JP5801783B2 - 分割ダイス - Google Patents
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Description
このような純チタンやチタン合金を用いて上述した鍛造品を鍛造する際には、一般に金型を用いた熱間の据え込み鍛造方法が用いられる。据え込み鍛造方法は、予め製品形状を模して形成された金型内に加熱された被加工材(荒地)を装入し、原料を高温状態に保持したまま金型に沿った形状に引き伸ばすように変形させながら鍛造するものである。据え込み鍛造方法を用いれば、鍛造中の変形において製品形状に沿ったメタルフローが得られるため他の加工方法に比べてより粘り強く、耐衝撃破壊性に優れた鍛造品を得ることができる。
特許文献1には、筒状の外枠と、この外枠の軸線方向視にて複数に分割された内型からなり、この内型内に被加工材を配置してプレスすることにより鍛造を行うプレス鍛造用型において、前記外枠と内枠の互いに対向する面が、前記軸線を含む断面において軸線と斜めに交わる方向に形成されると共に、前記対向面の間には突条と溝からなり前記軸線と斜めに交わる方向のみの相対移動を許容する係合部が形成されているプレス鍛造用型が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載された分割ダイスを用いて、据え込み鍛造を行った場合、鍛造中に被加工材の一部が分割ダイスの分割面(分割されたダイスが対面する隙間)に入り込む事態、すなわち「材料の差し込み」が発生することがある。材料の差し込みは、ダイスからの鍛造品の離型を困難にするばかりか、分割ダイスの分離も困難にし、さらには、鍛造品の表面性状の劣化にも繋がることとなる。
ることが期待できる。
しかしながら、特許文献2の押出し加工用ダイスでは、ダイスの隙間部分における軸方向の差込みは防止できるものの、ダイスの半径方向への差込みが防止できないことが現場の実績として挙がってきている。
即ち、本発明の分割ダイスは、フランジ部と軸部を有する形状の鍛造品を熱間押し出し鍛造にて成形するために上下方向に貫通する貫通孔が形成された内周面を備える環状のダイスにおいて、前記ダイスは、周方向に複数に分割されており、前記ダイスの分割面が環状のダイスの中心軸方向に対して傾斜していて、互いに付き合わさる一方の分割面には、ダイスの内周面が延設され且つ周方向に突き出すように形成された稜線部と、この稜線部より凹んだ部分とされた凹部とが形成されており、互いに付き合わさる他方の分割面には、一方の分割面に形成された凹部に嵌り込む凸部と、この凸部とダイスの内周面との間に設けられ且つ前記稜線部に対面する面取部とが形成されていることを特徴とする。
図1に示すように、据え込み鍛造装置1は、加熱された被加工材M(鍛造品Wの元となる材料であって、荒地と呼ぶこともある)を金型内に挿入して、金型の形状に沿って荒地Mを熱間状態で変形させることにより、所望の形状の鍛造品Wを成形するものである。具体的には、この据え込み鍛造装置1では、鍛造品Wを成形するための金型(熱間押出し成形用金型)が上下に分かれるようになっており、荒地Mが載置される下部金型3と、この下部金型3に載置された荒地Mを上方から圧下する上部金型2とから構成されている。
下部金型3は、荒地Mを押し出し鍛造する分割ダイス4(単に、ダイスと呼ぶこともある)と、このダイス4を内部に収容可能な円筒状のダイホルダ5(コンテナ)とを有している。
容されている。上方からダイホルダ5の孔部7内に差し込まれた荒地Mは、ダイス4の上面に載置されるようになる。
また、ダイス4の下側には、ダイス4を下方から支持する台座6が設けられている。台座6はダイス4の下端部と同径の環状部材であり、中央部に貫通孔8bが形成されている。ダイスの貫通孔8aと台座6の貫通孔8bとは同径であり、連通するものとなっている。このダイスの貫通孔8aと台座6の貫通孔8bとで材料案内部9が形成されている。
上記した台座6、分割ダイス4、及びダイホルダ5は、これらの下側に設けられた中ダイ及び下ダイを介してボルスタに取り付けられている(図示せず)。
分割ダイス4と台座6とを上下に貫通して延びる貫通孔8a,8b、すなわち材料案内部9は、荒地Mを構成する材料のうち、ダイホルダ5の内部を充填した残りの材料を下方に向かって案内して、ダイホルダ5より小径(細首)の部分を成形する部分である。この材料案内部9はダイホルダ5の内径より径が小さな縦穴状に形成されていて、鍛造時には材料案内部9の上下方向の中途側までがダイホルダ5の内部を充填した残りの材料で充填されるようになっている(図1(b)〜図1(d)参照)。
一方、上部金型2は、下部金型3の上方に位置しており、下部金型3に載置された荒地Mに対して上方から近接離反とされている。上部金型2の下部には荒地Mを上方から圧下するポンチが取り付けられており、上部金型2を下降させることで荒地Mを上方から押しつぶすように圧下可能となっている。
図2〜図5などに開示されているように、本実施形態のダイス4は、周方向に沿って複数個の分割ダイス体に分割されていて、その分割面が環状のダイス4の中心軸方向に対して傾斜している。互いに付き合わさる一方の分割面16には、ダイスの内周面10が延設され且つ周方向に突き出すように形成された稜線部17と、この稜線部17より凹んだ部
分とされた凹部18とが形成されている。さらに、互いに付き合わさる他方の分割面19には、一方の分割面16に形成された凹部18に嵌り込む凸部20と、この凸部20とダイスの内周面10との間に設けられ且つこの稜線部17に対面する面取部21とが形成されている。
このように、ダイスの外周面11およびダイホルダの内周面12をテーパ状にすることで、成形後の鍛造品Wをノックアウトするときにダイス4が軸方向および半径方向に分離するスペースができる。そのため、鍛造品Wのダイスからの離型性が確保できるようになる。加えて、ダイスの外周面11およびダイホルダの内周面12をテーパ状にすることで、専用の治具を用いてダイス4をダイホルダ5から脱着することができ、使用したダイス4の表面手入れ、潤滑剤塗付および別のダイスとの交換が可能になる。
このように、ダイス4を周方向に分割することで、成形後の鍛造品Wをノックアウトする際にダイス4が半径方向に分離することができるようになり、鍛造品Wのダイス4からの離型性が向上する。しかしながら、ダイスの分割数を増やしてしまうと、荒地Mに対するダイスの分割線の接触長さが増える。このようになると、荒地Mの一部がダイスの分割面に差し込む(荒地Mの一部が分割面に入り込む)危険性が高まるようになる。また、ダイスの分割数を増やしてしまうと、ダイスの加工(製造)コストも上がることとなる。上述した問題を生じさせないためには、ダイスの分割数を2〜4個程度にするのが望ましい。
雄型分割体15の端面には、一方の分割面16に形成された凹部18に嵌り込む凸部20と、この凸部20とダイスの内周面10との間に設けられ且つ稜線部17に対面する面取部21とが形成されている。なお、ダイス4の離型性を向上させるためには、ダイスの分割面(凸部20)の角度βが上下軸方向に対して5〜30°傾斜していることが望ましい。本実施形態では、図5(a)に示す如く、凸部20の角度はβ=10°とされている。なお、ダイスの分割面(凸部20)の角度が大きい(例えばβ>30°)と、ダイス4の製作に必要な素材体積が大きくなり、ダイス加工の歩留りが下がってしまい好ましくない。
また、雄型分割体15の分割面19のうち、面取部21においては、その傾斜角度は、雄型分割体15の凸部20の傾斜角よりも大きいもの(α>β)とすることにより、加工中の荒地Mがダイス分割面に差し込むことを防止することが可能となる。αの値は30〜45°が望ましい。本実施形態では、図5(a)に示す如く、面取部21はα=45°とされている。しかし、αを45°よりも大きくすると、対面する雌型分割体14の稜線部17が鋭角で薄肉になり、この部分が成形中の荷重を受けて塑性変形したり、むしれが発生する虞があり好ましくない。
上記した分割ダイス4は、様々な手法で製造することが可能であるが、本実施形態では、以下のようにして製造している。
また、別に、環状とされ且つ周方向に直交する断面が長方形であるダイス元材を用意し、上述と同様の方法で、縦に2分割する。分割された素材のうち一つの内周側をNC加工機で湾曲状に切削し、内周面(湾曲面10)とすることで、雌型分割体14に加工する。その後、ダイス分割面の稜線部17(庇部)と、この稜線部17より凹んだ凹部18とを放電加工によって仕上加工する。
最後に、雄型分割体15と雌型分割体14とを下面にダイス首ふり機能用ボルト22用の雌ネジ孔を形成し、この雌ネジ孔にダイス首ふり機能用ボルト22を螺合させ、台座6に装着する。
上述したような据え込み鍛造装置1を用いて鍛造を行うに際しては、前工程として、素材ビレットを850℃程度(α-β相域)に加熱した上で、型入れ鍛造または自由鍛造により、円柱形状の荒地Mを成形する。その後、一旦、常温まで冷却し、グラインダまたは機械加工により荒地Mの表面疵を除去する。再び、荒地Mを930℃程度(β相域)に加熱する。
そして、図1(a)に示すように、ポンチが荒地Mの上面に接触するまで上部金型2を押し下げ、荒地Mに対して、変形、歪みを付与する。加熱された荒地Mを1回鍛造することで、フランジと軸を有するシャフト形状の鍛造品Wを成形する(1ヒート、1モーション)。
が台座6に対して首振り構造とされているため、鍛造品Wが押し出された後には、分割されたダイス4は、直ちにもとの位置に戻るようになっている。
図1(d)の状況を経て、鍛造品Wが分割ダイス4から剥がれて、鍛造品Wを金型内から取り出されたら、その後、放冷、ファン冷却もしくは水冷により鍛造品Wを冷却する。
また、本発明の分割ダイス4を用いることで、鍛造完了後に鍛造品Wを直ちにダイス4から離型でき、適正な温度範囲と冷却速度とで制御冷却を行うことが可能となるため、所望のミクロ組織と機械的特性を有する鍛造品Wを得ることができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
2 上部金型
3 下部金型
4 分割ダイス(ダイス)
5 ダイホルダ(コンテナ)
6 台座
7 孔部
8a ダイスの貫通孔
8b 台座の貫通孔
9 材料案内部
10 湾曲面(ダイスの内周面)
11 ダイスの外周面
12 ダイホルダの内周面
13 ノックアウト棒
14 雌型分割体
15 雄型分割体
16 一方の分割面
17 稜線部
18 凹部
19 他方の分割面
20 凸部
21 面取部
22 ボルト
23 横溝
M 被加工材(荒地)
W 鍛造品
Z パッド
Claims (2)
- フランジ部と軸部を有する形状の鍛造品を熱間押し出し鍛造にて成形するために上下方向に貫通する貫通孔が形成された内周面を備える環状のダイスにおいて、
前記ダイスは、周方向に複数に分割されており、前記ダイスの分割面が環状のダイスの中心軸方向に対して傾斜していて、
互いに付き合わさる一方の分割面には、ダイスの内周面が延設され且つ周方向に突き出すように形成された稜線部と、この稜線部より凹んだ部分とされた凹部とが形成されており、
互いに付き合わさる他方の分割面には、一方の分割面に形成された凹部に嵌り込む凸部と、この凸部とダイスの内周面との間に設けられ且つ前記稜線部に対面する面取部とが形成されている
ことを特徴とする分割ダイス。 - 前記分割ダイスが、円筒状であって内周面が軸心方向に沿ってテーパ面とされているダイホルダ内に挿入され、前記ダイホルダの内周面により外周方向から保持されるように配備されることを特徴とする請求項1に記載の分割ダイス。
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