JP2004330411A - 研磨パッドおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 水溶性粒子、例えばβ−サイクロデキストリンを架橋剤例えばポリプロピレングリコールに分散させて分散液を得、この分散液とポリイソシアネート例えば4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートおよび/またはイソシアネート末端ウレタンプレポリマーとを混合し、この混合液を反応させてポリマーマトリックス中に水溶性粒子が分散された研磨パッドを製造する方法。
【選択図】 なし
Description
本発明において水溶性粒子は、ポリマーマトリックス中に分散されるものであり、研磨パッドの使用中にパッド表層において、ドレッシング処理の際の水との接触あるいは研磨の際の水系分散体であるスラリーとの接触により非水溶性ポリマーマトリックスから脱離する。この脱離は、水溶性粒子が水あるいはスラリー中に含有される水等と接触して溶解することで生じてもよく、またこの水等を含有して膨潤してゲル状となることで生じてもよい。さらに、この溶解または膨潤は水によるものばかりでなく、メタノールの如きアルコール系溶剤を含有する水系混合媒体との接触によるものであってもよい。
本発明において架橋剤は、後述するポリイソシアネートのイソシアネート基と反応しうる活性水素を有する官能基を分子内に2個以上有する化合物である。活性水素を有する官能基としては、例えば水酸基、1級または2級アミノ基、カルボキシル基などが挙げられる。イソシアネート基との反応性の高さから、水酸基、アミノ基が好ましい。さらに水溶性粒子を良好に分散させるためには水酸基がより好ましい。分子内に有する上記活性水素含有官能基の数は、2個以上であり、特に2〜4個を有するものとすることができる。この内、2個または3個が好ましい。さらに、これらの内の1種または2種以上例えば分子内に2個の活性水素含有官能基を有する化合物と分子内に3個の活性水素含有官能基を有する化合物との組み合わせ等を使用することができる。
│
CHO(CH2CH(CH3)O)bH
│
CH2O(CH2CH(CH3)O)cH
本発明における分散液は上記水溶性粒子を上記架橋剤に分散させたものである。分散方法は特に限定されない。例えば、架橋剤を容器中で攪拌しながら、水溶性粒子を徐々に添加して分散させることが、良好な分散体を得る上で好ましい。特に好ましくは、2軸攪拌タイプでせん断力が得られる混合機による分散方法である。必要に応じて分散中あるいは分散後に減圧等による脱泡処理を施してもよい。
本発明におけるポリイソシアネートとしては、分子中に少なくとも2つのイソシアネート基を有する化合物が使用される。ポリイソシアネート化合物としては芳香族系ジ−またはトリ−イソシアネート、脂肪族ジ−またはトリ−イソシアネート、脂環族系ジ−またはトリ−イソシアネートおよびポリイソシアネートの変性体の使用が好ましい。芳香族ジ−またはトリ−イソシアネートとしては、例えば、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート[ビス(4−イソシアネート−3−メチルフェニル)メタン]、トリフェニルメタントリイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネートなどが挙げられる。脂肪族ジ−またはトリ−イソシアネートとしては、例えば1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネートなどが挙げられる。脂環族ジ−またはトリ−イソシアネートとしては、例えばイソホロンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネートなどが挙げられる。ポリイソシアネートの変性体としては、例えば、多価アルコールに対してポリイソシアネートが付加したアダクト体、二量体、イソシアヌレート環を有する三量体、アロハネート変性体、ウレア変性ポリイソシアネート、ビュレット変性ポリイソシアネート等が挙げられる。これらのうちで、芳香族ジ−またはトリ−イソシアネートおよび脂肪族ジ−またはトリ−イソシアネートが好ましく、特に芳香族ジイソシアネートおよび脂肪族ジイソシアネートがとりわけ好ましく用いられる。上記イソシアネートは1種または2種以上を用いることができる。
イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とポリイソシアネートとを、水酸基/イソシアネート基の当量比が好ましくは1/1.8〜1/2.4、さらに好ましくは1/1.9〜1/2.2となるように調整して反応させて得られる。イソシアネート基の当量比が1.8未満であると未反応の水酸基すなわち片末端イソシアネートの化合物が過剰となり、得られるポリウレタンマトリックスの低分子量化あるいは未反応OH基の残留などを招き、結果としてポリウレタンマトリックスの破断強度や耐摩耗性の低下および耐水性低下による研磨性能の経時変化などを引き起こす。また、イソシアネート基の当量比が2.4を超える場合は、得られるイソシアネート末端ウレタンプレポリマーの貯蔵安定性が劣る傾向があり、好ましくない。
上記混合液の形成および反応方法としては、例えば(1)イソシアネート原料としてイソシアネート末端プレポリマーを使用せずポリイソシアネートのみを用いるワンショット法、(2)イソシアネート原料としてイソシアネート末端プレポリマーのみを用いるプレポリマー法、(3)イソシアネート原料としてポリイソシアネートとイソシアネート末端プレポリマーを併用する併用法のいずれの方法も採用することができる。いずれの場合においても水溶性粒子を予め架橋剤に分散させ、これをイソシアネート原料と混合した後にポリマーマトリックスを形成する硬化反応を行わせることにより、水溶性粒子によるポリマーマトリックス硬化反応の阻害を抑制し、得られるポリマーマトリックスに水溶性粒子を均一に分散させることができるので好ましい。
上記で挙げてきた成分以外に、さらにポリマーマトリックスおよび/または水溶性粒子中に、従来からスラリーに含有されて用いられている添加剤、例えば砥粒、酸化剤、界面活性剤等の1種または2種以上を含有することができる。これにより研磨時に水のみを供給して研磨を行うことも可能となる。
本発明の研磨パッドは、前述した分散液とポリイソシアネートおよび/またはイソシアネート末端ウレタンプレポリマーとを混合した混合液を、例えば金型内で反応に付すことによってポリマーマトリックス中に水溶性粒子が分散されてなる研磨層を持つものとして得られる。
分子の両末端に2個の水酸基を有する数平均分子量650のポリテトラメチレングリコール(三菱化学(株)製、品名「PTMG650」)28.2質量部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(住化バイエルウレタン(株)製、品名「スミジュール44S」)21.7質量部を反応容器に仕込み、攪拌しながら90℃で3時間保温して反応させ、その後冷却して、両末端イソシアネートプレポリマーを得た。
SiO2ベタ膜半導体ウエハ((株)アドバンテック製、膜厚1,000nmサーマルオキサイドウエハ)を下記の条件により2分間研磨し、研磨速度およびスクラッチの有無を評価した。研磨速度は光学式膜厚計により研磨前後の膜厚を測定し、これらの膜厚から算出した。また、スクラッチは研磨後のSiO2膜ウェハの研磨面を電子顕微鏡により観察して確認した。なお研磨評価前のパッド表面粗化は#100ダイヤモンドドレッサーを用いて、スラリーの代わりに1,500ml/分の流水を用いる以外は研磨と同一の条件にて20分間の処理を行った。
化学機械研磨装置;EPO112((株)荏原製作所製)、
スラリー供給量;200ml/分、
研磨荷重;400g/cm2、
定盤回転数;30rpm、
ヘッド回転数;31rpm、
その結果、研磨速度は200nm/分であり、スクラッチはほとんど認められなかつた。
パターン初期段差約800nmを有する表面SiO2膜パターン化半導体ウエハ(SKWアソシエイツ社製、商品名「SKW−7」)のパターンの凸部の初期段差分約800nmを上記研磨条件にて研磨した際のパターン凹部のSiO2膜の研磨量を平坦化性とした。この数値が少ないほどパターンウエハの平坦化能力に優れる。SiO2膜の膜厚は光学式膜厚計により研磨前後の膜厚を測定し、算出した。その結果、平坦化性は50nmと良好であった。
分子の両末端に2個の水酸基を有する重量平均分子量250のポリテトラメチレングリコール(BASFジャパン(株)製、品名「Poly THF 250」)23.1質量部と4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート「スミジュール44S」46.3質量部を反応容器に仕込み、攪拌しながら90℃で3時間保温して反応させ、その後冷却して、両末端イソシアネートプレポリマーを得た。
水溶性粒子であるβ−サイクロデキストリン「デキシパールβ−100」を70質量部に変更し、これ以外は実施例1と同様にしてポリウレタンの原料混合物を得た。また実施例1と同様にポリウレタン化の反応およびポストキュアを行い、直径60cm、厚さ3mmの研磨パッドを得た。研磨パッド全体に対する水溶性粒子の体積分率すなわちポリウレタンマトリックスと水溶性粒子との合計体積に対する水溶性粒子の体積分率は約35%であった。
水溶性粒子であるβ−サイクロデキストリン「デキシパールβ−100」を4質量部に変更し、これ以外は実施例1と同様にしてポリウレタンの原料混合物を得た。また実施例1と同様にポリウレタン化の反応およびポストキュアを行い、直径60cm、厚さ3mmの研磨パッドを得た。研磨パッド全体に対する水溶性粒子の体積分率すなわちポリウレタンマトリックスと水溶性粒子との合計体積に対する水溶性粒子の体積分率は約3%であった。
架橋剤として3個の水酸基を有するトリメチロールプロパン(BASFジャパン(株)製、品名「TMP」)2.2質量部と2個の水酸基を有する1,6−ヘキサンジオール(和光純薬(株)製)11.1質量部を用い、これに水溶性粒子であるβ−サイクロデキストリン((株)横浜国際バイオ研究所製、品名「デキシパールβ−100」、平均粒径20μm)2.5質量部を攪拌して分散させ、さらに反応促進剤としてジブチル錫ジマレエート(旭電化(株)製、品名「アデカスタブBT11」)0.015質量部を攪拌して溶解させた。この混合物にポリテトラメチレングリコールの両末端に1,6ヘキサメチレンジイソシアネートを反応させた構造を有する市販の両末端イソシアネートプレポリマーであるアジプレンLFH120(ユニロイヤルケミカル社製)86.7質量部を添加した。その後、室温にて2分間200回転で攪拌し、さらに減圧脱泡して原料混合物を得た。また実施例1と同様にポリウレタンの重合およびポストキュアを行い、直径60cm、厚さ3mmの研磨パッドを得た。
水溶性粒子であるβ−サイクロデキストリンを使用せず、これ以外は実施例1と同様にしてポリウレタンの原料混合物を得た。また実施例1と同様にポリウレタン化の反応およびポストキュアを行い、直径60cm、厚さ3mmの水溶性粒子を含まない研磨パッドを得た。
Claims (9)
- 水溶性粒子を架橋剤に分散させて分散液を生成する工程;該分散液とポリイソシアネートおよび/またはイソシアネート末端ウレタンプレポリマーとを混合して混合液を生成する工程および該混合液を反応させて、ポリマーマトリックス中に水溶性粒子が分散された研磨層からなる研磨パッドを生成する工程からなることを特徴とする研磨パッドの製造方法。
- 上記架橋剤はイソシアネート基と反応しうる活性水素を有する官能基を分子内に2個以上有する請求項1記載の方法。
- 上記架橋剤はポリオールおよび/またはポリアミンである請求項1または2に記載の方法。
- 上記架橋剤は、該架橋剤の合計100質量%のうち、数平均分子量5,000以下のものを30質量%以上含有する請求項1乃至3のいずれかに記載の方法。
- 上記架橋剤はポリオールであり、
上記混合液を生成する工程において、イソシアネート末端ウレタンプレポリマーまたはポリイソシアネートとイソシアネート末端ウレタンプレポリマーが用いられ、該イソシアネート末端ウレタンプレポリマーは、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物とポリイソシアネートとを、水酸基/イソシアネート基の当量比(OH基/NCO基)が1/1.8〜1/2.4の範囲で反応させて得られたものであり、そして
上記架橋剤に含まれる水酸基と上記イソシアネート原料に含まれるイソシアネート基との当量比(OH基/NCO基)が、1/0.9〜1/1.4である請求項1に記載の方法。 - 上記ポリオールは、ジオールおよび/またはトリオールである請求項5に記載の方法。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の方法で得られた、ポリマーマトリックス中に水溶性粒子が分散された研磨層からなる研磨パッド。
- 上記水溶性粒子の体積が、該研磨パッドの研磨層の体積を100%としたとき、0.5〜70体積%である請求項7記載の研磨パッド。
- 温度30℃、 引張り速度500mm/分における引張試験の抗張積が50〜20,000kgf/cmである請求項7または8に記載の研磨パッド。
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