JP2004341411A - 光学系および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置用の光学系であって、必要とされる光学性能を保ちつつ光学的な諸収差の発生を抑制可能である光学系を提供することを目的とする。
【解決手段】表示手段に表示した表示光束を観察者の観察眼に導く光学系であって、相対的に前記光学系の射出瞳に近い光路上に位置する第一のプリズム状の光学素子と、相対的に前記表示手段に近い光路上に位置する第二のプリズム状の光学素子とを有し、光路中に前記表示手段に表示した表示光束の中間像を形成する光学系において、前記第二のプリズム状の光学素子の射出面と前記第一のプリズム状の光学素子の入射面との有する合成の光学的パワーが負であって、且つ前記第一のプリズム状の光学素子内に中間像が形成されることを特徴とする光学系を提供する。
【選択図】 図1
【解決手段】表示手段に表示した表示光束を観察者の観察眼に導く光学系であって、相対的に前記光学系の射出瞳に近い光路上に位置する第一のプリズム状の光学素子と、相対的に前記表示手段に近い光路上に位置する第二のプリズム状の光学素子とを有し、光路中に前記表示手段に表示した表示光束の中間像を形成する光学系において、前記第二のプリズム状の光学素子の射出面と前記第一のプリズム状の光学素子の入射面との有する合成の光学的パワーが負であって、且つ前記第一のプリズム状の光学素子内に中間像が形成されることを特徴とする光学系を提供する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察者の頭部に装着して、観察者に表示素子に表示された原画を拡大表示した画像を提供する頭部装着型の画像表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)及びその光学系に関し、特に小型でありながら広画角の表示が可能な頭部装着型の画像表示装置及びその光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、CRTやLCD等の画像表示素子を用い、これらの表示素子に表示された原画像を所定の光学系を介して拡大表示して観察者に提供する頭部装着型の画像表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)が良く知られている。
【0003】
このような頭部装着型の画像表示装置は、これらの装置を頭部に装着するため、特に装置全体の小型化、軽量化が要望されている。また表示される画像に迫力を持たせるためには、前記の表示素子に表示された画像を出来るだけ大きく拡大して広画角に表示すると共に、高解像度で表示可能な光学系が求められる。
【0004】
このような要求を満たすための手段のひとつとして、表示素子からの光束を観察者眼球に導く光学系に複数の面からなる偏心プリズムを用いて、当該偏心プリズム内での内部反射を利用して光路を折り畳み、光学系を小型化する手法が特開平7−333551号などに記載されている。
【0005】
また、比較的短い光路長内に形成可能な光学系により表示素子に表示された画像を拡大して広画角に表示する手法のひとつとして、表示素子と観察者眼球の間の経路に中間結像を形成させることが有効である。例えば、特開2000−131614号公報には、光路中に中間結像を形成する光学系を有する頭部装着型の画像表示装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような手段を組み合わせて使用して小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置を構成しようとした場合には、以下のような問題点を生じることとなる。つまり、広画角表示のために中間結像を形成させるためには、表示素子と観察者眼球の間の経路に中間結像を生じるためのリレー光学系と当該中間像を観察者に提示するための接眼光学系を設ける必要がある。このため、必要とされる光学系が複雑化し大型化する問題を生じる。
【0007】
また、そのような問題点を解決するためには、上記リレー光学系や接眼光学系を偏心プリズムを用いて小さな空間に収納することが有効である。しかし、そのような偏心プリズムを用いた光学設計においては、プリズム中に形成される光路中で単一の面を複数回利用することやプリズムを構成する各光学面の光学的パワーを強くすることが小型化には有効である一方で、画像表示装置としての光学性能を確保することや、さまざまな収差の発生を抑制することが困難となってくる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決して、小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置用の光学系であって、必要とされる光学性能を保ちつつ光学的な諸収差の発生を抑制可能である光学系を提供することを目的とする。更に、当該光学系を用いることにより、装置全体が小型軽量であって高解像度且つ広画角表示の可能な頭部装着型の画像表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る光学系は、表示手段に表示した表示光束を観察者の観察眼に導く光学系であって、相対的に前記光学系の射出瞳に近い光路上に位置する第一のプリズム状の光学素子と、相対的に前記表示手段に近い光路上に位置する第二のプリズム状の光学素子とを有し、光路中に前記表示手段に表示した表示光束の中間像を形成する光学系において、前記第二のプリズム状の光学素子の射出面と前記第一のプリズム状の光学素子の入射面との有する合成の光学的パワーが負であって、且つ前記第一のプリズム状の光学素子内に中間像が形成されることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記のような光学系を用いることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。図1は本実施形態に係る光学系のYZ断面であって、当該光学系は図1に示す面を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0012】
本発明に係る光学系は画像表示素子10に表示された画像を光学系の射出瞳S1に偏心系の光学系により導光している。以下に本発明で用いる偏心系に対応したローカル母線断面、ローカル子午線断面を定義する。
【0013】
画像表示素子10の中心から射出して射出瞳S1の中心に至る光線を中心画角主光線と規定する。この時、当該中心画角主光線の各光学面のヒットポイント上で、中心画角主光線の入射光と射出光を含む面をローカル母線断面とし、ヒットポイントを含みローカル母線断面と垂直で、各面頂点座標系のXZ平面と平行な面をローカル子線断面として定義する。また、各光学面における中心画角主光線のヒットポイント上近傍の曲率の内、前記ローカル母線断面内の曲率半径をry、ローカル子線断面内の曲率半径をrxと定義する。更に、透過面の前後の屈折率をそれぞれnd、nd’とした時に、fy=ry/(nd’−nd)で与えられるfyをローカル母線断面焦点距離、fx=rx/(nd’−nd)で与えられるfxをローカル子線断面焦点距離と定義する。
【0014】
また、各光学面の面間隔dは、それぞれの当該光学面のおける中心画角主光線のヒットポイント間の距離、つまり中心画角主光線上の距離(空気換算なしの値)として規定する。
【0015】
本実施形態に係る光学系は、画像表示素子10に表示された画像を光学系の射出瞳S1に導光する光路を有している。その光路中のリレー光学系により当該画像の中間像51を形成し、更に接眼光学系により当該中間像を観察者眼球の位置に対応する射出瞳S1に提示している。このように中間像を形成することにより、中間像を形成しない場合に比較して画像表示素子10に表示された画像を高い拡大率で拡大して、観察者に対して広い画角で画像を提示可能としている。
【0016】
図1に示す光学系において、画像表示素子10に表示された画像の中間像51を生成するリレー光学系はプリズム状の光学素子2と別のプリズム状の光学素子1の一部により形成される。また、当該中間像51を光学系の射出瞳S1に提示する接眼光学系は上記光学素子1の一部により形成される。
【0017】
光学素子1は屈折率が1より大きい透明媒質上に4つの光学面S2〜S6で構成されたプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。ここで光学面S2と光学面S4は連続した同一面であって、透過面(S4)及び反射面(S2)として兼用される。
【0018】
光学素子2は屈折率が1より大きい透明媒質上に4つの光学面S7〜10で構成されたプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。以下に示す表1の光学データからも分かるように、本実施形態においては光学素子1、2はそれぞれ異なる材質から構成されており、主に色収差を有効に解消できるようにされている。
【0019】
画像表示素子10には、自発光型のCRT(Cathode ray tube)、エレクトロルミネッセンス等の表示素子、又は透過型のLCD(Liquid Crystal Display)が図示されない照明光源と共に用いられる。
【0020】
画像表示素子10の表示面SIより出た表示光束は透過面S10より光学素子2に入射し、反射面S9、S8で内部反射を行い、透過面S7より光学素子2を射出する。その後、透過面S6より光学素子1に入射し、反射面S5で反射される前後において中間像51を形成する。
【0021】
光学素子2を形成する反射面S8、S9は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。
【0022】
画像表示素子10に表示された画像の中間像51を形成するリレー光学系は、画像表示素子10から発散光として射出された表示光束を集光するために、リレー光学系の合成の光学的パワーとして所定の正の光学的パワーを有することが必要とされる。
【0023】
尚、本実施形態において形成される中間像51は、偏心光学系により集光されて結像するために画像表示素子10上の一点から射出された光束が一点に集光されて形成されることが困難である。このため、図1に示した中間像51の位置は画像表示素子10上の一点から射出された光束の内の最周辺光が集光する位置を以って定義している。
【0024】
また、リレー光学系を構成する光学素子2を小型にして光学系全体の小型軽量化を図るためには、光学素子2を構成する各光学面の正の光学的パワーを強めることが有効である。つまり、各面の正の光学的パワーを強めることで各焦点距離を短く取り、また各面の間隔を小さくすることで、表示光束の径を小さく保った状態で小面積の光学面により所定の正の光学パワーを表示光束に付与することが可能となる。これにより各光学面を小面積化し、その間隔を短縮可能となり、ひいては光学素子2を小型化することが可能となる。また、この結果として画像表示素子10が光学素子2のごく近傍に配置可能となり、更に装置の小型化を図ることができる。
【0025】
光学素子1内で中間像51として結像した画像表示素子10の表示光束は、その後、接眼光学系内において発散しながら反射面S4に入射して反射され、次に反射面S3で反射された後に透過面S2より光学素子1を射出して射出瞳S1に至る。
【0026】
光学素子1を形成する反射面S3、S5は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。また反射面S4は、ハーフミラーにより形成することも可能であるが、透過面S2と面を共有するため、光量ロスを抑制するためには内部全反射による反射を行わせることが望ましい。また、反射面S4のうちで透過面S2と面を共有しない部分については反射膜による反射とすることもできる。
【0027】
光学素子1内に形成された中間像51を射出瞳S1に導く接眼光学系は、中間像51から発散する表示光束を集光して、射出瞳S1におかれる観察者眼球が所定の距離から発せられた光線であると判断するように、射出瞳S1に対して略並行又は適当な集光性を以って到達させる機能が必要とされる。このためには、接眼光学系には所定の正の光学的パワーを付与することが必要とされる。
【0028】
以上のように構成される頭部装着型の画像表示装置用のリレー光学系と接眼光学系において、光学素子2を小型化しつつ十分な拡大率を確保するために、本実施形態に係る光学系において光学素子2から光学素子1に表示光束が入射する透過面S7とS6の合成の光学的パワーを負としている。
【0029】
前述のように、リレー光学系を構成する光学素子2を小型化するためには各面の光学的パワーを強めて焦点距離を短くすることが有効である一方で、接眼光学系は所定の正の光学的パワーを有することが必要とされる。良好な光学系を構成するためには、このようなリレー光学系と接眼光学系のパワー配置の整合を考慮する必要があり、一定以上にリレー光学系に正の光学的パワーを付与することが困難となり、光学素子2の小型化が困難となる。
【0030】
これに対し、リレー光学系内のであって光学素子2の射出面である透過面S7、および光学素子1の入射面である透過面S6に適切な大きさの負の合成の光学的パワーを付与することにより、適切な正の光学的パワーを有する接眼光学系とのパワー配置が整合し、所定の像の拡大率を保った状態で光学素子2を小型化することが可能となる。この時、光路上に形成される瞳結像面は光学素子2内に形成されることが望ましい。
【0031】
また、透過面であるS7,S6に負の合成の光学的パワーを与えることで、光学素子2の小型化のためには不可欠である透過面S10の強い正の光学的パワーにより生じた色収差を解消することが可能となる。
【0032】
本実施形態に示した光学系においては、反射面によっても表示光束に対して正の光学パワーを与えるために色収差を発生する光学的パワーを持った光学面に限られる一方で、接眼光学系では表示光束に対して主に反射面により強い正の光学的パワーを付与するため、リレー光学系で生じた色収差を解消しにくい。これに対してリレー光学系に負の光学的パワーを有する透過面を設けることにより、射出瞳S1において観察される色分離を略解消することが可能である。
【0033】
図1に示した本実施形態においては、透過面S6を正の光学的パワーを持つ面とし、透過面S7を負の光学的パワーを持つ面として、透過面S7,S6に負の合成の光学的パワーを付与した例を示している。一方、本発明の実施の形態はこれに限定されることは無く、透過面S7,S6が適切な大きさの負の合成の光学的パワーを有すれば、透過面S6が負の光学的パワーを持ち透過面S7が正の光学的パワーを持ってもよく、また両面共に負の光学的パワーを持ってもよい。また、本実施形態においては接眼光学系をプリズム状の光学素子1の一部を用いて構成しているが本発明の実施の形態はこれに限定されることは無く、正の光学パワーを有する透過面と反射面を含むリレー光学系内に負の光学的パワーを有する透過面を少なくても一面有する光学系であれば、本発明の適用が可能である。
【0034】
図1中に示したプリズム体の光学素子1,2の構成は、図中及び表1に示されたものに限るものではなく、最適な位置に画像表示素子を配置、好適な画像を観察者に提供するために、5面以上の光学面で構成されてもよく、またプリズム内での反射の回数も限定されるものではない。
【0035】
以上、説明したようにプリズム体を用いた光学系であって、当該プリズム内の内部反射を利用して表示光束に所定の光学的パワーを付与しつつ長い光路長を折りたたむことにより光学系全体の小型化を図っており、また中間像を形成することで高い結像倍率を可能にした光学系において、中間像を形成するためのリレー光学系内に当該プリズム体を構成する光学面を負の光学的パワーをもつ透過面として含むことにより、リレー光学系を構成するプリズム体を小型化できると共に光学系全体の拡大倍率を高めることができる。また、当該負の光学的パワーをもつ透過面をリレー光学系内に設けることにより、光学系全体として適切に色収差補正を行うことが可能となる。
【0036】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。図2は本実施形態に係る光学系のYZ断面であって、当該光学系は図2に示す面を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0037】
本実施形態に係る光学系においても、第1実施形態で説明した光学系と同様に画像表示素子101に表示された画像を光学系の射出瞳S1に偏心系の光学系により導光している。このため、ローカル母線断面、ローカル子午線断面等の定義は第1実施形態と同じ定義を使用する。
【0038】
また、本実施形態に係る光学系においても、第1実施形態で説明した光学系と同様に光路中のリレー光学系により当該画像の中間像52を形成し、画像表示素子101に表示された画像を高い拡大率で拡大して、観察者に対して広い画角で画像を提示可能としている。
【0039】
本実施形態の光学系において形成される中間像52は第1実施形態と同様に定義される。また瞳結像面は、画像表示素子101の表示面上のローカル母線断面上での最周辺画像のうち、射出瞳S1から遠い方側の最周像高f3と射出瞳中心を通る光線をf3中心光線、射出瞳S1から近い方側の最周像高f2と射出瞳中心とを通る光線をf2中心光線とした時、f3中心光線と、f2中心光線が交差する点Pを通るような面として定義される。本実施形態に係る光学系と第1実施形態で説明した光学系の主な相違点は、画像表示素子101として反射型の表示素子である反射型LCD等を使用し、またリレー光学系と接眼光学系とで一部の光学面を共有している点にある。画像表示素子101として反射型のLCDを使用することは、表示面を小型化し高密度の画像を表示する点で望ましい。以下、主に第1実施形態で説明した光学系との相違点に関して、本実施形態に係る光学系について説明する。
【0040】
図2に示す光学系において、画像表示素子10に表示された画像の中間像52を生成するリレー光学系はプリズム状の光学素子12と別のプリズム状の光学素子11の一部により形成される。また、当該中間像52を光学系の射出瞳S1に提示する接眼光学系は上記光学素子11内に形成される。
【0041】
光学素子11は屈折率が1より大きい透明媒質上に5つの光学面S2〜S7を有するプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。ここで光学面S2、S4、S6は連続した面Aの一部であって、面Aを反射面(S4、S6)及び透過面(S2)として兼用している。また、光学面S3、S7も連続した面Bの一部であって、透過面(S7)及び反射面(S3)として兼用している。光の利用効率の点から面Bは透明な面であって、反射面S3は内部全反射により反射を生じることが望ましいが、全反射を利用することが困難な場合にはハーフミラーとすることも可能である。上記の面A及び面Bは、同一の領域をそれぞれ異なる光学面として使用することでプリズム体全体の体積を減少させ、光学系全体を小型軽量化している。
【0042】
光学素子12はリレー光学系の一部を構成し、屈折率が1より大きい透明媒質上に3つの光学面S8〜10で構成されたプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。
【0043】
光学素子13は、平面照明光源SIからの照明光を画像表示素子101に導光する照明光学系と、画像表示素子101からの表示光束を導光するリレー光学系とで共用され、シリンドリカル形状を有する透過面S13、S14を両面に有している。また、反射面S18は透過面S14と同一の面であり、透過反射兼用面とするためハーフミラーとすることが望ましい。光学素子13の反射面S18をローカル母線断面にのみパワーを持たせることにより、平面照明光源SIのローカル母線断面に垂直な方向の大きさを小さくしている。本実施形態においては、光学素子13の両面を構成する面をシリンドリカル形状としているが、必ずしもシリンドリカル形状とする必要は無く、各要素の配置などにより任意の面形状とすることが可能である。
【0044】
平面照明光源SIから発せられた照明光束は、偏光板4’(偏光子)を透過し直線偏光化され、光学素子13の反射面S18で反射されて反射型LCDに向かう。反射型LCDに斜め入射して反射された光は表示光束となり、光学素子13の透過面S14とS13を透過し、次に偏向板4(検光子)を透過して光学素子12に向かう。尚、面S15(S17と同一面)および面S16はLCDのカバーガラスによる面である。
【0045】
上記の光路において、偏光板4と偏光板4’の偏光方向が直角を成すように配置することが望ましい。このような配置にすることで、画像表示素子101のLCDで偏光方向が90度回転した光線のみが偏光板4を通過し、LCDで回転を生じない光線及び反射面S18を透過した光線を遮断できるため、表示光束以外のゴースト光が光学素子12に入射することを防止できる。
【0046】
尚、本実施形態では、光学素子13を複屈折率の低いガラス部材で構成している。反射型LCDを使用する場合、照明光学系中に偏光板4’(偏光子)、表示光学系中に他の偏光板4(検光子)を入れて使用することが多い。この時、表示光学系で反射型液晶から表示光学系中の偏光板4までの間は、光学的に平行ニコルの関係になるため、この間に複屈折性の強い材料を入れると、材料の光弾性がゴーストとして観察されてしまい好ましくない。また、液晶によっては直光ニコルの関係で表示させているものもある。本実施例では、この間に光学素子13を入れるが、該光学素子13を複屈折率の低いガラス部材で構成することにより、材料の光弾性が目で観察されることがなく、良好な画像を観察者に提供することが出来る。
【0047】
偏向板4(検光子)を透過して光学素子12に透過面S10から入射した表示光束は、反射面S9で内部反射を行い、透過面S8より光学素子12を射出する。その後、透過面S7より光学素子11に入射し、反射面S6で内部反射を行い、反射面S5で反射される前後において中間像52を形成する。
【0048】
光学素子12を形成する反射面S9は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。
【0049】
画像表示素子101に表示された画像の中間像52を形成するリレー光学系は、画像表示素子10から発散光として射出された表示光束を集光するために、リレー光学系全体の合成の光学的パワーとして所定の正の光学的パワーを有することが必要とされる。また、リレー光学系を構成する光学素子2を小型にして光学系全体の小型軽量化を図るためには、光学素子2を構成する各光学面の正の光学的パワーを強めることが有効であるのは先に説明したとおりである。
【0050】
光学素子11内で中間像52として結像した画像表示素子101の表示光束は、その後、接眼光学系内において発散しながら反射面S4および反射面S3で反射された後に透過面S2より光学素子1を射出して射出瞳S1に至る。
【0051】
光学素子11を形成する反射面S5は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。また反射面S3は、透過面S7と共用されるためハーフミラーとすることが光学設計上容易であるが、内部全反射による反射を用いることも可能であり、また反射面S3と透過面S7の重複を無くすることで反射面S3の部分にのみ反射膜を形成することも可能である。反射面S4は、ハーフミラーにより形成することも可能であるが、透過面S2と面を共有するため、光量ロスを抑制するためには内部全反射による反射を行わせることが望ましい。また、反射面S4のうちで透過面S2と面を共有しない部分については反射膜による反射とすることもできる。
【0052】
光学素子11内に形成された中間像52を射出瞳S1に導く接眼光学系は、中間像52から発散する表示光束を集光して、射出瞳S1におかれる観察者眼球が所定の距離から発せられた光線であると判断するように、射出瞳S1に対して略並行又は適当な集光性を以って到達させる機能が必要とされる。
【0053】
また、光学素子11内において、表示光束は面B→面A→面C→面A→面Bの順に各面を通過し、面C(反射面S5)の反射を境に往路(面B→面A→面C)と逆方向の復路(面C→面A→面B)に導光されるような往復光路を形成している。往路と復路の境となる面C(反射面S5)が折返し面となる。つまり、面Cで反射を生じる前後で、往路での面A上の表示光束の中心画角主光線のヒットポイントでの面の法線に関して、復路では往路と略反対側に反射して進む折り返し光路が形成される。このように、複数の偏心反射面A、B、Cで光路を折り返し、往路と復路をほぼ重複させることにより、長い光路長を小型な光学素子1に収めることが出来る。これにより、表示光学系全体をも小型にしている。また、利用できる反射の回数を増やすことができるために、一回の反射で与えられる光学的作用を弱めることが可能となり、諸収差の発生を抑制することができる。
【0054】
このような折返し反射の前後の反射面、例えば面Aでの反射に着目した場合、表示光束の中心画角主光線の反射面S4とS6へのそれぞれの入射方向と反射方向を示すベクトルの成す外積の方向が往路(反射面S6)と復路(反射面S4)でそれぞれ略正反対方向となる。このように特徴付けられる折返し面での反射を利用することにより、通常の略対向した二面間でのジグザグ反射に比べて、歪みの発生を抑制しつつ狭い空間に長い光路を納めることが可能となる。また、本実施形態では、面Aにおいて略同一の面における反射が二回行われる様子を示しているが、本発明はこれに限定されることはなく、複数回の折返しにより所定の反射面を3回以上反射させてその光学パワーを利用してもよい。また、このような複数回の反射を生じる反射面を複数有してもよい。
【0055】
また、図2においては、折返し面への入射光と反射光が紙面内にある場合を示しているが、必ずしもこのように設定される必要はない。つまり、折返し面で反射される光に紙面に垂直な方向の成分を折返し面により与えられてもよい。この場合には、例えば反射面S4と反射面S6での反射に着目した場合、各面への入射方向を示すベクトルと反射方向を示すベクトルの成す外積の方向が往路と復路でそれぞれ鈍角である角度を成すこととなる。また、当該外積同士の成す内積が負になることによっても光路の構成が特徴づけられる。さらに、折返し面だけでなく、他の反射面においても紙面に垂直な方向の成分を反射される光に与えてもよい。このようにすることで、各反射面は光線に対して紙面と垂直方向の偏心も有することとなり、光学設計の自由度を向上することができる。
【0056】
更に、折り畳まれた光路を形成する各反射面を偏心反射面とすることで、薄型の光学素子内で光路を折り畳むことが可能となり、更に小型且つ薄型の光学系内に長い光路長をとることができる。
【0057】
また、面C(反射面S5)は、前述した往復光路形成のために中心画角主光線を略垂直に反射するような角度で配置されているため、必ずしも中心画角主光線に対して偏心している必要はない。ここで略垂直に反射とあるのは、概ね面Cへの入射光線と射出光線のなす角度θ(絶対値)がθ<60°以下であることを意味する。
【0058】
つまり折返し面である面C(反射面S5)に入射した光線が反射され射出される時、折り返し面の前後で光線が所定の角度θを成して入射・反射される場合、角度θは
|θ|<60° (1)
を満たすことが望ましい。この条件を外れると、折り返し反射後の光路(復路)が往路を逆戻りせず、小型なプリズム体を用いて光線を瞳に最適に導くことが難しくなる。
【0059】
|θ|<30° (2)
更に、条件式(2)の条件を外れると、逆戻りは出来るが、往路と復路が重ならず光線を瞳に最適に導くために光学素子が大型化し、表示装置全体を小型化にすることが難しくなるため好ましくない。
【0060】
|θ|<20° (3)
また条件式(3)を満たすと小型化が可能になる。
【0061】
折り返し面で光線が入射して射出する角度における上記の関係は、光学素子12や他の光学系に折り返し面があった場合も同様である。
【0062】
以上のように構成される頭部装着型の画像表示装置用のリレー光学系と接眼光学系において、リレー光学系を構成する光学素子12を小型化するために光学素子2を構成する透過面S10と反射面S9の正の光学的パワーを強めることが有効であるのは先に説明したとおりである。また、本実施形態では光学系全体を小型化するために、リレー光学系の一部として強い正の光学パワーを有する接眼光学系を共用しているため、結果としてリレー光学系の有する正の光学的パワーが大きくなる。一方、リレー光学系の有する正の光学的パワーが大きい場合にはその焦点距離が短くなり、反射型の表示装置を使用する際に必要となる照明光と表示光の分離用の光学素子13を挿入することが困難となる。
【0063】
この問題を解決するため、本実施形態に係る光学系においては光学素子12から表示光束が射出する透過面S8から光学素子11に入射するS7の合成の光学的パワーを負としている。これにより光学素子12を小型化しつつリレー光学系の焦点距離を大きくすることが可能となり、光学素子13を画像表示素子101との間に挿入することが可能となる。また、第1の実施形態で説明したように、リレー光学系の焦点距離を大きくすることで光学系全体の拡大倍率を高くしつつ十分な拡大率とアイリリーフを確保することができる。
【0064】
しかしながら、本実施形態においては負の光学的パワーを有する透過面S8が瞳結像面62近傍に存在するため、透過面S8からS7においての負の合成パワーを強くするに従い瞳結像面62からLCDまでの光路長が長くなり、結果として光学系全体が大型化してしまう。そのため、負の光学的パワーが瞳結像面62近傍にある場合には、各合成ローカル距離は以下の(4)式を満足することが望ましい。
【0065】
|FyR/FyT|<0.060
|FxR/FxT|<0.060 ・・・(4)
尚、上記式の各項は以下に示す数値実施例内の定義と同様である。
【0066】
(4)式を満足することにより光学系全体の大型化を生じることなく、リレー光学系の焦点距離を大きくすることが可能であって、反射型の画像表示素子を使用するために必要な光学素子13を光路中に挿入することが可能となる。
【0067】
また、透過面であるS8に負のパワーを与えることで、光学素子12の小型化のためには不可欠である透過面S10の強い正の光学的パワーにより生じた色収差を解消することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態においては接眼光学系をプリズム状の光学素子1の一部を用いて構成しているが本発明の実施の形態はこれに限定されることは無く、正の光学パワーを有する透過面と反射面を含むリレー光学系内に負の光学的パワーを有する透過面を少なくても一面有する光学系であれば、本発明の適用が可能である。
【0069】
図2中に示したプリズム体の光学素子11,12の構成は、図中及び以下に示す表2に示されたものに限るものではなく、最適な位置に画像表示素子を配置、好適な画像を観察者に提供するために、5面以上の光学面で構成されてもよく、またプリズム内での反射の回数も限定されるものではない。
【0070】
以上、説明したようにプリズム体を用いた光学系であって、当該プリズム内の内部反射を利用して表示光束に所定の光学的パワーを付与しつつ長い光路長を折りたたむことにより光学系全体の小型化を図っており、また中間像を形成することで高い結像倍率を可能にした光学系において、中間像を形成するためのリレー光学系内に当該プリズム体を構成する光学面を負の光学的パワーをもつ透過面として含むことにより、リレー光学系を構成するプリズム体を小型化できると共に、リレー光学系の焦点距離を大きくすることが可能となり、反射型の画像表示装置の使用が可能になる。また、観察眼に対して所定のアイリリーフを保ちつつ光学系全体の拡大倍率を高めることができ、更に光学系全体として適切に色収差補正を行うことが可能となる。
【0071】
図2に示す本実施形態に係る光学系の光学データを表2に示す。表2の内容から、画像サイズ9.6mm×7.2mm程度の画像表示装置を用いた場合に、図2に示した光学系により射出瞳径φ12mm、水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示可能となる。
【0072】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。図3は本実施形態に係る光学系のYZ断面であって、当該光学系は図3に示す面を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0073】
本実施形態に係る光学系は、第2実施形態で説明した光学系と概略として同様の光路を持つ一方、各光学面の光学的パワーの配置が異なる。また、照明光と表示光の分離に用いられる光学素子23が異なる材料を接合させて形成されている点で第2実施形態と異なる。このため、ローカル母線断面、ローカル子午線断面等の定義は第2実施形態と同じ定義を使用する。
【0074】
以下、主に第2実施形態で説明した光学系との相違点に関して、本実施形態に係る光学系について説明する。
【0075】
図3に示す光学系において、光学素子21及び光学素子22は、図2中の光学素子11及び光学素子12と類似の構成を持つプリズム状の光学素子であり、それぞれ異なる曲面を有する。
【0076】
光学素子23は、平面照明光源SIからの照明光を画像表示素子101に導光する照明光学系と、画像表示素子101からの表示光束を導光するリレー光学系とで共用され、シリンドリカル形状の透過面S13、透過面S14(接合面)、透過面S15を有する接合レンズである。反射面S19は透過面S15と同一の面であり、透過反射兼用面とするためハーフミラーとすることが望ましい。
【0077】
本実施形態に係る光学系においては、光学素子23が有する光学的パワーを最適化することにより、第2実施形態に示した光学系と比較して以下に説明するような特徴を有する。
【0078】
光学素子22の小型化のために透過面S10、S9の正の光学パワーを強める一方で、リレー光学系の焦点距離が短縮することを防止するために透過面S8に負の光学的パワーを付与する点においては、図2に示した光学系と同様である。
【0079】
一方、図2に示した構成においては、負の光学的パワーを有する透過面S8が光路中に形成される瞳結像面の近傍に位置するため、負の光学的パワーを強くするに従い瞳結像面からLCDまでの光路長が長くなり、結果として光学系全体が大型化してしまう。
【0080】
これに対し本実施形態に係る光学系においては、主に光学素子23の有する光学的パワーを最適化することにより、瞳結像面63を透過面S8の後段であって、光学素子21内に形成させている。これにより、瞳結像面63を負の光学的パワーから離れたところに配置し、この結果、LCDから瞳結像面63までの光路長をLCDと反対側へ長く確保でき、光学系全体を大型化することなく負のパワーを強くすることができる。
【0081】
つまり、光学系全体の大型化を伴わずに、後に示す数値実施例に見られるように、透過面S7、S8で構成する空気レンズの母線と子線のローカル焦点距離が第2実施形態に比べて短縮されて負の光学的パワーを強めることが可能となる。このように、LCDと瞳結像面63の間に負の光学的パワーがある場合には、以下の(5)式を満たすことが望ましい。
【0082】
|FyR/FyT|>=0.060
|FxR/FxT|>=0.060 ・・・(5)
上記構成において条件式(5)を満たすことにより、瞳結像面63からLCD間の光路長を十分に確保できるようになる。このように、リレー光学系のLCDと瞳結像面の間に負の光学的パワーを配置することで、負のパワーを強くしても光学系の大型化を生じることなく光学素子22とLCDの間隔を大きくすることが可能となり、良好な光学性能を得ることができる。
【0083】
また、光学素子23を異なる媒質の硝材を用いた接合レンズとすることで、色収差の補正を良好に行いうことが可能となる。更に透過面S13〜S15を各面偏心させることで、光学素子21、22によって出た偏心収差などを適切に補正することを可能にし、非常に良好な画像を観察者に提供することが可能となる。
【0084】
図3に示す本実施形態に係る光学系の光学データを表3に示す。表3の内容から、画像サイズ9.6mm×7.2mm程度の画像表示装置を用いた場合に、図2に示した光学系により射出瞳径φ12mm、水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示可能となる。
【0085】
(数値実施例)
図1〜3に示す各実施形態に係る光学系の光学データをそれぞれ表1〜3に示す。表中の項目SURFは図1〜3に示す各光学系を構成する各光学面の面番号を示している。また、X,Y,Z及びAは、第1面S1の中心を原点(0,0,0)とし、図1〜3の図中に示したy軸,z軸と紙面奥向きにx軸をとった座標系における各面の面頂点の位置(x,y,z)、並びに図面上で反時計まわりを正方向とするx軸まわりの回転角度a(単位:度)をそれぞれ示す。TYPの項は面形状の種類を表し、SPHは球面、FFSは非回転対称面、YTOは母線断面のみ屈折力を持つシリンドリカルレンズ面である。第1実施形態で使用する各非回転対称面は下記のFFS−no.1の式に従って表現される。また、第2〜3実施形態で使用する各非回転対称面は下記のFFS−no.2の式に従って表現される。またシリンドリカルレンズ面(YTO)については母線断面が下記の非球面式で表され、子午線断面は平面(rx=∞)である。
【0086】
Rの項は曲率半径を表し、シリンドリカルレンズ面に関しては母線断面曲率半径ryの値を表記してある。また、各非回転対称面(FFS)について、形状を示す各式内の各項の係数(c**)は表1〜3の下側に記載されている。値の記載の無い係数は全て0である。
【0087】
Nd,vdはそれぞれその面以降の光路の媒質のd線での屈折率とアッベ数を示しており、屈折率Ndの符号の変化はその面が反射面であることを示している。また、媒質が空気層の場合は、屈折率Ndのみを1.0として表示し、アッベ数vdは省略している。
【0088】
表1においては、光が光学素子2を射出する透過面S7から光学素子1に入射する透過面S6の母線断面上における合成ローカル母線断面焦点距離をFyT、子午線断面上における合成ローカル子午線断面焦点距離をFxTとして表1と共に記載した。
【0089】
表2〜3においては、リレー光学系の母線断面、子午線断面のローカル焦点距離をFyR、FxRとした場合の、FyR/FyTとFxR/FxTの絶対値を記載した。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置用の光学系であって、必要とされる光学性能を保ちつつ光学的な諸収差の発生を抑制可能である光学系を提供することが可能である。更に、当該光学系を用いることにより、装置全体が小型軽量であって高解像度且つ広画角表示の可能な頭部装着型の画像表示装置を提供すること小型の表示手段を用いつつ、広画角で小型、また色収差を良好に補正し、好適な画像を観察者に提供できる画像表示装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。
【符号の説明】
1、2、11、12、21、22 光学素子
3、13、23 シリンドリカルレンズ、接合レンズ
4、4’ 偏光板
51、52、53 中間結像面
61、62、63 瞳結像面
SI 平面照明光
10、101 画像表示素子
【発明の属する技術分野】
本発明は、観察者の頭部に装着して、観察者に表示素子に表示された原画を拡大表示した画像を提供する頭部装着型の画像表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)及びその光学系に関し、特に小型でありながら広画角の表示が可能な頭部装着型の画像表示装置及びその光学系に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、CRTやLCD等の画像表示素子を用い、これらの表示素子に表示された原画像を所定の光学系を介して拡大表示して観察者に提供する頭部装着型の画像表示装置(ヘッドマウントディスプレイ)が良く知られている。
【0003】
このような頭部装着型の画像表示装置は、これらの装置を頭部に装着するため、特に装置全体の小型化、軽量化が要望されている。また表示される画像に迫力を持たせるためには、前記の表示素子に表示された画像を出来るだけ大きく拡大して広画角に表示すると共に、高解像度で表示可能な光学系が求められる。
【0004】
このような要求を満たすための手段のひとつとして、表示素子からの光束を観察者眼球に導く光学系に複数の面からなる偏心プリズムを用いて、当該偏心プリズム内での内部反射を利用して光路を折り畳み、光学系を小型化する手法が特開平7−333551号などに記載されている。
【0005】
また、比較的短い光路長内に形成可能な光学系により表示素子に表示された画像を拡大して広画角に表示する手法のひとつとして、表示素子と観察者眼球の間の経路に中間結像を形成させることが有効である。例えば、特開2000−131614号公報には、光路中に中間結像を形成する光学系を有する頭部装着型の画像表示装置が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような手段を組み合わせて使用して小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置を構成しようとした場合には、以下のような問題点を生じることとなる。つまり、広画角表示のために中間結像を形成させるためには、表示素子と観察者眼球の間の経路に中間結像を生じるためのリレー光学系と当該中間像を観察者に提示するための接眼光学系を設ける必要がある。このため、必要とされる光学系が複雑化し大型化する問題を生じる。
【0007】
また、そのような問題点を解決するためには、上記リレー光学系や接眼光学系を偏心プリズムを用いて小さな空間に収納することが有効である。しかし、そのような偏心プリズムを用いた光学設計においては、プリズム中に形成される光路中で単一の面を複数回利用することやプリズムを構成する各光学面の光学的パワーを強くすることが小型化には有効である一方で、画像表示装置としての光学性能を確保することや、さまざまな収差の発生を抑制することが困難となってくる。
【0008】
本発明は、上記問題点を解決して、小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置用の光学系であって、必要とされる光学性能を保ちつつ光学的な諸収差の発生を抑制可能である光学系を提供することを目的とする。更に、当該光学系を用いることにより、装置全体が小型軽量であって高解像度且つ広画角表示の可能な頭部装着型の画像表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明に係る光学系は、表示手段に表示した表示光束を観察者の観察眼に導く光学系であって、相対的に前記光学系の射出瞳に近い光路上に位置する第一のプリズム状の光学素子と、相対的に前記表示手段に近い光路上に位置する第二のプリズム状の光学素子とを有し、光路中に前記表示手段に表示した表示光束の中間像を形成する光学系において、前記第二のプリズム状の光学素子の射出面と前記第一のプリズム状の光学素子の入射面との有する合成の光学的パワーが負であって、且つ前記第一のプリズム状の光学素子内に中間像が形成されることを特徴としている。
【0010】
さらに、本発明に係る画像表示装置は、上記のような光学系を用いることを特徴としている。
【0011】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。図1は本実施形態に係る光学系のYZ断面であって、当該光学系は図1に示す面を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0012】
本発明に係る光学系は画像表示素子10に表示された画像を光学系の射出瞳S1に偏心系の光学系により導光している。以下に本発明で用いる偏心系に対応したローカル母線断面、ローカル子午線断面を定義する。
【0013】
画像表示素子10の中心から射出して射出瞳S1の中心に至る光線を中心画角主光線と規定する。この時、当該中心画角主光線の各光学面のヒットポイント上で、中心画角主光線の入射光と射出光を含む面をローカル母線断面とし、ヒットポイントを含みローカル母線断面と垂直で、各面頂点座標系のXZ平面と平行な面をローカル子線断面として定義する。また、各光学面における中心画角主光線のヒットポイント上近傍の曲率の内、前記ローカル母線断面内の曲率半径をry、ローカル子線断面内の曲率半径をrxと定義する。更に、透過面の前後の屈折率をそれぞれnd、nd’とした時に、fy=ry/(nd’−nd)で与えられるfyをローカル母線断面焦点距離、fx=rx/(nd’−nd)で与えられるfxをローカル子線断面焦点距離と定義する。
【0014】
また、各光学面の面間隔dは、それぞれの当該光学面のおける中心画角主光線のヒットポイント間の距離、つまり中心画角主光線上の距離(空気換算なしの値)として規定する。
【0015】
本実施形態に係る光学系は、画像表示素子10に表示された画像を光学系の射出瞳S1に導光する光路を有している。その光路中のリレー光学系により当該画像の中間像51を形成し、更に接眼光学系により当該中間像を観察者眼球の位置に対応する射出瞳S1に提示している。このように中間像を形成することにより、中間像を形成しない場合に比較して画像表示素子10に表示された画像を高い拡大率で拡大して、観察者に対して広い画角で画像を提示可能としている。
【0016】
図1に示す光学系において、画像表示素子10に表示された画像の中間像51を生成するリレー光学系はプリズム状の光学素子2と別のプリズム状の光学素子1の一部により形成される。また、当該中間像51を光学系の射出瞳S1に提示する接眼光学系は上記光学素子1の一部により形成される。
【0017】
光学素子1は屈折率が1より大きい透明媒質上に4つの光学面S2〜S6で構成されたプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。ここで光学面S2と光学面S4は連続した同一面であって、透過面(S4)及び反射面(S2)として兼用される。
【0018】
光学素子2は屈折率が1より大きい透明媒質上に4つの光学面S7〜10で構成されたプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。以下に示す表1の光学データからも分かるように、本実施形態においては光学素子1、2はそれぞれ異なる材質から構成されており、主に色収差を有効に解消できるようにされている。
【0019】
画像表示素子10には、自発光型のCRT(Cathode ray tube)、エレクトロルミネッセンス等の表示素子、又は透過型のLCD(Liquid Crystal Display)が図示されない照明光源と共に用いられる。
【0020】
画像表示素子10の表示面SIより出た表示光束は透過面S10より光学素子2に入射し、反射面S9、S8で内部反射を行い、透過面S7より光学素子2を射出する。その後、透過面S6より光学素子1に入射し、反射面S5で反射される前後において中間像51を形成する。
【0021】
光学素子2を形成する反射面S8、S9は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。
【0022】
画像表示素子10に表示された画像の中間像51を形成するリレー光学系は、画像表示素子10から発散光として射出された表示光束を集光するために、リレー光学系の合成の光学的パワーとして所定の正の光学的パワーを有することが必要とされる。
【0023】
尚、本実施形態において形成される中間像51は、偏心光学系により集光されて結像するために画像表示素子10上の一点から射出された光束が一点に集光されて形成されることが困難である。このため、図1に示した中間像51の位置は画像表示素子10上の一点から射出された光束の内の最周辺光が集光する位置を以って定義している。
【0024】
また、リレー光学系を構成する光学素子2を小型にして光学系全体の小型軽量化を図るためには、光学素子2を構成する各光学面の正の光学的パワーを強めることが有効である。つまり、各面の正の光学的パワーを強めることで各焦点距離を短く取り、また各面の間隔を小さくすることで、表示光束の径を小さく保った状態で小面積の光学面により所定の正の光学パワーを表示光束に付与することが可能となる。これにより各光学面を小面積化し、その間隔を短縮可能となり、ひいては光学素子2を小型化することが可能となる。また、この結果として画像表示素子10が光学素子2のごく近傍に配置可能となり、更に装置の小型化を図ることができる。
【0025】
光学素子1内で中間像51として結像した画像表示素子10の表示光束は、その後、接眼光学系内において発散しながら反射面S4に入射して反射され、次に反射面S3で反射された後に透過面S2より光学素子1を射出して射出瞳S1に至る。
【0026】
光学素子1を形成する反射面S3、S5は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。また反射面S4は、ハーフミラーにより形成することも可能であるが、透過面S2と面を共有するため、光量ロスを抑制するためには内部全反射による反射を行わせることが望ましい。また、反射面S4のうちで透過面S2と面を共有しない部分については反射膜による反射とすることもできる。
【0027】
光学素子1内に形成された中間像51を射出瞳S1に導く接眼光学系は、中間像51から発散する表示光束を集光して、射出瞳S1におかれる観察者眼球が所定の距離から発せられた光線であると判断するように、射出瞳S1に対して略並行又は適当な集光性を以って到達させる機能が必要とされる。このためには、接眼光学系には所定の正の光学的パワーを付与することが必要とされる。
【0028】
以上のように構成される頭部装着型の画像表示装置用のリレー光学系と接眼光学系において、光学素子2を小型化しつつ十分な拡大率を確保するために、本実施形態に係る光学系において光学素子2から光学素子1に表示光束が入射する透過面S7とS6の合成の光学的パワーを負としている。
【0029】
前述のように、リレー光学系を構成する光学素子2を小型化するためには各面の光学的パワーを強めて焦点距離を短くすることが有効である一方で、接眼光学系は所定の正の光学的パワーを有することが必要とされる。良好な光学系を構成するためには、このようなリレー光学系と接眼光学系のパワー配置の整合を考慮する必要があり、一定以上にリレー光学系に正の光学的パワーを付与することが困難となり、光学素子2の小型化が困難となる。
【0030】
これに対し、リレー光学系内のであって光学素子2の射出面である透過面S7、および光学素子1の入射面である透過面S6に適切な大きさの負の合成の光学的パワーを付与することにより、適切な正の光学的パワーを有する接眼光学系とのパワー配置が整合し、所定の像の拡大率を保った状態で光学素子2を小型化することが可能となる。この時、光路上に形成される瞳結像面は光学素子2内に形成されることが望ましい。
【0031】
また、透過面であるS7,S6に負の合成の光学的パワーを与えることで、光学素子2の小型化のためには不可欠である透過面S10の強い正の光学的パワーにより生じた色収差を解消することが可能となる。
【0032】
本実施形態に示した光学系においては、反射面によっても表示光束に対して正の光学パワーを与えるために色収差を発生する光学的パワーを持った光学面に限られる一方で、接眼光学系では表示光束に対して主に反射面により強い正の光学的パワーを付与するため、リレー光学系で生じた色収差を解消しにくい。これに対してリレー光学系に負の光学的パワーを有する透過面を設けることにより、射出瞳S1において観察される色分離を略解消することが可能である。
【0033】
図1に示した本実施形態においては、透過面S6を正の光学的パワーを持つ面とし、透過面S7を負の光学的パワーを持つ面として、透過面S7,S6に負の合成の光学的パワーを付与した例を示している。一方、本発明の実施の形態はこれに限定されることは無く、透過面S7,S6が適切な大きさの負の合成の光学的パワーを有すれば、透過面S6が負の光学的パワーを持ち透過面S7が正の光学的パワーを持ってもよく、また両面共に負の光学的パワーを持ってもよい。また、本実施形態においては接眼光学系をプリズム状の光学素子1の一部を用いて構成しているが本発明の実施の形態はこれに限定されることは無く、正の光学パワーを有する透過面と反射面を含むリレー光学系内に負の光学的パワーを有する透過面を少なくても一面有する光学系であれば、本発明の適用が可能である。
【0034】
図1中に示したプリズム体の光学素子1,2の構成は、図中及び表1に示されたものに限るものではなく、最適な位置に画像表示素子を配置、好適な画像を観察者に提供するために、5面以上の光学面で構成されてもよく、またプリズム内での反射の回数も限定されるものではない。
【0035】
以上、説明したようにプリズム体を用いた光学系であって、当該プリズム内の内部反射を利用して表示光束に所定の光学的パワーを付与しつつ長い光路長を折りたたむことにより光学系全体の小型化を図っており、また中間像を形成することで高い結像倍率を可能にした光学系において、中間像を形成するためのリレー光学系内に当該プリズム体を構成する光学面を負の光学的パワーをもつ透過面として含むことにより、リレー光学系を構成するプリズム体を小型化できると共に光学系全体の拡大倍率を高めることができる。また、当該負の光学的パワーをもつ透過面をリレー光学系内に設けることにより、光学系全体として適切に色収差補正を行うことが可能となる。
【0036】
(第2実施形態)
図2は、本発明の第2実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。図2は本実施形態に係る光学系のYZ断面であって、当該光学系は図2に示す面を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0037】
本実施形態に係る光学系においても、第1実施形態で説明した光学系と同様に画像表示素子101に表示された画像を光学系の射出瞳S1に偏心系の光学系により導光している。このため、ローカル母線断面、ローカル子午線断面等の定義は第1実施形態と同じ定義を使用する。
【0038】
また、本実施形態に係る光学系においても、第1実施形態で説明した光学系と同様に光路中のリレー光学系により当該画像の中間像52を形成し、画像表示素子101に表示された画像を高い拡大率で拡大して、観察者に対して広い画角で画像を提示可能としている。
【0039】
本実施形態の光学系において形成される中間像52は第1実施形態と同様に定義される。また瞳結像面は、画像表示素子101の表示面上のローカル母線断面上での最周辺画像のうち、射出瞳S1から遠い方側の最周像高f3と射出瞳中心を通る光線をf3中心光線、射出瞳S1から近い方側の最周像高f2と射出瞳中心とを通る光線をf2中心光線とした時、f3中心光線と、f2中心光線が交差する点Pを通るような面として定義される。本実施形態に係る光学系と第1実施形態で説明した光学系の主な相違点は、画像表示素子101として反射型の表示素子である反射型LCD等を使用し、またリレー光学系と接眼光学系とで一部の光学面を共有している点にある。画像表示素子101として反射型のLCDを使用することは、表示面を小型化し高密度の画像を表示する点で望ましい。以下、主に第1実施形態で説明した光学系との相違点に関して、本実施形態に係る光学系について説明する。
【0040】
図2に示す光学系において、画像表示素子10に表示された画像の中間像52を生成するリレー光学系はプリズム状の光学素子12と別のプリズム状の光学素子11の一部により形成される。また、当該中間像52を光学系の射出瞳S1に提示する接眼光学系は上記光学素子11内に形成される。
【0041】
光学素子11は屈折率が1より大きい透明媒質上に5つの光学面S2〜S7を有するプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。ここで光学面S2、S4、S6は連続した面Aの一部であって、面Aを反射面(S4、S6)及び透過面(S2)として兼用している。また、光学面S3、S7も連続した面Bの一部であって、透過面(S7)及び反射面(S3)として兼用している。光の利用効率の点から面Bは透明な面であって、反射面S3は内部全反射により反射を生じることが望ましいが、全反射を利用することが困難な場合にはハーフミラーとすることも可能である。上記の面A及び面Bは、同一の領域をそれぞれ異なる光学面として使用することでプリズム体全体の体積を減少させ、光学系全体を小型軽量化している。
【0042】
光学素子12はリレー光学系の一部を構成し、屈折率が1より大きい透明媒質上に3つの光学面S8〜10で構成されたプリズム体で、少なくとも1つの光学面は光線に対し偏心した曲面である。
【0043】
光学素子13は、平面照明光源SIからの照明光を画像表示素子101に導光する照明光学系と、画像表示素子101からの表示光束を導光するリレー光学系とで共用され、シリンドリカル形状を有する透過面S13、S14を両面に有している。また、反射面S18は透過面S14と同一の面であり、透過反射兼用面とするためハーフミラーとすることが望ましい。光学素子13の反射面S18をローカル母線断面にのみパワーを持たせることにより、平面照明光源SIのローカル母線断面に垂直な方向の大きさを小さくしている。本実施形態においては、光学素子13の両面を構成する面をシリンドリカル形状としているが、必ずしもシリンドリカル形状とする必要は無く、各要素の配置などにより任意の面形状とすることが可能である。
【0044】
平面照明光源SIから発せられた照明光束は、偏光板4’(偏光子)を透過し直線偏光化され、光学素子13の反射面S18で反射されて反射型LCDに向かう。反射型LCDに斜め入射して反射された光は表示光束となり、光学素子13の透過面S14とS13を透過し、次に偏向板4(検光子)を透過して光学素子12に向かう。尚、面S15(S17と同一面)および面S16はLCDのカバーガラスによる面である。
【0045】
上記の光路において、偏光板4と偏光板4’の偏光方向が直角を成すように配置することが望ましい。このような配置にすることで、画像表示素子101のLCDで偏光方向が90度回転した光線のみが偏光板4を通過し、LCDで回転を生じない光線及び反射面S18を透過した光線を遮断できるため、表示光束以外のゴースト光が光学素子12に入射することを防止できる。
【0046】
尚、本実施形態では、光学素子13を複屈折率の低いガラス部材で構成している。反射型LCDを使用する場合、照明光学系中に偏光板4’(偏光子)、表示光学系中に他の偏光板4(検光子)を入れて使用することが多い。この時、表示光学系で反射型液晶から表示光学系中の偏光板4までの間は、光学的に平行ニコルの関係になるため、この間に複屈折性の強い材料を入れると、材料の光弾性がゴーストとして観察されてしまい好ましくない。また、液晶によっては直光ニコルの関係で表示させているものもある。本実施例では、この間に光学素子13を入れるが、該光学素子13を複屈折率の低いガラス部材で構成することにより、材料の光弾性が目で観察されることがなく、良好な画像を観察者に提供することが出来る。
【0047】
偏向板4(検光子)を透過して光学素子12に透過面S10から入射した表示光束は、反射面S9で内部反射を行い、透過面S8より光学素子12を射出する。その後、透過面S7より光学素子11に入射し、反射面S6で内部反射を行い、反射面S5で反射される前後において中間像52を形成する。
【0048】
光学素子12を形成する反射面S9は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。
【0049】
画像表示素子101に表示された画像の中間像52を形成するリレー光学系は、画像表示素子10から発散光として射出された表示光束を集光するために、リレー光学系全体の合成の光学的パワーとして所定の正の光学的パワーを有することが必要とされる。また、リレー光学系を構成する光学素子2を小型にして光学系全体の小型軽量化を図るためには、光学素子2を構成する各光学面の正の光学的パワーを強めることが有効であるのは先に説明したとおりである。
【0050】
光学素子11内で中間像52として結像した画像表示素子101の表示光束は、その後、接眼光学系内において発散しながら反射面S4および反射面S3で反射された後に透過面S2より光学素子1を射出して射出瞳S1に至る。
【0051】
光学素子11を形成する反射面S5は、内部全反射による反射を用いることも可能であるが、反射膜として金属膜などが施された反射面とすることで光量の損失が無く、また光学設計が容易となる。また反射面S3は、透過面S7と共用されるためハーフミラーとすることが光学設計上容易であるが、内部全反射による反射を用いることも可能であり、また反射面S3と透過面S7の重複を無くすることで反射面S3の部分にのみ反射膜を形成することも可能である。反射面S4は、ハーフミラーにより形成することも可能であるが、透過面S2と面を共有するため、光量ロスを抑制するためには内部全反射による反射を行わせることが望ましい。また、反射面S4のうちで透過面S2と面を共有しない部分については反射膜による反射とすることもできる。
【0052】
光学素子11内に形成された中間像52を射出瞳S1に導く接眼光学系は、中間像52から発散する表示光束を集光して、射出瞳S1におかれる観察者眼球が所定の距離から発せられた光線であると判断するように、射出瞳S1に対して略並行又は適当な集光性を以って到達させる機能が必要とされる。
【0053】
また、光学素子11内において、表示光束は面B→面A→面C→面A→面Bの順に各面を通過し、面C(反射面S5)の反射を境に往路(面B→面A→面C)と逆方向の復路(面C→面A→面B)に導光されるような往復光路を形成している。往路と復路の境となる面C(反射面S5)が折返し面となる。つまり、面Cで反射を生じる前後で、往路での面A上の表示光束の中心画角主光線のヒットポイントでの面の法線に関して、復路では往路と略反対側に反射して進む折り返し光路が形成される。このように、複数の偏心反射面A、B、Cで光路を折り返し、往路と復路をほぼ重複させることにより、長い光路長を小型な光学素子1に収めることが出来る。これにより、表示光学系全体をも小型にしている。また、利用できる反射の回数を増やすことができるために、一回の反射で与えられる光学的作用を弱めることが可能となり、諸収差の発生を抑制することができる。
【0054】
このような折返し反射の前後の反射面、例えば面Aでの反射に着目した場合、表示光束の中心画角主光線の反射面S4とS6へのそれぞれの入射方向と反射方向を示すベクトルの成す外積の方向が往路(反射面S6)と復路(反射面S4)でそれぞれ略正反対方向となる。このように特徴付けられる折返し面での反射を利用することにより、通常の略対向した二面間でのジグザグ反射に比べて、歪みの発生を抑制しつつ狭い空間に長い光路を納めることが可能となる。また、本実施形態では、面Aにおいて略同一の面における反射が二回行われる様子を示しているが、本発明はこれに限定されることはなく、複数回の折返しにより所定の反射面を3回以上反射させてその光学パワーを利用してもよい。また、このような複数回の反射を生じる反射面を複数有してもよい。
【0055】
また、図2においては、折返し面への入射光と反射光が紙面内にある場合を示しているが、必ずしもこのように設定される必要はない。つまり、折返し面で反射される光に紙面に垂直な方向の成分を折返し面により与えられてもよい。この場合には、例えば反射面S4と反射面S6での反射に着目した場合、各面への入射方向を示すベクトルと反射方向を示すベクトルの成す外積の方向が往路と復路でそれぞれ鈍角である角度を成すこととなる。また、当該外積同士の成す内積が負になることによっても光路の構成が特徴づけられる。さらに、折返し面だけでなく、他の反射面においても紙面に垂直な方向の成分を反射される光に与えてもよい。このようにすることで、各反射面は光線に対して紙面と垂直方向の偏心も有することとなり、光学設計の自由度を向上することができる。
【0056】
更に、折り畳まれた光路を形成する各反射面を偏心反射面とすることで、薄型の光学素子内で光路を折り畳むことが可能となり、更に小型且つ薄型の光学系内に長い光路長をとることができる。
【0057】
また、面C(反射面S5)は、前述した往復光路形成のために中心画角主光線を略垂直に反射するような角度で配置されているため、必ずしも中心画角主光線に対して偏心している必要はない。ここで略垂直に反射とあるのは、概ね面Cへの入射光線と射出光線のなす角度θ(絶対値)がθ<60°以下であることを意味する。
【0058】
つまり折返し面である面C(反射面S5)に入射した光線が反射され射出される時、折り返し面の前後で光線が所定の角度θを成して入射・反射される場合、角度θは
|θ|<60° (1)
を満たすことが望ましい。この条件を外れると、折り返し反射後の光路(復路)が往路を逆戻りせず、小型なプリズム体を用いて光線を瞳に最適に導くことが難しくなる。
【0059】
|θ|<30° (2)
更に、条件式(2)の条件を外れると、逆戻りは出来るが、往路と復路が重ならず光線を瞳に最適に導くために光学素子が大型化し、表示装置全体を小型化にすることが難しくなるため好ましくない。
【0060】
|θ|<20° (3)
また条件式(3)を満たすと小型化が可能になる。
【0061】
折り返し面で光線が入射して射出する角度における上記の関係は、光学素子12や他の光学系に折り返し面があった場合も同様である。
【0062】
以上のように構成される頭部装着型の画像表示装置用のリレー光学系と接眼光学系において、リレー光学系を構成する光学素子12を小型化するために光学素子2を構成する透過面S10と反射面S9の正の光学的パワーを強めることが有効であるのは先に説明したとおりである。また、本実施形態では光学系全体を小型化するために、リレー光学系の一部として強い正の光学パワーを有する接眼光学系を共用しているため、結果としてリレー光学系の有する正の光学的パワーが大きくなる。一方、リレー光学系の有する正の光学的パワーが大きい場合にはその焦点距離が短くなり、反射型の表示装置を使用する際に必要となる照明光と表示光の分離用の光学素子13を挿入することが困難となる。
【0063】
この問題を解決するため、本実施形態に係る光学系においては光学素子12から表示光束が射出する透過面S8から光学素子11に入射するS7の合成の光学的パワーを負としている。これにより光学素子12を小型化しつつリレー光学系の焦点距離を大きくすることが可能となり、光学素子13を画像表示素子101との間に挿入することが可能となる。また、第1の実施形態で説明したように、リレー光学系の焦点距離を大きくすることで光学系全体の拡大倍率を高くしつつ十分な拡大率とアイリリーフを確保することができる。
【0064】
しかしながら、本実施形態においては負の光学的パワーを有する透過面S8が瞳結像面62近傍に存在するため、透過面S8からS7においての負の合成パワーを強くするに従い瞳結像面62からLCDまでの光路長が長くなり、結果として光学系全体が大型化してしまう。そのため、負の光学的パワーが瞳結像面62近傍にある場合には、各合成ローカル距離は以下の(4)式を満足することが望ましい。
【0065】
|FyR/FyT|<0.060
|FxR/FxT|<0.060 ・・・(4)
尚、上記式の各項は以下に示す数値実施例内の定義と同様である。
【0066】
(4)式を満足することにより光学系全体の大型化を生じることなく、リレー光学系の焦点距離を大きくすることが可能であって、反射型の画像表示素子を使用するために必要な光学素子13を光路中に挿入することが可能となる。
【0067】
また、透過面であるS8に負のパワーを与えることで、光学素子12の小型化のためには不可欠である透過面S10の強い正の光学的パワーにより生じた色収差を解消することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態においては接眼光学系をプリズム状の光学素子1の一部を用いて構成しているが本発明の実施の形態はこれに限定されることは無く、正の光学パワーを有する透過面と反射面を含むリレー光学系内に負の光学的パワーを有する透過面を少なくても一面有する光学系であれば、本発明の適用が可能である。
【0069】
図2中に示したプリズム体の光学素子11,12の構成は、図中及び以下に示す表2に示されたものに限るものではなく、最適な位置に画像表示素子を配置、好適な画像を観察者に提供するために、5面以上の光学面で構成されてもよく、またプリズム内での反射の回数も限定されるものではない。
【0070】
以上、説明したようにプリズム体を用いた光学系であって、当該プリズム内の内部反射を利用して表示光束に所定の光学的パワーを付与しつつ長い光路長を折りたたむことにより光学系全体の小型化を図っており、また中間像を形成することで高い結像倍率を可能にした光学系において、中間像を形成するためのリレー光学系内に当該プリズム体を構成する光学面を負の光学的パワーをもつ透過面として含むことにより、リレー光学系を構成するプリズム体を小型化できると共に、リレー光学系の焦点距離を大きくすることが可能となり、反射型の画像表示装置の使用が可能になる。また、観察眼に対して所定のアイリリーフを保ちつつ光学系全体の拡大倍率を高めることができ、更に光学系全体として適切に色収差補正を行うことが可能となる。
【0071】
図2に示す本実施形態に係る光学系の光学データを表2に示す。表2の内容から、画像サイズ9.6mm×7.2mm程度の画像表示装置を用いた場合に、図2に示した光学系により射出瞳径φ12mm、水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示可能となる。
【0072】
(第3実施形態)
図3は、本発明の第3実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。図3は本実施形態に係る光学系のYZ断面であって、当該光学系は図3に示す面を唯一の対称面として持つ面対称形状を有している。
【0073】
本実施形態に係る光学系は、第2実施形態で説明した光学系と概略として同様の光路を持つ一方、各光学面の光学的パワーの配置が異なる。また、照明光と表示光の分離に用いられる光学素子23が異なる材料を接合させて形成されている点で第2実施形態と異なる。このため、ローカル母線断面、ローカル子午線断面等の定義は第2実施形態と同じ定義を使用する。
【0074】
以下、主に第2実施形態で説明した光学系との相違点に関して、本実施形態に係る光学系について説明する。
【0075】
図3に示す光学系において、光学素子21及び光学素子22は、図2中の光学素子11及び光学素子12と類似の構成を持つプリズム状の光学素子であり、それぞれ異なる曲面を有する。
【0076】
光学素子23は、平面照明光源SIからの照明光を画像表示素子101に導光する照明光学系と、画像表示素子101からの表示光束を導光するリレー光学系とで共用され、シリンドリカル形状の透過面S13、透過面S14(接合面)、透過面S15を有する接合レンズである。反射面S19は透過面S15と同一の面であり、透過反射兼用面とするためハーフミラーとすることが望ましい。
【0077】
本実施形態に係る光学系においては、光学素子23が有する光学的パワーを最適化することにより、第2実施形態に示した光学系と比較して以下に説明するような特徴を有する。
【0078】
光学素子22の小型化のために透過面S10、S9の正の光学パワーを強める一方で、リレー光学系の焦点距離が短縮することを防止するために透過面S8に負の光学的パワーを付与する点においては、図2に示した光学系と同様である。
【0079】
一方、図2に示した構成においては、負の光学的パワーを有する透過面S8が光路中に形成される瞳結像面の近傍に位置するため、負の光学的パワーを強くするに従い瞳結像面からLCDまでの光路長が長くなり、結果として光学系全体が大型化してしまう。
【0080】
これに対し本実施形態に係る光学系においては、主に光学素子23の有する光学的パワーを最適化することにより、瞳結像面63を透過面S8の後段であって、光学素子21内に形成させている。これにより、瞳結像面63を負の光学的パワーから離れたところに配置し、この結果、LCDから瞳結像面63までの光路長をLCDと反対側へ長く確保でき、光学系全体を大型化することなく負のパワーを強くすることができる。
【0081】
つまり、光学系全体の大型化を伴わずに、後に示す数値実施例に見られるように、透過面S7、S8で構成する空気レンズの母線と子線のローカル焦点距離が第2実施形態に比べて短縮されて負の光学的パワーを強めることが可能となる。このように、LCDと瞳結像面63の間に負の光学的パワーがある場合には、以下の(5)式を満たすことが望ましい。
【0082】
|FyR/FyT|>=0.060
|FxR/FxT|>=0.060 ・・・(5)
上記構成において条件式(5)を満たすことにより、瞳結像面63からLCD間の光路長を十分に確保できるようになる。このように、リレー光学系のLCDと瞳結像面の間に負の光学的パワーを配置することで、負のパワーを強くしても光学系の大型化を生じることなく光学素子22とLCDの間隔を大きくすることが可能となり、良好な光学性能を得ることができる。
【0083】
また、光学素子23を異なる媒質の硝材を用いた接合レンズとすることで、色収差の補正を良好に行いうことが可能となる。更に透過面S13〜S15を各面偏心させることで、光学素子21、22によって出た偏心収差などを適切に補正することを可能にし、非常に良好な画像を観察者に提供することが可能となる。
【0084】
図3に示す本実施形態に係る光学系の光学データを表3に示す。表3の内容から、画像サイズ9.6mm×7.2mm程度の画像表示装置を用いた場合に、図2に示した光学系により射出瞳径φ12mm、水平画角50°の画像をz軸方向無限遠方に表示可能となる。
【0085】
(数値実施例)
図1〜3に示す各実施形態に係る光学系の光学データをそれぞれ表1〜3に示す。表中の項目SURFは図1〜3に示す各光学系を構成する各光学面の面番号を示している。また、X,Y,Z及びAは、第1面S1の中心を原点(0,0,0)とし、図1〜3の図中に示したy軸,z軸と紙面奥向きにx軸をとった座標系における各面の面頂点の位置(x,y,z)、並びに図面上で反時計まわりを正方向とするx軸まわりの回転角度a(単位:度)をそれぞれ示す。TYPの項は面形状の種類を表し、SPHは球面、FFSは非回転対称面、YTOは母線断面のみ屈折力を持つシリンドリカルレンズ面である。第1実施形態で使用する各非回転対称面は下記のFFS−no.1の式に従って表現される。また、第2〜3実施形態で使用する各非回転対称面は下記のFFS−no.2の式に従って表現される。またシリンドリカルレンズ面(YTO)については母線断面が下記の非球面式で表され、子午線断面は平面(rx=∞)である。
【0086】
Rの項は曲率半径を表し、シリンドリカルレンズ面に関しては母線断面曲率半径ryの値を表記してある。また、各非回転対称面(FFS)について、形状を示す各式内の各項の係数(c**)は表1〜3の下側に記載されている。値の記載の無い係数は全て0である。
【0087】
Nd,vdはそれぞれその面以降の光路の媒質のd線での屈折率とアッベ数を示しており、屈折率Ndの符号の変化はその面が反射面であることを示している。また、媒質が空気層の場合は、屈折率Ndのみを1.0として表示し、アッベ数vdは省略している。
【0088】
表1においては、光が光学素子2を射出する透過面S7から光学素子1に入射する透過面S6の母線断面上における合成ローカル母線断面焦点距離をFyT、子午線断面上における合成ローカル子午線断面焦点距離をFxTとして表1と共に記載した。
【0089】
表2〜3においては、リレー光学系の母線断面、子午線断面のローカル焦点距離をFyR、FxRとした場合の、FyR/FyTとFxR/FxTの絶対値を記載した。
【0090】
【0091】
【0092】
【0093】
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の構成によれば、小型且つ広画角表示が可能な頭部装着型の画像表示装置用の光学系であって、必要とされる光学性能を保ちつつ光学的な諸収差の発生を抑制可能である光学系を提供することが可能である。更に、当該光学系を用いることにより、装置全体が小型軽量であって高解像度且つ広画角表示の可能な頭部装着型の画像表示装置を提供すること小型の表示手段を用いつつ、広画角で小型、また色収差を良好に補正し、好適な画像を観察者に提供できる画像表示装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る頭部装着型画像表示装置用の光学系の断面図である。
【符号の説明】
1、2、11、12、21、22 光学素子
3、13、23 シリンドリカルレンズ、接合レンズ
4、4’ 偏光板
51、52、53 中間結像面
61、62、63 瞳結像面
SI 平面照明光
10、101 画像表示素子
Claims (8)
- 表示手段に表示した表示光束を観察者の観察眼に導く光学系であって、相対的に前記光学系の射出瞳に近い光路上に位置する第一のプリズム状の光学素子と、相対的に前記表示手段に近い光路上に位置する第二のプリズム状の光学素子とを有し、光路中に前記表示手段に表示した表示光束の中間像を形成する光学系において、
前記第二のプリズム状の光学素子の射出面と前記第一のプリズム状の光学素子の入射面との有する合成の光学的パワーが負であって、且つ前記第一のプリズム状の光学素子内に中間像が形成されることを特徴とする光学系。 - 前記表示手段は反射型の表示素子であって、当該反射型の表示素子と前記第二のプリズム状の光学素子との間には第三の光学素子を有することを特徴とする請求項1に記載の光学系。
- 前記光路中の瞳結像面が前記第一のプリズム状の光学素子内に形成されることを特徴とする請求項1乃至2に記載の光学系。
- 前記光路中の瞳結像面が前記第二のプリズム状の光学素子内に形成されることを特徴とする請求項に記載の光学系。
- 前記第一及び第二のプリズム状の光学素子のいずれかは、少なくとも1つの偏心した反射面を有することを特徴とする請求項1乃至4に記載の光学系。
- 前記第一のプリズム状の光学素子は、少なくても反射作用を有する第一の面と、該第一の面で反射した光線を再度該第一の面に向けて反射する第二の面とを有し、前記第一の面に再度入射した光線の中心画角主光線はそのヒットポイント上での面の法線に関して、前回とは略反対側に反射して進む折り返し光路を含むことを特徴とする請求項1乃至5に記載の光学系。
- 前記第一のプリズム状の光学素子は、光路に対して偏心した所定の反射面での複数回の反射を含み、且つ当該複数回の反射におけるそれぞれの入射光と反射光のベクトルの外積間の内積が負になる場合を含むことを特徴とする請求項1乃至5に記載の光学系。
- 請求項1乃至7に記載の光学系を有することを特徴とする画像表示装置。
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