JP2004356155A - マスクとウエハとの位置合わせ方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マスクとウエハとの位置合わせを高精度で実現する。
【解決手段】マスク又はウエハが搭載されるパレット若しくはウエハの一方に設けられた第1のマークと、他方に設けられた第2のマークとを撮像素子により撮像するステップと、撮像された第1第2のマークの画像信号に基づいて第1第2のマークの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、測定した位置ずれ量に基づいてマスクとウエハとを相対的に位置合わせするステップとを含む。第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1第2のXマークと、Y方向の位置を検出するための第1のYマークとからなり、第1第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられる。第2のマークは、X方向の位置を検出するための第3のXマークと、Y方向の位置を検出するための第2のYマークとからなる。
【選択図】 図5
【解決手段】マスク又はウエハが搭載されるパレット若しくはウエハの一方に設けられた第1のマークと、他方に設けられた第2のマークとを撮像素子により撮像するステップと、撮像された第1第2のマークの画像信号に基づいて第1第2のマークの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、測定した位置ずれ量に基づいてマスクとウエハとを相対的に位置合わせするステップとを含む。第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1第2のXマークと、Y方向の位置を検出するための第1のYマークとからなり、第1第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられる。第2のマークは、X方向の位置を検出するための第3のXマークと、Y方向の位置を検出するための第2のYマークとからなる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクとウエハとの位置合わせ方法に係り、特に半導体ウエハに近接配置されたマスクのマスクパターンをウエハ上のレジスト層に等倍転写する露光装置におけるマスクとウエハとの位置合わせ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の露光装置として、電子ビーム近接露光装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
図16は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、マスク30とから構成されている。
【0004】
前記マスク30は、表面にレジスト層42が形成されたウエハ40に近接するように(マスク30とウエハ40との隙間が、たとえば50μmとなるように)配置される。この状態で、マスク30に垂直に電子ビームを照射すると、マスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
また、走査手段20は、図17に示されるように電子ビーム15がマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、マスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
この電子ビーム近接露光装置10は、図18に示されるように真空チャンバ50内に設けられている。また、真空チャンバ50内には、ウエハ40を吸着するために静電チャック60と、この静電チャック60に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向(X方向及びY方向)に移動させるとともに、水平面内で回転させるためのウエハステージ70が設けられている。ウエハステージ70は、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンが転写できるようにしている。
【0007】
なお、図18上で、マスク30をX方向及びY方向に移動させることができるマスクステージ80が設けられ、ウエハ40の導通をとるために、ウエハ40の上面に押し当てられた導通ピン81が設けられる。
【0008】
ところで、ウエハはそれぞれマスクパターンの異なる複数のマスクを用いて複数回露光され、これにより集積回路が形成される。そして、各マスクパターンの露光時には、露光するマスクパターンが、既に露光済みのマスクパターンと所定の位置関係になるようにマスクとウエハとを相対的に位置合わせを行う必要がある。
【0009】
一方、従来のマスクとウエハとの位置合わせ方法として、斜方検出法が知られている(特許文献2参照。)。
【0010】
斜方検出法は、撮影光軸がウエハに近接配置されたマスク面に対して斜めになるように光学系を配置し、ウエハに設けられた位置合わせ用のウエハマークと、マスクに設けられた位置合わせ用のマスクマークとを同時に撮像し、その撮像した画像から各マーク間の位置ずれを検出し、この位置ずれがゼロになるようにマスクとウエハとを位置合わせするようにしている。
【0011】
この斜方検出法は、露光を遮らないように顕微鏡撮像装置を配置することができ、露光中に光学系を退避させる必要がなく、露光中でも各マークを撮像することができるという利点がある。
【0012】
また、この斜方検出法を更に改善した方法として、後述するマスクとウエハの位置合わせ方法及び装置が本出願人によりなされている(特許文献3参照)。この方法において、マスクに設けられた位置合わせ用のマークと、ウエハが搭載されるパレット又はウエハに設けられた位置合わせ用のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像する顕微鏡撮像装置が提案されており、また、図19に示されるようなマークが提案されている。
【0013】
同図は、顕微鏡撮像装置の視野V内にマスクマークMと、パレットマークWPとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMX と、マスクのY方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMY とから構成されており、パレットマークWPは、ウエハパレットのX方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPX と、ウエハパレットのY方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPY とから構成されている。
【0014】
また、マスク32には、マスク32の下方に位置するパレットマークWPを観察するためのL字状の開口33が形成されている。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第5,831,272 号(日本特許第2951947 号に対応)
【0016】
【特許文献2】
特開平11−243048号公報
【0017】
【特許文献3】
特開2003−37036号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の位置合わせ方法によっても、位置合わせ精度に限界があり、更に精度の向上が期待されている。すなわち、撮像素子としてのCCDは、たとえば、1ピッチが6μmであり、顕微鏡撮像装置内で100倍に拡大してもウエハ又はマスクの60nm以下の検出ができない。また、位置合わせ用のマークと撮像素子としてのCCDの測定ライン方向が完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じるという問題がある、また、顕微鏡撮像装置のフォーカス状態によって位置合わせ精度に誤差を生じることも確認されている。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、1つの顕微鏡撮像装置によってマスクとウエハとの高精度の位置合わせを、従来を上回る高精度で実現することができるマスクとウエハとの位置合わせ方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置におけるマスクとウエハとの位置合わせ方法において、前記マスク又は前記ウエハが搭載されるパレット若しくは前記ウエハの一方に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記マスク又は前記パレット若しくは前記ウエハの他方に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを撮像素子により撮像するステップと、撮像された前記第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクと前記ウエハとを相対的に位置合わせするステップとを含み、前記第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークと、Y方向の位置を検出するための第1のYマークとからなり、前記第1のXマーク及び第2のXマークは、いずれも長手方向がY方向を向きかつX方向に平行に配される複数本の線パターンであり、かつ、前記第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられ、前記第1のYマークは、長手方向がX方向を向きかつY方向に平行に配される複数本の線パターンであり、前記第2のマークは、X方向の位置を検出するための第3のXマークと、Y方向の位置を検出するための第2のYマークとからなり、前記第3のXマークは、長手方向がY方向を向きかつX方向に平行に配される複数本の線パターンであり、前記第2のYマークは、長手方向がX方向を向きかつY方向に平行に配される複数本の線パターンであることを特徴としている。
【0021】
すなわち、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0022】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0023】
更に、第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークとよりなり、かつ、第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられている。したがって、位置合わせ用のマークと撮像素子としてのCCDの測定ライン方向が完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じるという問題に有効に対処でき、マスクとウエハとの高精度の位置合わせが実現できる。
【0024】
なお、X方向及びY方向とは、一般的に観念されているように、水平の直交2軸方向を指す。したがって、本明細書の各平面図において、特にことわりのない場合には、X方向は紙面の左右方向を、Y方向は紙面の上下方向を示す。
【0025】
本願請求項2に示されるように、前記撮像素子を有する顕微鏡撮像装置の視野内に前記第1のマーク及び前記第2のマークが入っているときに、前記第3のXマークが前記第1のXマーク及び前記第2のXマークと対向する位置に配置され、前記第2のYマークが前記第1のYマークと対向する位置に配置されることを特徴としている。
【0026】
すなわち、このような構成を採ることにより、第1のマークと第2のマークとのX方向及びY方向の高精度の位置合わせが可能となる。
【0027】
本願請求項3に示されるように、前記第1のマークと第2のマークとを撮像素子により撮像するステップにおいて、前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置によって略同時に撮像することを特徴としている。
【0028】
すなわち、第1のマークと第2のマークとが同時に撮像されることにより、顕微鏡撮像装置等の移動により生じる精度不良、経時的な精度不良(ウエハやマスクの熱膨張・収縮等)が生じない。
【0029】
本願請求項4に示されるように、前記マスクには、前記パレット又はウエハに設けられた第1のマーク又は第2のマークを撮像するための開口が形成されていることを特徴としている。
【0030】
すなわち、マスクの膜厚が小さければ、マスクを透過して第2のマーク(又は第1のマーク)を撮像できるが、マスクに開口が形成されていれば、第2のマーク(又は第1のマーク)の撮像はより確実に行える。
【0031】
本願請求項5に示されるように、前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップにおいて、撮像された前記第1のマーク及び/又は前記第2のマークと前記撮像素子との水平方向傾き角度を算出し、該算出結果より前記水平方向傾き角度がゼロになるように撮像された画像データを座標変換し、次いで前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定することを特徴としている。
【0032】
すなわち、第1のマーク又は第2のマークと撮像素子との水平方向傾き角度(回転量)に誤差があると、第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量の測定誤差を生じることとなる。測定の際にこのようなマークと撮像素子との回転量が得られていれば、回転量がゼロになるように撮像された画像データを座標変換できる。これにより、第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量の測定誤差を最小限に抑えることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0034】
図1は本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法の第1の実施の形態に使用されるアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図であり、図2は図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図である。なお、電子ビーム近接露光装置としての主要な構成は、図16乃至図18に示したものと同様のため、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図1及び図2に示されるように、この電子ビーム近接露光装置には、1つのアライメントユニット(顕微鏡撮像装置)100が、真空チャンバ50内のフレーム52に固定されている。この顕微鏡撮像装置100は、電子ビーム近接露光装置による転写時に邪魔にならない露光領域外に固定されている。なお、図1及び図2上で102は電子光学鏡筒である。
【0036】
顕微鏡撮像装置100の照明手段を構成するランプハウス110は、真空チャンバ50の外側に配設され、このランプハウス110から出射される照明光は、光ファイバ111、照明用の光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54を介して顕微鏡撮像装置100内に導かれるようになっている。
【0037】
マスク32が取り付けられているマスクステージ80は、X方向及びY方向に移動できるようになっている。
【0038】
図3はマスク32の平面図である。このマスク32は、8インチマスクであり、4種類のマスクパターンP1〜P4が形成されている。また、各マスクパターンの左右の位置には、位置合わせ用のマスクマークM(第1のマーク)が形成されており、各マスクパターンとマスクマークMとは一定の関係をもって形成されている。なお、図3上で、M1、M2は、マスクパターンP1の左右の位置に形成されたマスクマークを示している。
【0039】
顕微鏡撮像装置100によってマスクマークM1を観察する場合には、このマスクマークM1が顕微鏡撮像装置100の視野Vに入るようにマスクステージ80を移動させる。なお、このマスクステージ80の位置(x、y)は、レーザ干渉計LXM、LYM(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0040】
一方、ウエハ40は、図4に示されるようにウエハパレット44上に図示しない電磁チャックによって吸着固定される。このウエハパレット44は、図18に示したウエハステージ70の電磁チャック60上に搭載され固定される。なお、図18は、ウエハパレット44を使用せずに、ウエハ40が直接電磁チャック60上に搭載されている場合に関して示している。
【0041】
ウエハパレット44には、図4に示されるようにパレットマークWP1、WP2(第2のマーク)が設けられている。これらのパレットマークWP1、WP2は、ウエハ40の上面と面一の位置にマークが形成されている。
【0042】
また、ウエハ40には、各種のマスクパターンの転写等によって複数のダイDが形成されるが、これらのダイDの位置合わせ用のダイマークDM(第2のマーク)がウエハ40上に形成されている。なお、パレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係は、ウエハ40をウエハパレット44に搭載した後、別途測定されデータとして保存されている。したがって、ウエハステージ70上でのパレットマークWP1、WP2の位置が検知できれば、各ダイマークDMの位置は前記パレットマークWP1、WP2と各ダイマークDMとの位置関係から計算で求めることができる。なお、ウエハステージ70の位置(X、Y)は、レーザ干渉計LXW、LYW(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0043】
図1及び図2に示した顕微鏡撮像装置100は、マスク32のマスクマークM1又はM2とダイマークDM1若しくはDM2又はパレットマークWP1若しくはWP2とを同時に観察し、及び、マスク32のマスクマークM2とダイマークDM2又はパレットマークWP2とを同時に観察し、各マーク間の位置ずれ量を測定するもので、マスク面及びウエハパレット面(ウエハ面)と直交する方向から同時に撮像するとともに、高さ(Z方向の位置)が異なる各マークに同時にピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有している。
【0044】
図5は上記顕微鏡撮像装置100の詳細を示す光学部品配置図である。同図に示されるように顕微鏡撮像装置100の結像光学系は、対物レンズ120を共通にして3つの光路に分岐している。すなわち、顕微鏡撮像装置100は、マスクマークMを固体撮像素子(CCD)130に結像させるマスクマーク撮像用光学系と、ダイマークDM又はパレットマークWPをCCD131に結像させるダイマーク撮像用光学系と、マスクマークMをCCD132に結像させるオートフォーカス用光学系とを有している。
【0045】
マスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、及びマスクマーク結像用対物レンズ123から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びダイマーク結像用対物レンズ125から構成され、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0046】
また、顕微鏡撮像装置100は、対物レンズ120、ハーフミラー121、全反射ミラー127、レンズ128、及び光学系112、光ファイバ111からなる照明用光学系と、この照明用光学系を介して照明光を出射するランプハウス110とからなる照明手段を有している。なお、照明光学系内の光学系112は、NA可変絞り112A、レンズ112B、及び視野可変絞り112Cから構成されている。
【0047】
また、対物レンズ120及びダイマーク結像用対物レンズ125は、それぞれ光軸方向に微小量移動できるようになっており、対物レンズ120をたとえばピエゾ素子によって移動させることによってマスクマークMがCCD130に結像するようにピント調整が行われ、ダイマーク結像用対物レンズ125を移動させることによってダイマークDM又はパレットマークWPがCCD131に結像するようにピント調整が行われる。
【0048】
すなわち、対物レンズ120は、オートフォーカス用光学系を介してマスクマークMを撮像するCCD132の出力信号のコントラストが最大になるように自動的にレンズ位置が制御される。ここで、オートフォーカス用光学系及びマスクマーク撮像用光学系は、マスクマークMがCCD132に結像されるときにCCD130にも結像されるように予め調整されている。したがって、CCD132にマスクマークMが結像するように対物レンズ120を移動させることにより、CCD130にマスクマークMを結像させることができる。なお、オートフォーカス用光学系は、ピント調整が容易にできるようにマスクマーク撮像用光学系よりも撮影倍率が低くなっている。
【0049】
また、CCD131は、マスク32からたとえば50μm下側に配置されるウエハ40(パレット)が結像するようにダイマーク結像用対物レンズ125の位置が調整されているが、マスク32とウエハ40との隙間が変更される場合にもダイマークDM又はパレットマークWPが結像できるように、ダイマーク結像用対物レンズ125は、たとえば超音波モータなどによって光軸方向に微小量移動できるようになっている。
【0050】
なお、この実施の形態では、対物レンズ120とダイマーク結像用対物レンズ125とがそれぞれピント調整用に光軸方向に移動できるようになっているが、これに限らず、対物レンズ120、マスクマーク結像用対物レンズ123及びダイマーク結像用対物レンズ125のうちの少なくとも2つが光軸方向に移動できるように構成すれば、マスクマークM及びダイマークDM又はパレットマークWPにそれぞれピントを合わせることができる。
【0051】
また、この顕微鏡撮像装置100は、瞳位置に図示しない位相差板が着脱できるようになっており、位相差顕微鏡としての機能を備えている。更に、この顕微鏡撮像装置100に適用される照明手段は、落射照明又は臨界照明に手動で切り替えられるように構成されている。
【0052】
また、この実施の形態では、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとがそれぞれ結像される2つのCCD(CCD130、131)を設けるようにしているが、2組の結像光学系の光路をミラーやハーフミラーを介して合流させ、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させるようにしてもよい。
【0053】
図6はマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させる顕微鏡撮像装置100’の光学部品配置図である。なお、図5と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0054】
図6に示されるように、この顕微鏡撮像装置100’のマスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、反射ミラー143、マスクマーク結像用対物レンズ123、及びハーフミラー144から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用対物レンズ125、ハーフミラー142、及び144から構成されている。また、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用対物レンズ125、ハーフミラー142、及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0055】
上記構成のマスクマーク撮像用光学系及びダイマーク撮像用光学系は、同一のアライメント用CCD145にマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを同時に結像させることができる。
【0056】
次に、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとの位置ずれ量の検出方法について説明する。
【0057】
図7は顕微鏡撮像装置100、100’の視野V内にマスクマークMと、ダイマークDMとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2と、マスクのY方向の位置を検出するための第1のYマークMY とからなる。
【0058】
このうち、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2は、いずれもY方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成され、また、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2はY方向に所定距離離れて対向して設けられている。第1のYマークMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成されている。第1のYマークMY のX方向の配置位置は、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2の右方であり、Y方向の配置位置は、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2の中間位置である。
【0059】
ダイマークDMは、ウエハのX方向の位置を検出するための第3のXマークであるダイマークDMX と、ウエハのY方向の位置を検出するための第2のYマークであるダイマークDMY とからなる。このうち、ダイマークDMX は、Y方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成され、ダイマークDMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成されている。
【0060】
これらのダイマークDMX 及びダイマークDMY は、顕微鏡撮像装置100、100’の視野V内に、マスクマークM及びダイマークDMが入っているときに、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2と対向する位置にダイマークDMX が配され、第1のYマークMY と対向する位置にダイマークDMY が配されるような位置に設けられる。
【0061】
すなわち、図7において、ダイマークDMX は、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2とのY方向の中間に配されており、ダイマークDMY はダイマークDMX をX方向の中間に挟んで第1のYマークMY と対向する位置に配されている。
【0062】
また、マスク32には、マスク32の下方に位置するダイマークDM又はパレットマークWPを観察するための矩形の開口33が形成されている。この開口33により、ダイマークDMでの散乱光による像は、マスク32によって減衰することなく撮像されるため、ダイマークDMの像と背景とのコントラストが低下することがない。
【0063】
マスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を求める場合には、マスクマークMが結像されるCCD130から得られる画像信号を信号処理し、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2の中心位置とマスクマークMY の中心位置をそれぞれ求める。同様にしてダイマークDMが結像されるCCD131から得られる画像信号を信号処理し、ダイマークDMX の中心位置とダイマークDMY の中心位置をそれぞれ求める。
【0064】
上記のようにして求めたマスクマークMの中心位置を示すCCD130上の画素位置と、ダイマークDMの中心位置を示すCCD131上の画素位置との画素位置の差分に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を測定する。そして、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ80を移動させ、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とを一致させる。
【0065】
なお、図7は、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とが一致している場合に関して示している。また、顕微鏡撮像装置100、100’の対物レンズ120が微小量移動すると、撮影倍率が変動するが、図7に示される形状のマスクマークMが示す位置及びダイマークDMが示す位置は、顕微鏡撮像装置100、100’の撮影倍率が変動しても変化量が極めて少ない。
【0066】
次に、マスクマークM、ダイマークDM又はパレットマークWPと顕微鏡撮像装置100、100’のCCDの測定ラインが完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じる原理、及び、この誤差を補正する手段について説明する。
【0067】
図19及び図20は、従来例におけるマスクとウエハとの位置ずれ量を検出する方法を説明する図である。なお、既述の図19は、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とが一致している場合に関して示している。
【0068】
図20において、マスクマークMによる中心位置は、X方向中央のマスクマークMX の中心線CMXと、Y方向中央のマスクマークMY の中心線CMYとの交点であるO1である。一方、図示のように顕微鏡がマスクマークMに対し回転して配置された状態、すなわち、マスクマークMと顕微鏡撮像装置100のCCD(撮像素子)とが水平方向に所定の傾き角度を生じている状態では、CCDの中心位置は、X方向の中心線CXと、Y方向の中心線CYとの交点であるO3である。従って、O1とO3とは一致せず、この結果誤差を生じることとなる。
【0069】
このような誤差を補正するためには、本発明で提案された第1のXマーク(図7におけるMX1)と第2のXマーク(図7におけるMX2)との組み合わせが有効である。すなわち、第1のXマークMX1と第2のXマークMX2とが離れて設けられていることにより、これらのマークの中心線が容易に求まる。これにより、これらのマークの中心線とCCD(撮像素子)とが水平方向に所定の傾き角度を生じている状態であっても、この傾き角度を容易に解消できる。
【0070】
図8は電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図である。同図において、中央処理装置(CPU)200は、装置全体を統括制御するもので、マスクとウエハとの位置合わせ時の処理、露光時の電子ビームの偏向制御等を行う。顕微鏡撮像装置100及び顕微鏡撮像装置100’での撮像によって得られたマスクマークM及びダイマークDMを示す各画像信号は、信号処理回路202に加えられる。信号処理回路202は、入力した各画像信号に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を算出する。
【0071】
CPU200は、信号処理回路202から入力する位置ずれ量がゼロになるようにステージ駆動回路204を介してウエハステージ70を移動させ、又はステージ駆動回路206を介してマスクステージ80を移動させる。
【0072】
また、CPU200は、マスクマークMとダイマークDMとが一致したときのウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)をレーザ干渉計LXW、LYWから取り込み、同様にマスクステージ80のX方向及びY方向の位置(x、y)をレーザ干渉計LXM、LYMから取り込み、メモリ203に記憶させる。また、メモリ203には、図4で説明したようにパレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係を示すデータが保存されている。なお、メモリ203に記憶したウエハステージ70やマスクステージ80の位置等に基づくマスクとウエハとの位置合わせ制御の詳細については後述する。
【0073】
更に、CPU200は、マスクを走査する際の偏向量データとともにマスクの歪みに応じた補正データをデジタル演算回路205に供給し、デジタル演算回路205は偏向量データに基づいてマスクを走査するためのデジタル信号を主DAC/AMP208に出力し、補正データに基づいてマスクの歪みを補正するためのデジタル信号を副DAC/AMP210に出力する。
【0074】
主DAC/AMP208は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図16に示される主偏向器22、24に出力する。これにより、電子ビーム15は、光軸と平行な状態を維持したまま、図17に示されるようにマスクの全面を走査するように偏向される。また、副DAC/AMP210は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図16に示される副偏向器26、28に出力する。これにより、電子ビーム15のマスクへの入射角度が制御され、マスクが歪んでいてもマスクパターンを正規の位置に転写できるようにしている。
【0075】
図9は本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャートである。
【0076】
先ず、マスク32をマスクステージ80にロードし、マスクマークM1が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにマスクステージ80を移動させる(ステップS10)。同様にしてウエハパレット44をウエハステージ70にロードし、ダイマークDM1が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにウエハステージ70を移動させる(ステップS12)。
【0077】
顕微鏡撮像装置100は、視野内のマスクマークM1及びダイマークDM1にそれぞれピントが合うように図5で説明したように対物レンズ120やダイマーク結像用対物レンズ125を移動させる(ステップS14)。
【0078】
続いて、ダイマークDM1を基準にしてマスクマークM1、M2を測定し、その測定結果に基づいてマスク32の回転量θM を計算する(ステップS16)。
【0079】
図10は上記ステップS16の詳細を示すフローチャートである。同図に示されるように顕微鏡撮像装置100の視野内のダイマークDM1とマスクマークM1との位置ずれ量を顕微鏡撮像装置100から得られる画像信号を処理することによって測定する(ステップS16A)。この測定した位置ずれ量がゼロか否かを判別し(ステップS16B)、位置ずれ量≠0の場合には、位置ずれ量がゼロに近づく方向にマスクステージ80を移動させ(ステップS16C)、ステップS16Aで再びダイマークDM1とマスクマークM1との位置ずれ量を測定する。そして、位置ずれ量=0になるまでステップS16A、S16B、S16Cの処理を繰り返す。
【0080】
ステップS16Bで位置ずれ量=0と判別されると、そのときのマスクステージ80の移動位置(x1 、y1 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取ってメモリ203に記憶させるとともに、ウエハステージ70の移動位置(X1 、Y1 )をレーザ干渉計LXW、LYWから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS16D)。
【0081】
次に、マスク32のマスクマークM2が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにマスクステージ80を移動させ、上記と同様にしてダイマークDM1とマスクマークM2との位置ずれ量がゼロになるようにマスクステージ80を移動させる(ステップS16E、S16F、S16G)。そして、ステップS16Fで位置ずれ量=0と判別されたときのマスクステージ80の移動位置(x2 、y2 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS16H)。
【0082】
上記のようにして測定されたマスクマークM1、M2がそれぞれダイマークDM1と一致したときのマスクステージ80の位置(x1 、y1 )、(x2 、y2 )からマスク32の回転量θM を計算する(ステップS16I)。
【0083】
図9に戻って、ステップS18では、マスクマークM2を基準にしてダイマークDM1、DM2を測定し、その測定結果に基づいてウエハパレット44の回転量θP を計算する。
【0084】
図11は上記ステップS18の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
前記ステップS16の処理が終了した時点では、ダイマークDM1とマスクマークM2とが一致している状態にあり、また、このときのウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )及びマスクステージ80の位置(x2 、y2 )は測定済みである。
【0086】
図11のステップS18Aでは、ウエハパレット44のダイマークDM2が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにウエハステージ70を移動させ、顕微鏡撮像装置100の視野内のマスクマークM2とダイマークDM2との位置ずれ量を顕微鏡撮像装置100から得られる画像信号を処理することによって測定する。この測定した位置ずれ量がゼロか否かを判別し(ステップS18B)、位置ずれ量≠0の場合には、位置ずれ量がゼロに近づく方向にウエハステージ70を移動させ(ステップS18C)、ステップS18Aで再びマスクマークM2とダイマークDM2との位置ずれ量を測定する。そして、位置ずれ量=0になるまでステップS18A、S18B、S18Cの処理を繰り返す。
【0087】
ステップS18Bで位置ずれ量=0と判別されると、そのときのウエハステージ70の移動位置(X2 、X2 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS18D)。
【0088】
上記のようにして測定されたダイマークDM1、DM2がそれぞれマスクマークM2と一致したときのウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )、(X2 、Y2 )からウエハパレット44の回転量θP を計算する(ステップS18E)。なお、ウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )は、図10のステップS16Dで既に測定されている。
【0089】
図9に戻って、ステップS20では、マスクステージ80を駆動してマスク32を転写位置に移動させ、そのときのマスクステージ80の位置(x0 、y0 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取る(ステップS20)。
【0090】
次に、転写位置に移動したマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするための各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)を計算する(ステップS22)。
【0091】
たとえば、転写位置のマスク32のマスクマークM1に、ダイマークDM1を一致させるためのウエハステージ70の移動位置(X、Y)は、次式、
【0092】
【数1】
X=X1 +(x0 −x1 )
Y=Y1 +(y0 −y1 ) …(1)
で表すことができる。
【0093】
ただし、転写位置のマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせする必要があるため、図4で説明したように予め測定されているダイマークDM1と各ダイマークDMとの位置関係を示すデータと前記式(1)で得られる位置データとに基づいて、転写位置のマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするためのウエハステージ70の位置(X、Y)を求める。
【0094】
また、マスク32の回転量θM 及びウエハパレット44の回転量θP がともにゼロの場合には、上記のようにして求めたウエハステージ70の位置(X、Y)を使用してウエハ40の各ダイDを位置合わせをすることができるが、マスク32やウエハパレット44が回転して各ステージに取り付けられている場合には、ステップS16で求めたマスク32の回転量θM 、及びステップS18で求めたウエハパレット44の回転量θP に基づいてウエハステージ70を回転させる。
【0095】
このときのウエハステージ70の回転量をθとすると、回転量θは、次式、
【0096】
【数2】
θ=θM −θP …(2)
で表すことができる。
【0097】
また、ウエハパレット44の回転量θP と上記ウエハステージ70の回転量θによってウエハパレット44のXY平面上での回転量を求めることができる。このウエハパレット44のXY平面上の回転量と、ウエハステージ70の回転中心とに基づいてウエハ40の各ダイDのダイマークDMの変位量(ウエハパレット44がXY平面上で回転していない場合を基準にした変位量)を求め、この変位量によって前記ウエハ40の各ダイDを位置合わせするためのウエハステージ70の位置(X、Y)を修正する。
【0098】
上記のようにして計算した転写位置に移動したマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするための各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)に基づいてウエハステージ70を移動させるとともに、ウエハステージ70を回転させる(ステップS24)。
【0099】
次に、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハに転写する(ステップS26)。続いて、全てのダイの転写が終了したか否かを判別し(ステップS28)、終了していない場合にはステップS24に戻って他のダイの位置合わせを行い、再びマスクパターンの転写を行う。このようにして全てのダイの転写が終了すると、ウエハをアンロードして終了する。
【0100】
図12は本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ装置の第2の実施の形態のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図であり、図13は図12に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図である。なお、図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
第1の実施の形態では、露光領域外に固定されている顕微鏡撮像装置100の視野にマスクマークMが入るようにマスク32が移動できるようになっているのに対し、第2の実施の形態では、マスクステージ82に取り付けられたマスク32は移動せず、顕微鏡撮像装置150が顕微鏡ステージ84によってX方向及びY方向に移動できるようになっている。
【0102】
なお、顕微鏡撮像装置150には、ランプハウス110から光ファイバ111、光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54、及び光ファイバ113を介して照明光が導かれるようになっている。また、この顕微鏡撮像装置150は、電子光学鏡筒102とマスク32との間に顕微鏡先端の対物レンズ等が挿入できるように構成されているが、他の内部構成は、図5に示した顕微鏡撮像装置100と同様なため、その詳細な説明は省略する。
【0103】
図14は第2の実施の形態のアライメント機構系を使用したマスクとウエハの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャートである。
【0104】
先ず、マスク32をマスクステージ82にロードし(ステップS100)、続いて、マスクマークM1が顕微鏡撮像装置150の視野に入るように顕微鏡ステージ84を移動させる(ステップS102)。また、ウエハパレット44をウエハステージ70にロードし、ダイマークDM1が顕微鏡撮像装置150の視野に入るようにウエハステージ70を移動させる(ステップS104)。
【0105】
顕微鏡撮像装置150は、視野内のマスクマークM1及びダイマークDM1にそれぞれピントが合うように対物レンズ120やパレットマーク結像用対物レンズ125を移動させる(ステップS106)。
【0106】
次に、ダイマークDM1を基準にしてマスクマークM1、M2を測定し、その測定結果に基づいてマスク32の回転量θM を計算する(ステップS108)。
【0107】
図15は上記ステップS108の詳細を示すフローチャートである。
【0108】
同図に示されるように顕微鏡撮像装置150の視野内のマスクマークM1とダイマークDM1との位置ずれ量を顕微鏡撮像装置150から得られる画像信号を処理することによって測定する(ステップS108A)。この測定した位置ずれ量がゼロか否かを判別し(ステップS108B)、位置ずれ量≠0の場合には、位置ずれ量がゼロに近づく方向にウエハステージ70を移動させ(ステップS108C)、ステップS108Aで再びマスクマークM1とダイマークDM1との位置ずれ量を測定する。そして、位置ずれ量=0になるまでステップS108A、S108B、S108Cの処理を繰り返す。
【0109】
ステップS108Bで位置ずれ量=0と判別されると、そのときのウエハステージ70の移動位置(X1 、Y1 )をレーザ干渉計LXW、LYWから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS108D)。
【0110】
次に、マスク32のマスクマークM2が顕微鏡撮像装置150の視野に入るように顕微鏡ステージ84を移動させる(ステップS108E)。なお、電子光学鏡筒102とマスク32との隙間は狭いため、マスクマークM2を視野に入れるように顕微鏡撮像装置150を移動させることができない場合が考えられるが、この場合にはマスクマークM2を観察するための他の顕微鏡撮像装置を設ける必要がある。
【0111】
その後、上記と同様にしてマスクマークM2とダイマークDM1との位置ずれ量がゼロになるようにウエハステージ70を移動させる(ステップS108F、S108G、S108H)。そして、ステップS10Gで位置ずれ量=0と判別されたときのウエハステージ70の移動位置(X2 、Y2 )をレーザ干渉計LXW、LYWから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS108I)。
【0112】
上記のようにして測定されたマスクマークM1、M2がそれぞれダイマークDM1と一致したときのウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )、(X2 、Y2 )からマスク32の回転量θM を計算する(ステップS108J)。
【0113】
図14に戻って、ステップS110では、マスクマークM2を基準にしてダイマークDM1、DM2を測定し、その測定結果に基づいてウエハパレット44の回転量θP を計算する(図11のフローチャート参照)。
【0114】
次に、顕微鏡ステージ84を駆動して顕微鏡撮像装置150を転写領域から退避させる(ステップS112)。
【0115】
続いて、マスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするための各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)を計算する(ステップS114)。なお、図9のステップS22と同様に計算することができるが、第2の実施の形態のアライメント機構系では、マスク32を移動させないため、式(1)に示した計算は不要である。
【0116】
上記のようにして計算した各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)に基づいてウエハステージ70を移動させるとともに、ウエハステージ70を回転させる(ステップS116)。
【0117】
次に、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハに転写する(ステップS118)。続いて、全てのダイの転写が終了したか否かを判別し(ステップS120)、終了していない場合にはステップS116に戻って他のダイの位置合わせを行い、再びマスクパターンの転写を行う。このようにして全てのダイの転写が終了すると、ウエハをアンロードして終了する。
【0118】
以上、本発明に係るマスクとウエハとの位置合わせ方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0119】
たとえば、本実施の形態では、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるようにマスクステージ又はウエハステージを移動させ、そのときのマクスステージ及びウエハステージの移動位置を測定するようにしたが、これに限らず、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量を顕微鏡撮像装置の画面上の位置ずれ量から測定するとともに、この測定時におけるマクスステージ及びウエハステージの移動位置を測定し、これらの測定結果に基づいてマスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるときのマスクステージ及びウエハステージの移動位置を算出するようにしてもよい。
【0120】
また、本実施の形態では、ウエハ40がウエハパレット44に搭載され、更にウエハパレット44がウエハステージ70(ウエハステージ70の電磁チャック60)に搭載される例について説明したが、これに限らず、本発明はウエハ40を直接ウエハステージ70上の電磁チャック60に吸着させる場合にも適用できる。
【0121】
また、本実施の形態では、マスク32のマスクマークMとウエハ40のダイマークDとの位置ずれ量が測定されているが、これに代えて、マスク32のマスクマークMとウエハパレット44上の少なくとも2つのパレットマークWPの位置を測定する態様であってもよい。この場合には、図4で説明したように予め測定されているパレットマークWPと各ダイマークDMとの位置関係を示すデータと前記式(1)で得られる位置データとに基づいて、位置合せを行えばよい。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0123】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0124】
更に、第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークとよりなり、かつ、第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられている。したがって、位置合わせ用のマークと撮像素子としてのCCDの測定ライン方向が完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じるという問題に有効に対処でき、マスクとウエハとの高精度の位置合わせが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマスクとウエハとの位置合わせ方法の第1の実施の形態に使用されるアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクの平面図
【図4】ウエハが搭載されたウエハパレットの平面図
【図5】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の詳細を示す光学部品配置図
【図6】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の他の実施の形態を示す光学部品配置図
【図7】顕微鏡撮像装置によってマスクマークとダイマークとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図8】電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図
【図9】本発明に係るマスクとウエハとの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャート
【図10】図9に示したフローチャート中の一部の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図11】図9に示したフローチャート中の他の一部の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図12】本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法の第2の実施の形態に使用されるアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図13】図12に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図14】本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の他の実施の形態の動作手順を示すフローチャート
【図15】図14に示したフローチャート中の一部の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図16】電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図
【図17】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図18】電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【図19】従来例における、マスクマークとパレットマークによってマスクとウエハとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図20】従来例における、マスクマークとパレットマークによってマスクとウエハとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【符号の説明】
15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、32…マスク、40…ウエハ、44…ウエハパレット、70…ウエハステージ、80…マスクステージ、84…顕微鏡ステージ、100、150…顕微鏡撮像装置、110…ランプハウス、120…対物レンズ、123…マスクマーク結像用対物レンズ、125…ダイマーク結像用対物レンズ、130、131、145…CCD、200…CPU、203…メモリ、204、206…ステージ駆動回路、LXM、LYM、LXW、LYW…レーザ干渉計、M…マスクマーク、WP…パレットマーク、D…ダイ、DM…ダイマーク
【発明の属する技術分野】
本発明はマスクとウエハとの位置合わせ方法に係り、特に半導体ウエハに近接配置されたマスクのマスクパターンをウエハ上のレジスト層に等倍転写する露光装置におけるマスクとウエハとの位置合わせ方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の露光装置として、電子ビーム近接露光装置が提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
図16は上記電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図である。この電子ビーム近接露光装置10は、主として電子ビーム15を発生する電子ビーム源14、電子ビーム15を平行ビームにするレンズ16及び整形アパーチャ18を含む電子銃12と、主偏向器22、24及び副偏向器26、28を含み、電子ビームを光軸に平行に走査する走査手段20と、マスク30とから構成されている。
【0004】
前記マスク30は、表面にレジスト層42が形成されたウエハ40に近接するように(マスク30とウエハ40との隙間が、たとえば50μmとなるように)配置される。この状態で、マスク30に垂直に電子ビームを照射すると、マスク30のマスクパターンを通過した電子ビームがウエハ40上のレジスト層42に照射される。
【0005】
また、走査手段20は、図17に示されるように電子ビーム15がマスク30の全面を走査するように電子ビームを偏向制御する。これにより、マスク30のマスクパターンがウエハ40上のレジスト層42に等倍転写される。
【0006】
この電子ビーム近接露光装置10は、図18に示されるように真空チャンバ50内に設けられている。また、真空チャンバ50内には、ウエハ40を吸着するために静電チャック60と、この静電チャック60に吸着されたウエハ40を水平の直交2軸方向(X方向及びY方向)に移動させるとともに、水平面内で回転させるためのウエハステージ70が設けられている。ウエハステージ70は、マスクパターンの等倍転写が終了するごとにウエハ40を所定量移動させ、これにより1枚のウエハ40に複数のマスクパターンが転写できるようにしている。
【0007】
なお、図18上で、マスク30をX方向及びY方向に移動させることができるマスクステージ80が設けられ、ウエハ40の導通をとるために、ウエハ40の上面に押し当てられた導通ピン81が設けられる。
【0008】
ところで、ウエハはそれぞれマスクパターンの異なる複数のマスクを用いて複数回露光され、これにより集積回路が形成される。そして、各マスクパターンの露光時には、露光するマスクパターンが、既に露光済みのマスクパターンと所定の位置関係になるようにマスクとウエハとを相対的に位置合わせを行う必要がある。
【0009】
一方、従来のマスクとウエハとの位置合わせ方法として、斜方検出法が知られている(特許文献2参照。)。
【0010】
斜方検出法は、撮影光軸がウエハに近接配置されたマスク面に対して斜めになるように光学系を配置し、ウエハに設けられた位置合わせ用のウエハマークと、マスクに設けられた位置合わせ用のマスクマークとを同時に撮像し、その撮像した画像から各マーク間の位置ずれを検出し、この位置ずれがゼロになるようにマスクとウエハとを位置合わせするようにしている。
【0011】
この斜方検出法は、露光を遮らないように顕微鏡撮像装置を配置することができ、露光中に光学系を退避させる必要がなく、露光中でも各マークを撮像することができるという利点がある。
【0012】
また、この斜方検出法を更に改善した方法として、後述するマスクとウエハの位置合わせ方法及び装置が本出願人によりなされている(特許文献3参照)。この方法において、マスクに設けられた位置合わせ用のマークと、ウエハが搭載されるパレット又はウエハに設けられた位置合わせ用のマークとを各マークが設けられた面と直交する方向から同時に撮像する顕微鏡撮像装置が提案されており、また、図19に示されるようなマークが提案されている。
【0013】
同図は、顕微鏡撮像装置の視野V内にマスクマークMと、パレットマークWPとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMX と、マスクのY方向の位置を検出するための5×2個の開口からなるマスクマークMY とから構成されており、パレットマークWPは、ウエハパレットのX方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPX と、ウエハパレットのY方向の位置を検出するための5本の凸部(又は凹部)からなるパレットマークWPY とから構成されている。
【0014】
また、マスク32には、マスク32の下方に位置するパレットマークWPを観察するためのL字状の開口33が形成されている。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第5,831,272 号(日本特許第2951947 号に対応)
【0016】
【特許文献2】
特開平11−243048号公報
【0017】
【特許文献3】
特開2003−37036号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の位置合わせ方法によっても、位置合わせ精度に限界があり、更に精度の向上が期待されている。すなわち、撮像素子としてのCCDは、たとえば、1ピッチが6μmであり、顕微鏡撮像装置内で100倍に拡大してもウエハ又はマスクの60nm以下の検出ができない。また、位置合わせ用のマークと撮像素子としてのCCDの測定ライン方向が完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じるという問題がある、また、顕微鏡撮像装置のフォーカス状態によって位置合わせ精度に誤差を生じることも確認されている。
【0019】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、1つの顕微鏡撮像装置によってマスクとウエハとの高精度の位置合わせを、従来を上回る高精度で実現することができるマスクとウエハとの位置合わせ方法を提供することを目的とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本願請求項1に係る発明は、ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置におけるマスクとウエハとの位置合わせ方法において、前記マスク又は前記ウエハが搭載されるパレット若しくは前記ウエハの一方に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記マスク又は前記パレット若しくは前記ウエハの他方に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを撮像素子により撮像するステップと、撮像された前記第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクと前記ウエハとを相対的に位置合わせするステップとを含み、前記第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークと、Y方向の位置を検出するための第1のYマークとからなり、前記第1のXマーク及び第2のXマークは、いずれも長手方向がY方向を向きかつX方向に平行に配される複数本の線パターンであり、かつ、前記第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられ、前記第1のYマークは、長手方向がX方向を向きかつY方向に平行に配される複数本の線パターンであり、前記第2のマークは、X方向の位置を検出するための第3のXマークと、Y方向の位置を検出するための第2のYマークとからなり、前記第3のXマークは、長手方向がY方向を向きかつX方向に平行に配される複数本の線パターンであり、前記第2のYマークは、長手方向がX方向を向きかつY方向に平行に配される複数本の線パターンであることを特徴としている。
【0021】
すなわち、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0022】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0023】
更に、第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークとよりなり、かつ、第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられている。したがって、位置合わせ用のマークと撮像素子としてのCCDの測定ライン方向が完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じるという問題に有効に対処でき、マスクとウエハとの高精度の位置合わせが実現できる。
【0024】
なお、X方向及びY方向とは、一般的に観念されているように、水平の直交2軸方向を指す。したがって、本明細書の各平面図において、特にことわりのない場合には、X方向は紙面の左右方向を、Y方向は紙面の上下方向を示す。
【0025】
本願請求項2に示されるように、前記撮像素子を有する顕微鏡撮像装置の視野内に前記第1のマーク及び前記第2のマークが入っているときに、前記第3のXマークが前記第1のXマーク及び前記第2のXマークと対向する位置に配置され、前記第2のYマークが前記第1のYマークと対向する位置に配置されることを特徴としている。
【0026】
すなわち、このような構成を採ることにより、第1のマークと第2のマークとのX方向及びY方向の高精度の位置合わせが可能となる。
【0027】
本願請求項3に示されるように、前記第1のマークと第2のマークとを撮像素子により撮像するステップにおいて、前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置によって略同時に撮像することを特徴としている。
【0028】
すなわち、第1のマークと第2のマークとが同時に撮像されることにより、顕微鏡撮像装置等の移動により生じる精度不良、経時的な精度不良(ウエハやマスクの熱膨張・収縮等)が生じない。
【0029】
本願請求項4に示されるように、前記マスクには、前記パレット又はウエハに設けられた第1のマーク又は第2のマークを撮像するための開口が形成されていることを特徴としている。
【0030】
すなわち、マスクの膜厚が小さければ、マスクを透過して第2のマーク(又は第1のマーク)を撮像できるが、マスクに開口が形成されていれば、第2のマーク(又は第1のマーク)の撮像はより確実に行える。
【0031】
本願請求項5に示されるように、前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップにおいて、撮像された前記第1のマーク及び/又は前記第2のマークと前記撮像素子との水平方向傾き角度を算出し、該算出結果より前記水平方向傾き角度がゼロになるように撮像された画像データを座標変換し、次いで前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定することを特徴としている。
【0032】
すなわち、第1のマーク又は第2のマークと撮像素子との水平方向傾き角度(回転量)に誤差があると、第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量の測定誤差を生じることとなる。測定の際にこのようなマークと撮像素子との回転量が得られていれば、回転量がゼロになるように撮像された画像データを座標変換できる。これにより、第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量の測定誤差を最小限に抑えることができる。
【0033】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法の好ましい実施の形態について説明する。
【0034】
図1は本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法の第1の実施の形態に使用されるアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図であり、図2は図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図である。なお、電子ビーム近接露光装置としての主要な構成は、図16乃至図18に示したものと同様のため、その詳細な説明は省略する。
【0035】
図1及び図2に示されるように、この電子ビーム近接露光装置には、1つのアライメントユニット(顕微鏡撮像装置)100が、真空チャンバ50内のフレーム52に固定されている。この顕微鏡撮像装置100は、電子ビーム近接露光装置による転写時に邪魔にならない露光領域外に固定されている。なお、図1及び図2上で102は電子光学鏡筒である。
【0036】
顕微鏡撮像装置100の照明手段を構成するランプハウス110は、真空チャンバ50の外側に配設され、このランプハウス110から出射される照明光は、光ファイバ111、照明用の光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54を介して顕微鏡撮像装置100内に導かれるようになっている。
【0037】
マスク32が取り付けられているマスクステージ80は、X方向及びY方向に移動できるようになっている。
【0038】
図3はマスク32の平面図である。このマスク32は、8インチマスクであり、4種類のマスクパターンP1〜P4が形成されている。また、各マスクパターンの左右の位置には、位置合わせ用のマスクマークM(第1のマーク)が形成されており、各マスクパターンとマスクマークMとは一定の関係をもって形成されている。なお、図3上で、M1、M2は、マスクパターンP1の左右の位置に形成されたマスクマークを示している。
【0039】
顕微鏡撮像装置100によってマスクマークM1を観察する場合には、このマスクマークM1が顕微鏡撮像装置100の視野Vに入るようにマスクステージ80を移動させる。なお、このマスクステージ80の位置(x、y)は、レーザ干渉計LXM、LYM(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0040】
一方、ウエハ40は、図4に示されるようにウエハパレット44上に図示しない電磁チャックによって吸着固定される。このウエハパレット44は、図18に示したウエハステージ70の電磁チャック60上に搭載され固定される。なお、図18は、ウエハパレット44を使用せずに、ウエハ40が直接電磁チャック60上に搭載されている場合に関して示している。
【0041】
ウエハパレット44には、図4に示されるようにパレットマークWP1、WP2(第2のマーク)が設けられている。これらのパレットマークWP1、WP2は、ウエハ40の上面と面一の位置にマークが形成されている。
【0042】
また、ウエハ40には、各種のマスクパターンの転写等によって複数のダイDが形成されるが、これらのダイDの位置合わせ用のダイマークDM(第2のマーク)がウエハ40上に形成されている。なお、パレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係は、ウエハ40をウエハパレット44に搭載した後、別途測定されデータとして保存されている。したがって、ウエハステージ70上でのパレットマークWP1、WP2の位置が検知できれば、各ダイマークDMの位置は前記パレットマークWP1、WP2と各ダイマークDMとの位置関係から計算で求めることができる。なお、ウエハステージ70の位置(X、Y)は、レーザ干渉計LXW、LYW(図8参照)によって測定できるようになっている。
【0043】
図1及び図2に示した顕微鏡撮像装置100は、マスク32のマスクマークM1又はM2とダイマークDM1若しくはDM2又はパレットマークWP1若しくはWP2とを同時に観察し、及び、マスク32のマスクマークM2とダイマークDM2又はパレットマークWP2とを同時に観察し、各マーク間の位置ずれ量を測定するもので、マスク面及びウエハパレット面(ウエハ面)と直交する方向から同時に撮像するとともに、高さ(Z方向の位置)が異なる各マークに同時にピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有している。
【0044】
図5は上記顕微鏡撮像装置100の詳細を示す光学部品配置図である。同図に示されるように顕微鏡撮像装置100の結像光学系は、対物レンズ120を共通にして3つの光路に分岐している。すなわち、顕微鏡撮像装置100は、マスクマークMを固体撮像素子(CCD)130に結像させるマスクマーク撮像用光学系と、ダイマークDM又はパレットマークWPをCCD131に結像させるダイマーク撮像用光学系と、マスクマークMをCCD132に結像させるオートフォーカス用光学系とを有している。
【0045】
マスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、及びマスクマーク結像用対物レンズ123から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びダイマーク結像用対物レンズ125から構成され、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー121、122、124及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0046】
また、顕微鏡撮像装置100は、対物レンズ120、ハーフミラー121、全反射ミラー127、レンズ128、及び光学系112、光ファイバ111からなる照明用光学系と、この照明用光学系を介して照明光を出射するランプハウス110とからなる照明手段を有している。なお、照明光学系内の光学系112は、NA可変絞り112A、レンズ112B、及び視野可変絞り112Cから構成されている。
【0047】
また、対物レンズ120及びダイマーク結像用対物レンズ125は、それぞれ光軸方向に微小量移動できるようになっており、対物レンズ120をたとえばピエゾ素子によって移動させることによってマスクマークMがCCD130に結像するようにピント調整が行われ、ダイマーク結像用対物レンズ125を移動させることによってダイマークDM又はパレットマークWPがCCD131に結像するようにピント調整が行われる。
【0048】
すなわち、対物レンズ120は、オートフォーカス用光学系を介してマスクマークMを撮像するCCD132の出力信号のコントラストが最大になるように自動的にレンズ位置が制御される。ここで、オートフォーカス用光学系及びマスクマーク撮像用光学系は、マスクマークMがCCD132に結像されるときにCCD130にも結像されるように予め調整されている。したがって、CCD132にマスクマークMが結像するように対物レンズ120を移動させることにより、CCD130にマスクマークMを結像させることができる。なお、オートフォーカス用光学系は、ピント調整が容易にできるようにマスクマーク撮像用光学系よりも撮影倍率が低くなっている。
【0049】
また、CCD131は、マスク32からたとえば50μm下側に配置されるウエハ40(パレット)が結像するようにダイマーク結像用対物レンズ125の位置が調整されているが、マスク32とウエハ40との隙間が変更される場合にもダイマークDM又はパレットマークWPが結像できるように、ダイマーク結像用対物レンズ125は、たとえば超音波モータなどによって光軸方向に微小量移動できるようになっている。
【0050】
なお、この実施の形態では、対物レンズ120とダイマーク結像用対物レンズ125とがそれぞれピント調整用に光軸方向に移動できるようになっているが、これに限らず、対物レンズ120、マスクマーク結像用対物レンズ123及びダイマーク結像用対物レンズ125のうちの少なくとも2つが光軸方向に移動できるように構成すれば、マスクマークM及びダイマークDM又はパレットマークWPにそれぞれピントを合わせることができる。
【0051】
また、この顕微鏡撮像装置100は、瞳位置に図示しない位相差板が着脱できるようになっており、位相差顕微鏡としての機能を備えている。更に、この顕微鏡撮像装置100に適用される照明手段は、落射照明又は臨界照明に手動で切り替えられるように構成されている。
【0052】
また、この実施の形態では、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとがそれぞれ結像される2つのCCD(CCD130、131)を設けるようにしているが、2組の結像光学系の光路をミラーやハーフミラーを介して合流させ、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させるようにしてもよい。
【0053】
図6はマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを1つのCCDに結像させる顕微鏡撮像装置100’の光学部品配置図である。なお、図5と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0054】
図6に示されるように、この顕微鏡撮像装置100’のマスクマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、反射ミラー143、マスクマーク結像用対物レンズ123、及びハーフミラー144から構成され、ダイマーク撮像用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用対物レンズ125、ハーフミラー142、及び144から構成されている。また、オートフォーカス用光学系は、対物レンズ120、ハーフミラー140、141、ダイマーク結像用対物レンズ125、ハーフミラー142、及びフォーカス用レンズ126から構成されている。
【0055】
上記構成のマスクマーク撮像用光学系及びダイマーク撮像用光学系は、同一のアライメント用CCD145にマスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとを同時に結像させることができる。
【0056】
次に、マスクマークMとダイマークDM又はパレットマークWPとの位置ずれ量の検出方法について説明する。
【0057】
図7は顕微鏡撮像装置100、100’の視野V内にマスクマークMと、ダイマークDMとを入れた場合に関して示している。マスクマークMは、マスクのX方向の位置を検出するための2箇所に配される第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2と、マスクのY方向の位置を検出するための第1のYマークMY とからなる。
【0058】
このうち、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2は、いずれもY方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成され、また、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2はY方向に所定距離離れて対向して設けられている。第1のYマークMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの開口から構成されている。第1のYマークMY のX方向の配置位置は、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2の右方であり、Y方向の配置位置は、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2の中間位置である。
【0059】
ダイマークDMは、ウエハのX方向の位置を検出するための第3のXマークであるダイマークDMX と、ウエハのY方向の位置を検出するための第2のYマークであるダイマークDMY とからなる。このうち、ダイマークDMX は、Y方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成され、ダイマークDMY は、X方向を向いた5本の平行線パターンの凸部(又は凹部)から構成されている。
【0060】
これらのダイマークDMX 及びダイマークDMY は、顕微鏡撮像装置100、100’の視野V内に、マスクマークM及びダイマークDMが入っているときに、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2と対向する位置にダイマークDMX が配され、第1のYマークMY と対向する位置にダイマークDMY が配されるような位置に設けられる。
【0061】
すなわち、図7において、ダイマークDMX は、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2とのY方向の中間に配されており、ダイマークDMY はダイマークDMX をX方向の中間に挟んで第1のYマークMY と対向する位置に配されている。
【0062】
また、マスク32には、マスク32の下方に位置するダイマークDM又はパレットマークWPを観察するための矩形の開口33が形成されている。この開口33により、ダイマークDMでの散乱光による像は、マスク32によって減衰することなく撮像されるため、ダイマークDMの像と背景とのコントラストが低下することがない。
【0063】
マスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を求める場合には、マスクマークMが結像されるCCD130から得られる画像信号を信号処理し、第1のXマークMX1及び第2のXマークMX2の中心位置とマスクマークMY の中心位置をそれぞれ求める。同様にしてダイマークDMが結像されるCCD131から得られる画像信号を信号処理し、ダイマークDMX の中心位置とダイマークDMY の中心位置をそれぞれ求める。
【0064】
上記のようにして求めたマスクマークMの中心位置を示すCCD130上の画素位置と、ダイマークDMの中心位置を示すCCD131上の画素位置との画素位置の差分に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を測定する。そして、測定した位置ずれ量がゼロになるように、ウエハステージ70又はマスクステージ80を移動させ、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とを一致させる。
【0065】
なお、図7は、マスクマークMが示す位置とダイマークDMが示す位置とが一致している場合に関して示している。また、顕微鏡撮像装置100、100’の対物レンズ120が微小量移動すると、撮影倍率が変動するが、図7に示される形状のマスクマークMが示す位置及びダイマークDMが示す位置は、顕微鏡撮像装置100、100’の撮影倍率が変動しても変化量が極めて少ない。
【0066】
次に、マスクマークM、ダイマークDM又はパレットマークWPと顕微鏡撮像装置100、100’のCCDの測定ラインが完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じる原理、及び、この誤差を補正する手段について説明する。
【0067】
図19及び図20は、従来例におけるマスクとウエハとの位置ずれ量を検出する方法を説明する図である。なお、既述の図19は、マスクマークMが示す位置とパレットマークWPが示す位置とが一致している場合に関して示している。
【0068】
図20において、マスクマークMによる中心位置は、X方向中央のマスクマークMX の中心線CMXと、Y方向中央のマスクマークMY の中心線CMYとの交点であるO1である。一方、図示のように顕微鏡がマスクマークMに対し回転して配置された状態、すなわち、マスクマークMと顕微鏡撮像装置100のCCD(撮像素子)とが水平方向に所定の傾き角度を生じている状態では、CCDの中心位置は、X方向の中心線CXと、Y方向の中心線CYとの交点であるO3である。従って、O1とO3とは一致せず、この結果誤差を生じることとなる。
【0069】
このような誤差を補正するためには、本発明で提案された第1のXマーク(図7におけるMX1)と第2のXマーク(図7におけるMX2)との組み合わせが有効である。すなわち、第1のXマークMX1と第2のXマークMX2とが離れて設けられていることにより、これらのマークの中心線が容易に求まる。これにより、これらのマークの中心線とCCD(撮像素子)とが水平方向に所定の傾き角度を生じている状態であっても、この傾き角度を容易に解消できる。
【0070】
図8は電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図である。同図において、中央処理装置(CPU)200は、装置全体を統括制御するもので、マスクとウエハとの位置合わせ時の処理、露光時の電子ビームの偏向制御等を行う。顕微鏡撮像装置100及び顕微鏡撮像装置100’での撮像によって得られたマスクマークM及びダイマークDMを示す各画像信号は、信号処理回路202に加えられる。信号処理回路202は、入力した各画像信号に基づいてマスクマークMとダイマークDMとの位置ずれ量を算出する。
【0071】
CPU200は、信号処理回路202から入力する位置ずれ量がゼロになるようにステージ駆動回路204を介してウエハステージ70を移動させ、又はステージ駆動回路206を介してマスクステージ80を移動させる。
【0072】
また、CPU200は、マスクマークMとダイマークDMとが一致したときのウエハステージ70のX方向及びY方向の位置(X、Y)をレーザ干渉計LXW、LYWから取り込み、同様にマスクステージ80のX方向及びY方向の位置(x、y)をレーザ干渉計LXM、LYMから取り込み、メモリ203に記憶させる。また、メモリ203には、図4で説明したようにパレットマークWP1、WP2と、各ダイマークDMとの位置関係を示すデータが保存されている。なお、メモリ203に記憶したウエハステージ70やマスクステージ80の位置等に基づくマスクとウエハとの位置合わせ制御の詳細については後述する。
【0073】
更に、CPU200は、マスクを走査する際の偏向量データとともにマスクの歪みに応じた補正データをデジタル演算回路205に供給し、デジタル演算回路205は偏向量データに基づいてマスクを走査するためのデジタル信号を主DAC/AMP208に出力し、補正データに基づいてマスクの歪みを補正するためのデジタル信号を副DAC/AMP210に出力する。
【0074】
主DAC/AMP208は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図16に示される主偏向器22、24に出力する。これにより、電子ビーム15は、光軸と平行な状態を維持したまま、図17に示されるようにマスクの全面を走査するように偏向される。また、副DAC/AMP210は、入力したデジタル信号をアナログ信号に変換したのち増幅し、これを図16に示される副偏向器26、28に出力する。これにより、電子ビーム15のマスクへの入射角度が制御され、マスクが歪んでいてもマスクパターンを正規の位置に転写できるようにしている。
【0075】
図9は本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャートである。
【0076】
先ず、マスク32をマスクステージ80にロードし、マスクマークM1が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにマスクステージ80を移動させる(ステップS10)。同様にしてウエハパレット44をウエハステージ70にロードし、ダイマークDM1が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにウエハステージ70を移動させる(ステップS12)。
【0077】
顕微鏡撮像装置100は、視野内のマスクマークM1及びダイマークDM1にそれぞれピントが合うように図5で説明したように対物レンズ120やダイマーク結像用対物レンズ125を移動させる(ステップS14)。
【0078】
続いて、ダイマークDM1を基準にしてマスクマークM1、M2を測定し、その測定結果に基づいてマスク32の回転量θM を計算する(ステップS16)。
【0079】
図10は上記ステップS16の詳細を示すフローチャートである。同図に示されるように顕微鏡撮像装置100の視野内のダイマークDM1とマスクマークM1との位置ずれ量を顕微鏡撮像装置100から得られる画像信号を処理することによって測定する(ステップS16A)。この測定した位置ずれ量がゼロか否かを判別し(ステップS16B)、位置ずれ量≠0の場合には、位置ずれ量がゼロに近づく方向にマスクステージ80を移動させ(ステップS16C)、ステップS16Aで再びダイマークDM1とマスクマークM1との位置ずれ量を測定する。そして、位置ずれ量=0になるまでステップS16A、S16B、S16Cの処理を繰り返す。
【0080】
ステップS16Bで位置ずれ量=0と判別されると、そのときのマスクステージ80の移動位置(x1 、y1 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取ってメモリ203に記憶させるとともに、ウエハステージ70の移動位置(X1 、Y1 )をレーザ干渉計LXW、LYWから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS16D)。
【0081】
次に、マスク32のマスクマークM2が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにマスクステージ80を移動させ、上記と同様にしてダイマークDM1とマスクマークM2との位置ずれ量がゼロになるようにマスクステージ80を移動させる(ステップS16E、S16F、S16G)。そして、ステップS16Fで位置ずれ量=0と判別されたときのマスクステージ80の移動位置(x2 、y2 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS16H)。
【0082】
上記のようにして測定されたマスクマークM1、M2がそれぞれダイマークDM1と一致したときのマスクステージ80の位置(x1 、y1 )、(x2 、y2 )からマスク32の回転量θM を計算する(ステップS16I)。
【0083】
図9に戻って、ステップS18では、マスクマークM2を基準にしてダイマークDM1、DM2を測定し、その測定結果に基づいてウエハパレット44の回転量θP を計算する。
【0084】
図11は上記ステップS18の詳細を示すフローチャートである。
【0085】
前記ステップS16の処理が終了した時点では、ダイマークDM1とマスクマークM2とが一致している状態にあり、また、このときのウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )及びマスクステージ80の位置(x2 、y2 )は測定済みである。
【0086】
図11のステップS18Aでは、ウエハパレット44のダイマークDM2が顕微鏡撮像装置100の視野に入るようにウエハステージ70を移動させ、顕微鏡撮像装置100の視野内のマスクマークM2とダイマークDM2との位置ずれ量を顕微鏡撮像装置100から得られる画像信号を処理することによって測定する。この測定した位置ずれ量がゼロか否かを判別し(ステップS18B)、位置ずれ量≠0の場合には、位置ずれ量がゼロに近づく方向にウエハステージ70を移動させ(ステップS18C)、ステップS18Aで再びマスクマークM2とダイマークDM2との位置ずれ量を測定する。そして、位置ずれ量=0になるまでステップS18A、S18B、S18Cの処理を繰り返す。
【0087】
ステップS18Bで位置ずれ量=0と判別されると、そのときのウエハステージ70の移動位置(X2 、X2 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS18D)。
【0088】
上記のようにして測定されたダイマークDM1、DM2がそれぞれマスクマークM2と一致したときのウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )、(X2 、Y2 )からウエハパレット44の回転量θP を計算する(ステップS18E)。なお、ウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )は、図10のステップS16Dで既に測定されている。
【0089】
図9に戻って、ステップS20では、マスクステージ80を駆動してマスク32を転写位置に移動させ、そのときのマスクステージ80の位置(x0 、y0 )をレーザ干渉計LXM、LYMから読み取る(ステップS20)。
【0090】
次に、転写位置に移動したマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするための各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)を計算する(ステップS22)。
【0091】
たとえば、転写位置のマスク32のマスクマークM1に、ダイマークDM1を一致させるためのウエハステージ70の移動位置(X、Y)は、次式、
【0092】
【数1】
X=X1 +(x0 −x1 )
Y=Y1 +(y0 −y1 ) …(1)
で表すことができる。
【0093】
ただし、転写位置のマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせする必要があるため、図4で説明したように予め測定されているダイマークDM1と各ダイマークDMとの位置関係を示すデータと前記式(1)で得られる位置データとに基づいて、転写位置のマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするためのウエハステージ70の位置(X、Y)を求める。
【0094】
また、マスク32の回転量θM 及びウエハパレット44の回転量θP がともにゼロの場合には、上記のようにして求めたウエハステージ70の位置(X、Y)を使用してウエハ40の各ダイDを位置合わせをすることができるが、マスク32やウエハパレット44が回転して各ステージに取り付けられている場合には、ステップS16で求めたマスク32の回転量θM 、及びステップS18で求めたウエハパレット44の回転量θP に基づいてウエハステージ70を回転させる。
【0095】
このときのウエハステージ70の回転量をθとすると、回転量θは、次式、
【0096】
【数2】
θ=θM −θP …(2)
で表すことができる。
【0097】
また、ウエハパレット44の回転量θP と上記ウエハステージ70の回転量θによってウエハパレット44のXY平面上での回転量を求めることができる。このウエハパレット44のXY平面上の回転量と、ウエハステージ70の回転中心とに基づいてウエハ40の各ダイDのダイマークDMの変位量(ウエハパレット44がXY平面上で回転していない場合を基準にした変位量)を求め、この変位量によって前記ウエハ40の各ダイDを位置合わせするためのウエハステージ70の位置(X、Y)を修正する。
【0098】
上記のようにして計算した転写位置に移動したマスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするための各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)に基づいてウエハステージ70を移動させるとともに、ウエハステージ70を回転させる(ステップS24)。
【0099】
次に、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハに転写する(ステップS26)。続いて、全てのダイの転写が終了したか否かを判別し(ステップS28)、終了していない場合にはステップS24に戻って他のダイの位置合わせを行い、再びマスクパターンの転写を行う。このようにして全てのダイの転写が終了すると、ウエハをアンロードして終了する。
【0100】
図12は本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ装置の第2の実施の形態のアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図であり、図13は図12に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図である。なお、図1及び図2に示した第1の実施の形態と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0101】
第1の実施の形態では、露光領域外に固定されている顕微鏡撮像装置100の視野にマスクマークMが入るようにマスク32が移動できるようになっているのに対し、第2の実施の形態では、マスクステージ82に取り付けられたマスク32は移動せず、顕微鏡撮像装置150が顕微鏡ステージ84によってX方向及びY方向に移動できるようになっている。
【0102】
なお、顕微鏡撮像装置150には、ランプハウス110から光ファイバ111、光学系112、及び真空チャンバ50の天板に設けられた窓54、及び光ファイバ113を介して照明光が導かれるようになっている。また、この顕微鏡撮像装置150は、電子光学鏡筒102とマスク32との間に顕微鏡先端の対物レンズ等が挿入できるように構成されているが、他の内部構成は、図5に示した顕微鏡撮像装置100と同様なため、その詳細な説明は省略する。
【0103】
図14は第2の実施の形態のアライメント機構系を使用したマスクとウエハの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャートである。
【0104】
先ず、マスク32をマスクステージ82にロードし(ステップS100)、続いて、マスクマークM1が顕微鏡撮像装置150の視野に入るように顕微鏡ステージ84を移動させる(ステップS102)。また、ウエハパレット44をウエハステージ70にロードし、ダイマークDM1が顕微鏡撮像装置150の視野に入るようにウエハステージ70を移動させる(ステップS104)。
【0105】
顕微鏡撮像装置150は、視野内のマスクマークM1及びダイマークDM1にそれぞれピントが合うように対物レンズ120やパレットマーク結像用対物レンズ125を移動させる(ステップS106)。
【0106】
次に、ダイマークDM1を基準にしてマスクマークM1、M2を測定し、その測定結果に基づいてマスク32の回転量θM を計算する(ステップS108)。
【0107】
図15は上記ステップS108の詳細を示すフローチャートである。
【0108】
同図に示されるように顕微鏡撮像装置150の視野内のマスクマークM1とダイマークDM1との位置ずれ量を顕微鏡撮像装置150から得られる画像信号を処理することによって測定する(ステップS108A)。この測定した位置ずれ量がゼロか否かを判別し(ステップS108B)、位置ずれ量≠0の場合には、位置ずれ量がゼロに近づく方向にウエハステージ70を移動させ(ステップS108C)、ステップS108Aで再びマスクマークM1とダイマークDM1との位置ずれ量を測定する。そして、位置ずれ量=0になるまでステップS108A、S108B、S108Cの処理を繰り返す。
【0109】
ステップS108Bで位置ずれ量=0と判別されると、そのときのウエハステージ70の移動位置(X1 、Y1 )をレーザ干渉計LXW、LYWから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS108D)。
【0110】
次に、マスク32のマスクマークM2が顕微鏡撮像装置150の視野に入るように顕微鏡ステージ84を移動させる(ステップS108E)。なお、電子光学鏡筒102とマスク32との隙間は狭いため、マスクマークM2を視野に入れるように顕微鏡撮像装置150を移動させることができない場合が考えられるが、この場合にはマスクマークM2を観察するための他の顕微鏡撮像装置を設ける必要がある。
【0111】
その後、上記と同様にしてマスクマークM2とダイマークDM1との位置ずれ量がゼロになるようにウエハステージ70を移動させる(ステップS108F、S108G、S108H)。そして、ステップS10Gで位置ずれ量=0と判別されたときのウエハステージ70の移動位置(X2 、Y2 )をレーザ干渉計LXW、LYWから読み取ってメモリ203に記憶させる(ステップS108I)。
【0112】
上記のようにして測定されたマスクマークM1、M2がそれぞれダイマークDM1と一致したときのウエハステージ70の位置(X1 、Y1 )、(X2 、Y2 )からマスク32の回転量θM を計算する(ステップS108J)。
【0113】
図14に戻って、ステップS110では、マスクマークM2を基準にしてダイマークDM1、DM2を測定し、その測定結果に基づいてウエハパレット44の回転量θP を計算する(図11のフローチャート参照)。
【0114】
次に、顕微鏡ステージ84を駆動して顕微鏡撮像装置150を転写領域から退避させる(ステップS112)。
【0115】
続いて、マスク32に対してウエハ40の各ダイDを位置合わせするための各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)を計算する(ステップS114)。なお、図9のステップS22と同様に計算することができるが、第2の実施の形態のアライメント機構系では、マスク32を移動させないため、式(1)に示した計算は不要である。
【0116】
上記のようにして計算した各ダイDの位置(ウエハステージ70の位置(X、Y)とウエハステージ70の回転量θ)に基づいてウエハステージ70を移動させるとともに、ウエハステージ70を回転させる(ステップS116)。
【0117】
次に、電子ビームによってマスク32に形成されたマスクパターンをウエハに転写する(ステップS118)。続いて、全てのダイの転写が終了したか否かを判別し(ステップS120)、終了していない場合にはステップS116に戻って他のダイの位置合わせを行い、再びマスクパターンの転写を行う。このようにして全てのダイの転写が終了すると、ウエハをアンロードして終了する。
【0118】
以上、本発明に係るマスクとウエハとの位置合わせ方法の実施形態の例について説明したが、本発明は上記実施形態の例に限定されるものではなく、各種の態様が採り得る。
【0119】
たとえば、本実施の形態では、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるようにマスクステージ又はウエハステージを移動させ、そのときのマクスステージ及びウエハステージの移動位置を測定するようにしたが、これに限らず、マスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量を顕微鏡撮像装置の画面上の位置ずれ量から測定するとともに、この測定時におけるマクスステージ及びウエハステージの移動位置を測定し、これらの測定結果に基づいてマスクマークMとダイマークDとの位置ずれ量がゼロになるときのマスクステージ及びウエハステージの移動位置を算出するようにしてもよい。
【0120】
また、本実施の形態では、ウエハ40がウエハパレット44に搭載され、更にウエハパレット44がウエハステージ70(ウエハステージ70の電磁チャック60)に搭載される例について説明したが、これに限らず、本発明はウエハ40を直接ウエハステージ70上の電磁チャック60に吸着させる場合にも適用できる。
【0121】
また、本実施の形態では、マスク32のマスクマークMとウエハ40のダイマークDとの位置ずれ量が測定されているが、これに代えて、マスク32のマスクマークMとウエハパレット44上の少なくとも2つのパレットマークWPの位置を測定する態様であってもよい。この場合には、図4で説明したように予め測定されているパレットマークWPと各ダイマークDMとの位置関係を示すデータと前記式(1)で得られる位置データとに基づいて、位置合せを行えばよい。
【0122】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、顕微鏡撮像装置は、第1のマーク及び第2のマークが設けられている面と直交する方向から各マークを同時に撮像することができるとともに、各マークにそれぞれピントが合った画像信号を得ることができる。そして、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマーク及び第2のマークの画像信号に基づいて第1のマークと第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するようにしている。すなわち、各マークが設けられている面と直交する方向から各マークを撮像することにより、1つの顕微鏡撮像装置によって第1のマークと第2のマークとの二次元の位置ずれ量を測定することができる。
【0123】
また、顕微鏡撮像装置の基準位置(たとえば、顕微鏡の十字マーク)を基準にして第1のマーク及び第2のマークの位置を測定しておらず、顕微鏡撮像装置から同時に得られる第1のマークと第2のマークとの画像信号に基づいて各マーク間の相対的な位置ずれ量を測定するようにしたため、顕微鏡撮像装置の基準位置の変動に影響を受けない位置ずれ量の測定ができる。
【0124】
更に、第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークとよりなり、かつ、第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられている。したがって、位置合わせ用のマークと撮像素子としてのCCDの測定ライン方向が完全に平行に位置決めされないと回転誤差を生じるという問題に有効に対処でき、マスクとウエハとの高精度の位置合わせが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るマスクとウエハとの位置合わせ方法の第1の実施の形態に使用されるアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図2】図1に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図3】図1に示した電子ビーム近接露光装置に使用されるマスクの平面図
【図4】ウエハが搭載されたウエハパレットの平面図
【図5】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の詳細を示す光学部品配置図
【図6】本発明に適用される顕微鏡撮像装置の他の実施の形態を示す光学部品配置図
【図7】顕微鏡撮像装置によってマスクマークとダイマークとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図8】電子ビーム近接露光装置の制御部の実施の形態を示すブロック図
【図9】本発明に係るマスクとウエハとの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の動作手順を示すフローチャート
【図10】図9に示したフローチャート中の一部の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図11】図9に示したフローチャート中の他の一部の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図12】本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法の第2の実施の形態に使用されるアライメント機構系を含む電子ビーム近接露光装置の要部縦断面図
【図13】図12に示した電子ビーム近接露光装置の要部上面図
【図14】本発明に係るマスクとウエハの位置合わせ方法を含む電子ビーム近接露光方法の他の実施の形態の動作手順を示すフローチャート
【図15】図14に示したフローチャート中の一部の詳細な処理手順を示すフローチャート
【図16】電子ビーム近接露光装置の基本構成を示す図
【図17】電子ビームによるマスクの走査を説明するために用いた図
【図18】電子ビーム近接露光装置の全体構成図
【図19】従来例における、マスクマークとパレットマークによってマスクとウエハとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【図20】従来例における、マスクマークとパレットマークによってマスクとウエハとの位置ずれ量を検出する方法を説明するために用いた図
【符号の説明】
15…電子ビーム、22、24…主偏向器、26、28…副偏向器、32…マスク、40…ウエハ、44…ウエハパレット、70…ウエハステージ、80…マスクステージ、84…顕微鏡ステージ、100、150…顕微鏡撮像装置、110…ランプハウス、120…対物レンズ、123…マスクマーク結像用対物レンズ、125…ダイマーク結像用対物レンズ、130、131、145…CCD、200…CPU、203…メモリ、204、206…ステージ駆動回路、LXM、LYM、LXW、LYW…レーザ干渉計、M…マスクマーク、WP…パレットマーク、D…ダイ、DM…ダイマーク
Claims (5)
- ウエハにマスクを近接配置し、該マスクに形成されたマスクパターンを前記ウエハ上のレジスト層に転写する露光装置におけるマスクとウエハとの位置合わせ方法において、
前記マスク又は前記ウエハが搭載されるパレット若しくは前記ウエハの一方に設けられた位置合わせ用の第1のマークと、前記マスク又は前記パレット若しくは前記ウエハの他方に設けられた位置合わせ用の第2のマークとを撮像素子により撮像するステップと、
撮像された前記第1のマーク及び前記第2のマークの画像信号に基づいて前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップと、
前記測定した位置ずれ量に基づいて前記マスクと前記ウエハとを相対的に位置合わせするステップとを含み、
前記第1のマークは、X方向の位置を検出するための第1のXマーク及び第2のXマークと、Y方向の位置を検出するための第1のYマークとからなり、前記第1のXマーク及び第2のXマークは、いずれも長手方向がY方向を向きかつX方向に平行に配される複数本の線パターンであり、かつ、前記第1のXマーク及び第2のXマークはY方向に所定距離離れて対向して設けられ、前記第1のYマークは、長手方向がX方向を向きかつY方向に平行に配される複数本の線パターンであり、
前記第2のマークは、X方向の位置を検出するための第3のXマークと、Y方向の位置を検出するための第2のYマークとからなり、前記第3のXマークは、長手方向がY方向を向きかつX方向に平行に配される複数本の線パターンであり、前記第2のYマークは、長手方向がX方向を向きかつY方向に平行に配される複数本の線パターンであることを特徴とするマスクとウエハとの位置合わせ方法。 - 前記撮像素子を有する顕微鏡撮像装置の視野内に前記第1のマーク及び前記第2のマークが入っているときに、前記第3のXマークが前記第1のXマーク及び前記第2のXマークと対向する位置に配置され、前記第2のYマークが前記第1のYマークと対向する位置に配置されることを特徴とする請求項1に記載のマスクとウエハとの位置合わせ方法。
- 前記第1のマークと第2のマークとを撮像素子により撮像するステップにおいて、前記第1のマーク及び第2のマークにそれぞれピントを合わせることが可能な2組の結像光学系を有する顕微鏡撮像装置によって略同時に撮像することを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載のマスクとウエハとの位置合わせ方法。
- 前記マスクには、前記パレット又は前記ウエハに設けられた第1のマーク又は第2のマークを撮像するための開口が形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3のいずれか1項に記載のマスクとウエハとの位置合わせ方法。
- 前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定するステップにおいて、撮像された前記第1のマーク及び/又は前記第2のマークと前記撮像素子との水平方向傾き角度を算出し、該算出結果より前記水平方向傾き角度がゼロになるように撮像された画像データを座標変換し、次いで前記第1のマークと前記第2のマークとの相対的な位置ずれ量を測定することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のマスクとウエハとの位置合わせ方法。
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