JP2004354750A - 液晶表示素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができるTN型液晶表示素子を提供する。
【解決手段】液晶分子を90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を有する液晶セル1と、一対の偏光板11,12と、一方の偏光板11と液晶セル1との間に配置された650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板13とを備え、位相差板13の遅相軸13aと液晶セルの位相差板13に隣接する基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角を5°に設定した。
【選択図】 図1
【解決手段】液晶分子を90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を有する液晶セル1と、一対の偏光板11,12と、一方の偏光板11と液晶セル1との間に配置された650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板13とを備え、位相差板13の遅相軸13aと液晶セルの位相差板13に隣接する基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角を5°に設定した。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、TN(ツイステッドネマティック)型の液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子としては、互いに対向する面にそれぞれ電極が形成された一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させた液晶層を設けてなる液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板とにより構成されたTN型液晶表示素子が広く利用されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平06−202068号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記TN型液晶表示素子の表示特性は、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値によって決まる。
【0005】
しかし、従来のTN型液晶表示素子は、明るい表示が得られるようにΔnd値を設定したものは表示に帯色を生じ、また、帯色を生じないようにΔnd値を設定したものは明るい表示が得られないという問題をもっている。
【0006】
この発明は、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができるTN型の液晶表示素子を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示素子は、互いに対向する面にそれぞれ電極が形成された一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を設けてなる液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板とを備え、前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を、実質的に5°に設定したことを特徴とする。
【0008】
この液晶表示素子は上記のような構成であるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0009】
このように、この発明の液晶表示素子は、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を有する液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板とを備え、前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を実質的に5°に設定することにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができるようにしたものである。
【0010】
この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に500nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましい。
【0011】
また、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に400nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましい。
【0012】
さらに、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に470nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第1の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第1の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置し、他方の偏光板と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第2の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第2の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はこの発明の第1の実施例を示しており、図1及び図2は液晶表示素子の分解斜視図及び一部分の断面図である。
【0014】
この液晶表示素子はTN型のものであり、図1及び図2に示したように、液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前記一対の偏光板11,12の一方と前記液晶セル1との間に配置された位相差板13とを備えている。
【0015】
前記液晶セル1は、図2に示したように、互いに対向する面にそれぞれ透明な電極4,5が形成された一対の透明基板2,3間に、液晶分子を前記基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させた液晶層10を設けたものであり、その液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値は350〜500nmの範囲に設定されている。
【0016】
この液晶セル1は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)をアクティブ素子とするアクティブマトリックス型のものであり、一対の基板2,3の対向面にそれぞれ形成された電極4,5のうち、一方の基板、例えば表示の観察側である前側(図において上側)の基板(以下、前基板と言う)1に形成された電極4は、基板1面の略全体にわたる一枚膜状の対向電極、他方の基板(以下、後基板と言う)3に形成された電極5は、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極である。
【0017】
なお、図では省略しているが、前記後基板3の前基板2に対向する面には、前記複数の画素電極5にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線が設けられている。
【0018】
また、この液晶セル1は、前記複数の画素電極5と対向電極4とが互いに対向する領域からなる複数の画素にそれぞれ対応する複数の色、例えば赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えており、このカラーフィルタ6R,6G,6Bは、前基板2の後基板3に対向する面に形成され、その上に前記対向電極4が形成されている。
【0019】
そして、前記一対の基板2,3は、前記複数の画素の配列領域(表示エリア)を囲む枠状のシール材9(図1参照)を介して接合されており、これらの基板2,3間の前記シール材9により囲まれた領域に液晶層10が設けられている。
【0020】
前記液晶層10の液晶分子は、前記一対の基板2,3の対向面にそれぞれ前記電極4,5を覆って形成された配向膜7,8により両基板2,3の近傍の配向方向を規定され、前記基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0021】
この実施例では、図1に示したように、前基板2の近傍の液晶分子を画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向2aに配向させ、後基板3の近傍の液晶分子を前記横軸xに対し前側から見て右回りに実質的に45°ずれた方向3aに配向させ、前記液晶層10の液晶分子を、そのツイスト方向を破線矢印で示したように、後基板3から前基板2に向かい、前側から見て右回りに実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させている。
【0022】
また、この実施例の液晶表示素子はノーマリーホワイトモードのものであり、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12は、それぞれの透過軸11a,12aを実質的に互いに直交させるとともに、前側の偏光板11の透過軸11aを前記液晶セル1の前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aと実質的に直交させるか或いは実質的に平行にし、後側の偏光板12の透過軸12aを前記液晶セル1の後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aと実質的に直交させるか或いは実質的に平行にして配置されている。
【0023】
なお、前記液晶セル1の液晶分子のツイスト角と、一対の偏光板11,12の透過軸11a,12aの交差角は、いずれも90°±10°であり、好ましくは90°±5°、より好ましくは90°±3°である。
【0024】
さらに、前記位相差板13は、実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板であり、この位相差板13は、前記一対の偏光板11,12の一方と前記液晶セル1との間に、前記位相差板13の遅相軸13aと前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角を実質的に5°に設定して配置されている。
【0025】
この実施例では、前記液晶セル1の液晶層10のΔndを実質的に500nmに設定し、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板13を、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に、前記位相差板13の遅相軸13aを前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置している。
【0026】
図3は、この実施例における前側から見た液晶セル1の前後の基板2,3の近傍の液晶分子配向方向2a,3a及び液晶分子のツイスト方向と位相差板13の遅相軸13aの向きを示しており、この図では、前記位相差板13の遅相軸13aを一点鎖線で示している。
【0027】
なお、上述したように、前記液晶セル1の前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aは、画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向であり、液晶分子は、後基板3から前基板2に向かい、前側から見て右回りにツイスト配向している。
【0028】
そして、この実施例では、前記位相差板13を前側の偏光板11と液晶セル1との間に配置しているため、前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向は、図に破線矢印で示した方向とは逆の左回り方向である。
【0029】
そのため、この実施例では、前記位相差板13を図1のように、その遅相軸13aを前記画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に50°ずらして配置し、この位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)と同方向に実質的に5°ずらしている。
【0030】
なお、この実施例において、前記液晶セル1の液晶層10のΔndは、500nm±10nmであり、好ましくは500nm±5nmである。また、前記位相差板13のリタデーションは、650nm±10nmであり、好ましくは650nm±5nmである。さらに、前記位相差板13の遅相軸13aと前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角は、5°±2°であり、好ましくは5°±1°である。
【0031】
この液晶表示素子は、上述したように、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を実質的に500nmに設定した液晶層10を有する液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に配置された実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板13とを備え、前記位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記位相差板13に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらしたものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0032】
図4は、前記第1の実施例についてカラーフィルタを省略した試験素子を製作し、その波長―透過率特性を測定した結果を、前記位相差板13を備えない比較例1,2の波長―透過率特性と比較して示している。
【0033】
なお、前記比較例1,2はいずれも、カラーフィルタを備えないノーマリーホワイトモードのTN型液晶表示素子であり、比較例1はΔndを470nmに設定したもの、比較例2はΔndを400nmに設定したものである。
【0034】
図4のように、Δndを470nmに設定した比較例1は、可視光帯域の中間付近(550nm付近)の波長光の透過率が高く、明るい表示が得られるが、人間の眼による感度が弱い青の波長域(450nm付近)の光の透過率が低いため、白表示が黄緑色に帯色する。
【0035】
また、Δndを400nmに設定した比較例2は、透過率が最大となる波長域が前記比較例1よりも青の波長側にシフトするため、白表示の帯色は改善されるが、可視光帯域の中間付近の波長光の透過率が低く、明るい表示が得られない。
【0036】
それに対し、前記第1の実施例は、透過率が、青の波長域(450nm付近)から赤の波長域(650nm付近)にわたって高く、したがって、高輝度でしかも帯色の無い白表示が得られる。
【0037】
そして、前記第1の実施例の液晶表示素子は、液晶セル1に、複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えさせたものであり、これらの画素から色純度の良い赤、緑、青の光を出射させることができるため、明るく、しかも色相の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0038】
なお、前記第1の実施例では、前側の偏光板11と液晶セル1との間に位相差板13を配置しているが、前記位相差板13は、後側の偏光板12と液晶セル1との間に配置してもよく、その場合は、前記位相差板13を、その遅相軸13aを前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記位相差板13に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)と同方向に実質的に5°ずらして配置すればよい。
【0039】
図5はこの発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図であり、この液晶表示素子は、液晶セル1の液晶層のΔndを実質的に400nmに設定し、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置したものである。
【0040】
なお、この実施例の液晶表示素子は、液晶セル1の液晶層のΔndと位相差板14のリタデーション及びその遅相軸14aの向きが上述した第1の実施例と異なるが、他の構成は同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0041】
図6は、この実施例における前側から見た液晶セル1の前後の基板2,3の近傍の液晶分子配向方向2a,3a及び液晶分子のツイスト方向と位相差板14の遅相軸14aの向きを示しており、この図では、前記位相差板14の遅相軸14aを二点鎖線で示している。
【0042】
図6のように、この実施例では、前記位相差板14を、その遅相軸14aを画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に40°ずらして配置し(図5参照)、この位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向(画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向)2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)とは逆方向に実質的に5°ずらしている。
【0043】
なお、この実施例において、前記液晶セル1の液晶層のΔndは、400nm±10nmであり、好ましくは400nm±5nmである。また、前記位相差板14のリタデーションは、400nm±10nmであり、好ましくは400nm±5nmである。さらに、前記位相差板14の遅相軸14aと前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角は、5°±2°であり、好ましくは5°±1°である。
【0044】
この液晶表示素子は、上述したように、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を実質的に400nmに設定した液晶層を有する液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に配置された実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板14とを備え、前記位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記位相差板14に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらしたものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0045】
図7は、前記第2の実施例についてカラーフィルタを省略した試験素子を製作し、その波長―透過率特性を測定した結果を、上述した比較例1,2の波長―透過率特性と比較して示している。
【0046】
図7のように、前記第2の実施例は、透過率が、可視光帯域の中間付近である緑の波長域(450nm付近)から青の波長域(450nm付近)にわたって高くしかも略一定で、また赤の波長域(650nm付近)においても充分に高く、高輝度でしかも帯色の無い白表示が得られる。
【0047】
したがって、前記第2の実施例の液晶表示素子は、明るく、しかも色相の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0048】
なお、前記第2の実施例では、前側の偏光板11と液晶セル1との間に位相差板14を配置しているが、前記位相差板14は、後側の偏光板12と液晶セル1との間に配置してもよく、その場合は、前記位相差板14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記位相差板14に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)とは逆方向に実質的に5°ずらして配置すればよい。
【0049】
図8はこの発明の第3の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図であり、この液晶表示素子は、液晶セル1の液晶層のΔndを実質的に470nmに設定し、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板(第1の実施例における位相差板)13を、その遅相軸13aを前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置し、後側の偏光板12と前記液晶セル1との間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板(第2の実施例における位相差板)14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記後基板3から前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置したものである。
【0050】
なお、この実施例において、前記液晶セル1は、その液晶層のΔndの値が上述した第1の実施例と異なるが、他の構成は同じであり、また、前後の偏光板11,12の配置状態も第1の実施例と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0051】
図9は、この実施例における前側から見た液晶セル1の前後の基板2,3の近傍の液晶分子配向方向2a,3a及び液晶分子のツイスト方向と第1及び第2の位相差板13,14の遅相軸13a,14aの向きを示しており、この図では、第1の位相差板13の遅相軸13aを一点鎖線で示し、第2の位相差板14の遅相軸14aを二点鎖線で示している。
【0052】
図9のように、この実施例では、前記第1の位相差板13を、その遅相軸13aを画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に50°ずらして配置し(図8参照)、この第1の位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向(画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向)2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)と同方向に実質的に5°ずらし、前記第2の位相差板14を、その遅相軸14aを前記画面の横軸xに対し前側から見て右回りに実質的に40°ずらして配置し(図8参照)、この第2の位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向(画面の横軸xに対し前側から見て右回りに実質的に45°ずれた方向)3aに対し、前記後基板3から前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)とは逆方向に実質的に5°ずらしている。
【0053】
なお、この実施例において、前記液晶セル1の液晶層のΔndは、470nm±10nmであり、好ましくは500nm±5nmである。また、前記第1の位相差板13のリタデーションは、650nm±10nm、好ましくは650nm±5nmであり、第2の位相差板14のリタデーションは、400nm±10nm、好ましくは400nm±5nmである。さらに、前記第1の位相差板13の遅相軸13aと前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角は、5°±2°、好ましくは5°±1°であり、前記第2の位相差板14の遅相軸14aと前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aとのずれ角は、5°±2°、好ましくは5°±1°である。
【0054】
この液晶表示素子は、上述したように、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を実質的に470nmに設定した液晶層を有する液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に配置された実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板13と、後側の偏光板12と前記液晶セル1との間に配置された実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板14とを備え、前記第1の位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記第1の位相差板13に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらし、前記第2の位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記前記第2の位相差板14に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらしたものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0055】
図10は、前記第3の実施例についてカラーフィルタを省略した試験素子を製作し、その波長―透過率特性を測定した結果を、上述した比較例1,2の波長―透過率特性と比較して示している。
【0056】
図10のように、前記第3の実施例は、透過率が、青の波長域(450nm付近)から赤の波長域(650nm付近)にわたって高く、しかも略一定であり、したがって、上述した第1及び第2の実施例よりもさらに高輝度でしかも帯色の無い白表示が得られる。
【0057】
したがって、前記第3の実施例の液晶表示素子は、さらに明るく、しかも、より色相の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0058】
なお、前記第3の実施例では、前側の偏光板11と液晶セル1との間に実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板13を配置し、後側の偏光板12と液晶セル1との間に実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板14を配置しているが、それと反対に、前記第1の位相差板13を後側の偏光板12と液晶セル1との間に配置し、前記第2の位相差板14を前側の偏光板11と液晶セル1との間に配置してもよい。
【0059】
その場合は、前記第1の位相差板13を、その遅相軸13aを前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記第1の位相差板13に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)と同方向に実質的に5°ずらして配置し、前記第2の位相差板14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記第2の位相差板14に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)に実質的に5°ずらして配置すればよい。
【0060】
また、この発明において、液晶セルの液晶層のΔndと位相差板のリタデーションは、上述した第1〜第3の実施例の値に限らず、前記液晶層のΔndの値が350〜500nmの範囲、位相差板のリタデーションが実質的に650nmまたは400nmであればよく、その場合も、前記液晶セルの位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向と前記位相差板の遅相軸とのずれ角を実質的に5°にし、且つ、前記液晶層のΔnd値と、位相差板のリタデーション値と、前記液晶分子配向方向に対する前記位相差板の遅相軸のずれ方向とを適正に設定することにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0061】
さらに、上記実施例の液晶表示素子、液晶セル1に、複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えさせたものであるが、この発明は、カラーフィルタを備えないフィールドシーケンシャル液晶表示装置用の液晶表示素子や、白黒画像を表示する液晶表示素子にも適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
この発明の液晶表示素子は、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を有する液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板とを備え、前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を実質的に5°に設定したものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0063】
この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に500nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0064】
また、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に400nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0065】
さらに、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に470nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第1の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第1の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置し、他方の偏光板と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第2の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第2の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、さらに明るく、しかも、より帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図。
【図2】第1の実施例の液晶表示素子の一部分の断面図。
【図3】第1の実施例における液晶セルの前後の基板の近傍の液晶分子配向方向及び液晶分子のツイスト方向と位相差板の遅相軸の向きを示す図。
【図4】第1の実施例と比較例の波長―透過率特性図。
【図5】この発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図。
【図6】第2の実施例における液晶セルの前後の基板の近傍の液晶分子配向方向及び液晶分子のツイスト方向と位相差板の遅相軸の向きを示す図。
【図7】第2の実施例と比較例の波長―透過率特性図。
【図8】この発明の第3の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図。
【図9】第3の実施例における液晶セルの前後の基板の近傍の液晶分子配向方向及び液晶分子のツイスト方向と位相差板の遅相軸の向きを示す図。
【図10】第3の実施例と比較例の波長―透過率特性図。
【符号の説明】
1…液晶セル、2,3…基板、2a,3a…基板近傍の液晶分子配向方向、4,5…電極、6R,6G,6B…カラーフィルタ、7,8…配向膜、10…液晶層、11,12…偏光板、11a,12a…透過軸、13,14…位相差板、13a,14a…遅相軸。
【発明の属する技術分野】
この発明は、TN(ツイステッドネマティック)型の液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示素子としては、互いに対向する面にそれぞれ電極が形成された一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させた液晶層を設けてなる液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板とにより構成されたTN型液晶表示素子が広く利用されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平06−202068号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記TN型液晶表示素子の表示特性は、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値によって決まる。
【0005】
しかし、従来のTN型液晶表示素子は、明るい表示が得られるようにΔnd値を設定したものは表示に帯色を生じ、また、帯色を生じないようにΔnd値を設定したものは明るい表示が得られないという問題をもっている。
【0006】
この発明は、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができるTN型の液晶表示素子を提供することを目的としたものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明の液晶表示素子は、互いに対向する面にそれぞれ電極が形成された一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を設けてなる液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板とを備え、前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を、実質的に5°に設定したことを特徴とする。
【0008】
この液晶表示素子は上記のような構成であるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0009】
このように、この発明の液晶表示素子は、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を有する液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板とを備え、前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を実質的に5°に設定することにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができるようにしたものである。
【0010】
この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に500nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましい。
【0011】
また、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に400nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましい。
【0012】
さらに、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に470nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第1の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第1の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置し、他方の偏光板と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第2の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第2の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1〜図4はこの発明の第1の実施例を示しており、図1及び図2は液晶表示素子の分解斜視図及び一部分の断面図である。
【0014】
この液晶表示素子はTN型のものであり、図1及び図2に示したように、液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前記一対の偏光板11,12の一方と前記液晶セル1との間に配置された位相差板13とを備えている。
【0015】
前記液晶セル1は、図2に示したように、互いに対向する面にそれぞれ透明な電極4,5が形成された一対の透明基板2,3間に、液晶分子を前記基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させた液晶層10を設けたものであり、その液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値は350〜500nmの範囲に設定されている。
【0016】
この液晶セル1は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)をアクティブ素子とするアクティブマトリックス型のものであり、一対の基板2,3の対向面にそれぞれ形成された電極4,5のうち、一方の基板、例えば表示の観察側である前側(図において上側)の基板(以下、前基板と言う)1に形成された電極4は、基板1面の略全体にわたる一枚膜状の対向電極、他方の基板(以下、後基板と言う)3に形成された電極5は、行方向及び列方向にマトリックス状に配列する複数の画素電極である。
【0017】
なお、図では省略しているが、前記後基板3の前基板2に対向する面には、前記複数の画素電極5にそれぞれ接続された複数のTFTと、各行のTFTにゲート信号を供給する複数のゲート配線と、各列のTFTにデータ信号を供給する複数のデータ配線が設けられている。
【0018】
また、この液晶セル1は、前記複数の画素電極5と対向電極4とが互いに対向する領域からなる複数の画素にそれぞれ対応する複数の色、例えば赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えており、このカラーフィルタ6R,6G,6Bは、前基板2の後基板3に対向する面に形成され、その上に前記対向電極4が形成されている。
【0019】
そして、前記一対の基板2,3は、前記複数の画素の配列領域(表示エリア)を囲む枠状のシール材9(図1参照)を介して接合されており、これらの基板2,3間の前記シール材9により囲まれた領域に液晶層10が設けられている。
【0020】
前記液晶層10の液晶分子は、前記一対の基板2,3の対向面にそれぞれ前記電極4,5を覆って形成された配向膜7,8により両基板2,3の近傍の配向方向を規定され、前記基板2,3間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向している。
【0021】
この実施例では、図1に示したように、前基板2の近傍の液晶分子を画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向2aに配向させ、後基板3の近傍の液晶分子を前記横軸xに対し前側から見て右回りに実質的に45°ずれた方向3aに配向させ、前記液晶層10の液晶分子を、そのツイスト方向を破線矢印で示したように、後基板3から前基板2に向かい、前側から見て右回りに実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させている。
【0022】
また、この実施例の液晶表示素子はノーマリーホワイトモードのものであり、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12は、それぞれの透過軸11a,12aを実質的に互いに直交させるとともに、前側の偏光板11の透過軸11aを前記液晶セル1の前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aと実質的に直交させるか或いは実質的に平行にし、後側の偏光板12の透過軸12aを前記液晶セル1の後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aと実質的に直交させるか或いは実質的に平行にして配置されている。
【0023】
なお、前記液晶セル1の液晶分子のツイスト角と、一対の偏光板11,12の透過軸11a,12aの交差角は、いずれも90°±10°であり、好ましくは90°±5°、より好ましくは90°±3°である。
【0024】
さらに、前記位相差板13は、実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板であり、この位相差板13は、前記一対の偏光板11,12の一方と前記液晶セル1との間に、前記位相差板13の遅相軸13aと前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角を実質的に5°に設定して配置されている。
【0025】
この実施例では、前記液晶セル1の液晶層10のΔndを実質的に500nmに設定し、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板13を、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に、前記位相差板13の遅相軸13aを前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置している。
【0026】
図3は、この実施例における前側から見た液晶セル1の前後の基板2,3の近傍の液晶分子配向方向2a,3a及び液晶分子のツイスト方向と位相差板13の遅相軸13aの向きを示しており、この図では、前記位相差板13の遅相軸13aを一点鎖線で示している。
【0027】
なお、上述したように、前記液晶セル1の前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aは、画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向であり、液晶分子は、後基板3から前基板2に向かい、前側から見て右回りにツイスト配向している。
【0028】
そして、この実施例では、前記位相差板13を前側の偏光板11と液晶セル1との間に配置しているため、前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向は、図に破線矢印で示した方向とは逆の左回り方向である。
【0029】
そのため、この実施例では、前記位相差板13を図1のように、その遅相軸13aを前記画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に50°ずらして配置し、この位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)と同方向に実質的に5°ずらしている。
【0030】
なお、この実施例において、前記液晶セル1の液晶層10のΔndは、500nm±10nmであり、好ましくは500nm±5nmである。また、前記位相差板13のリタデーションは、650nm±10nmであり、好ましくは650nm±5nmである。さらに、前記位相差板13の遅相軸13aと前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角は、5°±2°であり、好ましくは5°±1°である。
【0031】
この液晶表示素子は、上述したように、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を実質的に500nmに設定した液晶層10を有する液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に配置された実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板13とを備え、前記位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記位相差板13に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらしたものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0032】
図4は、前記第1の実施例についてカラーフィルタを省略した試験素子を製作し、その波長―透過率特性を測定した結果を、前記位相差板13を備えない比較例1,2の波長―透過率特性と比較して示している。
【0033】
なお、前記比較例1,2はいずれも、カラーフィルタを備えないノーマリーホワイトモードのTN型液晶表示素子であり、比較例1はΔndを470nmに設定したもの、比較例2はΔndを400nmに設定したものである。
【0034】
図4のように、Δndを470nmに設定した比較例1は、可視光帯域の中間付近(550nm付近)の波長光の透過率が高く、明るい表示が得られるが、人間の眼による感度が弱い青の波長域(450nm付近)の光の透過率が低いため、白表示が黄緑色に帯色する。
【0035】
また、Δndを400nmに設定した比較例2は、透過率が最大となる波長域が前記比較例1よりも青の波長側にシフトするため、白表示の帯色は改善されるが、可視光帯域の中間付近の波長光の透過率が低く、明るい表示が得られない。
【0036】
それに対し、前記第1の実施例は、透過率が、青の波長域(450nm付近)から赤の波長域(650nm付近)にわたって高く、したがって、高輝度でしかも帯色の無い白表示が得られる。
【0037】
そして、前記第1の実施例の液晶表示素子は、液晶セル1に、複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えさせたものであり、これらの画素から色純度の良い赤、緑、青の光を出射させることができるため、明るく、しかも色相の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0038】
なお、前記第1の実施例では、前側の偏光板11と液晶セル1との間に位相差板13を配置しているが、前記位相差板13は、後側の偏光板12と液晶セル1との間に配置してもよく、その場合は、前記位相差板13を、その遅相軸13aを前記液晶セル1の前記位相差板13に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記位相差板13に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)と同方向に実質的に5°ずらして配置すればよい。
【0039】
図5はこの発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図であり、この液晶表示素子は、液晶セル1の液晶層のΔndを実質的に400nmに設定し、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置したものである。
【0040】
なお、この実施例の液晶表示素子は、液晶セル1の液晶層のΔndと位相差板14のリタデーション及びその遅相軸14aの向きが上述した第1の実施例と異なるが、他の構成は同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0041】
図6は、この実施例における前側から見た液晶セル1の前後の基板2,3の近傍の液晶分子配向方向2a,3a及び液晶分子のツイスト方向と位相差板14の遅相軸14aの向きを示しており、この図では、前記位相差板14の遅相軸14aを二点鎖線で示している。
【0042】
図6のように、この実施例では、前記位相差板14を、その遅相軸14aを画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に40°ずらして配置し(図5参照)、この位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向(画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向)2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)とは逆方向に実質的に5°ずらしている。
【0043】
なお、この実施例において、前記液晶セル1の液晶層のΔndは、400nm±10nmであり、好ましくは400nm±5nmである。また、前記位相差板14のリタデーションは、400nm±10nmであり、好ましくは400nm±5nmである。さらに、前記位相差板14の遅相軸14aと前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角は、5°±2°であり、好ましくは5°±1°である。
【0044】
この液晶表示素子は、上述したように、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を実質的に400nmに設定した液晶層を有する液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に配置された実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板14とを備え、前記位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記位相差板14に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらしたものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0045】
図7は、前記第2の実施例についてカラーフィルタを省略した試験素子を製作し、その波長―透過率特性を測定した結果を、上述した比較例1,2の波長―透過率特性と比較して示している。
【0046】
図7のように、前記第2の実施例は、透過率が、可視光帯域の中間付近である緑の波長域(450nm付近)から青の波長域(450nm付近)にわたって高くしかも略一定で、また赤の波長域(650nm付近)においても充分に高く、高輝度でしかも帯色の無い白表示が得られる。
【0047】
したがって、前記第2の実施例の液晶表示素子は、明るく、しかも色相の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0048】
なお、前記第2の実施例では、前側の偏光板11と液晶セル1との間に位相差板14を配置しているが、前記位相差板14は、後側の偏光板12と液晶セル1との間に配置してもよく、その場合は、前記位相差板14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記位相差板14に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)とは逆方向に実質的に5°ずらして配置すればよい。
【0049】
図8はこの発明の第3の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図であり、この液晶表示素子は、液晶セル1の液晶層のΔndを実質的に470nmに設定し、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板(第1の実施例における位相差板)13を、その遅相軸13aを前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置し、後側の偏光板12と前記液晶セル1との間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板(第2の実施例における位相差板)14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記後基板3から前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置したものである。
【0050】
なお、この実施例において、前記液晶セル1は、その液晶層のΔndの値が上述した第1の実施例と異なるが、他の構成は同じであり、また、前後の偏光板11,12の配置状態も第1の実施例と同じであるから、重複する説明は図に同符号を付して省略する。
【0051】
図9は、この実施例における前側から見た液晶セル1の前後の基板2,3の近傍の液晶分子配向方向2a,3a及び液晶分子のツイスト方向と第1及び第2の位相差板13,14の遅相軸13a,14aの向きを示しており、この図では、第1の位相差板13の遅相軸13aを一点鎖線で示し、第2の位相差板14の遅相軸14aを二点鎖線で示している。
【0052】
図9のように、この実施例では、前記第1の位相差板13を、その遅相軸13aを画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に50°ずらして配置し(図8参照)、この第1の位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向(画面の横軸xに対し前側から見て左回りに実質的に45°ずれた方向)2aに対し、前記前基板2から後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)と同方向に実質的に5°ずらし、前記第2の位相差板14を、その遅相軸14aを前記画面の横軸xに対し前側から見て右回りに実質的に40°ずらして配置し(図8参照)、この第2の位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向(画面の横軸xに対し前側から見て右回りに実質的に45°ずれた方向)3aに対し、前記後基板3から前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)とは逆方向に実質的に5°ずらしている。
【0053】
なお、この実施例において、前記液晶セル1の液晶層のΔndは、470nm±10nmであり、好ましくは500nm±5nmである。また、前記第1の位相差板13のリタデーションは、650nm±10nm、好ましくは650nm±5nmであり、第2の位相差板14のリタデーションは、400nm±10nm、好ましくは400nm±5nmである。さらに、前記第1の位相差板13の遅相軸13aと前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aとのずれ角は、5°±2°、好ましくは5°±1°であり、前記第2の位相差板14の遅相軸14aと前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aとのずれ角は、5°±2°、好ましくは5°±1°である。
【0054】
この液晶表示素子は、上述したように、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を実質的に470nmに設定した液晶層を有する液晶セル1と、前記液晶セル1を挟んでその前側と後側とに配置された一対の偏光板11,12と、前側の偏光板11と前記液晶セル1との間に配置された実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板13と、後側の偏光板12と前記液晶セル1との間に配置された実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板14とを備え、前記第1の位相差板13の遅相軸13aを、前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記第1の位相差板13に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらし、前記第2の位相差板14の遅相軸14aを、前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記前記第2の位相差板14に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらしたものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0055】
図10は、前記第3の実施例についてカラーフィルタを省略した試験素子を製作し、その波長―透過率特性を測定した結果を、上述した比較例1,2の波長―透過率特性と比較して示している。
【0056】
図10のように、前記第3の実施例は、透過率が、青の波長域(450nm付近)から赤の波長域(650nm付近)にわたって高く、しかも略一定であり、したがって、上述した第1及び第2の実施例よりもさらに高輝度でしかも帯色の無い白表示が得られる。
【0057】
したがって、前記第3の実施例の液晶表示素子は、さらに明るく、しかも、より色相の良い高品質のカラー画像を表示することができる。
【0058】
なお、前記第3の実施例では、前側の偏光板11と液晶セル1との間に実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板13を配置し、後側の偏光板12と液晶セル1との間に実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板14を配置しているが、それと反対に、前記第1の位相差板13を後側の偏光板12と液晶セル1との間に配置し、前記第2の位相差板14を前側の偏光板11と液晶セル1との間に配置してもよい。
【0059】
その場合は、前記第1の位相差板13を、その遅相軸13aを前記液晶セル1の前記第1の位相差板13に隣接する後基板3の近傍の液晶分子配向方向3aに対し、前記第1の位相差板13に隣接する後基板3から他方の前基板2に向かう液晶分子のツイスト方向(図の破線矢印の方向)と同方向に実質的に5°ずらして配置し、前記第2の位相差板14を、その遅相軸14aを前記液晶セル1の前記第2の位相差板14に隣接する前基板2の近傍の液晶分子配向方向2aに対し、前記第2の位相差板14に隣接する前基板2から他方の後基板3に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向(図の破線矢印の向きとは逆のツイスト方向)に実質的に5°ずらして配置すればよい。
【0060】
また、この発明において、液晶セルの液晶層のΔndと位相差板のリタデーションは、上述した第1〜第3の実施例の値に限らず、前記液晶層のΔndの値が350〜500nmの範囲、位相差板のリタデーションが実質的に650nmまたは400nmであればよく、その場合も、前記液晶セルの位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向と前記位相差板の遅相軸とのずれ角を実質的に5°にし、且つ、前記液晶層のΔnd値と、位相差板のリタデーション値と、前記液晶分子配向方向に対する前記位相差板の遅相軸のずれ方向とを適正に設定することにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0061】
さらに、上記実施例の液晶表示素子、液晶セル1に、複数の画素にそれぞれ対応する赤、緑、青の3色のカラーフィルタ6R,6G,6Bを備えさせたものであるが、この発明は、カラーフィルタを備えないフィールドシーケンシャル液晶表示装置用の液晶表示素子や、白黒画像を表示する液晶表示素子にも適用することができる。
【0062】
【発明の効果】
この発明の液晶表示素子は、液晶分子を実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を有する液晶セルと、前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有する位相差板とを備え、前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を実質的に5°に設定したものであるため、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0063】
この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に500nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0064】
また、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に400nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、明るく、しかも帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【0065】
さらに、この発明の液晶表示素子は、前記液晶層のΔndを実質的に470nmに設定し、前記一対の偏光板の一方と前記液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第1の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第1の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置し、他方の偏光板と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板を、その遅相軸を前記液晶セルの前記第2の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第2の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置した構成とするのが望ましく、このような構成とすることにより、さらに明るく、しかも、より帯色の無い高品質の表示を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図。
【図2】第1の実施例の液晶表示素子の一部分の断面図。
【図3】第1の実施例における液晶セルの前後の基板の近傍の液晶分子配向方向及び液晶分子のツイスト方向と位相差板の遅相軸の向きを示す図。
【図4】第1の実施例と比較例の波長―透過率特性図。
【図5】この発明の第2の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図。
【図6】第2の実施例における液晶セルの前後の基板の近傍の液晶分子配向方向及び液晶分子のツイスト方向と位相差板の遅相軸の向きを示す図。
【図7】第2の実施例と比較例の波長―透過率特性図。
【図8】この発明の第3の実施例を示す液晶表示素子の分解斜視図。
【図9】第3の実施例における液晶セルの前後の基板の近傍の液晶分子配向方向及び液晶分子のツイスト方向と位相差板の遅相軸の向きを示す図。
【図10】第3の実施例と比較例の波長―透過率特性図。
【符号の説明】
1…液晶セル、2,3…基板、2a,3a…基板近傍の液晶分子配向方向、4,5…電極、6R,6G,6B…カラーフィルタ、7,8…配向膜、10…液晶層、11,12…偏光板、11a,12a…透過軸、13,14…位相差板、13a,14a…遅相軸。
Claims (4)
- 互いに対向する面にそれぞれ電極が形成された一対の基板間に、液晶分子を前記基板間において実質的に90°のツイスト角でツイスト配向させ、液晶の屈折率異方性Δnと液晶層厚dとの積Δndの値を350〜500nmの範囲に設定した液晶層を設けてなる液晶セルと、
前記液晶セルを挟んで配置された一対の偏光板と、
実質的に650nmまたは400nmのリタデーションを有し、前記一対の偏光板の少なくとも一方と前記液晶セルとの間に配置された位相差板とを備え、
前記位相差板の遅相軸と前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向とのずれ角を、実質的に5°に設定したことを特徴とする液晶表示素子。 - 液晶層のΔndは実質的に500nmであり、一対の偏光板の一方と液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する位相差板が、その遅相軸を、前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 液晶層のΔndは実質的に400nmであり、一対の偏光板の一方と液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する位相差板が、その遅相軸を、前記液晶セルの前記位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
- 液晶層のΔndは実質的に470nmであり、一対の偏光板の一方と液晶セルとの間に、実質的に650nmのリタデーションを有する第1の位相差板が、その遅相軸を、前記液晶セルの前記第1の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第1の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向と同方向に実質的に5°ずらして配置され、他方の偏光板と前記液晶セルとの間に、実質的に400nmのリタデーションを有する第2の位相差板が、その遅相軸を、前記液晶セルの前記第2の位相差板に隣接する基板の近傍の液晶分子配向方向に対し、前記第2の位相差板に隣接する基板から他方の基板に向かう液晶分子のツイスト方向とは逆方向に実質的に5°ずらして配置されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示素子。
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