ないし連結基(D1)〜(D3)から選ばれる1つ以上の基を有することが好ましい。
(D1):−COH、−SOH、および−POよりなる群から選ばれる1種または2種以上の酸性置換基
(D2):−CONR−、−CH−NR−CH−、−NR、および
−NR よりなる群から選ばれる1種または2種以上の塩基性置換基ないし連結基(但し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メチレン基、ハロゲン原子の何れかを表す。1つの置換基中にRが2つ以上存在する場合には、Rは同じであっても、異なっていても良い)
(D3):非電解質置換基の−OH
【0047】
上記置換基ないし連結基(D1)〜(D3)を有する水溶性ポリマーとしては、合成有機物としてポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、水溶性アルキッド、ポリビニルエーテル、ポリマレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン等が挙げられる。また、半合成物としては可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、ブリティッシュゴム、ジアルデヒドデンプン、デキストリン、シクロデキストリン、カチオンデンプン、ビスコース、メチルセルロース、エチルセルロール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロール等が挙げられる。また、有機天然物としては、スターチ、デンプン、ふのり、寒天、アルギン酸塩、アラビアゴム、トラガントゴム、トロロアロイー、コンニャク、にかわ、ガゼイン、ゼラチン、卵白、血漿タンパク、プルラン、デキストラン等が挙げられる。
【0048】
これらの水溶性ポリマーは1種を単独で使用しても、2種以上を組み合わせて使用しても良い。
【0049】
これら水溶性ポリマーの中で、より好ましくは水溶性官能基としてアルコール性水酸基および/または−CONR−(Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メチレン基、ハロゲン原子の何れかを表す。)を有するものであり、具体的にはポリビニルアルコール、デンプン、可溶性デンプン、カルボキシルデンプン、デキストリン、シクロデキストリン、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドンが挙げられ、特に好ましくは、ポリビニルピロリドンの単独、あるいは上述したいずれかの水溶性ポリマーとの混合物である。
【0050】
水溶性ポリマーの分子量としては、良好にメッキができ、媒質に対して十分な溶解度を持つものであれば特に制限はないが、重量平均分子量として好ましくは500〜3000000、より好ましくは1000〜2000000、最も好ましくは5000〜1500000である。
【0051】
また、水溶性ポリマーの金メッキ液中の含有量としては、金メッキ液に対して溶解する濃度であれば特に制限はないが、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.0005重量%以上、最も好ましくは0.001重量%以上であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下、最も好ましくは0.5重量%以下である。
【0052】
本発明の金メッキ液の金源としては、金合金、または単体の金などが挙げられるが、メッキ液への不純物混入防止の点から単体の金またはヨウ化金などが好ましく用いられる。この中で、入手のしやすさから単体の金が望ましい。単体の金は、金メッキ液製造方法に応じて、塊、箔、板、粒、粉等、いずれの形態でも差し支えない。
【0053】
また、本発明においては、金以外の1種以上の金属を本発明の金メッキ液に溶解させることにより、合金メッキを行っても良い。金以外の金属としては、金合金としてよく知られている銅、銀、スズなどが挙げられるが(古藤田、表面技術、47(2)、142(1996))、本発明の金メッキ液に溶解しうる限り、それ以外の金属を用いることもできる。このとき、本発明の所期の効果を妨げない限り、金以外の金属を溶解させるためにヨウ化物イオン以外の陰イオンを加えることもできる。
【0054】
金合金メッキ液とする場合、メッキ液組成に及ぼす影響から、金源として単体の金を用いることが好ましいのと同様の理由で、メッキ膜を得ようとする合金と同様の組成の単体の金属が好ましく用いられる。この場合は、溶解速度を考慮して、合金組成をメッキ膜組成と若干ずれた組成を用いることもある。
【0055】
本発明の金メッキ液は、更に、メッキ膜の特性を向上させることが可能な水溶性ポリマー以外の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、本発明の所期の効果を妨げない限り、公知のシアン系あるいは亜硫酸系のメッキ液で用いられていた添加剤およびそれ以外の物質の中から選択する1種以上の物質が挙げられる。この添加剤の添加量には特段の制限はなく、その効果とコストを勘案して適切な量とすれば良い。
【0056】
これらの添加剤のうち、レベリング剤、光沢剤、結晶調整剤等を添加することにより、陰極における金イオンの還元析出時の結晶成長及び配向性を制御し、メッキ膜粒界の結晶微細化やメッキ膜表面の平滑化、メッキ膜の光沢性を向上させることができ、好ましい。
【0057】
更に、メッキ浴安定性向上のために錯化剤や、溶解極として陽極に金または金合金を用いた際の電解溶解促進のために溶解促進剤を添加することもできる。更に、被メッキ物を液に濡れやすくするために、各種の界面活性剤を添加することも可能である。
【0058】
その他、メッキ浴の安定性および還元析出効率向上を目的としたpH調整のための緩衝剤や、伝導性向上のための各種無機・有機の伝導塩、金イオンの還元析出速度の調整剤としての各種還元剤を添加することもできる。これらの添加剤についても、その添加量には特段の制限はなく、その効果とコストを勘案して適切な量を添加すれば良い。
【0059】
上記添加剤のうち、レベリング剤、光沢剤、結晶調整剤としては各種無機・有機添加剤が用いられるが、無機添加剤としては遷移金属元素または周期律表3B〜6B族の元素を含むことが好ましく、より好ましくは4〜6周期の元素を含むことである。これら元素のうち、砒素、タリウム、セレン、鉛、カドミウム、テルル、ビスマス、アンチモン、タングステン、セリウム等の元素を含む無機添加剤が最も好ましく用いられる。
【0060】
また、有機添加剤としては酸素、窒素、硫黄の各原子の何れか1種以上を含む有機化合物が好ましい。これら有機化合物のうち、官能基としてエチレンオキサイド、エステル、ケトン、エーテル、アルコールやエチレンアミン、エチレンイミン、チオール、ジスルフィド等を有するものがより好ましい。特に、ポリエチレンオキサイドや、ポリアミン、ポリエチレンイミン構造を有する化合物、及びチオール、ジスルフィド、アミン等の官能基を有する化合物が好ましい。これらの化合物としてはポリエチレングリコールやポリエチレンイミン、及びエタンチオール、2−ヒドロキシエタンチオール、プロパンチオール、チオグリセロール等のアルキルチオール類が、更にジメチルスルフィドや4,4’−ジチオブチリック酸、ビス−3−スルホプロピルジスルフィド−2−ナトリウム塩等のジスルフィド類等を挙げることができる。これらの化合物は本目的の機能を阻害しない限りにおいて、その他の官能基を有していても良い。また、上記添加剤のうち、無機添加剤と有機添加剤の中から任意の1種を単独で使用しても、また2種以上を組み合わせて使用しても良い。更に、これらレベリング剤、光沢剤、結晶調整剤の助剤として、ハロゲンイオン類を添加しても良い。
【0061】
また、メッキ浴安定性向上のために用いられる錯化剤としては、金属キレートを形成する主要配位基を有していることが好ましく、各種アミン類、オキシム類、イミン類、チオエーテル類、ケトン類、チオケトン類、アルコキシ類、チオラト類、カルボン酸類、ホスホン酸類、スルホン酸類等が挙げられる。これら錯化剤は単独で用いても良いし、異種の2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。このうち、カルボン酸類、ケトン類及びアミン類、イミン類等の配位基を有していることがより好ましい。これら配位基を有する化合物として例えば酒石酸、クエン酸、アセチルアセトン、エチレンジアミン、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン等を好ましく用いることができる。
【0062】
更に、金または金合金を陽極に用いた際の溶解促進剤としては、陽極の電解溶解を促進するに適する化合物であれば特に制限はないが、酸化作用を有する化合物であることが好ましい。この酸化剤としてはハロゲン、ハロゲン酸類、過ハロゲン酸類であることがより好ましく、ヨウ素、ヨウ素酸、過ヨウ素酸またはこれらの塩類が好ましく用いられる。
【0063】
また、被メッキ物の濡れ性や、被メッキ物の狭間隔における浸透性向上を目的とする界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、両性、ノニオン系の界面活性剤が挙げられるが、中でもアニオン系、両性、ノニオン系の界面活性剤が好ましく、特にアニオン系、ノニオン系の界面活性剤が好ましい。これらの界面活性剤は単独で用いても良いし、異種の2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。アニオン系界面活性剤としては、カルボン酸型、スルホン酸型、硫酸エステル型、リン酸エステル型など、両性界面活性剤としてはアミノ酸型、ベタイン型など、ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコール型、多価アルコール型、アセチレンアルコール型、アルカノールアミド型などが挙げられる。
【0064】
アニオン系界面活性剤の中ではスルホン酸型(−SO−基を有する)、硫酸エステル型(−OSO−基を有する)、及びカルボン酸型(−CO−基を有する)、即ち、−SO−基、−OSO−基またはCO−基を少なくとも1つ有する化合物が好ましく、これらは単独で使用しても、2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。具体的にはアルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステル系、アルキルエーテル硫酸エステル系、アルキルカルボン酸及びこれらの塩類が好ましく用いられる。
【0065】
ノニオン系界面活性剤の中では、ポリエチレングリコール型としてポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなど、またポリアルキレングリコール型としてポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテルなど、多価アルコール型として、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルなど、アセチレンアルコール型としてアルキン−オール類、アルキン−ジオール類、アルカノールアミド型として、アルキルカルボン酸モノエタノールアミド、アルキルカルボン酸ジエタノールアミド等が挙げられる。これらの界面活性剤のうち、メッキ液への溶解性、化学的安定性が優れる点で、好ましくは、アルキン−(ジ)オール、アルキルカルボン酸ジエタノールアミドなどが用いられる。
【0066】
その他、メッキ浴の緩衝剤や伝導塩としては、イオン性解離を示すものであれば特に制限はないが、硼酸、カルボン酸、炭酸、亜硫酸、硫酸、次亜燐酸、燐酸、二燐酸やハロゲン酸類、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア水、各種アミン類、ジアミン類、四級アンモニウム類等や、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が好ましく用いられる。これらの緩衝剤や伝導塩は単独で用いても良いし、異種の2種以上を適宜組み合わせて用いても良い。これら緩衝剤や伝導塩のうち、カルボン酸塩、硫酸塩、燐酸塩、二燐酸塩がより好ましい。このうち、安定性及びメッキ浴への溶解性の点から酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、コハク酸や、ヨウ化水素、硫酸、燐酸及び二燐酸のカリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が好ましく用いられる。
【0067】
また、金イオンの析出速度調整剤としては、本発明の所期の効果を妨げない限り特に制限はないが、還元能を有する化合物が好ましく用いられる。このうち、次亜燐酸塩や水素化硼素塩、ジアルキルアミノボラン、ヒドラジン、アルキルジアミン、アルデヒド類、ウレア類、チオール類等をより好ましく用いることができる。これら析出速度調整剤の中で、メッキ浴のpHに依存しない酸化還元電位を示すチオウレアが特に好ましく用いられる。
【0068】
本発明の金メッキ液の製造方法は、特に制限されないが、金源、ヨウ素源、非水溶媒、水溶性ポリマーおよび必要に応じて他の添加剤を混合することにより得ることができる。好ましくは、ヨウ素、ヨウ化物イオン、非水溶媒、必要に応じて用いられる水や他の添加剤を含む溶液に、室温で金または金合金を溶解した後に水溶性ポリマーを添加する方法が用いられる。
【0069】
本発明の金メッキ方法は本発明の金メッキ液を用いて、公知の電解メッキ方法で行うことができる。通常は、定電流メッキが行われるが、定電圧メッキでも、PR法などのパルスメッキ法でも良い。定電流メッキの場合の電流密度は、通常1〜1000mA/cm、好ましくは2〜300mA/cm、更に好ましくは3〜50mA/cm、特に好ましくは4〜20mA/cmである。
【0070】
本発明の金メッキ液は、ヨウ素とヨウ化物イオンとの両方を含有しているため、金の溶解能力が高い。
【0071】
本発明の金メッキ液を用いた電解メッキ方法では、金が析出しメッキされる側の電極(陰極)とは反対の電極(陽極)の材料に、メッキ膜を形成する金もしくは金合金を用いてメッキを行うと、陰極でメッキを行いながら、陽極から金あるいは金合金成分を補給することができ、常に金メッキ液中の金濃度および合金成分濃度を一定にした安定運転が可能となる。このように、陽極として金もしくは金合金を用いることにより、長時間のメッキが可能であり、メッキ液の寿命の延長を図ることができる。陽極として金もしくは金合金を用いる場合は、金メッキ液の分解等を考慮して、組成および形状を適宜調整することが好ましい。
【0072】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明の具体的態様を説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下において、金は石福金属興業(株)製の純度99.99%の純金を、ヨウ素は合同資源産業(株)製の純度99.7%品を、それ以外の試薬については和光純薬工業(株)製の試薬特級を用いて評価を実施した。
【0073】
(実施例1)
金0.6g、ヨウ素0.6g、ヨウ化カリウム5.1g、エチレングリコール18g、水5.7gを混合溶解した液30gに、更にエチレングリコール22.8g、水7.2g、酒石酸0.48g、二燐酸カリウム3.6gを各々加え撹拌溶解させた。この溶液にポリビニルピロリドンK85−95(ACROS社製 平均重量分子量1300000)0.0064gを添加溶解させて本発明の金メッキ液を調製した。この金メッキ液における仕込み時の各濃度は金0.9重量%、ヨウ素0.9重量%、ヨウ化カリウム8.0重量%、エチレングリコール63.7重量%、水20.1重量%であり、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は7.0重量%であった。
【0074】
得られた金メッキ液を用いて、純金を対極(陽極)として、5mA/cmの電流密度で30分、金スパッタ膜(陰極)上にメッキを行ったところ、約0.20Vの電圧でメッキされた。
【0075】
得られたメッキ膜について、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製JEOL−6320F)を用いて倍率5000倍にて上面からの表面観察により、単位面積当たりの金結晶粒子数をカウントし、これより金メッキ膜の金結晶粒子サイズを算出したところ、電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均0.01μm未満であった。
【0076】
(実施例2)
実施例1において、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンK90(和光純薬社製 平均重量分子量360000)0.0064gを用いた以外は、実施例1と同様に本発明の金メッキ液を調製し、同様にメッキを行ったところ、約0.20Vの電圧でメッキされた。なお、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は実施例1と同様、7.0重量%であった。
【0077】
得られたメッキ膜について、実施例1と同様に表面観察したところ、金メッキ膜の金結晶粒子サイズは電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均0.01μm未満であった。
【0078】
(実施例3)
実施例1において、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンK25(和光純薬社製 平均重量分子量35000)0.064gを用いた以外は、実施例1と同様に本発明の金メッキ液を調製し、同様にメッキを行ったところ、約0.15Vの電圧でメッキされた。なお、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は実施例1と同様、7.0重量%であった。
【0079】
得られたメッキ膜について、実施例1と同様に表面観察したところ、金メッキ膜の金結晶粒子サイズは電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均0.06μmであった。
【0080】
(実施例4)
実施例1において、水溶性ポリマーとしてポリビニルピロリドンK16−18(ACROS社製 平均重量分子量8000)0.064gを用いた以外は、実施例1と同様に本発明の金メッキ液を調製し、同様にメッキを行ったところ、約0.12Vの電圧でメッキされた。なお、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は実施例1と同様、7.0重量%であった。
【0081】
得られたメッキ膜について、実施例1と同様に表面観察したところ、金メッキ膜の金結晶粒子サイズは電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均0.13μmであった。
【0082】
(実施例5)
実施例1において、水溶性ポリマーとしてポリビニルアルコール(和光純薬製平均重合度約2000)0.0064gを用いた以外は、実施例1と同様に本発明の金メッキ液を調製し、同様にメッキを行ったところ、約0.15Vの電圧でメッキされた。なお、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は実施例1と同様、7.0重量%であった。
【0083】
得られたメッキ膜について、実施例1と同様に表面観察したところ、金メッキ膜の金結晶粒子サイズは電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均0.44μmであった。
【0084】
(比較例1)
金0.6g、ヨウ素0.6g、ヨウ化カリウム5.1g、エチレングリコール18g、水5.7gを混合溶解した液30gに、更にエチレングリコール6g、水24g、酒石酸0.48g、二燐酸カリウム3.6gを各々加え撹拌溶解させて金メッキ液を調製した。この金メッキ液における仕込み時の各濃度は金0.9重量%、ヨウ素0.9重量%、ヨウ化カリウム8.0重量%、エチレングリコール37.5重量%、水46.3重量%であり、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は7.0重量%であった。
【0085】
得られた金メッキ液を用いて、実施例1と同様にしてメッキを行ったところ、約0.51Vの電圧でメッキされた。
【0086】
得られたメッキ膜について、実施例1と同様に表面観察したところ、金メッキ膜の金結晶粒子サイズは電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均7.19μmであった。
【0087】
(比較例2)
金0.6g、ヨウ素0.6g、ヨウ化カリウム5.1g、エチレングリコール18g、水5.7gを混合溶解した液30gに、更にエチレングリコール22.8g、水7.2g、酒石酸0.48g、二燐酸カリウム3.6gを各々加え撹拌溶解させて金メッキ液を調製した。この金メッキ液における仕込み時の各濃度は金0.9重量%、ヨウ素0.9重量%、ヨウ化カリウム8.0重量%、エチレングリコール63.7重量%、水20.1重量%であり、金メッキ液中のヨウ素元素の含有量は7.0重量%であった。
【0088】
得られた金メッキ液を用いて、実施例1と同様にしてメッキを行ったところ、約0.10Vの電圧でメッキされた。
【0089】
得られたメッキ膜について、実施例1と同様に表面観察したところ、金メッキ膜の金結晶粒子サイズは電子顕微鏡のマイクロスケール換算にて平均2.40μmであった。
【0090】
以上の結果から明らかなように、水溶性ポリマーを添加した本発明の金メッキ液を用いることにより、水溶性ポリマー未添加の金メッキ液と比べて、結晶粒子サイズが何れも2μm以下で微細となり、これにより高い表面平滑性や光沢性を有した金メッキ膜を得ることができる。
【0091】
【発明の効果】
本発明によれば、シアン系金メッキ液に匹敵する性能を持ちながら、安全かつ安定な金メッキ液が提供される。また、毒性を持たない安全で且つ液安定性の高い本発明の金メッキ液により、簡便で平易に、結晶粒子が微細で粒界が緻密な金メッキ膜の形成が可能となり、これにより、高い表面平滑性と光沢性が求められる装飾部品や、コネクタ端子、プリント配線基盤などの電子部品用途等への適用が可能となる。

Claims (13)

  1. ヨウ化物イオン、ヨウ化金錯イオン、非水溶媒、および水溶性ポリマーを含有することを特徴とする金メッキ液。
  2. 請求項1において、ヨウ素元素含有量が0.5〜50重量%であることを特徴とする金メッキ液。
  3. 請求項1または2において、非水溶媒が、アルコール性水酸基および/またはフェノール性水酸基を有する化合物と、非プロトン性有機溶媒よりなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする金メッキ液。
  4. 請求項3において、アルコール性水酸基を有する化合物が、2つ以上のアルコール性水酸基を有することを特徴とする金メッキ液。
  5. 請求項3または4において、非水溶媒がエチレングリコール、プロピレングルコール、グリセリンおよびγ−ブチロラクトンよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする金メッキ液。
  6. 請求項1ないし5のいずれか1項において、水溶性ポリマーが、繰り返し単位構造の主鎖または側鎖中に、以下の置換基ないし連結基(D1)〜(D3)から選ばれる1つ以上の基を有することを特徴とする金メッキ液。
    (D1):−COH、−SOH、および−POよりなる群から選ばれる1種または2種以上の酸性置換基
    (D2):−CONR−、−CH−NR−CH−、−NR、および
    −NR よりなる群から選ばれる1種または2種以上の塩基性置換基ないし連結基(但し、Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メチレン基、ハロゲン原子の何れかを表す。1つの置換基中にRが2つ以上存在する場合には、Rは同じであっても、異なっていても良い)
    (D3):非電解質置換基である−OH
  7. 請求項6において、水溶性ポリマーが、水溶性官能基としてアルコール性水酸基および/または−CONR−(Rは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、メチレン基、ハロゲン原子の何れかを表す。)を有することを特徴とする金メッキ液。
  8. 請求項7において、水溶性ポリマーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、デンプン、およびシクロデキストリンよりなる群から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする金メッキ液。
  9. 請求項1ないし8のいずれか1項において、更に水を含有することを特徴とする金メッキ液。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、実質的にシアンを含まないことを特徴とする金メッキ液。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項に記載の金メッキ液を用いることを特徴とする金メッキ方法。
  12. 請求項11において、電解メッキ方法であることを特徴とする金メッキ方法。
  13. 請求項12において、陽極に金または金合金を用いることを特徴とするメッキ方法。
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