JP2004322164A - 自動車at用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メスダイスはパンチに対面する面より奥へ向かって小径となるテーパー面を形成し、テーパー部の先は成形部が形成されており、当該メスダイスで、熱間、温間、冷間、各鍛造プレス加工若しくは鋳造により形成されたプレート状素材をプレス加工して自動車AT用パーキングポールを成形するようにした。
【選択図】 図1
Description
【発明に属する技術分野】
本発明は複雑な形状を有するプレート状素材を熱間、温間、冷間の各鍛造若しくは鋳造により安価に製作し、その後、精密打ち抜き技術を利用して、自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の製造方法では、熱間、温間、冷間の各鍛造と鋳物素形材を製作し、その後全切削加工を用いて仕上げていた。
精度を特別必要としている製品の部分的な箇所では、研磨加工や、バフ仕上げ加工を施して完成している加工方法は、多くの工数を必要としている。
又、プレート状素材内に有る各孔の仕上げにもエンドミル等の切削具による切削工程を加える為、プレート状素材の価格の3倍程度の加工費を必要とする。
【0003】
他の製作方法として、ファインブランキングプレス機(以下FBプレス機という)を用いて板材料を所要輪郭形状に精密に打抜いて製作する事が有る。
FBプレス機による加工は、専用FBプレス機により板材料に、材料押さえと称する特殊なクサビを打ち込み、又、カウンターにも強力な圧力を与える事により、打抜き時に特殊な応力を材料に与え、パンチと雌ダイスのクリアランスを極めて小さくして打抜く。
これらの作動で加工面を比較的綺麗な切削加工並みに仕上げる加工方法である(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
このFBプレス機による加工の最大の欠点はプレート状素材厚さに比例して抜きダレ部が厚さの20〜30%程度発生する。このため、抜きダレの発生を嫌う製品では、ダレ部を切削加工で取り除いている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2829270号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
熱間、温間、冷間、鍛造プレート状素材若しくは鋳造プレート状素材を製作し、その後プレス加工にて輪郭形状部及び各種孔明けを行うが、精密さを要求された場合、従来では全切削加工で仕上げ加工を行っている為、加工工数が多く、製作コストが高くなってしまうという問題があった。
また、FBプレス機を用いた加工でも生産性が低く、上述のように、抜きダレ部の発生を防ぎ切れないという問題があった。
本発明は上記問題点に鑑みて提案されたもので、精度の高い成形品を簡単にプレス成形できるようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明では、プレート状素材の外周輪郭形状部及び/またはプレート状素材内の孔部をプレス機を用いて自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法に於て、メスダイスとカウンターとパンチからなる金型を使用してプレス加工するに際し、メスダイスはパンチに対面する面より奥へ向かって小径となるテーパー面を有するテーパー部を形成し、テーパー部の先は成形部が形成されており、当該メスダイスで、熱間、温間、冷間、各鍛造プレス加工若しくは鋳造により形成されたプレート状素材を、成形部を往復通過させてプレス加工することにより自動車AT用パーキングポールを成形するようにしたことを特徴とするものである。
【0008】
又、メスダイスは、そのテーパー部をパンチに対面する面より奥へ向かって入口より片面テーパー角度を3°〜45°の間に設定したり、テーパー部の奥の成形部を一つにしたり、二つであり、当該成形部間をストレート状に形成したことも特徴とするものである。
【0009】
さらに、プレート状素材は、周辺部の少なくとも一部に抜きダレ防止用凸部を形成したり、プレート状素材は、必要とする仕上り寸法より外形を0.01ミリ〜2.5ミリの大きく作る一方、内形寸法は片側で0.01ミリ〜2.5ミリ小さく製作することや、メスダイスの輪郭形状の成形部の寸法を、仕上り寸法よりプレート状素材厚さの0〜5%マイナス寸法に製作すること、或いはメスダイス内のプレート状素材を挟持した状態で加工するようにしたことも特徴とするものである。
【0010】
【実施の形態】
本発明にかかる自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1はパーキングポールの加工用打ち抜き金型の縦断正面図であって、図中符号1はメスダイス、2は大径のパンチ、3はプレート状素材(ワーク)をそれぞれ示し、メスダイス1は上側に設置し、大径のパンチ2は下側へ設置してある。
プレート状素材3の位置決めプレート4の中央部には、位置決め誘い込みよう凹部5が形成されており、この位置決めプレート4若しくは大径パンチ2の上面部に複数の配置されたエジェクターピン23によりプレート状素材3が大径のパンチ2の上面より5ミリ程度高い位置に配置される。
また、これらのエジェクターピン23は、プレート状素材3の外周部に発生する抜きバリ等が食い付く事を防いだり、プレート状素材をパンチ上面より安定して取り外す事も目的としている。
上記プレート状素材3の位置決めプレート4の凹部5には、周囲数ケ所にエアブロー用の溝(図示せず)が刻設されている。
【0011】
上記メスダイス1の中心部には圧力調整可能なカウンター6が上下摺動可能に設置され、常時下方向への一定圧力を受けており、カウンター6の下面6aはメスダイス1の下面(パンチに対面する面)1aより2ミリ以上出っ張っていて、当該下面部6aが、メスダイス1より先にプレート状素材3に当たり大径のパンチ2上でプレート状素材3を挟み込む形になる。
カウンター6の下部(パンチに対面する面)6aは図外のエアブロー手段により、プレート状素材3の成形中に発生する微量カスを飛ばし、プレート状素材3の上面部に微量カスによる傷がつかないようになっている。
カウンター6内には孔明け用の小径のパンチ7が上下移動可能に内装され、パンチ7の下面7aは、メスダイス1の下面1aより数ミリ高い位置にセットされている。
また、小径のパンチ7の上部にはツバ部19が形成されており、このツバ部19はその上方から押し下げピン24を介し、スプリング22もしくはウレタンにより下方に押圧された状態でパンチホルダー20に収納されている。
このスプリング22若しくはウレタンの反発係数は、プレート状素材3の材質や厚さ、小径パンチ7の上下必要運動量等に応じて決定され、2個の虫ネジ21によりスプリング22若しくはウレタンの強弱が調整される。
【0012】
メスダイス1の下面1a寄り部分には図3に示すように上下に成形部8・8を有する成形加工部9がくりぬいて形成されている。
この成形加工部9の成形部8・8は所望の加工形状の輪郭に形成されるとともに、成形部8・8間はストレートの筒部10に形成されている。
そして、下方の成形部8からメスダイス1の下面1aまでは下広がりテーパー状の出入り口11に形成され、その片面テーパー角度αは20°にしてある。此処でこの片面テーパー角度αは3°〜45°の間に設定される。
即ち、この片面テーパー角αが3°未満及び45°を越えるとプレート状素材3にクラックが入り易くなるためである。
【0013】
上部の成形部8から上方部分は図3に示すように上方で広がるテーパー状の逃がし部12となっている。
この逃がし部12は、テーパー状に形成してあるが、想像線図13・14で示すようにストレートにすることもできる。
また、上記金型で加工されるプレート状素材3は、鋳造若しくは鍛造により図2に示すように形成されている。
即ち、プレート状素材3は、必要とする仕上り寸法より外形を0.01ミリ〜2.5ミリ大きく形成する一方、孔15の内形寸法は仕上り寸法より片側で0.01ミリ〜2.5ミリ小さく製作するとともに余肉が移動しやすい先端部分の端縁部分には余肉を補償する素材凸部16を形成してある。
ここで、外形寸法が0.01ミリ未満の場合、角部分に欠けが生じやすくなり、2.5ミリを越えると余肉が多くなり過ぎて加工が難しくなる。
これは上記内形についても同様である。
尚、プレート状素材3は鋳造若しくは鍛造に代えて打ち抜きや切削で形成することもできる。
【0014】
上記のように構成された金型でプレート状素材3を加工する手順を次に説明する。
先ず、プレート状素材3を素材凸部16を上向きにし、大径のパンチ2上の位置決めプレート4の凹部5へ正確に置く。
プレスが下降を始めると、カウンター6の下面6aが最初にプレート状素材3に当接し、プレート状素材3は一定の圧力で押えられる。
大径のパンチ2上のプレート状素材3は、上部圧力体16より、カウンターノックアウトピン17を介して押圧されるので、大径のパンチ2上に前後左右に移動できない状態で保持される。
メスダイス1が下降すると、メスダイスのテーパー状の出入り口から成形部でプレート状素材3の外周部が打ち抜き成形される作業が開始される。
【0015】
メスダイス1の下降で大径のパンチ2上のプレート状素材3は、ストレートの筒部10、逃がし部12迄一挙に通過する時、小径パンチ7はカウンター6の下面6aより数ミリ上がった位置で待機している。
この小径パンチ7が、プレート状素材3の孔15に当たり、小径の孔抜き加工が開始される。
プレート状素材3は加工時、左右前後の動きが不動の状態で保持された状態でメスダイス1が最下点に達するまで進む。このとき、上部油圧式圧力体16は今までより強い圧力に切り換えられる。
プレート状素材3は、出入り口11より成形部8、ストレートの筒部10を通過した後、逃がし部12に移動する。
プレート状素材3の打ち抜かれた外周部はダイス1内の逃がし部12に解放され、ストレートの筒部10の寸法より若干下広がりのテーパー状に膨張している(図4参照)。
プレート状素材3を逃がし部12よりストレートの筒部10を図4中上から下に通過させる時にテーパー膨張部を修正する追加工が行われる。
【0016】
メスダイス1より排出されたプレート状素材3の寸法は、例えば、プレス下降時の加工により直径0.04ミリ〜0、06ミリのテーパー状に膨張した状態となる。この膨張した部分を取り除くことにより、メスダイス1より排出された時点で、プレート状素材の膨張分は直径で0.02〜0.025ミリとなる。
ここで、メスダイス1の精度を決めるストレート部10の製作寸法は、膨張率をみこして製作している為、必要寸法より直径で0.02ミリ小さく製作してあることから、加工後のプレート状素材外周寸法誤差は直径で0.005ミリ以内の極めて精密な製作が可能と成る。
圧力体によりプレート状素材3に与える圧力を調節することで、プレート状素材3の厚さの30%の孔明け加工をする時のパンチの破損を防止できる。これにより10ミリのプレート状素材3の厚さに対して3ミリの孔明けが可能となった。
【0017】
上述のように小径パンチ7の加工時の上下移動は、小径パンチ7の先端部7aがメスダイス1のストレートの筒部10に達した以降でプレート状素材3の外周部の加工より遅れて孔明け加工を開始する。
これにより、孔明け用の加圧トン数は外周抜きと小径の孔15の抜きとに時間差を設けて加工することにより加圧トン数をおとせ、プレート状素材3の外周部の加工と孔15との加工を正確に行なうことができる。
ここで、小径パンチ7がプレート状素材3の孔15より外れている場合には、メスダイス1の成形部8及びストレートの筒部10を通過するとき外周部より圧力を受けるので、孔15は変形及び縮小する。
この変形並びに縮小を防ぐ為、プレート状素材3の孔15に小径パンチ7が刺さった状態でメスダイス1を上昇させ、プレート状素材3をストレートの筒部10からその下方のテーパー部11に出た時点でプレート状素材3の孔15から小径パンチ7を外すので、その時点ではプレート状素材3の外周部より小径の孔15に向かう圧力は皆無となる。よって、孔径を精密に保つことが可能である。
【0018】
上記のようにプレスの最下点通過後、カウンター6が上昇を始めると、小径パンチ7は、プレート状素材3の孔15に填まった状態が暫く維持され、メスダイス1のテーパー部11がプレート状素材3から離れる時点で小径パンチ7も小径孔15より外れる。
この作動でプレート状素材3がメスダイス1のストレートの筒部10を逆通過する時にプレート状素材3の孔15が、変形・収縮させることなく、プレート状素材3を精密に仕上げることが出来る。
【0019】
また、大径のパンチ2の外周部には、メスダイス1が最下点を通過する時にプレート状素材3の位置決めプレート4を押し下げると同時に、プレート状素材3の外周部のリング状抜きカスが発生する。
抜きカスは大径のパンチ2の上面部から下方向ヘ押し下げられる。
抜きカスは下部圧力ピン18がタイミングを合わせて、プレート状素材3の位置決めプレート4を上昇させることにより、金型外部へ排出される。
このとき、プレート状素材3の成形中に発生する微量カスを図外のエアーブロー手段により大径のパンチ2の上面部より飛ばし、プレート状素材3の下面部に微量カスによる傷がつかない。
【0020】
プレート状素材3は、エジェクターピン23により大径のパンチ2の上面部の外周部に食い付くことがなく、図外のエアーブロー手段により別途清掃したりしなくてもすむので、プレート状素材3の自動搬入搬出を高速で行うことが可能となる。
尚、上記実施の形態では成形部8を上下に二つ設けるようにしてあるが、これは1つにすることができるのは勿論である。
【0021】
【発明の効果】
上記に述べた通り、従来の切削加工やFBプレス工法と比較して、安価な汎用プレス機を用いて高生産性による製作が可能な為、安価なパーキングポールの生産により広範囲な市場に提供出来る。
熱間、温間、冷間の各鍛造加工若しくは鋳造加工により素形材を製作し、汎用プレス機を用いて1ストローク加工で瞬時に精密製品の製作を行うことが出来る。
熱間、温間、冷間の各鍛造プレート状素材若しくは鋳造プレート状素材で部分的に平面上の一部にテーパー状凸部を設け、抜き加工時のダレ部を発生させない処置がされている為、この精密打ち抜き加工後では、抜きダレ部は殆ど無く、精密な外周輪郭部と各孔部の精度、切断面を鏡面に仕上げ、且つ生産性も高く安価な製品の製造が可能である。
ちなみに、テーパー部の奥の成形部が二つであり、当該成形部間をストレート状に形成したものでは外周部にショックラインが付かない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のパーキングポールの精密プレス打ち抜き型の縦断正面図である。
【図2】本発明のパーキングポールのプレート状素材の斜視図である。
【図3】本発明のパーキングポールのメスダイス内部構成を示す縦断正面図である。
【図4】本発明のパーキングポールのメスダイスで加工する途上の説明図である。
【符号の説明】
1・・・メスダイス
6・・・カウンター
7・・・小径パンチ
8・・・成形部
11・・・テーパー部
15・・・孔
Claims (8)
- プレート状素材の外周輪郭形状部及び/またはプレート状素材内の孔部をプレス機を用いて自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法に於て、メスダイスとカウンターとパンチからなる金型を使用してプレス加工するに際し、メスダイスはパンチに対面する面より奥へ向かって小径となるテーパー面を有するテーパー部を形成し、テーパー部の先は成形部が形成されており、当該メスダイスで、熱間、温間、冷間、各鍛造プレス加工若しくは鋳造により形成されたプレート状素材を、成形部を往復通過させてプレス加工することにより自動車AT用パーキングポールを成形するようにしたことを特徴とする自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- メスダイスは、そのテーパー部がパンチに対面する面より奥へ向かって入口より片面テーパー角度を3°〜45°の間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- テーパー部の奥に成形部が一つ形成されており、当該成形部でプレート状素材を往復させて成形加工することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- テーパー部の奥の成形部が二つ形成されるとともに、成形部間をストレート状に形成し、当該成形部でプレート状素材を成形加工することを特徴とする請求項1に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- プレート状素材は、周辺部の少なくとも一部に抜きダレ防止用凸部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- プレート状素材は、必要とする仕上り寸法より外形を0.01ミリ〜2.5ミリ大きく形成する一方、内形寸法は仕上り寸法より片側で0.01ミリ〜2.5ミリ小さく製作してなる請求項1に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- メスダイスの輪郭形状の成形部の寸法を、仕上り寸法よりプレート状素材厚さを0〜5%マイナス寸法に製作してなる請求項1に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
- メスダイス内のプレート状素材をその両面を挟持した状態で加工するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の自動車AT用パーキングポールのプレス複合加工による製造方法。
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