JP2019214747A - ノンシアン系電解金めっき液 - Google Patents

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Abstract

【課題】毒性の高いシアン化合物を含有せず、耐熱性に優れる硬質金めっき皮膜を形成できるノンシアン系電解金めっき液を提供すること。【解決手段】金イオン供給源と、無機酸又は無機酸塩を含有するノンシアン系電解金めっき液に、チオ尿素系化合物とエチレンアミン化合物とを加える。チオ尿素系化合物とエチレンアミン化合物を含有する、ノンシアン系電解金めっき液を用いて電解めっきした硬質金めっき皮膜は、400℃の熱処理後でも硬さが維持される。また、金以外の金属を含まないので、熱処理による酸化によって、表面が変色したり接触抵抗が増加したりすることがなく、耐熱性に優れる。【選択図】図2

Description

本発明は、シアン化合物を含有しないノンシアン系電解金めっき液に関し、特に、硬質金めっき皮膜を形成できる、ノンシアン系電解金めっき液に関する。
耐腐食性に優れ高い電気伝導率を有する金めっき皮膜は、装飾分野のみならず、電子部品の接点材料や配線材料として電子工業分野においても広く使用されている。一般に、金めっき皮膜はその硬さにより、ビッカース硬さ(HV)130以上の硬質皮膜と、HV50〜100程度の軟質皮膜の2種類に分けられ、耐摩耗性が要求されるコネクタやプリント配線板の接点などには硬質金めっき皮膜が用いられる。
従来、硬質金めっき皮膜には、主にコバルトやニッケルを含むシアン系金めっき液で電解めっきした、金−コバルト合金めっき皮膜や金−ニッケル合金めっき皮膜が用いられている。しかし、これらの合金めっき皮膜では、はんだリフロー工程などの熱処理により、合金めっき皮膜中のコバルトやニッケルが酸化され、表面変色や接触抵抗の増加が生じることが問題となっている。
金以外の金属を含有せず、電解めっきで硬さがHV160に達する純金めっき皮膜を形成できるシアン系金めっき液も知られている。純金めっき皮膜であれば、酸化による表面変色や接触抵抗の増加は生じ難い。しかし、純金めっき皮膜は、通常熱処理によって硬度が低下してしまう。これは、純金めっき皮膜では、金の結晶粒が熱処理により大きく成長することが要因と考えられており、耐熱性に優れる硬質純金めっき皮膜を得ることは難しい。
一方、近年シアン系金めっき液は毒性の高いシアン化合物を含むことから、作業上の安全性、環境負荷などが問題となっており、シアン化合物を含まないノンシアン系電解金めっき液が注目されている。例えば、特許文献1には電解めっきで硬質金めっき皮膜を形成できる、コバルト又はニッケルを含むノンシアン系合金めっき液が提案されている。しかし、一般に使用されているノンシアン系電解金めっき液は、主に軟質皮膜の形成に用いられているのが現状である。
特開2009−280867号公報
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、シアン化合物を含有せず、耐熱性に優れた硬質金めっき皮膜を形成できる、ノンシアン系電解金めっき液を提供することを目的とする。
(1)本発明のノンシアン系電解金めっき液は、金イオン供給源と、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方と、チオ尿素系化合物と、エチレンアミン化合物とを含有することを特徴とする。
(2)(1)において、前記チオ尿素系化合物は、チオ尿素、メチルチオ尿素、及びエチレンチオ尿素から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
(3)(1)又は(2)において、前記エチレンアミン化合物は、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
(4)(1)から(3)のいずれかにおいて、前記無機酸は、硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸、及びスルファミン酸から選択される少なくとも一つを含み、前記無機酸塩は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、及びスルファミン酸アンモニウムから選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする。
(5)(1)から(4)のいずれかにおいて、前記チオ尿素系化合物の含有量は1mg/L以上、1000mg/L以下であり、前記エチレンアミン化合物の含有量は0.5g/L以上、200g/L以下であることを特徴とする。
(6)(1)から(5)のいずれかにおいて、有機酸又は有機酸塩の少なくとも一方を含有することを特徴とする。
本発明によれば、シアン化合物を含有せず、耐熱性に優れた硬質金めっき皮膜を形成できる、ノンシアン系電解金めっき液を提供することができる。
実施例1の金めっき皮膜表面のSEM像である。 400℃熱処理後の実施例1の金めっき皮膜表面のSEM像である。 比較例1の金合金皮膜表面のSEM像である。 400℃熱処理後の比較例1の金合金めっき皮膜表面のSEM像である。
本発明者らは、シアンを含有しない水溶性金塩と、無機酸又は無機酸塩を含有するノンシアン系電解金めっき液に、チオ尿素系化合物とエチレンアミン化合物とを加えることにより、熱処理しても硬度が低下しない硬質金めっき皮膜を形成できることを見出し、さらなる検討の結果本発明を完成させるに至った。以下、本発明の実施形態の一例について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施形態のノンシアン系電解金めっき液(以下、「金めっき液」ということもある。)は、金イオンと、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方と、チオ尿素系化合物とエチレンアミン化合物とを含有する電解めっき用の金めっき液である。金めっき液がチオ尿素系化合物とエチレンアミン化合物とを含有することにより、熱処理後も硬さが維持できるHV130以上の硬質金めっき皮膜が形成できる。また、形成された硬質金めっき皮膜は、金以外の金属を含有しないので、熱処理を行っても酸化による表面変色や接触抵抗の増加が生じ難い。
金イオンを供給する金イオン供給源には、シアンを含有しない水溶性金塩を使用でき、例えば亜硫酸金ナトリウム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金アンモニウム、塩化金酸ナトリウム、塩化金酸カリウム、塩化金酸アンモニウムなどを用いることができる。金イオン供給源の量は、金めっき液中の金濃度が0.5g/L〜40g/Lとなるよう調整することが好ましい。
金めっき液が含有するチオ尿素系化合物には、例えばチオ尿素、メチルチオ尿素、及びエチレンチオ尿素の1種又は2種以上を用いることができる。金めっき液中のチオ尿素系化合物の含有量は、1mg/L以上、1000mg/L以下の範囲が好ましく、3mg/L以上、200mg/L以下の範囲がより好ましい。チオ尿素系化合物の含有量が少なすぎると効果が得られず、多すぎると液安定性が低下する。
エチレンアミン化合物には、例えばエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びポリエチレンイミンの1種又は2種以上を用いることができる。エチレンアミン化合物の金めっき液中の含有量は、0.5g/L以上、200g/L以下の範囲が好ましく、5g/L以上、100g/L以下の範囲がより好ましい。エチレンアミン化合物の含有量が少なすぎると効果が得られず、多すぎると液安定性が低下する。
無機酸又は無機酸塩は特に限定されるものではなく、無機伝導塩として公知のものが利用可能である。このような無機酸には、例えば硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸、スルファミン酸などを、また無機酸塩には例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、スルファミン酸アンモニウムなどを挙げることができる。金めっき液中の無機酸及び無機酸塩の添加量は特に限定されないが、好ましくは1g/L以上、200g/L以下、より好ましくは10g/L以上、100g/L以下である。
また、有機酸又は有機酸塩の少なくとも一方を添加してもよい。添加する有機酸、有機酸塩としては、例えばグルタミン酸、アスパラギン酸、アルギニンなどとこれらの塩が挙げられる。有機酸、有機酸塩の添加量は特に限定されないが、好ましくは1g/L以上、200g/L以下、より好ましくは10g/L以上、100g/L以下である。
金めっき液のpHは硫酸、塩酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアなどを添加して調整することが可能であり、pHは6〜11が好ましい。また、本発明のノンシアン系電解金めっき液は、必要に応じて他の成分を本発明の目的を損なわない範囲で添加することも可能である。例えば、めっき液中の不純物金属イオン対策として、キレート剤を適宜添加してもよい。界面活性剤、平滑化剤、酸化防止剤などを添加してもよい。
以下、本発明の実施例であるノンシアン系電解金めっき液と、当該実施例を用いて電解めっきにより形成した金めっき皮膜の評価試験例を述べるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
金イオン供給源に亜硫酸金ナトリウム、チオ尿素系化合物に1−メチルチオ尿素、エチレンアミン化合物にトリエチレンテトラミン、無機酸塩に亜硫酸ナトリウム、有機酸にアルギニンを用い、下記の組成で実施例1のノンシアン系電解金めっき液を調製した。めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH9に調整した。なお、以下の実施例、比較例において、亜硫酸金ナトリウムの含有量(g/L)は、金めっき液中の金の濃度に換算した値で示す。
実施例1の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の濃度)
・1−メチルチオ尿素 80mg/L
・トリエチレンテトラミン 30g/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・アルギニン 10g/L
金めっき皮膜を評価するため、ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、実施例1の金めっき液を用い、液温60℃、陰極電流密度0.3A/dm2の条件で、厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。金めっき液はスターラーを使用して攪拌し、陽極には酸化イリジウム系電極アノデック100(日進化成株式会社製)を使用した。
得られた金めっき皮膜は光沢外観を有し、ビッカース硬さ測定を行った結果、HV179の硬質皮膜であった。また、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。
次に、金めっき皮膜の耐熱性を評価するため、大気下で、250℃、30分、及び400℃、30分の熱処理をそれぞれ行い、ビッカース硬さと接触抵抗の変化を調べた。250℃の熱処理後の金めっき皮膜は、光沢外観を有し外観に変化は見られず、硬さはHV178で熱処理前と同等であった。接触抵抗も1mΩ以下で熱処理前から変化は認められなかった。
また、400℃の熱処理後の金めっき皮膜も、光沢外観を有し外観に変化は見られず、硬さはHV172で熱処理前と同等であった。接触抵抗も1mΩ以下で熱処理前と変化は認められない。400℃の熱処理前後の金めっき皮膜表面を、走査電子顕微鏡(SEM)で観察した結果を図1、2に示す。図1は熱処理前(As-depo)のSEM像であり、図2は大気下、400℃、30分の熱処理後のSEM像である。図1、2を比較しても金めっき皮膜表面には変化が認められず、400℃の熱処理による影響が小さいことがわかる。
[実施例2]
実施例1の有機酸をアルギニンからアスパラギン酸に換え、以下の組成で実施例2のノンシアン系電解金めっき液を調製した。めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH8に調整した。
実施例2の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の濃度)
・1−メチルチオ尿素 50mg/L
・トリエチレンテトラミン 30g/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・アスパラギン酸 40g/L
ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、実施例2の金めっき液を用い、液温60℃、陰極電流密度0.4A/dm2の条件で、実施例1と同じように厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。得られた金めっき皮膜は光沢外観を有し、ビッカース硬さ測定を行った結果、HV170の硬質皮膜であった。また、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。
この金めっき皮膜に、大気下、250℃、30分の熱処理を行い、ビッカース硬さと接触抵抗の変化を調べた。結果、金めっき皮膜は熱処理後も外観は光沢外観を有し、硬さもHV167で熱処理前と同等であった。接触抵抗も1mΩ以下で熱処理前から変化は認められない。
[実施例3]
チオ尿素系化合物にチオ尿素、エチレンアミン化合物にテトラエチレンペンタミンを用い、亜硫酸金ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、グルタミン酸を下記の組成で含有する、実施例3のノンシアン系電解金めっき液を調製した。金めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH8に調整した。
実施例3の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の濃度)
・チオ尿素 30mg/L
・テトラエチレンペンタミン 20g/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・グルタミン酸 20g/L
ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、実施例3の金めっき液を用い、液温60℃、陰極電流密度0.3A/dm2の条件で、実施例1と同じように厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。得られた金めっき皮膜は光沢外観を有し、ビッカース硬さ測定を行った結果、HV169の硬質皮膜であった。また、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。
この金めっき皮膜に、大気下、400℃、30分の熱処理を行い、ビッカース硬さと接触抵抗の変化を調べた。結果、熱処理後も外観は光沢外観を有し、硬さはHV176と熱処理前と同等であった。接触抵抗も1mΩ以下で熱処理前から変化は認められない。
[実施例4]
チオ尿素系化合物にチオ尿素、エチレンアミン化合物にエチレンジアミンを用い、亜硫酸金ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、アスパラギン酸を下記の組成で含有する、実施例4のノンシアン系電解金めっき液を調製した。金めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH8に調整した。
実施例4の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の濃度)
・チオ尿素 40mg/L
・エチレンジアミン 50g/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・アスパラギン酸 40g/L
ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、実施例4の金めっき液を用い、液温55℃、陰極電流密度0.4A/dm2の条件で、実施例1と同じように厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。得られた金めっき皮膜は光沢外観を有し、ビッカース硬さ測定を行った結果、HV161の硬質皮膜であった。また、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。
この金めっき皮膜に、大気下、350℃、30分の熱処理を行い、ビッカース硬さと接触抵抗の変化を調べた。結果、熱処理後も外観は光沢外観を有し、硬さはHV156と熱処理前と同等であった。接触抵抗も1mΩ以下で熱処理前から変化は認められない。
実施例1から4のノンシアン系電解金めっき液について、連続使用を想定してめっき液中に含まれる金量と同じ量の金をめっきで析出させ、減少した成分を補充する回数(MTO:Metal Turn Over)を調べた。その結果、実施例1から4いずれも5ターンを超えて良好な金めっき皮膜を形成でき、めっき液の濁りなどを生じることもなかった。
以上の結果から、実施例1から4のノンシアン系電解金めっき液では、電解めっきにより硬質金めっき皮膜を形成できることがわかる。形成された硬質金めっき皮膜は、熱処理を行っても硬さを維持でき、変色や接触抵抗の増加が起こらない、耐熱性に優れる硬質金めっき皮膜であることがわかる。また、実施例1から4のノンシアン系電解金めっき液は、5ターンを超えて良好な金めっき皮膜を形成でき、安定性に優れることがわかる。
比較のため、一般に用いられているコバルトを含むシアン系電解金めっき液と、チオ尿素系化合物又はエチレンアミン化合物を含有しないノンシアン系電解金めっき液をそれぞれ調製し、電解めっきにより得られた金めっき皮膜の評価を行った。
[比較例1]
比較例1として、シアン化金カリウム8g/L(めっき液中の金の濃度に換算して)、硫酸コバルト1g/L(めっき液中のコバルトの濃度に換算して)を含有するシアン系金コバルト合金めっき液を使用し、金ストライクめっきを施したNi板上に、液温40℃、陰極電流密度0.5A/dm2の条件で、厚さ10μmの金−コバルト合金めっき皮膜を形成した。電解めっきは実施例1と同じように、スターラーで攪拌し陽極に酸化イリジウム系電極アノデック100を使用して行った。得られた金−コバルト合金めっき皮膜は光沢外観を有し、ビッカース硬さ測定を行った結果、HV159の硬質皮膜であった。また、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。
得られた金−コバルト合金めっき皮膜を、大気下で、250℃、30分、及び400℃、30分の熱処理をそれぞれ行い、ビッカース硬さと接触抵抗の変化を調べた。250℃の熱処理後の金−コバルト合金めっき皮膜では、硬さはHV160と熱処理前と同等であり、接触抵抗は1mΩ以下で熱処理前と変わらなかった。しかし、皮膜外観は若干暗くなり光沢度の低下が認められた。
400℃の熱処理後の金−コバルト合金めっき皮膜は、硬さはHV155と熱処理前と同等であった。しかし、皮膜外観は暗くなり光沢度が大きく低下した。また、接触抵抗も20mΩ以上に劣化した。400℃の熱処理前後の金−コバルト合金めっき皮膜表面を、SEMで観察した結果を図3、4に示す。図3は熱処理前(As-depo)のSEM像であり、図4は熱処理後のSEM像である。図3、4を比較すると、熱処理後の金−コバルト合金めっき皮膜表面には、白い斑点状の領域が現れており、熱処理によりコバルトが酸化し表面が変質していることがわかる。比較例1では、400℃の熱処理後も硬さは維持されたが、250℃の熱処理で外観の光沢度の低下が認められ、400℃の熱処理ではコバルトの酸化により接触抵抗が劣化した。
[比較例2]
チオ尿素系化合物を含有しない、下記の組成のノンシアン系電解金めっき液を比較例2として調製した。金めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH8に調整した。
比較例2の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の量)
・トリエチレンテトラミン 20g/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・グルタミン酸 20g/L
ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、比較例2の金めっき液を用い、液温60℃、陰極電流密度0.3A/dm2の条件で、実施例1と同じように厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。得られた金めっき皮膜のビッカース硬さ測定を行った結果、HV102であり硬質金めっき皮膜は得られなかった。
[比較例3]
エチレンアミン化合物を含有しない、下記の組成のノンシアン系電解金めっき液を比較例3として調製した。金めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH8に調整した。
比較例3の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の量)
・チオ尿素 60mg/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・アスパラギン酸 20g/L
ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、比較例3の金めっき液を用い、液温60℃、陰極電流密度0.3A/dm2の条件で、実施例1と同じように厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。得られた金めっき皮膜は光沢外観を有し、硬さ測定を行った結果、HV170であり、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。しかし、比較例3の金めっき液は、電解めっき中に濁りを生じ液が分解してしまい、安定した電解めっきを行うことはできなかった。
[比較例4]
チオ尿素系化合物及びエチレンアミン化合物を含有しない、下記の組成のノンシアン系電解金めっき液を比較例4として調製した。金めっき液のpHは、水酸化ナトリウムと硫酸を添加してpH8に調整した。
比較例4の金めっき液組成
・亜硫酸金ナトリウム 10g/L(金めっき液中の金の量)
・亜ヒ酸ナトリウム 3mg/L
・亜硫酸ナトリウム 40g/L
・アルギニン 20g/L
ノンシアン金ストライクめっきを施したNi板上に、比較例4の金めっき液を用い、液温60℃、陰極電流密度0.3A/dm2の条件で、実施例1と同じように厚さ10μmの金めっき皮膜を形成した。得られた金めっき皮膜は光沢外観を有し、ビッカース硬さ測定を行った結果、HV181の硬質皮膜であった。また、接触抵抗(測定荷重:0.25N)は1mΩ以下であった。しかし、この金めっき皮膜に大気下、250℃、30分の熱処理を行ったところ、熱処理後の硬はHV113に低下してしまい、硬度を維持することができなかった。
以上、本発明のノンシアン系電解金めっき液は、熱処理しても硬さの大きな低下がなく、変色や接触抵抗の劣化も生じない、耐熱性に優れた硬質金めっき皮膜を形成できる。また、毒性の高いシアン化合物を含有しないので、シアン系めっき液に比べて安全に作業ができ環境負荷も少ない。なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。

Claims (6)

  1. 金イオン供給源と、無機酸又は無機酸塩の少なくとも一方と、チオ尿素系化合物と、エチレンアミン化合物とを含有することを特徴とするノンシアン系電解金めっき液。
  2. 前記チオ尿素系化合物は、チオ尿素、メチルチオ尿素、及びエチレンチオ尿素から選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のノンシアン系電解金めっき液。
  3. 前記エチレンアミン化合物は、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、及びポリエチレンイミンから選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のノンシアン系電解金めっき液。
  4. 前記無機酸は、硫酸、塩酸、亜硫酸、リン酸、及びスルファミン酸から選択される少なくとも一つを含み、前記無機酸塩は、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、及びスルファミン酸アンモニウムから選択される少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のノンシアン系電解金めっき液。
  5. 前記チオ尿素系化合物の含有量は1mg/L以上、1000mg/L以下であり、前記エチレンアミン化合物の含有量は0.5g/L以上、200g/L以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載のノンシアン系電解金めっき液。
  6. 有機酸又は有機酸塩の少なくとも一方を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のノンシアン系電解金めっき液。
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